説明

距離算出通信装置、距離算出通信装置に用いる距離算出プログラム

【課題】 相手側通信装置との間における当事者以外による不正通信を防止するべく、相手側通信装置との距離を確実に算出することができる距離算出通信装置、距離算出通信装置に用いる距離算出プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】 相手側通信装置との間の距離を算出するための距離算出用信号を送信する送信部と、相手側通信装置から返信された距離算出用信号を受信することによって、送信したときの当該距離算出用信号と、受信したときの当該距離算出用信号と、の位相差を検出する検出部と、検出部にて検出された位相差に基づいて、相手側通信装置との間の距離を算出する算出部と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離算出通信装置、距離算出通信装置に用いる距離算出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、所定の処理を実行すべく相互に通信を行う通信装置として、例えばパッシブキーレスエントリーシステムを搭載した自動車における車載機と携帯機がある。
【0003】
以下、パッシブキーレスエントリーシステムを搭載した自動車における車載機と携帯機の通信について詳述する。車載機は、自動車の例えば運転席側のドアに設けられ、携帯機は、当該自動車の所有者(以下、携帯者という)が所持しているものとする。そして、携帯者は、自動車のエンジンを停止し、ドアを開けて車外に出たものとする。
【0004】
車載機は、車載機と携帯機の通信可能範囲(エリア)内に携帯機があるか否かを判別するための信号(以下、信号Aという)を送信する。携帯者が通信可能範囲内にいるときは、携帯機は車載機からの信号Aを受信し、当該信号Aに応じた信号Bを送信する。車載機は携帯機からの信号Bを受信すると、通信可能範囲内に携帯機があると判別する。尚、車載機からの信号Aの送信は所定の間隔で繰り返し行われる。
【0005】
仮に、携帯者が通信可能範囲外に出てしまった場合、携帯機は車載機からの信号Aを受信できなくなる。そのため、車載機は携帯機からの信号Aに応じた信号Bを受信しなくなる。車載機は、例えば携帯機からの信号Bを予め定められた時間受信しなくなると、自動車内部に別途設けられた制御部に当該自動車のドアをロックさせるための指示信号を送信する。制御部は、車載機からの当該指示信号に基づいて、自動車のドアをロックさせる。よって携帯者が自動車から離れ、携帯機が通信可能範囲外となると、自動車のドアはロックされることとなる。
【0006】
次に、一旦は通信可能範囲外に出た携帯者が、再び通信可能範囲内に戻ってきた場合、携帯機は車載機からの信号Aを受信する。そして、携帯機は信号Bを送信することとなる。車載機は携帯機からの信号Bを受信すると、携帯機が当該自動車に対応したものであるか否かを判別するため、例えば携帯機の情報を読み出すための読出信号を送信する。携帯機は、車載機からの読出信号に基づいて、携帯機情報を送信する。車載機は、携帯機からの携帯機情報に基づいて、携帯機が当該自動車に対応したものであるか否かを判別する。そして車載機は、携帯機が当該自動車に対応したものであると判別すると、前述した制御部に当該自動車のドアをアンロックさせるための指示信号を送信する。制御部は、車載機からの当該指示信号に基づいて、自動車のドアをアンロックさせる。
【0007】
このように、パッシブキーレスエントリーシステムが搭載された自動車においては、自動車のキー(鍵)を鍵穴に差し込むことなく、車載機と携帯機が通信を行うことにより、当該自動車のドアをロック又はアンロックさせることを可能としている。
【特許文献1】特開2000−198420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、パッシブキーレスエントリーシステムが搭載された自動車の前述したような車載機と携帯機の通信において、いわゆるリレーアタックが行われた場合、当該自動車が窃盗される可能性があった。このリレーアタックとは、携帯者が通信可能範囲から出てしまうことにより本来であれば車載機と携帯機の通信ができなくなる状態であっても、中継機を用いることによって車載機と携帯機の通信を可能とさせ、自動車のドアをアンロックとさせて当該自動車を盗む窃盗手口のことをいう。
【0009】
以下、図12を用いてリレーアタックについて詳述する。図12は、中継機A、Bを介した車載機101と携帯機102の通信を示す図である。車載機101は、例えば運転席側のドアに設けられており、前述した信号Aを送信する。車載機101は、破線Cで示される通信範囲内において信号の送受信が可能である。携帯機102は、前述したように車載機101からの信号Aを受信すると、当該信号Aに応じた信号Bを送信する。尚、携帯機102は、破線Dで示される通信範囲内において信号の送受信が可能である。
【0010】
携帯者が通信可能範囲を出てしまうと、前述したように車載機101には携帯機102からの信号Aに応じた信号Bが送信されなくなり、制御部(不図示)は車載機101からの指示信号に基づいてドアをロックさせる。
【0011】
このとき、自動車を窃盗しようとする中継者X、Yがいるとする。中継者Xは、中継機Aを所持して車載機101を通信範囲C内に入れる。また、中継者Yは、中継機Bを所持して携帯者の傍に行き、中継機Bを携帯機102の通信範囲D内に入れる。中継者Xが所持する中継機Aは車載機101の通信範囲C内に入っているため信号Aを受信し、中継機Aは信号Aを検波し、増幅してから送信する。中継機Aは信号Aを増幅させることによって、車載機101の通信範囲Cよりも広い範囲で信号Aを送信可能としている。中継機Aにて増幅された信号Aを中継者Yが所持する中継機Bが受信すると、中継機Bは当該増幅された信号Aを検波して、例えば中継機Aが増幅する前のレベルの信号Aに減衰して送信する。このとき、中継機Bは携帯機102の通信範囲D内に入っているため、中継機Bにて減衰された信号Aを携帯機102が受信する。携帯機102は、車載機101からの信号Aが送信されてきたものとして、当該信号Aに応じた信号Bを送信する。信号Bを中継機Bが受信すると、中継機Bは信号Bを検波し、増幅してから送信する。中継機Bは、信号Bを増幅させることによって、携帯機102の通信範囲Dよりも広い範囲で信号Bを送信可能としている。中継機Bにて増幅された信号Bを中継機Aが受信すると、中継機Aは当該増幅された信号Bを検波して、例えば中継機Bが増幅する前のレベルの信号Bに減衰して送信する。このとき、前述したように中継機Aは車載機101の通信範囲C内に入っているため、中継機Aにて減衰された信号Bを車載機101が受信する。そのため車載機101は、信号Aに応じた信号Bを受信することにより、携帯機102が通信可能範囲内にあるものと判別する。そして、車載機101は、自動車のドアをアンロックさせるための前述した処理を行うこととなる。そして、アンロックされた自動車に例えば中継者Xが乗り込み、当該自動車が盗まれることとなる。
【0012】
このように、中継機A、Bが介在する車載機101と携帯機102の通信においては、車載機101が中継機A、Bを介して信号Bを受信することにより、携帯機102が通信可能範囲内にあると判別する可能性があった。そのため、車載機101は自動車のドアをアンロックさせるための指示信号を制御部に送信し、制御部は携帯者が通信可能範囲内にいないにもかかわらず、ドアをアンロックしてしまう可能性があった。
【0013】
そこで、本発明は、相手側通信装置(例えば携帯機)との間における当事者以外による不正通信を防止するべく、相手側通信装置との距離を確実に算出することができる距離算出通信装置、距離算出通信装置に用いる距離算出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するための発明として、距離算出通信装置は、相手側通信装置との間の距離を算出するための距離算出用信号を送信する送信部と、前記相手側通信装置から返信された前記距離算出用信号を受信することによって、送信したときの当該距離算出用信号と、受信したときの当該距離算出用信号と、の位相差を検出する検出部と、前記検出部にて検出された前記位相差に基づいて、前記相手側通信装置との間の距離を算出する算出部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
更に、距離算出通信装置に用いる距離算出プログラムは、相手側通信装置との間の距離を算出する距離算出通信装置を送信し、前記相手側通信装置から返信された前記距離算出用信号を受信することによって、送信したときの当該距離算出用信号と、受信したときの当該距離算出用信号と、の位相差を検出し、検出された前記位相差に基づいて前記相手側通信装置との間の距離を算出する、ことを可能とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、相手側通信装置との距離を確実に算出することができ、相手側通信装置との間における当事者以外による不正通信を防止することができる距離算出通信装置、距離算出通信装置に用いる距離算出プログラムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0018】
<<第1の実施形態>>
===距離算出通信装置と相手側通信装置の全体構成例===
図1を参照しつつ、本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置について説明する。図1は、本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の全体構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0019】
尚、本実施形態では距離算出通信装置と相手側通信装置は、例えば自動車のドアをキー操作せずにロック又はアンロックさせることが可能なパッシブキーレスエントリーシステムに用いられるものとして説明する。そして、距離算出通信装置は車載機1に用いられるものとし、相手側通信装置は携帯機2に用いられるものとして説明する。尚、車載機1は例えば自動車の運転席側ドアの車外ドアノブに設けられ、携帯機2は例えば当該自動車のキー(鍵)に設けられているものとする。
【0020】
尚、本実施形態では、車載機1から携帯機2への信号の通信において、低周波数(例えば125kHz)の搬送波を用いることとする。また携帯機2から車載機1への信号の通信において、高周波数(例えば312MHz)の搬送波を用いることとする。即ち、車載機1から携帯機2への通信においては、低周波数の搬送波で通信が行われるため通信速度が遅くなる。逆に、携帯機2から車載機1への通信においては、高周波数の搬送波で通信が行われるため通信速度が速くなる。通信速度が遅い低周波数を用いているのは、後述するように車載機1から信号を送信させた時間と当該信号が携帯機2を介して返信されてきた時間との信号の位相差(時間差でもよい)を意図的に生じさせるためである。また、携帯機2から車載機1への通信の場合、通信速度が速い高周波数を用いることによって、その間における位相差は車載機1から携帯機2への通信の際生じる位相差に比べ無視できる程度となる。つまり、車載機1から携帯機2への通信における意図的に生じさせた位相差のみをもって、車載機1と携帯機2の間の距離を算出することが可能となる。そのため、意図的な低周波数を車載機1から携帯機2への通信に用い、さらに高周波数を携帯機2から車載機1への通信に用いている。
