説明

走査光学装置及びそれを有する画像投射装置

【課題】 光源手段から画像情報に応じて光変調された光束を2次元走査が可能な走査手段で偏向走査し、被投射面に対して投射画像を斜め方向から投射して2次元画像を形成するとき、歪みが少なく良好な投射画像を得ること。
【解決手段】 光源手段から発せられた光束を互いに直交する方向に走査する走査手段と、該走査手段により走査された走査光束を被投射面に投射する投射系と、投射系は互いに平行偏心したパワーのある第1,第2の光学要素と、基準面内で第1,第2の光学要素の光軸から離れた位置に近軸曲率中心を有するパワーのある反射手段を有し、中心光束は被投射面の法線に対して斜方向から入射しており、走査基準点を通り、第1,第2の光学要素の光軸に対して平行な軸を基準軸とするとき、第1の光学要素と、第2の光学要素の光軸を適切に設定したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走査光学装置及びそれを有する画像投射装置に関し、特に走査手段で偏向走査された光束(偏向光束)を2次元的に走査することによって、被走査面(スクリーン面)上に2次元画像を投射するようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
光源手段から発せられた光束を走査手段によって2次元的に偏向走査し、被走査面上をスポットで2次元的に光走査し、その残像効果によって2次元画像を形成する走査光学装置は種々と提案されている。
【0003】
このうち、所謂ピコプロジェクタと呼ばれる携帯可能な画像投射装置が知られている。この画像投射装置では、LEDやレーザのような固体光源を使用し、LCDのような2次元画像素子を投射光学系で拡大投射している。この他、MEMS(Micro-Electro-Mechanical-System)と呼ばれる小さな駆動ミラーを用いて光を走査(偏向)することで時分割的に画像を被投射面に形成する画像投射装置が知られている(非特許文献1)。
【0004】
ピコプロジェクタの目的の一つに、携帯端末等に組み込み、必要に応じて投射した画像を少人数による情報共有に利用する事がある。この目的のためには、画像投射装置を小型化する必要がある。LCD(液晶表示素子)のような2次元画像素子をこの目的で使用する場合には、画像素子面での照明の均一性や光束の取り込み効率が良いこと等が要求される。
【0005】
レーザ光源を使用する走査方式の場合、非特許文献1では、その図5に示すように、走査ミラーで反射させる前に集光レンズを置いている。これにより、投射光学系を使用せず、また照明均一化の部材を用いずに装置全体の小型化を図っている。また、同文献ではTOF(Time Of Flight)等の3D計測の機能を走査機能に兼用させ、カメラ等の入力装置と組み合わせることで、これまでにないユーザインターフェースの実現を容易にしている。
【0006】
一方、斜め投射方式と呼ばれる、スクリーン(被投射面)中心への入射光束が大きな入射角度を持って入射する方式の画像投射装置が知られている(特許文献1乃至3)。この方式は、視聴者の邪魔にならない位置からの投射を可能にし、画像投射装置としての設置の自由度を確保することが容易になるという特徴がある。
【0007】
特許文献1乃至3における斜め投射方式では、入射角度が大きな場合、スクリーンに一番近い光学要素にパワーのあるミラー(反射部材)を使用している。特許文献2では凸面鏡を使用し、特許文献3では凹面鏡を使用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO97/01787
【特許文献2】WO01/06295
【特許文献3】特開2004−258620号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「MEMS-based handheld projection systems and a survey of applications」Margaret K. Brown et al. SPIE Vol7930
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
斜め投射方式では凸面鏡と凹面鏡の違いはあるが、基本的な光学原理は次のようである。2次元画像素子あるいは走査方式のいずれにしても、スクリーンに投影される画像は、特別な場合を除き、歪み(歪曲収差)の無いことが望まれる。前記ミラーの主な役割は、この歪曲収差を補正する事である(即ち、光束の主光線を目標とするスクリーン上の位置に歪みが少なく投射すること)。従って、ミラーの形状はこの条件によって略決められる。このため、それに起因して非点収差等の収差がミラーで発生してくる。一般には、このとき発生する収差を、ミラー以外の光学要素で補正するようにしている。
【0011】
図10(a)〜図10(c)は、実際の斜め投射系に使用される自由曲面の凹面ミラー102について、通常の光の進行方向とは反対に、スクリーン101側から光束を射出させている。そして反射後に投射系の一定の瞳を通過するような設定にしてシミュレーション(光線追跡)したものである。
