説明

車両制御装置および車両制御方法

【課題】重心位置に偏りがある車両における制動時の安定性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】車両制御装置1は、前輪および後輪の接地荷重を左右輪で異ならせるための接地荷重調節部としてのアクティブスタビライザ装置10と、目標ヨーレートを設定するための目標ヨーレート設定部102と、実ヨーレートを調節するためのヨーレート制御部104と、を備える。ヨーレート制御部104は、制動時に前輪および後輪それぞれの左右輪における接地荷重を異ならせて、前輪および後輪のうち制動力配分の大きい側に第1ヨーモーメントを、制動力配分の小さい側に第1ヨーモーメントと逆方向の第2ヨーモーメントを発生させ、第1ヨーモーメントと第2ヨーモーメントにより実ヨーレートを目標ヨーレートに近づける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置および車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には走行時および制動時の安定性が求められる。これに対し、例えば特許文献1には、車両を安定的に走行させるための構成として、車両の重心位置の車幅方向ずれに基づいてスタビライザのロール剛性を調節するスタビライザ制御装置が開示されている。このスタビライザ制御装置では、車両のロール状態に基づいて設定されたスタビライザのロール剛性の目標値が、車両の重心位置の車幅方向ずれに基づいて変更される。この際、ロール剛性の目標値は、重心位置のずれによって発生するロールステアや操舵時のロールモーメントの左右差を解消できるような値に補正される。これにより、重心位置に偏りがある場合に、直進走行時にはロールステアが抑制され、左右操舵時にはヨーレートやロールレートなどの左右差が低減されて、直進性が向上するとともに操舵フィーリングが向上する。
【0003】
また、特許文献2には、直進制動時に燃料タンクの左右方向の重量配分を変更することで左右輪の軸重差を変更し、これにより直進制動時における車両安定性を向上させる構成が開示されている。また、特許文献3には、各輪の接地荷重を考慮して各輪で発生する制駆動力を同一にすることで、車両の重心周りにヨーモーメントが発生することを防止する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−245960号公報
【特許文献2】特開2009−184471号公報
【特許文献3】特開平10−315945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、車両には走行状態に応じて適切なヨーレート(以下、適宜このヨーレートを「目標ヨーレート」と称する)が発生するよう設定されている。たとえば、直進状態での目標ヨーレートは0であり、曲進状態ではステアリングの操舵角等に応じて目標ヨーレートが定められている。
【0006】
車両の重心位置が偏った状態では、制動時に重心位置の偏りに起因したヨーモーメント(以下、適宜このヨーモーメントを「偏りヨーモーメント」と称する)が発生する場合がある。この場合、偏りヨーモーメントが原因となって、車両に発生するヨーレート(以下、適宜このヨーレートを「実ヨーレート」と称する)が目標ヨーレートから外れてしまい、直進制動時に車両が偏向したり、制動時の操舵フィーリングに左右差が生じるおそれがある。
【0007】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、重心位置に偏りがある車両における制動時の安定性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両制御装置は、前輪および後輪の接地荷重を左右輪で異ならせるための接地荷重調節部と、車両に発生させるべき目標ヨーレートを設定するための目標ヨーレート設定部と、前記接地荷重調節部を制御して車両に発生する実ヨーレートを調節するためのヨーレート制御部と、を備え、前記ヨーレート制御部は、制動時に前輪および後輪それぞれの左右輪における接地荷重を異ならせて、前輪および後輪のうち制動力配分の大きい側に第1ヨーモーメントを、制動力配分の小さい側に第1ヨーモーメントと逆方向の第2ヨーモーメントを発生させ、第1ヨーモーメントと第2ヨーモーメントにより実ヨーレートを目標ヨーレートに近づけることを特徴とする。
【0009】
この態様によれば、重心位置に偏りがある車両における制動時の安定性を向上させることができる。
【0010】
上記態様において、前記ヨーレート制御部は、前記第1ヨーモーメントと前記第2ヨーモーメントを同時に発生させてもよい。この態様によれば、車両にロールが発生することをより確実に防ぐことができる。また、前記ヨーレート制御部は、前記第1ヨーモーメントと前記第2ヨーモーメントを交互に発生させてもよい。この態様によれば、車体にかかる負荷を軽減できる。
【0011】
上記態様において、前記実ヨーレートは、車両の重心位置の偏りに応じて発生する偏りヨーモーメントに起因するヨーレートを含んでもよい。この態様によっても、重心位置に偏りがある車両における制動時の安定性を向上させることができる。
