説明

車両における少なくとも1つのホイールのロケーティングのための方法、センサ、検出器及びシステム

本発明は車両(1)における少なくとも1つのホイール(2a〜2d)のロケーティングのための方法に関する。ここでは、
a)ホイール(2a〜2d)に取付けられている第1のセンサ(4a〜4d)からのホイール(2a〜2d)位置(P1〜P6)を示す信号(S4a〜S4d)を受信するステップと、
b)ホイール(2a〜2d)の角度位置を測定しさらに車両(1)の特定の位置に対応付ける第2のセンサ(5a〜5d)の測定値(S5a〜S5d)を受信するステップと、
c)前記測定値(S5a〜S5d)に関する第1の信号(S4a〜S4d)の位相位置(W1a〜W3a,W1b〜W1b)を確定するステップと、
d)前記位相位置(W1a〜W3a,W1b〜W1b)が所定の監視期間において所定の許容範囲(WTa,WTb)内に留まっている場合に、第2のセンサ(5a〜5d)に第1のセンサ(4a〜4d)を割当てるステップが含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両における少なくとも1つのホイールのロケーティングのための方法に関している。さらに本発明は、ホイール若しくはホイールに組付けられたタイヤに取付けられるセンサ、並びに車両における少なくとも1つのホイールのロケーティングのための検出器に関している。最後に本発明は車両における少なくとも1つのホイールのロケーティングのためのシステムにも関している。
【0002】
最近の車両は頻繁にタイヤ空気圧コントロールシステムないしはタイヤ情報システムを備えている。これらのシステムでは、タイヤに設けられたセンサから様々な測定量の測定値(例えば空気圧、タイヤ温度、タイヤ負荷など)が受信ユニットに送信されている。それらのセンサには、測定値伝送の際に一緒に送信される一義的な通し番号が割当てられており、それによって受信器はこの通し番号に基づいて測定値に、1つのタイヤを一義的に割当てることが可能となる。これについては例えば欧州特許発明第626911号明細書に記載がある。
【0003】
しかしながらまだ通し番号だけでは、車両において確定している取付け位置まで割り出すことはできず、そのため多くの車両においては、ホイールロケーティングシステムが装備されている。ここでの"ロケーティング"の目的とは、各通し番号に1つの取付け位置を割当てることである。このことは、車両における所定の位置に測定値を割当て、タイヤ(空気圧)に関する問題発生の際にドライバに、例えば"圧力低下、左方、全輪"などの警告表示と共に相応の情報を提供することによって可能となる。その上さらに、自動的なロケーティング機能は、車両におけるタイヤ/ホイールの適切な取付けに関する検査も可能にし、エラーが見つかった場合には、警告表示をドライバに示すことも可能である。その際には、適切な車軸への取付けのみならず適切な側への取付けに関しても考慮され得る。例えば、よくある扁平率の低い幅広な後輪用タイヤをフロントアクスルに取付け、誤った回転方向での取付けがなされているような状況では警告表示をトリガすることができる。
【0004】
ホイールロケーティングには一連のアプローチが存在する。タイヤ/ホイールの適切な取付けを検査する手法は、タイヤ/ホイールの回転方向を評価して、この回転方向からタイヤ/ホイールが取付けられている場所を逆推論することからなる。
【0005】
この目的のために頻繁に用いられているシステムは、既に前述したようなタイヤ空気圧を直接監視しているシステム、つまりセンサが、回転するタイヤの中に直接組み込まれているシステムである。これらのセンサは通常は無線によってそのデータを、車両内に組み込まれている受信ユニットに伝送している。受信電界強度の測定によってホイールの位置を推定することも可能である。これについては独国特許出願公開第10342297号公報が参照できる。いずれにせよこのことはセンサの送信電力にも依存し、この送信電力はセンサのバッテリー強度にも依存している。また頻繁に中央受信ユニットの取付け位置は任意に選択することができず、そのため場合によっては多義的で曖昧な信号しか得ることができない。それに対する代替案として各ホイールに個別の受信ユニットを割当てることも可能であるが、しかしながらこのことは技術的に非常に複雑となる。
