説明

路側通信機

【課題】 自装置の送信タイミングの基準時刻を複数種類の中から選択できるようにして、他装置との時刻同期を正確に行う。
【解決手段】 本発明は、自装置に時分割で割り当てられた時間帯(第1スロットT1)に無線送信を行う路側通信機2に関する。この路側通信機2は、自装置の送信タイミングの基準となる複数の基準時刻CL1,CL2を取得可能な取得手段21,22と、複数の基準時刻CL1,CL2の精度に基づいて、それらの基準時刻CL1,CL2のうちのいずれに基づいて自装置の送信タイミングを生成するかを選択する選択手段23Cと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)の構成要素として好適な路側通信機に関する。より具体的には、その路側通信機が行う送信タイミングの同期に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、道路に設置されたインフラ装置からの情報を受信し、この情報を活用することで車両の安全性を向上させる高度道路交通システムが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
かかる高度道路交通システムは、主として、インフラ側の無線通信装置である複数の路側通信機と、各車両に搭載される無線通信装置である複数の車載通信機とによって構成される。
【0003】
この場合、各通信主体間で行う通信の組み合わせには、路側通信機同士が行う路路間通信と、路側通信機と車載通信機とが行う路車(又は車路)間通信と、車載通信機同士が行う車車間通信とが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記高度道路交通システムにおいては、車車間通信をはじめ、路車間通信や路路間通信及び路歩間通信も含め、これらの各通信の共存を図るに当たって、帯域を有効利用してどのような通信制御を行うかが課題となる。そこで、限られた周波数帯域内で路路間、路車間及び車車間の各通信を行うべく、マルチアクセス(Multiple Access)が用いられることが検討されている。
【0006】
このマルチアクセス方式としては、周波数分割多重(FDMA:Frequency Division Multiple Access)や符号分割多重(CDMA:Code Division Multiple Access)があるが、山間部などで少数の車載通信機のみでの通信も想定される車車間通信としてのマルチアクセス方式としては、例えばCSMA(Carrier Sense Multiple Access)に代表される自律的なランダムアクセス方式を採用するのが好ましい。
【0007】
しかし、路側通信機が存在するエリアでは、路車間通信、路路間通信及び車車間通信が共存する。この場合、インフラ側である路側通信機の取り扱う情報の優先度が高いのが一般的であるため、車車間通信よりも路車間通信や路路間通信が優先的に行われる仕組みが必要である。
そこで、路側通信機の情報送信を優先的に行うためには、通信に用いる周波数を一定時間ごとに時分割して路側通信機の送信専用の時間スロットを設ける、時分割多重(TDMA:Time Division Multiple Access)によるマルチアクセスが有効となる。
【0008】
従って、例えば、交差点ごとに設置された複数の路側通信機群で構成される通信システムを想定すると、各路側通信機が送信する時間スロットをTDMA方式で割り当て、残った時間スロットをCSMA方式による車車間通信に使用させるのが、合理的な通信システムになると考えられる。
このような高度道路交通システムでは、例えば、路側通信機が送信に使用する時間スロットを車載通信機に通知し、車載通信機はその時間スロット以外の時間においてCSMA方式を用いて送信を行うことが考えられる。その場合、各路側通信機が正確な送信タイミングで無線送信をしないと、車載通信機に通知した時間スロットと、実際に路側通信機が送信する時間スロットにズレが生じ、路側通信機からの送信信号と車載通信機からの送信信号に干渉が生じてしまうことになる。
【0009】
この路側通信機同士の時刻同期の方法としては、例えば、自身の時計をGPS(Global Positioning System)時刻に合わせるGPS同期、IEEE1588やIEEE802.1AS等に準拠したネットワーク回線から取得したネットワーク時刻に合わせるネットワーク同期、及び、自身の時計を他の路側通信機からの送信信号に合わせるエア同期が考えられる。
【0010】
上記の同期方法の中では、一般にGPS時刻が精度としては優れているが、例えばGPS受信機が故障したり、GPS受信機のアンテナに氷雪が付着したりする等の不具合が発生すると、GPS受信機から正確な基準時刻を取得できなくなる。
このため、かかるデバイスの故障や不具合を考慮すると、必ずしもGPS同期が一律に有利であるとは限らず、その故障や不具合がそのまま放置されると、路側通信機からの送信タイミングが狂ったままで路車間通信が継続されることになる。
