説明

車両の惰性走行支援装置

【課題】本発明は、DPF強制再生に影響を与えずに、エンジンの吸・排気バルブを閉じた惰性走行の実施を可能とした車両の惰性走行支援装置を提供する。
【解決手段】本発明は、クラッチ装置11が接続されたまま、車両の加速要求および減速要求のないときに実施される、ディーゼルエンジン9の吸気バルブ21と排気バルブ22を閉じた惰性走行を、強制再生手段37,38の作動時には禁止するものとした。これにより、常にDPF強制再生は、吸気バルブ21と排気バルブ22を閉じた惰性走行モードに優先して行われる。これで、吸気バルブ21と排気バルブ22を閉じた惰性走行は、PM過堆積によるDPFの損傷を避けて実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転中、加速要求や減速要求がないとき、エンジン全気筒の吸・排気バルブを全閉にして車両の惰性走行を支援する車両の惰性走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車(車両)では、燃費を抑制するため、走行中、クラッチを切らずにアクセルペダルをオフして、惰性走行を行うときがある。
こうした惰性走行は、アクセルペダルをオフして、エンジンの吸気バルブや排気バルブを開閉させながら惰性走行を行うときよりも、エンジンの吸気バルブと排気バルブを全閉にして空走させる方が、エンジンのポンピングロス(空気が出入りするときの抵抗)が生じない分、空走距離が伸ばせることが知られている。
【0003】
そこで、特許文献1にも開示されているようにエンジンに装着されている吸気バルブ、排気バルブの開閉(開度)を車両運転状態に応じて制御する可変バルブ装置を用いて、車両のクラッチ装置が接続されたままの運転中、アクセルペダルをオフ(フットブレーキや補助ブレーキなどもオフ)するという、運転者の加速要求や減速要求が無いときだけ、エンジンの全気筒の吸・排気バルブを全閉にした惰性走行を行わせる技術が提案されている。この惰性走行を支援する惰性走行モードは、運転者に意図させない惰性走行でありながら空走距離が伸びる利点がある。むろん、この惰性走行のときは燃料の気筒への供給は停止している。特に同技術は、周囲の走行の流れを乱さない範囲で実施するのには優れ、燃料消費量の抑制が求められる長距離走行のトラックやバスなど、ディーゼルエンジンを搭載した貨物、旅客車両で注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007− 85226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ディーゼルエンジンを搭載した車両は、排ガス規制の対応のため、ディーゼルエンジンから排出される排ガスを浄化する排気後処理装置が搭載されている。この排気後処理装置には、ディーゼルエンジンの排ガス中のPM(particulate matter)を処理するために、当該PMを捕集するDPF(Diesel particulate filter)を有した構造が用いられている。
【0006】
こうした排気後処理装置には、DPFを繰り返し用いるため、DPF中のPMを酸化により強制的に除去するDPF強制再生手段が設けられている。多くは、DPFの直上流に酸化触媒を設けた構造が用いられ、DPFの再生が求められるとき、HC(未燃燃料)を酸化触媒に与えて、酸化触媒の酸化反応がもたらす発熱でDPF中のPMを焼灼し(DPF強制再生モード)、DPF中のPMを強制的に処理している。
【0007】
ところで、DPF強制再生モードは、PM過堆積によるDPFの損傷を防ぐため、DPF中のPM堆積量が一定量に達したら実施されるものとなっている。
ところが、DPF強制再生中に吸・排気バルブを閉じた惰性走行モードが実施されると、吸・排気バルブが閉じているため、DPF強制再生に必要な酸素の供給が止まる。このため、DPF強制再生が継続できなくなり、PM過堆積が生じやすくなる。しかも、DPF強制再生は、事前に酸化触媒の温度を上昇させる制御(燃料噴射時期の遅角など)が行われているため、中断させると、再びPMを焼灼させるのには時間がかかり、PM過堆積を強いてしまう。