【0006】
本発明の課題は、簡単な方法で、車両におけるホイールのロケーティング(位置特定)を可能にする方法、センサ、検出器及びシステムを提供することである。
【0007】
この課題は、請求項1の特徴部分に記載された本発明の方法により、及び/又は請求項6の特徴部分に記載された本発明のセンサにより、及び/又は請求項10の特徴部分に記載された本発明の検出器により、及び/又は請求項14の特徴部分に記載された本発明のシステムによって解決される。
【0008】
これに応じて本願発明による車両における少なくとも1つのホイールのロケーティングのための方法においては、以下のステップが実施される。すなわち、
a)ホイールに取付けられている第1のセンサからのホイール位置を示す信号を受信するステップ、
b)ホイールの角度位置を測定しさらに車両の特定の位置に対応付ける第2のセンサの測定値を受信するステップ、
c)測定値に関する第1の信号の位相位置を確定するステップ、
d)前記位相位置が所定の監視期間中に所定の許容範囲内に留まっている場合に、第2のセンサに第1のセンサを割当てるステップ。
【0009】
さらに本発明によれば、ホイール又はホイールに組込まれたタイヤに取付け、当該ホイールの位置を示す信号を送信し、当該ホイールのさらなるパラメータを測定するために設けられるセンサが提供される。
【0010】
さらに本発明によれば上記課題の解決のために、車両における少なくとも1つのホイールのロケーティングのための検出器が提供されており、この検出器は以下の手段を含んでいる。すなわち、
a)ホイールに取付けられている第1のセンサからのホイール位置を示す信号を受信するための手段、
b)ホイールの角度位置を測定し車両の特定の位置に対応付ける第2のセンサの測定値を受信するための手段、
c)測定値に関する第1の信号の位相位置を検出するための手段、
d)前記位相位置が所定の監視期間中に所定の許容範囲内に収まっている場合に、第2のセンサに第1のセンサを割当てるための手段を含んでいる。
【0011】
最後に本発明の課題の解決のために、車両における少なくとも1つのホイールをロケーティングするためのシステムが提案されており、このシステムは、本発明による検出器と、該検出器との通信のために設けられた本発明による第1のセンサと、前記検出器との通信のために設けられた第2のセンサとを含んでいる。
【0012】
ここでは本発明が、請求項1に記載のように、車両における少なくとも1つのタイヤのロケーティングのための方法の意味で読み取れるだけでなく、複数のタイヤのロケーティングにも関連していることを述べておく。なお本願で用いられている用語「ホイール」は、本願の別の部分では概念的に「タイヤ」に置換えてもらっても差し支えない。
【0013】
本発明の利点はとりわけ、比較的僅かな技術的コストのみで1つのホイールの位置特定ができるようになることである。場合によって存在する第2のセンサも(これらはいずれにせよABSシステム(アンチロックブレーキシステム)やESPシステム(電子制御式横滑り防止装置)に必要とされるものである)も、本発明においては共に有効に活用できる。本発明のさらなる利点は、比較的エラーに対する耐性があり、さらに無線伝送区間の散発的な途切れが生じても機能を維持できることである。
【0014】
本発明の有利な実施形態および発展形態は、従属請求項ならびに図に関連した発明の詳細な説明からも明らかとなる。
【0015】
有利には、第1のセンサは、ホイールの予め定められた所定の位置において信号を送信する。この場合ホイールの角度位置の測定値をセンサから検出器に伝送する必要性はなく、ただパルス状の信号を、ホイールが予め定められた所定の位置に達したときに発するだけで十分である。このような信号は一方では複雑性があまりないという利点があり、他方でも、ホイールの角度に関する固定値から出発できるので、方法ステップの処理に関する利点も得られる。もちろんホイールが所定の位置に達した場合には、その他のデータ、例えばタイヤの空気圧についてのデータも伝送できる。
【0016】
