超音波診断システム及び方法
【課題】超音波映像から対象体の境界を自動で、且つ正確に検出することができる超音波診断システム及び方法を提供する。
【解決手段】超音波映像でエッジを検出してエッジ抽出境界候補モデルを形成し、エッジ抽出境界候補モデルに単純化演算を行って単純化境界候補モデルを形成し、単純化境界候補モデルに細線化演算を行って細線化境界候補モデルを形成し、エッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルを用いて超音波映像から対象体の境界を検出する超音波診断システム及び方法を提供する。本発明によれば、超音波映像から対象体の境界を自動で検出することによって使用者の労力と時間を減少させることができ、使用者間で測定結果が相違することを防止できる。
【解決手段】超音波映像でエッジを検出してエッジ抽出境界候補モデルを形成し、エッジ抽出境界候補モデルに単純化演算を行って単純化境界候補モデルを形成し、単純化境界候補モデルに細線化演算を行って細線化境界候補モデルを形成し、エッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルを用いて超音波映像から対象体の境界を検出する超音波診断システム及び方法を提供する。本発明によれば、超音波映像から対象体の境界を自動で検出することによって使用者の労力と時間を減少させることができ、使用者間で測定結果が相違することを防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断システムに関し、特に超音波映像から対象体の境界を自動で検出する超音波診断システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、超音波診断システムは人体の内部状態を検査するのに広く使われている。超音波診断システムは縁部組織の断層や血流に関するイメージを無浸襲で得ることができる。これは被検体の表面から内部の所望部位に向かって超音波信号を照射し、反射された超音波信号(超音波エコー信号)を受信し、受信された超音波エコー信号を処理する手続きを通じてなされる。この装置はX線診断装置、X線CTスキャナ、MRI、核医学診断装置などの他の画像診断装置と比較すると小型かつ安価で、リアルタイムで表示することができ、X線などの被曝がなく、安全性が高いという長所を有しており、心臓、腹部、泌尿器及び産婦人科の診断のために広く用いられている。
【0003】
測定しようとする人体構造及び器官に対する情報を明確に得るためには、超音波診断システムから得たイメージを定量化させることが必要である。従来は静止画像または静止画像から得た測定情報に基づいて人体構造を受動的に定量化させていた。例えば、妊娠期間中の胎児の発育状態または出産予定日の胎児の発育状態を計算するために、母体内で胎児の活動が少ない時期に胎児の静止画像を得なければならず、得られた静止画像から通常数回に渡り、外周または長さを測定する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、常に拍動している心臓のような身体器官の場合には静止画像を得ることが難しい。心臓が動くと、収縮及び拡張するのと合せて心臓の輪郭が常に動いて変化するためである。従って、心臓機能の特徴を完全に評価するためには1回の心臓拍動時間内に30〜150以上の多くの静止画像を得て、静止画像で必要な数値を測定して心臓の境界を抽出する。この場合、シードポイント(Seed Point)を設定するか、あるいは境界のサンプルポイントを指定して測定しなければならないため、使用者の労力と時間が必要であるとともに、使用者ごとに測定結果が異なる可能性があるという問題点があった。
【0005】
本発明は前述した問題点を解決するためのもので、超音波映像から対象体の境界を自動かつ正確に検出することができる超音波診断システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は超音波映像から対象体の境界を自動で検出する方法において、a)上記超音波映像でエッジを検出してエッジ抽出境界候補モデルを形成する段階と、b)上記エッジ抽出境界候補モデルに単純化演算を行って単純化境界候補モデルを形成する段階と、c)上記単純化境界候補モデルに細線化演算を行って細線化境界候補モデルを形成する段階と、d)上記エッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルを用いて上記超音波映像から対象体の境界を検出する段階を含む。
【0007】
また、本発明は超音波を対象体に送信して対象体から反射された超音波信号を受信して超音波映像を提供する超音波診断システムにおいて、上記超音波診断システムは映像プロセッサを備え、上記映像プロセッサは上記超音波映像からエッジを検出してエッジ抽出境界候補モデルを形成し、上記エッジ抽出境界候補モデルに単純化演算を行って単純化境界候補モデルを形成し、上記単純化境界候補モデルに細線化演算を行って細線化境界候補モデルを形成し、上記エッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルに基づいて上記超音波映像から対象体の境界を検出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、超音波映像を用いて対象体の境界を自動で検出することによって、使用者の労力と時間を減少させることができ、使用者間で測定結果が相違することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1〜図13を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
図1は本発明の実施の形態による超音波診断システムを示すブロック図である。
図示された通り、超音波診断システム100はプローブ110、ビームフォーマー120、映像プロセッサ130、メモリ140及びディスプレイ部150を含む。
【0011】
プローブ110は超音波を対象体に送信し、対象体から反射された超音波信号(超音波エコー信号)を受信するための1D(Dimension)または2Dアレイトランスデューサ112を備える。ビームフォーマー120はプローブ110の送/受信を制御し、対象体からエコー信号のコヒレントビームを形成するために受信されたエコー信号を処理する。映像プロセッサ130はビームフォーマー120から伝送されたエコー信号を受信して本発明による映像処理を行う。映像プロセッサ130について図2〜図13を参照してさらに詳細に説明する。
【0012】
映像プロセッサ130により処理された超音波映像はメモリ部140に格納されたり、ディスプレイ装置150にディスプレイされたりする。
【0013】
以下、本発明に関する理解を助けるために心臓の左心室の境界を自動で抽出する方法について説明する。
【0014】
図2aは本発明の実施の形態によって心臓の超音波映像の縦エッジを抽出するためのフィルタの一例を示す例示図であり、図2bは本発明の実施の形態によって心臓の超音波映像の横エッジを抽出するためのフィルタの一例を示す例示図である。
【0015】
映像プロセッサ130は図2a及び図2bに示されたフィルタを用いて、超音波診断システムを介し最初に得られた心臓の超音波映像から心臓のエッジを抽出してエッジ抽出境界候補モデルを形成する。エッジ抽出境界候補モデルを形成する過程については図2a及び2b、図3、図4a及び4bそして図5a〜図5dを参照してさらに詳細に説明する。
【0016】
図3は本発明の実施の形態によってグレー値で表示された心臓の超音波映像とエッジ抽出フィルタを示す例示図である。
【0017】
映像プロセッサ130は超音波診断システムを介し、最初に得られた心臓の超音波映像をグレーレベルの超音波映像310に変換し、超音波映像310の各ピクセルのグレーレベル(gray level)に対して数式1(後に示す)により表現される縦または横エッジ抽出フィルタ(320または330)を適用して、該当ピクセルの特性値を算出する。そして、映像プロセッサ130は算出された特性値を用いて心臓のエッジ340を抽出することによって、エッジ抽出境界候補モデルを形成する。超音波映像の各ピクセルの特性値を算出する手続きについて以下でさらに詳細に説明する。
【0018】
【数1】
式中、f(x,y)は超音波診断システムを介して最初に得られた心臓の超音波映像の各ピクセルのグレーレベルを示し、w(x,t)は縦または横エッジ抽出フィルタを示し、エッジ抽出フィルタを適用して得たg(x,y)は該当ピクセルの特性値を示す。sとtはフィルタの大きさを示すもので、図2a及び図2bに示されるように5×5サイズのフィルタを用いる場合、sとtはそれぞれ−2〜+2間の値を有する。
【0019】
また、映像プロセッサ130はエッジ抽出境界候補モデルを形成するために算出された特性値を用いて心臓のエッジを抽出する。縦エッジ抽出フィルタ320を用いて各ピクセルの特性値を算出して、算出された特性値を用いて心臓の縦エッジを抽出する手続きについて詳細に説明すれば次の通りである。
【0020】
a1)超音波映像310の各ピクセルのグレーレベルに対して行方向に縦エッジ抽出フィルタ320を適用して各ピクセルの縦特性値を算出する。例えば、映像プロセッサ130は図4aに示された通り、超音波映像410の(x2,y2)座標で表現される基準ピクセルのグレーレベル(f(2,2))の縦特性値(g(2,2))を算出するために、図2aのような縦エッジフィルタの中央、即ち(C2,R2)を超音波映像410の(x2,y2)ピクセルにマッチさせて基準ピクセル及びその周辺のピクセルを選択する。この時、選択されるピクセルの数はフィルタのサイズと同一である。図2aに見られる5×5サイズのピクセルを用いる場合、選択されるピクセルの数は25個となる。続いて、選ばれた25個のピクセルのうち縦エッジ抽出フィルタの中心列C2列の左側の2個の列、即ち、C0及びC1列の10個のピクセルに対応する超音波映像のピクセルのグレーレベル、即ちf(x0〜x1,y0〜y4)の値を加算して第1加算値を得て、中心列C2列の右側の2列、即ち、C3及びC4列の10個のピクセルに対応する超音波映像のピクセルのグレーレベル、即ちf(x3〜x4,y0〜y4)の値を加算して第2加算値を得る。その後、映像プロセッサ130は第1加算値(即ち、0+1+2+4+0+3+3+1+1+2=17)と第2加算値(即ち、4+9+3+4+8+7+2+8+9+6=60)の差を求めた後、結果値の絶対値をとることによって、該当ピクセル(x2,y2)の縦特性値g(x2,y2)を算出する。即ち、映像プロセッサ130は該当ピクセル(x2,y2)のグレーレベル(f(2,2))の縦特性値(g(2,2))として43を算出する。