【0021】
更に、前述したような車載機1から携帯機2への通信においては、ASK変調(振幅偏移変調:Amplitude Shift Keying)がなされた信号によって通信が行われる。何故ならば、車載機1から携帯機2へ信号を送信するための送信部7(送信部、変調部)と、車載機1からの信号を受信するための復調部24の回路構成が容易で、ある程度混信しても車載機1から携帯機2へ送信することが可能となるからである。また、携帯機2から車載機1への通信においては、FSK変調(周波数偏移変調:Frequency Shift Keying)がなされた信号によって通信が行われる。何故ならば、FSK変調がなされた信号は、ノイズによる影響を受けにくく、携帯機2から車載機1への情報を損失することなく確実に送信することが可能となるからである。
【0022】
そして、車載機1から携帯機2への通信の場合、前述した低周波数の搬送波を用いることにより、電磁波の強度が距離の3乗に反比例する磁界成分を利用することとなるため、通常通信距離は約1mとなる。一方、携帯機2から車載機1への通信の場合、前述した高周波数の搬送波を用いることにより、通常通信距離は5〜20mとなる。以下、車載機1と携帯機2の通信可能範囲をエリアという。
【0023】
車載機1は、CPU(Central Processing Unit)3(検出部、算出部、判別部、生成部)、カウンタ4、タイマ5、Flashメモリ6(記憶部)、送信部7、受信部8(復調部)、送信アンテナ9、受信アンテナ10、OSC26(発振回路:Oscillator)を有している。
【0024】
送信部7は、CPU3からの信号を125kHzの周波数の搬送波でASK変調する。
【0025】
送信アンテナ9は、送信部7にてASK変調された信号を送信する。
【0026】
受信アンテナ10は、携帯機2からのFSK変調された信号を受信する。
【0027】
受信部8は、受信アンテナ10が受信した携帯機2からのFSK変調された信号を復調する。
【0028】
CPU3は、車載機1を統括制御するために設けられている。Flashメモリ6には、CPU3が後述する処理を行うためのプログラムデータが予め記憶されている。また、Flashメモリ6には、CPU3が自動車のドアをアンロックするための処理を行う際、受信部8にて復調された携帯機2からのデータと照合を行うためのコード信号、個人データが予め記憶されている。更に、Flashメモリ6には、受信部8にて復調された携帯機2からの暗号化個人データ(CPU3によって前述した個人データと照合されるべく携帯機2のFlashメモリ13に記憶されている暗号化された個人データ)を解読するための暗号化解読プログラムが予め記憶されている。Flashメモリ6は、データを電気消去することによりデータを繰り返し書き込み読み出しできる不揮発性記憶素子で構成される。
【0029】
タイマ5は、CPU3からの指示に基づいて時間を計時する。
【0030】
OSC26は、所定周波数のクロック(CLK0)をCPU3に送信する。
【0031】
カウンタ4は、CPU3からの指示に基づいて、CPU3から送信部7に送信される車載機1から携帯機2までの距離を算出するための信号(以下、距離算出用信号という)の立上りから、OSC26からのクロックの例えば立ち上がりをカウントする。そして、カウンタ4は、受信部8にて復調された距離算出用信号の立ち上がりまで、OSC26からのクロックの立ち上がりをカウントする。また、カウンタ4のカウント値は、CPU3からの指示に基づいてリセットされる。
【0032】
CPU3は、前述した距離算出用信号を送信部7に送信するとともにカウンタ4をリセットさせてカウントを開始させる。また、CPU3は、タイマ5をリセットさせて計時を開始させる。CPU3は、受信部8にて復調された携帯機2からの距離算出用信号を受信すると、カウンタ4のカウント値を読み出す。CPU3は、当該カウント値を基に車載機1から携帯機2までの距離を算出する。つまり、距離算出用信号を送信部7に送信した時間から、携帯機2を介して距離算出用信号が返信されてきた時間までの両信号の位相差を示すカウント値が得られ、CPU3は車載機1から携帯機2までの距離を算出することができる。例えば、OSC26からのクロックの周波数が15.75kHzである場合、携帯機2を介して距離算出用信号が返信されてきたときのカウンタ4のカウント値が250となっていたとき、このときの位相差は約15.87(msec)となる。そして、位相差が約15.87(msec)のときの車載機1から携帯機2までの距離は約1(m)となることが、例えば実験からもとめられているものとする。この実験からもとめられたカウント値に対応した距離データは、例えばFlashメモリ6にテーブルデータとして予め記憶されている。CPU3は、当該算出された距離が予め定められた距離未満(例えば、1m)であるか否かを判別する。そして、CPU3は、当該算出された距離が前述した予め定められた距離未満であると判別すると、携帯機2のインバータ21を不動作状態とするための信号(以下、識別信号という)を送信部7に送信する。また、CPU3は、Flashメモリ6に記憶されているコード信号に応じたコード信号を携帯機2から読み出すための信号(以下、コード読出信号という)を送信部7に送信する。CPU3は、受信部8にて復調された携帯機2からのコード信号が送信される。CPU3は、携帯機2からのコード信号とFlashメモリ6からのコード信号が所定の関係を有していると判別した場合、前述した暗号化個人データを読み出すための信号(以下、暗号化個人データ読出信号という)を送信部7に送信する。CPU3は、受信部8にて復調された携帯機2からの暗号化個人データが送信される。CPU3は、Flashメモリ6に記憶されている暗号化解読プログラムに基づいて、当該暗号化個人データの解読を行う。CPU3は、解読した個人データとFlashメモリ6からの個人データが一致すると判別した場合、自動車の何れのドア(例えば自動車の全てのドア又は運転席側のドアの何れか)をアンロックするのかを確認するための信号(以下、入力確認信号という)を送信部7に送信する。CPU3には、受信部8にて復調された携帯機2からの入力確認信号に応じた入力信号が送信される。CPU3は、受信部8にて復調された携帯機2からの入力信号に基づいて、自動車のドアをアンロックするための指示信号を、自動車内に別途設けた制御部(不図示)に送信する。また、CPU3は、携帯機2が通信可能範囲内あるか否かを判別するための信号(以下、エリア内確認信号Aという)を送信部7に送信する。このとき、CPU3は、タイマ5をリセットさせて、計時を開始させる。CPU3は、当該エリア内確認信号Aに対応する信号(以下、エリア内確認信号Bという)が、予め定められた時間内(図4・t1)に携帯機2から送信されてくるか否かを判別する。CPU3は、当該エリア内確認信号Bが予め定められた時間内に、携帯機2から送信されてこないと判別すると、自動車のドアをロックするための指示信号を、前述した制御部に送信する。尚、CPU3のこれらの機能は、前述したFlashメモリ6から読み出されたプログラムデータの解読結果に基づいて、CPU3が当該プログラムを実行することによって実現される。CPU3は、Flashメモリ6のアドレスを指定するアドレスカウンタ(不図示)、Flashメモリ6から読み出されるプログラムデータを解読するプログラムロジックアレイ(不図示)、論理演算を行う演算論理ユニット(不図示)、演算データを一時格納するレジスタ(不図示)等を有する。
【0033】
携帯機2は、CPU11、入力部12、Flashメモリ13、復調部24、変調部25、受信アンテナ18、送信アンテナ19、インバータ20、21、22、フラグ23、タイマ27を有している。
【0034】
受信アンテナ18は、車載機1からのASK変調された信号を受信する。
【0035】
復調部24は、例えばRF16(Radio Frequency)、DET14(Detector)から構成されている。復調部24は、受信アンテナ18からのASK変調された信号を復調する。
【0036】
変調部25は、例えばRF17、変調器15から構成されている。変調部25は、CPU11からの信号を312MHzの周波数の搬送波でFSK変調する。また、変調部25は、CPU11の指示によってインバータ21が動作状態となっている場合、復調部24からの信号を312MHzの周波数の搬送波でFSK変調する。
【0037】
送信アンテナ19は、変調部25にてFSK変調された信号を送信する。
【0038】
CPU11は、携帯機2を統括制御するために設けられている。Flashメモリ13には、CPU11が後述する処理を行うためのプログラムデータが予め記憶されている。また、Flashメモリ13には、車載機1からのコード読出信号に基づいて、車載機1に送信するためのコード信号が記憶されている。更に、Flashメモリ13には、車載機1からの暗号化個人データ読出信号に基づいて、車載機1に送信するための暗号化個人データが記憶されている。Flashメモリ13は、データを電気消去することによりデータを繰り返し書き込み読み出しできる不揮発性記憶素子で構成される。
【0039】
タイマ27は、CPU11からの指示に基づいて計時する。
【0040】
入力部12は、例えば携帯機2の所持者(以下、携帯者という)からの指示入力に基づく指示信号が入力される。例えば携帯者が運転席側のドアをアンロックしたい場合、運転席側のドアをアンロックするための指示入力を携帯者が行い、当該指示入力に基づく指示信号が入力部12に入力される。そして、入力部12は、当該運転席側のドアをアンロックするための当該指示信号が入力されると、フラグ23に例えば一方の論理値“1”を記憶させる。また、例えば携帯者が自動車の全てのドアをアンロックしたい場合、自動車の全てのドアをアンロックするための指示入力を携帯者が行い、当該指示入力に基づく指示信号が入力部12に入力される。そして、入力部12は、当該全てのドアをアンロックするための指示信号が入力されると、フラグ23に例えば他方の論理値“0”を記憶させる。尚、本実施形態では、例えばキー(鍵)に切替スイッチ(不図示)を設けさせ、携帯者が運転席側のドアをアンロックしたい場合は当該切替スイッチを一方側に切り替え、自動車の全てのドアをアンロックしたい場合は当該切替スイッチを他方側に切り替える。そして、入力部12には当該切替スイッチを一方側に切り替えることによって運転席側のドアのみをアンロックするための指示信号が入力され、入力部12はフラグ23に“1”を記憶させるものとして説明する。また、入力部12には当該切替スイッチを他方側に切り替えることによって全てのドアをアンロックするための指示信号が入力され、入力部12はフラグ23に“0”を記憶させるものとして説明する。
【0041】
