説明

質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定するための方法および装置

質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定するための方法および装置が記載される。一実施形態は、別個の温度センサに頼ることなく、ガスの温度情報を質量流量コントローラの質量流量センサから引き出す。この実施形態は、実質的に一定の電流を質量流量コントローラの熱式質量流量センサに供給し、熱式質量流量センサは、ガスの質量流量レートを測定するように設計されており、現在の入力電圧を取得するために、熱式質量流量センサの入力電圧を測定する。入力電圧は、熱式質量流量センサの一対の感知要素の間の温度差によって変化する。ガスの質量流量レートに依存する現在の入力電圧の成分を計上することによって、調整入力電圧を計算し、調整入力電圧に基づいてガスの温度を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、概して質量流量コントローラに関し、特に、限定ではなく、質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
典型的な質量流量コントローラ(mass flow controller;MFC)は、熱式および乾式エッチングなどの工業プロセスにおいてガスの流れを設定し、測定し、そして制御する閉ループデバイスである。MFCの重要な部分は、デバイスを通って流れるガスの質量流量レート(rate)を測定するセンサである。MFCは、センサからの出力信号を所定の設定値と比較し、ガスの質量流量レートを所定の設定値に維持するように制御バルブを調整する。
【0003】
MFCの一部の特性は、温度によってドリフトする傾向がある。例えば、質量流量センサの出力は、ガスがデバイスを通って流れていないときに、温度によって変化し得る(「ゼロシフト」と呼ばれる現象)。MFCを通って流れるガスの温度が既知の場合には、MFCは、ゼロシフトなどの温度依存の不正確性に対して補償することができる。従って、MFCの性能を温度に対してより敏感でないようにするためには、MFCが、ガス温度を測定し得ることが望ましい。しかしながら、温度センサをMFCに追加することは、その複雑性およびコストを増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、MFCにおいてガスの温度を測定するための改善された方法および装置に対する当該分野のニーズが存在することは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の概要)
図面に示される本発明の例示的な実施形態が以下で要約される。これらの実施形態および他の実施形態は、詳細な説明の節においてさらに完全に記載される。しかしながら、この発明の概要または詳細な説明において記載される形態に本発明を限定する意図がないことは理解される。当業者は、数多くの修正、均等物、および代替の構造が、特許請求の範囲において表現される本発明の精神および範囲の内にあることを認識することができる。
【0006】
本発明は、質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定するための方法および装置を提供することができる。例示的な一実施形態は方法であり、該方法は、実質的に一定の電流を該質量流量コントローラの熱式質量流量センサに供給することであって、該熱式質量流量センサは、該ガスの質量流量レートを測定するように設計されている、ことと、現在の入力電圧を取得するために、該熱式質量流量センサの入力電圧を測定することであって、該入力電圧は、該熱式質量流量センサの一対の感知要素の間の温度差によって変化する、ことと、該ガスの該質量流量レートに依存する該現在の入力電圧の成分を計上することによって、調整入力電圧を計算することと、該調整入力電圧に基づいて該ガスの温度を計算することとを包含する。
【0007】
別の例示的な実施形態は、質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定する温度測定サブシステムであり、該温度測定サブシステムは、一対の感知要素を含む熱式質量流量センサであって、該質量流量コントローラを通って流れるガスの質量流量レートを測定するように設計されており、該熱式質量流量センサの入力電圧は、該一対の感知要素の間の温度差によって変化する、熱式質量流量センサと、実質的に一定の電流を該熱式質量流量センサに供給するように構成される電流源と、制御論理であって、現在の入力電圧を取得するために、該熱式質量流量センサの該入力電圧を測定し、該ガスの該質量流量レートに依存する該現在の入力電圧の成分を計上することによって、調整入力電圧を計算し、該調整入力電圧に基づいて該ガスの温度を計算するように構成される、制御論理とを備える。