【0021】
このような過程を残りのピクセルに同一に適用することによって、映像プロセッサ130は各ピクセルの縦特性値を算出する。
【0022】
a2)上記手続きa1)を通じて算出された縦特性値を行単位で分析し、各行ごとに縦特性値が大きい順にピクセルを整列する。
【0023】
a3)上記手続きa2)を通じて整列された縦特性値に対して各行ごとに縦特性値が大きい順に所定個数、より望ましくは20個の縦特性値を決定する。しかし、上記手続きa3)によっては左心室隔壁、左心室中隔及び右心室中隔部分に該当するピクセルに縦特性値が集中し、左心室隔壁、左心室中隔及び右心室中隔に該当するエッジのみが抽出される。
【0024】
a4)上記手続きa3)を通じて決定された縦特性値に対応するピクセルの中で、x軸座標が最も大きい、即ち最も右側に位置するピクセルの次のx軸座標に該当する縦特性値から、再び縦特性値が大きい順に10個の縦特性値を決定する。この手続きは右心室隔壁部分に該当する縦特性値を決定し、即ち右心室隔壁に該当するエッジを抽出するためのものである。
【0025】
a5)上記手続きa3)及びa4)を通じて、映像プロセッサ130は図5aに見られる最初の超音波映像から縦特性値に対応するピクセルの位置を心臓の縦エッジに決定して図5bに示された通り、心臓の縦エッジを抽出する。図5bにおいて、図面符号510は上記手続きa3)の結果を示し、図面符号530は上記手続きa4)の結果を示し、図面符号520は上記手続きa3)で縦特性値が最も大きなピクセルの位置を示す。
【0026】
また、横エッジ抽出フィルタ330を用いて各ピクセルの横特性値を算出し、算出された横特性値を用いて心臓の横エッジ(より詳細には、弁膜とアペックス(Apex)の位置)を抽出する手続きについて詳細に説明すれば次の通りである。
【0027】
b1)超音波映像310の各ピクセルのグレーレベルに対して列方向に横エッジ抽出フィルタを適用して各ピクセルの横特性値を算出する。例えば、映像プロセッサ130は図4bに示された通り、超音波映像410において、x2及びy2座標で表現される基準ピクセルのグレーレベルf(2,2)の横特性値(g(2,2))を算出するため、図2bのような横エッジ抽出フィルタの中央、即ち(C2,R2)を超音波映像410の(x2,y2)ピクセルにマッチさせて基準ピクセル及びその周辺のピクセルをフィルタの大きさ通り選択する。続いて、選択されたピクセルの中の横エッジ抽出フィルタの中心行R2を基準に上側2つの行R0及びR1の10個のピクセルに対応する超音波映像ピクセルのグレーレベル、即ちf(x0〜x4,y0〜y1)の値を加算して第3加算値を得て、横エッジ抽出フィルタの中心行R2を基準に下側2つの行R3及びR4の10個のピクセルに対応する超音波映像ピクセルのグレーレベル、即ちf(x0〜x4,y3〜y4)の値を加算して第4加算値を得る。その後、映像プロセッサ130は第3加算値(即ち、0+1+3+4+9+2+4+9+3+4=39)と第4加算値(即ち、3+1+7+2+8+1+2+2+9+6=41)の差を求めた後、結果値の絶対値をとることによって、該当ピクセルの横特性値を算出する。即ち、映像プロセッサ130はx2及びy2座標のピクセル(f(2,2))の横特性値(g(2,2))として2を算出する。
【0028】
このような過程を残りのピクセルに同一に適用することによって、映像プロセッサ130は各ピクセルの横特性値を算出する。
【0029】
b2)上記手続きb1)を通じて算出された特性値を各列ごとに分析し、各列ごとに横特性値が大きい順にピクセルを整列する。
【0030】
b3)上記手続きb2)を通じて整列された横特性値に対して各列ごとに横特性値が大きい順に所定個数、より望ましくは10個の横特性値を決定し、決定された横特性値に対応するピクセルの位置を心臓の横エッジに決定する。
【0031】
このような手続きを通じて、映像プロセッサ130は図5cに示された通り、心臓の横エッジを抽出する。図5cにおいて、図面符号540は上記手続きb3)の結果を示す。
【0032】
映像プロセッサ130は前述した過程によって抽出された心臓の縦及び横エッジを用いて図5dに示されたような心臓のエッジ抽出境界候補モデルを形成する。ここで、図面符号550は縦エッジ抽出フィルタ320を用いて抽出された縦エッジ領域を示し、図面符号540は横エッジ抽出フィルタ330を用いて抽出された横エッジ領域を示す。
【0033】
続いて映像プロセッサ130は上記手続きを通じて形成されたエッジ抽出境界候補モデル(図5dを参照)に単純化処理を行って、単純化境界候補モデルを形成する。ここで、単純化処理は形態変換処理を行う形態学的演算(Morphological Operations)と、超音波映像の全ての連結成分を検索して同一の連結成分に存在する全てのピクセルに一つの固有ラベルを付与する連結成分ラベリング(Connected−Component Labeling)演算からなり、形態学的演算は変形浸食演算、縮小演算、膨張演算からなる。
【0034】
形態学的演算に対して図6a及び6bそして図7a及び7bを参照して下記のように詳細に説明する。
【0035】
浸食(Erosion)演算は全体映像における小さな物体を除去するか、あるいは物体を縮小させる演算であって、一般に演算が簡潔である3×3浸食マスクを用いて原映像と浸食マスクが正確に一致すれば1の値を割り当て、正確に一致しないと0の値を割り当てる。本実施例ではエッジ抽出境界候補モデル図5dを参照)で切れた部分を連結して小さなノイズを除去することができる4×4変形浸食マスクを用いる。4×4変形浸食マスクを用いてエッジ抽出境界候補モデルに変形浸食演算を行う手続きについて図6a及び6bを参照してさらに詳細に説明する。
【0036】
図示された通り、映像プロセッサ130はエッジ抽出境界候補モデル610の該当ピクセル及び該当ピクセルに隣接したピクセルを、4×4変形浸食マスク420と比較し、所定個数以上一致する場合、該当ピクセルに1を割り当て、所定個数以下に一致する場合、該当ピクセルに0を割り当てる。より詳細には、映像プロセッサ130は図6aに示された通り、エッジ抽出候補モデル610でx1及びy1座標に該当するピクセルに変形浸食演算を行うために、エッジ抽出候補モデル610でx0〜x3の列とy0〜y3の行に該当するピクセルを4×4変形浸食マスク620と比較して、13のピクセルが一致すると判断して、エッジ抽出候補モデル610のx1及びy1座標に1を割り当てる。一方、映像プロセッサ130は図6bに示された通りエッジ抽出候補モデル610でx1及びy5座標に該当するピクセルに変形浸食演算を行うために、エッジ抽出候補モデル610でx0〜x3の列とy4〜y7の行に該当するピクセルを4×4変形浸食マスク620と比較して、8個のピクセルが一致すると判断して、エッジ抽出候補モデル610のx1及びy5座標に0を割り当てる。
【0037】
このような変形浸食演算を行えば、図7aに示されたエッジ抽出境界候補モデルに存在する小さなノイズを図7bに示された通り、エッジ抽出境界候補モデルを損傷させずに除去することができる。
【0038】
縮小演算は変形浸食演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの大きさを縮小させる演算であって、映像プロセッサ130は次の数式2を用いて変形浸食演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの大きさを縮小させる。
【0039】
【数2】
式中、xとyは変形浸食演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの座標値であり、x’とy’は縮小演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの座標値であり、TxとTyは縮小因数である。
【0040】
映像プロセッサ130はこのような縮小演算を行うことによって、変形浸食演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルで連結されないエッジの距離を近くすることができる。
【0041】
膨張(Dilation)演算は縮小演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの最外郭ピクセルを拡張させる演算であって、縮小演算を行ったエッジ抽出境界候補モデル内に存在するホールのような空き空間を満たすか、あるいは短い距離の切れた領域を連結させる。映像プロセッサ130はこのような膨張演算を行うことによって、縮小演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルで連結されないエッジを連結させることができる。
【0042】
この後、映像プロセッサ130は膨張演算により膨張したエッジ抽出境界候補モデルに再び縮小演算を行うことによって、エッジ抽出境界候補モデル内に存在するホールを満たした後、本来の大きさに復元させる。
【0043】
