説明

車両のエア回路

【課題】駐車ブレーキ用エアタンク等を用いずに、サービスブレーキの制動力を十分に確保できる状態になるまで、駐車ブレーキが解除されるのを防止する。
【解決手段】エアコンプレッサ11により圧縮された圧縮エアを作動圧管路13及びリレーバルブ14を通り駐車ブレーキ用スプリングチャンバ12に導いて駐車ブレーキが解除され、上記圧縮エアを信号圧管路16及び駐車ブレーキ用手動制御弁17を通りリレーバルブの信号圧室に導いてリレーバルブが開く。信号圧管路が作動圧管路のうちエアコンプレッサとリレーバルブとの間の管路から分岐して接続され、エアコンプレッサと駐車ブレーキ用手動制御弁との間の信号圧管路から分岐する分岐管路19,21にサービスブレーキ用エアタンク23,24が設けられ、駐車ブレーキ用手動制御弁よりエアコンプレッサ側の信号圧管路に信号圧エア用保護バルブ31が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮エアにより制御される駐車ブレーキ用スプリングチャンバが搭載された車両のエア回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両のエア回路として、駐車ブレーキ用エアタンクからリレーバルブを介して駐車ブレーキ用スプリングチャンバに作動圧エアを導くことにより駐車ブレーキが解除され、駐車ブレーキ用エアタンクから駐車ブレーキ用手動制御弁を介してリレーバルブに信号圧エアを導くことによりリレーバルブが開くように構成されたスプリングブレーキ装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このスプリングブレーキ装置では、駐車ブレーキ用エアタンクから駐車ブレーキ用手動制御弁に信号圧エアを導く経路の途中に、サービスブレーキ用エアタンクから導いた信号圧エアが所定圧力以下の条件下でのみ閉じる常時開のカットバルブが設けられる。またカットバルブから駐車ブレーキ用手動制御弁に信号圧エアを導く経路の途中に、駐車ブレーキ用手動制御弁側からカットバルブ側への作動圧エアの逆流を阻止するチェックバルブが設けられる。
【0003】
このように構成されたスプリングブレーキ装置では、サービスブレーキの多用等によりサービスブレーキ用エアタンク内の圧力が所定圧力以下に降下した状態で停車している場合に、サービスブレーキ用エアタンクから導いた信号圧エアが所定圧力以下となってカットバルブが閉じるので、駐車ブレーキレバーを解除して駐車ブレーキ用手動制御弁を開通させても、駐車ブレーキ用エアタンクからの信号圧エアはリレーバルブに送られず、サービスブレーキ用エアタンク内の圧力が十分に回復してカットバルブが開くまで駐車ブレーキ用スプリングチャンバが作動状態に保持される。即ち、サービスブレーキ用エアタンク内の圧力が十分に回復しない停車状態から駐車ブレーキ用スプリングチャンバを解除して発進しようとしても、駐車ブレーキ用スプリングチャンバの解除が阻止されるので、サービスブレーキによる確実な制動力が得られる状態でのみ走行を開始できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−95083号公報(請求項1、段落[0012]、段落[0025])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の特許文献1に示されたスプリングブレーキ装置では、駐車ブレーキ専用の駐車ブレーキ用エアタンクや、カットバルブ及びチェックバルブなど比較的多くの部品を必要とするため、部品管理が煩わしくなるとともに、部品の組付工数が増大する不具合があった。
【0006】
