説明

車両用ブレーキ液圧制御装置

【課題】部材同士の納まりがよく、小型化を図る。
【解決手段】ダミーシリンダ30を含むストロークシミュレータSiとを備えた車両用ブレーキ液圧制御装置であって、ブレーキ系統に対応する流路が構成された基体100と、基体100の一方の面に取り付けられ、流路におけるブレーキ液の流れを制御する複数の電磁弁31,X,41〜43,52,53と、基体100の一方の面の背面側となる他方の面に取り付けられたモータ200と、基体100の一方の面に隣接する側面に取り付けられてモータ200により駆動され、流路にブレーキ液を吐出するポンプ47A,47Bと、を備え、ダミーシリンダ30およびポンプ47A,47Bは、互いに長手方向の軸線O1,O2を略平行にして基体100に並設されている構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ブレーキ制御装置に関する。特に、主として自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)などバーハンドルタイプの車両に搭載可能な車両用ブレーキ液圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動二輪車等の車両の前輪と後輪との連動ブレーキにおける制動力を、ポンプによる液圧の加圧によって制御するようにした車両用ブレーキ液圧制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、ブレーキ操作子の操作に応じた操作反力をブレーキ操作子に付与するストロークシミュレータを有している。
【0003】
特許文献1に開示されている車両用ブレーキ液圧制御装置は、電気式ブレーキ液圧制御モードと機械式ブレーキ液圧制御モードとを備えており、電気式ブレーキ液圧制御モードの実行時には、ストロークシミュレータを作用させてブレーキ操作子の操作に応じた操作反力をブレーキ操作子に付与するようにしている。また、電気式ブレーキ液圧制御モードの実行に異常が発生したときには、電気式ブレーキ液圧制御モードに係る構成要素をオフにして、機械式ブレーキ液圧制御モードに移行し、ブレーキ操作量に対応したブレーキ液圧をホイールシリンダに直接供給することで、フェイルセーフ機能を実現できるように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−264787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記従来の車両用ブレーキ液圧制御装置では、ブレーキ操作子の操作に応じた操作反力を得るために、ストロークシミュレータにブレーキ液を貯留するためのダミーシリンダを設けている。ところが、所定の操作反力を得るためには、ダミーシリンダに所定の容積を持たせる必要があり、このようなダミーシリンダを車両用ブレーキ液圧制御装置の基体に設けようとすると、他のポンプ等の容積を必要とする部材等との干渉を回避する必要性が生じて、装置全体が大型化するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、部材同士の納まりがよく、小型化を図ることができる車両用ブレーキ液圧制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために創案された本発明は、車輪ブレーキを制動するためのブレーキ系統と、ブレーキ操作子の操作に応じた操作反力を前記ブレーキ操作子に付与するためのダミーシリンダを含むストロークシミュレータとを備えた車両用ブレーキ液圧制御装置であって、前記ブレーキ系統に対応する流路が構成された基体と、前記基体の一方の面に取り付けられ、前記流路におけるブレーキ液の流れを制御する複数の電磁弁と、前記基体の前記一方の面の背面側となる他方の面に取り付けられたモータと、前記基体の前記一方の面に隣接する側面に取り付けられて前記モータにより駆動され、前記流路にブレーキ液を吐出するポンプと、を備え、前記ストロークシミュレータの前記ダミーシリンダおよび前記ポンプは、互いに長手方向の軸線を略平行にして前記基体に並設されていることを特徴とする。
【0008】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、ストロークシミュレータにおいて所定の操作反力を得るために大きな容積が必要となるダミーシリンダと、同じく、基体における収容スペースを比較的多く必要とするポンプとが、互いに長手方向の軸線を略平行にして基体に並設されているので、基体内で大きなスペースを占有する部材同士の納まりがよくなり、省スペース化が図れて装置の大型化の防止に寄与する。
【0009】
また、本発明は、前記流路として、マスタシリンダから前記車輪ブレーキ側に通じる出力液圧路を有し、前記ポンプの作動時に前記出力液圧路を遮断する遮断弁と、前記流路に設けられ、ブレーキ液を貯留するリザーバと、前記ブレーキ操作子の操作により前記遮断弁よりも前記マスタシリンダ側に発生するブレーキ液圧を受けてストロークする加圧ピストンにて、少なくとも前記車輪ブレーキに通じる液圧路に圧力を付与する加圧部材と、を備え、前記リザーバおよび前記加圧部材は、前記基体の前面および後面のうち他方の面から前記基体に装着される構成としてもよい。
【0010】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、マスタシリンダから車輪ブレーキ側に通じる出力液圧路が、ポンプの作動時に遮断弁によって遮断される構成を基体が備えており、基体に装着される部材のうち、比較的収容スペースを必要とするリザーバおよび加圧部材が、基体の前面および後面のうち他方の面から基体に装着されるようになっているので、その分の空いたスペースを流路の形成や他の部材の配置に利用することができ、装置の小型化を図ることができる。
【0011】
さらに、本発明は、前記流路に設けられたレギュレータと前記加圧部材との背圧側に、ブレーキ液を収容する低圧アキュームレータを設け、前記基体の下部に前記低圧アキュームレータを配置した構成としてもよい。
【0012】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、流路に設けられたレギュレータと加圧部材との背圧側に、ブレーキ液を収容する低圧アキュームレータが設けられているので、この低圧アキュームレータに背圧側のブレーキ液を貯留することができる。そして、この低圧アキュームレータは、基体の下部に設けられているので、レイアウト上、ブレーキ液を貯留するためのスペースを確保し易く、よって、低圧アキュームレータの容量の設定がし易い。
【0013】
また、本発明は、前記モータの上位置に前記ストロークシミュレータが配置され、前記モータの下位置に前記加圧部材および前記リザーバが配置され、前記基体が、これらの前記ストロークシミュレータ、前記加圧部材および前記リザーバを収容して、側面視でコ字形状を呈する構成とするのがよい。
【0014】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、モータの上側と下側のスペースを有効に利用して、各部材を配置することができる。つまり、モータの上側および下側に無駄なスペースが形成されず、効率の良い部品配置が実現でき、一層の小型化を可能とする。
【0015】
さらに、本発明の前記加圧部材は、有底の凹状ハウジング内に前記遮断弁よりも前記マスタシリンダ側に発生するブレーキ液圧を受けてストロークする前記加圧ピストンを備えてなり、前記低圧アキュームレータは、前記加圧部材の底部側および前記リザーバの底部側に設けられている構成とするのがよい。
【0016】
かかる車両用ブレーキ液圧制御装置によると、低圧アキュームレータは、加圧部材の底部側およびリザーバの底部側に設けられているので、基体の下部回りにおける部品相互間の干渉を防止して効率の良い部品配置を実現できる。したがって、これらの部材の容積を大きくしてブレーキ液の貯留性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る車両用ブレーキ液圧制御装置によると、容積を必要とするストロークシミュレータのダミーシリンダを備える構成でありながらも、装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
参照する図面において、図1は本発明の一実施形態に係る低圧アキュームレータが適用される車両用ブレーキ液圧制御装置を示す分解斜視図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の低圧アキュームレータが適用される車両用ブレーキ液圧制御装置(以下、「ブレーキ液圧制御装置」という。)Uは、自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)などバーハンドルタイプの車両に好適に用いられるものであり、基体(ポンプボディ)100と、基体100の後面に組み付けられるモータ200と、基体100の前面に組み付けられるコントロールハウジング300と、コントロールハウジング300に収容される制御装置400とを備えて構成されている。
【0020】
ブレーキ液圧制御装置Uは、図21に示す液圧回路を具現化したものであり、二つのブレーキ系統K1,K2を備えて構成され、前輪に装着された車輪ブレーキB1および後輪に装着された車輪ブレーキB2に付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御することによって、車輪ブレーキB1,B2の独立したアンチロックブレーキ制御および二つの車輪ブレーキB1,B2を連動させる連動ブレーキ制御が可能になっている。
【0021】
