説明

起泡増強及び安定化用変成バイオポリマーを含有する洗剤組成物

アルコキシ、アニオン性及び窒素含有置換基を含有する新規な起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含む新しい洗浄組成物が開示されている。特に、アルコキシ、アニオン性及び窒素含有置換基を含有する変成ポリサッカライドを含有する起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含む洗浄組成物、並びにその形成方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤組成物中の起泡増強及び安定化用変成バイオポリマーに関する。特に、本発明におけるバイオポリマーは、布地ケア製品、皿ケア製品及び表面の洗浄が必要とされる他の洗浄製品又は用途において、起泡増強及び安定化の利益を提供する洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、自動機械洗浄が広く受け入れられ、使用されているが、特別なケアを必要とするデリケートな衣類、皿及び/又は物品に対しての洗浄の必要性など、人の手洗の必要がある多くの状況が依然として存在する。実際、多数の途上国では、洗濯に対する消費者の洗浄習慣は、自動化されていない上部装填式洗濯機(すなわち、一方が洗浄又はすすぎ、一方が回転用である、2槽の分離槽を含む装置)、又はタライ若しくはバケツのいずれかで、その衣類を洗浄することである。タライ又はバケツ、及び自動化されていない上部装填式洗濯機での洗浄は、洗剤による洗浄、絞り若しくは回転、及び水による1回又はそれ以上のすすぐ工程を含む。
【0003】
限定ではないが、洗剤組成物を洗浄溶液に溶解するときに発生する泡の速度及び体積、洗浄サイクル中の泡の保持、及びすすぎサイクルにおける泡のすすぎの容易さを含む、洗剤組成物の起泡特性は、手洗い及び自動化されていない上部装填式洗濯機による洗浄を行っている消費者には、非常に高く評価される。このような消費者には、起泡は、洗剤が「機能している」重要な合図として、及び洗浄目的の達成を活発に推進するものとしてみなされる。したがって、大量の泡が急速に発生し、洗浄サイクル中に泡がよく保持されることが、極めて好まれる。他方、洗浄サイクルにおける大量の泡により、典型的には、泡がすすぎ槽溶液に持ち越され、洗濯された物品を充分すすぐのに追加の時間、エネルギー及び水が必要とされる。したがって、すすぎ溶液中で泡が急速に崩壊することは、洗剤組成物の起泡特性の別の好ましい態様である。
【0004】
また、一般的に既知であり、広く用いられている当該技術分野の高起泡性洗剤は、典型的には、15%超の界面活性剤及び10%超のビルダーのような、高濃度の界面活性剤及びビルダーを含む。最近、このような材料が再生不能な天然資源を枯渇させ、最終的に河川及び湖に投棄され得るために、このような原料の過剰な使用の影響及び環境に及ぼすそれらの影響が、深刻な関心事となった。更に、石油化学系材料の使用を最小とし、再生可能かつ生物分解性材料の使用を増加させて、洗剤化学品の環境影響を改善する、決定的な必要性が存在する。したがって、低濃度の界面活性剤及び/若しくはビルダーを含む、又は更にはビルダーを含まない、洗剤組成物に対する必要性が依存として存在する。しかしながら、この必要性を充たすことにおける1つの障害は、洗剤組成物中の界面活性剤及び/又はビルダーの低下が、洗剤組成物の起泡特性を著しく悪化させることであり;例えば、洗浄溶液中に分散された疎水性汚れ(グリース、オイル)及び親水性の汚れ(粘土粒子)が起泡を抑制するため、泡の発生速度が遅く、発生する泡の体積が少なく、並びに泡が洗浄サイクル中によく保持されないことである。乏しい起泡特性を有するこのような洗剤組成物は、洗剤組成物の起泡特性を高く評価している消費者には受け入れられない可能性がある。
【0005】
例えば、皿洗い用洗剤などの硬質表面クリーナー、及びシャンプー及びセッケンを含めて健康及び美容分野で使用されるものなどの他の洗剤製品も、改善された起泡性を有する製品から利益を享受し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、洗浄組成物中のセッケン泡又は気泡を形成し、保持し、増強し、及び/安定化する、新規かつ改善された成分に対する必要性が、ポリマー材料、特にバイオポリマー材料の分野においてなお存在する。加えて、セッケン泡又は気泡のレベルが長時間維持される、改善された起泡の増強及び安定化性を有する洗浄組成物もまた望まれる。更に、洗剤組成物の起泡特性が外見上悪化しないこと、すなわち、洗剤組成物を洗浄溶液に溶解するとき急速に大量の泡が発生し、洗浄サイクル時に泡をよく保持することとともに、界面活性剤及び/又はビルダーの全含有レベルが低下した洗剤組成物の起泡を増強し、バイオポリマーを安定化させる必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、ランダム置換の直鎖又は分岐鎖バイオポリマー骨格を含む起泡の増強及び安定化用バイオポリマーを含む洗浄組成物に関する。洗浄組成物を作製し、布地、硬質表面、及び生物学的表面などの基材を処理する方法も開示されている。本開示は、特定の官能基を含有するバイオポリマーに関し、バイオポリマーは、布地及びさまざまな他の表面の洗浄/処理時に起泡を増強し、及び/又は安定化する。特定の官能基は、約0.01〜約2.0の置換度(DS)で存在する、アルコキシ置換基、アミン及び四級アンモニウムカチオン基などの窒素含有置換基、及びアニオン性置換基を有することに由来する。
【0008】
特に、1つの実施形態によれば、本開示は、構造:
【化1】

を有する、ランダム置換の直鎖又は分岐鎖バイオポリマー骨格を含む起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含む、洗浄組成物を提供する。式中、ランダム置換ポリマー骨格は、アミノ酸残基、フラノース残基、ピラノース残基及びこれらの混合物からなる群から独立して選択される、少なくとも1つの非置換モノマー及び少なくとも1つの置換モノマーの残基を含み、置換モノマーの残基は、−(R)置換基を更に含む。それぞれのR置換基は、アニオン性置換基及び窒素含有置換基;又はアルコキシ置換基、アニオン性置換基、及び窒素含有置換基から独立して選択され、pは1〜3の値を持つ整数である。アニオン性置換基は0.0001〜2.0の範囲の置換度を有し、窒素含有置換基は0.01〜0.04の範囲の置換度を有し、及びアルコキシ置換基は0又は0.001〜1.0の範囲の置換度を有し、ただし、置換モノマー残基が少なくとも1つの窒素含有置換基を含む。このバイオポリマーは、0.05:1〜0.2:1の範囲にある、窒素含有置換基の置換度とアニオン性置換基の置換度の比を有する。起泡増強及び安定化用バイオポリマーの1つの実施形態は、10,000ダルトン〜100,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する。起泡増強及び安定化用バイオポリマーの別の実施形態は、10,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するバイオポリマーと、1,000,000ダルトン〜100,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するバイオポリマーのブレンドを含む。この窒素含有置換基は、アミン置換基又は四級アンモニウムカチオン性置換基のいずれかであってもよい。
【0009】
別の実施形態によれば、本開示は、非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、式I:
【化2】

に示す一般構造を有するランダム置換ポリサッカライド骨格を含む起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含む洗浄組成物を提供する。式中、それぞれの置換グルコピラノース残基は、それぞれの置換グルコピラノース残基上で同一であるか又は異なってもよい、1〜3のR置換基を独立して含む。それぞれのR置換基は、独立して、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R、R、R及び式Iに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐;又はヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R、R及び式Iに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐から選択される置換基であり、ただし、少なくとも1つのR置換基が少なくとも1つのR及び少なくとも1つのRを含む。それぞれのRは、独立して、同一であるか又は異なり、0.01〜0.04の範囲の置換度及び式II:
【化3】

に示す構造を有する第1の置換基である。式中、それぞれのRは、孤立電子対;H;CH;直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキルからなる群から選択される置換基であり、ただし、R基の少なくとも2個つが孤立電子対でなく、Rは、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキル鎖又は直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル鎖であり、Lは、−O−、−C(O)O−、−NR−、−C(O)NR−、及び−NRC(O)NR−からなる群から選択される連結基であり、並びにRはH又はC1〜アルキルであり、wは0又は1の値を有し、yは0又は1の値を有し、並びにzは0又は1の値を有する。それぞれのRは独立して、同一であるか又は異なり、0.0001〜2.0の範囲の置換度及び式III:
【化4】

に示す構造を有する第2の置換基である。式中、Rは、カルボキシレート、カルボキシメチル、サクシネート、サルフェート、スルホネート、アリールスルホネート、ホスフェート、ホスホネート、ジカルボキシレート、及びポリカルボキシレートからなる群から選択されるアニオン性置換基であり、aは0又は1の値を有し、bは0〜18の整数であり、及びcは0又は1の値を有する。それぞれのRは、独立して、同一であるか又は異なり、0、又は0.001〜1.0の範囲の置換度及び式IV:
【化5】

