説明

車両の操舵角計測装置

【課題】操舵角計測装置を改善することにより、ステアリングホイールの操舵角を作業効率を向上しつつ精度よく計測し得る操舵角計測装置に関する。
【解決手段】ステアリングホイール3とともに回転する反射面5を有する反射部材4と、前記反射面5との距離に基づいた信号を出力する第1の変位計7a及び第2の変位計7bからなるレーザ変位計7とを含む車両のステアリングホイール3の操舵角計測装置1である。前記反射面5は、前記第1の変位計7aとの距離を一定とする等距離面と、第1継ぎ面とが交互にかつ階段状に接続される階段状面Kからなる第1の反射面と、前記第2の変位計7bとの距離が漸減する傾斜面と、第2継ぎ面とが交互に接続される鋸歯状面からなる第2の反射面とからなる。しかも、前記傾斜面と、前記等距離面とは、位相が揃えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールの操舵角を精度よく計測することができる車両の操舵角計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の操縦安定性能や旋回性能等をテストする実車走行試験では、操舵角センサを用いてステアリングホイールの操舵角の計測が適宜行われている。
【0003】
操舵角センサとしては、例えば、図8(a)に示されるように、ステアリングホイールの形状をしたステアリングホイールタイプa1が知られている。このタイプa1は、元々車両に装着されているステアリングホイールを取り外し、そこに新たに装着されて使用されるため、ステアリングホイールや、ステアリングホイールとステアリングシャフトとを接続するステアリングボス等を交換しなければならないという問題があった。
【0004】
このような問題点を解決するために、操舵角センサとして、図8(b)に示されるような、車両のステアリングホイールhに取り付けるタイプa2が知られている。このタイプa2は、車両に元々装着されているステアリングホイールhに固定されるリング状の固定板bと、ステアリングホイールhの操舵角を検出する角度検出器(図示せず)と、該固定板bに接続されたセンサ用のステアリングホイールcとから構成される。
【0005】
上記タイプa2の操舵角センサは、ステアリングホイールhやステアリングボスを交換する必要がないが、その構成が複雑である他、車両に装着されている本来のステアリングホイールhに比べて外径や把持部分の径が異なるセンサ用のステアリングホイールcで車両を操縦しなければならならず、操縦フィーリングが悪化するという問題があった。関連する技術文献としては、次のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−4313号公報
【特許文献2】特開平6−32153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、ステアリングホイール側に第1の反射面と第2の反射面とを含む反射部材を設ける一方、車体側に前記第1の反射面にレーザ光を照射する第1の変位計と前記第2の反射面にレーザ光を照射する第2の変位計とを設け、前記第1の反射面及び第2の反射面の形状を規定することを基本として、本来のステアリングホイールを有効に利用しつつ簡単な構成で操舵角を精度良く計測できる車両の操舵角計測装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のうち請求項1記載の発明は、車両のステアリングホイールの操舵角を計測する操舵角計測装置であって、前記ステアリングホイール側に取り付けられかつ該ステアリングホイールとともに回転する反射面を有する反射部材と、車両の車体側に固定されかつ前記反射部材の前記反射面にレーザ光を照射してその反射光を受信することで前記反射面との距離に基づいた信号を出力するレーザ変位計とを含み、前記レーザ変位計は、第1の変位計と、第2の変位計との2つを含み、前記反射面は、前記第1の変位計のレーザ光のみが照射される第1の反射面と、前記第2の変位計のレーザ光のみが照射される第2の反射面とを含