説明

調理用バッグ

【課題】 電子レンジで簡単に調理ができ、調理用袋と、前記調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料とから構成される調理用バッグの提供。
【解決手段】 調理用袋は、ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層したフィルム本体から形成され、調理用袋を開口可能にするとともに、加熱調理時には密閉可能にする開口部が設けられており、フィルム本体は水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる内側フィルム層と、前記内側フィルム層の少なくとも片面に固着され水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる外側フィルム層とからなり、内側フィルム層と外側フィルム層とは、加熱により微細孔により通気される水蒸気の量が調節される機能を有しており、調理用袋内の調理食品材料が加熱されて、調理用袋の内圧が高まったときには、内圧に応じて水蒸気を前記調理用袋外部に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理用バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子レンジなどで加熱調理を行うために、食品を内部に封入して加熱できるような各種の収納袋が開発されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−68320号公報
【特許文献2】特開2002−262784号公報
【特許文献3】特開2003−200978号公報
【特許文献4】特開2004−16134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2002−68320「青果物鮮度保持包装体及び青果物の調理方法」においては、電子レンジでそのまま加熱調理しても、破裂することがなく、加熱蒸気とともに液汁が噴出したり溢れ出ることがなくかつ内容物の青果物の鮮度を長く保つことが可能な青果物鮮度保持包装体が提案されている。
厚み100μm以下の単層または多層の高分子フィルムあるいは該高分子フィルムの一部が厚み10〜200μmの多孔質材料と厚み1〜50μmの高分子樹脂層との積層体で置換されてなる複合体からなる合掌背貼り袋に青果物を入れて密封包装された青果物鮮度保持包装体において、該高分子フィルムの少なくとも袋内面側は防曇性を有しており、合掌背貼り部のシール強度が他の熱シール部のシール強度より小さいというものである。
この発明においては、包装体である袋は、合掌背貼り部を有した特定の形状、構造の袋である必要があり、合掌背貼り部以外の部分は水蒸気を排出することができず、合掌背貼り部は水蒸気を排出することができるとはいっても、一定の内圧を超えたときには必ず合掌背貼り部が破裂するようにしたというものである。
したがって、袋を様々な形状、構造にしたり、袋全体から水蒸気を排出し、しかも破裂することを予定しないで、内圧の変化に伴い排出量を調整するようなことができない。また袋全体が同じ素材からなるものではないために製造工程が煩雑になる。
【0005】
特開2002−262784「電子レンジ調理用食品収納体」においては、空気と接触しないように密封性が保持されている上に、電子レンジにより加熱しても、内圧で破裂破損のすることなく、脱気することができる電子レンジ調理用食品収納体が提案されている。
少なくとも1部分に封止部を備え、通気性のない包材を含み、前記封止部により密封されて構成される電子レンジ調理用食品収納体であって、前記封止部のシール強度が、電子レンジで加熱することにより低下するというものである。
この発明においては、包装体である袋は、封止部を有した特定の形状、構造の袋である必要があり、封止部以外の部分は水蒸気を排出することができず、封止部は特定箇所にのみ設けられているために袋全体にわたり均等に水蒸気を排出することができない。したがって、袋を様々な形状、構造にしたり、袋全体から水蒸気を排出することができず、また一定の内圧を超えたときにはシール強度が低下してしまい、内圧の変化に伴い排出量を調整するようなことができない。また袋全体が同じ素材からなるものではないために製造工程が煩雑になる。
【0006】
特開2003−200978「調理パック」においては、袋状本体に、自動調圧チップを供えるだけの簡単な構造であり、それでも、十分な食品素材の調理が達成でき、また、廃棄処分に際しても、環境汚染をもたらす畏れがない調理パックが提案されている。
食品素材の調理が電磁波を用いた外部加熱手段により行える調理パックであって、その袋状本体をポリオレフィン系の材料で構成すると共に、前記外部加熱手段により、前記袋状本体内の食品素材が加熱されて、袋状本体の内圧が高まった時、前記食品素材に対応する所定内圧を維持する自動調圧チップを前記袋状本体に設け、袋状本体内の気体を外部に導出するというものである。