【0012】
ここでは、一定の位置に瞳があると仮定したが、これは便宜上の話で、実際の投射光学系ではこのような一定の瞳があることは稀で、像高毎に少しずつずれた位置にある方が一般的である。図10(a)〜図10(c)では、凹面ミラー102の特性を把握のために例示的に光線追跡を示している。
【0013】
スクリーン101を発し、凹面ミラー102で反射した光束は、その収束作用に従って、それぞれ所定の場所で集光する。例えば、スクリーン101の上端中央(水平走査方向の中央)から発した光束1は、図10(b)に示すようにメリディオナル断面では瞳から11mmの位置に集光する。また図10(c)に示すようにサジタル断面では19.4mmの位置に集光する。
【0014】
次に、スクリーン101の下端中央から発した光束5の光束は、図10(b)に示すようにメリディオナル断面では瞳から33.5mmの位置に集光する。また図10(c)に示すようにサジタル断面では33.3mmの位置に集光する。
【0015】
従って、スクリーン101の下端の光束5では略ゼロ、上端の光束1では8.4mmの非点収差(非点隔差)がある。このように投射光学系を通過する光線によって非点収差の量が異なり、ミラー以外の光学要素が補正手段としての役割が重要となる。もっとも存在する収差は非点収差だけではなく、高次の球面収差、コマ収差等も存在する。しかし一番寄与の大きな収差が非点収差である。
【0016】
以上から、スクリーン上の各点に集光させるためには、逆に光線追跡した凹面ミラー102の各集光位置に、他の光学要素で集光させる必要がある。この斜め投射方式においては反射手段(凹面ミラー)及び反射手段から生ずる非点収差を補正すべく、他の光学要素の構成を適切に設定しないと被投射面に投射される歪みを少なくし、良好なる投射画像を得るのが困難になる。
【0017】
本発明は、光源手段から画像情報に応じて光変調された光束を2次元走査が可能な走査手段で偏向走査する。そして、被投射面に対して投射画像を斜め方向から投射して2次元画像を形成するとき、歪みが少なく良好な投射画像が得られる小型の走査光学装置及びそれを有する画像投射装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の走査光学装置は、光源手段と、該光源手段から発せられた光束を互いに直交する方向に走査する走査手段と、該走査手段により走査された走査光束を被投射面に投射する投射系を有する走査光学装置において、
前記投射系は互いに平行偏心したパワーのある第1,第2の光学要素と、前記第1,第2の光学要素の光軸を含む基準面内で、前記第1,第2の光学要素の光軸から離れた位置に近軸曲率中心を有するパワーのある反射手段を有し、
前記走査手段で走査され、前記被投射面の基準面内における走査中心に入射する中心光束は前記被投射面の法線に対して斜方向から入射しており、前記被投射面の走査中心に入射する中心光束が前記走査手段に入射するときの入射点を走査基準点とし、
該走査基準点を通り、前記第1,第2の光学要素の光軸に対して平行な軸を基準軸とするとき、前記第1の光学要素の光軸は前記基準軸に対し、前記被投射面と反対側に平行偏心しており、前記第2の光学要素の光軸は、前記第1の光学要素の光軸に対して前記被投射面と反対側に平行偏心していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、光源手段から画像情報に応じて光変調された光束を2次元走査が可能な走査手段で偏向走査し、被投射面に対して投射画像を斜め方向から投射して2次元画像を形成するとき、歪みが少なく良好な投射画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1の走査光学装置の中央断面図
【図2】図1の詳細図
【図3】図1の光路を展開したときの模式図
【図4】図2の光路を示す模式図
【図5】図1のスクリーン面上における歪曲の説明図
【図6】実施例1のスクリーン上の各集光点におけるスポットダイアグラム
【図7】球面レンズの曲率の違いを示す説明図
【図8】正レンズによる色収差の補正機能を示す説明図
【図9】RGB各色のスポットダイアグラムを示した説明図
【図10(a)】歪曲補正する機能を有する凹面ミラーに対して、スクリーン側から光束を入射させた様子を示した説明図
【図10(b)】図10(a)の具体的な光束の凹面ミラー反射後のメリディオナル集光点を示した説明図
【図10(c)】図10(a)の具体的な光束の凹面ミラー反射後のサジタル集光点を示した説明図
【図11】実施例2の要部概略図
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に具体的な例をもとに、本発明の実施の形態について説明する。本発明の走査光学装置は、光源手段(レーザ光源)と、光源手段から画像情報に基づいて光変調され発せられた光束(レーザ光束)を互いに直交する方向に走査する1枚又は2枚の走査ミラーを有する走査手段とを有する。更に走査手段により走査された走査光束を被投射面(スクリーン)に2次元投射する投射系を有する。また本発明の画像投射装置は、このような走査光学装置を用いている。