【0012】
また、上記態様において、前記接地荷重調節部は、捻れ量に応じた反力を前輪側車軸および後輪側車軸に作用させるためのスタビライザバーと、前記スタビライザバーの捻れ量を変更するためのアクチュエータとを有するスタビライザを含んでもよい。この態様によれば、ヨーレート調節制御を実施するための専用の機構を追加する場合と比べて、より低コストで簡単にヨーレート調節制御を実施することができる。
【0013】
また、上記態様において、前記スタビライザバーは、車両の車幅方向に延び端部に左右の前輪が連結されるバーと、車両の車幅方向に延び端部に左右の後輪が連結されるバーとを含んでもよい。この態様によっても、重心位置に偏りがある車両における制動時の安定性を向上させることができる。
【0014】
また、上記態様において、前記スタビライザバーは、車両の前後方向に延び端部に右前輪および右後輪が連結されるバーと、車両の前後方向に延び端部に左前輪および左後輪が連結されるバーとを含んでもよい。この態様によっても、重心位置に偏りがある車両における制動時の安定性を向上させることができる。
【0015】
本発明の他の態様は車両制御方法である。この車両制御方法は、制動時に前輪および後輪それぞれの左右輪における接地荷重を異ならせて、前輪および後輪のうち制動力配分の大きい側に第1ヨーモーメントを、制動力配分の小さい側に第1ヨーモーメントと逆方向の第2ヨーモーメントを発生させ、第1ヨーモーメントと第2ヨーモーメントにより、車両に発生する実ヨーレートを車両に発生させるべき目標ヨーレートに近づけることを特徴とする。この態様によっても、重心位置に偏りがある車両における制動時の安定性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、重心位置に偏りがある車両における制動時の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態1に係る車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】アクチュエータと右スタビライザバーの概略図である。
【図3】本実施形態に係るヨーレート調節制御を説明するための模式図である。
【図4】実施形態1に係る車両制御装置のヨーレート調節制御フローチャートである。
【図5】実施形態2に係る車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】実施形態3に係る車両制御装置の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
【0019】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る車両制御装置1は、車両の前輪側、後輪側のそれぞれに配設されたアクティブスタビライザ装置10(接地荷重調節部)と、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータを主体として構成される電子制御ユニット(以下、「ECU」という)100を備える。ECU100のROMには、ロール抑制プログラム、ヨーレート調節制御プログラム、各種のデータ等が記憶されている。なお、ECU100は、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や回路で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0020】
車両の前輪側および後輪側に配設されたアクティブスタビライザ装置10は、それぞれスタビライザバー20と、アクチュエータ30とを有する。スタビライザバー20は、車体のロールによって捻られ、捻れ量に応じた反力を前輪側車軸あるいは後輪側車軸(ともに図示せず)に作用させるものである。前輪側のスタビライザバー20は、車両の車幅方向に延びて端部に右前輪16FRおよび左前輪16FLが連結され、後輪側のスタビライザバー20は、車両の車幅方向に延び端部に右後輪16RRおよび左後輪16RLが連結されている。本実施形態では、スタビライザバー20が略中央部で二つに分割されており、右スタビライザバー22Rの一端が右前輪16FRあるいは右後輪16RRを保持する車輪保持部材(図示せず)に、左スタビライザバー22Lの一端が左前輪16FLあるいは左後輪16RLを保持する車輪保持部材(図示せず)に、それぞれ連結されている。
【0021】
右スタビライザバー22Rおよび左スタビライザバー22Lのそれぞれの他端は、アクチュエータ30を介して相対回転可能に接続されている。アクチュエータ30は、スタビライザバー20の捻れ量を変更するものである。アクチュエータ30を作動させると、右スタビライザバー22Rおよび左スタビライザバー22Lが相対回転し、スタビライザバー20全体で見たときの捻れ量が変化する。これにより、車体のロール剛性をアクティブに変更することができ、車体のロールを抑制することができる。また、アクティブスタビライザ装置10は、アクチュエータ30により右スタビライザバー22Rおよび左スタビライザバー22Lを相対回転させることで、前輪および後輪の接地荷重を左右輪で異ならせることができる。
