説明

誘導加熱装置

【課題】ソレノイド式コイルを用いて周波数を上げて誘導加熱を行った場合においても、外形寸法を増大させることなく、電波障害を抑制すると共に、感電を防止しつつ、所望の加熱を実現することが可能な誘導加熱装置を提供する。
【解決手段】導体7の外部周辺部には導体7を被う非磁性金属板8を設け、ソレノイド式コイル2の外部周辺部にはソレノイド式コイル2を被う非磁性金属板15を設け、ソレノイド式コイル2と前処理設備13との境界部には被加熱物1を被う非磁性金属板11を設け、ソレノイド式コイル2と後処理設備14との境界部には被加熱物1を被う非磁性金属板12を設け、これらの非磁性金属板8、11、12、15は互いに電気的に接続し、ソレノイド式コイル2、整合装置5、周波数変換装置6および導体7のそれぞれの金属筐体と電気的に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘導加熱装置に関し、特に、誘導加熱装置から発生する磁束を非磁性金属板で遮蔽する方法に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
誘導加熱は、主に亜鉛メッキ鋼板の合金化や塗装鋼板の乾燥などに適用されている。誘導加熱とは、交流電源に接続されたコイルを被加熱物の周辺に配置し、交番磁束により誘起される渦電流のジュール熱で物体を加熱する方法である。金属板の誘導加熱においては、主としてソレノイド方式とトランスバース方式がある。
図8は、ソレノイド方式による誘導加熱方法を示す斜視図である。
図8において、ソレノイド方式では、ソレノイド状に巻回されたコイル102の周囲に被加熱物101が配置される。そして、コイル102に電流を流すことにより、被加熱物101の長さ方向に通された磁束103を発生させ、この磁束103で被加熱物101上に誘導電流を発生させることで、被加熱物101を加熱する。
【0003】
図9は、トランスバース方式による誘導加熱方法を示す斜視図である。
図9において、トランスバース方式では、対向配置されたコイル104、104の間に被加熱物101が配置される。そして、コイル104、104に電流を流すことにより、被加熱物101の厚さ方向に貫通する磁束103を発生させ、この磁束103で被加熱物101上に誘導電流を発生させることで、被加熱物101を加熱する。
【0004】
被加熱物101が磁性板の場合には、その幅方向の均熱性が高く、効率が良いソレノイド方式が採用されるが、被加熱物101が非磁性板の場合には、ソレノイド方式で加熱すると効率が極端に悪くなるので、トランスバース方式が採用される。
なお、被加熱物101が非磁性板の場合にソレノイド方式を採用する場合もあるが、この場合には、誘導加熱装置の周波数を高くして、効率の改善が図られる。
ただし、誘導加熱装置の周波数を高くすると、電波障害が発生するなどの問題がある。特に、薄板の被加熱物101を加熱する場合には、周波数を極めて高くすることが必要となり、電波障害は一層顕著となる。
【0005】
図10は、従来の誘導加熱装置の概略構成を示す斜視図である。
図10において、誘導加熱装置には、商用電源から出力された電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置6、周波数変換装置6とソレノイド式コイル2とをインピーダンス整合させる整合装置5、被加熱物1を誘導加熱する磁束を発生させるソレノイド式コイル2が設けられ、ソレノイド式コイル2はコイル架台9上に配置されている。
上述の周波数変換装置6、整合装置5およびソレノイド式コイル2は導体7を介して順次接続され、ソレノイド式コイル2の上流側には前処理設備13、ソレノイド式コイル2の下流側には後処理設備14が配置されている。
ここで、上述の上流側および下流側とは、何れも被加熱物1の搬送方向に着目した場合での表記であり、以下同様である。
【0006】
周波数変換装置6から出力された交流は整合装置5を介してソレノイド式コイル2に印加され、ソレノイド式コイル2に交番磁束が発生される。上流側の前処理設備13から搬出された被加熱物1はソレノイド式コイル2に搬送され、ソレノイド式コイル2で誘導加熱された後、下流側の処理設備14へと搬送される。
この図10の誘導加熱装置では、前処理設備13、後処理設備14やソレノイド式コイル2の中に被加熱物1があるときを除き、被加熱物1の外部周辺部には被加熱物1を被うものが何もない。
また、ソレノイド式コイル2は碍子(図示せず)などで支持され架台9上に固定され、その外部周辺部にはソレノイド式コイル2を被うものは何もない。
尤も、場合によっては、コイル2の外部周辺部は絶縁性の板(図示せず)で被われることがある。
【0007】
また一方、周波数変換装置6、整合装置5およびソレノイド式コイル2を順次接続する導体7の外部周辺部にも、導体7を被うものが何もない。
但し、場合によっては、ソレノイド式コイル2と同様に導体7の外部周辺部は絶縁性の板(図示せず)で被われることがある。
上述のような従来の誘導加熱装置において、電波障害を軽減する方策として、誘導加熱装置を磁性体でシールドすることにより、磁界の漏洩を防ぐ方法がある。
このような従来の方法では、磁性体としては電磁鋼鈑やフェライトなどが適用されるが、電磁鋼鈑では、数十kHz以上の周波数で鉄損が大きくなる。
【0008】
一方、フェライトは高価なため、ソレノイド式コイル2の周囲を被うと、大量のフェライトが必要となり、設備コストが高くなると共に、非磁性金属板に比べると重たく、メンテナンス性に欠ける。
また、電波障害を軽減する他の方法として、ソレノイド式コイル2に対向してその外部周辺部を非磁性金属板で遮蔽して磁束の漏洩を防止し、ソレノイド式コイル2から発生する雑音電界強度を低減し、且つ、ソレノイド式コイル2に導体7を介して電気的に接続されている整合装置5および周波数変換装置6についても、ソレノイド式コイル2と同様に導体7を含めてその外部周辺部を非磁性金属板で遮蔽して磁束の漏洩を防止し、整合装置5、周波数変換装置6および導体7から発生する雑音電界強度を低減する方法がある。
