説明

車両用制御装置

【課題】別途、通信部を設けることなく、従来の電子キー及び車両側無線機の構成を用いて、電波漏れによる開扉の誤動作を防止する。
【解決手段】本発明の車両用制御装置1は、電子キー2と車両側無線機3との間で無線通信をして車両4と電子キー2との間で情報の照合を行う。そして、車両4の外にある電子キー2との照合が正当な場合に、車両ドア5を施錠する施錠操作を利用することで、ユーザーが車両近辺にいる時に、車両ドア5を自動で開扉させる開扉予約を設定する。具体的には、車両4の外にある電子キー2と車両4との間の情報の照合が正当な場合に、異なる2つの施錠操作を組み合わせることにより開扉予約を設定して、かかる開扉予約に基づき車両ドア5を自動で開扉させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドアの開扉を制御する車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に乗車するユーザーの利便性を考慮して、電子キーを用いて車両ドアを自動で開扉する車両用制御装置が知られている。この車両用制御装置の電子キーには、車両側無線機との間で無線通信を行う送受信部とは別に車両ドアを自動で開扉する予約信号を送信する通信部を設け、車両側無線機においても送受信部とは別に予約信号を受信する通信部を設けて、予約信号に応じて車両ドアを自動で開扉させていた(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−24454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の車両用制御装置においては、電子キーと車両側無線機との間で照合を行う情報を無線通信する送受信部とは別に、別途、通信部を電子キー及び車両側無線機に設ける必要があり、車両用制御装置の構成が複雑となる。
【0005】
また、上記特許文献1の車両用制御装置は、予約信号による予約の設定を条件として、電子キーを所持したユーザーの車両への接近を検知して、車両ドアを自動的に開扉するものである。
そのため、車両側では電子キーと車両側無線機との間で情報の照合を行うリクエスト信号を、所定期間毎に車室外発信機から定期的に無線発信(以下、「車室外無線ポーリング」という)して、ユーザー(電子キー)の接近検知を行い、図7に示すような車室外検知エリアを形成する。
そして、この検知エリア内に電子キーを所持した者が入ると、電子キーが車室外無線ポーリングに応答して、電子キーの内部に記憶されたIDコードを車両側無線機に送信する。車両側では電子キーから送信されたIDコードの照合を行い、照合結果が正当である場合にユーザーが車両ドア付近にいると判断する。
従って、予約が設定されている場合には、ユーザーの接近により車両ドアが自動的に開扉する。
一方、車室外検知エリアを形成する車室外発信機が発信する電波(LF)は、車室内に漏れ込むために図8に示すように車室内にも車室外検知エリアを形成することになる。
【0006】
ここで、近年、電子キーにおいてはカード型の電子キーが採用されており、このカード型の電子キーは小型で薄い形状であるため、ユーザーは電子キーを衣類の胸ポケットなどに入れて所持する一方、別途、予備の電子キーを鞄などに入れて、2つの電子キーを所持する実情がある。
この2つの電子キーはいずれの電子キーを使っても車両の同じ操作ができるように、多くの場合、電子キーの中には同じIDコードが記憶されているから、電子キーを所持した運転者が、車両を一時的に離れる場合には、予備の電子キーを助手席に置いた鞄に入れたまま車両を離れる場合がある。
【0007】
それ故、予備の電子キーを助手席に放置することで、図8に示すように、車室外検知エリアを形成する電波(LF)が車室内に漏れ込み、本来は車室外からの電子キーの接近を検知するための車室外無線ポーリングに、車室内に放置された予備の電子キーが応答する。
その結果、車両ドアの自動開扉の予約がある場合は、実際には電子キーを所持したユーザーが接近していないにも関らず車両ドアが開扉して、車両を離れたユーザーが再度車室外検知エリアに入る前に、車両ドアが開扉され、防犯上問題となる。