み、前記第1の反射面は、操舵方向の一端側から他端側に向かって、前記第1の変位計との距離を一定とする等距離面と、前記第1の変位計のレーザ光と略平行な第1継ぎ面とが交互にかつ階段状に接続されることにより、前記第1の変位計との距離が段階的に減少する階段状面からなる一方、前記第2の反射面は、前記一端側から他端側に向かって、前記第2の変位計との距離が漸減する傾斜面と、前記第2の変位計のレーザ光と略平行な第2継ぎ面とが交互に接続されることにより、前記第2の変位計との距離が鋸歯状に変化する鋸歯状面からなり、しかも前記鋸歯状面の傾斜面と、前記階段状面の等距離面とは、位相が揃えられていることを特徴とする。
【0009】
また請求項2記載の発明は、前記ステアリングホイールは、ドライバーによって把持される円環状の把持部と、前記ステアリングホイールの中央部分をなしかつステアリングシャフトに固定される中央部と、前記把持部と中央部とを接続するスポーク部とを含み、前記反射部材は、前記ステアリングホイールの中立状態において、前記中央部及び/又はスポーク部の上面に固着される請求項1に記載の車両の操舵角計測装置である。
【0010】
また請求項3記載の発明は、前記第1の反射面及び前記第2の反射面は、前記ステアリングホイールの操舵中心の周りに湾曲した円弧状にのびている請求項1又は2に記載の車両の操舵角計測装置である。
【0011】
また請求項4記載の発明は、前記第1の反射面及び前記第2の反射面は、略同心円状に配置される請求項3に記載の車両の操舵角計測装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の操舵角計測装置は、ステアリングホイール側に取り付けられかつ前記ステアリングホイールとともに回転する反射面を有する反射部材と、車両の車体側に固定されかつ前記反射部材の前記反射面にレーザ光を照射してその反射光を受信することで前記反射面との距離に基づいた信号を出力するレーザ変位計とを含む。このような操舵角計測装置では、車両に装着されている本来のステアリングホイールを交換することなく利用できる。
【0013】
また、前記レーザ変位計は、第1の変位計と、第2の変位計との2つを含む一方、前記反射面は、前記第1の変位計のレーザ光のみが照射される第1の反射面と、前記第2の変位計のレーザ光のみが照射される第2の反射面とを含む。そして、前記第1の反射面は、操舵方向の一端側から他端側に向かって、前記第1の変位計との距離を一定とする等距離面と、前記第1の変位計のレーザ光と略平行な第1継ぎ面とが交互にかつ階段状に接続されることにより、前記第1の変位計との距離が段階的に減少する階段状面からなる。また、前記第2の反射面は、前記一端側から他端側に向かって、前記第2の変位計との距離が漸減する傾斜面と、前記第2の変位計のレーザ光と略平行な第2継ぎ面とが交互に接続されることにより、前記第2の変位計との距離が鋸歯状に変化する鋸歯状面からなる。しかも、前記鋸歯状面の傾斜面と、前記階段状面の等距離面とは、位相が揃えられている。
【0014】
このような操舵角計測装置は、第1の反射面の各等距離面によって、各々一定の範囲の操舵角を計測することができる。また、第2の反射面の各傾斜面によって、上記一定範囲の操舵角の範囲を細分化して計測できる。また、本発明では、前記傾斜面が複数設けられることにより、例えば、1の傾斜面のみからなる反射部材に比して、傾斜面の傾斜角度を大きくできるため、操舵角が小さいときでも精度良く測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の操舵角計測装置が設けられた車体前室の斜視図である。
【図2】(a)は、反射部材の正面図、(b)は、その第1の反射面のA−A断面概略図、(c)は、(a)の第2の反射面のB−B断面概略図である。
【図3】(a)は、中立状態の操舵角計測装置を表す斜視図、(b)は、ステアリングホイールを一方側に回転したときの操舵角計測装置を表す斜視図、(c)は、ステアリングホイールを他方側に回転したときの操舵角計測装置を表す斜視図である。
【図4】操舵角計測装置の断面平面図である。