その場合有利には、ホイールの所定の位置として、空間に対するホイールの角度位置、タイヤ周面における1つのポイントのタイヤ接地面への進入、タイヤ周面における1つのポイントのタイヤ接地面からの離脱、タイヤ周面における1つのポイントのタイヤ接地面中央への到達、からなるグループのうちの1つ又は複数が設定される。これらの位置は、簡単に求めることができ、それ故本発明の枠内での使用に向いている。その場合に注意しなければならないことは、タイヤ接地面への進入とそこからの離脱の際に、角度位置も空気圧などのタイヤ負荷と共に変化することである。前述した予め定められる所定のホイール位置の検出に対して、特に加速度センサや圧電センサが適している。この加速度センサは、ホイール回転軸に対して横方向の加速度を測定でき、前記圧電センサはタイヤ接地面への進入又はタイヤ接地面からの離脱、並びにタイヤ接地面の移動を検出できるものである。
【0017】
特に有利には、監視期間は、少なくとも2つのホイールの回転数が所定の差分を有するように選択される。ホイールを車両における所定の位置に一義的に対応付けられるようにするためには、ホイールの回転数の差分が有利に用いられる。前記監視期間は、第3のステップd)の実施と共にそのような差分が生じるまで待機することによって確定されてもよい。監視期間はここでは固定的に設定されるのではなく、定められた条件の達成によって動的に生じる。
【0018】
さらに特に有利には、監視期間の確定のために、車両が所定の作動状況に入るまで待機される。ホイール回転数の差分の評価の他に、本発明による方法の開始及び/又は終了が出現する作動状況を待機することも可能である。例えばカーブ走行の開始と終了を横方向加速度測定センサを用いて確定することも可能である。カーブ走行開始の際には、本発明による方法が開始され、さらにカーブ走行の終了が確定されステップd)の実行が開始されるまではステップa)からc)までが繰返し実行される。このカーブ走行の他に、ホイール間で回転数に差分が生じるその他の作動状況を評価することももちろん可能である。例えば頻繁にホイールの空転が生じる過度な加速及び制動操作である。また車両の完全に"普通"の作動状況もホイールのロケーティングのために用いることができ、これによって、本発明による方法の実施が、ドライバから全く知覚されることなくバックグラウンドにおいて行われるようになる。それに対して設けられていた固有の測定プロシージャ(これは車両の持ち主によって開始されるためおよそ煩わしく感じられる)は、実施する必要がない。
【0019】
さらに有利には、第1のセンサがさらなるパラメータとして、タイヤ温度、タイヤ空気圧、又はタイヤ負荷からなるグループの1つまたは複数を測定する。前述したパラメータに対するセンサは最近の車両においてはいずれにせよ既存のものであり、そのため本発明による機能のために拡張するだけでよい。ここではセンサのタイヤないしホイールへの取付けに関する利点が得られる。なぜなら複数の機能に対して唯1つのセンサを取付けるだけでよいからである。
【0020】
本発明による測定システムでは最終的に有利には、第1のセンサの信号を受信する角度位置を確定するための手段と、第1のセンサを第2のセンサに対応付けるための手段が半導体チップに設けられ、受信手段はそのようなチップの少なくとも1つの入力側及び/又は無線受信モジュールである。前記半導体チップは小型でエラーにも強く容易に入手可能である。それ故本発明による機能は、そのような半導体チップ、例えばメモリを備えたマイクロプロセッサにおいて有利に実行され得る。また本発明による方法の統合化、ないしそれに必要な手段は、いずれにせよ既存のオンボード電子部品において可能である。
【0021】
前述した本発明による実施例と改善例は、任意の方式で組合わせが可能である。
以下の明細書では本発明を図面に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるシステムを備えた車両の平面図と側面図
【図2】本発明による検出器の重要な構成要素を示した図
【図3】ホイールの詳細図
【図4】第1及び第2のセンサの信号の時間経過を表した図
【0023】
これらの図面中、同じ構成要素並びに機能が同じ構成要素には他に理由がない限り同じ符号が付されている。
【0024】
