説明

貴金属膜の成膜装置及び貴金属膜の成膜方法

【課題】基板に形成されたホールの内部にスパッタリングにより成膜した貴金属膜の厚みを、ホールの両サイドで対称なものとすることができ、したがって、貴金属膜に断線等の不具合が生じる虞がなく、信頼性をより向上させることができる貴金属膜の成膜装置及び貴金属膜の成膜方法を提供する。
【解決手段】本発明の貴金属膜の成膜装置は、基板23に形成されたホールの内部に貴金属膜をスパッタリングにより成膜する装置であり、ターゲット24と、このターゲット24に対向配置されるステージ22と、ターゲット24にスパッタリング電力P(W)を印加する電源26とを備え、ターゲットの直径Tと、ターゲット24とステージ22上の基板23との距離Lとの比L/Tを、0.5以上かつ1.5以下の範囲で変更可能とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貴金属膜の成膜装置及び貴金属膜の成膜方法に関し、更に詳しくは、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)等の不揮発性抵抗変化型記憶素子等の不揮発性半導体記憶素子に好適に用いられ、内部に空隙やクラック等の欠陥が無くかつ緻密な貴金属膜を成膜することが可能な貴金属膜の成膜装置及び貴金属膜の成膜方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯用電話機や携帯用情報端末等の携帯用機器においては、画像データ等の多量の情報を取り扱うニーズが高まっており、これらの携帯用機器に搭載される記憶素子についても、高速、低消費電力、大容量かつ小型の不揮発性半導体記憶素子(不揮発性メモリ)への要求が高まっている。中でも、カルコゲン化合物の結晶状態により抵抗値が変化する不揮発性抵抗変化型記憶素子(不揮発性抵抗変化型メモリ)は、高集積化かつ不揮発動作可能な記憶素子として注目を集めている(例えば、特許文献1等参照)。この不揮発性抵抗変化型記憶素子は、記録層となるカルコゲナイド膜を2つの電極で挟持した単純な構造で、室温にても記録状態を安定に維持することができるので、10年を越える記憶保持も十分可能な優れた記憶素子である。
【0003】
図8は、従来のFeRAMの電極構造の一例を示す断面図であり、この図では、電極構造を分かり易くするために、この電極の上部構造である強誘電体層及び上部電極を省略してある。図において、1はシリコンウエハ等の基板、2は基板1の表面に形成されたホール、3は基板1の表面及びホール2の側面及び底面に形成された酸化膜からなる絶縁膜、4は絶縁膜3上にスパッタリングにより成膜された貴金属膜からなる電極である。この貴金属膜は、信頼性の点からPtが主に用いられている。
この電極4を形成する場合、通常のスパッタリング装置を用いて成膜すると、ホール3内の側壁及び底部に均一な厚みの電極4を成膜することが難しく、しかも、電極の厚みがホール2の内部より開口付近の方が厚くなってしまう、いわゆるオーバーハングが生じるという問題点があり、そこで、この問題点を解消する成膜方法として、ロングスロースパッタリング(LTS)装置(以下、LTS装置と略記)による成膜方法が用いられている。
【0004】
図9は、従来のLTS装置を示す断面図であり、図において、11は真空チャンバ(図示略)内に設けられた略円筒状のシールド部材、12はシールド部材11の下方に設けられた静電チャック付きウエハステージ、13はウエハステージ12に静電チャックにより固定されたシリコンウエハ等の基板、14はシールド部材11の上部かつウエハステージ12上の基板13に対向して配置されたターゲット、15はターゲット14の上方に設けられターゲット14を磁力により固定するためのマグネット、16はターゲット14にスパッタリング電力P(W)を印加する電源、17は基板13上に形成されたプラズマ、18はスパッタ粒子である。
このLTS装置は、アスペクト比が0.5〜4程度のホールに対しても厚みが均一な貴金属膜を成膜することができる。
【特許文献1】特開2004−348906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のLTS装置により成膜された電極では、ホールの中心部においては、ターゲットのセンタ部分からはもちろんのこと、ターゲットの両サイド(ターゲットエッジ)からもスパッタ粒子がホール内に斜めに入射するために対称的に成膜されるが、ホールの両端部においては、そのホールの直上(ターゲットエッジ)からの入射が主となり、さらにターゲットセンタ、反対側のターゲットエッジからの斜め入射により成膜され、したがって、ホール内に成膜される電極の厚みがホールの両サイドで互いに異なった非対称なものとなるという問題点があった。
