車両操作診断装置、車両操作診断方法及びコンピュータプログラム
【課題】運転者に各道路の状況に対応したより安全性の高い車両操作を行わせることを可能とした車両操作診断装置、車両操作診断方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】車両の進行方向前方に診断対象エリアがあって、その診断対象エリア内に事故多発地点が含まれる場合に、事故多発地点の事故要因に基づいて運転診断判断基準を変更し(S6、S8、S10)、変更後の運転診断判断基準に基づいて、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断する(S11)ように構成する。
【解決手段】車両の進行方向前方に診断対象エリアがあって、その診断対象エリア内に事故多発地点が含まれる場合に、事故多発地点の事故要因に基づいて運転診断判断基準を変更し(S6、S8、S10)、変更後の運転診断判断基準に基づいて、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断する(S11)ように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の車両操作を診断する車両操作診断装置、車両操作診断方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者の安全運転技量を向上させる為、及び運転者に安全運転に対する興味を持たせる為に、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断するシステムが知られている。例えば、特開2007−293626号公報には、“車間距離”、“制限速度”、“一時停止”、“カーブ手前の減速”等の複数の診断項目について、各診断項目に対して設定された診断判断基準に基づいてユーザが安全運転を行っているか否かを判定し、安全運転を行っていると判定した場合にポイントを付与するシステムについて記載されている。
【0003】
そして、運転者は前記システムの診断結果を参照することによって、自らの車両操作特性や各状況下での適切な車両操作内容を学習することができ、学習結果に基づいてブレーキ、アクセル、ハンドル等の操作量を補正することにより、それ以後、安全性の高い、より適切な車両操作を行うことが可能となる。更に、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−293626号公報(第7頁〜第9頁、図2〜図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載のシステムでは、同一の診断項目では常に同じ診断判断基準に基づいて診断を行っていた。例えば、カーブ走行に関する診断項目については、車両が地図上に位置するどのカーブ(診断対象エリア)を走行する場合でも、常に同じ運転診断判断基準(例えば、カーブ開始点の車速が20km以下、カーブ走行中の車速が15km以下、カーブ走行中の横Gが0.4G以下など)に基づいて診断されていた。しかしながら、一定の条件を満たす診断対象エリアを走行する場合には、以下のように運転診断判断基準を変更した方が良い場合がある。
【0006】
また、近年のナビゲーション装置では、過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点を地図情報として記憶し、事故多発地点に車両が接近した場合に案内を行うことが行われている。そして、このような事故多発地点を含む診断対象エリアは、他の診断対象エリアよりも走行する際の危険度が高いので、運転診断判断基準を変更することが望ましい。
【0007】
また、事故多発地点には道路形状や周囲の状況によって様々な事故要因が存在する。例えば、カーブにある事故多発地点の事故要因としては、“(1)人や他車両の横からの飛び出し”、“(2)カーブへの進入速度の超過”、“(3)カーブ走行後の停車車両への衝突”などがある。そして、事故要因毎にその事故多発地点で注意すべき事項は変化する。例えば、“(1)人や他車両の横からの飛び出し”が事故原因の事故多発地点では、カーブ走行中の角速度について注意すべきである。また、“(2)カーブへの進入速度の超過”が事故原因の事故多発地点では、カーブ開始地点の車速について注意すべきである。また、“(3)カーブ走行後の停車車両への衝突”が事故原因の事故多発地点では、カーブ走行中の車速について注意すべきである。従って、事故多発地点については、一律に運転診断判断基準を変更するのではなく、更に事故要因毎の注意すべき事項に基づいて運転診断判断基準を変更することが望ましい。
【0008】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、事故多発地点を車両が走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて運転診断判断基準を変更するので、運転者に各道路の状況に対応したより安全性の高い車両操作を行わせることが可能となり、また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることを可能とした車両操作診断装置、車両操作診断方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る車両操作診断装置(1)は、車両のパラメータと診断項目毎に設定された運転診断判断基準とに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断装置において、前記車両の周辺において過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点の事故要因に関する情報を取得する要因取得手段(13)と、前記車両が前記事故多発地点を走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて前記運転診断判断基準を変更する診断判断基準変更手段(13)と、前記車両のパラメータを取得するパラメータ取得手段(13)と、前記診断判断基準変更手段による変更後の前記運転診断判断基準と前記パラメータ取得手段により取得された前記車両のパラメータとに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断手段(13)と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る車両操作診断装置(1)は、請求項1に記載の車両操作診断装置であって、前記運転診断判断基準は、車両に関するパラメータの閾値によって規定され、前記車両操作診断手段(13)は、前記パラメータ取得手段(13)により取得した前記車両のパラメータと前記運転診断判断基準によって規定されたパラメータの閾値とを比較して運転者の車両操作を診断し、前記診断判断基準変更手段(13)は、前記事故多発地点の事故要因に関連するパラメータの閾値を変更することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る車両操作診断装置(1)は、請求項2に記載の車両操作診断装置であって、前記診断判断基準変更手段(13)は、前記車両が前記事故多発地点を走行しない場合よりも、前記事故多発地点の事故要因に関連するパラメータの閾値を容易に到達できる値へ変更することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る車両操作診断装置(1)は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両操作診断装置であって、前記車両操作診断手段(13)による運転者の車両操作の診断結果を案内する診断結果案内手段(13)を有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に係る車両操作診断方法は、車両のパラメータと診断項目毎に設定された運転診断判断基準とに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断方法において、前記車両の周辺において過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点の事故要因に関する情報を取得する要因取得ステップと、前記車両が前記事故多発地点を走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて前記運転診断判断基準を変更する診断判断基準変更ステップと、前記車両のパラメータを取得するパラメータ取得ステップと、前記診断判断基準変更ステップによる変更後の前記運転診断判断基準と前記パラメータ取得ステップにより取得された前記車両のパラメータとに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断ステップと、を有することを特徴とする。
【0014】
更に、請求項6に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、車両のパラメータと診断項目毎に設定された運転診断判断基準とに基づいて、運転者の車両操作を診断するコンピュータプログラムにおいて、前記車両の周辺において過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点の事故要因に関する情報を取得する要因取得機能と、前記車両が前記事故多発地点を走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて前記運転診断判断基準を変更する診断判断基準変更機能と、前記車両のパラメータを取得するパラメータ取得機能と、前記診断判断基準変更機能による変更後の前記運転診断判断基準と前記パラメータ取得機能により取得された前記車両のパラメータとに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
前記構成を有する請求項1に係る車両操作診断装置では、事故多発地点を車両が走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて運転診断判断基準を変更するので、運転者に各道路の状況に対応したより安全性の高い車両操作を行わせることが可能となる。また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
【0016】
また、請求項2に係る車両操作診断装置では、事故要因に関連するパラメータの閾値を変更することにより運転診断判断基準を変更するので、例えば、各道路の走行中に特に注意すべき車両操作について厳しい診断結果を出易くすることが可能となり、事故要因となる事象が発生することを防止する車両操作へと運転者を導くことが可能となる。
【0017】
