説明

車両用ステアリング装置

【課題】車輪収納スペースを増やさずに舵角を大きくする。
【解決手段】車体メンバM1に対し車幅方向外向きに延びジョイントJ1を介して車両上下方向に揺動する用取付けられる第一サスペンションリンク3と、この第一サスペンションリンク3にキングピンP1を介して回動可能に繋がるナックル4と、ナックル4に回転可能に保持される車輪5と、ナックル4にジョイントJ2を介して揺動可能に連結され車輪5をピンP1周りに転舵させるタイロッド6を設ける。さらにナックル4とコントロールロッド7を介して繋がり固定軸P2回りに回転可能なアーム、および該アームと第一サスペンションリンク3とを連結して転舵時にアームの回動によって第一サスペンションリンク3の車輪5取付け側を車体方向外側に押し出す第二サスペンションリンク9とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングを介しての運転操作に基づき車輪をキングピン周りに回動させると共に当該車輪を車幅方向外向きに押し出す車両用ステアリング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用ステアリング装置には、車輪の収納スペースを拡大させることなく、車両の最大旋回量を増大させるため、ステアリングを介しての運転操作に基づき車輪をキングピン周りに転舵させると共に当該車輪を車幅方向外向きに押し出すものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005-53471号公報
【0003】
上記従来ステアリング装置は、図15に示す如く、サスペンションロアリンク21にジョイントJ1を介して回動可能に保持されるエクステンションリンク22と、このエクステンションリンク22の一端にキングピンP1を介して回動可能に保持されるナックル24と、このナックル24に回転可能に保持される車輪25と、この車輪25を保持するナックル24にタイロッド26を介して繋がり車体に固定軸P2を介して回動可能に保持されるアーム28と、このアーム28とエクステンションリンク22の他端とを連結するコントロールロッド27とを備え、アーム28を、リンクロッド23を介してステアリング1の操作に応じて車幅方向にストロークするラック2bに連結するものである。
【0004】
かかる構成によれば、ラック2bのストロークにより固定軸P2周りに回動するアーム28がタイロッド26を介して車輪25をキングピンP1周りに転舵させると共にエクステンションリンク22が車輪25を車幅方向外向きに押し出して、車輪の収納スペースを拡大させることなく、車両の最大旋回量を増大させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来装置は、ステアリング1を介しての運転操作に基づきアーム28を固定軸P2周りに回動させることによって車輪25の転舵とそれに伴う車輪25の押し出しとを同時に行うため、車輪25を転舵させるための動力伝達経路中には、ナックル24とタイロッド26とを連結するジョイントJ2、タイロッド26とアーム28とを連結するジョイントJ3、アーム28とリンクロッド23とを連結するジョイントJ4、リンクロッド23とラック2bとを連結するジョイントJ5及び、アーム28を回動可能に保持する固定軸P2とが介在する。
【0006】
このため、上記従来装置にあっては、固定軸P2やジョイントJ2〜J5でのフリクションにより、車輪25の転舵に伴い路面から受ける反力(グリップ力)をそのまま状態でラック2bに伝達することができず、ステアリングホイール1から受ける路面状態に応じたダイレクト感が弱まってしまう。
【0007】
また、上記従来装置は、ラック2bをアーム28に繋げるにあたって、このアーム28の固定軸P2周りの回動を許容すべく、ラック2bとアーム28との間をリンクロッド23で連結しているが、車両の旋回量を高めるべく十分なラックストロークを確保するには、ラック2bのラック本体を車幅方向に沿って十分長くとる必要がある。
【0008】
ところが、車両全体のレイアウトを変更することなく、ラック2bを十分長く取ろうとするとリンクロッド23を短くせざるを得ないため、車輪25の転舵に伴いラック2bとリンクロッド26との成す角度が大きくなり、ラック2bからの出力(ラックストローク)に対して車輪(ナックル24)25を転舵させる力が小さく、動力伝達効率の面で改善の余地がある。
【0009】
更に、上記上来装置は、アーム28の回動に基づいて車輪25を転舵させる構成であるため、ラックストロークを小さくするには、リンクロッド23とアーム28との連結点(ジョイントJ4)からアーム28の回動中心(固定軸P2中心)までの距離を大きく確保する必要があるが、かかる場合、アーム28の質量増大に伴う装置の重量化という問題や、アーム28の長大化に伴う収納スペースの確保という問題があった。
【0010】