【0009】
しかし、誘導加熱装置を構成する周波数変換装置6、整合装置5およびソレノイド式コイル2を順次電気的に接続する導体7を被う金属板には、交番磁束により渦電流が誘起され電流が流れる。
このため、金属板に電位が発生し、誘起電流が大きい場合には、金属板の電位が高くなることから、金属板に触れると、感電を引き起こす恐れがある。具体的には、電位の高い金属板に触れると、人体に接触電流が流れ、そのジュール熱により熱傷を負うとことがある。この時、人体の神経に対する感電に関しては高周波、特に数10kHzを超える周波数においては、表皮効果および人体内の電気伝導が電解質を介することから、感知する閾値が高いことが知られている。内部の神経、特に重要な心臓制御の神経に作用した時に生じる心室細動の限界はジュール熱による熱傷の限界よりも高い。
【0010】
このような感電を防止するために、例えば特許文献1では、誘導加熱コイルと被加熱物との間に静電シールド体を設け、その静電シールド体の通電状態を検知する検知手段を設け、その検知手段の検知結果に基づき、通電状態が悪化すると、誘導加熱コイルの出力を低減又は停止するよう制御する誘導加熱装置が提案されている。
また、特許文献2では、周波数変換装置6、整合装置5およびソレノイド式コイル2を順次電気的に接続する導体7と、導体7を被う金属板との距離を大きくすることで、金属板に誘起される電流を小さくし、感電を防ぐ方法が提案されている。
【特許文献1】特開2005−5273号公報
【特許文献2】特開平8−20823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、感電の予防には効果があるが、誘導加熱コイルの出力を低減又は停止するため、所望の加熱ができなくなったり、中断したりするという問題があった。
また、特許文献2に開示された技術では、導体と金属板との距離を大きくするため、誘導加熱装置の外形寸法が大きくなることが避けられず、従って、設置面積の増大が不可避であり、当然ながらコストが嵩むことになる。
一方、金属板の代わりにプラスチック、木材等の絶縁物でコイル等を被い、感電を防ぐことも考えられるが、絶縁物には交番磁束の遮蔽効果がないため、人体に対して直接高周波磁界が侵入し、磁界被爆が生じると共に、電波障害の原因になる。
そこで、本発明の目的は、ソレノイド式コイルを用いて周波数を上げて誘導加熱を行った場合においても、外形寸法を増大させることなく、電波障害を抑制すると共に、感電を防止しつつ、所望の加熱を実現することが可能な誘導加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本願では次に列記するような技術を提案する。
本発明の請求項1の誘導加熱装置は:
被加熱物を誘導加熱する磁束を発生させるコイルと、前記コイルに印加される電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置と、前記周波数変換装置と前記コイルとを電気的に整合させる整合装置と、前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルを順次接続する導体と、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体の外部周辺部にそれぞれ配置され、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体をそれぞれ被うと共に、互いに電気的に接続された非磁性金属板とを備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項2の誘導加熱装置は:
被加熱物を誘導加熱する磁束を発生させるコイルと、前記コイルに印加される電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置と、前記周波数変換装置と前記コイルとを電気的に整合させる整合装置と、前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルを順次接続する導体と、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体の外部周辺部にそれぞれ配置され、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体をそれぞれ被う非磁性金属板と、前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルのそれぞれの金属筐体および前記非磁性金属板を互いに電気的に接続すると共に、接地された幅30mm以上の非磁性金属帯とを備え、前記金属筐体および前記非磁性金属板と電気的に接続することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項3の誘導加熱装置は:
被加熱物を誘導加熱する磁束を発生させるコイルと、前記コイルに印加される電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置と、前記周波数変換装置と前記コイルとを電気的に整合させる整合装置と、前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルを順次接続する導体と、前記被加熱物の搬入方向における前記コイルの上流側に設置された前処理設備と、前記被加熱物の搬出方向における前記コイルの下流側に設置された後処理設備と、少なくとも前記導体の外部周辺部に配置されてこの導体を被い相互に電気的に接続された第1の非磁性金属板と、前記コイルに搬入される被加熱物が被われるように前記コイルと前記前処理設備との間の境界部に配置され、前記第1の非磁性金属板と電気的に接続された第2の非磁性金属板と、前記コイルから搬出される被加熱物が被われるように前記コイルと前記後処理設備との間の境界部に配置され、前記第1の非磁性金属板と電気的に接続された第3の非磁性金属板とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項4の誘導加熱装置は:
