説明

車両用のレーダーセンサ

周波数変調されたレーダー信号を送受信する少なくとも1つの送受信器(14、16)と、位置測定された対象物との間隔(di)および相対速度(vi)を計算する評価器(24、48)とを備える、車両用のレーダーセンサにおいて、相対速度(vi’)を独立して測定する統合されたドップラーレーダーシステム(26、42、44)を特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周波数変調されたレーダー信号を送受信する少なくとも1つの送受信器と、位置測定された対象物との間隔および相対速度を計算する評価器とを備える、車両用のレーダーセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のレーダーセンサは、車両内において、例えば、レーダー支援による自動間隔制御用のACC(Adaptive Cruise Control)システム等の運転者支援システムの枠内で頻繁に使用される。
【0003】
上述した種類のレーダーセンサの典型的な例は、FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダーであって、それにおいては送信されるレーダー信号の周波数が所定の傾斜勾配(Rampensteigung)で周期的に変調される。よって、レーダー目標で反射され、所定の時点に再びレーダーアンテナによって受信される信号の周波数は、一方では、信号伝播遅延とそれに伴うレーダー目標との間隔とに、他方では、ドップラー偏移とそれに伴うレーダー目標との相対速度とに依存する量によって、その時点に送信される信号の周波数と区別される。レーダーセンサにおいては、ミキサー内で受信信号がこの時点に送信される信号と混合されるので、混合結果として低周波信号が得られ、その周波数は送信信号と受信信号との周波数偏差に相当する。そして、この低周波信号が、アナログ/デジタル変換器によって適当な時間間隔でデジタル化される。デジタル化されたデータは、所定の記録期間で記録され、その記録期間は、例えば、送信信号を変調する傾斜(Rampe)の長さに相当する。そして、このようにして得られたデータ群から、高速フーリエ変換(FFT)として知られるアルゴリズムによって、スペクトルが得られる。このスペクトルにおいて、各々に検出されたレーダー目標は、多少ともノイズレベルから際だったピークによって表される。この処理を異なる傾斜勾配で繰返すことによって、伝搬遅延に起因する周波数偏移とドップラー偏移との間のあいまいさ(Mehrdeutigkeit)を除去することが可能となるので、レーダー目標との間隔および相対速度が算出される。
【0004】
車両には、大抵、互いに僅かに角度変位したレーダーローブ(Radarkeulen)を発生させる、角度解像(winkelauflosenden)するレーダーセンサが使用され、その場合に上述した信号編集および評価が、各個々のレーダーローブについて別々に、望ましくは並行チャネル内で行われる。
【0005】
交通安全上の観点によれば、レーダーセンサは、他の車両および他の障害物の位置測定を、可能な限り高い信頼性を伴って行う必要がある。さらに、長期目標として完全自動化された車両制御が実現されるまで、運転者支援システムの機能性を拡張する努力がなされる。運転者支援システムにますます複雑で新たな課題が課されるのと同様に、レーダーセンサの信頼性に対する要求も向上する。
【発明の開示】
【0006】
(発明の利点)
請求項1に記載される特徴を有する本発明は、レーダーセンサの信頼性が向上する、という利点を提供する。この目的のために、本発明に基づくレーダーセンサは、統合されたドップラーレーダーを備えており、そのドップラーレーダーによって、位置測定された対象物との相対速度を独立して測定可能である。このようにして、システムの冗長性が向上され、ドップラーレーダーを用いて測定された相対速度と、周波数変調された信号を用いて計算された相対速度とを、評価ユニット(Auswerteeinheit)により比較することによって、送受信器および/または評価器(Auswerteeinrichtung)の万一のエラーが迅速に認識されるので、適切な対応措置を導入可能である。さらに、本発明は、特に複数の対象物が同時に位置測定された場合には、あいまいさの除去を容易にする。よって、周波数変調された信号を用いて得られたスペクトルを評価する場合には、特に著しいノイズを含む信号で容易に発生するエラーを伴う解釈(Fehlinterpretationen)は、迅速かつ確実に認識されて除去される。