続いて、図8bに示された通り、映像プロセッサ130は図8aに示された通り、形態学的演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルにノイズ成分を除去するための連結成分ラベリング演算を行う。連結成分ラベリング演算は心臓とノイズを区分する。ノイズを除去するために、4連結図(4 connectivity)を用いた順次連結成分アルゴリズム(Sequential Connected Components algorithm)を用いることによって、単純化境界候補モデルが形成される。
【0044】
続いて、映像プロセッサ130は単純化境界候補モデルに細線化アルゴリズムを適用して、細線化境界候補モデルを形成する。ここで、細線化アルゴリズムは厚い領域が含まれた映像の入力を受けて一つのピクセルの厚さ(より詳細には、中央線)の出力映像を生成するアルゴリズムである。
【0045】
前述したエッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルに基づいて心臓の左心室の境界ラインを自動で検出するのに必要なシードポイント及び最大照射半径を決定する過程について図9a〜9cそして図10を参照してさらに詳細に説明する。
【0046】
映像プロセッサ130は図2a及び図2bに示された縦及び横エッジ抽出フィルタを用いて抽出した超音波映像の各ピクセルの縦及び横特性値に基づいて、4つの特性ライン(左心室隔壁、左心室中隔、右心室中隔及び右心室隔壁)、アペックスライン及び二尖弁ラインをエッジ抽出境界候補モデルに設定する。
【0047】
より詳細には、映像プロセッサ130は図2aに示された縦エッジ抽出フィルタを用いて抽出した超音波映像の各ピクセルの縦及び横特性値に基づいて図9aに示されたような累積分布図を作る。その後、映像プロセッサ130は図9aの累積分布図を分析して最も左側のピーク開始部分を抽出して左心室隔壁ライン710を設定して、最も高いピークの開始部分を左心室中隔ライン720に設定する。また、映像プロセッサ130は最も高いピークの終了部分を右心室中隔ライン730に設定して、最も右側のピーク終了部分を右心室隔壁ライン740に設定する。ここで、映像プロセッサ130は左心室隔壁ライン710と右心室隔壁ライン740を用いて超音波映像の心臓外部のノイズを除去することができる。
【0048】
一方、映像プロセッサ130は図2bに示された横エッジ抽出フィルタを用いて抽出した超音波映像の各ピクセルの特性値に基づいて前述したところと同一に累積分布図(図示せず)を作る。その後、映像プロセッサ130は生成された累積分布図を分析して最も左側のピーク開始部分をアペックスライン840に設定して、最も右側のピーク開始部分を二尖弁ライン830に設定する。
【0049】
続いて、映像プロセッサ130は左心室隔壁ライン710、左心室中隔ライン720、二尖弁ライン830及びアペックスライン840がなす四角形の対角線の中心をシードポイント850に設定する。そして、映像プロセッサ130はシードポイント850で四角形の頂点までの距離を最大照射半径rに設定する。即ち、対角線長さの1/2を最大照射半径rに設定する。ここで、最大照射半径rを設定する理由は、映像プロセッサ130がシードポイント850で左心室の境界を照射する時に左心室の境界が連結されていないと左心室の境界を超えた範囲で左心室の境界を検索することとなり、これを防止するためである。
【0050】
上記のような手続き通り、シードポイント850及び最大照射半径rが設定されれば、映像プロセッサ130はシードポイント850と最大照射半径rを用いてエッジ抽出境界候補モデル(図11a)、単純化境界候補モデル(図11b)及び細線化境界候補モデル(図11c)から心臓の左心室の境界ラインを自動で検出する。左心室の境界ラインを自動で検出する手続きに対して図11〜図13を参照して説明すれば次の通りである。
1)映像プロセッサ130はエッジ抽出境界候補モデル(図11a)と単純化境界候補モデル(図11b)でシードポイント850を基準として放射方向に最大照射半径rまで照射して左心室の境界が存在するかを識別する。
2)エッジ抽出境界候補モデル(図11a)と単純化境界候補モデル(図11b)いずれも左心室の境界が存在すると識別されれば、映像プロセッサ130はエッジ抽出境界候補モデルの左心室の境界位置を検出する。
3)映像プロセッサ130は手続き2)で検出された左心室の境界位置に基づいて、超音波診断システムを介して最初に得られた心臓の超音波映像(図5a参照)の該当位置に左心室の境界ポイントを設定する。
4)映像プロセッサ130はシードポイント850を基準として所定間隔で手続き1)〜3)を反復する。
5)もし手続き1)で、エッジ抽出境界候補モデル(図11a)及び単純化境界候補モデル(図11b)のうちいずれか一つの境界候補モデルの左心室の境界が存在しないと識別されれば、映像プロセッサ130は単純化境界候補モデル(図11b)の左心室の境界位置と細線化境界候補モデル(図11c)の左心室の境界位置の平均位置を算出する。
6)映像プロセッサ130は手続き5)で算出された平均位置に基づいて、超音波診断システムを介して最初に得られた心臓の超音波映像(図5a参照)の該当位置に左心室の境界ポイントを設定する。
【0051】
上述したような手続きを通じて、映像プロセッサ130は図12に示された通り所定個数、より望ましくは40個の左心室の境界ポイントを設定する。上記手続きを数式的に表現すれば数式3の通りである。
【0052】
【数3】
式中、EAは図11aのエッジ抽出境界候補モデル、SEは図11bの単純化境界候補モデル、TEは図11cの細線化境界候補モデルを示し、「Contour={SE∩EA}」はSEとEAが交集合、即ちSE及びEAいずれも左心室の境界が存在することを示し、「if(Contour==φ)」はSEとEAが空集合、即ちSEまたはEAのうちのいずれか一つの境界が切れている場合を示し、「Contour={average(SE, TE)}」はSEとEAが空集合の場合、SEとTEの平均値で境界ポイントを決定することを示す。
【0053】
その後、映像プロセッサ130は図13に示された通り、抽出された左心室の境界ポイントにベジェスプライン(Bezier Spline)を適用して左心室の境界ラインをモデリングする。より詳細には、映像プロセッサ130は抽出した左心室の境界ポイントごとに境界ラインの候補をモデリングして、境界ラインの候補モデルから境界ラインポイントを抽出した後、抽出された境界ラインポイントを用いてベジェスプラインを求めることによって、左心室の心臓内膜を軟らかい曲線で連結する。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、当業者であれば添付した請求範囲の思想及び範疇を逸脱せずに様々な変形及び変更がなされることができることが分かる。
【0055】
本発明によれば、超音波映像を用いて対象体の境界を自動で検出することによって、使用者の労力と時間を減少させることができ、使用者間で測定結果が相違することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態による超音波診断システムを示すブロック図。
【図2a】本発明の実施の形態によって心臓の超音波映像の垂直エッジを抽出するためのフィルタの一例を示す図。
【図2b】本発明の実施の形態によって心臓の超音波映像の水平エッジを抽出するためのフィルタの一例を示す図。
【図3】本発明の実施の形態によってグレー値で示された心臓の超音波映像とエッジ抽出フィルタを示す例示図。
【図4a】本発明の実施の形態によって縦エッジ抽出フィルタを用いてピクセルの特性値を算出する例を示す例示図。
【図4b】本発明の実施の形態によって横エッジ抽出フィルタを用いてピクセルの特性値を算出する例を示す例示図。
【図5a】図2a及び図2bのフィルタを通過させる前の超音波映像を示す図。
【図5b】図5aの映像を図2aの縦エッジ抽出フィルタに通過させた後の超音波映像を示す図。
【図5c】図5aの映像を図2bの横エッジ抽出フィルタに通過させた後の超音波映像を示す図。
【図5d】図2a及び図2bのフィルタを通過させた後の超音波映像を示す図。
【図6a】本発明の実施の形態による4×4変形浸食マスクを用いた変形浸食演算の手続きを示す説明図。
【図6b】本発明の実施の形態による4×4変形浸食マスクを用いた変形浸食演算の手続きを示す説明図。
【図7a】本発明の実施の形態によって変形浸食演算を行う前の超音波映像を示す例示図。
【図7b】本発明の実施の形態によって変形浸食演算を行った後の超音波映像を示す例示図。
【図8a】本発明の実施の形態によって形態学的演算を行った後の超音波映像を示す例示図。
【図8b】本発明の実施の形態によって連結成分標識演算を行った後の超音波映像を示す図。
【図9a】本発明の実施の形態によってピクセル特性値を用いて生成した累積分布図と累積分布図を用いて抽出された4つの特性ラインを示す説明図。
【図9b】図9aにより抽出された4つの特性ラインをエッジ抽出境界候補モデルに適用した例示図。
【図10】本発明の実施の形態による4つの特性ラインとシードポイントを示す説明図。
【図11】本発明の実施の形態によるエッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルを示す図。
【図12】本発明の実施の形態によって抽出された境界ポイントを示す図。
【図13】図12の境界ポイントにベジェスプラインを適用した図。
【符号の説明】
【0057】
100:超音波診断システム 110:プローブ
112:トランスデューサ 120:ビームフォーマー
130:映像プロセッサ 140:メモリ部
150:ディスプレイ装置
【技術分野】
【0001】