図1は、車両1の側面図および平面図を示す。車両1は、それぞれに設けられている第1のセンサ4a〜4dを備えたホイール2a〜2dと、車両1における少なくとも1つのホイール2a〜2dをロケーティングするための測定システム3と、車両1における所定の位置に対応付けられている4つの第2のセンサ5a〜5dを含んでいる。図示の例では第2のセンサ5aは、左方前輪に、第2のセンサ5bは右方前輪に、第2のセンサ5cは左方後輪に、そして第2のセンサ5dは右方後輪に配置されている。
【0025】
図2には、測定システム3の詳細が示されている。この測定システムには、無線を介して伝送された第1のセンサ4a〜4dの信号S4a〜S4dを検出する受信器6と、第2のセンサ5a〜5dの信号S5a〜S5dの検出のための入力側モジュール7が含まれている。さらにこの測定システム3は、マイクロコントローラ8及びメモリ9を含む。メモリ9はとりわけ、本発明による方法に必要なデータ並びにシーケンスを記憶するために設けられ得る。通常はこの方法は、メモリ9内のプログラムの形態でファイルされている。マイクロコントローラ8はメモリを読み出し、当該方法をステップ毎に処理する。測定システム3は、車両1の別の制御タスクも実行するオンボードコンピュータ(図示されていない)の一部であってもよい。場合によっては監視機器の部分が物理的ブロックではなく機能ブロックとして見なされてもよい。しかしながら以下では簡略化のために、測定システム3が別個の装置であるものとする。
【0026】
図3は、ホイール2aの拡大図を示す。このホイール2aは、路面13上にあり、リム10と、該リム10に取付けられているタイヤ11とバーラインディスク12を含んでいる。ホイール負荷によってタイヤ11はタイヤ接地面A(接触面とも称する)の領域において変形し、そこでは路面の形態を受け入れる。図示の例では平面である。
それに対して第1のセンサ4aはホイール2aの所定の位置に設けられ、信号S4aを送信している。これは例えば次のような空間、すなわち3時方向の空間P1,9時方向の空間P5、12時方向の空間P6に関するホイールの角度位置であってもよい。そのような位置は、例えばホイール2aに固定的に設けられた加速度センサを用いて公知の手法で比較的簡単に求めることが可能である。なぜならセンサに作用する重力加速度は常に地心に向いているからである。これは必ずしも必要というわけではないが、ホイール2aの位置を正確に求めるべき場合には、重畳された加速度、例えば遠心加速度、車両加速度、斜面走行などを考慮しなければならない。重力加速度の方向の評価の他にももちろん車両1の加速や減速の際の長手方向加速度の方向も評価されなければならない。そのような作動状況の出現は、ホイール回転数の差分によって、あるいは車両1に組込まれている加速度センサを用いて検出することが可能である。それにより、例えば再び3時方向の位置P1、9時方向の位置P5、及び12時方向の位置P6が識別され得る。
【0027】
しかしながら6時方向の位置P3自体が空間内の位置である場合には、加速度センサを用いて求めることは困難である。なぜならそこでは接地面Aの移動全体に亘って重力加速度は1つの単一のポイントだけに作用するわけではないからである。それ故前記位置P3は、位置P2及びP4と共に処理される。ホイール2aの位置として詳細には、タイヤ周面における1つのポイントのタイヤ接地面への進入(P2)、タイヤ周面における1つのポイントのタイヤ接地面からの離脱(P4)、タイヤ周面における1つのポイントのタイヤ接地面の中央への到達(P3)が設定され得る。このような適用ケースにおいては例えば圧電センサが用いられてもよい。この圧電センサはタイヤ接地面の領域においては湾曲せず、タイヤ接地面以外の領域では僅かに湾曲し、移行領域においては大きく湾曲する。このような変形パターンからはホイール2aの位置が推論できる。タイヤ接地面Aはとりわけタイヤ負荷と空気圧に依存しているので、位置P2とP4はホイール2aの(一定の)位置とは空間内においては同一ではない。
【0028】