【0008】
本発明の課題は、別途、通信部を設けることなく、従来の電子キー及び車両側無線機の構成を用いて、電波漏れによる開扉の誤動作を防止する車両用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明の車両用制御装置は、以下の構成を有する。
電子キーと車両側無線機との間で無線通信をして車両と電子キーとの間で情報の照合を行う照合手段と、
照合手段の照合が車両の外で正当な場合に、電子キーから施錠信号を発信する第一施錠操作に基づいて車両ドアを施錠する第一施錠手段と、
照合手段の照合が車両の外で正当な場合に、電子キーの第一施錠操作と異なる第二施錠操作に基づいて車両ドアを施錠する第二施錠手段と、
を有する車両用制御装置であって、
車両ドアを自動開扉する開扉手段と、
開扉手段による車両ドアの開扉予約をする予約設定手段と、
を備え、
予約設定手段は第一施錠操作と第二施錠操作とを組み合わせる施錠操作によって開扉予約を設定し、
開扉予約の設定を条件とし、車両側無線機が照合手段で正当と判断される電子キーの接近を検出した場合に、開扉手段が車両ドアを自動開扉することを特徴とする。
【0010】
電子キー及び車両側無線機との間で無線通信をし、情報の照合結果により車両ドアを施錠する2つの異なる施錠操作を組み合わせることで開扉予約を設定するため、開扉予約をする通信部を設けずに車両ドアを自動開扉することが可能となり、車両用制御装置のハードウェア構成を簡易にできる。
【0011】
また、本発明の車両用制御装置は、第一施錠操作及び第二施錠操作に用いられた電子キーの識別情報を記憶する電子キー記憶手段を備え、
開扉予約の設定を条件とし、車両側無線機が照合手段で正当と判断される電子キーの接近を検出した場合には、検出した電子キーの識別情報が電子キー記憶手段に記憶された識別情報と同一か否かを判定し、
識別情報が同一である場合には、開扉手段が車両ドアを自動開扉することができる。
【0012】
開扉予約の操作に関与した電子キーの識別情報を記憶し、記憶された電子キーの検出を契機として車両ドアを自動開扉する。よって、開扉予約が設定された状況下で、開扉予約に関与した電子キーと予備の電子キーのIDコードが異なっておれば、開扉予約に関与しない予備の電子キーが車室内に放置され、車室内に形成された車室外検知エリアにある予備の電子キーが応答しても車両ドアは開扉しない。従って、電子キーを所持したユーザーが車両に接近しない場合には、車両ドアは自動開扉することなく、防犯性に優れた車両用制御装置を提供できる。
【0013】
また、開扉予約の設定は、電子キーを所持するユーザーが車両から離れることにより有効になることができる。
【0014】
そのため、開扉予約を設定した後に、開扉予約の設定が有効になるのは車室外検知エリアから電子キーがユーザーと共に離れることが条件であるから、電子キーを所持したユーザーがそのまま車両付近にいる場合には、車両側無線機が電子キーを検知することにより車両ドアが自動開扉することを防止できる。そして、照合手段が照合不成立によって開扉予約の確認をする場合にあっては、照合手段が車内に留め置いた予備キーのIDコードが一致して開扉予約操作の電子キーと誤認すれば、いつまでも開扉手段の確定は行われず、車両ドアが自動で開扉したまま放置される事態は発生しない。
【0015】
更に、開扉予約は、施錠時に第一施錠操作と第二施錠操作が行われることにより設定されることができる。
【0016】
電子キーから施錠信号を発信する第一施錠操作と、第一施錠操作と異なる第二施錠操作の、2つの異なる操作をすることで、開扉予約が設定される。そのため、同一の施錠操作を繰り返して行うことにより開扉予約を設定する場合に比べ、開扉予約をするユーザーに対して予約設定の実感を与えることができる。また、単一操作を繰り返すことで予約を設定する場合に比べて、予約の操作ミスを防止できる。
【0017】