【0008】
そこで、本発明の目的は、DPF強制再生に影響を与えずに、エンジンの吸・排気バルブを閉じた惰性走行の実施を可能とした車両の惰性走行支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、クラッチ装置が接続されたまま、車両の加速要求および減速要求のないときに実施される、ディーゼルエンジンの吸気バルブと排気バルブを閉じた惰性走行は、強制再生手段の作動時には禁止されるものとした。
同構成によると、常にDPF強制再生は、吸気バルブと排気バルブを閉じた惰性走行モードに優先して行われる。これにより、吸気バルブと排気バルブを閉じた惰性走行は、PM過堆積によるDPFの損傷を避けながら、周囲の走行の流れを乱さない範囲で行われる。
【0010】
好ましくはDPF強制再生手段が、DPFの直上流に酸化触媒を有し、DPFに堆積したPMが上限値に達すると、未燃燃料を酸化触媒に与え、酸化触媒の酸化反応による発熱でDPFのPMを焼灼させる構造だと、上昇した酸化触媒の温度は低下せずに、堆積したPMが酸化反応により効率良く焼き終えるので、禁止期間は短くてすむ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、DPF強制再生モードは、吸・排気バルブを閉じた惰性走行モードに優先して実施されるから、車両の吸・排気バルブを閉じた惰性走行は、PM過堆積によるDPFの損傷を避けながら、周囲の走行の流れを乱さない範囲で行われる。
したがって、DPF強制再生に影響を与えずに、吸・排気バルブを閉じた惰性走行を広範囲の領域で実施することができる。
特にDPF強制再生手段には、未燃燃料による酸化触媒の酸化反応の発熱でPMを焼灼させる構造を用いると、上昇した酸化触媒の温度は低下せずにすみ、堆積したPMが効率良く焼き終えるので、惰性走行が禁止する期間は短くてすむ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の惰性走行支援装置を搭載した車両の側面図。
【図2】同惰性走行支援装置の概略的な構成を示す図。
【図3】同惰性走行支援装置の制御を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図1ないし図3に示す一実施形態にもとづいて説明する。
図1は本発明を適用した車両、例えばトラックの側面図を示し、図2は同トラックに搭載された惰性走行支援装置の概略的なブロック図を示している。図中1は、トラックの本体(以下、トラック本体という)を示している。
【0014】
トラック本体1は、車両前後方向に延び、前後に前輪2(操舵輪)と後輪3(駆動輪)を有するシャシフレーム4、同シャシフレーム4のフロント側に設けたキャブ6、シャシフレーム4のリヤ側に設けた荷台7を有している。またシャシフレーム5のキャブ6直下のフロント部分には、レシプロ式多気筒のディーゼルエンジン9を組み合わせたパワーユニット10が搭載されている。このパワーユニット10は、ディーゼルエンジン9の出力部に、クラッチである例えばクラッチペダル(図示しない)のペダル操作で接・断が行われるクラッチ装置11、変速機である例えばチェンジレバー(図示しない)のレバー操作で変速が行われるマニュアル式の変速機12を順に接続して構成される。変速機12の出力部は、伝達部材である例えばプロペラシャフト13、ディファレンシャルギヤ(図示しない)を介して後輪3とつながり、ディーゼルエンジン9からの駆動力が後輪3に伝わるようにしている。またキャブ6内には、前輪2を操作するハンドル(図示しない)、ディーゼルエンジン9を操作するアクセルペダル15、前・後輪2,3に制動力を与えるブレーキ装置(図示しない)を操作するブレーキペダル16(フットブレーキ)が設けられていて、運転者(図示しない)によるハンドルやアクセルペダル15やブレーキペダル16の操作で、トラックの運転が行えるものとしている。
【0015】
