誘導加熱調理用容器
【課題】発熱体の表面に水蒸気の気泡が層状に集積することを抑制することにより、発熱体の放熱効率を高めて発熱体の熱損傷を防止することのできる誘導加熱調理用容器を提供する。
【解決手段】非導電性材料からなる容器本体の底部4内面に凸条20が形成されることにより、電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体2と容器本体の底部4内面との間には発熱体2の略中央部から周縁部まで達する気泡排出通路21が形成されている。
【解決手段】非導電性材料からなる容器本体の底部4内面に凸条20が形成されることにより、電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体2と容器本体の底部4内面との間には発熱体2の略中央部から周縁部まで達する気泡排出通路21が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱を利用した誘導加熱調理器によって内容物を加熱することができる誘導加熱調理用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の誘導加熱調理用容器は、電磁誘導によって発熱する発熱体を備え、該容器を誘導加熱調理器の容器載置面に載置して該調理器の誘導加熱コイルに電流を流すと、高周波磁界が発生して発熱体に渦電流が誘起され、渦電流により発熱体が抵抗損失で発熱し、これにより内容物が温められる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、容器本体をプラスチックや紙等のように非導電性材料から構成し、その底部の外面あるいは内面に発熱体を固着したり、また底部に発熱体を内蔵した簡易的な容器も提案されている。しかしながら、発熱体が容器本体と一体に構成されたこれらの容器の場合には、発熱体の加熱により容器本体が損傷するおそれがあるため、本発明者らは従来より容器本体とは別体構成の発熱体を備えた誘導加熱調理器用容器について継続的に研究開発を行っている。容器本体とは別体に形成された発熱体は略平板状であり、また、容器本体の底部内面も略平坦であるため、発熱体を容器本体に入れると、発熱体は容器本体の底部内面に隙間をあけずに載置されることとなる。
【0004】
その状態で例えば水を容器本体に入れ、誘導加熱調理器によって発熱体を加熱させ、それにより内容物が加熱調理されると、その表面において水蒸気が気泡となって発生する。しかし、発熱体の下面と容器本体の底部内面との間には隙間がほとんどないため、その下面において発生した気泡は発熱体から離反することなくそのまま付着、滞留しやすい。その結果、発熱体の下面には水蒸気が層状に蓄積しそれによって下面が覆われることもある。誘導加熱調理においては、発熱体自身が発熱し、その熱が内容物に放熱されることで加熱調理を行うものである。しかしながら、発熱体の下面が水蒸気の層で覆われるとそれが断熱層として働くため、発熱体の放熱が妨げられ、加熱効率が低下するのみならず、発熱体が自身の蓄熱によって熱損傷することにもなる。
【0005】
また、発熱体と固体の内容物とを上下に分離するために、容器本体の底部内面より上方に網状体を区画壁として設け、該網状体と容器本体の底部内面との間に発熱体を位置させるようにした容器も開発している。固体の内容物としては乾燥麺等の乾燥食品があり、加熱調理に際して水を容器本体に注ぎ入れ、発熱体によりその水を加熱する。この容器においては、発熱体の上面で発生した気泡は網状体の目(開口)を通過して上方に排出されていくが、気泡が多くなったりすると網状体の下側に気泡が蓄積して水蒸気の層が形成されることがある。このように網状体の下側に水蒸気の層が形成されると、該層によって発熱体の上面が次第に覆われることとなり、これによって発熱体の上面からの放熱が妨げられて上述したような問題の原因となる。また、形成された水蒸気の層によって発熱体は容器本体の底部内面に押し付けられることにもなるので、発熱体の下面で発生した気泡も上方に逃げにくくなるうえに容器本体の底部内面の熱損傷も懸念される。
【0006】
その一方、本発明者らは開発過程において発熱体の取り扱い性の向上や破損防止等を目的としてアルミニウムシートからなる発熱体本体を合成樹脂で被覆した樹脂被覆型のアルミニウム発熱体を開発した。該アルミニウムシートは例えば厚さ5乃至30μmの薄いものが発熱効率に優れており、従って軽量で製造も容易であってコストも低減できるなど経済面でも優れている。その一方、アルミニウムシートは薄いこともあって熱損傷しやすいものであるうえに、被覆する樹脂が内容物との間に介在するので樹脂コートのないものに比べると放熱面でも若干劣ることになる。従って、このような樹脂コートされたアルミニウム発熱体を使用した場合には、上述したような層状の水蒸気が発熱体表面に付着することによる樹脂コートとアルミニウムシートに熱損傷のおそれがより一層高まるのである。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされ、発熱体の表面に水蒸気の気泡が層状に集積することを抑制することにより、発熱体の放熱効率を高めて発熱体の熱損傷を防止することのできる誘導加熱調理用容器を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係る誘導加熱調理用容器は、非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、発熱体と容器本体の底部内面との間には発熱体の略中央部から周縁部まで達する気泡排出通路が形成されていることを特徴とする。
【0009】
そして、容器本体の底部内面には略中央部から周縁部に向けて延びる凸条が形成され、容器本体の底部内面のうち凸条が形成されていない領域と発熱体の下面との間の隙間により前記気泡排出通路が構成されるものや、発熱体の下面には略中央部から周縁部に向けて延びる凸条が形成され、発熱体の下面のうち凸条が形成されていない領域と容器本体の底部内面との間の隙間により前記気泡排出通路が構成されるものや、また、容器本体の底部内面と発熱体の下面のうちの少なくとも一方には、略中央部から周縁部に向けて延びる凹条が形成され、該凹条により前記気泡排出通路が構成されるものがある。
【0010】
このように発熱体と容器本体の底部内面との間に発熱体の略中央部から周縁部まで達する気泡排出通路が形成されているので、容器本体内に水等の液体を入れて加熱した場合、発熱体の下面において発生した水蒸気の気泡は、この気泡排出通路を通って発熱体の周縁部に到達し、発熱体の周縁部と容器本体の胴部内面との間の隙間から上方に排出される。
【0011】
また、本発明に係る誘導加熱調理用容器は、非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、発熱体の略中央部には貫通孔が形成され、且つ、発熱体は、その周縁部から貫通孔に向けて高くなるように形成されていることを特徴とする。
【0012】
該容器にあっては、発熱体が周縁部から略中央部の貫通孔に向けて高くなるように形成されているため、発熱体の発熱によりその下面において発生した水蒸気の気泡は、略中央部の貫通孔に向かってスムーズに移動して貫通孔から上方に排出される。
【0013】
また、本発明に係る誘導加熱調理用容器は、非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、発熱体は、容器本体の底部内面に載置される略平坦な載置部をその略中央部に有し且つ、該載置部から周縁部に向けて高くなるように形成されていることを特徴とする。
【0014】
