説明

走査線駆動回路および電気光学装置

【課題】走査線駆動回路において、映像書込と黒挿入とを1つの垂直シフトレジスタによって済ませて、回路面積の肥大化を抑える。
【解決手段】シフトレジスタ131は、走査線数に応じた段数を有し、各段は、予め定められた幅を有するスタートパルスを、クロック信号CLYにしたがって順次シフトして出力する。T−FF133は、走査線112のそれぞれに対応して設けられ、走査線112に対して映像書込または黒挿入書込を指定する信号を出力する。AND回路134、135およびOR回路136は、シフトレジスタ131によりシフトされた信号に基づくパルス信号であって、走査線の選択を示すパルス信号を、T−FF133の出力信号によって映像書込が指定された場合には、第1イネーブル信号のパルス幅に狭め、前記黒挿入書込が指定された場合には、第2イネーブル信号のパルス幅に狭め、走査線に走査信号として供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる動画ぼやけ感を抑えるための走査線駆動回路等に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型の液晶装置などの電気光学装置は、フレームの期間(16.7ミリ秒)にわたって映像が保持されるホールド型である。このため、次のフレーム期間に移行したとき、前のフレーム期間の映像を視覚したときの記憶が残存するために、表示される映像に動きがあれば、その動き領域が、ぎくしゃくしたり、輪郭がぼやけたりして知覚される(動画ぼやけ感の発生)。一方、CRTのように画像が瞬間的に表示されるインパルス型の表示装置では、前フレーム期間で表示させた画像の記憶が、次フレーム期間に移行したときには、もはや残存していないので、動画ぼやけ感は発生しない。
そこで、ホールド型の電気光学装置においては、インパルス型の表示態様に似せるべく、映像書込用の垂直シフトレジスタによって走査線を走査して、表示画像を書き込んだ後、黒書込用のシフトレジスタによって走査線を走査して、黒画像(黒挿入)を書き込みする技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−47847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記技術では、シフトレジスタを2つ必要とするために、回路面積が大きくなって、周辺回路内蔵型の場合では、いわゆる額縁領域が広くなってしまう、という問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的の1つは、映像書込と黒挿入とを1つの垂直シフトレジスタによって済ませて、回路面積の肥大化を抑えた技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明に係る走査線駆動回路は、複数の走査線に応じた段数を有し、各段は、予め定められた幅を有するスタートパルスをクロック信号にしたがって順次シフトして出力するシフトレジスタと、前記複数の走査線のそれぞれに対応して設けられ、当該走査線に対して映像書込または黒挿入書込のいずれかを指定する指定信号を、出力する指定回路と、前記シフトレジスタによりシフトされた信号に基づくパルス信号を、前記指定信号によって映像書込が指定された場合には第1イネーブル信号のパルス幅に狭め、前記黒挿入書込が指定された場合には第2イネーブル信号のパルス幅に狭めて、前記走査線に走査信号として供給する論理回路と、を具備することを特徴とする。本発明によれば、映像書込が指定されていれば、パルス幅が第1イネーブル信号のパルス幅に狭められ、黒挿入書込が指定されていれば、パルス幅が第2イネーブル信号のパルス幅に狭められるので、シフトレジスタは1つで済ませることができ、走査線駆動回路の面積の肥大化を抑えることが可能となる。
なお、本発明において、前記第1イネーブル信号および第2イネーブル信号は、前記シフトレジスタによりシフトされた信号に基づくパルス信号のパルス幅期間において互いに排他的にアクティブレベルとなる信号であって、前記第1イネーブル信号は、水平有効走査期間にアクティブレベルとなり、前記第2イネーブル信号は、水平帰線期間にアクティブレベルとなる。
【0005】
本発明において、走査線については映像書込と黒挿入書込とが交互に実行されるので、前記指定回路としては、前記シフトレジスタによりシフトされた信号の立ち上がり又は立ち下がり毎に、前記指定信号の論理レベルを反転させるフリップフロップが好ましい。
また、本発明において、前記論理回路は、前記映像書込が指定されている場合を条件に、前記パルス信号と前記第1イネーブル信号との第1論理積を求める第1論理積回路と、前記黒挿入書込が指定されている場合を条件に、前記パルス信号と、前記第2イネーブル信号との第2論理積を求める第2論理積回路と、前記第1論理積と前記第2論理積との論理和を求める論理和回路と、を含んでも良い。また、この論理回路の演算内容は、前記映像書込が指定された場合には第1イネーブル信号を選択し、前記黒挿入書込が指定された場合には第2イネーブル信号を選択して、前記パルス信号と選択されたイネーブル信号との論理積を求めることと同義である。
なお、本発明は、走査線駆動回路のみならず、電気光学装置としても概念することが可能である。
また、本発明において、フレーム期間をクロック信号の周期の奇数倍に設定するとともに、水平走査期間をクロック信号の周期に設定しても良い。本発明によれば、フレーム期間が水平走査期間の奇数倍となるので、行反転方式または画素反転方式としたときに、隣接する行同士で同極性となってしまう部分の発生を回避することができる。