ディーゼルエンジン9は、図2に示されるように各気筒19の吸・排気側の動弁系にそれぞれ可変バルブ装置20a,20bを搭載したエンジンが用いてある。すなわち、各気筒19の吸気ポート21a,排気ポート22aを開閉する各吸気バルブ21、排気バルブ22には、いずれもカムシャフトのカム(図示しない)の変位を用いて、全閉(開度0%)から全開(開度100%)までの範囲でバルブリフト量を可変可能としたり、バルブ開閉タイミングを可変可能としたりするアクチュエータ23a,23bが設けられ、吸気バルブ21、排気バルブ22共、バルブ特性が変えられるようにしてある。なお、ここではアクチュエータ23a,23bは、例えば既に本出願人が出願している特開2004−340106号公報や特開2006−144743号公報に開示されているようなアームやリンクを多用したロッカアーム機構で、バルブリフト量やバルブ開閉タイミングを可変可能とした構造が用いてある。
【0016】
ディーゼルエンジン9の各気筒19には、図2に示されるように補助ブレーキ装置であるところの例えば第3バルブ25を用いたパワータード26が設けられている。パワータード26は、吸・排気バルブ21,22以外のバルブとして、排気ポート22aから分かれたポート(図示しない)に第3バルブ25を設け、この第3バルブ25を、気筒19内のピストン27が圧縮行程のとき開弁させることで、エンジンブレーキ能力を増大させる装置である。このため、第3バルブ25には、パワータードスイッチ(図示しない)がオンされると、第3バルブ25を圧縮行程のとき開弁させるアクチュエータ28(例えば油圧式など)が設けてある。なお、パワータードの例として第3バルブが存在せず、既存の排気バルブ22のいずれかを排気カムの変位とは独立してエンジン圧縮行程のときに開弁させるものもある。
【0017】
またディーゼルエンジン9の排気ポート22aの出口端からは、図1に示されるようにエキゾーストマニホールド30を介して、排気管31が車両後方へ延びている。この排気管31の途中には、ディーゼルエンジン9から排出された排ガスを浄化する排気後処理装置33が設けられている。排気後処理装置33は、例えばマフラーを兼ねる収容ケース35を排気管31に介装し、この収容ケース35内の下流側にDPF36を設けて、排気ガス中のPMを補足する構造としてある。さらにDPF36の直上流となる収容ケース35内の上流側には、酸化触媒37が設けられている。また収容ケース35とディーゼルエンジン9の間には、HC噴霧ノズル38が設けられ、上記酸化触媒37と共に、DPF36に堆積したPMの強制的に除去するDPF強制再生手段を構成している。なお、酸化触媒37は、排気ガス中の別の成分を除去する役割も果たす。すなわちHC噴霧ノズル38は、例えば燃料タンクから燃料を圧送する圧送経路(いずれも図示しない)と接続されていて、HCとしての未燃燃料を酸化触媒37の上流から噴霧できるようにしてある。これより、DPF36に堆積したPMは、排ガス中の酸素と噴霧された未燃燃料との酸化反応がもたらす酸化触媒37の発熱を受けて焼灼され、DPF36が再生されるものとしている。なお、未燃燃料の供給は、HC噴霧ノズル38を用いて、直接、HCを供給するのではなく、気筒19に燃料を噴射する燃料噴射ノズル40からポスト噴射にて供給しても構わない(間接的)。
【0018】
排気後処理装置33の下流側の排気管31の一部には、補助ブレーキであるところの排気ブレーキを構成するブレーキバルブ39が設けられている。ブレーキバルブ38は排気管31内を閉塞するバルブで、このバルブを駆動するアクチュエータ(図示しない)は、ブレーキスイッチ(図示しない)に接続されている。つまり、ブレーキスイッチをオンすると、ブレーキバルブ39が閉動作して排気管31内をせき止め、エンジン回転を妨げるという制動効果が得られる構造となっている(排気ブレーキ)。
【0019】
一方、図1,2に示されるように車載の各種センサやディーゼルエンジン9の各部や排気後処理装置33の各部や補助ブレーキ(パワータード26、排気ブレーキ)の各部は、例えばマイクロコンピュータなどで構成されるECU42に接続されている。
