説明

車両の空調制御装置

【課題】車両の出発予定時刻よりも前に空調装置の作動を開始させるプレ空調をより適切に行うことができる車両の空調制御装置を提供する。
【解決手段】車両の出発予定時刻t1よりも前に外部電源24による蓄電装置20の充電が行われる場合に、ステップS102で外気温度τgが設定範囲から外れているときは、ステップS105でプレ空調作動開始時刻t2を蓄電装置20の充電開始時刻t3より前に設定することで、蓄電装置20の充電開始前にプレ空調により蓄電装置20の温度調節を予め行うことができ、蓄電装置20に充電可能な電力を増大させることができる。一方、ステップS102で外気温度τgが設定範囲内にあるときは、ステップS103でプレ空調作動開始時刻t2を蓄電装置20の充電開始時刻t3より後に設定しても、蓄電装置20に充電可能な電力を十分に確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の空調制御装置に関し、特に、車両の出発予定時刻よりも前に空調装置の作動を開始させる、いわゆるプレ空調を行う車両の空調制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電装置から電動機への電力供給により走行可能な車両(例えばプラグインハイブリッド車両や電気自動車等)において、乗員が車両に乗り込むときの車室内温度を適温とするために、車両の出発予定時刻よりも前に空調装置の作動を開始させるプレ空調を行う空調制御装置が提案されている(例えば下記特許文献1)。特許文献1においては、操作者によりプレ空調要求スイッチがオンされた場合にプレ空調を行う。そして、外部電源から蓄電装置(二次電池)への充電時には、外部電源から供給される電力を利用してプレ空調を行い、外部電源を取り外してから所定時間経過するまでは、蓄電装置から供給される電力を利用してプレ空調を行っている。さらに、プレ空調中の空調性能を時間の経過に伴い可変としている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−63347号公報
【特許文献2】特開2001−258177号公報
【特許文献3】特開平7−73906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、操作者によりプレ空調要求スイッチがオンされた場合にプレ空調が行われ、操作者任せでプレ空調時間が決まる。そのため、車両が位置する場所の気象条件によっては、車両の出発予定時刻(乗車時刻)に車室内温度が適温とならない場合があり、プレ空調を適切に行えない場合がある。
【0005】
また、低温時または高温時には蓄電装置に充電可能な電力が低下するため、低温時または高温時においてプレ空調を行う前に外部電源による蓄電装置の充電を行うと、蓄電装置の充電に要する時間が増大し、蓄電装置の充電及びプレ空調の両方を行うのに必要な合計時間が増大する。その結果、プレ空調時間を十分に確保できない場合があり、プレ空調を適切に行えない場合がある。
【0006】
本発明は、車両の出発予定時刻よりも前に空調装置の作動を開始させるプレ空調をより適切に行うことができる車両の空調制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両の空調制御装置は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係る車両の空調制御装置は、車室内の空気調節を行う空調装置と、車両の出発予定時刻と車室内の目標温度との入力を受け付ける入力受付部と、前記出発予定時刻における車室内温度が前記目標温度となるように、該出発予定時刻よりも前の空調作動開始時刻にて空調装置の作動を開始させるプレ空調制御部と、を備える車両の空調制御装置であって、外気温度を取得する外気温度取得部を備え、プレ空調制御部は、外気温度取得部で取得された外気温度に基づいて前記空調作動開始時刻を変更することを要旨とする。
【0009】
本発明の一態様では、空調装置は、車室内に搭載された蓄電装置を充電可能な外部電源により作動可能であり、プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、外気温度取得部で取得された外気温度に基づいて前記空調作動開始時刻を変更することが好適である。
【0010】
本発明の一態様では、プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、外気温度取得部で取得された外気温度に基づいて前記空調作動開始時刻を蓄電装置の充電開始時刻よりも前にするか後にするかを決定することが好適である。この態様では、プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、外気温度取得部で取得された外気温度が設定範囲から外れているときは、前記空調作動開始時刻を蓄電装置の充電開始時刻よりも前に設定することが好適である。また、この態様では、プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、外気温度取得部で取得された外気温度が設定範囲内にあるときは、前記空調作動開始時刻を蓄電装置の充電開始時刻よりも後に設定することが好適である。