【0022】
本実施例の走査光学装置は、例えばPDAのような携帯情報端末とケーブルで接続すれば携帯情報端末の小さな画面を机の上などの被走査面に画像情報を表示することができる。
【0023】
本発明の走査光学装置は、卓上において画像を投影することで共有する他、画像投射面の距離測定、カメラと組み合わせたユーザインターフェース等にも利用することができる。
【0024】
図1は本発明の走査光学装置の実施例1の要部概略図である。図2は図1の一部分の拡大図である。図3は図1の模式図、図4は図3の一部分の説明図である。
【0025】
本実施例では光源(光源手段)1からのレーザ光は、2次元方向で振動する走査ミラー(走査手段)2に入射する。そこで適宜方向を変えられ、走査結像用の投射光学系(投射系)3を通過し、被投射面としてのスクリーン4に斜め方向から入射する。それとともに、歪み(台形歪み)の軽減された画像を形成している。ここで走査ミラー2は、1枚の2次元方向に振動する走査ミラーでも、2枚の1次元走査ミラーを組み合わせたものであっても良い。
【0026】
例えば走査手段としては、例えばMEMS(Micro-Electro-Mechanical-System)技術などで作製したMEMSデバイスが適用できる。投射系3は互いに平行偏心したパワー(屈折力のことであり焦点距離の逆数である。)のある第1,第2の光学要素31a,31bを有する。
【0027】
更に第1,第2の光学要素31a,31bの光軸31a2,31b2を含む基準面内(yz面内)である。そして第1,第2の光学要素31a,31bの光軸31a2,31b2から離れた位置に近軸曲率中心32aを有するパワーのある自由曲面の凹面鏡よりなる反射手段32を有している。
【0028】
本実施例において走査手段2で走査され、被投射面4の基準面内における走査中心3に入射する中心光束は被投射面4の法線に対して斜方向から入射している。被投射面4の走査中心3に入射する中心光束が走査手段2に入射するときの入射点を走査基準点2aとしている。
【0029】
走査基準点2aを通り、第1,第2の光学要素31a,31bの光軸31a2,31b2に対して平行な軸を基準軸2bとする。このとき、第1の光学要素31aの光軸31a2は基準軸2aに対し、被投射面4と反対側(−y軸方向)に平行偏心している。また、第2の光学要素31bの光軸31b2は、第1の光学要素31aの光軸31a2に対して被投射面4と反対側に平行偏心している。反射手段32の近軸曲率中心32aは、基準面(yz面)内であって、基準軸2bに対して被投射面4側又は反対側に位置している。
【0030】
光源手段1から走査手段2に入射する光束は収束光であり、走査手段2の走査基準点2aに入射し走査される走査光束は第1の光学要素31aの光軸31a2に対して片側領域(+y方向の領域)に入射した後に第1の集光点31a1に結像する。その後、第2の光学要素31bの光軸31b2に対して片側領域(+y方向の領域)に入射した後に第2の集光点31b1に再結像する。
【0031】
次に本実施例の詳細について説明する。光源1からの画像情報に応じて光変調され放射されたレーザ光は、光源1を構成するコリメータレンズ等の作用により、所定の収束光に変換して出射している。光源1には、発散角の大きなレーザ光からの光束を制御するために、コリメータ等の光学要素を用いて、発光部から放射された光束の収束にも利用して、これにより光学要素の数を減らしている。図1の実施例1の場合、走査ミラー2で反射後、走査ミラー2から約68mmの位置に結像するような収束光になっている。
【0032】
投射光学系3は、球面形状の正レンズ(第1の光学要素)31a、同じく球面形状の正レンズ(第2の光学要素)31bと、自由曲面よりなる反射手段としての凹面ミラー32を有している。走査ミラー2で2次元走査された光束は、正レンズ31aの集光作用により、正レンズ31aと正レンズ31bの間の第1集光点で一旦結像する。
【0033】
更に、正レンズ31bの作用により、正レンズ31bと凹面ミラー32の第2集光点の間で再度結像する。これらの光束は、凹面ミラー32の集光結像作用により、スクリーン4上に歪み(歪曲)の軽減されたスポットとして投射される。歪曲を制御するため、凹面ミラー32の反射面は自由曲面形状となっている。
【0034】
本実施例では、更にスクリーン4上で、走査光束が小さなスポットとして結像される条件を満たすために、次のような構成を有している。即ち、走査ミラー2に関して、スクリーン4が存在する方向を上側としたとき(光源1から放射される光束の中心1aを基準としたとき)、正レンズ31aの光軸31a1と、正レンズ31bの光軸31b1が基準軸2bに対して下方向に軸ずれしている。
【0035】
従って、走査ミラー2からの光束は、各レンズの主として光軸に対して上側(片側)を通過することになる。また、正レンズ31bの光軸31b1は、正レンズ31aの光軸31a1に対して基準軸2aに対して相対的に更に下方に軸ずれしている。
【0036】
