車両用制御装置
【課題】 ナビゲーションシステムおよび日射センサを使用しないで太陽の位置を検出し、空気調和装置を制御することのできる車両用制御装置を実現する。
【解決手段】 カメラ10により撮像した画像15を構成する各画素の輝度を走査し、閾値を超える輝度の画素から構成される領域が高輝度領域15d、つまり自車2に対する太陽の相対的な位置となる。高輝度領域15dが画像の中心線Pよりも左側に位置する場合は、エアコンシステム30の左側吹出口30bからの風量を増加させ、左側空間にいる乗員の体感温度の上昇を抑制する。
【解決手段】 カメラ10により撮像した画像15を構成する各画素の輝度を走査し、閾値を超える輝度の画素から構成される領域が高輝度領域15d、つまり自車2に対する太陽の相対的な位置となる。高輝度領域15dが画像の中心線Pよりも左側に位置する場合は、エアコンシステム30の左側吹出口30bからの風量を増加させ、左側空間にいる乗員の体感温度の上昇を抑制する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽の方位に基づいて空気調和装置を制御する車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用制御装置として、日射センサを用いて検出した日射強度と、GPSを利用したナビゲーションシステムを用いて検出した太陽の位置とに基づいて空気調和装置を制御するものが知られている(特許文献1)。また、光の入射角に対応して出力特性を変える日射センサを用いて空気調和装置を制御するものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−132020号公報(第29〜32段落、図4)。
【特許文献2】特開平11−337405号公報(第22段落、図3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1に記載のものは、ナビゲーションシステムが利用しているGPSの衛星が機能しなくなったときに空気調和装置を制御することができなくなるという問題がある。また、車両が日陰に入った場合や曇天の場合など、実際に太陽が出ているか否かとは無関係に太陽の位置に基づく空気調和装置の制御が行われる。このため、精度良く空調を行うことができない。
さらに、上述した特許文献1,2に記載のものは、共に日射センサを必要とする。特に、特許文献2に記載のものは、光の入射角を検出するための信号処理回路が必要となる。
【0005】
そこでこの発明は、上述の諸問題を解決するためになされたものであり、ナビゲーションシステムおよび日射センサを使用しないで太陽の位置を検出し、空気調和装置を制御することのできる車両用制御装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、この発明の第1の特徴は、自車(2)の外方を撮像する撮像手段(11)と、前記撮像手段により撮像された画像(15)のうち、太陽光によって閾値を超える輝度を有する高輝度領域(15d)を検出する高輝度領域検出手段(13)と、前記高輝度領域検出手段によって検出された高輝度領域の前記画像内における位置に基づいて、自車に備えられた空気調和装置を制御する制御手段(21,22)と、を備えることにある。
【0007】
撮像手段により撮像された画像のうち、太陽光によって閾値を超える輝度を有する高輝度領域を検出し、その検出された高輝度領域の画像内における位置に基づいて、自車に備えられた空気調和装置を制御することができる。
したがって、ナビゲーションシステムおよび日射センサを使用しないで太陽の位置を検出し、空気調和装置を制御することのできる車両用制御装置を実現することができる。
【0008】
また、この発明の第2の特徴は、前記第1の特徴において、画像(15)を複数の領域(15e)に分割し、その分割した複数の領域の中から高輝度領域(15d)を検出し、さらに、その検出した高輝度領域の中でも特に輝度の高い高輝度領域を検出することにある。
【0009】
この第2の特徴によれば、太陽の位置を高精度で検出することができる。
【0010】
さらに、この発明の第3の特徴は、前記第1または第2の特徴において、前記高輝度領域検出手段(13)は、前記画像(15)の少なくとも一部を複数の領域(15e)に分割し、その分割された各領域の平均輝度を各領域毎に算出する平均輝度算出手段と、前記平均輝度算出手段によって算出され、前記閾値を超える平均輝度の領域のうち、平均輝度の最も高い領域を検出する領域検出手段と、を備えており、前記領域検出手段によって前記平均輝度の最も高い領域が検出されなかった場合は、前記画像の分割する範囲を変更して前記平均輝度算出手段および領域検出手段を実行することにある。
【0011】
この第3の特徴によれば、画像の総ての領域を一度に走査して高輝度領域を検出しなくてよいため、高速で高輝度領域を検出することができる。また、総ての領域を走査する前に高輝度領域を検出できた場合は、余剰時間で他の処理を行うことができるため、CPUの処理効率を高めることができる。
【0012】
この発明の第4の特徴は、前記第1ないし第3の特徴のいずれか1つにおいて、前記制御手段(21,22)は、前記撮像手段(11)により撮像された画像(15)の輝度に基づいて日射量を算出する日射量算出手段(21)を備えており、前記高輝度領域検出手段(13)の検出結果および前記日射量算出手段の算出結果に基づいて前記空気調和装置(30)を制御することにある。
【0013】
この第4の特徴によれば、撮像手段により撮像された画像の輝度に基づいて日射量を算出することができるため、日射センサなどの日射検出装置を別個に設ける必要がない。
したがって、日射検出装置およびそれを取付けるための取付器具が不要であり、かつ、取付作業が不要であるため、車両用制御装置の製造コストを低減することができるし、製造時間を短縮することができる。
【0014】
この発明の第5の特徴は、前記第1ないし第4の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)により撮像された画像(15)の輝度に基づいて自車(2)の外方の照度を算出する照度算出手段(23)と、前記照度算出手段によって算出された照度が閾値以下になったときに、自車に備えられた照明装置(31)をオンし、前記照度が前記閾値を超えたときに前記照明装置をオフする照明制御手段(24)と、を備えることにある。
【0015】
この第5の特徴によれば、撮像手段により撮像された画像の輝度に基づいて自車の外方の照度を算出することができるため、照度センサなどの照度検出装置を別個に設ける必要がない。
したがって、照度検出装置およびそれを取付けるための取付器具が不要であり、かつ、取付作業が不要であるため、車両用制御装置の製造コストを低減することができるし、製造時間を短縮することができる。
【0016】
この発明の第6の特徴は、前記第1ないし第5の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)は、自車(2)の走行する道路を撮像可能に構成されており、前記撮像手段が自車の走行する道路を撮像したときに、その撮像した画像(15)のうち閾値を超える輝度の領域を前記道路に描かれた車線と認識する車線認識手段(26,27)を備えることにある。
【0017】
この第6の特徴によれば、撮像手段により撮像された画像のうち閾値を超える輝度の領域を道路に描かれた車線と認識することができるため、道路撮像用のカメラを別個に設ける必要がない。
したがって、道路撮像用のカメラおよびそれを取付けるための取付器具が不要であり、かつ、取付作業が不要であるため、車両用制御装置の製造コストを低減することができるし、製造時間を短縮することができる。
【0018】
この発明の第7の特徴は、前記第1ないし第6の特徴のいずれか1つにおいて、前記高輝度領域検出手段(13)は、前記撮像手段(11)により撮像された画像(15)の少なくとも一部を輝度分布化し、その輝度分布の高い領域を太陽位置と推定することにある。
【0019】
この第7の特徴によれば、曇天など、太陽の位置が分かり難いようなときであっても、画像の少なくとも一部を輝度分布化し、その輝度分布の高い領域を太陽位置と推定することができる。
【0020】
この発明の第8の特徴は、前記第5ないし第7の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)は、前記照度算出手段(23)によって算出された照度に基づいて露出時間を調整することにある。
【0021】
この第8の特徴によれば、照度に基づいて露出時間を調整することができるため、照度に対して広ダイナミックレンジの撮像手段を用いる必要がない。たとえば、昼間と夜間とで露出時間を変えることにより、昼夜を問わず撮像することができる。
【0022】
この発明の第9の特徴は、前記第5ないし第8の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)は、前記照度算出手段(23)によって算出された照度に基づいて、露出を行う間隔を調整することにある。
【0023】
この第9の特徴によれば、照度に基づいて、露出を行う間隔を調整することができるため、不必要な露出をなくすことができるので、撮像手段を機能させるCPUの処理負荷を軽減することができる。
【0024】
たとえば、太陽の位置によってエアコンシステムを制御する間隔が短い昼間は、露出を行う間隔を短くすることにより、車室内の温度変化を小さくする。一方、朝夕など、太陽光による温度の影響が小さいときは、露出を行う間隔を昼間よりも長くすることにより、CPUの処理負荷を軽減する。
【0025】
この発明の第10の特徴は、前記第1ないし第9の特徴のいずれか1つにおいて、複数の固体撮像素子を備える前記撮像手段(11)の各固体撮像素子からの出力信号を赤色成分の信号、緑色成分の信号および青色成分の信号に分離するRGB分離手段と、を備えており、前記高輝度領域検出手段(13)は、前記RGB分離手段によって分離された赤色成分の信号を用いて前記高輝度領域(15d)を検出することにある。
【0026】
この第10の特徴によれば、RGB分離手段によって分離された赤色成分の信号を用いて高輝度領域を検出することができるため、太陽光による高輝度領域を検出し易い。
【0027】
この発明の第11の特徴は、前記第1ないし第10の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)は、主として空を撮像するための第1の姿勢と、主として走行前方の道路を撮像するための第2の姿勢とに切替わるように構成されてなることにある。
【0028】
この第11の特徴によれば、撮像手段は、その姿勢を切替えることにより、空および走行前方の道路の両方を撮像することができるため、空を撮像して高輝度領域を検出すための撮像手段と、道路を撮像して車線を検出するための撮像手段との2つの撮像手段を設ける必要がない。
したがって、撮像手段およびそれを取付けるための取付器具が1つ分で済み、かつ、取付作業が1つ分で済むため、車両用制御装置の製造コストを低減することができるし、製造時間を短縮することができる。
【0029】
この発明の第12の特徴は、前記第5ないし第10の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)が主として空を撮像するための第1の姿勢と主として走行前方の道路を撮像するための第2の姿勢とに切替わるように前記撮像手段を動かすアクチュエータ(10a)と、前記照度算出手段(23)によって算出された照度が閾値を超えているときは前記撮像手段が前記第1の姿勢に変化し、かつ、前記照度が前記閾値以下のときは前記撮像手段が前記第2の姿勢に変化するように前記アクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段(10c)と、を備えることにある。
【0030】
この第12の特徴によれば、照度が閾値を超えているときは撮像手段を第1の姿勢に変化させて空を撮像し、照度が閾値以下のときは撮像手段を第2の姿勢に変化させて走行前方の道路を撮像することができる。
つまり、照度に応じてアクチュエータを駆動することにより、撮像手段の姿勢を自動的に変化させ、必要な範囲を撮像することができる。
したがって、必要に応じて撮像手段の姿勢を変える手間が不要である。
【0031】
この発明の第13の特徴は、前記第1ないし第10の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)の撮像範囲が、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とに切替わるように、前記撮像手段に入射する光の光路を変更するための光路変更手段(11c)を備えることにある。
【0032】
この第13の特徴によれば、光路変更手段により、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とを切り替えて撮像することができるため、第1の範囲を撮像すための撮像手段と、第2の範囲を撮像するための撮像手段との2つの撮像手段を設ける必要がない。
したがって、撮像手段およびそれを取付けるための取付器具が1つ分で済み、かつ、取付作業が1つ分で済むため、車両用制御装置の製造コストを低減することができるし、製造時間を短縮することができる。
【0033】
この発明の第14の特徴は、前記第5ないし第10の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)の撮像範囲が、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とに切替わるように、前記撮像手段に入射する光の光路を変更するための光路変更手段(11c)と、前記撮像手段の撮像範囲が、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とに切替わるように前記光路変更手段を動かすアクチュエータ(16)と、前記照度算出手段(23)によって算出された照度が閾値を超えているときは前記光路変更手段が前記第1の姿勢に変化し、かつ、前記照度が前記閾値以下のときは前記光路変更手段が前記第2の姿勢に変化するように前記アクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段(16c)と、を備えることにある。