該容器にあっては、発熱体がその略平坦な載置部から周縁部に向けて高くなるように形成されているため、発熱体の発熱によりその下面において発生した水蒸気の気泡は、周縁部に向かってスムーズに移動して発熱体の周縁部と容器本体の胴部内面との間の隙間から上方に排出される。
【0015】
また、本発明に係る誘導加熱調理用容器は、非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、発熱体は、その略中央部を支点として揺動可能に構成されていることを特徴とする。
【0016】
該容器にあっては、発生した水蒸気の気泡の上昇運動により発熱体は揺動する。そして、発熱体が揺動することにより、発熱体の表面に付着している気泡がスムーズに発熱体から離れることとなる。
【0017】
また、本発明に係る誘導加熱調理用容器は、非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、容器本体の収容部を上下に区画する区画壁が設けられ、該区画壁と容器本体の底部内面との間に発熱体が位置し、区画壁は、所定箇所を頂部とする下面凹状に形成され、該頂部には上下の貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0018】
該容器にあっては、区画壁により容器本体の収容部が上下に区画され、区画壁の上方に例えば固体の内容物が入れられる。そして、この区画壁が所定箇所を頂部とする下面凹状に形成されているので、区画壁と発熱体との間には区画壁の下面形状に対応した隙間が形成されることとなる。従って、区画壁の下面に平板状の発熱体が密着することが防止され、発熱体の上面において発生した水蒸気の気泡が区画壁の下面で仮に層状に集積したとしても、その水蒸気の層は発熱体の上面から離間した状態にある。しかも、気泡は区画壁の下面に沿ってその頂部へと移動し、頂部に形成されている貫通孔から上方に排出されるので、仮に水蒸気の層が形成されてもそれによって発熱体の上面が覆われることが防止される。
【0019】
このように区画壁を設ける場合には、その区画壁を網状体から構成することが好ましく、多数の開口(多数の貫通孔)から気泡を上方に排出することが容易となる。そして、そのように区画壁を網状体から構成する場合には、頂部に形成する貫通孔を網状体の開口よりも大きくすることが好ましい。即ち、気泡が激しく発生する場合においても頂部の大きめの貫通孔から気泡がスムーズに排出されることとなる。
【0020】
また、本発明に係る誘導加熱調理用容器は、非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、容器本体の収容部を上下に区画する区画壁が設けられ、該区画壁は上下の貫通孔を有し、区画壁の下面は略平坦であり、該区画壁と容器本体の底部内面との間に発熱体が位置し、発熱体を区画壁から所定距離下方に離間させる発熱体離間手段を備えていることを特徴とする。
【0021】
該容器にあっては、区画壁の下面が略平坦であるものの発熱体を区画壁から所定距離下方に離間させる発熱体離間手段を備えているので、区画壁の下面に仮に水蒸気の層が形成されてもそれによって発熱体の上面が覆われることが防止される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の誘導加熱調理用容器の一実施形態について図1乃至図4を参酌しつつ、上面開口の有底円筒状の容器本体1と、電磁誘導によって発熱する薄肉略平板状の発熱体2とを備えた誘導加熱調理用容器について説明する。
【0023】
該容器本体1は、上方に向けて略テーパ状に拡径する胴部3と、該胴部3と一体的に形成された平板状の底部4と、胴部3の上端部に全周に亘って形成されたフランジ部5とを備えている。
【0024】
胴部3の外周面には、上下方向のリブ6が放射状に形成され、フランジ部5は、断面視略コの字状に形成されている。また、胴部3は、上方胴部3aと下方胴部3bとが水平環状の接続部7を介して階段状に連続するよう形成され、上方胴部3aの下端には、補助片8が下方胴部3bとの間で所定の間隙を有するように、下方に向けて延設されている。また、下方胴部3bの内周面には、底部4から所定高さ上方位置に、環状の係止用突起9が形成されている。該係止用突起9は、発熱体2の上昇を規制する規制手段として機能する。従って、係止用突起9は環状でなくてもよい。
【0025】
また、底部内面には、略中央部から周縁部に向けて延びる凸条20が形成されている。該凸条20は、その上に発熱体2が載置されるように複数本、放射状に配置されており、本実施形態においては、径方向に直線状に延びる凸条20が略90度おきに合計四本突設されている。尚、これら複数の凸条20はその高さが略一定である。また、各凸条20は、その内側端部同士が互いに離間するように形成されると共に、その外側端部も胴部内面には達せずに両者は離間している。そして、この凸条20の上に発熱体2が載置されると、隣り合う二本の凸条20間には、発熱体2の略中央部から周縁部まで達する扇状の気泡排出通路21が形成される。
【0026】
該構成の容器本体1は、熱可塑性樹脂から射出成形により形成されたものであり、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン等がある。特に、プロピレンエチレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂が、軽く適度な機械的強度を有し、比較的安価で成形性も良く、適度な耐熱温度及び熱変形温度を有し総合的に優れているため、好ましい。但し、容器本体1の材質はこれらに限定されず、合成樹脂以外にも、例えば紙等の非導電性材料を使用でき、特に、合成樹脂や紙等から形成すれば、軽いうえに焼却廃棄も比較的容易であるため、使い捨ての容器として好ましい。また、胴部3の外側に筒状のシュリンクラベル等のラベルを装着してもよい。
【0027】
かかる容器本体1内には、前記発熱体2が容器本体1の底部内面上に載置されるようにして収容されている。該発熱体2は胴部内面よりも小径に形成され、従って容器本体1内に入れられると、発熱体2の周縁部と胴部内面との間には環状の隙間が形成される。
【0028】
該発熱体2は、図4のように導電性材料からなるシート状の発熱体本体60が合成樹脂からなる被覆部61により被覆された樹脂被覆型のものである。
導電性材料としては、例えば、鉄、ステンレス、クロム、アルミニウム、銅等の金属材料や、カーボン等の非金属材料であって、アルミニウム、ステンレス、銅、鉄が好ましく、特に、アルミニウムが最も好ましい。また、発熱体本体60の厚さは、例えばアルミニウムシートの場合には7乃至100μm好ましくは15乃至30μmである。
【0029】
また、被覆部61は、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の耐熱性樹脂シートから構成することが好ましく、少なくとも発熱体本体60の上面と下面の全体を覆っており、その厚さは、片側0.5mm以下、特に片側0.01乃至0.2mm程度が好ましい。このように、発熱体本体60を被覆部61で覆うことによって、発熱体本体60が保護されると共に、温度上昇等に伴う発熱体本体60の反りも抑制される。また、薄い発熱体本体60を被覆部61で覆うことによって発熱体本体60のみの構成に比して全体の厚みが増すために、良好な取り扱い性が得られる。
【0030】
かかる発熱体2は、図3に示すように、略中央部に丸形の貫通孔10が形成されて全体として平面視においてループ状(ドーナツ状、貫通孔10空き円盤状)に形成されている。詳細には、調理器の誘導コイルの内周と外周との間の領域上にループ状の発熱体2が重なり合うことができる形状、大きさに設定されている。例えば、発熱体本体60は、内径がφ40(mm)外径がφ130(mm)に形成される。