この発明においては、包装体である袋は、自動調圧チップを有した特定の形状、構造の袋である必要があり自動調圧チップ以外の部分は水蒸気を排出することができず、自動調圧チップは特定箇所にのみ設けられているために袋全体にわたり均等に水蒸気を排出することができない。したがって、袋を様々な形状、構造にしたり、袋全体から水蒸気を排出することができない。また袋の一部が自動調圧チップを構成しており、袋全体が同じ素材からなるものではないために製造工程が煩雑になる。
【0007】
特開2004−16134「青果物入り包装体」においては、電子レンジでそのまま加熱調理しても、破裂することがなく、加熱蒸気とともに液汁が噴出したり溢れ出ることがなく、調理後の持ち運びも容易でありかつ内容物の青果物の鮮度を長く保つことが可能な青果物鮮度保持包装体が提案されている。
すぐに加熱調理できる状態にした青果物を収納する合掌背貼り袋に微細孔を開け、青果物に応じたガス透過性を有した状態にすることによりいわゆるMA包装による鮮度保持効果を有し、かつ片面熱シール性の合成樹脂フィルムを用い、合掌背貼り部分に適切なコート剤を塗布するなどして電子レンジで加熱調理の際に合掌背貼り部の一部が開封し破裂するというものである。
この発明においては、包装体である袋は、合掌背貼り部を有した特定の形状、構造の袋である必要があり、合掌背貼り部以外の部分は水蒸気を排出することができず、合掌背貼り部は水蒸気を排出することができるとはいっても、一定の内圧を超えたときには必ず合掌背貼り部が破裂するようにしたというものである。
したがって、袋を様々な形状、構造にしたり、袋全体から水蒸気を排出し、しかも破裂することを予定しないで、内圧の変化に伴い排出量を調整するようなことができない。また袋全体が同じ素材からなるものではないために製造工程が煩雑になる。
【0008】
そこで本発明においては、上記の様々な課題を解決し、電子レンジで簡単に調理ができ、単に電子レンジで単に暖める調理用袋とは異なり、水や、調味料を入れて電子レンジで調理ができ、しかも冷凍したものをそのまま詰め替えることなく調理ができる調理用バッグであって、袋を様々な形状、構造にしたり、袋全体から水蒸気を排出することができ、しかも内圧の変化に伴い排出量を調整するようなことができ、さらに袋全体が同じ素材から製造可能な調理用バッグを提供することを目的とする。
【0009】
一方、農家では収穫した野菜の本質はなんら変わらないのに、形状によって商品価値が左右されたり、色によって左右されたり、寸法の大小によって左右されたりしているのが現状である。このため、農家ではこれら不揃い野菜を廃棄したりして労働力を無にし、価値に転換できていない。また、魚介類や肉などでも同様のことが起こる。
そこで本発明の他の目的は、これら無価値とされてきた不揃い野菜をカットしたカット野菜としてパックにし、調理バッグにあらかじめ封入することにより、電子レンジで調理するだけの便利で簡単な調理用パック商品を提供し、品質にはなんら問題がないのに不揃いで一般商品にならないものを商品化し、無価値であったものに価値を創造させることが可能な調理用バッグを提供することである。
この効果は農家の野菜だけでなく、魚にもまったく同じように適用でき、野菜と同じく、形、色、大小、等の規格外による食品や、煮魚などの型崩れ品、不揃いの切り身魚、煮魚、形の崩れた魚等にも価値を付加することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明においては、
調理用袋と、前記調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料とから構成される調理用バッグであって、
前記調理用袋は、ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層したフィルム本体から形成され、調理用袋を開口可能にするとともに、加熱調理時には密閉可能にする開口部が設けられており、
前記フィルム本体は、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる内側フィルム層と、前記内側フィルム層の少なくとも片面に固着され、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる外側フィルム層とからなり、
前記内側フィルム層と前記外側フィルム層とは、加熱により微細孔により通気される水蒸気の量が調節される機能を有しており、
前記調理用袋内の調理食品材料が加熱されて、調理用袋の内圧が高まったときには、内圧に応じて水蒸気を前記調理用袋外部に排出し、前記調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料を加熱調理可能にした調理用バッグであることを特徴としている。
【0011】
また、上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明においては、
前記フィルム本体は、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる内側フィルム層と、前記内側フィルム層の両面に固着され、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる外側フィルム層とからなる調理用バッグであることを特徴としている。