また、本発明において、前記データ線駆動回路は、映像書込におけるデータ信号を、当該映像書込の前の黒挿入書込におけるデータ信号と同極性としても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0007】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態に係る走査線駆動回路について説明する。図1は、この走査線駆動回路を適用した電気光学装置の構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、電気光学装置1は、表示制御回路10、データ信号変換回路20および表示パネル100により構成される。このうち、表示制御回路10は、上位装置(図示省略)から供給される同期信号Syncに基づいて各部を制御する。データ信号変換回路20は、上位装置から供給されるデジタルの映像信号Vidを、表示制御回路10による制御にしたがってアナログ信号のデータ信号S1〜S8に、後述するデマルチプレクサの分配動作に同期させて変換出力する。
ここで、上記上位装置から供給される映像信号Vidは、表示パネル100の各画素につきR(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分の明るさ(階調)を指定するデジタルデータであり、同期信号Syncに含まれる垂直走査信号、水平走査信号およびドットクロック信号(いずれも図示省略)にしたがって走査される画素の順で供給される。
【0008】
表示パネル100では、表示領域100aの周辺にYドライバ130およびデマルチプレクサ140が設けられている。このうち、表示領域100aでは、例えば12行の走査線112が図において横方向に延在し、また、48列のデータ線114が図において縦方向に延在し、かつ、各走査線112と互いに電気的に絶縁を保つように設けられるとともに、これらの走査線112とデータ線114との交差のそれぞれに対応して、画素110がそれぞれ配設されている。
これらの画素110は、1列毎にR、G、Bの順で繰り返すストライプ配列となっており、横方向にわたって互いに隣接するRGBの3つの画素110で1ドットのカラーを表示する。したがって、本実施形態において、画素110は、表示領域100aにおいて縦12行×横48列のマトリクス状に配列して、縦12行×横16列ドットのカラー表示を行うことになるが、この配列はあくまでも説明の便宜上のものであり、本発明は、この配列に限定する主旨ではない。
なお、走査線112を区別するために、以下の説明では図において上から順に1、2、3、…、12行目という呼び方をする場合がある。同様に、データ線114を区別するために、図において左から順に1、2、3、…、48列目という呼び方をする場合がある。
【0009】
本発明の特徴部分であるYドライバ(走査線駆動回路)130は、表示制御回路10による制御にしたがって各走査線にそれぞれ走査信号を供給するが、詳細については後述する。
【0010】
また、1〜48列目のデータ線114は、1〜6、7〜12、13〜18、…、43〜48列目というように、本実施形態では互い隣接する6列毎にブロック化されている。ブロックを一般化して説明するために、1以上8以下の整数「j」を用いると、図1において左から数えてj番目のブロックには、(6j−5)列目から(6j)列目までの6列のデータ線114が対応することになる。
1番目から8番目までのブロックには、順番にデータ信号S1〜S8が供給されるが、これのデータ信号をブロックに属する6列のデータ線に分配したときに区別するために、j番目のブロックにおいて1列目のデータ線114に供給されるデータ信号をR(2j-1)と表記し、2、3、4、5、6列目のデータ線114に供給されるデータ信号をそれぞれG(2j-1)、B(2j-1)、R(2j)、G(2j)、B(2j)と表記している。
【0011】
デマルチプレクサ140は、データ線114の1列毎に設けられたnチャネル型の薄膜トランジスタ(thin film transistor:以下単に「TFT」と略称する)144の集合体である。このTFT144のドレイン電極はデータ線114の一端に接続され、各ブロックに属するデータ線114に対応した6個のTFT144のソース電極が共通接続されている。
一方、TFT144のゲート電極には、それぞれ次のような制御信号が表示制御回路10から供給される。すなわち、各ブロックにおいて1列目のデータ線114に対応するTFT144のゲート電極にはイネーブル信号R1−Enbが供給され、各ブロックにおいて2、3、4、5、6列目のデータ線114に対応するTFT144のゲート電極には、それぞれイネーブル信号G1−Enb、B1−Enb、R2−Enb、G2−Enb、B2−Enbが供給される。
【0012】
次に、画素110の構成について説明する。図2は、画素110の電気的な構成を示す図であり、任意の1行におけるRGBの3つの画素110を示している。
この図に示されるように、3つの画素110は電気的には互いに同一構成であり、それぞれ、TFT116と液晶容量120とを有する。このうち、TFT116のゲート電極は走査線112に接続される一方、そのソース電極はデータ線114に接続され、そのドレイン電極は画素電極118に接続されている。
画素電極118は、画素毎に設けられるのに対して、対向電極108は、画素電極118のすべてに対向するように全画素に対して共通に設けられるとともに、一定の電圧LCcomが印加されている。そして、対向電極108と画素電極118との間に液晶105が挟持され、これにより液晶容量120が構成されている。
【0013】