有利には圧電結晶によって電気エネルギーに変換される変形エネルギーは、第1のセンサ4aのエネルギー供給のためにも用いられる。場合によってはバッテリー自体を完全に省くことも可能である。しかしながら既存のバッテリーを支援すること、ないしは所定の期間に亘ってエネルギー供給を保証するコンデンサを充電することも可能である。圧電素子から生成される電圧の極性が入れ替わるために、付加的に整流器が設けられる。
【0029】
図示の例では、センサ4a〜4dが信号S4a〜S4dをホイール2a〜2dの所定の位置P1〜P6に送信する。もちろん図示の経過は、検出器3が所定の時点においてホイール2a〜2dの所定の位置P1〜P6を問い合わせた場合にも機能する。
【0030】
第2のセンサ5aは、ホイール2aの角度位置を測定するために設けられている。このことは図示の例ではそれ自体公知の手法で反射若しくはフォークライトバリア及びバーラインディスク12を用いて行われる。明/暗の相違が第2のセンサ5aによって識別され、後置接続された電子回路を用いて角度位置に換算される。しかしながらライトバリアからカウントされたパルス自体を直接、角度相当分として後続処理することも可能である。バーラインディスク12上で捕捉された明/暗の変化の数が多ければ高い角度分解能が可能になり、少なければ低い角度分解能しか得られない。車両構造においては頻繁にのこぎり状ディスクやパーフォレーテッドディスク(有孔ディスク)も用いられる。前記のこぎり状ディスク若しくはパーフォレーテッドディスクが金属性である場合には、汚れに対する耐性を高めるために光学センサの代わりに、ホールセンサが用いられる。もちろん基本的には容量性のピックアップと誘導性のピックアップがホイール2aの角度位置の測定に対して考えられる。
【0031】
ホイール2a〜2dの角度位置は例えば既存のABSシステム(アンチロックブレーキシステム)やESPシステム(電子制御式横滑り防止装置)で必要なものである回転数信号の評価によって少ないコストで検出することが可能である。この場合所定の時点、例えばイグニッションスイッチのスイッチオンの時点で、ホイール回転数センサの1つのセグメント(又は歯)がゼロ点(基準点)として定められる。この位置に関連して後続の角度値はそのときに通過するセグメント(ないし歯)の数に基づいて算出される。
【0032】
最終的には第2のセンサ5aが第1のセンサ4aと同じ構造であることも考えられる。一例として例えばドライブアクスルに設けられた加速度センサなどである。第1のセンサ4aと第2のセンサ5aの間の違いは、第2のセンサ5aが車両1における1つの位置に対応付けられていることである。第2のセンサ5aは当該実施例では左方前輪のホイールボックスに割当てられている。
【0033】
図4は、左方前輪の第1のセンサ4aと、2つの第2のセンサ5a(左方前輪)及び5B(右方前輪)のタイムチャートである。ここでは信号S5a(上方)と信号S5b(下方)が示されている。
【0034】
信号S5aは、のこぎり状の経過を示しており、この場合1つの歯がホイール2aの一回転、すなわち0°〜360°の角度に相当している。信号S5bものこぎり状の経過を示しているが、これはより少ない周波数で経過している。このことは、第2のセンサ5bが設けられているホイール2bがホイール2aよりもゆっくり動いていることを意味している。つまり車両1は右方向のカーブを走行していることになる。
【0035】
以下では本発明による方法ないし測定システム3の機能を、図1〜4に基づいて詳細に説明する。測定システム3は、リクエストに基づいて、または繰り返し時点において、本発明による方法の実施を開始する。
【0036】
第1のステップa)では、ホイール2aに取付けられている第1のセンサ4aの信号S4aが受信される。図示の例では、9時の方向の位置P5が受け入れられる。信号の伝送はここでは無線を介して行われているが、これ以外の伝送手段も基本的には可能である。
【0037】
第2のステップb)では、第2のセンサ5a及び5bの信号S5a、S5bが受信される。これらは図4に示されている経過に相応している。第2のセンサ5a、5bの分解能がより低い場合には、この経過はステップ状に成り得る。
【0038】
ここで示唆されていることは、特に前記ステップa)とステップb)が、示されている順番で完全に平行して処理できないことである。さらに全ての第1のセンサ4a〜4dの信号と全ての第2のセンサ5a〜5dの信号が周期的に検出される。図示の例では、分かり易くする理由から、第1のセンサ4aの信号と2つの第2のセンサ5a、5bの信号だけを取り上げて評価している。