本発明の目的は、駐車ブレーキ用エアタンクやカットバルブ等を用いずに、サービスブレーキ用エアタンクの圧力がサービスブレーキの制動力を十分に確保できる圧力に上昇するまで、駐車ブレーキが解除されるのを防止できる、車両のエア回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点は、図1及び図2に示すように、エアコンプレッサ11により圧縮された圧縮エアを作動圧管路13及びリレーバルブ14を通って駐車ブレーキ用スプリングチャンバ12に作動圧エアとして導くことにより駐車ブレーキが解除され、エアコンプレッサ11により圧縮された圧縮エアを信号圧管路16及び駐車ブレーキ用手動制御弁17を通ってリレーバルブ14の信号圧室に信号圧エアとして導くことによりリレーバルブ14が開くように構成された車両エア回路において、信号圧管路16が作動圧管路13のうちエアコンプレッサ11とリレーバルブ14との間の管路から分岐して接続され、エアコンプレッサ11と駐車ブレーキ用手動制御弁17との間の作動圧管路13又は信号圧管路16から分岐する分岐管路19,21にサービスブレーキに圧縮エアを供給するサービスブレーキ用エアタンク23,24が設けられ、駐車ブレーキ用手動制御弁17よりエアコンプレッサ11側の信号圧管路16に信号圧エア用保護バルブ31が設けられ、信号圧エア用保護バルブ31はこの信号圧エア用保護バルブ31の入口31d側の圧縮エアが所定圧まで上昇したときに開きかつ信号圧エア用保護バルブ31の出口31e側の圧縮エアが上記所定圧より小さい所定圧まで低下したときに閉じるように構成されたことを特徴とする。
【0008】
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図1及び図2に示すように、分岐管路19,21のうちサービスブレーキ用エアタンク23,24よりエアコンプレッサ11側にサービスブレーキ用保護バルブ33,34が設けられ、このサービスブレーキ用保護バルブ33,34はこのサービスブレーキ用保護バルブ33,34の入口33d,34d側の圧縮エアが所定圧まで上昇したときに開きかつサービスブレーキ用保護バルブ33,34の出口33e,34e側の圧縮エアが上記所定圧より小さい所定圧まで低下したときに閉じるように構成されたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に図1及び図2に示すように、作動圧管路13のうち信号圧管路16の分岐部とリレーバルブ14との間の管路にエアタンク27が設けられ、作動圧管路13のうちエアタンク27とリレーバルブ14との間の管路に作動圧エア用保護バルブ32が設けられ、作動圧エア用保護バルブ32はこの作動圧エア用保護バルブ32の入口32d側の圧縮エアが所定圧まで上昇したときに開きかつ作動圧エア用保護バルブ32の出口32e側の圧縮エアが上記所定圧より小さい所定圧まで低下したときに閉じるように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の観点のエア回路では、信号圧管路を作動圧管路のうちエアコンプレッサとリレーバルブとの間の管路から分岐して接続し、エアコンプレッサと駐車ブレーキ用手動制御弁との間の作動圧管路又は信号圧管路から分岐する分岐管路にサービスブレーキ用エアタンクを設け、駐車ブレーキ用手動制御弁よりエアコンプレッサ側の信号圧管路に信号圧エア用保護バルブを設けたので、サービスブレーキ用エアタンクの圧力がサービスブレーキの制動力を十分に確保できる圧力に上昇するまで、駐車ブレーキが解除されるのを防止できる。
【0011】
即ち、サービスブレーキ用エアタンクの圧力が所定圧以下であるときに、駐車ブレーキ用手動制御弁を解除する操作を行っても、信号圧エア用保護バルブは閉じた状態に保たれるので、リレーバルブの信号圧室に圧縮エアが供給されない。この結果、駐車ブレーキ用スプリングチャンバに圧縮エアが供給されないので、駐車ブレーキは解除されず、車両は走行できない。一方、サービスブレーキ用エアタンクの圧力が上記所定圧より大きい所定圧以上になった状態で、駐車ブレーキ用手動制御弁を解除する操作を行うと、サービスブレーキ用エアタンク内の圧縮エアの圧力で信号圧エア用保護バルブが開くので、サービスブレーキ用エアタンク内の所定圧以上の圧縮エアがリレーバルブの信号圧室に供給される。この結果、サービスブレーキ用エアタンクの所定圧以上の圧縮エアがリレーバルブを通って駐車ブレーキ用スプリングチャンバに供給されるので、駐車ブレーキは解除され、車両は走行可能となる。