【0012】
また、上記課題を解決するため、請求項3に記載の発明においては、
前記内側フィルム層と前記外側フィルム層とは、加熱により前記内側フィルム層と前記外側フィルム層との固着状態の変化により通気可能な水蒸気量が変化することにより、微細孔により通気される水蒸気の量が調節される機能を有している調理用バッグであることを特徴としている。
【0013】
また、上記課題を解決するため、請求項4に記載の発明においては、
前記内側フィルム層はポリプロピレンからなり、前記外側フィルム層はポリエステルからなる調理用バッグであることを特徴としている。
【0014】
また、上記課題を解決するため、請求項5に記載の発明においては、
前記調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料は、調理済の冷蔵または冷凍加工食品であることを特徴とする調理用バッグであることを特徴としている。
【0015】
また、上記課題を解決するため、請求項6に記載の発明においては、
前記調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料は、野菜、果実、キノコ、肉、魚の内の少なくともいずれかを含む生鮮食品材料と、その他の調理食品材料、調味料、ソースの内の少なくともいずれかを含む調理食品材料とである調理用バッグであることを特徴としている。
【0016】
また、上記課題を解決するため、請求項7に記載の発明においては、
前記野菜、果実、キノコ、肉、魚の内の少なくともいずれかを含む生鮮食品材料は、サイズ・形状・その他の規格外品をカットしたものである調理用バッグであることを特徴としている。
【0017】
また、上記課題を解決するため、請求項8に記載の発明においては、
調理用袋を形成する工程と、
前記野菜、果実、キノコ、肉、魚の内の少なくともいずれかを含む生鮮食品材料をサイズ・形状・その他の所定の規格により選別する工程と、
前記選別により選別されたサイズ・形状・その他の規格外品である生鮮食品材料をカットする工程と、
前記調理用袋内に、カットした生鮮食品材料と、その他の調理食品材料、調味料、ソースの内の少なくともいずれかを含む調理食品材料とを封入し密閉する工程とを経て製造された調理用バッグであって、
前記調理用袋は、ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層したフィルム本体から形成され、調理用袋を開口可能にするとともに、加熱調理時には密閉可能にする開口部が設けられており、
前記フィルム本体は、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる内側フィルム層と、前記内側フィルム層の少なくとも片面に固着され、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる外側フィルム層とからなり、
前記内側フィルム層と前記外側フィルム層とは、加熱により微細孔により通気される水蒸気の量が調節される機能を有しており、
前記調理用袋内の調理食品材料が加熱されて、調理用袋の内圧が高まったときには、内圧に応じて水蒸気を前記調理用袋外部に排出し、前記調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料を加熱調理可能にした調理用バッグであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電子レンジで簡単に調理ができ、単に電子レンジで単に暖める調理用袋とは異なり、水や、調味料を入れて電子レンジで調理ができ、しかも冷凍したものをそのまま詰め替えることなく調理ができる調理用バッグであって、袋を様々な形状、構造にしたり、袋全体から水蒸気を排出することができ、しかも内圧の変化に伴い排出量を調整するようなことができ、さらに袋全体が同じ素材から製造可能な調理用バッグを提供することができる。
【0019】
また、本発明によれば、これら無価値とされてきた不揃い野菜をカットしたカット野菜としてパックにし、調理バッグにあらかじめ封入することにより、電子レンジで調理するだけの便利で簡単な調理用パック商品を提供し、品質にはなんら問題がないのに不揃いで一般商品にならないものを商品化し、無価値であったものに価値を創造させることが可能な調理用バッグを提供することができる。
この効果は農家の野菜だけでなく、魚にもまったく同じように適用でき、野菜と同じく、形、色、大小、等の規格外による食品や、煮魚などの型崩れ品、不揃いの切り身魚、煮魚、形の崩れた魚等にも価値を付加することができる。
また、生産過剰品も加工して付加価値をつけたり、氷点保存して本発明の調理バッグで直接電子レンジで調理できるので、新たな商品として提供することができできる。生産者にとっては、不揃い野菜など無価値のものに価値を付加できるため、無駄が無くなり生産効率が上がり、地球規模の環境問題にも貢献することができる。