【0022】
図2は、アクチュエータと右スタビライザバーの概略図である。右スタビライザバー22Rは、略車幅方向に延びるトーションバー部24と、トーションバー部24の車輪側の端部に一体的に設けられ、湾曲して車両前方または車両後方に延びるアーム部26とからなる。図2には、車両前方に延びるアーム部26を有する前輪側の右スタビライザバー22Rが例示されている。トーションバー部24は、車体に固定された支持部材40によって回転可能に支持されている。なお、左スタビライザバー22Lの構造も、右スタビライザバー22Rの構造と左右対称である以外は同様である。したがって、右スタビライザバー22Rと左スタビライザバー22Lのトーションバー部24は、互いに同軸に配置される。トーションバー部24の車体中央側の端部は、アクチュエータ30に接続されている。アーム部26の端部は、車輪保持部材の一部(例えば、ロアアーム)と相対回転可能に連結されている。
【0023】
アクチュエータ30は、ハウジング32と、ハウジング32内に収納されたモータおよび減速機(ともに図示せず)とを有する。ハウジング32は、ハウジング保持部材34によって車体に保持されている。アクチュエータ30は、同軸に配設される二つの出力軸36、38を備える。出力軸36の一端はハウジング32の端部に固定されており、他端は右スタビライザバー22Rの端部とセレーション結合されている。出力軸38は、ハウジング32に対して回転可能に保持される。出力軸38の一端は、ハウジング32の内部に進入し、減速機に接続されている。出力軸38の他端は、左スタビライザバー22Lの端部とセレーション結合されている。アクチュエータ30が作動してモータが回転すると、右スタビライザバー22Rおよび左スタビライザバー22Lのトーションバー部24が相対回転し、スタビライザバー20に捻られる力が発生する。
【0024】
図1に示すように、ECU100には、車両に発生する実ヨーレートを検出するヨーレートセンサ110と、ステアリングホイール(図示せず)の操舵角を検出する舵角センサ112と、車両の速度を検出する車速センサ114と、車両の前後方向の加速度を検出するGセンサ116とが接続されている。また、ECU100には、左右の車輪近傍の車体下部にそれぞれ取り付けられ、レーザ等を路面に向けて照射することで車体下部と路面との間の距離を検出するハイトセンサ118が接続されている。さらに、ECU100には、アクティブスタビライザ装置10のアクチュエータ30が接続されている。ECU100は、アクチュエータ30を作動させることで、車両旋回時の車体のロールモーメントに対抗するモーメントを発生させ車体のロールを抑制することができる。
【0025】
より詳細には、ECU100は、例えば操舵角、および車速に基づいて目標横加速度を決定する。続いて、目標横加速度に基づいて車体のロールを抑制するために必要なスタビライザバー20のねじり角、すなわち右スタビライザバー22Rと左スタビライザバー22Lの相対回転角度に相当するモータの目標回転角を決定する。そして、モータの実回転角と目標回転角との偏差に基づくフィードバック制御を実行する。
【0026】
続いて、本実施形態におけるアクティブスタビライザ装置10を用いたヨーレート調節制御について説明する。図3は、本実施形態に係るヨーレート調節制御を説明するための模式図である。
【0027】
通常、車両にはその走行状態に応じた目標ヨーレートが発生するよう設定されている。たとえば、直進状態での目標ヨーレートは0°/secであり、曲進状態ではステアリングの操舵角等に応じて目標ヨーレートが定められている。ここで、車両の重心位置が偏った状態では、車両制動時に重心位置の偏りに起因した偏りヨーモーメントYMbが発生してしまう場合がある。この場合、実ヨーレートには偏りヨーモーメントYMbに起因して発生するヨーレートが含まれることとなり、実ヨーレートが目標ヨーレートから外れてしまうおそれがある。これに対し、本実施形態に係る車両制御装置1では、アクティブスタビライザ装置10を用いて前輪および後輪それぞれの左右輪における接地荷重を異ならせることで、前輪側および後輪側に大きさの異なる互いに逆方向のヨーモーメントを発生させている。そして、これらのヨーモーメントを用いて目標ヨーレートと実ヨーレートとの差を埋めている。
【0028】
より詳細には、図1に示すように、ECU100は、車両に発生させるべき目標ヨーレートを設定するための目標ヨーレート設定部102と、アクティブスタビライザ装置10を制御して車両に実際に発生する実ヨーレートを調節するためのヨーレート制御部104とを含む。
【0029】
