説明

車両周辺表示装置

【課題】自車と障害物との距離関係を正しく把握できる駐車支援を提供する。
【解決手段】車両後方表示装置は、車両が後方移動する信号を受信すると、車両後方の画像をディスプレイ8に表示する表示装置である。車両後方表示装置は、車両後方の画像を撮像する広角カメラ6と、車両後部と車両周辺の障害物との距離を検出するソナー2と、広角カメラ6に撮像された車両後方の画像をディスプレイ8に表示し、さらに車両の後部からの所定の距離を示す距離表示線をディスプレイ8に重畳して表示する描画IC4と、を備えている。そして、描画IC4によって表示される距離表示線の表示形態は、ソナー2によって検出される車両後部と車両周辺の障害物との距離の値に基づいて変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、車両の周辺状況を表示する車両周辺表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の周辺状況を表示する装置として特許文献1に記載の装置が知られている。この従来技術では、駐車時に撮像された車両後方の映像を車内のディスプレイに表示し、この画像にステアリング舵角の状態により変化する走行予想軌跡を重畳して表示する。さらに、ディスプレイの画像には、車両の進行方向の距離目安となる台形状の注意領域が固定表示される。この注意領域は、自車がぶつかり易いところを自車側に示す線で表すもので、運転者への注意を喚起して安全性を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−262449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の注意領域はディスプレイの画像に表示枠として表示され、運転者はディスプレイを注視することでこの表示枠と障害物との距離を認識し、障害物の接近を目視判断する。このように、運転者は、立体物である障害物の接近を2次元の画面での目視によって判断するため、車両と障害物との距離の把握が不正確になってしまうという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、自車と障害物との距離関係を正しく把握できる駐車支援を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明は、車両周辺の画像を表示する車両周辺表示装置に係る発明であって、
車両周辺の画像を撮像する撮像手段と、車両と車両周辺の障害物との距離を検出する検出手段と、撮像手段によって撮像された車両周辺の画像を前記表示画面に表示し、さらに車両からの所定の距離を示す距離表示線を表示画面に重畳して表示する画面表示手段と、を備え、
画面表示手段によって表示される距離表示線の表示形態は、検出手段によって検出された距離の値に基づいて変更されることを特徴とする。
【0007】
車両が移動すると、車両周辺に存在する障害物と車両との距離は変化することがある。この発明によれば、車両からの所定の距離を示す距離表示線を車両周辺の画像に重畳させ、逐次変化し得る障害物との距離を検出手段によって正確に検出し、この検出値に基づいて距離表示線の表示形態を変化させるようにする。これにより、運転者は、表示画面上の距離表示線の表示形態が変更されるのを見ることで、自車と障害物との正確な距離を容易に認識することができる。したがって、運転者が自車の周辺画像における自車からの距離関係を正確に把握でき、安全性が高い駐車支援を提供することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、距離表示線は、車両からの距離を複数段階に表示する複数の距離表示線で構成され、複数の距離表示線のうちの所定の距離表示線は、検出手段によって検出された距離の値が所定値以下になると、所定の表示色への変更または点滅によって表示形態が変更されることを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、距離表示線は複数段階の自車からの距離を表示するため、運転者に対して詳細な距離認識を提供できる。そして、この詳細な距離認識は、障害物が自車に対して所定の距離に近づくと表示色の変更または点滅による表示形態の変更によって、さらに容易かつ確実に行なわれる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、撮像手段は車両後方の画像を撮像することを特徴とする。