被加熱物を誘導加熱する磁束を発生させるコイルと、前記コイルに印加される電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置と、前記周波数変換装置と前記コイルとを電気的に整合させる整合装置と、前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルを順次接続する導体と、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体の外部周辺部にそれぞれ配置され、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体をそれぞれ被う非磁性金属板と、前記被加熱物の搬入方向における前記コイルの上流側に設置された前処理設備と、前記被加熱物の搬出方向における前記コイルの下流側に設置された後処理設備と、少なくとも前記導体の外部周辺部に配置されてこの導体を被い相互に電気的に接続された第1の非磁性金属板と、前記コイルに搬入される被加熱物が被われるように前記コイルと前記前処理設備との間の境界部に配置され、前記第1の非磁性金属板および前記前処理設備の金属筐体と電気的に接続された第2の非磁性金属板と、前記コイルから搬出される被加熱物が被われるように前記コイルと前記後処理設備との間の境界部に配置され、前記第1の非磁性金属板および前記後処理設備の金属筐体と電気的に接続された第3の非磁性金属板と、前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルのそれぞれの金属筐体および前記非磁性金属板を互いに電気的に接続すると共に、接地された幅30mm以上の非磁性金属帯とを備え、前記金属筐体および前記非磁性金属板と電気的に接続することを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項5の誘導加熱装置は:
被加熱物を誘導加熱する磁束を発生させるコイルと、前記コイルに印加される電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置と、前記周波数変換装置と前記コイルとを電気的に整合させる整合装置と、前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルを順次接続する導体と、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体の外部周辺部にそれぞれ配置され、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体をそれぞれ被うと共に、互いに電気的に接続された第1の非磁性金属板と、前記被加熱物が前記コイルの中空部を通して搬送されることを許容するための開口部を有すると共に該開口部の幅寸法または高さ寸法のいずれか大きい方の寸法以上の長さにわたり当該搬送方向に略沿って前記被加熱物を被い且つ前記第1の非磁性金属板に電気的に接続された第2の非磁性金属板とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項6の誘導加熱装置は:
被加熱物を誘導加熱する磁束を発生させるコイルと、前記コイルに印加される電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置と、前記周波数変換装置と前記コイルとを電気的に整合させる整合装置と、前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルを順次接続する導体と、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体の外部周辺部にそれぞれ配置され、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体をそれぞれ被う第1の非磁性金属板と、前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルのそれぞれの金属筐体および前記非磁性金属板を互いに電気的に接続し、前記被加熱物が前記コイルの中空部を通して搬送されることを許容するための開口部を有すると共に該開口部の幅寸法または高さ寸法のいずれか大きい方の寸法以上の長さにわたり当該搬送方向に略沿って前記被加熱物を被い且つ前記第1の非磁性金属板に電気的に接続された第2の非磁性金属板と、前記金属筐体および前記非磁性金属板と電気的に接続されると共に接地された幅30mm以上の非磁性金属帯とを備えることを特徴とする。
本発明の請求項7に記載の誘導加熱装置は:
請求項1から6のいずれか一項の誘導加熱装置において、運転周波数が100kHzから1MHzの範囲、電力が100kW以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、互いに電気的に接続された非磁性金属板で周波数変換装置、整合装置、コイルおよび導体をそれぞれ被うことで、誘起電流が大きい場合においても、非磁性金属板の電位差を低減しつつ、磁界の漏洩を防ぐことができる。
