説明

赤外線カメラ・システムを用いて検査を実施する及び化学物質漏出を検出するためのシステム及び方法

化学物質を中に有する構成要素から発する化学物質(140)の視覚的画像を提供するように適合されたパッシブ赤外線カメラ・システム(22)が開示される。パッシブ赤外線カメラ・システム(22)は、レンズ(38)、冷却される部分(42)、及び冷却システム(60)を含む。冷却される部分(42)は、中に赤外線センサ・デバイス(44)及び光バンドパス・フィルタ(46)を有する。赤外線センサ・デバイス(44)は、レンズ(38)から赤外線画像を取り込むように適合される。光バンドパス・フィルタ(46)は、レンズ(38)と赤外線センサ・デバイス(44)の間の光路に沿って配置される。光バンドパス・フィルタ(46)の通過帯域(80)の少なくとも一部は、化学物質の吸収帯域(例えば、71,72)内にある。冷却システム(60)は、赤外線カメラ・システム(22)の冷却される部分(42)を冷却するように適合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的に、赤外線(IR)カメラ・システムを用いて化学物質、ガス、及び石油製品漏出を視覚的に検出及び識別することに関連する。
(関連出願)
本出願は同じ所有者の以下の米国仮特許出願の優先権の利益を主張するものであり、これら全ては参照することにより本出願に組み込まれる。
1.2003年6月11日に出願の仮出願番号60/477,994、発明の名称「赤外線カメラ・システムを用いてガス漏れを検出する方法」、
2.2003年6月23日に出願の仮出願番号60/482,070、発明の名称「赤外線カメラ・システムを用いてガス漏れを検出する方法」、及び
3.2004年1月30日に出願の仮出願番号60/540,679、発明の名称「赤外線カメラ・システムを用いてガス漏れを検出する方法」。
【背景技術】
【0002】
例えば、石油及びガス産業、石油化学工業、処理プラントにおいて、及び電力会社や電力供給業者にとって、漏出を修復することよりも漏出を見つけようとすることに、より多くの時間及び資金を費やしていることが多々ある。最大の問題の一つは、従来の方法を用いて漏出を見つけようとしていることである。従来の方法の多くは、検出器が漏出の上又は風下に適切に配置されない場合、漏出を完全に見落とし検出できないことがある。また、従来の方法の多くは非常に時間がかかり大きな労働力を要するため、費用がかさむことになる。従って、このような漏出を検出する、一層高速で一層正確でより費用が少なくて済む方法が非常に求められている。
【0003】
液体、気体、及び液体/気体形態の炭化水素化合物(例えば、化石燃料)などの石油製品は、パイプで輸送又は流送される。石油製品漏出についてラインを調査する、又は一般的に石油製品漏出を検出するための従来の方法は、フレーム・パック・イオナイザ(flame-pack ionizer)検出器(「嗅覚性探知機(sniffer)」デバイスと呼ぶこともある)を用いる。最近開発された別のシステムは、石油製品フューム(fumes)を検出するためにアクティブ赤外線システム(送信用赤外線源及び受信用センサを有する)を用いる。しかし、これらのようなシステムでは、検出器がその石油製品漏出の流れ又は煙(plume)の内側にある必要がある。これらの検査は、単に、検出器の地点の又はその風上にある石油製品フュームの存在を検出するだけである。これらは漏出の視覚的画像は提供しない。また、これらの従来の検査方法では、検出器が漏出に極めて近接している必要があり、これは検査員にとって危険かつ/或いは困難なこととなることがある。
【0004】
例えば、ロケット・フューム(rocket fumes)を評価するために設計された従来の赤外線システムは、焦点の合っていない不明瞭な画像を提供するため、背景の物体を判別することが難しい。例えば、広範囲の赤外線波長(例えば、3〜5ミクロン)を映し出す赤外線カメラを用いることは、小規模な漏出を検出する際には有効ではないのが典型的である。或るシステムは、最も強い強度(そのシステムによって定量化される)の波長を識別する目的で異なる波長間を走査する可変フィルタを用いる。このシステムの目的は、ロケット噴煙(rocket plume)の中で最大の強度の波長に基づいてロケット排気の化学的構成を識別しようとすることにあった。しかし、このシステムは、そのロケット排気を見るための焦点の合った視覚的画像を提供するように設計されていない。
【0005】
その他には、「ウォーム」フィルタ・セットアップ及び/又はアクティブ赤外線カメラ・システムを用いて、赤外線カメラを用いた石油製品漏出の視覚化が試みられている。ウォーム・フィルタ・セットアップは、赤外線センサに到達する光の波長を制限するために用いられるフィルタの1つであるが、そのカメラが冷却される部分を有する場合でも、このフィルタは、カメラの冷却される部分内にはない。このようなシステムでは、高速及び容易に小規模の漏出を検出することが可能な、焦点の合った画像を提供できておらず、離れた場所から(例えば、ラインの上を通るヘリコプターから)漏出を検出することもできていない。他のシステムはアクティブであり、構成要素から発する化学物質の存在を検出するために検査中のエリアを通して射出されるレーザー・ビームを必要とする。しかし、このようなシステムでは、細いレーザー・ビームが、検出されるべき漏出の流れに交差しなければならないのが典型的である。このため、このレーザー・ビームが漏出の軌道に交差しない場合、漏出は見落とされるため、このようなシステムは小規模な漏出を確実に見つけることができないことが多い。従って、既存の漏出調査方法よりも高速で一層費用効率がよく、高い信頼性で正確に漏出を発見するための視覚的検査を行う方法が必要とされている。
【0006】
米国環境保護局(EPA)は、漏出検査調査を行う際に赤外線カメラを用いる視覚的検査を可能にする規則を提案している。しかし、他の以前の及び従来のシステムによって実証された検出能力の欠如及び性能の低さのため、EPAはこのような規則をまだ施行していない。このため、EPAですら、種々の大きさの漏出を高い信頼性でかつ正確に検出するシステム又は方法を誰かが提供するのを待っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上に概要を述べた問題及び要望は、本発明の実施例によって対処され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に従って、化学物質を中に有する構成要素から発する化学物質の視覚的画像を提供するように適合されたパッシブ赤外線カメラ・システムが提供される。このパッシブ赤外線カメラ・システムは、レンズ、冷却される部分、及び冷却システムを含む。冷却される部分は、その中に赤外線センサ・デバイス及び光バンドパス・フィルタを有する。赤外線センサ・デバイスは、レンズから赤外線画像を取り込むように適合されている。光バンドパス・フィルタは、レンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に沿って配置される。光バンドパス・フィルタの通過帯域の少なくとも一部は、化学物質の吸収帯内にある。冷却システムは、赤外線カメラ・システムの冷却される部分を冷却するように適合されている。
【0009】
本発明の別の側面に従って、構成要素から発する化学物質の漏出を視覚的に検出する方法が提供される。この方法は、このパラグラフに記載される以下のステップを含む。ステップの順序は変更されてもよく、連続していてもよく、重複してもよく、並行してもよく、これらの組み合わせであってもよい。パッシブ赤外線カメラ・システムは構成要素に向けられる。このパッシブ赤外線カメラ・システムは、レンズ、冷却される部分、及び冷却システムを含む。冷却される部分は、その中に赤外線センサ・デバイス及び光バンドパス・フィルタを含む。光バンドパス・フィルタは、レンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に沿って配置される。光バンドパス・フィルタの通過帯域の少なくとも一部は、化学物質の吸収帯内にある。冷却システムは、冷却される部分を冷却するように適合される。赤外線画像は、光バンドパス・フィルタでフィルタリングされる。この赤外線画像は、構成要素から発している化学物質の漏出の赤外線画像である。赤外線画像がレンズ及び光バンドパス・フィルタを通過した後、フィルタリングされた漏出の赤外線画像は赤外線センサ・デバイスで受信される。赤外線センサ・デバイスで受信されたフィルタリング後の赤外線画像は、フィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像を提供するように電子的に処理される。赤外線カメラ・システムによって提供されたフィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像に基づいて、漏出が視覚的に識別される。
【0010】
前述の記載は、以下の本発明の詳細な説明がよりよく理解されるように、本発明の特徴を大まかに概説したものである。本発明の特許請求の範囲の主題を形成する本発明の更なる特徴及び利点を以下で説明する。開示される概念及び具体的な実施例は、別の構造又はプロセスを修正又は設計して、本発明の目的と同じものを実行するための基盤として、容易に利用可能であることは当業者には認められてしかるべきである。また、そのような等価の構造は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨及び範囲から逸脱するものではないことは当業者には認められて当然である。
【0011】
本発明の例示用の実施例を説明する図面を以下に簡単に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
ここで図面を参照すると、本発明の例示用の実施例が示され説明されており、これらの図面では、同様の又は類似の要素を表すために種々の図にわたって同様の参照番号が用いられている。図面は必ずしも正確な縮尺で描かれてはおらず、場合によっては、単に説明の目的のため図面が所々で強調及び/又は簡略化されている。当分野の技術者であれば、以下の本発明の例示用の実施例に基づいて、本発明の多くの実現可能なアプリケーション及び変形例が認識されよう。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施例に従った化学物質漏出検査システム20を示す。第1の実施例の化学物質漏出検査システム20は、パッシブ赤外線カメラ・システム22を含む。以下に更に詳細に説明するように、第1の実施例のパッシブ赤外線カメラ・システム22は、その中に化学物質を有する構成要素から発する(例えば、漏れている)化学物質のフィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像を提供するように適合される。
【0014】
図1に示すように、赤外線カメラ・システム22はフレーム24の上に搭載され得る。フレーム24には、図1に示すように、ショルダーレスト部26及びハンドル28が取り付けられ得る。ショルダーレスト部26及びハンドル28は、検査の間システム20を保持する助けとなる(例えば、以下で説明する図21を参照)。このシステム20を用いる検査の間、検査員は、システム20を肩に乗せて運び、漏出を探すために構成要素にシステム20を向ける間、種々の構成要素の周りを歩くのが典型的である。しかし、他の実施例において、カメラ・システム22は、別の方法で(例えば、手で、車両から、車両上で、三脚で、ジャイロ安定化されたプラットホームで、ハーネスで、など)取り扱われ又は搬送されてもよい。また、以下に更に説明するように、本発明の実施例を用いる検査は、車両(移動中の及び移動していない)から行われてもよい。
【0015】
第1の実施例の漏出検査システム20は、赤外線カメラ・システム22に電気的に接続されたフラットパネル・ディスプレイ・スクリーン30(例えば、LCDディスプレイ)を更に有する(例えば、図1参照)。カメラ・システム22によって提供された可視画像(フィルタリング後の赤外線画像を表す)は、検査の間ディスプレイ・スクリーン30に表示され得る。システム20は、システム20を使用する間カメラ・システム22によって得られる画像を記録するために、カメラ・システム22に電気的に接続されるビデオ録画デバイス32(図1では図示していないが、例えば、以下に説明する図21参照)を含むことが好ましい。ビデオ録画デバイス32は、例えば、フレーム24に取り付けられてもよく、又は検査員によって別途に搬送されてもよい(例えば、バックパックで又は図21に示すような携帯用ケース34で)。ビデオ録画デバイス32は、例えば、デジタル及び/又はアナログ・フォーマットで画像を記録し得る。このため、漏出の位置特定をするためにシステム20を用いる間、検査員は、ディスプレイ・スクリーン30で見るなど、視覚的に漏出を見つけることができ、またそのうえ、将来の観測のため及び/又は漏出の記録を得るために、ビデオ録画デバイス32を用いて漏出の詳細な及び焦点の合った画像を記録することができる。
【0016】
第1の実施例のシステム20は、赤外線カメラ・システム22に電気的に接続されるバッテリー36を有する。システム20は、検査の間検査員が自由に動き回れるように、システム20を用いる間バッテリー36によって電源供給されることが好ましい。しかし、他の実施例において、システム20は、例えば、壁面のコンセントから、発電機から、又は車両のオルタネーターから、電源コードを介して電源供給されてもよい。典型的には、検査員の移動を制限し得るため及び/又は検査プロセスを遅らせ得るため、電源コードを介してシステム20に電力供給することはあまり好ましくはない。
【0017】
図2は、その中の構成要素を説明するための、図1の赤外線カメラ・システム22の概要図である。第1の実施例において、パッシブ赤外線カメラ・システム22は、画像を光学的に焦点合わせするため、レンズ・アッセンブリ40に1つ又はそれ以上のレンズ38を有する。レンズ・アッセンブリ40は、カメラ・システム22に別のレンズ・アッセンブリ(例えば、異なる焦点範囲を有する)を着脱可能に取り付けることができるように、着脱可能であることが好ましい。カメラ・システム22は、その中に赤外線センサ・デバイス44及び光バンドパス・フィルタ46を含む、冷却される部分42を有する。冷却される部分42は、デュワー瓶48の内部によって画定されることが好ましい。好ましくは、デュワー瓶48は、断熱を提供するため、冷却される部分42を取り囲む真空領域50を有する。デュワー瓶48は、金属でつくられ得、赤外線画像がレンズ・アッセンブリ40から冷却される部分42に入ることができるように、少なくとも1つのデュワー窓52を有する。冷却される部分42に配置される赤外線センサ・デバイス44は、レンズ・アッセンブリ40を介して冷却される部分42に入る赤外線画像を取り込むように適合される。好ましい実施例において、赤外線センサ・デバイス44は、例えば、赤外光の3〜5ミクロンの範囲で高い感度を提供するため、アンチモン化インジウム(InSb)センサ(例えば、320×256マトリックス)のFPA(focal plane array)である。赤外光の他の波長範囲に対する高感度を提供するため、他の実施例では赤外線センサ・デバイス44に他の材料が用いられてもよい。赤外線センサ・デバイス44は他の電子的構成要素(図2では全体をブロック54で表している)に電気的に接続され、これはカメラ・システム22の内側及び/又は外側にあり得る。カメラ・システム22用の赤外線センサ・デバイス44及び電子的構成要素54の設計は、本発明の他の実施例のために変更されてもよい。
【0018】
冷却される部分42は冷却システム60によって冷却される。用いられる冷却システム60は、本発明の異なる実施例のために変更されてもよい。冷却システム60は、冷却される部分42の温度を約100Kより低く(即ち、約−173℃より低く)維持することができることが好ましい。更に好ましくは、冷却される部分42の温度は、冷却システム60によって約75Kから約85Kの間に維持される。第1の実施例において、冷却システム60は、図2に簡略化して示すように、クローズドサイクル・スターリング冷凍機(Stirling cryocooler)を含む。任意の実施例のスターリング・サイクル冷凍機60の実際の構造は、図2に示したものから変更されてもよい。図2に示すように、冷却される部分42と蓄熱(regenerator)シリンダー64の間の熱伝達を提供するために、コールドフィンガー62が用いられ得る。スターリング・サイクル冷凍機60は、例えば、冷却剤又は超低温流体としてヘリウムを用いることができる。好ましい実施例において、クローズドサイクル・スターリング冷凍機60は、例えば、約77Kの冷却される部分42の温度を熱的に安定化させるために用いられ得る。本発明の一実施例に用いるための好ましい赤外線カメラ・システム22は、例えば、カリフォルニア州インディゴシステムズ社(Indigo Systems, Inc.)から入手可能なMerlin(商標)中間波長赤外線(MWIR)高性能カメラである。
【0019】
図2に概略的に示すように、光バンドパス・フィルタ46は、レンズ・アッセンブリ40と赤外線センサ・デバイス44との間の光路に沿って配置され、そのため、赤外線画像は、赤外線センサ・デバイス44に届く前に光バンドパス・フィルタ46でフィルタリングされる。第1の実施例の光バンドパス・フィルタ46は、約3100nmから約3600nmの間に位置する通過帯域(バンドパス透過範囲)を有する。第1の実施例において、光バンドパス・フィルタ46は冷却される、即ち、冷却される部分42に配置されるため、フィルタ46は、それが冷却されていない(例えば、冷却される部分42にない)場合よりも良好に機能し、これにより、暖かい(冷却されていない)光バンドパス・フィルタ構成が用いられる場合よりも一層焦点の合った画像を提供することができる。好ましい実施例において、光バンドパス・フィルタ46は、約100Kよりも低い温度まで冷却される。冷却される部分42で光バンドパス・フィルタ46を冷却すること(即ち、“コールド”フィルタ構成)が、漏れている化学物質と光バンドパス・フィルタ46との間の一層大きな温度コントラスト(一層大きな温度差)を提供し、これにより、漏れている化学物質を映し出すためのカメラ・システム22の感度が増大する。光バンドパス・フィルタ46を冷却することにより、フィルタ46の背景ノイズ(赤外線センサ・デバイス44によって感知される)が効果的に低減される。光バンドパス・フィルタ46が冷却されないとき(即ち、“ウォーム”フィルタ構成)、そのフィルタ自体によって生成される背景ノイズのレベルはずっと高く(コールド・フィルタ構成と比較して)、そのため、赤外線画像がウォーム・フィルタを通過した後、漏れている化学物質によって吸収された赤外光を検出する感度は低減する。また、ウォーム・フィルタ構成では、光バンドパス・フィルタと漏れている化学物質との間の温度差は、“コールド”フィルタのものよりもずっと小さい。