に示す構造を有する第3の置換基を有し、式中、dは0又は1の値を有し、eは0又は1の値を有し、fは0〜8の整数であり、gは0〜50の整数であり、それぞれのRはエチレン、プロピレン、ブチレン、又はこれらの混合物から選択される基であり、及びRは水素、C〜C20アルキル、ヒドロキシ、−OR及び−ORからなる群から選択される末端基である。第1の置換基の置換度と第2の置換基の置換度の比が、0.05:1〜0.2:1の範囲にある。起泡増強及び安定化用バイオポリマーの1つの実施形態は、10,000ダルトン〜100,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する。起泡増強及び安定化用バイオポリマーの別の実施形態は、10,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するバイオポリマーと、1,000,000ダルトン〜100,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するバイオポリマーのブレンドを含む。
【0010】
なお別の実施形態では、本開示は、起泡増強及び安定化用バイオポリマーを洗浄組成物に添加することを含む、洗浄組成物を作製するための方法を提供する。起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、本明細書で述べる式I:に示す一般構造を有するランダム置換ポリサッカライド骨格を含む。
【0011】
更なる実施形態では、本開示は、非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、式Iに示す一般構造を有するランダム置換ポリサッカライド骨格を含む起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含む、有効量の布地ケア組成物と布地を接触させることを含む、布地を処理する方法を提供する。本開示のさまざまな実施形態を本明細書で更に詳細に述べる。
【0012】
別の実施形態では、本開示は、非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、式Iに示す一般式を有するランダム置換ポリサッカライド骨格を含む起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含む、洗浄用組成物を提供し、式中、それぞれの置換グルコピラノース残基は、それぞれの置換グルコピラノース残基上で同一であるか又は異なってもよい、1〜3のR置換基を独立して含む。それぞれのR置換基は、独立して、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R及び式Iに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐から選択される置換基であり、ただし、少なくとも1つのR置換基が少なくとも1つのRを含む。それぞれのRは、独立して、同一であるか又は異なり、0.1〜2.0の範囲の置換度及び式IIIに示す構造を有する第2の置換基である。起泡増強及び安定化用バイオポリマーが10,000ダルトン〜100,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
本明細書中で使用されるとき、用語「洗浄組成物」は、特記しない限り、洗剤組成物、洗濯洗浄組成物、硬質表面洗浄組成物、及び健康及び美容領域で使用するためのパーソナルケア洗浄組成物を含む。洗浄組成物としては、顆粒状、粉末、液体、ゲル、ペースト、棒形及び/又はフレーク形洗浄剤、洗剤洗浄剤、洗濯ソーク又はスプレー処理剤、布地処理組成物、皿洗い用洗剤及びセッケン、シャンプー、ボディウオッシュ及びセッケンと、他の類似の洗浄組成物が挙げられる。本明細書で使用するとき、用語「布地処理組成物」は、特記しない限り、布地柔軟化組成物、布地増強組成物、布地フレッシュニング組成物、及びこれらの組み合わせを包含する。このような組成物はすすぎ添加型の組成物であってもよいが、その必要性はない。
【0014】
本明細書中で使用されるとき、用語「起泡増強及び安定化性」は、起泡増強及び安定化性組成物又はバイオポリマーを含有しない組成物のセッケン泡又は気泡と比較して、洗浄組成物により生成するセッケン泡又は気泡のレベルを増大させ、及び/又はセッケン泡又は気泡の泡を安定化することにより、セッケン泡又は気泡の持続時間を増大させる、バイオポリマー及び組成物を含む。
【0015】
本明細書中で使用されるとき、用語「パーソナルケア洗浄組成物」は、シャンプー、手洗い洗浄組成物、ボディウオッシュ用組成物、毛髪除去組成物などを含む。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」は、本開示の組成物の作製において共に使用されるさまざまな構成成分を意味する。したがって、用語「から本質的になる」及び「からなる」は用語「含む」に包含される。
【0017】
本明細書中で使用されるとき、「the」、「a」及び「an」を含む冠詞は、特許請求の範囲又は明細書で使用される場合、請求、又は記載されているものの1つ以上を意味するものとして理解される。
【0018】
本明細書で使用するとき、「包含する(include)」、「包含する(includes)」及び「包含している(including)」という言葉は、非限定的であるように意味される。
【0019】
本明細書中で使用されるとき、用語「複数」は2つ以上を意味する。
【0020】
本明細書中で使用されるとき、用語「残基」、「モノマー残基」及び「モノマーの残基」は、ポリマーの構造を参照しながら使用される場合、モノマー単位が重合反応によりポリマー鎖に組み込まれた後に残存するモノマー単位の化学構造を意味する。
【0021】
本明細書中で使用されるとき、用語「布地」、「織物」、及び「布」は、非特定的に使用され、限定ではないが、木綿、ポリエステル、ナイロン、絹など、さまざまな布地の混紡を含む、天然及び合成繊維を含む材料の種類を指し得る。
【0022】
本明細書中で使用されるとき、用語「フラノース」は、5員のフラン環を有するモノサッカライドの環状の形を意味する。本明細書中で使用されるとき、用語「ピラノース」は、6員のピラン環を有するモノサッカライドの環状の形態を意味する。本明細書中で使用されるとき、用語「グルコピラノース」は、6員のピラン環を有するグルコースの環状の形態を意味する。
【0023】
本明細書中で使用されるとき、用語「ポリサッカライド」は、主としてサッカライドモノマー単位、例えば、限定ではないが、環状サッカライド(すなわち、フラノース及びピラノース)モノマー単位でできたバイオポリマーを意味する。
【0024】
本明細書中で使用されるとき、用語「セルロース」は、グルコピラノース残基がβ(1→4)グリコシド結合により連結され、約7,000〜約15,000個のグルコース単位を含有する、ポリグルコピラノースバイオポリマーを意味する。本明細書中で使用されるとき、用語「ヘミセルロース」は、主として細胞壁から得られるヘテロポリサッカライドを含み、ほぼ200個のサッカライド単位の鎖として接続されたグルコース残基及び他の単量体糖由来残基と共にキシロース、マンノース、ガラクトース、ラムノース及びアラビノース残基を含有する。本明細書中で使用されるとき、用語「デンプン」は、グルコピラノース残基がα(1→4)グリコシド結合により連結される、さまざまなポリグルコピラノースバイオポリマーを含む。デンプンは、アミロース及びアミロペクチンを含むことができる。本明細書中で使用されるとき、用語「アミロース」は、グルコピラノース残基がα(1→4)グリコシド結合により連結され、約300〜10,000個のグルコース単位を含有する、非分岐型ポリグルコピラノースバイオポリマーを含む。本明細書中で使用されるとき、用語「アミロペクチン」は、グルコピラノース残基がα(1→4)グリコシド結合により連結され、ポリグルコース分岐がほぼ24〜30個のグルコース単位毎に生じ、約2,000〜200,000個のグルコース単位を含有する、α(1→6)グリコシド結合により接続される、分岐ポリグルコピラノースバイオポリマーを含む。
【0025】
本明細書中で使用されるとき、用語「ランダム置換」は、ランダム置換バイオポリマー中のモノマー残基上の置換基が非繰り返し型又はランダムな形で生じるということ意味する。すなわち、ポリマー上の全置換基がパターンをもたないように、置換モノマー残基上の置換基(すなわち、モノマー残基上の異なる原子上の置換基(同一であるか又は異なってもよい)は、バイオポリマー中の第2の置換モノマー残基上の置換基と同一であるか又は異なってもよい。更に、置換モノマー残基は、バイオポリマー内でランダム(すなわち、ポリマー内の置換及び非置換のモノマー残基についてパターンがない)に生じる。
【0026】
本明細書で使用するとき、起泡増強及び安定化ポリマーの「置換度」は、置換基によって誘導体化された各無水グルコース単位のヒドロキシル基の数の平均的な尺度である。例えば、デンプン及びセルロースなどのポリグルカンバイオポリマー中では、それぞれのアンヒドログルコース単位が置換に使える3個の潜在的なヒドロキシル基を有するので、最大の可能な置換度は3である。置換度は、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数として、モル平均ベースで表わされる。起泡増強及び安定化用バイオポリマーの置換度を決定するには多数の方法がある。使用される方法は、バイオポリマーの置換基の形に依存する。置換度は、当該技術分野で周知のプロトン核磁気共鳴分光(「H NMR」)法を使用して決定することができる。好適なH NMR法としては、「Observation on NMR Spectra of Starches in Dimethyl Sulfoxide,Iodine−Complexing,and Solvating in Water−Dimethyl Sulfoxide」,Qin−Ji Peng and Arthur S.Perlin,Carbohydrate Research,160(1987),57〜72;及び「An Approach to the Structural Analysis of Oligosaccharides by NMR Spectroscopy」,J.Howard Bradbury and J.Grant Collins,Carbohydrate Research,71,(1979),15〜25で述べられているものが挙げられる。
【0027】
本明細書中で使用されるとき、用語「平均分子量」は、バイオポリマー組成物中のバイオポリマー鎖の平均分子量を指す。平均分子量は、重量平均分子量(「M」)又は数平均分子量(「M」)のいずれかとして計算され得る。重量平均分子量は、式:
=(Σ)/(Σ)を用いて、計算され得る。式中、Nは分子量Mを有する分子の数である。数平均分子量は、式:
=(Σ)/(Σ)を用いて、計算され得る。
【0028】
重量平均分子量は、「Non−Thermoplastic Starch Fibers and Starch Composition for Making Same」という題目の米国特許出願公開No.2003/0154883 A1で述べられているゲルパーミエーションクロマトグラフィ(「GPC」)法に従って測定され得る。本発明の1つの実施形態では、デンプンをベースとするバイオポリマーは、このようなデンプン成分の分子量を低下させるために、加水分解され得る。加水分解度は、ゼラチン化されたデンプンの溶液粘度の尺度である、水流動性(「WF」)により測定され得る。
【0029】
特記しない限り、成分又は組成物の濃度は全て、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0030】
百分率及び比率は全て、特に指示しない限り、重量で計算される。百分率及び比率は全て、特に指示しない限り、重量で計算される。百分率及び比率は全て、特に指示しない限り、組成物全体を基準にして計算される。
【0031】
本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されたものとして包含すると理解されるべきである。本明細書全体を通じて記載される最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されたものとして包含すると理解されるべきである。
【0032】
起泡増強及び安定化用バイオポリマー
本開示は、ポリサッカライド又はポリペプチド骨格などのランダム置換の直鎖又は分岐鎖バイオポリマー骨格を含む起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含む、洗浄組成物に関する。洗浄組成物を作製し、布地を処理する方法も開示されている。本開示は、特定の官能基を含有して、起泡レベルを増強し、布地、及び/又は硬質表面、皮膚、毛髪などのさまざまな表面上に生じるセッケン泡又は気泡を安定化する、バイオポリマーに関する。
【0033】
1つの実施形態によれば、起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、構造:
【化6】

を有するランダム置換の直鎖又は分岐鎖バイオポリマー骨格を含み得る。式中、ランダム置換ポリマー骨格は、少なくとも1つの非置換モノマー及び少なくとも1つの置換モノマーの残基を含む。特定の実施形態によれば、置換及び非置換モノマーの残基は、アミノ酸残基、フラノース残基、ピラノース残基、及びこれらの混合物から選択されてもよい。置換モノマーの残基は−(R)置換基を含み得る。特定の実施形態によれば、pは1〜3の整数である。すなわち、モノマーのそれぞれの少なくとも1つの実施形態及び特定の実施形態では、複数の残基は、モノマー残基に付いた1、2、又は3個の置換基Rを有する、置換モノマー残基であってもよい。これらの実施形態によれば、ランダム置換ポリマー骨格は、少なくとも1つの置換モノマー残基を含まなければならない。
【0034】
さまざまな実施形態によれば、このバイオポリマーはランダム置換され、直鎖又は分岐鎖であってもよく、さまざまな置換モノマー残基上のそれぞれのR残基は、アニオン性置換基及び窒素含有置換基;又はアルコキシ置換基、アニオン性置換基及び窒素含有置換基から独立して選択される。すなわち、1つの実施形態によれば、起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、アニオン性置換基及び窒素含有置換基から選択されるR基を含んでもよく;別の実施形態では、起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、アルコキシ置換基、アニオン性置換基及び窒素含有置換基から選択されるR基を含んでもよい。アルコキシ置換基、アニオン性置換基及び窒素含有置換基に好適なさまざまな構造を本明細書で詳述する。本明細書中で使用されるとき、用語「窒素含有置換基」は、四級アンモニウムカチオン性置換基及びプロトン化後例えば、少なくとも温和な酸性条件下でアンモニウムカチオン性置換基を形成し得る、アミン(anime)置換基(すなわち、一級、二級、及び三級アミン置換基)の両方を含む。
【0035】
洗浄組成物の特定の実施形態では、ランダム置換バイオポリマー骨格は、ランダム置換ポリサッカライド骨格であってもよい。例えば、特定の実施形態では、ランダム置換ポリサッカライド骨格は、モノマーの残基が非置換グルコピラノース残基又は置換グルコピラノース残基であるように、ランダム置換ポリグルコース骨格であってもよい。ランダム置換ポリグルコース骨格の例としては、ランダム置換セルロース骨格、ランダム置換ヘミセルロース骨格、ランダム置換デンプン骨格(ランダム置換アミロース骨格又はランダム置換アミロペクチン骨格、又はこれらの混合物などの)、及びこれらのブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ポリグルコース骨格がランダム置換ヘミセルロース骨格である場合には、骨格は、限定ではないが、キシロース、マンノース、ガラクトース、ラムノース及びアラビノース残基などの1つ以上の非グリコピラノースサッカライド残基を更に含んでもよい。
【0036】
洗浄組成物のさまざまな実施形態によれば、組成物は、1つ以上の追加の添加剤を更に含み得る。例えば、布地ケア洗浄組成物の好適な添加剤としては、漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、処理助剤、顔料、及びこれらのさまざまな組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。特定の実施形態によれば、洗浄組成物は、液体洗濯洗剤(例えば、重質液体(「HDL」)洗剤を含む)、固体洗剤、洗濯セッケン製品、又は洗濯スプレー処理製品などの布地ケア組成物であってもよい。加えて、本明細書中のさまざまな実施形態により述べられている起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、いかなる洗浄配合物(布地ケア配合物、硬質表面洗浄組成物、皿洗浄配合物、パーソナルケア洗浄配合物などの)にも、又は起泡増強及び安定化が所望される、他の配合物(農業用発泡組成物、油井発泡組成物及び/又は消火用発泡組成物などの)にも包含され得える。
【0037】
特定の実施形態によれば、本開示は、非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、下記の式I:
【化7】

