説明

車両の周辺監視装置

【課題】物体位置特定手段と撮像手段とにおける光軸ずれ量を算出する手段を提供。
【解決手段】レーザレーダ10と、車両の周辺の画像を撮像する撮像手段12と、画像処理ユニット14から構成される。物体位置特定手段141は、レーザレーダ10からの信号により物体の位置を特定する。画像取得手段142は、赤外線カメラ12が撮影した画像をグレースケール画像として取得する。画像上の物体特定手段143は、物体位置特定手段141が特定した物体位置に対応する物体を、グレースケール上で特定する。
この情報に基づいて、光軸ずれを算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周辺監視装置に関し、より具体的には、車両の周辺監視装置における撮像手段等の光軸ずれを検出し補正することに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、歩行者検出装置を開示する。この歩行者検出装置は、レーザレーダと赤外線カメラを併用し、レーザレーダから得られる歩行者候補の検出情報を基に赤外線画像中の歩行者を検出する。
【0003】
しかし、レーザレーダと赤外線カメラの光軸ずれがあると、両者の検出範囲がずれてしまい、レーザレーダの検出情報に対応した赤外線画像中の歩行者を検出することができない場合が生ずる。
【0004】
特許文献2は、車両用環境認識装置を開示する。この車両用環境認識装置は、レーンマーカ(道路白線)などのデータを用いて、テレビカメラの光軸ずれを推定し、また路側リフレクタなど道路構造物からのデータを用いて、レーザレーダ装置の光軸ずれを推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−302470号公報
【特許文献2】特許第3146809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2に記載の装置では、レーンマーカ(道路白線)や路側リフレクタ等を利用して光軸ずれを推定するので、レーザレーダの向きによっては、路側リフレクタが検知されない場合がある。また、そもそもレーンマーカ(道路白線)等が設置されていない道路では利用できない。さらに、基本的にレーンマーカ(道路白線)等が道路と並行な直線上に配置されていないと利用することができない。
【0007】
したがって、本発明は、レーンマーカ(道路白線)や路側リフレクタ等を利用することなく、車両の周辺監視装置における撮像手段等の光軸ずれを検出し補正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車両の周辺の物体の位置を特定する物体位置特定手段と、車両の周辺の画像を撮像する撮像手段と、物体位置特定手段が特定した物体の位置に対応する、撮像手段が撮像した対応画像上の所定領域を特定して当該所定領域内の物体を特定する手段とを備える、車両の周辺監視装置を提供する。その周辺監視装置は、物体を特定する手段が、所定領域内で物体が特定できない場合に、対応画像上に所定領域を拡大した拡大領域を設定し、拡大領域内で物体を特定し、さらに、対応画像上の所定領域内または拡大領域内で特定された物体の位置と、対応画像上の所定領域の位置との位置ずれ量を算出する手段と、位置ずれ量と、撮像手段の焦点距離とから、物体位置特定手段と撮像手段とにおける光軸ずれ量を算出する手段と、を有する。
【0009】
本発明によれば、レーンマーカ(道路白線)や路側リフレクタ等を利用することなく、基本的にどのような道路においても車両の周辺監視装置における撮像手段等の光軸ずれを検出することが可能となる。
【0010】
本発明の一形態によると、さらに、物体位置特定手段が物体を特定したときから、物体を特定する手段が物体を特定するまでの時間を計測する手段と、計測された時間に応じて、物体位置特定手段と撮像手段とにおける光軸ずれの有無を判定する判定手段とを有し、位置ずれ量を算出する手段は、光軸ずれがあると判定される場合に、位置ずれ量を算出する。
【0011】
本発明の一形態によれば、検出時間の計測と言う比較的簡易な方法により物体位置特定手段と撮像手段とにおける光軸ずれの有無を推定することが可能となる。そして、光軸ずれがあると推定される場合にのみその光軸ずれ量を算出することができるので、光軸ずれがない場合に不要な演算処理をおこなわないようにすることができる。
【0012】
本発明の一形態によると、光軸ずれ量が所定量以上である場合、撮像手段または物体位置特定手段に失陥があると判定する手段をさらに備える。
【0013】
本発明の一形態によると、物体位置特定手段はレーダを含み、撮像手段はカメラを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例に従う、車両の周辺監視装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に従う、画像処理ユニットにおける処理フローを示す図である。
