説明

車両用の電源装置及びこの電源装置を搭載する車両

【課題】パッキンを固定プレートとケースの正確な位置に配置して確実に防水する。
【解決手段】電源装置は、電池1を収納しているケース10の開口部15にコネクタ19を固定している。電源装置は、コネクタ19を固定している固定プレート31でケース10の開口部15を閉塞して、固定プレート31とケース内面10Aとの間にパッキン40を挟着している。パッキン40は、ケース内面10Aに向かって突出する凸条41よりもケース10の内部側に係止部43を有し、この係止部43を固定プレート31に係止して、固定プレート31の定位置に配置している。ケース10は、パッキン19の凸条41よりもケース10の外部側に、止ネジ17を挿入する貫通孔16を有し、この貫通孔16に挿入した止ネジ17を、固定プレート31の雌ねじ孔35にねじ込んで、固定プレート31をケース10の開口部15に防水構造で固定している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車を駆動するモータの電源用に使用される大電流用の電源装置及びこの電源装置を搭載する車両に関し、とくに電池を収納するケースを防水構造とする電源装置及びこの電源装置を搭載する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
モータで走行する電気自動車、あるいはモータとエンジンの両方で走行するハイブリッドカー等の自動車は、電池をケースに収納している電源装置を搭載している。この電源装置は、モータで自動車を走行させるので出力を大きくするために、多数の電池を直列に接続して出力電圧を高くしている。たとえば、自動車に搭載される電装用のバッテリの電圧は、ほとんど例外なく12Vであるが、走行用のモータを駆動する電源装置の出力電圧は、一般的には200V以上と極めて高電圧である。
【0003】
この電源装置は、電池を収納しているケースを防水構造として電池を保護できる。ケースに侵入する水が、電池や内部の金属部品を腐食させるからである。また、ケース内に侵入する水は、漏電や感電等の原因ともなる。電源装置は、たとえば、フロアパネルの下に搭載されるので、室内の水が侵入しない防水構造が要求される。
【0004】
電源装置の防水構造を実現するために、パッキンを挟着する構造が開発されている。(特許文献1及び2参照)
これらの公報に記載される防水構造は、止ネジを閉め込んでパッキンを弾性的に押し潰し、パッキンを防水する両面に押し付けて水の侵入を防止する。この構造は、パッキンの両面を防水する面に確実に押し付けて防水構造を実現するので、パッキン位置がずれると防水構造を保持できなくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−35941号公報
【特許文献2】特開2007−42397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さらに、電池を収納しているケースにコネクタを防水構造で固定する構造においては、大きなケースに直接にコネクタを固定するよりも、コネクタを小さい固定プレートに固定し、この固定プレートをケースに設けた開口部に防水構造で固定する構造として能率よく製造できる。コネクタを小さい固定プレートに防水構造で固定してコネクタのアッセンブリーとして組み立てできるからである。
【0007】
コネクタのアッセンブリーは、固定プレートとケースとの間にパッキンを挟着して防水構造を実現するが、この構造は、2枚の平面でパッキンを挟着するので、パッキンの位置がずれやすい欠点がある。パッキンを案内するガイド溝を設けてパッキンの位置ずれを少なくできるが、ガイド溝に案内して固定プレートとケースとを止ネジで挟着するとき、パッキンの位置がずれるのを確実に阻止できない。また、固定プレートをケースに固定する状態でパッキンの位置ずれが確認できず、この状態で使用されて電池ケースに水が侵入して、種々の弊害を発生する原因となる。
【0008】
本発明は、以上の問題点を解決することを目的として開発されたもので、パッキンを位置ずれなく固定プレートとケースとの正確な位置に配置して、パッキンで確実に防水してコネクタをケースに固定できる車両用の電源装置及びこの電源装置を搭載する車両を提供することにある。
また、本発明の他の大切な目的は、定位置に配置するためにパッキンに係止部を設けながら、この係止部が、防水できない状態においても、固定プレートをケースに防水構造に固定して、ケースを防水構造としてコネクタを固定できる車両用の電源装置及びこの電源装置を搭載する車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明の車両用の電源装置は、電池1を収納しているケース10の開口部15に、防水構造でコネクタ19を固定している。電源装置は、コネクタ19が防水構造で固定され、かつケース10の内側に固定されて、ケース10の開口部15を内側から閉塞してなる固定プレート31、51、71と、この固定プレート31、51、71とケース内面10Aとの間に挟着されて、固定プレート31、51、71とケース10との間を防水構造としてなるパッキン40、60、80とを備えている。パッキン40、60、80は、ケース内面10Aに向かって突出する凸条41、61、81を有すると共に、凸条41、61、81よりもケース10の内部側にあって、固定プレート31、51、71の定位置に係止構造で連結する係止部43、63、83を有している。パッキン40、60、80は、この係止部43、63、83を固定プレート31、51、71に係止して、固定プレート31、51、71の定位置に配置している。さらに、ケース10は、パッキン19に設けている凸条41、61、81よりもケース10の外部側に位置して止ネジ17を挿入する貫通孔16を有する。固定プレート31、51、71は、この止ネジ17をねじ込んで固定する底を閉塞してなる雌ねじ孔35を有する。電源装置は、ケース10の貫通孔16に挿入してなる止ネジ17を、固定プレート31、51、71の雌ねじ孔35にねじ込んで、固定プレート31、51、71をケース10の開口部15に防水構造で固定している。
【0010】
