超音波センサ用ケース及び超音波センサ
【課題】超音波センサの感度特性を向上させることが可能な超音波センサ用ケース、及び、そのようなケースを用いた超音波センサを提供する。
【解決手段】本発明に係る超音波センサ用ケース1は、圧電素子13を利用した超音波センサ用ケース1であって、圧電素子13が設けられる板状の振動部3と、振動部3の圧電素子13が設けられる領域3aを囲むように設けられ、振動部3と対向する位置に開口5aを有する側壁部5とを備え、振動部3は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂からなり、熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、又は、これらのうちの2種以上を混合した樹脂であることを特徴とする。
【解決手段】本発明に係る超音波センサ用ケース1は、圧電素子13を利用した超音波センサ用ケース1であって、圧電素子13が設けられる板状の振動部3と、振動部3の圧電素子13が設けられる領域3aを囲むように設けられ、振動部3と対向する位置に開口5aを有する側壁部5とを備え、振動部3は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂からなり、熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、又は、これらのうちの2種以上を混合した樹脂であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサ用ケース及びそれを用いた超音波センサに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波センサは、圧電素子を利用したセンサである。圧電素子は超音波センサ内の振動部に設けられており、圧電素子に高周波電圧を印加して振動させると、振動部から超音波が発生する。この超音波を測定対象物に向けて送信すると、超音波は測定対象物で反射して超音波センサ内の振動部に戻り、振動部は超音波を受信する。すると、圧電素子に高周波電圧が生じる。
【0003】
上記原理に基づき、圧電素子に生じる電圧の有無から測定対象物の有無が判定できるため、超音波センサは測定対象物の有無を検出するセンサとして用いられる。また、超音波の送信から受信までの時間、即ち、圧電素子に電圧を印加してから圧電素子に電圧が生じるまでの時間から、超音波センサから測定対象物までの距離を算出することができるため、超音波センサは距離計としても用いられる。また、流れのある気体中ではその流速の分だけ超音波の速度が変化する。そのため、例えば、ガス配管中に所定間隔で一対の超音波センサを置くと、一方の超音波センサが超音波を送信してから他方の超音波センサが超音波を受信するまでの時間からガスの流速や流量を算出することができるため、超音波センサはガス流速計やガス流量計としても用いられる。
【0004】
超音波センサにおいて、圧電素子が収容されるケースとして、合成樹脂(プラスチック)を用いる技術が知られている(特許文献1〜7)。特許文献1では、プラスチック材料からなるケースを用いることにより、アルミニウムからなるケースを用いた場合よりも不要振動によるノイズの発生を抑制している。特許文献2では、特定の範囲の弾性率を有する接着剤を用いて筒部と振動部とを貼着することにより、有底筒状ケースの特性を均一化している。
【0005】
特許文献3では、ケース本体に一体形成された導電部材の露出部分にコンデンサを実装することにより、超音波センサの製造を容易にしている。特許文献4では、有底筒状ケース内に圧電素子の入出力端子を埋設することによって、圧電振動素子への入出力端子の接続を容易化している。特許文献5では、ケース体を金属ケースと合成樹脂ケースとで構成することにより、異方向性の指向特性を有する超音波センサを安価に容易に製造することを可能としている。特許文献6では、素子収容部の壁面の厚みをフランジ部の厚みよりも小さく設定することにより、振動波の伝播特性を改善している。特許文献7では、有底筒状ケースを硬度の高い合成樹脂で形成することにより、アルミニウム等の金属で有底筒状ケースを形成した場合よりも、超音波センサのコストを下げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−224895号公報
【特許文献2】特開平11−266497号公報
【特許文献3】特開2000−23288号公報
【特許文献4】特開2000−121739号公報
【特許文献5】特開2001−78296号公報
【特許文献6】特開2003−302386号公報
【特許文献7】特開2007−281975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の超音波センサにおいては、圧電素子が収容されるケースの損失係数が大きいため、超音波センサの感度特性を十分に高くすることが困難であった。上述の特許文献1〜8においても、ケースの損失係数に着目して超音波センサの感度特性を高くする方法は記載されていない。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、超音波センサの感度特性を向上させることが可能な超音波センサ用ケース、及び、そのようなケースを用いた超音波センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明に係る超音波センサ用ケースは、圧電素子を利用した超音波センサに用いられる超音波センサ用ケースであって、圧電素子が設けられる板状の振動部と、振動部の圧電素子が設けられる領域を囲むように設けられ、振動部と対向する位置に開口を有する側壁部とを備え、振動部は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂からなり、熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、又は、これらのうちの2種以上を混合した樹脂であることを特徴とする。
【0010】
本発明の超音波センサ用ケースによれば、超音波センサ用ケースの振動部の損失係数は十分に低くなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、感度特性を十分に高くすることが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0011】
さらに、側壁部は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂からなり、この熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、又は、これらのうちの2種以上を混合した樹脂であることが好ましい。
【0012】
これにより、超音波センサ用ケースの側壁部の損失係数も十分に低くなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、感度特性をさらに高くすることが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0013】
さらに、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂の曲げ弾性率をE(MPa)、比重をρとしたとき、E/ρの値が4000(MPa)以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂がこの条件を満たす場合、超音波センサ用ケースの振動部及び側壁部の損失係数はさらに低くなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、感度特性をさらに高くすることが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0014】
さらに、繊維状フィラーは、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、又は、これらのうちの2種以上を混合した繊維であることが好ましい。これにより、超音波センサ用ケースの振動部及び側壁部の損失係数はさらに低くなる。
【0015】
また、繊維状フィラーは、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、炭化珪素、又は、窒化珪素からなるウィスカのうち、少なくとも一つを含むことが好ましい。これにより、超音波センサ用ケースの振動部及び側壁部の損失係数はさらに低くなる。
【0016】
さらに、振動部と側壁部とは、一体形成されていることが好ましい。これにより、超音波センサ用ケースの製造コストを低減させることができる。
【0017】
さらに、振動部と側壁部は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形することによって、又は、射出圧縮成形することによって形成されていることが好ましい。これにより、超音波センサ用ケースの寸法や厚さを設計値に近づけることが容易となる。その結果、超音波センサに用いた場合に、設計どおりの特性を発揮する超音波センサを容易に得ることが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0018】
さらに、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形する際、又は、射出圧縮成形する際に用いる金型のゲートは、金型の側壁部に対応する部分に設けられていることが好ましい。これにより、ゲート跡は、振動部には形成されず、側壁部に形成される。その結果、ゲート跡が振動部の振動特性に影響を与えることを防止することができる。
【0019】
また、振動部の圧電素子が設けられる領域は、シボ加工、梨地加工、溝加工、又は、ディンプル加工がなされていることが好ましい。これにより、接着剤を用いて圧電素子を振動部に固定する際に、接着剤と振動部の接触面積が増加する。その結果、圧電素子を振動部に確実に固定することが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0020】
さらに、振動部は円板状であり、側壁部は、振動部の外縁の全体に沿って設けられ、振動部の上記領域と直交する方向に延び、側壁部が有する開口の内径は、振動部の上記領域と平行な第1方向の長さが、振動部の上記領域と平行かつ第1方向と直交する第2方向の長さよりも短いことが好ましい。
【0021】
これにより、振動部から発生し、該振動部の圧電素子が設けられる領域とは反対側の面から超音波センサ用ケースの外部に送信される超音波は、第2方向に沿った方向よりも第1方向に沿った方向に広がりやすくなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、超音波センサに指向特性を付与することが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0022】
さらに、側壁部は、第1方向の厚さが、第2方向の厚さよりも大きいことが好ましい。これにより、超音波センサに用いた場合に、超音波センサに高い指向特性を付与することが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0023】
本発明に係る超音波センサは、上述のいずれかの超音波センサ用ケースと、振動部に設けられた圧電素子と、圧電素子の一対の電極に電気的に接続され、超音波センサ用ケースの外部に引き出された一対のリード線とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る超音波センサによれば、上述のような感度特性を十分に高くすることが可能な超音波センサ用ケースを用いているため、感度特性が十分に高くなる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、超音波センサの感度特性を向上させることが可能な超音波センサ用ケース、及び、そのようなケースを用いた超音波センサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態の超音波センサ用ケースの斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿った超音波センサ用ケースの端面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った超音波センサ用ケースの端面図である。
【図4】実施形態のポリフェニレンサルファイド樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図5】実施形態のポリフェニレンサルファイド樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図6】実施形態のポリフェニレンサルファイド樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図7】実施形態のポリエーテルエーテルケトン樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図8】実施形態のポリエーテルエーテルケトン樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図9】実施形態のポリエーテルサルホン樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図10】実施形態のポリエーテルサルホン樹脂の繰り返し単位が有する基を表す化学式を示す図である。