CPU11は、復調部24にて復調された車載機1からのエリア内確認信号Aが送信され、変調部25にエリア内確認信号Bを送信する。このとき、CPU11は、タイマ27をリセットさせて計時を開始させる。CPU11は、予め定められた時間内(図4・t2)にエリア内確認信号Aが再び車載機1から送信されてくるか否かを判別する。CPU11は、エリア内確認信号Aが予め定められた時間内に送信されてこないと判別すると、インバータ21を動作状態とする。そのため、復調部24にて復調された車載機1からの信号に対して何ら処理が行われることなく、そのまま変調部25にてFSK変調されて送信アンテナ19から送信させることが可能となる。CPU11は、復調部24にて復調された車載機1からの識別信号が送信され、当該識別信号が送信されたと判別すると、インバータ21を不動作状態とする。CPU11は、復調部24にて復調された車載機1からのコード読出信号が送信され、当該コード読出信号が送信されたと判別すると、Flashメモリ13からコード信号を読み出して、変調部25に送信する。CPU11は復調部24にて復調された車載機1からの暗号化個人データ読出信号が送信され、当該個人データ読出信号が送信されたと判別すると、Flashメモリ13から暗号化個人データを読み出して、変調部25に送信する。CPU11は、復調部24にて復調された車載機1からの入力確認信号が送信される。CPU11は、当該入力確認信号に基づいて、このときのフラグ23に記憶されている“1”又は“0”の情報を入力信号として変調部25に送信する。尚、CPU11のこれらの機能は、前述したFlashメモリ13から読み出されたプログラムデータの解読結果に基づいて、CPU11が当該プログラムを実行することによって実現される。CPU11は、Flashメモリ13のアドレスを指定するアドレスカウンタ(不図示)、Flashメモリ13から読み出されるプログラムデータを解読するプログラムロジックアレイ(不図示)、論理演算を行う演算論理ユニット(不図示)、演算データを一時格納するレジスタ(不図示)等を有する。
【0042】
=距離算出通信装置と相手側通信装置の動作(リレーアタックが行われない場合)=
図1乃至図5を参照しつつ本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の動作について説明する。図2、図3は、本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。図4は、本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。図5は、距離算出用信号の変化を示す図である。尚、図4においては、ハイレベルのとき左欄に記載されている信号が送信されたことを示している。実際においては、車載機1から携帯機2に送信される信号は送信部7にてASK変調された信号であり、携帯機2から車載機1に送信される信号は変調部25にてFSK変調された信号である。また、図4における左欄・車載機1距離算出用信号の1発のハイレベルは便宜上、図5における左欄・距離算出用信号(送信)の波形を示すものとして説明する。更に、図4においては、全て同じ矩形波(例えば、携帯機2コード信号)となっているが、便宜上同じ矩形波で示したに過ぎずこれに限るものではない。例えば、携帯機2コード信号を、ハイレベルである期間に応じたコード情報をもつコード信号としても良い。そうすることによって、より効果的にコード情報を送信することが可能となる。
【0043】
尚、本実施形態においては、携帯者が自動車のエンジンをストップし、携帯機2を持って自動車を出てドアを閉じた場面から説明する。また、携帯機2のインバータ21は不動作状態であるものとする。
【0044】
自動車内に別途設けられた制御部(不図示)は、自動車のドアが閉じられたことに基づく信号を受信する。制御部は、当該信号に基づいてパッシブキーレスエントリーシステムを開始するための信号をCPU3に送信する。そして、CPU3は、当該パッシブキーレスエントリーシステムを開始するための信号を受信すると、送信部7にエリア内確認信号Aを送信する(S101)。このとき、CPU3はタイマ5をリセットする。リセットされたタイマ5は計時を開始する。そして、CPU3は、受信部8にて復調された携帯機2からのエリア内確認信号Bが、予め定められた時間(t1)内に送信されてくるか否かを判別する(S102)。送信部7は、当該エリア内確認信号Aを125kHzの周波数の搬送波でASK変調する。そして、送信部7からのASK変調されたエリア内確認信号Aは、送信アンテナ9を介して送信される(図4・車載機1エリア内確認信号A)。
【0045】
ASK変調されたエリア内確認信号Aを携帯機2の受信アンテナ18が受信すると、復調部24は、ASK変調されたエリア内確認信号Aを復調する。そして、CPU11は、復調部24にて復調されたエリア内確認信号Aが送信されたことを判別すると(S201・YES)、エリア内確認信号Bを変調部25に送信する(S202)。このとき、CPU11はタイマ27をリセットする。リセットされたタイマ27は計時を開始する。そして、CPU11は、復調部24にて復調された車載機1からのエリア内確認信号Aが予め定められた時間(t2)内に再び送信されてくるか否かを判別する(S201)。変調部25は、CPU11からのエリア内確認信号Bを312MHzの周波数の搬送波でFSK変調する。変調部25でFSK変調されたエリア内確認信号Bは、送信アンテナ19を介して送信される(図4・携帯機2エリア内確認信号B)。
【0046】
FSK変調されたエリア内確認信号Bを車載機1の受信アンテナ10が受信すると、受信部8はFSK変調されたエリア内確認信号Bを復調する。CPU3は、受信部8にて復調された携帯機2からのエリア内確認信号Bが送信されたことを判別すると(S102・YES)、エリア内確認信号Aを再び送信部7に送信する(S101)。
【0047】
このように車載機1からのエリア内確認信号Aを携帯機2が受信可能な通信可能範囲に携帯者がいれば、携帯機2からのエリア内確認信号Bを車載機1が受信することが可能となる(図4・エリア内)。そのため車載機1は携帯者が近傍(つまり通信可能範囲内)にいるか否かを判別することが可能となる。
【0048】
次に、携帯者が、前述した通信可能範囲を出てしまった場合(図4・エリア外)について説明する。
【0049】
携帯者が通信可能範囲を出てしまうと、車載機1からのエリア内確認信号Aを携帯機2が受信できなくなり、そのため携帯機2からのエリア内確認信号Bが車載機1に送信されなくなる。CPU3は、エリア内確認信号Aを送信してから予め定められた時間(t1)経過しても携帯機2からのエリア内確認信号Bが送信されてこないと判別すると(S102・NO)、自動車の全てのドアをロックするための指示信号を前述した制御部に送信する(S103。図4・ドア閉)。尚、この場合、CPU3は、複数回(例えば2回)エリア内確認信号Aを送信部7に送信するように設定しても良い(図4参照)。そして、当該複数回のエリア内確認信号Aうちの何れの送信に対しても、携帯機2からエリア内確認信号Bが送信されないとCPU3が判別した場合、自動車の全てのドアをロックするための指示信号を制御部に送信させるようにしても良い。そうすれば、より確実に携帯者が通信可能範囲内にいないことをCPU3が判別することできる。更に、携帯者が一旦は通信可能範囲外に出たが直ぐに通信可能範囲内に戻ってきた場合において、ドアをロックするための処理を行わずに済むことが可能となる。そのため、ドアをアンロックするための処理に要する時間が必要なくなり、ドアがアンロックされるまでの当該処理に要する時間の遅れを解消することが可能となる。次にCPU3は、前述したようにエリア内確認信号Aを送信してから予め定められた時間(t1)経過しても携帯機2からのエリア内確認信号Bが送信されてこないと判別すると(S102・NO)、距離算出用信号(図5・距離算出用信号(送信))を送信部7に送信する(S104)。このとき、CPU3は、カウンタ4をリセットさせ、カウンタ4に当該距離算出用信号の立上りからカウントを開始させる。更に、CPU3は、タイマ5をリセットさせて計時を開始させる。そして、CPU3は、当該距離算出用信号が予め定められた時間(t3)内に携帯機2から返信されてくるか否かを判別する(S105)。送信部7は、当該距離算出用信号を125kHzの周波数の搬送波でASK変調する(図5・ASK)。そして、送信部7にてASK変調された距離算出用信号は、送信アンテナ9を介して送信される(図4・車載機1距離算出用信号)。このときCPU3は、距離算出用信号を送信してから前述した予め定められた時間(t3)内に受信部8にて復調された距離算出用信号が返信されてこないと判別すると、再び距離算出用信号を送信する。また、前述したようにタイマ5をリセットさせて計時を開始させ、カウンタ5をリセットさせてカウントを開始させる。尚、この距離算出用信号は、図5に示す波形(距離算出用信号(送信))に限るものではない。セキュリティーを高めるために、例えばCPU3から送信する都度信号の内容を変えても良いし(つまり距離算出用信号を示す波形が変わる)、一定時間ごとに信号の内容を変えても良い。
【0050】
このように携帯者が車載機1からのエリア内確認信号Aを受信可能な通信可能範囲から出てしまうと、自動車の全てのドアがロックされることとなる。
【0051】
CPU11は、エリア内確認信号Aが予め定められた期間(t2)送信されないと判別すると、インバータ21を動作状態とする(S203。図4・インバータ21)。
【0052】
次に、携帯者が、通信可能範囲内に戻ってきた場合(図4・右のエリア内)について説明する。
【0053】
携帯者が、通信可能範囲内に戻ってくると、車載機1からのASK変調された距離算出用信号を携帯機2の受信アンテナ18が受信する。復調部24は、ASK変調された距離算出用信号を復調する。このとき復調部24にて復調された車載機1からの距離算出用信号は、インバータ21が動作状態となっているため、そのまま変調部25に送信される(S205)。変調部25は、復調部24からの距離算出用信号を312MHzの周波数の搬送波でFSK変調する(図5・FSK)。変調部25にてFSK変調された距離算出用信号は、送信アンテナ19を介して送信される(図4・携帯機2距離算出用信号)。
【0054】