このような構成の結果を確認するため、図5に歪曲の状況を示す。図5は、スクリーン4での代表的な光束の集光状態を示している。投射光学系3はこのスクリーン4の中央下側に配置され、図1がその中央断面4Aと一致する。
【0037】
この光学系の配置では、左右対称となるため、図5ではスクリーン4の左半分のスポットの状況だけを示している。図5から、歪み(投射歪み)が良く補正されている様子が分かる。
【0038】
本実施例において、スクリーン4の大きさは、略A4に相当する大きさである。スクリーン面4から凹面ミラー32の一番遠いところ迄の距離(スクリーン4上の点1凹面ミラー32の点1までの距離)は約90mmである。図1では、光源1から凹面ミラー32迄を直列に並べた光学系として配置しているが、状況に応じて平面ミラー等で適宜光路を折り曲げることで、装置全体の小型化を図ることができる。
【0039】
図6において領域Aは図5の走査中央軸(Y軸)Aに対応している。同様に図6の領域B,C,Dは図5のY軸方向B,C,Dに対応している。図6に示すとおり、スクリーン4上の各スポットに関して、良好な補正が達成されている。尚、図5,6とも図1の光線番号1−5に対応するように同じ番号を付してある。
【0040】
次に、本実施例において、このような補正が行える理由を説明する。図2は投射光学系3の各集光点を示したものである。具体的には走査ミラー2で反射偏向された光束が正レンズ31aを通過後の第1集光点31a1と、正レンズ31b通過後の第2集光点31b1を形成する。第1集光点31a1の方は、正レンズ31aの光軸31a2に対して略垂直に近い配列を持ち、第2集光点31b1の方は逆に光軸方向31b2に近い配列となっている。
【0041】
表12の実施例1の欄は、図1の光線1から光線5の中央断面4Aの光束の各集光点に関し、メリディオナル(以下Mと略記)断面・サジタル(以下Sと略記)断面の各光束断面の集光位置を走査ミラー2の位置を基準として示したものである。
【0042】
ここで走査ミラー2の位置の基準としては、走査ミラー2の水平走査角度の中心及び垂直走査角度の中心である。表9において水平走査0°及び垂直走査0°のときである。
【0043】
第1集光点31a1、第2集光点31b1とも光線5から光線1に移動するに従って、Mの集光点の方が走査ミラーにより近い位置に集光すると同時に、MとSの差(非点隔差)Δも拡大する。このことが、背景技術で説明した投射系の凹面ミラーの非点収差とマッチングするための重要なポイントとなる。
【0044】
ここでマッチングとは凹面ミラー32でスクリーン4上に2次元的な画像を投射するときに歪みの少ない(歪曲の少ない)投射像を得るための凹面ミラー32の物点としての形状を第1,第2の光学素子31a,31bで形成することをいう。
【0045】
球面の場合、図7に示すように、光線の通過する位置によって、メリディオナル断面の曲率(Rm)とサジタル断面の曲率(Rs)とが異なる。従って、より曲率の小さなサジタル断面の方がよりレンズに近い位置に集光するはずである。しかし、表1に示す実施例1の場合、逆にメリディオナル断面の光束の方がより近くに結像している(MとSの結像点の差分Δが負になっている場合)。
【0046】
この理由は上記の曲率の差の寄与の他に、面の傾きの影響が加わることによる。即ち収束光が傾いた面に入射する際、プリズム効果により手前に収束させる効果を持つ。従って、面の曲率だけでなくこのプリズム効果を最適化することで、必要とされる非点収差に近い結像条件を満足する事ができる。この理由のため、走査ミラー2からの光束が収束光であることが望まく、その収束位置も設計自由度となり得る。
【0047】
このプリズム効果を具体的に実現するには、球面の場合は軸ずれをパラメータに使用する。但し、この様に大きな非点収差を1枚の正レンズ31aだけで実現するのは困難である。それは、走査ミラー2からの各主光線に着目した場合、それは走査ミラー2を中心とした発散光となっており、それを投射光学系3に向けて収束させる条件と、各光束の目標の非点収差を形成する条件とを両立させるには、自由度が少なすぎるためである。
【0048】
そのため、複数枚の球面レンズが必要となる。図1では、2枚の正レンズ31a,31bを使用している。そして最初の正レンズ31aで走査光を第1集光点31a1に収束させるとともに、小さな非点収差を発生させる(または、逆方向の非点収差の発生を抑える)。そして、更に2番目の正レンズ31bで非点収差を拡大させることで、凹面ミラー32で生ずる非点収差とのマッチングをとる。このとき、正レンズ同士の相対軸ずれも重要なパラメータである。
【0049】
例えば基準軸2bからの軸ずれを後述するように適切に設定している。また、このような正レンズのみの構成で、色収差も補正できる。軸ずれを有する最初の正レンズ31a通過後、光軸31a2から離れた位置を通過する光束では、当然赤に比べて、青色光の屈折が大きい。そのため、図8に記載の通り、2番目の正レンズ31b通過の際には青色が光軸31b2に近い側を通ることになり、上記のプリズム効果が弱められる。
【0050】