目標ヨーレート設定部102は、舵角センサ112からステアリングホイールの操舵角を、車速センサ114から車速を、Gセンサ116から制動によって車両にかかる減速度すなわち前後方向の加速度を、それぞれ受け取る。そして、目標ヨーレート設定部102は、予め設定されているロジックにしたがって、制動時に車両の姿勢を安定させるために車体に発生すべき目標ヨーレートYtを設定する。目標ヨーレートYtは、予め準備された転舵特性として、操舵角等に対して目標ヨーレートが定まるマップを参照して求めてもよいし、所定の計算式に操舵角等を代入することによって求めてもよい。このマップは、ROMに記憶しておくことができる。目標ヨーレート設定部102は、舵角センサ112やGセンサ116に入力があったタイミングなどの所定のタイミングで、目標ヨーレートYtを設定する。目標ヨーレート設定部102は、ヨーレート制御部104に接続されており、ヨーレート制御部104に対して目標ヨーレートYtを送信する。
【0030】
ヨーレート制御部104は、目標ヨーレート設定部102から目標ヨーレートYtを受け取る。また、本実施形態において実ヨーレート取得部として機能するヨーレートセンサ110から、測定された実ヨーレートYoを受け取る。そして、ヨーレート制御部104は、目標ヨーレートYtと実ヨーレートYoとの差を検出し、この差を補うヨーモーメント(以下、適宜このヨーモーメントを「調節用ヨーモーメント」と称する)YMaを生成するように、車両の前輪側および後輪側に配設されたアクティブスタビライザ装置10を制御する。
【0031】
この調節用ヨーモーメントYMaの生成は、以下の原理に基づいている。すなわち、アクチュエータ30が作動してスタビライザバー20が捻られると、車軸にロールモーメントが発生する。車軸にロールモーメントが発生すると、車軸に接続された車輪の接地荷重(車輪が路面に押し付けられる力)が変化して左右輪で異なる値となる。左右輪の接地荷重が変化すると、接地荷重が大きい側の車輪の半径が相対的に小さくなり、接地荷重が小さい側の車輪の半径が相対的に大きくなる。ここで、各車輪から路面に伝わる車両の制動力の大きさは、車輪の半径の大きさと反比例する。したがって、車輪の半径が大きいほど当該車輪における制動力は小さくなる。よって、上述のようにアクティブスタビライザ装置10を用いて左右輪の接地荷重を異ならせることで、左右輪にかかる車輪回転方向の制動モーメントが同じ大きさであっても、左右輪における車両の制動力の大きさを異ならせることができる。左右輪における制動力の大きさが異なると、車両には制動力の大きい側の車輪が内側となる方向のヨーモーメントが発生する。
【0032】
また、車両の制動力配分は、前輪側と後輪側とで異なるように設定されている。たとえば、車両の制動力配分は、前輪側が大きく後輪側が小さく設定されている。そのため、前輪側と後輪側とでは、それぞれの左右輪の制動力差が同じであっても、左右輪の制動力差に起因して発生するヨーモーメントの大きさは、制動力配分の大きい側が小さい側よりも大きくなる。したがって、制動力配分の大きい側に所定のロールモーメントを発生させて第1ヨーモーメントYM1を発生させ、制動力配分の小さい側に同じ大きさで逆方向のロールモーメントを発生させて第1ヨーモーメントYM1よりも小さく逆方向の第2ヨーモーメントYM2を発生させることができる。第1ヨーモーメントYM1および第2ヨーモーメントYM2が発生すると、車両には、第1ヨーモーメントYM1と第2ヨーモーメントYM2とが合成された結果である合成ヨーモーメントがかかる。この合成ヨーモーメントが調節用ヨーモーメントYMaとなる。
【0033】
なお、制動力配分の大きい側に所定のロールモーメントを発生させ、制動力配分の小さい側にこの所定のロールモーメントと同じ大きさで逆方向のロールモーメントを発生させることで、両ロールモーメントを互いに打ち消すことができる。これにより、車両にロールが発生することを防ぐことができる。また、これにより、アクティブスタビライザ装置10によって定常的にロールモーメントを発生させることができるようになるため、定常的に第1ヨーモーメントYM1および第2ヨーモーメントYM2を発生させることができる。車両にロールが発生することをより確実に防ぐためには、制動力配分の大きい側へのロールモーメントの発生による第1ヨーモーメントYM1の生成と、制動力配分の小さい側へのロールモーメントの発生による第2ヨーモーメントYM2の生成とが同時であることが好ましい。ここで、前記「同時」とは、ヨーレート制御部104が前輪側および後輪側のアクチュエータ30に対して制御信号を送信するタイミングが同時であることを意味する。この場合、前輪側のアクチュエータ30への制御信号の送信と後輪側のアクチュエータ30への制御信号の送信の少なくとも一部が重なっていれば「同時」とすることができる。
【0034】
図3を参照しながら、具体例として右ハンドル車で運転者のみ乗車した車両が直進制動する場合について説明する。この場合、目標ヨーレート設定部102は、舵角センサ112から操舵角0°を受け取って、目標ヨーレートYt=0°/secを設定する。また、この車両は重心が右側に偏っているため、制動時、車両には左方向に偏向するような偏りヨーモーメントYMbが発生する。ヨーレート制御部104は、目標ヨーレート設定部102から目標ヨーレートYtを受け取り、ヨーレートセンサ110から実ヨーレートYoを受け取って、その差を検出する。そして、ヨーレート制御部104は、制動力配分の大きい前輪側に、車体が左にロールする方向のロールモーメントを発生させる。これにより、右前輪16FRの接地荷重が増大してその半径が減少し、左前輪16FLの接地荷重が減少してその半径が増大する。その結果、右前輪16FR側の制動力が増大し、左前輪16FL側の制動力が減少して、車両の前輪側には右方向に偏向するような第1ヨーモーメントYM1が発生する。