【0011】
また、本発明に係る車両の空調制御装置は、車室内の空気調節を行う空調装置と、車両の出発予定時刻と車室内の目標温度との入力を受け付ける入力受付部と、前記出発予定時刻における車室内温度が前記目標温度となるように、該出発予定時刻より前の空調作動開始時刻にて空調装置の作動を開始させるプレ空調制御部と、を備える車両の空調制御装置であって、空調装置は、車室内に搭載された蓄電装置を充電可能な外部電源により作動可能であり、蓄電装置の温度を取得する蓄電装置温度取得部を備え、プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、蓄電装置温度取得部で取得された蓄電装置の温度に基づいて前記空調作動開始時刻を変更することを要旨とする。
【0012】
本発明の一態様では、プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、蓄電装置温度取得部で取得された蓄電装置の温度に基づいて前記空調作動開始時刻を蓄電装置の充電開始時刻よりも前にするか後にするかを決定することが好適である。この態様では、プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、蓄電装置温度取得部で取得された蓄電装置の温度が設定範囲から外れているときは、前記空調作動開始時刻を蓄電装置の充電開始時刻よりも前に設定することが好適である。また、この態様では、プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、蓄電装置温度取得部で取得された蓄電装置の温度が設定範囲内にあるときは、前記空調作動開始時刻を蓄電装置の充電開始時刻よりも後に設定することが好適である。
【0013】
また、本発明に係る車両の空調制御装置は、車室内の空気調節を行う空調装置と、車両の出発予定時刻と車室内の目標温度との入力を受け付ける入力受付部と、前記出発予定時刻における車室内温度が前記目標温度となるように、該出発予定時刻よりも前の空調作動開始時刻にて空調装置の作動を開始させるプレ空調制御部と、を備える車両の空調制御装置であって、気象情報を取得する気象情報取得部を備え、プレ空調制御部は、気象情報取得部で取得された気象情報に基づいて前記空調作動開始時刻を変更することを要旨とする。
【0014】
また、本発明に係る車両は、本発明に係る空調制御装置を備え、蓄電装置から電動機への電力供給により走行可能であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車両の出発予定時刻よりも前に空調装置の作動を開始させるプレ空調をより適切に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
【0017】
「実施形態1」
図1は、本発明の実施形態1に係る空調制御装置を備える車両の概略構成を示す図である。本実施形態に係る車両は、蓄電装置20から車両駆動用の電動機23への電力供給により走行可能なプラグインハイブリッド車両、あるいは電気自動車である。そして、本実施形態に係る車両には、以下に説明する蓄電装置20、ナビゲーションシステム36、空調装置12、及び空調制御装置14が搭載されている。
【0018】
充放電可能な蓄電装置20は、例えばリチウムイオン電池等の二次電池により構成され、電気エネルギーを蓄積する。ここでの蓄電装置20は車室内に搭載されており、蓄電装置20の温度τbを検出する温度センサ21が付設されている。蓄電装置(二次電池)20からの直流電力は、例えばインバータ25で交流に変換されてから車両駆動用の電動機23に供給されることにより、電動機23の動力に変換されて車両の走行に用いられる。車両には充電用の差込プラグ22が設けられており、外部電源24を差込プラグ22に接続することで、蓄電装置20の充電を行うことができる。外部電源24による蓄電装置20の充電の際には、充電制御回路26により蓄電装置20の充電制御が行われる。
【0019】
ナビゲーションシステム36は、地図データベース41、自車位置検出部42、情報取得部43、操作入力受付部44、ナビゲーション制御部45、及び表示部46を備える。ナビゲーションシステム36は、蓄電装置20からの電力により動作可能であるが、外部電源24が差込プラグ22に接続されている場合は、外部電源24からの電力によっても動作可能である。
【0020】