このため、ソレノイドコイルによる鋼板の誘導加熱、特にその一例としての高い周波数での鋼鈑の誘導加熱において、該鋼板の幅方向の均熱性に優れ、且つ、効率の高い薄鋼板の誘導加熱を実現することができる。
さらに、電波障害を抑制し、感電のおそれが無い安全な誘導加熱装置を実現することができる。
【0019】
さらにまた、ソレノイドコイルによる非鉄金属薄板の誘導加熱においても、薄板の幅方向の均熱性に優れ、効率の高い非鉄金属薄板の誘導加熱実現することができる。
この非鉄金属薄板の誘導加熱の場合においても、さらに、電波障害を抑制し、感電のおそれが無い安全な誘導加熱装置を実現することができる。
特に、誘導加熱装置の周波数が100kHz〜1MHzの場合であっても、ラジオの放送電波などへの障害を抑制し、且つ、感電のおそれが無い安全な誘導加熱装置を実現することができる。
さらにまた、従来の技術では電波障害が大きくなるおそれがあった100kW以上の大電力の誘導加熱装置である場合においても、電波障害を抑制し、感電のおそれの無い安全な誘導加熱装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る誘導加熱装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての誘導加熱装置の概略構成を示す電気主回路単線結線図である。
また、図2は、本発明の一実施形態としての誘導加熱装置の概略構成を示す斜視図である。
図1および図2において、誘導加熱装置には、商用電源1から出力された電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置6、周波数変換装置6とソレノイド式コイル2とをインピーダンス整合させる整合装置5、被加熱物100を誘導加熱する磁束を発生させるソレノイド式コイル2が設けられている。
【0021】
周波数変換装置6には、交流を直流に変換する整流器3、直流を交流に変換するインバータ4、整合用変圧器Tが設けられると共に、整合装置5には、整合用コンデンサCが設けられている。
インバータ4として、MOSFET素子などを使用した半導体式周波数変換装置や真空管式周波数変換装置を適用可能である。
図2を参照して理解されるように、周波数変換装置6、整合装置5およびソレノイド式コイル2は導体7を介して順次接続されている。
【0022】
被加熱物100はソレノイド式コイル2の中空部を通して搬送されるが、この被加熱物100の搬入方向におけるソレノイド式コイル2の上流側に前処理設備13が設置され、さらに、被加熱物100の搬出方向におけるソレノイド式コイル2の下流側に後処理設備14が設置されている。なお、導体7は、銅ブスバーやアルミブスバー等で構成することができる。
また、導体7の外部周辺部には導体7を被う非磁性金属板8が設けられると共に、ソレノイド式コイル2の外部周辺部にはソレノイド式コイル2を被う非磁性金属板15が設けられている。
非磁性金属板8および非磁性金属板15は、例えば図示のような形状および配置を採ることができるが、これは一つの例である。
【0023】
更に、ソレノイド式コイル2と前処理設備13との境界部には被加熱物100を被う非磁性金属板11が設けられ、ソレノイド式コイル2と後処理設備14との境界部には被加熱物100を被う非磁性金属板12が設けられている。
上述の非磁性金属板8、11、12、15は互いに電気的に接続されると共に、ソレノイド式コイル2、整合装置5、周波数変換装置6および導体7のそれぞれの金属筐体と電気的に接続され、さらに前処理設備13および後処理設備14のそれぞれの金属筐体とも電気的に接続されている。
【0024】
なお、非磁性金属板8、11、12、15を構成する材料としては、電気抵抗が小さく、かつ、加工性の良好な金属であればよいが、銅をベースとするものが特に望ましい。
図1の商用電源1から出力された交流は整流器3で直流に変換された後、インバータ4に入力される。このインバータ4で所望の周波数の交流に変換され、整合用変圧器Tを経由し整合用コンデンサCで電気的な整合がとられ、ソレノイド式コイル2に印加され、この結果ソレノイド式コイル2に交番磁束が発生される。
【0025】
図2の被加熱物100は、前処理設備13から搬出されてソレノイド式コイル2に搬送され、このソレノイド式コイル2で誘導加熱された後、後処理設備14へと搬送される。
図3は、本発明の他の実施形態としての誘導加熱装置の概略構成を示す斜視図である。
図3において、既述の図2との対応部には同一の参照符号を附してある。即ち、周波数変換装置6、整合装置5、および、ソレノイド式コイル2が導体7を介して順次接続される構造およびその機能などは図2と同様である。
【0026】
導体7の外部周辺部には導体7を被う第1の非磁性金属板8が設けられ、また、ソレノイド式コイル2の外部周辺部にはソレノイド式コイル2を被う非磁性金属板15が設けられている。
図2を参照して既述のように、被加熱物100はソレノイド式コイル2の中空部を通して搬送されるが、この被加熱物100の搬送におけるソレノイド式コイル2への入口側と出口側には各々被加熱物100を被う第2の非磁性金属板25、および、26が設けられている。
【0027】
第2の非磁性金属板25、および、26の上記非加熱物1の搬送方向に略沿う長さLは、その開口部の幅寸法Wまたは高さ寸法Hいずれか大きい方の寸法以上の長さとなるように構成されている。
なお、図3では開口部の幅寸法Wは開口部の高さ寸法H以上の寸法があり、上述の非加熱物1の搬送方向に略沿う長さLがこの幅寸法W以上となるように構成されている場合を示している。
【0028】
上述の非磁性金属板8、15、25、26は互いに電気的に接続されると共に、ソレノイド式コイル2、整合装置5、周波数変換装置6および導体7のそれぞれの金属筐体と電気的に接続されている。
なお、非磁性金属板8、15、25、26を構成する材料としては、電気抵抗が小さく、かつ、加工性の良好な金属であればよいが、銅をベースとするものが特に望ましい。