一方のブレーキ系統K1は、前輪を制動するためのものであり、入口ポート21から出口ポート22に至る系統である。なお、入口ポート21には、液圧源であるマスタシリンダC1に至る配管H21が接続され、出口ポート22には、前輪の車輪ブレーキB1に至る配管H22が接続される。
【0022】
他方のブレーキ系統K2は、後輪を制動するためのものであり、入口ポート23から出口ポート24に至る系統である。なお、入口ポート23には、マスタシリンダC1とは別の液圧源であるマスタシリンダC2に至る配管H23が接続され、出口ポート24には、後輪の車輪ブレーキB2に至る配管H24が接続される。
【0023】
なお、マスタシリンダC1,C2は、ブレーキ液を貯蔵するブレーキ液タンク室が接続された図示しないシリンダを有しており、シリンダ内にはブレーキ操作子であるブレーキレバーL1,ブレーキペダルL2の操作によりシリンダの軸方向へ摺動してブレーキ液を流出する図示しないロッドピストンが組み付けられている。
【0024】
はじめに前輪側のブレーキ系統K1について説明し、次に後輪側のブレーキ系統K2について説明する。前輪側のブレーキ系統K1は、主としてマスタシリンダC1から車輪ブレーキB1に至る流路(油路)に設けられた遮断弁Xと、マスタシリンダC1から遮断弁Xに至る流路に接続されたストロークシミュレータSiと、遮断弁Xから車輪ブレーキB1に至る流路に接続されたモジュレータMoと、マスタシリンダC1からモジュレータMoに至る流路に設けられた加圧部材48と、マスタシリンダC1に至る流路のブレーキ液圧を検出する第1液圧センサ11と、車輪ブレーキB1に至る流路のブレーキ液圧を検出する第2液圧センサ12とを備えている。
【0025】
ストロークシミュレータSiは、ダミーシリンダ30と、開閉弁31と、チェック弁31aとを備える。
また、モジュレータMoは、主として、レギュレータ40と、制御弁手段V1(電磁弁42,43を含む)と、リザーバ44と、第1アキュームレータ45と、第2アキュームレータ46と、ポンプ47Aとを備える。
【0026】
なお、以下の説明では、入口ポート21から遮断弁Xに至る流路を「出力液圧路A1」と称し、遮断弁Xから出口ポート22に至る流路を「出力液圧路A2」と称し、入口ポート21から加圧部材48に至る流路を「出力液圧路A3」と称し、出力液圧路A2からポンプ47Aに至る流路を「吸入液圧路F1」と称し、出力液圧路A2から吸入液圧路F1に至る流路を「開放路D1」と称し、さらに、ポンプ47Aから出力液圧路A2に至る流路を「吐出液圧路E1」と称する。
また、「上流側」とは、マスタシリンダC1(C2)側や吐出液圧路E1側のことを意味し、「下流側」とは、車輪ブレーキB1(B2)側のことを意味する。
【0027】
遮断弁Xは、出力液圧路A1から出力液圧路A2へのブレーキ液の流入、つまりマスタシリンダC1側(ストロークシミュレータSi側)からモジュレータMo側へのブレーキ液の流入を許容する状態および遮断する状態を切り換えるものであり、出力液圧路A1と出力液圧路A2との間に介設された常開型の電磁弁からなる。なお、遮断弁Xを構成する常開型の電磁弁は、その弁体を駆動させるための電磁コイルが後記する制御装置400と電気的に接続されており、制御装置400からの指令に基づいて電磁コイルを励磁すると閉弁し、電磁コイルを消磁すると開弁する。本実施形態においては、車両の駆動手段(エンジンやモータなど)の始動とともに遮断弁X(電磁弁)が閉弁するように設定されている。つまり、遮断弁Xは、車両の駆動手段を駆動させている間は、出力液圧路A1から出力液圧路A2へのブレーキ液の流入を遮断する(図23参照)。なお、遮断弁Xは、駆動手段の停止あるいは制御装置400が停止している状態においては必ず開弁し、ブレーキレバーL1の操作力(つまり、マスタシリンダC1で発生したブレーキ液圧)は、車輪ブレーキB1へ直に伝達する(図22参照)。
【0028】
ストロークシミュレータSiは、ブレーキレバーL1の操作反力をブレーキレバーL1に擬似的に付与するものであって、本実施形態では、マスタシリンダC1へ通じる出力液圧路A1に接続されている。
【0029】
ダミーシリンダ30は、ブレーキレバーL1の操作に起因して出力液圧路A1に吐出されたブレーキ液を一時的に貯留するとともに、ブレーキレバーL1の操作反力を発生させるものであり、シリンダ本体30aと、このシリンダ本体30aの内部に摺動自在に挿入されたピストン30bと、このピストン30bを付勢する付勢部材30cとを備えている。
【0030】
開閉弁31は、ダミーシリンダ30と出力液圧路A1とを連通する流路に設けられた常閉型の電磁弁からなり、遮断弁Xが出力液圧路A1から出力液圧路A2へのブレーキ液の流入を遮断しているとき(ポンプ47Aの作動時)に開弁して出力液圧路A1からダミーシリンダ30へのブレーキ液の流入を許容する(図23参照)。本実施形態においては、車両の駆動手段の始動とともに開閉弁31が開弁するように設定されている。
【0031】
チェック弁31aは、開閉弁31に並列に接続された一方向弁からなり、ダミーシリンダ30から出力液圧路A1へのブレーキ液の流出のみを許容する。
【0032】
モジュレータMoは、車輪ブレーキB1に作用させるブレーキ液圧の大きさを調整するものである。
【0033】
レギュレータ40は、出力液圧路A2から吸入液圧路F1へのブレーキ液の流入を許容する状態および遮断する状態を切り換える機能と、出力液圧路A2から吸入液圧路F1へのブレーキ液の流入が遮断されているときに出力液圧路A2および吐出液圧路E1のブレーキ液圧を設定値以下に調節する機能とを有しており、カット弁41およびチェック弁40aを備えて構成されている。
【0034】
カット弁41は、出力液圧路A2と吸入液圧路F1との間に介設された常開型のリニアソレノイド弁であり、出力液圧路A2から吸入液圧路F1へのブレーキ液の流入を許容する状態および遮断する状態を切り換えるものである。すなわち、カット弁41は、ソレノイドへの通電を制御することによって開弁圧を調節することが可能な構成となっている。カット弁41は、通常時に開いていることで、ポンプ47Aから吐出液圧路E1へ吐出して出力液圧路A2へ流入したブレーキ液が、吸入液圧路F1へ戻ること(循環すること)を許容している。また、カット弁41は、ブレーキレバーL1が操作されたときに、言い換えれば、車輪ブレーキB1へブレーキ液圧を作用させるときに、制御装置400の制御により閉塞され、出力液圧路A2からレギュレータ40にかかるブレーキ液圧と、ソレノイドへの通電によって制御される、弁を閉じようとする力とのバランスによって、出力液圧路A2のブレーキ液圧を適宜吸入液圧路F1へ開放して調節することができる。
【0035】
チェック弁40aは、カット弁41に並列に接続されている。このチェック弁40aは、吸入液圧路F1から出力液圧路A2へのブレーキ液の流れを許容する一方向弁である。
【0036】
制御弁手段V1は、出力液圧路A2を開放しつつ開放路D1を遮断する状態、出力液圧路A2を遮断しつつ開放路D1を開放する状態および出力液圧路A2と開放路D1とを遮断する状態を切り換える機能を有しており、入口弁42、チェック弁42aおよび出口弁43を備えて構成されている。
【0037】
入口弁42は、出力液圧路A2に設けられた常開型の電磁弁からなり、開弁状態にあるときに上流側から下流側へのブレーキ液の流入を許容し、閉弁状態にあるときに遮断する。
【0038】
チェック弁42aは、その下流側から上流側へのブレーキ液の流入のみを許容する弁であり、入口弁42と並列に接続されている。
【0039】
出口弁43は、出力液圧路A2と開放路D1との間に介設された常閉型の電磁弁からなり、閉弁状態にあるときに車輪ブレーキB1側からリザーバ44側へのブレーキ液の流入を遮断し、開弁状態にあるときに許容する。
【0040】
リザーバ44は、開放路D1に設けられており、出口弁43が開放されることによって逃がされるブレーキ液を一時的に貯留する機能を有している。なお、開放路D1には、チェック弁43aが設けられている。
【0041】
第1アキュームレータ45および第2アキュームレータ46は、吸入液圧路F1に設けられる低圧アキュームレータであり、ポンプ47Aの停止時や開放路D1を通じて吸入液圧路F1に戻されたブレーキ液を貯留するようになっている。そのための構造として、第1,第2アキュームレータ45,46は、吸入液圧路F1に戻されたブレーキ液の流入を受けてブレーキ液を貯留することが可能なブレーキ液室45B,46Bを備えている。本実施形態では、第2アキュームレータ46のブレーキ液室46Bの容積を第1アキュームレータ45のブレーキ液室45Bの容積よりも大きくしてある。言い換えれば、第2アキュームレータ46に対して流入流出するブレーキ液の量が第1アキュームレータ45に対して流入流出するブレーキ液の量よりも多くなるように構成してある。なお、第1,第2アキュームレータ45,46は、各ブレーキ液室45B,46Bの容積を同一にして構成してもよく、また、アキュームレータの設置個数も適宜選択することができる。第1,第2アキュームレータ45,46に貯留されたブレーキ液は、ポンプ47Aの作動により吸入液圧路F1に吸い出される。第1,第2アキュームレータ45,46の具体的構成は、後記する。
【0042】
ポンプ47Aは、吸入液圧路F1と出力液圧路A2に通じる吐出液圧路E1との間に介設されており、モータ200の回転力によって駆動し、吸入液圧路F1からブレーキ液を吸入して吐出液圧路E1に吐出する。また、カット弁41が閉弁状態にあるときには、第1,第2アキュームレータ45,46に貯留されたブレーキ液を吸入して吐出液圧路E1に吐出する。これにより、第1,第2アキュームレータ45,46にブレーキ液を貯留することによって減圧された出力液圧路A2の圧力状態が回復されるとともに、車輪ブレーキB1に対して、ブレーキレバーL1の操作に基づく、あるいは連動ブレーキの動作に基づくブレーキ液圧の増圧を行うことが可能となる。
【0043】
なお、ポンプ47Aの吸入側および吐出側には、吸入弁47c,吐出弁47dがそれぞれ設けられている。