【0012】
また駐車ブレーキ専用の駐車ブレーキ用エアタンクや、カットバルブ及びチェックバルブなど比較的多くの部品を必要とするため、部品管理が煩わしくなるとともに、部品の組付工数が増大する従来のスプリングブレーキ装置と比較して、本発明では、駐車ブレーキ用エアタンクやカットバルブ等を用いずに済むので、部品管理が容易になるとともに、部品の組付工数を低減できる。
【0013】
本発明の第2の観点のエア回路では、分岐管路のうちサービスブレーキ用エアタンクよりエアコンプレッサ側にサービスブレーキ用保護バルブを設けたので、サービスブレーキが失陥してエア漏れが発生し、サービスブレーキ用エアタンクの圧力が急激に低下しても、他のエアタンクの圧力が所定圧以下に低下するのを阻止することができる。
【0014】
本発明の第3の観点のエア回路では、作動圧管路のうち信号圧管路の分岐部とリレーバルブとの間の管路にエアタンクを設けたので、サービスブレーキ用エアタンクの容量をその設置スペースの関係で十分に確保できない場合、上記エアタンクの容量をサービスブレーキ用エアタンクの容量に加えることにより、タンク容量を十分に確保することができる。また作動圧管路のうちエアタンクとリレーバルブとの間の管路に作動圧エア用保護バルブを設けたので、駐車ブレーキが失陥してエア漏れが発生しても、上記作動圧管路に設けられたエアタンクの圧力が所定圧以下に低下するのを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明実施形態の車両のエア回路構成図である。
【図2】各保護バルブの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、トラック等の車両にはエア回路10が設けられる。このエア回路10は、エアを圧縮するエアコンプレッサ11と、圧縮エアを給排することにより駐車ブレーキ(図示せず)を解除又は作動させる駐車ブレーキ用スプリングチャンバ12と、エアコンプレッサ11とスプリングチャンバ12とを連通接続する作動圧管路13と、作動圧管路13に設けられ信号圧室(図示せず)を有するリレーバルブ14と、一端が作動圧管路13のうちエアコンプレッサ11とリレーバルブ14との間の管路から分岐し他端がリレーバルブ14の信号圧室に連通接続された信号圧管路16と、信号圧管路16に設けられ運転者が操作することにより圧縮エアをその圧力を調整してリレーバルブ14の信号圧室に供給可能な駐車ブレーキ用手動制御弁17とを備える。エアコンプレッサ11により圧縮された所定圧の圧縮エアが作動圧管路13及びリレーバルブ14を通って駐車ブレーキ用スプリングチャンバ12に作動圧エアとして導かれることにより、駐車ブレーキが解除されるように構成される。またエアコンプレッサ11により圧縮された所定圧の圧縮エアが信号圧管路16及び駐車ブレーキ用手動制御弁17を通ってリレーバルブ14の信号圧エア入口14aから信号圧室に信号圧エアとして導かれることにより、リレーバルブ14が開くように構成される。
【0017】
作動圧管路13のうちエアコンプレッサ11と信号圧管路16の分岐部との間の管路にはエアドライヤ18が設けられる。エアコンプレッサ11はエンジン(図示せず)により駆動され、エアドライヤ18は圧縮エアに含まれる湿気を乾燥剤(図示せず)により吸着して圧縮エアを乾燥させるように構成される。エアコンプレッサ11と駐車ブレーキ用手動制御弁17との間の信号圧管路16には、この信号圧管路16から分岐する前側サービスブレーキ用分岐管路19が接続され、この前側サービスブレーキ用分岐管路19は前側サービスブレーキ(図示せず)に接続される。またエアコンプレッサ11と駐車ブレーキ用手動制御弁17との間の信号圧管路16には、この信号圧管路16から分岐する後側サービスブレーキ用分岐管路21が接続され、この後側サービスブレーキ用分岐管路21は後側サービスブレーキ(図示せず)に接続される。更にエアコンプレッサ11と駐車ブレーキ用手動制御弁17との間の信号圧管路16には、この信号圧管路16から分岐する補機用分岐管路22が接続され、この補機用分岐管路22はクラッチ、エアホーン、エアサスペンション、エキゾーストブレーキ等の各補機(図示せず)に接続される。