【0034】
この第14の特徴によれば、照度が閾値を超えているときは光路変更手段を第1の姿勢に変化させて主として空を撮像し、照度が閾値以下のときは光路変更手段を第2の姿勢に変化させて主として走行前方の道路を撮像することができる。
つまり、照度に応じてアクチュエータを駆動することにより、光路変更手段の姿勢を自動的に変化させ、必要な範囲を撮像することができる。
したがって、必要に応じて光路変更手段の姿勢を変える手間が不要である。
【0035】
この発明の第15の特徴は、前記第1ないし第14の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)は、可視光を除去するための可視光除去手段(11d)を介して前記外方を撮像することにある。
【0036】
この第15の特徴によれば、太陽光の赤外線領域のみを検出することができるので、車室内温度を上昇させる要因となる太陽から受ける日射量を正しく検出することができる。
【0037】
この発明の第16の特徴は、前記第15の特徴において、前記可視光除去手段(11d)を前記撮像手段(11)の入射側に配置された状態と前記入射側に配置されていない状態とに切替える切替え手段を備えることにある。
【0038】
この第16の特徴によれば、可視光除去手段を撮像手段の入射側に配置された状態と入射側に配置されていない状態とに切替えることができるため、可視光除去手段を備えた撮像手段と、備えていない撮像手段との2つの撮像手段を設ける必要がない。
したがって、撮像手段およびそれを取付けるための取付器具が1つ分で済み、かつ、取付作業が1つ分で済むため、車両用制御装置の製造コストを低減することができるし、製造時間を短縮することができる。
【0039】
この発明の第17の特徴は、前記第5ないし第14の特徴のいずれか1つにおいて、可視光を除去するための可視光除去手段(11d)と、前記可視光除去手段を前記撮像手段(11)の入射側に配置された状態と前記入射側に配置されていない状態とに切替わるように前記可視光除去手段を動かすアクチュエータと、前記可視光除去手段が前記撮像手段の入射側に配置された状態または配置されていない状態に切替わるように前記アクチュエータの駆動を制御する制御手段と、を備えることにある。
【0040】
この第17の特徴によれば、例えば、太陽の日射量を精度良く測定する場合は、上記の制御手段により、可視光除去手段を撮像手段の入射側に配置して撮像し、特に精度が必要でない場合は、上記の制御手段により、可視光除去手段を撮像手段の入射側に配置されていない状態にして撮像することができる。
つまり、用途に応じてアクチュエータを駆動することにより、可視光除去手段を配置した状態と配置しない状態とを自動的に切り替えて撮像することができる。
したがって、必要に応じて可視光除去手段を配置する手間が不要である。
【0041】
この発明の第18の特徴は、前記第1ないし第17の特徴のいずれか1つにおいて、前記高輝度領域検出手段(13)によって検出された高輝度領域(15d)の前記画像(15)上における位置を示す位置データと、前記空気調和装置(30)の制御内容を示す制御データとを対応付けて格納する格納手段を備えており、前記制御手段は、前記位置データと対応付けられた制御データを前記格納手段から読出し、その読出した制御データに基づいて前記空気調和装置を制御することにある。
【0042】
この第18の特徴によれば、高輝度領域の画像上における位置を示す位置データと、空気調和装置の制御内容を示す制御データとを対応付けて格納手段に格納しておき、位置データと対応付けられた制御データを格納手段から読出して空気調和装置を制御することができる。
したがって、車両用制御装置を使用する地域あるいは国が異なり、太陽の方位や気温が異なる場合であっても、その地域または国に応じた位置データおよび制御データを格納手段に格納しておくことにより、地域または国によって効果に差が出ないようにすることができる。
【0043】
この発明の第19の特徴は、前記第18の特徴において、前記空気調和装置(30)は、車室の複数の空間の空気をそれぞれ個別に調和するように構成されており、前記制御手段(22)は、前記位置データと対応付けられた制御データを前記格納手段から読出し、その読出した制御データにより示される制御内容に基づいて前記空気調和装置を制御することにより、前記空間間の温度差を小さくすることにある。
【0044】
この第19の特徴によれば、車室を構成する複数の空間間の温度差を小さくすることができる。
【0045】
この発明の第20の特徴は、前記第19の特徴において、前記空気調和装置(30)は、車室の右側空間および左側空間の空気をそれぞれ個別に調和するように構成されてなることにある。
【0046】
この第20の特徴によれば、車室の右側空間および左側空間間の温度差を小さくすることができる。
したがって、運転席における体感温度と、助手席における体感温度との差を小さくすることができる。
【0047】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の第1実施形態に係る車両用制御装置を構成するカメラが車両に配置された状態を示す説明図である。
【図2】撮像素子11bを構成するCMOSセンサのセンサ出力と輝度との関係を示す説明図である。
【図3】車両用制御装置の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【図4】照度と太陽光の輝度との相関関係を示すグラフである。
【図5】晴天時にカメラ10により自車前方の景色を撮像した画像を示す図である。
【図6】高輝度領域の説明図である。
【図7】曇天時にカメラ10により自車前方の景色を撮像した画像を示す図である。
【図8】図7に示す画像を輝度分布化した画像を示す図である。
【図9】太陽がカメラ10の視野から外れた方位に存在する場合の画像を示す説明図である。
【図10】図9に示す画像を輝度分布化した画像を示す図である。
【図11】太陽の方位とエアコンシステムの吹出口の風量との関係を説明するための説明図であり、(a)は高輝度領域の説明図、(b)は左右の吹出口の風量を示す説明図である。
【図12】第2実施形態におけるCMOSセンサのセンサ出力と輝度との関係を示す図である。
【図13】カメラ10に備えられたCPUが露出時間を切替えるために実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第3実施形態の車両用制御装置に備えられたカメラによって撮像された画像の説明図であり、(a)は画像の全体図、(b)は太陽が含まれる領域の説明図である。
【図15】第4実施形態の車両用制御装置に備えられたカメラの説明図であり、(a)はカメラが車両に配置された状態を示す説明図、(b)はカメラが走行路面を撮像する姿勢に変化した状態を示し、(c)はカメラが走行前方の上空を撮像する姿勢に変化した状態を示す。
【図16】第4実施形態の車両用制御装置の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【図17】第4実施形態の変更例を示す説明図であり、(a)はカメラの入射側にプリズムが配置された状態の左側面図であり、(b)は(a)の正面図であり、(c)は(b)においてカメラの入射側からプリズムが移動した状態を示す正面図である。
【図18】第5実施形態の車両用制御装置を構成するカメラの入射側に可視光カットフィルタが配置された状態の左側面図である。
【図19】魚眼レンズを用いて撮像した画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
〈第1実施形態〉
この発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、この第1実施形態に係る車両用制御装置を構成するカメラが車両に配置された状態を示す説明図である。
【0050】
(撮像手段)
この発明が適用された車両(以下、自車という)2には、車両用制御装置を構成するカメラ10が配置されている。カメラ10は、フロントガラス3の内側に配置されている。カメラ10は、フロントガラス3を通して空が含まれる範囲を撮像する位置に配置されている。カメラ10は、撮像レンズ11aと、撮像素子11bとを備えており、白黒またはカラーで撮像する。撮像レンズ11aは、複数種類のレンズから構成されており、撮像素子11bの受光面上に光学画像を形成する。
【0051】
この実施形態では、撮像素子11bとしてCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーを用いる。撮像素子11bは、各CMOSセンサの露出時間を制御する電子シャッターを備える。図2は、撮像素子11bを構成するCMOSセンサのセンサ出力と輝度との関係を示す説明図である。同図に示すように、撮像素子11bを構成するCMOSセンサの輝度に対するダイナミックレンジは、夜間の路面から昼間の太陽までを撮影することのできる広ダイナミックレンジである。この実施形態では、ダイナミックレンジは、約130dBである。
【0052】
(電気的構成)
図3は、車両用制御装置の電気的構成をブロックで示す説明図である。車両用制御装置1は、カメラ10と、制御部20とを備える。制御部20は、カメラ10からの出力信号に基いてエアコンシステム30およびオートライトシステム31などの制御を行う。カメラ10は、撮像部11と、画面輝度検出部12と、高輝度走査部13と、露出時間制御部14とを備える。
【0053】
撮像部11は、前述の撮像レンズ11aおよび撮像素子11bから構成される。画面輝度検出部12、高輝度走査部13および露出時間制御部14は、カメラ10に備えられたマイクロコンピュータによって実現される内容をブロックで示すものである。そのマイクロコンピュータは、図示しないCPU、RAMおよびROMを備える他、制御部20との間でデータの通信を行うための入出力インターエースなどを備える。
【0054】
画面輝度検出部12は、撮像素子11bによって撮像された画像の輝度を検出する。この輝度は、画像を構成する画素単位で検出する。その検出した輝度は、輝度データとして画素単位で、かつ、画素の座標データと対応付けて上記のRAMに一時的に格納する。高輝度走査部13は、RAMに格納されている画素単位の輝度を走査し、輝度が閾値を超える画素の座標データをRAMから読出す。
【0055】
露出時間制御部14は、自車2の周囲の明るさに応じて撮像素子11bの露出時間を制御する。カメラ10は、RAMに格納されている輝度データと、高輝度走査部13によってRAMから読出された座標データとを制御部20へ出力する。
【0056】
制御部20は、日射量・太陽方位算出部21と、エアコン制御部22と、周囲光照度算出部23と、ヘッドライト制御部24と、表示制御部25とを備える。制御部20は、自車2のECU(Electronic Control Unit)によって機能し、制御部20を構成する各ブロックは、その機能の一部を示すものである。
【0057】
日射量・太陽方位算出部21は、カメラ10から出力される輝度データに基づいてフロントガラス3から入る日射量を算出する。照度と日射量とは比例関係にある。また、図4に示すように、太陽光の輝度と照度とは略比例関係にあることから、太陽光の輝度が分かれば日射量を求めることができる。ECUを構成するROMには、図4に示す太陽光の輝度と照度とが対応付けたデータがテーブル形式、または対応付けた関数にて格納されており、日射量・太陽方位算出部21は、画像の平均輝度を算出し、その算出した平均輝度に対応付けられた照度を上記ROMから読出す。
【0058】
また、日射量・太陽方位算出部21は、カメラ10から出力される座標データに基づいて、太陽の相対方位、つまり自車2から見た太陽の方位を算出する。図5は、晴天時にカメラ10により自車前方の景色を撮像した画像を示す図である。図5に示す画像15は、走行する自車前方の道路と、その道路周辺の景色と、空とを表しており、太陽を示す画像4を含んでいる。図中で符号15aで示す網目状の領域は、画像15を複数の領域に細分化した領域を示すものである。
【0059】
図6は、高輝度領域の説明図である。同図に示すように、太陽を示す画像4の周囲が高輝度領域15dになっている。つまり、高輝度領域15dを検出することにより、太陽の方位を検出することができる。前述のように、カメラ10から出力される座標データは、輝度が閾値を超える画素の座標を示すものであるから、その座標により特定される領域が高輝度領域15dである。そこで、日射量・太陽方位算出部21は、検出した高輝度領域15dを太陽の方位と推定する。
【0060】
図7は、曇天時にカメラ10により自車前方の景色を撮像した画像を示す図である。曇天時は、太陽光の輝度が低下するため、高輝度領域15dを検出し難くなる。そこで、高輝度走査部13は、撮像素子11bからの信号を輝度分布化する。図8は、図7に示す画像15を輝度分布化した画像を示す図である。同図に示すように、輝度分布は太陽の中心で最も高く、中心から離れるに従って低くなっている。つまり、太陽位置は輝度分布から推定することができる。
【0061】
日射量・太陽方位算出部21は、輝度分布の高い領域をもとに太陽の方位を推定する。
つまり、この実施形態の車両用制御装置1は、晴天か曇天かに関係なく太陽の方位を推定することができる。
【0062】
図9は、太陽がカメラ10の視野から外れた方位に存在する場合の画像を示す説明図であり、図10は、図9に示す画像15を輝度分布化した画像を示す図である。太陽がカメラ10の視野から外れた方位に存在する場合でも、太陽光によって輝度の高い領域が画像中に現れる。そこで、図10に示すように、画像15を輝度分布化し、輝度の高低から領域15cを太陽の方位と推定する。
つまり、この実施形態の車両用制御装置1は、太陽がカメラ10の視野から外れた方位に存在する場合であっても、太陽の方位を推定することができる。
【0063】
エアコン制御部22は、日射量・太陽方位算出部21により算出された日射量および太陽の方位に基づいてエアコンシステム30を制御する。図11は、太陽の方位とエアコンシステム30の吹出口の風量との関係を説明するための説明図であり、(a)は高輝度領域の説明図、(b)は左右の吹出口の風量を示す説明図である。
【0064】