【図11】実施形態のポリブチレンテレフタレート樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図12】超音波センサ用ケースを、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形することによって形成する方法を模式的に示す端面図である。
【図13】実施形態の超音波センサの端面図である。
【図14】実施形態の超音波センサの変形例の端面図である。
【図15】実施例1〜12、及び比較例1〜3の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施の形態に係る超音波センサ用ケース及び超音波センサについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、可能な場合には同一要素には同一符号を用いる。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
【0028】
図1は、本実施形態の超音波センサ用ケースの斜視図であり、図2は図1のII−II線に沿った超音波センサ用ケースの端面図であり、図3は、図1のIII−III線に沿った超音波センサ用ケースの端面図である。なお、図1〜図3には、直交座標系2が示されている。
【0029】
本実施形態の超音波センサ用ケース1は、有底筒体の形状を有する。具体的には、超音波センサ用ケース1は、有底筒体の底部に相当する振動部3と、有底筒体の筒部に相当する側壁部5とを備えている。
【0030】
振動部3は、XY面と平行な面を有し、Z方向を厚さ方向とする円板状の部材である。超音波センサ用ケース1を超音波センサに用いる際には、有底筒体内部における振動部3の表面の領域3aに圧電素子13が設けられる。その状態で圧電素子に高周波電圧を印加すると、その高周波電圧に対応した周波数で圧電素子は伸縮を繰り返すように振動する。すると、振動部3もその周波数で振動し、振動部3から超音波が発生する。
【0031】
領域3aは、適度な表面粗さを有することが好ましい。これにより、接着剤を用いて圧電素子を領域3aに固定する際に、接着剤と領域3aの接触面積が増加する。その結果、圧電素子を領域3aに確実に固定することが可能な超音波センサ用ケース1が得られる。領域3aの表面粗さは、例えばRa(中心線平均粗さ)で表した場合に0.5〜10μmである。領域3aの表面粗さのRaは、例えば触針式表面粗さ計で測定することができる。触針式表面粗さ計としては、例えば、ケー・エル・エーテンコール株式会社製の触針式表面粗さ計P−10を用いることができる。
【0032】
領域3aに適度な表面粗さを付与する方法としては、シボ加工、梨地加工、溝加工、又は、ディンプル加工を採用することができる。特に、成形時のバリの発生を抑制する観点から、シボ加工、又は梨地加工を採用することが好ましい。なお、領域3aだけでなく、領域3aの有底筒体内部側となる表面全体に、上述のような適度な表面粗さが付与されていてもよい。
【0033】
側壁部5は、振動部3の外縁3eの全体に沿って設けられているため、側壁部5の外周面は円柱の外周面と同様の形状となっている。側壁部5は、振動部3の領域3aと直交する方向(Z軸に沿った方向)に延びている。また、側壁部5は、領域3aを囲むように設けられており、振動部3と対向する位置に開口5aを有している。開口5aの内径は、領域3aと平行なX軸(第1方向)に沿った方向の長さX5aが、領域3aと平行なY軸(第2方向)に沿った方向の長さY5aよりも短くなっている。そして、開口5aの内径は、振動部3の領域3aと直交するZ軸方向から見ると、X軸方向と交差する2つの直線状の辺と、Y軸方向と交差する2つの円弧状の辺とを有している。超音波センサ用ケース1を超音波センサに用いる際には、振動部3で生じた超音波は、振動部3の領域3aとは反対側の面3s(超音波センサ用ケース1の有底筒体の底面の外周面3s)から超音波センサ用ケース1の外部へ送信される。即ち、送信される超音波の進行方向は、Z軸の負方向である。また、超音波を受信する際は、面3sで超音波を受信する。
【0034】
また、側壁部5は、厚肉部5xと薄肉部5yとからなっている。具体的には、側壁部5は、X軸方向と交差する領域である厚肉部5xと、Y軸方向と交差する領域である薄肉部5yとからなっており、厚肉部5xの厚さX5(側壁部5の第1方向の厚さ)は、側壁部5の第2方向の厚さY5(側壁部5の第2方向の厚さ)よりも大きくなっている。また、本実施形態では振動部3と側壁部5とは一体形成されている。これにより、超音波センサ用ケース1の製造コストが低減されている。なお、図2及び図3では、便宜上振動部3と側壁部5の境界を破線で示している。
【0035】
また、側壁部5には、ゲート跡6が形成されている(図2参照)。これは、熱可塑性樹脂を射出成形した際、又は、射出圧縮成形した際に形成されたものであり、詳細は後述する。
【0036】
また、側壁部5の厚肉部5xには、切り欠き部5eが形成されている。切り欠き部5eは、厚肉部5xの振動部3側とは反対側の端部において、厚肉部5xの開口5a側とは反対側の面に形成されている。この切り欠き部5eにより、厚肉部5xには、開口5aの内面と平行な面5P1と、振動部3の表面と平行な面5P2が形成される。
【0037】
振動部3及び側壁部5は、繊維状フィラーを含有する特定の熱可塑性樹脂で形成されている。特定の熱可塑性樹脂とは、具体的に、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、及び、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂のいずれか、又は、これらの樹脂のうちの2種以上を混合した樹脂である。上記の中でも、超音波センサの感度特性を十分に高くする観点から、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂やポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂が好ましく、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂やポリエーテルサルホン(PES)が更に好ましく、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂が最も好ましい。
【0038】
本実施形態で用いる熱可塑性樹脂について、より具体的に説明する。本実施形態で用いられるポリフェニレンサルファイド樹脂は、典型的には主として図4に示す式で表される繰り返し単位を有する樹脂である。また、本実施形態で用いられるポリフェニレンサルファイド樹脂は、図4に示す式で表される繰り返し単位に加え、図5(A)〜(C)及び図6(A)〜(D)に示す式で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる、一つ又は複数の繰り返し単位をさらに有していてもよい。なお、本実施形態のポリフェニレンサルファイド樹脂として、市場で容易に入手できるポリフェニレンサルファイド樹脂、例えば、東レ株式会社、大日本インキ株式会社等からPPS樹脂として市販されているものを用いてもよい。
【0039】
本実施形態で用いられるポリエーテルエーテルケトン樹脂は、図7に示す式で表される繰り返し単位を有する樹脂である。また、本実施形態で用いられるポリエーテルエーテルケトン樹脂は、図7に示す式で表される繰り返し単位に加え、図8(A)(B)に示す式で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる、一つ又は複数の繰り返し単位をさらに有していてもよい。図8(B)において、Aは単結合、−O−、−S−、−SO2−、CO−、又は、炭素数1から3のアルキレン基を表す。なお、本実施形態のポリエーテルエーテルケトン樹脂として、市場から容易に入手できるポリエーテルエーテルケトン樹脂、例えばビクトレックス社製PEEK等を用いてもよい。
【0040】
本実施形態で用いられるポリエーテルサルホン樹脂は、典型的には図9(A)及び図9(B)に示す式で表される繰り返し単位のいずれか、又は双方を有する樹脂である。図9(B)において、Arは図10(A)〜(C)に示す式で表される基から選ばれるいずれかの基であり、芳香環を有する2価の基を表す。なお、図10(C)において、Yは単結合、−SO2−、−O−、又は、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。なお、本実施形態のポリエーテルサルホン樹脂として、市場から容易に入手できるポリエーテルサルホン樹脂、例えば住友化学株式会社製スミカエクセルPES等を用いてもよい。
【0041】
本実施形態で用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂は、図11に示す式で表される繰り返し単位を有する樹脂である。図11において、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、−SO3H、−PO3H、炭素数1〜3のアルキル基、及び、アリル基のいずれかを表す。なお、本実施形態のポリブチレンテレフタレート樹脂として、市場から容易に入手できるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いることも可能であり、東レ株式会社等から市販されているものを本発明に用いることができる。
【0042】
上述のように、本実施形態の超音波センサ用ケース1では、振動部3及び側壁部5は繊維状フィラーを含有する特定の熱可塑性樹脂で形成されているため、超音波センサ用ケースの振動部3及び側壁部5の損失係数が十分に低くなっている。その結果、本実施形態の超音波センサ用ケース1によれば、これを超音波センサに用いた場合に、超音波センサの感度特性を十分に高くすることが可能である。
【0043】
また、繊維状フィラーを含有する特定の熱可塑性樹脂は、その曲げ弾性率をE(MPa)、比重をρとしたとき、E/ρの値が4000(MPa)以上の条件を満たすことが好ましい。これにより、超音波センサ用ケースの振動部3及び側壁部5の損失係数はさらに低くなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、感度特性をさらに高くすることが可能な超音波センサ用ケース1が得られる。
【0044】
なお、上記E/ρの値は、20000(MPa)以下であることが好ましい。E/ρの値を20000(MPa)以下とすることにより、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂の流動性が良好となるので、この熱可塑性樹脂を射出成形又は射出圧縮成形して超音波センサ用ケースを形成する際に、成形性がより良好になるという利点がある。
【0045】
また、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂のE/ρの値を4000(MPa)以上、好ましくは4000(MPa)以上、20000(MPa)以下の範囲内に調節するために、例えば以下のような方法を採用することができる。
【0046】
即ち、まず、使用する熱可塑性樹脂を選択し、この熱可塑性樹脂の曲げ弾性率Eと比重ρを測定する。ここで、曲げ弾性率Eの測定は、例えば、この熱可塑性樹脂を用いて縦127mm、横12.7mm、厚さ6.4mmの試験片を作製し、1981年制定のASTM D790 Method Iに準拠して測定することができる。また、比重ρの測定は、例えば、この熱可塑性樹脂を用いて、ASTM IV号ダンベル状試験片を作製し、1979年改訂のASTM D792 Method A−1に準拠して測定することができる。このようにして測定された曲げ弾性率Eと比重ρとからE/ρの値を算出する。
【0047】
次に、同種の熱可塑性樹脂に繊維状フィラーを適当量添加したもので上述のような試験片を作製し、上述のように曲げ弾性率Eと比重ρを測定してE/ρの値を算出する。通常、熱可塑性樹脂の曲げ弾性率Eと比重ρは、繊維状フィラーを添加することにより増加する傾向がある。このようにして、熱可塑性樹脂及び繊維状フィラーの種類及び使用量を適宜変更した複数の試験片のE/ρの値を算出するという一連の予備実験を行うことにより、使用する熱可塑性樹脂において、そのE/ρの値と繊維状フィラーの種類及び組成との関係が判明する。これにより、使用する熱可塑性樹脂において、そのE/ρの値を所望の値に調節することが可能となる。
【0048】
特定の熱可塑性樹脂が含有する繊維状フィラーとしては、ミルドガラスファイバー、チョップドガラスファイバー等のガラス繊維、ミルド炭素繊維、チョップド炭素繊維等の炭素繊維、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維等のセラミック繊維、及び、ステンレス繊維等の金属繊維を挙げることができる。又は、これらの繊維のうちの2種以上を混合した繊維を繊維状フィラーとして用いることもできる。これにより、超音波センサ用ケース1の振動部3及び側壁部5の損失係数はさらに低くなる。