尚、このように発熱体2の略中央部には上下貫通した貫通孔10が形成されており、前記気泡排出通路21は、この貫通孔10と発熱体2の周縁部とを連通するように径方向に形成される。
【0031】
以上のように構成された容器に例えば水を入れて調理器に載せて加熱すると、図3のように発熱体2の発熱によってその表面には水蒸気の気泡aが発生する。発熱体2の上面2aにおいて発生した気泡aは順次発熱体2から離反して上昇していく。その一方、発熱体2の下面2bにおいて発生した気泡aは、容器本体1の底部内面と発熱体2の下面2bとの間に形成された気泡排出通路21を介して、発熱体2の略中央部の貫通孔10から、また、発熱体2の周縁部と胴部内面との間の環状の隙間から、それぞれ上方に排出される。従って、発熱体2の下面2bにおいて発生した気泡aが発熱体2の下面2bに付着したまま滞留してそれが層状に集積するということが未然に防止される。よって、気泡aが層状に集積して形成される水蒸気の層が断熱層として発熱体2の下面2bに付着することによって発熱体2の放熱が妨げられるということがなく、発熱体2の熱がスムーズに水に放熱され、発熱体2の熱による損傷が防止される。また、発熱体2の放熱効率がよいため、水の加熱効率も高まる。特に、本実施形態では、発熱体2の略中央部に上下貫通した貫通孔10を形成したことにより、その貫通孔10からも上方に気泡aが排出される。但し、発熱体本体60に形成された貫通孔を被覆部61で覆って塞ぐようにして発熱体2が貫通孔10を有しないような構成としてもよい。
また、凸条20を外側端部から内側端部に向けて徐々に低くなるように若しくは徐々に高くなるようにしてもよく、発熱体2の下面2bとの接触面積が減少するため気泡aの排出効率がより一層高まる。
更に、凸条20を径方向に連続するもののみならず不連続のものであってもよい。このような凸条20の形状の他、その配置態様や個数等についても適宜設計変更可能である。
【0032】
また、本実施形態では底部内面に凸条20を形成したが、凹条を形成してもよい。その場合、底部内面に形成した凹条自体が気泡排出通路となる。
【0033】
また、発熱体2の下面2bに凸条や凹条を形成して底部内面との間に気泡排出通路を形成してもよい。例えば、図5に示すように、略中央部に貫通孔10を有する平板状の発熱体2の場合において、その貫通孔10から周縁部まで達するように径方向に直線状に延びるリブ22をプレス等により形成する。即ち、発熱体2の上面2aには凸条が形成されると共にそれに対応して下面2bには凹条が形成される。従って、この発熱体2を使用すると、下面2bの凹条が気泡排出通路となり、上下逆にして使用すると、下面2bの凸条間に図1の場合と同様に扇状の気泡排出通路が形成される。尚、容器本体1の底部内面と発熱体2の下面2bの双方に凹条を形成してもよい。
【0034】
また更に、略中央部に貫通孔10が形成された板状の発熱体2をその周縁部から貫通孔10に向けて徐々に高くなるように形成してもよい。例えば、図6のように、周縁部から略中央部の貫通孔10に向けて徐々にテーパ状に高くなるように、発熱体2を逆すり鉢状とする。これにより、発熱体2の下面2bにおいて発生した気泡aは、テーパ状の発熱体2の下面2bに沿って略中央部の貫通孔10へと集まり、その貫通孔10から上方に排出される。従って、発熱体2の下面2bに気泡aが溜まることが防止される。
【0035】
また、発熱体2の形状を逆に図7のように周縁部に向けて高くなる形状としてもよい。即ち、発熱体2は、略平坦な載置部23をその略中央部に有し、該載置部23によって容器本体1の底部内面に載置される。そして、該載置部23から周縁部に向けて徐々に高さがテーパ状に高くなっている。換言すれば、発熱体2をすり鉢状とし、これにより発熱体2の下面2bの気泡aは傾斜した発熱体2の下面2bに沿って周縁部へと移動して、発熱体2の周縁部と容器本体1の胴部内面との間の隙間から上方に排出される。尚、図7に示す発熱体2はその略中央部に貫通孔10が形成されていないものであるが、貫通孔10を設けてもよい。
【0036】
また、図6及び図7に示した発熱体2においては、略中央部若しくは周縁部に向けてテーパ状に高くなる形状であったが、多段的な階段状に高さが変化する構成であってもよく、何れにしても略中央部若しくは周縁部に向けて徐々に高さが高くなるように構成すればよい。
【0037】
ところで、上述したように、容器本体1内には、容器本体1内に入れられた乾燥麺等の乾燥食品等の固体の内容物を発熱体2から上方に分離するために、容器本体1の収容部を上下に区画する区画壁30が設けられる場合があるが、図8に示す容器の場合には、その区画壁30が平板状ではなく所定箇所を頂部31とする下面凹状に形成されている。具体的には、略中央部を頂部31とするドーム形状(凹状曲面)に形成されている。該区画壁30には、多数の上下貫通孔32が形成されており、例えば網状体から構成される。そして、図8に示す区画壁30は、多数の上下貫通孔32(網状体の場合にはその開口)よりも大きい貫通孔33が頂部31に形成されている。
【0038】
かかる容器にあっては、平板状の発熱体2は区画壁30の下方に位置するが、その発熱体2の上面2aにおいて発生した気泡aはそこに滞留することなく発熱体2から上方に離反していく。即ち、区画壁30を下面凹状に形成することにより発熱体2が区画壁30に密着することがなくなって発熱体2と区画壁30との間には区画壁30の下面形状に対応した隙間が形成され、従って、発熱体2の上面2aに気泡aが付着したまま集積することが防止される。また、発熱体2の上面2aから上方に離反した気泡aは区画壁30の下面に達すると、通常は多数の上下貫通孔32を通って上方に排出されるが、気泡aの発生が多くなると、区画壁30の下面において気泡aが層状に集積することがある。しかしながら、そのように気泡aが層状に集積しても、区画壁30が下面凹状に形成されているのでその層状の気泡aは徐々に区画壁30の略中央部の頂部31に向けて移動し、頂部31に形成された大きめの上下貫通孔33から確実に排出される。従って、発熱体2の上面2aにおける放熱が妨げられることはない。
【0039】
尚、区画壁30は、頂部31に貫通孔33を有する場合にはその他の多数の上下貫通孔32はなくてもよい。逆に、多数の上下貫通孔32を有する網状体等から区画壁30を構成する場合には頂部31の大きめの貫通孔33を省略してもよい。
【0040】
また、図9のように、区画壁30の周縁部に切欠34を形成して胴部内面との間に上下貫通孔を形成し、頂部31の貫通孔33のみならず胴部内面との間の貫通孔からも気泡aが上方に排出されるようにしてもよい。尚、図9の場合には、区画壁30は頂部31のみに貫通孔33を有するが、上述したように、多数の貫通孔32を有する網状体等から区画壁30を構成しても無論よい。
【0041】
また更に、発熱体2を平板状とし且つ区画壁30の下面も略平坦とする場合には、発熱体2を区画壁30から所定距離下方に離間させる発熱体離間手段を設けることが好ましい。例えば、図10に示すように、発熱体離間手段として、区画壁30の下面には下方に突出した突起40を形成する。該突起40の高さ分だけ、区画壁30から発熱体2が下方に離間することとなり、両者の密着が防止される。従って、発熱体2の上面2aにおいて発生した気泡aが層状に集積した場合にも、その層状に集積した気泡aは発熱体2の上面2aに付着し滞留するのではなく、そこから上方に離間した区画壁30の下面に位置し、区画壁30に形成されている多数の貫通孔32を介して気泡aが上方に排出される。よって、発熱体2の放熱効率が高まり、発熱体2の熱による損傷が防止される。
【0042】