【図3】レーダとカメラとでの検知時間の時間差とカメラの光軸のずれ角度との関係を示す図である。
【図4】本発明の一実施例に従う処理フローを示す図である。
【図5】本発明の一実施例に従う処理(位置ずれ量算出)フローを示す図である。
【図6】本発明の一実施例に従う処理フローを示す図である。
【図7】本発明の一実施例に従う処理(光軸ずれ判定)フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明の一実施形態に従う、車両の周辺監視装置の構成を示すブロック図である。周辺監視装置は、車両に搭載され、レーザレーダ10と、赤外線カメラ12と、赤外線カメラ12によって撮像された画像データに基づいて車両周辺の物体を検出するための画像処理ユニット14と、その検出結果に基づいて音または音声で警報を発生するスピーカ16と、赤外線カメラ12の撮像を介して得られた画像を表示すると共に、運転者に車両周辺の物体を認識させるための表示を行う表示装置18とを備える。
【0016】
なお、レーザレーダ10は、他の種類のレーダ(例えばミリ波レーダ等)であってもよく、また、赤外線カメラ12も赤外線以外の他の波長帯の光(例えば可視光)を利用するカメラであってもよい。したがって、以下の説明では、赤外線カメラ12が撮影したグレースケール画像を対象としているが、これに限定されるものではない。さらに、ナビゲーション装置を備える車両においては、スピーカ16および表示装置18として、ナビゲーション装置が備える該当機能を利用してもよい。
【0017】
図1の画像処理ユニット14は、ブロック141〜148で示される手段(機能)を含む(実行する)。すなわち、画像処理ユニット14は、レーザレーダ10からの信号を受けて車両の周辺の物体の位置を特定する物体位置特定手段141と、赤外線カメラ12が撮影した車両の周辺の画像をグレースケール画像として取得する画像取得手段142と、物体位置特定手段141が特定した物体の位置に対応する、取得された対応するグレースケール画像上の所定領域を特定して当該所定領域内の物体を特定する手段143を含む。物体を特定する手段143は、所定領域内で物体が特定できない場合に、対応するグレースケール画像上に所定領域を拡大した拡大領域を設定し、当該拡大領域内で物体を特定する。なお、物体位置特定手段141は、レーザレーダ10の一部の機能として構成、すなわちレーザレーダ10に一体的に組み込んでもよい。
【0018】
画像処理ユニット14は、さらに、対応するグレースケール画像上の所定領域または拡大領域内で特定された物体の位置と、対応するグレースケール画像上の所定領域の位置との位置ずれ量を算出する手段144と、位置ずれ量と、車両から特定された物体の位置までの距離とから、レーザレーダ10(物体位置特定手段)と赤外線カメラ12(撮像手段)とにおける光軸ずれ量を算出する手段145とを含む。
【0019】
画像処理ユニット14は、さらに、物体位置特定手段141が物体を特定したときから物体を特定する手段143が当該物体を特定するまでの時間を計測する手段146と、計測された時間に応じて、レーザレーダ10(物体位置特定手段)と赤外線カメラ12(撮像手段)とにおける光軸ずれの有無を判定する判定手段147と、光軸ずれ量が所定量以上である場合、撮像手段または物体位置特定手段に失陥があると判定する手段148と、両者の光軸ずれを補正する手段149とを含む。
【0020】
各ブロックの機能は、画像処理ユニット14が有するコンピュータ(CPU)によって実現される。なお、画像処理ユニット14の構成は、ナビゲーション装置の中に組み込んでもよい。
【0021】
画像処理ユニット14は、ハードウエア構成として、例えば、入力アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路、デジタル化した画像信号を記憶する画像メモリ、各種演算処理を行う中央演算処理装置(CPU)、CPUが演算に際してデータを記憶するのに使用するRAM、CPUが実行するプログラムおよび用いるデータ(テーブル、マップを含む)を記憶するROM、スピーカ16に対する駆動信号および表示装置18に対する表示信号などを出力する出力回路を備えている。レーザレーダ10と赤外線カメラ12の出力信号は、デジタル信号に変換されてCPUに入力されるよう構成される。
【0022】
図2を参照しながら、本発明の一実施形態における位置ずれ量の算出と光軸ずれ量の算出の方法について説明する。図2は、位置ずれ量の算出を説明するための図である。図2では、走行中の車両20の前方の位置P1とP2に歩行者21がいる場合を想定している。車両20において、赤外線カメラ12の光軸23はレーザレーダ10の光軸22に対して所定の角度βだけずれて予め設定されている。今、正常時の赤外線カメラ12の光軸23が角度αずれて光軸24の位置にあるとする。赤外線カメラ12の光軸24はレーザレーダ10の光軸22に対して角度(α+β)ずれていることになる。なお、図2ではわかりやすくするために、角度αが比較的大きく誇張して描かれているが、実際にはせいぜい数度程度で比較的微小な角度となる場合がほとんどである。