本発明の解決すべき課題は、ステアリングを介しての運転操作に基づき車輪を転舵させると共に当該車輪を車幅方向外向きに押し出す車両用サスペンション装置において、ステアリングの操作に応じてストロークするラックにリンクロッドを介してアームを繋げ、このアームの回動を入力とすることによって生じる様々な問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の車両用ステアリング装置は、ステアリングを介しての運転操作に基づき車輪をキングピン周りに転舵させると共に当該車輪を車幅方向外向きに押し出す車両用ステアリング装置であって、車体メンバに車幅方向外向き及び車両上下方向に揺動可能に連結される第一サスペンションリンクと、この第一サスペンションリンクにキングピンを介して連結され当該キングピン周りに回動するナックルと、このナックルに回転可能に保持される車輪と、この車輪を保持するナックルに揺動可能に連結され当該車輪をキングピン周りに転舵させるタイロッドと、このタイロッドと前記ナックルを介して繋がり当該ナックルの回動に基づいて車幅方向にストロークするコントロールロッドと、このコントロールロッドに繋がり車体メンバを車両上下方向に延在する軸線周りに回動するアームと、このアームに繋がり当該アームの回動に基づいて車幅方向外向きにストロークする第二サスペンションリンクとを備え、この第二サスペンションリンクを、前記第一サスペンションリンクに揺動可能に連結すると共に、前記タイロッドを、前記ステアリングに繋がり当該ステアリングの操作に応じて車幅方向にストロークするラックに連結したことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第二サスペンションリンクを車幅方向に配置したことを特徴とするものである。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2において、前記アームを前記車体メンバで挟み込んで保持し、当該アームと前記第二サスペンションリンクとを前記車体メンバを介して、車両上下方向に延在する軸線周りに回動可能に軸支してなることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項において、前記第二サスペンションリンクは、前記第一サスペンションリンクを挟み込んでなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明は、ステアリングを操作すると、その操舵入力により、ラックが車幅方向にストロークし、このラックに連結されたタイロッドがナックルを介して車輪をキングピン周りにステアリングと同方向に転舵させる。このとき、ナックルにコントロールロッドを介して繋がるアームも、ナックルと同期して車両上下方向に延在する軸線周りに回動するため、アームに繋がる第二サスペンションリンクが第一サスペンションリンクを車幅方向外向きに押し出す。
【0016】
即ち、請求項1に記載の発明によれば、ステアリングを操作すると、車輪を転舵させることができると共に車幅方向外向きに押し出すことができる。かかる構成によれば、車輪の収納スペースを拡大させることなく、車両の最大旋回量を増大させることができる。加えて、かかる構成によれば、車輪の転舵角を大きく設定できることにより、車両の最小回転半径が小さくなるため、小回りが利き、車両取り回し性の向上が図れる。
【0017】
また、請求項1に記載の発明は、ステアリングを介しての運転操作に基づきタイロッドがラックのストロークを直接ナックルに伝達することによって車輪の転舵とそれに伴う車輪の押し出しとを行うため、車輪を転舵させるための動力伝達経路中にフリクションを発生する要素は、ナックルとタイロッドを連結するジョイントと、タイロッドとラックとを連結するジョイントとの2つで済む。
【0018】
これに対し、従来装置は、ステアリングを介しての運転操作に基づきアームを回動させることによって間接的に車輪の転舵とそれに伴う車輪の押し出しとを行うため、車輪を転舵させるための動力伝達経路中には、フリクション要素として、ナックルとタイロッドとを連結するジョイント、タイロッドとアームとを連結するジョイント、アームとリンクロッドとを連結するジョイント、リンクロッドとラックとを連結するジョイント及び、アームを回動可能に保持するジョイントとの計5つが必要となる。
【0019】
従って、請求項1に記載の発明によれば、車輪を転舵させるための動力伝達経路中に介在するフリクション要素が削減されるため、車輪の転舵に伴い路面から受ける反力(グリップ力)が、ステアリングに繋がるラックに伝達されるまでに減衰する量を小さく抑えることができるから、車輪を操舵した時にステアリングホイールから受ける路面状態に応じたダイレクト感が向上する。
【0020】
また、請求項1に記載の発明は、ラックとナックルとがタイロッドにより直結されているため、車両の旋回量を高めるべくラックを十分長く取ろうとする場合も、車両全体のレイアウトを変更することなく、タイロッドの長さを十分に確保できる。このため、ラックとタイロッドとの成す角度が小さく済むから、ラックストロークに対して車輪を転舵させる力を大きく確保することができ、ラックにより車輪を転舵させるにあたっての動力伝達効率が向上する。
【0021】
更に、請求項1に記載の発明は、アームを回動させることによって間接的に車輪を転舵させる構成ではないため、アームを長大化させる必要がなく、アームの質量増大に伴う装置の重量化という問題や、アームの長大化に伴う収納スペースの確保という問題が発生しない。