【0020】
第1の実施例の図1及び図2のカメラ・システム22は、パッシブ赤外線カメラ・システムである。このため、カメラ・システム22は、カメラ・システム22に対する周囲の光及び熱の反射面となる背景(背景が何であれ)に依存する。該化学物質(chemicals of interest)の殆どは、1つ又はそれ以上の吸収帯(赤外光の吸光度が数桁高い波長範囲)を有する。例えば、図3A〜3Dは、実験データに基づくメタン(CH)ガスの吸光度グラフを示す。
【0021】
図3A〜3Dの各グラフにおいて、縦軸は吸光度(単位なし)であり、横軸は赤外光の波長(μm)である。透過率と吸光度は逆比例する。典型的に、透過率は、サンプル(例えば、光学フィルタ、ガス)を通過した後検出器に届く光の比と定義される。
【0022】
T=I/Io又は%T=100(I/Io)であり、ここで、Iはサンプルを通過した後検出器に届く光の強度であり、Ioはサンプルが存在しない状態の参照ビーム又はソース・ビームの光の強度であり、Tは透過率(分数で表される)であり、%Tは透過率(百分率で表される)である。吸光度は、透過率が減少すると増加する対数スケールである。
【0023】
A=log10(Io/I)であり、ここで、Aは吸光度を意味する。赤外線放射は、波長の単位(例えば、ミクロン又はナノメートル)で測定されることが多い。また、赤外線放射は、波数と呼ばれる単位(cm-1)で測定されることもある。
【0024】
波数(cm-1)=107/λ=E/hc×1/100であり、ここで、λはナノメートルでの波長であり、Eはエネルギー(J)であり、hはプランク定数(6.626×10-34Js)であり、cは光の速度(3.0×108m/s)である。そのため、光波の波数は、その波長及びそのエネルギーに正比例する。
【0025】
図3Aは、約1.5μmから約16.5μmまで(赤外光)のメタンの吸光度を示す。メタンの場合、赤外光の吸光度が他の隣接する波長よりもずっと高い(数桁高い)、2つの大きな吸収帯71、72があることに注意されたい。第1の吸収帯71は約3.1μmから約3.6μmの間に位置し、第2の吸収帯72は、約7.2μmから約8.2μmの間に位置する(図3A参照)。図3Bは、図3Aの第1の吸収帯71を更に詳細に説明するため、約3.15μmから約3.45μmの間の波長の範囲を示す。図3Aのグラフの縦軸の目盛りは、図3Bのものと同じであることに注意されたい。図3Cは、図3Aの第2の吸収帯72を更に詳細に説明するため、約7.2μmから約8.2μmの間の波長範囲を示す。図3Cのグラフの縦軸の目盛りは、図3Aのものよりも数桁小さいことに注意されたい。図3Aに示した範囲のメタンでは更に他の吸収帯(73、74)があるが、これらの吸光度は、第1及び第2の吸収帯71、72より数桁小さい。例えば、第3の吸収帯73は図3Aの約2.3μmに示されている。図3Dは、第3の吸収帯73を更に詳細に説明するため、約2.15μmから約2.45μmの間の波長範囲を示す。図3Dのグラフの縦軸の目盛りは、図3A〜3Cのものよりも数桁小さい。従って、メタンは、約3.1μmから約3.5μmの間で(第1の吸収帯71と重なって又はその範囲内で)赤外光の非常に高い吸光度を有する。このため、例えば、約3〜5μmの間の赤外光を検出するように適合されているカメラ・システム22は、約3.1μmから約3.5μmの間のメタンを映し出すために高い感度を有する。第2の吸収帯72(図3A参照)のメタンの吸光度は、その範囲(例えば、約7〜8μm)の赤外光を検出するように適合されたカメラ・システム22によって同様に容易に検出され得る。
【0026】
構成要素から漏れている或る化学物質(及びおそらく他の化学物質も)視覚的に検出するように適合される本発明の好ましい実施例において、光バンドパス・フィルタ46は、赤外線カメラ・システム22の冷却される部分42に配置され、光バンドパス・フィルタ46は、その化学物質の吸収帯に少なくとも部分的に位置する通過帯域を有する。例えば、第1の実施例において、光バンドパス・フィルタ46は、図4のフィルタ46の透過率曲線で示すように、3200nmから3550nmの間に位置する通過帯域80を有する。第1の実施例は、例えば、メタン(及び他の化学物質)を視覚的に検出するように適合される。上述したように、メタンは約3100nmから約3500nmの間に位置する第1の吸収帯71(図3A及び3B参照)を有する。
【0027】
第1の実施例の光バンドパス・フィルタ46は、図4の透過率曲線で示すように、約64.4nmの半値全幅(HW)82、約3382nmの中心波長84、及び約91.16%のピーク透過率86を有する。第1の実施例の光バンドパス・フィルタ46は、石英(SiO2)基板上に形成される単一バンドパス・パッシブ・フィルタであり、これが現在好ましいものである。このような性能特性を提供する好ましいバンドパス・フィルタは、例えば、ニュージャージー州の米スペクトロゴン社(Spectrogon US, Inc.)から入手し得る。他の実施例の他の光バンドパス・フィルタは、異なる通過帯域、異なる形状、異なる材質、及び異なる特性(例えば、半値全幅82、中心波長84、ピーク透過率86など)を有する、異なる透過率曲線を有し得る。多数のメーカーから入手可能な、異なる光バンドパス・フィルタが数多く存在する。図4を参照すると、第1の実施例の光バンドパス・フィルタ46は、約3360nmから約3400nmの間の赤外光がそれを通過するように約45%より大きい透過率を与える。別の光バンドパス・フィルタ(曲線は図示せず)を代替として用いることもでき、この光バンドパス・フィルタは、例えば、約3350nmから約3390nmの間の赤外光がそれを通過するように約45%より大きい透過率を与え、これにより第1の実施例のフィルタと同様の又は本質的に同じ結果を提供することができる。
【0028】
図5は、例えば、メタン(71)、エタン(88)、プロパン(90)、ブタン(92)、及びヘキサン(94)などの幾つかの一般的なアルカン化学物質の吸収帯を示す3000nmから3600nmの間のグラフである。図5において、第1の実施例のフィルタ46の通過帯域80は、吸収帯71、88、90、92、94と重なっている。図5において、光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80の少なくとも一部は、メタンの第1の吸収帯71内に位置することに注意されたい。第1の実施例においてこの光バンドパス・フィルタ46を用いることにより、メタンによって吸収されている約3200nmから約3500nmの間の赤外光に対する高い感度が提供される(図5参照)。また、この光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、エタン(88)、プロパン(90)、ブタン(92)、及びヘキサン(94)によって吸収されている約3200nmから約3500nmの間の赤外光に対する高感度も提供することに注意されたい(図5参照)。実施例は、構成要素から漏れている或る化学物質を検出するように適合され得るが、本発明の第1の実施例の場合と同様に、同じセットアップが、一連の又は一群の化学物質の検出にも有効であり、検出が可能である。このため、第1の実施例の赤外線カメラ・システム22は、構成要素から発するメタン、エタン、プロパン、ブタン、及び/又はヘキサンの赤外線画像を表す可視画像を提供するように適合される。
【0029】
図6は、例えば、プロピレン(96)及びエチレン(98)など、幾つかの一般的なアルケン化学物質の吸収帯を示す3000nmから3600nmの間のグラフである。図6において(図5と同様に)、第1の実施例のフィルタ46の通過帯域80は、3000nmから3600nmの間に位置するプロピレン(96)及びエチレン(98)の吸収帯と重なっている。図6において、光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80の少なくとも一部は、プロピレン及びエチレン用に示した吸収帯96、98内に位置することに注意されたい。このため、第1の実施例の赤外線カメラ・システム22は、構成要素から発するプロピレン及び/又はエチレンの赤外線画像を表す可視画像を提供するようにも適合される。
【0030】
図7は、例えば、o-キシレン(100)、トルエン(102)、及びベンゼン(104)など、幾つかの一般的な芳香族化学物質の吸収帯を示す3000nmから3600nmの間のグラフである。図7において(図5及び図6と同様に)、第1の実施例のフィルタ46の通過帯域80は、3000nmから3600nmの間に位置するo-キシレン(100)、トルエン(102)、及びベンゼン(104)の吸収帯と重なっている。図7において、光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80の少なくとも一部は、プロピレン及びエチレン用に示した吸収帯100、102、104内に位置することに注意されたい。このため、第1の実施例の赤外線カメラ・システム22は、構成要素から発するo-キシレン、トルエン、及び/又はベンゼンの赤外線画像を表す可視画像を提供するようにも適合される。
【0031】
構成要素から発するメタンガス(及び/又はメタンの第1の吸収帯71のものと重なる又は近接する吸収帯を有する何らかの他の化学物質)の漏出を視覚的に検出するように適合される他の実施例において、光バンドパス・フィルタ46は、多様な特性のうち任意のものを有し得、以下を含む(がこれらに限定されない)。例えば、約3375nmから約3385nmの間に位置する中心波長を有する光バンドパス・フィルタの通過帯域、約3365nmから約3395nmの間の赤外光がそれを通過するように約80%より大きい透過率を与えるように適合されている光バンドパス・フィルタ、約3340nmから約3440nmの間に位置する中心波長を有する光バンドパス・フィルタの通過帯域、約3360nmから約3380nmの間の中心波長を有する光バンドパス・フィルタの通過帯域、約3100nmから約3600nmの間に位置する光バンドパス・フィルタの通過帯域、約3200nmから約3500nmの間に位置する光バンドパス・フィルタの通過帯域、約3300nmから約3500nmの間に位置する光バンドパス・フィルタの通過帯域、約600nmより小さい半値全幅透過率を有する光バンドパス・フィルタの通過帯域、約400nmより小さい半値全幅透過率を有する光バンドパス・フィルタの通過帯域、約200nmより小さい半値全幅透過率を有する光バンドパス・フィルタの通過帯域、約100nmより小さい半値全幅透過率を有する光バンドパス・フィルタの通過帯域、約80nmより小さい半値全幅透過率を有する光バンドパス・フィルタの通過帯域、中心波長で約70%より大きい透過率を与えるように適合された光バンドパス・フィルタ、化学物質の吸収帯内に位置する中心波長を有する光バンドパス・フィルタの通過帯域、化学物質の吸収帯の外側に部分的に位置する中心波長を有する光バンドパス・フィルタの通過帯域、及びこれらの組み合わせ。
【0032】
他の実施例において、光バンドパス・フィルタ46は、1つの単一バンドパス・パッシブ・フィルタと同じ機能を提供するために、冷却される部分42に配置される2つ又はそれ以上の(例えば、直列の)光学フィルタ(即ち、冷却されるフィルタ)を含み得る。例えば、光バンドパス・フィルタ46の第1の光学フィルタ(図示せず)は、約3100nmより大きい赤外光がそれを通過できるようなハイパスフィルタ特性を有し得、光バンドパス・フィルタ46の第2の光学フィルタ(図示せず)は、約3600nmより小さい赤外光がそれを通過できるようなローパスフィルタ特性を有し得、これらは約3100nmから3600nmの間に位置する有効な通過帯域を共に提供する。
【0033】
本発明の一実施例は、任意の幅広い多様な化学物質(又はそれらから気化するガス)の漏出を視覚的に検出するように適合され得、化学物質は以下のものを含む(がこれらに限定されない)。例えば、炭化水素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、エチレン、プロピレン、アセチレン、アルコール、エタノール、メタノール、キシレン、ベンゼン、ホルムアルデヒド、1,2-ブタジエン、1,3-ブタジエン、ブタジエン(butadiyne)、アセトン、ガソリン、ディーゼル燃料、石油、石油化学製品、石油副産物、揮発性有機化合物、揮発性無機化合物、原油製品、原油副産物、及びこれらの組み合わせ。図8〜図19は、本発明の一実施例を用いて、構成要素から漏出している間に検出され得る(多数の中から)幾つかの例示用の化学物質の(多数の中から)幾つかの例示用の吸収帯、及び本発明の一実施例で用いられ得る光バンドパス・フィルタ46の(多数の中から)幾つかの例示用の通過帯域を示す。
【0034】
図8〜図19において、光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、化学物質の吸収帯に対する通過帯域80のおおよその位置を示すために矩形のボックスで簡略化して表している。当業者であれば周知であるように、光バンドパス・フィルタの実際の通過帯域は、矩形ではなく湾曲した何らかの形状(ベル形曲線であることが多い)を有するのが典型的である。一実施例の光バンドパス・フィルタ46の実際の通過帯域(及び実際の透過率曲線)は幅広い多様な形状(相称、非相称、高さ、傾き、ゆがみ(skew)、半値全幅、ピーク透過率など)のうち任意のものを有し得るため、この矩形形状は、単に簡略化して説明するために用いられる。
【0035】
図8は、3000nmから3600nmまでの図5のものと同じアルカンの幾つかの吸収帯71、88、90、92、94を示す。図8において、第2の実施例の光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、例えば、約3300nmから約3400nmの間に位置し、約100nmより小さい半値全幅を有する。図9は、3000nmから3600nmまでの図6のものと同じアルケンの幾つかの吸収帯96、98を示す。図9において、第3の実施例の光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、例えば、約3250nmから約3510nmの間に位置し、約250nmより小さい半値全幅を有する。図10は、3000nmから3600nmまでの図7のものと同じ芳香族の幾つかの吸収帯100、102、104を示す。図10において、第4の実施例の光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、例えば、約3200nmから約3580nmの間に位置し、約350nmより小さい半値全幅を有する。
【0036】
図11は、メタンの第1の吸収帯71(例えば、図3A参照)を示す。図11において、第5の実施例の光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、例えば、約3200nmから約3350nmの間に位置し、約150nmより小さい半値全幅を有する。このため、第5の実施例は、構成要素から発するメタンの漏出を視覚的に検出するように適合される。図12は、メタンの第2の吸収帯72(例えば、図3A参照)を示す。図12において、第6の実施例の光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、例えば、約7600nmから約7800nmの間に位置し、約200nmより小さい半値全幅を有する。このため、第6の実施例も、構成要素から発するメタンの漏出を視覚的に検出するように適合される。
【0037】
図13は、約3100nmから約3500nmの間に位置するエチレンの吸収帯98を示す。図13において、第7の実施例の光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、例えば、約3200nmから約3500nmの間に位置し、約300nmより小さい半値全幅を有する。このため、第7の実施例は、構成要素から発するエチレンの漏出を視覚的に検出するように適合される。
【0038】
図14は、約10000nmから約11500nmの間に位置する、エチレンの別の吸収帯106を示す。図14において、第8の実施例の光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、例えば、約10450nmから約10550nmの間に位置し、約100nmより小さい半値全幅を有する。このため、第8の実施例も、構成要素から発するエチレンの漏出を視覚的に検出するように適合される。
【0039】
図15は、約3100nmから約3600nmの間に位置するプロピレンの吸収帯96を示す。図15において、第9の実施例の光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、例えば、約3200nmから約3600nmの間に位置し、約400nmより小さい半値全幅を有する。このため、第9の実施例は、構成要素から発するプロピレンの漏出を視覚的に検出するように適合される。図16は、約10000nmから約11500nmの間に位置する、プロピレンの別の吸収帯108を示す。図16において、第10の実施例の光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、例えば、約10900nmから約11000nmの間に位置し、約100nmより小さい半値全幅を有する。このため、第10の実施例も、構成要素から発するプロピレンの漏出を視覚的に検出するように適合される。
【0040】