に示す一般式を有するランダム置換ポリサッカライド骨格を含む起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含む、洗浄組成物を提供する。式中、C1アノマー炭素における立体構造は、少なくとも一部、ポリサッカライドの源により決定される。上述のように、ランダム置換ポリサッカライド骨格は、ランダム置換セルロース骨格(すなわち、C1立体構造はβである)又はランダム置換デンプン骨格(すなわち、C1立体構造はαである)であり得る。ポリサッカライドがランダム置換セルロース骨格である実施形態によれば、ランダム置換セルロース骨格は、式IA:
【化8】

に示す一般構造を有してもよく、ポリサッカライドがランダム置換デンプン骨格である実施形態によれば、ランダム置換デンプン骨格は、式IB:
【化9】

に示す一般構造を有してもよい。式I、IA、又はIBのいずれかに対しては、本明細書で示される構造表示が、置換又は非置換グルコピラノース残基のいかなる配置又は置換又は非置換グルコピラノース残基のいかなる比も暗示するようには意図されていないということを特記すべきである。
【0038】
これらの実施形態では、セルロース、ヘミセルロース又はデンプン骨格などのポリサッカライド骨格は、置換グルコピラノース残基上の1つ以上の置換基を含むように化学変成されたものである。デンプン変成に好適な特定の反応は、実施例の項で詳述される。
【0039】
式I、IA、又はIBのいずれでも参照すると、それぞれの置換グルコピラノース残基は、1〜3のR置換基を独立して含んでもよく、それぞれの置換グルコピラノース残基上で同一であるか又は異なってもよい。すなわち、置換グルコピラノース残基上の置換基の数及び形は、バイオポリマー骨格中の他の置換グルコピラノース残基と同一であるか又は異なってもよい。例として、そして特別な好ましい置換パターンを暗示するのでないが、ポリサッカライド中の別の置換グルコピラノース残基は、C2炭素において非置換であってもよいが、C3炭素において窒素含有置換基を、又C6炭素においてアルコキシ置換基を有する一方で、1つの置換グルコピラノース残基は、C2炭素上にアニオン性置換基などの置換基を有してもよい。
【0040】
1つの実施形態によれば、式I、IA、又はIBのいずれかにおけるR置換基は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R、R、R及び式I、IA、又はIBに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐から選択される置換基であり、ただし置換グルコピラノース残基上の少なくとも1つのR置換基がR、R、又はRである。特定の組成物においては、複数のR置換基はR、R、及びRである。別の実施形態では、式I、IA、又はIBのいずれかにおけるR置換基は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R、R及び式I、IA、又はIBIに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐から選択される置換基であってもよく、ただし、置換グルコピラノース残基上の少なくとも1つのR置換基がR又はRである。特定の組成物では、複数のR置換基はR及びRである。R置換基がポリサッカライド分岐である実施形態では、ポリサッカライド分岐は、骨格中の置換グルコピラノース残基上のヒドロキシル基とポリサッカライド分岐のC1アノマー炭素の反応により形成されるグリコシド結合、例えば、α又はβ(1→2)グリコシド結合、α又はβ(1→3)グリコシド結合又はα又はβ(1→6)グリコシド結合などによりポリサッカライド骨格に結合されてもよい。
【0041】
R置換基がR置換基である実施形態では、Rは、四級アンモニウムカチオン性置換基又は温和な酸性環境においてカチオン性となるアミン置換基(一級、二級、又は三級アミン含有置換基などの)であってもよい。例えば、これらの実施形態によれば、それぞれのRは独立して、同一であるか又は異なり、式II:
【化10】

に示す構造を有する第1の置換基であり得る。これらの実施形態によれば、それぞれのRは、孤立電子対;H;CH;又は直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキルから選択される、置換基である。R基の特定の実施形態によれば、式IIの少なくとも2つのR基は孤立電子対であってはならない。すなわち、これらの実施形態では、式II中の窒素含有末端基が中性又は塩基性条件下でアミン基となるように、1つのR基は孤立電子対であってもよい。当業者ならば、アミン基が酸性条件下でプロトン化されて、アンモニウムカチオン性電荷を提供し得るということを理解するであろう。R基の他の実施形態によれば、どのR基も孤立電子対でなく、式II中の窒素含有末端基はアンモニウムカチオンである。式IIをなお参照すると、Rは、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和C〜C18アルキル鎖又は直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル鎖であってもよい。さまざまな実施形態では、基Lは、−O−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−NR−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、及び−NRC(=O)NR−から選択される連結基であり、式中、RはH、又はC1〜アルキルである。さまざまな実施形態によれば、wは0又は1の値を有してもよく、yは0又は1の値を有してもよく、及びzは0又は1の値を有してもよい。
【0042】
R置換基がRの第1の置換基を含み得る起泡増強及び安定化ポリサッカライドの特定の実施形態によれば、Rの第1の置換基は、0.01〜0.04の範囲の置換度を有してもよい。他の実施形態では、R第1の置換基は0.01〜0.02の範囲の置換度を有してもよい。
【0043】
R置換基がR置換基である実施形態では、Rはアニオン性置換基であってもよい。例えば、これらの実施形態によれば、それぞれのRは、独立して、同一であるか又は異なり、式III:
【化11】

に示す構造を有する第2の置換基である。これらの実施形態によれば、それぞれのRは、カルボキシレート(−COO)、カルボキシメチル(−CHCOO)、サクシネート(−OOCCHCHCOO)、サルフェート(−OS(O)O)、スルホネート(−S(O)O)、アリールスルホネート(−Ar−S(O)O(式中、Arはアリール環である)、ホスフェート(−OPO(OR’)又は−OPO2−(式中、R’はH、アルキル、又はアリールである)、ホスホネート(−PO(OR’)又は−PO2−(式中、R’はH、アルキル、又はアリールである)、ジカルボキシレート(−Y(COO−)(式中、Yはアルキル又はアリールである)、又はポリカルボキシレート(−Y(COO(式中、Yはアルキル又はアリールであり、tは2よりも大きい)から選択される、アニオン性置換基であってもよい。さまざまな実施形態によれば、aは0又は1の値を有してもよく、bは0〜18の値を有する整数であり、及びcは0又は1の値を有してもよい。
【0044】
R置換基がRの第2の置換基を含み得る起泡増強及び安定化ポリサッカライドの特定の実施形態によれば、Rの第2の置換基は、0.0001〜2.0の範囲の置換度を有してもよい。他の実施形態では、Rの第2の置換基は、0.01〜2.0の範囲の置換度を有してもよい。他の実施形態では、Rの第2の置換基は、0.1〜1.5.の範囲の置換度を有してもよい。なお他の実施形態では、Rの第2の置換基は、0.5〜1.25の範囲の置換度を有してもよい。
【0045】
R置換基がR置換基である実施形態では、Rはアルコキシ置換基であってもよい。例えば、これらの実施形態によれば、それぞれのRは、独立して、同一であるか又は異なり、式IV:
【化12】