また、請求項3に係る車両操作診断装置では、運転診断判断基準を変更する場合には、車両が事故多発地点を走行しない場合よりも、事故多発地点の事故要因に関連するパラメータの閾値を容易に到達できる値へ変更するので、事故多発地点を含む危険なエリアについては厳しい診断結果を出易くすることによって、運転者に対してより安全運転を促すことが可能となる。
【0018】
また、請求項4に係る車両操作診断装置では、診断結果を運転者に案内することによって、運転者に安全性の高い車両操作を意識させ、また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
【0019】
また、請求項5に係る車両操作診断方法では、事故多発地点を車両が走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて運転診断判断基準を変更するので、運転者に各道路の状況に対応したより安全性の高い車両操作を行わせることが可能となる。また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
【0020】
更に、請求項6に係るコンピュータプログラムでは、事故多発地点を車両が走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて運転診断判断基準を変更させるので、運転者に各道路の状況に対応したより安全性の高い車両操作を行わせることが可能となる。また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】事故多発地点データの一例を示した図である。
【図3】車両操作診断判定テーブルの一例を示した模式図である。
【図4】本実施形態に係る車両操作診断処理プログラムのフローチャートである。
【図5】人や他車両の横からの飛び出しが事故要因である事故多発地点を含むカーブの一例を示した図である。
【図6】カーブへの進入速度の超過が事故要因である事故多発地点を含むカーブの一例を示した図である。
【図7】カーブ走行後の停車車両への衝突が事故要因である事故多発地点を含むカーブの一例を示した図である。
【図8】液晶ディスプレイに表示される診断結果案内画面を示した図である。
【図9】運転診断判断基準の変更例を示した図である。
【図10】運転診断判断基準の変更例の別例を示した図である。
【図11】運転診断判断基準の変更例の別例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る車両操作診断装置についてナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0023】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU(要因取得手段、診断判断基準変更手段、パラメータ取得手段、車両操作診断手段、診断結果案内手段)13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して地図や運転者の車両操作を診断した診断結果の案内等に関する各種情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、交通情報センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、CANインターフェース19とから構成されている。
【0024】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24、高度計(図示せず)等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の車輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより車輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0025】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や車両操作診断判定テーブル32や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0026】
ここで、地図情報DB31は、経路案内、交通情報案内及び地図表示に必要な各種地図データが記録されている。
また、地図データは、具体的には、道路(リンク)形状に関するリンクデータ33、ノード点に関するノードデータ34、事故多発地点に関する事故多発地点データ35、診断対象エリアを特定する診断対象エリアデータ36、施設等の地点に関する情報であるPOIデータ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ、地図、道路、交通情報等の画像を液晶ディスプレイ15に描画するための画像描画データ等から構成されている。
【0027】
また、事故多発地点データ35は、車両事故が過去に所定回数以上(又は過去の所定期間内で所定回数以上)発生している事故多発地点に関するデータである。具体的には、事故多発地点の位置(ノード点により特定)と、事故要因とから構成される。尚、事故要因としては、過去にその事故多発地点で発生した事故の事故要因の中で最も割合の高い事故要因が記憶される。ここで、図2は地図情報DB31に記憶される事故多発地点データ35の一例について示した図である。図2に示す例では、ノード(ID:A001)に事故多発地点があり、その事故要因が“人や他車両の横からの飛び出し”であることが記憶されている。また、ノード(ID:A102)に事故多発地点があり、その事故要因が“カーブへの進入速度の超過”であることが記憶されている。以下同様にして、地図上に存在する各事故多発地点について、その位置と事故要因がそれぞれ記憶されている。
【0028】
また、診断対象エリアデータ36は、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断する処理(以下、車両操作診断処理という)を行う対象となるエリア(以下、診断対象エリアという)を特定するデータである。そして、後述のように車両が診断対象エリア内に位置する場合に、車両操作診断処理を実行する。尚、診断対象エリアとしては、例えば、交差点、合流道路、カーブ、トンネル等がある。また、診断対象エリアはリンクID等によって特定される。
尚、地図情報DB31は、地図配信センタ等から配信される更新データや記憶媒体(例えば、DVDやメモリーカード)を介して提供される更新データに基づいて更新される。
【0029】
また、車両操作診断判定テーブル32は、車両操作診断処理を行うに際して、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断するのに用いられるテーブルである。そして、車両操作診断判定テーブル32では、複数の診断項目と、診断項目毎に設定された運転診断判断基準と、診断結果と、診断結果に基づいて案内される案内内容とが関連付けて記憶される。ここで、車両操作診断処理では、ナビゲーションECU13は診断項目毎に設定された運転診断判断基準と車両のパラメータとを比較し、車両のパラメータが設定された運転診断判断基準を満たしたか否かに基づいて診断結果を決定する。そして、決定された診断結果に対応するメッセージを案内する。また、後述のように特に閾値を含む運転診断判断基準については、診断を行う診断対象エリアに事故多発地点を含む場合に、その事故多発地点の事故要因に基づいて変更される。
【0030】
以下に、図3を用いて車両操作診断処理について複数の例を挙げて説明する。図3は車両操作診断判定テーブル32の一例について示した図である。
【0031】
図3に示すように、例えば、車両が診断対象エリア内の制限速度の設定されている区間を走行した場合において、車両の車速がその制限速度以下であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていると診断し、安全運転が行われていることを評価する為に「制限速度は適切に守られています。」との案内を行う。一方、車両の車速がその制限速度を超えていた場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断し、安全運転を促す為に「制限速度を意識した安全運転をしましょう。」との案内を行う。
【0032】
また、診断対象エリア内で車両の前方に前方車両が位置し、車両とその前方車両との車間距離が閾値であるA[m]以上であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていると診断し、安全運転が行われていることを評価する為に「適切な車間距離がとれています」との案内を行う。一方、車両とその前方車両との車間距離が閾値であるA[m]未満であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断し、安全運転を促す為に「適切な車間距離をとりましょう。」との案内を行う。
【0033】
また、車両が診断対象エリアであるカーブを走行した場合において、車両のカーブ開始点における車速が閾値であるB[km/h]未満であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていると診断し、安全運転が行われていることを評価する為に「カーブ手前での適切な減速ができています。」との案内を行う。一方、車両のカーブ開始点における車速が閾値であるB[km/h]以上であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断し、安全運転を促す為に「カーブ手前で減速して安全なカーブ走行を心がけましょう。」との案内を行う。
【0034】
また、車両が診断対象エリアであるカーブを走行した場合において、車両のカーブ走行中における車速が閾値であるC[km/h]未満で、且つ角速度が閾値であるD[rad/s]未満であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていると診断し、安全運転が行われていることを評価する為に「スムーズなカーブ走行ができています。」との案内を行う。一方、車両のカーブ走行中における車速が閾値であるC[km/h]以上、又は角速度が閾値であるD[rad/s]以上であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断し、安全運転を促す為に「スムーズなカーブ走行を心がけましょう。」との案内を行う。
【0035】
また、車両が診断対象エリアにおいて急ブレーキを行った回数がE[回]未満であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていると診断し、安全運転が行われていることを評価する為に「余裕を持ったブレーキ操作をしています」との案内を行う。一方、車両が診断対象エリアにおいて急ブレーキを行った回数がE[回]以上であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断し、安全運転を促す為に「早めのブレーキを心がけましょう。」との案内を行う。