この発明によれば、車両からの所定の距離を示す距離表示線を車両後方の画像に重畳させ、逐次変化し得る障害物との距離を検出手段によって正確に検出し、この検出値に基づいて距離表示線の表示形態を変化させるようにする。これにより、運転者は、表示画面上の距離表示線の表示形態が変更されるのを見ることで、自車と障害物との正確な距離を容易に認識することができる。したがって、運転者が後方画像における自車からの距離関係を正確に把握でき、安全性が高い駐車支援を提供することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、さらに、運転者に対して所定の音を発生する音発生手段を備え、音発生手段は、検出手段によって検出された上記距離の値に基づいた所定の音を発生することを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、さらに音発生手段が検出手段の検出距離の値に基づいた所定の音によって運転者に距離の認識を提供するため、運転者に対してより確実かつ正確な距離認識を提供できる。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発明における表示画面は、車両の計器表示盤の一部に設けられることを特徴とする。この発明によれば、車両後方の画像を車両の計器に重ねるように配置するため、運転者は計器を見る感覚で駐車支援情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態における車両後方表示装置の構成を概略的に示す構成図である。
【図2】後方駐車時の車両後方表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】後方駐車時に表示される画面を説明する図である。
【図4】後方駐車時に表示される画面の他の形態を説明する図である。
【図5】第2実施形態における後方駐車時に表示される画面を説明する図である。
【図6】第2実施形態における後方駐車時に表示される画面を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0016】
(第1実施形態)
本発明の車両周辺表示装置は車両の周辺状況を表示し、運転者がこの画面表示を視認することにより、運転操作を支援することができる。車両周辺表示装置の一実施形態である車両後方表示装置について図1〜図4を参照して説明する。車両後方表示装置は車両後部の周辺状況を表示し、運転者がこの画面表示を視認することにより、駐車時の後方移動を的確に支援することができる。この車両後方表示装置は、その表示画面に、実際の後方画像と自車からの距離表示線とを重畳表示し、立体的に検出された自車周辺の障害物と自車との距離値に基づいて距離表示線の表示形態を変更するものである。これにより、運転者に対して効率的な後方駐車が提供される。
【0017】
図1は車両後方表示装置の構成を概略的に示す構成図である。車両後方表示装置は、車両後方の画像を撮像する広角カメラ6と、車両後部と車両周辺の障害物との距離を検出するソナー2と、撮像された画像および車両後部からの所定の距離を示す距離表示線が重畳して表示されるディスプレイ8と、ディスプレイ8の表示を制御する制御装置と、広角カメラ6からのアナログ信号をデジタル信号に変換した画像信号として制御装置に送るNTSCデコーダ7と、を備える。さらに、車両後方表示装置は、運転者に対して所定の音を発生する音発生手段としてのスピーカー10と、演算装置1から出力された音声や警報音と表す信号を増幅するアンプ9と、を備えている。
【0018】
広角カメラ6は、車両後部に設けられ、車両後方の画像を広範囲(例えば車両後方部の180°の範囲)に亘って撮像する撮像手段である。ソナー2は、車両周辺に存在する立体物等と自車との距離を検出する検出手段であり、例えば超音波センサにより構成され、検出された信号は制御装置に入力される。ソナー2は、所定個数が所定間隔をあけて車両後部の外面部に配置されており、例えば、後部バンパーにその検知部が露出するように埋め込まれている。ディスプレイ8は、車両のトランスミッションのシフト位置がリバースポジションであるときに車両後方の画像が映る表示画面である。ディスプレイ8は、例えば、液晶ディスプレイで構成され、ハンドルの前方、またはダッシュボードの中央部に配置された車両の計器表示盤の一部に配置される。
【0019】
また、ディスプレイ8は、ダッシュボードのフロントガラスに近い側に配置してもよい。この構成によれば、運転者は、視線をハンドル寄りの手前に向けることなく、車両前方を見るような楽な状態で、後方画像を視認することができる。また、ディスプレイ8は、ダッシュボード上の車幅方向中央部に起立した姿勢で配置してもよく、カーナビゲーション装置の液晶ディスプレイ上に配置するようにしてもよい。