地図データベース41は、道路地図データを記憶している。自車位置検出部42は、例えばGPS等を用いて自車の現在位置を検出し、自車の現在位置を示す信号をナビゲーション制御部45へ出力する。情報取得部43は、例えばVICS(登録商標)等を用いて渋滞情報や規制情報等の交通情報を外部から通信により受信し、交通情報を示す信号をナビゲーション制御部45へ出力する。さらに、情報取得部43は、車両外部との通信により、天気、外気温度、及び外気湿度のいずれか1つ以上を含む気象情報も受信することができる。操作入力受付部44は、操作者による車両の目的地、案内経路の表示/非表示の設定、及び交通情報の表示/非表示の設定等の入力を受け付け、それらを示す信号をナビゲーション制御部45へ出力する。
【0021】
ナビゲーション制御部45は、自車位置検出部42で検出された自車の現在位置、及び地図データベース41から読み出した自車の現在位置周辺における道路地図を表示部46へ表示させる。さらに、ナビゲーション制御部45は、案内経路を表示する設定となっている場合は案内経路を道路地図上に重ねて表示部46へ表示させ、交通情報を表示する設定となっている場合は交通情報を道路地図上に重ねて表示部46へ表示させる。
【0022】
空調装置(空気調節装置)12は、車室内の空気調節を行う。車室内には、車室内温度τcを検出する温度センサ11が付設されている。空調装置12は、蓄電装置20からの電力により作動可能であるが、外部電源24が差込プラグ22に接続されている場合は、外部電源24からの電力によっても作動可能である。空調制御装置14は、空調装置12の制御を行う。本実施形態では、空調制御装置14は、車両の出発予定時刻(乗車時刻)t1における車室内温度τcが目標温度τ0となるように、出発予定時刻t1よりも前の空調作動開始時刻t2にて空調装置12の作動を開始させる、いわゆるプレ空調を行うプレ空調制御部16を備える。このプレ空調を行う際には、操作入力受付部44が、操作者によるプレ空調の実行要求、車両の出発予定時刻t1、及び車室内の目標温度τ0の入力を受け付け、それらを示す信号をプレ空調制御部16へ出力することができる。そして、プレ空調制御部16は、操作入力受付部44からのプレ空調の実行要求を受けて、出発予定時刻t1及び目標温度τ0に基づいて、出発予定時刻t1における車室内温度τcを目標温度τ0に一致させるために必要な空調作動開始時刻t2を決定し、空調装置12の作動後の制御を行う。例えば、温度センサ11で検出された車室内温度τcが目標温度τ0より低い場合は、車室内温度τcが上昇するように車室内の暖房が行われる。一方、温度センサ11で検出された車室内温度τcが目標温度τ0より高い場合は、車室内温度τcが低下するように車室内の冷房が行われる。さらに、プレ空調を行う際には、出発予定時刻t1における車室内湿度hc(例えば図示しない湿度センサにより検出)が目標湿度h0となるように、空調装置12の制御を行うこともできる。外部電源24が差込プラグ22に接続されている状態では、外部電源24からの電力を利用してプレ空調を行うことができる。
【0023】
車両の出発予定時刻t1よりも前に外部電源24による蓄電装置(二次電池)20の充電及びプレ空調の両方を行う場合に、蓄電装置20の充電を先に行うと、低温時には蓄電装置20に充電可能な電力が低下することで、蓄電装置20の充電時間が増大し、その結果、蓄電装置20の充電及びプレ空調の両方を行うのに必要な合計時間が増大する。さらに、高温時においても、蓄電装置20に充電可能な電力が低下することで、蓄電装置20の充電時間が増大し、その結果、蓄電装置20の充電及びプレ空調の両方を行うのに必要な合計時間が増大する。そこで、本実施形態では、低温時または高温時には、蓄電装置20の充電を開始する前にプレ空調を行うことで、車室内に搭載された蓄電装置20の温度調節を行う。これによって、蓄電装置20に充電可能な電力が低下するのを抑止する。
【0024】
図2は、車両の出発予定時刻t1よりも前に外部電源24による蓄電装置20の充電及びプレ空調が行われる場合に、プレ空調制御部16により実行される処理を説明するフローチャートである。まずステップS101において、自車現在位置での外気温度τgが読み込まれる。ここでの外気温度τgについては、例えばナビゲーションシステム36の情報取得部43から取得することができる。あるいは、図示しない温度センサにより外気温度τgを直接検出することもできる。次に、ステップS102において、外気温度τgが設定範囲内にあるか否か(τ1≦τg≦τ2が成立するか否か)が判定される。ここでの設定範囲については、蓄電装置20に充電可能な電力が所定値以上となる範囲に設定される。外気温度τgが設定範囲内にある場合(ステップS102の判定結果がYESの場合)は、ステップS103に進む。一方、外気温度τgが設定範囲から外れている場合(ステップS102の判定結果がNOの場合)は、ステップS105に進む。
【0025】