エアコンシステム30は、車室の右側空間および左側空間の空気をそれぞれ個別に調和することのできるタイプであり、左右の空間に対して配置された吹出口から出る風量および気流の温度の少なくとも一方を可変することができるものである。空間は、右ハンドルの車両では、運転席のある側の空間が右側空間であり、助手席のある側の空間が左側空間である。以下、車室の右側空間に対して設けられた吹出口を右側吹出口30aとし、左側空間に対して設けられた吹出口を左側吹出口30bとする。
【0065】
車室の気温は、外気温によって変化する他、車室内の日射量によっても変化する。また、車室内の異なる空間における日射量は、空間と太陽の方位との関係によって異なるため、乗車位置によって体感温度が異なる。さらに、太陽が自車の上方に存在する場合は、その方位によって自車2のルーフやピラーなどが作る影の面積が、車室内の空間によって異なるため、乗車位置によって体感温度が異なる。さらに、乗員の顔など、露出した部分に注がれる日射量が多いほど、体感温度が高くなる。
【0066】
特に、長い直線区間を走行しているときは、一方の空間に対する日射量が偏るため、その空間に乗車している乗員の体感温度が速く上昇する。
そこで、この車両用制御装置1では、太陽の方位に応じて右側吹出口30aおよび左側吹出口30bからの空気の吹出量を制御し、乗車位置によって生じる体感温度差を小さくする。
【0067】
エアコンシステム30が冷房モードになっているときに、図11に示すように、太陽による高輝度領域15dが画像15の中心線P(図11(a))よりも左側に位置する場合は、車室の左側空間に乗車している乗員が受ける日射量が、右側空間に乗車している乗員よりも多いと推定されるため、左側吹出口30bからの吹出量を右側吹出口30aよりも多くする。図中に示す矢印の太さの違いは、吹出量の違いを示す。これにより、左側空間の乗員の体感温度の上昇を抑制することができる。
【0068】
また、高輝度領域15dが画像15の中心線9よりも右側に位置する場合は、右側吹出口30aからの吹出量を左側吹出口30bよりも多くする。これにより、右側空間の乗員の体感温度の上昇を抑制することができる。
【0069】
また、太陽が正面に位置するほど、顔面に降り注ぐ日射量が増加するため、体感温度が上昇する。そこで、画像15における太陽の位置が乗員の顔面に正対する位置(例えば、上下方向の中央よりもやや上)に近いほど、吹出口からの風量を多くすることにより、乗員の体感温度の上昇を抑制する。
つまり、画像15における太陽の位置に応じて吹出口からの風量を調節することにより、乗員の体感温度の上昇を抑制する。
【0070】
吹出口からの風量を示す風量データと、画像15上の太陽の位置を示す位置データとを対応付けたテーブルが、右側吹出口30aおよび左側吹出口30b毎にECUのROMに格納されており、ECUのCPUは、検出した太陽の位置を示す位置データに対応する風量データを上記テーブルから読出し、その読出した風量データをエアコン制御部22へ指示する。
【0071】
また、エアコンシステム30が左右の空間に対して独立しており、左右の空間の気温を個別に設定することのできるタイプの場合は、吹出口からの風量に代えて吹出口から出る気流の温度を下げることにより、乗員の体感温度の上昇を抑制することもできる。また、風量および気流の温度の両方を制御することもできる。
【0072】
また、エアコンシステム30が暖房モードになっているときも冷房モードのときと同じように、画像上の太陽の位置に応じて吹出口からの風量および気流の温度の少なくとも一方を制御し、乗車位置による体感温度差が小さくなるようにする。
【0073】
上記のように、この実施形態の車両用制御装置1を使用すれば、ナビゲーションシステムおよび日射センサを使用しないで太陽の位置を検出し、エアコンシステム30を制御することができる。
【0074】
周囲光照度算出部23は、画面輝度検出部12によって検出され、カメラ10から出力された輝度データに基づいて、自車2の周囲光の照度を算出する。図4に示したように、太陽光の輝度と照度とは略比例関係にあるため、太陽光の輝度に基づいて周囲光の照度を算出することができる。
【0075】
ヘッドライト制御部24は、周囲光照度算出部23により算出された輝度が閾値を超えている場合に、ヘッドライトを点灯させるためにオートライトシステム31へ出力している制御信号をアクティブに変化させる。これにより、オートライトシステム31は、ヘッドライトおよびテールランプなどを点灯する。また、ヘッドライト制御部24は、周囲光照度算出部23により算出された輝度が閾値以下の場合は、上記の制御信号の非アクティブに変化させる。これにより、オートライトシステム31は、ヘッドライトおよびテールランプなどを消灯する。
【0076】
このように、この実施形態の車両用制御装置1を使用すれば、日射センサを使用しないでオートライトシステム31を制御することができるため、日射センサを使用しない分、車両の製造コストを低減することができる。
【0077】
表示制御部25は、車室内に設けられた表示装置32を制御する。自車2は、走行前方へ赤外線を照射する赤外線照射装置を例えばヘッドライトに備える。表示装置32は、赤外線照射装置によって照射され、対象物で反射し、カメラ10によって撮像された画像を表示する。
【0078】
表示制御部25は、周囲光照度算出部23により算出された照度が閾値以下になったときにカメラ10から取得した画像を表示装置32の画面に表示する。これにより、運転者は、表示装置の画面を見ることにより、夜間でも前方の物体を認識し易くなるため、安全に走行することができる。
【0079】
このように、この実施形態の車両用制御装置1を使用すれば、太陽の方位の検出から夜間の撮像までを単一のカメラ10によって行うことができるため、カメラ10を2台備える必要がないので、その分、車両用制御装置1の製造コストを低減することができる。
【0080】
〈第2実施形態〉
この発明の第2実施形態について図を参照して説明する。この実施形態に係る車両用制御装置は、輝度に対するカメラのダイナミックレンジが狭くても昼間から夜間に対応できることを特徴とする。なお、この実施形態の車両用制御装置は、ダイナミックレンジと、露出時間の制御内容とが異なる以外は、第1実施形態の車両用制御装置と同じ構成および機能であるため、同じ部分の説明は簡略化または省略する。
【0081】
図12は、CMOSセンサのセンサ出力と輝度輝度との関係を示す図である。同図に示すように、輝度に対するダイナミックレンジが通常(例えば、約70dB)の場合は、夜間か昼間の一方の輝度にしか対応することができない。そこで、この実施形態では、撮像素子11bの露出時間を昼間と夜間とで変更することにより、昼夜を問わず使用することができるようにする。
【0082】
カメラ10に備えられたCPUが露出時間を切替えるために実行する処理の流れを説明する。図13は、その処理の流れを示すフローチャートである。
カメラ10に備えられたCPUは、露出時間をリセットする(ステップ(以下、Sと略す)1)。この実施形態では、初期設定として夜間用露出時間を設定し、リセットすると夜間用露出時間が設定される。続いてCPUは、撮像素子11bから画像を取得し(S2)、その画像を構成する画素毎の輝度を走査する(S3)。続いてCPUは、走査して検出した輝度の平均輝度を算出し、その算出値が閾値を超え、輝度が飽和しているか否かを判定する(S4)。
【0083】
ここで、肯定判定した場合は(S4:Yes)、設定されている露出時間が夜間用であるため、昼間用露出時間を設定する(S5)。つまり、輝度が飽和していると太陽の方位を検出することができないため、露出時間の短い昼間用露出時間を設定する。続いてCPUは、再度、撮像素子11bから画像を取得し(S2)、高輝度領域を走査し(S3)、その高輝度領域の平均輝度が飽和しているか否かを判定する(S4)。ここで、否定判定すると(S4:No)、太陽の方位を検出する処理へ移行する(S6)。
【0084】
また、自車2と太陽との相対位置は刻々と変化するため、日射量・太陽方位算出部21は、日射量および太陽の方位を短い間隔(例えば、1秒ないし数秒間隔)で検出し、エアコンシステム30を細かく制御することにより、車室内を常に一定温度に維持することができる。また、夜間は、翌朝まで日射量および太陽の方位を検出する必要がないため、日射量・太陽方位算出部21は、日射量および太陽の方位を長い間隔(例えば、30秒ないし数分間隔)で検出すれば、CPUの余分な負荷を軽減することができる。
【0085】
以上のように、第2実施形態の車両用制御装置1を使用すれば、広ダイナミックレンジのカメラを使用しなくても、一般的に普及しているダイナミックレンジのカメラを使用することができるため汎用性が高い。
【0086】
〈第3実施形態〉
この発明の第3実施形態について図を参照して説明する。この実施形態に係る車両用制御装置は、自車2に対する太陽の相対方位を高速で検出できることを特徴とする。なお、この実施形態の車両用制御装置は、ダイナミックレンジと、露出時間の制御内容とが異なる以外は、第1実施形態の車両用制御装置と同じ構成および機能であるため、同じ部分の説明は簡略化または省略する。
【0087】
図14は、この実施形態の車両用制御装置に備えられたカメラによって撮像された画像の説明図であり、(a)は画像の全体図、(b)は太陽が含まれる領域の説明図である。この実施形態の車両用制御装置は、カメラ10によって撮像された画像15の少なくとも一部を複数の領域に分割し、その分割した分割領域単位で高輝度領域を走査し、その走査によって高輝度領域を検出できなかったときに次の分割領域に対して高輝度領域を走査する。つまり、画像全体に対して一度に高輝度領域を走査すると、処理時間が長くなるため、画像を分割し、その分割領域単位で高輝度領域を走査する。
【0088】
画像15を分割する領域は、高輝度領域が存在する確率の高い領域である。図14に示すように、上方部分が空を示す画像である場合は、その上方部分の画像を複数の領域15eに分割する。高輝度走査部13として機能するCPUは、左上角の領域15eに対して高輝度領域の走査を行い、その領域15eにおける輝度の平均値が閾値を超えていない場合は、右隣の領域15eに対して高輝度領域の走査を行う。
【0089】
つまり、CPUは、高輝度領域を検出するまで、走査対象の領域を図中矢印F1,F2で示す方向に移動させながら走査を行う。そして、高輝度領域を検出した時点で走査を中止する。このように走査することにより、一度に画像全体を走査する必要がなくなるため、高輝度領域を高速で検出することができる。また、CPUは、高輝度領域を検出した以降に他の処理を実行することができるため、CPUの処理効率を高めることができる。
【0090】
また、走査を開始する領域は、左上角以外でもよく、任意の領域に設定することができる。また、走査を行う領域の順序は、上記のように全て順方向でもよいし、端部の領域まで達したときにその下部の領域から逆方向へ折り返す順序でもよい。また、上下方向でもよいし、ランダムでもよい。
【0091】
また、高輝度領域15dの中でさらに輝度の高い領域を検出することにより、太陽の中心または中心に近い位置の方位を検出することもできる。例えば、図14(b)に示すように、検出した高輝度領域15dをさらに細分化した領域15a単位で走査し、高輝度領域15dを検出したときに用いた閾値よりも高い閾値を超えている領域15aを検出する。
【0092】
この手法を用いれば、曇天時など、高輝度領域の範囲が広い場合であっても、太陽の方位を特定することができるため、エアコンシステム30を制御して乗車位置の相違による体感温度差を補正することができる。
【0093】
〈第4実施形態〉
この発明の第4実施形態について図を参照して説明する。この実施形態に係る車両用制御装置は、単一のカメラでエアコンシステムの制御、オートライトシステムの制御および車線逸脱警報システムの制御を行うことを特徴とする。
【0094】
図15に示すように、この実施形態の車両用制御装置に備えられたカメラはアングルを変更することができる。カメラ10の側面は支持部材10bによって回動可能に軸支されており、その回動軸には、モータ10aのシャフトが挿入されている。モータ10aは、モータ制御装置10cと接続されており、モータ制御装置10cからの制御信号によって駆動する。
【0095】
カメラ10は、モータ10aの駆動によって回動し、図15(b)に示すように、走行路面を撮像する姿勢と、図15(c)に示すように、走行前方の上空を撮像する姿勢とに変化する。
【0096】
図16に示すように、この実施形態の車両用制御装置は、路面輝度判定部26と、車線認識部27と、車線逸脱警報システム33とを備える。路面輝度判定部26は、カメラ10により撮像された走行路面の画像の中で、各画素の輝度が閾値を超えるか否かを判定する。車線認識部27は、路面輝度判定部26の判定結果に基づいて車線を認識する。車線逸脱警報システム33は、自車2が走行車線を逸脱したときに警報音の発生または警報表示あるいはそれら両方を行い、自車2が走行車線を逸脱したことを乗員に知らせる。
【0097】
走行路面において車線を規定する白線と、白線以外のアスファルト部分とでは、白線の方がアスファルトよりも反射光の輝度が高い。そこで、白線の輝度を閾値に設定しておき、路面輝度判定部26は、各画素の輝度が設定した閾値を超えるか否かを判定する。車線認識部27は、路面輝度判定部26が閾値を超えたと判定した画素の集合により形成される領域を車線と認識する。車線認識部27は、認識結果を車線逸脱警報システム33へ出力する。車線逸脱警報システム33は、車線認識部27から出力された認識結果が、車線ではないという認識結果であったときに作動する。
【0098】
通常は、太陽方位に基づいてエアコンシステム30を制御する第1制御モードになっており、カメラ10は、図15(a)に示したように、走行前方の上空を撮像するアングルに制御されている。そして、車線逸脱警報システム33を使用する第2制御モードに切り替わったときに、カメラ10は、図15(b)に示したように、走行路面を撮像するアングルに制御される。
【0099】
第1および第2制御モード間で制御モードを切替えるスイッチなどの切替え手段を車室内に配置しておき、そのスイッチを乗員が操作することにより、制御モードを切替えることができる。また、走行状況に応じて制御モードを自動的に切替えることもできる。例えば、自車2が高速道路などの自動車専用道路を走行していることを検出する機能を備えている場合は、自車が自動車専用道路を走行していることを検出したときに第1制御モードから第2制御モードに切替えることもできる。
【0100】