上工程(図示せず)から搬送された被加熱物100はソレノイド式コイル2に搬送され、ソレノイド式コイル2で誘導加熱された後、下工程(図示せず)へと搬送される。
【0029】
ここで、互いに電気的に接続された非磁性金属板(図2:8、11、12、15)または(図3:8、15、25、26)で周波数変換装置6、整合装置5、ソレノイド式コイル2および導体7をそれぞれ被うことにより、誘起電流が大きい場合においても、非磁性金属板8、15の電位差を低減しつつ、磁界の漏洩を防ぐことができる。
このため、ソレノイド式コイル2による鋼板の誘導加熱、特に周波数の高い鋼鈑の誘導加熱において、鋼板の幅方向の均熱性を確保できる。
更に、効率の高い薄鋼板の誘導加熱を実現することが可能になると共に、電波障害を抑制し、感電の無い安全な誘導加熱装置を提供することができる。
【0030】
図4は、本発明の図2、図3の装置における非磁性金属板8および15の接続構造を示すA−A線(図2、図3)で切断した断面図である。
図4において、ソレノイド式コイル2の筐体17と導体7の筐体18は、ボルト16で接続されている。
上述のソレノイド式コイル2を被う非磁性金属板15は、ソレノイド式コイル2の金属筐体17にネジ19で固定されている。
同様に、ソレノイド式コイル2と整合装置5を接続する導体7を被う非磁性金属板8は、導体7の金属筐体18にねじ19で固定されている。
【0031】
なお、金属筐体17、18、非磁性金属板8、15などには塗料などを塗らないようにして、互いに電気的な導通性を持たせることができる。また、金属筐体17、18は、金属製の山形鋼、みぞ形鋼などを溶接して製作することができる。
ここで、金属筐体17、18を金属製の山形鋼、みぞ形鋼などを溶接して製作すると、その溶接歪み・加工歪みや製造誤差などにより、ソレノイド式コイル2の筐体17と導体7の筐体18との間には隙間(図示せず)ができる。
【0032】
このため、ソレノイド式コイル2の筐体17と導体7の筐体18との間の接触抵抗が大きくなり、ソレノイド式コイル2の筐体17と導体7の筐体18の接続による非磁性金属板8、15には、その内部の導体7に流れる高周波電流からの磁界によって誘導される渦電流が別個に生じ、非磁性金属板8、15間および金属筐体17、18間においては、別個の電位を持つため電位差が生じる。
【0033】
この電位差は、非磁性金属板8、15に亘り人体が接触したときに、人体を流れる電流を生じさせる。さらに、人体の一端が非磁性金属板8、15のいずれかに接触し、人体の他端が床面にあるときに、床面の電位は金属筐体17、18の中間にあるため、人体の接触している2点間には大きな電位差が発生し、人体に電流が流れる。
このため、ソレノイド式コイル2の筐体17と導体7の筐体18の間の隙間も非磁性金属板で被うことで、ソレノイド式コイル2の筐体17と導体7の筐体18の接続による非磁性金属板8、15間の電位差を解消するようにしてもよい。
【0034】
図5は、本発明の図2、図3の装置における非磁性金属板の接続構造の他の例を示すA−A線で切断した断面図である。
図5において、ソレノイド式コイル2を被う非磁性金属板15と導体7を被う非磁性金属板8の境界は、平板形状の非磁性金属板20で被われ、ネジ19で接続されている。なお、平板形状の非磁性金属板20の代わりに、U字形状の非磁性金属板21を用いてもよい。
ここで、非磁性金属板8、15、20、21には塗料などを塗らないようにして、互いに電気的な導通性を持たせることができる。
【0035】
これにより、ソレノイド式コイル2を被う非磁性金属板15と導体7を被う非磁性金属板8をより確実に電気的に接続することができ、非磁性金属板8、15には共通の誘導電流が流れるようにすることが可能となることから、その間の電位差を低減することができる。
床面の電位は浮遊容量により金属筐体17、18の中間にあるため、非磁性金属板8、15の床面に対する電位を低減させることができる。
なお、導体7、整合装置5、周波数変換装置6それぞれの筐体、非磁性金属板の接続構造は図1あるいは図2を参照して既述のものと同様である。
【0036】
図6は、本発明の図2、図3の装置における非磁性金属板12、15の接続構造の更に他の例を示すB−B線で切断した断面図である。
図6において、ソレノイド式コイル2を被う非磁性金属板15と後処理設備14との境界は、平板形状の非磁性金属板12で被われ、ネジ19で接続されている。この構成において、被加熱物は図中矢線Yで示す方向に搬送される。
なお、ソレノイド式コイル2の使用条件は、高温物の近くで用いられるため高温に晒され続けること、前処理設備13および後処理設備14の熱的な膨張や歪みを受ける大型装置として構成されること、連続流れ生産ラインの中に配置されること等々、過酷なものであり、メンテナンスが定期的に行われることが欠かせない。
【0037】
このような使用条件を考慮して、上述のような平板形状の非磁性金属板12に替えて、その側断面が図示のようなU字形状の非磁性金属板21、あるいは蛇腹状の非磁性金属板24を用いてある程度の柔構造とし構造物間の隙間を最小化することができる。
以上の構成において、非磁性金属板11、12、15、21、24には塗料などを塗らないようにして、互いに電気的な導通性を持たせることができる。
【0038】
これにより、ソレノイド式コイル2を被う非磁性金属板15と後処理設備14とを非磁性金属板12(または21または24)により確実に電気的に接続することができ、非磁性金属板15と後処理設備14には共通の誘導電流が流れるようにすることが可能となり、両者間の電位差を低減することができる。
床面の電位は浮遊容量により金属筐体17、18の中間にあるため、非磁性金属板15の床面に対する電位を低減させることができる。なお、前処理設備13とソレノイド式コイル2を被う非磁性金属板15とを接続する非磁性金属板11の接続構造は図6と同様である。