また、開扉予約の設定から有効になる間で、電子キーが車両の外にあって照合手段が正当と判断した場合に、開扉予約が設定されたことをユーザーに通知するための通知手段を備えることができる。
【0018】
開扉予約の設定から有効になる間とは、開扉予約が設定された後、車室外検知エリアに電子キーがユーザーと共に存在することが条件であるので、開扉予約が設定されたことを車両近傍にいるユーザーに対して、通知手段が通知することができる。
また、第一施錠操作等と異なる通知手段が、開扉予約の設定をユーザーに通知するため、ユーザーは予約操作が正常に行われたか否かを客観的に判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の車両用制御装置のブロック図。
【図2】実施例1の処理手順を示すフローチャート。
【図3】図2の予約確定処理を示すフローチャート。
【図4】変形例1の処理手順を示すフローチャート。
【図5】変形例2の処理手順を示すフローチャート。
【図6】実施例2の処理手順を示すフローチャート。
【図7】車室外発信器の車室外検知エリアを示す参考図。
【図8】図7の車室外発信機の電波漏れによる車室内検知エリアを示す参考図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を添付の図面を用いて説明する。
図1は本発明の車両用制御装置1を示すブロック図であり、図1を用いて車両用制御装置1の概要を説明する。
本発明の車両用制御装置1は、電子キー2と車両側無線機3との間で無線通信をして車両4と電子キー2との間で情報の照合を行う。そして、車両4の外にある電子キー2との照合が正当な場合に、車両ドア5を施錠する施錠操作を利用することで、ユーザーが車両近辺にいる時に、車両ドア5を自動で開扉させる開扉予約を設定する。
具体的には、車両4の外にある電子キー2と車両4との間の情報の照合が正当な場合に、異なる2つの施錠操作を組み合わせることにより開扉予約を設定して、かかる開扉予約に基づき車両ドア5を自動で開扉させる。
【0021】
より詳細には、車両4の制御ECU6(ECU:Electronic Control Unit)が車両4と電子キー2との間での情報を照合して、照合が正当な場合に、車両ドア5の施錠操作に応じて車両ドア5を施錠する。制御ECU6は、かかる施錠操作の組み合わせを判定して、車両ドア5を自動で開扉する予約(開扉予約)を行う。そして、開扉予約の設定後に、制御ECU6は、車両4の外にある電子キー2を検出して、その電子キー2との照合が正当な場合には、開扉予約をしたユーザーが車両4に接近したと判定して車両ドア5を開扉する。
【0022】
この制御ECU6は、通常のコンピュータと同様の構造を有して、図1に図示されていないが、各種演算や情報処理を司るCPU、CPUの作業領域としての一時記憶部であるRAM、各種情報を記憶する不揮発性のメモリを備える。
【0023】
具体的には、制御ECU6は、図1に示すように、照合手段7と、予約設定手段8と、予約確定手段9と、電子キー記憶手段10とを有する。
【0024】
照合手段7は、電子キー2と車両側無線機3との間で無線通信をして車両4と電子キー2との間で情報の照合を行うものである。
予約設定手段8は、車両ドア5の開扉手段13により車両ドア5を自動で開扉させるための予約(開扉予約)を設定するものである。
車両ドア5を施錠するために予め複数の施錠操作方法が備え付けられ、ひとつの操作方法で施錠できるにもかかわらず、異なる第一施錠操作と第二施錠操作とを組み合わせた施錠操作によって、開扉予約は設定される。
具体的には、第一施錠操作と第二施錠操作が行われることにより設定され、設定された開扉予約は電子キー2を所持するユーザーが車両4から離れることにより設定が有効となる。
【0025】
より詳細には、予約確定手段9は、電子キー2を所持するユーザーが車両4から離れたか否かを判定して、ユーザーが車両4から離れた場合に開扉予約の設定を有効にするものであり、予約確定手段9は時間判定手段と応答判定手段を有する。