結果として、2番目の正レンズ31bを通過することで、色収差が縮小する。この補正の基本的な原理から、各正レンズ31a,31bの材料のアッベ数は比較的自由に選ぶことができる。この時の各色の集光の様子を図9に示す。
【0051】
以上の非点収差の発生効果と色収差の補正効果とを合わせることにより、斜め投射可能な走査光学装置を実現している。非点収差の量は、求められる斜め投射の度合いによって変化するが、設置の自由度を考えた場合、非点収差の最小と最大の比が0.3以下であることが望ましい。
【0052】
ここで非点収差の最小と最大の比(以下単に比と呼ぶ)が0.3以下であることの技術的根拠は次のとおりである。まず数値の範囲として、基本的には−0.3から+0.3の範囲で、従って、0も当然含む。
【0053】
図1の5に相当する光束は、本実施例の基本構成に於いては、第1及び第2光学要素の光軸付近を通過する。従って発生する非点収差量は小さく、その差はゼロに近くなる。このことから、比もゼロに近くなる。
【0054】
一方、この比の絶対値が大きくなるケースは2つで、プラス側に振れる場合と、マイナス側に振れる場合の二通りがある。プラス側に振れる場合は、5の光束が主として光軸より上側を通過する場合に相当し、マイナス側に振れる場合は、5の光束が主として光軸の下側を通過する場合に相当する。
【0055】
プラス側に振れる場合は、1に相当する光束が光学要素の高い位置を通過することとなり(光学要素の相対的な偏心量が大きくなる)、コマ収差の発生等、非点収差以外の収差が大きくなり、それを抑制するために、余分な自由度が必要になる。更に、反射手段で発生する非点収差と、第1、第2要素で発生する非点収差との絶対量のマッチングが困難になり、同じく余分な自由度の追加が必要となる。
【0056】
マイナス側に振れる場合(実施例4,5,6の場合)は、光学要素の光軸を挟んで下側にも5の光束が回り込むようになり、1に相当する光束が光学要素の低い位置を通過する。この度合いが大きくなると、色収差の抑制が難しくなり、色消し手段(貼り合わせレンズや回折素子の追加)が必要となる。また、プラス側同様に、反射手段で発生する非点収差と第1、第2要素で発生する非点収差の絶対量のマッチングが困難になり、自由度の追加が必要となる。
【0057】
また、最初の正レンズ31aより、2番目の正レンズ31bの非点収差の隔差形成の寄与が大きく、2番目の正レンズ31bの方が強いパワーを有するのが良い。即ち、第2の光学要素の近軸パワーは第1の光学要素の近軸パワーよりも強い。
【0058】
凹面ミラー32には、自由曲面形状を採用している。これは、主として先に述べた歪曲の補正の自由度を上げるためである。歪曲が多少許容しうる場合は、通常の回転対称非球面も利用することができる。但し、球面ミラーは歪曲補正が困難であるため使用する事が難しい。通常このような凹面ミラーは製造を考えると材料として樹脂が用いられるが、使用される部分が、軸外しの部分となるため、金型の補正が必要となる。そのため、自由曲面としても容易に製造することができる。
【0059】
本実施例における走査光学装置は簡易な構成であるにもかかわらず、良好なる光学性能の投射画像が得られる。
【0060】
本発明の各実施例に対して、特許文献3の図1に示す投射光学系は、走査型ではなく、画像形成素子と斜め投射光学系を組み合わせた構成である。特許文献3の図1において、光源10側の最初の正レンズ12は、照明光学系の一部を構成するものである。また、結像光学系の最初の要素である正レンズ17は、実際1枚の正レンズで構成される訳ではなく、各実施例で示されるように多くの光学要素から構成される正のパワーを有する光学系を象徴的に表現している。
【0061】
更に、同図3の投射光学系では、実際に1枚の球面形状よりなる正レンズ17Aと球面形状の凹面ミラー19Aで構成されたものをデータとともに提示している。実際、データを確認してみると、球面形状の凹ミラー19Aは歪曲を補正する機能は有していない。また、球面形状の正レンズ17Aも、前に説明したような非点収差の補正機能を持ってないため、提示の構成では、歪曲、非点収差の両方とも補正されていない。
【0062】
特許文献3は正のパワーを有する光学系とミラーを組み合わせた場合の概念を説明しているだけである。特許文献3は走査型で斜め投射光学系を用いていない点で本発明の走査光学装置と全く異なっている。
【0063】
次に各実施例の好ましい構成について説明する。第1の光学要素31aの基準軸2bからの偏心量をy1とする。第2の光学要素31bの第1の光学要素31aからの偏心量をy2とする。反射手段32の近軸曲率中心32aの第2の光学要素31bからの偏心量をyRとする。第1の光学要素31aの焦点距離をf1とする。第2の光学要素31bの焦点距離をf2とする。反射手段32の近軸焦点距離をfRとする。このとき、以下の諸条件のうち1以上を満足するのが良い。
【0064】
0.10<|y1/f1|<0.30 ・・・(1)
0.90<|y1/y2|<2.00 ・・・(2)
0.10<|y2/yR|<2.50 ・・・(3)
1.20<f1/f2<2.40 ・・・(4)
1.20<f2/fR<3.00 ・・・(5)