ECU42は、例えばディーゼルエンジン9の回転数センサ43からのエンジン回転数信号、車速センサ(図示しない)からの車速信号、アクセルペダル15に設けたアクセル開度センサ15aからのアクセル開度信号などで得られる車両の運転状態から、例えば予め設定された制御マップなどにしたがい、燃料噴射ノズル40から噴射される燃料の噴射量や噴射タイミングを可変したり、可変バルブ装置20a,20bの制御により、吸・排気バルブ21,22のリフト量や開閉タイミングを可変したりする。またECU42は、例えば圧力差よりPM堆積量が上限値に達することが検出される都度(圧力センサなどによる)、HC噴射ノズル38からHC(未燃燃料)を与え、酸化触媒37の酸化反応により堆積したPMを燃やすモード、すなわち強制再生モードを実施するようにしてある。
【0020】
またECU42には、クラッチをつないだままの走行中、加速要求および減速要求がないとき、空走距離の伸びる惰性走行を実施する機能が設定されている。これは、クラッチ装置11の「接・断」を検出するクラッチセンサ11aが接状態を検出しているとき(エンジンと車輪とがつながったまま)、アクセル開度センサ15aで検出するアクセル開度が0%(アクセルオフ)、ブレーキペダル16に設けたフットブレーキセンサ16aがブレーキ非作動を検出、パワータード26が非作動(パワータードスイッチがオフのとき)、排気ブレーキが非作動(排気ブレーキスイッチがオフのとき)といった、加減速の要求がないときに、可変バルブ装置20a,20bで各気筒19の吸気バルブ21と排気バルブ22を全閉にするといった機能で形成されている。この機能により車両は、走行中の加速要求および減速要求がないときには、休筒(燃料噴射ノズル40から燃料噴射はない)のまま空走、すなわち惰性走行が行われるようにしている(惰性走行モード)。つまり、ECU42(本願の制御部に相当)、可変バルブ装置20a,20bなどから、惰性走行を支援する惰性走行支援装置44を構成している。
【0021】
さらにECU42には、排気後処理装置33が強制再生モード作動時は、上記吸・排気バルブ21,22が閉じた惰性走行モードの実施を禁止する設定が加えられている。この設定により、DPF36のPM過堆積を避けながら、車両の惰性走行が実施されるようにしている。
【0022】
このPM過堆積を避ける惰性走行の制御が図3のフローチャートに示されている。
すなわち、今、トラック(車両)は、運転者により、所望の変速段下で(クラッチ接続)、アクセルペダル15を踏んで加速したり、あるいはブレーキペダル16を踏んで減速したり、周囲の状況を見ながら走行しているとする。つまり、ディーゼルエンジン9は、運転状態に応じて、吸気バルブ21や排気バルブ22のリフト量や開閉タイミングを可変しながら稼動している。この走行中、パワータードスイッチや排気ブレーキスイッチ(いずれも図示しない)をオンして、パワータード26や排気ブレーキを作動させ、大きなブレーキ力を確保するときもある。
【0023】
このとき、補助ブレーキであるパワータードスイッチや排気ブレーキスイッチがオフされ、この補助ブレーキが非作動の状態から、運転者がアクセルペダル15から離して、アクセル開度をオフ(0%)にしたとする。
このときの車両は、クラッチ装置11が「接」のままであるが、アクセルやフットブレーキは非作動であり、またパワータードや排気ブレーキといった補助ブレーキも非作動であるから、加速要求や減速要求はない。
【0024】
ここで、図3に示すフローチャートを参照して説明すると、クラッチ状態を示すステップS1は、クラッチが「接」の状態となり、フットブレーキ状態を示すステップS2は、フットブレーキを作動させるという減速要求がない非作動状態となり、パワータード26や排気ブレーキを含めた補助ブレーキの状態を示すステップS3は,補助ブレーキを作動させるという減速要求がない非作動状態となり、アクセル開度状態を示すステップS4は、アクセルをオン(0%越え)にする加速要求がない0%のアクセル開度となる。
【0025】
このとき、排気後処理装置33は強制再生モードを作動していないとする。すると、DPF強制再生モードは非作動状態なので、ステップS6へ至る。これにより車両は、ディーゼルエンジン9の吸気バルブ21と排気バルブ22を全閉にした惰性走行が実施され、惰性走行を支援する。つまり、空走距離が伸びる惰性走行が行われる。
【0026】