【0022】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第二サスペンションリンクを車幅方向に配置したため、操舵に対して車輪接地部分に生じる車幅方向の力(横力)を、当該第二サスペンションリンクに生じるその軸方向反力にて支配的に支持することができる。これにより、車両前後方向に発生する分力を小さくすることにより、車両前後方向の剛性に関わらず、車幅方向の剛性を高くすることができるから、高い操舵応答性を実現することができる。
【0023】
請求項3に記載の発明は、アームを車体メンバで挟み込んで保持し、このアームと第二サスペンションリンクとを車体メンバを介して、車両上下方向に延在する軸線周りに回動可能に軸支したことにより、アームを介して車体メンバに繋がる第二サスペンションリンクは、車体メンバに対して車両上下方向に揺動することなく、十分な剛性が確保される。即ち、かかる構成によれば、第一サスペンションリンクが車体メンバとの連結点とナックルとの連結点を結ぶ軸線周りで回転する等の現象を第二サスペンションリンクの剛性で抑制できるから、かかる剛性不足を考慮して第一サスペンションリンクと第二サスペンションリンクとの連結位置を設定する必要がない。従って、かかる構成によれば、第一サスペンションリンクと第二サスペンションリンクとの連結に関するレイアウト設計の自由度が向上する。
【0024】
また、請求項3に記載の発明は、アームを車体メンバで挟み込んで保持することでアームの車両高さ側両端をそれぞれ車体メンバで抑えることができるため、アームを車体メンバの一表面のみで保持する片持ち支持の構造で取り付けた場合に比べて、アームを取り付ける部分においての剛性が向上する。
【0025】
ところで、請求項1に記載の発明において、車体メンバとアーム、アームと第二サスペンションリンク、第二サスペンションリンクと第一サスペンションリンクをそれぞれ片持ち保持してタワー構造となる場合は、第二サスペンションリンクが車両上下方向に揺動したときの各構成要素との干渉を考慮して第二サスペンションリンクをその軸線に対して湾曲した形状とする必要があり、第二サスペンションリンクにおいて十分な強度を確保するには重量が増加してしまうこともある。
【0026】
これに対し、請求項4に記載の発明のように、第二サスペンションリンクが第一サスペンションリンクを挟み込んで保持すれば、アーム、第一サスペンションリンク及び第二サスペンションリンクが同一平面上に整列することになるため、第二サスペンションリンクを湾曲させる必要がなく、リンク全体としての強度が向上するから第二サスペンションリンクの軽量化を図ることができる。更に、アーム、第一サスペンションリンク及び第二サスペンションリンクが同一平面上に整列すれば、各部材を支持するための構造が各部材が重なり合ったタワー構造とならないため、省スペース化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明である車両用ステアリング装置の第一形態を示す模式平面図である。本形態は、ストラット型フロントサスペンションに、ラックピニオン式ステアリングギア機構を組み合わせた装置であり、図2に、同形態の左前輪側部分を示す。
【0028】
図1において、符号1は、運転者が車両の進行方向を変更するために操作するステアリングホイールである。このステアリングホイール1は、ステアリングシャフト1aを介してラックピニオン式ステアリングギア機構2に繋がる。このギア機構2は、ステアリングシャフト1aに固定されるピニオン2aと、このピニオン2aが噛合してステアリングホイール1の回転に応じて車幅方向にストロークするラック2bからなる。
【0029】
符号M1は、車両前後方向に沿って伸びる車体メンバである。この車体メンバM1には、ジョイントJ1を介して第一サスペンションリンク3の一端が連結されている。このため、第一サスペンションリンク3は、ジョイントJ1を基点に車幅方向外向き及び車両高さ(車両上下)方向(図面垂直方向)に揺動する。また、第一サスペンションリンク3の他端には、車両高さ方向に延在するキングピンP1を介してナックル4が連結されている。ナックル4は、キングピンP1周りに回動し、車輪5を回転可能に保持するアクスル4sを有する。
【0030】
また、ナックル4には、車両後方向(図面下方向)に伸びる第一ナックルアーム4aが設けられている。このナックルアーム4aの先端には、ジョイントJ2を介してタイロッド6の一端が揺動可能に連結されている。このタイロッド6はまた、その他端がラック2bの端部にジョイントJ3を介して揺動可能に連結されている。これにより、ステアリングホイール1を操作すると、その入力によりラック2bが車幅方向にストロークし、このラック2bに連結されたタイロッド6がナックル4を介して車輪5をキングピンP1周りにステアリング1と同方向に転舵させることができる。
【0031】
更にナックル4には、車両前方向(図面上方向)に伸びる第二ナックルアーム4bが設けられている。このナックルアーム4bの先端には、ジョイントJ4を介してコントロールロッド7の一端が揺動可能に連結されている。このコントロールロッド7は、ナックル4のキングピンP1周りの回動に基づいて車幅方向にストロークし、その他端がジョイントJ5を介してほぼL字形のアーム8の一端に揺動可能に連結されている。符号M2は、車体メンバM1と直交して車幅方向に伸びる車体メンバである。車体メンバM2は、車両高さ方向に延在する固定軸P2を介してアーム8を回動可能に保持する。これにより、ナックル4をキングピンP1周りに回動させると、この回動に基づくコントロールロッド7のストロークにより、アーム8もナックル4に同期して固定軸P2周りに回動する。