【図5】レーザ変位計を説明する概要図である。
【図6】本実施形態の制御装置の一例を示すブロック図である。
【図7】(a)は、第1の変位計が出力する第1信号と操舵角とを示すグラフ、(b)は第2の変位計が出力する第2信号と操舵角とを示すグラフ、(c)は、記憶部へ入力される電力と操舵角との関係を示すグラフである。
【図8】(a)は、従来の操舵角計測装置の正面図、(b)は、従来の他の操舵角計測装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1には、本実施形態の車両の操舵角計測装置1を設けた車両2の前室の斜視図が示される。本実施形態の車両の操舵角計測装置1は、車両2に装着されたステアリングホイール3の操舵角を計測するもので、例えば、乗用車に取り付けられている。ただし、本発明は、トラックやバス等の車両にも好適に使用される。
【0017】
図1乃至図4に示されるように、本実施形態の操舵角計測装置1は、ステアリングホイール3側に取り付けられかつ該ステアリングホイール3とともに回転する反射部材4と、車両の車体側に固定されかつ前記反射部材4にレーザ光6を照射してその反射光Rを受信するレーザ変位計7とを含んで構成される。
【0018】
前記ステアリングホイール3は、図1に示されるように、本実施形態では、ドライバーによって把持される円環状の把持部3aと、前記ステアリングホイール3の中央部分をなしかつステアリングシャフト11(図4に示す)に固定される中央部3bと、前記把持部3aと中央部3bとを接続する複数本のスポーク部3cとを含んで構成される。
【0019】
前記反射部材4は、本実施形態では略半円状に形成される。また、反射部材4は、該反射部材4の弦の部分をなす平らな底面が、中立状態にあるステアリングホイール3の中央部3b及び/又はスポーク部3cの上面(本実施形態では、中央部3b及びスポーク部の上面3bc、3ca)に、例えば、接着剤及び/又は粘着テープ等を用いて固着される。従って、反射部材4は、ステアリングホイール3を操舵することにより、該ステアリングホイール3と一体となってステアリングシャフト11の回りを回転する。
【0020】
また、反射部材4は、前記レーザ光6を反射する反射面5を具える。本実施形態では、反射面5が車両2の前方に向けて配されている。なお、反射面5は、レーザ光6を反射しうるものであれば種々の材料、形状ないし表面特性で形成される。
【0021】
また、レーザ変位計7は、ステアリングホイール3を除いた車体側、即ち、前記反射部材4とともに回転しない車体側の部材に固定される。本実施形態では、レーザ変位計7が、ステアリングシャフト11を覆うコラムカバー12の上面部12aに固着される。そして、レーザ変位計7のレーザ光6は、前記反射部材4の反射面5に向けて照射される。
【0022】
また、レーザ変位計7は、図5に示されるように、例えば、発光素子8と光位置検出素子9とを少なくとも含むユニットであり、測定対象物たる反射面5にレーザ光6を照射し、その反射光Rを光位置検出素子9で受信する。そして、レーザ変位計7は、この光位置検出素子9で受光した位置に基づき、反射面5までの距離Lに対応する例えば電圧の信号pを出力することができる。
【0023】
本実施形態の操舵角計測装置1は、図6に示されるように、レーザ変位計7が出力した信号pを処理する制御装置10をさらに含む。該制御装置10は、例えば前記電圧の信号pを所定の操舵角の情報に変換しかつ記憶及び/又はモニタ上に表示することができる。このような制御装置10として、例えばパーソナルコンピュータが好適である。なお、パーソナルコンピュータは、携帯型ものものが、利便性が大きく、特に好ましい。
【0024】
図2乃至図4に示されるように、前記レーザ変位計7は、第1の変位計7aと、第2の変位計7bとの2つの変位計7を含んで構成される。即ち、本実施形態では、第1の変位計7aから照射されるレーザ光6aと、第2の変位計7bから照射されるレーザ光6bとの2本のレーザ光が用いられる。
【0025】
