説明

認証装置、認証システム及び認証方法

【課題】利用者が登録者であるか否かを生体情報に基づいて認証する認証に関し、利用者の入力生体情報に対して複数の候補が生じても、認証処理の時間短縮とともに、高精度な本人判定を実現することにある。
【解決手段】利用者が登録者であるか否かの生体情報による認証について、生体情報入力手段(生体情報入力部4)、登録情報記憶手段(登録情報記憶部16)、識別候補者情報記憶手段(識別候補者情報記憶部18)、識別手段(識別部10)等を備え、入力生体情報と登録生体情報とを比較して類似度により単一の登録者を決定し又は複数の登録者を選別し、複数の登録者が選別された場合にはその登録者を候補者情報として記憶させ、その候補者情報を次入力の生体情報の識別対象に限定することにより、利用者の入力生体情報に対して複数の候補が生じても、認証処理の時間短縮とともに、高精度な本人判定を実現している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指紋等の生体情報を利用する認証に関し、特に、1対N識別の生体認証に用いられて、利用者が予め登録された登録者であるか否かを認証する認証装置、認証システム及び認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体認証は1対1方式と、1対N方式とに大別される。1対N方式はID入力等の他の本人特定手段を併用することなく、生体情報だけで本人認証を行う方式である。1対N方式は一般に、類似度に対して本人判定閾値が決められており、利用者から取得した生体情報と予め登録されている登録生体情報とを順次に比較して得られた類似度を本人判定閾値と比較し、本人判定閾値以上であるか否かにより本人判定を行う。
【0003】
1対N方式は他の本人特定手段であるID入力等を必要としないため、利用者にとっての利便性が高いという利点があるが、識別対象となる生体登録情報の全て(N個)との比較処理を行って類似度を判定する必要があり、認証時間が長くなったり、認証装置に対する処理負荷が大きくなるという課題がある。
【0004】
生体認証では、利用者の身体の状態や、利用者を取り巻く環境要因等により、利用者の生体情報が常に安定して入力されるとは限らず、一度の入力では利用者を一意に特定しきれずに本人拒否や数回入力の後に認証に成功するといったケースが考えられる。特に、1対N方式では、1対1方式と比べて他人受け入れの可能性が高くなるため、本人受入の閾値を高く設定されるので、本人拒否が発生しやすい。このため、入力が複数回となり、1利用者当たりの認証処理時間を増加させることになる。これは、認証時間が長いという不満や(特に大規模サーバ認証モデルにおける)認証装置におけるCPU負荷の一因となることが予想される。
【0005】
他の従来技術として、指紋の特徴やその他の情報による識別前の分類処理(絞り込み)を行い、その上で比較処理を行うことにより、識別対象であるデータ数(N)を低減させる技術が存在する。このようなデータ数の低減は識別処理の時間を短縮できる効果が期待できる。
【0006】
また、認証対象となるアプリケーション、システムの利用特性を考慮して、識別対象となる登録情報との比較処理の順序に優先順位を付け、類似度が所定の閾値を超える登録情報に到達した時点で識別処理を打ち切り、本人判定が成功したものとして終了する方式がある(特許文献1、特許文献2)。
【0007】
特許文献1では、ある認証の結果、本人判定された登録情報に対して、以降の認証時の識別対象として使用するか否かを指定すること、または識別における比較順序の優先度を変更する技術が開示されている。即ち、この特許文献1には、1:N識別の結果、本人認識された辞書エレメント(登録テンプレート)に対して、以降の1:N識別での照合用辞書データとして使用する/しないを指定できる機能や、以降の1:N識別での照合順序の優先度を変化させる機能を持つものが開示されている。
【0008】
特許文献2では、識別時に優先順位テーブルに基づき、順次登録情報との比較処理を行い、本人と一致すると判定できた時点で本人と判定する方式において、本人と判定された登録情報の比較順序の優先順位を上げるように、優先順位テーブルを更新する技術が開示されている。即ち、この特許文献2には、1:N識別時、優先順位テーブルに基づき、順次登録データとの照合を行い、一致した時点で本人と判定する方式で、識別成功時に特定された登録データの優先順位を上げて優先順位テーブルを更新するものが開示されている。
【0009】
これらの方式(特許文献1、特許文献2)は、1:N識別で、本人判定が期待通りできた結果に対するものであって、識別処理の方式においても、順次照合していき最初に見つかった候補を一致したものと見なしているにすぎない。
【0010】
また、特許文献3には、登録生体データを特徴情報に従ってグループ分けしておき、特定のグループと入力情報との照合を行うことが開示されている。
【特許文献1】特開平11−312250号公報
【特許文献2】特開2007−206942号公報
【特許文献3】特開2007−249556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、識別前の分類処理(絞り込み)を行えば、絞り込み失敗(ビニングエラー)を発生させる可能性があり、その場合には本人の生体登録情報が識別対象とならず、正しい識別処理が実行できない。この絞り込み失敗を少なくすることが課題である。
【0012】
また、特許文献1、2の開示技術では、識別対象となる全ての登録情報との比較を行わないため、本人ではない登録情報を誤って本人と判定してしまう誤識別の発生率が識別対象全体との比較を行う方式に比べて高くなりやすいという課題がある。
【0013】
斯かる要求や課題について、特許文献1〜3にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0014】
そこで、本発明の目的は、利用者が予め登録された登録者であるか否かを生体情報に基づいて認証する認証に関し、上記課題に鑑み、利用者の入力生体情報に対して複数の候補が生じても、認証処理の時間短縮とともに、高精度な本人判定を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、利用者が登録者であるか否かの生体情報による認証について、生体情報入力手段、登録情報記憶手段、候補者情報を記憶する識別候補者情報記憶手段、識別手段等を備え、入力生体情報と登録生体情報とを比較して類似度により単一の登録者を決定し又は複数の登録者を選別し、複数の登録者が選別された場合にはその登録者を候補者情報として記憶させ、その候補者情報を次入力の生体情報の識別対象に限定することにより、利用者の入力生体情報に対して複数の候補が生じても、認証処理の時間短縮とともに、高精度な本人判定を実現している。即ち、生体認証における1対N識別時に、一度の入力で一意に利用者が識別できなかった場合に、生体情報提示者である可能性が高い候補を絞り込み、次回以降の識別にかかる時間と精度が改善される。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明は、利用者が登録者であるか否かを生体情報に基づいて認証する認証装置であって、生体情報を入力する生体情報入力手段と、前記生体情報の単一又は複数の登録者とともに、その登録者毎に登録生体情報を記憶する登録情報記憶手段と、前記登録情報記憶手段の前記登録者から選別された登録者を表す候補者情報を記憶する識別候補者情報記憶手段と、前記生体情報入力手段に入力された利用者の生体情報と前記登録情報記憶手段の登録生体情報とを比較して類似度により単一の登録者を決定し又は複数の登録者を選別し、複数の登録者が選別された場合にはその登録者を前記識別候補者情報記憶手段に候補者情報として記憶させ、この候補者情報を次入力の生体情報の識別対象とする識別手段とを備えることである。
【0017】
斯かる構成によれば、利用者の入力生体情報と登録生体情報との比較により、その類似度によって単一の登録者が決定される場合の他、複数の登録者が選別された場合には、その登録者を候補者情報とし、この候補者情報を次入力の生体情報の識別対象とするので、利用者の入力生体情報に対して複数の候補が生じても、認証処理の時間短縮とともに、高精度な本人判定が実現される。