に示す構造を有する第3の置換基である。これらの実施形態によれば、それぞれのRは、エチレン、プロピレン、ブチレン、又はこれらの混合物から選択される、基であってもよい。特定の実施形態では、(OR)の構造は、ポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド基、ポリブチレンオキシド基又はこれらの混合物であってもよい。特定の実施形態では、(OR)は、構造−O−CH(R10)CH−を有し、式中、R10はメチル又はエチル(すなわち、それぞれポリプロピレンオキシド及びポリブチレンオキシド)である。構造「OR」は、酸素がRとRとの間にある構造、及び酸素がRと(CHとの間に存在する構造を含む。それぞれのR基は、水素、C〜C20アルキル(分岐又は非分岐、及び飽和又は不飽和であってもよい)、ヒドロキシ、−OR、又は−OR(式中、R及びRは本明細書で述べられている通りである)から選択される、末端基であってもよい。さまざまな実施形態によれば、dは0又は1の値を有してもよく、eは0又は1の値を有してもよく、fは0〜8の値を有する整数であり、及びgは0〜50の値を有する整数である。
【0046】
R置換基がRの第3の置換基を含み得る起泡増強及び安定化ポリサッカライドの特定の実施形態によれば、Rの第3の置換基は、0、又は0.001〜1.0の範囲の置換度を有してもよい。他の実施形態では、Rの第3の置換基は、0.001〜1.0の範囲の置換度を有してもよい。他の実施形態では、Rの第3の置換基は、0.01〜0.5の範囲の置換度を有してもよい。なお他の実施形態では、Rの第3の置換基は、0.01〜0.3の範囲の置換度を有してもよい。更に他の実施形態では、Rの第3の置換基は、0.01〜0.1の範囲の置換度を有してもよい。本明細書で示されているように、起泡増強及び安定化用バイオポリマーの特定の実施形態では、置換ポリサッカライドはアルコキシのR置換基を持たなくともよい。すなわち、特定の実施形態では、Rの置換度は0であり、起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、アニオン性及び窒素含有置換基を含んでもよい。
【0047】
本明細書で述べられているさまざまな実施形態によれば、起泡増強及び安定化用バイオポリマーが10,000ダルトン〜100,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有してもよい。他の実施形態では、本明細書で述べられている起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、少なくとも、式I、IA、又はIBに示す構造、及び10,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する第1のランダム置換ポリサッカライドと、式I、IA、又はIBに示す構造、及び1,000,000ダルトン〜100,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する第2のランダム置換ポリサッカライドとのブレンドを含み得る。
【0048】
本開示の置換された起泡増強及び安定化用バイオポリマーの特定の実施形態は、窒素含有置換基:アニオン性置換基の特定の比を有し得る。例えば、1つの実施形態によれば、置換された起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、0.05:1〜0.2:1の範囲の第1の置換基(すなわち、窒素含有置換基)の置換度と第2の置換基(すなわち、アニオン性置換基)の置換度の比を有する。別の実施形態によれば、第1の置換基(すなわち、窒素含有置換基)の置換度と第2の置換基(すなわち、アニオン性置換基)の置換度の比が、0.05:1〜0.4:1の範囲にあり得る。これらの範囲内の置換基を有するバイオポリマーは、優れた起泡の増強及び保持/安定化を示す。
【0049】
別の実施形態では、この洗浄組成物は、非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、式I、IA、又はIBにより表される一般構造を有し、それぞれの置換グルコピラノース残基が、それぞれの置換グルコピラノース残基上で同一であるか又は異なる、1〜3R残基を独立して含む、ランダム置換ポリサッカライド骨格を含む、起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含んでもよい。それぞれのR置換基は、独立して、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R及び式I、IA、又はIBに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐から選択される置換基であり、ただし、少なくとも1つのR置換基が少なくとも1つのR基を含む。Rは本明細書で述べられている通りでもよい。
【0050】
ランダム置換ポリサッカライドのさまざまな実施形態では、ポリサッカライド骨格は、デンプンがアミロース及び/又はアミロペクチンを含む、ランダム置換デンプン骨格であってもよい。化学変成されて、本明細書で述べられている起泡増強及び安定化用バイオポリマーを生成する、デンプンの好適な源としては、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ワクシートウモロコシデンプン、オート麦デンプン、キャッサバデンプン、ワクシー大麦デンプン、ワクシー米デンプン、グルテナス米デンプン、スイート米デンプン、じゃがいもデンプン、タピオカデンプン、サゴデンプン、高アミロースデンプン、又はこれらの混合物が挙げられる。特定のデンプン源が本明細書で述べられているが、セルロース、ヘミセルロース、又はデンプンの任意の源が本明細書で述べられているランダム置換ポリサッカライド起泡増強及び安定化用バイオポリマーの形成に適しているということが、本発明者らにより想到される。他の変成ポリサッカライドは本開示の範囲内にある。
【0051】
起泡増強及び安定化組成物の特定の実施形態では、ランダム置換デンプン骨格は、高アミロースデンプン由来のものであってもよい。例えば、1つの実施形態では、このデンプンは、全変成ポリサッカライドの重量の約20重量%〜約90重量%の範囲のアミロース含有量を有してもよい。別の実施形態では、このデンプンは、約50重量%〜約85重量%の範囲のアミロース含有量を有してもよい。なお別の実施形態では、このデンプンは、約50重量%〜約70重量%の範囲のアミロース含有量を有してもよい。これらの実施形態によれば、残りのデンプンの少なくとも一部は、アミロペクチン由来のものであってもよい。デンプンの重量%アミロースを測定するための好適な方法としては、「Determination of Amylose in Cereal and Non−Cereal Starches by a Colorimetric Assay:Collaborative Study」,C.Martinez and J.Prodolliet,Starch,48(1996),81〜85;及び「An Improved Colorimetric Procedure for Determining Apparent and Total Amylose in Cereal and Other Starches」,W.R.Morrison and B.Laignelet,Journal Of Cereal Science,1(1983)により述べられている方法が挙げられる。
【0052】
他の実施形態では、この洗浄組成物は、ランダム置換アミロペクチン骨格を含むランダム置換デンプン骨格を含む、起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含んでもよい。これらの実施形態によれば、アミロペクチン骨格は、少なくとも1つのα(1→6)ポリグルコピラノース分岐を含んでもよく、ここで、デンプン骨格上のグルコピラノースモノマー残基上のC6位置におけるヒドロキシル基を反応させて、非置換及び置換グルコピラノース残基を含むポリグルコピラノース分岐のC1炭素とのグリコシド結合を形成する。ポリグルコピラノース分岐は、式I、IA、又はIBに示す構造を有してもよい。他の実施形態では、アミロペクチン骨格は、アミロペクチンデンプン骨格中でグルコピラノース残基ほぼ24〜30個毎に生じる、複数のα(1→6)ポリグルコピラノース分岐を含んでもよい。
【0053】
本開示の1つの実施形態では、変成デンプンをベースとしたバイオポリマーは、このようなデンプン成分の分子量を低下させるために、加水分解されてもよい。加水分解度は、ゼラチン化されたデンプンの溶液粘度の尺度である水流動性(WF)で測定してもよい。WFを決定するための好適な方法は、米国特許第4,499,116号の8〜9欄に述べられている。当業者には、比較的高い加水分解度を有するデンプンバイオポリマーは、低い溶液粘度又は高い水流動性値を有することが容易に分かる。1つの実施形態によれば、変成デンプンをベースとしたバイオポリマーは、約40〜約84のWF値を有する粘度を含んでもよい。デンプンを加水分解する好適な方法としては、米国特許第4,499,116号により述べられているもの(特に4欄への言及)が挙げられているが、これに限定されない。
【0054】
洗浄組成物の他の実施形態では、ポリサッカライド骨格はランダム置換ヘミセルロース骨格であってもよい。ランダム置換ヘミセルロース骨格は、例えば、非置換又は置換キシロース残基、非置換又は置換マンノース残基、非置換又は置換ガラクトース残基、非置換又は置換ラムノース残基、非置換又は置換アラビノース残基、及びこれらの組み合わせなどの少なくとも1つの非置換又は置換の炭水化物残基を含み得る。特定の実施形態によれば、置換炭水化物残基は、少なくとも1つのR置換基又は少なくとも1つのR置換基を含み、任意により1つ以上のR置換基を含んでもよい。
【0055】
本明細書で述べられているさまざまな実施形態による起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、洗浄組成物に対して改善された起泡特性をもたらすのに必要な量で洗浄組成物に組み込まれ得る。特定の実施形態では、起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、洗浄組成物の0.1重量%〜20.0重量%を構成してもよい。他の実施形態では、起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、洗浄組成物の0.1重量%〜10.0重量%を構成してもよい。なお他の実施形態では、起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、洗浄組成物の0.5重量%〜5.0重量%を含んでもよい。
【0056】
洗浄組成物
本開示のなお更なる実施形態は、例えば、布地ケア組成物、皿洗浄組成物、シャンプーなどの洗浄組成物を作製する方法を提供する。特定の実施形態によれば、この方法は、起泡増強及び安定化用バイオポリマーを洗浄組成物に添加する工程を含んでもよい。起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、本明細書で詳述されているように、ランダム置換ポリサッカライド骨格などのランダム置換バイオポリマーを含み得る。限定ではないが、布地ケア組成物の作製方法などの特定の実施形態では、この方法は、漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、処理助剤、顔料、及びこれらのさまざまな組み合わせなどの少なくとも1つ以上の添加剤を洗浄組成物に添加する工程を更に含んでもよい。
【0057】
本開示のなお他の実施形態は、本明細書で述べられている起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含む、有効量の布地ケア組成物と布地を接触させることを含む、布地を処理する方法を提供する。布地を接触させることは、洗浄サイクル又はすすぎサイクル時などの洗浄工程時の前処理又は接触としてであってもよい。
【0058】
組成物が布地ケア組成物である洗浄組成物の態様では、布地ケア組成物は、液体の洗濯洗剤組成物の形をとってもよい。1つの態様では、このような組成物は重質液体(HDL)組成物であってもよい。このような組成物は、その洗剤組成物を含有する溶液中で洗浄される布地に対して汚れ及び/又は染み除去効果を提供するために、所望のレベルの1つ以上の洗浄特性を提供するのに充分な量の、典型的には全組成物の重量基準で、約5%〜約90%の、約5%〜約70%の、又は更には約5%〜約40%の界面活性剤と、洗剤を含有する溶液中で処理される布地に起泡の促進及び安定化をもたらすのに本開示の起泡増強及び安定化のバイオポリマーとを、含んでいてもよい。典型的には、洗剤は、その洗浄溶液の約0.0001重量%〜約0.05重量%、又は更には約0.001重量%〜約0.01重量%のレベルで洗浄溶液中で使用される。
【0059】
液体の布地ケア組成物は、水性の非界面活性液体キャリアを更に含んでもよい。一般に、本明細書の組成物中に使用される水性非界面活性液体キャリアの量は、組成物成分の可溶化、懸濁又は分散に有効である。例えば、組成物は、約5重量%〜約90重量%、約10重量%〜約70重量%、又は更には約20重量%〜約70重量%の水性非界面活性液体キャリアを含んでよい。
【0060】
最もコスト効率のよい種類の水性非界面活性液体キャリアは水であってよい。一般に、本明細書の組成物中に使用される水性非界面活性液体キャリアの量は、組成物成分を可溶化し、懸濁し又は分散するのに有効である。アルカノール、ジオール、他のポリオール、エーテル、アミン等のような他の種類の水相溶性液体が、共溶媒又は安定剤として液体洗剤組成物に従来から添加されてきたが、本開示のある実施形態では、このような水相溶性液体の利用は、組成物コストを抑制するため最小限となされてもよい。したがって、本明細書における液体洗剤製品の水性液体キャリア構成成分は、一般に、組成物の約5重量%〜約90重量%の、又は更には約20重量%〜約70重量%の範囲の濃度で存在する水を含む。
【0061】
本明細書における液体洗剤組成物は、界面活性剤、起泡増強及び安定化用バイオポリマー、及び特定の任意の補助成分の水溶液、又は均一分散液若しくは懸濁液の形態をとってもよく、それらの成分のあるものは、通常、液体アルコールエトキシレート非イオン性材料、水性液体キャリア、及びいずれかの他の通常の液体の成分などの通常液体の組成物構成成分と組み合わされた固形の形態であってもよい。そのような溶液、分散液、若しくは懸濁液は許容できるように相安定であり、及び典型的に約100〜600cpsの、より好ましくは約150〜400cpsの範囲の粘度を有する。本開示の目的で、粘度は、#21スピンドルを使用したBrookfield LVDV−II+の粘度計で測定され得る。
【0062】
好適な界面活性剤はアニオン性、非イオン性、カチオン性、双極性、及び/又は両性界面活性剤であってよい。1つの態様では、洗剤組成物はアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含む。
【0063】
好適なアニオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で典型的に用いられる従来のアニオン性界面活性剤のいかなる種類のものであってもよい。このような界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸類及びそれらの塩類、並びにアルコキシル化又は非アルコキシル化アルキルサルフェート材料類が挙げられる。代表的なアニオン性界面活性剤は、C10〜C16のアルキルベンゼンスルホン酸、好ましくは、C11〜C14のアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩である。1つの態様では、アルキル基は直鎖である。このような直鎖アルキルベンゼンスルホネートは「LAS」として公知である。そのような界面活性剤及びそれらの作製は、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に述べられている。特に好ましいものは、アルキル基の炭素原子の平均数が約11〜14の直鎖線状のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びカリウムである。ナトリウムC11〜C14、例えばC12 LASは、このような界面活性剤の具体的な例である。
【0064】
他の代表的な種類のアニオン性界面活性剤にはエトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤が含まれる。アルキルエーテルサルフェート、又はアルキルポリエトキシレートサルフェートとしても知られているこのような材料は、式:R’−O−(CO)−SOMに従うものである。式中、R’は、C〜C20のアルキル基であり、nは約1〜20であり、及びMは塩を生成するカチオンである。具体的な実施形態において、R’はC10〜C18アルキルであり、nは約1〜15であり、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム、又はアルカノールアンモニウムである。より具体的な実施形態においては、R’はC12〜C16であり、nは約1〜6であり、及びMはナトリウムである。
【0065】
アルキルエーテルサルフェートは一般に、さまざまなR’鎖長及びさまざまなエトキシ化度を含む混合物の形態で使用される。このような混合物は、しばしば、いくつかの非エトキシ化アルキルサルフェート材料、すなわち、上記エトキシ化アルキルサルフェートの式(式中、n=0である)の界面活性剤も必然的に包含するであろう。非エトキシ化アルキルサルフェート類もまた本開示の組成物に別々に添加されてもよく、かつ存在し得る任意のアニオン性界面活性剤成分として又はその中で使用されてもよい。非アルコキシル化、例えば非エトキシル化、アルキルエーテルサルフェート界面活性剤の具体例は、C〜C20の高級脂肪族アルコールの硫酸化により製造されるものである。従来の一級アルキルサルフェート界面活性剤は、R”が典型的に直鎖又は分岐鎖であってよい、線状C〜C20ヒドロカルビル基であり、Mが水溶性化カチオンである、一般式R”OSOを有する。特定の実施形態では,R”はC10〜C15アルキルであり、Mはアルカリ金属であり、特に、R”はC12〜C14であり、Mはナトリウムである。
【0066】
本明細書で有用な特定のアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、a)C11〜C18アルキルベンゼンスルホネート類(LAS);b)C10〜C20の一級分岐鎖及びランダムなアルキルサルフェート類(AS);c)式(V)及び(VI)を有するC10〜C18二級(2,3)−アルキルサルフェートが挙げられる。
【化13】