また、本実施形態では、第1の変位計7aが前記上面部12aに載置され、第2の変位計7bは、第1の変位計7aの上部に配設される。このような第1の変位計7a及び第2の変位計7bは、例えば接着剤及び/又は両面粘着テープ等を用いて固定される。
【0026】
また、前記反射面5は、前記第1の変位計7aのレーザ光6aのみが照射される第1の反射面13と、前記第2の変位計7bのレーザ光6bのみが照射される第2の反射面14とを含み構成される。このように、本発明では、第1の反射面13及び第2の反射面14と各変位計7a、7bとの距離La、Lbから車両の操舵角が計測される。
【0027】
また、第1の反射面13及び前記第2の反射面14は、本実施形態では、ステアリングホイール3の操舵中心の周り、即ち、ステアリングシャフト11の回転軸11cを中心として湾曲した円弧状にのびている。これにより、ステアリングホイール3が回転しても、レーザ光6が反射面5を照射し続けて、精度良く操舵角を計測するのに役立つ。
【0028】
また、本実施形態の第1の反射面13及び前記第2の反射面14は、略同心円状に配置される。これによりさらに上述の作用が発揮される。
【0029】
また、本実施形態の第1の反射面13は、第2の反射面14の半径方向内側に配されている。なお、本発明の反射面5は、このような態様に限定されるものではなく、第2の反射面14が、第1の反射面13の半径方向内側に配される態様でも良い。
【0030】
そして、本発明では、前記第1の反射面13は、操舵方向の一端5x側から他端5y側に向かって、前記第1の変位計7aとの距離Laを一定とする等距離面15と、第1の変位計のレーザ光6aと略平行な第1継ぎ面16とが交互にかつ階段状に接続される。これにより、第1の反射面13は、該第1の反射面13と第1の変位計7aとの距離Laが段階的に減少する階段状面Kからなる。本実施形態の反射面13は、4つの等距離面15と、3つの第1継ぎ面16とからなる。図3(a)の例では、一端5x側とは向かって左側、他端5y側とは向かって右側をなす。
【0031】
また、前記第2の反射面14は、前記一端5x側から他端5y側に向かって、第2の変位計7bとの距離Lbが漸減する傾斜面17と、前記第2の変位計7bのレーザ光6bと略平行な第2継ぎ面18とが交互に接続される。これにより、第2の反射面14は、該第2の反射面14と第2の変位計7bとの距離Lbが鋸歯状に変化する鋸歯状面Nからなる。また、本実施形態の反射面14は、4つの傾斜面17と、3つの第2継ぎ面18とからなる。
【0032】
そして、本発明においては、前記鋸歯状面Nの傾斜面17と、前記階段状面Kの等距離面15とは、位相が揃えられている。本実施形態では、図2に良く示されるように、第1継ぎ面16と第2継ぎ面18とが周方向に対する角度が同じ態様で配されている。
【0033】
これにより、等距離面15は、各々一定の範囲の操舵角を計測することができる。また、傾斜面17は、上記一定の範囲の操舵角の範囲を細分化して計測することができる。即ち、例えば、ステアリングホイール3のロックトゥロック全操舵角が前記中立状態を0度として−80度〜80度である場合、本実施形態では、等距離面15が4つで形成されているため、−80〜80度の範囲を4分割して、例えば、一端5x側の等距離面15aでは−80度、その隣の等距離面15bでは−40度、その隣の等距離面15cでは0度、他端5y側の等距離面15dでは40度の各範囲が計測される。また、傾斜面17は、4つの傾斜面が、夫々40度を細分化して計測される。
【0034】
また、本発明では、傾斜面17が複数設けられることにより、傾斜面17の傾斜角度α1を大きくできるため、例えば、1の傾斜面のみからなる反射部材4に比して操舵角が小さいときでも精度よく計測することができる他、反射部材4とレーザ変位計7との距離L1(図4に示す)が小さいときでも、操舵角を計測することができる。
【0035】
より好ましくは、傾斜面17は、該傾斜面17と第2の変位計7bとの距離Lbが1次関数で変化するものが望ましい。これにより、精度良く細分化された操舵角を計測することができる。
【0036】