図17は、約3100nmから約3500nmの間に位置する1,3-ブタジエンの吸収帯110を示す。図17において、第11の実施例の光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、例えば、約3150nmから約3300nmの間に位置し、約150nmより小さい半値全幅を有する。このため、第11の実施例は、構成要素から発する1,3-ブタジエンの漏出を視覚的に検出するように適合される。他の実施例(図示せず)において、別の変形例として、第11の実施例の通過帯域は、例えば、約3200nmから約3400nmの間に位置してもよいことに注意されたい。ある特定の1つの化学物質(又は一連の化学物質)の漏出を検出することが特に重要である場合、一層良好な検出感度を提供するため、吸収帯の下の領域が一層高い吸収帯に重なる通過帯域80を有することが好ましい。通過帯域80の幅は、その化学物質の吸収帯の特徴的な形状(例えば、波長軸に沿った幅、吸収軸に沿った高さ)に大きく依存し、所定の化学物質にクリティカルであっても、なくてもよい。
【0041】
図18は、約9000nmから約12000nmの間に位置する1,3-ブタジエンの別の吸収帯112を示す。図16において、第12の実施例の光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、例えば、約9000nmから約12000nmの間に位置し、約150nmより小さい半値全幅を有する。このため、第12の実施例も、構成要素から発する1,3-ブタジエンの漏出を視覚的に検出するように適合される。図18の通過帯域80は、吸収帯112の最大ピーク114を中心にしてはいないことに注意されたい。他の実施例(図示せず)において、通過帯域80を吸収帯112の最大ピーク114を中心にする又は最大ピーク114に一層近接させることが好ましい。
【0042】
図19は、約10000から約11500nmの間に位置する六フッ化硫黄(SF6)の吸収帯116を示す。図19において、第13の実施例の光バンドパス・フィルタ46の通過帯域80は、例えば、約10500nmから約10600nmの間に位置し、約100nmより小さい半値全幅を有する。このため、第13の実施例は、構成要素から発するSF6の漏出を視覚的に検出するように適合される。六フッ化硫黄は、電気機器のスイッチング装置に用いられることが多く、排出されると自然環境に有害となる。このため、本発明の一実施例は、例えば、電気機器から発するSF6の漏出を視覚的に検出するために用いられ得る。
【0043】
図20は本発明の第14の実施例を示す。第14の実施例において、赤外線カメラ・システム22の冷却システム60は、その中に液体窒素を保持するように適合されるチャンバ126を有する。液体窒素は、その中に配置される赤外線センサ・デバイス44及び光バンドパス・フィルタ46を冷却するため、冷却される部分42との熱伝達を有する。第14の実施例として、現在好ましい赤外線カメラ・システム(22)は、特に携帯用に作られる場合(図20に示すように)、カリフォルニア州のインディゴシステムズ社(Indigo Systems, Inc.)によるInSb Laboratory Cameraである。フレーム24、バッテリー36、及びディスプレイ・スクリーン30は、第14の実施例(図20)でも第1の実施例のもの(図1)と同様であってよい。明るい環境においてディスプレイ・スクリーン30を一層見易くするため、ディスプレイ・スクリーン30の周りに、覆い、フード又は日よけが提供され得る。例えば、図20に示す第14の実施例は、周辺光からスクリーン30を部分的に遮蔽するためにスクリーン30に近接して配置されるライト・シールド128を有する。使用中、検査員は、自分の顔をその覆いの角まで上げて又はそれに対して置いて、ディスプレイ・スクリーン30から周辺光を遮蔽し、暗くした囲いを備えたスクリーンを見ることができる。
【0044】
本発明の一実施例は、該化学物質(1つ又は複数)をその中に有する、任意の幅広い多様な構成要素を検査するために用いられ得、これらの構成要素は、例えば、パイプ、コンプレッサー、エンジン、バルブ、コンテナ、タンク、スイッチ、容器、継手(fitting)、コネクター、ホース、フレア(flare)、排気口、機械、噴出しバルブ用の排気口、及びこれらの組み合わせを含む(がこれらに限定されない)。本発明の実施例の用途の幾つかの例を以下に説明する。
【0045】
本発明の一実施例は、バルブやパイプ継手などの構成要素から漏れている石油製品の気化(即ち、フューム)を視覚的に検出するために用いられ得る。漏出を検出する従来の方法(例えば、フレーム・パック・イオナイザ、嗅覚性探知機デバイス)に勝る本発明の一実施例の利点の一つは、検査員が、赤外線カメラ・システム22によって提供される可視画像(赤外線画像を表す)によって、流れている漏出を実際に見ることができることである。嗅覚性探知機デバイスを用いる場合、センサは、流れを検出するためその流れの内側になければならず、そのためには、構成要素又はエリア全体を覆うように近接して完全に走査することが必要である。本発明の一実施例を用いれば、検査員は遥かに短い期間に大きなエリアを視覚的に走査することができ、検査員は、遠くからそれを行うことができる。このため、検査員は、検査員にとって危険となり得る装置の上又は周りに上る必要がない。また、検査を必要とするパイプは、屋上に沿って頭上に配置されていることが多く、嗅覚性探知機デバイスで検査することが困難である。しかし、本発明の一実施例を用いれば、検査員は、パイプより下に立ち、地上から(遠くから)赤外線カメラ・システム22を用いて視覚的検査を行うことができる。
【0046】
また、検査員は、本発明の一実施例の使用を他の検査方法と組み合わせることもできる。例えば、検査員は、一実施例の赤外線カメラ・システム22で視覚的に漏出の場所を突き止めた後、他の測定ツールを用いてその漏出の更なる分析をすることができる。
【0047】
本発明の一実施例を用いる第1の方法において、本発明の一実施例(例えば、第1の実施例)は、天然ガス(メタン)レギュレータ・ステーション120を視覚的に検査するために用いられる。通常、このようなレギュレータ・ステーションは、フェンス122の境界線内に囲いで仕切られている。図21に示すように、本発明の一実施例を用いる検査員124は、レギュレータ・ステーション120がフェンス122で画定された境界内に位置する場合でも、フェンス122で画定された境界の外側の地点からレギュレータ・ステーション120を検査することができる。金網フェンス又は鋼管フェンスのように、フェンス122を透かして見ることができない場合、検査員124は、フェンス122を越えてレギュレータ・ステーション120を視覚的に検査することができる。例えば、検査員124は、或る物体(例えば、トラックの荷台)の上に立つことができる。別の代替例として、検査員124は、例えば、ブーム・トラックのブームで持ち上げられてもよい。また、検査員124は、フェンス境界122内で検査を行うこともできる。
【0048】
構成要素から発する化学物質(1つ又は複数)の漏出を視覚的に検出するために本発明の一実施例を用いる多くの方法では、以下のステップが実行される。検査員は、赤外線カメラ・システム22を、該構成要素(1つ又は複数)に向ける。構成要素及び背景の赤外線画像は、レンズ・アッセンブリ40(少なくとも1つのレンズ38)を介してカメラ・システム22に入る(例えば、図2のカメラ・システム22を参照)。赤外線画像は、赤外線センサ・デバイス44に向かう途中で光バンドパス・フィルタ46を通過する。赤外線画像は、フィルタ46の特性(即ち、その通過帯域80)に従って、光バンドパス・フィルタ46でフィルタリングされる。フィルタリングされた赤外線画像は、赤外線センサ・デバイス44で受信され、赤外線センサ・デバイス44は、フィルタリングされた赤外線画像を、フィルタリング後の赤外線画像を表す電気信号に変換する。この電気信号は、その後、フィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像を提供するため、カメラ・システム22内で(例えば、図2参照)及び/又はカメラ・システム22の外部の別のデバイスによって外部で、電気的に処理される。この可視画像は、例えば、検査員がリアルタイムで見ること、他の場所(例えば、離れた場所)で他の人が見ること、記録すること、他のデバイスへ転送すること、他の場所へ転送すること、又はこれらの組み合わせ、が可能である。
【0049】
本発明の1つの方法において、検査員は、検査を行いながら画像を得ること、及び評価することが可能である。別の方法において、検査員が同様のことしたうえで、これらの画像を記録し、2度目のレビューをすることもできる。2度目のレビューは、同じ検査員が行ってもよく、別の人が行ってもよく、又は画像認識ソフトウェアを用いてコンピュータが行ってもよい。2度目のレビューによって、最初の調査で見落としていた何かが見つかることがある。漏出調査を行う多くの従来の方法(例えば、フレーム・パック機を用いる方法)では、その調査の焦点の合った視覚的画像が得られないため、2度目のレビューをする能力は提供されない。このため、本発明の方法を用い、必要とする時間及び費用が同じで(又は少なく)一層良好な漏出調査を行うことができ、更に、その漏出の視覚的記録を蓄積し非常に多くの回数見ることが可能である。
【0050】
本発明の一実施例の一つの利点は、視覚的検査の間得られた画像を記録することができることである。このような記録は多くの方法に有効となり得る。現場で得られた記録画像は、別の場所の又は離れた場所のレビュワー(人又はコンピュータ・システム)に転送され得る(例えば、リアルタイムで又は後で)。例えば、外に明るい状態があるような現場では往々にして、検査員がビデオ・モニター又はディスプレイ・スクリーンで細かな詳細を見ることが難しいことがある。また、検査条件が、その検査の間の画像を入念に調査する助けとならない可能性がある。このため、暗く安定した環境に位置するレビュワーが、そのシステムで得られた画像の一層良好なレビューを提供することができる。画像は、例えば、赤外線カメラ・システムに取り付けられたデバイスで記録され得、転送された後離れた場所で記録され得、或いは赤外線カメラ・システム22には取り付けられていない別個のデバイスで記録され得る。画像は、カメラ・システム22から別のデバイス(離れて配置されても離れて配置されなくてもよい)に、幅広い多様な通信手段のうち任意のものによって転送され得、この通信手段は、例えば、ケーブル、配線、無線通信デバイス間、ネットワーク接続経由、インターネット経由、又はこれらの組み合わせを含む(がこれらに限定されない)。赤外線カメラ・システムによって提供された画像は、検査の間継続して記録されてもよく、及び/又はそれらは、任意の期間にわたって要望に応じて記録されてもよい。
【0051】
図21を参照すると、ビデオ録画デバイスは、赤外線カメラ・システムから離れた携帯用ケースに配置されていることに注意されたい。本発明の他の実施例において、システムの他の構成要素が、赤外線カメラ・システムから離れていてもよい(例えば、バックパックで運ばれる)。このことは、カメラ・システムを一層軽量化し一層容易に持つことができるようにするために好ましいことである。レンズ、光バンドパス・フィルタ、及び赤外線センサを有するカメラ部分が一層小さなハンドヘルド・ユニットに配置されるように、殆どのシステム構成要素が、バックパック又は何らかの他の携帯用ケース(例えば、キャスター又は取っ手のついたケース)内に配置される一実施例が考えられる。このようなハンドヘルド・ユニットは、例えば、小型のフラットパネル・ディスプレイ・スクリーンを含み得る。カメラからの可視画像が、一人又はそれ以上の検査員の目に直接入る或いはアイピース又はめがねの内側面上に画像を投影するシステムを用いて、検査員に表示され得ることも考えられる。当業者であれば、多くの異なる種類又は大きさのディスプレイ・スクリーン又はプロジェクタが、本発明の一実施例に組み込まれ得る又は用いられ得ることが分かるであろう。
【0052】
検査を行うためのシステムの一層多くの汎用性及び用途を可能にするために、本発明の一実施例を本質的に安全にすることができることも考えられる。また、本質安全赤外線カメラ・システムを組み込む一実施例を提供することにより、高熱作業許可が発行される必要なく、及び/又は非本質安全検査システムの使用に通常関連する他の安全予防策の必要なく、検査を行うためにプラントに入るという利点が提供され得る。
【0053】
背景の温度をわずかに変えるためにハロゲン光によって放射される熱を用いてカメラ・システムに一層大きな熱コントラストを提供するため、本発明の一実施例が、(例えば、カメラ・システムに取り付けられる又は別個に提供される)ハロゲン光を含み得ることも考えられる。漏出が位置特定された(漏出の記録をとるため等)後、漏出のより詳細な画像(一層高い感度又は一層良好な画像解像度)を得るために、必要に応じてハロゲン光を用いることも有効となり得る。
【0054】
漏出の視覚的識別は、赤外線カメラ・システムから離れた及び/又はその漏出の場所から離れた別の場所で、例えば、画像の記録を見ながら、離れた場所に転送された画像を見ながら、又はこれらの組み合わせで成されてもよい。一例として、ヘリコプターで輸送ライン上を飛行する検査チーム(後で詳しく述べる)は、その輸送ラインの良好な画像を得ること、及びその輸送ラインのGPS座標を正確にたどることに集中している可能性がある。一方、ヘリコプター内では、検査チームが、検査プロセス中に得た画像のレビューに集中することが難しい可能性がある。赤外線カメラ・システムで得た視覚的画像は、レビュワーのために記録され得、及び/又はレビュワーに転送され得る。このため、レビュワーは漏出を探すために画像を注意深くレビューすることができる。このようなレビューはリアルタイムで行われてもよく、それにより、確認のため疑わしい場所に戻る(即ち、或る場所の上空で空中待機して、一つの場所の更に多くの画像を得る)ように、検査員と通信し指示することが可能となる。或いは、視覚的検査が記録される場合、レビュワーは、後で検査画像を調査することができる。このため、検査チームのメンバーの一人が、後で、それらの画像のレビューを提供するために、画像を調査するのに一層助けとなる環境で落ち着いて取りかかることができる。その後、必要又は所望であれば、疑わしい場所の一層近接した又は一層時間をかけた検査が後で成されてもよい。
【0055】
政府の安全規制及び規則では、ガス又は石油製品の輸送ライン及び配送ラインを定期的に検査することが要求されるのが典型的である。もしこのような規則及び規制に従わない企業があれば、その企業には多大な罰金が科せられる。また、もし漏出している又は破裂したラインが爆発や火災を起こすような種類の事故又は事件があった場合、その企業は、その企業がラインの検査を行うことに熱心であり、検査を行うことを怠っていない証拠を提供する必要がある。このため、視覚的検査の焦点の合った画像を記録することができることの別の利点は、その検査の記録を保持することができることである。本発明の一実施例において、GPS座標、日付スタンプ、及び/又は時刻スタンプが、視覚的検査の記録された画像上に記録され得る、又は画像内に埋め込まれ得る。これにより、或る特定の場所の検査が或る特定の日時に行われたという証拠が提供される。このような記録は、将来の参照のため、何らかの種類の記録媒体(例えば、ビデオテープ、CD、DVD、データベース、ハードドライブなど)に記録され得る(アナログ又はデジタル・フォーマットで)。
【0056】
本発明の好ましい実施例及び/又は方法において、フィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像の記録/表示と共に、検査情報が表示及び/又は記録され得る。検査情報は、所望される任意の関連情報を含み得、例えば、検査箇所の名称、検査箇所の住所、構成要素の名称、構成要素の識別情報、グローバル・ポジショニング座標、日付、時刻、検査員の名前、検査会社の名称、1つ又はそれ以上のカメラ・システム設定値、又はこれらの組み合わせを含む(がこれらに限定されない)。また、媒体に又は媒体の画像と共に、音声メモが録音されてもよい(例えば、検査のビデオに録音された音声メモ)。このような検査情報は、可視画像内に埋め込まれてもよく、別途に記録又はトラックされてもよい(例えば、個別のファイルに、ヘッダーファイルとして、など)。
【0057】
本発明の第2の方法において、本発明の一実施例は、フェンスで囲われた多数の庭130を、単一地点から、庭130の外側から、及び/又は1つの庭130から検査するために用いられ得る。図22は多くの住宅地で見受けられる住宅構造を示し、ここでは家132の裏に路地がない。代わりに、フェンス134のみが2つ又はそれ以上の隣り合う裏庭130を区切っている。図22において、地中の天然ガス配送ライン136は点線で示されており、これらは多数の裏庭130にわたっている。従来の漏出調査技術を用いる場合、検査員は、図22に図示した6つ全ての庭130のラインを調査するために各裏庭130に入る必要があった。しかし、漏出は、本発明の実施例を用いて視覚的に検出されるため、検査員は、1つの裏庭130のみに入り、隣接する庭130のそれぞれを調べることができる(図2の矢印で示すように)。このため、この検査のために邪魔されなければならないのは、6人ではなく1人の顧客のみである。また、検査員は、多数の裏庭130への視覚的なアクセスを得るために、道路又は路地の端に配置される赤外線カメラ・システム22をトラックのブームに取り付けてもよく、又は検査員がカメラ・システム22を持ってブームに立っていてもよい。このため、本発明の一実施例を用いれば、多数の裏庭は、単一地点から(例えば、フェンス134を見渡す1つの裏庭130から、又はブームから)赤外線カメラ・システム22を用いてライン漏出について視覚的に調査され得る。
【0058】
天然ガスの住宅のメーターの多くは、家の隣(例えば、家と家の間)にあり、車両が走ることのできる場所から離れている。このような配送ラインは、定期的に漏出のテストをする必要がある。このような場合に、従来の漏出調査方法を用いると、検査員は、漏出の調査を行うため各メーターまで歩いていくのが典型的である。本発明の第3の方法において、このようなメーター及び配送ラインは、車両から赤外線カメラ・システムを用いて視覚的に調査され得る。例えば、検査員は、道路又は車両から離れることなく、各家を通過して運転しながら赤外線カメラ・システムを配送ラインに向けることができる。これによりマンアワーが節約されるため、非常に多くの時間及びお金を節約することができる。本発明の一実施例を用いるこの同じ技術は、居住用の家だけでなく、任意の建物に隣接して又は接して位置する構成要素を検査するために用いることができる。
【0059】