条件式(1)は第1の光学要素31aの偏心量に関し、条件式(2)は第2の光学要素31bの偏心量に関し、条件式(3)は反射手段32の偏心量に関する。
【0065】
これらの条件式(1)乃至(3)を満足するように、各光学部材の偏心量を特定することによって、被投射面4に良好なる光学性能で画像情報を形成するのを容易にしている。
【0066】
条件式(4)は第1の光学要素31aと第2の光学要素31bの焦点距離の比に関し、条件式(5)は第2の光学要素と反射手段の焦点距離の比に関する。条件式(4),(5)を満足するように各光学部材のパワーを特定することによって、被投射面に歪みが少なく、良好なる光学性能で画像情報を形成することを容易にしている。
【0067】
以上、本発明の基本的な構成を説明したが、更に、設計の自由度・完成度を向上するために、様々な手段が考えられる。その際の、主な着目点としては、非点収差・光線角度・色収差等の補正不足を補うような自由度の付加が効果的である。
【0068】
例えば、代表的な自由度の例を列挙すると、
・レンズ面の非球面化・自由曲面化(非点収差、光線角度の改善)
・負レンズの導入(色収差の改善)
・光学部品の付加(非点収差、光線角度の改善)
・付加した光学部品の偏心(色収差、非点収差等の改善)
・回折面の導入(色収差等の改善)
・走査ミラーの垂直・水平走査角の最適化(非点収差、光線角度の改善)
等が挙げられる。
【0069】
このような自由度の付加は、目的に応じて適宜行われるが、出来るだけ効果的に、少ない自由度で簡易な構成で済ませることが重要である。括弧内に、その自由度によって主に期待できる効果を記しているが、当然他の項目にも影響を与える。また、付加自由度を増やすに従って、前記の第1、第2集光点に関する条件も緩められ、2枚のレンズ構成を基本として説明した条件が、必須条件では無くなる場合もある。
【0070】
表1乃至表8は、各々本発明の走査光学装置の実施例1乃至8の数値例の構成表である。各実施例の共通事項について説明する。構成表の左欄のNoについて、Msは走査ミラー(走査手段)2、32は凹面ミラー(反射手段)、Scはスクリーン(被投射面)4等を表す。また、a、b、c・・等の数値は、順番に光学要素31a、31b、31c・・・に対応する。
【0071】
形状は、各光学要素の面形状がどのようなものであるかを示しており、非球面の場合には、数1で面の深さZが与えられる。また、自由曲面と記載されている場合は、面の深さZは数2の多項式で表される。回折面と記載されている場合は、式1の非球面上に、数3で示される位相項を有する回折面が形成されていることを示している。
【0072】
【数1】

【0073】
【数2】

【0074】
【数3】

【0075】
数1では光軸方向での位置をzとし、光軸と直交する方向での位置をhとし、光の進行方向を正とする。1/Cを近軸曲率半径とし、kを円錐係数とし、A4,A6,A8・・・を非球面係数とする。
【0076】
数2では最初の項は、数1の非球面式の最初の項と同じ式であり、円錐係数で決まる2次曲線を光軸の周りに回転した2次曲面を表す。次のXとYのn次のべき乗に関する和は、この2次曲面への深さの補正項となる。i=j=0の定数項は含まない。最初の1次の項は、X10 とXとの2つであり、それぞれに係数A10、A01が対応する。そして、それぞれX方向の傾きとY方向の傾きの大きさを表している。次の2次の項には、X、X、Xの3つの項があり、係数A20、A11、A02が対応する。以下n次項についても同様である。左右対称な系の場合、Xの奇数次項は含まない。
【0077】
ここで回折光学部のパワー(焦点距離の逆数)φDは次の如く求められる。回折光学部の回折格子の形状を基準波長(d線)をλd、光軸からの距離をh、位相係数をB2,B4,B6・・・B2・i、そして位相φ(h)を
φ(h)=(2π/λd)・(B2×h2+B4×h4+・・・・B2・i×h2・i
なる式で表す。このとき、2次項の係数B2より、屈折力φdは
φd=−2・B2
となる。
【0078】
構成パラメータの符号は、光学分野における慣例に従い光の進行に関し、左方から右方へ測ったときを正としている。構成パラメータとして、その面の曲率半径、次の面までの間隔(厚さ)、硝子材料(光学材料)、Conic(円推定数)が示されている。なお、負の間隔は、ミラーで光束が反射し、光束が右方から左方へ侵攻する場合を示す。構成パラメータ以外に必要な項目は、表9、表10、表11にまとめて記載している。
【0079】
表9は、走査ミラー2の振り角(回転角)を示したものである。この例では、走査ミラー2は、水平・垂直の2軸で走査する方式である。実施例8以外はすべて同じ振り角である。実施例1乃至7の振り角の縦横比は略0.56である。実施例8の振り角の縦横比は0.605である。なお、各実施例ではスクリーンへの投射面積は便宜上A4の大きさとしており、その縦横比は約0.7である。
【0080】
表10は、各実施例において走査ミラー2に入射する光束を集光光束として、走査ミラー2を反射後、走査ミラー2より、どの程度離れた位置に集光するかを示した表である。なお、光束の集光作用及び集光状態は、コリメータの光軸方向の位置調整や新たにレンズを付加すること等で行われる。また、R,G,Bの3つのレーザを用いた場合、各レーザごとに行われる。