【0049】
また、繊維状フィラーとして、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、炭化珪素、又は、窒化珪素からなるウィスカを挙げることができる。又は、これらのウィスカのうち少なくとも一つを含むウィスカを繊維状フィラーとして用いることもできる。これにより、超音波センサ用ケース1の振動部3及び側壁部5の損失係数はさらに低くなる。繊維状フィラーとして、特に、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維を用いることが好ましい。また、繊維状フィラーとして、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、炭化珪素、又は、窒化珪素からなるウィスカを用いることも好ましい。さらに、繊維状フィラーとして、チョップドガラスファイバー等のガラス繊維、ミルド炭素繊維、チョップド炭素繊維等の炭素繊維を用いることは、さらに好ましい。
【0050】
また、上述のように、本実施形態では、側壁部5が有する開口5aの内径は、X軸方向の長さX5aが、Y軸方向の長さY5aよりも短くなっている。これにより、振動部3から発生し面3sから超音波センサ用ケース1の外部に送信される超音波は、Y軸方向に沿った方向よりもX軸方向に沿った方向に広がりやすくなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、超音波センサに指向特性を付与することが可能な超音波センサ用ケース1が得られる。
【0051】
また、上述のように、本実施形態では、側壁部5は、X軸方向の厚さが、Y軸方向の厚さよりも大きくなっている。これにより、振動部3がX軸方向とY軸方向とで異なる振動特性を有する等の理由で、振動部3から発生する超音波は、Y軸方向に沿った方向よりもX軸方向に沿った方向に広がりやすくなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、超音波センサに高い指向特性を付与することが可能な超音波センサ用ケース1が得られる。
【0052】
また、上述のように、本実施形態では、切り欠き部5eが厚肉部5xに形成されているため、超音波センサ用ケース1を超音波センサに用いた場合、その超音波センサが送信する超音波の指向性の方向を、外部から容易に把握することが可能となる。具体的には、本実施形態の場合、Z軸の負方向に進行する送信波は、面5P1と平行な方向(Y軸方向)よりも面5P1と垂直な方向(X軸方向)に広がることを、切り欠き部5eの位置・形状を確認するだけで容易に把握することができる。なお、厚肉部5xに切り欠き部5eは形成されていなくてもよい。
【0053】
(製造方法)
次に、超音波センサ用ケース1の製造方法を説明する。本実施形態の超音波センサ用ケース1は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形することによって、又は、射出圧縮成形することによって形成されている。
【0054】
図12は、超音波センサ用ケース1を、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形することによって形成する方法を模式的に示す端面図である。
【0055】
繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形するには、まず、一対の金型21、23を用意する。そして、一対の金型21、23は、図12に示すように互いに密着させる。すると、一対の金型21、23の内部にキャビティー3c、5cが形成される。このキャビティー3cとキャビティー5cの形状は、それぞれ振動部3と側壁部5の形状に対応している(図2参照)。また、金型23には、キャビティー5cに連通するゲート25が形成されている。本実施形態のゲート25は、サブマリンゲートである。
【0056】
次に、流動開始温度以上に加熱した繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を、ゲート25を通して外部からキャビティー3c、5cに注入する。そして熱可塑性樹脂を冷却すると、超音波センサ用ケース1が完成する。
【0057】
なお、流動開始温度とは、熱可塑性樹脂を射出成形や射出圧縮成形する際に、この熱可塑性樹脂が射出成形や射出圧縮成形に必要な流動性を維持し得る温度の下限を意味する。本実施形態においては、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂が、射出成形や射出圧縮成形に必要な流動性を維持し得る温度の下限が、流動開始温度となる。
【0058】
また、超音波センサ用ケース1を、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出圧縮成形することによって形成する場合には、金型21、23を密着させずに、図12に示す状態から互いに少し隙間を設けて対向させる。そして、射出成形の場合と同様に、流動開始温度以上に加熱した繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を、ゲート25を通して外部からキャビティー3c、5cに注入する。その後、金型21、23を密着させて熱可塑性樹脂を圧縮してから、熱可塑性樹脂を冷却する。このようにして、超音波センサ用ケース1が完成する。なお、ゲート25は、サブマリンゲートの他に、例えば、サイドゲート、ピンポイントゲート等とすることができるが、製造コストを低減させる観点から、サブマリンゲートが特に好ましい。
【0059】
超音波センサ用ケースを、アルミニウム等の金属材料を削り出し加工によって製造する場合、超音波センサ用ケースの寸法や厚さに誤差が生じやすい。このような誤差は、超音波センサの共振周波数、感度、指向性等の特性を変化させる原因となってしまう。また、削り出し加工はコストがかかるため、超音波センサ用ケースのコスト上昇の原因となってしまう。
【0060】
それに対して、上述のように、超音波センサ用ケース1を、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形することによって、又は、射出圧縮成形することによって形成することにより、超音波センサ用ケース1の寸法や厚さを設計値に近づけることが容易となる。その結果、超音波センサに用いた場合に、設計どおりの特性を発揮する超音波センサを容易に得ることが可能な超音波センサ用ケース1が得られる。また、超音波センサ用ケース1の製造コストを低減させることができる。
【0061】
さらに、上述のように、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形する際、又は、射出圧縮成形する際に用いる金型23のゲート25は、金型21、23の側壁部5に対応する部分、即ち、キャビティー5cに連通する部分に設けられている。これにより、射出成形する際、又は、射出圧縮成形する際に樹脂の流動性の制御が容易になると共に、振動部3に反りが生じるのを抑制することができる。また、この場合、ゲート跡6(図1、図2参照)は、振動部3には形成されず、側壁部5に形成される。その結果、ゲート跡6が振動部3の振動特性に影響を与えることを防止することができる。
【0062】
なお、超音波センサ用ケース1は、射出成形や射出圧縮成形ではなく、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を圧縮成形、トランスファー成形することにより形成してもよい。しかし、成形サイクルを短縮する観点、及び、成形コストを削減する観点から、射出成形や射出圧縮成形を採用することが好ましい。
【0063】
次に、本実施形態に係る超音波センサ11について説明する。図13は、本実施形態の超音波センサの端面図である。
【0064】
本実施形態の超音波センサ11は、上述の超音波センサ用ケース1と、圧電素子13と、吸音材15と、絶縁性樹脂17と、一対のリード線31、33とを備えている。
【0065】
圧電素子13は、振動部3の表面の領域3aに接着剤等によって固定されている。圧電素子13は、圧電特性を有する材料を板状に形成した圧電体13aと、この板状の圧電体13aの上面及び下面形成された一対の電極13b、13cとを有する。圧電素子13は公知の製造方法により製造することができる。
【0066】
圧電体13aを形成する圧電特性を有する材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、ニオブ酸鉛等の圧電セラミックスや、水晶やチタン酸ジルコン酸鉛単結晶、ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶を用いることができる。圧電セラミックスを用いた場合、セラミック材料を板状に焼成することにより、圧電体が形成される。
【0067】
一対の電極は銀等の導電材料を印刷や塗布により硬化させることにより形成することができ、又は、金、銀、銅あるいはニッケルクロム等の導電性材料を蒸着、メッキ、スパッタリング等することにより形成することができる。
【0068】
吸音材15は、圧電素子13と超音波センサ用ケース1の内面とに接するように、超音波センサ用ケース1の内部に設けられている。圧電素子13は、振動部3と吸音材15とに挟まれている。吸音材15は、発泡シリコンやフェルト等からなる。吸音材15は、振動部3から送信される超音波のうち、振動部3から開口5aに向かう方向に送信される超音波を吸収するために設けられている。
【0069】
絶縁性樹脂17は、吸音材15と超音波センサ用ケース1の内面とに接するように、超音波センサ用ケース1の内部に設けられている。吸音材15は、圧電素子13と絶縁性樹脂17とに挟まれている。絶縁性樹脂17は、シリコンゴムやウレタンゴム等の弾性を有する絶縁性の樹脂からなる。絶縁性樹脂17は、吸音材15の固定や超音波センサ11自体の除湿の目的で設けられている。
【0070】
一対のリード線31、33のそれぞれ一端は、導電性接着剤や半田によって、圧電素子13の一対の電極にそれぞれ電気的に接続されており、一対のリード線31、33のそれぞれの他端は、超音波センサ用ケース1の外部に引き出されている。また、一対のリード線31、33は、吸音材15及び絶縁性樹脂17を貫通し、開口5aを通るように設けられている。一対のリード線31、33の他端間に高周波電圧を印加すると、その高周波電圧に対応した周波数で圧電素子13は伸縮を繰り返すように振動する。すると、振動部3もその周波数で振動し、振動部3から超音波が発生する。
【0071】
本発明に係る超音波センサ11によれば、上述のような感度特性を十分に高くすることが可能な超音波センサ用ケース1を用いているため、感度特性が十分に高くなる。
【0072】
図14に、本実施形態の超音波センサの変形例の端面図を示す。超音波センサ11aは、リード線33の接続方法、及び、メッキ層35を有する点において、上述の超音波センサ11と異なる。
【0073】
超音波センサ11aは、側壁部5の内側面から振動部3の上面にわたって、金属材料からなるメッキ層35が設けられている。また、リード線33は、メッキ層35に接続されており、メッキ層35を介して圧電素子13の電極に接続されている。このように、リード線31、33は、圧電素子13の電極に直接接続されている必要はなく、圧電素子13の電極に電気的に接続されていればよい。
【0074】
本実施形態の超音波センサ11、11aは、金属製やプラスチック製の板材等の外部取り付け部材に取りつけた上で、自動車のバックセンサ用、コーナセンサ用に用いることができる。また、美観や防滴性を向上させるため、自動車のバンパや外部取り付け部材と同色の塗装を超音波センサ11、11aに施してもよい。その際の塗装剤としては関西ペイント社製のソフレックス等公知の塗装剤を用いることができる。
【0075】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0076】
例えば、上述の実施形態では振動部3と側壁部5は一体形成されていたが、振動部3と側壁部5を別々に形成した後に、接着剤による接着、超音波溶着、レーザ溶着等によって一体化してもよい(図1〜図3参照)。
【0077】
また、上述の実施形態では、振動部3と側壁部5の両方を、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂で形成していたが、振動部3のみを繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂で形成してもよい(図1〜図3参照)。この場合、側壁部5をアルミニウム等の金属で形成し、振動部3と側壁部5を接着剤による接着、超音波溶着、レーザ溶着等によって一体化することができる。
【0078】
また、振動部3は円板状でなくてもよく、その厚さ方向から見て楕円状、四角形等の多角形形状であってもよい(図1〜図3参照)。
【0079】
また、側壁部5は、振動部3の領域3aと直交する方向(Z軸に沿った方向)に延びている必要はなく、振動部3の領域3aと鋭角又は鈍角で交わる方向に延びていてもよい(図1〜図3参照)。