このように、電極の厚みが非対称となった場合には、後工程で熱処理により結晶化した場合、電極が断線する虞があり、電極、すなわち記憶素子の信頼性を低下させる虞があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、基板に形成されたホールの内部にスパッタリングにより成膜した貴金属膜の厚みを、ホールの両サイドで対称なものとすることができ、したがって、貴金属膜に断線等の不具合が生じる虞がなく、信頼性をより向上させることができる貴金属膜の成膜装置及び貴金属膜の成膜方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、基板に形成されたホール内に貴金属膜をスパッタリングにより成膜する方法について鋭意検討を行った結果、貴金属膜と同一組成のターゲットの直径をT、このターゲットと基板との間の距離をLとした場合に、距離Lとターゲットの直径Tとの比L/Tを、0.5以上かつ1.5以下とすれば、ホール内に成膜した貴金属膜の厚みを、ホールの両サイドで対称なものとすることができ、よって、貴金属膜に断線等の不具合が生じる虞もなくなり、信頼性をより向上させることが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の貴金属膜の成膜装置は、基板に形成されたホールの内部に絶縁膜を介して貴金属膜をスパッタリングにより成膜する装置であって、真空チャンバ内に配置されるターゲットと、この真空チャンバ内かつ前記ターゲットに対向して配置される基板固定用のステージと、前記ターゲットにスパッタリング電力P(W)を印加する電源とを備え、前記ターゲットの直径をT、このターゲットと前記ステージ上の基板との間の距離をLとした場合に、前記距離Lと前記ターゲットの直径Tとの比L/Tを、0.5以上かつ1.5以下の範囲で変更可能としたことを特徴とする。
【0009】
この貴金属膜の成膜装置は、前記ステージにバイアス電力を印加する電源を設けてなることを特徴とする。
【0010】
本発明の貴金属膜の成膜方法は、基板に形成されたホールの内部に絶縁膜を介して貴金属膜をスパッタリングにより成膜する方法であって、
前記貴金属膜と同一組成のターゲットの直径をT、このターゲットと前記基板との間の距離をLとした場合に、前記距離Lと前記ターゲットの直径Tとの比L/Tを、0.5以上かつ1.5以下としたことを特徴とする。
【0011】
前記基板にバイアス電力を印加し、前記ターゲットにスパッタリング電力を印加することが好ましい。
前記基板の表面積をS(cm)、そのバイアス電力をP(W)、前記ターゲットの表面積をS(cm)、そのスパッタリング電力をP(W)としたとき、前記基板のパワー密度Dsの前記ターゲットのパワー密度Dtに対する比Ds/Dtは、下記の式(1)
0≦Ds/Dt=(P×S)/(P×S)≦0.3 …(1)
を満たすことが好ましい。
【0012】
前記基板のパワー密度Ds及び前記ターゲットのパワー密度Dtを最適化することにより、前記ホール内に前記貴金属膜を密に充填することが好ましい。
前記貴金属膜は、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Agの群から選択される1種または2種以上を含有してなることが好ましい。
前記貴金属膜は、不揮発性半導体記憶素子の導電膜であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の貴金属膜の成膜装置によれば、ターゲットの直径をT、このターゲットとステージ上の基板との間の距離をLとした場合に、この距離Lとターゲットの直径Tとの比L/Tを、0.5以上かつ1.5以下の範囲で変更可能としたので、ホールの両端部においても、このホール内に成膜される貴金属膜の厚みをホールの両サイドにて対称となるように成膜することができる。したがって、この貴金属膜を熱処理して結晶化した場合においても、亀裂、破断等が生じる虞が無く、しかも信頼性が向上した貴金属膜を成膜することができる。
【0014】
本発明の貴金属膜の成膜方法によれば、貴金属膜と同一組成のターゲットの直径をT、このターゲットと前記基板との間の距離をLとした場合に、この距離Lとターゲットの直径Tとの比L/Tを、0.5以上かつ1.5以下としたので、ホールの両端部においても、このホール内に成膜される貴金属膜の厚みをホールの両サイドにて対称なものとすることができる。したがって、この貴金属膜を熱処理して結晶化した場合においても、貴金属膜に亀裂、破断等が生じる虞が無く、この貴金属膜の信頼性を向上させることができる。