【0020】
制御装置は、車両状態を検出する車両状態検出部3と、取得した画像データを記憶するメモリ5と、ディスプレイ8に表示する画像および表示物を描画する描画IC4と、各種演算処理を実行して、描画ICに表示物の各種情報を提供する演算装置1(マイクロコンピュータ)と、を備えている。また、制御装置は、各種演算処理のためのプログラム等が記憶されるROMと、演算の作業領域として機能するRAMと、を備え、ディスプレイ8に表示する情報を決定する司令部である。
【0021】
車両状態検出部3は、車両の様々な状態を示す検出信号を受信するが、ここでは少なくとも、トランスミッションのシフト位置を示す信号を受信する機能を有する。メモリ5は、NTSCデコーダ7から送られる画像信号を画像データとして保存する記憶部であり、描画IC4と通信するようになっている。
【0022】
描画IC4は、広角カメラ6によって撮像された車両後方の画像をディスプレイ8に表示し、さらに車両後部からの所定の距離をそれぞれ示す複数本の距離表示線をディスプレイ8に重畳して表示する画面表示手段である。
【0023】
演算装置1は、車両状態検出部3からシフト位置がリバースポジションである信号を受信すると、ディスプレイ8の表示を広角カメラ6による後方画像に切り替え、この後方画像に所定の距離表示線を描画することを描画IC4に指令する。そして、演算装置1は、ソナー2が検出した障害物との距離値に関する信号を受信し、所定のプログラムによる演算結果に基づき、所定の距離表示線の表示方法(表示形態)に対応する信号を描画IC4に出力する。さらに描画IC4は、演算装置1から入力された信号に基づいて距離表示線の表示方法を変更する信号を出力して、ディスプレイ8上で距離表示線の表示形態を変化させる。
【0024】
次に、後方駐車時の車両後方表示装置の動作について図2に示すフローチャートにしたがって説明する。図2のフローチャートは、車両後方表示装置の作動を制御する制御装置によって実行される。また、図3は後方駐車時に表示される画面を説明する図である。本フローチャートは、制御装置の電源が投入されるとスタートし、ディスプレイ8には車両後方画像以外の通常時の画像が表示される(ステップ10)。
【0025】
そして、制御装置の演算装置1は、車両状態検出部3でトランスミッションのシフト位置がリバースポジションである信号を受信したか否かを判定し(ステップ20)、リバースポジションを示す信号を受信したと判定するまでステップ20を繰り返す。リバースポジションを示す信号の受信があったと判定すれば、ステップ30に進み、演算装置1は、描画IC4からディスプレイ8に対して広角カメラ6で撮像した現在の後方画像(生画像)を表示するように出力する(図3参照)。
【0026】
さらに、演算装置1は、描画IC4に対し、自車後部からの予め定めた距離を示す距離表示線を車両後方の生画像に重ねてディスプレイ8に表示するように指令する(ステップ40)。この距離表示線は、例えば、図3に示すように、自車11の後部バンパーから30cm,40cm,50cm,60cm,70cm,80cmの各距離を表す線である。また、各距離表示線は、広角カメラ6による生画像に重畳されるため、画像の歪具合にあわせて歪曲した線で表示される。また、図4に示すように、ディスプレイ8には、予め記憶されたコンピュータグラフィックス(CG画像)による自車11の後部を表示してもよい。また、距離表示線は、図4に示すように、自車11の後部から30cm,60cmの距離を示す簡単化した線としてもよい。
【0027】
図3に示すディスプレイ8の表示画像は、ステップ20で車両が後方移動する信号を認識してから継続して撮像され、ディスプレイ8にはリアルタイムの後方画像が継続して表示される。そして、リバースポジションにギアが入り車両が後方に移動していくと、車両は駐車スペースに対して変位するので、駐車スペース周辺の障害物(例えば、隣接する他車両、ポール、壁、車止め等)と自車との距離が変化するようになる。そして、ソナー2は周辺の障害物との距離を示す信号を随時検出し、その検出信号が演算装置1に送信される。演算装置1はこの検出信号から、自車と障害物との距離値を演算する処理を実行し、距離表示線の表示形態を決定する(以上ステップ50)。
【0028】