【0007】
本発明の望ましい実施形態は、従属請求項で明らかにされる。
【0008】
冗長的なレーダーセンサの特に簡単かつ廉価な構造は、ドップラーレーダーシステム用として、周波数変調するレーダーシステム、例えばFMCWレーダーに予め設けられる大半のコンポーネントが利用されることによって実現される。
【0009】
ドップラーレーダー用のレーダー信号を発生させるために、望ましくは基準発振器が使用され、その基準発振器は、同時に周波数制御のために、周波数変調された信号を発生させる場合にも使用される。
【0010】
基準発振器は、特に望ましい実施形態においては、誘電体共振器(DOR)によって構成されており、その誘電体共振器は、整数倍することによって、周波数変調された信号を発生させる発振器の作業周波数帯域(Arbeitsfrequenzbandes)に近接するような周波数で作動する。例えば作業周波数帯域が約76〜77GHzにある場合には、基準発振器は、例えば作業周波数帯域の中心周波数の6分の1、4分の1または3分の1に応じて、12.65GHz、19GHzまたは24.5GHzの周波数を有する。この場合に周波数制御を目的として、作業周波数帯域に近接する基準発振器の高調波は、高調波ミキサーに供給されて、周波数変調された信号と混合される。この場合に混合結果は、変調された周波数と固定された基準周波数(高調波)との間の偏差に相当し、例えば位相制御ループ(PLL:Phase Lockend LP)で、周波数制御用のフィードバック信号として使用される。
【0011】
ドップラーレーダーシステムを駆動するために、基準発振器の基準周波数が直接的に送信周波数として使用される。よって、本実施形態においては、ドップラーレーダー用に特別な発振器を準備する必要がない。他の利点として、ドップラーレーダーの周波数がFMCWレーダーの周波数の極一部を占めるのみであるので、ノイズ信号、雨または雪等のような干渉影響は、2つのレーダーシステムに異なる作用を及ぼし、よって一方のシステムの障害を他方のシステムを用いて認識して、場合によっては補償することが可能となる。
【0012】
角度解像するレーダーセンサの典型的な構造において、アンテナは、複数のアンテナ素子(パッチ)を備えており、それらはレンズの焦点面に対して互いに側方に変位して配置されるので、個々のパッチから発生されて、レンズによって収束されたレーダーローブは、互いに角度変位される。ドップラーレーダーシステム用には、望ましくは焦点面またはそれに対して僅かに変位して付加的なパッチが配置され、そのパッチが基準発振器に接続され、その周波数と同調されることで、同一のレンズが使用される。基準発振器の小さな周波数では回折効果が大きいため、付加的なパッチから発生されるレーダーローブは、余り強く収束されないので、唯一の付加的なパッチを用いて広い角度範囲をカバー可能である。場合によっては、このパッチを僅かに焦点からずらして配置することによって、付加的な放射拡幅が実現可能となる。
【0013】
レーダーセンサにおいて、レーダー測定は、典型的には100ms程度の周期長で周期的に繰返される。しかし、FMCWレーダーの信号を変調する複数の周波数の傾斜部は、合計してもこの周期長の極一部、例えば約15msを占めるのみである。特に信号評価に必要とされる以外の残りの期間には、周波数制御が必要とされないので、その期間に基準発振器は、ドップラーレーダー用の信号源として使用可能である。
【0014】