【0008】
別の例示的な実施形態は、質量流量コントローラであり、該質量流量コントローラは、該質量流量コントローラを通って流れるガスの質量流量レートを測定するように設計された熱式質量流量センサであって、該熱式質量流量センサは、一対の感知要素を含み、該熱式質量流量センサの入力電圧は、該一対の感知要素の間の温度差によって変化する、熱式質量流量センサと、実質的に一定の電流を該熱式質量流量センサに供給するように構成される電流源と、該ガスが流れることができるメインフローおよびセンサ経路を含むバイパスと、該バイパスを通る該ガスの該質量流量レートを制御する制御バルブと、質量流量制御論理であって、該熱式質量流量センサによって測定されるときに、該ガスの該質量流量レートを所定の設定値と比較し、該ガスの該質量流量レートを該所定の設定値に維持するために、該制御値を調整するように構成される、質量流量制御論理と、温度測定制御論理であって、現在の入力電圧を取得するために、該熱式質量流量センサの該入力電圧を測定し、該ガスの該質量流量レートに依存する該現在の入力電圧の成分を計上することによって、調整入力電圧を計算し、該調整入力電圧に基づいて該ガスの温度を計算するように構成される、温度測定制御論理とを備える。
【0009】
これらの実施形態および他の実施形態が、本明細書中にさらに詳しく記載される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の様々な目的および利点およびより完全な理解は、添付の図面とともに理解されるときに、以下の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を参照することによって、明らかとなり、さらに容易に認識される。
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態に従った、質量流量コントローラの機能ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施形態に従った、質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定する温度測定サブシステムの機能ブロック図である。
【図3】図3は、本発明の例示的な実施形態に従った、質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定するための方法のフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の別の例示的な実施形態に従った、質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定するための方法のフローチャートである。
【図5A】図5A〜図5Cは、本発明の他の例示的な実施形態に従った、質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定するための方法のフローチャートである。
【図5B】図5A〜図5Cは、本発明の他の例示的な実施形態に従った、質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定するための方法のフローチャートである。
【図5C】図5A〜図5Cは、本発明の他の例示的な実施形態に従った、質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定するための方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(詳細な説明)
本発明の例示的な実施形態においては、質量流量コントローラ(MFC)における別個の温度センサの追加的費用および複雑性が、ガス温度測定値をMFCに既に存在する質量流量レートセンサから引き出すことによって回避される。ガス温度情報は、ゼロシフトを補償し、さもなければ、MFCの温度不感応性を向上させるために用いられ得る。
【0012】