【0032】
符号9は、第一サスペンションリンク3とアーム8とを連結する第二サスペンションリンクである。この第二サスペンションリンク9は、固定軸P2よりも車幅方向内側において、その一端がジョイントJ6を介してアーム8の他端に揺動可能に連結されると共に、その他端がジョイントJ7を介して第一サスペンションリンク3に揺動可能に連結される。かかる構成によれば、ジョイントJ6が固定軸P2よりも車幅方向内側に配置されているため、アーム8がいずれの方向に回動しても、アーム8と第二サスペンションリンク9のジョイントJ6は車幅方向外向きに移動する。これにより、アーム8がナックル4の回動に同期して固定軸P2周りに回動すると、このアーム8の回動に基づき、第二サスペンションリンク9が車幅方向外向きにストロークして第一サスペンションリンク3を車幅方向外向きに押し出す。
【0033】
図3は、運転者が車両を左旋回させるべく、ステアリングホイール1を左向きに回転させた際の本形態の動作を説明する模式平面図である。
【0034】
本形態は、図3に示す如く、ステアリングホイール1を左回りに回転させると、その操舵入力により、ラック2bが車幅方向内側(図面右方向)にストロークするため、タイロッド6がナックル4を介して車輪5をキングピンP1周りにステアリング1と同方向の左回りに転舵させる。このとき、ナックル4にコントロールロッド6を介して繋がるアーム8も、ナックル4と同期して固定軸P2周りを左回りに回動するため、アーム8に繋がる第二サスペンションリンク9が第一サスペンションリンク3を車幅方向外向きに押し出す。即ち、本形態によれば、左前輪が旋回内輪となり、ステアリングホイール1が左向きに回転すると、車輪15を左回りに転舵できると共に車幅方向外向きに押し出すことができる。
【0035】
これに対し、図4は、運転者が車両を右旋回させるべく、ステアリングホイール1を右向きに回転させた際の本形態の動作を説明する模式平面図である。
【0036】
本形態は、図4に示す如く、ステアリングホイール1を右回りに回転させると、その操舵入力により、ラック2bが車幅方向外側(図面左方向)にストロークするため、タイロッド6がナックル4を介して車輪5をキングピンP1周りにステアリング1と同方向の右回りに転舵させる。このとき、ナックル4にコントロールロッド6を介して繋がるアーム8も、ナックル4と同期して固定軸P2周りを右回りに回動するため、アーム8に繋がる第二サスペンションリンク9が第一サスペンションリンク3を車幅方向外向きに押し出す。即ち、本形態によれば、ステアリングホイール1が右回りに回転すると、左前輪が旋回外輪となり、車輪5を右回りに転舵できると共に車幅方向外向きに押し出すことができる。
【0037】
かかる構成によれば、車輪5の転舵に伴い当該車輪5を車幅方向外向きに押し出すことができるため、車輪5の収納スペースを拡大させることなく、車両の最大旋回量を増大させることができる。加えて、かかる構成によれば、車輪5の転舵角を大きく設定できることにより、車両の最小回転半径が小さくなるため、小回りが利き、車両取り回し性の向上が図れる。
【0038】
また、本形態は、ステアリングホイール1を介しての運転操作に基づきタイロッド6がラック2bのストロークを直接ナックル4に伝達することによって車輪5の転舵とそれに伴う車輪5の押し出しとを行うため、車輪5を転舵させるための動力伝達経路中にフリクションを発生する要素は、ナックル4とタイロッド6を連結するジョイントJ2と、タイロッド6とラック2bとを連結するジョイントJ3との2つで済む。
【0039】
これに対し、図8の従来装置は、ステアリングホイール1を介しての運転操作に基づきアーム28を固定軸P2周りに回動させることによって間接的に車輪25の転舵とそれに伴う車輪25の押し出しとを行うため、車輪25を転舵させるための動力伝達経路中には、フリクション要素として、ナックル24とタイロッド26とを連結するジョイントJ2、タイロッド26とアーム28とを連結するジョイントJ3、アーム28とリンクロッド23とを連結するジョイントJ4、リンクロッド23とラック2bとを連結するジョイントJ5及び、アーム28を回動可能に保持する固定軸P2との計5つが必要となる。
【0040】
従って、本形態によれば、車輪5を転舵させるための動力伝達経路中に介在する3つのフリクション要素が削減されるため、車輪5の転舵に伴い路面から受ける反力(グリップ力)が、ラック2bに伝達されるまでに減衰する量を小さく抑えることができるから、車輪5を操舵した時にステアリングホイール1から受ける路面状態に応じたダイレクト感が向上する。
【0041】
また、本形態は、ラック2bとナックル4とがタイロッド6により直結されているため、車両の旋回量を高めるべくラック2bを十分長く取ろうとすると場合も、車両全体のレイアウトを変更することなく、タイロッド6の長さを十分に確保できる。このため、ラック2bとタイロッド6との成す角度が小さく済むから、ラックストロークに対して車輪5を転舵させる力を大きく確保することができ、ラック2bにより車輪5を転舵させるにあたっての動力伝達効率が向上する。