信号評価に際しても、予め存在するコンポーネントの大半を利用可能である。通常、角度変位されて周波数変調されたレーダー放射線を発生させるために用いられる、パッチアンテナ(Antennenpatches)の各々に、専用の前置増幅器が対応付けられており、その前置増幅器は、付属のミキサーの低周波信号(中間周波信号)を増幅する。ドップラーレーダー用に設けられる付加的なパッチには、専用のミキサーが対応付けられる。しかし、このミキサーから発生される中間周波信号を増幅するためには、ドップラーレーダーの駆動の間に、残りの前置増幅器の1つを利用可能である。同様に、ドップラーレーダーの中間周波信号を高速フーリエ変換によってスペクトルに変換するためには、予め設けられるハードウェアを利用可能である。この場合には、変換アルゴリズムのパラメータを、ドップラーレーダーの有する小さな周波数に関して適合させるのみでよい。しかし、システムの冗長性をさらに向上させるためには、ドップラーレーダー用のスペクトルを計算する専用のプロセッサを設けることも可能である。
【0015】
後段に接続される評価ソフトウェアは、ドップラーレーダーのスペクトルより位置測定された対象物の相対速度を計算し、かつ、FMCWレーダーを用いて定められた相対速度と比較する、モジュールのみを付加すればよい。レーダーセンサの障害を伴わない駆動では、互いに独立して定められた相対速度が互いに一定値として対応付けられる必要がある。これが不可能な場合には、システムにエラーが存在する。ここで、最も簡単な場合には、運転者に対する警告指示に関連するシステム停止またはシステム再起動が実行される。再起動によってもエラーが除去されない場合には、システムが完全に停止されて、運転者は、然るべき表示によって修理工場を訪れることを要請される。
【0016】
しかし、本発明の他の実施形態においては、ドップラーレーダーを用いて独立して定められた相対速度をFMCWレーダーのエラーを自動的に訂正し、および/または、その他にFMCWレーダーの結果における除去不能なあいまいさを除去するためにも利用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施例は、図面に示され、以下で詳細に説明される。
【0018】
図1に示すレーダーセンサは、発振器ドライバ10を備えており、それが電圧信号によって制御可能な発振器12の発振周波数を制御する。このように制御される、発振器12の周波数は、約76〜77GHzの作業周波数帯域にある。発振器12の出力信号は、複数の、図示の例においては4つのミキサー14に供給され、それらミキサーは、各々にパッチアンテナ16に接続される。ミキサー14を介して発振器12の信号が供給されるパッチアンテナ16は、レンズ18の焦点面に対して互いに側方に変位して配置されるので、パッチから放出されるレーダー放射線は、互いに僅かづつ角度変位した4つの放射線(Strahl)に束ねられる。この放射線の1つがレーダー目標に命中すると、反射された信号は、レンズ18によって再び、放射線を放出したパッチアンテナ16上に焦合される。そして、受信信号は、ミキサー14に戻されて、そこで、その時点で発振器12からミキサーに供給される信号と混合される。このようにして得られた混合結果が中間周波信号であって、その周波数(約100kHz程度)は、受信信号と発振器12の信号との周波数偏差に相当する。4つのミキサー14の中間周波信号は、4チャネルの前置増幅器20で増幅され、アナログ/デジタル変換器22でデジタル化されて、第1のプロセッサ24で高速フーリエ変換(FFT)によってスペクトルに変換される。
【0019】
発振器12の周波数は、発振器ドライバ10を用いて傾斜(ランプ)状に変調され、その場合に閉成された制御回路で制御される。周波数制御のために基準発振器26、例えば誘電体共振器(DRO)が用いられ、その周波数は、例えば、発振器12の作業周波数帯域の中心周波数の1/3に相当し、よって、ここで考察される例では約24.5GHzに相当する。基準発振器26の周波数の第3次高調波(dritte Oberwelle)は、調波ミキサー28に供給されて、そこで発振器12の信号と混合される。よって、発振器12の実際の周波数と基準発振器26の固定周波数との偏差を表す混合結果は、位相制御ループ(PLL)30を介して発振器ドライバ10に戻されて、よって、周波数制御用のフィードバック信号として用いられる。
【0020】