【0081】
表11は、各実施例の構成表に対応する光学要素の偏心量を示す一覧表である。光源手段からのレーザ光の中心光線が放射される方向1aを基準とし、この基準軸2bはY方向の軸ずれYを0としている。各実施例では、簡単のため、走査光学装置3がスクリーン4の中央断面下方(Y方向)に偏心していると仮定している。この横(x)方向の軸ずれや、y軸周りの回転の欄はゼロとなっているが、より一般的な設置を行う場合は、これらも利用する事となる。また、参考のため、右側の欄に各光学要素の焦点距離を示している。また前述した条件式(1)乃至(5)も示している。表1乃至表8の具体的な構成は次のとおりである。
【0082】
表1は、2枚の球面レンズa,bと、凹形状の自由曲面ミラー32とで投射系を構成した実施例1である。表2は、2枚の球面レンズa,bと、回転対称の凹形状の非球面ミラーとで投射系を構成した実施例2である。表3は、2枚の非球面レンズa,bと、凹形状の自由曲面ミラーとで投射系を構成した実施例3である。表4は、2枚の球面レンズa,b、1枚の非球面樹脂レンズcと、凹形状の自由曲面ミラーとで投射系を構成した実施例4である。表5は、1枚の球面レンズa、2つの球面レンズの貼り合わせレンズb、1枚の非球面樹脂レンズc、凹形状の自由曲面ミラーとで投射系を構成した実施例5である。表6は、1枚の非球面レンズa、1枚の自由曲面レンズb、凹形状の自由曲面ミラーcとで投射系を構成した実施例6である。表7は、1枚の非球面レンズa、1枚の非球面・回折レンズb、凹形状の自由曲面ミラーとで投射系を構成した実施例7である。表8は、2枚の球面レンズa,bと凹形状の自由曲面ミラーcとで投射系を構成した実施例8である。この構成は実施例1と類似であるが、設計の自由度として、走査ミラーの振り角を変えた例である。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
【表5】

【0088】
【表6】

【0089】
【表7】

【0090】
【表8】

【0091】
【表9】

【0092】
【表10】

【0093】
【表11】

【0094】
【表12】

【0095】
以上の実施例において、投射系3が互いに同一平面内で平行偏心又は傾き偏心の少なくとも一方で偏心したパワーのある第1,第2の光学要素と、第1,第2の光学要素の光軸を含む基準面内で、第1,第2の光学要素の光軸から離れた位置に近軸曲率中心を有するパワーのある反射手段より構成しても良い。
【0096】
図11は第1の光学要素31aと第2の光学要素31bが互いに同一平面(YZ面)で傾き偏心したときの走査光学装置の実施例2の要部概略図である。即ち、第1の光学要素31aの光軸31a2と第2の光学要素31bの光軸31b2が平行でなく、傾いている。図11の各部材に示した各符番と図4の各部材に示した符番と同じものは同符番を付している。
【0097】
図11において、投射系3は互いに同一面内で傾き偏心したパワーのある第1,第2の光学要素31a,31bと、第1,第2の光学要素31a,31bの光軸31a2,31b2を含む基準面(YZ面)内で、第1,第2の光学要素31a,31bの光軸31a2,31b2から外れた位置に近軸曲率中心32aを有するパワーのある反射手段32を有している。
【0098】
走査手段2で走査され、被投射面4の基準面(YZ面)内における走査中心に入射する中心光束は前記被投射面の法線に対して斜方向から入射している。そして被投射面4の走査中心3に入射する中心光束が走査手段2に入射するときの入射点を走査基準点2aとする。
【0099】
走査基準点2aを通り、第1の光学要素31aの光軸31a2に対して平行な軸を基準軸2bとする。このとき、第1の光学要素31aの光軸31a2は基準軸2bに対し、被投射面4と反対側に偏心している。また、第2の光学要素31bの光軸31b2は、第1の光学要素の光軸に対して被投射面と反対側に傾き偏心している。
【符号の説明】
【0100】
1 光源 2 走査ミラー(走査手段) 3 投射光学系(投射系)
4 スクリーン(被投射面) 31a 第1の光学要素 31b 第2の光学要素
32 凹面ミラー(反射手段) h 面上の光軸からの高さ r 曲率半径
c 曲率半径の逆数 A、A 非球面係数 B2、B4 位相係数
、X 多項式で表現した自由曲面係数 X 水平方向の座標軸
Y 垂直方向の座標軸 Z 光軸方向の座標軸
丸1、丸2 スクリーンに向かう光束の番号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源手段と、該光源手段から発せられた光束を互いに直交する方向に走査する走査手段と、該走査手段により走査された走査光束を被投射面に投射する投射系とを有し、
前記投射系は互いに平行偏心したパワーのある第1,第2の光学要素と、前記第1,第2の光学要素の光軸を含む基準面内で、前記第1,第2の光学要素の光軸から離れた位置に近軸曲率中心を有するパワーのある反射手段とを含み、