尚、発熱体離間手段として、発熱体2の上面2aに突起を形成してもよい。また、図11のように胴部内面に上述したような係止用突起9を発熱体離間手段として形成し、該係止用突起40によって発熱体2の上昇を規制することによって発熱体2を区画壁30から所定距離下方に離間させてもよい。
【0043】
また、発熱体2がその略中央部を支点として揺動する構成としてもよい。例えば、図12のように、平板状の発熱体2の下面略中央部に枢支突起50を形成すると共に、区画壁30の下面略中央部にも枢支突起51を形成し、両枢支突起40によって発熱体2が区画壁30と底部内面によって揺動可能に枢支されるようにする。かかる容器に水を入れて加熱すると、発熱体2の表面、特に、その下面2bにおいて発生した気泡aの上昇運動により発熱体2は水平状態を中心として上下に揺動する。このような発熱体2の揺動動作により、発熱体2の表面に付着した気泡aが素早く離反することとなる。
【0044】
尚、発熱体2の上下両面にそれぞれ枢支突起を形成したり、逆に、底部内面と区画壁30にそれぞれ枢支突起を形成してもよい。また、発熱体2自体を例えばすり鉢状に形成し、その下面略中央部を尖鋭なものとすることで発熱体2を揺動可能に構成したりすることもでき、発熱体2を揺動可能にする構成は種々の変更が可能である。
また、区画壁30を設けずに発熱体2を揺動可能に構成してもよい。その場合には、発熱体2若しくは底部内面の枢支突起によって発熱体2が揺動可能に枢支される。但し、区画壁30を設けた場合に発熱体2を揺動可能に構成すると、発熱体2の揺動動作により区画壁30の下面に気泡aが集積しにくくなり、また集積したとしても揺動動作によって区画壁30の貫通孔32から気泡aが排出されやすくなるので好ましい。
【0045】
尚、上記実施形態では、容器本体1を円筒状としているのでそれに対応して発熱体2も円盤状としたが、発熱体2を容器本体1の形状に合わせることなく多角形状とすることもでき、また、容器本体1についても円筒状のみならず矩形のものであってもよい。
【0046】
また、発熱体は、アルミニウムシートからなる発熱体本体と、該発熱体本体を被覆する合成樹脂からなる被覆部とを備えていることが好ましい。発熱体本体をアルミニウムシートから構成することにより経済面に優れ、しかも、薄いアルミニウムシートを被覆部で覆うことによって発熱体本体が保護されて耐久性が向上するうえに、厚みの増加によってその取り扱い性も向上する。その一方、被覆部の存在によってアルミニウムシートの放熱面の懸念が生じるが、上述したような種々の解決手段を用いることにより、発熱体の放熱効率が高まるため、その熱による損傷を効果的に防止することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る容器に水等の液体を入れて加熱すると、発熱体の表面において発生した水蒸気の気泡が効率よく発熱体から離反するので、発熱体の表面に気泡が層状に集積することがなく、それが原因となって生じる発熱体の熱による損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の誘導加熱調理用容器を示す断面図。
【図2】同容器の横断面図。
【図3】同容器の使用状態を示す要部断面図。
【図4】同容器に使用されている発熱体の一部断面図。
【図5】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の発熱体を示す斜視図。
【図6】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の使用状態を示す要部断面図。
【図7】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の使用状態を示す要部断面図。
【図8】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の使用状態を示す要部断面図。
【図9】他の実施形態における誘導加熱調理用容器を示す平面図。
【図10】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の使用状態を示す要部断面図。
【図11】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の使用状態を示す要部断面図。
【図12】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の使用状態を示す要部断面図。
【符号の説明】
1…容器本体、2…発熱体、3…胴部、4…底部、9…係止用突起(規制手段、発熱体離間手段)、10、31,32…貫通孔、20…凸条、21…気泡排出通路、22…リブ(凸条)、23…載置部、30…区画壁、34…切欠、a…気泡、40…突起(発熱体離間手段)、50,51…枢支突起、60…発熱体本体、61…被覆部
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱を利用した誘導加熱調理器によって内容物を加熱することができる誘導加熱調理用容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の誘導加熱調理用容器は、電磁誘導によって発熱する発熱体を備え、該容器を誘導加熱調理器の容器載置面に載置して該調理器の誘導加熱コイルに電流を流すと、高周波磁界が発生して発熱体に渦電流が誘起され、渦電流により発熱体が抵抗損失で発熱し、これにより内容物が温められる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、容器本体をプラスチックや紙等のように非導電性材料から構成し、その底部の外面あるいは内面に発熱体を固着したり、また底部に発熱体を内蔵した簡易的な容器も提案されている。しかしながら、発熱体が容器本体と一体に構成されたこれらの容器の場合には、発熱体の加熱により容器本体が損傷するおそれがあるため、本発明者らは従来より容器本体とは別体構成の発熱体を備えた誘導加熱調理器用容器について継続的に研究開発を行っている。容器本体とは別体に形成された発熱体は略平板状であり、また、容器本体の底部内面も略平坦であるため、発熱体を容器本体に入れると、発熱体は容器本体の底部内面に隙間をあけずに載置されることとなる。
【0004】
その状態で例えば水を容器本体に入れ、誘導加熱調理器によって発熱体を加熱させ、それにより内容物が加熱調理されると、その表面において水蒸気が気泡となって発生する。しかし、発熱体の下面と容器本体の底部内面との間には隙間がほとんどないため、その下面において発生した気泡は発熱体から離反することなくそのまま付着、滞留しやすい。その結果、発熱体の下面には水蒸気が層状に蓄積しそれによって下面が覆われることもある。誘導加熱調理においては、発熱体自身が発熱し、その熱が内容物に放熱されることで加熱調理を行うものである。しかしながら、発熱体の下面が水蒸気の層で覆われるとそれが断熱層として働くため、発熱体の放熱が妨げられ、加熱効率が低下するのみならず、発熱体が自身の蓄熱によって熱損傷することにもなる。
【0005】
また、発熱体と固体の内容物とを上下に分離するために、容器本体の底部内面より上方に網状体を区画壁として設け、該網状体と容器本体の底部内面との間に発熱体を位置させるようにした容器も開発している。固体の内容物としては乾燥麺等の乾燥食品があり、加熱調理に際して水を容器本体に注ぎ入れ、発熱体によりその水を加熱する。この容器においては、発熱体の上面で発生した気泡は網状体の目(開口)を通過して上方に排出されていくが、気泡が多くなったりすると網状体の下側に気泡が蓄積して水蒸気の層が形成されることがある。このように網状体の下側に水蒸気の層が形成されると、該層によって発熱体の上面が次第に覆われることとなり、これによって発熱体の上面からの放熱が妨げられて上述したような問題の原因となる。また、形成された水蒸気の層によって発熱体は容器本体の底部内面に押し付けられることにもなるので、発熱体の下面で発生した気泡も上方に逃げにくくなるうえに容器本体の底部内面の熱損傷も懸念される。