FSK変調された距離算出用信号を車載機1の受信アンテナ10が受信すると、受信部8はFSK変調された距離算出用信号を復調する(図5・距離算出用信号(受信))。CPU3は、受信部8にて復調された携帯機2からの距離算出用信号が送信されたことを判別すると(S105・YES)、カウンタ4のカウント値を読み出す。そして、当該カウント値に基づいて、車載機1から携帯機2までの距離を算出する(S106)。尚、前述したように車載機1から携帯機2への通信においては、低周波数である125kHzの搬送波が用いられている。また、携帯機2から車載機1への通信においては、高周波である312MHzの搬送波が用いられている。よって携帯機2から車載機1への通信における位相差は、車載機1から携帯機2への通信の際生じる位相差に比べ無視できる程度となる。そのためCPU3から送信部7に送信した距離算出用信号と受信部8にて復調された距離算出用信号とは、125kHzの低周波数を用いたことにより意図的な位相差T1(図5)が生じることとなる。よって、前述したCPU3が読み出した当該カウント値は、当該位相差T1を示していることとなる。そして、CPU3は、Flashメモリ6にテーブルデータとして記憶されている実験からもとめられた当該カウント値に対応する距離を読み出す。よって、CPU3は、当該位相差T1を示す当該カウント値を用いて、車載機1から携帯機2までの距離を算出することが可能となる。そして、CPU3は、携帯機2が車載機1から予め定められた距離(例えば1m)未満にあるか否かを判別する(S108)。尚、本実施形態においては、カウンタ4のカウント値によって、車載機1から携帯機2までの距離が予め定められた距離未満であるか否かを判別しているがこれに限るものではない。例えば、CPU3は、CPU3から送信部7に距離算出用信号を送信させたときにタイマ5を計時させ、受信部8にて復調された携帯機2からの距離算出用信号が送信されたときのタイマ5が計時する時間を読み出す。そして、タイマ5が計時する当該時間を用いて車載機1から携帯機2までの距離が予め定められた距離未満であるか否かを判別することも可能である。また、CPU3による車載機1から携帯機2までの距離の判別は、1回に限るものでもない。例えば、複数回(図4においては3回)車載機1から携帯機2までの距離の判別を行って、全ての判別において当該距離が予め定められた距離未満であると判別した場合、次の処理にCPU3が進むようにしても良い。そうすることによって、より確実に車載機1から携帯機2までの距離を判別することが可能となる。CPU3は、算出した車載機1から携帯機2までの距離が予め定められた距離未満であると判別すると(S108・YES)、送信部7に識別信号を送信する(S109)。送信部7は、当該識別信号を125kHzの周波数の搬送波でASK変調する。そして、送信部7からのASK変調された識別信号は、送信アンテナ9を介して送信される(図4・車載機1識別信号)。
【0055】
ASK変調された識別信号を携帯機2の受信アンテナ18が受信すると、復調部24は、ASK変調された識別信号を復調する。CPU11は、復調部24にて復調された車載機1からの識別信号が送信されたことを判別すると(S206・YES)、インバータ21を不動作状態とする(S207。図4・インバータ21)。
【0056】
次に、車載機1のCPU3は、送信部7にコード読出信号を送信する(S110)。そして、CPU3は、受信部8にて復調された携帯機2からのコード信号が送信されてくるか否かを判別する(S111)。送信部7は、当該コード読出信号を125kHzの周波数の搬送波でASK変調する。そして、送信部7からのASK変調されたコード読出信号は、送信アンテナ9を介して送信される(図4・車載機1コード読出信号)。
【0057】
ASK変調されたコード読出信号を携帯機2の受信アンテナ18が受信すると、復調部24は、ASK変調されたコード読出信号を復調する。CPU11は、復調部24にて復調された車載機1からのコード読出信号が送信されたことを判別すると(S208・YES)、Flashメモリ13からコード信号を読み出す。そして、CPU11は、変調部25に当該コード信号を送信する(S209)。変調部25は、CPU11からのコード信号を312MHzの周波数の搬送波でFSK変調する。変調部25にてFSK変調されたコード信号は、送信アンテナ19を介して送信される(図4・携帯機2コード信号)。
【0058】
FSK変調されたコード信号を車載機1の受信アンテナ10が受信すると、受信部8はFSK変調されたコード信号を復調する。CPU3は、受信部8にて復調された携帯機2からのコード信号が送信されたことを判別すると(S111・YES)、携帯機2からのコード信号と照合すべくFlashメモリ6からコード信号を読み出す。そして、CPU3は、携帯機2からのコード信号とFlashメモリ6からのコード信号が所定の関係を有しているか否かを判別する(S112)。そして、CPU3は、携帯機2からのコード信号とFlashメモリ6からのコード信号が所定の関係を有していると判別すると(S112・YES)、暗号化個人データ読出信号を送信部7に送信する(S113)。そして、CPU3は、受信部8にて復調された携帯機2からの暗号化個人データが送信されてくるか否かを判別する(S114)。送信部7は、当該暗号化個人データ読出信号を125kHzの周波数の搬送波でASK変調する。そして、送信部7からのASK変調された暗号化個人データ読出信号は、送信アンテナ9を介して送信される(図4・車載機1暗号化個人データ読出信号)。
【0059】
ASK変調された暗号化個人データ読出信号を携帯機2の受信アンテナ18が受信すると、復調部24は、ASK変調された暗号化個人データ読出信号を復調する。CPU11は、復調部24にて復調された暗号化個人データ読出信号が送信されたことを判別すると(S210・YES)、Flashメモリ13から暗号化個人データを読み出す。そして、CPU11は、変調部25に当該暗号化個人データを送信する(S211)。変調部25は、CPU11からの暗号化個人データを312MHzの周波数の搬送波でFSK変調する。変調部25にてFSK変調された暗号化個人データは、送信アンテナ19を介して送信される(図4・携帯機2暗号化個人データ)。
【0060】
FSK変調された暗号化個人データを車載機1の受信アンテナ10が受信すると、受信部8はFSK変調された暗号化個人データを復調する。CPU3は、受信部8にて復調された携帯機2からの暗号化個人データが送信されたことを判別すると(S114・YES)、Flashメモリ6に記憶されている暗号化解読プログラムに基づいて、当該暗号化個人データの解読を行う(S115)。そして、CPU3は、携帯機2からの暗号化個人データの解読を終えると(以下、解読後の暗号化個人データを解読後個人データという)、Flashメモリ6に記憶されている個人データを読み出す。CPU3は、解読後個人データとFlashメモリ6からの個人データとが一致しているか否か判別する(S116)。そして、CPU3は、解読後個人データとFlashメモリ6からの個人データが一致すると判別すると(S116・YES)、入力確認信号を送信部7に送信する(S117)。そして、CPU3は、受信部8にて復調された携帯機2からの入力信号が送信されてくるか否かを判別する(S118)。送信部7は、当該入力確認信号を125kHzの周波数の搬送波でASK変調する。そして、送信部7からのASK変調された入力確認信号は、送信アンテナ9を介して送信される(図4・車載機1入力確認信号)。
【0061】
ASK変調された入力確認信号を携帯機2の受信アンテナ18が受信すると、復調部24は、ASK変調された入力確認信号を復調する。CPU11は、復調部24にて復調された入力確認信号が送信されたことを判別すると(S212・YES)、フラグ23に記憶されている情報を読み出す。このときのフラグ23に記憶されている情報とは、前述したように携帯者が運転席側のドアをアンロックしたい場合、携帯者が切替スイッチ(不図示)を一方側に切り替えることによって指示信号が入力部12に入力され、入力部12が当該指示信号に基づいてフラグ23に記憶した情報“1”である。或いは、前述したように携帯者が自動車の全てのドアをアンロックしたい場合、携帯者が切替スイッチ(不図示)を他方側に切り替えることによって指示信号が入力部12に入力され、入力部12が当該指示信号に基づいてフラグ23に記憶した情報“0”である。本実施形態では、フラグ23には例えば“1”が記憶されているものとして以下説明する。CPU11は、フラグ23に記憶されている“1”に応じた入力信号を変調部25に送信する(S213)。変調部25は、CPU11からの入力信号を312MHzの周波数の搬送波でFSK変調する。変調部25でFSK変調された入力信号は、送信アンテナ19を介して送信される(図4・携帯機2入力信号)。
【0062】
FSK変調された入力信号を車載機1の受信アンテナ10が受信すると、受信部8はFSK変調された入力信号を復調する。CPU3は、受信部8にて復調された携帯機2からの入力信号が送信されたことを判別すると(S118・YES)、当該入力信号が“1”に応じた入力信号であるか否かを判別する(S119)。そして、CPU3は、当該入力信号が“1”に応じた入力信号であることを判別すると(S119・YES)、自動車の運転席側のドアのみをアンロックすべく、前述した制御部(不図示)に指示信号を送信する(S120)。また、CPU3は、入力信号が“1”に応じた入力信号でないと判別すると(S119・NO)、自動車の全てのドアをアンロックすべく前述した制御部に指示信号を送信する(S121)。
【0063】
このように、通信可能範囲内に携帯機2があり、且つ、CPU3が送信部7に送信する距離算出用信号と受信部8にて復調された携帯機2からの距離算出用信号から、車載機1から携帯機2までの距離を算出し、当該距離が予め定められた距離未満であると判別すると、制御部よって自動車の全てのドア又は運転席側のドアがアンロックされることとなる。
【0064】
=距離算出通信装置と相手側通信装置の動作(リレーアタックが行われる場合)=
図1乃至図3、図6、図7を参照しつつ前述したリレーアタックが行われた場合における、本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の動作について説明する。図6は、本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。図7は、距離算出用信号の変化を示す図である。尚、図6は前述した図4と同様に便宜上、ハイレベルのとき左欄に記載されている信号が送信されたことを示している。実際においては、車載機1から携帯機2に送信される信号は送信部7にてASK変調された信号であり、携帯機2から車載機1に送信される信号は変調部25にてFSK変調された信号である。また、図6における左欄・車載機1距離算出用信号の1発のハイレベルは便宜上、図7における左欄・距離算出用信号(送信)の波形を示すものとして説明する。尚、本実施形態においても、携帯者が自動車のエンジンをストップし、携帯機2を持って自動車を出てドアを閉じた場面から説明する。また、携帯機2のインバータ21は不動作状態であるものとする。
【0065】
更に、本実施形態は、車載機1の通信圏内にいる中継機A(不図示)の所持者(以下、中継者Xという)と、携帯機2の通信圏内に前述した中継機Aと通信可能な中継機B(不図示)の所持者(以下、中継者Yという)によって、リレーアタックが行われる場合について説明する。
【0066】
携帯者が、通信可能範囲内にいるときは、前述したリレーアタックがない場合と同様である。
【0067】
携帯者が通信可能範囲を出てしまうと、車載機1からのエリア内確認信号Aを携帯機2が受信できなくなり、そのため携帯機2からのエリア内確認信号Bが車載機1に送信されなくなる。そのためCPU3は、エリア内確認信号Aを送信してから予め定められた時間(t1)経過しても携帯機2からのエリア内確認信号Bが送信されてこないと判別する(S102・NO)。そして、CPU3は、自動車の全てのドアをロックするための指示信号を、自動車内に別途設けられた制御部(不図示)に送信する(S103。図6・ドア閉)。尚、前述したリレーアタックがない場合おいて述べたように、CPU3は複数回(例えば2回)エリア内確認信号Aを送信部7に送信するように設定しても良い(図6参照)。CPU3は、前述した指示信号を制御部に送信するとともに、距離算出用信号(図7・距離算出用信号(送信))を送信部7に送信する。このとき、CPU3は、カウンタ4をリセットさせ、カウンタ4に当該距離算出用信号の立上りからカウントを開始させる。更に、CPU3は、タイマ5をリセットさせて計時を開始させる。そして、CPU3は、当該距離算出用信号が予め定められた時間(t3)内に携帯機2から返信されてくるか否かを判別する(S105)。送信部7は、当該距離算出用信号を125kHzの周波数の搬送波でASK変調する(図7・ASK(1))。そして、送信部7にてASK変調された距離算出用信号ASK(1)は、送信アンテナ9を介して送信される(図6・車載機1距離算出用信号)。このときCPU3は、距離算出用信号を送信してから前述した予め定められた時間(t3)内に受信部8にて復調された距離算出用信号が返信されてこないと判別すると、再び距離算出用信号を送信する。また、前述したようにタイマ5をリセットさせて計時を開始させ、カウンタ5をリセットさせてカウントを開始させる。