【0035】
一方、ヨーレート制御部104は、前輪側へのロールモーメントの生成と同時に、制動力配分の小さい後輪側に、車体が右にロールする方向のロールモーメントを発生させる。これにより、左後輪16RLの接地荷重が増大してその半径が減少し、右後輪16RRの接地荷重が減少してその半径が増大する。その結果、左後輪16RL側の制動力が増大し、右後輪16RR側の制動力が減少して、車両の後輪側には左方向に偏向するような第2ヨーモーメントYM2が発生する。前輪側に発生させるロールモーメントと後輪側に発生させるロールモーメントとは、互いに反力となってつり合うように設定される。
【0036】
制動力配分の大きい前輪側に発生した第1ヨーモーメントYM1は、制動力配分の小さい後輪側に発生した第2ヨーモーメントYM2よりも大きいため、車両全体には、右方向に偏向するような調節用ヨーモーメントYMaが発生する。そして、この調節用ヨーモーメントYMaによって、重心の偏りに起因した左方向に偏向するような偏りヨーモーメントYMbが打ち消される。すなわち、この調節用ヨーモーメントYMaによって、実ヨーレートYoが目標ヨーレートYtに近づけられる。
【0037】
なお、ヨーレート制御部104は、調節用ヨーモーメントYMaにより実ヨーレートYoを目標ヨーレートYtに近づけるヨーレート調節制御を実施する際、目標ヨーレートYtと実ヨーレートYoの差が検出されなくなるまで前後車軸に発生させるロールモーメントを徐々に増大させて調節用ヨーモーメントYMaを所定量ずつ増大させてもよい。あるいは、ヨーレート制御部104は、目標ヨーレートYtと実ヨーレートYoとの差と、この差を埋める調節用ヨーモーメントYMaの生成に必要な第1ヨーモーメントYM1および第2ヨーモーメントYM2を発生させるためのロールモーメントの大きさとを対応付けたマップを予め備え、このマップに基づいて調節用ヨーモーメントYMaを生成してもよい。このマップは、ROMに記憶しておくことができる。また、ヨーレート制御部104は、目標ヨーレートYtと実ヨーレートYoとの差が予め設定されたしきい値を超えた場合に、調節用ヨーモーメントYMaを生成する制御を実施してもよい。当該しきい値は、設計者による実験やシミュレーションに基づき適宜設定することが可能である。
【0038】
図4は、実施形態1に係る車両制御装置のヨーレート調節制御フローチャートである。図4のフローチャートではステップを意味するS(Stepの頭文字)と数字との組み合わせによって各部の処理手順を表示する。また、Sと数字との組み合わせによって表示した処理で何らかの判断処理が実行され、その判断結果が肯定的であった場合は、Y(Yesの頭文字)を付加して、例えば(S101のY)と表示し、逆にその判断結果が否定的であった場合は、N(Noの頭文字)を付加して、例えば(S101のN)と表示する。このフローは、たとえばイグニッションがオンにされた場合にヨーレート制御部104により繰り返し実行され、イグニッションがオフにされた場合に終了する。
【0039】
まず、ヨーレート制御部104は、車両が制動中であるか判断する(S101)。車両が制動中であるか否かは、たとえばブレーキペダル(図示せず)に設けられた踏力センサやストロークセンサ(ともに図示せず)等からの信号入力の有無に応じて判断することができる。車両が制動中でない場合(S101のN)、ヨーレート制御部104は、本ルーチンを終了する。車両が制動中である場合(S101のY)、ヨーレート制御部104は、目標ヨーレート設定部102から設定された目標ヨーレートYtを受け取る(S102)。また、ヨーレート制御部104は、ヨーレートセンサ110から実ヨーレートYoを受け取る(S103)。
【0040】
そして、ヨーレート制御部104は、実ヨーレートYoと目標ヨーレートYtとの差が所定のしきい値以下であるか判断する(S104)。当該差がしきい値を超える場合(S104のN)、ヨーレート制御部104は、調節用ヨーモーメントYMaを生成して実ヨーレートYoを目標ヨーレートYtに近づける(S105)。そして、ヨーレート制御部104は、再び実ヨーレートYoと目標ヨーレートYtとの差が所定のしきい値以下であるか判断する(S104)。当該差がしきい値以下である場合(S104のY)、ヨーレート制御部104は、本ルーチンを終了する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る車両制御装置1は、目標ヨーレート設定部102と、実ヨーレート取得部としてのヨーレートセンサ110と、ヨーレート制御部104とを備えている。また、車両制御装置1は、アクティブスタビライザ装置10を前輪および後輪の接地荷重を左右輪で異ならせるための接地荷重調節部として用いている。そして、車両制御装置1は、制動時に前輪および後輪それぞれの左右輪における接地荷重を異ならせて、制動力配分の大きい側に第1ヨーモーメントYM1を、制動力配分の小さい側に第1ヨーモーメントYM1と逆方向の第2ヨーモーメントYM2を発生させ、これらのヨーモーメントの大きさの差に応じて発生する調節用ヨーモーメントYMaにより実ヨーレートYoを目標ヨーレートYtに近づけている。