【0036】
また、車両が診断対象エリアであるトンネルを走行した場合において、車両がトンネル内でライトを点灯していた場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていると診断し、安全運転が行われていることを評価する為に「適切なライト点灯ができています。」との案内を行う。一方、車両がトンネル内でライトを点灯していなかった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断し、安全運転を促す為に「トンネル内ではライトを点灯しましょう。」との案内を行う。
尚、説明は省略するが、車両操作診断処理では、他にも一時停止線手前での減速を診断したり、シートベルトの着用を診断すること等を行う。また、上記A〜Eの値は閾値であり、診断を行う診断対象エリアに事故多発地点を含む場合に、その事故多発地点の事故要因に基づいて容易に到達できる値へ変更される。
【0037】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、目的地が選択された場合に現在位置から目的地までの案内経路を設定する案内経路設定処理、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断する車両操作診断処理等のナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、車両操作診断処理プログラム(図4参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。
【0038】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0039】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。また、運転者の車両操作の診断が行われた場合には、診断結果を表示する。
【0040】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。また、運転者の車両操作の診断が行われた場合には、診断結果を音声で案内する。
【0041】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて地図情報DB31の更新等が行われる。
【0042】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0043】
また、CAN(コントローラエリアネットワーク)インターフェース19は、車両内に設置された各種制御ECU間で多重通信を行う車載ネットワーク規格であるCANに対して、データの入出力を行うインターフェースである。そして、ナビゲーションECU13は、CANを介して、車両を制御する各種制御ECU(例えば、ブレーキ制御ECU、シートベルト制御ECU、ミリ波レーダ制御ECU、ライト制御ECUなど)と相互通信可能に接続される。更に、ナビゲーションECU13は、CANを介して各種制御ECUから取得した各パラメータ(アクセル開度、ブレーキ量、シートベルト着用有無、前方車両との車間距離、ライト点灯の有無など)に基づいて、後述のように運転者の車両操作の診断を行う。
【0044】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1において実行する車両操作診断処理プログラムについて図4に基づき説明する。図4は本実施形態に係る車両操作診断処理プログラムのフローチャートである。ここで、車両操作診断処理プログラムは車両のACCがONされた後に所定時間間隔(例えば200msec毎)で実行され、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断するプログラムである。尚、以下の図4にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーションECU13が備えているRAM42、ROM43等に記憶されており、CPU41により実行される。
尚、以下の説明では、診断対象エリアとして特にカーブを車両が走行した場合の例について説明する。
【0045】
先ず、車両操作診断処理プログラムでは、ステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は現在位置検出部11の検出結果に基づいて車両の現在位置を取得する。
【0046】
次に、S2においてCPU41は、前記S1で取得した車両の現在位置周辺の地図情報を地図情報DB31から読み出す。尚、読み出される地図情報には、リンクデータ33やノードデータ34に加えて、事故多発地点データ35(図4参照)や診断対象エリアデータ36も含まれる。更に、取得した車両の現在位置と地図情報DB31に記憶された地図情報に基づいて車両の現在位置をリンク上に特定するマップマッチング処理についても行う。
【0047】
続いて、S3においてCPU41は、前記S2で取得した地図情報に基づいて、車両の進行方向前方に診断対象エリアがあるか否か判定する。尚、診断対象エリアとしては、交差点、合流道路、カーブ、トンネル等がある。尚、本実施形態では診断対象エリアは予め地図情報DB31に記憶されているが、リンク形状などに基づいてナビゲーションECU13が進行方向前方に診断対象エリアがあるか否か判定するように構成しても良い。
【0048】
そして、車両の進行方向前方に診断対象エリアがあると判定された場合(S3:YES)には、S4へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方に診断対象エリアが無いと判定された場合(S3:NO)には、運転者の車両操作の診断を行うことなく当該車両操作診断処理プログラムを終了する。
【0049】
S4においてCPU41は、前記S2で取得した地図情報に基づいて、車両の進行方向前方にある診断対象エリアに事故多発地点が含まれるか否か判定する。尚、事故多発地点は、車両事故が過去に所定回数以上(又は過去の所定期間内で所定回数以上)発生している地点である。
【0050】
そして、車両の進行方向前方にある診断対象エリアに事故多発地点が含まれると判定した場合(S4:YES)には、S5へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方にある診断対象エリアに事故多発地点が含まれないと判定した場合(S4:NO)には、S11へと移行する。
【0051】
S5においてCPU41は、診断対象エリアに含まれる事故多発地点の事故要因を参照し、診断対象エリアがカーブであって、且つ事故要因がカーブにおける“人や他車両の横からの飛び出し”であるか否か判定する。そして、事故要因が“人や他車両の横からの飛び出し”であると判定された場合(S5:YES)には、S6へと移行する。それに対して、事故要因が“人や他車両の横からの飛び出し”以外の要因であると判定された場合(S5:NO)には、S7へと移行する。
【0052】
S6においてCPU41は、車両操作診断判定テーブル32に記憶された診断項目の内、「カーブ走行速度診断」の運転診断判断基準に用いられるカーブ走行中の角速度の閾値の値(図3のD)を下げる(即ち、容易に到達できる値へと変更する)。それによって、図5に示すようなカーブ中に見通しの悪いT字路があって人や他車両53が横から飛び出してくる可能性の高い危険なカーブ51を車両52が走行する場合には、カーブ走行中の角速度についての運転診断判断基準を通常より厳しくすることが可能となる。その結果、後述のS11の診断処理では、車両のカーブ走行中の角速度が通常より低い状態でなければ、車両が安全運転を行っているという診断結果とならないので、危険なエリアにおいてはより安全な運転を促すことが可能となる。
【0053】
一方、S7においてCPU41は、診断対象エリアに含まれる事故多発地点の事故要因を参照し、診断対象エリアがカーブであって、且つ事故要因がカーブにおける“カーブへの進入速度の超過”であるか否か判定する。そして、事故要因が“カーブへの進入速度の超過”であると判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。それに対して、事故要因が“カーブへの進入速度の超過”以外の要因であると判定された場合(S7:NO)には、S9へと移行する。
【0054】
S8においてCPU41は、車両操作診断判定テーブル32に記憶された診断項目の内、「カーブ手前減速診断」の運転診断判断基準に用いられるカーブ開始点での車速の閾値の値(図3のB)を下げる(即ち、容易に到達できる値へと変更する)。それによって、図6に示すような下り勾配の急カーブであって車両が旋回不足で道路を逸脱することが多いカーブ55を車両56が走行する場合には、カーブ手前の減速についての運転診断判断基準を通常より厳しくすることが可能となる。その結果、後述のS11の診断処理では、車両のカーブ開始点での車速が通常より低い状態でなければ、車両が安全運転を行っているという診断結果とならないので、危険なエリアにおいてはより安全な運転を促すことが可能となる。
【0055】
一方、S9においてCPU41は、診断対象エリアに含まれる事故多発地点の事故要因を参照し、診断対象エリアがカーブであって、且つ事故要因がカーブにおける“カーブ走行後の停車車両への衝突”であるか否か判定する。そして、事故要因が“カーブ走行後の停車車両への衝突”であると判定された場合(S9:YES)には、S10へと移行する。それに対して、事故要因が“カーブ走行後の停車車両への衝突”以外の要因であると判定された場合(S9:NO)には、S11へと移行する。
【0056】
S10においてCPU41は、車両操作診断判定テーブル32に記憶された診断項目の内、「カーブ走行速度診断」の運転診断判断基準に用いられるカーブ走行中の車速の閾値の値(図3のC)を下げる(即ち、容易に到達できる値へと変更する)。それによって、図7に示すような見通しの悪いカーブであって、カーブ走行後に信号機がある見通しの悪いカーブであって、信号待ちで停車している他車両63に衝突する可能性の高い危険なカーブ61を車両62が走行する場合には、カーブ走行中の車速についての運転診断判断基準を通常より厳しくすることが可能となる。その結果、後述のS11の診断処理では、車両のカーブ走行中の車速が通常より低い状態でなければ、車両が安全運転を行っているという診断結果とならないので、危険なエリアにおいてはより安全な運転を促すことが可能となる。
【0057】