ステップS103では、外部電源24による蓄電装置20の充電が許容され、蓄電装置20の充電が開始される。つまり、図3に示すように、プレ空調作動開始時刻t2が蓄電装置20の充電開始時刻t3より後に設定される。蓄電装置20の充電制御は、充電制御回路26により行われる。ここでは、所定値以上の充電電力で蓄電装置20の充電を行うことができるため、蓄電装置20の充電時間の増大を招くことはない。そして、ステップS104では、車両の出発予定時刻t1における車室内温度τcが目標温度τ0となるように、空調装置12の作動(プレ空調)が開始される。図3は、蓄電装置20の充電完了時刻t4がプレ空調作動開始時刻t2より後になった例を示しており、その場合は、蓄電装置20の充電及びプレ空調の両方が並行して行われる期間が存在する。ただし、車室内温度τc及び目標温度τ0の条件によっては、プレ空調作動開始時刻t2が蓄電装置20の充電完了時刻t4より後になることもあり得る。
【0026】
一方、ステップS105では、空調装置12の作動(プレ空調)が開始される。つまり、図4に示すように、プレ空調作動開始時刻t2が蓄電装置20の充電開始時刻t3より前に設定される。外気温度τgがτ1より低い場合は、プレ空調により車室内の暖房が行われることで、車室内に搭載された蓄電装置20の温度τbを上昇させることができ、蓄電装置20に充電可能な電力を増大させることができる。一方、外気温度τgがτ2より高い場合は、プレ空調により車室内の冷房が行われることで、車室内に搭載された蓄電装置20の温度τbを下げることができ、蓄電装置20に充電可能な電力を増大させることができる。ステップS106では、蓄電装置20の充電を許容するか否かが判定される。例えば、温度センサ21で検出された蓄電装置20の温度τbが設定範囲内にある(τ1≦τb≦τ2が成立する)場合は、ステップS107に進み、蓄電装置20の充電を許容する。一方、蓄電装置20の温度τbが設定範囲内にない(τ1≦τb≦τ2が成立しない)場合は、ステップS105に戻る。
【0027】
ステップS107では、外部電源24による蓄電装置20の充電が許容され、蓄電装置20の充電が開始される。ここでも、所定値以上の充電電力で蓄電装置20の充電を行うことができるため、蓄電装置20の充電時間の増大を招くことはない。蓄電装置20の充電開始後に、温度センサ11で検出された車室内温度τcが目標温度τ0からずれている場合は、図4に示すように、車両の出発予定時刻t1における車室内温度τcが目標温度τ0となるようにプレ空調を行う。
【0028】
このように、本実施形態では、車両の出発予定時刻t1よりも前に外部電源24による蓄電装置20の充電が行われる場合に、プレ空調作動開始時刻t2を蓄電装置20の充電開始時刻t3よりも前にするか後にするかを外気温度τgに基づいて決定することで、プレ空調作動開始時刻t2を外気温度τgに基づいて変更する。外気温度τgが設定範囲から外れているときは、プレ空調作動開始時刻t2を蓄電装置20の充電開始時刻t3より前に設定することで、蓄電装置20の充電開始前にプレ空調により蓄電装置20の温度調節を予め行うことができ、蓄電装置20に充電可能な電力を増大させることができる。その結果、外部電源24による蓄電装置20の充電及びプレ空調の両方を行うのに必要な合計時間を短縮することができる。一方、外気温度τgが設定範囲内にあるときは、プレ空調作動開始時刻t2を蓄電装置20の充電開始時刻t3より後に設定しても、蓄電装置20に充電可能な電力を十分に確保することができるので、蓄電装置20の充電時間の増大を招くことはない。このように、本実施形態によれば、外部電源24による蓄電装置20の充電及びプレ空調の両方を行うのに必要な合計時間を短縮することができるので、車室内温度τcを目標温度τ0にするためのプレ空調時間を十分に確保することができ、プレ空調をより適切に行うことができる。
【0029】
図2に示すフローチャートの処理では、外気温度τgの代わりに、温度センサ11で検出された蓄電装置20の温度τbを用いることもできる。つまり、車両の出発予定時刻t1よりも前に外部電源24による蓄電装置20の充電が行われる場合に、蓄電装置20の温度τbに基づいてプレ空調作動開始時刻t2を蓄電装置20の充電開始時刻t3よりも前にするか後にするかを決定することで、外気温度τgに基づいてプレ空調作動開始時刻t2を変更することもできる。ここでは、蓄電装置20の温度τbが設定範囲から外れているときは、プレ空調作動開始時刻t2を蓄電装置20の充電開始時刻t3より前に設定し、蓄電装置20の温度τbが設定範囲内にあるときは、プレ空調作動開始時刻t2を蓄電装置20の充電開始時刻t3より後に設定することができる。この場合も、外部電源24による蓄電装置20の充電及びプレ空調の両方を行うのに必要な合計時間を短縮することができる。
【0030】
また、以上の実施形態の説明では、図2に示すフローチャートのステップS105においてプレ空調が行われるときは、蓄電装置20の充電を開始しないものとした。ただし、本実施形態では、ステップS105においてプレ空調が行われるときは、蓄電装置20の充電をその充電電力を制限しながら行うこともできる。ここでの充電電力の制限値については、蓄電装置20の温度τbに基づいて設定することができる。その場合は、例えば蓄電装置20の温度τbが設定範囲内に入るときに、蓄電装置20の充電電力の制限を解除する。