また、ポンプ47Aの吐出液圧路E1に図示しないダンパおよびオリフィスを設けてもよく、そのダンパおよびオリフィスの協働作用によってポンプ47Aから吐出されるブレーキ液の脈動を減衰させてもよい。
【0044】
加圧部材48は、シリンダ室48aと、このシリンダ室48a内に摺動可能に設けられ、シリンダ室48a内をブレーキ液室48bと加圧室48cとに区画する加圧ピストン48dとを備えて構成されている(図21では、加圧室48cの容積が最小である状態を示している)。
ブレーキ液室48bは、ポンプ47Aの吸入液圧路F1側に通じており、この吸入液圧路F1に戻されたブレーキ液が流入可能となっている。また、加圧室48cは、マスタシリンダC1に通じる出力液圧路A3に通じており、ブレーキレバーL1の操作により出力されたブレーキ液がマスタシリンダC1から出力液圧路A3を通じて流入するようになっている。
加圧ピストン48dは、弾性部材としてのスプリング48eにより、シリンダ室48a内において加圧室48c側へ向けて付勢されている。これによって、貯留室48bの容積が確保され、貯留室48b内にブレーキ液が流入するようになっている。
【0045】
このような加圧部材48は、ブレーキ液室48bにブレーキ液が流入して貯留され、マスタシリンダC1側のブレーキレバーL1の操作により発生する液圧を受けて加圧ピストン48dがストロークし、ブレーキ液室48bのブレーキ液をポンプ47Aの吸入液圧路F1に吐出する。これにより、ブレーキレバーL1の操作に対応した液圧をポンプ47Aの吸入液圧路F1に付与することができる。なお、ポンプ47Aの吸入液圧路F1に付与された液圧は、ポンプ47Aを通じて吐出液圧路E1に付与されることとなり、結果として、出力液圧路A2を通じて車輪ブレーキB1に付与される。
なお、ブレーキレバーL1の操作が終了してブレーキレバーL1が戻されると、出力液圧路A3の液圧が低下し、加圧部材48の加圧ピストン48dがスプリング48eにより加圧室48c側に戻され、これによって容積の拡がったブレーキ液室48bに吸入液圧路F1からブレーキ液が流入する。
【0046】
第1液圧センサ11は、マスタシリンダC1におけるブレーキ液圧の大きさを計測するものであって、本実施形態では、出力液圧路A1に設けられている。第1液圧センサ11で計測されたブレーキ液圧の値は、制御装置400に随時取り込まれ、第1液圧センサ11で計測されたブレーキ液圧の大きさに基づいて、連動ブレーキ制御などが行われる。
【0047】
第2液圧センサ12は、車輪ブレーキB1に作用するブレーキ液圧の大きさを計測するものであって、出力液圧路A2に設けられている。第2液圧センサ12で計測されたブレーキ液圧の値は、制御装置400に随時取り込まれ、第2液圧センサ12で計測されたブレーキ液圧の大きさに基づいて、連動ブレーキ制御などが行われる。
【0048】
モータ200は、前輪側のブレーキ系統K1にあるポンプ47Aおよび後輪側のブレーキ系統K2にあるポンプ47Bの共通の動力源であり、制御装置400からの指令に基づいて作動する。
【0049】
次に、後輪側のブレーキ系統K2について説明する。以下では、入口ポート23から出口ポート24に至る流路を「出力液圧路A4」と称し、出力液圧路A4からポンプ47Bに至る流路を「開放路および吸入液圧路D2」と称し、ポンプ47Bから出力液圧路A4に至る流路を「吐出液圧路E2」と称する。
【0050】
後輪側のブレーキ系統K2では、制御弁手段V2(電磁弁52,53を含む)と、ポンプ47Bと、第3液圧センサ13とを備える。
【0051】
第3液圧センサ13は、出力液圧路A4におけるブレーキ液圧を検出する液圧検出センサである。
制御弁手段V2は、出力液圧路A4を開放しつつ開放路および吸入液圧路D2を遮断する状態、出力液圧路A4を遮断しつつ開放路および吸入液圧路D2を開放する状態および出力液圧路A4と開放路および吸入液圧路D2とを遮断する状態を切り換える機能を有しており、入口弁52、チェック弁52aおよび出口弁53を備えて構成されている。
【0052】
入口弁52は、出力液圧路A4に設けられた常開型の電磁弁からなり、開弁状態にあるときにマスタシリンダC2側から車輪ブレーキB2側へのブレーキ液の流入を許容し、閉弁状態にあるときに遮断する。
【0053】
チェック弁52aは、入口弁52を迂回するように設けられた流路に接続されており、車輪ブレーキB2側からマスタシリンダC2側へのブレーキ液の流入のみを許容する。
【0054】
出口弁53は、出力液圧路A4と開放路および吸入液圧路D2との間に介設された常閉型の電磁弁からなり、閉弁状態にあるときに車輪ブレーキB2側からポンプ47B側へのブレーキ液の流入を遮断し、開弁状態にあるときに許容する。
【0055】
ポンプ47Bは、開放路および吸入液圧路D2と出力液圧路A4に通じる吐出液圧路E2との間に介設されており、モータ200の回転力によって駆動し、開放路および吸入液圧路D2からブレーキ液を吸入して吐出液圧路E2に吐出する。また、開放路および吸入液圧路D2を通じて戻されたブレーキ液を吐出液圧路E2から出力液圧路A4を通じてマスタシリンダC2に戻す役割を果たしている。
【0056】
なお、ポンプ47Bの吸入側および吐出側には、吸入弁47c,吐出弁47dがそれぞれ設けられている。
また、ポンプ47Bの吐出液圧路E2に図示しないダンパおよびオリフィスを設けてもよく、そのダンパおよびオリフィスの協働作用によってポンプ47Bから吐出されるブレーキ液の脈動を減衰させてもよい。さらに、開放路および吸入液圧路D2には、図示しないリザーバを設けてもよい。
【0057】
第3液圧センサ13は、マスタシリンダC2におけるブレーキ液圧の大きさを計測するものであって、本実施形態では、出力液圧路A4に設けられている。第3液圧センサ13で計測されたブレーキ液圧の値は、制御装置400に随時取り込まれ、第3液圧センサ13で計測されたブレーキ液圧の大きさに基づいて、連動ブレーキ制御などが行われる。
【0058】
制御装置400は、第1液圧センサ11、第2液圧センサ12および第3液圧センサ13、図示しない前輪に固着されたパルサーギアの側面に対向して固定配置される前輪用の車輪速度センサ401および同じく図示しない後輪に固着されたパルサーギアの側面に対向して固定配置される後輪用の車輪速度センサ402等からの出力に基づいて、前輪側のブレーキ系統K1のレギュレータ40のカット弁41、開閉弁31,遮断弁Xの開閉、両系統K1,K2における制御弁手段V1,V2の入口弁42,52および出口弁43,53の開閉、並びに、モータ200の作動を制御する。
【0059】
次に、図21〜図24の液圧回路を参照しつつ、制御装置400によって実現される通常のブレーキ制御、アンチロックブレーキ制御および連動ブレーキ制御について説明する。
【0060】
はじめに、イグニッションオフ状態では、図22に示すように、前輪側のブレーキ系統K1の遮断弁Xが開弁されて、出力液圧路A1と出力液圧路A2とが連通された状態にされる。また、開閉弁31が閉弁されて、出力液圧路A1とダミーシリンダ30との間が遮断された状態にされる。つまり、ブレーキレバーL1の操作によるブレーキ液圧が出力液圧路A2を通じてモジュレータMo側にかかり車輪ブレーキB1に作用する状態にされる。
ここで、出力液圧路A3を通じて加圧部材48の加圧室48cにもブレーキレバーL1の操作によるブレーキ液圧がかかるが、カット弁41が開弁されているので、加圧部材48のブレーキ液室48b側にも出力液圧路A2から吸入液圧路F1を通じてブレーキレバーL1の操作によるブレーキ液圧が同じ圧力でかかっている。これにより、加圧ピストン48dの両側では差圧が発生せず、加圧ピストン48dがストロークすることはない。したがって、加圧部材48は、ブレーキ液室48bにブレーキ液を貯留した状態で保持されることとなり、後記するように、イグニッションオン後のブレーキ操作時に制動力を迅速に立ち上げる役割を果たす。
【0061】
また、イグニッションオフ状態では、ブレーキレバーL1が操作されると、出力液圧路A2から吸入液圧路F1にブレーキ液が流入するので、このときに流入するブレーキ液によって吸入液圧路F1に接続された第1,第2アキュームレータ45,46にブレーキ液を貯留することもできる。
【0062】
後輪側のブレーキ系統K2では、出力液圧路A4を通じてマスタシリンダC2から車輪ブレーキB2の流路が連通された状態となり、ブレーキペダルL2を操作すると、出力液圧路A4を通じてブレーキ液圧が車輪ブレーキB2に作用する。
【0063】
次に、イグニッションをオンにすると、図23に示すように、制御装置400によって前輪側のブレーキ系統K1の遮断弁Xが閉弁されて、出力液圧路A1と出力液圧路A2とが遮断された状態にされる。また、開閉弁31が開弁されて、出力液圧路A1とダミーシリンダ30との間が連通された状態にされる。つまり、ストロークシミュレータSiとモジュレータMoとの液路(出力液圧路A2)が遮断弁Xにより遮断された状態にされ、また、ブレーキレバーL1の操作によるブレーキ液圧がダミーシリンダ30に作用する状態にされる。
【0064】
一方、モジュレータMo側においては、出力液圧路A2が遮断された状態にされることで、車輪ブレーキB1にマスタシリンダC1からのブレーキ液圧が直接にはかからない状態にされる。したがって、ブレーキレバーL1の操作力に起因して発生したブレーキ液圧は、そのままダミーシリンダ30にかかり、これと同時に、第1液圧センサ11によりブレーキ液圧が計測される。
【0065】
また、ブレーキレバーL1が操作されると、ブレーキレバーL1の操作により生じたブレーキ液圧が第1液圧センサ11により検出され、その検出信号が制御装置400に入力されて、入力されたブレーキ液圧量の大小に応じてモータ200の回転数が制御され、ポンプ47A,47Bが駆動される。つまり、入力されたブレーキ液圧量が大きな急昇圧時には、モータ200がフル回転となるように制御装置400によって制御され、また、ブレーキ液圧量が小さい時には、それに見合った回転数となるようにモータ200が制御装置400によって制御される。