類似または同様な要素が、適切ないくつかの図にわたって同一の参照数字によって示される図面をここで参照する。特に、図1を参照すると、それは、本発明の例示的な実施形態に従った、MFC100の機能ブロック図である。一部の実施形態において、MFC100は、圧力不感応型(pressure−insensitive)質量流量コントローラ(PIMFC)である。MFC100の基部105は、ガスが流れるバイパス110を含む。バイパス110は、メイン経路115およびセンサ管120を通るガスの一定の割合を振り向ける。この実施形態においては小口径の管であるセンサ管120は、MFC100の熱式質量流量センサ123の一部分である。感知要素125および130は、センサ管120の外側の周りに巻き付けられる。例示的な一実施形態において、感知要素125および130は、電気抵抗式温度計要素である。感知要素125および130の電気抵抗は、温度によって変化する。
【0013】
感知要素125および130は、ブリッジ回路135と電気的に接続される。電流源(図1に示されない)は、感知要素125および130に実質的に一定の電流を供給し、その結果として、センサ管120の加熱をもたらす。センサ管120を通るガスの流れは、熱を上流の感知要素125から下流の感知要素130に伝達させる。この温度差に起因する抵抗の変化は、ブリッジ回路135(図1に示されない)において測定可能な出力電圧を作り出す。
【0014】
図1に示されないけれども、ブリッジ回路135の出力電圧は、増幅され、比較器、プロセッサ、または制御バルブ140の動作を制御する他の制御回路に供給される。MFC100は、ブリッジ回路135の出力電圧を指定された質量流量レートの設定値と比較し、指定された設定値を維持するように制御バルブ140を調整する。ブリッジ回路135の出力電圧は、しばしば本明細書中において熱式質量流量センサ123の出力電圧と呼ばれる。
【0015】
ブリッジ回路135の入力(励起)電圧145は、感知要素125と130との間の温度差にほぼ比例して変化する。入力電圧145は、しばしば本明細書中において熱式質量流量センサ123の入力電圧と呼ばれる。この実施形態において、入力電圧145は、増幅器回路150に供給され、増幅された入力電圧155は、アナログ−デジタル(A/D)変換器160に供給される。A/D変換器160は、増幅された入力電圧155をデジタル数字に変換し、該デジタル数字は、制御論理170に従ってプロセッサ165によって読み取られ、そして処理される。一部の実施形態において、制御論理170は、プロセッサ165の内蔵式フラッシュメモリ内に格納される。概して、プロセッサ165および制御論理170の機能性は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの任意の組み合わせにおいて実装され得る。
【0016】
制御論理170は、入力電圧145を測定し、ガスの質量流量レートに依存する測定された入力電圧の成分を計上することによって、調整入力電圧を計算し、調整入力電圧に基づいてガスの温度を計算するように構成される。一部の実施形態において、ガスの温度が既知になると、制御論理170は、計算されたガス温度に基づいて、ゼロ流量の条件下で、熱式質量流量センサ123の出力電圧の、温度による変化に対して補償する。すなわち、一部の実施形態において、制御論理170は、熱式質量流量センサ123から引き出された温度情報に基づいて、MFC100におけるゼロシフトに対して補償するように構成される。
【0017】
実際においては、基部105の温度が、実際に測定されるものであるけれども、経験上は、MFC100を通って流れるガスの温度と、基部105の温度との間の差異が無視できることを示している。従って、この詳細な説明において記載される技術は、ガス自体の温度を正確に測定するために用いられ得る。
【0018】
図2は、本発明の例示的な実施形態に従った、MFCにおいてガスの温度を測定する温度測定サブシステム200の機能ブロック図である。図2において、電流源205は、実質的に一定の電流を、ホイートストンブリッジとして周知の図2に示されるブリッジ回路135に供給する。ブリッジ回路135は、要素が接続される4つのノード(235、213、240、および223)を含む。それらの要素の中で2つの抵抗要素210および215(それぞれ、RおよびR)が固定である。例示的な一実施形態において、固定型抵抗要素210と215とは、両方とも10kオームの精密抵抗器である。図1の感知要素125および130と関連づけられる温度依存の抵抗は、抵抗220および225(SおよびS)として図2にそれぞれ示される。当業者は、感知要素125および130が1つのノード、ノード223を共通に有することに注意するであろう。