【0018】
上記目的を達成するためには、上記認証装置において、好ましくは、前記識別手段は、入力された前記生体情報と、前記識別候補者情報記憶手段に前記候補者情報として記憶されている登録生体情報とを比較し、両者の類似度によって前記登録生体情報から複数の登録者が抽出された場合には、それらを最新の候補者情報として前記識別候補者情報記憶手段の前記候補者情報を更新する構成としてもよい。
【0019】
斯かる構成によれば、最新の候補者情報に更新されるので、信頼性の高い識別精度が得られ、斯かる構成によっても上記目的が達成される。
【0020】
上記目的を達成するためには、上記認証装置において、好ましくは、前記生体情報入力手段より入力された生体情報を参照生体情報として記憶する参照生体情報記憶手段を備え、前記識別手段は、前記参照生体情報記憶手段に記憶されている前記参照生体情報と、前記生体情報入力手段により入力された生体情報とを比較し、両者の類似度により同一利用者の生体情報であると判定した場合に、前記識別候補者情報記憶手段に記憶された前記候補者情報を前記識別対象に用いる構成としてもよい。斯かる構成によっても、利用者が別人に替わった場合に、不適切に限定された識別対象に対して認証を行い、誤って他人として識別されるのを防止でき、上記目的が達成される。
【0021】
上記目的を達成するため、本発明は、認証システムであって、利用者の生体情報を入力する端末装置と、前記生体情報の単一又は複数の登録者とともに、その登録者毎に登録生体情報を記憶する記憶装置と、前記端末装置の前記生体情報入力手段に入力された利用者の生体情報と前記記憶装置の登録生体情報とを比較して類似度により単一の登録者を決定し又は複数の登録者を選別し、複数の登録者が選別された場合に、選別された登録者を次入力の生体情報の識別対象とする認証装置とを備えることである。
【0022】
斯かる構成では、端末装置から入力された生体情報が端末装置とは別個に設置された記憶装置及び認証装置を用いて登録生体情報と比較判断し、その類似度によって識別を行い、本人認証を行うことができ、斯かる構成によっても上記目的が達成される。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明は、利用者が登録者であるか否かを生体情報に基づいて認証する認証方法であって、生体情報を入力する生体情報入力工程と、前記生体情報の単一又は複数の登録者とともに、その登録者毎に登録生体情報を記憶する登録情報記憶工程と、前記登録者から選別された登録者を表す候補者情報を記憶する識別候補者情報記憶工程と、前記入力された利用者の生体情報と前記登録生体情報とを比較して類似度により単一の登録者を決定し又は複数の登録者を選別し、複数の登録者が選別された場合にはその登録者を候補者情報として記憶させ、この候補者情報を次入力の生体情報の識別対象とする識別工程とを含むことである。斯かる構成によっても、上記目的が達成される。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、次のような効果が得られる。
【0025】
(1) 利用者の入力生体情報に対して複数の候補が生じても、その候補に絞り込んで次入力生体情報と対比するので、認証処理の時間短縮とともに、高精度な本人判定を実現することができる。
【0026】
(2) 1対N識別において、入力状態が良くないこと等による本人拒否が発生するケースで、一度目の識別情報を利用して、二度目以降の入力時には、識別対象とする登録情報を限定することで、トータルでの認証時間を短縮することができる。
【0027】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
各実施の形態において、利用者から提示された生体情報は、後述の生体情報入力部又は認証制御部等の信号処理手段で信号処理を行い、生体認証の照合アルゴリズムに適した特徴データに変換して、装置内では変換後のデータを生体情報として扱ってもかまわない。また、指紋認証に生体情報として用いられるものは、画像パターン情報、マニューシャ情報、周波数情報等であってもよい。
【0029】
〔第1の実施の形態〕
【0030】
第1の実施の形態について、図1を参照する。図1は、第1の実施の形態に係る認証装置を示すブロック図である。図1に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0031】
この認証装置2は、1対N方式の生体認証を行う装置の一例であって、この認証装置2に用いられる生体情報には、主に指紋、顔、静脈、虹彩、音声等でよく、他の属性によるものを用いてもよく、生体情報が指紋に限定されるものではない。
【0032】
この認証装置2には、図1に示すように、生体情報入力部4と、通知部6と、認証制御部8と、識別部10と、入力情報制御部12と、記憶部14とを備えている。
【0033】
生体情報入力部4は、利用者から提示された生体情報を入力する入力手段としての処理部であって、例えば、指紋センサや静脈センサ等で構成すればよい。
【0034】
通知部6は、認証装置2に本人判定を求める利用者等に対して各種情報を通知する手段としての処理部であって、例えば、液晶表示装置、その情報提示画面等で構成される。この場合、認証装置2の他、装置内のOS(Operating System)や他のアプリケーション、又はネットワーク等を介した他の装置に対して、本人判定の結果を通知する構成とし、斯かる通知システムを以て通知部6を構成してもよい。
【0035】
認証制御部8は、認証処理を実行する認証手段、識別処理に対応した制御手段、記憶手段を制御する記憶制御手段であって、本人判定を実現するために、生体情報入力部4と、通知部6と、識別部10と、入力情報制御部12と、記憶部14とを制御する手段としての制御部である。この認証制御部8が実行する制御の詳細は、処理方法又は処理プログラムを表す後述の処理手順の説明により詳述されており、その説明により明らかである。
【0036】
識別部10は、識別処理の識別手段の一例であって、認証制御部8から指定された入力データを識別対象の登録情報群と類似度を比較し、本人判定を行い、その結果を認証制御部8に対して通知する。その処理において、本人を一意に判定できずに、複数の候補者が発見された場合には、その候補者情報を認証制御部8に対して通知する。
【0037】
入力情報制御部12は、入力生体情報と、登録生体情報又は参照生体情報とを比較して本人か否かを判定する判定手段であるとともに、入力生体情報と参照生体情報とが一致している場合(本人情報である場合)には両者を合成する情報合成手段である。具体的には、生体情報入力部4から入力された生体情報と、参照生体情報記憶部20に記憶された参照生体情報とを比較し、その類似度により、両者が同一利用者からの入力か否かの判定を行う。この判定方法に関しては、識別部10と同じ方式を使用しても構わないし、別のものでも構わない。この場合、同一入力か否かの判定のための閾値又は方針は、本人判定のための識別用閾値又は方針に比べて、条件を緩和しても構わない。誤って同一と判定して、それまでに限定した候補者情報に基づく登録情報群とだけの比較を行い、本人確定がなされなかった場合でも、それに続いて識別対象全体との比較処理が実行され、利用者の真の登録情報との比較も行われるためである。
【0038】
記憶部14は、各種情報を記憶する記憶手段であって、例えば、登録情報記憶部16と、識別候補者情報記憶部18と、参照生体情報記憶部20とを備え、フラッシュメモリ等の記録媒体で構成される。登録情報記憶部16には、認証装置を利用する利用者のユーザ名やIDが登録生体情報と関連付けられて、予め格納されている。
【0039】
識別候補者情報記憶部18には、識別部10での本人判定処理の結果、得られた候補者情報が記憶される。
【0040】