【0018】
前側サービスブレーキ用分岐管路19には、前側サービスブレーキに圧縮エアを供給するための前側サービスブレーキ用エアタンク23が設けられ、後側サービスブレーキ用分岐管路21には、後側サービスブレーキに圧縮エアを供給するための後側サービスブレーキ用エアタンク24が設けられる。また補機用分岐管路22には、補機に圧縮エアを供給するための補機用エアタンク26が設けられる。更に作動圧管路13のうち信号圧管路16の分岐部とリレーバルブ14との間の管路にはエアタンク27が設けられる。このエアタンク27は、前側サービスブレーキ用エアタンク23及び後側サービスブレーキ用エアタンク24の容量をその設置スペースの関係で十分に確保できず、上記エアタンク27の容量を前側サービスブレーキ用エアタンク23及び後側サービスブレーキ用エアタンク24の容量に加えることにより、タンク容量を十分に確保するために設けられる。
【0019】
駐車ブレーキ用手動制御弁17よりエアコンプレッサ11側の信号圧管路16には、信号圧エア用保護バルブ31が設けられ、作動圧管路13のうちエアタンク27とリレーバルブ14との間の管路には、作動圧エア用保護バルブ32が設けられる。また前側サービスブレーキ用エアタンク23より信号圧管路16側の前側サービスブレーキ用分岐管路19には、前側サービスブレーキ用保護バルブ33が設けられ、後側サービスブレーキ用エアタンク24より信号圧管路16側の後側サービスブレーキ用分岐管路21には、後側サービスブレーキ用保護バルブ34が設けられる。更に補機用エアタンク26より信号圧管路16側の補機用分岐管路22には、補機用保護バルブ35が設けられる。上記信号圧保護バルブ31、前側サービスブレーキ用保護バルブ33、後側サービスブレーキ用保護バルブ34及び補機用保護バルブ35によりマルチ保護バルブ40が構成され、上記作動圧エア用保護バルブ32によりシングル保護バルブ50が構成される。
【0020】
上記信号圧保護バルブ31、作動圧エア用保護バルブ32、前側サービスブレーキ用保護バルブ33、後側サービスブレーキ用保護バルブ34及び補機用保護バルブ35は、それぞれ同一に構成される。これらの保護バルブ31〜35は、図2に詳しく示すように、下面が平らな弁体31a〜35aと、弁体31a〜35aの下面より小さい面積する弁座31b〜35bと、弁体31a〜35aを弁座31b〜35bに所定の力で押付ける圧縮コイルばね31c〜35cとを有する。弁座31b〜35bの中央には保護バルブ31〜35の入口31d〜35dが形成され、弁座31b〜35bの外周面には保護バルブ31〜35の出口31e〜35eが形成される。図2中の符号31f〜35fはシール部材(Oリング)である。
【0021】
信号圧エア用保護バルブ31は、この信号圧エア用保護バルブ31の入口31d側の圧縮エアが所定圧(例えば0.6MPa)まで上昇したときに開き、かつ信号圧エア用保護バルブ31の出口31e側の圧縮エアが上記所定圧(例えば0.6MPa)より小さい所定圧(例えば0.5MPa)まで低下したときに閉じるように構成される。作動圧エア用保護バルブ32は、この作動圧エア用保護バルブ32の入口32d側の圧縮エアが所定圧(例えば0.6MPa)まで上昇したときに開き、かつ作動圧エア用保護バルブ32の出口32e側の圧縮エアが上記所定圧(例えば0.6MPa)より小さい所定圧(例えば0.5MPa)まで低下したときに閉じるように構成される。また前側サービスブレーキ用保護バルブ33は、この前側サービスブレーキ用保護バルブ33の入口33d側の圧縮エアが所定圧(例えば0.6MPa)まで上昇したときに開き、かつ前側サービスブレーキ用保護バルブ33の出口33e側の圧縮エアが上記所定圧(例えば0.6MPa)より小さい所定圧(例えば0.5MPa)まで低下したときに閉じるように構成される。