【0019】
上記のように、出力電圧230は、制御バルブ140の動作を制御するために、MFC100を通る質量流量を測定することに用いられる。この例示的な実施形態において、出力電圧230は、ノード213に対するノード223の電位である。出力電圧230がどのように増幅され、処理されるかについての詳細が図2に示されないことにより、ガス温度測定用の熱式質量流量センサ123の入力電圧145の使用に対してより明瞭な焦点を提供する。
【0020】
上記のように、入力電圧145(ノード240に対するノード235の電位)は、制御論理170によってMFC100内のガスの温度を計算することに用いられる。入力電圧145からガス温度を計算することに関するさらなる詳細は以下で提供される。
【0021】
図3は、本発明の例示的な実施形態に従った、MFCにおいてガスの温度を測定するための方法のフローチャートである。305において、電流源205は、実質的に一定の電流を熱式質量流量センサ123に供給する。310において、制御論理170は、現在の入力電圧を取得するために、熱式質量流量センサ123の入力電圧145を測定する。315において、制御論理170は、MFC100を通って流れるガスの質量流量レートに依存する現在の入力電圧の成分を計上することによって、調整入力電圧を計算する。320において、制御論理170は、調整入力電圧に基づいてガスの温度を計算する。プロセスは325において終了する。
【0022】
図4は、本発明の別の例示的な実施形態に従った、MFCにおいてガスの温度を測定するための方法のフローチャートである。図4の実施形態において、該方法は、図3に示されるようにブロック320を通って進行する。405において、制御論理170は、320で計算されたガス温度に基づいて、ゼロ流量の条件(ゼロシフト)下で、熱式質量流量センサ123の出力電圧230の、温度による変化に対して補償する。410において、プロセスは終了する。
【0023】
図5A〜図5Cは、本発明の他の例示的な実施形態に従った、MFCにおいてガスの温度を測定するための方法のフローチャートである。
【0024】
最初に図5Aを考察する。505において、電流源205は、実質的に一定の電流を熱式質量流量センサ123に供給する。510において、制御論理170は、第一の電圧Vを取得するために、第一の所定の流量条件下で熱式質量流量センサ123の入力電圧145を測定する。一実施形態において、第一の所定の流量条件は、ゼロ流量の条件(すなわち、ガスがMFC100を通って流れていない)である。515において、制御論理170は、第二の電圧Vを取得するために、第二の所定の流量条件下で入力電圧145を測定する。一実施形態において、第二の所定の流量条件は、最大の(100パーセント)流量条件である。
【0025】
520において、制御論理170は、第二の電圧を第一の電圧から減算して、電圧差分(ΔV=V−V)を取得する。525において、制御論理170は、第三の電圧Vを取得するために、MFC100の基部105が所定の上限の温度Tにあるときに、入力電圧145を測定する。一実施形態において、所定の上限の温度は55℃である。530において、制御論理170は、第四の電圧Vを取得するために、MFC100の基部105が所定の下限の温度Tにあるときに、入力電圧145を測定する。一実施形態において、所定の下限の温度は35℃である。
【0026】
当業者は、図5Aのブロック510〜ブロック530が事前に実行され得、V、V、V、V、T、およびTが、ガス温度を計算することに後で使用するためにメモリに格納され得ることを認識する。
【0027】
次に図5Bを考察する。535において、制御論理170は、現在の(現時の)入力電圧Vを取得するために、入力電圧145を測定する。540において、制御論理170は、MFC100の現在の動作値に対応する最大流量に対する比(fraction of maximum flow;FMF)を決定する。例えば、MFC100が、現在その最大の質量流量の80パーセントで動作している場合には、対応する最大流量またはFMFに対する比は、0.8である。
【0028】
545において、制御論理170は、熱式質量流量センサ123に対して調整入力電圧Vを、
=V+ΔV(FMF)
として計算する。
【0029】
550において、制御論理170は、V、V、T、およびTに基づいて、調整入力電圧Vを、TおよびTを含んでTとTとの間の対応するガス温度Tにマッピングする。一実施形態において、マッピングは、以下の線形の関係に従って実行され、