さらに、この貴金属膜をFeRAM等の不揮発性抵抗変化型記憶素子等の不揮発性半導体記憶素子に適用すれば、この記憶素子の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の貴金属膜の成膜装置及び貴金属膜の成膜方法を実施するための最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0016】
「第1の実施形態」
図1は、本発明の第1の実施形態の貴金属膜の成膜装置であるロングスロースパッタリング(LTS)装置を示す概略断面図であり、基板に形成されたホールの内部に絶縁膜を介して貴金属膜をスパッタリングにより成膜する装置である。
【0017】
図において、21は真空チャンバ(図示略)内に設けられ2つの筒状部材21a、21bにより構成された略円筒状のシールド部材、22はシールド部材21の下方に設けられた静電チャック付きステージ、23はステージ22に静電チャックにより固定された基板、24はシールド部材21の上部かつステージ22上の基板23に対向して配置されたターゲット、25はターゲット24の上方に設けられターゲット24を磁力により固定するためのマグネット、26はターゲット24にスパッタリング電力P(W)を印加する電源、27は基板23上に形成されたプラズマ、28はターゲット24から叩き出された貴金属イオン、29はアルゴン等の中性粒子である。
【0018】
このターゲット24と基板23との間の距離をL(m)、このターゲット24の直径をT(m)とすると、この距離Lとターゲット24の直径Tとの比L/Tは、0.5以上かつ1.5以下、好ましくは0.7以上かつ1.3以下の範囲で変更可能とされている。
【0019】
このターゲット24としては、成膜する貴金属膜と同一組成の材料からなるターゲット材が好適であり、例えば、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Agの群から選択される1種または2種以上を含有してなるターゲット材が好適に用いられる。より具体的には、Pt及び不可避不純物からなるPtターゲット、Pt−Rh合金からなるPt−Rhターゲット、Pt−Ru合金からなるPt−Ruターゲット、Ag−Pd合金からなるAg−Pdターゲット等が挙げられる。
【0020】
基板23としては、貴金属膜を成膜するためのホールを有するものであればよく、例えば、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory:不揮発性抵抗変化型記憶素子)を作製する際に用いられるシリコンウエハが挙げられる。
図2は、FeRAM用のシリコンウエハを示す断面図であり、このシリコンウエハ31の表面31aには、ホール32が複数本互いに平行に形成され、これら表面31a上及びホール32、32の内面には、酸化処理により生成された酸化ケイ素からなる絶縁膜33が形成されている。このホール32の形状としては、例えば、幅(W)が0.05〜1μm、深さ(D)が0.05〜4μmである。
【0021】
次に、上記のLTS装置を用いて、図2に示すシリコンウエハ31のホール32内に貴金属膜を成膜する。
この成膜に際しては、電源26を用いてターゲット24にスパッタリング電力P(W)を印加して基板23上にプラズマを生じさせ、ターゲット24から叩き出された貴金属イオン28を基板23上に堆積させる。
【0022】
このスパッタリングの際に、距離Lとターゲット24の直径Tとの比L/T、及びスパッタリング電力P(W)を最適化することにより、図3に示すように、ターゲット24から叩き出される貴金属イオン28の入射方向の成膜圧力を高め、この貴金属イオン28をホール32内で散乱させ、ホール32内の絶縁膜33上に貴金属膜34を成膜する。
貴金属イオン28は、ホール32内で散乱する間に、その進行方向がランダムとなり、貴金属イオン28個々の進行方向が全体で均らされたものとなり、その結果、ホール32内の貴金属膜34の膜厚がホール32の両サイドで互いに略一致したものとなり、貴金属膜34の対称性が向上する。
以上により、図4に示すように、シリコンウエハ31のホール32の絶縁膜33上に対称性に優れた貴金属膜34を成膜することができる。
【0023】
次に、本実施形態の貴金属膜のスパッタリング方法について、本発明者等が行った実験結果について説明する。
図5は、シリコンウエハのホールの絶縁膜上にPt膜を成膜したときの、ターゲットとシリコンウエハとの間の距離L(m)とターゲットの直径T(m)との比L/Tと、被覆率(t/t)及びスパッタリングレートとの関係を示す図である。ここで、被覆率(t/t)とは、ホールの絶縁膜上にPt膜を成膜したとき、ホールの底面に成膜されたPt膜の膜厚(t)と、ホール外の絶縁膜上に成膜されたPt膜の膜厚(t)との比である。
ここでは、Ptターゲットの直径を300mm、電源26のDC電力を1.0kW、シリコンウエハの温度を300℃とした。