本実施形態において、液晶105は、OCB(Optical Compensated Birefringence)モードとしている。このため、液晶分子は、初期状態では2枚の基板間でスプレイ状に開いた状態(スプレイ配向)であり、表示動作時では弓なりに曲がった状態(ベンド配向)になって、ベンド配向の曲がりの度合いに応じて透過率(または反射率)が変化する。本実施形態では、液晶容量120において保持される電圧実効値がゼロに近ければ、光の透過率が最大となる一方、電圧実効値が大きくなるにつれて透過する光量が減少するノーマリーホワイトモードとしている。また、液晶容量120の透過光を着色するカラーフィルタ(図示省略)が画素110毎に設けられる。このため、バックライトユニットに(図示省略)よって照射された光は、画素毎に、液晶容量120に保持された電圧の実効値に応じた比率でカラーフィルタにより着色して出射する。
【0014】
周知のように、OCBモードでは、液晶容量120において保持される電圧実効値が臨界値を下回るとスプレイ配向に戻って、実効値に応じて透過率を制御することができなくなるので、表示すべき画像の階調に応じた電圧を書き込む前に、臨界値以上の電圧を印加して、ベンド配向に転移させておく必要がある。
【0015】
本実施形態では、あるフレーム期間において液晶容量120(画素110)に対し表示画像の階調に応じた電圧を書き込んだ後に、次のフレーム期間において透過率に応じた電圧を書き込む事前準備として、臨界値以上の電圧を書き込むことによって、スプレイ配向に戻ってしまうことを防いでいる。
このときにスプレイ配向に戻らないように書き込む臨界値以上の電圧として、画素110の透過率を最小とさせる電圧としている。すなわち、本実施形態では、スプレイ配向に戻らないようにベンド配向を維持するための臨界値以上の電圧印加は、同時に、動画ぼやけ感を低減するための黒挿入を意味しているのである。
なお、フレーム期間とは、表示パネル100を駆動することによって、カラー画像の1コマ分を表示させるために要する期間をいい、垂直走査周波数が60Hzであれば、その逆数である16.7ミリ秒であり一定である。
【0016】
続いて、本発明の特徴部分であるYドライバ130について説明する。図3は、Yドライバ130の構成を示す図である。
この図に示されるように、Yドライバ130には、クロック信号CLY、CLYinv、スタートパルスDY、イネーブル信号Enb1、Enb2が表示制御回路10から供給される。このうち、クロック信号CLY、CLYinvは、図5に示されるように、論理レベルが互いに反転の関係にあるデューティ比が50%のパルス信号であって、その半周期が、上位装置から供給される水平同期信号で規定される水平走査期間となるように生成される。
ここで、水平走査期間は、1行分の画素を1列目から48列目まで水平走査する水平有効走査期間と、48列目から次行の1列目まで戻す水平帰線期間とに分かれる。本実施形態では、便宜的に水平帰線期間を先とし、水平有効走査期間を後としている。
【0017】
また、イネーブル信号Enb1は、クロック信号CLYの論理レベルがHまたはLレベルとなる半周期すなわち水平走査期間のうち、水平有効走査期間においてHレベルとなるパルス信号であり、イネーブル信号Enb2は、水平走査期間のうち、水平帰線期間においてHレベルとなるパルス信号である。
このため、イネーブル信号Enb1、Enb2は、互いに排他的にHレベルとなり、イネーブル信号Enb1がHレベルとなる期間は、イネーブル信号Enb2がHレベルとなる期間よりも長い。
なお、実施形態では、アクティブレベルをHレベルとし、非アクティブレベルをLレベルとしている。
【0018】
図3において、シフトレジスタ131は、走査線112の行数である「12」よりも1段多い「13」段の単位回路132を、ある段の単位回路132から出力される信号を次段の単位回路の入力信号とするように縦続接続した構成としたものであるが、初段である1段目の単位回路132には、入力信号としてスタートパルスDYが供給される。
【0019】
シフトレジスタ131のうち、奇数(1、3、5、…、13)段目の単位回路132は、クロック信号CLYがHレベル(クロック信号CLYinvがLレベル)であるときに入力信号を取り込んで出力し、クロック信号CLYがLレベル(クロック信号CLYinvがHレベル)に変化したときには、変化直前状態(クロック信号CLYがHレベルであったとき)に取り込んだ入力信号を保持・出力するものである。
一方、偶数(2、4、6、…、12)段目の単位回路132は、クロック信号CLYがLレベルであるときに入力信号を取り込んで出力し、クロック信号CLYがHレベルに変化したときには、変化直前状態に取り込んだ入力信号を保持・出力するものである。
【0020】
このような奇数段目および偶数段目の単位回路132は、例えば図4に示されるように、クロックドインバータ1321、1322およびインバータ1323を含む構成が考えられる。
奇数段目のクロックドインバータ1321および偶数段目のクロックインバータ1322は、クロック信号CLYがHレベルのときにインバータとして機能し、クロック信号CLYがLレベルのときに、その出力が不定(ハイ・インピーダンス)となるものであり、奇数段目のクロックドインバータ1322および偶数段目のクロックインバータ1321は、クロック信号CLYinvがHレベルのときにインバータとして機能し、クロック信号CLYinvがLレベルのときに、その出力が不定となるものである。
【0021】
なお、シフトレジスタ131において、1〜13段目の単位回路132から出力される信号をSR1〜SR13と表記する。また、便宜的に、走査線112を一般化して説明するために、1以上12以下の整数「i」を用いる。
【0022】