【0042】
ところで、従来装置は、図8に示す如く、アーム28を固定軸P2周りに回動させることによって間接的に車輪25の転舵とそれに伴う車輪25の押し出しとを行う構成であるため、ラック2bの出力(ラックストローク)を一般的な構造のステアリング装置と同等以下にするには、少なくとも、固定軸P2からジョイントJ4までの距離L2を、キングピンP1からジョイントJ2までの距離(所謂、ナックルアーム半径)L3よりも長くする必要がある。
【0043】
しかしながら、一般的な構造のステアリング装置におけるナックルアーム半径は、通常、120mm程度のあるため、上記構成を採用する場合、アーム28も120mm以上のアーム長L1が必要となり、鉄鋼材料でアームを製造する場合、約2.5kg程度の質量となる。
【0044】
これに対し、本形態では、一般的な構造のステアリング装置と同様に、ラック2bのストロークによって間接的に車輪5を転舵させる構造になっており、アーム8は、車輪5の転舵を生起するものではなく、車輪5の転舵によって第二サスペンションリンク9を車幅方向外向きに押し出す機能のみを有する。従って、アーム8の最大アーム長L1は、60mm程度とすることが可能になり、また、リンクロッド23等の連結部位を必要としないことから、アーム8の軽量化が図れ、アーム8を鉄鋼材料で製造した場合、約2kg程度の質量となる。加えて、本形態では、従来用いたリンクロッド23やエクステンションロッド22が不要になることから、3kg程度の軽量化が図れる。
【0045】
即ち、本形態は、アーム8を回動させることによって間接的に車輪5を転舵させる構成ではないため、アーム8を長大化させる必要がなく、アーム8の質量増大に伴う装置の重量化という問題や、長大化したアーム8を回動させるためのスペースの確保という問題が発生しない。
【0046】
また、本発明にあっては、車輪5の接地部分からの車幅方向への入力に対して最も高い剛性を確保するためには、第二サスペンションリンク9を車幅方向に平行に配置することが重要である。このため、本形態では、車輪5が転舵することなく、車両前後方向に平行な状態において、第二サスペンションリンク9を車幅方向に配置している。
【0047】
かかる構成によれば、操舵に対して車輪5の接地部分に生じる車幅方向の力(横力)を、第二サスペンションリンク9に生じるその軸方向反力にて支配的に支持することができる。これにより、車両前後方向に発生する分力を小さくすることにより、車両前後方向の剛性に関わらず、車幅方向の剛性を高くすることができるから、高い操舵応答性を実現することができる。従って、第二サスペンションリンク9を車幅方向に配置すれば、操舵応答性の向上が図れ、或いは、操舵応答性を十分に確保しつつ、第一サスペンションリンク3の取付部(固定軸P2)の車両前後方向に寄与するブッシュ剛性を低く設定することができ、乗り心地感が向上すると共にロードノイズの軽減が図れる。
【0048】
なお、本発明は、本形態の如く、第二サスペンションリンク9の端部がそれぞれ、ジョイントJ6を介してアーム8に、また、ジョイントJ7を介して第一サスペンションリンク3 上に連結されている場合、図2に示す如く、第一サスペンションリンク3と車体メンバB1との連結点(ジョイントJ1の中心)A、第一サスペンションリンク3とナックル4との連結点(キングピンP1の中心)B、アーム8と第二サスペンションリンク9との連結点(ジョイントJ6の中心)C及び第二サスペンションリンク9と第一サスペンションリンク3との連結点(ジョイントJ7の中心)Dを同一平面上に配置するか、或いは、連結点Dが連結点A,Bを結ぶ軸線O上に同軸配置するかの少なくとも一方を選択することが好ましい。かかる構成によれば、車輪接地面から大きな入力があった場合等においても、軸線O周辺を補強等として別途剛性を高めることなく、当該軸線O周りの回転を抑制することができる。
【0049】
図5は、本発明の第二形態であって、その左前輪側部分を示す要部模式図である。なお、本形態において、図1〜4と同一部分は、同一符号を以ってその説明を省略する。
【0050】
本形態は、第一サスペンションリンク3を車両前方に配置したものである。かかる構成によっても、第一形態と同様の作用効果が得られる。なお、図5において、車両を左に旋回する場合は、実線で示す矢印の方向に動力が伝達されることにより、かかるナックル4で保持された車輪5が旋回内輪になり、車両を右に旋回する場合は、破線で示す矢印の方向に動力が伝達されることにより、かかるナックル4で保持された車輪5が旋回外輪になる。
【0051】
図6は、本発明の第三形態であって、その左前輪側部分を示す要部模式図である。なお、本形態においても、図1〜4と同一部分は、同一符号を以ってその説明を省略する。
【0052】
本形態は、タイロッド6を車両前方に配置すると共に、コントロールロッド7を車両後方に配置したものである。かかる構成によっても、第一形態と同様の作用効果が得られる。なお、図6においても、車両を左に旋回する場合は、実線で示す矢印の方向に動力が伝達されることにより、かかるナックル4で保持された車輪5が旋回内輪になり、車両を右に旋回する場合は、破線で示す矢印の方向に動力が伝達されることにより、かかるナックル4で保持された車輪5が旋回外輪になる。
【0053】