ここで、ブレーキレバーL1が操作されず、前輪側のブレーキ系統K1にブレーキの入力がない状態では、入口弁42は閉弁状態にある。
【0066】
(通常のブレーキ制御)
各車輪がロックする可能性のない通常のブレーキ制御時においては、運転者がブレーキレバーL1を操作すると、その操作力により発生したブレーキ液圧が第1液圧センサ11により検出され、カット弁41が閉弁状態にされるとともに、入口弁42が開弁状態にされ、また、ポンプ47Aが駆動される。これにより、吸入液圧路F1の第1,第2アキュームレータ45,46にあるブレーキ液がポンプ47Aに吸引されて吐出液圧路E1に吐出され、出力液圧路A2を通じて車輪ブレーキB1に送られる。そして、第2液圧センサ12で計測される圧力値が第1液圧センサ11で計測される圧力値に対応する圧力値となるまで、この状態が継続されて前輪が制動される。
【0067】
このとき、ブレーキレバーL1の操作に基づいて、出力液圧路A3から加圧部材48の加圧室48cにブレーキ液が流入し、そのブレーキレバーL1の操作力に応じたブレーキ液圧で加圧ピストン48dが押圧される。
加圧ピストン48dが押圧されてブレーキ液室48b側に移動されると、ブレーキ液室48bに貯留されていたブレーキ液がブレーキ液室48bから吸入液圧路F1に吐出される。この吸入液圧路F1に吐出されるブレーキ液は、ポンプ47Aが前記のようにブレーキ液を吐出するよりも先に、吸入液圧路F1に吐出されることとなり、ポンプ47Aの吸入側とレギュレータ40のチェック弁41aとには加圧部材48から吐出されたブレーキ液圧が付与される。
【0068】
ここで、ポンプ47Aの吐出弁47dの開弁圧の設定値は、レギュレータ40のチェック弁41aの開弁圧の設定値よりも大きくなるように設定されており、このことによって、車輪ブレーキB1に対しては、次に説明する(1)〜(3)の順序でブレーキ液圧が伝達されるようになる。
(1)加圧部材48から吐出されたブレーキ液が、レギュレータ40のチェック弁41aを通じて車輪ブレーキB1に伝達される。
その後、
(2)加圧部材48から吐出されたブレーキ液が、ポンプ47Aの吸入弁47c、吐出弁47dを通じて車輪ブレーキB1に伝達される。
そして、最後に、
(3)ポンプ47Aの駆動により吐出されたブレーキ液が車輪ブレーキB1に伝達される。
ここで、前記(2)(3)の関係について補足すると、ブレーキレバーL1の操作の強弱によっては、加圧部材48の加圧ピストン48dにより発生するブレーキ液圧がポンプ47Aの吐出弁47dの開弁圧に達しない場合(ポンプ47Aに吸入されたブレーキ液のブレーキ液圧による押圧力が吐出弁47dの付勢力よりも小さい場合)がある。そのような場合には、前記(2)(3)が同時に行われることとなる。つまり、吐出開始までは、ポンプ47Aの吸入側がプリチャージされた状態にされる。
【0069】
前記のように、加圧部材48から吐出されたブレーキ液が、レギュレータ40のチェック弁41aやポンプ47Aの吸入弁47c、吐出弁47dを通じて車輪ブレーキB1に伝達されると、ブレーキレバーL1の操作力に応じたブレーキ液圧が車輪ブレーキB1に直接的に作用する状態となり、これによって、ブレーキレバーL1の操作による応答性の向上、車輪ブレーキB1の初期制動における制動力の立ち上がりを向上させることができるようになる。
【0070】
なお、ブレーキレバーL1を緩めたときや操作を終了したときには、出力液圧路A2に流入したブレーキ液が出口弁43を介して開放路D1から吸入液圧路F1に戻される。
【0071】
(アンチロックブレーキ制御)
アンチロックブレーキ制御は、車輪がロック状態に陥りそうになったときに実行されるものであり、ロック状態に陥りそうな車輪の車輪ブレーキB1,B2に対応する制御弁手段V1,V2を制御して、車輪ブレーキB1,B2に作用するブレーキ液圧を減圧、増圧あるいは一定に保持する状態を適宜選択することによって実現される。なお、減圧、増圧および保持のいずれを選択するかは、前輪用の車輪速度センサ401および後輪用の車輪速度センサ402から得られた車輪速度に基づいて、制御装置400によって判断される。
【0072】
そして、制御装置400において前輪の車輪ブレーキB1に作用するブレーキ液圧を減圧すべきであると判断された場合には、制御弁手段V1により出力液圧路A2が遮断され、開放路D1が開放される。具体的には、制御装置400により入口弁42を励磁して閉弁状態にするとともに、出口弁43を励磁して開弁状態にする。このようにすると、車輪ブレーキB1に通じる出力液圧路A2のブレーキ液が開放路D1を通ってリザーバ44に流入し、その結果、前輪の車輪ブレーキB1に作用していたブレーキ液圧が減圧される。ここで、一旦リザーバ44に流入したブレーキ液は、ポンプ47Aの吸引により再び開放路D1に戻って吸入液圧路F1に還流し、第1,第2アキュームレータ45,46に貯留される。
【0073】
また、制御装置400において前輪の車輪ブレーキB1に作用するブレーキ液圧を一定に保持すべきであると判断された場合には、制御弁手段V1により出力液圧路A2および開放路D1がそれぞれ遮断される。具体的には、制御装置400により入口弁42を励磁して閉弁状態にするとともに、出口弁43を消磁して閉弁状態にする。このようにすると、車輪ブレーキB1、入口弁42および出口弁43で閉じられた流路内にブレーキ液が閉じ込められることになり、その結果、車輪ブレーキB1に作用しているブレーキ液圧が一定に保持される。
【0074】
さらに、制御装置400によって、前輪の車輪ブレーキB1に作用するブレーキ液圧を増圧すべきであると判断された場合には、制御弁手段V1により出力液圧路A2が開放され、開放路D1が遮断される。具体的には、制御装置400により入口弁42を消磁して開弁状態にするとともに、出口弁43を消磁して閉弁状態にする。このようにすると、ポンプ47Aの作動により吐出液圧路E1から出力液圧路A2に流出したブレーキ液が入口弁42を通じて車輪ブレーキB1に作用し、ブレーキ液圧が増圧される。
【0075】
なお、出力液圧路A2のブレーキ液圧が設定値以上になった場合には、カット弁41の働きにより出力液圧路A2のブレーキ液が吸入液圧路F1に逃がされ、その結果として、車輪ブレーキB1に過剰なブレーキ液圧が作用することが回避される。
【0076】
(連動ブレーキ制御)
連動ブレーキ制御は、運転者が後輪側のブレーキペダルL2を操作した場合に、その制動力(ブレーキ液圧)の大きさに応じた制動力を前輪側の車輪ブレーキB1にも作用させる場合などに実行される。
【0077】
例えば、運転者が後輪を制動すべくブレーキペダルL2を操作したときに、制御装置400に入力されたブレーキペダルL2の操作量や第3液圧センサ13で計測されたブレーキ液圧の大きさといった各種情報に基づいて、制御装置400が前輪にも制動力を作用させる必要があると判断した場合に、連動ブレーキ制御が行われる。この場合、例えば、図24に示すように、制御装置400は、後輪側のブレーキ系統K2に設けられた第3液圧センサ13により計測された圧力値に基づいて、前輪側のブレーキ系統K1に設けられた第2液圧センサ12の目標圧力値を設定し、さらに、前輪側のブレーキ系統K1においてカット弁41を励磁して閉弁状態にするとともに、入口弁42を開弁状態にする。そして、第2液圧センサ12で計測される圧力値が目標圧力値に達するまで、この状態を継続し、吸入液圧路F1の第1,第2アキュームレータ45,46にあるブレーキ液をポンプ47Aを介して吐出液圧路E1に流入させて、前輪の車輪ブレーキB1に自動的にブレーキ液圧を作用させる。これにより、前輪が制動される。
【0078】
次に、ブレーキ液圧制御装置Uの具体的な構造を、図1から図8を参照して詳細に説明する。
【0079】
ここで、図2はブレーキ液圧制御装置Uの断面図(一部分解)、図3は基体100を前面側から見た拡大斜視図、図4は基体100を後面側から見た拡大斜視図(一部分解斜視図)、図5は流路構成部を前面側からみた透視図、図6は同じく後面側から見た透視図、図7は同じく前面側の斜め上方から見た透視図、図8は同じく後面側の斜め上方から見た透視図である。
ここで、基体100を説明する際の「前後」「左右」「上下」は、コントロールハウジング300側が取り付けられる側の面を「前面」と仮定し、ポンプ穴47b(47a)のある面を側面と仮定した場合の便宜的なものであり、図示しない車両に取り付けられる状態とは何ら関係はない。
【0080】
基体100は、アルミニウム合金製の鋳造品、押出材または引抜き材等からなり、側面視で略コ字形状を呈する(図2参照)。基体100の前面側(前部)には複数の電磁弁31,X,41〜43,52,53が取り付けられ、後面側(後部)にはモータ200が取り付けられ、また、左右両側部にはポンプ47B,ポンプ47A(図1ではポンプ47Bのみ図示、以下同じ)が取り付けられる。さらに、基体100の上部の後部側には、ストロークシミュレータSiを構成するダミーシリンダ30が設けられ、基体100の下部には第1,第2アキュームレータ45,46が設けられている。また、基体100の下部の後面側には、図4に示すように、リザーバ44および加圧部材48を構成する部材が基体100の後面側から装着されている。つまり、基体100の下部において、第1,第2アキュームレータ45,46は、リザーバ44の底部側および加圧部材48の底部側に配置される構造となっている。
このように、基体100は、全ての面を有効に利用して装着孔等が形成されている。また、リザーバ44が基体100の下部の後面側から装着されているので、レイアウト上、リザーバ44のピストンのストロークがとり易く、よって、リザーバの容量の設定がし易い。また、電磁弁等の機器が正面側に集中して設けられているので、その取付作業を正面側から行うことができ取付作業性に優れている。