次に、描画IC4は、演算装置1での演算結果に基づいて決定された距離表示線の表示形態を描画して、その結果をディスプレイ8に出力する。これにより、ディスプレイ8上の距離表示線の表示形態が、検出距離値の変化に伴って変更されるようになる(ステップ60)。ステップ60での距離表示線の表示形態の変更は、例えば、検出された距離値に対する所定の距離表示線を点滅させたり、表示色を変更(赤色点灯)したりするものである。距離表示線の表示形態の変更は、あるいは、距離表示線の数値(例えば、30cm〜80cmの各数値)を点滅させたり、表示色を変更したりするようにしてもよい。
【0029】
さらに、ステップ70のように、スピーカー10から所定の音を運転者に対して発生するようにしてもよい。所定の音は、例えば、警報音の音レベルを障害物が接近するほど大きくするものや、ソナー2によって検出された距離値に対応する距離表示線の数値を直接発声するもの(「30cmに接近しています」等)でもよい。
【0030】
そして、以上のステップ50〜ステップ70までの各処理は、リバースポジションのシフト位置が解除されたと判定されるまで継続される(ステップ80)。ステップ80でYESと判定されると、ステップ10に戻り、ディスプレイ8の後方画像および距離表示線の表示は解除される。また、リバースポジションのシフト位置が解除されなくても、駐車が完了するとイグニッションスイッチがOFFされるので、制御装置への電源OFFとともに本フローチャートは終了する。
【0031】
このように車両後方表示装置は、運転者に対して車両周辺の障害物と車両との位置関係を、ソナー2等による正確な立体物検知と後方の生画像との連携により、カメラの魚眼歪による運転者の距離感把握の困難さをカバーする。さらに、このように画像からは得られない正確な立体物検知を、距離表示線の表示形態の変更に連動させることにより、運転者は、あとどれくらい障害物に接近できるか等の緻密な運転操作ができ、安全かつ正確に後方駐車を行うことができる。
【0032】
本実施形態の車両後方表示装置がもたらす作用効果について述べる。車両後方表示装置は、車両が後方移動する信号を受信すると、車両後方の画像をディスプレイ8に表示する表示装置である。車両後方表示装置は、車両後方の画像を撮像する撮像手段としての広角カメラ6と、車両の後部と車両周辺の障害物との距離を検出する検出手段であるソナー2と、広角カメラ6に撮像された車両後方の画像をディスプレイ8に表示し、さらに車両の後部からの所定の距離を示す距離表示線をディスプレイ8に重畳して表示する画面表示手段としての描画IC4と、を備えている。そして、描画IC4によって表示される距離表示線の表示形態は、ソナー2によって検出される車両の後部と車両周辺の障害物との距離の値に基づいて変更される。
【0033】
この構成によれば、運転者は、車両の後方移動に伴い変化し得る障害物と自車との距離を距離表示線の表示形態によって知ることができる。距離表示線の表示形態は、ソナー2によって検出されるため、立体物である障害物と自車との距離が正確に検出される。そして、運転者は、ディスプレイ8に表示された後方画像の変化と後方画像に重畳表示される所定の距離表示線との位置関係を注視して確認するという作業を要することなく、逐次変化し得る障害物との距離を距離表示線の表示形態の変更によって容易に認識できる。これにより、運転者は、表示画面上の距離表示線の表示形態の変更を確認することで、自車と障害物との正確な距離を容易に認識することができ、安全性が高い駐車支援を享受できる。
【0034】
また、距離表示線は、車両後部からの距離を複数段階に表示する複数の距離表示線(例えば、図3に示す30cm〜80cmの10cm刻みの距離表示線)で構成され、この複数の距離表示線のうちの所定の距離表示線は、ソナー2によって検出された距離の値が所定値以下になると、所定の表示色への変更または点滅によって表示形態が変更される。
【0035】
この構成によれば、ディスプレイ8には複数段階の自車からの距離表示線が表示されるため、運転者に対して段階的かつ詳細な距離認識を提供できる。そして、このような距離認識は、障害物が自車に対して所定の距離に近づくと表示色の変更または点滅による表示形態の変更によって実行されるため、さらにわかりやすく、かつ確実なものになる。
【0036】
車両後方表示装置は、運転者に対して所定の音を発生するスピーカー10を備え、スピーカー10は、ソナー2によって検出された障害物との距離値に基づいた所定の音を発生する。
【0037】