これにより、車両の重心位置が偏っている場合であっても、直進制動時に車両が偏向したり、制動時の操舵フィーリングに左右差が生じることを防ぐことができ、制動時の車両安定性を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態に係る車両制御装置1は、アクティブスタビライザ装置10を用いて前後輪それぞれにおける左右輪の接地荷重を異ならせることで、前後輪側にヨーモーメントを発生させて、実ヨーレートYoを目標ヨーレートYtに近づけている。そのため、制動時に燃料タンクの左右の重量配分を変更することで制動時の車両安定性を向上させる構成のように、ヨーレート調節制御を実施するための専用の機構を追加する必要がない。したがって、本実施形態に係る車両制御装置1によれば、より低コストでかつ簡単にヨーレート調節制御を実施することができる。
【0043】
(実施形態2)
実施形態2に係る車両制御装置1は、実ヨーレート取得部として実ヨーレート推定部を備え、実ヨーレート推定部で実ヨーレートを推定することで、実ヨーレートを取得している。以下、本実施形態について説明する。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明および図示は適宜省略する。
【0044】
図5は、実施形態2に係る車両制御装置の概略構成を示すブロック図である。図5に示すように、本実施形態に係る車両制御装置1は、車両の前輪側、後輪側のそれぞれに配設されるアクティブスタビライザ装置10(接地荷重調節部)と、ECU100を備える。
【0045】
アクティブスタビライザ装置10は、スタビライザバー20と、アクチュエータ30とを有する。前輪側のスタビライザバー20は、端部に右前輪16FR、左前輪16FLが連結され、後輪側のスタビライザバー20は、端部に右後輪16RR、左後輪16RLが連結されている。これらのスタビライザバー20は、右スタビライザバー22Rと左スタビライザバー22Lに分割されている。右スタビライザバー22Rの一端は、右前輪16FRあるいは右後輪16RRを保持する車輪保持部材に、左スタビライザバー22Lの一端は左前輪16FLあるいは左後輪16RLを保持する車輪保持部材に、それぞれ連結されている。右スタビライザバー22Rおよび左スタビライザバー22Lのそれぞれの他端は、アクチュエータ30を介して相対回転可能に接続されている。
【0046】
ECU100には、ステアリングホイールの操舵角を検出する舵角センサ112と、車両の速度を検出する車速センサ114と、車両の加速度を検出するGセンサ116とが接続されている。また、ECU100には、車体下部と路面との間の距離を検出するハイトセンサ118が接続されている。さらに、ECU100には、アクティブスタビライザ装置10のアクチュエータ30が接続されている。
【0047】
ECU100は、目標ヨーレートを設定するための目標ヨーレート設定部102と、実ヨーレートを調節するためのヨーレート制御部104と、実ヨーレート取得部として機能する実ヨーレート推定部106と、を含む。
【0048】
目標ヨーレート設定部102は、舵角センサ112、車速センサ114、およびGセンサ116から受け取った情報を用いて、制動時に車体に発生すべき目標ヨーレートYtを設定する。目標ヨーレート設定部102は、ヨーレート制御部104に対して目標ヨーレートYtを送信する。
【0049】
実ヨーレート推定部106は、舵角センサ112からステアリングホイールの操舵角を、車速センサ114から車速を、Gセンサ116から制動によって車両にかかる前後方向の加速度を、それぞれ受け取る。また、実ヨーレート推定部106は、予め準備された、車両の重心位置の偏りに対して偏りヨーモーメントYMbが定まるマップを有する。このマップは、ECU100のROMに記憶されている。車両の重心位置の偏りは、例えば、それぞれのハイトセンサ118の出力値や、シートベルト装着検知センサ(図示せず)の出力値から検出される乗員の乗車状態に基づいて求めることができる。あるいは、車両の重心位置の偏りは、車両メーカの製造工場などで出荷時に測定された値であってもよい。この値は重心位置情報としてROMに記憶されている。そして、実ヨーレート推定部106は、操舵角、車速、および前後方向の加速度と、重心位置の偏りに応じたマップとから実ヨーレートYoを推定する。なお、前述した重心位置情報を車両の諸元として予め記憶する場合には、この偏りに対応する偏りヨーモーメントYMbを予め求めておき、得られた偏りヨーモーメントYMbをECU100のROMに記憶しておいてもよい。この場合、実ヨーレート推定部106は、操舵角、車速、および前後方向の加速度と、ROMに記憶された偏りヨーモーメントYMbを用いて実ヨーレートYoを推定することができる。
【0050】