【0068】
このように携帯者が車載機1からのエリア内確認信号Aを受信可能な通信可能範囲から出てしまうと、自動車の全てのドアがロックされることとなる。
【0069】
CPU11は、エリア内確認信号Aが予め定められた期間(t2)送信されないと判別すると、インバータ21を動作状態とする(S203。図6・インバータ21)。
【0070】
例えば携帯者が通信可能範囲を出て、自動車を視認できない距離まで離れたとき、中継者Xが自動車の近くに行き、中継機Aを車載機1の通信圏内に入るようにする。また、中継者Yが携帯者の近くに行き中継機Bを携帯機2の通信圏内に入るようにして、当該自動車の盗難を企むとする(リレーアタックが行われる)。
【0071】
車載機1の通信圏内にある中継機Aは、車載機1からの距離算出用信号を受信すると、当該距離算出用信号を検波して増幅する(図7・ASK(2))。そして、中継機Aは、距離算出用信号ASK(2)を送信する。このとき中継機Aから送信された距離算出用信号ASK(2)の通信距離は、車載機1からの距離算出用信号ASK(1)の通常通信距離に比べ、中継機Aにて増幅されているため、より遠距離までの通信が可能となっている。尚、このときの距離算出用信号ASK(2)の通信距離は、中継機Bが受信可能な距離であるものとして以下説明する。
【0072】
中継機Bは、中継機Aからの距離算出用信号ASK(2)を受信すると、当該距離算出用信号ASK(2)を検波して、例えば車載機1が送信した距離算出用信号のレベルまで減衰する。そして、中継機Bは、減衰した距離算出用信号ASK(3)を送信する。
【0073】
このとき、前述したように中継者Yが携帯者の近くにいるため、携帯機2の通信圏内に中継機Bがあることになり、そのため受信アンテナ18が距離算出用信号ASK(3)を受信する。復調部24は、距離算出用信号ASK(3)を復調する。このとき復調部24にて復調された中継機Bからの距離算出用信号は、インバータ21が動作状態となっているため、そのまま変調部25に送信される(S205)。変調部25は、復調部24からの距離算出用信号を312MHzの周波数の搬送波でFSK変調する(図5・FSK(1))。変調部25にてFSK変調された距離算出用信号FSK(1)は、送信アンテナ19を介して送信される(図6・携帯機2距離算出用信号)。
【0074】
そして、前述したように携帯機2の通信圏内に中継機2があるため、FSK変調された携帯機2からの距離算出用信号FSK(1)を中継機Bが受信する。中継機BはFSK変調された距離算出用信号FSK(1)を検波して増幅する(図7・FSK(2))。そして、中継機Bは、距離算出用信号FSK(2)を送信する。このとき中継機Bから送信された距離算出用信号FSK(2)の通信距離は、携帯機2からの距離算出用信号FSK(1)の通常通信距離に比べ、中継機Bにて増幅されているため、より遠距離までの通信が可能となっている。尚、このときの距離算出用信号FSK(2)の通信距離は、中継機Aが受信可能な距離であるものとして以下説明する。
【0075】
中継機Aは、中継機Bからの距離算出用信号FSK(2)を受信すると、当該距離算出用信号FSK(2)を検波して、例えば携帯機2が送信した距離算出用信号のレベルまで減衰する。そして、中継機Aは、減衰した距離算出用信号FSK(3)を送信する。
【0076】
このとき、前述したように中継者Xが自動車の近くにいるため、車載機1の通信圏内に中継機Aがあることになり、そのため受信アンテナ10が距離算出用信号FSK(3)を受信する。受信部8は、距離算出用信号FSK(3)を復調する(図7・距離算出用信号(受信))。CPU3は、受信部8にて復調された距離算出用信号が送信されたことを判別すると(S105・YES)、カウンタ4のカウント値を読み出す。そして、当該カウント値に基づいて、車載機1から携帯機2までの距離を算出する(S106)。
【0077】
このときのCPU3による車載機1から携帯機2までの距離の算出方法については、前述したリレーアタックがない場合と同様である。しかしながら、前述したように中継機Aは車載機1から送信された距離算出用信号ASK(1)を増幅して距離算出用信号ASK(2)を送信している。このとき、中継機Aは距離算出用信号ASK(1)を増幅するために、距離算出用信号ASK(1)を一旦検波してから増幅を行わなければならない。さらに、前述したように車載機1から携帯機2への通信においては、125kHzの低周波数の搬送波でASK変調して通信を行っている。そのため距離算出用信号ASK(1)の1周期は、携帯機2から送信される距離算出用信号FSK(1)と比べて長くなっている。つまり、中継機Aは1周期が長い距離算出用信号ASK(1)を一旦検波してから増幅するため、距離算出用信号ASK(1)と距離算出用信号ASK(2)には位相差T2が生じることとなる。また、中継機2における距離算出用信号ASK(2)の距離算出用信号ASK(3)への減衰においても、前述した理由による位相差T3が生じることとなる。つまり、CPU3が送信部7に送信した距離算出用信号(送信)と、受信部8にて復調された距離算出用信号(受信)との位相差はT4(T2+T3)となる。そして、CPU3が読み出したカウンタ4のカウント値は、当該位相差T4を示していることとなる。当該位相差T4を示す当該カウント値を用いて、CPU3は、車載機1から携帯機2までの距離を算出することとなる。このときのCPU3が車載機1から携帯機2までの距離を算出するために用いる位相差T4を示すカウント値は、中継機A、Bが介在しないリレーアタックがない場合の位相差T1(図5)を示すカウント値に比べ多い値となっている。つまり、CPU3が位相差T4を示すカウント値に基づいて算出した車載機1から携帯機2までの距離は、位相差T1を示すカウント値に基づいて算出した距離に比べ長い距離となる。
【0078】
そして、CPU3は、算出した距離に基づいて携帯機2が車載機1から予め定められた距離未満にあるか否かを判別する(S108)。しかし、CPU3が算出した距離は、前述したリレーアタックがない場合において算出した距離よりも長い距離となっているため、CPU3は、予め定められた距離未満にはないと判別する(S108・NO)。そのとき、CPU3は、タイマ5の計時が所定時間(t4)に達しているか否かを判別する(S122)。
【0079】
CPU3は、所定時間(t4)達していないと判別した場合(S122・NO)、再び距離算出用信号を送信部7に送信する(図7・距離算出用信号(送信)右側)。このとき、CPU3は、カウンタ4をリセットさせ、カウンタ4に当該距離算出用信号の立上りからカウントを開始させる。尚、CPU3が再び距離算出用信号を送信部7に送信しているのは、CPU3による車載機1から携帯機2までの距離の算出をより確実にするためである。そして、CPU3は、予め定められた距離未満であると判別することなく(S108・NO)所定時間(t4)が達したと判別すると(S122・YES)、携帯機2との通信をストップする(S123)。尚、本実施形態においては、CPU3が予め定められた距離未満でないでと判別した場合、携帯機2との通信をストップしているがこれに限るものではない。例えば、携帯機2に警報を発するための警報部(不図示)を設ける。そして、CPU3は、予め定められた距離未満でないと判別した場合、送信部7に当該警報部が警報を発するための警報信号を送信する。そして、中継機A、Bを介して携帯機2に送信された当該警報信号に基づいて、警報部が警報を発するようにしても良い。そうすれば、携帯者は中継者X、Yが介在していることを知ることができ、セキュリティー面を向上させることが可能となる。
【0080】
このように、リレーアタックが行われた場合、車載機1から携帯機2への通信において前述したように中継機A、中継機Bが介在することによって距離算出用信号の位相差が大きくなる。そのため、CPU3は携帯機2が車載機1から予め定められた距離未満にはないと判別し、また所定時間(t4)が達すると携帯機2との通信をストップすることとなる。よって、中継者X、Yのリレーアタックによって自動車のドアがアンロックされず、自動車の盗難を防止することが可能となる。
【0081】
尚、携帯者が再び通信可能範囲に戻ってきても、前述したように車載機1は携帯機2との通信をストップしているためドアはアンロックされない。この場合、携帯者はキーを鍵穴に差し込むことによりドアをアンロックする。その際、制御部(不図示)は、キーが鍵穴に差し込まれたことによりドアがアンロックされたことに基づく信号を受信する。制御部は、当該信号に基づいて、車載機1が携帯機2との通信を開始するための通信開始信号をCPU3に送信する。CPU3は、通信開始信号を受信すると(S124・YES)、再び携帯機2との通信を開始する。
【0082】
<<第2の実施形態>>
===距離算出通信装置と相手側通信装置の全体構成===
図8、図10を参照しつつ、本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置について説明する。図8は、本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の全体構成の一例を示す機能ブロック図である。尚、本実施形態は、第1の実施形態における距離算出通信装置を用いた車載機1を自動車内に4つ設け(車載機1A、1B、1C、1D)、自動車内の何処かにある携帯機2の検出に距離算出通信装置を用いる場合について説明する。そのため、距離算出通信装置は、車載機1A、1B、1C、1Dに用いられ、相手側通信装置は携帯機2に用いられる。また、図8において前述した図1と同様の構成であるものは、同じ番号を付して説明を省略するものとする。更に、図8において車載機1A、1B、1C、1Dは、図1における車載機1と同様の構成のものであり、便宜上同じ番号に記号を付加して説明を省略するものとする。図10は、車載機1A、1B、1C、1Dによる携帯機2の検出を示す図である。尚、図10における+X方向を自動車の前方方向とすると、例えば、車載機1Aは前方左側に設けられ、車載機1Bは前方右側に設けられ、車載機1Cは後方左側に設けられ、車載機1Dは後方右側に設けられるものとする。また、CPU90は、車載機1A、1B、1C、1Dが設けられた自動車内部に設けられるものとする。携帯機2は自動車のキー(鍵)に設けられているものとする。
【0083】
CPU90は、車載機1A、1B、1C、1Dを統括制御する。
【0084】