トグル・フリップフロップ(T−FF)133は、1〜12行目の走査線112に対応して設けられた指定回路である。i行目のT−FF133は、i段目の単位回路132から出力される信号SRiをT入力として、当該信号SRiが立ち上がる毎に出力信号Qiの論理レベルを反転させる。なお、信号Qiの反転レベルを/Qiとする(/は、反転を示す)。また、T−FF133から出力される信号Qi、/Qiは、初期状態でそれぞれH、Lレベルとする。
【0023】
1〜12行目のそれぞれに対応して、AND回路134、135およびOR回路136の組が設けられる。
このうち、i行目のAND回路134は、自段i行目の単位回路132の出力信号SRiと、次段(i+1)行目の単位回路132の出力信号SR(i+1)と、i行目のT−FF133の出力信号Qiと、イネーブル信号Enb1との論理積を求めるものである。
i行目のAND回路135は、自段i行目の単位回路132の出力信号SRiと、次段(i+1)行目の単位回路132の出力信号SR(i+1)と、i行目のT−FF133の反転出力信号/Qiと、イネーブル信号Enb2との論理積を求めるものである。
そして、i行目のOR回路136は、i行目のAND回路134、135による論理積同士の論理和信号を、i行目の走査線112に走査信号Giとして出力するものである。
なお、OR回路136の出力は、レベルシフタや多段バッファ回路などを介して出力される場合もあるが、いずれにしても、OR回路136から出力される信号を論理レベルでみたときに正転または反転した信号が、走査信号として出力されることになる。
【0024】
次に、Yドライバ130の動作について図5を参照して説明する。
図において、aで示されるように、クロック信号CLY(CLYinv)の1周期分のパルス幅を有するスタートパルスDYが、クロック信号CLYがHレベルとなるタイミングよりも前に供給されると、第1段目の単位回路132は、当該スタートパルスDYをクロック信号CLYのHレベル期間で取り込み、次に、クロック信号CLYがLレベルとなったときに、取り込んだ信号を保持する。このため、第1段目の単位回路132から出力される信号SR1は、図5に示されるような波形となる。
第2段目の単位回路132は、当該信号SR1をクロック信号CLYのLレベル期間で取り込み、次に、クロック信号CLYがHレベルとなったときに、取り込んだ信号を保持するので、信号SR2は、信号SR1よりもクロック信号CLYの半周期だけ遅延することになる。以下同様に、信号SR3、SR4、…、SR12、SR13についても、順次クロック信号CLYの半周期だけ遅延することになる。
また、T−FF133による信号Q1〜Q12は、それぞれ信号SR1〜SR12が立ち上がる毎に、その論理レベルが反転して順次Lレベルとなる。
【0025】
ここで、例えばi行目に着目したときに、自段i行目の単位回路132による信号SRiと、次段(i+1)行目の単位回路132による出力信号SR(i+1)とがともにHレベルであることは、i行目の走査線112が表示画像の階調に応じた電圧の書き込み(映像書込)のため、または、画素を黒色とさせる電圧の書き込み(黒挿入書込)のために、選択すべき期間であることを意味する。
この映像書込および黒挿入書込は、同一水平走査期間でみたときには、異なる2行に対して同時に指定される場合がある。例えば、1行目に映像書込が指定され、11行目に黒挿入書込が指定されることもある。ただし、1、11行目の実際の選択は時間的に分離されている。また、同一行(走査線)についてみたときには、映像書込および黒挿入書込は、交互に実行される。
【0026】
一方、T−FF133は、単位回路132から出力される信号が立ち上がる毎に、出力信号の論理レベルを反転させるので、T−FF133から出力される信号の論理レベルによって、映像書込であるのか、黒挿入書込であるのかを規定することができる。詳細には、i行目でみたときに、T−FF133の信号Qiの初期状態をHレベルとしているので、i行目の単位回路132による信号SRiと、次段(i+1)行目の単位回路132による出力信号SR(i+1)とがいずれもHレベルとなる期間は、信号QiがLレベルであれば映像書込を指定し、信号QiがHレベルであれば黒挿入書込を指定している、と考えることができる。
【0027】
各AND回路134は、それぞれ4入力型の論理積信号を求めるものではあるが、その論理演算は、i行目でみれば、自段i行目の単位回路132による信号SRiと、次段(i+1)行目の単位回路132による出力信号SR(i+1)との論理積によってi行目の走査線を選択すべきことを示すパルス信号を求めるとともに、当該パルス信号を、信号QiがHレベルであることを条件に(すなわち、映像書込が指定されていることを条件に)、イネーブル信号Enb1のパルス幅に狭める、という内容と同義である。
したがって、走査信号G1〜G12には、aで示したスタートパルスDYを順次シフトしたことに起因して、映像書込のための幅の長いHレベルのパルスが順番に現れることになる。
【0028】
次に、図5においてaに続き、bで示されるスタートパルスDYが供給されると、aと同様に、信号SR1が出力され、続く信号SR2、SR3、SR4、…、SR12、SR13は、当該信号SR1から順次クロック信号CLYの半周期だけ遅延することになる。
また、T−FF133による信号Q1〜Q12は、それぞれ信号SR1〜SR12が立ち上がる毎に、その論理レベルが反転して順次Hレベルとなる。
各AND回路135は、それぞれ4入力型の論理積信号を求めるものではあるが、その論理演算は、i行目でみれば、自段i行目の単位回路132による信号SRiと、次段(i+1)行目の単位回路132による出力信号SR(i+1)との論理積によってi行目の走査線を選択すべきことを示すパルス信号を求めるとともに、当該パルス信号を、/信号QiがHレベルであることを条件に(すなわち、黒挿入書込が指定されていることを条件に)、イネーブル信号Enb2のパルス幅に狭める、という内容と同義である。