【0039】
図7は、本発明の一実施形態に係る金属筐体5、6および非磁性金属板8、15と非磁性金属帯22との接続構造の一例を示す平面図である。
図7において、周波数変換装置6、整合装置5およびソレノイド式コイル2を順次接続する導体7(図7では内部に隠れて見えない)は非磁性金属板8で被われ、ソレノイド式コイル2、整合装置5、周波数変換装置6のそれぞれの両側面に沿って非磁性金属帯22が施工されている。
【0040】
上述のソレノイド式コイル2、整合装置5および周波数変換装置6の筐体はそれぞれ4カ所で非磁性金属帯23を介して非磁性金属帯22に電気的に接続されている。
この非磁性金属帯22は接地されると共に、その表面は絶縁物(図示せず)で電気的に絶縁されている。
なお、非磁性金属帯22の幅は30mm以上とすることが好ましく、例えば、非磁性金属帯22は、幅50mm、厚み0.3mmの銅を用いて作製することができる。
【0041】
なお、本例では1台の誘導加熱装置の場合に限定されることなく、複数台の誘導加熱装置を配置した場合にも有効である。この場合には、複数台のソレノイド式コイル2間にある被加熱物1も同様に非磁性金属板で被われると共に、ソレノイド式コイル2を被う金属板15と電気的に接続される。
ここで、ソレノイド式コイル2、整合装置5、周波数変換装置6のそれぞれの金属筐体の非磁性金属板を相互に広幅の非磁性金属帯22により電気的に接続することにより、各金属筐体間の電位差を低減させ、これら各部位の電位の平均値を静電誘導により金属筐体が設置されている床面の電位に近づけることができる。
【0042】
電気回路的には、各金属筐体と床面間の浮遊容量により、金属筐体間の電位差を低下させることができる。高周波の電位であるため、この浮遊容量によるインピーダンスは大きな効果を有している。
さらに、ソレノイド式コイル2、整合装置5、周波数変換装置6のそれぞれの金属筐体およびそれらを被う非磁性金属板をそれぞれ幅30mm以上の非磁性金属帯22に電気的に接続すると共に、接地線24を介して接地することにより、ソレノイド式コイル2、整合装置5、周波数変換装置6のそれぞれの金属筐体およびそれらを被う非磁性金属板間の接続インピーダンスを低減させることが可能となる。
【0043】
さらにまた、大地に対する接地インピーダンスを減少させ、ソレノイド式コイル2、整合装置5、周波数変換装置6のそれぞれの金属筐体およびそれらを被う非磁性金属板、金属筐体が設置されている床面の電位を共通的に大地電位に近づけることができ、それらの2箇所以上に人体が接触した場合においても、人体への接触電流を低減させることができる。
なお、ソレノイド式コイル2、整合装置5、周波数変換装置6のそれぞれの金属筐体およびそれらを被う非磁性金属板を線状ではなく帯状の非磁性金属帯22に接続して接地することが必要なのは、次の理由による。
【0044】
すなわち、誘導加熱装置の周波数が高い場合には、表皮効果により、線の抵抗は表面積が大きいほど低減でき、線の断面積による低減効果は小さくなることと、高周波のために線のインダクタンスによるインピーダンスが無視できなくなり、その線の接地インピーダンスが高くなることから、ソレノイド式コイル2、整合装置5、周波数変換装置6のそれぞれの金属筐体およびそれらを被う非磁性金属板の電位が対地の電位から高くなると共に、金属筐体が設置されている床面の電位も対地の電位と離れることによる。
【0045】
一方、非磁性金属帯22を帯状にすることにより、表面積の増大による抵抗の低減させることが可能となると共に、そのインダクタンスによるインピーダンスの低減をもたらし接地インピーダンスを低減し、ソレノイド式コイル2、整合装置5、周波数変換装置6のそれぞれの金属筐体およびそれらを被う非磁性金属板および床面の電位を大地電位に共通的に近づけることができ、ソレノイド式コイル2、整合装置5、周波数変換装置6のそれぞれの金属筐体およびそれらを被う非磁性金属板筐体および床面の2箇所以上に人体が接触した場合においても、接触電流を小さくすることができる。
【0046】
また、非磁性金属帯22の帯の幅は平均して30mm以上が必要である。30mm未満であると、必要なインピーダンス低減効果を得ることが難しいからである。
また、この帯の厚みは、表皮効果による抵抗およびインダクタンスから見て表面積に依存するため、0.1mm程度あれば十分であるが、加工性等を考慮して決めることができる。
実際の設備では、レイアウト上の都合、あるいは、加工上の制約から全長にわたって30mm幅を確保するのは難しい場合もあるが、30mm幅の帯状体とした場合のインピーダンスと同等、もしくは、それ以下のインピーダンスであればよい。
なお、非磁性金属帯22、23を構成する材料としては、電気抵抗が小さく、かつ、加工性の良好な金属であればよいが、銅をベースとするものが特に望ましい。
【0047】
また、誘導加熱装置の運転周波数は100kHzから1MHzの範囲に設定することが好ましい。100kHz未満では、ソレノイド式コイル2、整合装置5、周波数変換装置6のそれぞれの金属筐体に発生する電位がそれほど大きくなく、電位そのものが問題ないからであり、また、1MHz超では、誘導加熱装置のコイル電圧が高くなりすぎ、実用的でないからである。
【0048】
また、誘導加熱装置の電力を100kW以上に設定する場合に本発明の装置はその真価を発揮する。100kW未満では、誘導加熱装置のコイル電流の値がそれほど大きくないため、整合装置5、周波数変換装置6のそれぞれの金属筐体に発生する電位がそれほど大きくならず、電位そのものが感電を引き起こすほど大きくならないからである。
表1、表2に本発明の実施例の接触電流と電界強度を従来例と比較して示す。
【0049】