本発明の一実施例を用いて検査を行う第4の方法において、検査は幾つかの段階で実行され得る。第1の段階は、検査員が歩いていこうとする又は運転していこうとする検査エリアに大規模な漏出がないことを確かめるために、検査員が、遠くから赤外線カメラ・システムを用いて検査エリアを見ることである。これは、主に検査員の安全のためである。化学物質の多くは、臭いが少ないか全くなく人間の目には見えない。このため、検査員は、非常に危険な状況の中に運転していく又は歩いていく可能性がある。検査員が大規模な漏出(例えば、その場所から発する化学物質の大きな流れ)がないことを確認した後、次に、検査員は、中規模の、小規模の及び/又は非常に小さな漏出を探すために一層詳細な検査を行うことができる。
【0060】
都市での又は幹線道路近辺のガス又は化学物質漏出又は化学物質流出は、まず警察に報告され、警察が、一般の人々の安全のため、そのガス/化学物質漏出から離れるように交通整理するために警察官を送ることがある。しかし、警察官が、漏出に気付かずに漏出の流れの中に運転して行って爆発を引き起こす場合があり、これによりその警察官が怪我をしたり死亡したりする可能性がある。同様の危険性は、このような場所に入る修理員にもある。このため、本発明の一実施例を用いる方法を第1の応答システムに組み込むことが有益となり得る。例えば、化学物質漏出/流出が疑われる場合、本発明の方法を用いて安全な距離から視覚的にそれを判定するために、一実施例の赤外線カメラ・システムを備えたヘリコプターを、疑わしい場所に向かって飛行させる。こうすることにより、漏出又は流出からのフュームの大きさ及び方向が、高速かつ安全に確認及び報告され得る。従来の方法を用いて漏出又は流出の大きさを最初に知ることは難しいことが多い。他の例として、消防士が、漏出又は流出が報告された現場へ向かいながら、消防車から本発明の一実施例を用いることもできる。同様に、本発明の一実施例を備えた処理プラントの整備員又は保安員が、疑わしい漏出又は流出を調査するために入る場合に、安全な距離から状況を判定することができる。
【0061】
検査されている構成要素に一実施例の赤外線カメラ・システムを向けることは、運搬手段(vehicle)から行うことも可能である。このシステムの一部又は全ては、例えば、運搬手段に取り付けられてもよく、運搬手段から支持されてもよく、及び/又は運搬手段内の人が持っていてもよい。運搬手段は、検査に適した任意のタイプ又は種類の運搬手段であってよく、以下を含む(がこれらに限定されない)。トラック、自動車、オートバイ、自転車、ボート、船、個人船舶、固定翼機、回転翼機(例えば、ヘリコプター、ジャイロプレーン)、電動パラグライダー、超軽量航空機、電動グライダー、グライダー、気球、飛行船、遠隔操縦運搬手段、無人航空機、及びこれらの組み合わせ。運搬手段は、一部又は全ての検査の間、移動していてもよく停止していてもよい。赤外線カメラ・システムが運搬手段に搭載される又は取り付けられる場合、カメラ・システムは、映画フィルム業界で通常用いられるような何らかのタイプの安定化プラットホーム又はスタンド(例えば、ジャイロ安定装置)に搭載させることが望ましい。このような安定化プラットホームは、移動する運搬手段(例えば、トラック、ATV、ヘリコプター、飛行船、飛行機)からテスト現場の一層良好な画像を得る能力を提供し得る。
【0062】
一実施例は、宇宙から検査を提供するために衛星に取り付けられてもよい。赤外線の利点の一つは、それが殆どの雲を透視できることである。検査の範囲は、本発明の一実施例を用いる検査方法では、視線(line of sight)によってのみ制限される。このため、化学物質漏出又はその漏出から発するフュームの跡が視線内にある(例えば、木々、大雨、建物、又は構造物で遮られない)限り、赤外線画像が得られる。このため、レンズの大きさ/種類/構造は、所定の範囲の焦点を提供するために必要とされるだけ増加/減少/変更され得る。
【0063】
全国に渡る輸送ラインの漏出を見つける典型的な方法は、嗅覚性探知機デバイス(フレーム・パック検出器)を用いてラインに沿って歩くことであり、又はフェンスがない場合には、嗅覚性探知機が搭載されたトラック又はATVでラインを行ったり来たり走ることもある。この方法の欠点の1つは、探知機から向こう側に風が吹いている場合、又はその車両又は歩いている人が漏出より風上にいる場合、その探知機はおそらく漏出を検出することはなく、そのため漏出を完全に見落としてしまう。別の問題は、ギャザリングライン(gathering lines)の多くは、現在は家々、建築物、及び裏庭フェンスで覆われていることである。このため、従来の技術を用いて住宅の裏庭の中又は周りの漏出をチェックすることは非常に非現実的になる。企業は、彼らの地役権の侵害又は妨害を探すために空中から調査を行うことがある。このような調査は、漏出の視覚的赤外線検査と同時に行われてもよい。
【0064】
また、トラックに搭載された嗅覚性探知機は、実際には、全国に渡る輸送ラインのためではなく、都市の漏出検出用に構築されている。その違いは、都市の漏出の規模は、輸送ラインに比べて大きい可能性があることである。草が付いた高温の触媒コンバータを備えた小型トラックが、1日当たり200mcfの漏出の上を走る危険性がある。このような場合、爆発となり、運転手が死亡したり装置が破壊される可能性がある。従来の漏出調査装置では、検査員が、検出するガスの流れに近接している必要がある。大規模な漏出の場合、そのガスを検出したときには手遅れであることもある。本発明の一実施例を用いれば、大規模な漏出であれば1/2マイル以上離れた場所から見ることができ、それ以外の漏出も遠くから見ることができる。
【0065】
本発明の一実施例は、例えば、ヘリコプターや飛行機に取り付けられてもよく、赤外線カメラ・システムを用いて視覚的画像が記録されている間、比較的高い速度(例えば、60〜120mph)で輸送ラインの上を飛行してもよい。検査員が飛行中に漏出を発見するには早すぎる速度であっても、コンピュータ画像認識システムが一層高速に漏出を検出することが可能であり、或いはその記録を低速で再度レビュー再生することによって、見落とした漏出を見つけることができる。
【0066】
輸送ラインの漏出は、ガスが地中に漏れている場所で枯れている植物の位置を突き止めることによって見つかることが多い。しかし、草が茶色くなる冬の間はこの方法は役に立たない。また、砂漠などの幾つかの地域では、漏出がある場所に植物がないこともある。このため本発明の方法を用いれば、埋設された輸送ラインからの漏出は、本発明の一実施例で短距離又は長距離離れた場所から容易に視覚的に検出することができる。
【0067】
例えば、南ルイジアナの湿地では、ラインを歩いて回ることは殆ど不可能である。代わりに、オペレータは、ラインの上を飛行し、変色した植物を探すのが典型的である。しかし、アリの群れが、空中からガス漏れのように見える変色した植物の領域を残す可能性もある。例えば、ヘリコプターに搭載された本発明の一実施例を用いれば、漏出があることが疑われるエリアの上を空中待機し、漏出があるかどうかを容易に判断するために赤外線カメラ・システム22を用いて、特定のエリアの短いシーケンスを記録することができる。代替として、漏出を探すため赤外線カメラ・システム22を用いてライン全体を視覚的に走査することもできる。
【0068】
殆どの輸送ラインには、ラインに沿って一定の間隔で(チェックポイントに)圧力計及び自動バルブが付いている。オペレータは、例えば、50〜100マイル離れた地点間のラインにわたって圧力低下を調べるための装置を持っていることもある。このような2点間の長い距離に沿って、幾つかの漏出があることがある。典型的に、どの漏出が一層大規模であるかを判断することは困難である。このため、大規模な漏出が見つかる前に多くの小規模な漏出が修復されることがある。本発明の一実施例を用いれば、大規模な漏出を小規模な漏出と区別することが可能である。このため、一層大規模な漏出を、通常、第1の優先順位として、先に位置特定及び修復することが可能である。
【0069】
時には、1つの漏出が修復されているとき、それが、その修復作業の間のパイプの動きのために、同じパイプの別の場所の新たな漏出を引き起こすことがある。本発明の1つの方法では、修復されるラインの近接する部分は、そのラインに沿った別の漏出が存在するかどうかを調べるために、本発明の一実施例を用いて高速かつ容易に視覚的に検査され得る。
【0070】
鋳鉄の又は古い金属のラインが漏出を起こすとき、そのパイプ材料は、漏れているガスで充満することがある。また、ガス漏れの周り及び上の汚れ(いかなる種類のパイプでも)がガスで充満することがある。このため、修復を行い、汚れを取り除いた後、漏出がまだ存在することを嗅覚性探知機検出器が誤って示すことがある。これは、検出器がその汚れ及び/又はパイプ内に充満したガスを検出しているためである。また、ガスに臭いが添加されている場合、臭いは汚れからゆっくりと消散するため、その臭いは数日間残ることがあり、このために、そのガスの臭いをまだ感じる人からの事後の苦情につながることがある。しかし、本発明の一実施例で視覚的なガス漏れ検査を行えば、修復後にまだ漏出が存在するか否かを即座に(汚れを取り除く前又は後に)判断することができる。多くの場合、視覚的テストは、汚れに充満した残りの石油製品と実際の漏出(例えば、動いているガスの流れを示す)とを区別することができる。これにより、企業は、修理依頼電話にかかる多くの金銭を節約し、漏出が一層正確に及び一層高い信頼性で実際に修復されることを確実にすることができる。
【0071】
ダウンタウンの商業地区の漏出調査は、交通のため、夜間に行う必要があることが多い。適正な飛行許可があれば、例えば、ヘリコプターに赤外線カメラ・システム22を搭載して、日中にヘリコプターからこれらの漏出調査を行い、要員の時間外手当てを節約することができる。漏出を視覚的に検出するために赤外線カメラ・システム22を用いて上方から漏出調査を行う利点の一つは、地面が、良好な熱コントラストを提供する熱を保持していることが多く、そのため多くの場合、上空又は構造物と比較して、赤外線で漏出を見るのに一層良好な背景コントラストが提供されることである。
【0072】
本発明の一実施例を用いる別の方法は、船で石油製品を輸送する大型タンカー船での漏出の検出である。本発明の一実施例の赤外線カメラ・システムを用いることにより、自然環境への漏出は、輸送会社によって又は執行/規制機関(例えば、EPA、DOT)によって、安全な距離から(例えば、陸上で、桟橋で)視覚的に検出され得る。化学物質又は石油製品を運ぶこのような船舶は、例えば、それらが通り過ぎるとき又はそれらが近づくとき視覚的に検査され得る。検査は、ボート、船、又は大型船の船内で行われてもよい。また、船の内部の閉鎖されたエリアは、例えば、一実施例の携帯型の又は恒久的に設置される/据え置き型の赤外線カメラ・システムを用いて、定期的に又は継続的に監視され得る。
【0073】
本発明の一実施例を用いる別の方法は、石油製造リグ(rigs)のガス漏れの検出である。このようなリグにはヘリコプターで近づくことが多い。石油製品漏出を視覚的に映し出すように適合された赤外線カメラ・システム22が、有人ヘリコプターに搭載され得る。これにより、例えば、ガス・プラットホームが近づくとそれらが陸に上がる前に、ヘリコプター上の乗務員がガス・プラットホームのガス漏れを海上で走査することができる。これにより、エンジンが熱くなっているヘリコプターをガス漏れの中に着陸させるリスクを低減又はなくすことができる。更に、別の実施例において、継続的に又は定期的に視覚的な漏出調査を提供するため、リグの周りの一定の場所に、恒久的に設置される/据え置き型の赤外線カメラ・システム22が搭載されてもよい。
【0074】
本発明の一実施例を用いる別の方法において、化学物質漏出の検出は、工場、処理プラント、製造施設、製油所、及び/又は石油分離プラントで行われてもよい。幾つかのプラントでは、例えば、バルブ整備及び検査を毎月行うことが典型的である。現在行われている方法の問題点は、フレーム・パック検出器が、例えば、注油用バルブに用いられるグリース又はWD−40で作動することがあることである。一方、赤外線カメラ・システム22は、それがこれらのグリースや潤滑油を見る又は検出する能力を有さないように(例えば、或る通過帯域80を有する光バンドパス・フィルタ46を用いて)調整され得る。このため、このような一実施例は、潤滑油とガス漏れを区別することができる。グリース及び/又は潤滑油のフュームがカメラ・システム22によって映し出された場合、そのフューム及びフュームのパターンを視覚的に観察することにより、検査員は、それが漏出ではなく単に潤滑油が気化しているだけであることを認識することができる。バルブ上の潤滑油によって作動する誤った漏出検出のためにバルブが入れ替えられることがよくあるが、これには非常にコストがかかりリソースの無駄である。
【0075】
本発明の別の方法は、漏出を視覚的に検出するために本発明の一実施例を用いる、石油化学業界又は他の化学物質製造業界における漏出の検出である。このような漏出の検出は、例えば、探査から処理及び製造、製造後の化学物質の化学物質貯蔵コンテナへの輸送、化学物質を用いる装置への輸送など、任意の段階で成され得る。化学物質を輸送するパイプ又は輸送ラインは、本発明の一実施例を用いて漏出がないか視覚的に検査され得る。別の例として、種々のパイプ、連結部、及び処理プラントの装置が、本発明の一実施例を用いて漏出がないか視覚的に検査又は監視され得る。例えば、化学物質の貯蔵及び/又は輸送に用いられる貯蔵コンテナ、貨物船、又は貨物トレーラーが、本発明の一実施例を用いて漏出がないか視覚的に検査され得る。化学物質の幾つかの例は、エチレン、プロピレン、アセチレン、プロパン、アルコール、エタノール、メタノール、キシレン、ベンゼン、ブタジエン、アセトン、これらの化合物、及びこれらの組み合わせを含む(がこれらに限定されない)。
【0076】
本発明の一実施例は、プラントの中及び/又は周りの漏出調査を行うために用いられ得る。本発明の一つの利点は、大規模な漏出が、小規模な漏出と視覚的に区別され得ることである。小規模な漏出は、従来の方法を用いた場合は容易には見つからないため、修復されないままであることが多い。可燃性ガスがその中に閉じ込められる密閉されたエリアでは、小規模な漏出でも非常に危険となることがある。また、多くの処理プラントでは、ガスには臭いが添加されておらず、これは人がガスの臭いを感じることがないことを意味する。ガスに臭いが添加されている場合でも、全ての漏出を検出するのは難しいか又は非現実的であることが多い。殆どの処理プラントでは、小規模な漏出がたくさんあるため、プラントはどこも化学物質のような臭いがする。本発明の一実施例を用いることができるために、プラント作業員が高速かつ容易に漏出を見つけることができる場合、最も小規模な漏出でさえ修復することが経済的となり得る。このような場合、処理プラントは、終始化学物質のような臭いがすることがなくなる。本発明の一実施例の1つのテストでは、大型プラントの1つの領域で、ほんの30分の間に15個の漏出が見つかった。これは、殆どの従来の検査方法よりも高速である。本発明の一実施例を用いる別の利点は、視線が確保されているときは赤外線カメラ・システムで見ることができるため、検査員が、漏出を見つけるために装置及びパイプの上及び周りを這って行く必要がないことが多いことである。一方、嗅覚性検出器を使う場合、検査員は、ガス漏れを検出するために検出器をそのガス漏れの流れの中に入れる必要がある。
【0077】
プラント内の密閉されたエリア又はプラントの任意のエリアは、例えば、一実施例の携帯型の又は恒久的に設置される/据え置き型の赤外線カメラ・システムを用いて、定期的に又は継続的に監視され得る。一実施例の恒久的に設置される赤外線カメラは、例えば、図1の第1の実施例に類似しているが建築物に取り付けられるように適合されたクローズドサイクル・スターリング冷凍機を用いることができる。恒久的に設置されるカメラのネットワーク全体は、プラントの一部の又は全体の適用範囲を提供するために、プラント全体に要所要所に配置され得る。一実施例において、継続的に又は定期的にカメラによって提供される画像を人間が監視することができる。他の実施例において、漏出のガス又は液体の流れを示す画像の変化又は画像の動きを検出するために、画像認識ソフトウェアを備えたコンピュータ・システムが用いられてもよい。
【0078】
また、プラント又は工場の多くには、屋上から排出する噴出しバルブがある。ひとつのプラントに、30フィート以上の高さにある排出口を備えた多数の排気口があり得る。しかし、本発明に従った赤外線カメラ・システムを用いれば、このような排気口を出るガスは、例えば、地上で遠くから高速に調査することができる。また、タワー構造の最上部で燃焼しているフレア排出は、遠くから(例えば、10フィート以上離れて、地上から、など)本発明の一実施例を用いて視覚的に検査され得る。
【0079】
以前の検査で記録された検査データは、プラント管理者にとって有用となり得る。プラントで検査が行われ、検査員によってビデオで視覚的に実証されたものと同じ漏出がその後の調査で再度見つかった場合、プラント管理者は、その漏出が修復されなかったものか、或いはそれが再発した漏出であるかを知ることができる。
【0080】
本発明の一実施例を用いる更に別の方法において、政府の規制機関(例えば、鉄道委員会、DOT、EPA)は、プラント又は工場が、自然環境に排出されるべきではない石油製品又は他の化学物質(例えば、揮発性有機化合物、揮発性無機化合物、亜酸化窒素、未燃焼化学物質など)を排出しているかどうかを判断するため、彼ら自身で、赤外線カメラ・システムを用いて容易に及び高速に視覚的検査を行うことができる。政府規制機関によるこのような検査は、環境規則及び規制の厳守を一層徹底するために、抜き打ち検査として無作為に成されてもよい。また、政府規制機関は、彼らがレビューできるように、検査の記録を保持することを要求することができる。更に、政府規制機関は、以前の検査で漏出が明らかになった対象のエリアで、その漏出が適時に修復されたことを確認するために、その後、視覚的にフォローアップ検査を行うことができる。未修復の漏出ケースを探すために、政府規制機関が一連のテスト・ビデオをレビューすることもできる。このように、政府規制機関に有用となり得る本発明の一実施例を用いる方法は数多く存在する。
【0081】