この構成によれば、検出された距離値が該当する距離表示線の値に近づくと、距離表示線の表示形態の変更とともに、所定の音を運転者に提供する。これにより、スピーカー10から発せられる所定の音によって運転者の距離認識が、より確実かつ正確に行なわれ、より高い安全性を提供できる。換言すれば、運転者は、距離表示線の表示形態の変更を見落としたとしても、音によって報知されるため、衝突が近づいていることを確実に認識することができ、運転操作の対処を迅速に講じることができる。
【0038】
また、ディスプレイ8は、計器表示盤の一部に設けられる。この構成によれば、車両後方の画像を車両のメーターに重ねるように配置することにより、運転者はメーターを見る感覚で視線を大きく動かすことなく、後方画像を確認できる。
【0039】
また、広域画像と狭域画像は、1つの広角カメラ6によって撮像された広域画像を用いてディスプレイ8に表示される。この構成によれば、1つのカメラで撮像された広域表示画像から狭域表示画像を抽出して両方の画像の表示を可能にするため、システムの部品点数およびシステムのコストの低減が図れる。
【0040】
また、演算装置1は、計器表示盤の動作を制御する制御装置で構成されるとともに、ディスプレイ8は車室内のダッシュボード上に設けられる。この構成によれば、車両後方の画像を運転者の目の高さに近い位置に配置することにより、運転者は視線を大きく動かすことなく、後方画像を確認できる。
【0041】
(第2実施形態)
第2実施形態では、ディスプレイ8にソナー2の検出範囲を表示し、その検出範囲を用いた距離表示線の表示形態について、図5および図6を参照しながら説明する。図5は、本実施形態における後方駐車時に表示される画面を説明する図である。図6は同じく後方駐車時に表示される画面であり、図5の状態よりも障害物に接近した状態を示した図である。
【0042】
車両状態検出部3でトランスミッションのシフト位置がリバースポジションである信号の受信があったと判定すると、演算装置1は、描画IC4からディスプレイ8に対して広角カメラ6で撮像した現在の後方画像(生画像)を表示するように出力する。
【0043】
さらに、演算装置1は、描画IC4に対し、ソナー2の検出範囲と、自車後部からの予め定めた距離を示す距離表示線(30cmから60cmの間の10cm刻みおよび90cmの各距離を表す線)を車両後方の生画像に重ね、ディスプレイ8に表示するように指令する。この距離表示線は、検出範囲の表す扇形状の等距離線であり、所定の距離幅が所定の色で表示され、この色の違いによって運転者が距離を認識し易いようになっている。表示される検出範囲は、検出を実行しているソナー2に対応する設置場所からの障害物との距離を示しており、設置場所によって生じる障害物との距離の違いが画面上に明確に表示されることになる。また、ディスプレイ8には、実際の車両画像または予め記憶された車両のCG画像による自車11を表示してもよい。
【0044】
ディスプレイ8の表示画像は、車両が後方移動する信号を認識してから継続して撮像され、ディスプレイ8にはリアルタイムの後方画像が継続して表示される。そして、車両が後方に移動していくと、車両は駐車スペースに対して変位するので、ソナー2によって検出される障害物(例えば、隣接する他車両、ポール、壁、車止め等)と自車との距離が変化するようになる。そして、ソナー2はこの周辺の障害物との距離を示す信号を随時検出し、その検出信号が演算装置1に送信される。演算装置1はこの検出信号から、自車と障害物との距離値を演算する処理を実行し、ソナー2の検出範囲および距離表示線の表示形態を決定する。
【0045】
次に、描画IC4は、演算装置1での演算結果に基づいて決定されたソナー2の検出範囲および距離表示線の表示形態を描画して、その結果をディスプレイ8に出力する。これにより、ディスプレイ8上の当該検出範囲および距離表示線の表示形態が、ソナー2による検出距離値の変化に伴って変更される。検出範囲および距離表示線の表示形態の変更は、例えば、検出された距離値に対応する距離以下の検出範囲のみを表示したり、あるいは該当する検出範囲を点滅したりするものである。例えば、図5ではディスプレイ8には90cm以下の各距離幅を示す検出範囲が表示されているが、図5のように障害物から90cm以上離れた状態からさらに車両が移動し、障害物との距離が短くなっていくと、図6ではその距離が60cm以下になるため、ディスプレイ8には30cm,40cmおよび50cmの距離幅を示す検出範囲のみが表示されるようになる。
【0046】
そして、リバースポジションのシフト位置が解除されたと判定されると、ディスプレイ8の後方画像および距離表示線の表示は解除される。また、リバースポジションのシフト位置が解除されなくても、駐車が完了するとイグニッションスイッチがOFFされるので、制御装置への電源OFFとともに画面表示を終了する。