【0080】
また、上述の実施形態では、開口5aの内径は、振動部3の領域3aと直交する方向から見ると、X軸方向と交差する2つの直線状の辺と、Y軸方向と交差する2つの円弧状の辺とを有しているが、このような態様に限られない。例えば、開口5aの内径は、振動部3の領域3aと直交する方向から見て、楕円状、矩形等の多角形状、角丸矩形等の角丸多角形状であってもよい(図1〜図3参照)。また、開口5aの内径は、X軸方向の長さX5aが、Y軸方向の長さY5aと等しくてもよい(図1〜図3参照)。
【0081】
また、側壁部5は、側壁部5のX軸方向の厚さX5は、側壁部5のY軸方向の厚さY5と等しくてもよい。
【0082】
また、本実施形態の超音波センサ11は、吸音材15及び/又は絶縁性樹脂17を備えていなくてもよい(図13及び図14参照)。吸音材15を省略した場合、絶縁性樹脂17を超音波センサ用ケース1の内部全てに充填してもよいし、超音波センサ用ケース1の内部の一部のみに充填してもよい。
【0083】
(実施例)
以下、本発明の効果をより明確にするため、実施例を用いて説明する。
【0084】
以下のような条件で、実施例1〜12、及び比較例1〜3を作製した。
【0085】
(実施例1)
ポリエーテルサルホン樹脂80重量部(住友化学社製 PES3600P)にチョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)20重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0086】
(実施例2)
ポリエーテルサルホン樹脂70重量部(住友化学社製 PES3600P)にチョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0087】
(実施例3)
ポリエーテルサルホン樹脂80重量部(住友化学社製PES3600P)にチョップ炭素繊維(東邦テナックス社製 HTA−C6−US)20重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0088】
(実施例4)
ポリエーテルサルホン樹脂70重量部(住友化学社製PES3600P)にチョップ炭素繊維(東邦テナックス社製 HTA−C6−US)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0089】
(実施例5)
ポリエーテルサルホン樹脂70重量部(住友化学社製PES3600P)にチタン酸カリウムからなるウィスカ(大塚化学社製 ティスモN)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0090】
(実施例6)
ポリエーテルサルホン樹脂70重量部(住友化学社製 PES3600P)にチョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)20重量部、ステンレス繊維(BEKAERT社製 GR75−C20E)10重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0091】
(実施例7)
ポリエーテルサルホン樹脂70重量部(住友化学社製 PES3600P)にミルド炭素繊維(東邦テナックス社製 HTA−CMF−0160−OH)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0092】
(実施例8)
ポリフェニレンサルファイド樹脂60重量部、ガラス繊維40重量部配合したポリフェニレンサルファイド樹脂(大日本インキ社製 FZ−1140)を用いた。
【0093】
(実施例9)
ポリエーテルサルホン樹脂80重量部(住友化学社製 PES3600P)にステンレス繊維(BEKAERT社製 GR75−C20E)20重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0094】
(実施例10)
ポリブチレンテレフタレート樹脂70重量部(東レ株式会社製 1401X07)にチョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0095】
(実施例11)
ポリフェニレンサルファイド樹脂70重量部(大日本インキ社製 T−4G)にチョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0096】
(実施例12)
ポリエーテルエーテルケトン樹脂70重量部(ビクトレックス社製 150P)にチョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0097】
(比較例1)
下記製造方法により製造した液晶ポリマー27重量部、アルミナ繊維(電気化学工業製 デンカアルセン)65重量部、アルミナ粒子(住友化学社製 アドバンスドアルミナAA−1.5)8重量を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0098】
液晶ポリマーとして、下記のように液晶ポリエステルを製造した。攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、パラヒドロキシ安息香酸 994.5g(7.2モル)、4,4´―ジヒドロキシビフェニル 446.9g(2.4モル)、テレフタル酸 299.0g(1.8モル)、イソフタル酸 99.7g(0.6モル)および無水酢酸 1347.6g(13.2モル)を仕込み、反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で30分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して1時間還流させた。
【0099】
その後、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了としてプレポリマーを得た。
【0100】
得られたプレポリマーは室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、285℃で3時間保持し、固層で重合反応を進めた。得られた液晶ポリエステルの流動開始温度は327℃であった。
【0101】
(比較例2)
下記製造方法により製造した液晶ポリマー70重量部、チョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0102】
液晶ポリマーとして、下記のように液晶ポリエステルを製造した。攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、パラヒドロキシ安息香酸830.7g(5.0モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル465.5g(2.5モル)、テレフタル酸394.6g(2.375モル)、イソフタル酸20.8g(0.125モル)及び無水酢酸1153g(11.0モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して180分間還流させた。
【0103】
その後、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了としてプレポリマーを得た。
【0104】
得られたプレポリマーは室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から320℃まで5時間かけて昇温し、320℃で3時間保持し、固層で重合反応を進めた。得られた液晶ポリエステルの流動開始温度は380℃であった。
【0105】
(比較例3)
ポリエーテルサルホン樹脂70重量部(住友化学社製 PES3600P)に板状フィラーのタルク(日本タルク株式会社製 X−50)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0106】
これらの実施例1〜12、及び比較例1〜3について、下記のような条件で曲げ弾性率E(MPa)、比重ρ、及び、損失係数をそれぞれ測定した。
(曲げ弾性率)
【0107】
実施例1〜12、及び比較例1〜3のそれぞれについて、射出成形機にて縦127mm、横12.7mm、厚さ6.4mmの大きさの試料を作製した。その後、1981年制定のASTM D790 MethodIに準拠して曲げ弾性率を測定した。
【0108】
(比重)
実施例1〜12、及び比較例1〜3のそれぞれについて射出成形機にて成形した後、ASTM IV号ダンベル状試験片を用いて1979年改訂のASTM D792 Method A−1に準拠して比重を測定した。
【0109】
(損失係数)
実施例1〜12、及び比較例1〜3のそれぞれについて射出成形機にて成形した後、JIS K7113に準拠した1(1/2)号試験片のネック部を用いて、中央加振法の一次共振周波数における共振ピークの半値幅を測定し、損失係数を算出した。尚、測定に用いたサンプルサイズは縦30mm、横5mm、厚さ0.5mmである。なお、損失係数が小さいと、超音波センサ用ケースとしての感度が良好となることを意味する。
【0110】
図15に、実施例1〜12、及び比較例1〜3の測定結果を示す。図15に示すように、熱可塑性樹脂としてポリエーテルサルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及び、ポリブチレンテレフタレート樹脂のいずれかを用いた実施例1〜12では、比較例1及び比較例2と比較して、損失係数が小さくなった。さらに、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂の曲げ弾性率をE(MPa)、比重をρとしたとき、E/ρの値が4000(MPa)以上である実施例1〜8及び実施例10〜12では、特に損失係数が小さくなった。
【符号の説明】
【0111】
1・・・超音波センサ用ケース、3・・・振動部、3a・・・圧電素子が設けられる領域、5・・・側壁部、5a・・・開口、13・・・圧電素子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサ用ケース及びそれを用いた超音波センサに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波センサは、圧電素子を利用したセンサである。圧電素子は超音波センサ内の振動部に設けられており、圧電素子に高周波電圧を印加して振動させると、振動部から超音波が発生する。この超音波を測定対象物に向けて送信すると、超音波は測定対象物で反射して超音波センサ内の振動部に戻り、振動部は超音波を受信する。すると、圧電素子に高周波電圧が生じる。
【0003】
上記原理に基づき、圧電素子に生じる電圧の有無から測定対象物の有無が判定できるため、超音波センサは測定対象物の有無を検出するセンサとして用いられる。また、超音波の送信から受信までの時間、即ち、圧電素子に電圧を印加してから圧電素子に電圧が生じるまでの時間から、超音波センサから測定対象物までの距離を算出することができるため、超音波センサは距離計としても用いられる。また、流れのある気体中ではその流速の分だけ超音波の速度が変化する。そのため、例えば、ガス配管中に所定間隔で一対の超音波センサを置くと、一方の超音波センサが超音波を送信してから他方の超音波センサが超音波を受信するまでの時間からガスの流速や流量を算出することができるため、超音波センサはガス流速計やガス流量計としても用いられる。
【0004】
超音波センサにおいて、圧電素子が収容されるケースとして、合成樹脂(プラスチック)を用いる技術が知られている(特許文献1〜7)。特許文献1では、プラスチック材料からなるケースを用いることにより、アルミニウムからなるケースを用いた場合よりも不要振動によるノイズの発生を抑制している。特許文献2では、特定の範囲の弾性率を有する接着剤を用いて筒部と振動部とを貼着することにより、有底筒状ケースの特性を均一化している。
【0005】
特許文献3では、ケース本体に一体形成された導電部材の露出部分にコンデンサを実装することにより、超音波センサの製造を容易にしている。特許文献4では、有底筒状ケース内に圧電素子の入出力端子を埋設することによって、圧電振動素子への入出力端子の接続を容易化している。特許文献5では、ケース体を金属ケースと合成樹脂ケースとで構成することにより、異方向性の指向特性を有する超音波センサを安価に容易に製造することを可能としている。特許文献6では、素子収容部の壁面の厚みをフランジ部の厚みよりも小さく設定することにより、振動波の伝播特性を改善している。特許文献7では、有底筒状ケースを硬度の高い合成樹脂で形成することにより、アルミニウム等の金属で有底筒状ケースを形成した場合よりも、超音波センサのコストを下げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−224895号公報
【特許文献2】特開平11−266497号公報
【特許文献3】特開2000−23288号公報
【特許文献4】特開2000−121739号公報
【特許文献5】特開2001−78296号公報
【特許文献6】特開2003−302386号公報