【0081】
ここで、基体100の後面側に取り付けられるモータ200は、基体100の上部のダミーシリンダ30と、下部のリザーバ44および加圧部材48との間に形成される、基体100の後部の凹状スペースSPに取り付けられる。これにより、モータ200の上位置に、ダミーシリンダ30が位置することとなり、また、モータ200の下位置に、リザーバ44および加圧部材48が位置することとなる。つまり、モータ200の上下に形成されるスペースを有効に利用して、電磁弁等に比べて収容スペースを広く必要とするダミーシリンダ30、リザーバ44および加圧部材48が配置されている。
【0082】
図1に示すように、基体100の前面101は、実質的に凹凸のない平面に成形されており、パッキン301を介してコントロールハウジング300が密着した状態に取り付けられるようになっている。
基体100の前面101には、図3に示すように、前輪側のブレーキ系統K1(図21参照、以下同じ)を構成する機器の装着穴として、第1液圧センサ装着穴11aと、第2液圧センサ装着穴12aと、開閉弁装着穴31aと、遮断弁装着穴Xaと、カット弁装着穴41aと、入口弁装着穴42aと、出口弁装着穴43aとが開口している。また、後輪側のブレーキ系統K2を構成する機器の装着穴として、第3液圧センサ装着穴13aと、入口弁装着穴52aと、出口弁装着穴53aとが開口している。
また、モータ200の端子220(図2参照)が挿入される端子孔220aと、コントロールハウジング300を取り付けるための、四つのハウジング取付穴300aが設けられている。
【0083】
基体100の上面103には、前輪側のブレーキ系統K1の出口ポート22と、後輪側のブレーキ系統K2(図21参照、以下同じ)の出口ポート24とが開口している。
また、基体100の左側面104Bには、ポンプ穴47bが開口している。なお、基体100の右側面104Aには図示しないポンプ47A用のポンプ穴47a(図5参照)が開口している。
【0084】
基体100の後面102には、図4に示すように、上部側に、前輪側のブレーキ系統K1の入口ポート21と、後輪側のブレーキ系統K2の入口ポート23とが開口している。凹状スペースSPには、回転軸挿入穴200aと、端子孔220aと、三つのモータ取付穴200b(図4では二つのみ図示)とが開口している。
また、後面102の下部には、リザーバ装着穴44aと、加圧部材装着穴48a(シリンダ室)とが開口している。
【0085】
次に、ダミーシリンダ30等の配置および具体的な流路について説明する。
図5に示すように、ダミーシリンダ30およびポンプ47A,47B(図1参照、以下同じ)は、互いに長手方向の軸線O1,O2(図1参照、以下同じ)を略平行にして基体100に並設された構造となっている。ダミーシリンダ30は、モジュレータMo(図21参照)等の主たる流路が形成される部位の略最上部に位置しており、軸線O1を基体100(図1参照、以下同じ)の左右方向に向けて配置され、左右方向に幅広に形成された基体100の形状を有効に活用して設けられている。一方、ポンプ47A,47Bは、中央部に設けられた回転軸挿入穴200aを中心として、軸線O2を基体100の左右方向に向けて配置されている。
なお、ポンプ47A,47Bの装着される各ポンプ穴47a,47bは、基体100の側面(図4参照)まで達しており、ポンプ47A,47Bの全体が収容される深さを有している。したがって、基体100の幅寸法(左右方向の寸法)は、おおよそ、これらのポンプ47A,47Bの長さ寸法に回転軸挿入穴200aの径寸法を加えた大きさとなっている。
【0086】
また、ダミーシリンダ30の軸線O1と、ポンプ47A,47Bの軸線O2とは、図2に示すように、基体100の上下方向および前後方向にずれており、側面視で、軸線O1から軸線O2を通る線L11の延長線上に第1,第2アキュームレータ45,46が位置し、また、軸線O1からモータ200の略重心Gを通る線L12の延長線上にリザーバ44,加圧部材48が位置している。これにより、ダミーシリンダ30、第1,第2アキュームレータ45,46、リザーバ44および加圧部材48は、ダミーシリンダ30の軸線O1を頂部として側面視で略二等辺三角形の各頂点位置に配置される。したがって、基体100が側面視で略コ字形状に形成される構成でありながら重量バランスがよく、図示しない車両への取付安定性に優れているという利点が得られる。
【0087】
前輪側のブレーキ系統K1の入口ポート21は、図6,図8にも示すように、有底円筒状の穴であり、図7に示すように、前後孔R1、横孔R2、縦孔R3および前後孔R4により形成された流路を介して遮断弁装着穴Xaに連通している。前後孔R4は、横孔R5と交差しており、この横孔R5は、前後孔R6を介して第1液圧センサ装着穴11aに連通している。そして、第1液圧センサ装着穴11aは、縦孔R7を通じて開閉弁装着穴31aに連通している。この開閉弁装着穴31aは、図8に示すように、前後孔R8から縦孔R9に連通して立ち上がり、さらに、図7に示すように、前後孔R10から横孔R11に連通する流路を介してダミーシリンダ30に連通している。なお、縦孔R9は横孔R2に内設されたチェック弁31aを介して、横孔R2に連通している。以上が、ストロークシミュレータSiを含む流路となる。なお、横孔R11の端部にブリーダ32が形成されている。ブリーダ32は、ブレーキ液を封入する際に油路内に混入した空気を抜くためのものである。
【0088】
一方、入口ポート21は、前後孔R1に横孔R12が交差しており、この横孔R12、縦孔R13、前後孔R14および横孔R15により形成された流路を介して加圧部材装着穴48aに連通している。これにより、図6,図8に示すように、入口ポート21と対角に位置する加圧部材装着穴48aへのブレーキ液の流入が可能となる。
【0089】
遮断弁装着穴Xaは、図6に示すように、縦孔R16、前後孔R17、横孔R18、縦孔R19、ポンプ穴47a、横孔R20および前後孔R21により形成された流路を介して入口弁装着穴42aに連通している。そして、入口弁装着穴42aは、図7に示すように、横孔R22からこれに交差する縦孔R23に連通し、この縦孔R23が有底円筒状の出口ポート22に連通している。なお、縦孔R23は第2液圧センサ装着穴12aにも連通している。
【0090】
一方、図6に示すように、前記横孔R18は、前後孔R24を介してカット弁装着穴41aに連通しており、さらに、カット弁装着穴41aから縦孔R25、前後孔R25a、ポンプ穴47aおよび縦孔R26を通じて第1アキュームレータ45に連通している。また、第1アキュームレータ45は、横孔R27を介して第2アキュームレータ46に連通している。
【0091】
また、入口弁装着穴42aは、横孔R22を通じて出口弁装着穴43aに連通しており、出口弁装着穴43aは、縦孔R29、横孔R30および縦孔R31により形成される流路を介してリザーバ装着穴44aに連通している。なお、前記縦孔R29は、チェック弁43aを介して、第1アキュームレータ45に連通している。
【0092】
次に、後輪側のブレーキ系統K2は、図5に示すように、基体100の左側に集中して形成されており、図7に示すように、入口ポート23は、前後孔R31a、縦孔R32、横孔R33および前後孔R34により形成される流路を介して入口弁装着穴52aを貫通し、さらに横孔R35から前後孔R36を通じて第3液圧センサ装着穴13aに連通している。
【0093】
また、ポンプ穴47bは、縦孔R37から出口弁装着穴53aに連通し、この出口弁装着穴53aは、横孔R38、縦孔R39を介して出口ポート24に連通している。なお、縦孔R39は、入口弁装着穴52aにも連通している。
【0094】
次に、主要となる部品の構成を説明する。ここで、図12は第1,第2アキュームレータの構成を説明するための断面図、図13は第1アキュームレータの構成を示す分解斜視図、図14は第2アキュームレータの構成を示す分解斜視図である。
【0095】
図12(適宜図13,図14参照)に示すように、第1アキュームレータ45および第2アキュームレータ46は基体100の下部に設けられており、ポンプ47Aの吸入液圧路F1(図21参照)に設けられる低圧アキュームレータである。
第1アキュームレータ45は、基体100に形成された有底凹状のアキュームレータ室45Aに、ダイヤフラム部450と、蓋部材451と、規制部材452とが取り付けられて構成されている。
【0096】
ダイヤフラム部450は、ゴム部材等の変形可能な弾性部材からなり、キャップ状を呈している。このダイヤフラム部450は、周縁部450aがアキュームレータ室の内壁部に密着する舌片状に分厚く形成されている。
このようなダイヤフラム部450は、アキュームレータ室45Aを、ブレーキ液の貯留が可能なブレーキ液室45Bと大気圧が導入される大気室45Cとに区画するとともに、ブレーキ液室45Bに貯留されるブレーキ液の増減に追従して移動(変形)し、ブレーキ液室45Bの容積を変更するようになっている。
【0097】
ブレーキ液室45Bには、ポンプ47Aに通じる縦孔R26(吸入液圧路F1)と、出口弁装着穴43a(図6参照)からの縦孔R29とが連通しており、また、第2アキュームレータ46に通じる横孔R27が連通している。これにより、ブレーキ液室45Bには、ブレーキ液が流入流出可能となっている。
【0098】
ブレーキ液室45B内には、ブレーキ液の減少に追従して移動したダイヤフラム部450が当接してダイヤフラム部450の変形を規制する規制部材452を備えている。
規制部材452は、断面ハット状の上部材452Aと、この上部材452Aの底部に取り付けられる下部材452Bとからなり、上部材452Aに下部材452Bが嵌め入れられた状態で、上部材452Aと下部材452Bとの間には、ブレーキ液の貯留スペース452cが設けられる。なお、上部材452Aと下部材452Bには、ブレーキ液の通流を可能にする連通孔452a,452bが形成されている。