後側サービスブレーキ用保護バルブ34は、この後側サービスブレーキ用保護バルブ34の入口34d側の圧縮エアが所定圧(例えば0.6MPa)まで上昇したときに開き、かつ後側サービスブレーキ用保護バルブ34の出口34e側の圧縮エアが上記所定圧(例えば0.6MPa)より小さい所定圧(例えば0.5MPa)まで低下したときに閉じるように構成される。更に補機用保護バルブ35は、この補機用保護バルブ35の入口35d側の圧縮エアが所定圧(例えば0.6MPa)まで上昇したときに開き、かつ補機用保護バルブ35の出口35e側の圧縮エアが上記所定圧(例えば0.6MPa)より小さい所定圧(例えば0.5MPa)まで低下したときに閉じるように構成される。
【0022】
各保護バルブ31〜35を上記のように構成することにより、例えば前側サービスブレーキが失陥してエア漏れが発生し、前側サービスブレーキ用エアタンク23の圧力が急激に低下しても、他のエアタンク24,26,27の圧力が所定圧以下に低下するのを阻止することができるようになっている。なお、図1中の符号36は逆止弁である。この逆止弁36は、作動圧エア用保護バルブ32からリレーバルブ14に向う圧縮エアの流れを許容し、リレーバルブ14から作動圧エア用保護バルブ32に向う圧縮エアの流れを阻止するように構成される。
【0023】
このように構成されたトラック等の車両のエア回路10の動作を説明する。駐車ブレーキ用手動制御弁17の操作レバー17aを引いて駐車ブレーキを作動させた状態で、エンジンを始動させずに車両を長期間放置した後に、エンジンを始動した場合、エアタンク27、前側サービスブレーキ用エアタンク23、後側サービスブレーキ用エアタンク24及び補機用エアタンク26の圧力が所定圧(例えば0.5MPa)以下になっているため、駐車ブレーキ用手動制御弁17の操作レバー17aを戻して駐車ブレーキを解除する操作を行っても、信号圧エア用保護バルブ16は閉じた状態に保たれるので、リレーバルブ14の信号圧室に圧縮エアが供給されない。この結果、駐車ブレーキ用スプリングチャンバ12に圧縮エアが供給されないので、駐車ブレーキは解除されず、車両は走行できない。
【0024】
一方、エンジンによりエアコンプレッサ11が駆動され、圧縮エアがエアタンク27、前側サービスブレーキ用エアタンク23、後側サービスブレーキ用エアタンク24及び補機用エアタンク26に供給され、各エアタンクの圧力が所定圧(例えば0.6MPa)以上になった状態で、駐車ブレーキ用手動制御弁17を解除する操作を行うと、エアタンク27内の圧縮エアの圧力で信号圧エア用保護バルブ31が開くので、エアタンク27内の所定圧(例えば0.6MPa)以上の圧縮エアがリレーバルブ14の信号圧室に供給される。この結果、エアタンク27の所定圧(例えば0.6MPa)以上の圧縮エアがリレーバルブ14を通って駐車ブレーキ用スプリングチャンバ12に供給されるので、駐車ブレーキは解除され、車両は走行可能となる。
【0025】
なお、前側サービスブレーキ用エアタンク23及び後側サービスブレーキ用エアタンク24の容量を十分に確保できる場合には、上記エアタンク27を作動圧管路13に設けなくてもよい。この場合、エンジンによりエアコンプレッサ11が駆動され、圧縮エアが前側サービスブレーキ用エアタンク23、後側サービスブレーキ用エアタンク24及び補機用エアタンク26に供給され、各エアタンクの圧力が所定圧(例えば0.6MPa)以上になった状態で、駐車ブレーキ用手動制御弁17を解除する操作を行うと、前側サービスブレーキ用エアタンク23、後側サービスブレーキ用エアタンク24又は補機用エアタンク26内の圧縮エアの圧力で信号圧エア用保護バルブ31が開くので、前側サービスブレーキ用エアタンク23、後側サービスブレーキ用エアタンク24又は補機用エアタンク26内の所定圧(例えば0.6MPa)以上の圧縮エアがリレーバルブ14の信号圧室に供給される。この結果、前側サービスブレーキ用エアタンク23、後側サービスブレーキ用エアタンク24又は補機用エアタンク26の所定圧(例えば0.6MPa)以上の圧縮エアがリレーバルブ14を通って駐車ブレーキ用スプリングチャンバ12に供給されるので、駐車ブレーキは解除され、車両は走行可能となる。