【0011】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み、自装置の送信タイミングの基準時刻を複数種類の中から選択できるようにして、他装置との時刻同期をより正確に行うことができる路側通信機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の路側通信機(請求項1)は、自装置に時分割で割り当てられた時間帯に、他装置と同期するように生成した送信タイミングで無線送信を行う路側通信機路側通信機であって、前記自装置の送信タイミングの基準となる複数の基準時刻を取得可能な取得手段と、複数の前記基準時刻の精度に基づいて、それらの基準時刻のうちのいずれに基づいて前記自装置の送信タイミングを生成するかを選択する選択手段と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
なお、本明細書において、道路の交差点等に設置される複数の路側通信機のうち、自らの装置について言及する場合には、その路側通信機を「自装置」といい、これ以外の他の装置について言及する場合には、その路側通信機を「他装置」という。
【0014】
本発明の路側通信機によれば、上記選択手段が、複数の基準時刻の精度に基づいて、それらの基準時刻のうちのいずれに基づいて自装置の送信タイミングを生成するかを選択するので、複数の基準時刻の中から精度のよいものを選択して自装置の送信タイミングを決定することができる。
このため、複数の基準時刻のうちのいずれかが何らかの原因で不正確であっても、他のより正確な基準時刻を基準として送信タイミングを生成することができ、他装置との時刻同期を正確に行うことができる。
【0015】
本発明の路側通信機において、前記取得手段は、具体的には、次の第1取得手段と第2取得手段とから構成することができる(請求項2)。
(1) GPS受信機又はこれ以外の外部からの絶対時刻を第1の前記基準時刻として取得する第1取得手段
(2) 前記他装置から受信した受信信号の受信時刻を第2の前記基準時刻として取得する第2取得手段
【0016】
この場合、前記第2取得手段が、複数の前記他装置からそれぞれ複数の前記受信信号の受信時刻を取得可能であり、前記選択手段が、複数の前記受信時刻の精度に基づいて、前記自装置の送信タイミングの基準とすべき1つの前記受信時刻を選択するものを採用すれば(請求項3)、複数の受信時刻の中から最も高精度の受信時刻を選択することができ、いわゆるエア同期の基準となる受信時刻を正確に特定できるようになる。
【0017】
一方、本発明の路側通信機において、伝搬遅延による時間誤差やマルチパスの影響等を考慮すると、自装置からなるべく近い他装置の送信信号を受信した場合に、受信時刻の精度が高くなると推定できる。
そこで、前記選択手段は、前記他装置の設置位置に基づいて、同期対象となる前記他装置を選択することにしてもよい(請求項4)。この場合、他装置の設置位置に基づき、自装置からの距離が最小の他装置を同期対象として選択すればよい。
【0018】
もっとも、自装置と他装置との間に高層ビルその他の障害物がある場合には、両者が比較的近距離である場合でも、自装置での受信信号が弱まって正確な受信時刻が得られない可能性が高い。
そこで、前記選択手段は、前記他装置への見通しに関する情報に基づいて、同期対象となる前記他装置を選択することもできる(請求項5)。この場合、自装置からの見通しのよい他装置については、両者間に障害物がないと見なせるので、そのような他装置のみを同期対象として選択すればよい。
【0019】
更に、受信強度が大きい受信信号の送信元の他装置ほど、自装置からの距離が小さく、伝搬遅延による時間誤差やマルチパスの影響が小さいと推定できる。
そこで、前記選択手段は、前記受信信号の受信強度に基づいて、同期対象となる前記他装置を選択することもできる(請求項6)。この場合、当該受信強度が最大である他装置を同期対象として選択すればよい。
【0020】
また、本発明の路側通信機において、前記他装置の送信信号に、当該他装置が行った前記自装置との時刻ずれに関する監視情報が含まれている場合には、前記選択手段は、複数の前記監視情報に基づいて前記第1及び第2の基準時刻のいずれを採用するかを決定することが好ましい(請求項7)。
この場合、例えば、所定数の他装置からの監視情報において自装置との時刻ずれが検出されている場合には、自装置は自身の現状の基準時刻が誤っていることを察知できるので、その基準時刻の切り替えに踏み切ることができる。
【0021】
また、本発明の路側通信機において、前記取得手段が、複数の前記他装置に対して前記自装置に時刻ずれがあることを知らせる警告信号を受信可能である場合には、前記選択手段は、前記警告信号に基づいて前記第1及び第2の基準時刻のうちのいずれを採用するかを決定することもできる(請求項8)。
この場合、取得手段が警告信号を取得した場合には、自装置は自身の現状の基準時刻が誤っていることを察知できるので、その基準時刻の切り替えに踏み切ることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上の通り、本発明によれば、自装置の送信タイミングの基準時刻を複数種類の中から選択することができるので、他装置との時刻同期をより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】高度道路交通システムの全体構成を示す概略斜視図である。
【図2】高度道路交通システムの管轄エリアの一部を示す道路平面図である。