本発明は超音波診断システムに関し、特に超音波映像から対象体の境界を自動で検出する超音波診断システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、超音波診断システムは人体の内部状態を検査するのに広く使われている。超音波診断システムは縁部組織の断層や血流に関するイメージを無浸襲で得ることができる。これは被検体の表面から内部の所望部位に向かって超音波信号を照射し、反射された超音波信号(超音波エコー信号)を受信し、受信された超音波エコー信号を処理する手続きを通じてなされる。この装置はX線診断装置、X線CTスキャナ、MRI、核医学診断装置などの他の画像診断装置と比較すると小型かつ安価で、リアルタイムで表示することができ、X線などの被曝がなく、安全性が高いという長所を有しており、心臓、腹部、泌尿器及び産婦人科の診断のために広く用いられている。
【0003】
測定しようとする人体構造及び器官に対する情報を明確に得るためには、超音波診断システムから得たイメージを定量化させることが必要である。従来は静止画像または静止画像から得た測定情報に基づいて人体構造を受動的に定量化させていた。例えば、妊娠期間中の胎児の発育状態または出産予定日の胎児の発育状態を計算するために、母体内で胎児の活動が少ない時期に胎児の静止画像を得なければならず、得られた静止画像から通常数回に渡り、外周または長さを測定する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、常に拍動している心臓のような身体器官の場合には静止画像を得ることが難しい。心臓が動くと、収縮及び拡張するのと合せて心臓の輪郭が常に動いて変化するためである。従って、心臓機能の特徴を完全に評価するためには1回の心臓拍動時間内に30〜150以上の多くの静止画像を得て、静止画像で必要な数値を測定して心臓の境界を抽出する。この場合、シードポイント(Seed Point)を設定するか、あるいは境界のサンプルポイントを指定して測定しなければならないため、使用者の労力と時間が必要であるとともに、使用者ごとに測定結果が異なる可能性があるという問題点があった。
【0005】
本発明は前述した問題点を解決するためのもので、超音波映像から対象体の境界を自動かつ正確に検出することができる超音波診断システム及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は超音波映像から対象体の境界を自動で検出する方法において、a)上記超音波映像でエッジを検出してエッジ抽出境界候補モデルを形成する段階と、b)上記エッジ抽出境界候補モデルに単純化演算を行って単純化境界候補モデルを形成する段階と、c)上記単純化境界候補モデルに細線化演算を行って細線化境界候補モデルを形成する段階と、d)上記エッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルを用いて上記超音波映像から対象体の境界を検出する段階を含む。
【0007】
また、本発明は超音波を対象体に送信して対象体から反射された超音波信号を受信して超音波映像を提供する超音波診断システムにおいて、上記超音波診断システムは映像プロセッサを備え、上記映像プロセッサは上記超音波映像からエッジを検出してエッジ抽出境界候補モデルを形成し、上記エッジ抽出境界候補モデルに単純化演算を行って単純化境界候補モデルを形成し、上記単純化境界候補モデルに細線化演算を行って細線化境界候補モデルを形成し、上記エッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルに基づいて上記超音波映像から対象体の境界を検出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、超音波映像を用いて対象体の境界を自動で検出することによって、使用者の労力と時間を減少させることができ、使用者間で測定結果が相違することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1〜図13を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
図1は本発明の実施の形態による超音波診断システムを示すブロック図である。
図示された通り、超音波診断システム100はプローブ110、ビームフォーマー120、映像プロセッサ130、メモリ140及びディスプレイ部150を含む。
【0011】
プローブ110は超音波を対象体に送信し、対象体から反射された超音波信号(超音波エコー信号)を受信するための1D(Dimension)または2Dアレイトランスデューサ112を備える。ビームフォーマー120はプローブ110の送/受信を制御し、対象体からエコー信号のコヒレントビームを形成するために受信されたエコー信号を処理する。映像プロセッサ130はビームフォーマー120から伝送されたエコー信号を受信して本発明による映像処理を行う。映像プロセッサ130について図2〜図13を参照してさらに詳細に説明する。
【0012】
映像プロセッサ130により処理された超音波映像はメモリ部140に格納されたり、ディスプレイ装置150にディスプレイされたりする。
【0013】
以下、本発明に関する理解を助けるために心臓の左心室の境界を自動で抽出する方法について説明する。
【0014】
図2aは本発明の実施の形態によって心臓の超音波映像の縦エッジを抽出するためのフィルタの一例を示す例示図であり、図2bは本発明の実施の形態によって心臓の超音波映像の横エッジを抽出するためのフィルタの一例を示す例示図である。
【0015】
映像プロセッサ130は図2a及び図2bに示されたフィルタを用いて、超音波診断システムを介し最初に得られた心臓の超音波映像から心臓のエッジを抽出してエッジ抽出境界候補モデルを形成する。エッジ抽出境界候補モデルを形成する過程については図2a及び2b、図3、図4a及び4bそして図5a〜図5dを参照してさらに詳細に説明する。
【0016】
図3は本発明の実施の形態によってグレー値で表示された心臓の超音波映像とエッジ抽出フィルタを示す例示図である。
【0017】
映像プロセッサ130は超音波診断システムを介し、最初に得られた心臓の超音波映像をグレーレベルの超音波映像310に変換し、超音波映像310の各ピクセルのグレーレベル(gray level)に対して数式1(後に示す)により表現される縦または横エッジ抽出フィルタ(320または330)を適用して、該当ピクセルの特性値を算出する。そして、映像プロセッサ130は算出された特性値を用いて心臓のエッジ340を抽出することによって、エッジ抽出境界候補モデルを形成する。超音波映像の各ピクセルの特性値を算出する手続きについて以下でさらに詳細に説明する。
【0018】
【数1】
式中、f(x,y)は超音波診断システムを介して最初に得られた心臓の超音波映像の各ピクセルのグレーレベルを示し、w(x,t)は縦または横エッジ抽出フィルタを示し、エッジ抽出フィルタを適用して得たg(x,y)は該当ピクセルの特性値を示す。sとtはフィルタの大きさを示すもので、図2a及び図2bに示されるように5×5サイズのフィルタを用いる場合、sとtはそれぞれ−2〜+2間の値を有する。
【0019】
また、映像プロセッサ130はエッジ抽出境界候補モデルを形成するために算出された特性値を用いて心臓のエッジを抽出する。縦エッジ抽出フィルタ320を用いて各ピクセルの特性値を算出して、算出された特性値を用いて心臓の縦エッジを抽出する手続きについて詳細に説明すれば次の通りである。
【0020】
a1)超音波映像310の各ピクセルのグレーレベルに対して行方向に縦エッジ抽出フィルタ320を適用して各ピクセルの縦特性値を算出する。例えば、映像プロセッサ130は図4aに示された通り、超音波映像410の(x2,y2)座標で表現される基準ピクセルのグレーレベル(f(2,2))の縦特性値(g(2,2))を算出するために、図2aのような縦エッジフィルタの中央、即ち(C2,R2)を超音波映像410の(x2,y2)ピクセルにマッチさせて基準ピクセル及びその周辺のピクセルを選択する。この時、選択されるピクセルの数はフィルタのサイズと同一である。図2aに見られる5×5サイズのピクセルを用いる場合、選択されるピクセルの数は25個となる。続いて、選ばれた25個のピクセルのうち縦エッジ抽出フィルタの中心列C2列の左側の2個の列、即ち、C0及びC1列の10個のピクセルに対応する超音波映像のピクセルのグレーレベル、即ちf(x0〜x1,y0〜y4)の値を加算して第1加算値を得て、中心列C2列の右側の2列、即ち、C3及びC4列の10個のピクセルに対応する超音波映像のピクセルのグレーレベル、即ちf(x3〜x4,y0〜y4)の値を加算して第2加算値を得る。その後、映像プロセッサ130は第1加算値(即ち、0+1+2+4+0+3+3+1+1+2=17)と第2加算値(即ち、4+9+3+4+8+7+2+8+9+6=60)の差を求めた後、結果値の絶対値をとることによって、該当ピクセル(x2,y2)の縦特性値g(x2,y2)を算出する。即ち、映像プロセッサ130は該当ピクセル(x2,y2)のグレーレベル(f(2,2))の縦特性値(g(2,2))として43を算出する。
【0021】
このような過程を残りのピクセルに同一に適用することによって、映像プロセッサ130は各ピクセルの縦特性値を算出する。
【0022】
a2)上記手続きa1)を通じて算出された縦特性値を行単位で分析し、各行ごとに縦特性値が大きい順にピクセルを整列する。
【0023】
a3)上記手続きa2)を通じて整列された縦特性値に対して各行ごとに縦特性値が大きい順に所定個数、より望ましくは20個の縦特性値を決定する。しかし、上記手続きa3)によっては左心室隔壁、左心室中隔及び右心室中隔部分に該当するピクセルに縦特性値が集中し、左心室隔壁、左心室中隔及び右心室中隔に該当するエッジのみが抽出される。
【0024】
a4)上記手続きa3)を通じて決定された縦特性値に対応するピクセルの中で、x軸座標が最も大きい、即ち最も右側に位置するピクセルの次のx軸座標に該当する縦特性値から、再び縦特性値が大きい順に10個の縦特性値を決定する。この手続きは右心室隔壁部分に該当する縦特性値を決定し、即ち右心室隔壁に該当するエッジを抽出するためのものである。
【0025】