車載機1Aは、CPU3A、カウンタ4A、タイマ5A、Flashメモリ6A、送信部7A、受信部8A、送信アンテナ9A、受信アンテナ10A、OSC26Aを有している。
【0085】
CPU3Aは、CPU90からの指示信号に基づいて、携帯機2が自動車内にあるか否かを確認するための信号(以下、車内確認信号Aという)を送信部7Aに送信する。CPU3Aは、受信部8Aにて復調された携帯機2からの車内確認信号Bが送信される。CPU3Aは、車内確認信号Bが送信されたことに基づく信号(以下、確認信号という)をCPU90に送信する。CPU3Aは、車内確認信号Bが送信されてこなかったことに基づく信号(以下、未確認信号という)をCPU90に送信する。また、CPU3Aは、CPU90からの指示信号に基づいてインバータ21を動作状態とするための信号(以下、インバータ動作指示信号)を送信部7Aに送信する。CPU3Aは、インバータ21を不動作状態とするための信号(以下、インバータ不動作指示信号という)を送信部7Aに送信する。また、CPU3Aは、第1の実施形態のとおりカウンタ4Aのカウント値に基づいて、車載機1Aから携帯機2までの距離を算出する。CPU3Aは、算出した車載機1Aから携帯機2までの距離情報をCPU90に送信する。
【0086】
車載機1B、1C、1Dの構成は、前述した車載機1Aと同様の構成である。尚、車載機1A、1B、1C、1Dは、同時にCPU90からの指示に基づいて前述した処理を行っても良いし、順次前述した処理を行っても良い。
【0087】
CPU90は、自動車内に設けられた制御部(不図示)からの指示信号に基づいて、CPU3A、3B、3C、3Dが前述した車内確認信号Aを送信するための指示信号を車載機1A、1B、1C、1Dに送信する。CPU90は、車載機1A、1B、1C、1Dからの前述した確認信号に基づいて、自動車のエンジン始動を許可する信号(以下、エンジン始動許可信号という)を制御部に送信する。また、CPU90は、車載機1A、1B、1C、1Dからの前述した未確認信号に基づいて、自動車のエンジン始動を許可しないための信号(以下、エンジン始動不許可信号という)を制御部に送信する。CPU90は、制御部からの携帯機2を検出するための信号(以下、検出信号という)が送信される。CPU90は、当該検出信号に基づいて、CPU3A、3B、3C、3Dが前述したインバータ動作指示信号を送信するための指示信号を車載機1A、1B、1C、1Dに送信する。そして、CPU90は、CPU3A、3B、3C、3Dに車載機1A、1B、1C、1Dから携帯機2までの距離を算出させるための指示信号を車載機1A、1B、1C、1Dに送信する。CPU90は、CPU3A、3B、3C、3Dが算出した車載機1A、1B、1C、1Dから携帯機2までの距離情報が送信される。CPU90は、CPU3A、3B、3C、3Dが算出した距離情報に基づいて、携帯機2が自動車内の何処にあるかを算出する。この携帯機2がある場所の算出において、CPU90はメモリ(不図示)に記憶された携帯機2がある場所を算出するためのプログラムデータを読み出す。そして、CPU90による当該プログラムの演算処理において、車載機1A、1B、1C、1Dからの距離情報から読み出される各距離の一致点を用いることによって、携帯機2がある場所を算出することができる。例えば、車載機1Aが算出した携帯機2までの距離が120cm、車載機1Bが算出した携帯機2までの距離が212cm、車載機1Cが算出した携帯機2までの距離が20cm、車載機1Dから携帯機2までの距離が117cmであったとする。そのとき、CPU90は、車載機1Aからの距離が120cmとなる点と、車載機1Bからの距離が212cmとなる点と、車載機1Cからの距離が20cmとなる点と、車載機1Dからの距離が117cmとなる点が一致する点を算出し、当該一致点上に携帯機2があるものと判別する。
【0088】
携帯機2は、CPU11、Flashメモリ13、復調部24、変調部25、受信アンテナ18、送信アンテナ19、インバータ20、21、22を有している。
【0089】
CPU11は、復調部24にて復調された車載機1A、1B、1C、1Dからの車内確認信号Aが送信される。CPU11は当該車内確認信号Aに基づいて、変調部25に車内確認信号Bを送信する。CPU11は、復調部24にて復調された車載機1A、1B、1C、1Dからのインバータ動作指示信号が送信される。CPU11は、当該インバータ動作指示信号に基づいて、インバータ21を動作状態とする。そのため、復調部24にて復調された車載機1A、1B、1C、1Dからの信号に対して何ら処理が行われることがなく、そのまま変調部25にてFSK変調されて送信アンテナ19から送信させることが可能となる。CPU11は、復調部24にて復調された車載機1A、1B、1C、1Dからのインバータ不動作指示信号が送信され、当該インバータ不動作指示信号に基づいてインバータ21を不動作状態とする。
【0090】
===距離算出通信装置と相手側通信装置の動作===
図8乃至図11を参照しつつ本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の動作について説明する。図9は、本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。図11は、モニタ92の表示画面の一例を示す図である。
【0091】
尚、本実施形態においては、携帯者が自動車のドアをアンロックして自動車に乗り込み携帯者が携帯機2を自動車内の何処かに置き、携帯者が携帯機2を置いた場所を失念してしまった場合について説明する。また、インバータ21は不動作状態であるものとする。
【0092】
自動車内に別途設けられた制御部(不図示)は、自動車のドアが閉じられたことに基づく信号を受信する(S301)。制御部は、当該信号に基づいてエンジン始動を開始するか否かを確認するための信号をCPU90に送信する。
【0093】
そして、CPU90は、制御部からの当該信号に基づいて、CPU3A、3B、3C、3Dが車内確認信号Aを送信するための指示信号を車載機1A、1B、1C、1Dに送信する。
【0094】
以下、車載機1Aの動作について説明するが車載機1B、1C、1Dについても同様の動作であるものとする。
【0095】
CPU3Aは、CPU90からの前述した指示信号を受信すると、車内確認信号Aを送信部7Aに送信する(S302)。このとき、CPU3Aは、タイマ5Aをリセットする。リセットされたタイマ5Aは計時を開始する。そして、CPU3Aは、受信部8Aにて復調された携帯機2からの車内確認信号Bが、予め定められた時間内に送信されてくるか否かを判別する(S303)。送信部7Aは、当該車内確認信号Aを125kHzの周波数の搬送波でASK変調する。そして、送信部7AからのASK変調された車内確認信号Aは送信アンテナ9Aを介して送信される。
【0096】
ASK変調された車内確認信号Aを携帯機2の受信アンテナ18が受信すると、復調部24は、ASK変調された車内確認信号Aを復調する。そして、CPU11は、復調部24にて復調された車内確認信号Aが送信されたことを判別すると(S401・YES)、車内確認信号Bを変調部25に送信する(S402)。変調部25は、CPU11からの車内確認信号Bを312MHzの周波数の搬送波でFSK変調する。変調部25にてFSK変調された車内確認信号Bは、送信アンテナ19を介して送信される。
【0097】
FSK変調された車内確認信号Bを車載機1Aの受信アンテナ10Aが受信すると、受信部8AはFSK変調された車内確認信号Bを復調する。CPU3Aは、受信部8Aにて復調された携帯機2からの車内確認信号Bが送信されたことを判別すると(S303・YES)、CPU90に確認信号を送信する(S320)。同様に、車載機1B、1C、1DのCPU3B、3C、3Dは、携帯機2からの車内確認信号Bが送信されたことを判別すると、確認信号をCPU90に送信する。尚、CPU3Aは、車内確認信号Aを送信してから予め定められた時間内に受信部8Aにて復調された車内確認信号Bが送信されてこないと判別した場合(S303・NO)、未確認信号をCPU90に送信する(S321)。
【0098】
CPU90は、車載機1A、1B、1C、1Dからの確認信号に基づいて、制御部(不図示)にエンジン始動許可信号を送信する(S304)。CPU90からの当該エンジン始動許可信号によって、例えば制御部は自動車のエンジンの駆動を開始させる。尚、CPU90は、車載機1A、1B、1C、1Dからの未確認信号に基づいて、制御部にエンジン始動不許可信号を制御部に送信する(S318)。そして、制御部は、キーが鍵穴に差し込まれるまで、自動車のエンジンの駆動を開始させないこととなる(S319)。
【0099】
例えば携帯者が携帯機2を自動車内の何処かに置き、携帯機2がある場所を失念してしまった場合、携帯者は自動車内に設けられた入力部(不図示)に携帯機2を検出するための指示入力をする。制御部は、入力部に指示入力されたことに基づく指示信号を受信する。そして、制御部は、当該指示信号に基づいて検出信号をCPU90に送信する。CPU90は、制御部からの検出信号を受信すると(S305・YES)、CPU3A、3B、3C、3Dがインバータ動作指示信号を送信するための指示信号を車載機1A、1B、1C、1Dに送信する。
【0100】
CPU3Aは、CPU90からの前述した指示信号を受信すると、インバータ動作指示信号を送信部7Aに送信する(S306)。送信部7Aは、当該インバータ動作指示信号を125kHzの周波数の搬送波でASK変調する。そして、送信部7AからのASK変調されたインバータ動作指示信号は送信アンテナ9Aを介して送信される。
【0101】
ASK変調されたインバータ動作指示信号を携帯機2の受信アンテナ18が受信すると、復調部24は、ASK変調されたインバータ動作指示信号を復調する。そして、CPU11は、復調部24にて復調されたインバータ動作指示信号が送信されたことを判別すると(S403・YES)、インバータ21を動作状態とする(S404)。
【0102】
また、CPU3Aは前述したインバータ動作指示信号を送信すると、距離算出用信号を送信部7Aに送信する(S307)。このときCPU3Aは、カウンタ4Aをリセットさせ、カウンタ4Aに当該距離算出用信号の立上りからカウントを開始させる。更に、CPU3Aは、タイマ5Aをリセットさせて計時を開始させる。そして、CPU3Aは、当該距離算出用信号が予め定められた時間内に携帯機2から返信されてくるか否かを判別する(S308)。送信部7Aは、当該距離算出用信号を125kHzの周波数の搬送波でASK変調する。そして、送信部7AからのASK変調された距離算出用信号は送信アンテナ9Aを介して送信される。
【0103】
ASK変調された距離算出用信号を携帯機2の受信アンテナ18が受信すると、復調部24は、ASK変調された距離算出用信号を復調する。このとき復調部24にて復調された車載機1Aからの距離算出用信号は、インバータ21が動作状態となっているため、そのまま変調部25に送信される(S406)。変調部25は、復調部24からの距離算出用信号を312MHzの周波数の搬送波でFSK変調する。変調部25にてFSK変調された距離算出用信号は、送信アンテナ19を介して送信される。
【0104】