また、参照生体情報記憶部20には、識別部10での本人判定処理の結果、識別候補者情報を記憶した場合に、生体情報入力部4から入力された生体情報、又は入力情報制御部12で合成された生体情報が参照生体情報として記憶される。なお、記憶部14は必ずしも一体に構成する必要はなく、例えば、識別候補者情報記憶部18および参照生体情報記憶部20をそれぞれ登録情報記憶部16とは別の揮発性を有する記憶媒体(例えばRAM等)で構成しても良い。この場合、識別候補者情報記憶部18および参照生体情報記憶部20は、後述する認証装置2の処理を実行するために随時設けられる作業領域とすることができる。
【0041】
次に、認証装置2の処理について、図2を参照する。図2は、認証装置の生体認証1対N識別処理の処理手順を示すフローチャートである。図2に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0042】
この処理手順は、1対N識別処理であって、利用者が認証装置2に生体情報を入力し、本人判定を求めた場合に実行される。そこで、この処理手順は、認証方法又は認証プログラムの一例であって、図2に示すように、生体情報の入力を行い(ステップS101)、候補者情報の記憶があるか否かの判定を行い(ステップS102)、候補者情報の記憶がなければ(ステップS102のNO)、入力生体情報と、識別対象である登録情報群との全比較を行い(ステップS103)、本人候補を一意に特定できたか否かを判定し(ステップS104)、一意に特定できれば(ステップS104のYES)、本人確定となり(ステップS105)、1対N識別処理を終了する(ステップS106)。
【0043】
ステップS104において、本人候補を一意に特定できなければ(ステップS104のNO)、候補者情報があるか否かを判定し(ステップS107)、候補者情報があれば(ステップS107のYES)、識別候補者情報と、参照生体情報を記憶し(ステップS108)、また、候補者情報がなければ(ステップS107のNO)、本人確定不可とし(ステップS109)、ステップS101に戻る。
【0044】
また、ステップS102において、候補者情報の記憶があれば(ステップS102のYES)、入力生体情報と、先に入力された入力生体情報を参照生体情報として参照生体情報記憶部20に記憶された参照生体情報とを比較し(ステップS110)、両者が不一致であれば、識別候補者情報と参照生体情報を消去し(ステップS111)、ステップS103に移行する。入力生体情報と参照生体情報が一致していれば、入力制御情報部12で入力生体情報と参照生体情報を合成し(ステップS112)、その合成生体情報と候補者情報とを比較し(ステップS113)、本人候補を一意に特定できたか否かを判定する(ステップS114)。本人候補を一意に特定できれば(ステップS114のYES)、本人確定とし(ステップS115)、識別候補者情報と参照情報を消去し(ステップS116)、1対N識別処理を終了する(ステップS117)。
【0045】
また、本人候補を一意に特定できなければ(ステップS114のNO)、候補者情報があるか否かを判定し(ステップS118)、候補者情報がなければ(ステップS118のNO)、ステップS111に移行し、また、候補者情報があれば(ステップS118のYES)、識別候補者情報を更新(更に限定)し(ステップS119)、本人確定不可とし(ステップS120)、ステップS101に戻る。
【0046】
このような処理手順において、認証装置2の利用者からの一度目の入力による識別処理で、本人を一意に特定できなかったが複数の候補者情報を得た後、それに続く同一利用者からの二度目の入力による識別処理で本人判定に成功するケースの処理手順を各部の機能とともに説明する。
【0047】
認証制御部8は、先ず、生体情報入力部4に生体情報を入力させる(一度目の入力)。この認証制御部8が、識別候補者情報記憶部18に候補者情報が記憶されているか否かの判定を行う。最初の入力時には識別候補者情報記憶部18に候補者情報は記憶されていないので、認証制御部8は、識別部10に、入力された生体情報と、識別対象として限定を行わない登録情報群との識別処理を実行させる。
【0048】
識別部10は、入力された生体情報と、それぞれの登録情報との類似度比較を行い、本人候補を特定する。この場合、本人候補を一意に特定できなかった場合でも、複数の本人候補に限定することができた場合には、その候補者情報を認証制御部8に通知する。
【0049】
候補者情報があった場合、認証制御部8はその情報を識別候補者情報記憶部18に記憶し、入力された生体情報を参照生体情報記憶部20に記憶し、次回以降の識別時の利用に備えた上で、通知部6に本人を確定できなかった旨の判定結果の通知を行わせる。
【0050】
次に、認証制御部8は、生体情報入力部4に生体情報を入力させる(二度目の入力)。認証制御部8は、識別候補者情報記憶部18に候補者情報が記憶されているか否かの判定を行う。一度目の入力時に識別候補者情報記憶部18に候補者情報が記憶されているので、認証制御部8は、入力情報制御部12に、入力された生体情報と参照生体情報記憶部20に記憶された参照生体情報との比較を実行させる。
【0051】
入力情報制御部12は、入力された生体情報と参照生体情報とが一致していると判定した場合には、これら2つを合わせて、合成生体情報を生成させる。認証制御部8は、識別部10に、この合成生体情報と、候補者情報により限定された識別対象の登録情報群との識別処理を実行させる。
【0052】
識別部10は、合成生体情報とそれぞれの登録情報との類似度比較を行い、本人候補を特定する。ここで、比較される登録情報は限定されたものであるので、実行時間が短縮される効果がある。また、特徴情報を多く含んだ合成情報との比較を行うことで、合成しない生体情報よりも高い精度で類似度を得られ、本人確定できる可能性が高くなる。本人候補を一意に特定できた場合には、本人確定された登録情報を識別できる情報を認証制御部8に通知する。
【0053】
認証制御部8は、通知部6に本人確定できた旨の判定結果の通知を行わせ、識別候補者情報記憶部18に記憶した候補者情報と、参照生体情報記憶部20に記憶した参照生体情報の消去を行い、1対N識別処理を終了する。なお、本人判定された場合の通知は、例えば、本人と判定された旨を表示画面に表示させたり、本人と判定された候補のID(IDentification)を他の装置へ送信したりすることにより行われる。
【0054】
次に、生体情報を合成しないで行う入力生体情報と登録情報との比較について、図3を参照する。図3は、入力される生体情報と識別される登録情報の一例を示す図である。図3に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0055】
この生体情報及び登録情報は、合成生体情報を使わない生体情報の具体的な例であって、図3Aは利用者Yの一度目の入力に係る生体情報を示す図、図3Bは利用者Yの二度目の入力に係る生体情報を示す図、図3Cは利用者Xの生体登録情報を示す図、図3Dは利用者Yの生体登録情報を示す図である。利用者は、X、Y以外にも多数存在するものとするが、その場合、利用者Yの生体情報と比較しても、高い類似度は示さないデータであるものとする。この実施の形態では、生体情報として指紋画像を用いているが、指紋画像以外であってもよい。
【0056】
一度目の入力(図3A)を入力生体情報として、識別対象全体の登録情報群と識別処理を実行する。本人判定の結果、図3Aの領域a1が、図3Cの領域c1及び図3Dの領域d1に対して高い類似度を示すことから、識別候補者情報記憶部18に利用者Xと利用者Yが識別候補者情報として記憶され、参照生体情報記憶部20に生体情報(図3A)が参照生体情報として記憶される。
【0057】
この状態において、二度目の入力(図3B)を行う。入力情報制御部12は、二度目の入力(図3B)と、参照生体情報記憶部20に記憶している参照生体情報(図3A)との比較を行い、図3Aの領域a2と図3Bの領域b1との類似度が高いことから、同一利用者からの入力と判定し、図3Bに示す生体情報と、一度目の入力で限定した識別対象(図3C、D)だけとの識別を実行する。
【0058】
この識別処理では、図3Bの領域b2が、図3Cの生体情報の領域c2とは異なっており、図3Dの生体登録情報の領域d2と高い類似度を示し、且つ、図3Bの領域b2以外の部分も、図3Dに示す生体登録情報と高い類似度を示しているので、利用者Yとして本人確定を行うことができる。
【0059】