したがって、走査信号G1〜G12には、bで示したスタートパルスDYを順次シフトしたことに起因して、黒挿入書込のための幅の短いHレベルのパルスが順番に現れることになる。
【0029】
次に、水平走査期間における動作について図6を参照して説明する。図6は、水平走査期間において、j番目のブロックに対応して供給されるデータ信号Sj等の供給タイミングを示す図である。
データ信号変換回路20は、水平走査期間の時間的に先の水平帰線期間において、映像信号Vidにかかわらず、画素110を最低階調、すなわち、透過率を最小とさせる電圧(Black)のデータ信号Sjを供給する。
一方、表示制御回路10は、水平帰線期間において、イネーブル信号Enb1をHレベルとするとともに、デマルチプレクサ140に供給するイネーブル信号R1−Enb、G1−Enb、B1−Enb、R2−Enb、G2−Enb、B2−EnbをすべてHレベルとする。
【0030】
これにより、水平帰線期間では、すべてのTFT144がオンするので、透過率を最小とさせる電圧(Black)のデータ信号が全データ線114に供給される。
イネーブル信号Enb2がHレベルとなっているので、仮に11行目に黒挿入書込が指定されていれば、走査信号G11は、幅の短いHレベルのパルスとなる。走査信号G11がHレベルになると、11行目のTFT116がすべてオンするので、透過率を最小とさせる電圧が、データ線114およびTFT116を介して画素電極118に印加される。したがって、11行目の画素は、それまでの階調に応じた電圧から透過率を最小とさせる電圧に書き換えられて、黒色表示となる。
【0031】
次に、データ信号変換回路20は、水平走査期間の時間的に後の水平有効走査期間において、映像書込に係る行であって、各ブロックにおけるデータ線との交差に対応する6つの画素110に、階調に応じた電圧のデータ信号を、表示制御回路10の制御にしたがって順番に供給する。詳細には、データ信号変換回路20は、映像書込に係る走査線がi行目であるとき、j番目のブロックに対応するデータ信号Sjを、順番に、
i行(2j−1)列目のドットにおけるR画素、
i行(2j−1)列目のドットにおけるG画素、
i行(2j−1)列目のドットにおけるB画素、
i行(2j)列目のドットにおけるR画素、
i行(2j)列目のドットにおけるG画素、
i行(2j)列目のドットにおけるB画素、
の階調に応じた電圧とする。
ここでは、j番目のブロックで代表して説明しているが、このような動作は、1〜8番目のブロックのすべてにおいて同時並行的に実行される。
【0032】
一方、表示制御回路10は、水平有効期間において、イネーブル信号Enb1をHレベルにするとともに、データ信号変換回路20によるデータ信号の供給に合わせて、イネーブル信号R1−Enb、G1−Enb、B1−Enb、R2−Enb、G2−Enb、B2−Enbを順番に排他的にHレベルとする。
これにより、j番目のブロックでは、6列のデータ線には、RGBRGBの画素の階調に応じた電圧のデータ信号がそれぞれ供給される。
イネーブル信号Enb1がHレベルとなっているので、仮に1行目に映像書込が指定されていれば、走査信号G1は、幅の長いHレベルのパルスとなる。走査信号G1がHレベルになると、1行目のTFT116がすべてオンするので、階調に応じた電圧が、データ線114およびTFT116を介して画素電極118に印加される。したがって、1行目の画素は、それまでの黒色状態から、階調に応じた透過率となり、視認されることになる。
【0033】
11行目に黒挿入書込が指定され、1行目に映像書込が指定された次の水平走査期間では、12行目に黒挿入書込が指定され、2行目に映像書込が指定される。これにより、12行目の画素は、それまでの階調に応じた電圧から透過率を最小とさせる電圧に書き換えられて黒色表示となり、2行目の画素は、映像書込によって、それまでの黒色表示から、階調に応じた透過率となる。
次の四水平走査期間では、順に3、4、5、6行目に映像書込が指定されて、それまでの黒色表示から、階調に応じた透過率となる。なお、当該四水平走査期間では、映像書込だけが指定され、他の行に黒挿入書込が指定されない。
続く六水平走査期間では、順に、黒挿入書込および映像書込が指定される行の組み合わせが、1・7行目、2・8行目、3・9行目、4・10行目、5・11行目、6・12行目で推移し、この後の四水平走査期間では、順に7、8、9、10行目に黒挿入書込が指定される。なお、当該四水平走査期間では、黒挿入書込だけが指定され、他の行に映像書込が指定されない。
【0034】
この結果、映像書込と黒挿入書込とは同一走査線でみれば交互に実行され、また、映像書込および黒挿入書込のいずれも、1行目から12行目まで、順番に実行される。このため、映像書込により階調に応じた電圧が書き込まれる行に対して、黒挿入書込により黒色とさせる電圧が書き込まれる行は、一定行数離間して上から下方向に推移する
したがって、映像書込により階調に応じた透過率となった画素110は、黒挿入書込により、最小階調となるので、画素における表示がホールド型から擬似インパルス的となり、動画のぼやけ感も低減されるだけでなく、ベンド配向が維持されるので、スプレイ配向への転移による表示乱れも防止することができる。
【0035】
さらに、本実施形態では、bに示すスタートパルスDYを、時間的に前に出力させれば、黒挿入期間が長くなるので、インパルス的な応答を強めて、より動画のぼやけ感を低減させることができるし、時間的に後に出力させれば、黒挿入期間が短くなるので、画面全体を明るくすることができる。