a5)上記手続きa3)及びa4)を通じて、映像プロセッサ130は図5aに見られる最初の超音波映像から縦特性値に対応するピクセルの位置を心臓の縦エッジに決定して図5bに示された通り、心臓の縦エッジを抽出する。図5bにおいて、図面符号510は上記手続きa3)の結果を示し、図面符号530は上記手続きa4)の結果を示し、図面符号520は上記手続きa3)で縦特性値が最も大きなピクセルの位置を示す。
【0026】
また、横エッジ抽出フィルタ330を用いて各ピクセルの横特性値を算出し、算出された横特性値を用いて心臓の横エッジ(より詳細には、弁膜とアペックス(Apex)の位置)を抽出する手続きについて詳細に説明すれば次の通りである。
【0027】
b1)超音波映像310の各ピクセルのグレーレベルに対して列方向に横エッジ抽出フィルタを適用して各ピクセルの横特性値を算出する。例えば、映像プロセッサ130は図4bに示された通り、超音波映像410において、x2及びy2座標で表現される基準ピクセルのグレーレベルf(2,2)の横特性値(g(2,2))を算出するため、図2bのような横エッジ抽出フィルタの中央、即ち(C2,R2)を超音波映像410の(x2,y2)ピクセルにマッチさせて基準ピクセル及びその周辺のピクセルをフィルタの大きさ通り選択する。続いて、選択されたピクセルの中の横エッジ抽出フィルタの中心行R2を基準に上側2つの行R0及びR1の10個のピクセルに対応する超音波映像ピクセルのグレーレベル、即ちf(x0〜x4,y0〜y1)の値を加算して第3加算値を得て、横エッジ抽出フィルタの中心行R2を基準に下側2つの行R3及びR4の10個のピクセルに対応する超音波映像ピクセルのグレーレベル、即ちf(x0〜x4,y3〜y4)の値を加算して第4加算値を得る。その後、映像プロセッサ130は第3加算値(即ち、0+1+3+4+9+2+4+9+3+4=39)と第4加算値(即ち、3+1+7+2+8+1+2+2+9+6=41)の差を求めた後、結果値の絶対値をとることによって、該当ピクセルの横特性値を算出する。即ち、映像プロセッサ130はx2及びy2座標のピクセル(f(2,2))の横特性値(g(2,2))として2を算出する。
【0028】
このような過程を残りのピクセルに同一に適用することによって、映像プロセッサ130は各ピクセルの横特性値を算出する。
【0029】
b2)上記手続きb1)を通じて算出された特性値を各列ごとに分析し、各列ごとに横特性値が大きい順にピクセルを整列する。
【0030】
b3)上記手続きb2)を通じて整列された横特性値に対して各列ごとに横特性値が大きい順に所定個数、より望ましくは10個の横特性値を決定し、決定された横特性値に対応するピクセルの位置を心臓の横エッジに決定する。
【0031】
このような手続きを通じて、映像プロセッサ130は図5cに示された通り、心臓の横エッジを抽出する。図5cにおいて、図面符号540は上記手続きb3)の結果を示す。
【0032】
映像プロセッサ130は前述した過程によって抽出された心臓の縦及び横エッジを用いて図5dに示されたような心臓のエッジ抽出境界候補モデルを形成する。ここで、図面符号550は縦エッジ抽出フィルタ320を用いて抽出された縦エッジ領域を示し、図面符号540は横エッジ抽出フィルタ330を用いて抽出された横エッジ領域を示す。
【0033】
続いて映像プロセッサ130は上記手続きを通じて形成されたエッジ抽出境界候補モデル(図5dを参照)に単純化処理を行って、単純化境界候補モデルを形成する。ここで、単純化処理は形態変換処理を行う形態学的演算(Morphological Operations)と、超音波映像の全ての連結成分を検索して同一の連結成分に存在する全てのピクセルに一つの固有ラベルを付与する連結成分ラベリング(Connected−Component Labeling)演算からなり、形態学的演算は変形浸食演算、縮小演算、膨張演算からなる。
【0034】
形態学的演算に対して図6a及び6bそして図7a及び7bを参照して下記のように詳細に説明する。
【0035】
浸食(Erosion)演算は全体映像における小さな物体を除去するか、あるいは物体を縮小させる演算であって、一般に演算が簡潔である3×3浸食マスクを用いて原映像と浸食マスクが正確に一致すれば1の値を割り当て、正確に一致しないと0の値を割り当てる。本実施例ではエッジ抽出境界候補モデル図5dを参照)で切れた部分を連結して小さなノイズを除去することができる4×4変形浸食マスクを用いる。4×4変形浸食マスクを用いてエッジ抽出境界候補モデルに変形浸食演算を行う手続きについて図6a及び6bを参照してさらに詳細に説明する。
【0036】
図示された通り、映像プロセッサ130はエッジ抽出境界候補モデル610の該当ピクセル及び該当ピクセルに隣接したピクセルを、4×4変形浸食マスク420と比較し、所定個数以上一致する場合、該当ピクセルに1を割り当て、所定個数以下に一致する場合、該当ピクセルに0を割り当てる。より詳細には、映像プロセッサ130は図6aに示された通り、エッジ抽出候補モデル610でx1及びy1座標に該当するピクセルに変形浸食演算を行うために、エッジ抽出候補モデル610でx0〜x3の列とy0〜y3の行に該当するピクセルを4×4変形浸食マスク620と比較して、13のピクセルが一致すると判断して、エッジ抽出候補モデル610のx1及びy1座標に1を割り当てる。一方、映像プロセッサ130は図6bに示された通りエッジ抽出候補モデル610でx1及びy5座標に該当するピクセルに変形浸食演算を行うために、エッジ抽出候補モデル610でx0〜x3の列とy4〜y7の行に該当するピクセルを4×4変形浸食マスク620と比較して、8個のピクセルが一致すると判断して、エッジ抽出候補モデル610のx1及びy5座標に0を割り当てる。
【0037】
このような変形浸食演算を行えば、図7aに示されたエッジ抽出境界候補モデルに存在する小さなノイズを図7bに示された通り、エッジ抽出境界候補モデルを損傷させずに除去することができる。
【0038】
縮小演算は変形浸食演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの大きさを縮小させる演算であって、映像プロセッサ130は次の数式2を用いて変形浸食演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの大きさを縮小させる。
【0039】
【数2】
式中、xとyは変形浸食演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの座標値であり、x’とy’は縮小演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの座標値であり、TxとTyは縮小因数である。
【0040】
映像プロセッサ130はこのような縮小演算を行うことによって、変形浸食演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルで連結されないエッジの距離を近くすることができる。
【0041】
膨張(Dilation)演算は縮小演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの最外郭ピクセルを拡張させる演算であって、縮小演算を行ったエッジ抽出境界候補モデル内に存在するホールのような空き空間を満たすか、あるいは短い距離の切れた領域を連結させる。映像プロセッサ130はこのような膨張演算を行うことによって、縮小演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルで連結されないエッジを連結させることができる。
【0042】
この後、映像プロセッサ130は膨張演算により膨張したエッジ抽出境界候補モデルに再び縮小演算を行うことによって、エッジ抽出境界候補モデル内に存在するホールを満たした後、本来の大きさに復元させる。
【0043】
続いて、図8bに示された通り、映像プロセッサ130は図8aに示された通り、形態学的演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルにノイズ成分を除去するための連結成分ラベリング演算を行う。連結成分ラベリング演算は心臓とノイズを区分する。ノイズを除去するために、4連結図(4 connectivity)を用いた順次連結成分アルゴリズム(Sequential Connected Components algorithm)を用いることによって、単純化境界候補モデルが形成される。
【0044】
続いて、映像プロセッサ130は単純化境界候補モデルに細線化アルゴリズムを適用して、細線化境界候補モデルを形成する。ここで、細線化アルゴリズムは厚い領域が含まれた映像の入力を受けて一つのピクセルの厚さ(より詳細には、中央線)の出力映像を生成するアルゴリズムである。
【0045】
前述したエッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルに基づいて心臓の左心室の境界ラインを自動で検出するのに必要なシードポイント及び最大照射半径を決定する過程について図9a〜9cそして図10を参照してさらに詳細に説明する。
【0046】
映像プロセッサ130は図2a及び図2bに示された縦及び横エッジ抽出フィルタを用いて抽出した超音波映像の各ピクセルの縦及び横特性値に基づいて、4つの特性ライン(左心室隔壁、左心室中隔、右心室中隔及び右心室隔壁)、アペックスライン及び二尖弁ラインをエッジ抽出境界候補モデルに設定する。
【0047】
より詳細には、映像プロセッサ130は図2aに示された縦エッジ抽出フィルタを用いて抽出した超音波映像の各ピクセルの縦及び横特性値に基づいて図9aに示されたような累積分布図を作る。その後、映像プロセッサ130は図9aの累積分布図を分析して最も左側のピーク開始部分を抽出して左心室隔壁ライン710を設定して、最も高いピークの開始部分を左心室中隔ライン720に設定する。また、映像プロセッサ130は最も高いピークの終了部分を右心室中隔ライン730に設定して、最も右側のピーク終了部分を右心室隔壁ライン740に設定する。ここで、映像プロセッサ130は左心室隔壁ライン710と右心室隔壁ライン740を用いて超音波映像の心臓外部のノイズを除去することができる。