【0099】
このような規制部材452は、上部材452Aの周部がアキュームレータ室45Aの内周壁に圧入することでブレーキ液室45Bに取り付けられ、下部材452bでダイヤフラム部450の変形を規制するようになっている。
【0100】
蓋部材451は、アキュームレータ室45Aの大気室45Cが形成される部位に嵌まり込む外径を有しており、上部に、ダイヤフラム部450の周縁部450aをアキュームレータ室45Aの内壁部へ向けて押圧する押圧部451aを備えている。蓋部材451は、大気が導入される導入部451cを有しており、この導入部451cに連通してダイヤフラム部450の底面側に大気圧を付与する大気連通孔451bが形成されている。
なお、蓋部材451は、リング部材453により固定されており、また、アキュームレータ室45Aの開口部には、大気圧の導入が可能なキャップ454が取り付けられている。
【0101】
第2アキュームレータ46は、第1アキュームレータ45よりも容積の変化が大きくなるようにされており、そのための構成として、規制部材452を中心として上下に2つのダイヤフラム部450が設けられている。
規制部材452は、第1アキュームレータ45と同様の部材であり、また、下側の蓋部材451も同様の部材を用いている。上側の蓋部材455は、下側の蓋部材451と同様の構造を備えており、導入部455a、大気連通孔455b、押圧部455cを有している。
なお、リング部材453、キャップ454も、第1アキュームレータ45と同様の部材が用いられている。
また、アキュームレータ室45A1は、上下に2つのダイヤフラム部450を収容できるように、第1アキュームレータ45よりも容積が大きく形成されている。
【0102】
なお、導入部455aには、大気が導入される図示しない大気導入孔に連通している。また、縦孔R37は、第2アキュームレータ46に対して非連通とされている。
【0103】
このような第1,第2アキュームレータ45,46には、縦孔R29を通じて戻されたブレーキ液が流入して、各ブレーキ液室45B,46B1,46B2に貯留される。そして、ブレーキレバーL1(図21参照)等が操作されて、車輪ブレーキB1へブレーキ液圧を作用させる際に、ポンプ47Aにより各ブレーキ液室45B,46B1,46B2に貯留されているブレーキ液が吸引されて縦孔R26へ流出する。このとき、各ダイヤフラム部450は、ブレーキ液の流出に伴って変形し、図中破線で示すように規制部材452に当接する。つまり、規制部材452によって必要以上にダイヤフラム部450が変形するのを防止している。
なお、第2アキュームレータ46の底部には、ポンプ穴47bに通じる縦孔R37が形成されているが、縦孔R37には、第2アキュームレータ46の底部側から有底円筒状を呈する封止部材50Aが挿入されており、この封止部材50Aに、球体の圧入部材50Bが圧入されている。これにより、第2アキュームレータ46とポンプ穴47bとは、連通不可とされてブレーキ液が通流しない構造となっている。
【0104】
図15〜図18は低圧アキュームレータの変形例であり、前記第1,第2アキュームレータ45,46と同様の部分には、同一の符号を付してある。
【0105】
図15(a)に示した例では、前記した第2アキュームレータ46(図2参照、以下同様)よりもさらにブレーキ液の流入流出に係る容積が大きくなるようにしてあり、そのための構造として、アキュームレータ室45A3を、前記した第2アキュームレータ46のアキュームレータ室45A1よりもさらに容積を大きく形成して、上下に3つのダイヤフラム部450を設けてある。上部の蓋部材451と、中部の蓋部材451との間には、大気が導入される導入路Hが設けてある。また、ブレーキ液の通流孔として上下2つの流路R50が設けられている。
このような低圧アキュームレータでは、基体100に縦長のスペースが空いている場合に、アキュームレータ室として必要となる穴の数を減らすことが可能となり、これによって、車両用ブレーキ液圧制御装置Uの全体の小型化が可能となる。
【0106】
図15(b)に示した例では、前記図15(a)に示した例において、ダイヤフラム部450を2つにしたものであり、その分、アキュームレータ室45A4の容積が前記アキュームレータ室45A3の容積よりも小さくされている。また、この例では、下部に形成されるブレーキ液室45B4の貯留量が大きくされている。
【0107】
また、図15(a)(b)に示した低圧アキュームレータでは、基体100に形成されるブレーキ液の流路がアキュームレータ室45A3,45A4に対応した位置にレイアウトされているので、アキュームレータ室45A3,45A4の容積が大きく形成されている構造でありながら、基体100の小型化を図ることができる。
【0108】
図16(a)に示した低圧アキュームレータは、ダイヤフラム部450が、前記第1,第2アキュームレータ45,46と同様に、周縁部450aが蓋部材451’でアキュームレータ室45A2の内壁部に押圧されて密着されている。また、規制部材452’は、単一の部材から構成されているとともに、その形状が断面凹形状とされて前記第1,第2アキュームレータ45,46に用いられた規制部材452に比べて簡略化されたものとなっている。そして規制部材452’は、アキュームレータ室45A2の底部側に形成された段部周壁45A2’に上端部周縁が圧入されることで、ブレーキ液室45B2に固定されている。なお、アキュームレータ室45A2の容積は、前記した第1アキュームレータ45のそれよりも大きくされ、かつ、前記第2アキュームレータ46のそれよりも小さく設定されている。また、アキュームレータ室45B2の容積は、第1アキュームレータ45と略同様としてある。
また、図16(b)に示した低圧アキュームレータは、図16(a)に示した低圧アキュームレータをさらに変形させたものであり、ダイヤフラム部450に蛇腹部450Aが設けられており、この蛇腹部450Aの伸縮によって、ブレーキ液の流入流出に追従して移動(変形)するようになっている。この例では、前記図16(a)に示した低圧アキュームレータよりも、ブレーキ液室45B4の容積を大きくしてあり、その分、規制部材452’dがダイヤフラム部450に合わせて深く凹状に形成されている。
この低圧アキュームレータでは、蛇腹部450Aを設けることでダイヤフラム部450の移動量を増加させることが可能となるので、ブレーキ液の貯留量が増加する。
【0109】
図17に示した低圧アキュームレータは、図16(b)に示した低圧アキュームレータをさらに変形させたものであり、ダイヤフラム部450の形状を底部へ向けて凸状に形成して蛇腹部450Aを設けたものである。この例においても、アキュームレータ室45Aの底部側に段部を形成して規制部材452’eを固定しており、また、規制部材452’eは、前記図16(a)に示した低圧アキュームレータの規制部材452’よりも底部側へ向けて若干突出させた形状とされている。これにより、ブレーキ液室45B5の容積は、前記図16(a)に示した低圧アキュームレータよりも小さくされている。
この低圧アキュームレータでは、蛇腹部450Aがアキュームレータ室45Aの内周壁に沿って形成されているため、よりブレーキ液の貯留量が増加する。
【0110】
以上の図16(a)(b)、図17に示した各低圧アキュームレータでは、前記した第1,第2アキュームレータ45,46(図12参照)が、規制部材452を共通の形状とすることを目的として上部材452Aと下部材452Bとの2部材から構成したのに対し、低圧アキュームレータが1つで済む構成にあっては、前記のように規制部材452’(452’d,452’e)を単一の部材から構成することで構造の簡易化並びに製作コストの低減、さらには製作工数の削減が可能となる。
【0111】
図18(a)に示す低圧アキュームレータでは、図16(a)に示した低圧アキュームレータと基本的構成が同様であり、ダイヤフラム部450’の中央下部に設けられた膨出部450bに、ダイヤフラム部450’とは異なる部材からなる当接部450Bが一体成形されて設けられている点が異なる。当接部450Bは、例えば、金属製の材料等で形成することができる。
【0112】
このような低圧アキュームレータによると、当接部450Bを介して蓋部材451’にダイヤフラム部450’が当接するので、当接部450Bの存在によって、ダイヤフラム部450’が大気連通孔451b内に食い込むことを防止することができ、これによって、ダイヤフラム部450’の耐久性を向上させることができる。なお、図示はしないが、ダイヤフラム部450’の、規制部材452’に当接する部位に当接部450Bを設けて、規制部材452’に対するダイヤフラム部450’の耐久性を向上させるように構成してもよい。
【0113】
図18(b)に示す低圧アキュームレータでは、ダイヤフラム部450’’の中央部の肉厚を薄く形成して、ダイヤフラム部450’’の中央部の表裏両面に、当接部450Bが露出する状態に一体成形されて設けられている。
このような低圧アキュームレータによると、当接部450Bの存在によって、ダイヤフラム部450’が大気連通孔451b内に食い込むことを防止することができ、これによって、ダイヤフラム部450’の耐久性を向上させることができる。また、ダイヤフラム部450’’を薄く形成することもできる。
【0114】
次に、図19を参照して、リザーバ44および加圧部材48について説明する。
リザーバ44は、図19に示すように、リザーバ装着穴44aに装着される略有底円筒状のリザーバピストン441と、リザーバ装着穴44aを塞ぐ略有底円筒状のばね受け部材442と、リザーバピストン441とばね受け部材442との間に介設され、リザーバピストン441をリザーバ装着穴44aの底面側440cに付勢するリザーバばね443とを備えて構成されている。リザーバピストン441は、その外周面がリザーバ装着穴44aの内壁面に当接していて、車輪ブレーキB1から流出したブレーキ液が前後孔R44(図7参照)を介してリザーバ装着穴44aに流入したときに、ばね受け部材442側に摺動してこのブレーキ液を貯留する空間を形成する。なお、リザーバピストン441には、Oリング441aが取り付けられており、また、ばね受け部材442は、固定リング442aによってリザーバ装着穴44aに固定されている。