=(V−V)/m+T
ここで、m=(V−V)/(T−T)である。
【0030】
最後に、図5Cを考察する。この例示的な実施形態において、該方法は、図5Aのようにブロック530を通り、そして図5Bのようにブロック550を通って進行する。560において、制御論理170は、計算されたガス温度Tに基づいて、ゼロシフトとしても既知のゼロ流量の条件下で、熱式質量流量センサ123の出力電圧230の、温度による変化に対して補償する。
【0031】
例示的な一実施形態において、質量流量がゼロであるときの基部105の温度Tが測定され、そして記録される。ゼロ流量の条件下で温度Tの出力電圧230(VZU)と、ゼロ流量の条件下で温度Tの出力電圧230(VZL)とがまた測定され、そして記録される。ゼロ流量に対応する出力電圧230(V)は次いで、以下の量、
(T−T)ρ
を既に格納されたVに加算し、その結果を新しいVとして格納することによって更新され得る。ここで、ρ=(VZU−VZL)/(T−T)である。
【0032】
565において、図5Cにおけるプロセスは終了する。
【0033】
一部の実施形態において、上記の計算は、プロセッサ165によってデジタル領域において実行される。そのような実施形態において、入力電圧145および出力電圧230がデジタル化され、上記の計算は、A/D変換器160の「カウント」に換算して実行される。例えば、デジタル式実装において、上記で与えられた勾配mは、Tの計算において摂氏1度あたりのカウントに対応する。同様に、デジタル式実装において、上記の勾配ρは、Vの更新において摂氏1度あたりのカウントに対応する。
【0034】
当業者は、所望の温度測定精度が、A/D変換器160に供給される増幅された入力電圧155を適切に調整し、かつ十分な分解能を有するA/D変換器160を選択することによって達成され得ることを認識する。一実施形態において、摂氏1度あたりのカウントは、5から7までの範囲にある。当業者はまた、上記の説明が、摂氏度の代わりに華氏度において測定された温度に適合され得ることを認識する。
【0035】
一部のデジタル式実装において、電圧は、複数のサンプル(例えば、100個)を採取し、そして該サンプルを平均化することによって測定される。
【0036】
上記されたような温度の計算に対するガス圧力の変化の影響は、長時間のフィルタを用いて補正され得る。周囲の条件に起因する基部105の温度の変化もまた、例えば、5秒から10秒までの時定数を有する長時間のフィルタを用いて補償され得る。
【0037】
結びとして、本発明は、特に、質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定するための方法および装置を提供する。当業者は、数多くの変形および置換が、本明細書中に記載された実施形態によって達成されることと実質的に同様の結果を達成するために、本発明、その使用、およびその構成において行われ得ることを容易に認識できる。従って、開示された例示的な形態に本発明を限定することは全く意図されない。多くの変形、修正、および代替の構造は、特許請求の範囲において表現される開示された本発明の範囲および精神の内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定するための方法であって、該方法は、
実質的に一定の電流を該質量流量コントローラの熱式質量流量センサに供給することであって、該熱式質量流量センサは、該ガスの質量流量レートを測定するように設計されている、ことと、
現在の入力電圧を取得するために、該熱式質量流量センサの入力電圧を測定することであって、該入力電圧は、該熱式質量流量センサの一対の感知要素の間の温度差によって変化する、ことと、
該ガスの該質量流量レートに依存する該現在の入力電圧の成分を計上することによって、調整入力電圧を計算することと、
該調整入力電圧に基づいて該ガスの温度を計算することと
を包含する、方法。
【請求項2】
前記計算された温度に基づいて、ゼロ流量の条件下で前記熱式質量流量センサの出力電圧の、温度による変化に対して補償することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記入力電圧は、アナログ−デジタル(A/D)変換器に供給され、前記現在の入力電圧は、該A/D変換器の出力からデジタル数字として取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ガスの前記質量流量レートに依存する前記現在の入力電圧の成分を計上することによって、調整入力電圧を計算することは、