【0006】
その一方、本発明者らは開発過程において発熱体の取り扱い性の向上や破損防止等を目的としてアルミニウムシートからなる発熱体本体を合成樹脂で被覆した樹脂被覆型のアルミニウム発熱体を開発した。該アルミニウムシートは例えば厚さ5乃至30μmの薄いものが発熱効率に優れており、従って軽量で製造も容易であってコストも低減できるなど経済面でも優れている。その一方、アルミニウムシートは薄いこともあって熱損傷しやすいものであるうえに、被覆する樹脂が内容物との間に介在するので樹脂コートのないものに比べると放熱面でも若干劣ることになる。従って、このような樹脂コートされたアルミニウム発熱体を使用した場合には、上述したような層状の水蒸気が発熱体表面に付着することによる樹脂コートとアルミニウムシートに熱損傷のおそれがより一層高まるのである。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされ、発熱体の表面に水蒸気の気泡が層状に集積することを抑制することにより、発熱体の放熱効率を高めて発熱体の熱損傷を防止することのできる誘導加熱調理用容器を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、本発明に係る誘導加熱調理用容器は、非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、発熱体と容器本体の底部内面との間には発熱体の略中央部から周縁部まで達する気泡排出通路が形成されていることを特徴とする。
【0009】
そして、容器本体の底部内面には略中央部から周縁部に向けて延びる凸条が形成され、容器本体の底部内面のうち凸条が形成されていない領域と発熱体の下面との間の隙間により前記気泡排出通路が構成されるものや、発熱体の下面には略中央部から周縁部に向けて延びる凸条が形成され、発熱体の下面のうち凸条が形成されていない領域と容器本体の底部内面との間の隙間により前記気泡排出通路が構成されるものや、また、容器本体の底部内面と発熱体の下面のうちの少なくとも一方には、略中央部から周縁部に向けて延びる凹条が形成され、該凹条により前記気泡排出通路が構成されるものがある。
【0010】
このように発熱体と容器本体の底部内面との間に発熱体の略中央部から周縁部まで達する気泡排出通路が形成されているので、容器本体内に水等の液体を入れて加熱した場合、発熱体の下面において発生した水蒸気の気泡は、この気泡排出通路を通って発熱体の周縁部に到達し、発熱体の周縁部と容器本体の胴部内面との間の隙間から上方に排出される。
【0011】
また、本発明に係る誘導加熱調理用容器は、非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、発熱体の略中央部には貫通孔が形成され、且つ、発熱体は、その周縁部から貫通孔に向けて高くなるように形成されていることを特徴とする。
【0012】
該容器にあっては、発熱体が周縁部から略中央部の貫通孔に向けて高くなるように形成されているため、発熱体の発熱によりその下面において発生した水蒸気の気泡は、略中央部の貫通孔に向かってスムーズに移動して貫通孔から上方に排出される。
【0013】
また、本発明に係る誘導加熱調理用容器は、非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、発熱体は、容器本体の底部内面に載置される略平坦な載置部をその略中央部に有し且つ、該載置部から周縁部に向けて高くなるように形成されていることを特徴とする。
【0014】
該容器にあっては、発熱体がその略平坦な載置部から周縁部に向けて高くなるように形成されているため、発熱体の発熱によりその下面において発生した水蒸気の気泡は、周縁部に向かってスムーズに移動して発熱体の周縁部と容器本体の胴部内面との間の隙間から上方に排出される。
【0015】
また、本発明に係る誘導加熱調理用容器は、非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、発熱体は、その略中央部を支点として揺動可能に構成されていることを特徴とする。
【0016】
該容器にあっては、発生した水蒸気の気泡の上昇運動により発熱体は揺動する。そして、発熱体が揺動することにより、発熱体の表面に付着している気泡がスムーズに発熱体から離れることとなる。
【0017】
また、本発明に係る誘導加熱調理用容器は、非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、容器本体の収容部を上下に区画する区画壁が設けられ、該区画壁と容器本体の底部内面との間に発熱体が位置し、区画壁は、所定箇所を頂部とする下面凹状に形成され、該頂部には上下の貫通孔が形成されていることを特徴とする。
【0018】
該容器にあっては、区画壁により容器本体の収容部が上下に区画され、区画壁の上方に例えば固体の内容物が入れられる。そして、この区画壁が所定箇所を頂部とする下面凹状に形成されているので、区画壁と発熱体との間には区画壁の下面形状に対応した隙間が形成されることとなる。従って、区画壁の下面に平板状の発熱体が密着することが防止され、発熱体の上面において発生した水蒸気の気泡が区画壁の下面で仮に層状に集積したとしても、その水蒸気の層は発熱体の上面から離間した状態にある。しかも、気泡は区画壁の下面に沿ってその頂部へと移動し、頂部に形成されている貫通孔から上方に排出されるので、仮に水蒸気の層が形成されてもそれによって発熱体の上面が覆われることが防止される。
【0019】
このように区画壁を設ける場合には、その区画壁を網状体から構成することが好ましく、多数の開口(多数の貫通孔)から気泡を上方に排出することが容易となる。そして、そのように区画壁を網状体から構成する場合には、頂部に形成する貫通孔を網状体の開口よりも大きくすることが好ましい。即ち、気泡が激しく発生する場合においても頂部の大きめの貫通孔から気泡がスムーズに排出されることとなる。
【0020】
また、本発明に係る誘導加熱調理用容器は、非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、容器本体の収容部を上下に区画する区画壁が設けられ、該区画壁は上下の貫通孔を有し、区画壁の下面は略平坦であり、該区画壁と容器本体の底部内面との間に発熱体が位置し、発熱体を区画壁から所定距離下方に離間させる発熱体離間手段を備えていることを特徴とする。
【0021】
該容器にあっては、区画壁の下面が略平坦であるものの発熱体を区画壁から所定距離下方に離間させる発熱体離間手段を備えているので、区画壁の下面に仮に水蒸気の層が形成されてもそれによって発熱体の上面が覆われることが防止される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の誘導加熱調理用容器の一実施形態について図1乃至図4を参酌しつつ、上面開口の有底円筒状の容器本体1と、電磁誘導によって発熱する薄肉略平板状の発熱体2とを備えた誘導加熱調理用容器について説明する。
【0023】
該容器本体1は、上方に向けて略テーパ状に拡径する胴部3と、該胴部3と一体的に形成された平板状の底部4と、胴部3の上端部に全周に亘って形成されたフランジ部5とを備えている。
【0024】