また、、図4に良く示されるように、第1継ぎ面16は、前記レーザ光6aと略平行に形成され、第2継ぎ面18は、前記レーザ光6bと略平行に形成される。このため、隣り合う等距離面15及び隣り合う傾斜面17の間の操舵角を精度よく測定することができる。即ち、例えば、一端5x側の等距離面15aとこれに隣り合う等距離面15bの間が示す−40度近傍の操舵角を精度よく測定できる。なお、前記「略平行」とは、例えば第1継ぎ面16とレーザ光6aとが完全に平行にとなる状態は勿論、第1継ぎ面16とレーザ光6aとの交差角α2が±5°以下の場合も含む。また、第2継ぎ面18の場合も同様に定義される。
【0037】
また本実施形態では、第1の変位計7aのレーザ光6aは、等距離面15に対する角度α3が、90度を除き85〜95度で設定されるのが望ましい。これにより、ステアリングホイール3の回転により等距離面15からの反射光R1の前記光位置検出素子9で受光する位置を変化させることができ、精度良く操舵角θを計測できる。
【0038】
また、第1の反射面13及び第2の反射面14を形成する等距離面15及び傾斜面17の数は4つに限定されるものではないが、ステアリングホイール3の大きさ等を勘案し、製造コストと操舵角の計測精度とを両立させる観点から、概ね3乃至6つ程度が望ましい。また、さらに好ましくは、等距離面15と傾斜面17とのが同数に揃えられるのが望ましい。
【0039】
以上のような反射部材4において、図3(a)乃至(c)に示されるように、ステアリングホイール3の中立状態から前記一端5x側への操舵角の増大に基づいて、第1の変位計7aとの前記距離Laが段階的に増加するとともに、第2の変位計7bとの前記距離Lbが鋸歯状に増加する。また、前記中立状態から前記他端側5y側への操舵角の増大に基づいて、第1の変位計7aとの前記距離Laが段階的に減少するとともに、第2の変位計7bとの前記距離Lbが鋸歯状に減少する。
【0040】
また、図1に示されるように、反射部材4の上端5aは、ドライバーによるステアリングホイール3の操縦を阻害しないように、前記把持部3aの内方縁3abよりも内側かつ該把持部3aに沿った円弧状をなすのが望ましい。これにより、反射部材4とステアリングホイール3との間に手指を挿入可能な隙間部sが形成される。これにより、ドライバーは、把持部3aを把持することができ、容易にステアリングホイール3を操縦することができる。なお、反射部材4の下端5bは、取付性を向上するために、中央部3b及び/又はスポーク部3cの上面3bc、3caに沿った形状が望ましい。
【0041】
また、ステアリングホイール3の中央部3bは、人体を保護するためのエアバック機構(図示せず)やクラクション機構(図示せず)等が内蔵されており、中央部3bの運転席側である正面3ba側には、前記エアバック機構の噴出口(図示せず)やクラクション操作ボタン(図示せず)等が設けられる。このため、前記反射部材4は、前記正面3ba側に設るよりも、上面3bcに設けるのが望ましい。
【0042】
以上のように構成された本実施形態の操舵角計測装置1の作用について述べる。ドライバーにより車両に本来装着されているステアリングホイール3が操舵されると、これとともに反射部材4も回転する。反射部材4は、上述の第1の反射面13及び第2の反射面13を含んで構成されているため、ステアリングホイール3の操舵角θに基づいて、各反射面13、14と前記各変位計7a、7bとの距離La、Lbが変化させる。そして、図6に示されるように、各変位計7a、7bは、前記距離La、Lbに基づいた信号p1、p2(本実施形態では電圧)を制御装置10の信号処理部に出力する。
【0043】
図7(a)は、第1の変位計7aから出力される信号p1(本実施形態では電圧Vcc)と、ステアリングホイール3の操舵角θとの関係を示すグラフの例である。また、図7(b)は、第2の変位計7bから出力される信号p2(本実施形態では電圧Vcc)と、ステアリングホイール3の操舵角θとの関係を示すグラフの例である。このように、本実施形態では、第1の変位計7aの出力電圧は、第1の反射面13によって、階段状に形成される。また、第2の変位計7bの出力電圧は、第2の反射面14によって、鋸歯状に形成される。そして、信号処理部では、これら信号p1、p2を合算され、演算部に出力される。なお、本実施形態のように、第1の変位計7aの出力電圧の高さピッチh1と、第2の変位計7bの出力電圧の高さピッチh2を同じとすることにより、演算部に出力される電圧と操舵角とが滑らかな一次関数で形成されるため、操舵角θの精度が向上する。