次に、S11においてCPU41は、運転者の車両操作の診断を行う。具体的には、先ずCPU41は、診断対象エリアを走行する車両の各パラメータ(具体的には、車速、角速度、車間距離、ブレーキ量等)を車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等の各種センサやCANを介して取得する。次に、CPU41は、取得した車両のパラメータと、車両操作診断判定テーブル32(図3)に記録された診断項目毎の運転診断判断基準とを比較することによって、診断項目毎に車両の各パラメータが設定された運転診断判断基準を満たしたか否かに基づいて診断結果を決定する。尚、前記S6、S8、S10で運転診断判断基準の閾値が変更されている場合には、変更後の運転診断判断基準が用いられる。そして、決定された診断結果に対応するメッセージを液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて案内する。
【0058】
ここで、図8は前記S11で液晶ディスプレイ15に表示される診断結果案内画面を示した図である。尚、図8に示す例では、車両が診断対象エリアであるカーブを走行した場合において、車両のカーブ開始点における車速が閾値であるB[km/h]以上であった場合において、案内される診断結果を示す。ここで、車両のカーブ開始点における車速が閾値であるB[km/h]以上である場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断する。そして、安全運転を促す為に「カーブ手前で減速して安全なカーブ走行を心がけましょう。」とのメッセージを地図画面上に配置されたウィンドウ71に表示する。それによって、運転者に次回以降のカーブ走行時における安全運転を促すことが可能となる。
尚、前記S6、S8、S10で変更された運転診断判断基準の閾値は、上記S11の診断処理が終了すると変更前の値へと戻される。
【0059】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による車両操作診断方法及びナビゲーション装置1のナビゲーションECU13により実行されるコンピュータプログラムでは、車両の進行方向前方に診断対象エリアがあって、その診断対象エリア内に事故多発地点が含まれる場合に、事故多発地点の事故要因に基づいて運転診断判断基準を変更し(S6、S8、S10)、変更後の運転診断判断基準に基づいて、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断する(S11)ので、運転者に各道路の状況に対応したより安全性の高い車両操作を行わせることが可能となる。また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
また、事故要因に関連するパラメータの閾値を変更することにより運転診断判断基準を変更するので、例えば、各道路の走行中に特に注意すべき車両操作について厳しい診断結果を出易くすることが可能となり、事故要因となる事象が発生することを防止する車両操作へと運転者を導くことが可能となる。
また、運転診断判断基準を変更する場合には、車両が事故多発地点を走行しない場合よりも、事故多発地点の事故要因に関連するパラメータの閾値を容易に到達できる値へ変更するので、事故多発地点を含む危険なエリアについては厳しい診断結果を出易くすることによって、運転者に対してより安全運転を促すことが可能となる。
更に、診断結果を液晶ディスプレイ15やスピーカ16を介して運転者に案内するので、運転者に安全性の高い車両操作を意識させ、また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
【0060】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では診断対象エリアを走行する度に、走行した診断対象エリアにおける診断結果を案内することとしているが、診断結果をカウントし、カウント値が所定値に到達した時点で診断結果を案内するように構成しても良い。例えば、図3に示す「制限速度遵守診断」では、診断対象エリアを走行する度に、制限速度を守らなかった回数をカウントし、そのカウント値が所定値(例えば5)に到達した時点で、「制限速度を意識した安全運転をしましょう。」とのメッセージを案内するように構成する。
【0061】
また、本実施形態では一の事故多発地点に対しては一の事故要因を対応付けて記憶しているが、一の事故多発地点に対して複数の事故要因を対応付けて記憶しても良い。その場合には、例えば、対応付けられた全ての事故要因に関連する運転診断判断基準の閾値を変更するように構成しても良い。
【0062】
また、本実施形態では一の事故多発地点に対しては最も割合の高い一の事故要因を対応付けて記憶しているが、その事故多発地点で過去に発生した全ての事故要因を対応付けて記憶しても良い。その場合には、例えば、対応付けられた全ての事故要因の内から、回数や比率に基づいて選択された事故要因に関連する運転診断判断基準の閾値を変更するように構成しても良い。
【0063】
また、本実施形態では事故多発地点毎の事故要因(図2)は、地図情報DB31に記憶され、地図情報DB31から読み出すことによって事故要因を取得する構成としているが、外部のセンタ等から取得する構成としても良い。
【0064】
また、本実施形態では予め設定された診断対象エリア内に車両が位置する場合に運転者の車両操作の診断を行う構成としているが、診断対象エリアを設定せず、ACCがONされた状態では常に車両操作診断処理プログラム(図4参照)による運転者の車両操作の診断を行う構成としても良い。
【0065】
また、本実施形態では、前記S6、S8、S10で事故要因に関連する運転診断判断基準の閾値が変更されている場合には、図9に示すように変更された運転判断基準(図9に示す例では「カーブ走行速度診断」の運転診断判断基準に用いられるカーブ走行中の角速度の閾値X)については変更後の運転診断判断基準(X´)を用いて運転者の車両操作の診断を行い、他の運転判断基準については通常時の運転診断判断基準(Y、Z)を用いて運転者の車両操作の診断を行うこととしているが、以下の(1)又は(2)の構成としても良い。
(1)前記S6、S8、S10で事故要因に関連する運転診断判断基準の閾値が変更されている場合には、図10に示すように変更された運転判断基準(図10に示す例では「カーブ走行速度診断」の運転診断判断基準に用いられるカーブ走行中の角速度の閾値X)については変更後の運転診断判断基準(X´)を用いて運転者の車両操作の診断を行う。一方、事故要因に関連する運転診断判断基準以外の運転判断基準については「0」に変更し、その運転判断基準に基づいて運転者の車両操作の診断を行わないように構成する。
(2)前記S6、S8、S10では、図11に示すように事故要因に関連する運転診断判断基準(図11に示す例では「カーブ走行速度診断」の運転診断判断基準に用いられるカーブ走行中の角速度の閾値X)を変更せず、通常時の運転診断判断基準(X)を用いて運転者の車両操作の診断を行う。一方、事故要因に関連する運転診断判断基準以外の運転判断基準について「0」に変更し、その運転判断基準に基づいて運転者の車両操作の診断を行わないように構成する。
【符号の説明】
【0066】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
31 地図情報DB
32 車両操作診断判定テーブル
35 事故多発地点データ
36 診断対象エリアデータ
41 CPU
42 RAM
43 ROM
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者の車両操作を診断する車両操作診断装置、車両操作診断方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、運転者の安全運転技量を向上させる為、及び運転者に安全運転に対する興味を持たせる為に、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断するシステムが知られている。例えば、特開2007−293626号公報には、“車間距離”、“制限速度”、“一時停止”、“カーブ手前の減速”等の複数の診断項目について、各診断項目に対して設定された診断判断基準に基づいてユーザが安全運転を行っているか否かを判定し、安全運転を行っていると判定した場合にポイントを付与するシステムについて記載されている。
【0003】
そして、運転者は前記システムの診断結果を参照することによって、自らの車両操作特性や各状況下での適切な車両操作内容を学習することができ、学習結果に基づいてブレーキ、アクセル、ハンドル等の操作量を補正することにより、それ以後、安全性の高い、より適切な車両操作を行うことが可能となる。更に、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−293626号公報(第7頁〜第9頁、図2〜図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載のシステムでは、同一の診断項目では常に同じ診断判断基準に基づいて診断を行っていた。例えば、カーブ走行に関する診断項目については、車両が地図上に位置するどのカーブ(診断対象エリア)を走行する場合でも、常に同じ運転診断判断基準(例えば、カーブ開始点の車速が20km以下、カーブ走行中の車速が15km以下、カーブ走行中の横Gが0.4G以下など)に基づいて診断されていた。しかしながら、一定の条件を満たす診断対象エリアを走行する場合には、以下のように運転診断判断基準を変更した方が良い場合がある。
【0006】
また、近年のナビゲーション装置では、過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点を地図情報として記憶し、事故多発地点に車両が接近した場合に案内を行うことが行われている。そして、このような事故多発地点を含む診断対象エリアは、他の診断対象エリアよりも走行する際の危険度が高いので、運転診断判断基準を変更することが望ましい。
【0007】
また、事故多発地点には道路形状や周囲の状況によって様々な事故要因が存在する。例えば、カーブにある事故多発地点の事故要因としては、“(1)人や他車両の横からの飛び出し”、“(2)カーブへの進入速度の超過”、“(3)カーブ走行後の停車車両への衝突”などがある。そして、事故要因毎にその事故多発地点で注意すべき事項は変化する。例えば、“(1)人や他車両の横からの飛び出し”が事故原因の事故多発地点では、カーブ走行中の角速度について注意すべきである。また、“(2)カーブへの進入速度の超過”が事故原因の事故多発地点では、カーブ開始地点の車速について注意すべきである。また、“(3)カーブ走行後の停車車両への衝突”が事故原因の事故多発地点では、カーブ走行中の車速について注意すべきである。従って、事故多発地点については、一律に運転診断判断基準を変更するのではなく、更に事故要因毎の注意すべき事項に基づいて運転診断判断基準を変更することが望ましい。