以上の車両用の電源装置は、パッキンを位置ずれなく固定プレートとケースとの正確な位置に配置して、パッキンで確実に防水してコネクタをケースに固定できる特長がある。それは、この電源装置が、コネクタを防水構造で固定してなる固定プレートとケース内面との間にパッキンを挟着してケースの開口部を内側から閉塞しており、このパッキンが、ケース内面に向かって突出する凸条よりもケースの内部側に、固定プレートの定位置に係止構造で連結する係止部を有すると共に、パッキンの凸条よりもケースの外部側に位置して止ネジを挿入する貫通孔をケースに設けて、ケースの貫通孔に挿入してなる止ネジを、固定プレートの雌ねじ孔にねじ込んで、固定プレートをケースの開口部に固定しているからである。この構造は、係止部を介して、パッキンを位置ずれなく固定プレートの正確な位置に配置できると共に、パッキンの凸条よりもケースの外部側において、固定プレートをケースに固定するので、開口部から侵入する水を、固定プレートとケース内面との間で挟着したパッキンでもって確実に遮断して防水構造にできる。とくに、パッキンを定位置に配置するために設けた係止部を凸条よりもケースの内部側に配置するので、係止部が防水できない構造であっても固定プレートをケースに防水構造で固定できる。
【0011】
本発明の車両用の電源装置は、パッキン40の係止部43が、固定プレート31に設けている位置決め穴33に挿入される貫通係止部44を有し、この貫通係止部44を固定プレート31の位置決め穴33に挿入して、パッキン40を固定プレート31の定位置に連結することができる。
この電源装置は、パッキンに設けた貫通係止部を固定プレートに設けた位置決め穴に挿入する簡単な構造で、パッキンを固定プレートの定位置に配置できる。
【0012】
本発明の車両用の電源装置は、パッキン60、80の係止部63、83が、固定プレート51、71の外周縁を挟着する溝形である溝形係止部64、84を有し、固定プレート51、71の外周縁を溝形係止部64、84に挿入して、パッキン60、80を固定プレート51、71の定位置に連結することができる。
この電源装置は、固定プレートの外周縁を、パッキンに設けた溝形係止部に挿入してパッキンを固定プレートの定位置にするので、パッキンが固定プレートから外れたり、位置ずれするのを確実に防止できる特長がある。
【0013】
本発明の車両用の電源装置は、パッキン80の係止部83を、開口部の幅を狭くする溝形とすることができる。
この電源装置は、固定プレートの外周縁が挿入される係止部を、開口部の幅を狭くする溝形とするので、パッキンが固定プレートから外れたり、位置ずれするのをより確実に防止しながら優れた防水性を実現できる。
【0014】
本発明の車両は、請求項1ないし4のいずれかに記載の電源装置を搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施例にかかる車両用の電源装置の斜視図である。
【図2】図1に示す車両用の電源装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示す車両用の電源装置のIII−III線断面図である。
【図4】図1に示す車両用の電源装置の概略分解斜視図である
【図5】電池ブロックを示す斜視図である。
【図6】図5に示す電池ブロックの拡大側面図である。
【図7】図1に示す車両用の電源装置のコネクタ部分を示す拡大平面図である。
【図8】図7に示すコネクタ部分のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図7に示すコネクタ部分の分解斜視図である。
【図10】図9に示す固定プレートにパッキンを装着した状態を示す底面斜視図である。
【図11】図7に示すコネクタ部分のXI−XI線断面図であって、固定プレートとケースの防水構造を示す拡大断面図である。
【図12】固定プレートとパッキンの他の一例を示す分解斜視図である。
【図13】図12に示す固定プレートとケースの防水構造を示す拡大断面図であって、図12のXIII−XIII線断面に相当する図である。
【図14】図12に示す固定プレートとケースの防水構造を示す拡大断面図であって、図12のXIV−XIV線断面に相当する図である。
【図15】固定プレートとパッキンの他の一例を示す分解斜視図である。
【図16】図15に示す固定プレートとケースの防水構造を示す拡大断面図であって、図15のXVI−XVI線断面に相当する図である。
【図17】図15に示す固定プレートとケースの防水構造を示す拡大断面図であって、図15のXVII−XVII線断面に相当する図である。
【図18】固定プレートとパッキンの他の一例を示す分解斜視図である。
【図19】図18に示す固定プレートとケースの防水構造を示す拡大断面図であって、図18のXIX−XIX線断面に相当する図である。
【図20】電源装置を搭載する車両の一例を示す模式断面図である。
【図21】電源装置を搭載する車両の他の一例を示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための車両用の電源装置及びこの電源装置を搭載する車両を例示するものであって、本発明は電源装置と車両を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0017】
本発明の車両用の電源装置は、主として、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッドカーや、モータのみで走行する電気自動車などの電動車両の電源に最適である。ただ、本発明の電源装置は、ハイブリッドカーや電気自動車以外の車両に使用し、また、電動車両以外の大出力が要求される用途にも使用できる。
【0018】
図1ないし図6に示す車両用の電源装置は、複数の電池1を収納しているケース10の開口部15に、防水構造でコネクタ19を固定している。図の電源装置は、複数の電池1を連結している電池ブロック2と、この電池ブロック2に接続している電池状態検出部3とを備えており、この電池ブロック2と電池状態検出部3とをケース10の内部に収納している。ケース10は、電池ブロック2と電池状態検出部3とを上に載せて固定しているベースプレート4と、このベースプレート4の上面を閉塞して、ベースプレート4との間に電池ブロック2を収納する電池収納部12と電池状態検出部3を収納する電子部品収納部13とを設けてなるカバープレート5と、このカバープレート5とベースプレート4との両端開口部を閉塞してなるサイドプレート6とを備える。図に示すカバープレート5は、内部に電池収納部12を設けてなるトップカバー7と、内部に電子部品収納部13を設けてなる電子部品カバー8とを備えている。