【特許文献7】特開2007−281975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の超音波センサにおいては、圧電素子が収容されるケースの損失係数が大きいため、超音波センサの感度特性を十分に高くすることが困難であった。上述の特許文献1〜8においても、ケースの損失係数に着目して超音波センサの感度特性を高くする方法は記載されていない。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、超音波センサの感度特性を向上させることが可能な超音波センサ用ケース、及び、そのようなケースを用いた超音波センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明に係る超音波センサ用ケースは、圧電素子を利用した超音波センサに用いられる超音波センサ用ケースであって、圧電素子が設けられる板状の振動部と、振動部の圧電素子が設けられる領域を囲むように設けられ、振動部と対向する位置に開口を有する側壁部とを備え、振動部は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂からなり、熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、又は、これらのうちの2種以上を混合した樹脂であることを特徴とする。
【0010】
本発明の超音波センサ用ケースによれば、超音波センサ用ケースの振動部の損失係数は十分に低くなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、感度特性を十分に高くすることが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0011】
さらに、側壁部は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂からなり、この熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、又は、これらのうちの2種以上を混合した樹脂であることが好ましい。
【0012】
これにより、超音波センサ用ケースの側壁部の損失係数も十分に低くなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、感度特性をさらに高くすることが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0013】
さらに、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂の曲げ弾性率をE(MPa)、比重をρとしたとき、E/ρの値が4000(MPa)以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂がこの条件を満たす場合、超音波センサ用ケースの振動部及び側壁部の損失係数はさらに低くなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、感度特性をさらに高くすることが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0014】
さらに、繊維状フィラーは、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、又は、これらのうちの2種以上を混合した繊維であることが好ましい。これにより、超音波センサ用ケースの振動部及び側壁部の損失係数はさらに低くなる。
【0015】
また、繊維状フィラーは、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、炭化珪素、又は、窒化珪素からなるウィスカのうち、少なくとも一つを含むことが好ましい。これにより、超音波センサ用ケースの振動部及び側壁部の損失係数はさらに低くなる。
【0016】
さらに、振動部と側壁部とは、一体形成されていることが好ましい。これにより、超音波センサ用ケースの製造コストを低減させることができる。
【0017】
さらに、振動部と側壁部は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形することによって、又は、射出圧縮成形することによって形成されていることが好ましい。これにより、超音波センサ用ケースの寸法や厚さを設計値に近づけることが容易となる。その結果、超音波センサに用いた場合に、設計どおりの特性を発揮する超音波センサを容易に得ることが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0018】
さらに、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形する際、又は、射出圧縮成形する際に用いる金型のゲートは、金型の側壁部に対応する部分に設けられていることが好ましい。これにより、ゲート跡は、振動部には形成されず、側壁部に形成される。その結果、ゲート跡が振動部の振動特性に影響を与えることを防止することができる。
【0019】
また、振動部の圧電素子が設けられる領域は、シボ加工、梨地加工、溝加工、又は、ディンプル加工がなされていることが好ましい。これにより、接着剤を用いて圧電素子を振動部に固定する際に、接着剤と振動部の接触面積が増加する。その結果、圧電素子を振動部に確実に固定することが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0020】
さらに、振動部は円板状であり、側壁部は、振動部の外縁の全体に沿って設けられ、振動部の上記領域と直交する方向に延び、側壁部が有する開口の内径は、振動部の上記領域と平行な第1方向の長さが、振動部の上記領域と平行かつ第1方向と直交する第2方向の長さよりも短いことが好ましい。
【0021】
これにより、振動部から発生し、該振動部の圧電素子が設けられる領域とは反対側の面から超音波センサ用ケースの外部に送信される超音波は、第2方向に沿った方向よりも第1方向に沿った方向に広がりやすくなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、超音波センサに指向特性を付与することが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0022】
さらに、側壁部は、第1方向の厚さが、第2方向の厚さよりも大きいことが好ましい。これにより、超音波センサに用いた場合に、超音波センサに高い指向特性を付与することが可能な超音波センサ用ケースが得られる。
【0023】
本発明に係る超音波センサは、上述のいずれかの超音波センサ用ケースと、振動部に設けられた圧電素子と、圧電素子の一対の電極に電気的に接続され、超音波センサ用ケースの外部に引き出された一対のリード線とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る超音波センサによれば、上述のような感度特性を十分に高くすることが可能な超音波センサ用ケースを用いているため、感度特性が十分に高くなる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、超音波センサの感度特性を向上させることが可能な超音波センサ用ケース、及び、そのようなケースを用いた超音波センサが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施形態の超音波センサ用ケースの斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿った超音波センサ用ケースの端面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った超音波センサ用ケースの端面図である。
【図4】実施形態のポリフェニレンサルファイド樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図5】実施形態のポリフェニレンサルファイド樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図6】実施形態のポリフェニレンサルファイド樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図7】実施形態のポリエーテルエーテルケトン樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図8】実施形態のポリエーテルエーテルケトン樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図9】実施形態のポリエーテルサルホン樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図10】実施形態のポリエーテルサルホン樹脂の繰り返し単位が有する基を表す化学式を示す図である。
【図11】実施形態のポリブチレンテレフタレート樹脂が有する繰り返し単位を表す化学式を示す図である。
【図12】超音波センサ用ケースを、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形することによって形成する方法を模式的に示す端面図である。
【図13】実施形態の超音波センサの端面図である。
【図14】実施形態の超音波センサの変形例の端面図である。
【図15】実施例1〜12、及び比較例1〜3の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施の形態に係る超音波センサ用ケース及び超音波センサについて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図面において、可能な場合には同一要素には同一符号を用いる。また、図面中の構成要素内及び構成要素間の寸法比は、図面の見易さのため、それぞれ任意となっている。
【0028】
図1は、本実施形態の超音波センサ用ケースの斜視図であり、図2は図1のII−II線に沿った超音波センサ用ケースの端面図であり、図3は、図1のIII−III線に沿った超音波センサ用ケースの端面図である。なお、図1〜図3には、直交座標系2が示されている。
【0029】
本実施形態の超音波センサ用ケース1は、有底筒体の形状を有する。具体的には、超音波センサ用ケース1は、有底筒体の底部に相当する振動部3と、有底筒体の筒部に相当する側壁部5とを備えている。
【0030】
振動部3は、XY面と平行な面を有し、Z方向を厚さ方向とする円板状の部材である。超音波センサ用ケース1を超音波センサに用いる際には、有底筒体内部における振動部3の表面の領域3aに圧電素子13が設けられる。その状態で圧電素子に高周波電圧を印加すると、その高周波電圧に対応した周波数で圧電素子は伸縮を繰り返すように振動する。すると、振動部3もその周波数で振動し、振動部3から超音波が発生する。
【0031】
領域3aは、適度な表面粗さを有することが好ましい。これにより、接着剤を用いて圧電素子を領域3aに固定する際に、接着剤と領域3aの接触面積が増加する。その結果、圧電素子を領域3aに確実に固定することが可能な超音波センサ用ケース1が得られる。領域3aの表面粗さは、例えばRa(中心線平均粗さ)で表した場合に0.5〜10μmである。領域3aの表面粗さのRaは、例えば触針式表面粗さ計で測定することができる。触針式表面粗さ計としては、例えば、ケー・エル・エーテンコール株式会社製の触針式表面粗さ計P−10を用いることができる。
【0032】
領域3aに適度な表面粗さを付与する方法としては、シボ加工、梨地加工、溝加工、又は、ディンプル加工を採用することができる。特に、成形時のバリの発生を抑制する観点から、シボ加工、又は梨地加工を採用することが好ましい。なお、領域3aだけでなく、領域3aの有底筒体内部側となる表面全体に、上述のような適度な表面粗さが付与されていてもよい。
【0033】
側壁部5は、振動部3の外縁3eの全体に沿って設けられているため、側壁部5の外周面は円柱の外周面と同様の形状となっている。側壁部5は、振動部3の領域3aと直交する方向(Z軸に沿った方向)に延びている。また、側壁部5は、領域3aを囲むように設けられており、振動部3と対向する位置に開口5aを有している。開口5aの内径は、領域3aと平行なX軸(第1方向)に沿った方向の長さX5aが、領域3aと平行なY軸(第2方向)に沿った方向の長さY5aよりも短くなっている。そして、開口5aの内径は、振動部3の領域3aと直交するZ軸方向から見ると、X軸方向と交差する2つの直線状の辺と、Y軸方向と交差する2つの円弧状の辺とを有している。超音波センサ用ケース1を超音波センサに用いる際には、振動部3で生じた超音波は、振動部3の領域3aとは反対側の面3s(超音波センサ用ケース1の有底筒体の底面の外周面3s)から超音波センサ用ケース1の外部へ送信される。即ち、送信される超音波の進行方向は、Z軸の負方向である。また、超音波を受信する際は、面3sで超音波を受信する。
【0034】
また、側壁部5は、厚肉部5xと薄肉部5yとからなっている。具体的には、側壁部5は、X軸方向と交差する領域である厚肉部5xと、Y軸方向と交差する領域である薄肉部5yとからなっており、厚肉部5xの厚さX5(側壁部5の第1方向の厚さ)は、側壁部5の第2方向の厚さY5(側壁部5の第2方向の厚さ)よりも大きくなっている。また、本実施形態では振動部3と側壁部5とは一体形成されている。これにより、超音波センサ用ケース1の製造コストが低減されている。なお、図2及び図3では、便宜上振動部3と側壁部5の境界を破線で示している。