【0023】
図2(a)において、符号30、30´は、レーザレーダ10によって特定された歩行者21の位置P1、P2を撮像し処理したカメラ画像(グレースケール画像または2値化後の白黒画像)である。赤外線カメラ12の光軸が正常な位置23にあれば、カメラ画像30、30´のそれぞれにおいて、レーザレーダ10で特定された各領域32、32´内に歩行者の像33、33´が得られるはずである。しかしながら、赤外線カメラ12の光軸がずれて24の位置にある場合、歩行者の像は領域32、32´からずれて符号34、34´の位置までずれてしまう。このずれ量dは、車両20の位置と歩行者21との距離に拘わらず、赤外線カメラ12の光軸のずれ量に応じて定まる一定量となる。図2では、車両20に近い位置P2でのカメラ画像30´内の歩行者の像33´、34´が、遠い位置P1での像33、34よりも距離が近い分だけ大きく見えることになるが、ずれ量dは両位置で同じである。
【0024】
この場合、領域32、32´内の画像を見ているだけでは、いずれも歩行者21の存在を特定(認識)することはできない。そこで、本発明では、レーザレーダ10で特定される領域32、32´を拡大した拡大領域31、31´を設定して歩行者の像34、34´を特定できるようにする。拡大領域のサイズは、特定する物体の種類、大きさ、車両からの物体の位置までの距離等に応じて決定する。このように、図2(a)においては、各画像30、30´において歩行者の像34、34´の特定ができるように、拡大領域31、31´を個別に設定する例を示している。
【0025】
歩行者の像34、34´が特定できれば、カメラ画像上でのずれ量dを例えば以下のようにして求める。すなわち、カメラ画像上でのレーザレーダ10で特定された領域32または32´の重心の位置g1と、特定した歩行者の像34または34´の重心の位置g2を求めて、両者の差分をカメラ画像上でのずれ量dとする。

d = g1−g2 (1)
【0026】
赤外線カメラ12の光軸のずれ角度αは、カメラ画像上でのずれ量dと、カメラの焦点距離fとから次式により求めることができる。

α = tan−1(d/f) (2)
【0027】
図2の(b)は、(a)とほとんど同じであるが、異なる点は拡大領域41、41´の設定が異なることである。すなわち、(b)のカメラ画像40における拡大領域41は、(a)のカメラ画像30における拡大領域31よりもサイズが小さく設定され、かつカメラ画像40´でもその設定をそのまま利用(維持)している。すなわち、画像40、40´では同じサイズの拡大領域を設定している。なお、拡大領域41´が41よりも大きくなっているのは、位置P2がP1よりも車両20に近くなる分領域が拡大されるからである。
【0028】
(b)において、赤外線カメラ12の光軸がずれて24の位置にある場合、位置P1でのカメラ画像40においては、拡大領域41内で歩行者の像44を特定することができない。その結果、位置P1でのカメラ画像40からは、本来あるはずのずれ量dを算出することはできない。一方、位置P2でのカメラ画像40´においては、拡大領域41´内で歩行者の像44´を特定することができる。その結果、位置P2でのカメラ画像40´から、(1)式と(2)式を用いてずれ量dと赤外線カメラ12の光軸のずれ角度αを算出することができる。
【0029】
このように、(b)の例では、拡大領域41の大きさを調整することにより、特定する物体(図2では歩行者21)と車両との距離に応じて、カメラ画像の拡大領域41から物体を特定できたりできなかったりさせることができる。言い換えれば、拡大領域41の大きさを調整することにより、レーザレーダ10で所定の物体の位置が検知(特定)されてから赤外線カメラ12でその物体が拡大領域41において検知(特定)されるまでの時間を変えることができる。また、この時間は赤外線カメラ12の光軸のずれ角度αの大きさにも依存して変わる。これらの知見に基づき以下に述べるように赤外線カメラ12の光軸のずれの有無を判定(推定)することができる。
【0030】
図3は、レーザレーダ10で所定の物体の位置が検知されてから赤外線カメラ12でその物体が検知されるまでの時間差ΔTと、光軸のずれ角度αとの関係を示す図である。グラフAで示されるように、光軸のずれ角度αと時間差ΔTとは比例関係にある。例えば、時間差ΔTに所定のしきい値ΔTh1を設定し、計測された時間差がこのしきい値ΔTh1以上となる場合、すなわちずれ角度αがα1以上になる場合、赤外線カメラ12の光軸のずれがあると判定する。またΔTh1より大きな別のしきい値ΔTh2を設けて、時間差ΔTがしきい値ΔTh1以上でしきい値ΔTh2以下の範囲(ΔTh1≦ΔT≦ΔTh2)で光軸のずれを補正することにし、しきい値ΔTh2を超えた場合は、補正では調整できない失陥(故障)として処理することもできる。