ここで、DPF36で捕集している排気ガス中のPM堆積量が上限値に達し、排気後処理装置33がDPF強制再生モードを作動、すなわちHC噴霧ノズル38から未燃燃料(HC)が噴霧され、酸化触媒37の酸化反応による発熱で、DPF36中のPMを焼灼するモードに入り、DPF36を強制的に再生しているとする。この強制再生モードは、事前に酸化触媒37の温度を十分に上昇させることも含む(例えば燃料噴射ノズル40でのポスト噴射などよる)。
【0027】
ECU42は、この強制再生モードの作動を検出すると、ステップS5からステップS7へ進み、先の吸・排気バルブ21,22を閉じた惰性走行を実施させずに、そのまま運転状態に応じて吸気バルブ21、排気バルブ22を開閉させた惰性運転が行われる。これにより、排気後処理装置33の酸化触媒37には、酸化反応に必要な酸素が継続して供給されるから、強制再生モードは中断されずにすむ。
【0028】
このようにDPF強制再生時に、吸・排気バルブ21,22を閉じた惰性走行を禁止すると、常にDPF強制再生モードは、吸・排気バルブ21,22を閉じた惰性走行モードに優先して実施されるから、PMの過堆積の心配はなくなる。
それ故、吸・排気バルブ21,22を閉じた惰性走行は、PM過堆積によるDPF36の損傷を避けながら、周囲の走行の流れを乱さない広範囲の領域で実施することができる。
【0029】
特に排気後処理装置33には、未燃燃料による酸化触媒37の酸化反応の発熱でPMを焼灼させる構造を用いると、上昇した酸化触媒37の温度は低下せずに、DPF37に堆積したPMを効率良く焼き終えるので、吸・排気バルブ21,22を閉じた惰性走行を禁止の期間は短くてすむ。
【0030】
なお、本発明は上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々可変して実施しても構わない。例えば一実施形態ではマニュアル変速機を搭載した車両に本発明を適用したが、これに限らず、例えばエンジンとの間にクラッチの入切りが介在する自動変速機を搭載した車両に本発明を適用しても、一実施形態と同様の効果を奏する。また一実施形態では、トラック(貨物車両)に本発明を適用したが、これに限らず、他のディーゼルエンジンを搭載した車両に本発明を適用しても構わない。
【符号の説明】
【0031】
9 ディーゼルエンジン
11 クラッチ装置(クラッチ)
20a,20b 可変バルブ装置
21 吸気バルブ
22 排気バルブ
33 排気後処理装置
36 DPF
37,38 酸化触媒,HC噴霧ノズル(DPF強制再生手段)
42 ECU(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両運転状態に応じて気筒の吸気バルブと排気バルブの開閉を制御する可変バルブ装置を備えたディーゼルエンジンと、このディーゼルエンジンの駆動力を車両の駆動輪に伝えるクラッチと、前記ディーゼルエンジンから排出された排ガス中のPMを捕集するDPFを有してなる排気後処理装置と、前記DPFに堆積したPMを酸化により強制的に除去するDPF強制再生手段とを有した車両で、車両の前記クラッチが接続されている運転中、車両の加速要求および減速要求がないとき、前記ディーゼルエンジンの全気筒の吸気バルブと排気バルブを全閉させ、車両を吸・排気バルブが全閉のまま惰性走行させる制御部を有した車両の惰性走行支援装置であって、
前記制御部は、前記強制再生手段の作動時には前記惰性走行の実施を禁止させるものとした
ことを特徴とする車両の惰性走行支援装置。
【請求項2】
前記強制再生手段は、前記DPFの直上流に酸化触媒を有し、前記DPFに堆積したPMが上限値に達すると、未燃燃料を前記酸化触媒に与え、当該酸化触媒の酸化反応による発熱で前記DPFのPMを焼灼させるものであることを特徴とする請求項1に記載の車両の惰性走行支援装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−57524(P2012−57524A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201113(P2010−201113)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】