以上のように、第3実施形態の車両用制御装置を使用すれば、単一のカメラでエアコンシステムの制御、オートライトシステムの制御および車線逸脱警報システムの制御を行うことができる。
したがって、車両用制御装置の製造コストを大幅に低減することができる。また、複数のカメラを配置する必要がない分、配線の数を少なくすることもできる。
なお、モータに代えてソレノイドなどのアクチュエータと、それを制御する制御装置とを用いてカメラ10の姿勢を制御することもできる。
【0101】
〈第4実施形態の変更例〉
図17は、上記第4実施形態の変更例を示す説明図である。この変更例の車両用制御装置は、プリズムを用いて前述の第1および第2制御モードを切替えることを特徴とする。
カメラ10は、そのレンズ11aの入射面にプリズム11cを備える。プリズム11cには、ソレノイド16のプランジャ16bが取付けられている。ソレノイド16は、ソレノイド制御装置16cと接続されており、ソレノイド制御装置16cからの制御信号によって駆動する。
【0102】
通常は、太陽方位に基づいてエアコンシステム30を制御する第1制御モードになっている。このとき、ソレノイド16は非駆動状態で、図17(b)に示すように、プランジャ16bは伸張した状態であり、プリズム11cはレンズ11aの入射面に配置されている。つまり、図17(a)に示すように、プリズム11cは、主として走行前方の上空からの光を入射し、その入射光を屈折させてレンズ11aに取込む。
【0103】
そして、車線逸脱警報システム33を使用する第2制御モードに切替わると、ソレノイド16がソレノイド制御装置16cからの制御信号によって駆動し、図17(c)に示すように、プランジャ16bがハウジング16aの中に退避し、プリズム11cが移動してレンズ11aの入射面から外れる。これにより、レンズ11aは、主として走行前方の道路からの光を入射する。
【0104】
第1および第2制御モードの切替えは、前述のスイッチなどの切替え手段で行ってもよいし、自動的に行ってもよい。また、ソレノイドに代えてモータなどのアクチュエータと、それを制御する制御装置とを用いてプリズム11cの移動を制御することもできる。
【0105】
〈第5実施形態〉
この発明の第5実施形態について図を参照して説明する。この実施形態に係る車両用制御装置は、太陽方位を検出するときに可視光カットフィルタを用いることを特徴とする。
図18に示すように、カメラ10のレンズ11aの入射面には、可視光カットフィルタ11dが配置されている。可視光カットフィルタ11dは、レンズ11aに入射する可視光を除去する。つまり、太陽光に含まれる可視光を除去し、太陽光の赤外線領域のみを検出することができるので、車室内温度を上昇させる要因となる太陽から受ける日射量を正しく検出することができる。
【0106】
撮像素子11bは、走行前方の上空から走行路面までの広範囲を撮像することができる。可視光カットフィルタ11dは、第4実施形態の変更例におけるプリズム11cのように、ソレノイドなどのアクチュエータおよびその駆動を制御する制御装置を用いて移動させる。
【0107】
昼間は、太陽方位に基づいてエアコンシステム30を制御する第1制御モードになっている。このとき、可視光カットフィルタ11dはレンズ11aの入射面に配置されており、可視光を除去し、赤外光を通過させる。
そして、夜間は、可視光カットフィルタ11dが移動してレンズ11aの入射面から外れる。これにより、可視光感度が低下しないようにすることができる。
【0108】
可視光カットフィルタ11dを移動させる制御は、周囲光照度算出部23(図16)により算出された照度に基づいて行うことができる。その算出された照度が閾値を超えているときは、昼間であると判定し、可視光カットフィルタ11dをレンズ11aの入射面に移動させる。また、上記の算出された照度が閾値以下のときは、日射量を検出する必要がない夕方から薄暮であると判定し、可視光カットフィルタ11dをレンズ11aの入射面から外す位置へ移動させる。
【0109】
以上のように、太陽の日射量を精度良く測定する必要のある昼間の場合は、上記の制御装置により、可視光カットフィルタ11dをレンズ11aの入射面に移動させて撮像し、夜間のように特に精度が必要でない場合は、上記の制御装置により、可視光カットフィルタ11dをレンズ11aの入射面から外す位置へ移動させて撮像することができる。
つまり、用途に応じてアクチュエータを駆動することにより、可視光カットフィルタ11dをレンズ11aの入射面に配置した状態と配置しない状態とを自動的に切り替えて撮像することができる。
したがって、必要に応じて可視光カットフィルタ11dを配置する手間が不要である。
【0110】
〈他の実施形態〉
(1)レンズ11aとして広角レンズまたは魚眼レンズなど、広範囲を撮像することのできるレンズを用いることもできる。図19は、魚眼レンズを用いて撮像した画像を示す図である。これらのレンズを用いれば、広い範囲に亘って太陽の位置を検出することができる。
【0111】
(2)カメラ10を左右方向へも回動する機構を備え、自車2の側方にある太陽の方位を検出し、太陽の方位に応じてエアコンシステム30の吹出口からの風量を制御することもできる。
【0112】
(3)太陽の方位が車室内の気温や体感温度に与える影響が大きいのは、朝夕よりも昼間である。そこで、昼間は朝夕よりもカメラ10の露出を行う間隔を短くし、エアコンシステム30を細かく制御することにより、乗車位置の違いによる温度差を小さくする。一方、朝夕は、昼間よりもカメラ10の露出を行う間隔を長くすることにより、CPUの処理負荷を軽減する。
【0113】
(4)撮像素子11bを構成する複数のCMOSセンサからの出力信号を赤色成分の信号、緑色成分の信号および青色信号の成分に分離するRGB分離手段を備え、高輝度走査部13が、RGB分離手段により分離された赤色成分の信号の輝度を用いて高輝度領域を検出する構成でもよい。この構成を用いれば、太陽光の特徴を示す赤色の輝度に基づいて高輝度領域を検出するため、太陽の方位を高精度で検出することができる。
【符号の説明】
【0114】
1・・車両用制御装置、2・・自車、3・・フロントガラス、4・・太陽を示す画像、
10・・カメラ、11a・・レンズ、11b・・撮像素子、15・・画像、
15d・・高輝度領域、20・・制御部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽の方位に基づいて空気調和装置を制御する車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用制御装置として、日射センサを用いて検出した日射強度と、GPSを利用したナビゲーションシステムを用いて検出した太陽の位置とに基づいて空気調和装置を制御するものが知られている(特許文献1)。また、光の入射角に対応して出力特性を変える日射センサを用いて空気調和装置を制御するものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−132020号公報(第29〜32段落、図4)。
【特許文献2】特開平11−337405号公報(第22段落、図3)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した特許文献1に記載のものは、ナビゲーションシステムが利用しているGPSの衛星が機能しなくなったときに空気調和装置を制御することができなくなるという問題がある。また、車両が日陰に入った場合や曇天の場合など、実際に太陽が出ているか否かとは無関係に太陽の位置に基づく空気調和装置の制御が行われる。このため、精度良く空調を行うことができない。
さらに、上述した特許文献1,2に記載のものは、共に日射センサを必要とする。特に、特許文献2に記載のものは、光の入射角を検出するための信号処理回路が必要となる。
【0005】
そこでこの発明は、上述の諸問題を解決するためになされたものであり、ナビゲーションシステムおよび日射センサを使用しないで太陽の位置を検出し、空気調和装置を制御することのできる車両用制御装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、この発明の第1の特徴は、自車(2)の外方を撮像する撮像手段(11)と、前記撮像手段により撮像された画像(15)のうち、太陽光によって閾値を超える輝度を有する高輝度領域(15d)を検出する高輝度領域検出手段(13)と、前記高輝度領域検出手段によって検出された高輝度領域の前記画像内における位置に基づいて、自車に備えられた空気調和装置を制御する制御手段(21,22)と、を備えることにある。
【0007】
撮像手段により撮像された画像のうち、太陽光によって閾値を超える輝度を有する高輝度領域を検出し、その検出された高輝度領域の画像内における位置に基づいて、自車に備えられた空気調和装置を制御することができる。
したがって、ナビゲーションシステムおよび日射センサを使用しないで太陽の位置を検出し、空気調和装置を制御することのできる車両用制御装置を実現することができる。
【0008】
また、この発明の第2の特徴は、前記第1の特徴において、画像(15)を複数の領域(15e)に分割し、その分割した複数の領域の中から高輝度領域(15d)を検出し、さらに、その検出した高輝度領域の中でも特に輝度の高い高輝度領域を検出することにある。
【0009】
この第2の特徴によれば、太陽の位置を高精度で検出することができる。
【0010】
さらに、この発明の第3の特徴は、前記第1または第2の特徴において、前記高輝度領域検出手段(13)は、前記画像(15)の少なくとも一部を複数の領域(15e)に分割し、その分割された各領域の平均輝度を各領域毎に算出する平均輝度算出手段と、前記平均輝度算出手段によって算出され、前記閾値を超える平均輝度の領域のうち、平均輝度の最も高い領域を検出する領域検出手段と、を備えており、前記領域検出手段によって前記平均輝度の最も高い領域が検出されなかった場合は、前記画像の分割する範囲を変更して前記平均輝度算出手段および領域検出手段を実行することにある。
【0011】
この第3の特徴によれば、画像の総ての領域を一度に走査して高輝度領域を検出しなくてよいため、高速で高輝度領域を検出することができる。また、総ての領域を走査する前に高輝度領域を検出できた場合は、余剰時間で他の処理を行うことができるため、CPUの処理効率を高めることができる。
【0012】
この発明の第4の特徴は、前記第1ないし第3の特徴のいずれか1つにおいて、前記制御手段(21,22)は、前記撮像手段(11)により撮像された画像(15)の輝度に基づいて日射量を算出する日射量算出手段(21)を備えており、前記高輝度領域検出手段(13)の検出結果および前記日射量算出手段の算出結果に基づいて前記空気調和装置(30)を制御することにある。
【0013】
この第4の特徴によれば、撮像手段により撮像された画像の輝度に基づいて日射量を算出することができるため、日射センサなどの日射検出装置を別個に設ける必要がない。
したがって、日射検出装置およびそれを取付けるための取付器具が不要であり、かつ、取付作業が不要であるため、車両用制御装置の製造コストを低減することができるし、製造時間を短縮することができる。
【0014】
この発明の第5の特徴は、前記第1ないし第4の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)により撮像された画像(15)の輝度に基づいて自車(2)の外方の照度を算出する照度算出手段(23)と、前記照度算出手段によって算出された照度が閾値以下になったときに、自車に備えられた照明装置(31)をオンし、前記照度が前記閾値を超えたときに前記照明装置をオフする照明制御手段(24)と、を備えることにある。
【0015】
この第5の特徴によれば、撮像手段により撮像された画像の輝度に基づいて自車の外方の照度を算出することができるため、照度センサなどの照度検出装置を別個に設ける必要がない。
したがって、照度検出装置およびそれを取付けるための取付器具が不要であり、かつ、取付作業が不要であるため、車両用制御装置の製造コストを低減することができるし、製造時間を短縮することができる。
【0016】
この発明の第6の特徴は、前記第1ないし第5の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)は、自車(2)の走行する道路を撮像可能に構成されており、前記撮像手段が自車の走行する道路を撮像したときに、その撮像した画像(15)のうち閾値を超える輝度の領域を前記道路に描かれた車線と認識する車線認識手段(26,27)を備えることにある。
【0017】
この第6の特徴によれば、撮像手段により撮像された画像のうち閾値を超える輝度の領域を道路に描かれた車線と認識することができるため、道路撮像用のカメラを別個に設ける必要がない。
したがって、道路撮像用のカメラおよびそれを取付けるための取付器具が不要であり、かつ、取付作業が不要であるため、車両用制御装置の製造コストを低減することができるし、製造時間を短縮することができる。
【0018】
この発明の第7の特徴は、前記第1ないし第6の特徴のいずれか1つにおいて、前記高輝度領域検出手段(13)は、前記撮像手段(11)により撮像された画像(15)の少なくとも一部を輝度分布化し、その輝度分布の高い領域を太陽位置と推定することにある。
【0019】
この第7の特徴によれば、曇天など、太陽の位置が分かり難いようなときであっても、画像の少なくとも一部を輝度分布化し、その輝度分布の高い領域を太陽位置と推定することができる。
【0020】
この発明の第8の特徴は、前記第5ないし第7の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)は、前記照度算出手段(23)によって算出された照度に基づいて露出時間を調整することにある。
【0021】
この第8の特徴によれば、照度に基づいて露出時間を調整することができるため、照度に対して広ダイナミックレンジの撮像手段を用いる必要がない。たとえば、昼間と夜間とで露出時間を変えることにより、昼夜を問わず撮像することができる。
【0022】
この発明の第9の特徴は、前記第5ないし第8の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)は、前記照度算出手段(23)によって算出された照度に基づいて、露出を行う間隔を調整することにある。
【0023】