図2中に太い実線で記される曲線32は、発振器12の信号fを時間tとの関係で表す。レーダーセンサの完全な測定周期は、周期長Tを有する。この測定周期の開始期間には、発振器12が作動しており、その周波数は、例えば上昇ランプ34で変調される。後には、下降ランプ36が続き、その勾配の絶対値は、ランプ34の勾配と同一とされうる。これに他の上昇ランプ38が続き、その勾配は、例えばランプ34の勾配の半分である。測定周期の残りの期間には、発振器12が停止されるので、周波数制御用に基準発振器26はもはや必要とされない。その後、スイッチ40(例えばPINダイオードスイッチまたはMEMスイッチ)を用いて、基準発振器26が他のミキサー42に接続され、そのミキサーを介して基準発振器の基準周波数は、レンズ18の光軸上に配置された付加的なパッチアンテナ44にさらに伝達される。パッチアンテナ44は、基準発振器26の基準周波数に応じて、より長い波長を伴うレーダー信号を送信するので、パッチアンテナ16よりも大きい。この場合にパッチアンテナ44は、図1に象徴的に示すように、例えばレンズ18の焦点面の前方に配置されうるので、そのパッチから放出されるレーダー放射線は、より大きく発散する。この周波数変調されていないレーダー放射線は、ドップラーレーダーの原理に従って、それによって位置測定された対象物との相対速度の測定を可能にする。
【0021】
ここでも、レーダーエコーがレンズ18によって再びパッチアンテナ44上に焦合され、受信信号は、ミキサー42で基準発振器26の信号と混合される。混合結果は、前置増幅器20の4チャネルのいずれか、望ましくは、そのレーダーローブがレンズ18の光軸上から僅かにのみ変位しているパッチアンテナ16に属するチャネルに供給される。そして、前置増幅された、ミキサー42の中間周波信号は、上述したミキサー14の信号と同様にデジタル化されて、スペクトルに変換される。
【0022】
図2中に破線で記される曲線46は、パッチアンテナ44からの送信信号の周波数を時間との関係で示す。図から明らかなように、パッチアンテナ16の信号(曲線32)とパッチアンテナ44の信号とは、時間的にずれて発生する。よって、ミキサー42の中間周波信号が増幅されて評価される場合には、前置増幅器20、アナログ/デジタル変換器22および第1のプロセッサ24は、パッチアンテナ16からの信号の評価に関与しない。
【0023】
よって、上述したレーダーセンサは、角度解像するFMCWレーダー(パッチアンテナ16)と角度解像しないドップラーレーダー(パッチアンテナ44)との機能を統合可能である。プロセッサ24によって計算された、2つの部分システム用のスペクトルは、図示の例では、第2のプロセッサ48でさらに評価される。FMCWレーダーの4チャネルの各々では、各測定周期に3つのランプ34、36および38で記録された3つのスペクトルが得られる。該当するチャネルで検出された各レーダー目標は、レーダー目標との間隔および相対速度に応じた周波数を有するピークの形状を伴い、このスペクトル内で際だっている。これにより、プロセッサ48のモジュール50は、後で詳細に説明するように、位置測定されたレーダー目標との間隔diおよび相対速度viを計算する。
【0024】
各レーダー目標は、通常、4つのレーダー放射線のいずれか複数によって検出されるので、さらに、モジュール50で種々のチャネル間の振幅および/または位相関係を比較することによって、対象物のアジマス角Φiを計算可能である。
【0025】
スイッチ40の閉成後に、ドップラーレーダーシステムが作動しており、かつプロセッサ24で該当するスペクトルが計算されている場合には、そのスペクトルは、第2のプロセッサ48の他のモジュール52で評価される。これは、図1では、スイッチ40に結合されたスイッチ54によって象徴付けられるが、モジュール52は、実際にはソフトウェアモジュールであって、スペクトルの計算が終了した後に初めて呼出される。ドップラーレーダーによって記録されたスペクトルにおいても、位置測定された各対象物は、特徴的な周波数を有するピークによって際だっており、その周波数から対象物の相対速度のために独立した値vi’が計算される。
【0026】
ドップラーレーダーシステムがFMCWレーダーの4つのレーダー放射線によって一緒に検出される全ての対象物を検出する、という仮定の下では、モジュール50によって計算された各々の値viと実質的に適合する値vi’が得られる必要がある。これは、図1中で比較モジュール56によって象徴付けられるように、第2のプロセッサ48で検査される。
【0027】