【0048】
一方、映像プロセッサ130は図2bに示された横エッジ抽出フィルタを用いて抽出した超音波映像の各ピクセルの特性値に基づいて前述したところと同一に累積分布図(図示せず)を作る。その後、映像プロセッサ130は生成された累積分布図を分析して最も左側のピーク開始部分をアペックスライン840に設定して、最も右側のピーク開始部分を二尖弁ライン830に設定する。
【0049】
続いて、映像プロセッサ130は左心室隔壁ライン710、左心室中隔ライン720、二尖弁ライン830及びアペックスライン840がなす四角形の対角線の中心をシードポイント850に設定する。そして、映像プロセッサ130はシードポイント850で四角形の頂点までの距離を最大照射半径rに設定する。即ち、対角線長さの1/2を最大照射半径rに設定する。ここで、最大照射半径rを設定する理由は、映像プロセッサ130がシードポイント850で左心室の境界を照射する時に左心室の境界が連結されていないと左心室の境界を超えた範囲で左心室の境界を検索することとなり、これを防止するためである。
【0050】
上記のような手続き通り、シードポイント850及び最大照射半径rが設定されれば、映像プロセッサ130はシードポイント850と最大照射半径rを用いてエッジ抽出境界候補モデル(図11a)、単純化境界候補モデル(図11b)及び細線化境界候補モデル(図11c)から心臓の左心室の境界ラインを自動で検出する。左心室の境界ラインを自動で検出する手続きに対して図11〜図13を参照して説明すれば次の通りである。
1)映像プロセッサ130はエッジ抽出境界候補モデル(図11a)と単純化境界候補モデル(図11b)でシードポイント850を基準として放射方向に最大照射半径rまで照射して左心室の境界が存在するかを識別する。
2)エッジ抽出境界候補モデル(図11a)と単純化境界候補モデル(図11b)いずれも左心室の境界が存在すると識別されれば、映像プロセッサ130はエッジ抽出境界候補モデルの左心室の境界位置を検出する。
3)映像プロセッサ130は手続き2)で検出された左心室の境界位置に基づいて、超音波診断システムを介して最初に得られた心臓の超音波映像(図5a参照)の該当位置に左心室の境界ポイントを設定する。
4)映像プロセッサ130はシードポイント850を基準として所定間隔で手続き1)〜3)を反復する。
5)もし手続き1)で、エッジ抽出境界候補モデル(図11a)及び単純化境界候補モデル(図11b)のうちいずれか一つの境界候補モデルの左心室の境界が存在しないと識別されれば、映像プロセッサ130は単純化境界候補モデル(図11b)の左心室の境界位置と細線化境界候補モデル(図11c)の左心室の境界位置の平均位置を算出する。
6)映像プロセッサ130は手続き5)で算出された平均位置に基づいて、超音波診断システムを介して最初に得られた心臓の超音波映像(図5a参照)の該当位置に左心室の境界ポイントを設定する。
【0051】
上述したような手続きを通じて、映像プロセッサ130は図12に示された通り所定個数、より望ましくは40個の左心室の境界ポイントを設定する。上記手続きを数式的に表現すれば数式3の通りである。
【0052】
【数3】
式中、EAは図11aのエッジ抽出境界候補モデル、SEは図11bの単純化境界候補モデル、TEは図11cの細線化境界候補モデルを示し、「Contour={SE∩EA}」はSEとEAが交集合、即ちSE及びEAいずれも左心室の境界が存在することを示し、「if(Contour==φ)」はSEとEAが空集合、即ちSEまたはEAのうちのいずれか一つの境界が切れている場合を示し、「Contour={average(SE, TE)}」はSEとEAが空集合の場合、SEとTEの平均値で境界ポイントを決定することを示す。
【0053】
その後、映像プロセッサ130は図13に示された通り、抽出された左心室の境界ポイントにベジェスプライン(Bezier Spline)を適用して左心室の境界ラインをモデリングする。より詳細には、映像プロセッサ130は抽出した左心室の境界ポイントごとに境界ラインの候補をモデリングして、境界ラインの候補モデルから境界ラインポイントを抽出した後、抽出された境界ラインポイントを用いてベジェスプラインを求めることによって、左心室の心臓内膜を軟らかい曲線で連結する。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、当業者であれば添付した請求範囲の思想及び範疇を逸脱せずに様々な変形及び変更がなされることができることが分かる。
【0055】
本発明によれば、超音波映像を用いて対象体の境界を自動で検出することによって、使用者の労力と時間を減少させることができ、使用者間で測定結果が相違することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態による超音波診断システムを示すブロック図。
【図2a】本発明の実施の形態によって心臓の超音波映像の垂直エッジを抽出するためのフィルタの一例を示す図。
【図2b】本発明の実施の形態によって心臓の超音波映像の水平エッジを抽出するためのフィルタの一例を示す図。
【図3】本発明の実施の形態によってグレー値で示された心臓の超音波映像とエッジ抽出フィルタを示す例示図。
【図4a】本発明の実施の形態によって縦エッジ抽出フィルタを用いてピクセルの特性値を算出する例を示す例示図。
【図4b】本発明の実施の形態によって横エッジ抽出フィルタを用いてピクセルの特性値を算出する例を示す例示図。
【図5a】図2a及び図2bのフィルタを通過させる前の超音波映像を示す図。
【図5b】図5aの映像を図2aの縦エッジ抽出フィルタに通過させた後の超音波映像を示す図。
【図5c】図5aの映像を図2bの横エッジ抽出フィルタに通過させた後の超音波映像を示す図。
【図5d】図2a及び図2bのフィルタを通過させた後の超音波映像を示す図。
【図6a】本発明の実施の形態による4×4変形浸食マスクを用いた変形浸食演算の手続きを示す説明図。
【図6b】本発明の実施の形態による4×4変形浸食マスクを用いた変形浸食演算の手続きを示す説明図。
【図7a】本発明の実施の形態によって変形浸食演算を行う前の超音波映像を示す例示図。
【図7b】本発明の実施の形態によって変形浸食演算を行った後の超音波映像を示す例示図。
【図8a】本発明の実施の形態によって形態学的演算を行った後の超音波映像を示す例示図。
【図8b】本発明の実施の形態によって連結成分標識演算を行った後の超音波映像を示す図。
【図9a】本発明の実施の形態によってピクセル特性値を用いて生成した累積分布図と累積分布図を用いて抽出された4つの特性ラインを示す説明図。
【図9b】図9aにより抽出された4つの特性ラインをエッジ抽出境界候補モデルに適用した例示図。
【図10】本発明の実施の形態による4つの特性ラインとシードポイントを示す説明図。
【図11】本発明の実施の形態によるエッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルを示す図。
【図12】本発明の実施の形態によって抽出された境界ポイントを示す図。
【図13】図12の境界ポイントにベジェスプラインを適用した図。
【符号の説明】
【0057】
100:超音波診断システム 110:プローブ
112:トランスデューサ 120:ビームフォーマー
130:映像プロセッサ 140:メモリ部
150:ディスプレイ装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波映像から対象体の境界を自動で検出する方法において、
a)上記超音波映像からエッジを検出してエッジ抽出境界候補モデルを形成する段階と、
b)上記エッジ抽出境界候補モデルに単純化演算を行って単純化境界候補モデルを形成する段階と、
c)上記単純化境界候補モデルに細線化演算を行って細線化境界候補モデルを形成する段階と、
d)上記エッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルに基づいて上記超音波映像から対象体の境界を検出する段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
上記段階a)は
a1)縦エッジ抽出フィルタを用いて上記超音波映像の縦エッジを抽出する段階と、
a2)横エッジ抽出フィルタを用いて上記超音波映像の横エッジを抽出する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記段階a1)は
a11)上記超音波映像の各ピクセルに対して行方向に上記縦エッジ抽出フィルタを適用して上記超音波映像の各ピクセルの特性値を算出する段階と、
a12)上記算出された特性値に対して行単位で分析し、特性値が大きい順に順序化する段階と、
a13)上記順序化された特性値に対して特性値が大きい順に所定個数の特性値を決定する段階と、
a14)上記決定された特性値に対応するピクセルの位置をエッジ位置として決定する段階を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記段階a13)は上記決定された特性値に対応するピクセルの中で、最も右側に位置するピクセルのすぐ次のピクセルに対応する特性値から再び大きい順に所定個数の特性値を決定する段階を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記段階a2)は
a21)上記超音波映像の各ピクセルに対して列方向に上記横エッジ抽出フィルタを適用して上記超音波映像の各ピクセルの特性値を算出する段階と、
a22)上記算出された特性値に対して列単位で分析し、特性値が大きい順に順序化する段階と、
a23)上記順序化された特性値に対して特性値が大きい順に所定個数の特性値を決定する段階と、