FSK変調された距離算出用信号を車載機1Aの受信アンテナ10Aが受信すると、受信部8AはFSK変調された距離算出用信号を復調する。CPU3Aは、受信部8Aにて復調された携帯機2からの距離算出用信号が送信されたことを判別すると(S308・YES)、カウンタ4Aのカウント値を読み出す。そして、CPU3Aは当該カウント値に基づいて、車載機1Aから携帯機2までの距離を算出する。尚、このときのCPU3Aによる車載機1Aから携帯機2までの距離の算出方法は、第1の実施形態と同様である。そして、CPU3Aは算出した車載機1Aから携帯機2までの距離情報をCPU90に送信する(S310)。同様に、車載機1BのCPU3Bは、車載機1Bから携帯機2までの距離情報をCPU90に送信する(S311)。また、車載機1CのCPU3Cは、車載機1Cから携帯機2までの距離情報をCPU90に送信する(S312)。更に、車載機1DのCPU3Dは、車載機1Dから携帯機2までの距離情報をCPU90に送信する(S313)。また、CPU3Aは、車載機1Aから携帯機2までの距離を算出するとともにインバータ不動作指示信号を送信部7Aに送信する(S309)。送信部7Aは、当該インバータ不動作指示信号を125kHzの周波数の搬送波でASK変調する。そして、送信部7AからのASK変調されたインバータ不動作指示信号は送信アンテナ9Aを介して送信される。尚、CPU3Aは、距離算出用信号を送信してから予め定められた時間内に受信部8Aにて復調された距離算出用信号が返信されてこないと判別すると(S308・NO)、距離算出用信号が返信されてこないと判別した情報を、例えばFlashメモリ6Aのアドレス1から順に記憶させる。このときCPU3Aは、当該距離算出用信号が返信されてこないと判別した当該情報がアドレス2に記憶されている否かを判別する(S316)。そして、CPU3Aは、アドレス2に当該情報が記憶されていないと判別すると(S316・NO)、インバータ動作指示信号を再び送信部7Aに送信する(S306)。また、CPU3Aは前述したようにタイマ5Aをリセットさせて計時を開始させ、カウンタ4Aをリセットさせてカウントを開始させる。そして、CPU3Aは再び距離算出用信号が返信されてこないと判別すると(S308・NO)、距離算出用信号が返信されてこないと判別した情報を、例えばFlashメモリ6Aのアドレス2に記憶させる(S316)。そして、CPU3Aは、距離算出用信号が返信されてこないと判別した情報がアドレス2に記憶されていると判別すると(S316・YES)、当該判別に基づいた信号をCPU90に送信する。CPU90は、車載機1Aのみならず車載機1B、1C、1Dからの当該信号を受信すると、携帯機2が自動車内にないと判別する(S317)。そして、CPU90は、モニタ92に携帯機2が自動車内にないと表示させるべく指示信号を制御部(不図示)に送信する。制御部は、CPU90からの当該指示信号に基づいて、モニタ92に携帯機2が自動車内にないことを表示させる(S315)。
【0105】
前述したようにCPU90は、車載機1A、1B、1C、1Dからの前述した距離情報を受信すると、当該距離情報に基づいて携帯機2が自動車内の何処にあるかを算出する(S314)。尚、このときのCPU90による携帯機2がある場所の算出は、前述したように車載機1Aを始点として当該始点からCPU3Aが算出した距離の点(図10・一点鎖線A)と、車載機1Bを始点として当該始点からCPU3Bが算出した距離の点(図10・二点鎖線B)と、車載機1Cを始点として当該始点からCPU3Cが算出した距離の点(図10・破線C)と、車載機1Dを始点として当該始点からCPU3Dが算出した距離の点(図10・実線D)とが一致する点から求められる。そして、CPU90は、算出した携帯機2がある場所をモニタ92に表示させるべく指示信号を制御部に送信する。制御部は、CPU90からの指示信号に基づいてモニタ92に携帯機2がある場所を表示させる(S315、図11)。
【0106】
このように、携帯者が携帯機2がある場所を失念した場合、距離算出用信号によって各車載機1A、1B、1C、1Dから携帯機2までの距離を各CPU3A、3B、3C、3Dが算出することによって、携帯機2がある場所をCPU90が算出することが可能となる。
【0107】
上述した実施形態によれば、車載機1から送信したときの距離算出用信号と、送信機2から返信されたときの距離判別との位相差から、CPU3は、車載機1と携帯機2の間の距離を算出することが可能となる。また、CPU3から送信した距離算出用信号と、携帯機2から返信されたCPU3から送信した距離算出用信号と同じ距離算出用信号と、から車載機1と携帯機2との間の距離を算出しているので、正確な距離を確実に算出することが可能となる。
【0108】
また、車載機1から携帯機2への通信において、低周波数の搬送波で通信を行うことによって位相差を意図的に生じさせられる。また、携帯機2から車載機1への通信においては、高周波数の搬送波で通信が行われるので、車載機1から携帯機2への通信により生じた位相差に比べ無視できる程度の位相差とすることができる。つまり、車載機1から携帯機2への通信において意図的に生じさせた位相差によって、携帯機2との間の距離を算出することができる。
【0109】
また、CPU3が、位相差から算出した携帯機2までの距離が予め定められた距離以上であると判別した場合、携帯機2との通信を行わなくすることが可能となる。そのため、例えば中継機が携帯機2との間に介在することによって通信が行われたとしても、携帯機2との通信を行わなくすることができる。
【0110】
また、CPU3は、所定数ごとに生成する距離算出用信号のパターンを変えるため、例えば読出機などによって距離算出用信号を読み出す者に対するセキュリティー面を向上することが可能となる。また、CPU3は、携帯機2からの距離算出用信号が返信されるまで距離算出用信号を送信するため、携帯機2との間の距離を算出することを確実に行うことができる。
【0111】
また、低周波数の搬送波で通信を行う車載機1から携帯機2への通信においては、低周波数の搬送波による変調に適したASK変調を用いることによって、回路構成が容易となり、ある程度混信しても車載機1から携帯機2への通信を行うことが可能となる。また、高周波数の搬送波で通信を行う携帯機2から車載機1への通信においては、高周波数の搬送波による変調に適したFSK変調を携帯機2が用いることによって、ノイズによる影響を受けにくくなり、携帯機2から車載機1への情報を損失することなく確実に送信することを可能としている。
【0112】
また、位相差を検出するためのタイマ5と、所定周波数のクロックでカウントするカウンタ4と、カウント値に基づいてCPU3が携帯機2との間の距離を算出する基となる情報が記憶されているFlashメモリ6とを用いて、CPU3が携帯機2との距離を算出することを確実に行うことが可能となる。また、タイマ5及びカウンタ4が、CPU3が距離算出用信号を送信するごとにリセットされることにより、CPU3が誤って同一パターンである2つの距離算出用信号から携帯機2との間の距離を算出してしまうことを防止することが可能となる。したがって、CPU3はより確実に携帯機2との間の距離を算出することができる。
【0113】
更に、CPU3は、車載機1と携帯機2との間の距離を算出することができ、当該距離が予め定められた距離未満であると判別したとき、自動車のドアをアンロックさせることが可能となる。また、当該距離が予め定められた距離以上であると判別したとき、自動車のドアをロックさせることができる。つまり、キー(自動車の鍵)を鍵穴に差し込むことなく、自動車のドアのアンロック又はロックを行うことが可能となる。
【0114】
===その他の実施の形態===
以上、本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置において、車載機から携帯機までの距離の算出について説明したが、上記の説明は、本発明の理解を容易とするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。
【0115】
<<自動車のドアのアンロック>>
本実施形態では、携帯者が切替スイッチ(不図示)を切り替えることによって、携帯者が選択した運転席側のドアのアンロック又は全てのドアのアンロックが行われているがこれに限るものではない。例えば、前述した車載機1A、1B、1C、1Dにおいて、携帯者がエリア内に入ってきた場合、前述したように車載機1Aと携帯機2との距離をCPU3Aが算出し、車載機1Bと携帯機2との距離をCPU3Bが算出し、車載機1Cと携帯機2との距離をCPU3Cが算出し、車載機1Dと携帯機2との距離をCPU3Dが算出する。そして、CPU90は、CPU3A、3B、3C、3Dからの距離情報に基づいて、携帯機2即ち携帯者が運転席側から車両に近づいているのか否かを判別することができる。例えば図10において、車載機32のCPU3Bが算出した距離情報が、車載機31のCPU3Aが算出した距離情報より長い距離である場合、携帯者は助手席側から近づいていることをCPU90が判別することができる。その場合、例えば携帯者が切り替えスイッチで運転席側のドアのアンロックを選択しているとき、CPU90は助手席側のドアをアンロックさせるように制御部(不図示)に指示してするように設けても良い。
【0116】
<<距離算出通信装置の適用>>
本実施形態では、距離算出通信装置を自動車のドアをキー操作せずにロック又はアンロックするパッシブキーレスエントリーシステムにおける車載機に用いているが、本発明の適用対象はこれに限るものではない。
【0117】
居場所を特定する必要がある人(例えば園児又は老人。以下、被監視者という)に携帯機2を持たせ、車載機1と同一の機能を有する監視装置を被監視者を監視する者(以下、監視者という)が管理する。そして、監視者は、監視装置からのエリア内確認信号Aに基づいて、携帯機2からエリア内確認信号Bが送信されてくるか否かを監視装置が判別することによって、被監視者が通信可能範囲内にいるか否を判断することができる。そして、被監視者が所持する携帯機2からのエリア内確認信号Bが携帯機2から送信されてこないと監視装置が判別したとき、例えば監視装置は警報(アラーム)を鳴らして監視者に被監視者が通信可能範囲から出たことを知らせる。よって、監視者による被監視者の迅速な保護を図ることが可能となる。また、各被監視者の持つ携帯機2のFlashメモリ13に識別コードを記憶させ、エリア内確認信号Bとともに当該識別コードを携帯機2から送信させるように設けても良い。そうすることによって、監視者は、被監視者のうち誰が通信可能範囲から出たのかを把握することが可能となる。更に、第2の実施形態のように監視装置を複数設けさせる。そして、当該複数の監視装置からエリア内確認信号Aを送信させる。仮に被監視者が通信可能範囲を出てしまった場合、当該被監視者が通信可能範囲を出る直前の複数の監視装置が受信したエリア内確認信号Bに基づいて、被監視者が通信可能範囲を出た方向を監視者が容易に知ることが可能となる。なぜならば、監視装置は、エリア内確認信号Aを送信してから予め定められた時間t1内にエリア内確認信号Bが送信されてくるか否かを判別する。そのため、被監視者の最も近傍にある監視装置には、エリア内確認信号Bが最も早く送信されてくることとなる。よって、被監視者が通信可能範囲を出た方向が、当該被監視者の最も近傍にある監視装置によって判別することができる。そのため、監視者による被監視者の探索がより確実なものとなる。よって被監視者が通信可能範囲を出てしまったことによる事故を未然に防ぐことが可能となる。更に、被監視者が通信可能範囲を出てしまった場合、監視装置は携帯機2からのエリア内確認信号Bが送信されてこないと判別し、距離算出用信号を送信する。そして、仮に携帯機2と監視装置との間に中継機がある場合、中継機を介して当該距離算出用信号が監視装置に返信される。監視装置は、送信したときの距離算出用信号と携帯機2からの距離算出用信号との位相差から携帯機2と監視装置との距離を算出する。そのとき監視装置において算出した携帯機2と監視装置との距離が予め定められた距離未満でないと監視装置は判別する。よって監視者は、被監視者が通信可能範囲から出てしまったままであることを容易に判断することが可能となる。そのため、中継機を所持する者による被監視者の例えば誘拐等を未然に防ぐことが可能となる。