互いに独立して算出された相対速度が適合しない場合には、レーダーセンサは、機能不全により停止されうる。この場合には、これは、例えば、角度解像するFMCWレーダーによって検出された対象物の1つがドップラーレーダーの検出範囲の外側にある、またはその逆であるという、一時的なエラーであるかもしれない。この種のエラーは、散発的にのみ発生する場合には無視されうる。しかし、ドップラーレーダーがFMCWレーダーより多くの対象物を位置測定することが度重なる場合には、それは、FMCWレーダーの部分的な機能不全であると推定され、運転者に警告指示が出力される必要がある。同様に、ミキサー14の故障または障害も認識可能である。
【0028】
FMCWレーダーおよびドップラーレーダーのデータのデジタル化は、アナログ/デジタル変換器22で行われるので、干渉信号などに基づいて散発的に発生するデジタル化エラー等も、比較モジュール56で認識可能となる。スペクトル計算時のエラーも、一般に認識可能となる。というのは、ドップラーレーダーシステムの高速フーリエ変換用のアルゴリズムは、FMCWレーダーシステムのパラメータとは異なるパラメータで動作するからである。
【0029】
そして、特に信号品質が粗悪である場合には、モジュール50で間隔および相対速度を計算する際にもエラーが発生する可能性がある。特に、この種のエラーは、種々のスペクトルに含まれるピークが実際の対象物と正しい方法で対応付けられていないことに起因する可能性がある。これは、計算される間隔およびアジマス角にも、計算される相対速度にもエラーを及ぼす。よって、この種のエラーは、比較モジュール56で認識されて、場合によっては直接的に訂正可能である。
【0030】
これが、図3を用いて詳細に説明される。説明の簡略化のためにFMCWレーダーの4チャネルの1つのみが考察され、さらに、そのチャネルで正確に2つのレーダー目標が位置測定されるものと仮定する。よって、3つのランプ34、36、38で記録された3つのスペクトルは、異なる周波数で各々に2つのピークを有する。しかし、当初より、どのピークがどの対象物に該当するか、については不明である。
【0031】
しかし、各ピークの中心周波数が該当する対象物との間隔dと相対速度vとの間の関係を定義付けており、その関係は、図3に示すグラフで直線によって表される。上昇ランプ34の間に記録されたスペクトルに対して、下降直線34Aもしくは34Bが各々に得られる。というのは、周波数偏移の間隔依存成分と周波数依存成分とが互いに加算されるからである。よって、相対速度が大きければ大きいほど、間隔は小さくなる必要がある。よって、下降ランプ36に対しては、上昇直線36Aおよび36Bが得られる。これら4つの直線が4つの点で交差し、それら4つの点の各々に属する数値ペア(d、v)は、実際の対象物に関する候補値となる。しかし、実際の対象物が2つしか存在しないので、ランプ38に基づいて得られる、さらに2つの他の直線38Aおよび38Bを付加した場合に初めて、あいまいさが除去される。これらの直線も下降しているが、ランプ38の勾配が小さいので、より急勾配となる。理想的な場合には、3本の直線34A、36A、38Aもしくは34B、36B、38Bの各々が1つの点で交差し、その場合にその点が実際の対象物との間隔および相対速度を表す。このような方法により、モジュール50を用いて2つの対象物の相対速度v1およびv2が得られる。
【0032】
システムが完璧に作動する場合には、モジュール52を用いて、図3で破線の垂線によって象徴付けられるように、同一の相対速度v1およびv2が得られる必要がある。
【0033】
実際には、測定エラーによって、同一の対象物に属する3本の直線、例えば34A、36Aおよび38Aが正確に1つの点で交差しない場合が頻繁に生ずる。よって、場合によっては、どの点を直線の交点と見なすべきか、を決定することが困難な場合がある。この決定は、ドップラーレーダーおよびモジュール52を用いて得られた付加情報によって著しく容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に基づくレーダーセンサのブロック図である。
【図2】図1に示すレーダーセンサの動作方法を説明する周波数/時間グラフを示す。
【図3】測定結果を評価する方法を説明する間隔/速度グラフを示す。