【図3】路側通信機と車載通信機の内部構成を示すブロック図である。
【図4】割当情報に含まれるタイムスロットの一例を示す概念図である。
【図5】車載通信機が送信するデータフォーマットの一例を示す図である。
【図6】同期モードの処理内容の一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の変形例を示すための道路の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る高度道路交通システム(ITS)の全体構成を示す概略斜視図である。なお、本実施形態では、道路構造の一例として、南北方向と東西方向の複数の道路が互いに交差した碁盤目構造を想定している。
図1に示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、交通信号機1、路側通信機2、車載通信機3(図2及び図3参照)、中央装置4、車載通信機3を搭載した車両5、及び、車両感知器や監視カメラ等よりなる路側センサ6を含む。
【0025】
交通信号機1と路側通信機2は、複数の交差点Ji(図例では、i=1〜12)のそれぞれに設置されており、電話回線等の通信回線7を介してルータ8に接続されている。このルータ8は交通管制センター内の中央装置4に接続されている。
中央装置4は、自身が管轄するエリアに含まれる各交差点Jiの交通信号機1及び路側通信機2とLAN(Local Area Network)を構成している。従って、中央装置4は、各交通信号機1及び各路側通信機2との間で双方向通信が可能である。なお、中央装置4は、交通管制センターではなく道路上に設置してもよい。
【0026】
路側センサ6は、各交差点Jiに流入する車両台数をカウントする等の目的で、管轄エリア内の道路の各所に設置されている。この路側センサ6は、直下を通行する車両5を超音波感知する車両感知器、或いは、道路の交通状況を時系列に撮影する監視カメラ等よりなり、感知情報S4や画像データS5は通信回線7を介して中央装置4に送信される。
なお、図1及び図2では、図示を簡略化するために、各交差点Jiに信号灯器が1つだけ描写されているが、実際の各交差点Jiには、互いに交差する道路の上り下り用として少なくとも4つの信号灯器が設置されている。
【0027】
〔中央装置〕
中央装置4は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなる制御部を有しており、この制御部は、路側通信機2、路側センサ6からの各種の交通情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。
具体的には、中央装置4の制御部は、自身のネットワークに属する交差点Ciの交通信号機1に対して、同一道路上の交通信号機1群を調整する系統制御や、この系統制御を道路網に拡張した広域制御(面制御)を行うことができる。
【0028】
また、中央装置4は、通信回線7を介してLAN側と接続された通信インタフェースである通信部を有しており、この通信部は、信号灯器の灯色切り替えタイミングに関する信号制御指令S1や、渋滞情報等を含む交通情報S2を所定時間ごとに交通信号機1及び路側通信機2に送信している(図1参照)。
信号制御指令S1は、前記系統制御や広域制御を行う場合の信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、交通情報S2は、例えば5分ごとに送信される。
【0029】
また、中央装置4の通信部は、各交差点Jiに対応する路側通信機2から、その通信機2が車載通信機3から受信した車両5の現在位置等を含む車両情報S3、車両通過時に生じるパルス信号よりなる車両感知器(図示せず)の感知情報S4、及び、監視カメラが撮影した道路のデジタル情報よりなる画像データS5等を受信しており、中央装置4の制御部は、これらの各種情報に基づいて前記系統制御や広域制御を実行する。
【0030】
〔無線通信の方式等〕
図2は、上記高度道路交通システムの管轄エリアの一部を示す道路平面図である。
図2では、互いに交差する2つの道路の各々が上りと下りで片側1車線のものとして例示されているが、道路構造はこれに限られるものではない。
図2にも示すように、本実施形態の高度道路交通システムは、車載通信機3との間で無線通信が可能な複数の路側通信機2と、キャリアセンス方式で他の通信機2,3と無線通信を行う移動無線送受信機の一種である車載通信機3と備えている。
【0031】
複数の路側通信機2は、それぞれ路側の交差点Jiごとに設置されていて、図1及び図2の例では交通信号機1の支柱に取り付けられている。一方、車載通信機3は、道路を走行する各車両5にそれぞれ搭載されている。
各路側通信機2は、その周囲に広がる通信エリアA(路側通信機2の送信信号が十分に届く範囲)をそれぞれ有し、自身の通信エリアAを走行する車両5の車載通信機3との無線通信が可能である。また、各路側通信機2は、通信エリアAが重複(一部重複でも全部重複でもよい。)する他の路側通信機2とも無線通信が可能である。
【0032】
本実施形態の高度道路交通システムでは、路側通信機2同士(路路間通信)については無線通信が用いられ、また、路側通信機2と車載通信機3との間(「路」から「車」への路車間通信と「車」から「路」への車路間通信との双方を含む。)と車載通信機3同士(車車間通信)についても、無線通信が用いられている。