【0019】
電源装置は、ケース10の内部に収納される電池1の正負の出力や、電池状態検出部3で検出された種々の電池情報、例えば、電池電圧、充放電の電流、電池温度、電池の残容量等の情報を、コネクタ19に接続されるリード線(図示せず)を介して車両側に出力している。電源装置は、図3、図7ないし図9に示すように、ケース10の内部と外部とをコネクタ19を介して接続するために、ケース10に開口部15を設けており、この開口部15にコネクタ19を貫通させて防水構造で固定している。図1ないし図3の電源装置は、コネクタ19を電子部品収納部13の上面に配置している。したがって、図の電源装置は、ケース10である電子部品カバー8にコネクタ19を貫通させる開口部15を設けて、この開口部15にコネクタ19を貫通させる姿勢で固定している。ただ、コネクタは、必ずしも電子部品カバーに貫通させて固定する必要はなく、電子部品カバー以外のケース、たとえば、トップカバーやサイドプレートに開口部を設けて、この開口部に防水構造で固定することもできる。
【0020】
図に示す電源装置は、コネクタ19を防水構造でケース10に固定するために、コネクタ19を固定プレート31に防水構造で固定すると共に、この固定プレート31をケース10の内側に固定して、ケース10の開口部15を内側から閉塞している。さらに、この固定プレート31とケース内面10Aとの間には、固定プレート31とケース10との間を防水構造とするパッキン40を挟着している。
【0021】
[コネクタ]
コネクタ19は、図3、及び図7ないし図10に示すように、固定プレート31の両面に突出する筒部19A、19Bを備えており、筒部19A、19Bの内側に、複数の接続端子(図示せず)を配置している。複数の接続端子は、ケース10に収納される複数の電池1から外部に出力する正負の出力端子や、電池状態検出部3で検出された種々の電池情報を外部に出力する通信端子からなる。このコネクタ19は、固定プレート31をケース10に固定する状態で、ケース10の内部に一方の筒部19Aを、ケース10の外部に他方の筒部19Bを表出させる。ケース10の内部に配置される筒部19Aは、ケース10の内側において、電池ブロック2や電池状態検出部3に接続される。ケース内に突出する筒部19Aは、内部連結コネクタ(図示せず)が連結されて、リード線(図示せず)を介して電池ブロック2や電池状態検出部3に接続される。また、ケース10の外部に配置される筒部19Bは、ケース10の外側において、車両側の負荷やECUに接続される。ケース外に突出する筒部19Bは、外部連結コネクタ(図示せず)が連結されて、リード線(図示せず)を介して車両側の負荷やECUに接続される。
【0022】
[固定プレート]
固定プレート31は、全体をプラスチックで所定の形状に成形して、中央部にコネクタ19を固定している。図の電源装置は、コネクタ19を固定プレート31に防水構造で固定すると共に、固定プレート31にパッキン40を連結して、コネクタのアッセンブリー30としてケース10に固定している。図の固定プレート31は、コネクタ19を貫通させる姿勢、いいかえるとコネクタ19の両端部を両面に突出させる姿勢でインサート成形して、コネクタ19を定位置に防水構造で固定している。この構造は、極めて簡単にコネクタ19を固定プレート31の定位置に防水構造で固定して、コネクタのアッセンブリー30を製造できる。ただ、固定プレートは、貫通孔を設けて、この貫通孔にコネクタを貫通させて防水構造で固定することもできる。さらに、固定プレートは、接続端子をプラスチックに埋設する状態でコネクタの筒部を一体成形して、固定プレートとコネクタを防水構造で連結することもできる。
【0023】
固定プレート31は、ケース10に開口した開口部15を閉塞できるように、ケース10の開口部15よりも大きな外形としている。ケース10の開口部15は、図7と図9に示すように、固定プレート31に固定してなるコネクタ19を通過できる大きさと形状としている。図に示す固定プレート31は、大きさの異なる大小2個のコネクタ19を固定しているので、ケース10に設けた開口部15は、2個のコネクタ19を貫通できる大きさの長方形としている。したがって、固定プレート31は、この開口部15に沿う外形であって、開口部15よりも大きな外形の長方形としている。ただ、ケースの開口部は、固定プレートに固定されるコネクタの大きさや数によって、最適な形状と大きさに開口されるので、固定プレートの大きさと形状もケースの開口部に応じて種々に変更できる。
【0024】
固定プレート31は、外周縁に沿ってパッキン40を固定している。ケース10の開口部15を内側から固定プレート31で閉塞する状態で、固定プレート31とケース内面10Aとの間を防水構造とするためである。固定プレート31は、ケース10に設けた開口部15の内側面、すなわち開口縁部のケース内面10Aと対向する外周縁部にパッキン40を配置している。図9に示す固定プレート31は、外周縁に沿ってループ状のガイド溝32を設けており、このガイド溝32にパッキン40の嵌入凸条42を嵌入して、パッキン40を定位置に配置している。さらに、固定プレート31は、このガイド溝32よりも外側の外周部31Bを、ガイド溝32の内側である中央部31Aよりも低く成形しており、ガイド溝32の内側の側壁をストッパ面34として、パッキン40がガイド溝32よりも内側に位置ずれするのを阻止している。
【0025】
さらに、図8と図9の固定プレート31は、パッキン40を係止構造で連結するために、外周部31Bに位置決め穴33を設けている。図に示す固定プレート31は、両側(長方形の長辺)に沿ってスリット状の位置決め穴33を開口して設けている。固定プレート31は、両側の外周部31Bに位置決め穴33を開口するために、長方形の長辺と対向するガイド溝32の中央部分を、外周縁から離して設けている。
【0026】