胴部3の外周面には、上下方向のリブ6が放射状に形成され、フランジ部5は、断面視略コの字状に形成されている。また、胴部3は、上方胴部3aと下方胴部3bとが水平環状の接続部7を介して階段状に連続するよう形成され、上方胴部3aの下端には、補助片8が下方胴部3bとの間で所定の間隙を有するように、下方に向けて延設されている。また、下方胴部3bの内周面には、底部4から所定高さ上方位置に、環状の係止用突起9が形成されている。該係止用突起9は、発熱体2の上昇を規制する規制手段として機能する。従って、係止用突起9は環状でなくてもよい。
【0025】
また、底部内面には、略中央部から周縁部に向けて延びる凸条20が形成されている。該凸条20は、その上に発熱体2が載置されるように複数本、放射状に配置されており、本実施形態においては、径方向に直線状に延びる凸条20が略90度おきに合計四本突設されている。尚、これら複数の凸条20はその高さが略一定である。また、各凸条20は、その内側端部同士が互いに離間するように形成されると共に、その外側端部も胴部内面には達せずに両者は離間している。そして、この凸条20の上に発熱体2が載置されると、隣り合う二本の凸条20間には、発熱体2の略中央部から周縁部まで達する扇状の気泡排出通路21が形成される。
【0026】
該構成の容器本体1は、熱可塑性樹脂から射出成形により形成されたものであり、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン等がある。特に、プロピレンエチレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂が、軽く適度な機械的強度を有し、比較的安価で成形性も良く、適度な耐熱温度及び熱変形温度を有し総合的に優れているため、好ましい。但し、容器本体1の材質はこれらに限定されず、合成樹脂以外にも、例えば紙等の非導電性材料を使用でき、特に、合成樹脂や紙等から形成すれば、軽いうえに焼却廃棄も比較的容易であるため、使い捨ての容器として好ましい。また、胴部3の外側に筒状のシュリンクラベル等のラベルを装着してもよい。
【0027】
かかる容器本体1内には、前記発熱体2が容器本体1の底部内面上に載置されるようにして収容されている。該発熱体2は胴部内面よりも小径に形成され、従って容器本体1内に入れられると、発熱体2の周縁部と胴部内面との間には環状の隙間が形成される。
【0028】
該発熱体2は、図4のように導電性材料からなるシート状の発熱体本体60が合成樹脂からなる被覆部61により被覆された樹脂被覆型のものである。
導電性材料としては、例えば、鉄、ステンレス、クロム、アルミニウム、銅等の金属材料や、カーボン等の非金属材料であって、アルミニウム、ステンレス、銅、鉄が好ましく、特に、アルミニウムが最も好ましい。また、発熱体本体60の厚さは、例えばアルミニウムシートの場合には7乃至100μm好ましくは15乃至30μmである。
【0029】
また、被覆部61は、例えばポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド等の耐熱性樹脂シートから構成することが好ましく、少なくとも発熱体本体60の上面と下面の全体を覆っており、その厚さは、片側0.5mm以下、特に片側0.01乃至0.2mm程度が好ましい。このように、発熱体本体60を被覆部61で覆うことによって、発熱体本体60が保護されると共に、温度上昇等に伴う発熱体本体60の反りも抑制される。また、薄い発熱体本体60を被覆部61で覆うことによって発熱体本体60のみの構成に比して全体の厚みが増すために、良好な取り扱い性が得られる。
【0030】
かかる発熱体2は、図3に示すように、略中央部に丸形の貫通孔10が形成されて全体として平面視においてループ状(ドーナツ状、貫通孔10空き円盤状)に形成されている。詳細には、調理器の誘導コイルの内周と外周との間の領域上にループ状の発熱体2が重なり合うことができる形状、大きさに設定されている。例えば、発熱体本体60は、内径がφ40(mm)外径がφ130(mm)に形成される。
尚、このように発熱体2の略中央部には上下貫通した貫通孔10が形成されており、前記気泡排出通路21は、この貫通孔10と発熱体2の周縁部とを連通するように径方向に形成される。
【0031】
以上のように構成された容器に例えば水を入れて調理器に載せて加熱すると、図3のように発熱体2の発熱によってその表面には水蒸気の気泡aが発生する。発熱体2の上面2aにおいて発生した気泡aは順次発熱体2から離反して上昇していく。その一方、発熱体2の下面2bにおいて発生した気泡aは、容器本体1の底部内面と発熱体2の下面2bとの間に形成された気泡排出通路21を介して、発熱体2の略中央部の貫通孔10から、また、発熱体2の周縁部と胴部内面との間の環状の隙間から、それぞれ上方に排出される。従って、発熱体2の下面2bにおいて発生した気泡aが発熱体2の下面2bに付着したまま滞留してそれが層状に集積するということが未然に防止される。よって、気泡aが層状に集積して形成される水蒸気の層が断熱層として発熱体2の下面2bに付着することによって発熱体2の放熱が妨げられるということがなく、発熱体2の熱がスムーズに水に放熱され、発熱体2の熱による損傷が防止される。また、発熱体2の放熱効率がよいため、水の加熱効率も高まる。特に、本実施形態では、発熱体2の略中央部に上下貫通した貫通孔10を形成したことにより、その貫通孔10からも上方に気泡aが排出される。但し、発熱体本体60に形成された貫通孔を被覆部61で覆って塞ぐようにして発熱体2が貫通孔10を有しないような構成としてもよい。
また、凸条20を外側端部から内側端部に向けて徐々に低くなるように若しくは徐々に高くなるようにしてもよく、発熱体2の下面2bとの接触面積が減少するため気泡aの排出効率がより一層高まる。
更に、凸条20を径方向に連続するもののみならず不連続のものであってもよい。このような凸条20の形状の他、その配置態様や個数等についても適宜設計変更可能である。
【0032】
また、本実施形態では底部内面に凸条20を形成したが、凹条を形成してもよい。その場合、底部内面に形成した凹条自体が気泡排出通路となる。
【0033】
また、発熱体2の下面2bに凸条や凹条を形成して底部内面との間に気泡排出通路を形成してもよい。例えば、図5に示すように、略中央部に貫通孔10を有する平板状の発熱体2の場合において、その貫通孔10から周縁部まで達するように径方向に直線状に延びるリブ22をプレス等により形成する。即ち、発熱体2の上面2aには凸条が形成されると共にそれに対応して下面2bには凹条が形成される。従って、この発熱体2を使用すると、下面2bの凹条が気泡排出通路となり、上下逆にして使用すると、下面2bの凸条間に図1の場合と同様に扇状の気泡排出通路が形成される。尚、容器本体1の底部内面と発熱体2の下面2bの双方に凹条を形成してもよい。
【0034】
また更に、略中央部に貫通孔10が形成された板状の発熱体2をその周縁部から貫通孔10に向けて徐々に高くなるように形成してもよい。例えば、図6のように、周縁部から略中央部の貫通孔10に向けて徐々にテーパ状に高くなるように、発熱体2を逆すり鉢状とする。これにより、発熱体2の下面2bにおいて発生した気泡aは、テーパ状の発熱体2の下面2bに沿って略中央部の貫通孔10へと集まり、その貫通孔10から上方に排出される。従って、発熱体2の下面2bに気泡aが溜まることが防止される。
【0035】
また、発熱体2の形状を逆に図7のように周縁部に向けて高くなる形状としてもよい。即ち、発熱体2は、略平坦な載置部23をその略中央部に有し、該載置部23によって容器本体1の底部内面に載置される。そして、該載置部23から周縁部に向けて徐々に高さがテーパ状に高くなっている。換言すれば、発熱体2をすり鉢状とし、これにより発熱体2の下面2bの気泡aは傾斜した発熱体2の下面2bに沿って周縁部へと移動して、発熱体2の周縁部と容器本体1の胴部内面との間の隙間から上方に排出される。尚、図7に示す発熱体2はその略中央部に貫通孔10が形成されていないものであるが、貫通孔10を設けてもよい。