該現在の入力電圧を取得するために、前記入力電圧を測定することの前に、
第一の電圧を取得するための第一の所定の流量条件下で該入力電圧を測定することと、
第二の電圧を取得するための第二の所定の流量条件下で該入力電圧を測定することと、
電圧差分を取得するために、該第二の電圧を該第一の電圧から減算することと、
前記質量流量コントローラの現在の動作値に対応する最大流量に対する比を決定することと、
該電圧差分と該最大流量に対する比の二乗との積を該現在の入力電圧に加算することによって、該調整入力電圧を計算することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の所定の流量条件は、ゼロ流量の条件であり、前記第二の所定の流量条件は、最大流量の条件である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記調整入力電圧に基づいて前記ガスの温度を計算することは、
前記現在の入力電圧を取得するために、前記入力電圧を測定することの前に、
前記質量流量コントローラの基部が第一の電圧を取得するための所定の上限の温度にあるときに、該入力電圧を測定することと、
該質量流量コントローラの該基部が第二の電圧を取得するための所定の下限の温度にあるときに、該入力電圧を測定することと、
該調整入力電圧を、該第一の電圧および該第二の電圧ならびに該所定の上限の温度および該所定の下限の温度に基づいて、下限および上限の温度を含んで該所定の下限の温度と該所定の上限の温度との間の温度にマッピングすることと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記マッピングすることは、線形的である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定するための方法であって、該方法は、
実質的に一定の電流を該質量流量コントローラの熱式質量流量センサに供給することであって、該熱式質量流量センサは、該ガスの質量流量レートを測定するように設計されており、該熱式質量流量センサの入力電圧は、該熱式質量流量センサの一対の感知要素の間の温度差によって変化する、ことと、
第一の電圧を取得するために、第一の所定の流量条件下で該入力電圧を測定することと、
第二の電圧を取得するために、第二の所定の流量条件下で該入力電圧を測定することと、
電圧差分を取得するために、該第二の電圧を該第一の電圧から減算することと、
該質量流量コントローラの基部が第三の電圧を取得するための所定の上限の温度にあるときに、該入力電圧を測定することと、
該質量流量コントローラの基部が第四の電圧を取得するための所定の下限の温度にあるときに、該入力電圧を測定することと、
現在の入力電圧を取得するために、該入力電圧を測定することと、
該質量流量コントローラの現在の動作値に対応する最大流量に対する比を決定することと、
該電圧差分と該最大流量に対する比の二乗との積を該現在の入力電圧に加算することによって、調整入力電圧を計算することと、
該調整入力電圧を、該第三の電圧および該第四の電圧ならびに該所定の上限の温度および該所定の下限の温度に基づいて、下限および上限の温度を含んで該所定の下限の温度と該所定の上限の温度との間の現在のガス温度にマッピングすることと
を包含する、方法。
【請求項9】
前記現在のガス温度に基づいて、ゼロ流量の条件下で前記熱式質量流量センサの出力電圧の、温度による変化に対して補償することをさらに包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第一の所定の流量条件は、ゼロ流量の条件であり、前記第二の所定の流量条件は、最大流量の条件である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定する温度測定サブシステムであって、該温度測定サブシステムは、
一対の感知要素を含む熱式質量流量センサであって、該質量流量コントローラを通って流れるガスの質量流量レートを測定するように設計されており、該熱式質量流量センサの入力電圧は、該一対の感知要素の間の温度差によって変化する、熱式質量流量センサと、
実質的に一定の電流を該熱式質量流量センサに供給するように構成される電流源と、
制御論理であって、
現在の入力電圧を取得するために、該熱式質量流量センサの該入力電圧を測定し、
該ガスの該質量流量レートに依存する該現在の入力電圧の成分を計上することによって、調整入力電圧を計算し、