【0039】
第3のステップc)では、どの位相位置W1a〜W3aにおいて第1のセンサ4aの信号S4aが受信されているかが確定される。時点t1では信号S4aは位相位置W1aにおいて受信され、時点t2では位相位置W2aにおいて受信され、時点t3では位相位置W3aにおいて受信される。位相位置W1a〜W3aは一定に維持されるのではなく、所定の変化にさらされる。このことは例えばセンサの測定誤差やいわゆる"ジッター"、すなわち測定ないしは測定値伝送の時間変動に起因している。
【0040】
測定及び測定値伝送に対する一定の時間のもとでの角度ずれに対するさらなる理由はホイールの回転数にもある。すなわち回転数によっては、一定の処理時間の間に様々な角度ずれを引き起こすことがあるが、このことはホイール2a〜2dのロケーティング(位置特定)を困難にし、場合によってはロケーティングそのものを実施できなくする。それに対して本願では有利には測定システム3において、ホイール位置P1〜P6への到達から、検出器3における信号S4a〜信号S4dの受信までに、全ての時間遅延が既知となる。それにより前述したような影響が考慮できる。このことは例えばホイール位置P1〜P6への到達から信号S4a〜S4dの受信までの間に一定の時間間隔を設けることによって達成できる。ここでは、例えばセンサ4a〜4dの電子回路によって、ホイール位置P1〜P6への到達から信号S4a〜S4dの受信までの間のホイール回転数に依存する時間遅延分だけ待機することによって角度のずれが一定に維持される。またシステム時間が統一されている場合にはタイムスタンプの利用も可能である。そのようなケースでは付加的にホイール位置P1〜P6に対して検出器3によって評価可能なタイムスタンプが付される。
【0041】
本質的でかつとりわけ不確かな時間のずれは、検出器3とセンサ4a〜4d若しくは5a〜5dとの間の通信バス(例えばCANバス)を用いた通信中に生じる。つまりいずれかのバスにおいては所定の若しくは一定の伝送時間が保証できないことがあり得る。有利にはここでも実際の時間遅延が検出器3において考慮できるようにするために、測定値にタイムスタンプが付される。
【0042】
前述したような理由から許容範囲WTaが設けられる。図示の例では、許容範囲WTaが次のように設定される。すなわち検出された第1の位相位置W1aが当該許容範囲WTaの中心に位置するように設定される。但しこれは一例に過ぎず、その他の、許容範囲の設定も同様に可能である。それに類似して位相位置W1b〜W3bを求めて許容範囲WTbが設定される。
【0043】
第4のステップd)では、位相位置W1a〜W3aが所定の期間において予め定められた許容範囲WTa内に留まる場合に、第1のセンサ4aが第2のセンサ5aに対応付けられる。
【0044】
このステップのよりよい理解のために、第1のセンサ4aが車両1の所定の箇所に先験的に割り当てできないことを再度明確にする。第1のセンサ4aは1つのホイール2a若しくはタイヤ11に割当てられる。しかしながらホイール2a若しくはタイヤ11は、例えば夏タイヤから冬タイヤへの取り替えの際などには車両1の任意の箇所に取付けられる。このことは、例えばセンサ4aがタイヤ空気圧の監視のためにも設けられ、車両1の所定の箇所、例えば"左方前輪"に割り当てられない場合には問題を引き起こす。
【0045】
図4からは、信号S4aの位相位置W1a〜W3aが図4に示されている全期間に亘って信号S5aに対する許容範囲WTa内に留まり、第2の信号S5bに対する許容範囲WTbは第2の検出の時点で既に逸脱していることが明らかである。これによって、第1のセンサ4aを備えたホイール2aは、第2のセンサ5bが対応付けられている車両1の箇所に取付けることは不可能であることがわかる。さもないと信号S4aの位相位置を信号S5bと相関付けなければならなくなるからである。図示の例では第1のセンサ4aが第2のセンサ5aに割当てられ、そしてホイール2aが車両1の所定の箇所、詳細には左方前輪に割当てられている。
【0046】