【0031】
また、以上の実施形態の説明では、ナビゲーションシステム36の操作入力受付部44を利用して、プレ空調の実行要求、車両の出発予定時刻t1、及び車室内の目標温度τ0の入力を受け付けるものとした。ただし、本実施形態では、ナビゲーションシステム36と別(例えば空調コントロールパネル)に設けられた操作入力受付部を利用して、プレ空調の実行要求、車両の出発予定時刻t1、及び車室内の目標温度τ0の入力を受け付けることもできる。
【0032】
「実施形態2」
図5は、本発明の実施形態2に係る空調制御装置により実行される処理を説明するフローチャートである。実施形態2に係る空調制御装置を備える車両の構成については、実施形態1と同様であるため説明を省略する。
【0033】
まずステップS201において、操作入力受付部44からの出発予定時刻t1及び目標温度τ0に基づいて、プレ空調作動開始時刻t2が仮設定される。次に、ステップS202において、気象情報が読み込まれる。ここでの気象情報については、例えば天気、外気温度τg、及び外気湿度hg等を挙げることができ、ナビゲーションシステム36の情報取得部43から取得することができる。
【0034】
次に、ステップS203では、ステップS202において読み込まれた気象情報に基づいてプレ空調作動開始時刻t2の補正時間δt1が算出される。ステップS204では、図6に示すように、ステップS203において算出された補正時間δt1分、プレ空調作動開始時刻t2が補正される。図6は、プレ空調作動開始時刻t2を早める方向に補正する例を示している。外気温度τgに基づいて補正時間δt1を算出する例では、車室内温度τcが目標温度τ0より低くプレ空調により車室内の暖房を行う場合に、自車現在位置での外気温度τgが設定温度より低いときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より早くするように補正時間δt1を決定する。一方、車室内の暖房を行う場合に、自車現在位置での外気温度τgが設定温度より高いときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より遅くするように補正時間δt1を決定する。また、車室内温度τcが目標温度τ0より高くプレ空調により車室内の冷房を行う場合に、自車現在位置での外気温度τgが設定温度より低いときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より遅くするように補正時間δt1を決定する。一方、車室内の冷房を行う場合に、自車現在位置での外気温度τgが設定温度より高いときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より早くするように補正時間δt1を決定する。外気温度τgが低いときは車室内温度τcが上昇しにくくなり、外気温度τgが高いときは車室内温度τcが下がりにくくなるが、外気温度τgに基づいてプレ空調作動開始時刻t2を補正することで、出発予定時刻t1における車室内温度τcを適温にすることができる。
【0035】
また、外気湿度hgに基づいて補正時間δt1を算出する例では、プレ空調により車室内の暖房を行う場合に、外気湿度hgが設定湿度より低いときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より早くするように補正時間δt1を決定する。一方、車室内の暖房を行う場合に、外気湿度hgが設定湿度より高いときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より遅くするように補正時間δt1を決定する。また、プレ空調により車室内の冷房を行う場合に、外気湿度hgが設定湿度より低いときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より遅くするように補正時間δt1を決定する。一方、プレ空調により車室内の冷房を行う場合に、外気湿度hgが設定湿度より高いときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より早くするように補正時間δt1を決定する。
【0036】