このように本実施形態によれば、画素に、表示画像の階調に応じた電圧を書き込む映像書込と、黒色とさせる電圧を書き込む黒挿入書込とを行うためのYドライバ130は、シフトレジスタ131が1つで済むので、回路面積の肥大化を抑えることが可能となる。
【0036】
なお、上述した第1実施形態において、AND回路134の演算内容は、i行目でみれば、自段i行目の単位回路132による信号SRiと、次段(i+1)行目の単位回路132による出力信号SR(i+1)との論理積により求めたパルス信号を、信号QiがHレベルであることを条件に、イネーブル信号Enb1のパルス幅に狭める、であり、AND回路135の演算内容は、信号SRiと信号SR(i+1)との論理積により求めたパルス信号を、/信号QiがHレベルであることを条件にイネーブル信号Enb2のパルス幅に狭める、であり、OR回路136は、AND回路134、135の出力信号同士の論理和を求めて出力するというものであった。
【0037】
ここで、AND回路134、135およびOR回路136の演算内容を整理すると、信号SRiと信号SR(i+1)との論理積により求めたパルス信号を、信号QiがHレベルであればイネーブル信号Enb1のパルス幅に狭め、信号QiがLレベルであればイネーブル信号Enb2のパルス幅に狭める、と同義である。
したがって、図7に示されるように、信号QiがHレベルであれば、イネーブル信号Enb1を選択し、信号QiがLレベルであれば、イネーブル信号Enb2を選択する選択回路としてのスイッチ137を設けるとともに、AND回路138によって、信号SRiと信号SR(i+1)との論理積たるパルス信号を、スイッチ137により選択されたイネーブル信号のパルス幅に狭める構成としても良い。
【0038】
また、T−FF133は、単位回路132の出力信号の立ち上がりで、出力信号の論理レベルを反転させたが、信号Qi、/Qiの初期状態を、それぞれL、Hレベルに反転させれば、単位回路132の出力信号の立ち下がりで、出力信号の論理レベルを反転させても良い。
【0039】
<第2実施形態>
ところで、液晶容量120は、液晶の劣化を防止するために交流駆動が原則である。
各液晶容量120について、フレーム期間にわたって、書込極性をどのように設定するかについては、全画素を同極性とする面(フレーム)反転方式、走査線毎に書込極性を反転させる行(ライン)反転方式、データ線毎に書込極性を反転させる列反転方式、行および列方向にわたって1画素毎に反転させる画素反転方式などがあり、いずれも、所定周期(通常フレーム期間)で書込極性を反転させる。
ここで、書込極性とは、液晶容量120において、画素電極118の電位を対向電極108よりも高位とする場合を正極性といい、画素電極118の電位を対向電極108よりも低位とする場合を負極性と呼ぶ。なお、書込極性の基準については、対向電極108の電位ではなく、いわゆるビデオ振幅中心とする場合もある。
【0040】
フリッカーを目立たなくする、という観点からいえば、面反転を除く3方式が有利であり、このうち、画素反転方式が最も優れ、次いで行反転方式と列反転方式とがほぼ同程度で優れている、とされる。
【0041】
ここで、上述した第1実施形態において行反転方式を適用したとき、図5に示されるように、奇数行では正極性(+)としたとき、偶数行で負極性(−)となり、次のフレーム期間では反転して、奇数行では負極性(−)としたとき、偶数行で正極性(+)とする必要がある。
このとき、同一水平走査期間において映像書込および黒挿入書込で選択される2行について、書込極性を異極性にすると、データ線に供給されるデータ信号の極性が短期間のうちに反転してしまうので、データ線に寄生する容量成分が大きい場合に、データ線に正しい電圧を供給することができなくなる。このため、同一水平走査期間において映像書込および黒挿入書込で選択される2行の書込極性は互いに同極性となるように設定される。例えば、映像書込のために1行目が選択されるとき、黒挿入書込のために11行目も選択されるが、このとき1、11行目は互いに同極性となるように設定される。
【0042】
しかしながら、このように設定すると、次のような問題が生じる。
すなわち、あるフレーム期間において水平走査期間毎に書込極性を1行毎に反転させたときに、次のフレーム期間では書込極性を反転させる必要があるが、このとき、フレーム期間が水平走査期間の偶数倍であると、隣接する水平走査期間同士で同極性となってしまう部分が出現してしまう。
図5の例では、あるフレーム期間において映像書込のために最終12行目を選択してから次のフレーム期間において映像書込のために1行目を選択するまでの垂直帰線期間は、図3に示したYドライバ130では、B1〜B4と表記したような四水平走査期間になるが、B4は、次のフレーム期間の最初の水平走査期間に備えて反転させているので、B3、B4で同極性となる。このため、黒挿入書込の書込極性が9、10行目で同極性となる。
隣接する行同士において、黒挿入書込の書込極性が同極性であると、映像書込は異極性になることから、同じ透過率に制御すべき場合であっても、書き込み量が異なってしまうことになる。このため、隣接する2行のうち、一方において書込不足が発生して、表示において境界となって視認されるという不都合が発生する可能性がある。
なお、ここでは行反転方式を例に挙げて説明したが、画素反転方式においても、奇数行奇数列および偶数行偶数列の画素を正極性としたときに、奇数行偶数列および偶数行奇数列の画素を負極性となるので、同様な不都合が発生する。
【0043】
ここで、フレーム期間が、水平走査期間の偶数倍となってしまう原因は、図3に示すシフトレジスタ131では、第1に、奇数段目の単位回路132が、クロック信号CLYがHレベルのときに入力信号を取り込み、偶数段目の単位回路132が、クロック信号CLYがLレベルのときに入力信号を取り込むので、aで示すスタートパルスDYの供給間隔(フレーム期間)がクロック信号CLYの周期の整数倍となる点(第1の点)、および、第2に、入力信号の遅延量がクロック信号CLYの半周期であり、自段と次段とのパルス重複期間を求めて、この重複期間を水平走査期間としている点(第2の点)との2点にある。