本発明の別の方法において、運搬手段の燃料漏出(又は他の化学物質又は液体の漏出)が、本発明の一実施例を用いて容易に発見され得る。例えば、ロータス・エスプリ(Lotus Esprit)の車は、そのガソリンタンクに、さびや、位置を特定すること及び見つけることが困難な小さなピンホール漏れができることで広く知られている。ガソリンタンクを車両の外に出すにはエンジンを取り外さねばならないため、検査のためにガソリンタンクを取り外すことはコスト的に効率的ではない。また、このような車は、高圧及び/又は低圧燃料パイプ(lines)で漏出を生じ、これがエンジン火災を引き起こし得ることが知られている。更に、燃料漏出が存在するエンジン室からの有害フュームが車内に入り込むことがあり、これは車内の乗員にとって危険であり不快なことである。本発明の一実施例は、このような漏出を正確に位置特定し見つけるために用いられ得る。また、このような方法は、例えば、飛行機、ボート、ヘリコプター、及び個人船舶など、他の運搬手段の燃料漏出の場所を特定するためにも適用され得る。本発明の赤外線カメラ・システム22は、運搬手段上の冷却剤漏出を高速に位置特定するために用いられてもよい。また、本発明の一実施例は、家や建築物のHVAC設備のガス又は冷却剤漏出を位置特定するためにも用いられ得る。
【0082】
図23A〜図31Bは、実験用のテスト中に本発明の一実施例によって生成された幾つかの画像である。具体的に言うと、図23〜図31Bは、図4に示したものとほぼ同じ通過帯域80を備えた光バンドパス・フィルタ46を有する第14の実施例(図20参照)を用いて生成されたものである。
【0083】
図23A〜図23Dは、地面(例えば、埋設ライン)から漏れているガス140のフィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像である。図23A〜図23Dの画像は、この漏出140のビデオ記録から抽出された画像シーケンスからのものである。静止画像で説明するのが困難な場合もあるが、ビデオ(画像のシーケンス)の漏出の流れ140の動きにより、漏出140がより一層明らかとなる。1つの静止画像では現れない非常に小さな漏出(低流速)がビデオで容易に見つかることがよくある。これは、ビデオでは漏出の流れ又はフュームの動きを見ることができるためである。
【0084】
図24A〜図24Dは、本発明の一実施例によって得られた画像であり、吐出側のフランジ142のコンプレッサーから漏れているガス140を示す。図24A〜図24Dの画像のシーケンスは、フランジ142から流れるガス140を示すビデオから抽出されたものである。
【0085】
図25A〜図25Dは、本発明の一実施例によって得られた画像であり、約12psiの圧力で1.5インチのガス・ラインを切断する作業員から生じる天然ガス(メタン)漏出140を示す。これは地中のガス・ラインである(図示せず)。地中の穴に存在するメタン140の大きな煙(cloud)は多少分散しており、図25A〜図25Dの静止画像では見ることが難しいが、煙140の動きによりビデオでは容易に見ることができる。背景の物体の画像は、オリジナルのビデオで認識及び焦点合わせすることが容易であり、このことが、漏出140が出てくる場所の状況(context)を提供する助けになることにも注意されたい。
【0086】
図26は、本発明の一実施例によって得られ、記録されたビデオ・シーケンスから抽出された画像である。図26は、処理プラントで構成要素144から発する大規模なガス漏れ140を示す。
【0087】
図27も本発明の一実施例によって得られ、記録されたビデオ・シーケンスから抽出された画像である。図27は、建物の屋上148(約30フィートの高さ)から伸びる排気管146から流れるガス140を示す。この画像は地面の高さの人間によって得られたものである。排気口146から流れ出るガスは、自然環境に排出する噴出しバルブからのものであり得、これは、その構成要素が噴出しバルブを開放させている状態を示し得る。
【0088】
図28A及び図28Bは、本発明の一実施例によって得られ、記録されたビデオ・シーケンスから抽出された更なる画像である。図28A及び図28Bは、ガソリンポンプで自分のトラックにガソリンを注入している人を示す。図28Bでは、ガソリンをガソリンタンクに注入しているとき、トラックの荷台を背景として、ポンプ・ハンドルのすぐ上にガス・フューム140が見えることに注意されたい。
【0089】
図29は、プロパンを検出するためのシステムのテストで、プロパン・ボトルに存在するプロパン140の画像を示す。図30は、処理プラントの構成要素から発する小規模なガス漏出140の画像を示す。漏出は、かすかな黒い煙(cloud)140として画像に現れる。これは比較的小さな漏出である。
【0090】
図31A及び図31Bは、テスト現場上を飛行するヘリコプターから撮影した画像である。このテストでは、図29にあるように、地面でプロパン・ボトルが開けられる。図31Aでは、プロパンの流れ140は、ヘリコプターが約60ノットでテスト現場に向かって移動しながら、2分の1マイル離れた赤外線カメラ・システムで見ることができる。図31Bは、図31Aのものよりも一層近い距離で一層焦点の合ったプロパンの流れ140の画像である。図31Bでは、人間150がプロパンの流れ140の隣及び灌木152の隣に立っているのが見えることに注意されたい。また、図31A及び31Bでは、2本の道路が見え、それらが参照地点及びプロパンの流れ140の位置の状況を提供することに注意されたい。
【0091】
本発明の一実施例の一つの利点は、図23A〜図31Bのこれらの画像に示されているように、漏出又はガスの流れ140と共に、背景及び周囲の物体を画像ではっきりと見ることができることが多いことである。このことは、漏出がある場所の参照値及び状況を提供する際に非常に役に立つ可能性があり、ビデオ画像を用いて漏出を実証する際の助けとなる。
【0092】
米国EPAのための本発明の一実施例の最近のテストでは、他の赤外線カメラ・システムと比べると、本発明の実施例は他のシステムよりも非常に性能が優れていた。米国EPAのためのこのテストの後、新しい米国EPA規制は、視覚的な漏出調査を行うための赤外線カメラ・システムの使用を考慮に入れて、2004年末までに又はその後まもなく発行される予定である。このことは、他では達成することができなかったが本発明の実施例が現在達成することが可能な、この業界の長期にわたる切実な要求を示している。
【0093】
また、上述の米国EPAテストの後、本発明の実施例に対する、及び本発明の一実施例を用いたサービスに対する爆発的な要求が出てきている。このことは、商業的成功を示し、本発明の実施例に対する及び本発明の実施例を用いたサービスに対する大きな要求を示す。
【0094】
図32は、本発明の第1のデュアルカメラ実施例の概略を示す。このシステムは、光バンドパス・フィルタ46(好ましくは、そのシステムの冷却される部分42に取り付けられる、即ち、コールド・フィルタ構成)を備えた赤外線カメラ・システムである第1のビデオ・カメラ22、第2のビデオ・カメラ154(例えば、別の赤外線カメラ・システム)、イメージ・スプリッタ156、レンズ・アッセンブリ158、及び画像プロセッサ/レコーダー160を含む。第2のビデオ・カメラ154は、第1のビデオ・カメラ22と同じタイプのレンズから画像を得ることができる任意の赤外線カメラ・システムであってよい。第2のビデオ・カメラ154は、漏れている化学物質を映し出さないようなフィルタを備えた赤外線カメラであり得る。第1のビデオ・カメラ22は、特定の通過帯域80(例えば、約3.38ミクロンを中心にした波長範囲を有する通過帯域80)用の光バンドパス・フィルタ46を用いることによって、焦点の合った化学物質漏出の視覚的画像を提供するように適合された赤外線カメラである。例えば、第1のビデオ・カメラ22は、上述した実施例(例えば、図1〜図20参照)のうち任意のものであってよい。第1のビデオ・カメラ22は、イメージ・スプリッタ156を介して同じレンズ158から第2のビデオ・カメラ154と同じ画像を受信し得る。各カメラからのビデオ信号は、画像プロセッサ/レコーダー160に出力され得る。画像プロセッサ/レコーダー160は、2つのビデオフィードを後の処理のために単に記録してもよい。代替として、画像プロセッサ/レコーダー160は、システム(例えば、ビデオ・データを処理するソフトウェアを動作させるコンピュータ・システム)、又は2つのビデオフィードを処理するために特化された/専門のハードウェアであってもよい。好ましくは、第2のビデオ・カメラ154からの画像は、コンピュータ・システムで動作するソフトウェア・プログラムによって、第1のビデオ・カメラ22からの画像と比較される。例えば、ガス漏れは、第2のビデオ・カメラ154からの画像には現れないため、第1のカメラ22からの赤外線画像に示されたガス煙(gas plume)の存在は、2つのビデオフィードの差として検出され得る。
【0095】
一実施例において、赤外線画像のガス煙に対応するこれらの差に対し、画像内の画素位置をソフトウェアが自動で識別及びマッピングしてもよい。その後、ガス煙の画像(第1のカメラからの赤外線画像に示された差)は、それが画像内で目立つように強調表示される又は色が付けられる。
【0096】
オプションで、画像プロセッサ/レコーダー160は、例えば、ビデオ・モニター162(図32参照)及び/又はデータベース164に通信可能に接続されてもよい。ビデオ・モニター162は、例えば、オペレータ又は検査員が、システム20を用いている間得られた画像のうち1つ又はそれ以上の任意のもの又は全ての画像を見るために用いられ得る。データベースは、収集されたビデオ画像及びテスト結果の保管場所又はアーカイブとして用いられ得る。第1及び第2のカメラ22、154は個別のデバイスであってよい。別の実施例において、イメージ・スプリッタ156、レンズ158、第1のカメラ22、及び第2のカメラ154が単一の携帯型ユニット内に一体化して配置されてもよい。同様に、画像プロセッサ/レコーダー160(又は、その或る部分)は、システム20の残りと同じ筐体内に又は同じラック上に配置されてもよい。
【0097】
図33は、本発明の一実施例(例えば、図32に図示した実施例)に用いられ得る方法を説明するフローチャート168を示す。図33のこの方法において、両方のカメラからの画像は、現場で記録され、運搬手段又はオフィスで後で処理されてもよい。また、図33の方法を用いて、両方のカメラの画像は、たとえその処理がその後すぐに(飛行中に)行われる場合でも、処理される前に蓄積されてもよい。両方のカメラからの画像は、化学物質漏出を示し得る差を識別するために比較される(ブロック170参照)。次に、差が識別されてマッピングされる。その後、マッピングされた差は、複合画像を提供するため、第2のカメラからの画像に付加され得る。また、差が識別されると(例えば、画像内の画素が所定の数を超える、動きを検出する、など)、化学物質漏出の検出が疑われることをオペレータ又は検査員に知らせるため、アラームが作動され得る。
【0098】
図34に図示する別の方法において、第1のカメラ22からの赤外線画像及び複合画像が記録され得る。例えば、第1のカメラからの赤外線画像は、修正前の画像を維持するために記録保持として必要とされる場合がある。しかし、検査によるレビューのため又は検査を調べるために、複合画像が好まれることがある。これは、複合画像がカラーコード或いは他の視覚的又は音声の手がかりを提供して、起こり得る漏出をレビュワーが一層良く識別し易くし得るためである。
【0099】
図35に示す更に別の方法において、複合画像のみが記録され得、画像が収集される毎に画像処理が成され得る。しかし、その処理の間、一時バッファメモリ(例えば、DRAM、MRAM)が用いられ得る。
【0100】
図36は、イメージ・スプリッタ及び共通のレンズが用いられない代替のシステム20の簡略化した概略図を示す。このため、第1のカメラ22は、第2のカメラ154とは別に画像を受信する。この構成において、第2のカメラ154は、例えば、可視光カメラであり得る。図37は、図36のシステム20が用いられ得る方法を説明するためのフローチャート172を示す。図37のフローチャートの方法は、第1及び/又は第2のカメラ22、154からの画像の記録を提供するように変えてもよい。他の実施例(図示せず)において、付加的なカメラ(例えば、第3のカメラ)が用いられてもよい。第2のビデオ・カメラ154からのビデオ画像は、第1のカメラ22からの赤外線画像に参照画面(例えば、フルカラー可視光画像)を提供するように、第1のカメラ22からのビデオ画像内に示されてもよい(ピクチャー・イン・ピクチャー)。
【0101】
図38は、本発明の一実施例の1つの方法を説明するためのフローチャート174を示す。この方法において、第1及び第2のカメラからの画像の比較が、所定の閾値(例えば、画素の領域、画素数、領域当たりの画素数など)を超える充分な差を示す場合、又は第2のカメラからの画像にはない第1のカメラからの画像内の動きを示す場合、アラームが作動され得る(図38のブロック176参照)。
【0102】
他の実施例において、1つの据え置き型カメラが(例えば、エンジン・ルーム内で)用いられ得る。プラントの或るエリアでは、その部屋で(目に見えない内部パーツ以外)動きが殆どない(例えば、殆どの時間その部屋を動き回る人がいない)ことが多い。このような実施例では、画像は、その画像内の動きを検出するためにハードウェア又はコンピュータ・システムによって監視され得る。画像は、一実施例の赤外線カメラ・システムで撮影された赤外線画像であるため、動きは、化学物質漏出によって引き起こされたものである得る。このため、画像は、動きについて継続的に又は定期的に自動で監視されてもよい。動きが検出されると、オペレータに疑わしい漏出を警告するため、アラームが作動し得る。その後、オペレータが、実際に漏出があるかどうか調べるためにビデオ画像(過去又は現在の)を見ることができる。
【0103】
本発明の実施例及びその利点の少なくとも幾つかを詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に規定した本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、以上の説明に種々の変更、置換、及び改変を加えることができることを理解されたい。更に、本出願の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法及びステップに関する特定の実施例に限定することを意図したものではない。当業者であれば本発明の開示内容から直ちに認めるであろうが、本出願に記述された実施例の対応物とほぼ同じ機能を果たす、又はほぼ同じ結果を実現するプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップは、現在存在するものであれ又は後日開発されるものであれ、本発明に従って利用可能である。従って、添付の特許請求の範囲は、その範囲にそうしたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップを含むことを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1は、第1の実施例の化学物質漏出検出システムの斜視図である。
【図2】図2は、図1の化学物質漏出検出システムの赤外線カメラ・システムの概略図である。
【図3A】図3Aは、メタンの吸収グラフである。
【図3B】図3Bは、メタンの吸収グラフである。
【図3C】図3Cは、メタンの吸収グラフである。
【図3D】図3Dは、メタンの吸収グラフである。
【図4】図4は、光バンドパス・フィルタの通過帯域を説明する透過率曲線である。
【図5】図5は、幾つかのアルカン化学物質の吸収グラフであり、その上に第1の実施例の通過帯域が転記されている。
【図6】図6は、幾つかのアルケン化学物質の吸収グラフであり、その上に第1の実施例の通過帯域が転記されている。
【図7】図7は、幾つかの芳香族化学物質の吸収グラフであり、その上に第1の実施例の通過帯域が転記されている。
【図8】図8は、幾つかのアルカン化学物質の吸収グラフであり、その上に第2の実施例の通過帯域の概略表記が転記されている。
【図9】図9は、幾つかのアルケン化学物質の吸収グラフであり、その上に第3の実施例の通過帯域の概略表記が転記されている。
【図10】図10は、幾つかの芳香族化学物質の吸収グラフであり、その上に第4の実施例の通過帯域の概略表記が転記されている。
【図11】図11は、メタンの吸収グラフであり、その上に第5の実施例の通過帯域の概略表記が転記されている。
【図12】図12は、メタンの吸収グラフであり、その上に第6の実施例の通過帯域の概略表記が転記されている。
【図13】図13は、エチレンの吸収グラフであり、その上に第7の実施例の通過帯域の概略表記が転記されている。
【図14】図14は、エチレンの吸収グラフであり、その上に第8の実施例の通過帯域の概略表記が転記されている。
【図15】図15は、プロピレンの吸収グラフであり、その上に第9の実施例の通過帯域の概略表記が転記されている。
【図16】図16は、プロピレンの吸収グラフであり、その上に第10の実施例の通過帯域の概略表記が転記されている。
【図17】図17は、1,3-ブタジエンの吸収グラフであり、その上に第11の実施例の通過帯域の概略表記が転記されている。
【図18】図18は、1,3-ブタジエンの吸収グラフであり、その上に第12の実施例の通過帯域の概略表記が転記されている。
【図19】図19は、六フッ化硫黄の吸収グラフであり、その上に第13の実施例の通過帯域の概略表記が転記されている。
【図20】図20は、第14の実施例の化学物質漏出検出システムの斜視図である。
【図21】図21は、本発明の一実施例を用いる検査員を示す図である。
【図22】図22は、多数の庭を1つの庭からを検査するための本発明の一実施例の使用法を説明する図である。