前記走査手段で走査され、前記被投射面の基準面内における走査中心に入射する中心光束は前記被投射面の法線に対して斜方向から入射しており、
前記被投射面の走査中心に入射する中心光束が前記走査手段に入射するときの入射点を走査基準点とし、該走査基準点を通り、前記第1,第2の光学要素の光軸に対して平行な軸を基準軸とするとき、前記第1の光学要素の光軸は前記基準軸に対し、前記被投射面と反対側に平行偏心しており、前記第2の光学要素の光軸は、前記第1の光学要素の光軸に対して前記被投射面と反対側に平行偏心していることを特徴とする走査光学装置。
【請求項2】
前記光源手段から前記走査手段に入射する光束は収束光であり、前記走査手段の走査基準点に入射し走査される走査光束は前記第1の光学要素の光軸に対して片側領域に入射した後に結像し、その後、前記第2の光学要素の光軸に対して片側領域に入射した後に再結像することを特徴とする請求項1記載の走査光学装置。
【請求項3】
前記反射手段の近軸曲率中心は、前記基準軸に対して前記被投射面の側に位置していることを特徴とする請求項1又は2記載の走査光学装置。
【請求項4】
前記反射手段の近軸曲率中心は、前記第2の光学要素の光軸に対して前記被投射面と反対側に位置していることを特徴とする請求項1又は2記載の走査光学装置。
【請求項5】
前記第2の光学要素の近軸パワーは前記第1の光学要素の近軸パワーよりも強いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の走査光学装置。
【請求項6】
前記第1の光学要素の前記基準軸からの偏心量をy1、前記第2の光学要素の前記第1の光学要素からの偏心量をy2、前記反射手段の近軸曲率中心の前記第2の光学要素からの偏心量をyR、前記第1の光学要素の焦点距離をf1とするとき、
0.10<|y1/f1|<0.30
0.90<|y1/y2|<2.00
0.10<|y2/yR|<2.50
なる条件を満足することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の走査光学装置。
【請求項7】
前記第2の光学要素の焦点距離をf2、前記反射手段の近軸焦点距離をfRとするとき、
1.20<f1/f2<2.40
1.20<f2/fR<3.00
なる条件を満足することを特徴とする請求項6に記載の走査光学装置。
【請求項8】
光源手段と、該光源手段から発せられた光束を互いに直交する方向に走査する走査手段と、該走査手段により走査された走査光束を被投射面に投射する投射系とを有し、
前記投射系は互いに同一面内で偏心したパワーのある第1,第2の光学要素と、前記第1,第2の光学要素の光軸を含む基準面内で、前記第1,第2の光学要素の光軸から外れた位置に近軸曲率中心を有するパワーのある反射手段とを含み、
前記走査手段で走査され、前記被投射面の基準面内における走査中心に入射する中心光束は前記被投射面の法線に対して斜方向から入射しており、
前記被投射面の走査中心に入射する中心光束が前記走査手段に入射するときの入射点を走査基準点とし、該走査基準点を通り、前記第1の光学要素の光軸に対して平行な軸を基準軸とするとき、前記第1の光学要素の光軸は前記基準軸に対し、前記被投射面と反対側に偏心しており、前記第2の光学要素の光軸は、前記第1の光学要素の光軸に対して前記被投射面と反対側に偏心していることを特徴とする走査光学装置。
【請求項9】
前記光源手段から前記走査手段に入射する光束は収束光であり、前記走査手段の走査基準点に入射し走査される走査光束は前記第1の光学要素の光軸に対して片側領域に入射した後に結像し、その後、前記第2の光学要素の光軸に対して片側領域に入射した後に再結像することを特徴とする請求項8記載の走査光学装置。
【請求項10】
前記反射手段の近軸曲率中心は、前記基準軸に対して前記被投射面の側に位置していることを特徴とする請求項8又は9記載の走査光学装置。
【請求項11】
前記反射手段の近軸曲率中心は、前記第2の光学要素の光軸に対して前記被投射面と反対側に位置していることを特徴とする請求項8又は9記載の走査光学装置。
【請求項12】
前記第2の光学要素の近軸パワーは前記第1の光学要素の近軸パワーよりも強いことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の走査光学装置。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の走査光学装置を有することを特徴とする画像投射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図10(c)】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−83803(P2013−83803A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223774(P2011−223774)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000104652)キヤノン電子株式会社 (876)
【Fターム(参考)】