【0024】
図5によれば、Pt膜の面内均一性を確保するために被覆率(t/t)を0.57以上とした場合、L/Tは0.5以上となる。また、Pt膜の生産性を考慮してスパッタリングレートを1.0とした場合、L/Tは1.4以下となる。したがって、被覆率(t/t)及びスパッタリングレートの双方を満足するL/Tの範囲は、0.5以上かつ1.4以下、好ましくは0.6以上かつ1.2以下となる。
【0025】
以上説明したように、本実施形態のLTS装置によれば、ターゲット24とシリコンウエハ31との間の距離をL(m)、このターゲット24の直径をT(m)としたとき、この距離Lとターゲット24の直径Tとの比L/Tを、0.5以上かつ1.5以下の範囲で変更可能としたので、スパッタリングレートを最適条件に維持したまま、シリコンウエハ31のホール32の絶縁膜33上に対称性に優れた貴金属膜34を成膜することができる。
【0026】
本実施形態の貴金属膜の成膜方法によれば、貴金属膜34と同一組成のターゲットの直径をT、このターゲットとシリコンウエハ31との間の距離をLとした場合に、この距離Lとターゲットの直径Tとの比L/Tを、0.5以上かつ1.5以下としたので、ホール32の両端部においても、このホール32内に成膜される貴金属膜34の厚みをホール32の両サイドにて対称なものとすることができる。したがって、この貴金属膜34を熱処理して結晶化した場合においても、貴金属膜34に亀裂、破断等が生じる虞が無く、この貴金属膜34の信頼性を向上させることができる。
さらに、この貴金属膜34をFeRAM等の不揮発性抵抗変化型記憶素子等の不揮発性半導体記憶素子に適用すれば、この記憶素子の信頼性を向上させることができる。
【0027】
「第2の実施形態」
図6は、本発明の第2の実施形態の貴金属膜の成膜装置であるバイアス−ロングスロースパッタリング(B−LTS)装置を示す概略断面図であり、本実施形態のB−LTS装置が第1の実施形態のLTS装置と異なる点は、ステージ22に高周波のバイアス電力を印加する電源41を設けた点であり、その他の構成要素については第1の実施形態のLTS装置と全く同様であるから説明を省略する。
【0028】
次に、上記のB−LTS装置を用いて、図2に示すシリコンウエハ31のホール32内に貴金属膜を成膜する。
この成膜に際しては、対称性に優れた緻密な貴金属膜を成膜するために、電源41を用いて基板23にバイアス電力P(W)を印加するとともに、電源26を用いてターゲット24にスパッタリング電力P(W)を印加して基板23上にプラズマを生じさせ、ターゲット24から叩き出された貴金属イオン28を基板23上に堆積させる。
【0029】
これらバイアス電力P(W)及びスパッタリング電力P(W)を最適化するためには、基板23の表面積をS(cm)、そのバイアス電力をP(W)、ターゲット24の表面積をS(cm)、そのスパッタリング電力をP(W)としたとき、基板23のパワー密度Dsのターゲット24のパワー密度Dtに対する比Ds/Dtは、下記の式(1)
0≦Ds/Dt=(P×S)/(P×S)≦0.3 …(1)
を満たす必要がある。
【0030】
これらバイアス電力P(W)及びスパッタリング電力P(W)を最適化することにより、スパッタの際に貴金属イオンをホール内に引き込んで、このホール内の底部を再スパッタする。これにより、成膜過程の貴金属膜のカバレッジが向上することとなる。
以上により、対称性が優れ緻密性にも優れた貴金属膜を成膜することができる。
【0031】
次に、本実施形態の貴金属膜のスパッタリング方法について、本発明者等が行った実験結果について説明する。
図7は、シリコンウエハのホールの絶縁膜上にPt膜を成膜したときの、シリコンウエハのパワー密度Dsのターゲットのパワー密度Dtに対する比Ds/Dtと、被覆率(t/t)との関係を示す図である。
ここでは、Ptターゲットの直径を300mm、電源26のDC電力を1.0kW、電源41の高周波電力を0.1kW、シリコンウエハの温度を300℃とした。
【0032】
図7によれば、Pt膜の面内均一性を確保するために被覆率(t/t)を0.7以上とした場合、(P×S)/(P×S)は0.3以下となる。したがって、基板23のパワー密度Dsのターゲット24のパワー密度Dtに対する比Ds/Dtは、上記の式(1)を満たすことが分かる。
【0033】
本実施形態のB−LTS装置においても、第1の実施形態のLTS装置と同様の効果を奏することができる。
特に、ステージ22にバイアス電力を印加する電源41を設けたので、成膜過程の貴金属膜のカバレッジを向上させることができ、対称性がさらに優れた緻密な貴金属膜を成膜することができる。
【0034】