【図23A】図23Aは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図23B】図23Bは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図23C】図23Cは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図23D】図23Dは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図24A】図24Aは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図24B】図24Bは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図24C】図24Cは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図24D】図24Dは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図25A】図25Aは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図25B】図25Bは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図25C】図25Cは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図25D】図25Dは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図26】図26は、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図27】図27は、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図28A】図28Aは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図28B】図28Bは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図29】図29は、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図30】図30は、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図31A】図31Aは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図31B】図31Bは、本発明の一実施例を用いて得られた画像の例である。
【図32】図32は、本発明のデュアルカメラ実施例の概略図である。
【図33】図33は、本発明のデュアルカメラ実施例を用いる方法を説明するフローチャートである。
【図34】図34は、本発明のデュアルカメラ実施例を用いる方法を説明するフローチャートである。
【図35】図35は、本発明のデュアルカメラ実施例を用いる方法を説明するフローチャートである。
【図36】図36は、本発明の別のデュアルカメラ実施例の概略図である。
【図37】図37は、本発明のデュアルカメラ実施例を用いる更に多くの方法を説明するフローチャートである。
【図38】図38は、本発明のデュアルカメラ実施例を用いる更に多くの方法を説明するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学物質を中に有する構成要素から発する化学物質の視覚的画像を提供するように適合されるパッシブ赤外線カメラ・システムであって、
レンズと、
レンズから赤外線画像を取り込むように適合される赤外線センサ・デバイス、及びレンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に沿って配置される光バンドパス・フィルタであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域の少なくとも一部が、化学物質の吸収帯内にある光バンドパス・フィルタ、を中に含む冷却される部分と、
赤外線カメラ・システムの冷却される部分を冷却するように適合される冷却システムと、
を含むパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項2】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、冷却システムが、液体窒素を保持するように適合されるチャンバーを含む、パッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項3】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、冷却システムがクローズドサイクル・スターリング冷凍機を含むパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項4】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、冷却システムが、赤外線センサ・デバイス及び光バンドパス・フィルタを約100Kより低い温度まで冷却するように適合される冷凍機システムを含む、パッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項5】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、パッシブ赤外線カメラ・システムが持ち運び可能であり、赤外線カメラ・システムを使用中、その赤外線カメラ・システムに電力を供給するように適合されるバッテリーを更に含むパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項6】
請求項5に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、
フレームと、
フレームから伸びるショルダーレスト部と、
フレームから伸びるハンドルと、
を更に含むパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項7】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、赤外線カメラ・システムを使用中、その赤外線カメラ・システムによって得られた画像を表示するように適合されるフラットパネル・スクリーンを更に含むパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項8】
請求項7に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、スクリーンに近接して配置され、周辺光から少なくとも部分的にスクリーンを遮蔽するように適合されるライト・シールドを更に含むパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項9】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、光バンドパス・フィルタが、約3360nmから約3400nmの間の赤外光がそれを通過するように約45%より大きい透過率を与えるように適合される、パッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項10】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、光バンドパス・フィルタが、約3350nmから約3390nmの間の赤外光がそれを通過するように約45%より大きい透過率を与えるように適合される、パッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項11】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3360nmから約3400nmの間に位置する中心波長を有するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項12】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3375nmから約3385nmの間に位置する中心波長を有し、バンドパス・フィルタが、約3365nmから約3395nmの間の赤外光がそれを通過するように約80%より大きい透過率を与えるように適合され、バンドパス・フィルタが二酸化珪素基板を含み、通過帯域が約80nmより小さい半値全幅透過率を有する、パッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項13】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3340nmから約3440nmの間に位置する中心波長を有し、バンドパス・フィルタが中心波長で約70%より大きい透過率を与えるように適合され、通過帯域が約100nmより小さい半値全幅透過率を有する、パッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項14】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3360nmから約3380nmの間の中心波長を有し、バンドパス・フィルタが中心波長で約70%より大きい透過率を与えるように適合され、通過帯域が約100nmより小さい半値全幅透過率を有する、パッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項15】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、赤外線センサ・デバイスがアンチモン化インジウムFPA(focal plane array)を含み、FPAが真空のデュワー・アッセンブリで密閉されているパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項16】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、通過帯域が約600nmより小さい半値全幅透過率を有するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項17】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、通過帯域が約400nmより小さい半値全幅透過率を有するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項18】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、通過帯域が約200nmより小さい半値全幅透過率を有するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項19】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、通過帯域が約100nmより小さい半値全幅透過率を有するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項20】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3100nmから約3600nmの間に位置するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項21】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3200nmから約3500nmの間に位置するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項22】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3300nmから約3500nmの間に位置するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項23】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が、化学物質の吸収対域内に位置する中心波長を有する、パッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項24】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、構成要素が、パイプ、コンプレッサー、エンジン、バルブ、コンテナ、タンク、スイッチ、容器、継手、コネクター、ホース、フレア、排気口、機械、噴出しバルブ用の排気口、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択されるパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項25】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、冷却される部分がデュワー瓶の内部によって画定されるパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項26】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、化学物質が、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、エチレン、プロピレン、アセチレン、アルコール、エタノール、メタノール、キシレン、ベンゼン、ブタジエン、ホルムアルデヒド、アセトン、ガソリン、ディーゼル燃料、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択される物質を含むパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項27】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、化学物質が、石油、石油副産物、揮発性有機化合物、揮発性無機化合物、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択される物質を含むパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項28】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、化学物質が炭化水素を含むパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項29】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、化学物質がメタンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約3100nmから約3600nmの間に位置し、通過帯域が約3100nmから約3600nmの間に位置するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項30】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、化学物質がメタンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約7200nmから約8200nmの間に位置し、通過帯域が約7200nmから約8200nmの間に位置するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項31】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、化学物質が六フッ化硫黄を含み、吸収帯が少なくとも部分的に約10400nmから約10700nmの間に位置し、通過帯域が約10400nmから約10700nmの間に位置するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項32】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、化学物質がエチレンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約3100nmから約3500nmの間に位置し、通過帯域が約3100nmから約3500nmの間に位置するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項33】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、化学物質がエチレンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約10400nmから約10700nmの間に位置し、通過帯域が約10400nmから約10700nmの間に位置するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項34】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、化学物質がプロピレンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約3100nmから約3600nmの間に位置し、通過帯域が約3100nmから約3600nmの間に位置するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項35】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、化学物質がプロピレンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約10000nmから約11500nmの間に位置し、通過帯域が約10000nmから約11500nmの間に位置するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項36】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、化学物質が1,3-ブタジエンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約3100nmから約3200nmの間に位置し、通過帯域が約2900nmから約3200nmの間に位置するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項37】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、化学物質が1,3-ブタジエンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約9000nmから約12000nmの間に位置し、通過帯域が約9000nmから約12000nmの間に位置するパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項38】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、赤外線カメラ・システムの使用中に、その赤外線カメラ・システムによって得られた画像を記録するように適合されるビデオ録画デバイスを更に含むパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項39】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、赤外線カメラ・システムが非放射分析型(non-radiometric)であるパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項40】