(式中、式(V)及び(VI)中のMは、電荷の中性をもたらす水素又はカチオンであり、単離された形又は化合物を使用する系の相対的なpHによって界面活性剤又は添加剤成分と会合又は非会合であっても、全てのM単位は、水素原子又はカチオンのいずれかであることができ、好ましいカチオンの非限定的な例としてはナトリウム、カリウム、アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられ、並びにxは少なくとも約7、好ましくは少なくとも約9の整数であり、yは少なくとも8、好ましくは少なくとも約9の整数であり、;d)C10〜C18アルキルアルコキシサルフェート(AES)(ここで、好ましくはxは1〜30である);e)好ましくは1〜5個のエトキシ単位からなる、C10〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート;f)米国特許第6,020,303号及び同第6,060,443号に述べられている中鎖分岐アルキルサルフェート;g)米国特許第6,008,181号及び同第6,020,303号に述べられているような中鎖分岐状アルキルアルコキシサルフェート;h)WO 99/05243、WO 99/05242、WO 99/05244、WO 99/05082、WO 99/05084、WO 99/05241、W O99/07656、WO 00/23549、及びWO 00/23548に述べられている変成アルキルベンゼンスルホネート;i)メチルエステルスルホネート(MES);及びj)アルファ−オレフィンスルホネート(AOS)が挙げられる。
【0067】
本明細書で有用な好適な非イオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で典型的に使用される従来の種類のいかなる非イオン性界面活性剤をも含むことができる。これらにはアルコキシル化脂肪族アルコール及びアミンオキシド界面活性剤が挙げられる。本明細書の液体洗剤製品での使用に好適なものは、通常液体である非イオン性界面活性剤である。本明細書での使用に適した非イオン性界面活性剤としてはアルコールアルコキシラート非イオン性界面活性剤が挙げられる。アルコールアルコキシレートは、一般式:R11(C2mO)OH(式中、R11はC〜C16のアルキル基であり、mは2〜4であり、nは約2〜12の範囲である)に相当する材料である。好ましくは、R11はアルキル基であり、一級又は二級であってもよく、約9〜15個の炭素原子、より好ましくは約10〜14個の炭素原子を含む。1つの実施形態では、アルコキシル化脂肪族アルコールは又分子当り約2〜12のエチレンオキシド部分、より好ましくは分子当り約3〜10のエチレンオキシド部分を包含するエトキシ化された材料である。
【0068】
本明細書の液体洗剤組成物に有用なアルコキシル化脂肪アルコール物質はしばしば約3〜17の範囲の親水性−親油性バランス(HLB)を有する。より好ましくは、この物質のHLBは、約6〜15、最も好ましくは約8〜15の範囲である。アルコキシル化脂肪族アルコール非イオン性界面活性剤は、Shell Chemical Companyにより商標名NEODOL(登録商標)で市販されてきた。
【0069】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の別の好適な種類は、アミンオキシド界面活性剤を含む。アミンオキシド類は、しばしば当該技術分野において「半極性」非イオン性物質と呼ばれる材料である。アミンオキシド類は、式R”(EO)(PO)(BO)N(O)(CHR’).qHOを有する。この式中、R”は、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖であることができる、比較的長鎖のヒドロカルビル部分であり、8〜20個、好ましくは10〜16個の炭素原子を含有することができ、より好ましくはC12〜C16一級アルキルである。R’は、好ましくは水素、メチル及び−CHOHから選択される、短鎖部分である。x+y+zが0と異なる場合、EOはエチレンオキシ、POはプロピレンオキシ、及びBOはブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤類は、C1214アルキルジメチルアミンオキシドにより例示されるものである。
【0070】
非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、a)NEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤などのC12〜C18アルキルエトキシレート;b)アルコキシレート単位がエチレンオキシとプロピレンオキシ単位の混合物である、C〜C12アルキルフェノールアルコキシレート;c)BASFからのPLURONIC(登録商標)などのエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC12〜C18アルコール及びC〜C12アルキルフェノール縮合物;d)米国特許第6,150,322号で述べられているC14〜C22中鎖分岐のアルコール、BA;e)米国特許第6,153,577号;同第6,020,303号;及び同第6,093,856号で述べられ、xが1〜30である、C14〜C22中鎖分岐のアルキルアルコキシレート、BAE;f)米国特許第4,565,647号で述べられているアルキルポリサッカライド;特に、米国特許第4,483,780号及び同第4,483,779号で述べられているアルキルポリグリコシド;g)米国特許第5,332,528号;WO 92/06162;WO 93/19146;WO 93/19038;及びWO 94/09099で述べられているポリヒドロキシ脂肪酸アミド;及びh)米国特許第6,482,994号及びWO 01/42408で述べられている、エーテルキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0071】
本明細書の布地ケア組成物中で洗浄性界面活性剤構成成分は、アニオン性及び非イオン性界面活性剤材料の組み合わせを含んでもよい。この場合、アニオン性と非イオン性との重量比は、典型的には10:90〜90:10、より典型的には30:70〜70:30の範囲である。
【0072】
カチオン性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、これらの非限定例としては四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、26個までの炭素原子を有することができる。追加の例としては、a)米国特許第6,136,769号で述べられているアルコキシレート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;b)米国特許第6,004,922号で述べられているジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;c)WO 98/35002;WO 98/35003;WO 98/35004;WO 98/35005;及びWO98/35006で述べられているポリアミンカチオン性界面活性剤;d)米国特許第4,228,042号;同第4,239,660号;同第4,260,529号;及び同第6,022,844号で述べられているカチオン性エステル界面活性剤;及びe)米国特許第6,221,825号及びWO 00/47708、で述べられているアミノ界面活性剤、特にアミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0073】
双極性界面活性剤の非限定的な例としては、二級及び三級アミン類の誘導体、複素環式二級及び三級アミン類の誘導体、あるいは四級アンモニウム化合物や四級ホスホニウム化合物又は三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双極性界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号、19欄、38行〜22欄、48行を参照のこと;双極性界面活性剤の例としては、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタイン、C〜C18(好ましくはC12〜C18)アミンオキシド並びにスルホ及びヒドロキシベタインを含めたベタイン、例えば、アルキル基がC〜C18、好ましくはC10〜C14であることができるN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネートが挙げられる。
【0074】
両性界面活性剤の非限定的な例としては、二級又は三級アミン類の脂肪族誘導体、あるいは複素環式二級及び三級アミン類の脂肪族誘導体が挙げられ、脂肪族基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。脂肪族置換基の1つは、少なくとも約8個の炭素原子、通常は約8〜約18個の炭素原子を含有し、そして少なくとも1つが、アニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する。両性界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号、19欄18〜35行を参照のこと。
【0075】
本開示の別の他の態様では、本明細書中で開示されている布地ケア組成物は、顆粒状洗濯洗剤組成物の形をとってもよい。このような組成物は、本開示の起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含み、洗剤を含有する溶液中で布地を洗浄する場合、許容可能な起泡レベルで汚れ及び染み除去利益をもたらす。典型的には、顆粒状洗濯洗剤組成物は、洗浄溶液の約0.0001重量%〜約0.05重量%の、更には約0.001重量%〜約0.01重量%ものレベルで洗浄溶液中で使用される。
【0076】
本発明の粒状洗剤組成物は、任意の数の在来の洗剤成分を包含してもよい。例えば、洗剤組成物の界面活性剤系は、アニオン性、非イオン性、双極性、両性、及びカチオン性の部類及びこれらの適合性の混合物を包含していてよい。顆粒状組成物用の洗剤界面活性剤は、米国特許第3,664,961号及び同第3,919,678号で述べられている。カチオン性界面活性剤としては米国特許第4,222,905号及び同第4,239,659号で述べられているものが挙げられる。
【0077】
界面活性剤系の非限定的な例としては、在来のC11〜C18アルキルベンゼンスルホネート類(「LAS」)及び一級、分岐鎖及びランダムC10〜C20アルキルサルフェート類(「AS」)、式CH(CH(CHOSO)CH及びCH(CH(CHOSO)CHCH(式中、x及び(y+1)は少なくとも約7、好ましくは少なくとも約9の整数であり、及びMは水可溶化カチオン、特にナトリウムである)のC10〜C18二級(2,3)アルキルサルフェート類、オレイルサルフェートなどの不飽和サルフェート類、C10〜C18アルキルアルコキシサルフェート類(「AES」;特にEO 1〜7エトキシサルフェート類)、C10〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート類(特にEO 1〜5エトキシカルボキシレート類)、C10〜C18グリセロールエーテル類、C10〜C18アルキルポリグリコシド類及びそれらの対応する硫酸化ポリグリコシド類、並びにC12〜C18 α−スルホン化脂肪酸エステル類が挙げられる。所望される場合、在来の非イオン性及び両性界面活性剤類、いわゆる狭ピークのアルキルエトキシレート類を含む、C12〜C18アルキルエトキシレート類(「AE」)、及びC〜C12アルキルフェノールアルコキシラート類(特にエトキシレート類及び混合エトキシ/プロポキシ)、C12〜C18ベタイン類及びスルホベタイン類(「スルタイン類」)、C10〜C18アミンオキシド類等もまたこの界面活性剤系に包含され得る。C10〜C18 N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミドも使用可能である。PCT WO 92/06154を参照のこと。糖から誘導される他の界面活性剤としては、C10〜C18N−(3−メトキシプロピル)グルカミドなどのN−アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。低発泡とするためには、N−プロピル〜N−ヘキシルC12〜C18グルカミドを使用することができる。C10〜20の在来のセッケンを使用してもよい。高い泡立ちを望む場合には、分岐鎖のC10〜16セッケンを使用してもよい。アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の混合物が特に有用である。他の従来の有用な界面活性剤は、標準的な教科書に列挙されている。
【0078】
洗剤組成物は、洗浄性ビルダーを包含することができ、及び好ましくは包含する。ビルダー類は、一般に、いろいろの水溶性のアルカリ金属、アンモニウム又は置換アンモニウムホスフェート類、ポリホスフェート類、ホスホネート類、ポリホスホネート類、カーボネート類、シリケート類、ボレート類、ポリヒドロキシスルホネート類、ポリアセテート類、カルボキシレート類、及びポリカルボキシレート類から選択される。アルカリ金属、とりわけナトリウム、上記の塩類が好ましい。ホスフェート類、カーボネート類、シリケート類、C1018脂肪酸類、ポリカルボキシレート類、及びこれらの混合物が本明細書での使用に好ましい。トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、シトレート、タータラートモノ−及びジスクシナート、ケイ酸ナトリウム、及びこれらの混合物がより好ましい。
【0079】
無機ホスフェートビルダーの具体的な例は、ナトリウム及びカリウムトリポリホスフェート、ピロホスフェート、約6〜21の重合度を有する多価メタホスフェート、及びオルトホスフェート類である。ポリリン酸塩ビルダーの例は、エチレンジホスホン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、エタン1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、及びエタン−1,1,2−トリホスホン酸のナトリウム塩及びカリウム塩である。他のリンビルダー化合物は、米国特許第3,159,581号、同第3,213,030号、同第3,422,021号、同第3,422,137号、同第3,400,176号、及び同第3,400,148号で述べられている。非リン系無機ビルダーの例には、ナトリウム及びカリウムカーボネート、ビカーボネート、セスキカーボネート、テトラボレートデカハイドレート、及びSiOとアルカリ金属酸化物の重量比が約0.5〜約4.0、好ましくは約1.0〜約2.4のシリケート類がある。本明細書で有用な水溶性の無リン有機ビルダーとしては、さまざまなアルカリ金属、アンモニウム、及び置換アンモニウムのポリアセテート類、カルボキシレート類、ポリカルボキシレート類、及びポリヒドロキシスルホネート類が挙げられる。ポリアセテートビルダー及びポリカルボキシレートビルダーの例には、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、オキシジコハク酸、メリト酸、ベンゼンポリカルボン酸、及びクエン酸の、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、及び置換アンモニウム塩がある。
【0080】
ポリマー型ポリカルボキシレートビルダーは、米国特許第3,308,067号に述べられている。このような材料としては、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、アコニット酸、シトラコン酸、及びメチレンマロン酸のような脂肪族カルボン酸のホモ−及びコポリマー類の水溶性塩類が挙げられる。これらの材料のいくつかは後述するように水溶性アニオン性ポリマーとして有用であるが、それは非セッケン型アニオン性界面活性剤と完全に混合された場合に限る。本明細書での使用に好適な他のポリカルボン酸塩は、米国特許第4,144,226号及び同第4,246,495号に述べられているポリアセタールカルボキシレートである。
【0081】
Mがアルカリ金属であり、及びSiO:MOの重量比が約0.5〜約4.0である、式SiO・MOによって表される水溶性シリケート固体は、無水の重量基準で約2%〜約15%の濃度の本発明の洗剤顆粒において有用な塩類である。無水又は水和の粒子状シリケートも同様に使用可能である。
【0082】
粒状洗剤組成物の構成成分として、任意の数の追加の成分を包含させることができる。これらの成分としては、他の洗浄性ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、起泡促進剤又は起泡抑制剤、色褪せ防止及び腐食防止剤、汚れ懸濁剤、汚れ放出剤、殺菌剤、pH調整剤、非ビルダーアルカリ源、キレート化剤、スメクタイト粘土、酵素、酵素安定剤、及び香料が挙げられる。米国特許番号第3,936,537号を参照されたい。
【0083】
漂白剤及び活性化剤は、米国特許第4,412,934号及び同第4,483,781号で述べられている。キレート化剤は、また、米国特許第4,663,071号の17欄54行から18欄68行で述べられている。泡変性剤もまた随意の成分であり、米国特許第3,933,672号及び同第4,136,045号に記載されている。本明細書での使用に好適なスメクタイト粘土は、米国特許第4,762,645号、6欄、3行から7欄、24行で述べられている。本明細書での使用に好適な追加の洗剤ビルダーは、米国特許第3,936,537号、13欄、54行から16欄、16行、及び米国特許第4,663,071号で列挙されている。
【0084】
本開示のなお別な態様では、本明細書で開示されている布地ケア組成物は、すすぎ添加型布地コンディショニング組成物の形をとってもよい。このような組成物は、本開示の起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含み、布地軟化活性剤と、すすぎ添加型布地コンディショニング組成物の全重量基準で約0.00001重量%(0.1ppm)〜約1重量%(10,000ppm)の、又は約0.0003重量%(3ppm)〜約0.03重量%(300ppm)の組成物で、布地を処理する場合に起泡利益をもたらし得る。別の具体的な実施形態では、組成物はすすぎ添加型の布地コンディショニング組成物である。典型的なすすぎ添加型コンディショニング組成物の例は、2004年10月8日出願の米国特許仮出願No.60/687,582に見出られる。
【0085】
補助材料
本開示の目的には必須でないが、以下に例示される補助剤の非限定的なリストは、本洗濯ケア組成物において使用するのに適しており、及び例えば、性能を補助若しくは向上させるために、洗浄されるべき基材の処理のために、又は香料、着色剤、染料などを用いる場合のように組成物の審美性を改変するために、本発明の特定の実施形態に組み込まれるのが望ましい場合がある。このような補助剤がいずれかの特定の実施形態に関して上記に列挙された構成成分に追加できることは理解される。このような補助剤の全量は、布地ケア組成物の約0.1重量%〜約50重量%、又は更には約1重量%〜約30重量%の範囲であってよい。
【0086】
このような追加的構成成分の明確な性質、及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及び使用されるべき作業の性質に依存する。好適な補助物質としては、ポリマー、例えばカチオン性ポリマー、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒材料、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、及び/又は顔料が挙げられるが、これらに限定されない。下記開示に加えて、このような他の補助剤の好適な例及び使用量は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812号及び同第6,326,348号に見ることができる。
【0087】
上述のように、補助剤成分は、布地ケア組成物にとって必須ではない。したがって、この組成物の特定の実施形態は、漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、並びに/又は顔料の1種以上の補助材料を含有しない。しかし、1つ以上の補助剤が存在する場合、このような1つ以上の補助剤は、以下に詳述されるように存在することも可能である。
【0088】
界面活性剤−本開示による組成物は、界面活性剤又は界面活性剤系を含むことができ、ここでは界面活性剤が非イオン性及び/若しくはアニオン性及び/若しくはカチオン性界面活性剤並びに/又は両性及び/若しくは双極性及び/若しくは半極性非イオン性界面活性剤から選択可能である。界面活性剤は、典型的には洗浄組成物の約0.1重量%から、約1重量%から、又は更には約5重量%から、洗浄組成物の約99.9重量%まで、約80重量%まで、約35重量%まで、又は更には約30重量%までの濃度で存在する。
【0089】
ビルダー−本開示の組成物は、1つ以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含むことができる。存在する場合、組成物は典型的には、少なくとも約1重量%のビルダー、又は約5重量%又は10重量%から約80重量%まで、50重量%まで、又は更には30重量%までのかかるビルダーを含む。ビルダーとしては、ポリホスフェートのアルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、アルミノシリケートビルダー、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の種々のアルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩、並びにメリト酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びそれらの可溶性塩のようなポリカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
キレート化剤−本明細書の組成物はまた、任意で1つ以上の銅、鉄、及び/又はマンガンキレート化剤を含有してもよい。使用される場合、キレート化剤は、一般に、本明細書の組成物の約0.1重量%〜約15重量%、又は更には本明細書の組成物の約3.0重量%〜約15重量%を構成する。
【0091】
移染防止剤−本開示の組成物はまた、1種以上の染料移動防止剤を含んでよい。好適なポリマー移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の組成物中に存在する場合、移染防止剤は、洗浄組成物の約0.0001重量%から、約0.01重量%から、約0.05重量%から、洗浄組成物の約10重量%まで、約2重量%まで、又は更には約1重量%までの濃度で存在する。
【0092】
分散剤−本開示の組成物は分散剤も含むことができる。好適な水溶性有機材料は、ホモポリマー又はコポリマーの酸又はそれらの塩であり、それらのうちのポリカルボン酸は、互いに炭素原子2個を超えない程度に離れている少なくとも2個のカルボキシル基を含み得る。
【0093】
酵素−組成物は、洗浄性能効果、及び/又は布地ケア効果を提供する1つ以上の洗浄性酵素を含むことができる。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、及び/又はセルラーゼのような従来の適用可能な酵素をアミラーゼと組み合わせた混液である。
【0094】
酵素安定剤−組成物、例えば洗剤において使用するための酵素は、さまざまな技術によって安定化可能である本明細書に用いられる酵素は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給する、最終組成物中のカルシウム及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在によって安定化させることができる。
【0095】
触媒金属錯体−この組成物は、触媒金属錯体を包含してもよい。金属含有漂白触媒の1つの種類は、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンのカチオンのような、限定された漂白触媒活性の遷移金属カチオン、亜鉛又はアルミニウムのカチオンのような、漂白触媒活性をほとんど又は全くもたない補助的な金属カチオン、並びに触媒金属及び補助金属のカチオンに対して限定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びそれらの水溶性の塩類を含む触媒系である。このような触媒は米国特許第4,430,243号で開示されている。
【0096】
所望する場合、本明細書の組成物はマンガン化合物を用いて接触可能である。このような化合物及び使用濃度は当該技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号に開示されているマンガン系触媒を含む。
【0097】
本明細書において有用なコバルト漂白触媒は既知であり、例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号で述べられている。このようなコバルト触媒は、既知の手順、例えば、米国特許第5,597,936号、及び同第5,595,967号において教示されているような手順によって容易に作製される。
【0098】
本明細書中の組成物は、また、大多環状の剛直な配位子(「MRL」と省略される)の遷移金属錯体を適切に含んでもよい。実際的な事柄として、限定するためではないが、本明細書の組成物及び洗浄法を水性洗浄媒体において少なくとも1億分の1のオーダーの有益剤MRL種を提供するように調整して、約0.005ppm〜約25ppm、約0.05ppm〜約10ppm、又は更には約0.1ppm〜約5ppmのMRLを洗浄溶液中に提供することができる。
【0099】
遷移金属漂白剤触媒中の好ましい遷移金属としては、マンガン、鉄、及びクロムが挙げられる。本明細書中の好ましいMRLは、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンのような、架橋されている特殊な種類の超剛直配位子である。好適な遷移金属MRLは、既知の手順、例えば、PCT WO 00/32601及び米国特許第6,225,464号で教示されているような手順によって容易に作製される。
【0100】
洗浄組成物の製造方法
本開示の洗浄組成物は、任意の好適な形態に配合され、米国特許第5,879,584号;同第5,691,297号;同第5,574,005号;同第5,569,645号;同第5,565,422号;同第5,516,448号;同第5,489,392号;及び同第5,486,303号で非限定例が述べられている、配合者により選択される任意の方法により作製可能である。
【0101】
1つの態様では、本明細書に開示されている液体洗剤組成物は、その構成成分をいずれかの好都合な順番で組み合わせることによって、及び得られた構成成分の組み合わせを混合、例えば攪拌により相安定な液体洗剤組成物を形成することによって、製造されてよい。1つの態様では、液体構成成分、例えば非イオン性界面活性剤、非界面活性液体キャリア及び他の任意の液体構成成分の少なくとも主要部分、又は更には実質的に全てを含有する液体マトリクスを形成し、この液体構成成分を剪断攪拌を付与することによりこの液体の組み合わせを完全に混合する。例えば、機械的攪拌器での高速攪拌が有用に使用される。剪断攪拌が維持される間に、任意のアニオン性界面活性剤及び固体成分の実質的に全てを添加することができる。混合物の攪拌を継続し、必要ならその時点で増大して、液相中に不溶性固相粒子の溶液又は均一分散を形成する。固形形態の物質の一部又は全部をこの攪拌混合物に添加した後、包含される任意の酵素物質の粒子、例えば、酵素プリルが組み込まれる。上述した組成物製造手順の変形として、1つ以上の固形構成成分を1つ以上の液体構成成分の微量部分と予混合した粒子の溶液又はスラリーとして前記攪拌混合物に添加してよい。全ての組成物成分を添加した後、混合物の攪拌は、必要な粘度及び相安定度特性を有する組成物を形成するために充分な時間継続される。しばしば、これには約30分〜60分の間の攪拌を伴う。
【0102】
液体洗剤を製造する別の態様では、最初に起泡増強及び安定化用バイオポリマーが、1つ以上の液体成分と組み合わされて、起泡増強及び安定化用バイオポリマープレミックスを形成し、この起泡増強及び安定化用バイオポリマープレミックスが、実質的な部分、例えば、50重量%超の、70重量%超の、又は更には90重量%超の洗濯洗剤組成物の成分の残余を含有する組成物配合物に添加される。例えば、上述の方法においては、起泡増強及び安定化用バイオポリマープレミックスと酵素成分は、両方とも成分添加の最終段階で添加されてもよい。別の態様では、起泡増強及び安定化用バイオポリマーが、洗剤組成物に添加される前にカプセル封入され、カプセル封入された染料は構造化された液体中に懸濁され、この懸濁液が洗濯用洗剤組成物の残部構成成分の実質的な部分を含有する組成物配合物に添加される。
【0103】
そのような固形形状の洗剤組成物を形成するさまざまな技術は当該技術分野において周知であり、本明細書で使用されてよい。1つの態様では、布地ケア組成物が顆粒状粒子の形態の場合、起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、洗濯用洗剤組成物の全部ではないが、追加的な構成成分を場合によっては含む、粒子状形態で提供される。起泡増強及び安定化用バイオポリマー粒子は、洗濯洗剤組成物の成分の残余を含有する1つ以上の追加の粒子状材料と組み合わされる。更に、洗濯洗剤組成物の全部ではないが追加的な構成成分を場合によっては含む起泡増強及び安定化用バイオポリマーは、カプセル化された形で提供されることもあり、起泡増強及び安定化用バイオポリマーカプセル化物は、洗濯洗剤組成物の成分の実質的な残余を含有する粒子状材料と組み合わされる。
【0104】
布地ケア組成物の使用方法
本明細書で開示されている布地ケア組成物は、布地又は他のテキスタイルの洗浄又は処理に使用され得る。典型的には布地の少なくとも一部分は、ニートな形の又は液、例えば、洗浄液中に希釈された、前述の布地ケア組成物の実施形態と接触され、次いで場合によっては洗浄及び/又はすすぎが行われてもよい。1つの態様では、布地は、場合によっては洗浄及び/又はすすぎが行われ、前述の洗剤組成物の実施形態と接触され、次いで洗浄及び/又はすすぎが行われる。本開示の目的では、洗浄としては、擦ること及び機械的攪拌が挙げられるが、これらに限定されない。布地は洗濯又は処理できるほとんどあらゆる布地を含んでよい。
【0105】
本明細書に開示される布地ケア組成物は、布地の洗濯に使用するために許容可能な起泡レベルを有する水性洗浄溶液を形成するために使用され得る。一般に、有効量のこのような組成物は、好ましくは従来の布地洗濯自動洗濯機又は手洗い工程にて水に添加されて、このような水性洗濯溶液を形成する。そのように形成された水性洗浄溶液は、次に、好ましくは攪拌下で、洗濯される布地と接触される。本明細書に開示されている液体洗剤組成物のような洗濯ケア組成物の有効量が水に添加されて、約500〜約7,000ppm、又は更には約1,000〜約3,000ppmの布地ケア組成物を含む、水性洗濯溶液を形成してもよい。
【0106】
1つの態様では、布地ケア組成物は、洗濯添加剤として、前処理組成物として、及び/又は後処理組成物として使用されてもよい。
【0107】
さまざまな特定の実施形態が本明細書で詳細に記載されているが、本開示は、開示されている実施形態のさまざまな異なる組み合わせを有効範囲とするものであり、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。本開示のさまざまな実施形態は、以下の代表的な実施例と共に読むとき、より良好に理解され得る。次の代表的な実施例は、例示の目的で挙げられ、限定の目的ではない。
【0108】
試験方法
起泡特性試験方法:
本明細書の洗剤組成物の起泡特性を、泡シリンダー試験機(「SCT」)を使用することにより測定できる。SCTは1組の8個のシリンダーを有する。各シリンダーは、典型的には、長さ30cm、直径9cmであり、独立して、1分あたり20〜22回転(rpm)の速度で回転することができる。試験する洗剤組成物の水溶液を、3.4gの洗剤組成物を1リットル当り2.6g(10gpg)の水の硬度を有する1000mLの水に溶解させることにより、調製する。シリンダー中の水溶液は、試験中ずっと一定であると思われる、16cmの高さを有する。各シリンダーの外壁上にシリンダーの底部の上面から0で始まる目盛りを付ける。SCTは、以下に指定する期間にわたって22rpmで回転し、次いで回転を止め、泡の上層の数字から水溶液の高さである16cmを引いた泡の高さを読み取る。泡の上層の高さは、空気と密度の高い泡との界面と交差し、シリンダーの壁に対して垂直な線であるべきである。シリンダーの壁の内面にくっついている散らばっている泡は、泡の高さの読み取りで数えない。最初にSCTを22rpmで3分間回転し、回転を止め、それぞれのシリンダーに640μLの人工的な汚れ(Equest(USA)から購入)を添加する。SCTを22rpmで回転し、回転を止め、泡の高さを1分毎に10回読み取る。10回の記録の平均を、生成1(Gen.1)の泡の高さとして記録する。生成1(Gen.1)の泡の高さの10回の記録をとった後、それぞれのシリンダーに320μLの人工的な汚れを添加し、SCTを22rpmで回転し、回転を止め、泡の高さを1分毎に10回読み取る。10回の記録の平均数を、生成2(Gen.2)の泡の高さとして記録する。別の320μLの人工の汚れを各シリンダーに添加し、SCTを回転し、1分毎に泡の高さを10回にわたって読む工程を繰り返す。10回の記録の平均数を生成3(Gen.3)の泡の高さとして記録する。このような試験を使用して、洗浄されている布地から水溶液により多くの汚れが溶解するときの、組成物の初期起泡特性、並びに洗浄サイクル中の起泡特性を模擬実験することができる。
【実施例】
【0109】
実施例1
合成方法:
カルボキシメチル四級アンモニウムデンプンの合成:
2Lフラスコにトウモロコシデンプン(45g)及びメタノール(75mL)を装填する。この溶液を10分間攪拌し、その後NaOH(26.5gの50%w/w溶液)を5分間にわたって添加する。更に2時間攪拌した後、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(2.4g)を5分間にわたって添加し、その後反応物を60℃で3時間加熱する。次に、モノクロロ酢酸(19gの80%水溶液)をゆっくりと添加し、得られる溶液を60℃で3時間加熱する。冷却後、反応物を200mLイソプロパノール中でスラリーとし、固体を濾過により除去し、メタノール(200mL)により洗浄し、真空下で乾燥して、所望の変成デンプンを得る。
【0110】
カチオン性ポリサッカライド:
本発明の1つの態様では、カチオン性ポリサッカライドは、例えば、四級アンモニウム置換基又は温和な酸性条件下でカチオン性となり得るアミン置換基により置換することにより、水溶液中でポリサッカライドに正電荷を付与するように化学変成されたポリサッカライドを指す。この化学的変成は、限定ではないが、バイオポリマー分子の中にアミノ及び/又はアンモニウム基を加えることを伴う。これらのアンモニウム基の例には、トリメチルヒドロキシプロピル塩化アンモニウム、ジメチルステアリルヒドロキシプロピル塩化アンモニウム又はジメチルヒドロキシプロピル塩化アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。Solarek,D.B.,「Cationic Starches in Modified Starches:Properties and Uses」,Wurzburg,O.B.,Ed.,CRC Press,Inc.,Boca Raton,Florida 1986,pp 113〜125を参照のこと。
【0111】
アニオン性ポリサッカライド変成:
本開示の別の態様では、アニオン性ポリサッカライドは、水溶液中でポリサッカライドに負電荷を付与するように化学変成されたポリサッカライドを指す。この化学的変成は、限定ではないが、例えば、カルボキシレート(−COO)、カルボキシメチル(−CHCOO)、サクシネート(−OOCCHCHCOO)、サルフェート(−OS(O)O)、スルホネート(−S(O)O)、アリールスルホネート(−Ar−S(O)O(式中、Arはアリール環である)、ホスフェート(−OPO(OR’)−又は−OPO2−(式中、R’はH、アルキル、又はアリールである)、ホスホネート(−PO2(OR’)−又は−PO2−(式中、R’はH、アルキル、又はアリールである)、ジカルボキシレート(−Y(COO−)(式中、Yはアルキル又はアリールである)、又はポリカルボキシレート(−Y(COO(式中、Yはアルキル又はアリールであり、tは2よりも大きい)などのアニオン性基を分散剤ポリマーに加えることを伴う。誘導体化反応は当該技術分野で既知であり、例えば、カルボキシメチル化ポリサッカライドは、Hofreiter,T.B.「Carboxymethyl Starches in Modified Starches:Properties and Uses」,Wurzburg,O.B.,Ed.,CRC Press,Inc.,Boca Raton,Florida 1986,pp 185〜188;で作製され得;ポリサッカライド上のC6炭素を直接酸化して、C6カルボキシレート(又はカルボン酸誘導体)又はアルデヒドを得ることは、米国特許第5,501,814号及び同第5,565,556号、米国特許出願公開No.2007/0015678 A1、又はBragd,P.L.ら,「TEMPO−mediated oxidation of polysaccharides:survey of methods and applications」:Topics in Catalysis,27,2004,49〜66で示されている方法により行われ得、並びにサクシネート及びアルケニルサクシネートは、Trubiano,P.C.,「Succinate and Substituted Succinate Derivatives of Starch:Properties and Uses」,Wurzburg,O.B.,Ed.,CRC Press,Inc.,Boca Raton,Florida 1986,pp 131〜147又は米国特許出願公開No.2006/0287519 A1で示されている方法により行われ得る。
【0112】
アルコキシポリサッカライド変成:
本開示の別の態様では、アルコキシポリサッカライドは、ポリサッカライドにアルコキシ置換を与えるように化学変成されたポリサッカライドを指す。この化学的変成は、限定ではないが、ヒドロキシエチル基(−CHCHOH)、ヒドロキシプロピル基(−CHCH(CH)OH)、ヒドロキシブチル基(−CHCH(CHCH)OH)、ポリエチレンオキシ基、ポリプロピレンオキシ基及びポリブチレンオキシ基をポリサッカライド骨格上の遊離ヒドロキシル基で置換することを伴う。このような誘導体化反応は当該技術分野で既知であり、例えば、ヒドロキシプロピル化ポリサッカライドは、Tuschhoff,J.V.,「Hydroxypropylated Starches in Modified Starches:Properties and Uses」,Wurzburg,O.B.,Ed.,CRC Press,Inc.,Boca Raton,Florida 1986,pp 79〜95で示されている方法により作製され得る。ヒドロキシエチル化ポリサッカライド及びヒドロキシブチル化ポリサッカライドは、プロピレンオキシドの代わりにそれぞれエチレンオキシド及びブチレンオキシドを使用することを除いて類似の方法を用いて作製される。
【0113】
実施例2:洗浄組成物配合物
本開示の1つの態様による変成ポリサッカライド起泡増強及び安定化用バイオポリマーを用いて、試料配合物を作製する。成分を混合する標準の業界の方法を用いて、この配合物を作製する。配合物I、II、III及びIVは、1重量%の変成ポリサッカライド起泡増強及び安定化ポリマーを含み、それに対して配合物Vは3重量%の変成ポリサッカライド起泡増強及び安定化ポリマーを含む。表1に5つの配合物の組成を示す。この実施例の洗浄組成物配合物を検査して、洗浄工程時の改善された起泡増強及び安定化の利益を促進する能力を確認する。
【表1】