表1には、本発明の実施例の接触電流を従来例と比較して示す。なお、第1実施例では図2と図5の誘導加熱装置、第2実施例では図2、図5および図7の誘導加熱装置を用い、従来例では図10の誘導加熱装置を用いた。また、箇所A、Bは、本誘導加熱装置において接触電流が大きかった代表的な箇所2カ所の値である。
また、誘導加熱装置の周波数は480kHz、電力は800kW、被加熱材は、板厚が0.3mm、板幅が1270mm、材質が磁性鉄板であり、帯状の非磁性金属帯は板厚が0.3mm、板幅が50mm、材質が銅であった。
いずれの実施例においても、安全基準値以下とすることができた。特に、帯状の非磁性金属帯を用いた第2実施例ではその効果は著しく、感電の無い安全な誘導加熱装置を実現することができた。
【0050】
【表1】

【0051】
表2には、本発明法の場合と従来法の場合の電界強度の例を比較して示す。本発明法とすることにより基準値以下とすることができる。
【0052】
【表2】

【0053】
また、鋼板に替え、アルミニウム、銅など非磁性の非鉄金属の薄板をソレノイドコイルで加熱する場合においても、(図2又は図3と図5)または(図2又は図3と図5および図7)の誘導加熱装置と同様の構造とすることにより、同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態としての誘導加熱装置の概略構成を示す電気主回路単線結線図である。
【図2】本発明の一実施形態としての誘導加熱装置の概略構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の他の実施形態としての誘導加熱装置の概略構成を示す斜視図である。
【図4】本発明の図2、図3の装置における非磁性金属板の接続構造の一例を示すA−A線で切断した断面図である。
【図5】本発明の図2、図3の装置における非磁性金属板の接続構造の他の例を示すA−A線で切断した断面図である。
【図6】本発明の図2、図3の装置における非磁性金属板の接続構造の更に他の例を示すB−B線で切断した断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る金属筐体および非磁性金属板と非磁性金属帯との接続構造の一例を示す平面図である。
【図8】ソレノイド方式による誘導加熱方法を示す斜視図である。
【図9】トランスバース方式による誘導加熱方法を示す斜視図である。
【図10】従来の誘導加熱装置の概略構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 商用電源
2 ソレノイド式コイル
3 整流器
4 インバータ
T 整合用変圧器
C 整合用コンデンサ
5 整合装置
6 周波数変換装置
7 導体
8、11、12、15、20、21、24、25、26 非磁性金属板
13 前処理設備
14 後処理設備
16 ボルト
17、18 筐体
19 ネジ
22、23 非磁性金属帯
100 被加熱物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を誘導加熱する磁束を発生させるコイルと、
前記コイルに印加される電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置と、
前記周波数変換装置と前記コイルとを電気的に整合させる整合装置と、
前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルを順次接続する導体と、
前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体の外部周辺部にそれぞれ配置され、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体をそれぞれ被うと共に、互いに電気的に接続された非磁性金属板とを備えることを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項2】
被加熱物を誘導加熱する磁束を発生させるコイルと、
前記コイルに印加される電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置と、
前記周波数変換装置と前記コイルとを電気的に整合させる整合装置と、
前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルを順次接続する導体と、
前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体の外部周辺部にそれぞれ配置され、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体をそれぞれ被う非磁性金属板と、
前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルのそれぞれの金属筐体および前記非磁性金属板を互いに電気的に接続すると共に、接地された幅30mm以上の非磁性金属帯とを備え、前記金属筐体および前記非磁性金属板と電気的に接続することを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項3】
被加熱物を誘導加熱する磁束を発生させるコイルと、
前記コイルに印加される電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置と、
前記周波数変換装置と前記コイルとを電気的に整合させる整合装置と、
前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルを順次接続する導体と、
前記被加熱物の搬入方向における前記コイルの上流側に設置された前処理設備と、
前記被加熱物の搬出方向における前記コイルの下流側に設置された後処理設備と、