【0047】
本実施形態の車両後方表示装置は、運転者に対して車両周辺の障害物と車両との位置関係を、ソナー2による正確な立体物検知と、その検出範囲の表示の仕方を変更とによって、運転者の距離感把握の困難さをカバーする。さらに、このように画像からは得られない正確な立体物検知を、距離表示線の表示形態の変更に連動させることにより、運転者は、あとどれくらい障害物に接近できるか等の緻密な運転操作ができ、安全かつ正確に運転操作を行うことができる。
【0048】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
【0049】
上記実施形態では、車両周辺表示装置の一例として車両後方表示装置を説明しているが、この形態に限定されるものではない。例えば、駐車等のスペースに向けて車両前方部から前進する場合でもよく、このとき表示画面には、車両周辺として車両前方を表示され、所定の距離表示線が車両前方の画像とともにディスプレイ8に表示されるものである。
【0050】
上記実施形態において駐車時にディスプレイ8に表示される画像は、1つの広角カメラ6によって撮像される画像であるが、複数のカメラによって撮像した画像を組み合わせて表示するようにしてもよい。
【0051】
上記実施形態では、駐車時にディスプレイ8に表示される画像は、駐車動作の過程において常に車両後方の広い範囲(例えば視野180°の範囲)を撮像した広域画像であるが、駐車動作の途中で広域画像よりも狭い範囲(例えば視野120°の範囲)の車両後方を写す狭域画像に広域画像から切り替えるようにしてもよい。
【0052】
またこの場合、車両後方表示装置は、広域画像(例えば視野範囲180°の画像)を撮影する第1のカメラと、広域画像よりも狭い範囲(例えば視野120°の範囲)の狭域画像を撮影する第2のカメラとを有し、表示画面に表示される画像として、それぞれのカメラで撮影した画像を用いるようにしてもよい。この構成によれば、2台のカメラで広域と狭域を撮像するため、画像処理等の演算処理や演算処理時間がなく、画像を記憶するメモリの低減が図れる。
【符号の説明】
【0053】
1…演算装置
3…車両状態検出部
2…ソナー(検出手段)
4…描画IC(画面表示手段)
6…広角カメラ(撮像手段)
8…ディスプレイ(表示画面)
10…スピーカー(音発生手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺の画像を表示する車両周辺表示装置であって、
前記車両周辺の画像を撮像する撮像手段と、
前記車両と前記車両周辺の障害物との距離を検出する検出手段と、
前記撮像手段によって撮像された前記車両周辺の画像を前記表示画面に表示し、さらに前記車両からの所定の距離を示す距離表示線を前記表示画面に重畳して表示する画面表示手段と、を備え、
前記画面表示手段によって表示される前記距離表示線の表示形態は、前記検出手段によって検出された前記距離の値に基づいて変更されることを特徴とする車両周辺表示装置。
【請求項2】
前記距離表示線は、前記車両からの距離を複数段階に表示する複数の距離表示線で構成され、
前記複数の距離表示線のうちの所定の距離表示線は、前記検出手段によって検出された前記距離の値が所定値以下になると、所定の表示色への変更または点滅によって表示形態が変更されることを特徴とする請求項1に記載の車両周辺表示装置。
【請求項3】
前記撮像手段は車両後方の画像を撮像することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両周辺表示装置。
【請求項4】
さらに、運転者に対して所定の音を発生する音発生手段を備え、
前記音発生手段は、前記検出手段によって検出された前記距離の値に基づいた所定の音を発生することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の車両周辺表示装置。
【請求項5】
前記表示画面は、前記計器表示盤の一部に設けられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の車両周辺表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−184604(P2010−184604A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−30264(P2009−30264)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【Fターム(参考)】