【0031】
次に、図4〜図6を参照しながら、画像処理ユニット14によって実行される処理フローについて説明する。各図の処理フローは、画像処理ユニット14のCPUがメモリに格納している処理プログラムを呼び出して、所定の時間間隔で実行される。
【0032】
図4のステップS10において、レーザレーダ10からの信号を受けて車両の周辺の所定の物体の位置を特定する。その特定には任意の方法を用いることができるが、例えば以下のようにおこなう。
【0033】
レーザレーダ10としてスキャン式レーザレーダを使用して、その検出点群の幅から物体、例えば歩行者候補の位置を特定する。具体的には、スキャン式レーザレーダでは、各方向にスキャンするビームの物体からの反射光を受光することにより、検出点として各方向における物体までの距離を測定する。レーザレーダの位置を原点としてY軸をレーダの正面方向とする2次元座標系にこれらの検出点の位置をプロットして検出点の集合を得る。これらの検出点の集合から、各検出点の相互の間隔が所定値以下のものを検出点群としてグループ化し、グループ化した検出点群のうち、広がり幅が所定値以下のものを所定の物体候補(例えば歩行者候補)とみなしてその位置を特定する。
【0034】
ステップS11において、赤外線カメラ10の出力信号(すなわち、撮像画像のデータ)を入力として受け取り、これをA/D変換して、画像メモリに格納する。格納される画像データは、輝度情報を含んだグレースケール(白黒の濃淡)画像である。対象の温度が高い部分ほど高輝度となる赤外線カメラでは、高輝度部分の明暗値が高い画像データとなり、その温度が低く(低輝度に)なるにつれて明暗値が低い画像データとなる。
【0035】
ステップS12において、取得されたグレースケール画像に所定の物体を検知する範囲となる領域を設定する。この領域には、図2において説明した、レーザレーダ10で特定された領域32、32´や拡大領域31、31´が含まれる。領域32、32´の設定は、任意の方法を用いることができるが、例えば物体の位置として歩行者の位置を特定する場合を例にとると、上述した歩行者候補の位置を含む所定サイズの領域(検出点群)を赤外線カメラ12のカメラ座標系に変換し、グレースケール画像20中にマッピング(重畳)して、対応するグレースケール画像の領域を領域32、32´として設定する。また、上述したように、拡大領域31、31´は、特定する物体の種類、大きさ、車両からの物体の位置までの距離等に応じて決定する。
【0036】
ステップS13において、グレースケール画像上の設定された領域内で所定の物体を特定する。この特定は、任意の方法によりおこなうことができるが、例えば、グレースケール画像を2値化処理して得られる白黒画像から周知のパターンマッチングを利用して所定の物体か否かを照合することにより特定する。
【0037】
ステップS14において、所定の物体が特定できたか否かを判定する。この判定がNoの場合は、ステップS12に戻り領域を再設定する。例えば、図2の拡大領域を設定する。ステップS12へ回帰する毎に、拡大領域の大きさを増加させ、所定サイズに達したときに回帰処理を止めるようにする。ステップS14での判定がYesの場合、ステップS15において、位置ずれ量を算出する。
【0038】
図5は、位置ずれ量を算出するフローである。この位置ずれ量の算出は、図2を参照しながら式(1)を用いて上述した通りである。ステップS151において、画像上の所定範囲の重心を算出する。この所定範囲は、図2のカメラ画像上でのレーザレーダ10で特定された領域32、32´等が該当する。ステップS152において、画像上の所定範囲あるいは拡大領域(図2)において特定された所定の物体の重心を算出する。ステップS153において、算出した2つの重心の位置の差分をカメラ画像上でのずれ量として算出する。
【0039】
図4に戻って、ステップS16において、得られたずれ量が所定量ΔL1よりも大きいか否かを判定する。この判定がNoの場合、光軸のずれ量が小さく許容範囲にあるものとして、その補正を行うことなく処理を終了する。判定がYesの場合、ステップS17において、ずれ量が所定量ΔL2(>ΔL1)よりも小さいか否かを判定する。この判定がNoの場合、光軸のずれ量(角度)が大きくずれ過ぎた範囲にあるものとして、ステップS18に進み、赤外線カメラ12の光軸に補正では調整できない失陥があると判定する。
【0040】
ステップS17の判定がYesの場合、ステップS19において、光軸のずれ角度を算出する。この光軸のずれ角度の算出は、既に図2を参照しながら式(2)を用いて説明した通りである。最後にステップS20において、得られた光軸のずれ角度に相当する補正をおこなう。その補正方法は、画像処理上での補正あるいは光軸自体の調整等従来からの任意の方法を用いておこなう。