【0115】
加圧部材48は、図19に示すように、シリンダ室としての加圧部材装着穴48a内に摺動可能に設けられ、加圧部材装着穴48a内をブレーキ液室48bと加圧室48cとに区画する略有底円筒状の加圧ピストン48dと、加圧部材装着穴48aを塞ぐ蓋部材482と、加圧ピストン48dと加圧部材装着穴48aの底面側480cとの間に介設され、加圧ピストン48dを蓋部材482側に付勢する加圧部材ばね483とを備えて構成されている。加圧ピストン48dは、その外周面が加圧部材装着穴48aの内壁面に当接していて、そのブレーキ液室48bに、前後孔R15a(図7参照)を介してブレーキ液が流入あるいは流出するようになっている。また、加圧ピストン48dの加圧室48cには、横孔R15(図7参照)に連通する凹部480bが形成されており、この凹部480bには、マスタシリンダC1(図21参照)側からのブレーキ液が流入するようになっている。そして、マスタシリンダC1側からのブレーキ液がこの凹部480bを介して加圧室48cに流入したときに、底面側480cに加圧ピストン48dが摺動して、ブレーキ液室48b内に貯留されているブレーキ液を前後孔R15aを介して(吸入液圧路F1側となる(図21参照))第2アキュームレータ46に吐出するようになっている。なお、加圧ピストン48dには、Oリング481aが取り付けられており、また、蓋部材482は、固定リング482aによって加圧部材装着穴48aに固定されている。
【0116】
次に、ポンプ47A,47Bについて説明する。ポンプ47A,47Bは同一の構成であるので、ここでは、一方のポンプ47Aについて図20を参照して説明する。
ポンプ47Aは、図20に示すように、ポンプ穴47aに挿入される筒状のポンプハウジング471と、このポンプハウジング471の内部に摺動自在に装着され、一端がポンプハウジング471の一方の開口部から突出するプランジャ472と、ポンプハウジング471の他方の開口部を覆うように配置される有底円筒状のばね受け部材473と、ポンプハウジング471等のポンプ穴47aからの抜け出しを防止する蓋部材474と、プランジャ472のばね受け部材473側の端面に設置される吸入弁体475と、ばね受け部材473の底壁に形成された開口部473aに設置される吐出弁体476と、吸入弁体475を覆うように配置されたリテーナ477と、プランジャ472とばね受け部材473との間にある空間に圧縮状態で配置され、その復元力によりプランジャ472をボールベアリング212側に押圧する戻しばね478とを備えて構成されている。
【0117】
ポンプハウジング471の蓋部材474側の端部は、ばね受け部材473に嵌挿されており、その反対側の端部は、ポンプ穴47aの深部に嵌挿されている。ポンプハウジング471の側壁には、内部へ通じる貫通孔471aが形成されている。プランジャ472の内部には、その側面と端面とに開口する流路472aが形成されている。蓋部材474には、ばね受け部材473が嵌挿される大径凹部474aと、この大径凹部474aの中央部に形成された小径凹部474bとが形成されており、さらに、大径凹部474aの内面に沿ってブレーキ液の流路となる凹溝474cが形成されている。凹溝474cは、オリフィスとして機能する。吸入弁体475は、図21に示す吸入弁47cとして機能するものであって、プランジャ472の流路472aを塞ぐように配置されており、リテーナ477の内側に圧縮状態で設けられた吸入弁ばね475aの復元力によりプランジャ472側に付勢されている。吐出弁体476は、図21に示す吐出弁47dとして機能するものであって、蓋部材474の小径凹部474bの内側に圧縮状態で設けられた吐出弁ばね476aの復元力によりばね受け部材473側に付勢されている。
【0118】
そして、ボールベアリング212の偏心運動に起因してプランジャ472が往復動することによって、ポンプハウジング471の貫通孔471aを介して吸入されたブレーキ液が、プランジャ472の流路472a、ばね受け部材473の開口部473aおよび蓋部材474の凹溝474cを通って吐出液圧路E1(図21参照)へ吐出される。
【0119】
続いて、通常時、アンチロックブレーキ制御時および連動ブレーキ制御時のブレーキ液の実際の流れを図5〜図10を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、遮断弁Xが閉弁して出力液圧路A1と出力液圧路A2とが遮断されており、かつ、開閉弁31が開弁してマスタシリンダC1とストロークシミュレータSiのダミーシリンダ30とが連通している場合を例示する。
【0120】
(通常ブレーキ時)
まず、図7を参照してストロークシミュレータSiにおけるブレーキ液の流れを説明する。通常のブレーキ制御時もアンチロックブレーキ制御時も、入口ポート21は、前後孔R1、横孔R2、縦孔R3、前後孔R4、横孔R5、前後孔R6、第1液圧センサ装着穴11a、縦孔R7を介して開閉弁31の開閉弁装着穴31aに連通しており、さらに、この装着孔に装着される開閉弁31が開放状態であるが故に、前後孔R8(図8参照)、縦孔R9、前後孔R10、横孔R11を介してダミーシリンダ30に連通している。したがって、運転者がブレーキレバーL1(図21参照、以下同じ)を操作すると、マスタシリンダC1で発生したブレーキ液圧は、入口ポート21を介してストロークシミュレータSiのダミーシリンダ30に伝達され、その結果、ブレーキレバーL1の操作力に応じた操作反力がブレーキレバーL1に付与される。
【0121】
このとき、入口ポート21は、流路を通じて第1液圧センサ装着穴11aに連通しているので、遮断弁XよりもマスタシリンダC1側のブレーキ液圧が、第1液圧センサ11によって検出されることになる。
一方、入口ポート21は、前後孔R1、横孔R12、縦孔R13、前後孔R14、横孔R15を介して加圧部材48の加圧部材装着穴48aに連通している。したがって、運転者がブレーキレバーL1を操作すると、マスタシリンダC1で発生したブレーキ液圧は、入口ポート21を介して加圧部材48に伝達され、その結果、遮断弁XよりもマスタシリンダC1側のブレーキ液圧が加圧部材48に直接的に付与される。そうすると、加圧部材48の加圧ピストン48d(図19参照)がブレーキ液圧により押圧されてストロークし、加圧部材48のブレーキ液室48bに貯留されているブレーキ液が前後孔R15aを通じて第2アキュームレータ46に吐出される。
【0122】
レギュレータ40に回るブレーキ液の伝達経路は、第2アキュームレータ46から横孔R27を通じて第1アキュームレータ45に伝達され、その後、図8に示すように、縦孔R26からポンプ穴47aに伝達される。ここで、ポンプ穴47aからは、レギュレータ40(図21参照、以下同じ)のチェック弁40aにもブレーキ液が伝達されるようになっており、その伝達は、図7に示すように、前後孔R25aから縦孔R25を通じてカット弁装着穴41aに伝達され、レギュレータ40のチェック弁40aから、図8に示すように、前後孔R24を通じて横孔R18から縦孔R19に伝達されて、再びポンプ穴47aに伝達されるものである。
そして、ポンプ穴47aから、横孔R20を通じて前後孔R21に伝達され、その後、入口弁装着穴42aから入口弁42を通じて横孔R22に至り、さらに、縦孔R23を通じて出口ポート22に伝達される。これによって、ポンプ47Aより吐出されるブレーキ液圧に加圧部材48からのブレーキ液圧が加算される。
【0123】
このとき、図20に示すように、ポンプ穴47aに伝達されたブレーキ液圧は、ポンプ47Aの貫通孔471aから流路472aに流入し、吸入弁体475をその吸入弁ばね475aの付勢力に抗して押圧し、リテーナ477からばね受け部材473の開口部473aへ伝達される。そして、ブレーキ液圧は、さらに、吐出弁体476をその吐出弁ばね476aの付勢力に抗して押圧し、小径凹部474bから大径凹部474aを通じて出力される。これにより、ブレーキレバーL1を操作することにより、マスタシリンダC1側で出力されたブレーキ液圧が、モジュレータMo側の吐出液圧路E1へ伝達されることとなる。
【0124】
(アンチロックブレーキ制御時)
アンチロックブレーキ制御によって、車輪ブレーキB1に作用するブレーキ液圧を減圧する場合には、図9に示すように、出口ポート22を通じて車輪ブレーキB1(図21参照)からのブレーキ液を、縦孔R23、横孔R22を通じて出口弁装着穴43aに流入させ、さらに、出口弁43を介して、縦孔R29、横孔R30から縦孔R31を通じてリザーバ装着穴44aに流入させる。その一方で、リザーバ装着穴44aからリザーバ44に流入したブレーキ液は、リザーバ44から縦孔R31、横孔R30を通り、さらに縦孔R29を通じて第1アキュームレータ45に流入し、さらに、横孔R27を通じて第2アキュームレータ46に流入する。これにより、車輪ブレーキB1に作用するブレーキ液圧が減圧される。
【0125】
また、アンチロックブレーキ制御によって車輪ブレーキB1に作用するブレーキ液圧を増圧する場合には、入口弁42が開弁状態にされるとともに出口弁43が閉弁状態にされ、図5に示すように、第1,第2アキュームレータ45,46から縦孔R26を通じてブレーキ液がポンプ47Aに吸引され、図6に示すように、ポンプ穴47aから縦孔R19、横孔R20、さらには、前後孔R21を通じて入口弁装着穴42aに流入する。そして、図7に示すように、縦孔R23を通じて出口ポート22にブレーキ液が流出される。
【0126】
(連動ブレーキ制御時)