次に、生体情報を合成して入力生体情報と登録情報との比較について、図4を参照する。図4は、入力される生体情報と合成された生体情報の一例を示す図である。図4に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0060】
図4Aは利用者Yの一度目の入力とする。一度目の入力とその識別結果(利用者Xと利用者Yが本人候補)については、既述の図3の場合と同様である。
【0061】
この場合も、二度目の入力(図4B)を行う。入力情報制御部12は、二度目の入力(図4B)と参照生体情報記憶部20に記憶している参照生体情報(図4A)との比較を行い、参照生体情報(図4A)の領域a3と生体情報(図4B)の領域b3の類似度が高いことから、同一利用者からの入力と判定する。
【0062】
入力情報制御部12は、領域a3と領域b3の一致関係を基準にして、図4Aに示す参照生体情報と、図4Bに示す生体情報との合成を行い、図4Cに示すように、合成された生体情報を得る。認証制御部8は、一度目の入力で限定した利用者Xと利用者Yの登録情報だけを識別対象に指定して、合成された生体情報(図4C)との識別処理を実行するよう識別部10に指示を行う。この識別処理において、合成された生体情報(図4C)は、図4Aに示す参照生体情報に加え、図4Cに示すように、新しく得られた領域c3の情報を持っているので、利用者Yの登録情報(図4D)のみと高い類似度を示し、利用者Yを本人として正しく確定することができる。本例における二度目の入力(図4B)のような情報量が全体として少ない状況や、二度目の入力による生体情報と登録情報との取得領域が大きくずれているような状況では、合成された生体情報(図4C)でなく、図4Bに示す生体情報と利用者Yとの登録情報との類似比較を行う場合には、本人確定と判定するに足る類似度を得られず、本人拒否となってしまうことが予想されるので、斯かる不都合を回避するため、合成することによる効果が大きい。
【0063】
この実施の形態では、生体情報として指紋画像を使用したが、既述の通り、指紋に限らず、その他の属性の生体情報に適用してもよい。
【0064】
次に、絞り込みを利用した識別処理について、図5及び図6を参照する。図5及び図6は、絞り込みを利用した識別処理の処理手順を示すフローチャートである。図5及び図6に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0065】
この処理手順は、認証方法又は認証プログラムの一例であって、入力生体情報(B1、B2等)から特徴情報として、画像パターン情報、マニューシャ情報、周波数情報等が抽出され、登録テンプレート(A、B、C、D・・・)の生体特徴との比較を行っている。この処理手順は、図5に示すように、B1入力が行われ(ステップS201)、このステップS201では、Bの生体情報の1回目の入力である。この生体情報(B1入力)と、登録情報記憶部16の登録データベース160にある登録テンプレートA、B、C、D・・・との全比較が行われる(ステップS202)。即ち、入力生体情報が、その識別対象として登録データベース160にある全生体情報と比較される。
【0066】
この比較結果として、類似度の高い候補者として、例えば、5名の候補者B、C、H、J、Wが抽出される(ステップS203)。この候補者リスト180が識別候補者情報記憶部18に候補者情報182として記憶される。
【0067】
このような候補者から本人が確定できない場合には識別失敗とし、その場合、通知部6から「生体情報を入力してください」とのメッセージを発し、2回目の生体情報の入力(B2入力)を促す(ステップS204)。
【0068】
そこで、B2入力が行われ(ステップS205)、このステップS205では、Bの生体情報の2回目の入力である。
【0069】
2回目の生体情報について、識別候補者情報記憶部18に記憶している候補者情報182を識別対象として利用し、以前の入力結果により絞り込まれた候補者即ち、この場合、5名の候補者B、C、H、J、Wと比較される(ステップS206)。この比較処理は、絞り込まれた候補者B、C、H、J、Wのみについて行われる。
【0070】
この比較の結果、類似度により候補者1名が識別され(ステップS207)、この実施の形態では、候補者Bが本人であることになる。この結果、識別成功となり(ステップS208)、通知部6を通して「利用者はB」であることが告知され、この処理を終了する。
【0071】
次に、他の絞り込み処理を用いた認証処理について、図7及び図8を参照する。図7及び図8は、絞り込みを利用した他の識別処理の処理手順を示すフローチャートである。図7及び図8に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0072】
この処理手順は、認証方法又は認証プログラムの一例であって、入力生体情報(B1、B2等)から特徴情報として、画像パターン情報、マニューシャ情報、周波数情報等が抽出され、登録テンプレート(A、B、C、D・・・)の生体特徴との比較を行っており、処理装置として認証装置2(図1)を用いている。
【0073】
この処理手順は、図7に示すように、B1入力が行われ(ステップS301)、このステップS301では、Bの生体情報の1回目の入力である。この生体情報(B1入力)と、登録情報記憶部16の登録データベース160にある登録テンプレートA、B、C、D・・・との全比較が行われる(ステップS302)。即ち、入力生体情報が、その識別対象として登録データベース160にある全生体情報と比較される。その際、B1入力の生体情報は参照生体情報記憶部20に参照生体情報B1として記憶する。
【0074】
ステップS302の比較結果として、類似度の高い候補者として、例えば、5名の候補者B、C、H、J、Wが抽出される(ステップS303)。この候補者リスト180が識別候補者情報記憶部18に候補者情報182として記憶される。
【0075】
このような候補者から本人が確定できない場合には識別失敗とし、その場合、通知部6から「生体情報を入力してください」とのメッセージを発し、2回目の生体情報の入力(B2入力)を促す(ステップS304)。
【0076】
そこで、B2、A1の入力が行われ(ステップS305)、このステップS305では、B2はBの生体情報の2回目の入力であり、A1はAの生体情報の1回目の入力である。
【0077】
これらの生体情報B2(A1)は、参照生体情報記憶部20にある参照生体情報B1と比較される(ステップS306)。
【0078】
ここで、生体情報B2の場合には、生体情報B2と参照生体情報B1は同じ生体からの情報であるから、既述した処理と同様に、識別候補者情報記憶部18に記憶している候補者情報182を識別対象として利用して比較する(ステップS307)。即ち、比較処理は、絞り込まれた候補者B、C、H、J、Wのみについて行われる。
【0079】
この比較の結果、類似度により候補者1名が識別され(ステップS308)、この実施の形態では、候補者Bが本人であることになる。この結果、識別成功となり(ステップS309)、通知部6を通して「利用者はB」であることが告知され、この処理を終了する。
【0080】
また、ステップS306の比較において、生体情報A1の場合には、生体情報A1とB1とは異なる生体からの情報であるから、生体情報A1について、この生体情報(A1入力)と、登録情報記憶部16の登録データベース160にある登録テンプレートA、B、C、D・・・との全比較が行われる(ステップS310)。即ち、入力生体情報と、その識別対象として登録データベース160にある全生体情報と比較される。
【0081】
ステップS310の比較結果から、類似度の高い候補者として、例えば、5名の候補者A、D、S、T、Yが抽出される(ステップS311)。この候補者リスト180が識別候補者情報記憶部18に候補者情報182として記憶される。
【0082】
このような候補者から本人が確定できない場合には識別失敗とし、その場合、通知部6から「生体情報を入力してください」とのメッセージを発し、2回目の生体情報の入力を促す(ステップS312)。
【0083】
以上述べた第1の実施の形態に係る認証処理、認証方法又は認証プログラムについて、特徴事項、効果等を抽出して以下に列挙する。