この2点により、水平走査期間がクロック信号CLYの半周期となるので、クロック信号の整数倍であるフレーム期間は、必ず水平走査期間の偶数倍となってしまうのである。
【0044】
そこで、フレーム期間を水平走査期間の奇数倍として、上記不都合を解消した第2実施形態に係るYドライバについて説明する。図8は、第2実施形態に係るYドライバ130の構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、シフトレジスタ131は、走査線112の行数である「12」の2倍である「24」段の単位回路132を縦続接続したものあり、1行につき、図3における奇数段および偶数段の2段の単位回路132で構成される。したがって、この2段を走査線の1行に対する1段分として考えることもできる。
シフトレジスタ131において、入力信号の遅延量は、クロック信号CLYの半周期の倍である1周期分となるので、自段と次段との重複部分を求める必要がなくなるほか、水平走査期間がクロック信号CLYの1周期分となる。
図8に示したシフトレジスタ131では、上記第1の点については図3の例と変わりはないが、水平走査期間がクロック信号CLYの1周期分となる。このため、図9に示されるように、フレーム期間をクロック信号CLYの奇数倍に設定することができる。このように設定すると、フレーム期間が水平走査期間の奇数倍となるので、上記不都合を解消することができるのである。
【0045】
また、第2実施形態では、bで示した黒挿入用のスタートパルスDYを、aで示した表示用のスタートパルスDYに対してクロック信号CLYの周期の奇数倍で遅延させると、あるフレーム期間での黒挿入書込の書込極性を、次のフレーム期間で映像書込の極性と同一とすることができる。
これにより、画素に対して、黒色とさせる電圧の書き込みは、同時に階調に応じた電圧の書き込みに対するプリチャージとなるので、映像書き込みが迅速化されるとともに、各画素での初期状態を揃えた均等な書き込みが可能となる。
【0046】
<応用・変形例>
なお、上述した実施形態では、黒挿入書込において画素を黒色とさせるデータ信号を、映像書込における表示用のデータ信号と同じ経路で、すなわち、デマルチプレクサ140(TFT144)を経由してデータ線114に供給する構成としたが、例えば図10に示されるように、データ線114の他端側にTFT154を別途設け、黒挿入書込において画素を黒色とさせるデータ信号を、TFT154を経由してデータ線114に供給しても良い。
なお、このTFT154は、例えばnチャネル型であり、そのドレイン電極はデータ線114の他端に接続され、ソース電極が共通接続されている。同様にTFT154のゲート電極も共通接続されている。
【0047】
TFT154のソース電極の共通部分には、データ信号変換回路20から、画素を黒色とさせるデータ信号BIDが供給され、TFT154のゲート電極の共通部分には、表示制御回路10から、制御信号BIGが供給される。
ここで、制御信号BIGは、図11に示されるように、水平帰線期間においてイネーブル信号Enb2がHレベル期間となるときに、Hレベルとなる。
制御信号BIGがHレベルになると、すべてのTFT154がオンするので、透過率を最小とさせる電圧(Black)のデータ信号が全データ線114に供給される。仮にi行目に黒挿入書込が指定されるのであれば、i行目の画素は、黒挿入書込によって、それまでの階調に応じた電圧から透過率を最小とさせる電圧に書き換えられるため、黒色表示となる。
【0048】
上述した実施形態では、用いる原色をR・G・Bの3色として、カラー表示としたが、4色以上としても良いし、モノクロ表示であれば、3色以上に分けなくても良い。
また、画素110については透過型に限られず、反射型であっても良いし、両者を兼ね備えた半透過半反射型であっても良い。
【0049】
<電子機器の例>
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置1を適用した電子機器について説明する。図12は、実施形態に係る電気光学装置1を用いた携帯電話1200の構成を示す図である。
この図に示されるように、携帯電話1200は、複数の操作ボタン1202のほか、受話口1204、送話口1206とともに、上述した電気光学装置1を備える。ここで、電気光学装置のうち、表示領域100aに相当する部分以外の構成要素については、図9に示した携帯電話1200の外観としては現れることはない。
電気光学装置1が適用される電子機器としては、図12に示される携帯電話の他にも、デジタルスチルカメラや、ノートパソコン、液晶テレビ、ビューファインダ型(またはモニタ直視型)のビデオレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、フォトストレージビューワ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示装置として、上述した電気光学装置1が適用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1実施形態に係る走査線駆動回路を適用した電気光学装置を示す図である。
【図2】同電気光学装置における画素の構成を示す図である。
【図3】同走査線駆動回路の構成を示す図である。
【図4】同走査線駆動回路における単位回路の構成の一例を示す図である。
【図5】同走査線駆動回路の動作を示す図である。
【図6】同電気光学装置の水平走査の動作を示す図である。