該調整入力電圧に基づいて該ガスの温度を計算するように
構成される、制御論理と
を備える、温度測定サブシステム。
【請求項12】
前記制御論理は、前記計算された温度に基づいて、ゼロ流量の条件下で前記熱式質量流量センサの出力電圧の、温度による変化に対して補償するように構成される、請求項11に記載の温度測定サブシステム。
【請求項13】
増幅された入力電圧を作り出すために、前記入力電圧を増幅する増幅器と、
該増幅された入力電圧をデジタル数字に変換するアナログ−デジタル変換器と
をさらに備える、請求項11に記載の温度測定サブシステム。
【請求項14】
前記熱式質量流量センサは、
ガスが該質量流量コントローラを通って流れるときには、ガスの実質的に一定の割合が流れる管と、
該管に沿った第一の位置および第二の位置においてそれぞれ該管の外側の周りに巻き付けられた第一の電気抵抗式温度計要素および第二の電気抵抗式温度計要素と、
第一のノード、第二のノード、第三のノード、および第四のノードを有するブリッジ回路であって、第一の所定の抵抗性構成要素は、該第一のノードと該第二のノードとの間に接続され、第二の所定の抵抗性構成要素は、該第二のノードと該第三のノードとの間に接続され、該第一の電気抵抗式温度計要素は、該第一のノードと該第四のノードとの間に接続され、該第二の電気抵抗式温度計要素は、該第四のノードと該第三のノードとの間に接続されている、ブリッジ回路と
を含む、
請求項11に記載の温度測定サブシステム。
【請求項15】
前記第三のノードは、所定の基準電位にあり、前記入力電圧は、該第三のノードに対して前記第一のノードにおいて測定される、請求項11に記載の温度測定サブシステム。
【請求項16】
前記調整入力電圧を計算することにおいて、前記制御論理は、
前記現在の入力電圧を取得するために、前記入力電圧を測定することの前に、第一の電圧を取得するための第一の所定の流量条件下で該入力電圧を測定し、
該現在の入力電圧を取得するために、該入力電圧を測定することの前に、第二の電圧を取得するための第二の所定の流量条件下で該入力電圧を測定し、
電圧差分を取得するために、該第二の電圧を該第一の電圧から減算し、
前記質量流量コントローラの現在の動作値に対応する最大流量に対する比を決定し、
該電圧差分と該最大流量に対する比の二乗との積を該現在の入力電圧に加算することによって、該調整入力電圧を計算するように
構成される、
請求項11に記載の温度測定サブシステム。
【請求項17】
前記第一の所定の流量条件は、ゼロ流量の条件であり、前記第二の所定の流量条件は、最大流量の条件である、請求項16に記載の温度測定サブシステム。
【請求項18】
前記ガスの温度を計算することにおいて、前記制御論理は、
前記現在の入力電圧を取得するために、前記入力電圧を測定することの前に、前記質量流量コントローラの基部が第一の電圧を取得するための所定の上限の温度にあるときに、該入力電圧を測定し、
該現在の入力電圧を取得するために、該入力電圧を測定することの前に、該質量流量コントローラの該基部が第二の電圧を取得するための所定の下限の温度にあるときに、該入力電圧を測定し、
該調整入力電圧を、該第一の電圧および該第二の電圧ならびに該所定の上限の温度および該所定の下限の温度に基づいて、下限および上限の温度を含んで該所定の下限の温度と該所定の上限の温度との間の温度にマッピングするように
構成される、
請求項11に記載の温度測定サブシステム。
【請求項19】
前記制御論理は、前記調整入力電圧を、下限および上限の温度を含んで前記所定の下限の温度と前記所定の上限の温度との間の温度に線形にマッピングするように構成される、請求項18に記載の温度測定サブシステム。
【請求項20】
前記制御論理は、プロセッサによって実行可能な格納型プログラムの命令を含む、請求項11に記載の温度測定サブシステム。
【請求項21】
質量流量コントローラにおいてガスの温度を測定する温度測定サブシステムであって、該温度測定サブシステムは、
該質量流量コントローラを通って流れるガスの質量流量レートを測定するように設計された熱式質量流量センサであって、該熱式質量流量センサは、
ガスが該質量流量コントローラを通って流れるときには、ガスの実質的に一定の割合が流れる管と、
該管に沿った第一の位置および第二の位置においてそれぞれ該管の外側の周りに巻き付けられた第一の電気抵抗式温度計要素および第二の電気抵抗式温度計要素と、