さらに消費者にとっても、忙しい日々の中で、面倒なクッキングをしなくても、クッキング済み素材が提供されると同時に、調味料を入れて電子レンジで簡単に料理ができ、ナイフレス調理が出来る大変便利でありながら新鮮な食事をすることができる。さらに中間業者にとっても、今まで商品化できなかった新たな商品を消費者の方々に対し安くて便利な食生活を提供できるため、新たなマーケットを創造することができる。
【0020】
本発明の調理用バッグによれば、電子レンジで加熱すると、特殊構造の小さな穴から適度に蒸気を逃がすので、高圧時に蒸気圧を上げ、包装内を速やか、均一に加熱調理できる。
また、電子レンジ適性(耐熱性)に優れており(耐熱温度165℃)、適度に蒸気を保ちながら高温調理が可能なので調理時間を短縮できる。さらに冷凍保存(耐冷性)に優れている(耐冷温度−40℃)。
蒸気を閉じ込めるため、食材の乾燥を最小限に防ぐことができ、解凍いらずで簡単に冷凍から直接電子レンジで蒸す、煮る、温めるといった調理をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の調理用バッグを構成する調理用袋の材質および仕様の好ましい一例を示す図である。
また図2は、本発明の調理用バッグを構成する調理用袋の部分拡大断面図及びその作用の好ましい一例を示す図である。
また図3は、本発明の調理用バッグの使用状態の好ましい一例を示す図である。
【0022】
本発明の調理用バッグは、調理用袋と、前記調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料とから構成される。
調理用袋は、ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層したフィルム本体から形成され、調理用袋を開口可能にするとともに、加熱調理時には密閉可能にする開口部が設けられている。
【0023】
調理用袋を構成するポリオレフィン系樹脂フィルムを積層したフィルム本体は、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる内側フィルム層と、前記内側フィルム層の少なくとも片面に固着され、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる外側フィルム層とからなるものである。この場合には内側フィルム層は調理用袋の内側に面して設けられる。
好ましくは、フィルム本体の外側フィルム層は、内側フィルム層の両面に固着され、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる外側フィルム層とからなるものである。この場合には内側フィルム層の両面、すなわち調理用袋の内側、外側に面して外側フィルム層が設けられる3層構造となっている。
【0024】
図2を参照すると、前記内側フィルム層と前記外側フィルム層とは、加熱により微細孔により通気される水蒸気の量が調節される機能を有しており、前記内側フィルム層と前記外側フィルム層とは、加熱により前記内側フィルム層と前記外側フィルム層との固着状態の変化により通気可能な水蒸気量が変化することにより、微細孔により通気される水蒸気の量が調節される機能を有している。
前記内側フィルム層はポリプロピレンからなり、前記外側フィルム層はポリエステルからなることが好ましく、薄い素材をラミネートすることにより、呼吸のできる特殊な袋本体が実現されている。
【0025】
さらに本発明においては、調理用袋全体に同質素材を採用することができ、袋全体からまんべんなく水蒸気を排出できるとともに、袋全体を図2に示すような、微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる内側フィルム層と外側フィルム層とにより好ましくは3層に構成するために、レンジ調理バッグを加熱すると、特殊構造の小さな穴から適度に蒸気を逃がすので圧力鍋と同じ効果が得られる仕組みになっている。高圧時に蒸気圧を上げ、包装内を速やか、均一に加熱調理することができる。圧力を外に逃がし、破裂を防ぐ安全設計であり、またまんべんなく配置された微細孔と、3層構造による微細孔の調整により、圧力を自動調整する蒸し機能を有する。
【0026】
調理用袋は、包装の形、大きさ、厚さなど様々な用途に合わせて設計をすることができる。
原料として好ましい樹脂は、ポリプロピレン(内側)、ポリエステル(外側)ラミネート式で行うものであり、耐冷温度−40℃、耐熱温度は165℃、厚さ0.042ミリメートル程度のものが好ましい一例であった。用途に合わせて設計を変えることができる。たとえば、包装袋(ジップタイプ)、ロールタイプ包装、オーバーラップ包装、ピロー包装、その他の構造にすることができる。
また、食品衛生法に基づいて定められた「食品・添加物等の規格基準」に適合する(日本食品分析センターの試験結果、第103102760)。また人と環境に優しい素材を使用するため、ポリオレフィン系フィルムを焼却しても水と炭酸ガスになり、有害なダイオキシン等は発生しない。
【0027】