【0044】
また、制御装置10には、例えば、図7(c)に示されるような操舵角θ−出力電圧の関係を規定する情報が予め記憶される。このように、信号処理部からの出力電圧と、前記操舵角θとを予め決定しておくことにより、信号処理部からの出力に基づいて、操舵角θが一義的かつ容易に求められる。
【0045】
そして、この算出された操舵角θが、制御装置10の表示部で可視化される。なお、制御装置10は、演算された操舵角θを連続的に記憶する記憶装置を有するのが望ましい。
【0046】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施し得る。
【符号の説明】
【0047】
1 操舵角計測装置
2 車体
3 ステアリングホイール
4 反射部材
5 反射面
7 レーザ変位計
7a 第1の変位計
7b 第2の変位計
13 第1の反射面
14 第2の反射面
15 等距離面
16 第1継ぎ面
17 傾斜面
18 第2継ぎ面
K 階段状面
N 鋸歯状面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングホイールの操舵角を計測する操舵角計測装置であって、
前記ステアリングホイール側に取り付けられかつ該ステアリングホイールとともに回転する反射面を有する反射部材と、
車両の車体側に固定されかつ前記反射部材の前記反射面にレーザ光を照射してその反射光を受信することで前記反射面との距離に基づいた信号を出力するレーザ変位計とを含み、
前記レーザ変位計は、第1の変位計と、第2の変位計との2つを含み、
前記反射面は、前記第1の変位計のレーザ光のみが照射される第1の反射面と、前記第2の変位計のレーザ光のみが照射される第2の反射面とを含み、
前記第1の反射面は、操舵方向の一端側から他端側に向かって、前記第1の変位計との距離を一定とする等距離面と、前記第1の変位計のレーザ光と略平行な第1継ぎ面とが交互にかつ階段状に接続されることにより、前記第1の変位計との距離が段階的に減少する階段状面からなる一方、
前記第2の反射面は、前記一端側から他端側に向かって、前記第2の変位計との距離が漸減する傾斜面と、前記第2の変位計のレーザ光と略平行な第2継ぎ面とが交互に接続されることにより、前記第2の変位計との距離が鋸歯状に変化する鋸歯状面からなり、
しかも前記鋸歯状面の傾斜面と、前記階段状面の等距離面とは、位相が揃えられていることを特徴とする車両の操舵角計測装置。
【請求項2】
前記ステアリングホイールは、ドライバーによって把持される円環状の把持部と、前記ステアリングホイールの中央部分をなしかつステアリングシャフトに固定される中央部と、前記把持部と中央部とを接続するスポーク部とを含み、
前記反射部材は、前記ステアリングホイールの中立状態において、前記中央部及び/又はスポーク部の上面に固着される請求項1に記載の車両の操舵角計測装置。
【請求項3】
前記第1の反射面及び前記第2の反射面は、前記ステアリングホイールの操舵中心の周りに湾曲した円弧状にのびている請求項1又は2に記載の車両の操舵角計測装置。
【請求項4】
前記第1の反射面及び前記第2の反射面は、略同心円状に配置される請求項3に記載の車両の操舵角計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−40883(P2013−40883A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179145(P2011−179145)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【Fターム(参考)】