なお、前記した通り、交通管制センターに設けられた中央装置4は、各路側通信機2と有線での双方向通信が可能となっているが、これらの間も無線通信であってもよい。
【0033】
各路側通信機2は、自装置が無線送信するためのタイムスロット(図4の第1スロットT1)をTDMA方式で割り当てており、このタイムスロット以外の時間帯(図4の第2スロットT2)には無線送信を行わない。従って、路側通信機2用のタイムスロット以外の時間帯は、車載通信機3のためのCSMA方式による送信時間として開放されている。
また、路側通信機2は、自身の送信タイミングを制御するために他の路側通信機2との時刻同期機能を有している。この路側通信機2の時刻同期は、例えば、自身の時計をGPS時刻に合わせるGPS同期や、自身の時計を他の路側通信機2からの送信信号に合わせるエア同期等によって行われるが、これについては後述する。
【0034】
〔路側通信機〕
図3は、路側通信機2と車載通信機3の内部構成を示すブロック図である。
路側通信機2は、無線通信のためのアンテナ20が接続された無線通信部(送受信部)21と、中央装置4と双方向通信する有線通信部22と、それらの通信制御を行うプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)等よりなる制御部23と、制御部23に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部24とを備えている。
【0035】
路側通信機2の有線通信部22には、前記中央装置4の他に、GPS受信機25が接続されている。
このGPS受信機25は、複数のGPS衛星(図示せず)から受信したGPS信号に含まれる基準時刻(第1の基準時刻:以下、「GPS時刻」ということがある。)CL1を抽出することができる。この第1の基準時刻CL1は、例えば1秒ごとのパルス信号(1PPS信号)よりなる絶対時刻であり、有線通信部22を通じて制御部23(第1同期手段23B)に送られる。
【0036】
なお、上記GPS信号には、10MHzの参照クロック信号が含まれており、この参照クロック信号は無線通信部21に入力されてPLL方式で逓倍され、無線信号の増幅動作等に使用される。
路側通信機2の記憶部24は、制御部23が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信機2,3の通信機ID等を記憶している。
【0037】
路側通信機2の制御部23は、隣接する他装置との時刻ずれに関する監視情報S7を、予め設定された所定期間(例えば、1日〜数日)おきに生成しており、この生成した監視情報S7を無線通信部21に送信させる通信制御を実行可能である。
また、路側通信機2の制御部23は、上記コンピュータプログラムを実行することで達成される機能部として、データ転送手段23Aと、第1同期手段23Bと、第2同期手段23Cとを備えている。
【0038】
〔データ転送手段〕
このうち、制御部23のデータ転送手段23Aは、有線通信部22が受信した中央装置4からの交通情報S2等を、いったん記憶部24に一時的に記憶させ、無線通信部21を介して自装置の通信エリアAにブロードキャスト送信する。
また、データ転送手段23Aは、無線通信部21が受信した車両情報S3を、いったん記憶部24に一時的に記憶させ、有線通信部22を介して中央装置4に転送する。
【0039】
更に、データ転送手段23Aは、記憶部24に記憶されたタイムスロットの割当情報S6を、無線通信部21を介して自装置の通信エリアAにブロードキャスト送信する。
この割当情報S6は、路側通信機2の送信時間を車載通信機3に通知するためのものであり、例えば次の内容(1)及び(2)が含まれる。
【0040】
(1) 自装置及び他装置が使用中のスロット番号i(図4参照)
(2) そのスロット番号iの第1スロットT1(図4参照)の開始時刻及び継続時間
通信エリアAを走行する車両5の車載通信機3は、路側通信機2からの割当情報S6を受信すると、もともと車車間通信用として割り当てられた時間帯に加え、その割当情報S6に記された第1スロットT1以外の時間帯(図4の第2スロットT2)も利用して、キャリアセンス方式による無線送信を行う。
【0041】
〔タイムスロットの割当情報〕
図4は、上記割当情報S6に含まれるタイムスロットの一例を示す概念図である。
図4に示すように、タイムスロットT1,T2は、第1スロットT1と第2スロットT2とを含み、これらの合計期間が一定の周期Cで繰り返すようになっている。
第1スロットT1は、路側通信機2用のタイムスロットであり、この時間帯においては路側通信機2による無線送信が許容される。第1スロットT1にはスロット番号iが付されており、このスロット番号iは周期的にインクリメント又はデクリメントされる。
【0042】
また、第2スロットT2は、車載通信機3用のタイムスロットである。この時間帯は車載通信機3による無線送信用として開放するため、路側通信機2は第2スロットT2では無線送信を行わない。
図4に示すタイムスロットにおいて、各スロット番号i=1〜3の第1スロットT1に記したドット●は、当該第1スロットT1に複数の路側通信機2の送信時間が割り当てられていることを示している。