本実施形態の貴金属膜の成膜方法によれば、基板23の表面積をS(cm)、そのバイアス電力をP(W)、ターゲット24の表面積をS(cm)、そのスパッタリング電力をP(W)としたとき、基板23のパワー密度Dsのターゲット24のパワー密度Dtに対する比Ds/Dtが、下記の式(1)
0≦Ds/Dt=(P×S)/(P×S)≦0.3 …(1)
を満たすとしたので、成膜過程の貴金属膜のカバレッジを向上させることができ、対称性に優れた緻密な貴金属膜を成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態のLTS装置を示す概略断面図である。
【図2】FeRAM用のシリコンウエハを示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の貴金属膜の成膜過程を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の貴金属膜の成膜過程を示す断面図である。
【図5】比L/Tと、被覆率(t/t)及びスパッタリングレートとの関係を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施形態のB−LTS装置を示す概略断面図である。
【図7】比(P×S)/(P×S)と、被覆率(t/t)との関係を示す図である。
【図8】従来のFeRAMの電極構造の一例を示す断面図である。
【図9】従来のLTS装置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
21 シールド部材
21a、21b 筒状部材
22 ステージ
23 基板
24 ターゲット
25 マグネット
26 電源
27 プラズマ
28 貴金属イオン
29 中性粒子
31 シリコンウエハ
31a 表面
32 ホール
33 絶縁膜
41 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成されたホールの内部に絶縁膜を介して貴金属膜をスパッタリングにより成膜する装置であって、
真空チャンバ内に配置されるターゲットと、この真空チャンバ内かつ前記ターゲットに対向して配置される基板固定用のステージと、前記ターゲットにスパッタリング電力P(W)を印加する電源とを備え、
前記ターゲットの直径をT、このターゲットと前記ステージ上の基板との間の距離をLとした場合に、前記距離Lと前記ターゲットの直径Tとの比L/Tを、0.5以上かつ1.5以下の範囲で変更可能としたことを特徴とする貴金属膜の成膜装置。
【請求項2】
前記ステージにバイアス電力を印加する電源を設けてなることを特徴とする請求項1記載の貴金属膜の成膜装置。
【請求項3】
基板に形成されたホールの内部に絶縁膜を介して貴金属膜をスパッタリングにより成膜する方法であって、
前記貴金属膜と同一組成のターゲットの直径をT、このターゲットと前記基板との間の距離をLとした場合に、前記距離Lと前記ターゲットの直径Tとの比L/Tを、0.5以上かつ1.5以下としたことを特徴とする貴金属膜の成膜方法。
【請求項4】
前記基板にバイアス電力を印加し、前記ターゲットにスパッタリング電力を印加することを特徴とする請求項3記載の貴金属膜の成膜方法。
【請求項5】
前記基板の表面積をS(cm)、そのバイアス電力をP(W)、前記ターゲットの表面積をS(cm)、そのスパッタリング電力をP(W)としたとき、前記基板のパワー密度Dsの前記ターゲットのパワー密度Dtに対する比Ds/Dtは、下記の式(1)
0≦Ds/Dt=(P×S)/(P×S)≦0.3 …(1)
を満たすことを特徴とする請求項4記載の貴金属膜の成膜方法。
【請求項6】
前記基板のパワー密度Ds及び前記ターゲットのパワー密度Dtを最適化することにより、前記ホール内に前記貴金属膜を密に充填することを特徴とする請求項5記載の貴金属膜の成膜方法。
【請求項7】
前記貴金属膜は、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Au、Agの群から選択される1種または2種以上を含有してなることを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項記載の貴金属膜の成膜方法。
【請求項8】
前記貴金属膜は、不揮発性半導体記憶素子の導電膜であることを特徴とする請求項3ないし7のいずれか1項記載の貴金属膜の成膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−249670(P2009−249670A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−97456(P2008−97456)
【出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】