【符号の説明】
【0035】
14 ミキサー
16 パッチアンテナ
24 第1プロセッサ
26 基準共振器
42 ミキサー
44 パッチアンテナ
48 第2プロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周波数変調されたレーダー信号を送受信する少なくとも1つの送受信器(14、16)と、位置測定された対象物との間隔(di)および相対速度(vi)を計算する評価器(24、48)とを備える、車両用のレーダーセンサにおいて、
前記相対速度(vi’)を独立して測定する統合されたドップラーレーダーシステム(26、42、44)を特徴とする、車両用のレーダーセンサ。
【請求項2】
前記周波数変調されたレーダー信号を周波数制御する基準発振器(26)が、同時に前記ドップラーレーダーシステムの発振器を構成することを特徴とする、請求項1に記載のレーダーセンサ。
【請求項3】
前記周波数変調されたレーダー信号が、前記基準発振器(26)の周波数の整数倍に相当する作業周波数帯域にあることを特徴とする、請求項2に記載のレーダーセンサ。
【請求項4】
前記レーダーセンサがレーダー測定を周期的に繰返し、各々の測定周期の期間(T)の一部でのみ前記周波数変調されたレーダー信号を発生するように構成されており、かつ、前記周波数変調されたレーダー信号を発生しない期間では、前記基準発振器(26)を前記ドップラーレーダー用の送受信器に接続するように、スイッチ(40)が設けられることを特徴とする、請求項2または3に記載のレーダーセンサ。
【請求項5】
前記送受信器が前記周波数変調されたレーダー信号を放出する1つまたは複数のパッチアンテナ(16)を備えており、かつ、前記ドップラーレーダーシステム用に他のパッチアンテナ(44)が設けられることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーダーセンサ。
【請求項6】
前記周波数変調されたレーダー信号用の前記パッチアンテナ(16)と、前記ドップラーレーダーシステム用の前記パッチアンテナ(44)とが、共通のレンズ(18)の前方に配置されることを特徴とする、請求項5に記載のレーダーセンサ。
【請求項7】
前記周波数変調されたレーダー信号用の1つまたは複数の前記パッチアンテナ(16)の各々に、受信信号を送信信号と混合するミキサー(14)が対応付けられており、かつ、前記ミキサー(14)の中間周波出力が前置増幅器(20)に接続され、前記前置増幅器が前記周波数変調されたレーダー信号用に設けられる前記ミキサー(14)と同数のチャネルを備えており、かつ、前記ドップラーレーダー用の前記パッチアンテナ(44)に他のミキサー(42)が対応付けられており、前記他のミキサーの中間周波出力が前記前置増幅器(20)のチャネルの1つに接続されることを特徴とする、請求項5または6に記載のレーダーセンサ。
【請求項8】
前記評価器(24、48)が、前記周波数変調されたレーダー信号に基づいて前記対象物との間隔(di、vi)を計算するモジュール(50)と、前記ドップラーレーダーシステムに基づいて前記対象物との相対速度(vi’)を計算するモジュール(52)と、前記モジュール(50、52)によって計算された前記相対速度(vi、vi’)を比較する比較モジュール(56)とを備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のレーダーセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−514936(P2008−514936A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533968(P2007−533968)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053310
【国際公開番号】WO2006/034888
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(501125231)ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (329)
【Fターム(参考)】