【0035】
また、側壁部5には、ゲート跡6が形成されている(図2参照)。これは、熱可塑性樹脂を射出成形した際、又は、射出圧縮成形した際に形成されたものであり、詳細は後述する。
【0036】
また、側壁部5の厚肉部5xには、切り欠き部5eが形成されている。切り欠き部5eは、厚肉部5xの振動部3側とは反対側の端部において、厚肉部5xの開口5a側とは反対側の面に形成されている。この切り欠き部5eにより、厚肉部5xには、開口5aの内面と平行な面5P1と、振動部3の表面と平行な面5P2が形成される。
【0037】
振動部3及び側壁部5は、繊維状フィラーを含有する特定の熱可塑性樹脂で形成されている。特定の熱可塑性樹脂とは、具体的に、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、及び、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂のいずれか、又は、これらの樹脂のうちの2種以上を混合した樹脂である。上記の中でも、超音波センサの感度特性を十分に高くする観点から、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂やポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂が好ましく、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂やポリエーテルサルホン(PES)が更に好ましく、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂が最も好ましい。
【0038】
本実施形態で用いる熱可塑性樹脂について、より具体的に説明する。本実施形態で用いられるポリフェニレンサルファイド樹脂は、典型的には主として図4に示す式で表される繰り返し単位を有する樹脂である。また、本実施形態で用いられるポリフェニレンサルファイド樹脂は、図4に示す式で表される繰り返し単位に加え、図5(A)〜(C)及び図6(A)〜(D)に示す式で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる、一つ又は複数の繰り返し単位をさらに有していてもよい。なお、本実施形態のポリフェニレンサルファイド樹脂として、市場で容易に入手できるポリフェニレンサルファイド樹脂、例えば、東レ株式会社、大日本インキ株式会社等からPPS樹脂として市販されているものを用いてもよい。
【0039】
本実施形態で用いられるポリエーテルエーテルケトン樹脂は、図7に示す式で表される繰り返し単位を有する樹脂である。また、本実施形態で用いられるポリエーテルエーテルケトン樹脂は、図7に示す式で表される繰り返し単位に加え、図8(A)(B)に示す式で表される繰り返し単位からなる群から選ばれる、一つ又は複数の繰り返し単位をさらに有していてもよい。図8(B)において、Aは単結合、−O−、−S−、−SO2−、CO−、又は、炭素数1から3のアルキレン基を表す。なお、本実施形態のポリエーテルエーテルケトン樹脂として、市場から容易に入手できるポリエーテルエーテルケトン樹脂、例えばビクトレックス社製PEEK等を用いてもよい。
【0040】
本実施形態で用いられるポリエーテルサルホン樹脂は、典型的には図9(A)及び図9(B)に示す式で表される繰り返し単位のいずれか、又は双方を有する樹脂である。図9(B)において、Arは図10(A)〜(C)に示す式で表される基から選ばれるいずれかの基であり、芳香環を有する2価の基を表す。なお、図10(C)において、Yは単結合、−SO2−、−O−、又は、炭素数1〜3のアルキレン基を表す。なお、本実施形態のポリエーテルサルホン樹脂として、市場から容易に入手できるポリエーテルサルホン樹脂、例えば住友化学株式会社製スミカエクセルPES等を用いてもよい。
【0041】
本実施形態で用いられるポリブチレンテレフタレート樹脂は、図11に示す式で表される繰り返し単位を有する樹脂である。図11において、R1〜R4は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、−SO3H、−PO3H、炭素数1〜3のアルキル基、及び、アリル基のいずれかを表す。なお、本実施形態のポリブチレンテレフタレート樹脂として、市場から容易に入手できるポリブチレンテレフタレート樹脂を用いることも可能であり、東レ株式会社等から市販されているものを本発明に用いることができる。
【0042】
上述のように、本実施形態の超音波センサ用ケース1では、振動部3及び側壁部5は繊維状フィラーを含有する特定の熱可塑性樹脂で形成されているため、超音波センサ用ケースの振動部3及び側壁部5の損失係数が十分に低くなっている。その結果、本実施形態の超音波センサ用ケース1によれば、これを超音波センサに用いた場合に、超音波センサの感度特性を十分に高くすることが可能である。
【0043】
また、繊維状フィラーを含有する特定の熱可塑性樹脂は、その曲げ弾性率をE(MPa)、比重をρとしたとき、E/ρの値が4000(MPa)以上の条件を満たすことが好ましい。これにより、超音波センサ用ケースの振動部3及び側壁部5の損失係数はさらに低くなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、感度特性をさらに高くすることが可能な超音波センサ用ケース1が得られる。
【0044】
なお、上記E/ρの値は、20000(MPa)以下であることが好ましい。E/ρの値を20000(MPa)以下とすることにより、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂の流動性が良好となるので、この熱可塑性樹脂を射出成形又は射出圧縮成形して超音波センサ用ケースを形成する際に、成形性がより良好になるという利点がある。
【0045】
また、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂のE/ρの値を4000(MPa)以上、好ましくは4000(MPa)以上、20000(MPa)以下の範囲内に調節するために、例えば以下のような方法を採用することができる。
【0046】
即ち、まず、使用する熱可塑性樹脂を選択し、この熱可塑性樹脂の曲げ弾性率Eと比重ρを測定する。ここで、曲げ弾性率Eの測定は、例えば、この熱可塑性樹脂を用いて縦127mm、横12.7mm、厚さ6.4mmの試験片を作製し、1981年制定のASTM D790 Method Iに準拠して測定することができる。また、比重ρの測定は、例えば、この熱可塑性樹脂を用いて、ASTM IV号ダンベル状試験片を作製し、1979年改訂のASTM D792 Method A−1に準拠して測定することができる。このようにして測定された曲げ弾性率Eと比重ρとからE/ρの値を算出する。
【0047】
次に、同種の熱可塑性樹脂に繊維状フィラーを適当量添加したもので上述のような試験片を作製し、上述のように曲げ弾性率Eと比重ρを測定してE/ρの値を算出する。通常、熱可塑性樹脂の曲げ弾性率Eと比重ρは、繊維状フィラーを添加することにより増加する傾向がある。このようにして、熱可塑性樹脂及び繊維状フィラーの種類及び使用量を適宜変更した複数の試験片のE/ρの値を算出するという一連の予備実験を行うことにより、使用する熱可塑性樹脂において、そのE/ρの値と繊維状フィラーの種類及び組成との関係が判明する。これにより、使用する熱可塑性樹脂において、そのE/ρの値を所望の値に調節することが可能となる。
【0048】
特定の熱可塑性樹脂が含有する繊維状フィラーとしては、ミルドガラスファイバー、チョップドガラスファイバー等のガラス繊維、ミルド炭素繊維、チョップド炭素繊維等の炭素繊維、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維等のセラミック繊維、及び、ステンレス繊維等の金属繊維を挙げることができる。又は、これらの繊維のうちの2種以上を混合した繊維を繊維状フィラーとして用いることもできる。これにより、超音波センサ用ケース1の振動部3及び側壁部5の損失係数はさらに低くなる。
【0049】
また、繊維状フィラーとして、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、炭化珪素、又は、窒化珪素からなるウィスカを挙げることができる。又は、これらのウィスカのうち少なくとも一つを含むウィスカを繊維状フィラーとして用いることもできる。これにより、超音波センサ用ケース1の振動部3及び側壁部5の損失係数はさらに低くなる。繊維状フィラーとして、特に、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維を用いることが好ましい。また、繊維状フィラーとして、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、炭化珪素、又は、窒化珪素からなるウィスカを用いることも好ましい。さらに、繊維状フィラーとして、チョップドガラスファイバー等のガラス繊維、ミルド炭素繊維、チョップド炭素繊維等の炭素繊維を用いることは、さらに好ましい。
【0050】
また、上述のように、本実施形態では、側壁部5が有する開口5aの内径は、X軸方向の長さX5aが、Y軸方向の長さY5aよりも短くなっている。これにより、振動部3から発生し面3sから超音波センサ用ケース1の外部に送信される超音波は、Y軸方向に沿った方向よりもX軸方向に沿った方向に広がりやすくなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、超音波センサに指向特性を付与することが可能な超音波センサ用ケース1が得られる。
【0051】
また、上述のように、本実施形態では、側壁部5は、X軸方向の厚さが、Y軸方向の厚さよりも大きくなっている。これにより、振動部3がX軸方向とY軸方向とで異なる振動特性を有する等の理由で、振動部3から発生する超音波は、Y軸方向に沿った方向よりもX軸方向に沿った方向に広がりやすくなる。その結果、超音波センサに用いた場合に、超音波センサに高い指向特性を付与することが可能な超音波センサ用ケース1が得られる。
【0052】
また、上述のように、本実施形態では、切り欠き部5eが厚肉部5xに形成されているため、超音波センサ用ケース1を超音波センサに用いた場合、その超音波センサが送信する超音波の指向性の方向を、外部から容易に把握することが可能となる。具体的には、本実施形態の場合、Z軸の負方向に進行する送信波は、面5P1と平行な方向(Y軸方向)よりも面5P1と垂直な方向(X軸方向)に広がることを、切り欠き部5eの位置・形状を確認するだけで容易に把握することができる。なお、厚肉部5xに切り欠き部5eは形成されていなくてもよい。
【0053】
(製造方法)
次に、超音波センサ用ケース1の製造方法を説明する。本実施形態の超音波センサ用ケース1は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形することによって、又は、射出圧縮成形することによって形成されている。
【0054】
図12は、超音波センサ用ケース1を、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形することによって形成する方法を模式的に示す端面図である。
【0055】
繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形するには、まず、一対の金型21、23を用意する。そして、一対の金型21、23は、図12に示すように互いに密着させる。すると、一対の金型21、23の内部にキャビティー3c、5cが形成される。このキャビティー3cとキャビティー5cの形状は、それぞれ振動部3と側壁部5の形状に対応している(図2参照)。また、金型23には、キャビティー5cに連通するゲート25が形成されている。本実施形態のゲート25は、サブマリンゲートである。
【0056】
次に、流動開始温度以上に加熱した繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を、ゲート25を通して外部からキャビティー3c、5cに注入する。そして熱可塑性樹脂を冷却すると、超音波センサ用ケース1が完成する。
【0057】
なお、流動開始温度とは、熱可塑性樹脂を射出成形や射出圧縮成形する際に、この熱可塑性樹脂が射出成形や射出圧縮成形に必要な流動性を維持し得る温度の下限を意味する。本実施形態においては、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂が、射出成形や射出圧縮成形に必要な流動性を維持し得る温度の下限が、流動開始温度となる。
【0058】