【0041】
図6は、図4のフローの別の実施形態である。図6において、図4のフローに対して、2つのステップS140とS145が追加されている点が異なっており、他のステップは図4の各ステップと同様である。したがって、ここでは主に追加された2つのステップS140とS145について説明する。
【0042】
図6のステップS14において、所定の物体が特定できた場合、ステップS140において、光軸のずれ判定がおこなわれる。
【0043】
図7に光軸のずれ判定のフロー示す。この判定内容は、図3を参照しながら既に説明した通りである。ステップS1401において、レーザレーダ10で所定の物体の位置を検知(特定)した時刻T1を取得する。ステップS1402において、カメラ画像においてその所定の物体が検知(特定)された時刻T2を取得する。ステップS1403において、時刻T1とT2の差分ΔT(=T2−T1)を算出する。この差分ΔTは図3のΔTに相当する。ステップS1404において、得られた差分ΔTが所定値よりも大きいか否かを判定する。この所定値は例えば図3のしきい値ΔTh1が該当する。この判定がYesの場合、ステップS1405において、「光軸のずれあり」のフラグを立てる。判定がNoの場合、ステップS1406において、「光軸のずれなし」のフラグを立てる。
【0044】
図6に戻って、ステップS145において、光軸のずれがあるか否かを判定する。この判定がYesの場合、ステップS15に進み、既に図4および図5を参照しながら説明した位置ずれ量の算出をおこなう。判定がNoの場合、光軸のずれがないものとして処理を終了する。図6においては、2つのステップS140とS145において、位置ずれ量の算出をおこなう前に光軸のずれの有無を判定するので、光軸のずれが無い場合に直ちに処理を終了して、余計な演算処理をおこなわないようにすることができる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において改変して用いることができる。なお、上述した実施形態では、カメラの光軸がずれている場合について説明したが、レーダの光軸がずれている場合も同様に本発明を適用することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
10 レーザレーダ、
12 赤外線カメラ、
14 画像処理ユニット
16 スピーカ、
18 表示装置、
20 車両
21 歩行者
30、30´、40、40´ カメラ画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺の物体の位置を特定する物体位置特定手段と、車両の周辺の画像を撮像する撮像手段と、前記物体位置特定手段が特定した物体の位置に対応する、前記撮像手段が撮像した対応画像上の所定領域を特定して当該所定領域内の前記物体を特定する手段とを備える、車両の周辺監視装置であって、
前記物体を特定する手段は、前記所定領域内で前記物体が特定できない場合に、前記対応画像上に前記所定領域を拡大した拡大領域を設定し、当該拡大領域内で前記物体を特定し、さらに、
前記対応画像上の前記所定領域内または前記拡大領域内で特定された物体の位置と、前記対応画像上の前記所定領域の位置との位置ずれ量を算出する手段と、
前記位置ずれ量と、前記撮像手段の焦点距離とから、前記物体位置特定手段と前記撮像手段とにおける光軸ずれ量を算出する手段と、を有する車両の周辺監視装置。
【請求項2】
前記物体位置特定手段が前記物体を特定したときから、前記物体を特定する手段が前記物体を特定するまでの時間を計測する手段と、
計測された前記時間に応じて、前記物体位置特定手段と前記撮像手段とにおける光軸ずれの有無を判定する判定手段とをさらに有し、
前記位置ずれ量を算出する手段は、前記光軸ずれがあると判定される場合に、当該位置ずれ量を算出する、請求項1に記載の周辺監視装置。
【請求項3】
前記光軸ずれ量が所定量以上である場合、前記撮像手段または前記物体位置特定手段に失陥があると判定する手段をさらに備える、請求項1に記載の周辺監視装置。
【請求項4】
前記物体位置特定手段はレーダを含み、前記撮像手段はカメラを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の周辺監視装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−220732(P2011−220732A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87670(P2010−87670)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】