【0084】
(1) 利用者の入力生体情報に対して複数の候補が生じても、その候補に絞り込んで次入力生体情報と対比するので、認証処理の時間短縮とともに、高精度な本人判定を実現することができる。
【0085】
(2) 1対N識別において、入力状態が良くないこと等による本人拒否が発生するケースで、一度目の識別情報を利用して、二度目以降の入力時には、識別対象とする登録情報を限定することで、トータルでの認証時間を短縮することができる。
【0086】
(3) 2回目以降の入力時でも、本人候補がさらに限定された場合には、次以降の識別時には、より限定された登録情報を識別対象とすることで、認証時間をさらに短縮することができる。
【0087】
(4) 二度目以降に入力された生体情報と、識別対象の限定に使用する候補者情報を記憶した一度目の入力時の生体情報とが同一利用者からのものなのかを識別前に確認することで、利用者が別人に替わった場合に、不適切に限定された識別対象に対して認証を行ってしまい、誤って他人として識別されてしまう問題の発生を防止することができる。この問題は、利用者本人の登録情報を識別対象に含まない状態での識別となるため、利用者本人と判定されることはありえず、通常の1対N認証に比べて危険性が高いものであるため、抑止する効果は高い。
【0088】
(5) 識別対象を限定した状態での入力を行う際に、利用者が別の利用者に入れ替わった場合にでも、一度目の入力と二度目以降の入力で提示された生体情報が変わったことを自動で認識し、限定を行わない登録情報群に対する識別を行うことで、不必要に多い入力や特別な操作を行うことなく、新しい利用者の本人判定のために適切な認証処理を行うことができる。
【0089】
(6) 同一利用者から入力された複数回分の生体情報を合成することにより、単独のものよりも特徴情報を多く含んだ合成情報が得られる場合があり、この場合には、合成しない生体情報よりも高い精度で類似度を得られ、正しく本人確定できる確率を高めることができる。
【0090】
(7) 一度目の入力による識別結果に識別誤りがあり、識別対象の限定に使用する候補者情報に利用者の登録情報が含まれなかった場合にでも、二度目以降の入力時に、識別対象を限定した入力を行った後、本人候補が一つもなかった場合に、限定を行う前の登録情報群全体に対して識別を行うことにより、限定に失敗していた場合にでも本人特定を行うことができる。
【0091】
〔第2の実施の形態〕
【0092】
次に、第2の実施の形態について、図9、図10、図11及び図12を参照する。図9は、第2の実施の形態に係る認証システムの構成例を示すブロック図、図10は、識別情報管理テーブルを示す図、図11は識別候補者情報テーブルを示す図、図12は、参照生体情報テーブルを示す図である。図9〜図12に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図9において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0093】
この認証システム200は、既述の認証装置2と、1又は複数の情報処理端末装置と、外部記憶装置とを用いて構成したものである。即ち、この認証システム200は、登録情報記憶部16を除いた認証装置2(図1)と、記憶装置202と、複数の端末装置301、302・・・30Nとをネットワーク204によって接続したものである。
【0094】
認証装置2は、認証制御部8と、識別部10と、入力情報制御部12と、通信部206と、記憶部14とを備えている。記憶部14は、識別候補者情報記憶部18と、参照生体情報記憶部20とを備え、図1の記憶部14と異なる点は、登録情報記憶部16を記憶装置202側に移動させている点である。通信部206は、外部の情報処理端末装置との通信手段であって、通信媒体は有線又は無線の何れであってもよい。認証装置2のその他の構成は、既述の認証装置2(図1)と同様であるので、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0095】
各端末装置301〜30Nは、認証装置2と無線又は有線によって連携される1又は複数の情報処理端末装置の一例であって、複数構成のみならず、単一構成であってもよい。各端末装置301〜30Nは、生体情報入力部4と、通信部312とを備えている。生体情報入力部4は、既述の生体情報入力部4(図1)と同一であって、端末装置301〜30Nから利用者の生体情報として指紋等の入力手段として用いられる。また、通信部312は、既述の通信部206との通信手段である。
【0096】
記憶装置202は、既述の登録情報記憶部16を備え、ネットワーク204を通じて認証装置2と接続され、認証に当たって、登録生体情報を提供する。ネットワーク204は、登録情報記憶部16と記憶装置202とを通信可能に接続するとともに、各端末装置301〜30Nと記憶装置202とが直接通信できないように構成することが好ましい。なお、この記憶装置202を認証装置2と一体に構成してもよい。
【0097】
この認証システム200では、各端末装置301〜30Nの何れかの生体情報入力部4により入力された生体情報が、認証を必要とする端末装置301〜30Nの通信部312と認証装置2の通信部206を利用して認証要求処理を実行することにより、認証装置2の認証制御部8に伝えられる。
【0098】
認証制御部8では、通信セッションにより、各端末装置301〜30Nの生体情報入力部4から発せられた認証要求であるか否かを各端末装置301〜30N毎に区別する。他に、認証要求処理メッセージの内部に含まれる要求装置番号により、端末装置毎の認証要求を区別することもでき、一つの端末装置から同時に複数の認証要求を行うシステムでは、要求装置番号とフロー番号によって区別するといった方法をとることもできる。このように、生体情報の入力元の区別の方法については特に制限はない。
【0099】
認証装置2の内部の1対N識別手順については、第1の実施の形態と同様であるが、識別候補者情報と参照生体情報を生体情報の入力元毎に保持し、識別情報管理テーブル400(図10)で管理する。この識別情報管理テーブル400は、図10に示すように、セッション管理番号402に対応する識別候補者情報インデックス404及び参照生体情報インデックス406を格納し、通信セッション毎に識別候補者情報及び参照生体情報が区別される。
【0100】
また、この識別情報管理テーブル400に関連し、識別候補者情報記憶部18には識別候補者情報テーブル500(図11)、参照生体情報記憶部20には参照生体情報テーブル600(図12)が設定されている。識別候補者情報テーブル500は、図11に示すように、インデックス502に対応して識別候補者情報504が格納されている。また、参照生体情報テーブル600は、図12に示すように、インデックス602に対応して参照生体情報604が格納されている。従って、インデックス情報が付与されれば、候補者情報及び生体情報データが読み出される。
【0101】
この識別情報管理テーブル400での管理の代わりに、識別候補者情報記憶部18と参照生体情報記憶部20を一つにまとめて、通信セッション毎に両方のデータを保持できるような情報記憶手段を構成してもよい。
【0102】
斯かる構成の認証システムによれば、端末装置から入力された生体情報が端末装置とは別個に設置された記憶装置及び認証装置を用いて登録生体情報と比較判断し、その類似度によって識別を行い、本人認証を行うことができるとともに、第1の実施の形態で述べた既述の特徴事項や利点は、斯かる認証システムにおいても同様である。
【0103】
〔第3の実施の形態〕
【0104】
第3の実施の形態について、図13を参照する。図13は、第3の実施の形態に係る認証処理の処理手順を示すフローチャートである。図13に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
【0105】
この第3の実施の形態に係る処理手順は以下の通りである。
【0106】
(1) 1対N識別処理の実行時、最初は、対象となる登録データNの全てとのマッチング処理を実施し、類似度の高い本人候補を探す(ステップS401)。
【0107】