【0036】
また、図6及び図7に示した発熱体2においては、略中央部若しくは周縁部に向けてテーパ状に高くなる形状であったが、多段的な階段状に高さが変化する構成であってもよく、何れにしても略中央部若しくは周縁部に向けて徐々に高さが高くなるように構成すればよい。
【0037】
ところで、上述したように、容器本体1内には、容器本体1内に入れられた乾燥麺等の乾燥食品等の固体の内容物を発熱体2から上方に分離するために、容器本体1の収容部を上下に区画する区画壁30が設けられる場合があるが、図8に示す容器の場合には、その区画壁30が平板状ではなく所定箇所を頂部31とする下面凹状に形成されている。具体的には、略中央部を頂部31とするドーム形状(凹状曲面)に形成されている。該区画壁30には、多数の上下貫通孔32が形成されており、例えば網状体から構成される。そして、図8に示す区画壁30は、多数の上下貫通孔32(網状体の場合にはその開口)よりも大きい貫通孔33が頂部31に形成されている。
【0038】
かかる容器にあっては、平板状の発熱体2は区画壁30の下方に位置するが、その発熱体2の上面2aにおいて発生した気泡aはそこに滞留することなく発熱体2から上方に離反していく。即ち、区画壁30を下面凹状に形成することにより発熱体2が区画壁30に密着することがなくなって発熱体2と区画壁30との間には区画壁30の下面形状に対応した隙間が形成され、従って、発熱体2の上面2aに気泡aが付着したまま集積することが防止される。また、発熱体2の上面2aから上方に離反した気泡aは区画壁30の下面に達すると、通常は多数の上下貫通孔32を通って上方に排出されるが、気泡aの発生が多くなると、区画壁30の下面において気泡aが層状に集積することがある。しかしながら、そのように気泡aが層状に集積しても、区画壁30が下面凹状に形成されているのでその層状の気泡aは徐々に区画壁30の略中央部の頂部31に向けて移動し、頂部31に形成された大きめの上下貫通孔33から確実に排出される。従って、発熱体2の上面2aにおける放熱が妨げられることはない。
【0039】
尚、区画壁30は、頂部31に貫通孔33を有する場合にはその他の多数の上下貫通孔32はなくてもよい。逆に、多数の上下貫通孔32を有する網状体等から区画壁30を構成する場合には頂部31の大きめの貫通孔33を省略してもよい。
【0040】
また、図9のように、区画壁30の周縁部に切欠34を形成して胴部内面との間に上下貫通孔を形成し、頂部31の貫通孔33のみならず胴部内面との間の貫通孔からも気泡aが上方に排出されるようにしてもよい。尚、図9の場合には、区画壁30は頂部31のみに貫通孔33を有するが、上述したように、多数の貫通孔32を有する網状体等から区画壁30を構成しても無論よい。
【0041】
また更に、発熱体2を平板状とし且つ区画壁30の下面も略平坦とする場合には、発熱体2を区画壁30から所定距離下方に離間させる発熱体離間手段を設けることが好ましい。例えば、図10に示すように、発熱体離間手段として、区画壁30の下面には下方に突出した突起40を形成する。該突起40の高さ分だけ、区画壁30から発熱体2が下方に離間することとなり、両者の密着が防止される。従って、発熱体2の上面2aにおいて発生した気泡aが層状に集積した場合にも、その層状に集積した気泡aは発熱体2の上面2aに付着し滞留するのではなく、そこから上方に離間した区画壁30の下面に位置し、区画壁30に形成されている多数の貫通孔32を介して気泡aが上方に排出される。よって、発熱体2の放熱効率が高まり、発熱体2の熱による損傷が防止される。
【0042】
尚、発熱体離間手段として、発熱体2の上面2aに突起を形成してもよい。また、図11のように胴部内面に上述したような係止用突起9を発熱体離間手段として形成し、該係止用突起40によって発熱体2の上昇を規制することによって発熱体2を区画壁30から所定距離下方に離間させてもよい。
【0043】
また、発熱体2がその略中央部を支点として揺動する構成としてもよい。例えば、図12のように、平板状の発熱体2の下面略中央部に枢支突起50を形成すると共に、区画壁30の下面略中央部にも枢支突起51を形成し、両枢支突起40によって発熱体2が区画壁30と底部内面によって揺動可能に枢支されるようにする。かかる容器に水を入れて加熱すると、発熱体2の表面、特に、その下面2bにおいて発生した気泡aの上昇運動により発熱体2は水平状態を中心として上下に揺動する。このような発熱体2の揺動動作により、発熱体2の表面に付着した気泡aが素早く離反することとなる。
【0044】
尚、発熱体2の上下両面にそれぞれ枢支突起を形成したり、逆に、底部内面と区画壁30にそれぞれ枢支突起を形成してもよい。また、発熱体2自体を例えばすり鉢状に形成し、その下面略中央部を尖鋭なものとすることで発熱体2を揺動可能に構成したりすることもでき、発熱体2を揺動可能にする構成は種々の変更が可能である。
また、区画壁30を設けずに発熱体2を揺動可能に構成してもよい。その場合には、発熱体2若しくは底部内面の枢支突起によって発熱体2が揺動可能に枢支される。但し、区画壁30を設けた場合に発熱体2を揺動可能に構成すると、発熱体2の揺動動作により区画壁30の下面に気泡aが集積しにくくなり、また集積したとしても揺動動作によって区画壁30の貫通孔32から気泡aが排出されやすくなるので好ましい。
【0045】
尚、上記実施形態では、容器本体1を円筒状としているのでそれに対応して発熱体2も円盤状としたが、発熱体2を容器本体1の形状に合わせることなく多角形状とすることもでき、また、容器本体1についても円筒状のみならず矩形のものであってもよい。
【0046】
また、発熱体は、アルミニウムシートからなる発熱体本体と、該発熱体本体を被覆する合成樹脂からなる被覆部とを備えていることが好ましい。発熱体本体をアルミニウムシートから構成することにより経済面に優れ、しかも、薄いアルミニウムシートを被覆部で覆うことによって発熱体本体が保護されて耐久性が向上するうえに、厚みの増加によってその取り扱い性も向上する。その一方、被覆部の存在によってアルミニウムシートの放熱面の懸念が生じるが、上述したような種々の解決手段を用いることにより、発熱体の放熱効率が高まるため、その熱による損傷を効果的に防止することができる。
【0047】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る容器に水等の液体を入れて加熱すると、発熱体の表面において発生した水蒸気の気泡が効率よく発熱体から離反するので、発熱体の表面に気泡が層状に集積することがなく、それが原因となって生じる発熱体の熱による損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の誘導加熱調理用容器を示す断面図。
【図2】同容器の横断面図。
【図3】同容器の使用状態を示す要部断面図。
【図4】同容器に使用されている発熱体の一部断面図。
【図5】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の発熱体を示す斜視図。
【図6】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の使用状態を示す要部断面図。
【図7】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の使用状態を示す要部断面図。
【図8】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の使用状態を示す要部断面図。