【0008】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、事故多発地点を車両が走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて運転診断判断基準を変更するので、運転者に各道路の状況に対応したより安全性の高い車両操作を行わせることが可能となり、また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることを可能とした車両操作診断装置、車両操作診断方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る車両操作診断装置(1)は、車両のパラメータと診断項目毎に設定された運転診断判断基準とに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断装置において、前記車両の周辺において過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点の事故要因に関する情報を取得する要因取得手段(13)と、前記車両が前記事故多発地点を走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて前記運転診断判断基準を変更する診断判断基準変更手段(13)と、前記車両のパラメータを取得するパラメータ取得手段(13)と、前記診断判断基準変更手段による変更後の前記運転診断判断基準と前記パラメータ取得手段により取得された前記車両のパラメータとに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断手段(13)と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る車両操作診断装置(1)は、請求項1に記載の車両操作診断装置であって、前記運転診断判断基準は、車両に関するパラメータの閾値によって規定され、前記車両操作診断手段(13)は、前記パラメータ取得手段(13)により取得した前記車両のパラメータと前記運転診断判断基準によって規定されたパラメータの閾値とを比較して運転者の車両操作を診断し、前記診断判断基準変更手段(13)は、前記事故多発地点の事故要因に関連するパラメータの閾値を変更することを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に係る車両操作診断装置(1)は、請求項2に記載の車両操作診断装置であって、前記診断判断基準変更手段(13)は、前記車両が前記事故多発地点を走行しない場合よりも、前記事故多発地点の事故要因に関連するパラメータの閾値を容易に到達できる値へ変更することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に係る車両操作診断装置(1)は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両操作診断装置であって、前記車両操作診断手段(13)による運転者の車両操作の診断結果を案内する診断結果案内手段(13)を有することを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に係る車両操作診断方法は、車両のパラメータと診断項目毎に設定された運転診断判断基準とに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断方法において、前記車両の周辺において過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点の事故要因に関する情報を取得する要因取得ステップと、前記車両が前記事故多発地点を走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて前記運転診断判断基準を変更する診断判断基準変更ステップと、前記車両のパラメータを取得するパラメータ取得ステップと、前記診断判断基準変更ステップによる変更後の前記運転診断判断基準と前記パラメータ取得ステップにより取得された前記車両のパラメータとに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断ステップと、を有することを特徴とする。
【0014】
更に、請求項6に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、車両のパラメータと診断項目毎に設定された運転診断判断基準とに基づいて、運転者の車両操作を診断するコンピュータプログラムにおいて、前記車両の周辺において過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点の事故要因に関する情報を取得する要因取得機能と、前記車両が前記事故多発地点を走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて前記運転診断判断基準を変更する診断判断基準変更機能と、前記車両のパラメータを取得するパラメータ取得機能と、前記診断判断基準変更機能による変更後の前記運転診断判断基準と前記パラメータ取得機能により取得された前記車両のパラメータとに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
前記構成を有する請求項1に係る車両操作診断装置では、事故多発地点を車両が走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて運転診断判断基準を変更するので、運転者に各道路の状況に対応したより安全性の高い車両操作を行わせることが可能となる。また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
【0016】
また、請求項2に係る車両操作診断装置では、事故要因に関連するパラメータの閾値を変更することにより運転診断判断基準を変更するので、例えば、各道路の走行中に特に注意すべき車両操作について厳しい診断結果を出易くすることが可能となり、事故要因となる事象が発生することを防止する車両操作へと運転者を導くことが可能となる。
【0017】
また、請求項3に係る車両操作診断装置では、運転診断判断基準を変更する場合には、車両が事故多発地点を走行しない場合よりも、事故多発地点の事故要因に関連するパラメータの閾値を容易に到達できる値へ変更するので、事故多発地点を含む危険なエリアについては厳しい診断結果を出易くすることによって、運転者に対してより安全運転を促すことが可能となる。
【0018】
また、請求項4に係る車両操作診断装置では、診断結果を運転者に案内することによって、運転者に安全性の高い車両操作を意識させ、また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
【0019】
また、請求項5に係る車両操作診断方法では、事故多発地点を車両が走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて運転診断判断基準を変更するので、運転者に各道路の状況に対応したより安全性の高い車両操作を行わせることが可能となる。また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
【0020】
更に、請求項6に係るコンピュータプログラムでは、事故多発地点を車両が走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて運転診断判断基準を変更させるので、運転者に各道路の状況に対応したより安全性の高い車両操作を行わせることが可能となる。また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】事故多発地点データの一例を示した図である。
【図3】車両操作診断判定テーブルの一例を示した模式図である。
【図4】本実施形態に係る車両操作診断処理プログラムのフローチャートである。
【図5】人や他車両の横からの飛び出しが事故要因である事故多発地点を含むカーブの一例を示した図である。
【図6】カーブへの進入速度の超過が事故要因である事故多発地点を含むカーブの一例を示した図である。
【図7】カーブ走行後の停車車両への衝突が事故要因である事故多発地点を含むカーブの一例を示した図である。
【図8】液晶ディスプレイに表示される診断結果案内画面を示した図である。
【図9】運転診断判断基準の変更例を示した図である。
【図10】運転診断判断基準の変更例の別例を示した図である。
【図11】運転診断判断基準の変更例の別例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る車両操作診断装置についてナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0023】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU(要因取得手段、診断判断基準変更手段、パラメータ取得手段、車両操作診断手段、診断結果案内手段)13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して地図や運転者の車両操作を診断した診断結果の案内等に関する各種情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、プログラムを記憶した記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、交通情報センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、CANインターフェース19とから構成されている。
【0024】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24、高度計(図示せず)等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の車輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより車輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0025】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や車両操作診断判定テーブル32や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。
【0026】
ここで、地図情報DB31は、経路案内、交通情報案内及び地図表示に必要な各種地図データが記録されている。
また、地図データは、具体的には、道路(リンク)形状に関するリンクデータ33、ノード点に関するノードデータ34、事故多発地点に関する事故多発地点データ35、診断対象エリアを特定する診断対象エリアデータ36、施設等の地点に関する情報であるPOIデータ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ、地図、道路、交通情報等の画像を液晶ディスプレイ15に描画するための画像描画データ等から構成されている。