(2) この結果、本人候補が一意に決定すれば、識別処理は期待通りに終了となるが、生体や入力動作、環境等の入力状態がそれほど良くない場合等、一意に本人を特定する類似度には到達しないが類似度の比較的高い候補の検出ができる場合には、識別結果として本人特定ができず失敗ということになり、この過程で絞り込んだ候補(LIST)と、入力データの特徴量X1を保持する(ステップS402)。
【0108】
(3) 上記LISTと特徴量X1を以降の1対N識別処理の絞り込みを行う(ステップS403)。
【0109】
(4) 情報の絞り込みに基づき、本人の特定処理として認証処理を実行する(ステップS404)。
【0110】
斯かる処理では、通常は本人特定ができなかった利用者により続けて同じ生体データの入力がリトライされる。入力データの特徴量X2と、ステップS402で保持した特徴量X1との比較を行い、同一生体からの入力データだと判定できた場合には、リトライされた入力特徴量X2を一度目の識別時に絞り込んだ候補(LIST)だけとのマッチング処理を行い、本人特定を行うことで、トータルの照合時間を減少させる。ここで、リトライされた入力特徴量X2の代わりに、X1とX2の特徴量の合成を行ったデータ(X1+X2)を入力特徴量として用いれば、特徴情報を増加させる形態とすることもできる。
【0111】
また、入力時にX1とX2を比較することにより、一連の識別処理の過程で、入力が別の利用者に変わった場合の誤った絞り込みによる識別精度の悪化を防止している。この場合には、最初の結果による絞り込みを行わず、登録データ全体(N)とのマッチングを行うことになる。
【0112】
1対N識別方式のシステムにおいて、入力状態が良くないことに等による本人拒否が発生するケースで、1度目の識別情報を用いて二度目以降の登録データの識別対象を絞り込むことで、1対N識別時間を大幅に短縮することができる。その際に、それまでの複数回分の入力データを合成することで特徴情報を増加させて、候補データとマッチング処理を行うことで本人受入率を高めることができる。
【0113】
斯かる認証装置の代表的な実施例としては、ノートPC(パーソナルコンピュータ)でのBIOS指紋認証における1対N識別が考えられる。BIOS上の指紋認証処理はCPU演算速度に制限があり、識別速度が重視されること、及び入力元がノートPC内蔵センサに限定されることから、同一生体提示者からの連続した生体データ入力の速度改善を行う本方式の効果が特に期待できる。また、この認証装置、認証方法又は認証プログラムは、サーバ照合モデルにも適用することができる。サーバ上で1対N識別を行う場合には、複数のクライアントからの入力を区別するためにセッションとの関連付けを行い、複数の入力特徴量と候補データを保持、管理、区別する仕組みを追加してもよい。
【0114】
〔第4の実施の形態〕
【0115】
第4の実施の形態について、図14及び図15を参照する。図14は、認証装置のハードウェア構成を示す図、図15は、認証装置を搭載したパーソナルコンピュータ(PC)を示す図である。図14及び図15に示す構成は一例であって、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。図14及び図15において、図1と同一部分には同一符号を付してある。
【0116】
この認証装置2(図1)は、指紋等の入力生体情報を取り込み、認証処理を実行する情報処理手段としてコンピュータを備えて構成されており、CPU(Central Processing Unit )702、プログラム記憶部704、データ記憶部706、RAM(Random-Access Memory)708、操作入力部710、表示部712、生体情報入力部4が設置され、これらはバス714によって連携されている。
【0117】
CPU702はOS(Operating System)及び認証プログラム等のアプリケーションプログラムの実行により、指紋画像の取得、特徴抽出処理、照合処理、その他、各種データの格納や演算等を行う制御手段であって、RAM708とともに既述の通知部6、認証制御部8、識別部10、入力情報制御部12等を構成する。
【0118】
RAM708はワークエリアであり、表示部712は情報提示手段であって、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)で構成される。操作入力部710はキーボード等で構成される。
【0119】
生体情報入力部4は、指紋センサや撮像手段等で構成され、指紋等の生体情報の取込手段である。
【0120】
プログラム記憶部704は、プログラムを記録する記録手段の一例であって、コンピュータによって読み書き可能な記録媒体によって構成する。このプログラム記憶部704には、OSやアプリケーションプログラムとして既述の生体情報認証プログラム等のルーチン等が格納される。
【0121】
データ記憶部706は、データを格納する格納手段の一例であって、生体情報等が格納され、上記実施の形態に応じて必要なデータ格納を設定してもよい。
【0122】
この認証装置2は例えば、PC800(図15)に搭載され、このPC800は図15に示すように、筐体部802と筐体部804とをヒンジ部806で開閉可能に構成したものであり、筐体部802には、キーボード808(操作入力部710の入力部の一例)が設置されているとともに、生体情報入力部4として例えば、スウィープ型指紋センサが設置され、筐体部804には表示部712が搭載されている。
【0123】
斯かる構成によれば、PC800において、入力生体情報と登録生体情報との識別又はその絞り込みにより、迅速で信頼性の高い生体認証、本人認証が行える。
【0124】
〔他の実施の形態〕
【0125】
(1) 上記実施の形態(図15)では、PC800を例示したが、認証装置2を搭載する電子機器としては携帯装置900(図16)であってもよい。この携帯装置900は、図16に示すように、筐体部902と筐体部904とをヒンジ部906で開閉可能に構成したものであり、筐体部902には、キーボード908(操作入力部710の入力部の一例)が設置されているとともに、生体情報入力部4として例えば、スウィープ型指紋センサが設置され、筐体部904には表示部712が搭載されている。
【0126】
斯かる構成によれば、携帯装置900において、入力生体情報と登録生体情報との識別又はその絞り込みにより、迅速で信頼性の高い生体認証、本人認証が行える。
【0127】
(2) 上記実施の形態では、指紋画像取得装置を搭載した指紋認証装置の搭載例として携帯装置900(図16)を例示したが、携帯情報端末機(PDA:Personal Digital Assistant)等の小型情報機器に搭載してもよいし、他の電子機器に搭載してもよい。
【0128】
(3) 上記実施の形態(図9)の端末装置301〜30N又は認証装置2に既述の携帯装置900を用いてもよい。
【0129】
(4) 既述した本発明の構成要素、表現又は構成要素の任意の組合せは、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造等に適用したものも本発明の態様として有効である。
【0130】
次に、以上述べた本発明の実施の形態から抽出される技術的思想を請求項の記載形式に準じて付記として列挙する。本発明に係る技術的思想は上位概念から下位概念まで、様々なレベルやバリエーションにより把握できるものであり、以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0131】
(付記1) 利用者が登録者であるか否かを生体情報に基づいて認証する認証装置であって、
生体情報を入力する生体情報入力手段と、
前記生体情報の単一又は複数の登録者とともに、その登録者毎に登録生体情報を記憶する登録情報記憶手段と、
前記登録情報記憶手段の前記登録者から選別された登録者を表す候補者情報を記憶する識別候補者情報記憶手段と、
前記生体情報入力手段に入力された利用者の生体情報と前記登録情報記憶手段の登録生体情報とを比較して類似度により単一の登録者を決定し又は複数の登録者を選別し、複数の登録者が選別された場合にはその登録者を前記識別候補者情報記憶手段に候補者情報として記憶させ、この候補者情報を次入力の生体情報の識別対象とする識別手段と、