次に、本発明の調理用バッグは、前記調理用袋内の調理食品材料が加熱されて、調理用袋の内圧が高まったときには、内圧に応じて水蒸気を前記調理用袋外部に排出し、前記調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料を加熱調理可能にしたものである。
調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料の好ましい一例は、調理済の冷蔵または冷凍加工食品である。
たとえば、肉まん、シュウマイ、小龍包、水餃子、スパゲッティー、焼きそば、冷凍ご飯、ピラフ、チャーハン、冷凍野菜などの、冷蔵・冷凍食品関連包装資材をあらかじめ封入することができる。
また、弁当、おにぎり、お惣菜、温野菜などのコンビニエンスストア関連包装資材や、弁当、お惣菜などの弁当屋・惣菜屋関連包装資材をあらかじめ封入することができる。
【0028】
調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料の別の好ましい一例は、野菜、果実、キノコ、肉、魚の内の少なくともいずれかを含む生鮮食品材料と、その他の調理食品材料、調味料、ソースの内の少なくともいずれかを含む調理食品材料とである。
【0029】
また前述したように、野菜、果実、キノコ、肉、魚の内の少なくともいずれかを含む生鮮食品材料は、サイズ・形状・その他の規格外品をカットしたものとすることができる。
不揃いな野菜は、形、色、サイズ、崩れた野菜などを指し、これら野菜をカッティングして、調味料を加え、1パッケージ化して商品化することができ、今まで商品化できなかった不揃い野菜に付加価値をつけて商品化することができる。
また、漁師・魚加工業者にとって不揃い品でありものを商品化できる。
【0030】
本発明の調理用バッグは、これまでに説明した素材と構造からなる調理用袋を、所望の形状、構造、大きさなどにより裁断、熱圧着等して形成する工程を経て製造され、これらの工程は知られている各種製造方法を採用することができる。
次いで、サイズ・形状・その他の規格外品をカットしたものとする場合には、野菜、果実、キノコ、肉、魚の内の少なくともいずれかを含む生鮮食品材料をサイズ・形状・その他の所定の規格により選別する工程を経る。ここれ、前記選別により選別されたサイズ・形状・その他の規格外品である生鮮食品材料をカットする工程を経て、次いで調理用袋内に、カットした生鮮食品材料と、その他の調理食品材料、調味料、ソースの内の少なくともいずれかを含む調理食品材料とを封入し密閉する工程とを経て製造される。
また、規格外品ではない調理食品材料のみを使用してもよいことはいうまでもなく、規格外品を使用することは本発明の一実施形態である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、電子レンジで簡単に調理ができ、単に電子レンジで単に暖める調理用袋とは異なり、水や、調味料を入れて電子レンジで調理ができ、しかも冷凍したものをそのまま詰め替えることなく調理ができる調理用バッグであって、袋を様々な形状、構造にしたり、袋全体から水蒸気を排出することができ、しかも内圧の変化に伴い排出量を調整するようなことができ、さらに袋全体が同じ素材から製造可能な調理用バッグを提供することができる。
【0032】
また、本発明によれば、これら無価値とされてきた不揃い野菜をカットしたカット野菜としてパックにし、調理バッグにあらかじめ封入することにより、電子レンジで調理するだけの便利で簡単な調理用パック商品を提供し、品質にはなんら問題がないのに不揃いで一般商品にならないものを商品化し、無価値であったものに価値を創造させることが可能な調理用バッグを提供することができる。
この効果は農家の野菜だけでなく、魚にもまったく同じように適用でき、野菜と同じく、形、色、大小、等の規格外による食品や、煮魚などの型崩れ品、不揃いの切り身魚、煮魚、形の崩れた魚等にも価値を付加することができる。
【0033】
また、生産過剰品も加工して付加価値をつけたり、氷点保存して本発明の調理バッグで直接電子レンジで調理できるので、新たな商品として提供することができできる。生産者にとっては、不揃い野菜など無価値のものに価値を付加できるため、無駄が無くなり生産効率が上がり、地球規模の環境問題にも貢献することができる。
さらに消費者にとっても、忙しい日々の中で、面倒なクッキングをしなくても、クッキング済み素材が提供されると同時に、調味料を入れて電子レンジで簡単に料理ができ、ナイフレス調理が出来る大変便利でありながら新鮮な食事をすることができる。さらに中間業者にとっても、今まで商品化できなかった新たな商品を消費者の方々に対し安くて便利な食生活を提供できるため、新たなマーケットを創造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の調理用バッグを構成する調理用袋の材質および仕様の好ましい一例を示す図である。
【図2】本発明の調理用バッグを構成する調理用袋の部分拡大断面図及びその作用の好ましい一例を示す図である。