時間判定手段は、第一施錠操作及び第二施錠操作とを組み合わせる施錠操作により開扉予約が設定された後に所定時間を経過したか否かを判定し、所定時間が経過した場合に、ユーザーが車両4から離れたと判定する。
応答判定手段は、第一施錠操作及び第二施錠操作とを組み合わせる施錠操作により開扉予約が設定された後に車両側無線機3が車室外無線ポーリングをすることで、電子キー2からの応答信号があるか否かを判定し、電子キー2からの応答信号がない場合に、ユーザーが車両4から離れたと判定する。
予約確定手段9は、時間判定手段と応答判定手段のどちらか一方または、時間判定手段と応答判定手段を組み合わせることにより、電子キー2を所持するユーザーが車両4から離れたか否かを判定し、かかるユーザーが車両4から離れた場合には、開扉予約の設定を有効にする。
【0026】
また、制御ECU6における電子キー記憶手段10は、車両ドア5を施錠するための第一施錠操作及び第二施錠操作に用いられた電子キー2のID別の識別情報を記憶する記憶装置であり、制御EUC6のRAM等の記憶装置に、施錠操作に用いられた電子キー2の識別情報の書き込みがなされる。
このため、施錠操作に用いられた電子キーと予備の電子キーのIDコードが異なるときには、2つの電子キーを識別して施錠解除の動作をすることができる。
【0027】
一方、制御ECU6の命令に応じて所定の動作をする、車両ドア5は、第一施錠手段11と、第二施錠手段12と、開扉手段13と、ドアハンドル14と、ロック機構15とを有する。
第一施錠手段11は、制御ECU6の照合手段7による照合、つまり、車両4の外にある電子キー2と車両4との間の情報の照合が正当である場合に、電子キー2から施錠信号を発信する第一施錠操作に基づいて車両ドア5を施錠する。同様に、第二施錠手段12は、照合手段7の照合が車両4の外にある電子キー2と車両4との間の情報の照合が正当である場合に、電子キー2の第一施錠操作と異なる第二施錠操作に基づいて車両ドア5を施錠する。
【0028】
上記施錠操作により施錠された車両ドア5は、開扉予約が設定され、設定が有効な場合に、開扉手段13により開扉される。この開扉手段13は車両ドア5を自動開扉するものである。
かかる開扉手段13により開扉する車両ドア5のドアハンドル14にはロックスイッチ14aが備わる。そして、車両4の外にある電子キー2との照合が正当な場合に、ロックスイッチ14aを押圧すること(第二施錠操作)により車両ドア5は施錠する。
【0029】
更に、車両4は制御ECU6の命令に応じて所定の動作をする、通知手段17を有する。当該通知手段17は、開扉予約が設定されたことをユーザーに通知するための報知手段であり、開扉予約の設定から有効になる間で、電子キー2が車両4の外にあって照合手段7が正当と判断した場合に、開扉予約が設定されたことをユーザーに通知するブザー、ハザード又はヘッドライトや、それらを組み合わせたものである。
【0030】
一方、制御ECU6に接続される車両側無線機3と無線通信を行う電子キー2は、ロックボタン16を有し、車両4の外にある電子キー2との照合が正当な場合に、かかるロックボタン16を押圧すること(第一施錠操作)により電子キー2から施錠信号を発信することで車両ドア5を施錠する。
したがって、ロック機構15は、ロックスイッチ14aにより車両ドア5を施錠するだけでなく、車両4の外にある電子キー2との照合で正当な場合に、電子キー2からの施錠信号に応じて車両ドア5を施錠する。
【0031】
以上の構成のもとで、車両用制御装置1は、通信部を設けることなく、従来の電子キー2及び車両側無線機3の構成を用いて、電波漏れによる開扉の誤動作を防止して、予約に応じて車両ドア5を自動で開扉する制御処理を実行する。
その処理手順が図2及び図3のフローチャートに示されており、この制御の処理手順を予めプログラム化して、例えば、制御ECU6のメモリに記憶しておき、制御ECU6が呼び出して自動的に実行する。
【0032】
図2を用いて車両ドア5の開扉予約を設定し、車両ドア5を自動開扉する処理を説明する。図2の処理は、第二施錠操作をした後に、第一施錠操作をすることにより、開扉予約が設定される。