1.窒素に結合したそれぞれの水素原子に対して24個の単位までエトキシル化され、四級化されたヘキサメチレンジアミン
2.ポリエチレングリコール及びポリビニルアセテートのクシ形ポリマー
3.アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼを含む既知の洗剤酵素から選択される酵素カクテル
4.100%への残余としては、例えば、蛍光増白剤、芳香剤、泡抑制剤、汚れ分散剤、汚れ剥離ポリマー、キレート化剤、漂白添加剤及び増強剤、移染防止剤、審美性増強剤(例えば、染み)、追加の水、及びサルフェート、CaCO、タルク、シリケートなどを含む充填剤のような少量成分を挙げることができる。
5a.カチオン性基がトリメチルヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドであり、DS=0.003及びカルボキシメチル基DS=0.44である、非減成カチオン化カルボキシメチルタピオカ又はトウモロコシデンプン
5b.カチオン性基がトリメチルヒドロキシプロピルアンモニウムクロリドであり、DS=0.003及びカルボキシメチル基DS=0.44である、約MW〜500,000ダルトンまで減成したカチオン化カルボキシメチルタピオカ又はトウモロコシデンプン
5c.ヒドロキシルアルキル基のDS=0.15である非減成ヒドロキシプロピルトウモロコシデンプン
5d.ヒドロキシルアルキル基のDS=0.15であるヒドロキシブチルトウモロコシデンプン、MW〜1.7kダルトン
5e.6重量%結合OSA WF=40を含むオクテニルサクシネートタピオカ又はワクシートウモロコシデンプン
【0114】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0115】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において、本明細書の参照として組み込まれるが、いかなる文献の引用も、それが本開示に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照として組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0116】
本開示の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくさまざまな変更及び修正が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造:
【化1】