【図3】本発明の調理用バッグの使用状態の好ましい一例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理用袋と、前記調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料とから構成される調理用バッグであって、
前記調理用袋は、ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層したフィルム本体から形成され、調理用袋を開口可能にするとともに、加熱調理時には密閉可能にする開口部が設けられており、
前記フィルム本体は、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる内側フィルム層と、前記内側フィルム層の少なくとも片面に固着され、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる外側フィルム層とからなり、
前記内側フィルム層と前記外側フィルム層とは、加熱により微細孔により通気される水蒸気の量が調節される機能を有しており、
前記調理用袋内の調理食品材料が加熱されて、調理用袋の内圧が高まったときには、内圧に応じて水蒸気を前記調理用袋外部に排出し、前記調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料を加熱調理可能にしたことを特徴とする調理用バッグ。
【請求項2】
前記フィルム本体は、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる内側フィルム層と、前記内側フィルム層の両面に固着され、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる外側フィルム層とからなることを特徴とする調理用バッグ。
【請求項3】
前記内側フィルム層と前記外側フィルム層とは、加熱により前記内側フィルム層と前記外側フィルム層との固着状態の変化により通気可能な水蒸気量が変化することにより、微細孔により通気される水蒸気の量が調節される機能を有していることを特徴とする調理用バッグ。
【請求項4】
前記内側フィルム層はポリプロピレンからなり、前記外側フィルム層はポリエステルからなることを特徴とする調理用バッグ。
【請求項5】
前記調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料は、調理済の冷蔵または冷凍加工食品であることを特徴とする調理用バッグ。
【請求項6】
前記調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料は、野菜、果実、キノコ、肉、魚の内の少なくともいずれかを含む生鮮食品材料と、その他の調理食品材料、調味料、ソースの内の少なくともいずれかを含む調理食品材料とであることを特徴とする調理用バッグ。
【請求項7】
前記野菜、果実、キノコ、肉、魚の内の少なくともいずれかを含む生鮮食品材料は、サイズ・形状・その他の規格外品をカットしたものであることを特徴とする調理用バッグ。
【請求項8】
調理用袋を形成する工程と、
前記野菜、果実、キノコ、肉、魚の内の少なくともいずれかを含む生鮮食品材料をサイズ・形状・その他の所定の規格により選別する工程と、
前記選別により選別されたサイズ・形状・その他の規格外品である生鮮食品材料をカットする工程と、
前記調理用袋内に、カットした生鮮食品材料と、その他の調理食品材料、調味料、ソースの内の少なくともいずれかを含む調理食品材料とを封入し密閉する工程とを経て製造された調理用バッグであって、
前記調理用袋は、ポリオレフィン系樹脂フィルムを積層したフィルム本体から形成され、調理用袋を開口可能にするとともに、加熱調理時には密閉可能にする開口部が設けられており、
前記フィルム本体は、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる内側フィルム層と、前記内側フィルム層の少なくとも片面に固着され、少なくとも水蒸気を通気可能にした微細孔を有するポリオレフィン系樹脂フィルムからなる外側フィルム層とからなり、
前記内側フィルム層と前記外側フィルム層とは、加熱により微細孔により通気される水蒸気の量が調節される機能を有しており、
前記調理用袋内の調理食品材料が加熱されて、調理用袋の内圧が高まったときには、内圧に応じて水蒸気を前記調理用袋外部に排出し、前記調理用袋内にあらかじめ封入された調理食品材料を加熱調理可能にしたことを特徴とする調理用バッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−44708(P2006−44708A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225737(P2004−225737)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(501335933)
【出願人】(503292399)Electronics Technology Trade Corp.有限会社 (1)
【Fターム(参考)】