【0027】
また、事故多発地点データ35は、車両事故が過去に所定回数以上(又は過去の所定期間内で所定回数以上)発生している事故多発地点に関するデータである。具体的には、事故多発地点の位置(ノード点により特定)と、事故要因とから構成される。尚、事故要因としては、過去にその事故多発地点で発生した事故の事故要因の中で最も割合の高い事故要因が記憶される。ここで、図2は地図情報DB31に記憶される事故多発地点データ35の一例について示した図である。図2に示す例では、ノード(ID:A001)に事故多発地点があり、その事故要因が“人や他車両の横からの飛び出し”であることが記憶されている。また、ノード(ID:A102)に事故多発地点があり、その事故要因が“カーブへの進入速度の超過”であることが記憶されている。以下同様にして、地図上に存在する各事故多発地点について、その位置と事故要因がそれぞれ記憶されている。
【0028】
また、診断対象エリアデータ36は、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断する処理(以下、車両操作診断処理という)を行う対象となるエリア(以下、診断対象エリアという)を特定するデータである。そして、後述のように車両が診断対象エリア内に位置する場合に、車両操作診断処理を実行する。尚、診断対象エリアとしては、例えば、交差点、合流道路、カーブ、トンネル等がある。また、診断対象エリアはリンクID等によって特定される。
尚、地図情報DB31は、地図配信センタ等から配信される更新データや記憶媒体(例えば、DVDやメモリーカード)を介して提供される更新データに基づいて更新される。
【0029】
また、車両操作診断判定テーブル32は、車両操作診断処理を行うに際して、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断するのに用いられるテーブルである。そして、車両操作診断判定テーブル32では、複数の診断項目と、診断項目毎に設定された運転診断判断基準と、診断結果と、診断結果に基づいて案内される案内内容とが関連付けて記憶される。ここで、車両操作診断処理では、ナビゲーションECU13は診断項目毎に設定された運転診断判断基準と車両のパラメータとを比較し、車両のパラメータが設定された運転診断判断基準を満たしたか否かに基づいて診断結果を決定する。そして、決定された診断結果に対応するメッセージを案内する。また、後述のように特に閾値を含む運転診断判断基準については、診断を行う診断対象エリアに事故多発地点を含む場合に、その事故多発地点の事故要因に基づいて変更される。
【0030】
以下に、図3を用いて車両操作診断処理について複数の例を挙げて説明する。図3は車両操作診断判定テーブル32の一例について示した図である。
【0031】
図3に示すように、例えば、車両が診断対象エリア内の制限速度の設定されている区間を走行した場合において、車両の車速がその制限速度以下であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていると診断し、安全運転が行われていることを評価する為に「制限速度は適切に守られています。」との案内を行う。一方、車両の車速がその制限速度を超えていた場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断し、安全運転を促す為に「制限速度を意識した安全運転をしましょう。」との案内を行う。
【0032】
また、診断対象エリア内で車両の前方に前方車両が位置し、車両とその前方車両との車間距離が閾値であるA[m]以上であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていると診断し、安全運転が行われていることを評価する為に「適切な車間距離がとれています」との案内を行う。一方、車両とその前方車両との車間距離が閾値であるA[m]未満であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断し、安全運転を促す為に「適切な車間距離をとりましょう。」との案内を行う。
【0033】
また、車両が診断対象エリアであるカーブを走行した場合において、車両のカーブ開始点における車速が閾値であるB[km/h]未満であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていると診断し、安全運転が行われていることを評価する為に「カーブ手前での適切な減速ができています。」との案内を行う。一方、車両のカーブ開始点における車速が閾値であるB[km/h]以上であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断し、安全運転を促す為に「カーブ手前で減速して安全なカーブ走行を心がけましょう。」との案内を行う。
【0034】
また、車両が診断対象エリアであるカーブを走行した場合において、車両のカーブ走行中における車速が閾値であるC[km/h]未満で、且つ角速度が閾値であるD[rad/s]未満であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていると診断し、安全運転が行われていることを評価する為に「スムーズなカーブ走行ができています。」との案内を行う。一方、車両のカーブ走行中における車速が閾値であるC[km/h]以上、又は角速度が閾値であるD[rad/s]以上であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断し、安全運転を促す為に「スムーズなカーブ走行を心がけましょう。」との案内を行う。
【0035】
また、車両が診断対象エリアにおいて急ブレーキを行った回数がE[回]未満であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていると診断し、安全運転が行われていることを評価する為に「余裕を持ったブレーキ操作をしています」との案内を行う。一方、車両が診断対象エリアにおいて急ブレーキを行った回数がE[回]以上であった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断し、安全運転を促す為に「早めのブレーキを心がけましょう。」との案内を行う。
【0036】
また、車両が診断対象エリアであるトンネルを走行した場合において、車両がトンネル内でライトを点灯していた場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていると診断し、安全運転が行われていることを評価する為に「適切なライト点灯ができています。」との案内を行う。一方、車両がトンネル内でライトを点灯していなかった場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断し、安全運転を促す為に「トンネル内ではライトを点灯しましょう。」との案内を行う。
尚、説明は省略するが、車両操作診断処理では、他にも一時停止線手前での減速を診断したり、シートベルトの着用を診断すること等を行う。また、上記A〜Eの値は閾値であり、診断を行う診断対象エリアに事故多発地点を含む場合に、その事故多発地点の事故要因に基づいて容易に到達できる値へ変更される。
【0037】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、目的地が選択された場合に現在位置から目的地までの案内経路を設定する案内経路設定処理、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断する車両操作診断処理等のナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットである。そして、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、車両操作診断処理プログラム(図4参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。
【0038】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0039】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。また、運転者の車両操作の診断が行われた場合には、診断結果を表示する。
【0040】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。また、運転者の車両操作の診断が行われた場合には、診断結果を音声で案内する。
【0041】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて地図情報DB31の更新等が行われる。
【0042】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0043】
また、CAN(コントローラエリアネットワーク)インターフェース19は、車両内に設置された各種制御ECU間で多重通信を行う車載ネットワーク規格であるCANに対して、データの入出力を行うインターフェースである。そして、ナビゲーションECU13は、CANを介して、車両を制御する各種制御ECU(例えば、ブレーキ制御ECU、シートベルト制御ECU、ミリ波レーダ制御ECU、ライト制御ECUなど)と相互通信可能に接続される。更に、ナビゲーションECU13は、CANを介して各種制御ECUから取得した各パラメータ(アクセル開度、ブレーキ量、シートベルト着用有無、前方車両との車間距離、ライト点灯の有無など)に基づいて、後述のように運転者の車両操作の診断を行う。
【0044】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1において実行する車両操作診断処理プログラムについて図4に基づき説明する。図4は本実施形態に係る車両操作診断処理プログラムのフローチャートである。ここで、車両操作診断処理プログラムは車両のACCがONされた後に所定時間間隔(例えば200msec毎)で実行され、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断するプログラムである。尚、以下の図4にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーションECU13が備えているRAM42、ROM43等に記憶されており、CPU41により実行される。
尚、以下の説明では、診断対象エリアとして特にカーブを車両が走行した場合の例について説明する。
【0045】
先ず、車両操作診断処理プログラムでは、ステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は現在位置検出部11の検出結果に基づいて車両の現在位置を取得する。