以上の固定プレート31は、図8と図9に示すように、ケース10の開口部15を内側から閉塞する状態でケース10に固定される。固定プレート31は、ケース10を貫通する止ネジ17が外側からねじ込まれてケース10に固定される。図7、図9、及び図11に示すケース10は、開口部15の開口縁部であって四隅部に、止ネジ17を挿通する貫通孔16を開口して設けている。止ネジ17を挿通する貫通孔16は、図7、図8、及び図11に示すように、固定プレート31に固定されたループ状のパッキン40の内側に位置して、いいかえるとパッキン40よりもケース10の外部側に位置して設けている。さらに、固定プレート31は、ケース10の貫通孔16に挿通される止ネジ17をねじ込んで固定する雌ねじ孔35を設けている。この雌ねじ孔35は、底を開口することなく閉塞しており、この部分からケース内に水が侵入しないようにしている。固定プレート31は、図10と図11に示すように、雌ねじ孔35にねじ込まれる止ネジ17が固定プレート31を貫いて裏面側に突出しないように、雌ねじ孔35の裏面側に凸部36を設けて、この部分を厚く成形している。この固定プレート31は、ケース10の貫通孔16に挿通される止ネジ17が雌ねじ孔35にねじ込まれてケース10の定位置に固定される。
【0027】
[パッキン]
パッキン40はゴム状弾性体で、コネクタ19を固定してなる固定プレート31の外周縁に沿うループ状に成形している。図に示す固定プレート31は、外形を長方形としているので、パッキン40の形状を略長方形の枠形状としている。図8と図9に示すパッキン40は、内周縁の下方に突出する嵌入凸条42を設けており、この嵌入凸条42を固定プレート31のガイド溝32に嵌入させて固定プレート31の定位置に配置している。図に示す固定プレート31は、長方形の長辺と対向するガイド溝32の中央部分を外周縁から離して設けているので、パッキン40もこのガイド溝32に沿う形状として、対向する長辺の中央部である対向部40Aを互いに接近する形状としている。
【0028】
パッキン40は、固定プレート31とケース10との間に挟着される状態で、ケース内面10Aに密着するために、ケース内面10Aに向かって突出する凸条41を設けている。パッキン40は、ケース内面10Aと対向する面であって、ループ状のパッキン40のほぼ中心に沿ってループ状の凸条41を一体成形して設けている。図に示すパッキン40は、断面形状を山形とする2列の凸条41を互いに平行に設けている。この形状のパッキン40は、ケース内面10Aを押圧する状態で、2列の凸条41をそれぞれ独立して弾性変形させて、確実に水密に密着できる。 ただ、パッキンは、1列の凸条を設けることも、3列以上の凸条を設けることもできる。さらに、凸条の断面形状は、必ずしも山形とする必要はなく、半円状や半楕円形状、多角形状とすることもできる。
【0029】
さらに、パッキン40は、固定プレート31の定位置にずれないように連結するために、この凸条41よりもケース10の内部側に、いいかえるとループ状の凸条41よりも外側に位置して、固定プレート31の定位置に係止構造で連結する係止部43を設けている。図8と図9に示すパッキン40の係止部43は、固定プレート31に設けている位置決め穴33に挿入される貫通係止部44を備えている。図の固定プレート31は、長方形の長辺に沿ってスリット状の位置決め穴33を開口しているので、貫通係止部44も長方形の長辺に沿う形状としている。図のパッキン40は、対向する対向部40Aの外側において、下方に突出する貫通係止部44を一体成形して設けている。図に示す貫通係止部44は、先端部に、固定プレート31の下面に係止するフック部44Aを設けている。この形状のパッキン40は、位置決め穴33に挿入される貫通係止部44のフック部44Aを固定プレート31の下面に係止させて、位置ずれしないように確実に連結できる。図に示す固定プレート31とパッキン40は、長辺側の対向する2カ所に位置決め穴33と貫通係止部44を設けて係止構造で連結しているが、固定プレートとパッキンは、短辺側の対向する2カ所に位置決め穴と貫通係止部を設けることも、長辺側と短片側の4カ所に位置決め穴と貫通係止部を設けて連結することもできる。
【0030】
以上のパッキン40は、内周縁に沿って設けた嵌入凸条42を固定プレート31のガイド溝32に嵌入すると共に、貫通係止部44を固定プレート31の位置決め穴33に挿入して、固定プレート31の定位置に係止構造で連結される。
【0031】
さらに、固定プレートとパッキンは、図12ないし図19に示す構造とすることもできる。これらの図に示すパッキン60、80は、固定プレート51、71の外周縁を挟着する溝形である溝形係止部64、84を設けて係止部63、83としている。これらの図に示す固定プレート51、71とパッキン60、80も、コネクタ19を固定プレート51、71に防水構造で固定すると共に、固定プレート51、71にパッキン60、80を連結して、コネクタのアッセンブリー50、70としてケース10に固定している。
【0032】
図に示すパッキン60、80は、固定プレート51、71の外周部51B、71Bの上面を被覆する第1カバー部60A、80Aと、外周部51B、71Bの下面を被覆する第2カバー部60B、80Bと、固定プレート51、71の外周面をカバーする連結カバー部60C、80Cとを備え、第1カバー部60A、80Aと第2カバー部60B、80Bが互いに平行な姿勢となるように連結カバー部60C、80Cで連結して、断面形状をコ字状とする溝形係止部64、84を設けている。このパッキン60、80は、第1カバー部60A、80Aと連結カバー60C、80Cと第2カバー部60B、80Bとで形成される嵌入溝65、85に固定プレート51、71の外周部51B、71Bを嵌入して、固定プレート51、71の定位置に連結している。外周縁に沿ってパッキン60、80が装着される固定プレート51、71は、図に示すように、パッキン60、80の嵌入溝65、85に挿入される外周部51B、71Bを、中央部51A、71Aよりも薄く成形しており、外周部51B、71Bに連結されるパッキン60、80を外れにくくしている。図の固定プレート51、71は外形を長方形としているので、パッキン60、80の外形も、固定プレー51、71の外周に沿う長方形としている。