具体的には、電子キー2を保持したユーザーがドアハンドル14のロックスイッチ14aにより車両ドア5を施錠(第二施錠手段)した後に、電子キー2のロックボタン16により施錠信号を車両4に送信する施錠操作(第一施錠手段)をすることにより、開扉予約が設定される。
【0033】
先ず、S1において、制御ECU6は第二施錠操作が行われたか否かを確認する。具体的には、制御ECU6は電子キー2を所持したユーザーによりドアハンドル14のロックスイッチ14aを押圧する操作(第二施錠操作)がされたかを確認して、S2に進む。
S2に進むと、制御ECU6は、ロックスイッチ14aを押圧する操作(第二施錠操作)が行われたか否かを判定する。ロックスイッチ14aにより車両ドア5の施錠動作が行われた場合(S2:YES)は、S3に進み、ロックスイッチ14aを押圧する操作(第二施錠操作)が行われていない場合(S2:NO)は、S1に戻る。
【0034】
S3に進むと、制御ECU6は第一施錠操作が行われたか否かを確認する。具体的には、制御ECU6は、電子キー2のロックボタン16を押圧する操作(第一施錠操作)がされたかを確認して、S4に進む。
S4に進むと、制御ECU6は、電子キー2のロックボタン16を押圧する操作(第一施錠操作)が行われたか否かを判定する。ロックボタン16により車両ドア5の施錠動作が行われた場合(S4:YES)は、S5´に進み、ロックボタン16を押圧する操作(第一施錠操作)が行われていない場合(S4:NO)は、S5に進む。
【0035】
S5に進むと、制御ECU6は、第一施錠操作が行われるまでの所定の待ち時間が経過したか否か、電子キー2のロックボタン16が押圧されるまでの所定の時間が経過したか否かを確認し、S6に進む。
S6に進むと、制御ECU6は、ロックボタン16を押圧する操作(第一施錠操作)が行われる待ち時間が経過したか否かを判定する。所定の待ち時間が経過した場合(S6:YES)は、開扉予約を行わない通常の施錠操作であるとしてS7に進み、所定の待ち時間が経過していない場合(S6:NO)は、S3に戻る。
【0036】
一方、S3及びS4によりロックボタン16を押圧する操作(第一施錠操作)が行われたと判定されて、S5´に進むと、制御ECU6における電子キー記憶手段10は、ドアハンドル14のロックスイッチ14a及び電子キー2のロックボタン16を押圧する操作(第一及び第二施錠操作)に用いられた電子キー2の識別情報であるIDコードを記憶して、S6´に進む。
なお、開扉予約により車両ドア5の自動開扉がされた場合には、その電子キー2の識別情報を削除又は、次回の開扉予約による電子キー2の識別情報により上書きすることで開扉予約に用いられた電子キー2が車両4に放置された状態で、別の開扉予約がされていても、自動開扉の誤作動を防止できる。
【0037】
S6´に進むと、制御ECU6の予約確認手段9が、図3に示すフローチャートの予約確定処理(開扉予約の設定を有効にする処理)を実行する。
具体的には、S101において、電子キー2のロックボタン16を押圧する操作(第一施錠操作)が行われた後、所定の時間が経過したか否かを時間判定手段が判定する。所定の時間が経過した場合(S101:YES)は、S102に進み、所定の時間が経過していない場合(S101:NO)は、S101に戻る。
S102に進むと、制御ECU6により車両側無線機3が車室外無線ポーリングを行うリクエスト信号を定期的に送信して、S103に進む。
S103に進むと、車室外無線ポーリングにより、S5´において、電子キー記憶手段10が記憶したIDコードと同一の電子キー2からの応答があるか否かを応答判定手段が判定する。車室外無線ポーリングに対して電子キー2からの応答がある場合(S103:YES)は、S101に戻り、車室外無線ポーリングに対して電子キー2からの応答がない場合(S103:NO)は、電子キー2が車両4から離れたと判定して予約確定処理を終えて(開扉予約の設定を有効にして)、S6´に戻り、S7に進む。よって、電子キー2のIDコードを記憶することで車両内に放置された予備の電子キー2(記憶されたIDコードとは別のIDコードを有する電子キー2)により予約確定処理の終了が妨げられることを防止できる。