また、天気に基づいて補正時間δt1を算出する例では、プレ空調により車室内の暖房を行う場合に、自車現在位置での天気が晴れのときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より遅くするように補正時間δt1を決定する。一方、プレ空調により車室内の暖房を行う場合に、自車現在位置での天気が雨や雪のときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より早くするように補正時間δt1を決定する。また、プレ空調により車室内の冷房を行う場合に、自車現在位置での天気が晴れのときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より早くするように補正時間δt1を決定する。一方、プレ空調により車室内の冷房を行う場合に、自車現在位置での天気が雨や雪のときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より遅くするように補正時間δt1を決定する。さらに、外気温度τg、外気湿度hg、及び天気のいずれか2つ以上を組み合わせて補正時間δt1を決定することもできる。
【0037】
このように、本実施形態では、外気温度τgや外気湿度hgや天気等の気象情報に基づいてプレ空調作動開始時刻t2を変更することで、車両が位置する場所の気象条件に適応させて出発予定時刻t1における車室内温度τcを適温にすることができるので、プレ空調をより適切に行うことができる。
【0038】
本実施形態では、車両の乗車予定人数に基づいて補正時間δt2を算出する(プレ空調作動開始時刻t2を変更する)こともできる。その場合は、操作入力受付部44が、操作者による車両の乗車予定人数の入力を受け付けることができる。プレ空調により車室内の暖房を行う場合に、乗車予定人数が所定数より多いときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より遅くするように補正時間δt2を決定することもできる。一方、プレ空調により車室内の暖房を行う場合に、乗車予定人数が所定数より少ないときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より早くするように補正時間δt2を決定することもできる。また、プレ空調により車室内の冷房を行う場合に、乗車予定人数が所定数より多いときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より早くするように補正時間δt2を決定することもできる。一方、プレ空調により車室内の冷房を行う場合に、乗車予定人数が所定数より少ないときは、プレ空調作動開始時刻t2をステップS201で仮設定された時刻より遅くするように補正時間δt2を決定することもできる。そして、図7に示すように、プレ空調作動開始時刻t2を、補正時間δt1+δt2分補正することもできる。図7は、プレ空調作動開始時刻t2を早める方向に補正する例を示している。車両の乗車人数が多いほど車室内温度τcが上昇しやすくなるが、車両の乗車予定人数に基づいてプレ空調作動開始時刻t2を変更することで、車両の乗車人数に応じて車室内温度τcを適温にすることができ、プレ空調をより適切に行うことができる。
【0039】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態1に係る空調制御装置を備える車両の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る空調制御装置により実行される処理を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態1に係る空調制御装置により実行される処理を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る空調制御装置により実行される処理を説明する図である。
【図5】本発明の実施形態2に係る空調制御装置により実行される処理を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態2に係る空調制御装置により実行される処理を説明する図である。
【図7】本発明の実施形態2に係る空調制御装置により実行される他の処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0041】
11,21 温度センサ、12 空調装置、14 空調制御装置、16 プレ空調制御部、20 蓄電装置、22 差込プラグ、23 電動機、24 外部電源、25 インバータ、36 ナビゲーションシステム、41 地図データベース、42 自車位置検出部、43 情報取得部、44 操作入力受付部、45 ナビゲーション制御部、46 表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の空気調節を行う空調装置と、
車両の出発予定時刻と車室内の目標温度との入力を受け付ける入力受付部と、
前記出発予定時刻における車室内温度が前記目標温度となるように、該出発予定時刻よりも前の空調作動開始時刻にて空調装置の作動を開始させるプレ空調制御部と、
を備える車両の空調制御装置であって、
外気温度を取得する外気温度取得部を備え、
プレ空調制御部は、外気温度取得部で取得された外気温度に基づいて前記空調作動開始時刻を変更する、車両の空調制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の空調制御装置であって、