図7は、本発明の第四形態であって、その左前輪側部分を示す要部模式図である。なお、本形態においても、図1〜4と同一部分は、同一符号を以ってその説明を省略する。
【0054】
本形態は、コントロールロッド7を第一ナックルアーム4aに連結したものである。かかる構成によっても、第一形態と同様の作用効果が得られる。特に、本形態の場合、ナックル4には第二ナックルアーム4bが不要となるため、当該ナックル4は、一般的なサスペンション装置に用いられるナックルとほぼ同等の質量で設計できるから、更なる軽量化が可能となる。なお、図7においても、車両を左に旋回する場合は、実線で示す矢印の方向に動力が伝達されることにより、かかるナックル4で保持された車輪5が旋回内輪になり、車両を右に旋回する場合は、破線で示す矢印の方向に動力が伝達されることにより、かかるナックル4で保持された車輪5が旋回外輪になる。
【0055】
図8は、本発明の第五形態を示す模式平面図であり、図2に、同形態の左前輪側部分を示す。なお、本形態において、他の形態と同一部分は同一符号をもって説明する。
【0056】
符号10は、車両前後方向に沿って伸びる車体メンバである。この車体メンバ10には、第一形態と同様、ジョイントJ1を介して後述する第一サスペンションリンク30の一端が連結されている。このため、第一サスペンションリンク30は、ジョイントJ1を基点に車幅方向外向きに揺動する。また、第一サスペンションリンク30の他端にも、第一形態と同様、車両高さ方向に延在するキングピンP1を介してナックル4が連結されている。これにより、本形態も、第一形態と同様、ステアリングホイール1を操作すると、タイロッド6がナックル4を介して車輪5をキングピンP1周りにステアリング1と同方向に転舵させることができる。
【0057】
更に、本形態は、第一形態と同様、第二ナックルアーム4bの先端には、ジョイントJ4を介してコントロールロッド7の一端が揺動可能に連結されており、このコントロールロッド7の他端がジョイントJ5を介してほぼL字形のアーム8の一端に揺動可能に連結されている。
【0058】
ここで、図10は、第一サスペンションリンク30とアーム8との関係を模式的に示す拡大断面図であり、図11は、第一サスペンションリンク30とアーム8との関係を示す斜視図である。
【0059】
図10,11に示すように、車体メンバ10は、その外側面にアーム8を収納する収納凹部N1が形成されている。この収納凹部N1に収納されたアーム8は、メンバ上部11とメンバ下部12とにより挟み込まれ、車両高さ方向Oy(図10参照。)に延在する固定軸P2を介して回動可能に保持される。これにより、ナックル4をキングピンP1周りに回動させると、この回動に基づくコントロールロッド7のストロークにより、アーム8も車体メンバ10内にてナックル4に同期して固定軸P2周りに回動する。
【0060】
符号90は、第一サスペンションリンク30とアーム8とを連結する第二サスペンションリンクである。この第二サスペンションリンク90の一端には、車体メンバ10に差し込むための差し込み凹部N2が形成されている。第二サスペンションリンク90は、その上側リンク後部91及び下側リンク後部92で車体メンバ10を挟み込み、車両高さ方向Oyに延在するスライド軸P3で車体メンバ10内に収納されたアーム8と一体に連結される。このスライド軸P3は、図11に示すように、メンバ上部11及びメンバ下部12に設けたガイド孔Gに沿って移動することができる。
【0061】
ガイド孔Gは、図10に示すように、固定軸P2よりも車幅方向内側(図面右側)において、第二サスペンションリンク90の一端がスライド軸P3を介してアーム8の他端に揺動可能に連結されるように配置される。また、第二サスペンションリンク90の他端には、その外側面に第一サスペンションリンク30の突出部31を差し込んで保持するための差し込み凹部N3が形成されている。この凹部N3には、第一サスペンションリンク30の突出部31を揺動可能に保持するジョイントJ6が設けられている。ジョイントJ6は、第二サスペンションリンクの上側リンク前部93及び下側リンク前部94と、これら上側リンク前部93及び下側リンク前部94の間に揺動可能に保持されるボール部B6からなり、このボール部B6を介して第一サスペンションリンク30の突出部31が揺動可能に連結される。
【0062】
かかる構成によれば、スライド軸P3が固定軸P2よりも車幅方向内側に配置されているため、アーム8が収納凹部N1内で固定軸P2周りに回動すると、アーム8と第二サスペンションリンク90とを連結するスライド軸P3もガイド孔Gに沿ってアーム8に追従する。これにより、アーム8がナックル4の回動に同期して固定軸P2周りに回動すると、このアーム8の回動に基づき、第二サスペンションリンク90が車幅方向外向きにストロークして第一サスペンションリンク30を車幅方向外向きに押し出す。
【0063】
図12は、運転者が車両を左旋回させるべく、ステアリングホイール1を左向きに回転させた際の本形態の動作を説明する模式平面図である。
【0064】