【0043】
すなわち、図4に示す例では、スロット番号(1)の第1スロットT1には、交差点J1とJ5(図1参照)にある2つの路側通信機2の送信時間が割り当てられ、スロット番号(2)の第1スロットT1には、交差点J2,J6及びJ8にある3つの路側通信機2の送信時間が割り当てられ、スロット番号(3)の第1スロットT1には、交差点J3にある1つの路側通信機2の送信時間が割り当てられている。
【0044】
このように、各路側通信機2の送信時間は、第1スロットT1に対して1対1対応で割り当てられるのではなく、互いに電波干渉が生じない交差点Ji(i=1〜12)に設置された路側通信機2同士について、同じスロット番号iに重複して割り当て可能となっている。
かかるスロット割当は、他装置から取得した設置位置やスロット情報を利用して各路側通信機2が自律的に行うこともできるし、複数の路側通信機2の中から1つの親機を予め選定しておき、この親機が、自身が管理する子機同士で電波干渉が生じない送信タイミングとなるように、子機に対して総括的に行うようにすることもできる。
【0045】
〔第1同期手段〕
制御部23の第1同期手段23Bは、GPS受信機25から取得したGPS時刻CL1を利用して、自装置の送信タイミングを生成するGPS同期を実行するものである。
具体的には、本実施形態の第1同期手段23Bは、GPS信号の品質や、複数の他装置から収集した監視情報S7に基づいてGPS時刻CL1が正常か否かを判定し、このGPS時刻CL1が正常である場合に限り、当該GPS時刻CL1を基準として無線通信部21の送信タイミングを生成する。
なお、第1同期手段23Bが実行する同期モード(GPS同期)の詳細ついては、後述する。
【0046】
〔第2同期手段〕
一方、制御部23の第2同期手段23Cは、他装置からの送信信号を自装置の無線通信部21が受信した受信時刻(第2の基準時刻:以下、単に「受信時刻」という。)CL2を基準として、自装置の送信タイミングを生成するエア同期を実行するものである。
具体的には、路側通信機2の記憶部24は、他装置が使用するプリアンブルパターンを既知パターンとして予め記憶しており、本実施形態の第2同期手段23Cは、その既知パターンと受信波との相関に基づいて、プリアンブルの種類、プリアンブルの受信強度(RSSI:Receive Signal Strength Indication)及び受信タイミング(受信時刻)を検出し、この受信タイミングを基準として無線通信部21の送信タイミングを生成する。
【0047】
また、本実施形態の第2同期手段23Cは、送信元の他装置が異なる複数の受信時刻CL2の精度に基づいて、自装置の送信タイミングの基準とすべき1つの受信時刻CL2を選択する選択処理、すなわち、エア同期の同期対象となる追従先の他装置の選択処理についても実行可能である。
なお、この選択処理を含む第2同期手段23Cが実行する同期モード(エア同期)の詳細についても、後述する。
【0048】
〔車載通信機〕
図3に戻り、車載通信機3は、無線通信のためのアンテナ30に接続された通信部(送受信部)31と、この通信部31に対する通信制御を行うプロセッサ等よりなる制御部32と、この制御部32に接続されたROMやRAM等の記憶装置よりなる記憶部33とを備えている。
記憶部33は、制御部32が実行する通信制御のためのコンピュータプログラムや、各通信装置2,3の通信機ID等を記憶している。
【0049】
車載通信機3の制御部32は、車車間通信のためのキャリアセンス方式による無線通信を通信部31に行わせるものであり、路側通信機2との間の時分割多重方式での通信制御機能は有していない。
従って、車載通信機3の通信部31は、所定の搬送波周波数の受信レベルを常時感知しており、その値がある閾値以上である場合は無線送信を行わず、当該閾値未満になった場合にのみ無線送信を行うようになっている。
【0050】
なお、車載通信機3の制御部32は、車両5(車載通信機3)の現時の位置、方向及び速度等を含む車両情報S3を、通信部31を介して外部にブロードキャストで無線送信させている。
また、車載通信機3の制御部32は、他の車両5から直接受信した車両情報S3や、路側通信機2から受信した他の車両5の車両情報S3に含まれる、位置、速度及び方向に基づいて、右直衝突や出合い頭衝突等を回避するための安全運転支援制御を行うことができる。
【0051】
図5は、車載通信機3が送信するデータフォーマットの一例を示す図である。
図5に示すように、車載通信機3の送信信号には、プリアンブル、ヘッダ、データ、CRC(Cyclic Redundancy Check)が含まれている。
このうち、データには、車両5の位置、方向(進行方向)及び速度が含まれるが、路側通信機2からの送信信号を受信した場合の受信レベルを含めることもできる。車両5の位置や方向は、通常は、GPS等の車両5側のセンサ類が自律的に測定した情報であるが、光ビーコン等のインフラ側から取得可能な場合もある。速度は、車両5の速度センサに基づいた情報である。
【0052】
〔路側通信機の同期モード〕
図6は、路側通信機2の制御部23が実行する同期モードの処理内容を示すフローチャートである。
なお、図6において、「マスターモード」(ステップST1〜ST6)とは、他装置の送信タイミングには依存せず、自装置が外部信号(本実施形態では、GPS信号に含まれるGPS時刻CL1)に基づいて自律的に送信タイミングを生成する同期モードのことをいう。