以上の予約確定処理により、開扉予約を設定した直後において、車室外検知エリアに電子キー2を所持したユーザーがいる場合でも、車両側無線機3が電子キー2を検知することにより車両ドア5が自動開扉することを防止できる。
【0038】
S7に進むと、制御ECU6は車両側無線機3が車室外無線ポーリングを行うリクエスト信号を定期的に送信して、電子キー2を所持したユーザーが車両4に接近しているかを確認して、S8に進む。
S8に進むと、車室外無線ポーリングによる電子キー2の接近があるか否かを判定する。車室外無線ポーリングに対して電子キー2からの応答がない場合(S8:NO)は、S7に戻り、車室外無線ポーリングに対して電子キー2からの応答がある場合(S8:YES)は、電子キー2を所持するユーザーが車両4に接近したと判定してS9に進む。
【0039】
S9に進むと、制御ECU6は、開扉予約の有無(開扉予約が設定されている場合は、設定が有効か否か)を確認して、S10に進む。S10に進むと、開扉予約の有無を判定する。開扉予約が設定されて有効である場合(S10:YES)は、S11に進み、開扉予約がない場合(開扉予約が設定されて有効でない場合も含む)(S10:NO)は、開扉予約に伴う開扉制御を終了する。そのため、S6で第一施錠操作の待ち時間が経過することにより開扉予約が行われない場合は、自動で車両ドア5が開扉作動せず、従来どおり、電子キー2と車両側無線機3との無線通信により車両ドア5の開錠施錠をすることができる。
【0040】
S11に進むと、制御ECU6は、電子キー記憶手段10に記憶された電子キー2の識別情報を参照して、車両4に接近してきた電子キー2が開扉予約に用いられた電子キー2であるか否かを確認して、S12に進む。
S12に進むと、制御ECU6は、電子キー記憶手段10に保持された電子キー2の識別情報と車両4に接近してきた電子キー2の識別情報が同一か否かを判定する。識別情報が同一の場合(S12:YES)には、S13に進み、識別情報が同一でない場合(S12:NO)は、S7に戻る。よって、電子キー2を所持したユーザーが車両4に接近しない場合には、車両ドア5は自動開扉することがない。
【0041】
S13に進むと、開扉手段13は、車両ドア5を自動で開扉して、開扉予約に伴う開扉制御を終了する。
【0042】
以上の構成のもとで、車両用制御装置1は、通信部を設けず、従来の電子キー2及び車両側無線機3の構成を用いて、電波漏れによる開扉の誤動作を防止して、予約に応じて車両ドア5を自動で開扉する制御処理を実行する。
なお、本実施例1は第二施錠操作をした後に、第一施錠操作をすることにより、開扉予約が設定されるが、第一施錠操作をした後に第二施錠操作をすることで、開扉予約が設定される構成としてもよい。
【0043】
次に、本発明の車両用制御装置1の変形例1を説明する。実施例1と同様の構成は、実施例1と同様の符号を付して、実施例1の説明を流用して説明を省略する。図4は、変形例1の処理手順を示すフローチャートであり、図4を用いて変形例1を説明する。
図2に示す実施例1のフローチャートでは、S4にて第一施錠操作があると判定した場合に、第一及び第二施錠操作に用いられた電子キー2の識別情報を記憶して、図3に示すフローチャートの予約確定処理を行うものである。
しかし、変形例1では、S4にて第一施錠操作があると判定した場合に、第一及び第二施錠操作に用いられた電子キー2の識別情報を記憶せず、第一施錠操作から所定時間の経過した後に、車室外無線ポーリングを行い、そのポーリングに対する応答に応じて開扉予約の設定を有効にするものである。
【0044】
また、図2に示す実施例1のフローチャートでは、S10にて開扉予約があると判定した場合に、記憶された電子キー2の識別情報と、検出した電子キー2の識別情報とが同一か否かを判定して、識別情報が同一の場合に車両ドア5の自動開扉を行うものである。
しかし、変形例1では、S10にて開扉予約の設定が有効であると判定した場合に、そのまま車両ドア5の自動開扉を行うものである。
【0045】