【0033】
さらに、パッキン60、80は、第1カバー部60A、80Aの表面に、ケース内面10Aに向かって突出するループ状の凸条61、81を一体成形して設けている。図のパッキン60、80は、第1カバー部60A、80Aの中心よりも内側に位置して凸条61、81を設けており、凸条61、81よりもケース10の内部側を溝形係止部64、84としている。図のパッキン60、80も、断面形状を山形とする2列の凸条61、81を互いに平行に設けている。
【0034】
さらに、図12ないし図17に示すパッキン60は、固定プレート51に設けた位置決め部53に位置決め凸部66を嵌入して、固定プレート51の定位置に位置ずれしないように連結している。図12と図15に示す固定プレート51は、パッキン60の位置決め凸部66を嵌入する位置決め部53を外周部51Bに設けている。図の固定プレート51は、4辺の中央部に位置して位置決め部53を設けている。さらに、パッキン40は、これらの位置決め部53に嵌入される位置決め凸部66を一体成形して設けている。図の固定プレートとパッキンは、長辺側と短片側の4カ所に位置決め部と位置決め凸部を設けているが、位置決め部と位置決め凸部は、長辺側と短片側のいずれかにのみ設けることもできる。
【0035】
図12と図13に示す位置決め部53は外周部51Bの表面に設けた凹部53Aで、固定プレート51の外周縁に沿う形状としている。図13に示すパッキン60は、凹部53Aである位置決め部53に嵌入する位置決め凸部66Aを第1カバー部60Aの内周縁から下方に突出して設けている。このパッキン60は、固定プレート51の外周部51Bを嵌入溝65に嵌入すると共に、内周縁から突出して設けた位置決め凸部66Aを凹部53Aである位置決め部53に嵌入して、固定プレート51の定位置に係止構造で連結される。
【0036】
また、図15に示す位置決め部53は切欠部53Bで、固定プレート51の外周縁を切り欠いて設けている。図16に示すパッキン60は、切欠部53Bである位置決め部53に嵌入する位置決め凸部66Bを嵌入溝65の底面から突出して設けている。この位置決め凸部66Bは、嵌入溝65の底部において、第1カバー部60Aと第2カバー部60Bと連結カバー部60Cとを部分的に連結して設けている。このパッキン60は、固定プレート51の外周部51Bを嵌入溝65に嵌入すると共に、嵌入溝65の底部に設けた位置決め凸部66Bを切欠部53Bである位置決め部53に嵌入して、固定プレート51の定位置に係止構造で連結される。
【0037】
さらに、図18と図19に示す固定プレート71は、外周縁に沿ってループ状のガイド溝72を設けており、このガイド溝72にパッキン80の嵌入凸条82を嵌入して、パッキン80を定位置に配置している。さらに、固定プレート71は、このガイド溝72よりも外側の外周部71Bを周壁73として、この周壁73を、ガイド溝72の内側である中央部71Aよりも低く成形している。固定プレート71は、この周壁73を溝形係止部84の内側に設けた嵌入溝85に嵌入して、パッキン80に連結している。パッキン80の溝形係止部84は、図19に示すように、開口部の幅を狭くする溝形として、ここに嵌入される固定プレート71の周壁73を抜けないように定位置に保持している。このパッキン80は、内周縁に沿って設けた嵌入凸条82を固定プレート71のガイド溝72に嵌入すると共に、溝形係止部84の内側に設けられた嵌入溝85に固定プレート71の外周部71Bである周壁73を嵌入して、固定プレート71の定位置に係止構造で連結される。
【0038】
[電池ブロック]
電池ブロック2は、図5と図6に示すように、複数の電池1をセパレータ21を介して積層するように配置して、両端をエンドプレート22で挟着している。この電池ブロック2は、複数の電池1を互いに隣接して配設して、隣接する電池1の電極端子14を接続している。隣接する電池1の電極端子14は、バスバー(図示せず)を介して電気接続している。
【0039】
電池1は角形電池である。角形電池は、角形の外装缶の開口部を封口板で気密に閉塞している。角形電池は、円筒型電池と比較して効率よく配置でき、単位体積当たりのエネルギー密度を高くできる。特に車載用途では省スペース化の要求が高く、好ましい。このような電池1には、リチウムイオン二次電池等、角形の二次電池が利用できる。また、ニッケル電池等の二次電池とすることもできる。電池の電極端子14は、直列又は並列に接続される。
【0040】
電池1は、底を閉塞しているアルミニウムなどの金属製の外装缶の上面を、アルミニウムなどの金属製の封口板で閉塞している。角形電池は、封口板の外周縁をレーザー溶接して、封口板を外装缶の開口部に気密に固定している。封口板は、正負の電極端子14を両端部に固定して、隣接する電池1の電極端子14を連結して直列に接続している。電極端子14は端子カバー23で被覆している。
【0041】
端子カバー23は、電極端子14の外側をカバーして、電極端子14やこれに接続している通電露出部を絶縁状態にカバーする。端子カバー23は、図示しないが、セパレータの両側部の上面に連結して設けている。この端子カバー23は、電池1の上面から突出する電極端子14を被覆するので、電池ブロック2の表面から突出して設けている。
【0042】
さらに、図3と図5の電源装置は、電池ブロック2の上面に、安全弁(図示せず)から排出されるガスを外部に排気する排気ダクト11を配設している。排気ダクト11は、電池ブロック2の中央に長手方向に伸びるように配置している。排気ダクト11は、下方に開口部を有しており、この開口部を安全弁に対向する姿勢として、電池ブロックの上面に連結している。この排気ダクト11は、電池1の上面に設けている安全弁の開口部を内側に配置するように電池ブロック2に固定される。各々の電池1は、上面にある封口板の中央部に安全弁の開口部を設けている。安全弁は、電池1の内圧が上昇して設定圧力よりも高くなると開弁する。安全弁が開弁すると、電池1の内部からガスや電解液を排出される。このガスや電解液は、排気ダクト11内に排出され、排気ダクト11を通過して電源装置の外部に排出される。
【0043】