第一のノード、第二のノード、第三のノード、および第四のノードを有するブリッジ回路であって、第一の所定の抵抗性構成要素は、該第一のノードと該第二のノードとの間に接続され、第二の所定の抵抗性構成要素は、該第二のノードと該第三のノードとの間に接続され、該第一の電気抵抗式温度計要素は、該第一のノードと該第四のノードとの間に接続され、該第二の電気抵抗式温度計要素は、該第四のノードと該第三のノードとの間に接続され、該第三のノードに対する該第一のノードにおける該熱式質量流量センサの入力電圧は、該第一の電気抵抗式温度計要素と該第二の電気抵抗式温度計要素との間の温度差によって変化する、ブリッジ回路と
を含む、熱式質量流量センサと、
実質的に一定の電流を該熱式質量流量センサに供給するように構成される電流源と、
制御論理であって、
第一の電圧を取得するために、第一の所定の流量条件下で該入力電圧を測定し、
第二の電圧を取得するために、第二の所定の流量条件下で該入力電圧を測定し、
電圧差分を取得するために、該第二の電圧を該第一の電圧から減算し、
該質量流量コントローラの基部が第三の電圧を取得するための所定の上限の温度にあるときに、該入力電圧を測定し、
該質量流量コントローラの基部が第四の電圧を取得するための所定の下限の温度にあるときに、該入力電圧を測定し、
現在の入力電圧を取得するために、該入力電圧を測定し、
該質量流量コントローラの現在の動作値に対応する最大流量に対する比を決定し、
該電圧差分と該最大流量に対する比の二乗との積を該現在の入力電圧に加算することによって、調整入力電圧を計算し、
該調整入力電圧を、該第三の電圧および該第四の電圧ならびに該所定の上限の温度および該所定の下限の温度に基づいて、下限および上限の温度を含んで該所定の下限の温度と該所定の上限の温度との間の現在のガス温度にマッピングするように
構成される、制御論理と
を備える、温度測定サブシステム。
【請求項22】
前記制御論理は、前記現在のガス温度に基づいて、ゼロ流量の条件下で前記熱式質量流量センサの出力電圧の、温度による変化に対して補償するように構成される、請求項21に記載の質量流量コントローラ。
【請求項23】
増幅された入力電圧を作り出すために、前記入力電圧を増幅する増幅器と、
該増幅された入力電圧をデジタル数字に変換するアナログ−デジタル変換器と
をさらに備える、請求項21に記載の質量流量コントローラ。
【請求項24】
質量流量コントローラを通って流れるガスの質量流量レートを測定するように設計された熱式質量流量センサであって、該熱式質量流量センサは、一対の感知要素を含み、該熱式質量流量センサの入力電圧は、該一対の感知要素の間の温度差によって変化する、熱式質量流量センサと、
実質的に一定の電流を該熱式質量流量センサに供給するように構成される電流源と、
該ガスが流れることができるメインフローおよびセンサ経路を含むバイパスと、
該バイパスを通る該ガスの該質量流量レートを制御する制御バルブと、
質量流量制御論理であって、
該熱式質量流量センサによって測定されるときに、該ガスの該質量流量レートを所定の設定値と比較し、
該ガスの該質量流量レートを該所定の設定値に維持するために、該制御値を調整するように
構成される、質量流量制御論理と、
温度測定制御論理であって、
現在の入力電圧を取得するために、該熱式質量流量センサの該入力電圧を測定し、
該ガスの該質量流量レートに依存する該現在の入力電圧の成分を計上することによって、調整入力電圧を計算し、
該調整入力電圧に基づいて該ガスの温度を計算するように
構成される、温度測定制御論理と
を備える、質量流量コントローラ。
【請求項25】
前記温度測定制御論理は、前記計算された温度に基づいて、ゼロ流量の条件下で前記熱式質量流量センサの出力電圧の、温度による変化に対して補償するように構成される、請求項24に記載の質量流量コントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2010−520459(P2010−520459A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551850(P2009−551850)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/055291
【国際公開番号】WO2008/109339
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(597112542)アドバンスト・エナジー・インダストリーズ・インコーポレイテッド (28)
【氏名又は名称原語表記】Advanced Energy Industries, Inc.
【Fターム(参考)】