また、超音波センサ用ケース1を、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出圧縮成形することによって形成する場合には、金型21、23を密着させずに、図12に示す状態から互いに少し隙間を設けて対向させる。そして、射出成形の場合と同様に、流動開始温度以上に加熱した繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を、ゲート25を通して外部からキャビティー3c、5cに注入する。その後、金型21、23を密着させて熱可塑性樹脂を圧縮してから、熱可塑性樹脂を冷却する。このようにして、超音波センサ用ケース1が完成する。なお、ゲート25は、サブマリンゲートの他に、例えば、サイドゲート、ピンポイントゲート等とすることができるが、製造コストを低減させる観点から、サブマリンゲートが特に好ましい。
【0059】
超音波センサ用ケースを、アルミニウム等の金属材料を削り出し加工によって製造する場合、超音波センサ用ケースの寸法や厚さに誤差が生じやすい。このような誤差は、超音波センサの共振周波数、感度、指向性等の特性を変化させる原因となってしまう。また、削り出し加工はコストがかかるため、超音波センサ用ケースのコスト上昇の原因となってしまう。
【0060】
それに対して、上述のように、超音波センサ用ケース1を、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形することによって、又は、射出圧縮成形することによって形成することにより、超音波センサ用ケース1の寸法や厚さを設計値に近づけることが容易となる。その結果、超音波センサに用いた場合に、設計どおりの特性を発揮する超音波センサを容易に得ることが可能な超音波センサ用ケース1が得られる。また、超音波センサ用ケース1の製造コストを低減させることができる。
【0061】
さらに、上述のように、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を射出成形する際、又は、射出圧縮成形する際に用いる金型23のゲート25は、金型21、23の側壁部5に対応する部分、即ち、キャビティー5cに連通する部分に設けられている。これにより、射出成形する際、又は、射出圧縮成形する際に樹脂の流動性の制御が容易になると共に、振動部3に反りが生じるのを抑制することができる。また、この場合、ゲート跡6(図1、図2参照)は、振動部3には形成されず、側壁部5に形成される。その結果、ゲート跡6が振動部3の振動特性に影響を与えることを防止することができる。
【0062】
なお、超音波センサ用ケース1は、射出成形や射出圧縮成形ではなく、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂を圧縮成形、トランスファー成形することにより形成してもよい。しかし、成形サイクルを短縮する観点、及び、成形コストを削減する観点から、射出成形や射出圧縮成形を採用することが好ましい。
【0063】
次に、本実施形態に係る超音波センサ11について説明する。図13は、本実施形態の超音波センサの端面図である。
【0064】
本実施形態の超音波センサ11は、上述の超音波センサ用ケース1と、圧電素子13と、吸音材15と、絶縁性樹脂17と、一対のリード線31、33とを備えている。
【0065】
圧電素子13は、振動部3の表面の領域3aに接着剤等によって固定されている。圧電素子13は、圧電特性を有する材料を板状に形成した圧電体13aと、この板状の圧電体13aの上面及び下面形成された一対の電極13b、13cとを有する。圧電素子13は公知の製造方法により製造することができる。
【0066】
圧電体13aを形成する圧電特性を有する材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、ニオブ酸鉛等の圧電セラミックスや、水晶やチタン酸ジルコン酸鉛単結晶、ニオブ酸リチウム等の圧電単結晶を用いることができる。圧電セラミックスを用いた場合、セラミック材料を板状に焼成することにより、圧電体が形成される。
【0067】
一対の電極は銀等の導電材料を印刷や塗布により硬化させることにより形成することができ、又は、金、銀、銅あるいはニッケルクロム等の導電性材料を蒸着、メッキ、スパッタリング等することにより形成することができる。
【0068】
吸音材15は、圧電素子13と超音波センサ用ケース1の内面とに接するように、超音波センサ用ケース1の内部に設けられている。圧電素子13は、振動部3と吸音材15とに挟まれている。吸音材15は、発泡シリコンやフェルト等からなる。吸音材15は、振動部3から送信される超音波のうち、振動部3から開口5aに向かう方向に送信される超音波を吸収するために設けられている。
【0069】
絶縁性樹脂17は、吸音材15と超音波センサ用ケース1の内面とに接するように、超音波センサ用ケース1の内部に設けられている。吸音材15は、圧電素子13と絶縁性樹脂17とに挟まれている。絶縁性樹脂17は、シリコンゴムやウレタンゴム等の弾性を有する絶縁性の樹脂からなる。絶縁性樹脂17は、吸音材15の固定や超音波センサ11自体の除湿の目的で設けられている。
【0070】
一対のリード線31、33のそれぞれ一端は、導電性接着剤や半田によって、圧電素子13の一対の電極にそれぞれ電気的に接続されており、一対のリード線31、33のそれぞれの他端は、超音波センサ用ケース1の外部に引き出されている。また、一対のリード線31、33は、吸音材15及び絶縁性樹脂17を貫通し、開口5aを通るように設けられている。一対のリード線31、33の他端間に高周波電圧を印加すると、その高周波電圧に対応した周波数で圧電素子13は伸縮を繰り返すように振動する。すると、振動部3もその周波数で振動し、振動部3から超音波が発生する。
【0071】
本発明に係る超音波センサ11によれば、上述のような感度特性を十分に高くすることが可能な超音波センサ用ケース1を用いているため、感度特性が十分に高くなる。
【0072】
図14に、本実施形態の超音波センサの変形例の端面図を示す。超音波センサ11aは、リード線33の接続方法、及び、メッキ層35を有する点において、上述の超音波センサ11と異なる。
【0073】
超音波センサ11aは、側壁部5の内側面から振動部3の上面にわたって、金属材料からなるメッキ層35が設けられている。また、リード線33は、メッキ層35に接続されており、メッキ層35を介して圧電素子13の電極に接続されている。このように、リード線31、33は、圧電素子13の電極に直接接続されている必要はなく、圧電素子13の電極に電気的に接続されていればよい。
【0074】
本実施形態の超音波センサ11、11aは、金属製やプラスチック製の板材等の外部取り付け部材に取りつけた上で、自動車のバックセンサ用、コーナセンサ用に用いることができる。また、美観や防滴性を向上させるため、自動車のバンパや外部取り付け部材と同色の塗装を超音波センサ11、11aに施してもよい。その際の塗装剤としては関西ペイント社製のソフレックス等公知の塗装剤を用いることができる。
【0075】
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0076】
例えば、上述の実施形態では振動部3と側壁部5は一体形成されていたが、振動部3と側壁部5を別々に形成した後に、接着剤による接着、超音波溶着、レーザ溶着等によって一体化してもよい(図1〜図3参照)。
【0077】
また、上述の実施形態では、振動部3と側壁部5の両方を、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂で形成していたが、振動部3のみを繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂で形成してもよい(図1〜図3参照)。この場合、側壁部5をアルミニウム等の金属で形成し、振動部3と側壁部5を接着剤による接着、超音波溶着、レーザ溶着等によって一体化することができる。
【0078】
また、振動部3は円板状でなくてもよく、その厚さ方向から見て楕円状、四角形等の多角形形状であってもよい(図1〜図3参照)。
【0079】
また、側壁部5は、振動部3の領域3aと直交する方向(Z軸に沿った方向)に延びている必要はなく、振動部3の領域3aと鋭角又は鈍角で交わる方向に延びていてもよい(図1〜図3参照)。
【0080】
また、上述の実施形態では、開口5aの内径は、振動部3の領域3aと直交する方向から見ると、X軸方向と交差する2つの直線状の辺と、Y軸方向と交差する2つの円弧状の辺とを有しているが、このような態様に限られない。例えば、開口5aの内径は、振動部3の領域3aと直交する方向から見て、楕円状、矩形等の多角形状、角丸矩形等の角丸多角形状であってもよい(図1〜図3参照)。また、開口5aの内径は、X軸方向の長さX5aが、Y軸方向の長さY5aと等しくてもよい(図1〜図3参照)。
【0081】
また、側壁部5は、側壁部5のX軸方向の厚さX5は、側壁部5のY軸方向の厚さY5と等しくてもよい。
【0082】
また、本実施形態の超音波センサ11は、吸音材15及び/又は絶縁性樹脂17を備えていなくてもよい(図13及び図14参照)。吸音材15を省略した場合、絶縁性樹脂17を超音波センサ用ケース1の内部全てに充填してもよいし、超音波センサ用ケース1の内部の一部のみに充填してもよい。
【0083】
(実施例)
以下、本発明の効果をより明確にするため、実施例を用いて説明する。
【0084】
以下のような条件で、実施例1〜12、及び比較例1〜3を作製した。
【0085】
(実施例1)
ポリエーテルサルホン樹脂80重量部(住友化学社製 PES3600P)にチョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)20重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0086】
(実施例2)
ポリエーテルサルホン樹脂70重量部(住友化学社製 PES3600P)にチョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0087】
(実施例3)
ポリエーテルサルホン樹脂80重量部(住友化学社製PES3600P)にチョップ炭素繊維(東邦テナックス社製 HTA−C6−US)20重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0088】
(実施例4)
ポリエーテルサルホン樹脂70重量部(住友化学社製PES3600P)にチョップ炭素繊維(東邦テナックス社製 HTA−C6−US)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0089】
(実施例5)
ポリエーテルサルホン樹脂70重量部(住友化学社製PES3600P)にチタン酸カリウムからなるウィスカ(大塚化学社製 ティスモN)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0090】
(実施例6)
ポリエーテルサルホン樹脂70重量部(住友化学社製 PES3600P)にチョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)20重量部、ステンレス繊維(BEKAERT社製 GR75−C20E)10重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0091】
(実施例7)
ポリエーテルサルホン樹脂70重量部(住友化学社製 PES3600P)にミルド炭素繊維(東邦テナックス社製 HTA−CMF−0160−OH)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0092】
(実施例8)
ポリフェニレンサルファイド樹脂60重量部、ガラス繊維40重量部配合したポリフェニレンサルファイド樹脂(大日本インキ社製 FZ−1140)を用いた。
【0093】
(実施例9)
ポリエーテルサルホン樹脂80重量部(住友化学社製 PES3600P)にステンレス繊維(BEKAERT社製 GR75−C20E)20重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0094】
(実施例10)
ポリブチレンテレフタレート樹脂70重量部(東レ株式会社製 1401X07)にチョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0095】
(実施例11)
ポリフェニレンサルファイド樹脂70重量部(大日本インキ社製 T−4G)にチョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0096】
(実施例12)
ポリエーテルエーテルケトン樹脂70重量部(ビクトレックス社製 150P)にチョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0097】
(比較例1)
下記製造方法により製造した液晶ポリマー27重量部、アルミナ繊維(電気化学工業製 デンカアルセン)65重量部、アルミナ粒子(住友化学社製 アドバンスドアルミナAA−1.5)8重量を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0098】