ヨーレート制御部104は、目標ヨーレート設定部102から目標ヨーレートYtを受け取り、実ヨーレート推定部106から推定された実ヨーレートYoを受け取る。そして、実施形態1と同様に、ヨーレート制御部104は、目標ヨーレートYtと実ヨーレートYoとの差を検出し、この差を補う調節用ヨーモーメントYMaを生成するように、車両の前輪側および後輪側に配設されたアクティブスタビライザ装置10を制御する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る車両制御装置1では、重心位置と偏りヨーモーメントYMbとが対応付けられたマップを予め備え、このマップを用いて実ヨーレートYoを推定している。そのため、ヨーレートセンサ110で実際に生じたヨーレートを測定する場合と比べて、より早期にヨーレート調節制御を実施することができる。そのため、制動時の車両安定性をより向上させることができる。
【0052】
(実施形態3)
上述の実施形態1および2に係る車両制御装置1では、アクティブスタビライザ装置10は、車両の車幅方向に延びるスタビライザバー20を備えている。これに対し、本実施形態に係る車両制御装置1は、車両の前後方向に延びるスタビライザバー20を備えている。以下、本実施形態について説明する。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明および図示は適宜省略する。図6は、実施形態3に係る車両制御装置の構成を説明するための模式図である。
【0053】
図6に示すように、本実施形態に係る車両制御装置1では、アクティブスタビライザ装置10は、車両の前後方向に延びるスタビライザバー20を備える。スタビライザバー20は、車両の前後方向に延び端部に右前輪16FRおよび右後輪16RRが連結される右側バーと、車両の前後方向に延び端部に左前輪16FLおよび左後輪16RLが連結される左側バーとを含む。
【0054】
このような構成を備えた車両制御装置1では、例えばヨーレート制御部104によって右前輪16FRの接地荷重が増大し、右後輪16RRの接地荷重が減少するように、また、左前輪16FLの接地荷重が減少し、左後輪16RLの接地荷重が増大するように、アクティブスタビライザ装置10が制御される。これにより、各車輪の接地荷重は、右前輪16FRが左前輪16FLよりも大きく、左後輪16RLが右後輪16RRよりも大きくなる。その結果、右前輪16FRにおける制動力BFFRは、左前輪16FLにおける制動力BFFLよりも大きくなるため、前輪側には右方向に偏向するような第1ヨーモーメントが発生する。また、左後輪16RLにおける制動力BFRLは、右後輪16RRにおける制動力BFRRよりも大きくなるため、後輪側には左方向に偏向するような第2ヨーモーメントが発生する。そして、これにより、右方向に偏向するような調節用ヨーモーメントYMaを生成することができる。また、本構成によれば、ピッチ角制御を実施するとともにヨーレート調節制御を実施することができる。
【0055】
(実施形態4)
上述の実施形態1〜3に係る車両制御装置1では、ヨーレート制御部104が第1ヨーモーメントYM1と第2ヨーモーメントYM2とを同時に発生させている。これに対し、本実施形態に係る車両制御装置1は、第1ヨーモーメントYM1と第2ヨーモーメントYM2とを交互に発生させる。以下、本実施形態について説明する。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明および図示は適宜省略する。
【0056】
上述の実施形態1〜3に係る車両制御装置1では、制動力配分の大きい側へのロールモーメントの発生による第1ヨーモーメントYM1の生成と、制動力配分の小さい側へのロールモーメントの発生による第2ヨーモーメントYM2の生成とを同時に実行している。これにより、車両にロールが発生することをより確実に防ぐことができる。ここで、前輪側と後輪側、あるいは右輪側と左輪側に互いに逆方向のヨーモーメントを発生させるために、互いに逆方向のロールモーメントを発生させた場合には、車体には捻り方向の力(負荷)がかかる。そして、実施形態1〜3のように第1ヨーモーメントYM1と第2ヨーモーメントYM2を同時に発生させた場合には、この捻り方向の力が増大してしまう。
【0057】
これに対し、本実施形態に係る車両制御装置1では、ヨーレート制御部104が、制動力配分の大きい側へのロールモーメントの発生による第1ヨーモーメントYM1の生成と、制動力配分の小さい側へのロールモーメントの発生による第2ヨーモーメントYM2の生成とを交互に実施する。これにより、制動力配分の大きい側に発生したロールモーメントと制動力配分の小さい側に発生したロールモーメントとを互いに打ち消して車両のロール姿勢の安定を図るとともに、第1ヨーモーメントYM1と第2ヨーモーメントYM2とを同時に発生させる場合に比べて、車体にかかる捻り方向の力を軽減することができる。ここで、前記「交互」とは、ヨーレート制御部104が前輪側および後輪側、あるいは右輪側および左輪側のアクチュエータ30に対して制御信号を送信するタイミングが重ならない状態を意味する。
【0058】