例えば、運転者が後輪を制動すべくブレーキペダルL2を操作すると、マスタシリンダC2(図24参照)からのブレーキ液圧が、図10に示すように、入口ポート23から前後孔R31a、縦孔R32、横孔R35および前後孔R36を通じて第3液圧センサ装着穴13aに流入し、第3液圧センサ13により後輪側のブレーキ液圧が検出される。また、縦孔R32、横孔R33から前後孔R34を通じて入口弁装着穴52aにブレーキ液が流入し、縦孔R39を通って出口ポート24に流出される。
一方、前輪側のブレーキ系統K1において、前記のように、カット弁41が励磁されて閉弁状態にされるとともに、入口弁42が開弁状態される。そして、第2液圧センサ12で計測される圧力値が目標圧力値に達するまで、前記した通常ブレーキ制御時における動作と同様に、図5に示すように、第1,第2アキュームレータ45,46にあるブレーキ液がポンプ47Aに吸入されて縦孔R23から出口ポート22に流出される。これにより、後輪側のブレーキ操作に連動して前輪側が制動される。
【0127】
以上説明した本実施形態の車両用ブレーキ液圧制御装置Uによると、ストロークシミュレータSiにおいて所定の操作反力を得るために大きな容積が必要となるダミーシリンダ30と、同じく、基体100における収容スペースを比較的多く必要とするポンプ47A,47Bとが、互いに長手方向の軸線O1,O2を略平行にして基体100に並設されているので、基体100内で大きなスペースを占有する部材同士の納まりがよくなり、省スペース化が図れて装置の大型化の防止に寄与する。
【0128】
また、マスタシリンダC1から車輪ブレーキB1側に通じる出力液圧路A2が、ポンプ47A,47Bの作動時に遮断弁Xによって遮断される構成を基体100が備えており、基体100に装着される部材のうち、比較的収容スペースを必要とするリザーバ44および加圧部材48が、基体100の後面102側(後部側)から基体100に装着されるようになっているので、その分の空いたスペースを流路の形成や他の部材の配置に利用することができ、装置の小型化を図ることができる。
【0129】
さらに、流路に設けられたレギュレータ40と加圧部材48との背圧側に、ブレーキ液を収容する第1,第2アキュームレータ45,46が設けられているので、この第1,第2アキュームレータ45,46に背圧側のブレーキ液を貯留することができる。そして、この第1,第2アキュームレータ45,46は、基体100の下部に設けられているので、レイアウト上、ブレーキ液を貯留するためのスペースを確保し易く、よって、第1,第2アキュームレータ45,46の容量の設定がし易い。
【0130】
また、モータ200の上側と下側のスペースを有効に利用して、各部材を配置することができるので、モータ200の上側および下側に無駄なスペースが形成されず、効率の良い部品配置が実現でき、一層の小型化を可能とする。
【0131】
さらに、第1,第2アキュームレータ45,46は、加圧部材48の底面側480c(底部側)およびリザーバ44の底面側440c(底部側)に設けられているので、基体100の下部回りにおける部品相互間の干渉を防止して効率の良い部品配置を実現できる。したがって、これらの部材の容積を大きくしてブレーキ液の貯留性能を向上させることができる。
【0132】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記した実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することが可能である。
例えば、基体100のダミーシリンダ30が設けられる部位をさらに後方へ延設して、モータ200の後面側に近づけてもよく、この延設した部分に他の部材や流路を配置するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0133】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置を示す分解斜視図である。
【図2】ブレーキ液圧制御装置の断面図である(一部分解)。
【図3】基体を前面側から見た拡大斜視図である。
【図4】基体を後面側から見た拡大斜視図である(一部分解斜視図)。
【図5】流路構成部を前面側からみた透視図である。
【図6】流路構成部を後面側から見た透視図である。
【図7】流路構成部を前面側の斜め上方から見た透視図である。
【図8】流路構成部を後面側の斜め上方から見た透視図である。
【図9】ブレーキ液の流れを示す説明図である。
【図10】ブレーキ液の流れを示す説明図である。
【図11】ブレーキ液の流れを示す説明図である。
【図12】低圧アキュームレータを示す拡大断面図である。
【図13】第1アキュームレータの構成部材を示す分解斜視図である。
【図14】第2アキュームレータの構成部材を示す分解斜視図である。
【図15】(a)(b)は低圧アキュームレータの変形例を示す断面図である。
【図16】(a)(b)は低圧アキュームレータのその他の例を示す断面図である。
【図17】(a)(b)は低圧アキュームレータのその他の例を示す断面図である。
【図18】低圧アキュームレータのその他の例を示す断面図である。
【図19】リザーバおよび加圧部材を示す拡大断面図である。
【図20】ポンプを示す拡大断面図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る車両用ブレーキ液圧制御装置に適用されるブレーキ液圧回路図である。
【図22】イグニッションオフ状態における車両用ブレーキ液圧制御装置の状態を示すブレーキ液圧回路図である。
【図23】同じく通常ブレーキ制御時およびアンチロックブレーキ制御中の増圧制御時における状態を示すブレーキ液圧回路図である。
【図24】同じく連動ブレーキ制御時における状態を示すブレーキ液圧回路図である。
【符号の説明】
【0134】
11 第1液圧センサ
12 第2液圧センサ
13 第3液圧センサ
30 ダミーシリンダ
40 レギュレータ
44 リザーバ
45 第1アキュームレータ
45A アキュームレータ室
45B ブレーキ液室
45C 大気室
46 第2アキュームレータ
47A ポンプ
47B ポンプ
48 加圧部材
48a シリンダ室
48d 加圧ピストン
450 ダイヤフラム部
450a 周縁部
451 蓋部材
451a 押圧部
451b 大気連通孔
B1 車輪ブレーキ
B2 車輪ブレーキ
C1 マスタシリンダ
C2 マスタシリンダ
K1 前輪側のブレーキ系統
K2 後輪側のブレーキ系統
L1 ブレーキレバー(ブレーキ操作子)
L2 ブレーキペダル(ブレーキ操作子)
O1,O2 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪ブレーキを制動するためのブレーキ系統と、ブレーキ操作子の操作に応じた操作反力を前記ブレーキ操作子に付与するためのダミーシリンダを含むストロークシミュレータとを備えた車両用ブレーキ液圧制御装置であって、
前記ブレーキ系統に対応する流路が構成された基体と、
前記基体の一方の面に取り付けられ、前記流路におけるブレーキ液の流れを制御する複数の電磁弁と、
前記基体の前記一方の面の背面側となる他方の面に取り付けられたモータと、
前記基体の前記一方の面に隣接する側面に取り付けられて前記モータにより駆動され、前記流路にブレーキ液を吐出するポンプと、を備え、
前記ストロークシミュレータの前記ダミーシリンダおよび前記ポンプは、互いに長手方向の軸線を略平行にして前記基体に並設されていることを特徴とする車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項2】
前記流路として、マスタシリンダから前記車輪ブレーキ側に通じる出力液圧路を有し、
前記ポンプの作動時に前記出力液圧路を遮断する遮断弁と、
前記流路に設けられ、ブレーキ液を貯留するリザーバと、
前記ブレーキ操作子の操作により前記遮断弁よりも前記マスタシリンダ側に発生するブレーキ液圧を受けてストロークする加圧ピストンにて、少なくとも前記車輪ブレーキに通じる液圧路に圧力を付与する加圧部材と、を備え、
前記リザーバおよび前記加圧部材は、前記基体の前面および後面のうち他方の面から前記基体に装着されることを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項3】
前記流路に設けられたレギュレータと前記加圧部材との背圧側に、ブレーキ液を収容する低圧アキュームレータを設け、
前記基体の下部に前記低圧アキュームレータを配置したことを特徴とする請求項2に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項4】
前記モータの上位置に前記ストロークシミュレータが配置され、前記モータの下位置に前記加圧部材および前記リザーバが配置され、前記基体が、これらの前記ストロークシミュレータ、前記加圧部材および前記リザーバを収容して、側面視でコ字形状を呈することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。
【請求項5】
前記加圧部材は、有底の凹状ハウジング内に前記遮断弁よりも前記マスタシリンダ側に発生するブレーキ液圧を受けてストロークする前記加圧ピストンを備えてなり、
前記低圧アキュームレータは、前記加圧部材の底部側および前記リザーバの底部側に設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の車両用ブレーキ液圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−269297(P2007−269297A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101220(P2006−101220)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】