を備えることを特徴とする認証装置。
【0132】
(付記2) 付記1の認証装置において、
前記識別手段は、入力された前記生体情報と、前記識別候補者情報記憶手段に前記候補者情報として記憶されている登録生体情報とを比較し、両者の類似度によって前記登録生体情報から複数の登録者が抽出された場合には、それらを最新の候補者情報として前記識別候補者情報記憶手段の前記候補者情報を更新することを特徴とする認証装置。
【0133】
斯かる構成によれば、2回目以降の入力時でも、本人候補がさらに限定された場合には、次以降の識別時には、より限定された登録情報を識別対象とすることで、認証時間をさらに短縮することができる。
【0134】
(付記3) 付記1の認証装置において、
前記生体情報入力手段より入力された生体情報を参照生体情報として記憶する参照生体情報記憶手段を備え、
前記識別手段は、前記参照生体情報記憶手段に記憶されている前記参照生体情報と、前記生体情報入力手段により入力された生体情報とを比較し、両者の類似度により同一利用者の生体情報であると判定した場合に、前記識別候補者情報記憶手段に記憶された前記候補者情報を前記識別対象に用いることを特徴とする認証装置。
【0135】
斯かる構成によれば、二度目以降に入力された生体情報と、識別対象の限定に使用する候補者情報を記憶した一度目の入力時の生体情報とが同一利用者からのものなのかを識別前に確認することで、利用者が別人に替わった場合に、不適切に限定された識別対象に対して認証を行ってしまい、誤って他人として識別されてしまう問題の発生を防止することができる。この問題は、利用者本人の登録情報を識別対象に含まない状態での識別となるため、利用者本人と判定されることはありえず、通常の1対N認証に比べて危険性が高いものであるため、抑止する効果は高い。
【0136】
(付記4) 付記3の認証装置において、
前記識別候補者情報記憶手段及び/又は前記参照生体情報記憶手段の記憶制御手段を備え、
前記識別手段が前記参照生体情報と、前記生体情報入力手段により入力された生体情報とを比較し、両者の類似度により同一利用者の生体情報でないと判定した場合には、前記記憶制御手段が、前記識別候補者情報記憶手段から前記候補者情報を消去し、前記参照生体情報記憶手段から前記参照生体情報を消去し、前記識別手段は、前記登録生体情報記憶手段にある登録生体情報を識別対象とすることを特徴とする認証装置。
【0137】
斯かる構成によれば、識別対象を限定した状態での入力を行う際に、利用者が別の利用者に入れ替わった場合にでも、一度目の入力と二度目以降の入力で提示された生体情報が変わったことを自動で認識し、限定を行わない登録情報群に対する識別を行うことで、不必要に多い入力や特別な操作を行うことなく、新しい利用者の本人判定のために適切な認証処理を行うことができる。
【0138】
(付記5) 付記3の認証装置において、
前記生体情報入力手段により入力された生体情報と前記参照生体情報記憶手段に保存されている参照生体情報とを合成する情報合成手段を備え、
前記識別手段は、同一利用者であると判定した場合に、前記情報合成手段に入力生体情報と前記参照生体情報記憶手段に保存されている参照生体情報とを合成させ、この合成生体情報を識別に用いることを特徴とする認証装置。
【0139】
斯かる構成によれば、同一利用者から入力された複数回分の生体情報を合成することにより、単独のものよりも特徴情報を多く含んだ合成情報が得られる場合があり、この場合には、合成しない生体情報よりも高い精度で類似度を得られ、正しく本人確定できる確率を高めることができる。
【0140】
(付記6) 付記1、2、3、4又は5の認証装置において、
前記識別手段は、前記識別候補者情報記憶手段に記憶された前記候補者情報を識別対象とした結果、その候補者情報から本人候補が識別されなかった場合には、入力生体情報に対し、前記登録情報記憶手段にある登録生体情報の全部を識別対象にして識別を行うことを特徴とする認証装置。
【0141】
斯かる構成によれば、一度目の入力による識別結果に識別誤りがあり、識別対象の限定に使用する候補者情報に利用者の登録情報が含まれなかった場合にでも、二度目以降の入力時に、識別対象を限定した入力を行った後、本人候補が一つもなかった場合に、限定を行う前の登録情報群全体に対して識別を行うことにより、限定に失敗していた場合にでも本人特定を行うことができる。
【0142】
(付記7) 付記1、2、3、4、5又は6の認証装置において、
決定された前記登録者及び/又は選別された前記登録者を表す情報を通知する通知手段を有することを特徴とする認証装置。
【0143】
(付記8) 利用者の生体情報を入力する端末装置と、
前記生体情報の単一又は複数の登録者とともに、その登録者毎に登録生体情報を記憶する記憶装置と、
前記端末装置の前記生体情報入力手段に入力された利用者の生体情報と前記記憶装置の登録生体情報とを比較して類似度により単一の登録者を決定し又は複数の登録者を選別し、複数の登録者が選別された場合に、選別された登録者を次入力の生体情報の識別対象とする認証装置と、
を備えることを特徴とする認証システム。
【0144】
(付記9) 付記8の認証システムにおいて、
前記認証装置は、候補者情報を記憶する識別候補者情報記憶手段を備え、
前記端末装置に入力された前記生体情報と、前記記憶装置に前記候補者情報として記憶されている登録生体情報とを比較し、両者の類似度によって前記登録生体情報から複数の登録者が抽出された場合には、それらを最新の候補者情報として前記識別候補者情報記憶手段の前記候補者情報を更新することを特徴とする認証システム。
【0145】
(付記10) 付記8の認証システムにおいて、
前記認証装置は、前記端末装置に入力された生体情報を参照生体情報として記憶する参照生体情報記憶手段を備え、前記参照生体情報記憶手段に記憶されている前記参照生体情報と、入力された生体情報とを比較し、両者の類似度により同一利用者の生体情報であると判定した場合に、前記識別候補者情報記憶手段に記憶された前記候補者情報を前記識別対象に用いることを特徴とする認証システム。
【0146】
(付記11) 付記10の認証システムにおいて、
前記認証装置は、前記識別候補者情報記憶手段及び/又は前記参照生体情報記憶手段の記憶制御手段を備え、前記参照生体情報と、前記入力された生体情報とを比較し、両者の類似度により同一利用者の生体情報でないと判定した場合には、前記記憶制御手段が、前記識別候補者情報記憶手段から前記候補者情報を消去し、前記参照生体情報記憶手段から前記参照生体情報を消去し、前記識別手段は、前記記憶装置にある登録生体情報を識別対象とすることを特徴とする認証システム。
【0147】
(付記12) 付記10の認証システムにおいて、
前記認証装置は、前記端末装置により入力された生体情報と前記参照生体情報記憶手段に保存されている参照生体情報とを合成する情報合成手段を備え、同一利用者であると判定した場合に、前記情報合成手段に入力生体情報と前記参照生体情報記憶手段に保存されている参照生体情報とを合成させ、この合成生体情報を識別に用いることを特徴とする認証システム。
【0148】
(付記13) 付記8、9、10、11又は12の認証システムにおいて、
前記認証装置は、前記識別候補者情報記憶手段に記憶された前記候補者情報を識別対象とした結果、その候補者情報から本人候補が識別されなかった場合には、入力生体情報に対し、前記記憶装置にある登録生体情報の全部を識別対象にして識別を行うことを特徴とする認証システム。
【0149】
(付記14) 付記8、9、10、11、12又は13の認証システムにおいて、
前記利用者本人と特定された前記登録者の情報を通知する通知手段を有することを特徴とする認証システム。
【0150】
(付記15) 利用者が登録者であるか否かを生体情報に基づいて認証する認証方法であって、
生体情報を入力する生体情報入力工程と、
前記生体情報の単一又は複数の登録者とともに、その登録者毎に登録生体情報を記憶する登録情報記憶工程と、
前記登録者から選別された登録者を表す候補者情報を記憶する識別候補者情報記憶工程と、