【図7】同実施形態の変形例に係る走査線駆動回路の構成を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る走査線駆動回路の構成を示す図である。
【図9】同走査線駆動回路の動作を示す図である。
【図10】応用・変形例に係る電気光学装置を示す図である。
【図11】応用・変形例に係る電気光学装置の水平走査の動作を示す図である。
【図12】実施形態等に係る電気光学装置を適用した電子機器の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1…電気光学装置、10…表示制御回路、130…Yドライバ(走査線駆動回路)、131…シフトレジスタ、133…フリップフロップ、134…AND回路(第1論理積回路)、135…AND回路(第2論理積回路)、136…OR回路(論理和回路)、137…選択回路、138…AND回路(論理積回路)、1200…携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の走査線に応じた段数を有し、各段は、予め定められた幅を有するスタートパルスをクロック信号にしたがって順次シフトして出力するシフトレジスタと、
前記複数の走査線のそれぞれに対応して設けられ、当該走査線に対して映像書込または黒挿入書込のいずれかを指定する指定信号を、出力する指定回路と、
前記シフトレジスタによりシフトされた信号に基づくパルス信号を、前記指定信号によって映像書込が指定された場合には第1イネーブル信号のパルス幅に狭め、前記黒挿入書込が指定された場合には第2イネーブル信号のパルス幅に狭めて、前記走査線に走査信号として供給する論理回路と、
を具備することを特徴とする走査線駆動回路。
【請求項2】
前記第1イネーブル信号および第2イネーブル信号は、前記シフトレジスタによりシフトされた信号に基づくパルス信号のパルス幅期間において互いに排他的にアクティブレベルとなる信号であって、
前記第1イネーブル信号は、水平有効走査期間にアクティブレベルとなり、
前記第2イネーブル信号は、水平帰線期間にアクティブレベルとなる
ことを特徴とする請求項1に記載の走査線駆動回路。
【請求項3】
前記指定回路は、前記シフトレジスタによりシフトされた信号の立ち上がり又は立ち下がり毎に、前記指定信号の論理レベルを反転させるフリップフロップである
ことを特徴とする請求項1または2に記載の走査線駆動回路。
【請求項4】
前記論理回路は、
前記映像書込が指定されている場合を条件に、前記パルス信号と前記第1イネーブル信号との第1論理積を求める第1論理積回路と、
前記黒挿入書込が指定されている場合を条件に、前記パルス信号と、前記第2イネーブル信号との第2論理積を求める第2論理積回路と、
前記第1論理積と前記第2論理積との論理和を求める論理和回路と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の走査線駆動回路。
【請求項5】
前記論理回路は、
前記映像書込が指定された場合には第1イネーブル信号を選択し、前記黒挿入書込が指定された場合には第2イネーブル信号を選択する選択回路と、
前記パルス信号と前記選択回路によって選択されたイネーブル信号との論理積を求める論理積回路と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の走査線駆動回路。
【請求項6】
複数の走査線と複数のデータ線との交差に対応してそれぞれ設けられ、前記走査線が選択されたときに、前記データ線に供給されたデータ信号に応じた明るさとなる画素と、
前記複数の走査線を選択する走査線駆動回路と、
前記走査線が映像書込のために選択されたときには、前記画素の明るさに応じたデータ信号を前記データ線に供給し、前記走査線が黒挿入書込のために選択されるときには、前記画素を黒色にさせるデータ信号を前記データ線に供給するデータ線駆動回路と、
を具備し、
前記走査線駆動回路は、
複数の走査線に応じた段数を有し、各段は、予め定められた幅を有するスタートパルスをクロック信号にしたがって順次シフトして出力するシフトレジスタと、
前記複数の走査線のそれぞれに対応して設けられ、当該走査線に対して前記映像書込または前記黒挿入書込のいずれかを指定する指定信号を、出力する指定回路と、
前記シフトレジスタによりシフトされた信号に基づくパルス信号を、前記指定信号によって映像書込が指定された場合には第1イネーブル信号のパルス幅に狭め、前記黒挿入書込が指定された場合には第2イネーブル信号のパルス幅に狭めて、前記走査線に走査信号として供給する論理回路と、
を有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
フレーム期間を、前記パルス信号の奇数倍に設定するとともに、水平走査期間をクロック信号の周期に設定した
ことを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
【請求項8】
前記データ線駆動回路は、映像書込におけるデータ信号を、当該映像書込の前の黒挿入書込におけるデータ信号と同極性とする
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の電気光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−91968(P2010−91968A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−264287(P2008−264287)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】