a24)上記決定された特性値に対応するピクセルの位置をエッジ位置として決定する段階を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
上記段階a)は下記数式を通じて上記超音波映像のエッジを抽出することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の方法。
式中、f(x,y)は超音波映像の各ピクセルを示し、w(x,t)は縦または横エッジ抽出フィルタを示し、g(x,y)は各ピクセルに対して縦または横エッジ抽出フィルタを適用した結果を示し、sとtはフィルタの大きさを示す。
【請求項7】
上記段階b)は
b1)上記エッジ抽出境界候補モデルに形態変換を行うための形態学的演算(Morphological Operations)を行う段階と、
b2)上記形態学的演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルに、連結成分を検索して同一の連結成分に存在するピクセルに一つの固有ラベルを付与するための連結成分ラベリング(Connected−Component Labeling)演算を行う段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記段階b1)は
b11)上記エッジ抽出境界候補モデルに、連結されない部分を連結して小さなノイズを除去するための浸食演算を行う段階と、
b12)上記浸食演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルに、大きさを縮小させて切れたエッジを連結するための縮小演算を行う段階と、
b13)上記縮小演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルに、最外郭ピクセルを拡張するための膨張演算を行う段階と、
b14)上記膨張演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルに、上記浸食演算を行う段階を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記段階b11)は
e1)所定の大きさのマスクを用いて上記エッジ抽出境界候補モデルの各ピクセル及び上記各ピクセルに隣接したピクセルを上記マスクと比較する段階と、
e2)上記各ピクセル及び上記各ピクセルに隣接したピクセルが上記マスクと所定個数以上一致したと判断されれば、上記各ピクセルに1を割り当てる段階と、
e3)上記各ピクセル及び上記各ピクセルに隣接したピクセルが上記マスクと所定個数以下一致したと判断されれば、上記各ピクセルに0を割り当てる段階を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記段階b12)は下記数式を通じて上記縮小演算を行うことを特徴とする請求項8に記載の方法。
式中、xとyは上記浸食演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの座標値を示し、TxとTyは縮小因数を示し、x’とy’は上記縮小演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの座標値を示す。
【請求項11】
上記段階d)は
d1)上記エッジ抽出候補境界モデルにエッジ境界を表示する所定個数の特性ラインを設定する段階と、
d2)上記設定された特性ラインに基づいて、シードポイントを抽出する段階と、
d3)上記抽出されたシードポイントと、上記エッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルに基づいて、上記超音波映像に所定個数の境界ポイントを設定する段階と、
d4)上記所定個数の境界ポイントを用いて上記超音波映像の対象体の境界ラインをモデリングする段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
上記段階d1)は
d11)縦エッジ抽出フィルタにより抽出された上記超音波映像の特性値に基づいて縦エッジの特性ラインを設定する段階と、
d12)横エッジ抽出フィルタにより抽出された上記超音波映像の特性値に基づいて横エッジの特性ラインを設定する段階を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記段階d11)は
f1)上記縦エッジ抽出フィルタにより抽出された特性値を用いて縦エッジ累積分布図を生成する段階と、
f2)上記生成された縦エッジ累積分布図を分析して上記累積分布図のピーク開始部分とピーク終了部分を検出する段階と、
f3)上記検出されたピーク開始部分とピーク終了部分を上記縦エッジの特性ラインに設定する段階を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記段階d12)は
g1)上記横エッジ抽出フィルタにより抽出された特性値を用いて横エッジ累積分布図を生成する段階と、
g2)上記生成された横エッジ累積分布図を分析して上記累積分布図のピーク開始部分とピーク終了部分を検出する段階と、
g3)上記検出されたピーク開始部分とピーク終了部分を上記横エッジの特性ラインに設定する段階を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
上記段階d2)は
d21)上記特性ラインがなす図形の中心をシードポイントと設定する段階と、
d22)上記設定されたシードポイントで上記特性ラインがなす図形の頂点までの距離を最大照射半径に設定する段階を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
上記段階d3)は
d31)上記シードポイントから放射方向に上記エッジ抽出境界候補モデルの境界と単純化境界候補モデルの境界を分析する段階と、
d32)上記エッジ抽出境界候補モデルの境界と単純化境界候補モデルの境界が共通に存在する領域が存在するかを判断する段階と、
d33)共通に存在する領域があると判断されれば、上記領域に基づいて上記超音波映像の該当位置に境界ポイントを設定する段階を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
上記段階d3)は
d34)上記段階d32)で共通に存在する領域がないと判断されれば、上記単純化境界候補モデル及び上記細線化境界候補モデルの境界領域の平均領域を算出する段階と、
d35)上記算出された平均領域に基づいて、上記超音波映像の該当位置に境界ポイントを設定する段階をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
上記段階d4)は
d41)上記各境界ポイントに境界ラインの候補をモデリングする段階と、
d42)上記境界ライン候補から境界ラインポイントを抽出する段階と、
d43)上記抽出された境界ラインポイントを用いて曲線で連結する段階を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
上記段階d43)は上記抽出された境界ラインポイントにベジェスプラインを適用して上記境界ラインポイントを曲線で連結することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
超音波を対象体に送信して対象体から反射された超音波信号を受信して超音波映像を提供する超音波診断システムにおいて、
上記超音波診断システムは映像プロセッサを含み、
上記映像プロセッサは上記超音波映像からエッジを検出してエッジ抽出境界候補モデルを形成し、上記エッジ抽出境界候補モデルに単純化演算を行って単純化境界候補モデルを形成し、上記単純化境界候補モデルに細線化演算を行って細線化境界候補モデルを形成し、上記エッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルに基づいて上記超音波映像から対象体の境界を検出することを特徴とする超音波診断システム。
【請求項21】
上記映像プロセッサは縦エッジ抽出フィルタを用いて上記超音波映像の縦エッジを抽出し、横エッジ抽出フィルタを用いて上記超音波映像の横エッジを抽出してエッジ抽出境界候補モデルを形成することを特徴とする請求項20に記載の超音波診断システム。
【請求項1】
超音波映像から対象体の境界を自動で検出する方法において、
a)上記超音波映像からエッジを検出してエッジ抽出境界候補モデルを形成する段階と、
b)上記エッジ抽出境界候補モデルに単純化演算を行って単純化境界候補モデルを形成する段階と、
c)上記単純化境界候補モデルに細線化演算を行って細線化境界候補モデルを形成する段階と、
d)上記エッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルに基づいて上記超音波映像から対象体の境界を検出する段階を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
上記段階a)は
a1)縦エッジ抽出フィルタを用いて上記超音波映像の縦エッジを抽出する段階と、
a2)横エッジ抽出フィルタを用いて上記超音波映像の横エッジを抽出する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記段階a1)は
a11)上記超音波映像の各ピクセルに対して行方向に上記縦エッジ抽出フィルタを適用して上記超音波映像の各ピクセルの特性値を算出する段階と、
a12)上記算出された特性値に対して行単位で分析し、特性値が大きい順に順序化する段階と、
a13)上記順序化された特性値に対して特性値が大きい順に所定個数の特性値を決定する段階と、
a14)上記決定された特性値に対応するピクセルの位置をエッジ位置として決定する段階を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