【0046】
次に、S2においてCPU41は、前記S1で取得した車両の現在位置周辺の地図情報を地図情報DB31から読み出す。尚、読み出される地図情報には、リンクデータ33やノードデータ34に加えて、事故多発地点データ35(図4参照)や診断対象エリアデータ36も含まれる。更に、取得した車両の現在位置と地図情報DB31に記憶された地図情報に基づいて車両の現在位置をリンク上に特定するマップマッチング処理についても行う。
【0047】
続いて、S3においてCPU41は、前記S2で取得した地図情報に基づいて、車両の進行方向前方に診断対象エリアがあるか否か判定する。尚、診断対象エリアとしては、交差点、合流道路、カーブ、トンネル等がある。尚、本実施形態では診断対象エリアは予め地図情報DB31に記憶されているが、リンク形状などに基づいてナビゲーションECU13が進行方向前方に診断対象エリアがあるか否か判定するように構成しても良い。
【0048】
そして、車両の進行方向前方に診断対象エリアがあると判定された場合(S3:YES)には、S4へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方に診断対象エリアが無いと判定された場合(S3:NO)には、運転者の車両操作の診断を行うことなく当該車両操作診断処理プログラムを終了する。
【0049】
S4においてCPU41は、前記S2で取得した地図情報に基づいて、車両の進行方向前方にある診断対象エリアに事故多発地点が含まれるか否か判定する。尚、事故多発地点は、車両事故が過去に所定回数以上(又は過去の所定期間内で所定回数以上)発生している地点である。
【0050】
そして、車両の進行方向前方にある診断対象エリアに事故多発地点が含まれると判定した場合(S4:YES)には、S5へと移行する。それに対して、車両の進行方向前方にある診断対象エリアに事故多発地点が含まれないと判定した場合(S4:NO)には、S11へと移行する。
【0051】
S5においてCPU41は、診断対象エリアに含まれる事故多発地点の事故要因を参照し、診断対象エリアがカーブであって、且つ事故要因がカーブにおける“人や他車両の横からの飛び出し”であるか否か判定する。そして、事故要因が“人や他車両の横からの飛び出し”であると判定された場合(S5:YES)には、S6へと移行する。それに対して、事故要因が“人や他車両の横からの飛び出し”以外の要因であると判定された場合(S5:NO)には、S7へと移行する。
【0052】
S6においてCPU41は、車両操作診断判定テーブル32に記憶された診断項目の内、「カーブ走行速度診断」の運転診断判断基準に用いられるカーブ走行中の角速度の閾値の値(図3のD)を下げる(即ち、容易に到達できる値へと変更する)。それによって、図5に示すようなカーブ中に見通しの悪いT字路があって人や他車両53が横から飛び出してくる可能性の高い危険なカーブ51を車両52が走行する場合には、カーブ走行中の角速度についての運転診断判断基準を通常より厳しくすることが可能となる。その結果、後述のS11の診断処理では、車両のカーブ走行中の角速度が通常より低い状態でなければ、車両が安全運転を行っているという診断結果とならないので、危険なエリアにおいてはより安全な運転を促すことが可能となる。
【0053】
一方、S7においてCPU41は、診断対象エリアに含まれる事故多発地点の事故要因を参照し、診断対象エリアがカーブであって、且つ事故要因がカーブにおける“カーブへの進入速度の超過”であるか否か判定する。そして、事故要因が“カーブへの進入速度の超過”であると判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。それに対して、事故要因が“カーブへの進入速度の超過”以外の要因であると判定された場合(S7:NO)には、S9へと移行する。
【0054】
S8においてCPU41は、車両操作診断判定テーブル32に記憶された診断項目の内、「カーブ手前減速診断」の運転診断判断基準に用いられるカーブ開始点での車速の閾値の値(図3のB)を下げる(即ち、容易に到達できる値へと変更する)。それによって、図6に示すような下り勾配の急カーブであって車両が旋回不足で道路を逸脱することが多いカーブ55を車両56が走行する場合には、カーブ手前の減速についての運転診断判断基準を通常より厳しくすることが可能となる。その結果、後述のS11の診断処理では、車両のカーブ開始点での車速が通常より低い状態でなければ、車両が安全運転を行っているという診断結果とならないので、危険なエリアにおいてはより安全な運転を促すことが可能となる。
【0055】
一方、S9においてCPU41は、診断対象エリアに含まれる事故多発地点の事故要因を参照し、診断対象エリアがカーブであって、且つ事故要因がカーブにおける“カーブ走行後の停車車両への衝突”であるか否か判定する。そして、事故要因が“カーブ走行後の停車車両への衝突”であると判定された場合(S9:YES)には、S10へと移行する。それに対して、事故要因が“カーブ走行後の停車車両への衝突”以外の要因であると判定された場合(S9:NO)には、S11へと移行する。
【0056】
S10においてCPU41は、車両操作診断判定テーブル32に記憶された診断項目の内、「カーブ走行速度診断」の運転診断判断基準に用いられるカーブ走行中の車速の閾値の値(図3のC)を下げる(即ち、容易に到達できる値へと変更する)。それによって、図7に示すような見通しの悪いカーブであって、カーブ走行後に信号機がある見通しの悪いカーブであって、信号待ちで停車している他車両63に衝突する可能性の高い危険なカーブ61を車両62が走行する場合には、カーブ走行中の車速についての運転診断判断基準を通常より厳しくすることが可能となる。その結果、後述のS11の診断処理では、車両のカーブ走行中の車速が通常より低い状態でなければ、車両が安全運転を行っているという診断結果とならないので、危険なエリアにおいてはより安全な運転を促すことが可能となる。
【0057】
次に、S11においてCPU41は、運転者の車両操作の診断を行う。具体的には、先ずCPU41は、診断対象エリアを走行する車両の各パラメータ(具体的には、車速、角速度、車間距離、ブレーキ量等)を車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等の各種センサやCANを介して取得する。次に、CPU41は、取得した車両のパラメータと、車両操作診断判定テーブル32(図3)に記録された診断項目毎の運転診断判断基準とを比較することによって、診断項目毎に車両の各パラメータが設定された運転診断判断基準を満たしたか否かに基づいて診断結果を決定する。尚、前記S6、S8、S10で運転診断判断基準の閾値が変更されている場合には、変更後の運転診断判断基準が用いられる。そして、決定された診断結果に対応するメッセージを液晶ディスプレイ15やスピーカ16を用いて案内する。
【0058】
ここで、図8は前記S11で液晶ディスプレイ15に表示される診断結果案内画面を示した図である。尚、図8に示す例では、車両が診断対象エリアであるカーブを走行した場合において、車両のカーブ開始点における車速が閾値であるB[km/h]以上であった場合において、案内される診断結果を示す。ここで、車両のカーブ開始点における車速が閾値であるB[km/h]以上である場合には、ナビゲーションECU13は車両が安全運転を行っていないと診断する。そして、安全運転を促す為に「カーブ手前で減速して安全なカーブ走行を心がけましょう。」とのメッセージを地図画面上に配置されたウィンドウ71に表示する。それによって、運転者に次回以降のカーブ走行時における安全運転を促すことが可能となる。
尚、前記S6、S8、S10で変更された運転診断判断基準の閾値は、上記S11の診断処理が終了すると変更前の値へと戻される。
【0059】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による車両操作診断方法及びナビゲーション装置1のナビゲーションECU13により実行されるコンピュータプログラムでは、車両の進行方向前方に診断対象エリアがあって、その診断対象エリア内に事故多発地点が含まれる場合に、事故多発地点の事故要因に基づいて運転診断判断基準を変更し(S6、S8、S10)、変更後の運転診断判断基準に基づいて、走行時に運転者が行った車両操作が安全性の面で適切であったか否かを診断する(S11)ので、運転者に各道路の状況に対応したより安全性の高い車両操作を行わせることが可能となる。また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
また、事故要因に関連するパラメータの閾値を変更することにより運転診断判断基準を変更するので、例えば、各道路の走行中に特に注意すべき車両操作について厳しい診断結果を出易くすることが可能となり、事故要因となる事象が発生することを防止する車両操作へと運転者を導くことが可能となる。
また、運転診断判断基準を変更する場合には、車両が事故多発地点を走行しない場合よりも、事故多発地点の事故要因に関連するパラメータの閾値を容易に到達できる値へ変更するので、事故多発地点を含む危険なエリアについては厳しい診断結果を出易くすることによって、運転者に対してより安全運転を促すことが可能となる。
更に、診断結果を液晶ディスプレイ15やスピーカ16を介して運転者に案内するので、運転者に安全性の高い車両操作を意識させ、また、運転者に安全運転を継続させるモチベーションを与えることが可能となる。
【0060】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では診断対象エリアを走行する度に、走行した診断対象エリアにおける診断結果を案内することとしているが、診断結果をカウントし、カウント値が所定値に到達した時点で診断結果を案内するように構成しても良い。例えば、図3に示す「制限速度遵守診断」では、診断対象エリアを走行する度に、制限速度を守らなかった回数をカウントし、そのカウント値が所定値(例えば5)に到達した時点で、「制限速度を意識した安全運転をしましょう。」とのメッセージを案内するように構成する。
【0061】
また、本実施形態では一の事故多発地点に対しては一の事故要因を対応付けて記憶しているが、一の事故多発地点に対して複数の事故要因を対応付けて記憶しても良い。その場合には、例えば、対応付けられた全ての事故要因に関連する運転診断判断基準の閾値を変更するように構成しても良い。
【0062】
また、本実施形態では一の事故多発地点に対しては最も割合の高い一の事故要因を対応付けて記憶しているが、その事故多発地点で過去に発生した全ての事故要因を対応付けて記憶しても良い。その場合には、例えば、対応付けられた全ての事故要因の内から、回数や比率に基づいて選択された事故要因に関連する運転診断判断基準の閾値を変更するように構成しても良い。