本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、各実施形態を組み合わせたり、当業者の知識に基づいて各種の設計変更などの変形を加えることも可能であり、そのような組み合わせられ、もしくは変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれる。上述の各実施形態同士、および上述の各実施形態と以下の変形例との組合せによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0059】
上述の各実施形態に係る車両制御装置1では、アクティブスタビライザ装置10を接地荷重調節部として利用しているが、例えば、弾性力を調節可能なエアばねを備えたサスペンション装置を接地荷重調節部として用いてもよい。このようなサスペンション装置を用いた場合は、各車輪のエアばねの弾性力を変更することで、左右輪の接地荷重を異ならせることができる。
【0060】
上述の各実施形態では、車両の重心位置の偏りに応じて発生する偏りヨーモーメントYMbによって実ヨーレートYoが目標ヨーレートYtから外れた場合に、ヨーレート調節制御を実施している。しかしながら、実ヨーレートYoが目標ヨーレートYtから外れる原因は車両の重心位置の偏りに限定されず、他の要因によって実ヨーレートYoが目標ヨーレートYtから外れた場合にも、上述の各実施形態におけるヨーレート調節制御を実施することにより、実ヨーレートYoを目標ヨーレートYtに近づけて車両安定性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0061】
1 車両制御装置、 10 アクティブスタビライザ装置、 20 スタビライザバー、 30 アクチュエータ、 100 ECU、 102 目標ヨーレート設定部、 104 ヨーレート制御部、 106 実ヨーレート推定部、 110 ヨーレートセンサ、 YM1 第1ヨーモーメント、 YM2 第2ヨーモーメント、 YMa 調節用ヨーモーメント、 YMb 偏りヨーモーメント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪および後輪の接地荷重を左右輪で異ならせるための接地荷重調節部と、
車両に発生させるべき目標ヨーレートを設定するための目標ヨーレート設定部と、
前記接地荷重調節部を制御して車両に発生する実ヨーレートを調節するためのヨーレート制御部と、
を備え、
前記ヨーレート制御部は、制動時に前輪および後輪それぞれの左右輪における接地荷重を異ならせて、前輪および後輪のうち制動力配分の大きい側に第1ヨーモーメントを、制動力配分の小さい側に第1ヨーモーメントと逆方向の第2ヨーモーメントを発生させ、第1ヨーモーメントと第2ヨーモーメントにより実ヨーレートを目標ヨーレートに近づけることを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記ヨーレート制御部は、前記第1ヨーモーメントと前記第2ヨーモーメントを同時に発生させる請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記ヨーレート制御部は、前記第1ヨーモーメントと前記第2ヨーモーメントを交互に発生させる請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記実ヨーレートは、車両の重心位置の偏りに応じて発生する偏りヨーモーメントに起因するヨーレートを含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記接地荷重調節部は、捻れ量に応じた反力を前輪側車軸および後輪側車軸に作用させるためのスタビライザバーと、前記スタビライザバーの捻れ量を変更するためのアクチュエータとを有するスタビライザを含む請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記スタビライザバーは、車両の車幅方向に延び端部に左右の前輪が連結されるバーと、車両の車幅方向に延び端部に左右の後輪が連結されるバーとを含む請求項5に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記スタビライザバーは、車両の前後方向に延び端部に右前輪および右後輪が連結されるバーと、車両の前後方向に延び端部に左前輪および左後輪が連結されるバーとを含む請求項5に記載の車両制御装置。
【請求項8】
制動時に前輪および後輪それぞれの左右輪における接地荷重を異ならせて、前輪および後輪のうち制動力配分の大きい側に第1ヨーモーメントを、制動力配分の小さい側に第1ヨーモーメントと逆方向の第2ヨーモーメントを発生させ、第1ヨーモーメントと第2ヨーモーメントにより、車両に発生する実ヨーレートを車両に発生させるべき目標ヨーレートに近づけることを特徴とする車両制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−56394(P2012−56394A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200057(P2010−200057)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】