を有するランダム置換の直鎖又は分岐鎖バイオポリマー骨格を含む起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含む洗浄組成物であって、前記ランダム置換ポリマー骨格が少なくとも1つの非置換モノマー及び少なくとも1つの置換モノマーの残基を含み、前記モノマーの残基が、アミノ酸残基、フラノース残基、ピラノース残基、及びこれらのいずれかの混合物からなる群から独立して選択され、並びに前記置換モノマーの前記残基が−(R)置換基を更に含み、
式中、それぞれのR置換基は、アニオン性置換基及び窒素含有置換基、又はアルコキシ置換基、アニオン性置換基及び窒素含有置換基から独立して選択され、
前記アニオン性置換基は0.0001〜2.0の範囲の置換度を有し、前記窒素含有置換基は0.01〜0.04の範囲の置換度を有し、前記アルコキシ置換基は0又は0.001〜1.0の範囲の置換度を有し、pは1〜3の整数であり、並びに前記窒素含有置換基の前記置換度と前記アニオン性置換基の前記置換度の比が0.05:1〜0.2:1の範囲にあり、
前記起泡増強及び安定化用バイオポリマーが10,000ダルトン〜100,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、洗浄組成物。
【請求項2】
前記ランダム置換バイオポリマー骨格がランダム置換ポリサッカライド骨格である、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項3】
前記ランダム置換ポリサッカライド骨格がランダム置換ポリグルコース骨格を含み、前記モノマーの前記残基が置換及び非置換グルコピラノース残基を含む、請求項2に記載の洗浄組成物。
【請求項4】
前記ランダム置換ポリグルコース骨格が、ランダム置換セルロース骨格、ランダム置換ヘミセルロース骨格、ランダム置換デンプン骨格、及びこれらのブレンドからなる群から選択される、請求項3に記載の洗浄組成物。
【請求項5】
漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、並びに顔料からなる群から選択される1つ以上の添加剤を更に含む、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項6】
前記洗浄組成物が、液体洗濯洗剤、固形洗濯洗剤、洗濯セッケン製品、洗濯スプレー処理製品、皿洗い用洗剤、美容ケア洗剤、シャンプー、及び家事用洗浄洗剤からなる群から選択される布地ケア製品である、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項7】
非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、式I:
【化2】