【0053】
これに対して、図6における、「スレーブモード」(ステップST7〜ST10)は、他装置の送信タイミング(具体的には、他装置からの送信信号を自装置が受信した受信時刻CL2)に基づいて、自装置の送信タイミングを生成する同期モード(エア同期)のことをいう。
本実施形態では、自装置がGPS受信機25に接続されていることを前提としている。そこで、図6に示すように、自装置の制御部23は、まず最初に、第1同期手段23Bによるマスターモードを実行する(図6のステップST1)。
【0054】
〔マスターモード〕
このマスターモードにおいて、制御部23の第1同期手段23Bは、GPS時刻CL1の精度を自己測定し(図6のステップST2)、GPS時刻CL1が正常か否かを判定する(図6のステップST3)。
このGPS時刻CL1の精度は、例えば、GPS信号の送信元である衛星数、各GPS信号の受信強度(RSSI)及びGPS信号のS/N比が、当該GPS時刻CL1の精度(時間誤差の期待値)σに及ぼす影響関数を予め数値実験等で定めておき、その影響関数に上記衛星数、受信強度及びS/N比を代入することによって求められる。
【0055】
制御部23の第1同期手段23Bは、上記影響関数によって求めたGPS時刻CL1の精度σを所定の閾値と比較し、その精度σが閾値以下であればGPS時刻CL1を正常と判定し、同閾値を超えておればGPS時刻CL1を異常と判定する。
そして、第1同期手段23Bは、上記精度判定によりGPS時刻CL1を異常と判定した場合(図6のステップST3でNo)には、GPS時刻CL1を用いたマスターモードは実行せず、同期モードを後述のスレーブモードに移行させる。
【0056】
逆に、第1同期手段23Bは、上記精度判定によりGPS時刻CL1が正常であると判定した場合(図6のステップST3でYes)には、更に、複数の他装置から取得した監視情報S7に基づいて、GPS時刻CL1が正常か否かを判定する(図6のステップST4及びST5)。
例えば、隣接する複数の他装置から受信した監視情報S7のうち、大多数の監視情報S7において自装置に対する時刻ずれ(所定値以上の時刻差)が検出されている場合には、いわゆる多数決の論理により、自装置のGPS時刻CL1が異常であると推定することができる。
【0057】
なお、上記ステップST4及びST5では、他装置からの監視情報S7を集めた自装置が、自身のGPS時刻CL1が正常か否かを自律的に判定しているが、この判定結果を外部から得ることにしてもよい。すなわち、中央装置4や他装置が、自装置を含む多数の路側通信機2の時刻情報を収集し、いずれの路側通信機2に時刻ずれが生じているかを判定し、その時刻ずれが生じている路側通信機2に警告信号を出すようにしてもよい。
その結果、中央装置4や他装置が自装置に時刻ずれがあると判断すると、自装置に対して上記警告信号が送信される。この場合、その警告信号を受けた自装置がマスターモードで動作している場合には、自装置の制御部23は、自身のGPS時刻CL1が異常であると判断できる。
【0058】
第1同期手段23Bは、上記監視情報S7に基づいてGPS時刻CL1を異常と判定した場合(図6のステップST5でNo)には、GPS時刻CL1を用いたマスターモードは実行せず、同期モードを後述のスレーブモードに移行させる。
逆に、第1同期手段23Bは、上記監視情報S7に基づいてGPS時刻CL1を正常と判定した場合(図6のステップST5でYes)には、当該GPS時刻CL1を基準として自身の無線通信部21の送信タイミングを生成する(図6のステップST6)。
【0059】
本実施形態の路側通信機2では、自装置の送信中以外は他装置からの送信信号を常に受信可能になっているので、上記のように、自装置が正しい送信タイミングで送信しているか否かの監視を、他装置からの監視情報S7を利用して容易に行える(相互監視)。
この場合、他装置からの監視情報S7によって自装置の送信タイミングがずれていると判断される場合には、例えばGPS受信機25に不具合があると推定できるので、本実施形態では同期モードをスレーブモード(エア同期)に切り替えるようにしている。
【0060】
なお、スレーブモードを実行できない路側通信機2の場合には、監視情報S7によってGPS受信機25に不具合があると判定されると、当該路側通信機2の運用を停止することになる。
この場合、周辺の他の路側通信機2が、例えば、「○○エリアの路側通信機は停止中」という旨の情報を、車載通信機3にブロードキャスト送信するようにすれば、車両5側に路側通信機2の運用停止を事前に知らせることができる。
【0061】
〔スレーブモード〕
次に、第2同期手段23Cによるスレーブモード(図6のステップST7)について説明する。
このスレーブモードにおいて、第2同期手段23Cは、まず、複数の他装置から受信した受信信号からそれぞれ受信時刻CL2を収集する(図6のステップST8)。
この受信時刻CL2の検出は、他装置からの送信信号を無線通信部21が受信した場合に、その送信信号に含まれるプリアンブルをスキャニングし、このスキャニングしたパターン(受信波)が既知パターンと最も高い相関値を示す時点を受信タイミング(受信時刻CL2)とすることで行われる。
【0062】