本発明による方法は基本的には、各第1のセンサ4a〜4d毎に個別に実行され得るが、第1のセンサ4a〜4dの全てが一度に対応付けられてもよい。
【0047】
監視期間は基本的には次のように選択される。すなわち信号S4a〜S4dが所定の第2のセンサ5a〜5dに一義的に対応付けられるように選択される。直接的な時間情報の代わりに、少なくとも2つのホイール2a〜2dの回転又は回転数に所定の差分をもたせる基準を用いてもよい。具体的には例えばカーブ走行を観察した場合、各ホイール2a〜2dはそれぞれの固有のカーブラインを走行し、それに伴って各ホイール2a〜2dには異なる回転が生じる。しかしながら空転しているホイールやロックしているホイール2a〜2dではそのような回転数の差分が生じ得る。換言すれば、このことは、所定の作動状況に陥った場合には、前記ホイール2a〜2dが車両1の所定の位置に割当てられるまで待機されることを意味する。
【0048】
タイヤを最初に車両に装着する場合、又はタイヤを新しく買い換えた場合、ないしは自家用車において通常の夏タイヤから冬タイヤへの半年毎の入換え周期の場合には、そのような作動状況が現われるまでの十分な待機時間が許容される。そのような所定の作動状況の出現は、第4の方法ステップd)の肯定的な実施のためのトリガであり得る。
【0049】
もちろんこのロケーティング方法を、車両の比較的長い駐車時間の後、例えば車両の少なくとも1つのタイヤを入換えるのに十分な位の時間の後で開始することも考えられる。当該の方法をそれぞれ比較的長い駐車時間の後で開始させる場合には、タイヤの交換がいずれにせよ検出され、その位置が求められることが保証される。そのような基準の出現はステップa)における当該方法の開始に対するトリガであり得る。しかしながら経済的に望ましくない場合には、ステップa)〜c)を連続的に実施してもよいし、比較的長い駐車期間の出現が当該方法のステップd)に対するトリガであってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)における少なくとも1つのホイール(2a〜2d)のロケーティングのための方法において、
a)ホイール(2a〜2d)に取付けられている第1のセンサ(4a〜4d)からのホイール(2a〜2d)位置(P1〜P6)を示す信号(S4a〜S4d)を受信するステップと、
b)ホイール(2a〜2d)の角度位置を測定しさらに車両(1)の特定の位置に対応付ける第2のセンサ(5a〜5d)の測定値(S5a〜S5d)を受信するステップと、
c)前記測定値(S5a〜S5d)に関する第1の信号(S4a〜S4d)の位相位置(W1a〜W3a,W1b〜W1b)を確定するステップと、
d)前記位相位置(W1a〜W3a,W1b〜W1b)が所定の監視期間において所定の許容範囲(WTa,WTb)内に留まっている場合に、第2のセンサ(5a〜5d)に第1のセンサ(4a〜4d)を割当てるステップとを含んでいることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1のセンサ(4a〜4d)がホイール(2a〜2d)の所定の位置(P1〜P6)において信号(S4a〜S4d)を送信している、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ホイール(2a〜2d)の所定の位置(P1〜P6)として、空間に対するホイール(2a〜2d)の角度位置、タイヤ周面における1つのポイントのタイヤ接地面(A)への進入、タイヤ周面における1つのポイントのタイヤ接地面(A)からの離脱、タイヤ周面における1つのポイントのタイヤ接地面(A)の中央への到達、からなるグループのうちの1つ又は複数が設定される、請求項2記載の方法。
【請求項4】
監視期間が、少なくとも2つのホイール(2a〜2d)の回転数において所定の差分が生じるように選択される、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
監視期間の確定のために、車両(1)の所定の作動状況の出現を待機する、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