に示す一般構造を有するランダム置換ポリサッカライド骨格を含む、起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含む洗浄組成物であって、式中、それぞれの置換グルコピラノース残基は、それぞれの置換グルコピラノース残基上で同一であるか又は異なってもよい、1〜3のR置換基を独立して含み、かつ
それぞれのR置換基は、独立して、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R、R、R及び式Iに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐、又はヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R、R及び式Iに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐から選択される置換基であり、ただし、少なくとも1つのR置換基が少なくとも1つのR及び少なくとも1つのRを含み、
それぞれのRは独立して、同一であるか又は異なり、第1置換基は、0.01〜0.04の範囲の置換度及び式II:
【化3】

に示す構造を有し、式中、それぞれのRは、孤立電子対;H;CH;直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和C〜C18アルキルからなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R基の少なくとも2個が孤立電子対ではなく、Rは、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和C〜C18アルキル鎖又は直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル鎖であり、Lは、−O−、−C(O)O−、−NR−、−C(O)NR−、及び−NRC(O)NR−からなる群から選択される連結基であり、並びにRはH又はC〜Cアルキルであり、wは0又は1の値を有し、yは0又は1の値を有し、並びにzは0又は1の値を有し、
それぞれのRは独立して、同一であるか又は異なり、第2の置換基は、0.0001〜2.0の範囲の置換度及び式III:
【化4】

に示す構造を有し、式中、Rは、カルボキシレート、カルボキシメチル、サクシネート、サルフェート、スルホネート、アリールスルホネート、ホスフェート、ホスホネート、ジカルボキシレート、及びポリカルボキシレートからなる群から選択されるアニオン性置換基であり、aは0又は1の値を有し、bは0〜18の整数であり、及びcは0又は1の値を有し、
それぞれのRは独立して、同一であるか又は異なり、第3の置換基は、0、又は0.001〜1.0の範囲の置換度及び式IV:
【化5】

に示す構造を有し、式中、dは0又は1の値を有し、eは0又は1の値を有し、fは0〜8の整数であり、gは0〜50の整数であり、それぞれのRはエチレン、プロピレン、ブチレン、又はこれらの混合物から選択される基であり、及びRは水素、C〜C20アルキル、ヒドロキシ、−OR及び−ORからなる群から選択される末端基であり、
第1の置換基の置換度と第2の置換基の置換度の比が0.05:1〜0.2:1の範囲にあり、前記起泡増強及び安定化用バイオポリマーが10,000ダルトン〜100,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、洗浄組成物。
【請求項8】
(OR)が構造−O−CH(R10)CH−を有し、R10がメチル又はエチルである、請求項7に記載の洗浄組成物。
【請求項9】
前記起泡増強及び安定化用バイオポリマーが、少なくとも、式Iに示す構造、及び10,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する第1のランダム置換ポリサッカライドと、式Iに示す構造、及び1,000,000ダルトン〜100,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する第2のランダム置換ポリサッカライドとのブレンドを含む、請求項7に記載の洗浄組成物。
【請求項10】
前記ランダム置換ポリサッカライド骨格が、式IA:
【化6】

に示す一般構造を有するランダム置換のセルロース骨格である、請求項7に記載の洗浄組成物。
【請求項11】
前記ランダム置換ポリサッカライド骨格が、式IB:
【化7】

に示す一般構造を有するランダム置換のデンプン骨格である、請求項7に記載の洗浄組成物。
【請求項12】
前記ランダム置換デンプン骨格が、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ワクシートウモロコシデンプン、オート麦デンプン、キャッサバデンプン、ワクシー大麦デンプン、ワクシー米デンプン、グルテナス米デンプン、スイート米デンプン、じゃがいもデンプン、タピオカデンプン、サゴデンプン、高アミロースデンプン、又はこれらのいずれかの混合物から選択されるデンプンから誘導される、請求項11に記載の洗浄組成物。
【請求項13】
前記ランダム置換デンプン骨格が約30重量%〜約90重量%のアミロース含有量を有する高アミロースデンプンから誘導される、請求項12に記載の洗浄組成物。
【請求項14】
前記ランダム置換デンプン骨格が、少なくとも1つのα(1→6)ポリグルコピラノース分岐を更に含むランダム置換アミロペクチン骨格であり、前記ポリグルコピラノース分岐が非置換及び置換グルコピラノース残基を含む、請求項11に記載の洗浄組成物。
【請求項15】
前記ポリサッカライド骨格が、非置換又は置換キシロース残基、非置換又は置換マンノース残基、非置換又は置換ガラクトース残基、非置換又は置換ラムノース残基、非置換又は置換アラビノース残基、及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの非置換又は置換の炭水化物残基を更に含むランダム置換のヘミセルロース骨格であり、
前記置換炭水化物残基が少なくとも1つのR置換基又はR置換基を含み、任意により1つ以上のR置換基を含み得る、請求項7に記載の洗浄組成物。
【請求項16】
起泡増強及び安定化用バイオポリマーを洗浄組成物に添加する工程を含む、洗浄組成物を作製する方法であって:
前記起泡増強及び安定化用バイオポリマーが非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、式I:
【化8】

に示す一般構造を有する、ランダム置換ポリサッカライド骨格を含み、式中、それぞれの置換グルコピラノース残基は、それぞれの置換グルコピラノース残基上で同一であるか又は異なってもよい、1〜3のR置換基を独立して含み、及び
それぞれのR置換基は、独立して、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R、R、R及び式Iに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐、又はヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R、R、及び式Iに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐から選択される置換基であり、ただし、少なくとも1つのR置換基が少なくとも1つのR及び少なくとも1つのRを含み、
それぞれのRは、独立して、同一であるか又は異なり、第1の置換基は0.01〜0.04の範囲の置換度及び式II:
【化9】

に示す構造を有し、式中、それぞれのRは、孤立電子対;H;CH;直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和C〜C18アルキルからなる群から選択される置換基であり、ただし、前記R基の少なくとも2個が孤立電子対ではなく、Rは、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和C〜C18アルキル鎖又は直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル鎖であり、Lは、−O−、−C(O)O−、−NR−、−C(O)NR−、及び−NRC(O)NR−からなる群から選択される連結基であり、並びにRはH又はC〜Cアルキルであり、wは0又は1の値を有し、yは0又は1の値を有し、並びにzは0又は1の値を有し、
それぞれのRは独立して、同一であるか又は異なり、第2の置換基は、0.0001〜2.0の範囲の置換度及び式III:
【化10】

に示す構造を有し、式中、Rは、カルボキシレート、カルボキシメチル、サクシネート、サルフェート、スルホネート、アリールスルホネート、ホスフェート、ホスホネート、ジカルボキシレート、及びポリカルボキシレートからなる群から選択されるアニオン性置換基であり、aは0又は1の値を有し、bは0〜18の整数であり、及びcは0又は1の値を有し、
それぞれのRは独立して、同一であるか又は異なり、第3の置換基は、0、又は0.001〜1.0の範囲の置換度及び式IV:
【化11】

に示す構造を有し、式中、dは0又は1の値を有し、eは0又は1の値を有し、fは0〜8の整数であり、gは0〜50の整数であり、それぞれのRはエチレン、プロピレン、ブチレン、又はこれらの混合物から選択される基であり、及びRは水素、C〜C20アルキル、ヒドロキシ、−OR及び−ORからなる群から選択される末端基であり、
第1の置換基の置換度と第2の置換基の置換度の比が0.05:1〜0.2:1の範囲にあり、前記起泡増強及び安定化用バイオポリマーが10,000ダルトン〜100,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、洗浄組成物。
【請求項17】
前記起泡増強及び安定化用バイオポリマーが、少なくとも、式Iに示す構造、及び10,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する第1のランダム置換ポリサッカライドと、式Iに示す構造、及び1,000,000ダルトン〜100,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する第2のランダム置換ポリサッカライドとのブレンドを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ランダム置換ポリサッカライド骨格が、式IA:
【化12】

に示す一般構造を有するランダム置換のセルロース骨格である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ランダム置換ポリサッカライド骨格が、式IB:
【化13】

に示す一般構造を有するランダム置換のデンプン骨格である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ランダム置換デンプン骨格が、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ワクシートウモロコシデンプン、オート麦デンプン、キャッサバデンプン、ワクシー大麦デンプン、ワクシー米デンプン、グルテナス米デンプン、スイート米デンプン、じゃがいもデンプン、タピオカデンプン、サゴデンプン、高アミロースデンプン、又はこれらのいずれかの混合物から選択されるデンプンから誘導される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ランダム置換デンプン骨格が約30重量%〜約90重量%のアミロース含有量を有する高アミロースデンプンから誘導される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ランダム置換デンプン骨格が、少なくとも1つのα(1→6)ポリグルコピラノース分岐を更に含むランダム置換アミロペクチン骨格であり、前記ポリグルコピラノース分岐が非置換及び置換グルコピラノース残基を含む、請求項19に記載の洗浄組成物。
【請求項23】
前記ポリサッカライド骨格が、非置換又は置換キシロース残基、非置換又は置換マンノース残基、非置換又は置換ガラクトース残基、非置換又は置換ラムノース残基、非置換又は置換アラビノース残基、及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの非置換又は置換の炭水化物残基を更に含むランダム置換のヘミセルロース骨格であり、
前記置換炭水化物残基が少なくとも1つのR置換基又はR置換基を含み、任意により1つ以上のR置換基を含み得る、請求項16に記載の洗浄組成物。
【請求項24】
漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素、酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、並びに顔料からなる群から選択される1つ以上の添加剤を前記布地ケア組成物に添加する工程を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記布地を請求項7に記載の洗浄組成物を含む有効量の布地ケア組成物と接触させる工程を含む、布地を処理する方法。
【請求項26】
非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、式I:
【化14】

に示す一般構造を有するランダム置換ポリサッカライド骨格を含む、起泡増強及び安定化用バイオポリマーを含む洗浄組成物であって、式中、それぞれの置換グルコピラノース残基は、それぞれの置換グルコピラノース残基上で同一であるか又は異なってもよい1〜3のR置換基を独立して含み、
それぞれのR置換基は、独立して、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R、及び式Iに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐から選択される置換基であり、ただし、少なくとも1つのR置換基が少なくとも1つのRを含み、
それぞれのRは独立して、同一であるか又は異なり、0.01〜2.0の範囲の置換度及び式III:
【化15】

に示す構造を有する第2の置換基であり、式中、Rは、カルボキシレート、カルボキシメチル、サクシネート、サルフェート、スルホネート、アリールスルホネート、ホスフェート、ホスホネート、ジカルボキシレート、及びポリカルボキシレートからなる群から選択されるアニオン性置換基であり、aは0又は1の値を有し、bは0〜18の整数であり、及びcは0又は1の値を有し、
前記起泡増強及び安定化用バイオポリマーが10,000ダルトン〜100,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、洗浄組成物。

【公表番号】特表2012−503082(P2012−503082A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527973(P2011−527973)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/057379
【国際公開番号】WO2010/033746
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】