なお、本実施形態では、各路側通信機2が自身に対応したIDをプリアンブルパターンに続くデータの中に含めて信号送信を行う。このため、自装置が複数の受信波を受信したとしても、それぞれの受信波における受信強度や受信時刻CL2等を受信波ごとに区別して検出することができる。
上記のようにして、複数の他装置が送信した送信信号に対応する各受信時刻CL2を収集すると、第2同期手段23Cは、更に、送信タイミングを合わせる追従先の他装置を選択する選択処理を実行する(図6のステップST9)。
【0063】
〔スレーブモードでの同期対象の選択処理〕
上記選択処理は、具体的には、収集した各受信信号の品質によってその受信時刻CL2の精度を評価し、この受信時刻CL2の精度に基づいて、自装置の送信タイミングの基準とすべき1つの受信時刻CL2を選択することによって行われる。
この受信時刻CL2の精度は、例えば、受信信号の受信強度(RSSI)、S/N比及び既知パターンとの相関係数が、当該受信時刻CL2の精度(時間誤差の期待値)σに及ぼす影響関数を予め数値実験等で定めておき、その影響関数に上記受信強度、S/N比及び相関係数を代入することによって求められる。
【0064】
制御部23の第2同期手段23Cは、上記影響関数によって求めた複数の受信時刻CL2の精度σの中で、最小の精度σとなる受信時刻CL2を、自装置の送信タイミングの基準とすべき受信時刻CL2として選択する。
従って、最小精度のものとして選択された1つの受信時刻CL2に対応する他装置は、自装置の同期対象となる追従先の他装置となる。
【0065】
もっとも、必ずしも、受信信号の品質を示す各パラメータの影響を総合的に評価して受信時刻CL2の精度を求める必要はなく、単純に、他装置の設置位置に基づいて、同期対象となる追従先の他装置を選択することもできる。
その理由は、自装置からなるべく近い設置位置の他装置を選択すれば、伝搬遅延による時間誤差やマルチパスの影響等の少ない他装置を追従先として選択でき、より正確な受信時刻CL2の選択が可能となるからである。
【0066】
この場合において、第2同期手段23Cは、他装置の設置位置を通る道路の識別情報についても、選択条件とすることが好ましい。
その理由は、自装置と他装置との間に高層ビルその他の障害物がある場合には、両者が比較的近距離であっても、自装置での受信信号が弱まって正確な受信時刻CL2が得られない可能性があるからである。従って、自装置と同じ道路上にある他装置については、両者間に障害物がないと見なせるので、そのような他装置のみを同期対象に含めることにすればよい。
【0067】
なお、上記他装置の設置位置やその設置位置を通る道路の識別情報は、事前の設定情報として予め自装置の記憶部24に記憶させておいてもよいし、路側通信機2の送信データにそれらの情報を含める規約を採用して、他装置からの送信信号を受信してそれらの情報を取得することにしてもよい。
また、自装置と他装置の間に障害物があるか否かは、自装置から見た他装置への見通しの度合いで決まるので、道路の識別情報だけでなく地図情報でも判定できる。
例えば、自装置と他装置の間に何も障害物がない場合を100点とし、地図上で両者間に介在する建物の大きさや数によって減点される指数を予め決めておけば、この見通しに関する指数の値の大きさを、追従先の他装置の選択条件とすることができる。
【0068】
また、第2同期手段23Cにおいて、他装置からの受信信号の受信強度に基づいて、同期対象となる追従先の他装置を選択するようにしてもよい。
その理由は、受信強度が大きい受信信号の送信元の他装置ほど、自装置からの距離が小さく、伝搬遅延による時間誤差やマルチパスの影響が小さいと推定できるからである。従って、この場合には、収集された複数の受信信号のうち、受信強度が最大であった他装置を追従先として選択すればよいことになる。
【0069】
更に、本実施形態において、他装置からの送信信号に、当該他装置がGPS受信機25を搭載しているか否か及びその診断(Diag)情報が含まれていてもよい。
この場合、第2同期手段23Cにおいて、GPS受信機25を搭載しており、その受信機25が正常に稼働している他装置から得た受信時刻CL2を採用することにより、より正確な受信時刻CL2を利用した同期処理が可能となる。
【0070】
上記のようにして、複数の受信信号の中から追従先とすべき他装置が選択されると、制御部23の第2同期手段23Cは、その他装置からの受信信号から検出した受信時刻CL2を基準として一定時刻を加算することにより、自身の無線通信部21における送信タイミングを生成する(図6のステップST10)。
【0071】
以上の通り、本実施形態の路側通信機2によれば、GPS時刻CL1及び受信時刻CL2の精度に基づいて、そのうちのいずれに合わせて自装置の送信タイミングを生成するかを選択するので、その各時刻CL1,CL2の中から精度のよいものを選択して自装置の送信タイミングを決定することができる。
このため、GPS時刻CL1と受信時刻CL2のうちのいずれかが何らかの原因で不正確であっても、他のより正確な基準時刻CL1,CL2を利用して送信タイミングを生成することができ、他装置との時刻同期を正確に行うことができる。
【0072】
〔変形例:指向性のある路側通信機〕
図7は、本発明の変形例を示すための道路の平面図である。