【図9】他の実施形態における誘導加熱調理用容器を示す平面図。
【図10】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の使用状態を示す要部断面図。
【図11】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の使用状態を示す要部断面図。
【図12】他の実施形態における誘導加熱調理用容器の使用状態を示す要部断面図。
【符号の説明】
1…容器本体、2…発熱体、3…胴部、4…底部、9…係止用突起(規制手段、発熱体離間手段)、10、31,32…貫通孔、20…凸条、21…気泡排出通路、22…リブ(凸条)、23…載置部、30…区画壁、34…切欠、a…気泡、40…突起(発熱体離間手段)、50,51…枢支突起、60…発熱体本体、61…被覆部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、
発熱体と容器本体の底部内面との間には発熱体の略中央部から周縁部まで達する気泡排出通路が形成されていることを特徴とする誘導加熱調理用容器。
【請求項2】
容器本体の底部内面には略中央部から周縁部に向けて延びる凸条が形成され、容器本体の底部内面のうち凸条が形成されていない領域と発熱体の下面との間の隙間により前記気泡排出通路が構成される請求項1記載の誘導加熱調理用容器。
【請求項3】
発熱体の下面には略中央部から周縁部に向けて延びる凸条が形成され、発熱体の下面のうち凸条が形成されていない領域と容器本体の底部内面との間の隙間により前記気泡排出通路が構成される請求項1記載の誘導加熱調理用容器。
【請求項4】
容器本体の底部内面と発熱体の下面のうちの少なくとも一方には、略中央部から周縁部に向けて延びる凹条が形成され、該凹条により前記気泡排出通路が構成される請求項1記載の誘導加熱調理用容器。
【請求項5】
非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、
発熱体の略中央部には貫通孔が形成され、且つ、発熱体は、その周縁部から貫通孔に向けて高くなるように形成されていることを特徴とする誘導加熱調理用容器。
【請求項6】
非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、
発熱体は、容器本体の底部内面に載置される略平坦な載置部をその略中央部に有し且つ、該載置部から周縁部に向けて高くなるように形成されていることを特徴とする誘導加熱調理用容器。
【請求項7】
非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、
発熱体は、その略中央部を支点として揺動可能に構成されていることを特徴とする誘導加熱調理用容器。
【請求項8】
非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、
容器本体の収容部を上下に区画する区画壁が設けられ、該区画壁と容器本体の底部内面との間に発熱体が位置し、区画壁は、所定箇所を頂部とする下面凹状に形成され、該頂部には上下の貫通孔が形成されていることを特徴とする誘導加熱調理用容器。
【請求項9】
区画壁は網状体から構成され、該網状体の開口よりも大きい貫通孔が頂部に形成されている請求項8記載の誘導加熱調理用容器。
【請求項10】
非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、
容器本体の収容部を上下に区画する区画壁が設けられ、該区画壁は上下の貫通孔を有し、区画壁の下面は略平坦であり、該区画壁と容器本体の底部内面との間に発熱体が位置し、発熱体を区画壁から所定距離下方に離間させる発熱体離間手段を備えていることを特徴とする誘導加熱調理用容器。
【請求項1】
非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、
発熱体と容器本体の底部内面との間には発熱体の略中央部から周縁部まで達する気泡排出通路が形成されていることを特徴とする誘導加熱調理用容器。
【請求項2】
容器本体の底部内面には略中央部から周縁部に向けて延びる凸条が形成され、容器本体の底部内面のうち凸条が形成されていない領域と発熱体の下面との間の隙間により前記気泡排出通路が構成される請求項1記載の誘導加熱調理用容器。
【請求項3】
発熱体の下面には略中央部から周縁部に向けて延びる凸条が形成され、発熱体の下面のうち凸条が形成されていない領域と容器本体の底部内面との間の隙間により前記気泡排出通路が構成される請求項1記載の誘導加熱調理用容器。
【請求項4】
容器本体の底部内面と発熱体の下面のうちの少なくとも一方には、略中央部から周縁部に向けて延びる凹条が形成され、該凹条により前記気泡排出通路が構成される請求項1記載の誘導加熱調理用容器。
【請求項5】
非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、
発熱体の略中央部には貫通孔が形成され、且つ、発熱体は、その周縁部から貫通孔に向けて高くなるように形成されていることを特徴とする誘導加熱調理用容器。
【請求項6】
非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、
発熱体は、容器本体の底部内面に載置される略平坦な載置部をその略中央部に有し且つ、該載置部から周縁部に向けて高くなるように形成されていることを特徴とする誘導加熱調理用容器。
【請求項7】
非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、
発熱体は、その略中央部を支点として揺動可能に構成されていることを特徴とする誘導加熱調理用容器。
【請求項8】
非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、
容器本体の収容部を上下に区画する区画壁が設けられ、該区画壁と容器本体の底部内面との間に発熱体が位置し、区画壁は、所定箇所を頂部とする下面凹状に形成され、該頂部には上下の貫通孔が形成されていることを特徴とする誘導加熱調理用容器。
【請求項9】
区画壁は網状体から構成され、該網状体の開口よりも大きい貫通孔が頂部に形成されている請求項8記載の誘導加熱調理用容器。
【請求項10】
非導電性材料からなる容器本体と、該容器本体の底部内面に載置されるように容器本体内に入れられて電磁誘導によって発熱する平板状の発熱体とを備えた誘導加熱調理用容器において、
容器本体の収容部を上下に区画する区画壁が設けられ、該区画壁は上下の貫通孔を有し、区画壁の下面は略平坦であり、該区画壁と容器本体の底部内面との間に発熱体が位置し、発熱体を区画壁から所定距離下方に離間させる発熱体離間手段を備えていることを特徴とする誘導加熱調理用容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2004−329748(P2004−329748A)
【公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−132991(P2003−132991)
【出願日】平成15年5月12日(2003.5.12)
【出願人】(000238005)株式会社フジシール (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年5月12日(2003.5.12)
【出願人】(000238005)株式会社フジシール (641)
【Fターム(参考)】
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