空調装置は、車室内に搭載された蓄電装置を充電可能な外部電源により作動可能であり、
プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、外気温度取得部で取得された外気温度に基づいて前記空調作動開始時刻を変更する、車両の空調制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の空調制御装置であって、
プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、外気温度取得部で取得された外気温度に基づいて前記空調作動開始時刻を蓄電装置の充電開始時刻よりも前にするか後にするかを決定する、車両の空調制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の空調制御装置であって、
プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、外気温度取得部で取得された外気温度が設定範囲から外れているときは、前記空調作動開始時刻を蓄電装置の充電開始時刻よりも前に設定する、車両の空調制御装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の空調制御装置であって、
プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、外気温度取得部で取得された外気温度が設定範囲内にあるときは、前記空調作動開始時刻を蓄電装置の充電開始時刻よりも後に設定する、車両の空調制御装置。
【請求項6】
車室内の空気調節を行う空調装置と、
車両の出発予定時刻と車室内の目標温度との入力を受け付ける入力受付部と、
前記出発予定時刻における車室内温度が前記目標温度となるように、該出発予定時刻より前の空調作動開始時刻にて空調装置の作動を開始させるプレ空調制御部と、
を備える車両の空調制御装置であって、
空調装置は、車室内に搭載された蓄電装置を充電可能な外部電源により作動可能であり、
蓄電装置の温度を取得する蓄電装置温度取得部を備え、
プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、蓄電装置温度取得部で取得された蓄電装置の温度に基づいて前記空調作動開始時刻を変更する、車両の空調制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の空調制御装置であって、
プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、蓄電装置温度取得部で取得された蓄電装置の温度に基づいて前記空調作動開始時刻を蓄電装置の充電開始時刻よりも前にするか後にするかを決定する、車両の空調制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の空調制御装置であって、
プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、蓄電装置温度取得部で取得された蓄電装置の温度が設定範囲から外れているときは、前記空調作動開始時刻を蓄電装置の充電開始時刻よりも前に設定する、車両の空調制御装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の空調制御装置であって、
プレ空調制御部は、前記出発予定時刻よりも前に外部電源による蓄電装置の充電が行われる場合に、蓄電装置温度取得部で取得された蓄電装置の温度が設定範囲内にあるときは、前記空調作動開始時刻を蓄電装置の充電開始時刻よりも後に設定する、車両の空調制御装置。
【請求項10】
車室内の空気調節を行う空調装置と、
車両の出発予定時刻と車室内の目標温度との入力を受け付ける入力受付部と、
前記出発予定時刻における車室内温度が前記目標温度となるように、該出発予定時刻よりも前の空調作動開始時刻にて空調装置の作動を開始させるプレ空調制御部と、
を備える車両の空調制御装置であって、
気象情報を取得する気象情報取得部を備え、
プレ空調制御部は、気象情報取得部で取得された気象情報に基づいて前記空調作動開始時刻を変更する、車両の空調制御装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1に記載の空調制御装置を備え、蓄電装置から電動機への電力供給により走行可能な車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−308114(P2008−308114A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160179(P2007−160179)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】