前記入力された利用者の生体情報と前記登録生体情報とを比較して類似度により単一の登録者を決定し又は複数の登録者を選別し、複数の登録者が選別された場合にはその登録者を候補者情報として記憶させ、この候補者情報を次入力の生体情報の識別対象とする識別工程と、
を含むことを特徴とする認証方法。
【0151】
(付記16) コンピュータにより実行され、利用者が登録者であるか否かを生体情報に基づいて認証する認証プログラムであって、
生体情報を入力するステップと、
前記生体情報の単一又は複数の登録者とともに、その登録者毎に登録生体情報を記憶するステップと、
前記登録者から選別された登録者を表す候補者情報を記憶するステップと、
前記入力された利用者の生体情報と前記登録生体情報とを比較して類似度により単一の登録者を決定し又は複数の登録者を選別し、複数の登録者が選別された場合にはその登録者を候補者情報として記憶させ、この候補者情報を次入力の生体情報の識別対象とするステップと、
を含むことを特徴とする認証プログラム。
【0152】
(付記17) コンピュータに実行させる認証プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体であって、
入力される生体情報を取り込むステップと、
前記生体情報の単一又は複数の登録者とともに、その登録者毎に登録生体情報を記憶するステップと、
前記登録者から選別された登録者を表す候補者情報を記憶するステップと、
前記入力された利用者の生体情報と前記登録生体情報とを比較して類似度により単一の登録者を決定し又は複数の登録者を選別し、複数の登録者が選別された場合にはその登録者を候補者情報として記憶させ、この候補者情報を次入力の生体情報の識別対象とするステップと、
を含む認証プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能な記録媒体。
【0153】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための最良の形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本発明は、利用者が登録者であるか否かを生体情報に基づいて認証する認証に関し、利用者の入力生体情報に対して複数の候補が生じても、認証処理の時間短縮とともに、高精度な本人判定を実現することができ、携帯電話機等の携帯情報装置、パーソナルコンピュータ、その他の電子機器等に適用でき、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】第1の実施の形態に係る認証装置を示すブロック図である。
【図2】認証装置の生体認証1対N識別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】入力される生体情報と識別される登録情報の一例を示す図である。
【図4】入力される生体情報と合成された生体情報の一例を示す図である。
【図5】絞り込みを利用した識別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】絞り込みを利用した識別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】絞り込みを利用した他の識別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】絞り込みを利用した他の識別処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係る認証システムの構成例を示すブロック図である。
【図10】識別情報管理テーブルを示す図である。
【図11】識別候補者情報テーブルを示す図である。
【図12】参照生体情報テーブルを示す図である。
【図13】第3の実施の形態に係る認証処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】第4の実施の形態に係る認証装置のハードウェア構成を示す図である。
【図15】認証装置が搭載されたPCを示す図である。
【図16】認証装置が搭載された携帯装置を示す図である。
【符号の説明】
【0156】
2 認証装置
4 生体情報入力部
6 通知部
8 認証制御部
10 識別部
12 入力情報制御部
14 記憶部
16 登録情報記憶部
18 識別候補者情報記憶部
20 参照生体情報記憶部
160 登録データベース
180 候補者リスト
182 候補者情報
200 認証システム
202 記憶装置
204 ネットワーク
206 通信部
301、302・・・30N 端末装置
312 通信部
400 識別情報管理テーブル
402 セッション管理番号
404 識別候補者情報インデックス
406 参照生体情報インデックス
500 識別候補者情報テーブル
600 参照生体情報テーブル
602 インデックス
604 参照生体情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が登録者であるか否かを生体情報に基づいて認証する認証装置であって、
生体情報を入力する生体情報入力手段と、
前記生体情報の単一又は複数の登録者とともに、その登録者毎に登録生体情報を記憶する登録情報記憶手段と、
前記登録情報記憶手段の前記登録者から選別された登録者を表す候補者情報を記憶する識別候補者情報記憶手段と、
前記生体情報入力手段に入力された利用者の生体情報と前記登録情報記憶手段の登録生体情報とを比較して類似度により単一の登録者を決定し又は複数の登録者を選別し、複数の登録者が選別された場合にはその登録者を前記識別候補者情報記憶手段に候補者情報として記憶させ、この候補者情報を次入力の生体情報の識別対象とする識別手段と、
を備えることを特徴とする認証装置。
【請求項2】
請求項1の認証装置において、
前記識別手段は、入力された前記生体情報と、前記識別候補者情報記憶手段に前記候補者情報として記憶されている登録生体情報とを比較し、両者の類似度によって前記登録生体情報から複数の登録者が抽出された場合には、それらを最新の候補者情報として前記識別候補者情報記憶手段の前記候補者情報を更新することを特徴とする認証装置。
【請求項3】
請求項1の認証装置において、
前記生体情報入力手段より入力された生体情報を参照生体情報として記憶する参照生体情報記憶手段を備え、
前記識別手段は、前記参照生体情報記憶手段に記憶されている前記参照生体情報と、前記生体情報入力手段により入力された生体情報とを比較し、両者の類似度により同一利用者の生体情報であると判定した場合に、前記識別候補者情報記憶手段に記憶された前記候補者情報を前記識別対象に用いることを特徴とする認証装置。
【請求項4】
利用者の生体情報を入力する端末装置と、
前記生体情報の単一又は複数の登録者とともに、その登録者毎に登録生体情報を記憶する記憶装置と、
前記端末装置の前記生体情報入力手段に入力された利用者の生体情報と前記記憶装置の登録生体情報とを比較して類似度により単一の登録者を決定し又は複数の登録者を選別し、複数の登録者が選別された場合に、選別された登録者を次入力の生体情報の識別対象とする認証装置と、
を備えることを特徴とする認証システム。
【請求項5】
利用者が登録者であるか否かを生体情報に基づいて認証する認証方法であって、
生体情報を入力する生体情報入力工程と、
前記生体情報の単一又は複数の登録者とともに、その登録者毎に登録生体情報を記憶する登録情報記憶工程と、
前記登録者から選別された登録者を表す候補者情報を記憶する識別候補者情報記憶工程と、
前記入力された利用者の生体情報と前記登録生体情報とを比較して類似度により単一の登録者を決定し又は複数の登録者を選別し、複数の登録者が選別された場合にはその登録者を候補者情報として記憶させ、この候補者情報を次入力の生体情報の識別対象とする識別工程と、
を含むことを特徴とする認証方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−49357(P2010−49357A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211082(P2008−211082)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】