この変形例に係る各路側通信機2は、指向性が異なる複数のアンテナを用いた無線通信が可能な無線通信部を搭載している。
上記無線通信部の各アンテナは、図7に矢印で示すように、交差点に流入する各道路の進行方向に沿った指向性を有しており、無線通信部は、そのアンテナごとに送受信タイミングを設定することができる。
【0073】
上記のような路側通信機2の場合には、1つの路側通信機2に対して、アンテナごとに独立した複数の通信エリアがあるものと見なすことができる。
そこで、路側通信機2ごとではなくアンテナごとに通信機が存在すると見なして、スロット割当や基準時刻の選択を行うようにすれば、指向性アンテナごとに無線通信が可能な路側通信機2の場合にも、本発明を適用することができる。
【0074】
〔その他の変形例〕
今回開示した各実施形態は本発明の例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上記実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲とその構成と均等な意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
例えば、上記実施形態では、GPS受信機25が受信したGPS信号から絶対時刻(GPS時刻)CL1を抽出しているが、IEEE1588やIEEE802.1AS等に準拠したネットワーク回線に繋がるスレーブ装置その他の外部装置から、絶対時刻CL1を取得することもできる。
【0075】
更に、上記実施形態の高度道路交通システムおいて、車載通信機3の代わりに或いは車載通信機3に加えて、歩行者等が携帯する通信機(携帯通信端末)を用いることもできる。もっとも、この場合には、その携帯通信端末が、上記実施形態の車載通信機3の場合と同様に、路側通信機2の送信時間(第1スロットT1)中においては無線送信を行わないという規約に従う必要がある。
【符号の説明】
【0076】
1 交通信号機
2 路側通信機
3 車載通信機(移動通信機)
4 中央装置
5 車両
6 路側センサ
7 通信回線
8 ルータ
20 アンテナ
21 無線通信部(第2取得手段)
22 有線通信部(第1取得手段)
23 制御部(選択手段)
23A データ転送手段
23B 第1同期手段
23C 第2同期手段
24 記憶部
25 GPS受信機
30 アンテナ
31 通信部
32 制御部
33 記憶部
S1 信号制御情報
S2 交通情報
S3 車両情報
S4 感知情報
S5 画像データ
S6 割当情報
S7 監視情報
CL1 GPS時刻(第1の基準時刻)
CL2 受信時刻(第2の基準時刻)
T1 第1スロット(タイムスロット)
T2 第2スロット(タイムスロット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置に時分割で割り当てられた時間帯に、他装置と同期するように生成した送信タイミングで無線送信を行う路側通信機であって、
前記自装置の送信タイミングの基準となる複数の基準時刻を取得可能な取得手段と、
複数の前記基準時刻の精度に基づいて、それらの基準時刻のうちのいずれに基づいて前記自装置の送信タイミングを生成するかを選択する選択手段と、
を備えていることを特徴とする路側通信機。
【請求項2】
前記取得手段は、GPS受信機又はこれ以外の外部からの絶対時刻を第1の前記基準時刻として取得する第1取得手段と、
前記他装置から受信した受信信号の受信時刻を第2の前記基準時刻として取得する第2取得手段とからなる請求項1に記載の路側通信機。
【請求項3】
前記第2取得手段は、複数の前記他装置からそれぞれ複数の前記受信信号の受信時刻を取得可能であり、
前記選択手段は、複数の前記受信時刻の精度に基づいて、同期対象となる前記他装置を選択する請求項2に記載の路側通信機。
【請求項4】
前記選択手段は、前記他装置の設置位置に基づいて、同期対象となる前記他装置を選択する請求項3に記載の路側通信機。
【請求項5】
前記選択手段は、前記他装置への見通しに関する情報に基づいて、同期対象となる前記他装置を選択する請求項3又は4に記載の路側通信機。
【請求項6】
前記選択手段は、前記受信信号の受信強度に基づいて、同期対象となる前記他装置を選択する請求項3〜5のいずれか1項に記載の路側通信機。
【請求項7】
前記他装置の送信信号には、当該他装置が行った前記自装置との時刻ずれに関する監視情報が含まれており、
前記選択手段は、複数の前記監視情報に基づいて前記第1及び第2の基準時刻のうちのいずれを採用するかを決定する請求項2〜6のいずれか1項に記載の路側通信機。
【請求項8】
前記取得手段は、複数の前記他装置に対して前記自装置に時刻ずれがあることを知らせる警告信号を受信可能であり、
前記選択手段は、前記警告信号に基づいて前記第1及び第2の基準時刻のうちのいずれを採用するかを決定する請求項2〜6のいずれか1項に記載の路側通信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−171509(P2010−171509A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9892(P2009−9892)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】