この第9の特徴によれば、照度に基づいて、露出を行う間隔を調整することができるため、不必要な露出をなくすことができるので、撮像手段を機能させるCPUの処理負荷を軽減することができる。
【0024】
たとえば、太陽の位置によってエアコンシステムを制御する間隔が短い昼間は、露出を行う間隔を短くすることにより、車室内の温度変化を小さくする。一方、朝夕など、太陽光による温度の影響が小さいときは、露出を行う間隔を昼間よりも長くすることにより、CPUの処理負荷を軽減する。
【0025】
この発明の第10の特徴は、前記第1ないし第9の特徴のいずれか1つにおいて、複数の固体撮像素子を備える前記撮像手段(11)の各固体撮像素子からの出力信号を赤色成分の信号、緑色成分の信号および青色成分の信号に分離するRGB分離手段と、を備えており、前記高輝度領域検出手段(13)は、前記RGB分離手段によって分離された赤色成分の信号を用いて前記高輝度領域(15d)を検出することにある。
【0026】
この第10の特徴によれば、RGB分離手段によって分離された赤色成分の信号を用いて高輝度領域を検出することができるため、太陽光による高輝度領域を検出し易い。
【0027】
この発明の第11の特徴は、前記第1ないし第10の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)は、主として空を撮像するための第1の姿勢と、主として走行前方の道路を撮像するための第2の姿勢とに切替わるように構成されてなることにある。
【0028】
この第11の特徴によれば、撮像手段は、その姿勢を切替えることにより、空および走行前方の道路の両方を撮像することができるため、空を撮像して高輝度領域を検出すための撮像手段と、道路を撮像して車線を検出するための撮像手段との2つの撮像手段を設ける必要がない。
したがって、撮像手段およびそれを取付けるための取付器具が1つ分で済み、かつ、取付作業が1つ分で済むため、車両用制御装置の製造コストを低減することができるし、製造時間を短縮することができる。
【0029】
この発明の第12の特徴は、前記第5ないし第10の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)が主として空を撮像するための第1の姿勢と主として走行前方の道路を撮像するための第2の姿勢とに切替わるように前記撮像手段を動かすアクチュエータ(10a)と、前記照度算出手段(23)によって算出された照度が閾値を超えているときは前記撮像手段が前記第1の姿勢に変化し、かつ、前記照度が前記閾値以下のときは前記撮像手段が前記第2の姿勢に変化するように前記アクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段(10c)と、を備えることにある。
【0030】
この第12の特徴によれば、照度が閾値を超えているときは撮像手段を第1の姿勢に変化させて空を撮像し、照度が閾値以下のときは撮像手段を第2の姿勢に変化させて走行前方の道路を撮像することができる。
つまり、照度に応じてアクチュエータを駆動することにより、撮像手段の姿勢を自動的に変化させ、必要な範囲を撮像することができる。
したがって、必要に応じて撮像手段の姿勢を変える手間が不要である。
【0031】
この発明の第13の特徴は、前記第1ないし第10の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)の撮像範囲が、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とに切替わるように、前記撮像手段に入射する光の光路を変更するための光路変更手段(11c)を備えることにある。
【0032】
この第13の特徴によれば、光路変更手段により、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とを切り替えて撮像することができるため、第1の範囲を撮像すための撮像手段と、第2の範囲を撮像するための撮像手段との2つの撮像手段を設ける必要がない。
したがって、撮像手段およびそれを取付けるための取付器具が1つ分で済み、かつ、取付作業が1つ分で済むため、車両用制御装置の製造コストを低減することができるし、製造時間を短縮することができる。
【0033】
この発明の第14の特徴は、前記第5ないし第10の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)の撮像範囲が、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とに切替わるように、前記撮像手段に入射する光の光路を変更するための光路変更手段(11c)と、前記撮像手段の撮像範囲が、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とに切替わるように前記光路変更手段を動かすアクチュエータ(16)と、前記照度算出手段(23)によって算出された照度が閾値を超えているときは前記光路変更手段が前記第1の姿勢に変化し、かつ、前記照度が前記閾値以下のときは前記光路変更手段が前記第2の姿勢に変化するように前記アクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段(16c)と、を備えることにある。
【0034】
この第14の特徴によれば、照度が閾値を超えているときは光路変更手段を第1の姿勢に変化させて主として空を撮像し、照度が閾値以下のときは光路変更手段を第2の姿勢に変化させて主として走行前方の道路を撮像することができる。
つまり、照度に応じてアクチュエータを駆動することにより、光路変更手段の姿勢を自動的に変化させ、必要な範囲を撮像することができる。
したがって、必要に応じて光路変更手段の姿勢を変える手間が不要である。
【0035】
この発明の第15の特徴は、前記第1ないし第14の特徴のいずれか1つにおいて、前記撮像手段(11)は、可視光を除去するための可視光除去手段(11d)を介して前記外方を撮像することにある。
【0036】
この第15の特徴によれば、太陽光の赤外線領域のみを検出することができるので、車室内温度を上昇させる要因となる太陽から受ける日射量を正しく検出することができる。
【0037】
この発明の第16の特徴は、前記第15の特徴において、前記可視光除去手段(11d)を前記撮像手段(11)の入射側に配置された状態と前記入射側に配置されていない状態とに切替える切替え手段を備えることにある。
【0038】
この第16の特徴によれば、可視光除去手段を撮像手段の入射側に配置された状態と入射側に配置されていない状態とに切替えることができるため、可視光除去手段を備えた撮像手段と、備えていない撮像手段との2つの撮像手段を設ける必要がない。
したがって、撮像手段およびそれを取付けるための取付器具が1つ分で済み、かつ、取付作業が1つ分で済むため、車両用制御装置の製造コストを低減することができるし、製造時間を短縮することができる。
【0039】
この発明の第17の特徴は、前記第5ないし第14の特徴のいずれか1つにおいて、可視光を除去するための可視光除去手段(11d)と、前記可視光除去手段を前記撮像手段(11)の入射側に配置された状態と前記入射側に配置されていない状態とに切替わるように前記可視光除去手段を動かすアクチュエータと、前記可視光除去手段が前記撮像手段の入射側に配置された状態または配置されていない状態に切替わるように前記アクチュエータの駆動を制御する制御手段と、を備えることにある。
【0040】
この第17の特徴によれば、例えば、太陽の日射量を精度良く測定する場合は、上記の制御手段により、可視光除去手段を撮像手段の入射側に配置して撮像し、特に精度が必要でない場合は、上記の制御手段により、可視光除去手段を撮像手段の入射側に配置されていない状態にして撮像することができる。
つまり、用途に応じてアクチュエータを駆動することにより、可視光除去手段を配置した状態と配置しない状態とを自動的に切り替えて撮像することができる。
したがって、必要に応じて可視光除去手段を配置する手間が不要である。
【0041】
この発明の第18の特徴は、前記第1ないし第17の特徴のいずれか1つにおいて、前記高輝度領域検出手段(13)によって検出された高輝度領域(15d)の前記画像(15)上における位置を示す位置データと、前記空気調和装置(30)の制御内容を示す制御データとを対応付けて格納する格納手段を備えており、前記制御手段は、前記位置データと対応付けられた制御データを前記格納手段から読出し、その読出した制御データに基づいて前記空気調和装置を制御することにある。
【0042】
この第18の特徴によれば、高輝度領域の画像上における位置を示す位置データと、空気調和装置の制御内容を示す制御データとを対応付けて格納手段に格納しておき、位置データと対応付けられた制御データを格納手段から読出して空気調和装置を制御することができる。
したがって、車両用制御装置を使用する地域あるいは国が異なり、太陽の方位や気温が異なる場合であっても、その地域または国に応じた位置データおよび制御データを格納手段に格納しておくことにより、地域または国によって効果に差が出ないようにすることができる。
【0043】
この発明の第19の特徴は、前記第18の特徴において、前記空気調和装置(30)は、車室の複数の空間の空気をそれぞれ個別に調和するように構成されており、前記制御手段(22)は、前記位置データと対応付けられた制御データを前記格納手段から読出し、その読出した制御データにより示される制御内容に基づいて前記空気調和装置を制御することにより、前記空間間の温度差を小さくすることにある。
【0044】
この第19の特徴によれば、車室を構成する複数の空間間の温度差を小さくすることができる。
【0045】
この発明の第20の特徴は、前記第19の特徴において、前記空気調和装置(30)は、車室の右側空間および左側空間の空気をそれぞれ個別に調和するように構成されてなることにある。
【0046】
この第20の特徴によれば、車室の右側空間および左側空間間の温度差を小さくすることができる。
したがって、運転席における体感温度と、助手席における体感温度との差を小さくすることができる。
【0047】
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の第1実施形態に係る車両用制御装置を構成するカメラが車両に配置された状態を示す説明図である。
【図2】撮像素子11bを構成するCMOSセンサのセンサ出力と輝度との関係を示す説明図である。
【図3】車両用制御装置の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【図4】照度と太陽光の輝度との相関関係を示すグラフである。
【図5】晴天時にカメラ10により自車前方の景色を撮像した画像を示す図である。
【図6】高輝度領域の説明図である。
【図7】曇天時にカメラ10により自車前方の景色を撮像した画像を示す図である。
【図8】図7に示す画像を輝度分布化した画像を示す図である。
【図9】太陽がカメラ10の視野から外れた方位に存在する場合の画像を示す説明図である。
【図10】図9に示す画像を輝度分布化した画像を示す図である。
【図11】太陽の方位とエアコンシステムの吹出口の風量との関係を説明するための説明図であり、(a)は高輝度領域の説明図、(b)は左右の吹出口の風量を示す説明図である。
【図12】第2実施形態におけるCMOSセンサのセンサ出力と輝度との関係を示す図である。
【図13】カメラ10に備えられたCPUが露出時間を切替えるために実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第3実施形態の車両用制御装置に備えられたカメラによって撮像された画像の説明図であり、(a)は画像の全体図、(b)は太陽が含まれる領域の説明図である。
【図15】第4実施形態の車両用制御装置に備えられたカメラの説明図であり、(a)はカメラが車両に配置された状態を示す説明図、(b)はカメラが走行路面を撮像する姿勢に変化した状態を示し、(c)はカメラが走行前方の上空を撮像する姿勢に変化した状態を示す。
【図16】第4実施形態の車両用制御装置の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【図17】第4実施形態の変更例を示す説明図であり、(a)はカメラの入射側にプリズムが配置された状態の左側面図であり、(b)は(a)の正面図であり、(c)は(b)においてカメラの入射側からプリズムが移動した状態を示す正面図である。
【図18】第5実施形態の車両用制御装置を構成するカメラの入射側に可視光カットフィルタが配置された状態の左側面図である。
【図19】魚眼レンズを用いて撮像した画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
〈第1実施形態〉
この発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、この第1実施形態に係る車両用制御装置を構成するカメラが車両に配置された状態を示す説明図である。
【0050】
(撮像手段)
この発明が適用された車両(以下、自車という)2には、車両用制御装置を構成するカメラ10が配置されている。カメラ10は、フロントガラス3の内側に配置されている。カメラ10は、フロントガラス3を通して空が含まれる範囲を撮像する位置に配置されている。カメラ10は、撮像レンズ11aと、撮像素子11bとを備えており、白黒またはカラーで撮像する。撮像レンズ11aは、複数種類のレンズから構成されており、撮像素子11bの受光面上に光学画像を形成する。
【0051】
この実施形態では、撮像素子11bとしてCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーを用いる。撮像素子11bは、各CMOSセンサの露出時間を制御する電子シャッターを備える。図2は、撮像素子11bを構成するCMOSセンサのセンサ出力と輝度との関係を示す説明図である。同図に示すように、撮像素子11bを構成するCMOSセンサの輝度に対するダイナミックレンジは、夜間の路面から昼間の太陽までを撮影することのできる広ダイナミックレンジである。この実施形態では、ダイナミックレンジは、約130dBである。
【0052】
(電気的構成)