上記段階a13)は上記決定された特性値に対応するピクセルの中で、最も右側に位置するピクセルのすぐ次のピクセルに対応する特性値から再び大きい順に所定個数の特性値を決定する段階を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記段階a2)は
a21)上記超音波映像の各ピクセルに対して列方向に上記横エッジ抽出フィルタを適用して上記超音波映像の各ピクセルの特性値を算出する段階と、
a22)上記算出された特性値に対して列単位で分析し、特性値が大きい順に順序化する段階と、
a23)上記順序化された特性値に対して特性値が大きい順に所定個数の特性値を決定する段階と、
a24)上記決定された特性値に対応するピクセルの位置をエッジ位置として決定する段階を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
上記段階a)は下記数式を通じて上記超音波映像のエッジを抽出することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の方法。
式中、f(x,y)は超音波映像の各ピクセルを示し、w(x,t)は縦または横エッジ抽出フィルタを示し、g(x,y)は各ピクセルに対して縦または横エッジ抽出フィルタを適用した結果を示し、sとtはフィルタの大きさを示す。
【請求項7】
上記段階b)は
b1)上記エッジ抽出境界候補モデルに形態変換を行うための形態学的演算(Morphological Operations)を行う段階と、
b2)上記形態学的演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルに、連結成分を検索して同一の連結成分に存在するピクセルに一つの固有ラベルを付与するための連結成分ラベリング(Connected−Component Labeling)演算を行う段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記段階b1)は
b11)上記エッジ抽出境界候補モデルに、連結されない部分を連結して小さなノイズを除去するための浸食演算を行う段階と、
b12)上記浸食演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルに、大きさを縮小させて切れたエッジを連結するための縮小演算を行う段階と、
b13)上記縮小演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルに、最外郭ピクセルを拡張するための膨張演算を行う段階と、
b14)上記膨張演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルに、上記浸食演算を行う段階を含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記段階b11)は
e1)所定の大きさのマスクを用いて上記エッジ抽出境界候補モデルの各ピクセル及び上記各ピクセルに隣接したピクセルを上記マスクと比較する段階と、
e2)上記各ピクセル及び上記各ピクセルに隣接したピクセルが上記マスクと所定個数以上一致したと判断されれば、上記各ピクセルに1を割り当てる段階と、
e3)上記各ピクセル及び上記各ピクセルに隣接したピクセルが上記マスクと所定個数以下一致したと判断されれば、上記各ピクセルに0を割り当てる段階を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記段階b12)は下記数式を通じて上記縮小演算を行うことを特徴とする請求項8に記載の方法。
式中、xとyは上記浸食演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの座標値を示し、TxとTyは縮小因数を示し、x’とy’は上記縮小演算を行ったエッジ抽出境界候補モデルの座標値を示す。
【請求項11】
上記段階d)は
d1)上記エッジ抽出候補境界モデルにエッジ境界を表示する所定個数の特性ラインを設定する段階と、
d2)上記設定された特性ラインに基づいて、シードポイントを抽出する段階と、
d3)上記抽出されたシードポイントと、上記エッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルに基づいて、上記超音波映像に所定個数の境界ポイントを設定する段階と、
d4)上記所定個数の境界ポイントを用いて上記超音波映像の対象体の境界ラインをモデリングする段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
上記段階d1)は
d11)縦エッジ抽出フィルタにより抽出された上記超音波映像の特性値に基づいて縦エッジの特性ラインを設定する段階と、
d12)横エッジ抽出フィルタにより抽出された上記超音波映像の特性値に基づいて横エッジの特性ラインを設定する段階を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記段階d11)は
f1)上記縦エッジ抽出フィルタにより抽出された特性値を用いて縦エッジ累積分布図を生成する段階と、
f2)上記生成された縦エッジ累積分布図を分析して上記累積分布図のピーク開始部分とピーク終了部分を検出する段階と、
f3)上記検出されたピーク開始部分とピーク終了部分を上記縦エッジの特性ラインに設定する段階を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記段階d12)は
g1)上記横エッジ抽出フィルタにより抽出された特性値を用いて横エッジ累積分布図を生成する段階と、
g2)上記生成された横エッジ累積分布図を分析して上記累積分布図のピーク開始部分とピーク終了部分を検出する段階と、
g3)上記検出されたピーク開始部分とピーク終了部分を上記横エッジの特性ラインに設定する段階を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項15】
上記段階d2)は
d21)上記特性ラインがなす図形の中心をシードポイントと設定する段階と、
d22)上記設定されたシードポイントで上記特性ラインがなす図形の頂点までの距離を最大照射半径に設定する段階を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
上記段階d3)は
d31)上記シードポイントから放射方向に上記エッジ抽出境界候補モデルの境界と単純化境界候補モデルの境界を分析する段階と、
d32)上記エッジ抽出境界候補モデルの境界と単純化境界候補モデルの境界が共通に存在する領域が存在するかを判断する段階と、
d33)共通に存在する領域があると判断されれば、上記領域に基づいて上記超音波映像の該当位置に境界ポイントを設定する段階を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項17】
上記段階d3)は
d34)上記段階d32)で共通に存在する領域がないと判断されれば、上記単純化境界候補モデル及び上記細線化境界候補モデルの境界領域の平均領域を算出する段階と、
d35)上記算出された平均領域に基づいて、上記超音波映像の該当位置に境界ポイントを設定する段階をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項18】
上記段階d4)は
d41)上記各境界ポイントに境界ラインの候補をモデリングする段階と、
d42)上記境界ライン候補から境界ラインポイントを抽出する段階と、
d43)上記抽出された境界ラインポイントを用いて曲線で連結する段階を含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項19】
上記段階d43)は上記抽出された境界ラインポイントにベジェスプラインを適用して上記境界ラインポイントを曲線で連結することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
超音波を対象体に送信して対象体から反射された超音波信号を受信して超音波映像を提供する超音波診断システムにおいて、
上記超音波診断システムは映像プロセッサを含み、
上記映像プロセッサは上記超音波映像からエッジを検出してエッジ抽出境界候補モデルを形成し、上記エッジ抽出境界候補モデルに単純化演算を行って単純化境界候補モデルを形成し、上記単純化境界候補モデルに細線化演算を行って細線化境界候補モデルを形成し、上記エッジ抽出境界候補モデル、単純化境界候補モデル及び細線化境界候補モデルに基づいて上記超音波映像から対象体の境界を検出することを特徴とする超音波診断システム。
【請求項21】
上記映像プロセッサは縦エッジ抽出フィルタを用いて上記超音波映像の縦エッジを抽出し、横エッジ抽出フィルタを用いて上記超音波映像の横エッジを抽出してエッジ抽出境界候補モデルを形成することを特徴とする請求項20に記載の超音波診断システム。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6a】
【図6b】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−192254(P2006−192254A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333082(P2005−333082)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(597096909)株式会社 メディソン (269)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(597096909)株式会社 メディソン (269)
【Fターム(参考)】
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