ホイール(2a〜2d)又はホイール(2a)に組込まれるタイヤ(11)に取付け、ホイール(2a〜2d)の位置(P1〜P6)を示す信号(S4a〜S4d)を送信し、ホイール(2a〜2d)又はタイヤ(11)のさらなるパラメータを測定するために設けられていることを特徴とするセンサ(4a〜4d)。
【請求項7】
ホイール(2a〜2d)の所定の位置(P1〜P6)において信号(S4a〜S4d)を送信するために設けられている、請求項6記載のセンサ。
【請求項8】
前記ホイール(2a〜2d)の所定の位置(P1〜P6)として、空間に対するホイール(2a〜2d)の角度位置、タイヤ周面における1つのポイントのタイヤ接地面(A)への進入、タイヤ周面における1つのポイントのタイヤ接地面(A)からの離脱、タイヤ周面における1つのポイントのタイヤ接地面(A)の中央への到達、からなるグループのうちの1つ又は複数が設定される、請求項7記載のセンサ。
【請求項9】
タイヤ温度、タイヤ空気圧、ホイール負荷からなるグループのうちの1つ又は複数がさらなるパラメータとして設定される、請求項6から8いずれか1項記載のセンサ。
【請求項10】
車両(1)における少なくとも1つのホイール(2a〜2d)のロケーティングのための検出器(3)において、
a)ホイール(2a〜2d)に取付けられている第1のセンサ(4a〜4d)からのホイール(2a〜2d)位置(P1〜P6)を示す信号(S4a〜S4d)を受信するための手段と、
b)ホイール(2a〜2d)の角度位置を測定しさらに車両(1)の所定の位置に対応付ける第2のセンサ(5a〜5d)の測定値(S5a〜S5d)を受信するための手段と、
c)前記測定値(S5a〜S5d)に関する第1の信号(S4a〜S4d)の位相位置(W1a〜W3a,W1b〜W1b)を確定するための手段と、
d)前記位相位置(W1a〜W3a,W1b〜W1b)が所定の監視期間において所定の許容範囲(WTa,WTb)内に留まっている場合に、第2のセンサ(5a〜5d)に第1のセンサ(4a〜4d)を割当てるための手段とを含んでいることを特徴とする検出器。
【請求項11】
監視期間が、少なくとも2つのホイール(2a〜2d)の回転数において所定の差分が生じるように選択される、請求項10記載の検出器。
【請求項12】
監視期間の確定のために、車両(1)の所定の作動状況の出現を待機する、請求項10又は11記載の検出器。
【請求項13】
第1のセンサ(4a〜4d)の信号(S4a〜S4d)を受信する角度位置を確定するための手段が設けられ、第1のセンサ(4a〜4d)と第2のセンサ(5a〜5d)を対応付けるための手段が1つの半導体チップに配設されており、受信手段が前記半導体チップの少なくとも1つの入力側及び/又は無線受信モジュール自体である、請求項10から12いずれか1の検出器。
【請求項14】
車両(1)における少なくとも1つのホイール(2a〜2d)のロケーティングのためのシステムにおいて、請求項10〜13いずれか1項記載の検出器(3)と、該検出器(3)との通信のために設けられている請求項6から9いずれか1項記載の第1のセンサ(4a〜4d)と、前記検出器(3)との通信のために設けられている第2のセンサ(5a〜5d)が含まれていることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−527971(P2011−527971A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517961(P2011−517961)
【出願日】平成21年9月22日(2009.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/062245
【国際公開番号】WO2010/034703
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(508097870)コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (205)
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D−30165 Hannover, Germany
【Fターム(参考)】