図3は、車両用制御装置の電気的構成をブロックで示す説明図である。車両用制御装置1は、カメラ10と、制御部20とを備える。制御部20は、カメラ10からの出力信号に基いてエアコンシステム30およびオートライトシステム31などの制御を行う。カメラ10は、撮像部11と、画面輝度検出部12と、高輝度走査部13と、露出時間制御部14とを備える。
【0053】
撮像部11は、前述の撮像レンズ11aおよび撮像素子11bから構成される。画面輝度検出部12、高輝度走査部13および露出時間制御部14は、カメラ10に備えられたマイクロコンピュータによって実現される内容をブロックで示すものである。そのマイクロコンピュータは、図示しないCPU、RAMおよびROMを備える他、制御部20との間でデータの通信を行うための入出力インターエースなどを備える。
【0054】
画面輝度検出部12は、撮像素子11bによって撮像された画像の輝度を検出する。この輝度は、画像を構成する画素単位で検出する。その検出した輝度は、輝度データとして画素単位で、かつ、画素の座標データと対応付けて上記のRAMに一時的に格納する。高輝度走査部13は、RAMに格納されている画素単位の輝度を走査し、輝度が閾値を超える画素の座標データをRAMから読出す。
【0055】
露出時間制御部14は、自車2の周囲の明るさに応じて撮像素子11bの露出時間を制御する。カメラ10は、RAMに格納されている輝度データと、高輝度走査部13によってRAMから読出された座標データとを制御部20へ出力する。
【0056】
制御部20は、日射量・太陽方位算出部21と、エアコン制御部22と、周囲光照度算出部23と、ヘッドライト制御部24と、表示制御部25とを備える。制御部20は、自車2のECU(Electronic Control Unit)によって機能し、制御部20を構成する各ブロックは、その機能の一部を示すものである。
【0057】
日射量・太陽方位算出部21は、カメラ10から出力される輝度データに基づいてフロントガラス3から入る日射量を算出する。照度と日射量とは比例関係にある。また、図4に示すように、太陽光の輝度と照度とは略比例関係にあることから、太陽光の輝度が分かれば日射量を求めることができる。ECUを構成するROMには、図4に示す太陽光の輝度と照度とが対応付けたデータがテーブル形式、または対応付けた関数にて格納されており、日射量・太陽方位算出部21は、画像の平均輝度を算出し、その算出した平均輝度に対応付けられた照度を上記ROMから読出す。
【0058】
また、日射量・太陽方位算出部21は、カメラ10から出力される座標データに基づいて、太陽の相対方位、つまり自車2から見た太陽の方位を算出する。図5は、晴天時にカメラ10により自車前方の景色を撮像した画像を示す図である。図5に示す画像15は、走行する自車前方の道路と、その道路周辺の景色と、空とを表しており、太陽を示す画像4を含んでいる。図中で符号15aで示す網目状の領域は、画像15を複数の領域に細分化した領域を示すものである。
【0059】
図6は、高輝度領域の説明図である。同図に示すように、太陽を示す画像4の周囲が高輝度領域15dになっている。つまり、高輝度領域15dを検出することにより、太陽の方位を検出することができる。前述のように、カメラ10から出力される座標データは、輝度が閾値を超える画素の座標を示すものであるから、その座標により特定される領域が高輝度領域15dである。そこで、日射量・太陽方位算出部21は、検出した高輝度領域15dを太陽の方位と推定する。
【0060】
図7は、曇天時にカメラ10により自車前方の景色を撮像した画像を示す図である。曇天時は、太陽光の輝度が低下するため、高輝度領域15dを検出し難くなる。そこで、高輝度走査部13は、撮像素子11bからの信号を輝度分布化する。図8は、図7に示す画像15を輝度分布化した画像を示す図である。同図に示すように、輝度分布は太陽の中心で最も高く、中心から離れるに従って低くなっている。つまり、太陽位置は輝度分布から推定することができる。
【0061】
日射量・太陽方位算出部21は、輝度分布の高い領域をもとに太陽の方位を推定する。
つまり、この実施形態の車両用制御装置1は、晴天か曇天かに関係なく太陽の方位を推定することができる。
【0062】
図9は、太陽がカメラ10の視野から外れた方位に存在する場合の画像を示す説明図であり、図10は、図9に示す画像15を輝度分布化した画像を示す図である。太陽がカメラ10の視野から外れた方位に存在する場合でも、太陽光によって輝度の高い領域が画像中に現れる。そこで、図10に示すように、画像15を輝度分布化し、輝度の高低から領域15cを太陽の方位と推定する。
つまり、この実施形態の車両用制御装置1は、太陽がカメラ10の視野から外れた方位に存在する場合であっても、太陽の方位を推定することができる。
【0063】
エアコン制御部22は、日射量・太陽方位算出部21により算出された日射量および太陽の方位に基づいてエアコンシステム30を制御する。図11は、太陽の方位とエアコンシステム30の吹出口の風量との関係を説明するための説明図であり、(a)は高輝度領域の説明図、(b)は左右の吹出口の風量を示す説明図である。
【0064】
エアコンシステム30は、車室の右側空間および左側空間の空気をそれぞれ個別に調和することのできるタイプであり、左右の空間に対して配置された吹出口から出る風量および気流の温度の少なくとも一方を可変することができるものである。空間は、右ハンドルの車両では、運転席のある側の空間が右側空間であり、助手席のある側の空間が左側空間である。以下、車室の右側空間に対して設けられた吹出口を右側吹出口30aとし、左側空間に対して設けられた吹出口を左側吹出口30bとする。
【0065】
車室の気温は、外気温によって変化する他、車室内の日射量によっても変化する。また、車室内の異なる空間における日射量は、空間と太陽の方位との関係によって異なるため、乗車位置によって体感温度が異なる。さらに、太陽が自車の上方に存在する場合は、その方位によって自車2のルーフやピラーなどが作る影の面積が、車室内の空間によって異なるため、乗車位置によって体感温度が異なる。さらに、乗員の顔など、露出した部分に注がれる日射量が多いほど、体感温度が高くなる。
【0066】
特に、長い直線区間を走行しているときは、一方の空間に対する日射量が偏るため、その空間に乗車している乗員の体感温度が速く上昇する。
そこで、この車両用制御装置1では、太陽の方位に応じて右側吹出口30aおよび左側吹出口30bからの空気の吹出量を制御し、乗車位置によって生じる体感温度差を小さくする。
【0067】
エアコンシステム30が冷房モードになっているときに、図11に示すように、太陽による高輝度領域15dが画像15の中心線P(図11(a))よりも左側に位置する場合は、車室の左側空間に乗車している乗員が受ける日射量が、右側空間に乗車している乗員よりも多いと推定されるため、左側吹出口30bからの吹出量を右側吹出口30aよりも多くする。図中に示す矢印の太さの違いは、吹出量の違いを示す。これにより、左側空間の乗員の体感温度の上昇を抑制することができる。
【0068】
また、高輝度領域15dが画像15の中心線9よりも右側に位置する場合は、右側吹出口30aからの吹出量を左側吹出口30bよりも多くする。これにより、右側空間の乗員の体感温度の上昇を抑制することができる。
【0069】
また、太陽が正面に位置するほど、顔面に降り注ぐ日射量が増加するため、体感温度が上昇する。そこで、画像15における太陽の位置が乗員の顔面に正対する位置(例えば、上下方向の中央よりもやや上)に近いほど、吹出口からの風量を多くすることにより、乗員の体感温度の上昇を抑制する。
つまり、画像15における太陽の位置に応じて吹出口からの風量を調節することにより、乗員の体感温度の上昇を抑制する。
【0070】
吹出口からの風量を示す風量データと、画像15上の太陽の位置を示す位置データとを対応付けたテーブルが、右側吹出口30aおよび左側吹出口30b毎にECUのROMに格納されており、ECUのCPUは、検出した太陽の位置を示す位置データに対応する風量データを上記テーブルから読出し、その読出した風量データをエアコン制御部22へ指示する。
【0071】
また、エアコンシステム30が左右の空間に対して独立しており、左右の空間の気温を個別に設定することのできるタイプの場合は、吹出口からの風量に代えて吹出口から出る気流の温度を下げることにより、乗員の体感温度の上昇を抑制することもできる。また、風量および気流の温度の両方を制御することもできる。
【0072】
また、エアコンシステム30が暖房モードになっているときも冷房モードのときと同じように、画像上の太陽の位置に応じて吹出口からの風量および気流の温度の少なくとも一方を制御し、乗車位置による体感温度差が小さくなるようにする。
【0073】
上記のように、この実施形態の車両用制御装置1を使用すれば、ナビゲーションシステムおよび日射センサを使用しないで太陽の位置を検出し、エアコンシステム30を制御することができる。
【0074】
周囲光照度算出部23は、画面輝度検出部12によって検出され、カメラ10から出力された輝度データに基づいて、自車2の周囲光の照度を算出する。図4に示したように、太陽光の輝度と照度とは略比例関係にあるため、太陽光の輝度に基づいて周囲光の照度を算出することができる。
【0075】
ヘッドライト制御部24は、周囲光照度算出部23により算出された輝度が閾値を超えている場合に、ヘッドライトを点灯させるためにオートライトシステム31へ出力している制御信号をアクティブに変化させる。これにより、オートライトシステム31は、ヘッドライトおよびテールランプなどを点灯する。また、ヘッドライト制御部24は、周囲光照度算出部23により算出された輝度が閾値以下の場合は、上記の制御信号の非アクティブに変化させる。これにより、オートライトシステム31は、ヘッドライトおよびテールランプなどを消灯する。
【0076】
このように、この実施形態の車両用制御装置1を使用すれば、日射センサを使用しないでオートライトシステム31を制御することができるため、日射センサを使用しない分、車両の製造コストを低減することができる。
【0077】
表示制御部25は、車室内に設けられた表示装置32を制御する。自車2は、走行前方へ赤外線を照射する赤外線照射装置を例えばヘッドライトに備える。表示装置32は、赤外線照射装置によって照射され、対象物で反射し、カメラ10によって撮像された画像を表示する。
【0078】
表示制御部25は、周囲光照度算出部23により算出された照度が閾値以下になったときにカメラ10から取得した画像を表示装置32の画面に表示する。これにより、運転者は、表示装置の画面を見ることにより、夜間でも前方の物体を認識し易くなるため、安全に走行することができる。
【0079】
このように、この実施形態の車両用制御装置1を使用すれば、太陽の方位の検出から夜間の撮像までを単一のカメラ10によって行うことができるため、カメラ10を2台備える必要がないので、その分、車両用制御装置1の製造コストを低減することができる。
【0080】
〈第2実施形態〉
この発明の第2実施形態について図を参照して説明する。この実施形態に係る車両用制御装置は、輝度に対するカメラのダイナミックレンジが狭くても昼間から夜間に対応できることを特徴とする。なお、この実施形態の車両用制御装置は、ダイナミックレンジと、露出時間の制御内容とが異なる以外は、第1実施形態の車両用制御装置と同じ構成および機能であるため、同じ部分の説明は簡略化または省略する。
【0081】
図12は、CMOSセンサのセンサ出力と輝度輝度との関係を示す図である。同図に示すように、輝度に対するダイナミックレンジが通常(例えば、約70dB)の場合は、夜間か昼間の一方の輝度にしか対応することができない。そこで、この実施形態では、撮像素子11bの露出時間を昼間と夜間とで変更することにより、昼夜を問わず使用することができるようにする。
【0082】
カメラ10に備えられたCPUが露出時間を切替えるために実行する処理の流れを説明する。図13は、その処理の流れを示すフローチャートである。
カメラ10に備えられたCPUは、露出時間をリセットする(ステップ(以下、Sと略す)1)。この実施形態では、初期設定として夜間用露出時間を設定し、リセットすると夜間用露出時間が設定される。続いてCPUは、撮像素子11bから画像を取得し(S2)、その画像を構成する画素毎の輝度を走査する(S3)。続いてCPUは、走査して検出した輝度の平均輝度を算出し、その算出値が閾値を超え、輝度が飽和しているか否かを判定する(S4)。
【0083】
ここで、肯定判定した場合は(S4:Yes)、設定されている露出時間が夜間用であるため、昼間用露出時間を設定する(S5)。つまり、輝度が飽和していると太陽の方位を検出することができないため、露出時間の短い昼間用露出時間を設定する。続いてCPUは、再度、撮像素子11bから画像を取得し(S2)、高輝度領域を走査し(S3)、その高輝度領域の平均輝度が飽和しているか否かを判定する(S4)。ここで、否定判定すると(S4:No)、太陽の方位を検出する処理へ移行する(S6)。
【0084】
また、自車2と太陽との相対位置は刻々と変化するため、日射量・太陽方位算出部21は、日射量および太陽の方位を短い間隔(例えば、1秒ないし数秒間隔)で検出し、エアコンシステム30を細かく制御することにより、車室内を常に一定温度に維持することができる。また、夜間は、翌朝まで日射量および太陽の方位を検出する必要がないため、日射量・太陽方位算出部21は、日射量および太陽の方位を長い間隔(例えば、30秒ないし数分間隔)で検出すれば、CPUの余分な負荷を軽減することができる。
【0085】
以上のように、第2実施形態の車両用制御装置1を使用すれば、広ダイナミックレンジのカメラを使用しなくても、一般的に普及しているダイナミックレンジのカメラを使用することができるため汎用性が高い。
【0086】
〈第3実施形態〉
この発明の第3実施形態について図を参照して説明する。この実施形態に係る車両用制御装置は、自車2に対する太陽の相対方位を高速で検出できることを特徴とする。なお、この実施形態の車両用制御装置は、ダイナミックレンジと、露出時間の制御内容とが異なる以外は、第1実施形態の車両用制御装置と同じ構成および機能であるため、同じ部分の説明は簡略化または省略する。
【0087】