電池ブロック2は、図6に示すように、隣接する電池1の間にセパレータ21が挟着される。セパレータ21は、電池1の外形に等しい大きさの四角形で、隣接する電池1に挟まれて絶縁する。セパレータ21は、耐熱性、断熱性に優れた絶縁材で構成され、好ましくは軽量で安価な樹脂により形成される。例えば熱伝導率の小さい(望ましくは0.5W/m以下)、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成樹脂が利用できる。これにより、セパレータ21で電池1を保護すると共に、隣接する電池同士を絶縁して断熱する。また、セパレータ21は、凸条と溝とが交互に並ぶ凹凸状として、溝に冷却媒体を通すことにより、電池1を側面から冷却する。
【0044】
電池ブロック2は、セパレータ21と電池1を交互に積層して、両端面を一対のエンドプレート22で挟着して固定している。エンドプレート22は、全体をプラスチックで成形し、あるいは金属をプラスチックにインサート成形し、あるいは又アルミニウムなどで製作される。図5のエンドプレート22は、外形を電池1の外形として、両端面で露出する電池1を被覆できる大きさに形成している。一対のエンドプレート22は、連結具24で連結されて、間に積層している電池1とセパレータ21を挟着して固定している。連結具24を固定するために、エンドプレート22の両側の上下に一対のネジ穴(図示せず)を設けている。このねじ穴に、連結具24の端部の貫通孔に挿通される止ネジ25をねじ込んで、一対のエンドプレート22を固定して電池ブロック2とする。
【0045】
[電池状態検出部]
電池状態検出部3は、電池1に接続されて、電池1の電圧、電流、残容量などの電池状態を検出して電池1の充放電をコントロールする。電池状態検出部3は、電池1の電圧を検出し、充電している電池1の電圧が最高電圧よりも高くなると充電電流を制限又は遮断して電池1の過充電を防止する。また、放電している電池1の電圧が最低電圧よりも低くなると、放電電流を制限又は遮断して過放電を防止する。さらに、充電している電池1の残容量があらかじめ設定している最大値よりも大きくなると充電電流を制限又は遮断し、残容量が最小値よりも小さくなると放電電流を制限又は遮断して、過充電や過放電を防止して、電池1を保護する。また、電池状態検出部3は、電池1の温度を検出して、電池1の温度があらかじめ設定している最高温度よりも高くなり、あるいは最低温度よりも低くなると、充放電の電流を制限又は遮断して電池1を保護する。さらに、電池状態検出部3は、電池1の電流を検出して、電池1に過大な電流が流れると電流を遮断して電池1を保護する。電池状態検出部3は、電子部品を回路基板に実装しており、電池1の状態を検出して電池1の充放電をコントロールする。さらに、電池状態検出部は、電池電圧、充放電の電流値、電池温度、電池残容量等の検出した電池情報を、コネクタ19に接続されるリード線を介して車両側に出力する。また、電池状態検出部3は、コネクタ19に接続されるリード線を介して車両側からの種々の信号が入力される。
【0046】
[ベースプレート、カバープレート、サイドプレート]
図1ないし図4の電源装置は、ベースプレート4の上にカバープレート5を固定して、電池ブロック2を収納する電池収納部12と電池状態検出部3の電子部品を収納する電子部品収納部13とを設けてなるケース10としている。カバープレート5は、トップカバー7と電子部品カバー8とからなる。ケース10は、ベースプレート4にトップカバー7を固定して内部に電池収納部12を設けている。また、ベースプレート4に電子部品カバー8を固定して電子部品収納部13を設けている。さらに、ケース10は、ベースプレート4の上にカバープレート5を固定して、その両端の開口部をサイドプレート6で閉塞して、防水構造の電池収納部12と電子部品収納部13を内部に設けている。
【0047】
ベースプレート4とトップカバー7と電子部品カバー8は、収納する電池ブロック2の重量に耐える強度の金属プレートである。ベースプレート4とトップカバー7は、金属プレートをプレス加工して製作している。ベースプレート4とトップカバー7の金属プレートは、表面をメッキや塗装した鉄や鉄合金であるが、アルミニウムやアルミニウム合金の金属プレート等の全ての金属プレートとすることもできる。ベースプレート4とトップカバー7は、同じ厚さの金属プレートで製作され、あるいはベースプレート4をトップカバー7よりも厚い金属プレートで製作している。電子部品カバー8は、アルミダイキャストである。アルミダイキャストは、複雑な形状に成形できるので、電子部品カバー8として最適な形状にできる特徴がある。また、アルミニウムの優れた放熱特性によって、収納している電池状態検出部3の電子部品を効率よく放熱できる。ただし、電子部品カバーも、鉄や鉄合金、あるいはアルミニウムやアルミニウム合金の金属プレートをプレス加工して製作することもできる。
【0048】
ベースプレート4とトップカバー7は金属プレートを溝型に、電子部品カバー8は、金属プレートをL字状にプレス加工して製作している。ベースプレート4とトップカバー7は両側に側壁部4A、7Aを、電子部品カバー8は片側に側壁部8Aを設けている。図3の電源装置は、ベースプレート4の横幅をトップカバー7よりも広くして、ベースプレート4の側壁部4Aとトップカバー7の側壁部7Aの間に電池状態検出部3を収納する電子部品収納部13を設けて、その上面を電子部品カバー8で閉塞している。ベースプレート4は、電子部品収納部13の幅に相当する横幅を、トップカバー7の横幅よりも広くしている。すなわち、ベースプレート4の横幅は、トップカバー7の横幅に電子部品収納部13の横幅を加算した幅としている。
【0049】
ベースプレート4は、一方の、図3において右側に設けている側壁部4Aをトップカバー7の側壁部7Aに固定している。トップカバー7の左側の側壁部7Aは、ベースプレート4の底部に固定されて、電池ブロック2を収納する電池収納部12と電子部品収納部13とを区画している。底部に固定されるトップカバー7の左側の側壁部7Aは、右の側壁部7Aよりも高さを高くして、下端縁をベースプレート4の底部に固定できるようにしている。ベースプレート4とトップカバー7は、互いに固定する先端縁に、外側に折曲された所定の幅の連結部4a、7aを設けている。連結部4a、7aを互いに積層する状態で固定して、ベースプレート4とトップカバー7を防水構造に連結している。