少なくとも前記導体の外部周辺部に配置されてこの導体を被い相互に電気的に接続された第1の非磁性金属板と、
前記コイルに搬入される被加熱物が被われるように前記コイルと前記前処理設備との間の境界部に配置され、前記第1の非磁性金属板と電気的に接続された第2の非磁性金属板と、
前記コイルから搬出される被加熱物が被われるように前記コイルと前記後処理設備との間の境界部に配置され、前記第1の非磁性金属板と電気的に接続された第3の非磁性金属板とを備えることを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項4】
被加熱物を誘導加熱する磁束を発生させるコイルと、
前記コイルに印加される電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置と、
前記周波数変換装置と前記コイルとを電気的に整合させる整合装置と、
前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルを順次接続する導体と、
前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体の外部周辺部にそれぞれ配置され、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体をそれぞれ被う非磁性金属板と、
前記被加熱物の搬入方向における前記コイルの上流側に設置された前処理設備と、
前記被加熱物の搬出方向における前記コイルの下流側に設置された後処理設備と、
少なくとも前記導体の外部周辺部に配置されてこの導体を被い相互に電気的に接続された第1の非磁性金属板と、
前記コイルに搬入される被加熱物が被われるように前記コイルと前記前処理設備との間の境界部に配置され、前記第1の非磁性金属板および前記前処理設備の金属筐体と電気的に接続された第2の非磁性金属板と、
前記コイルから搬出される被加熱物が被われるように前記コイルと前記後処理設備との間の境界部に配置され、前記第1の非磁性金属板および前記後処理設備の金属筐体と電気的に接続された第3の非磁性金属板と、
前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルのそれぞれの金属筐体および前記非磁性金属板を互いに電気的に接続すると共に、接地された幅30mm以上の非磁性金属帯とを備え、前記金属筐体及び前記非磁性金属板と電気的に接続することを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項5】
被加熱物を誘導加熱する磁束を発生させるコイルと、
前記コイルに印加される電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置と、
前記周波数変換装置と前記コイルとを電気的に整合させる整合装置と、
前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルを順次接続する導体と、
前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体の外部周辺部にそれぞれ配置され、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体をそれぞれ被うと共に、互いに電気的に接続された第1の非磁性金属板と、
前記被加熱物が前記コイルの中空部を通して搬送されることを許容するための開口部を有すると共に該開口部の幅寸法または高さ寸法のいずれか大きい方の寸法以上の長さにわたり当該搬送方向に略沿って前記被加熱物を被い且つ前記第1の非磁性金属板に電気的に接続された第2の非磁性金属板とを備えることを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項6】
被加熱物を誘導加熱する磁束を発生させるコイルと、
前記コイルに印加される電圧の周波数を誘導加熱に適した周波数に変換する周波数変換装置と、
前記周波数変換装置と前記コイルとを電気的に整合させる整合装置と、
前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルを順次接続する導体と、
前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体の外部周辺部にそれぞれ配置され、前記周波数変換装置、前記整合装置、前記コイルおよび前記導体をそれぞれ被う第1の非磁性金属板と、
前記周波数変換装置、前記整合装置および前記コイルのそれぞれの金属筐体および前記第1の非磁性金属板を互いに電気的に接続し、
前記被加熱物が前記コイルの中空部を通して搬送されることを許容するための開口部を有すると共に該開口部の幅寸法または高さ寸法のいずれか大きい方の寸法以上の長さにわたり当該搬送方向に略沿って前記被加熱物を被い且つ前記第1の非磁性金属板に電気的に接続された第2の非磁性金属板と、
前記金属筐体および前記非磁性金属板と電気的に接続されると共に接地された幅30mm以上の非磁性金属帯とを備えることを特徴とする誘導加熱装置。
【請求項7】
運転周波数が100kHzから1MHzの範囲、電力が100kW以上であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の誘導加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−140901(P2009−140901A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99942(P2008−99942)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】