液晶ポリマーとして、下記のように液晶ポリエステルを製造した。攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、パラヒドロキシ安息香酸 994.5g(7.2モル)、4,4´―ジヒドロキシビフェニル 446.9g(2.4モル)、テレフタル酸 299.0g(1.8モル)、イソフタル酸 99.7g(0.6モル)および無水酢酸 1347.6g(13.2モル)を仕込み、反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で30分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して1時間還流させた。
【0099】
その後、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了としてプレポリマーを得た。
【0100】
得られたプレポリマーは室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温し、285℃で3時間保持し、固層で重合反応を進めた。得られた液晶ポリエステルの流動開始温度は327℃であった。
【0101】
(比較例2)
下記製造方法により製造した液晶ポリマー70重量部、チョップドガラス繊維(オーウェンスコーニング社製 CS03JAPx−1)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0102】
液晶ポリマーとして、下記のように液晶ポリエステルを製造した。攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、パラヒドロキシ安息香酸830.7g(5.0モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル465.5g(2.5モル)、テレフタル酸394.6g(2.375モル)、イソフタル酸20.8g(0.125モル)及び無水酢酸1153g(11.0モル)を仕込んだ。反応器内を十分に窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、温度を保持して180分間還流させた。
【0103】
その後、留出する副生酢酸、未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了としてプレポリマーを得た。
【0104】
得られたプレポリマーは室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から320℃まで5時間かけて昇温し、320℃で3時間保持し、固層で重合反応を進めた。得られた液晶ポリエステルの流動開始温度は380℃であった。
【0105】
(比較例3)
ポリエーテルサルホン樹脂70重量部(住友化学社製 PES3600P)に板状フィラーのタルク(日本タルク株式会社製 X−50)30重量部を配合し、樹脂組成物を作製した。
【0106】
これらの実施例1〜12、及び比較例1〜3について、下記のような条件で曲げ弾性率E(MPa)、比重ρ、及び、損失係数をそれぞれ測定した。
(曲げ弾性率)
【0107】
実施例1〜12、及び比較例1〜3のそれぞれについて、射出成形機にて縦127mm、横12.7mm、厚さ6.4mmの大きさの試料を作製した。その後、1981年制定のASTM D790 MethodIに準拠して曲げ弾性率を測定した。
【0108】
(比重)
実施例1〜12、及び比較例1〜3のそれぞれについて射出成形機にて成形した後、ASTM IV号ダンベル状試験片を用いて1979年改訂のASTM D792 Method A−1に準拠して比重を測定した。
【0109】
(損失係数)
実施例1〜12、及び比較例1〜3のそれぞれについて射出成形機にて成形した後、JIS K7113に準拠した1(1/2)号試験片のネック部を用いて、中央加振法の一次共振周波数における共振ピークの半値幅を測定し、損失係数を算出した。尚、測定に用いたサンプルサイズは縦30mm、横5mm、厚さ0.5mmである。なお、損失係数が小さいと、超音波センサ用ケースとしての感度が良好となることを意味する。
【0110】
図15に、実施例1〜12、及び比較例1〜3の測定結果を示す。図15に示すように、熱可塑性樹脂としてポリエーテルサルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、及び、ポリブチレンテレフタレート樹脂のいずれかを用いた実施例1〜12では、比較例1及び比較例2と比較して、損失係数が小さくなった。さらに、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂の曲げ弾性率をE(MPa)、比重をρとしたとき、E/ρの値が4000(MPa)以上である実施例1〜8及び実施例10〜12では、特に損失係数が小さくなった。
【符号の説明】
【0111】
1・・・超音波センサ用ケース、3・・・振動部、3a・・・圧電素子が設けられる領域、5・・・側壁部、5a・・・開口、13・・・圧電素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電素子を利用した超音波センサに用いられる超音波センサ用ケースであって、
前記圧電素子が設けられる板状の振動部と、
前記振動部の前記圧電素子が設けられる領域を囲むように設けられ、前記振動部と対向する位置に開口を有する側壁部と、
を備え、
前記振動部は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂からなり、
前記熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、又は、これらのうちの2種以上を混合した樹脂であることを特徴とする超音波センサ用ケース。
【請求項2】
前記側壁部は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂からなり、
この熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、又は、これらのうちの2種以上を混合した樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項3】
前記繊維状フィラーを含有する前記熱可塑性樹脂の曲げ弾性率をE(MPa)、比重をρとしたとき、E/ρの値が4000(MPa)以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項4】
前記繊維状フィラーは、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、又は、これらのうちの2種以上を混合した繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項5】
前記繊維状フィラーは、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、炭化珪素、又は、窒化珪素からなるウィスカのうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項6】
前記振動部と前記側壁部とは、一体形成されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項7】
前記振動部と前記側壁部は、前記繊維状フィラーを含有する前記熱可塑性樹脂を射出成形することによって、又は、射出圧縮成形することによって形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項8】
前記繊維状フィラーを含有する前記熱可塑性樹脂を射出成形する際、又は、射出圧縮成形する際に用いる金型のゲートは、前記金型の前記側壁部に対応する部分に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項9】
前記振動部の前記圧電素子が設けられる領域は、シボ加工、梨地加工、溝加工、又は、ディンプル加工がなされていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項10】
前記振動部は円板状であり、
前記側壁部は、前記振動部の外縁の全体に沿って設けられ、前記振動部の前記領域と直交する方向に延び、
前記側壁部が有する前記開口の内径は、前記振動部の前記領域と平行な第1方向の長さが、前記振動部の前記領域と平行かつ前記第1方向と直交する第2方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項11】
前記側壁部は、前記第1方向の厚さが、前記第2方向の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項10に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケースと、
前記振動部に設けられた前記圧電素子と、
前記圧電素子の一対の電極に電気的に接続され、前記超音波センサ用ケースの外部に引き出された一対のリード線と、
を備えた超音波センサ。
【請求項1】
圧電素子を利用した超音波センサに用いられる超音波センサ用ケースであって、
前記圧電素子が設けられる板状の振動部と、
前記振動部の前記圧電素子が設けられる領域を囲むように設けられ、前記振動部と対向する位置に開口を有する側壁部と、
を備え、
前記振動部は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂からなり、
前記熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、又は、これらのうちの2種以上を混合した樹脂であることを特徴とする超音波センサ用ケース。
【請求項2】
前記側壁部は、繊維状フィラーを含有する熱可塑性樹脂からなり、
この熱可塑性樹脂は、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、又は、これらのうちの2種以上を混合した樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項3】
前記繊維状フィラーを含有する前記熱可塑性樹脂の曲げ弾性率をE(MPa)、比重をρとしたとき、E/ρの値が4000(MPa)以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項4】
前記繊維状フィラーは、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、又は、これらのうちの2種以上を混合した繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項5】
前記繊維状フィラーは、チタン酸カリウム、ホウ酸アルミニウム、炭化珪素、又は、窒化珪素からなるウィスカのうち、少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項6】
前記振動部と前記側壁部とは、一体形成されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項7】
前記振動部と前記側壁部は、前記繊維状フィラーを含有する前記熱可塑性樹脂を射出成形することによって、又は、射出圧縮成形することによって形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項8】
前記繊維状フィラーを含有する前記熱可塑性樹脂を射出成形する際、又は、射出圧縮成形する際に用いる金型のゲートは、前記金型の前記側壁部に対応する部分に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項9】
前記振動部の前記圧電素子が設けられる領域は、シボ加工、梨地加工、溝加工、又は、ディンプル加工がなされていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項10】
前記振動部は円板状であり、
前記側壁部は、前記振動部の外縁の全体に沿って設けられ、前記振動部の前記領域と直交する方向に延び、
前記側壁部が有する前記開口の内径は、前記振動部の前記領域と平行な第1方向の長さが、前記振動部の前記領域と平行かつ前記第1方向と直交する第2方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項11】
前記側壁部は、前記第1方向の厚さが、前記第2方向の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項10に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の超音波センサ用ケースと、
前記振動部に設けられた前記圧電素子と、
前記圧電素子の一対の電極に電気的に接続され、前記超音波センサ用ケースの外部に引き出された一対のリード線と、
を備えた超音波センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−50963(P2010−50963A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173445(P2009−173445)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]