本形態は、図12に示す如く、ステアリングホイール1を左回りに回転させると、その操舵入力により、ラック2bが車幅方向内側(図面右方向)にストロークするため、タイロッド6がナックル4を介して車輪5をキングピンP1周りにステアリング1と同方向の左回りに転舵させる。このとき、ナックル4にコントロールロッド6を介して繋がるアーム8も、ナックル4と同期して固定軸P2周りをガイド孔Gに沿って左回りに回動するため、アーム8に繋がる第二サスペンションリンク90が第一サスペンションリンク30を車幅方向外向きに押し出す。即ち、本形態によれば、左前輪が旋回内輪となり、ステアリングホイール1が左向きに回転すると、車輪15を左回りに転舵できると共に車幅方向外向きに押し出すことができる。
【0065】
これに対し、図13は、運転者が車両を右旋回させるべく、ステアリングホイール1を右向きに回転させた際の本形態の動作を説明する模式平面図である。
【0066】
本形態は、図13に示す如く、ステアリングホイール1を右回りに回転させると、その操舵入力により、ラック2bが車幅方向外側(図面左方向)にストロークするため、タイロッド6がナックル4を介して車輪5をキングピンP1周りにステアリング1と同方向の右回りに転舵させる。このとき、ナックル4にコントロールロッド6を介して繋がるアーム8も、ナックル4と同期して固定軸P2周りをガイド孔Gに沿って右回りに回動するため、アーム8に繋がる第二サスペンションリンク90が第一サスペンションリンク30を車幅方向外向きに押し出す。即ち、本形態によれば、ステアリングホイール1が右回りに回転すると、左前輪が旋回外輪となり、車輪5を右回りに転舵できると共に車幅方向外向きに押し出すことができる。
【0067】
かかる構成によれば、車輪5の転舵に伴い当該車輪5を車幅方向外向きに押し出すことができるため、第一形態と同様の作用効果を奏する。
【0068】
ここで、第一形態の構成の場合、図2を参照して既に述べたように、連結点A、連結点B、連結点C及び連結点Dを同一平面上に配置するか、或いは、連結点Dが連結点A,Bを結ぶ軸線O上に同軸配置するかの少なくとも一方を選択しなければ、車輪5が路面から受けるグリップ力の入力等により、第一サスペンションリンク3は、軸線Oを中心に軸回転してしまう現象が起こる場合があり、その対策として各連結点A〜Dを適切な位置にレイアウトする以外には、十分な剛性を確保する必要がある。
【0069】
また、かかる構成の場合、第二サスペンションリンク9がジョイントJ6によりアーム8に対して揺動可能に保持されるため、車輪5からの入力によるナックル4の車両高さ方向の揺動に伴い、第二サスペンションリンク9は、アーム側取り付け点(ジョイントJ6)を中心に車両高さ方向に揺動する。この場合、車体メンバM2及びアーム8の間、又は、アーム8及び第二サスペンションリンク9の間は、その一表面のみで保持した片持ち支持の構造で取り付けざるを得ないため、これら取り付け部の剛性を十分に確保することが困難である。
【0070】
これに対し、第五形態は、アーム8を車体メンバ10のメンバ上部11とメンバ下部12とで挟み込んで保持し、このアーム8と第二サスペンションリンク90とを車体メンバ10を介して、スライド軸P3を介して車両高さ方向に伸びる軸線Oy周りに回動可能に軸支したことにより、アーム8を介して車体メンバ10に繋がる第二サスペンションリンク90は、車体メンバ10に対して車両高さ方向に揺動することなく、十分な剛性が確保される。即ち、かかる構成によれば、第一サスペンションリンク30が軸線O周りで回転する等の現象を第二サスペンションリンク90の剛性で抑制できるから、かかる剛性不足を考慮して第一サスペンションリンク30と第二サスペンションリンク90との連結位置を設定する必要がない。従って、かかる構成によれば、第一サスペンションリンク30と第二サスペンションリンク90との連結に関するレイアウト設計の自由度が向上する。
【0071】
また、本形態は、アーム8を車体メンバ10のメンバ上部11及びメンバ下部12で挟み込んで保持することでアーム8の車両高さ側両端をそれぞれ車体メンバ10で抑えることができるため、アーム8を車体メンバ10の一表面のみで保持した片持ち支持の構造で取り付けた場合に比べて、アームを取り付ける部分においての剛性が向上する。
【0072】
更に、図14は、第一形態における、第一サスペンションリンク3とアーム8との関係を模式的に示す拡大断面図である、図14に示す構成の場合、第二サスペンションリンク9が揺動したときにアーム8と干渉することを防ぐためには、第二サスペンションリンク9を大きく湾曲した形状とする必要があり、十分な強度を確保するには重量が増加してしまうという問題がある。
【0073】
これに対し、第五形態のように、第二サスペンションリンク90が第一サスペンションリンク30を挟み込んで保持すれば、アーム8、第一サスペンションリンク30及び第二サスペンションリンク90が同一平面上に整列することになるため、第二サスペンションリンクを湾曲させる必要がなく、リンク全体としての強度が向上するから第二サスペンションリンクの軽量化を図ることができる。更に、アーム8、第一サスペンションリンク30及び第二サスペンションリンク90が同一平面上に整列すれば、各部材を支持するための構造が図14に示すようなタワー構造とならないため、省スペース化を図ることができる。
【0074】