【0050】
図3に示す電源装置は、ベースプレート4の両側にほぼ同じ高さの側壁部4Aを設けている。図において、ベースプレート4の右側の側壁部4Aは、トップカバー7の右側の側壁部7Aを固定している。ベースプレート4の左側の側壁部4Aは、トップカバー7の側壁部7Aに固定することなく、トップカバー7に固定している電子部品カバー8の側壁部8Aに固定している。トップカバー7も両側に側壁部7Aを設けている。図において、トップカバー7の左側の側壁部7Aは、右側の側壁部7Aよりも高さが高く、高さの低い側壁部7Aを、ベースプレート4の右側の側壁部4Aに固定して、高さの高い左側の側壁部7Aを、ベースプレート4の底部に固定している。
【0051】
トップカバー7は、上面の片側に電子部品カバー8を積層して固定している。この電子部品カバー8は、金属板をL字状に加工して、天板8Bの片側に側壁部8Aを設けた形状としている。この電子部品カバー8は、天板8Bの端縁を、トップカバー7の上縁に積層して固定して、側壁部8Aの下端縁に設けた折曲された連結部8aをベースプレート4の左側の側壁部4Aの上端縁の折曲された連結部4aに固定している。この構造のケース10は、トップカバー7の左側に設けている側壁部7Aが、電池収納部12と電子部品収納部13とを区画する。
【0052】
ケース10は外部から水の侵入しない構造で、ベースプレート4とカバープレート5とサイドプレート6とを連結している。ケース10は、ベースプレート4とカバープレート5とを水密構造に連結している。さらに、ケース10は、ベースプレート4及びカバープレート5とサイドプレート6とを水密構造に連結している。さらにまた、カバープレート5は、トップカバー7と電子部品カバー8との連結部を水密構造としている。
【0053】
図3ないし図5の電源装置は、ケース10に、複数の電池ブロック2を縦横に並べて固定している。図に示す電源装置は、ベースプレート4の上に、2個の電池ブロック2を直列に並べて、これを2列に配置して、4組の電池ブロック2を収納している。2列に配置される電池ブロック2は、その間に冷却ダクト20ができるように、互いに離して配設している。図3と図5の電源装置は、2列に配置している電池ブロック2の間に固定バー26を固定して、この固定バー26にトップカバー7を固定している。
【0054】
ベースプレート4とトップカバー7からなるケース10は、電池ブロック2の外側に冷却ダクト20ができるように幅を広くしている。図3の電源装置は、2列に配置している電池ブロック2の中間に冷却ダクト20を設け、さらに電池ブロック2の外側であって側壁部4A、7Aとの間にも冷却ダクト20を設けている。この電源装置は、2列の電池ブロック2の中間の冷却ダクト20と、電池ブロック2の外側の冷却ダクト20の一方を冷却空気の供給ダクトとし、他方を排出ダクトとして、電池1の間のセパレータ21に送風して電池1を冷却する。
【0055】
図3の断面図に示す電源装置は、電池ブロック2の外側(図3において左側)とトップカバー7の側壁部7Aとの間に側部冷却ダクト20Aを設け、この側部冷却ダクト20Aの外側であって、側部冷却ダクト20Aを構成する側壁部7Aの外側に、電池状態検出部3を収納する電子部品カバー8が配置される。この構造は、電子部品収納部13に収納する電池状態検出部3と、電池ブロック2との間に、側部冷却ダクト20Aと側壁部7Aとが設けられる。この構造は、電池ブロック2の熱が電池状態検出部3を加熱することがなく、電池状態検出部3に対する電池ブロック2の発熱による弊害を防止できる。
【0056】
2列の電池ブロック2の間に設ける中間冷却ダクト20Bは、上方の開口部を固定バー26で閉塞して、下方の開口部をベースプレート4で閉塞している。固定バー26は、2列の電池ブロック2の中間にできる中間冷却ダクト20Bに沿って伸びる細幅の金属プレートで、両側の電池ブロック2に固定して冷却ダクト20の上面の開口部を閉塞する。固定バー26は、止ネジ(図示せず)を介して両側に配設される電池ブロック2のエンドプレート22の上面に固定される。固定バー26は、エンドプレート22に固定するために、両側に突出部26Aを設けて、突出部26Aに止ネジを挿通する貫通孔を設けている。図5の固定バー26は、両端部の両側と、中間の2カ所の両側に突出部26Aを設けて、ここを電池ブロック2に固定している。
【0057】
電源装置は、電池ブロック2の下を止ネジ(図示せず)でベースプレート4に固定している。電池ブロック2は、ベースプレート4を貫通する止ネジがエンドプレート22にねじ込まれて、ベースプレート4に固定される。さらに、図示しないが、電源装置は、電池ブロックの上を止ネジ(図示せず)でサイドプレートに固定している。電池ブロックは、サイドプレートを貫通する止ネジがエンドプレートにねじ込まれて、サイドプレートに固定される。
【0058】
以上の電源装置は、車載用の電源装置として利用できる。電源装置を搭載する車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッドカーやプラグインハイブリッドカー、あるいはモータのみで走行する電気自動車などの電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。
【0059】
図20に、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッドカーに電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する電源装置100Bと、電源装置100Bの電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100Bは、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置100Bの電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、たとえば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置100Bから電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置100Bの電池を充電する。