図14は、この実施形態の車両用制御装置に備えられたカメラによって撮像された画像の説明図であり、(a)は画像の全体図、(b)は太陽が含まれる領域の説明図である。この実施形態の車両用制御装置は、カメラ10によって撮像された画像15の少なくとも一部を複数の領域に分割し、その分割した分割領域単位で高輝度領域を走査し、その走査によって高輝度領域を検出できなかったときに次の分割領域に対して高輝度領域を走査する。つまり、画像全体に対して一度に高輝度領域を走査すると、処理時間が長くなるため、画像を分割し、その分割領域単位で高輝度領域を走査する。
【0088】
画像15を分割する領域は、高輝度領域が存在する確率の高い領域である。図14に示すように、上方部分が空を示す画像である場合は、その上方部分の画像を複数の領域15eに分割する。高輝度走査部13として機能するCPUは、左上角の領域15eに対して高輝度領域の走査を行い、その領域15eにおける輝度の平均値が閾値を超えていない場合は、右隣の領域15eに対して高輝度領域の走査を行う。
【0089】
つまり、CPUは、高輝度領域を検出するまで、走査対象の領域を図中矢印F1,F2で示す方向に移動させながら走査を行う。そして、高輝度領域を検出した時点で走査を中止する。このように走査することにより、一度に画像全体を走査する必要がなくなるため、高輝度領域を高速で検出することができる。また、CPUは、高輝度領域を検出した以降に他の処理を実行することができるため、CPUの処理効率を高めることができる。
【0090】
また、走査を開始する領域は、左上角以外でもよく、任意の領域に設定することができる。また、走査を行う領域の順序は、上記のように全て順方向でもよいし、端部の領域まで達したときにその下部の領域から逆方向へ折り返す順序でもよい。また、上下方向でもよいし、ランダムでもよい。
【0091】
また、高輝度領域15dの中でさらに輝度の高い領域を検出することにより、太陽の中心または中心に近い位置の方位を検出することもできる。例えば、図14(b)に示すように、検出した高輝度領域15dをさらに細分化した領域15a単位で走査し、高輝度領域15dを検出したときに用いた閾値よりも高い閾値を超えている領域15aを検出する。
【0092】
この手法を用いれば、曇天時など、高輝度領域の範囲が広い場合であっても、太陽の方位を特定することができるため、エアコンシステム30を制御して乗車位置の相違による体感温度差を補正することができる。
【0093】
〈第4実施形態〉
この発明の第4実施形態について図を参照して説明する。この実施形態に係る車両用制御装置は、単一のカメラでエアコンシステムの制御、オートライトシステムの制御および車線逸脱警報システムの制御を行うことを特徴とする。
【0094】
図15に示すように、この実施形態の車両用制御装置に備えられたカメラはアングルを変更することができる。カメラ10の側面は支持部材10bによって回動可能に軸支されており、その回動軸には、モータ10aのシャフトが挿入されている。モータ10aは、モータ制御装置10cと接続されており、モータ制御装置10cからの制御信号によって駆動する。
【0095】
カメラ10は、モータ10aの駆動によって回動し、図15(b)に示すように、走行路面を撮像する姿勢と、図15(c)に示すように、走行前方の上空を撮像する姿勢とに変化する。
【0096】
図16に示すように、この実施形態の車両用制御装置は、路面輝度判定部26と、車線認識部27と、車線逸脱警報システム33とを備える。路面輝度判定部26は、カメラ10により撮像された走行路面の画像の中で、各画素の輝度が閾値を超えるか否かを判定する。車線認識部27は、路面輝度判定部26の判定結果に基づいて車線を認識する。車線逸脱警報システム33は、自車2が走行車線を逸脱したときに警報音の発生または警報表示あるいはそれら両方を行い、自車2が走行車線を逸脱したことを乗員に知らせる。
【0097】
走行路面において車線を規定する白線と、白線以外のアスファルト部分とでは、白線の方がアスファルトよりも反射光の輝度が高い。そこで、白線の輝度を閾値に設定しておき、路面輝度判定部26は、各画素の輝度が設定した閾値を超えるか否かを判定する。車線認識部27は、路面輝度判定部26が閾値を超えたと判定した画素の集合により形成される領域を車線と認識する。車線認識部27は、認識結果を車線逸脱警報システム33へ出力する。車線逸脱警報システム33は、車線認識部27から出力された認識結果が、車線ではないという認識結果であったときに作動する。
【0098】
通常は、太陽方位に基づいてエアコンシステム30を制御する第1制御モードになっており、カメラ10は、図15(a)に示したように、走行前方の上空を撮像するアングルに制御されている。そして、車線逸脱警報システム33を使用する第2制御モードに切り替わったときに、カメラ10は、図15(b)に示したように、走行路面を撮像するアングルに制御される。
【0099】
第1および第2制御モード間で制御モードを切替えるスイッチなどの切替え手段を車室内に配置しておき、そのスイッチを乗員が操作することにより、制御モードを切替えることができる。また、走行状況に応じて制御モードを自動的に切替えることもできる。例えば、自車2が高速道路などの自動車専用道路を走行していることを検出する機能を備えている場合は、自車が自動車専用道路を走行していることを検出したときに第1制御モードから第2制御モードに切替えることもできる。
【0100】
以上のように、第3実施形態の車両用制御装置を使用すれば、単一のカメラでエアコンシステムの制御、オートライトシステムの制御および車線逸脱警報システムの制御を行うことができる。
したがって、車両用制御装置の製造コストを大幅に低減することができる。また、複数のカメラを配置する必要がない分、配線の数を少なくすることもできる。
なお、モータに代えてソレノイドなどのアクチュエータと、それを制御する制御装置とを用いてカメラ10の姿勢を制御することもできる。
【0101】
〈第4実施形態の変更例〉
図17は、上記第4実施形態の変更例を示す説明図である。この変更例の車両用制御装置は、プリズムを用いて前述の第1および第2制御モードを切替えることを特徴とする。
カメラ10は、そのレンズ11aの入射面にプリズム11cを備える。プリズム11cには、ソレノイド16のプランジャ16bが取付けられている。ソレノイド16は、ソレノイド制御装置16cと接続されており、ソレノイド制御装置16cからの制御信号によって駆動する。
【0102】
通常は、太陽方位に基づいてエアコンシステム30を制御する第1制御モードになっている。このとき、ソレノイド16は非駆動状態で、図17(b)に示すように、プランジャ16bは伸張した状態であり、プリズム11cはレンズ11aの入射面に配置されている。つまり、図17(a)に示すように、プリズム11cは、主として走行前方の上空からの光を入射し、その入射光を屈折させてレンズ11aに取込む。
【0103】
そして、車線逸脱警報システム33を使用する第2制御モードに切替わると、ソレノイド16がソレノイド制御装置16cからの制御信号によって駆動し、図17(c)に示すように、プランジャ16bがハウジング16aの中に退避し、プリズム11cが移動してレンズ11aの入射面から外れる。これにより、レンズ11aは、主として走行前方の道路からの光を入射する。
【0104】
第1および第2制御モードの切替えは、前述のスイッチなどの切替え手段で行ってもよいし、自動的に行ってもよい。また、ソレノイドに代えてモータなどのアクチュエータと、それを制御する制御装置とを用いてプリズム11cの移動を制御することもできる。
【0105】
〈第5実施形態〉
この発明の第5実施形態について図を参照して説明する。この実施形態に係る車両用制御装置は、太陽方位を検出するときに可視光カットフィルタを用いることを特徴とする。
図18に示すように、カメラ10のレンズ11aの入射面には、可視光カットフィルタ11dが配置されている。可視光カットフィルタ11dは、レンズ11aに入射する可視光を除去する。つまり、太陽光に含まれる可視光を除去し、太陽光の赤外線領域のみを検出することができるので、車室内温度を上昇させる要因となる太陽から受ける日射量を正しく検出することができる。
【0106】
撮像素子11bは、走行前方の上空から走行路面までの広範囲を撮像することができる。可視光カットフィルタ11dは、第4実施形態の変更例におけるプリズム11cのように、ソレノイドなどのアクチュエータおよびその駆動を制御する制御装置を用いて移動させる。
【0107】
昼間は、太陽方位に基づいてエアコンシステム30を制御する第1制御モードになっている。このとき、可視光カットフィルタ11dはレンズ11aの入射面に配置されており、可視光を除去し、赤外光を通過させる。
そして、夜間は、可視光カットフィルタ11dが移動してレンズ11aの入射面から外れる。これにより、可視光感度が低下しないようにすることができる。
【0108】
可視光カットフィルタ11dを移動させる制御は、周囲光照度算出部23(図16)により算出された照度に基づいて行うことができる。その算出された照度が閾値を超えているときは、昼間であると判定し、可視光カットフィルタ11dをレンズ11aの入射面に移動させる。また、上記の算出された照度が閾値以下のときは、日射量を検出する必要がない夕方から薄暮であると判定し、可視光カットフィルタ11dをレンズ11aの入射面から外す位置へ移動させる。
【0109】
以上のように、太陽の日射量を精度良く測定する必要のある昼間の場合は、上記の制御装置により、可視光カットフィルタ11dをレンズ11aの入射面に移動させて撮像し、夜間のように特に精度が必要でない場合は、上記の制御装置により、可視光カットフィルタ11dをレンズ11aの入射面から外す位置へ移動させて撮像することができる。
つまり、用途に応じてアクチュエータを駆動することにより、可視光カットフィルタ11dをレンズ11aの入射面に配置した状態と配置しない状態とを自動的に切り替えて撮像することができる。
したがって、必要に応じて可視光カットフィルタ11dを配置する手間が不要である。
【0110】
〈他の実施形態〉
(1)レンズ11aとして広角レンズまたは魚眼レンズなど、広範囲を撮像することのできるレンズを用いることもできる。図19は、魚眼レンズを用いて撮像した画像を示す図である。これらのレンズを用いれば、広い範囲に亘って太陽の位置を検出することができる。
【0111】
(2)カメラ10を左右方向へも回動する機構を備え、自車2の側方にある太陽の方位を検出し、太陽の方位に応じてエアコンシステム30の吹出口からの風量を制御することもできる。
【0112】
(3)太陽の方位が車室内の気温や体感温度に与える影響が大きいのは、朝夕よりも昼間である。そこで、昼間は朝夕よりもカメラ10の露出を行う間隔を短くし、エアコンシステム30を細かく制御することにより、乗車位置の違いによる温度差を小さくする。一方、朝夕は、昼間よりもカメラ10の露出を行う間隔を長くすることにより、CPUの処理負荷を軽減する。
【0113】
(4)撮像素子11bを構成する複数のCMOSセンサからの出力信号を赤色成分の信号、緑色成分の信号および青色信号の成分に分離するRGB分離手段を備え、高輝度走査部13が、RGB分離手段により分離された赤色成分の信号の輝度を用いて高輝度領域を検出する構成でもよい。この構成を用いれば、太陽光の特徴を示す赤色の輝度に基づいて高輝度領域を検出するため、太陽の方位を高精度で検出することができる。
【符号の説明】
【0114】
1・・車両用制御装置、2・・自車、3・・フロントガラス、4・・太陽を示す画像、
10・・カメラ、11a・・レンズ、11b・・撮像素子、15・・画像、
15d・・高輝度領域、20・・制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の外方を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像のうち、太陽光によって閾値を超える輝度を有する高輝度領域を検出する高輝度領域検出手段と、
前記高輝度領域検出手段によって検出された高輝度領域の前記画像内における位置に基づいて、自車に備えられた空気調和装置を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記高輝度領域検出手段は、
前記画像を複数の領域に分割し、その分割した複数の領域の中から前記高輝度領域を検出し、さらに、その検出した高輝度領域の中でも特に輝度の高い高輝度領域を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記高輝度領域検出手段は、
前記画像の少なくとも一部を複数の領域に分割し、その分割された各領域の平均輝度を各領域毎に算出する平均輝度算出手段と、
前記平均輝度算出手段によって算出され、前記閾値を超える平均輝度の領域のうち、平均輝度の最も高い領域を検出する領域検出手段と、を備えており、前記領域検出手段によって前記平均輝度の最も高い領域が検出されなかった場合は、前記画像の分割する範囲を変更して前記平均輝度算出手段および領域検出手段を実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記撮像手段により撮像された画像の輝度に基づいて日射量を算出する日射量算出手段を備えており、前記高輝度領域検出手段の検出結果および前記日射量算出手段の算出結果に基づいて前記空気調和装置を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記撮像手段により撮像された画像の輝度に基づいて自車の外方の照度を算出する照度算出手段と、
前記照度算出手段によって算出された照度が閾値以下になったときに、自車に備えられた照明装置をオンし、前記照度が前記閾値を超えたときに前記照明装置をオフする照明制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、自車の走行する道路を撮像可能に構成されており、
前記撮像手段が自車の走行する道路を撮像したときに、その撮像した画像のうち閾値を超える輝度の領域を前記道路に描かれた車線と認識する車線認識手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項7】
前記高輝度領域検出手段は、前記撮像手段により撮像された画像の少なくとも一部を輝度分布化し、その輝度分布の高い領域を太陽位置と推定することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項8】