【0118】
また、例えば携帯機2を自宅のキーとして用いても良い。この場合、車載機1と同一の機能を有する管理装置を自宅のドアに設け、第1の実施形態のとおりに自宅のドアをキー操作せずにロック又はアンロックするように用いることが可能となる。また、仮に携帯機2と管理装置との間に中継機がある場合、管理装置において算出した携帯機2と管理装置との距離が予め定められた距離未満ではないと管理装置は判別する。そのため、管理装置は携帯機2との通信をストップさせる。よって、セキュリティー面が向上し、中継機を介して自宅への侵入を図る窃盗者等による被害を防ぐことが可能となる。同様に自宅以外の建物等へ入るときなどにも用いることが可能である。
【0119】
また、例えば携帯機2を貴重品に設けても良い。携帯機2が設けられた貴重品を失くした場合、車載機1と同一の機能を有する探索機から距離算出用信号を送信させる。そして、貴重品に設けた携帯機2に探索機が近づくことによって、探索機からの距離算出用信号を携帯機2が返信する。携帯機2からの距離算出用信号が探索機に送信されてくることによって、探索機が携帯機2までの距離を算出することができる。そして、探索機が算出した携帯機2までの距離が予め定められた距離となったとき、例えば警報(アラーム)を鳴らすことによって、探索機を所持する者が、貴重品が近辺にあることを判断することが可能となる。
【0120】
また、例えば電力メータ等に車載機1と同一の機能を設けても良い。この場合、電力メータ等の計測者に携帯機2を所持させる。そして、電力メータ等は、携帯機2が予め定められた距離未満にあるか否かを判別するために距離算出用信号を送信する。そして、携帯機2が予め定められた距離未満にあると電力メータ等が判別した場合、電力メータ等の計測するデータ値を計測者の所持する計測機に送信するように設けても良い。そうすることによって、電力メータ等が計測するデータ値の収集において、電力メータ等に非接触で当該データ値を収集することが可能となる。更に、近年においては電力メータ等が計測するデータ値の収集は、インターネット等によって収集することが可能となっているが、第三者によって当該データ値を読まれる可能性がある。しかしながら前述したような電力メータ、携帯機2を用いて電力メータ等の計測するデータ値の収集を行えば、第三者によって当該データ値を読まれる恐れが少なくなりセキュリティー面を向上することが可能となる。また、仮に携帯機2と電力メータ等との間に中継機がある場合、電力メータ等において算出した携帯機2と電力メータ等との距離が予め定められた距離未満ではないと電力メータ等は判別する。そのため、電力メータ等は携帯機2との通信をストップさせる。よって、中継機を介して電力メータが計測するデータ値を読み取られることを防止することが可能となる。
【0121】
更に、保護者による保護を必要とする人、例えば子供に携帯機2を所持させ、電柱に車載機1と同一の機能を有する捜索機を設ける。そして、当該携帯機2を所持する子供が、例えば誘拐等にあった場合、子供を追跡するための情報として役立てることも可能となる。この場合、電柱に設けられた捜索機は距離算出用信号を送信する。携帯機2を所持した子供が、当該捜索機が設けられた電柱の近傍を通過すると、携帯機2からの距離算出用信号が捜索機に送信される。このとき、捜索機は携帯機2までの距離を算出するとともに、携帯機2から距離算出用信号が送信されてきた時刻情報を例えばFlashメモリ6に記憶させる。そして、例えば警察などが捜索機のFlashメモリ6に記憶された当該時刻情報を読み出すことによって、子供が何時、捜索機からどの位離れた場所を通過したのかを判断することが可能となる。また、捜索機による前述した時刻情報を、通信網を通じて当該子供の保護者等に配信することにより子供がいる場所を把握することも可能となる。更に、仮に携帯機2と捜索機との間に中継機がある場合、携帯機2の例えば警報部(不図示)に警報を発せさせることが可能である。そのため、保護者等が中継機を持つ何者かによって子供が例えば誘拐される可能性があることを素早く知ることができる。よって保護者等が子供の誘拐等を未然に防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の全体構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図5】距離算出用信号の変化を示す図である。
【図6】本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【図7】距離算出用信号の変化を示す図である。
【図8】本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の全体構成の一例を示す図である。
【図9】本発明に係る距離算出通信装置と相手側通信装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【図10】車載機1A、1B、1C、1Dによる携帯機2の検出を示す図である。
【図11】モニタ92の表示画面の一例を示す図である。
【図12】中継機A、Bを介した車載機101と携帯機102の通信を示す図である。
【符号の説明】
【0123】
1、101 車載機
2、102 携帯機
3、11、90 CPU
4 カウンタ
5、27 タイマ
6、13 Flashメモリ
7 送信部
8 受信部
9、19 送信アンテナ
10、18 受信アンテナ
12 入力部
14 DET
15 変調器
16、17 RF
20、21、22 インバータ
23 フラグ
24 復調部
25 変調部
26 OSC
92 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側通信装置との間の距離を算出するための距離算出用信号を送信する送信部と、
前記相手側通信装置から返信された前記距離算出用信号を受信することによって、送信したときの当該距離算出用信号と、受信したときの当該距離算出用信号と、の位相差を検出する検出部と、
前記検出部にて検出された前記位相差に基づいて、前記相手側通信装置との間の距離を算出する算出部と、を備えたことを特徴とする距離算出通信装置。
【請求項2】
前記距離算出用信号を第1周波数の搬送波で変調する変調部と、
前記相手側通信装置が前記変調部からの前記距離算出用信号を復調した後に返信する、前記第1周波数よりも高い第2周波数の搬送波で変調された前記距離算出用信号を復調する復調部と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の距離算出通信装置。
【請求項3】
前記算出部にて算出された前記相手側通信装置との間の距離が、予め定められた距離未満であるか否かを判別する判別部を有し、
前記算出部にて算出された前記相手側通信装置との間の距離が、前記予め定められた距離以上であると前記判別部が判別したときの判別結果に基づいて、前記相手側通信装置との通信を停止する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の距離算出通信装置。
【請求項4】
前記距離算出用信号を生成する生成部を有し、
前記送信部は、
前記相手側通信装置から返信された前記距離算出用信号を受信するまで、前記生成部が生成する前記距離算出用信号を繰り返し送信し、
前記生成部は、
所定数の前記距離算出用信号を生成するごとに、前記距離算出用信号のパターンを変える、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の距離算出通信装置。
【請求項5】
前記変調部は、前記距離算出用信号を前記第1周波数の搬送波でASK変調し、
前記復調部は、前記相手側通信装置から返信される、前記第2周波数の搬送波でFSK変調された前記距離算出用信号を復調する、
ことを特徴とする請求項2乃至請求項4の何れかに記載の距離算出通信装置。
【請求項6】
前記送信部が前記距離算出用信号を送信するごとにリセットされ、前記相手側通信装置から返信された前記距離算出用信号を受信するまでの時間を計時するタイマと、
前記タイマがリセットされるごとにリセットされ、前記検出部にて検出された前記位相差を所定周波数のクロックでカウントするカウンタと、
前記カウンタのカウント値に基づいて、前記算出部が前記相手側通信装置との間の距離を算出する基となる情報が記憶された記憶部と、を有し、
前記検出部は、
前記タイマが計時する前記時間を、送信したときの前記距離算出用信号と受信したときの前記距離算出用信号との前記位相差として検出し、
前記算出部は、
前記カウンタが前記位相差を前記所定周波数のクロックでカウントしたときのカウント値に基づいて前記記憶部から前記情報を読み出し、当該距離情報から前記相手側通信装置との間の距離を算出する、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の距離算出通信装置。
【請求項7】
自動車に設けられ、
前記自動車のドアのアンロック又はロックを制御する制御部に対し、
前記算出部にて算出された前記相手側通信装置との間の距離が前記予め定められた距離未満であると前記判別部が判別したときの判別結果を、前記ドアをアンロックするための信号として供給し、
前記算出部にて算出された前記相手側通信装置との間の距離が、前記予め定められた距離以上であると前記判別部が判別したときの判別結果を、前記ドアをロックするための信号として供給する、
ことを特徴とする請求項3乃至請求項6の何れかに記載の距離算出通信装置。
【請求項8】
相手側通信装置との間の距離を算出する距離算出通信装置を送信し、
前記相手側通信装置から返信された前記距離算出用信号を受信することによって、送信したときの当該距離算出用信号と、受信したときの当該距離算出用信号と、の位相差を検出し、
検出された前記位相差に基づいて前記相手側通信装置との間の距離を算出する、ことを可能とする、
距離算出通信装置に用いる距離算出プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−118887(P2006−118887A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304757(P2004−304757)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】