請求項1に記載のパッシブ赤外線カメラ・システムであって、赤外線カメラ・システムが持ち運び可能であるパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項41】
化学物質を中に有する構成要素から発する化学物質の視覚的画像を提供するように適合されるパッシブ赤外線カメラ・システムであって、
レンズと、
レンズから赤外線画像を取り込むように適合される赤外線センサ・デバイス、及びレンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に配置される光バンドパス・フィルタであって、光バンドパス・フィルタが約600nmより小さい半値全幅透過率を有する通過帯域を有し、光バンドパス・フィルタの通過帯域の少なくとも一部が化学物質の吸収帯内にある光バンドパス・フィルタ、を中に含む冷却される部分と、
赤外線カメラ・システムの冷却される部分を冷却するように適合される冷却システムと、
を含むパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項42】
化学物質を中に有する構成要素から発する化学物質の視覚的画像を提供するように適合されるパッシブ赤外線カメラ・システムであって、
レンズと、
レンズから赤外線画像を取り込むように適合される赤外線センサ・デバイス、及びレンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に沿って配置される光バンドパス・フィルタであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3100nmから約3600nmの間に位置する光バンドパス・フィルタ、を中に含む冷却される部分と、
赤外線カメラ・システムの冷却される部分を冷却するように適合される冷却システムと、
を含むパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項43】
化学物質を中に有する構成要素から発する化学物質の視覚的画像を提供するように適合されるパッシブ赤外線カメラ・システムであって、
レンズと、
レンズから赤外線画像を取り込むように適合される赤外線センサ・デバイス、及びレンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に沿って配置される光バンドパス・フィルタであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域の少なくとも一部が化学物質の吸収帯内にある光バンドパス・フィルタ、を中に含む冷却される部分と、
赤外線カメラ・システムの冷却される部分を冷却するように適合される冷却システムと、
赤外線カメラ・システムに電気的に接続されるバッテリーであって、化学物質漏出検査システムの使用中、赤外線カメラがこのバッテリーによって電力供給されるように適合されているバッテリーと、
を含むパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項44】
携帯可能な化学物質漏出検査システムであって、
化学物質を中に有する構成要素から発する化学物質の焦点の合った視覚的画像を提供するように適合されるパッシブ赤外線カメラ・システムであり、
レンズと、
レンズから赤外線画像を取り込むように適合される赤外線センサ・デバイス、及びレンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に沿って配置される光バンドパス・フィルタであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域の少なくとも一部が化学物質の吸収帯内にある光バンドパス・フィルタ、を中に含む冷却される部分と、
赤外線カメラ・システムの冷却される部分を冷却するように適合される冷却システム、を含むパッシブ赤外線カメラ・システムと、
赤外線カメラ・システムに電気的に接続されるバッテリーであって、化学物質漏出検査システムの使用中、赤外線カメラがこのバッテリーによって電力供給されるように適合されているバッテリーと、
赤外線カメラ・システムに取り付けられたフレームと、
フレームから伸びるショルダーレスト部と、
フレームから伸びるハンドルと、
を含む携帯可能な化学物質漏出検査システム。
【請求項45】
携帯可能な化学物質漏出検査システムであって、
化学物質を中に有する構成要素から発する化学物質の焦点の合った視覚的画像を提供するように適合されるパッシブ赤外線カメラ・システムであり、
レンズと、
レンズから赤外線画像を取り込むように適合される赤外線センサ・デバイス、及びレンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に沿って配置される光バンドパス・フィルタであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3100nmから約3600nmの間に位置し、通過帯域が約600nmより小さい半値全幅透過率を有する光バンドパス・フィルタ、を中に含む冷却される部分と、
赤外線カメラ・システムの冷却される部分を冷却するように適合される冷却システム、を含むパッシブ赤外線カメラ・システムと、
赤外線カメラ・システムに電気的に接続されるバッテリーであって、化学物質漏出検査システムの使用中、赤外線カメラがこのバッテリーによって電力供給されるように適合されているバッテリーと、
赤外線カメラ・システムに取り付けられたフレームと、
フレームから伸びるショルダーレスト部と、
フレームから伸びるハンドルと、
を含む携帯可能な化学物質漏出検査システム。
【請求項46】
化学物質を中に有する構成要素から発する化学物質の焦点の合った視覚的画像を提供するように適合される携帯可能なパッシブ赤外線カメラ・システムであって、赤外線カメラ・システムが、
レンズと、
レンズから赤外線画像を受信するように適合され、その赤外線画像に対応する電気的信号を生成するように適合されるセンサのアレイを有する赤外線センサ・デバイス、及び、レンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に沿って配置される光バンドパス・フィルタであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3100nmから約3600nmの間に位置し、通過帯域が約600nmより小さい半値全幅透過率を有する光バンドパス・フィルタ、を中に含む冷却される部分を中に画定するデュワー瓶と、
冷却される部分を冷却するように適合される冷却システムと、
を含む携帯可能なパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項47】
化学物質を中に有する構成要素から発する化学物質の焦点の合った視覚的画像を提供するように適合される携帯可能なパッシブ赤外線カメラ・システムであって、赤外線カメラ・システムは、
レンズと、
レンズから赤外線画像を受信するように適合され、その赤外線画像に対応する電気的信号を生成するように適合されるセンサのアレイを有する赤外線センサ・デバイス、及びレンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に沿って配置される光バンドパス・フィルタであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3200nmから約3500nmの間に位置し、通過帯域が約80nmより小さい半値全幅透過率を有し、通過帯域が約3320nmから約3440nmの間に位置する中心波長を有する光バンドパス・フィルタと、
を中に含む冷却される部分を中に画定するデュワー瓶と、
冷却される部分を冷却するように適合される冷却システムと、
を含む携帯可能なパッシブ赤外線カメラ・システム。
【請求項48】
構成要素から発する化学物質の漏出を視覚的に検出する方法であって、
パッシブ赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることであって、パッシブ赤外線カメラ・システムが、
レンズ、
赤外線センサ・デバイス、及びレンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に沿って配置される光バンドパス・フィルタであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域の少なくとも一部が化学物質の吸収帯内にある光バンドパス・フィルタ、を中に含む冷却される部分、及び
冷却される部分を冷却するように適合される冷却システム、を含んでおり、
光バンドパス・フィルタで赤外線画像をフィルタリングすることであって、この赤外線画像は、構成要素から発する化学物質の漏出の赤外線画像であり、
赤外線画像がレンズ及び光バンドパス・フィルタを通過した後、漏出のフィルタリング後の赤外線画像を赤外線センサ・デバイスで受信すること、
フィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像を提供するため、赤外線センサ・デバイスによって受信されたフィルタリング後の赤外線画像を電子的に処理すること、及び
赤外線カメラ・システムによって提供されたフィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像に基づいて、漏出を視覚的に識別すること、
を含む方法。
【請求項49】
請求項48に記載の方法であって、
赤外線カメラ・システムによって提供されたフィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像を記録することを更に含む方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法であって、漏出の視覚的識別が、記録された視覚的画像を見ながら、構成要素から離れた別の場所で成される方法。
【請求項51】
請求項48に記載の方法であって、
赤外線カメラ・システムによって提供されたフィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像を、構成要素から離れた別の場所に転送することを更に含む方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法であって、漏出の視覚的識別がその離れた場所で成される方法。
【請求項53】
請求項51に記載の方法であって、
赤外線カメラ・システムによって提供されたフィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像を、その離れた場所に記録することを更に含む方法。
【請求項54】
請求項48に記載の方法であって、
赤外線カメラ・システムによって提供されたフィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像を、赤外線カメラ・システムから離れた別の場所に転送することを更に含む方法。
【請求項55】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることが、トラック、車、オートバイ、自転車、ボート、船、個人船舶、固定翼機、回転翼機、電動パラグライダー、超軽量航空機、電動グライダー、グライダー、気球、飛行船、遠隔操縦運搬手段、無人航空機、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択される運搬手段から成される方法。
【請求項56】
請求項48に記載の方法であって、
赤外線カメラ・システムによって提供されたフィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像を、一定時間の間記録することを更に含む方法。
【請求項57】
請求項56に記載の方法であって、記録がビデオ録画デバイスによって成され、ビデオ録画デバイスが赤外線カメラ・システムに通信可能に接続される方法。
【請求項58】
請求項57に記載の方法であって、ビデオ録画デバイスが、ネットワーク接続を介して赤外線カメラ・システムに通信可能に接続される方法。
【請求項59】
請求項57に記載の方法であって、ビデオ録画デバイスが、無線通信デバイスを介して赤外線カメラ・システムに通信可能に接続される方法。
【請求項60】
請求項57に記載の方法であって、ビデオ録画デバイスが、ケーブルを介して赤外線カメラ・システムに通信可能に接続される方法。
【請求項61】
請求項56に記載の方法であって、
記録の後、その記録のレビューを後で行うことを更に含む方法。
【請求項62】
請求項56に記載の方法であって、フィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像の記録と共に、検査情報を記録することを更に含み、検査情報が、検査箇所の名称、検査箇所の住所、構成要素の名称、構成要素の識別情報、グローバル・ポジショニング座標、日付、時刻、検査員の名前、検査会社の名称、1つ又はそれ以上のカメラ・システム設定値、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択される方法。
【請求項63】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムが、漏出のフィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像を表示するように適合されるディスプレイ・スクリーンを有し、漏出の可視画像を見ることが、赤外線カメラ・システムを向けている間に成される方法。
【請求項64】
請求項48に記載の方法であって、漏出の可視画像を見ることが、赤外線カメラ・システムに対して離れた位置のビューイング・デバイスで成され、ビューイング・デバイスが赤外線カメラ・システムに通信可能に接続される方法。
【請求項65】
請求項64に記載の方法であって、ビューイング・デバイスが、ネットワーク接続を介して赤外線カメラ・システムに通信可能に接続される方法。
【請求項66】
請求項64に記載の方法であって、ビューイング・デバイスが、無線通信デバイスを介して赤外線カメラ・システムに通信可能に接続される方法。
【請求項67】
請求項64に記載の方法であって、ビューイング・デバイスが、ケーブルを介して赤外線カメラ・システムに通信可能に接続される方法。
【請求項68】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることが、移動する運搬手段から成される方法。
【請求項69】
請求項68に記載の方法であって、運搬手段がヘリコプターであり、構成要素がパイプラインである方法。
【請求項70】
請求項69に記載の方法であって、パイプラインは少なくとも一部が地中に埋設されている方法。
【請求項71】
請求項69に記載の方法であって、パイプラインは少なくとも一部が地上にある方法。
【請求項72】
請求項68に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることが、トラック、車、オートバイ、自転車、ボート、船、個人船舶、固定翼機、回転翼機、電動パラグライダー、超軽量航空機、電動グライダー、グライダー、気球、飛行船、遠隔操縦運搬手段、無人航空機、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択される運搬手段から成される方法。
【請求項73】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることが、赤外線カメラ・システムを持つ人によって成される方法。
【請求項74】
請求項48に記載の方法であって、検査情報を、フィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像と組み合わせることを更に含み、検査情報が、検査箇所の名称、検査箇所の住所、構成要素の名称、構成要素の識別情報、グローバル・ポジショニング座標、日付、時刻、検査員の名前、検査会社の名称、1つ又はそれ以上のカメラ・システム設定値、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択される方法。
【請求項75】
請求項48に記載の方法であって、検査情報を表示することを更に含み、検査情報が、検査箇所の名称、検査箇所の住所、構成要素の名称、構成要素の識別情報、グローバル・ポジショニング座標、日付、時刻、検査員の名前、検査会社の名称、1つ又はそれ以上のカメラ・システム設定値、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択される方法。
【請求項76】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることが衛星から成され、構成要素が地球上に位置している方法。
【請求項77】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることが第1の庭から成され、構成要素が第2の庭に位置している方法。
【請求項78】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることが道路上の車両から成され、構成要素が建築物に隣接して位置している方法。
【請求項79】
請求項78に記載の方法であって、構成要素が、そこから伸びるパイプを備えたガス・メータである方法。
【請求項80】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることが、フェンスで画定された境界の外側から成され、構成要素が境界内に位置している方法。
【請求項81】
請求項48に記載の方法であって、構成要素が船上に位置している方法。
【請求項82】
請求項81に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることが陸から成される方法。