前記撮像手段は、前記照度算出手段によって算出された照度に基づいて露出時間を調整することを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項9】
前記撮像手段は、前記照度算出手段によって算出された照度に基づいて、露出を行う間隔を調整することを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項10】
複数の固体撮像素子を備える前記撮像手段の各固体撮像素子からの出力信号を赤色成分の信号、緑色成分の信号および青色成分の信号に分離するRGB分離手段と、を備えており、
前記高輝度領域検出手段は、前記RGB分離手段によって分離された赤色成分の信号を用いて前記高輝度領域を検出することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項11】
前記撮像手段は、
主として空を撮像するための第1の姿勢と、主として走行前方の道路を撮像するための第2の姿勢とに切替わるように構成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項12】
前記撮像手段が主として空を撮像するための第1の姿勢と主として走行前方の道路を撮像するための第2の姿勢とに切替わるように前記撮像手段を動かすアクチュエータと、
前記照度算出手段によって算出された照度が閾値を超えているときは前記撮像手段が前記第1の姿勢に変化し、かつ、前記照度が前記閾値以下のときは前記撮像手段が前記第2の姿勢に変化するように前記アクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段と、を備えることを特徴とする請求項5ないし請求項10のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項13】
前記撮像手段の撮像範囲が、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とに切替わるように、前記撮像手段に入射する光の光路を変更するための光路変更手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項14】
前記撮像手段の撮像範囲が、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とに切替わるように、前記撮像手段に入射する光の光路を変更するための光路変更手段と、
前記撮像手段の撮像範囲が、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とに切替わるように前記光路変更手段を動かすアクチュエータと、
前記照度算出手段によって算出された照度が閾値を超えているときは前記光路変更手段が前記第1の姿勢に変化し、かつ、前記照度が前記閾値以下のときは前記光路変更手段が前記第2の姿勢に変化するように前記アクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段と、を備えることを特徴とする請求項5ないし請求項10のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項15】
前記撮像手段は、可視光を除去するための可視光除去手段を介して前記外方を撮像することを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項16】
前記可視光除去手段を前記撮像手段の入射側に配置された状態と前記入射側に配置されていない状態とに切替える切替え手段を備えることを特徴とする請求項15に記載の車両用制御装置。
【請求項17】
可視光を除去するための可視光除去手段と、
前記可視光除去手段を前記撮像手段の入射側に配置された状態と前記入射側に配置されていない状態とに切替わるように前記可視光除去手段を動かすアクチュエータと、
前記可視光除去手段が前記撮像手段の入射側に配置された状態または配置されていない状態に切替わるように前記アクチュエータの駆動を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項5ないし請求項14のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項18】
前記高輝度領域検出手段によって検出された高輝度領域の前記画像上における位置を示す位置データと、前記空気調和装置の制御内容を示す制御データとを対応付けて格納する格納手段を備えており、
前記制御手段は、前記位置データと対応付けられた制御データを前記格納手段から読出し、その読出した制御データに基づいて前記空気調和装置を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項19】
前記空気調和装置は、車室の複数の空間の空気をそれぞれ個別に調和するように構成されており、
前記制御手段は、前記位置データと対応付けられた制御データを前記格納手段から読出し、その読出した制御データにより示される制御内容に基づいて前記空気調和装置を制御することにより、前記空間間の温度差を小さくすることを特徴とする請求項18に記載の車両用制御装置。
【請求項20】
前記空気調和装置は、車室の右側空間および左側空間の空気をそれぞれ個別に調和するように構成されてなることを特徴とする請求項19に記載の車両用制御装置。
【請求項1】
自車の外方を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された画像のうち、太陽光によって閾値を超える輝度を有する高輝度領域を検出する高輝度領域検出手段と、
前記高輝度領域検出手段によって検出された高輝度領域の前記画像内における位置に基づいて、自車に備えられた空気調和装置を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記高輝度領域検出手段は、
前記画像を複数の領域に分割し、その分割した複数の領域の中から前記高輝度領域を検出し、さらに、その検出した高輝度領域の中でも特に輝度の高い高輝度領域を検出することを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記高輝度領域検出手段は、
前記画像の少なくとも一部を複数の領域に分割し、その分割された各領域の平均輝度を各領域毎に算出する平均輝度算出手段と、
前記平均輝度算出手段によって算出され、前記閾値を超える平均輝度の領域のうち、平均輝度の最も高い領域を検出する領域検出手段と、を備えており、前記領域検出手段によって前記平均輝度の最も高い領域が検出されなかった場合は、前記画像の分割する範囲を変更して前記平均輝度算出手段および領域検出手段を実行することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記撮像手段により撮像された画像の輝度に基づいて日射量を算出する日射量算出手段を備えており、前記高輝度領域検出手段の検出結果および前記日射量算出手段の算出結果に基づいて前記空気調和装置を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記撮像手段により撮像された画像の輝度に基づいて自車の外方の照度を算出する照度算出手段と、
前記照度算出手段によって算出された照度が閾値以下になったときに、自車に備えられた照明装置をオンし、前記照度が前記閾値を超えたときに前記照明装置をオフする照明制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項6】
前記撮像手段は、自車の走行する道路を撮像可能に構成されており、
前記撮像手段が自車の走行する道路を撮像したときに、その撮像した画像のうち閾値を超える輝度の領域を前記道路に描かれた車線と認識する車線認識手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項7】
前記高輝度領域検出手段は、前記撮像手段により撮像された画像の少なくとも一部を輝度分布化し、その輝度分布の高い領域を太陽位置と推定することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項8】
前記撮像手段は、前記照度算出手段によって算出された照度に基づいて露出時間を調整することを特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項9】
前記撮像手段は、前記照度算出手段によって算出された照度に基づいて、露出を行う間隔を調整することを特徴とする請求項5ないし請求項8のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項10】
複数の固体撮像素子を備える前記撮像手段の各固体撮像素子からの出力信号を赤色成分の信号、緑色成分の信号および青色成分の信号に分離するRGB分離手段と、を備えており、
前記高輝度領域検出手段は、前記RGB分離手段によって分離された赤色成分の信号を用いて前記高輝度領域を検出することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項11】
前記撮像手段は、
主として空を撮像するための第1の姿勢と、主として走行前方の道路を撮像するための第2の姿勢とに切替わるように構成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項12】
前記撮像手段が主として空を撮像するための第1の姿勢と主として走行前方の道路を撮像するための第2の姿勢とに切替わるように前記撮像手段を動かすアクチュエータと、
前記照度算出手段によって算出された照度が閾値を超えているときは前記撮像手段が前記第1の姿勢に変化し、かつ、前記照度が前記閾値以下のときは前記撮像手段が前記第2の姿勢に変化するように前記アクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段と、を備えることを特徴とする請求項5ないし請求項10のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項13】
前記撮像手段の撮像範囲が、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とに切替わるように、前記撮像手段に入射する光の光路を変更するための光路変更手段を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項14】
前記撮像手段の撮像範囲が、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とに切替わるように、前記撮像手段に入射する光の光路を変更するための光路変更手段と、
前記撮像手段の撮像範囲が、主として空を含む第1の範囲と、主として走行前方の道路を含む第2の範囲とに切替わるように前記光路変更手段を動かすアクチュエータと、
前記照度算出手段によって算出された照度が閾値を超えているときは前記光路変更手段が前記第1の姿勢に変化し、かつ、前記照度が前記閾値以下のときは前記光路変更手段が前記第2の姿勢に変化するように前記アクチュエータの駆動を制御するアクチュエータ制御手段と、を備えることを特徴とする請求項5ないし請求項10のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項15】
前記撮像手段は、可視光を除去するための可視光除去手段を介して前記外方を撮像することを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項16】
前記可視光除去手段を前記撮像手段の入射側に配置された状態と前記入射側に配置されていない状態とに切替える切替え手段を備えることを特徴とする請求項15に記載の車両用制御装置。
【請求項17】
可視光を除去するための可視光除去手段と、
前記可視光除去手段を前記撮像手段の入射側に配置された状態と前記入射側に配置されていない状態とに切替わるように前記可視光除去手段を動かすアクチュエータと、
前記可視光除去手段が前記撮像手段の入射側に配置された状態または配置されていない状態に切替わるように前記アクチュエータの駆動を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項5ないし請求項14のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項18】
前記高輝度領域検出手段によって検出された高輝度領域の前記画像上における位置を示す位置データと、前記空気調和装置の制御内容を示す制御データとを対応付けて格納する格納手段を備えており、
前記制御手段は、前記位置データと対応付けられた制御データを前記格納手段から読出し、その読出した制御データに基づいて前記空気調和装置を制御することを特徴とする請求項1ないし請求項17のいずれか1つに記載の車両用制御装置。
【請求項19】
前記空気調和装置は、車室の複数の空間の空気をそれぞれ個別に調和するように構成されており、
前記制御手段は、前記位置データと対応付けられた制御データを前記格納手段から読出し、その読出した制御データにより示される制御内容に基づいて前記空気調和装置を制御することにより、前記空間間の温度差を小さくすることを特徴とする請求項18に記載の車両用制御装置。
【請求項20】
前記空気調和装置は、車室の右側空間および左側空間の空気をそれぞれ個別に調和するように構成されてなることを特徴とする請求項19に記載の車両用制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図14】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図11】
【図12】
【図13】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図14】
【図19】
【公開番号】特開2010−173544(P2010−173544A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20124(P2009−20124)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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