【0060】
また、図21に、モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する電源装置100Cと、この電源装置100Cの電池を充電する発電機94とを備えている。モータ93は、電源装置100Cから電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置100Cの電池を充電する。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の車両用の電源装置は、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両用の電源装置として好適に利用できる。
【符号の説明】
【0062】
1…電池
2…電池ブロック
3…電池状態検出部
4…ベースプレート 4A…側壁部
4a…連結部
5…カバープレート
6…サイドプレート
7…トップカバー 7A…側壁部
7a…連結部
8…電子部品カバー 8A…側壁部
8a…連結部
8B…天板
10…ケース 10A…ケース内面
11…排気ダクト
12…電池収納部
13…電子部品収納部
14…電極端子
15…開口部
16…貫通孔
17…止ネジ
19…コネクタ 19A…筒部
19B…筒部
20…冷却ダクト 20A…側部冷却ダクト
20B…中間冷却ダクト
21…セパレータ
22…エンドプレート
23…端子カバー
24…連結具
25…止ネジ
26…固定プレート 26A…突出部
30…アッセンブリー
31…固定プレート 31A…中央部
31B…外周部
32…ガイド溝
33…位置決め穴
34…ストッパ面
35…雌ねじ孔
36…凸部
40…パッキン 40A…対向部
41…凸条
42…嵌入凸条
43…係止部
44…貫通係止部 44A…フック部
50…アッセンブリー
51…固定プレート 51A…中央部
51B…外周部
53…位置決め部 53A…凹部
53B…切欠部
60…パッキン 60A…第1カバー部
60B…第2カバー部
60C…第3カバー部
61…凸条
63…係止部
64…溝形係止部
65…嵌入溝
66…位置決め凸部 66A…位置決め凸部
66B…位置決め凸部
70…アッセンブリー
71…固定プレート 71A…中央部
71B…外周部
72…ガイド溝
73…周壁
80…パッキン 80A…第1カバー部
80B…第2カバー部
80C…第3カバー部
81…凸条
82…嵌入凸条
83…係止部
84…溝形係止部
85…嵌入溝
93…モータ
94…発電機
95…インバータ
96…エンジン
100B…電源装置
100C…電源装置
HV…車両
EV…車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池(1)を収納しているケース(10)の開口部(15)に、防水構造でコネクタ(19)を固定してなる車両用の電源装置であって、
前記コネクタ(19)が防水構造で固定され、かつ前記ケース(10)の内側に固定されて、ケース(10)の開口部(15)を内側から閉塞してなる固定プレート(31)、(51)、(71)と、この固定プレート(31)、(51)、(71)とケース内面(10A)との間に挟着されて、固定プレート(31)、(51)、(71)とケース(10)との間を防水構造としてなるパッキン(40)、(60)、(80)とを備え、
前記パッキン(40)、(60)、(80)は、前記ケース内面(10A)に向かって突出する凸条(41)、(61)、(81)を有し、さらに、パッキン(40)、(60)、(80)は、凸条(41)、(61)、(81)よりもケース(10)の内部側にあって、固定プレート(31)、(51)、(71)の定位置に係止構造で連結する係止部(43)、(63)、(83)を有し、この係止部(43)、(63)、(83)が固定プレート(31)、(51)、(71)に係止されてパッキン(40)、(60)、(80)を固定プレート(31)、(51)、(71)の定位置に配置しており、
さらに、前記ケース(10)は、パッキン(40)、(60)、(80)に設けている凸条(41)、(61)、(81)よりもケース(10)の外部側に位置して止ネジ(17)を挿入する貫通孔(16)を有し、
前記固定プレート(31)、(51)、(71)は、この止ネジ(17)をねじ込んで固定する底を閉塞してなる雌ねじ孔(35)を有し、ケース(10)の貫通孔(16)に挿入してなる止ネジ(17)が、固定プレート(31)、(51)、(71)の雌ねじ孔(35)にねじ込まれて、前記固定プレート(31)、(51)、(71)がケース(10)の開口部(15)に防水構造で固定されてなる車両用の電源装置。
【請求項2】
前記パッキン(40)の係止部(43)が、前記固定プレート(31)に設けている位置決め穴(33)に挿入される貫通係止部(44)を有し、この貫通係止部(44)が固定プレート(31)の位置決め穴(33)に挿入されて、パッキン(40)が固定プレート(31)の定位置に連結されてなる請求項1に記載される車両用の電源装置。
【請求項3】
前記パッキン(60)、(80)の係止部(63)、(83)が、固定プレート(51)、(71)の外周縁を挟着する溝形である溝形係止部(64)、(84)を有し、前記固定プレート(51)、(71)の開口縁が溝形係止部(64)、(84)に挿入されて、パッキン(60)、(80)が固定プレート(51)、(71)の定位置に連結されてなる請求項1に記載される車両用の電源装置。
【請求項4】
前記パッキン(80)の係止部(83)が、開口部の幅を狭くする溝形である請求項3に記載される車両用の電源装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載される車両用の電源装置を搭載してなる車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−103259(P2011−103259A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−258443(P2009−258443)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】