【請求項83】
請求項81に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることが船上で成される方法。
【請求項84】
請求項48に記載の方法であって、構成要素が建築物内に位置している方法。
【請求項85】
請求項48に記載の方法であって、構成要素が処理プラント内に位置している方法。
【請求項86】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることが、オフショア・リグに近づいて飛行する運搬手段から成され、構成要素がオフショア・リグに位置している方法。
【請求項87】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けている間、構成要素が、赤外線カメラ・システムから少なくとも10フィートの場所に位置している方法。
【請求項88】
請求項48に記載の方法であって、構成要素が、地上少なくとも15フィートの場所に位置しており、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることが、構成要素から10フィートよりも長い距離で成される方法。
【請求項89】
請求項48に記載の方法であって、構成要素が、構造物の大部分よりも上に位置している方法。
【請求項90】
請求項89に記載の方法であって、構成要素が噴出しバルブ用の排気口であり、赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることが地上から成される方法。
【請求項91】
請求項48に記載の方法であって、構成要素が運搬手段に位置している方法。
【請求項92】
請求項91に記載の方法であって、化学物質が、冷却材、燃料、水蒸気、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択される方法。
【請求項93】
請求項48に記載の方法であって、冷却システムが、液体窒素を保持するように適合されるチャンバーを含む方法。
【請求項94】
請求項48に記載の方法であって、冷却システムがクローズドサイクル・スターリング冷凍機を含む方法。
【請求項95】
請求項48に記載の方法であって、冷却される部分が、デュワー瓶の内部によって画定される方法。
【請求項96】
請求項48に記載の方法であって、冷却システムが、赤外線センサ・デバイス及び光バンドパス・フィルタを約100Kより低い温度まで冷却するように適合される冷凍機システムを含む方法。
【請求項97】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムが非放射分析型(non-radiometric)である方法。
【請求項98】
請求項48に記載の方法であって、赤外線センサ・デバイスがアンチモン化インジウムFPA(focal plane array)を含む方法。
【請求項99】
請求項48に記載の方法であって、構成要素が、パイプ、コンプレッサー、エンジン、バルブ、コンテナ、タンク、スイッチ、容器、継手、コネクター、ホース、フレア、排気口、機械、噴出しバルブ用の排気口、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択される方法。
【請求項100】
請求項48に記載の方法であって、パッシブ赤外線カメラ・システムが携帯可能であり、パッシブ赤外線カメラ・システムが、赤外線カメラ・システムを使用中、その赤外線カメラ・システムに電力を供給するように適合されるバッテリーを更に含む方法。
【請求項101】
請求項100に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムが、
フレームと、
フレームから伸びるショルダーレスト部と、
フレームから伸びるハンドルと、
を更に含む方法。
【請求項102】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムが、赤外線カメラ・システムを使用中、その赤外線カメラ・システムによって得られた可視画像を表示するように適合されるフラットパネル・スクリーンを更に含む方法。
【請求項103】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムが、スクリーンに近接して配置され、周辺光からスクリーンを少なくとも一部遮蔽するように適合されるライト・シールドを更に含む方法。
【請求項104】
請求項48に記載の方法であって、光バンドパス・フィルタが、約3360nmから約3400nmの間の赤外光がそれを通過するように約45%より大きい透過率を与えるように適合される方法。
【請求項105】
請求項48に記載の方法であって、光バンドパス・フィルタが、約3350nmから約3390nmの間の赤外光がそれを通過するように約45%より大きい透過率を与えるように適合される方法。
【請求項106】
請求項48に記載の方法であって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3360nmから約3400nmの間に位置する中心波長を有する方法。
【請求項107】
請求項48に記載の方法であって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3375nmから約3385nmの間に位置する中心波長を有し、バンドパス・フィルタが、約3365nmから約3395nmの間の赤外光がそれを通過するように約80%より大きい透過率を与えるように適合され、バンドパス・フィルタが二酸化珪素基板を含み、通過帯域が約80nmより小さい半値全幅透過率を有する方法。
【請求項108】
請求項48に記載の方法であって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3340nmから約3440nmの間に位置する中心波長を有し、バンドパス・フィルタが、中心波長で約70%より大きい透過率を与えるように適合され、通過帯域が約100nmより小さい半値全幅透過率を有する方法。
【請求項109】
請求項48に記載の方法であって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3360nmから約3380nmの間の中心波長を有し、バンドパス・フィルタが、中心波長で約70%より大きい透過率を与えるように適合され、通過帯域が約100nmより小さい半値全幅透過率を有する方法。
【請求項110】
請求項48に記載の方法であって、通過帯域が約600nmより小さい半値全幅透過率を有する方法。
【請求項111】
請求項48に記載の方法であって、通過帯域が約400nmより小さい半値全幅透過率を有する方法。
【請求項112】
請求項48に記載の方法であって、通過帯域が約200nmより小さい半値全幅透過率を有する方法。
【請求項113】
請求項48に記載の方法であって、通過帯域が約100nmより小さい半値全幅透過率を有する方法。
【請求項114】
請求項48に記載の方法であって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3100nmから約3600nmの間に位置する方法。
【請求項115】
請求項48に記載の方法であって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3200nmから約3500nmの間に位置する方法。
【請求項116】
請求項48に記載の方法であって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3300nmから約3500nmの間に位置する方法。
【請求項117】
請求項48に記載の方法であって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が、構成要素の吸収帯内に位置する中心波長を有する方法。
【請求項118】
請求項48に記載の方法であって、化学物質が、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、エチレン、プロピレン、アセチレン、アルコール、エタノール、メタノール、キシレン、ベンゼン、ブタジエン、アセトン、ガソリン、ディーゼル燃料、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択される物質を含む方法。
【請求項119】
請求項48に記載の方法であって、化学物質が、石油、石油副産物、揮発性有機化合物、揮発性無機化合物、及びこれらの組み合わせから成るグループから選択される物質を含む方法。
【請求項120】
請求項48に記載の方法であって、化学物質が炭化水素を含む方法。
【請求項121】
請求項48に記載の方法であって、化学物質がメタンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約3100nmから約3600nmの間に位置し、通過帯域が約3100nmから約3600nmの間に位置する方法。
【請求項122】
請求項48に記載の方法であって、化学物質がメタンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約7200nmから約8200nmの間に位置し、通過帯域が約7200nmから約8200nmの間に位置する方法。
【請求項123】
請求項48に記載の方法であって、化学物質が六フッ化硫黄を含み、吸収帯が少なくとも部分的に約10400nmから約10700nmの間に位置し、通過帯域が約10400nmから約10700nmの間に位置する方法。
【請求項124】
請求項48に記載の方法であって、化学物質がエチレンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約3100nmから約3500 nmの間に位置し、通過帯域が約3100nmから約3500nmの間に位置する方法。
【請求項125】
請求項48に記載の方法であって、化学物質がエチレンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約10400nmから約10700nmの間に位置し、通過帯域が約10400nmから約10700nmの間に位置する方法。
【請求項126】
請求項48に記載の方法であって、化学物質がプロピレンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約3100nmから約3600nmの間に位置し、通過帯域が約3100nmから約3600nmの間に位置する方法。
【請求項127】
請求項48に記載の方法であって、化学物質がプロピレンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約10000nmから約11500nmの間に位置し、通過帯域が約10000nmから約11500nmの間に位置する方法。
【請求項128】
請求項48に記載の方法であって、化学物質がブタジエンを含み、吸収帯が少なくとも部分的に約2900nmから約3200nmの間に位置し、通過帯域が約2900nmから約3200nmの間に位置する方法。
【請求項129】
請求項48に記載の方法であって、赤外線カメラ・システムが、赤外線カメラ・システムを使用中、赤外線カメラ・システムによって得られた視覚的画像を記録するように適合されるビデオ録画デバイスを更に含む方法。
【請求項130】
構成要素から発する化学物質の漏出を視覚的に検出する方法であって、
パッシブ赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることであって、パッシブ赤外線カメラ・システムが、
レンズと、
赤外線センサ・デバイス、及びレンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に配置される光バンドパス・フィルタであって、光バンドパス・フィルタは、約600nmよりも小さい半値全幅透過率を有し、光バンドパス・フィルタの通過帯域の少なくとも一部が化学物質の吸収帯内にある光バンドパス・フィルタ、を中に含む冷却される部分と、
冷却される部分を冷却するように適合される冷却システムと、を含んでおり、
赤外線画像がレンズ及び光バンドパス・フィルタを通過した後、及び赤外線画像が光バンドパス・フィルタによってフィルタリングされた後、構成要素から発する化学物質の漏出の赤外線画像を赤外線センサ・デバイスで受信すること、
フィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像を提供するため、赤外線センサ・デバイスによって受信されたフィルタリング後の赤外線画像を電子的に処理すること、及び
赤外線カメラ・システムによって提供されたフィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像に基づいて、漏出を視覚的に識別すること、
を含む方法。
【請求項131】
構成要素から発する化学物質の漏出を視覚的に検出する方法であって、
パッシブ赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることであって、パッシブ赤外線カメラ・システムが、
レンズ、
赤外線センサ・デバイス、及びレンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に沿って配置される光バンドパス・フィルタであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3100nmから約3600nmの間に位置する光バンドパス・フィルタ、を中に含む冷却される部分、及び
冷却される部分を冷却するように適合される冷却システム、を含んでおり、
赤外線画像がレンズ及び光バンドパス・フィルタを通過した後、及び赤外線画像が光バンドパス・フィルタによってフィルタリングされた後、構成要素から発する化学物質の漏出の赤外線画像を赤外線センサ・デバイスで受信すること、
フィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像を提供するため、赤外線センサ・デバイスによって受信されたフィルタリング後の赤外線画像を電子的に処理すること、及び、
赤外線カメラ・システムによって提供されたフィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像に基づいて、漏出を視覚的に識別すること
を含む方法。
【請求項132】
構成要素から発する化学物質の漏出を視覚的に検出する方法であって、
パッシブ赤外線カメラ・システムを構成要素に向けることであって、パッシブ赤外線カメラ・システムが、
レンズ、
赤外線センサ・デバイス、及び
レンズと赤外線センサ・デバイスとの間の光路に沿って配置される光バンドパス・フィルタであって、光バンドパス・フィルタの通過帯域が約3200nmから約3500nmの間に位置し、通過帯域が約80nmより小さい半値全幅透過率を有し、通過帯域が約3320nmから約3440nmの間に位置する中心波長を有する光バンドパス・フィルタ、を中に含む冷却される部分、及び
冷却される部分を冷却するように適合される冷却システム、を含んでおり、
赤外線画像がレンズ及び光バンドパス・フィルタを通過した後、及び赤外線画像が光バンドパス・フィルタによってフィルタリングされた後、構成要素から発する化学物質の漏出の赤外線画像を赤外線センサ・デバイスで受信すること、
フィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像を提供するため、赤外線センサ・デバイスによって受信されたフィルタリング後の赤外線画像を電子的に処理すること、及び、
赤外線カメラ・システムによって提供されたフィルタリング後の赤外線画像を表す可視画像に基づいて、漏出を視覚的に識別すること
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図23D】
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【図24A】
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【図24B】
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【図24C】
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【図24D】
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【図25A】
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【図25B】
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【図25C】
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【図25D】
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【図26】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図29】
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【図30】
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【図31A】
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【図31B】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公表番号】特表2007−515621(P2007−515621A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532474(P2006−532474)
【出願日】平成16年4月26日(2004.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/012946
【国際公開番号】WO2005/001409
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(505456115)
【Fターム(参考)】