なお、本発明は、図14に示すようなタワー構造を排除するものではなく、第一形態は、その変形例として、突出部3aを設けた第一サスペンションリンク30を採用してもよい。即ち、上述した第一〜第五形態の各要素は、用途に応じて様々に組み合わせることができる。また、本発明は、請求の範囲内において様々な変更を加えることができる。例えば、ジョイントJ1〜J6は、各要素間を相対運動可能に連結するものであればよく、ボールジョイント等の自在継手、軸周りの回転を許容するピン継手、或いは、車両上下方向に取り付けられる軸(ピン)等を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明である車両用ステアリング装置の第一形態を示す模式平面図である。
【図2】同形態の左前輪側部分を示す模式平面図である。
【図3】同形態において、運転者が車両を左旋回させるべく、ステアリングホイールを左向きに回転させた際の動作を説明する模式平面図である。
【図4】同形態において、運転者が車両を右旋回させるべく、ステアリングホイールを右向きに回転させた際の動作を説明する模式平面図である。
【図5】本発明の第二形態であって、その左前輪側部分を示す要部模式図である。
【図6】本発明の第三形態であって、その左前輪側部分を示す要部模式図である。
【図7】本発明の第四形態であって、その左前輪側部分を示す要部模式図である。
【図8】本発明の第五形態を示す模式平面図である。
【図9】同形態の左前輪側部分を示す模式平面図である。
【図10】同形態において、第一サスペンションリンクとアームとの関係を模式的に示す拡大断面図である。
【図11】同形態において、第一サスペンションリンクとアームとの関係を示す斜視図である。
【図12】同形態において、運転者が車両を左旋回させるべく、ステアリングホイールを左向きに回転させた際の動作を説明する模式平面図である。
【図13】同形態において、運転者が車両を右旋回させるべく、ステアリングホイールを右向きに回転させた際の動作を説明する模式平面図である。
【図14】同参照技術における、第一サスペンションリンクとアームとの関係を模式的に示す拡大断面図である。
【図15】従来のステアリング装置であって、その左前輪側部分を示す要部模式図である。
【符号の説明】
【0076】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングギア機構
2a ピニオン
2b ラック
3 第一サスペンションリンク
4 ナックル
4a 第一ナックルアーム
4b 第二ナックルアーム
4s アクスル
5 車輪
6 タイロッド
7 コントロールロッド
8 アーム
9 第二サスペンションリンク
10 車体メンバ
11 メンバ上部
12 メンバ下部
30 第一サスペンションリンク
90 第二サスペンションリンク
91 上側リンク後部
92 下側リンク後部
93 上側リンク前部
94 下側リンク前部
G ガイド孔
J1〜J6 ジョイント
M1 車体メンバ
M2 車体メンバ
N1 収納凹部
N2 差し込み凹部
N3 差し込み凹部
P1 キングピン
P2 固定軸
P3 スライド軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングを介しての運転操作に基づき車輪をキングピン周りに転舵させると共に当該車輪を車幅方向外向きに押し出す車両用ステアリング装置であって、
車体メンバに車幅方向外向き及び車両上下方向に揺動可能に連結される第一サスペンションリンクと、この第一サスペンションリンクにキングピンを介して連結され当該キングピン周りに回動するナックルと、このナックルに回転可能に保持される車輪と、この車輪を保持するナックルに揺動可能に連結され当該車輪をキングピン周りに転舵させるタイロッドと、このタイロッドと前記ナックルを介して繋がり当該ナックルの回動に基づいて車幅方向にストロークするコントロールロッドと、このコントロールロッドに繋がり車体メンバを車両上下方向に延在する軸線周りに回動するアームと、このアームに繋がり当該アームの回動に基づいて車幅方向外向きにストロークする第二サスペンションリンクとを備え、
この第二サスペンションリンクを、前記第一サスペンションリンクに揺動可能に連結すると共に、前記タイロッドを、前記ステアリングに繋がり当該ステアリングの操作に応じて車幅方向にストロークするラックに連結したことを特徴とする車両用ステアリング装置。
【請求項2】
前記第二サスペンションリンクを車幅方向に配置したことを特徴とする請求項1に記載の車両用ステアリング装置。
【請求項3】
前記アームを前記車体メンバで挟み込んで保持し、当該アームと前記第二サスペンションリンクとを前記車体メンバを介して、車両上下方向に延在する軸線周りに回動可能に軸支してなることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ステアリング装置。
【請求項4】
前記第二サスペンションリンクは、前記第一サスペンションリンクを挟み込んでなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用ステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−38974(P2007−38974A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−227885(P2005−227885)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】