【符号の説明】
【0026】
10 エア回路
11 エアコンプレッサ
12 駐車ブレーキ用スプリングチャンバ
13 作動圧管路
14 リレーバルブ
16 信号圧管路
17 駐車ブレーキ用手動制御弁
19 前側サービスブレーキ用分岐管路
21 後側サービスブレーキ用分岐管路
23 前側サービスブレーキ用エアタンク
24 後側サービスブレーキ用エアタンク
27 エアタンク
31 信号圧エア用保護バルブ
32 作動圧エア用保護バルブ
33 前側サービスブレーキ用保護バルブ
34 後側サービスブレーキ用保護バルブ
31d〜34d 保護バルブの入口
31e〜34d 保護バルブの出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアコンプレッサ(11)により圧縮された圧縮エアを作動圧管路(13)及びリレーバルブ(14)を通って駐車ブレーキ用スプリングチャンバ(12)に作動圧エアとして導くことにより前記駐車ブレーキが解除され、前記エアコンプレッサ(11)により圧縮された圧縮エアを信号圧管路(16)及び駐車ブレーキ用手動制御弁(17)を通って前記リレーバルブ(14)の信号圧室に信号圧エアとして導くことにより前記リレーバルブ(14)が開くように構成された車両エア回路において、
前記信号圧管路(16)が前記作動圧管路(13)のうち前記エアコンプレッサ(11)と前記リレーバルブ(14)との間の管路から分岐して接続され、
前記エアコンプレッサ(11)と前記駐車ブレーキ用手動制御弁(17)との間の前記作動圧管路(13)又は前記信号圧管路(16)から分岐する分岐管路(19,21)にサービスブレーキに圧縮エアを供給するサービスブレーキ用エアタンク(23,24)が設けられ、
前記駐車ブレーキ用手動制御弁(17)より前記エアコンプレッサ(11)側の前記信号圧管路(16)に信号圧エア用保護バルブ(31)が設けられ、
前記信号圧エア用保護バルブ(31)はこの信号圧エア用保護バルブ(31)の入口(31d)側の圧縮エアが所定圧まで上昇したときに開きかつ前記信号圧エア用保護バルブ(31)の出口(31e)側の圧縮エアが前記所定圧より小さい所定圧まで低下したときに閉じるように構成された
ことを特徴とする車両のエア回路。
【請求項2】
前記分岐管路(19,21)のうち前記サービスブレーキ用エアタンク(23,24)より前記エアコンプレッサ(11)側にサービスブレーキ用保護バルブ(33,34)が設けられ、
前記サービスブレーキ用保護バルブ(33,34)はこのサービスブレーキ用保護バルブ(33,34)の入口(33d,34d)側の圧縮エアが所定圧まで上昇したときに開きかつ前記サービスブレーキ用保護バルブ(33,34)の出口(33e,34e)側の圧縮エアが前記所定圧より小さい所定圧まで低下したときに閉じるように構成された請求項1記載の車両のエア回路。
【請求項3】
前記作動圧管路(13)のうち前記信号圧管路(16)の分岐部と前記リレーバルブ(14)との間の管路にエアタンク(27)が設けられ、
前記作動圧管路(13)のうち前記エアタンク(27)と前記リレーバルブ(14)との間の管路に作動圧エア用保護バルブ(32)が設けられ、
前記作動圧エア用保護バルブ(32)はこの作動圧エア用保護バルブ(32)の入口(32d)側の圧縮エアが所定圧まで上昇したときに開きかつ前記作動圧エア用保護バルブ(32)の出口(32e)側の圧縮エアが前記所定圧より小さい所定圧まで低下したときに閉じるように構成された請求項1又は2記載の車両のエア回路。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−240891(P2011−240891A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116884(P2010−116884)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】