【0063】
また、本実施形態では事故多発地点毎の事故要因(図2)は、地図情報DB31に記憶され、地図情報DB31から読み出すことによって事故要因を取得する構成としているが、外部のセンタ等から取得する構成としても良い。
【0064】
また、本実施形態では予め設定された診断対象エリア内に車両が位置する場合に運転者の車両操作の診断を行う構成としているが、診断対象エリアを設定せず、ACCがONされた状態では常に車両操作診断処理プログラム(図4参照)による運転者の車両操作の診断を行う構成としても良い。
【0065】
また、本実施形態では、前記S6、S8、S10で事故要因に関連する運転診断判断基準の閾値が変更されている場合には、図9に示すように変更された運転判断基準(図9に示す例では「カーブ走行速度診断」の運転診断判断基準に用いられるカーブ走行中の角速度の閾値X)については変更後の運転診断判断基準(X´)を用いて運転者の車両操作の診断を行い、他の運転判断基準については通常時の運転診断判断基準(Y、Z)を用いて運転者の車両操作の診断を行うこととしているが、以下の(1)又は(2)の構成としても良い。
(1)前記S6、S8、S10で事故要因に関連する運転診断判断基準の閾値が変更されている場合には、図10に示すように変更された運転判断基準(図10に示す例では「カーブ走行速度診断」の運転診断判断基準に用いられるカーブ走行中の角速度の閾値X)については変更後の運転診断判断基準(X´)を用いて運転者の車両操作の診断を行う。一方、事故要因に関連する運転診断判断基準以外の運転判断基準については「0」に変更し、その運転判断基準に基づいて運転者の車両操作の診断を行わないように構成する。
(2)前記S6、S8、S10では、図11に示すように事故要因に関連する運転診断判断基準(図11に示す例では「カーブ走行速度診断」の運転診断判断基準に用いられるカーブ走行中の角速度の閾値X)を変更せず、通常時の運転診断判断基準(X)を用いて運転者の車両操作の診断を行う。一方、事故要因に関連する運転診断判断基準以外の運転判断基準について「0」に変更し、その運転判断基準に基づいて運転者の車両操作の診断を行わないように構成する。
【符号の説明】
【0066】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
31 地図情報DB
32 車両操作診断判定テーブル
35 事故多発地点データ
36 診断対象エリアデータ
41 CPU
42 RAM
43 ROM
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のパラメータと診断項目毎に設定された運転診断判断基準とに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断装置において、
前記車両の周辺において過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点の事故要因に関する情報を取得する要因取得手段と、
前記車両が前記事故多発地点を走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて前記運転診断判断基準を変更する診断判断基準変更手段と、
前記車両のパラメータを取得するパラメータ取得手段と、
前記診断判断基準変更手段による変更後の前記運転診断判断基準と前記パラメータ取得手段により取得された前記車両のパラメータとに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断手段と、を有することを特徴とする車両操作診断装置。
【請求項2】
前記運転診断判断基準は、車両に関するパラメータの閾値によって規定され、
前記車両操作診断手段は、前記パラメータ取得手段により取得した前記車両のパラメータと前記運転診断判断基準によって規定されたパラメータの閾値とを比較して運転者の車両操作を診断し、
前記診断判断基準変更手段は、
前記事故多発地点の事故要因に関連するパラメータの閾値を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両操作診断装置。
【請求項3】
前記診断判断基準変更手段は、
前記車両が前記事故多発地点を走行しない場合よりも、前記事故多発地点の事故要因に関連するパラメータの閾値を容易に到達できる値へ変更することを特徴とする請求項2に記載の車両操作診断装置。
【請求項4】
前記車両操作診断手段による運転者の車両操作の診断結果を案内する診断結果案内手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両操作診断装置。
【請求項5】
車両のパラメータと診断項目毎に設定された運転診断判断基準とに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断方法において、
前記車両の周辺において過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点の事故要因に関する情報を取得する要因取得ステップと、
前記車両が前記事故多発地点を走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて前記運転診断判断基準を変更する診断判断基準変更ステップと、
前記車両のパラメータを取得するパラメータ取得ステップと、
前記診断判断基準変更ステップによる変更後の前記運転診断判断基準と前記パラメータ取得ステップにより取得された前記車両のパラメータとに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断ステップと、を有することを特徴とする車両操作診断方法。
【請求項6】
コンピュータに搭載され、
車両のパラメータと診断項目毎に設定された運転診断判断基準とに基づいて、運転者の車両操作を診断するコンピュータプログラムにおいて、
前記車両の周辺において過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点の事故要因に関する情報を取得する要因取得機能と、
前記車両が前記事故多発地点を走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて前記運転診断判断基準を変更する診断判断基準変更機能と、
前記車両のパラメータを取得するパラメータ取得機能と、
前記診断判断基準変更機能による変更後の前記運転診断判断基準と前記パラメータ取得機能により取得された前記車両のパラメータとに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項1】
車両のパラメータと診断項目毎に設定された運転診断判断基準とに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断装置において、
前記車両の周辺において過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点の事故要因に関する情報を取得する要因取得手段と、
前記車両が前記事故多発地点を走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて前記運転診断判断基準を変更する診断判断基準変更手段と、
前記車両のパラメータを取得するパラメータ取得手段と、
前記診断判断基準変更手段による変更後の前記運転診断判断基準と前記パラメータ取得手段により取得された前記車両のパラメータとに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断手段と、を有することを特徴とする車両操作診断装置。
【請求項2】
前記運転診断判断基準は、車両に関するパラメータの閾値によって規定され、
前記車両操作診断手段は、前記パラメータ取得手段により取得した前記車両のパラメータと前記運転診断判断基準によって規定されたパラメータの閾値とを比較して運転者の車両操作を診断し、
前記診断判断基準変更手段は、
前記事故多発地点の事故要因に関連するパラメータの閾値を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両操作診断装置。
【請求項3】
前記診断判断基準変更手段は、
前記車両が前記事故多発地点を走行しない場合よりも、前記事故多発地点の事故要因に関連するパラメータの閾値を容易に到達できる値へ変更することを特徴とする請求項2に記載の車両操作診断装置。
【請求項4】
前記車両操作診断手段による運転者の車両操作の診断結果を案内する診断結果案内手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両操作診断装置。
【請求項5】
車両のパラメータと診断項目毎に設定された運転診断判断基準とに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断方法において、
前記車両の周辺において過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点の事故要因に関する情報を取得する要因取得ステップと、
前記車両が前記事故多発地点を走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて前記運転診断判断基準を変更する診断判断基準変更ステップと、
前記車両のパラメータを取得するパラメータ取得ステップと、
前記診断判断基準変更ステップによる変更後の前記運転診断判断基準と前記パラメータ取得ステップにより取得された前記車両のパラメータとに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断ステップと、を有することを特徴とする車両操作診断方法。
【請求項6】
コンピュータに搭載され、
車両のパラメータと診断項目毎に設定された運転診断判断基準とに基づいて、運転者の車両操作を診断するコンピュータプログラムにおいて、
前記車両の周辺において過去に車両事故が所定回数以上発生している事故多発地点の事故要因に関する情報を取得する要因取得機能と、
前記車両が前記事故多発地点を走行する場合に、該事故多発地点の事故要因に基づいて前記運転診断判断基準を変更する診断判断基準変更機能と、
前記車両のパラメータを取得するパラメータ取得機能と、
前記診断判断基準変更機能による変更後の前記運転診断判断基準と前記パラメータ取得機能により取得された前記車両のパラメータとに基づいて、運転者の車両操作を診断する車両操作診断機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−237829(P2010−237829A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83085(P2009−83085)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]