次に、変形例1における、開扉予約に応じて車両ドア5を自動で開扉する処理手順を図4のフローチャートから説明する。図4は、図2の実施例1のフローチャートにおけるS5´とS6´がS205〜S207に、S11〜S13がS211(S13と同じ)に変わったフローチャートである。そのため、S205〜207及びS211以外の処理は、図2におけるフローチャートの処理と同様である。
【0046】
図4におけるS4において、制御ECU6は、電子キー2のロックボタン16を押圧する操作(第一施錠操作)が行われたか否かを判定する。ロックボタン16により車両ドア5の施錠動作が行われた場合(S4:YES)は、S205に進み、ロックボタン16を押圧する操作(第一施錠操作)が行われていない場合(S4:NO)は、S5に進む。
S205に進むと、第一施錠操作が行われてから所定時間が経過した後(電子キー2を所持したユーザーが車両4から離れたと想定される時間の経過後)に、制御ECU6により車両側無線機3が車室外無線ポーリングを行うリクエスト信号を送信して、S206に進む。
S206に進むと、車室外無線ポーリングにより電子キー2からの応答があるか否かを判定する。車室外無線ポーリングに対して電子キー2からの応答がある場合(S206:YES)は、S7に進む。そのため、電子キー2を所持したユーザーが車両4から離れた後に、車両内に放置された予備の電子キー2が応答する場合でも、開扉予約の設定は有効とならない。
一方、車室外無線ポーリングに対して電子キー2からの応答がない場合(S206:NO)は、S207に進み、S207において、電子キー2が車両4から離れたと判定して予約の設定を有効にする。そして、予約確定処理を終え、S7に進む。
【0047】
また、図4におけるS10において、開扉予約の有無(開扉予約が設定されている場合は、設定が有効か否か)を判定する。開扉予約が設定されて有効である場合(S10:YES)は、S211に進み、開扉手段13は、車両ドア5を自動で開扉して、開扉予約に伴う開扉制御を終了する。
【0048】
以上より、予備の電子キー2が車両内に放置された場合でも、開扉予約の設定が有効とならず、ユーザーの不在時に車両ドア5が自動開扉することがなく、開扉予約ごとに電子キー2の識別情報を記憶せずに従来からある電子キー2及び制御EUC6を利用して車両ドア5を自動で開扉する制御を実行できる。
【0049】
次に、本発明の車両用制御装置1の変形例2を説明する。変形例1と同様の構成は、変形例1と同様の符号を付して、変形例1の説明を流用して説明を省略する。図5は、変形例2の処理手順を示すフローチャートであり、図5を用いて変形例2を説明する。
図4に示す変形例1のフローチャートでは、S4にて第一施錠操作があると判定した場合に、第一及び第二施錠操作に用いられた電子キー2の識別情報を記憶せず、第一施錠操作から所定時間の経過した後に、車室外無線ポーリングを行い、そのポーリングに対する応答に応じて開扉予約の確定を行うものである。
しかし、図5に示す変形例2のフローチャートでは、S4にて第一施錠操作があると判定した場合に、第一施錠操作から所定時間の経過した後に、開扉予約の設定を有効とするものである。
【0050】
次に、変形例2における、開扉予約に応じて車両ドア5を自動で開扉する処理手順を図5のフローチャートから説明する。図5は、図4の実施例11のフローチャートにおけるS205〜S207がS305に変わったフローチャートである。そのため、S305以外の処理は、図4におけるフローチャートの処理と同様である。
【0051】
図5におけるS4において、制御ECU6は、電子キー2のロックボタン16を押圧する操作(第一施錠操作)が行われたか否かを判定する。ロックボタン16により車両ドア5の施錠動作が行われた場合(S4:YES)は、S305に進み、ロックボタン16を押圧する操作(第一施錠操作)が行われていない場合(S4:NO)は、S5に進む。
S305に進むと、第一施錠操作から所定時間の経過した後に、開扉予約の設定を有効にして、S7に進む。
【0052】
よって、第一施錠操作後から所定時間(ユーザーが車両4から然程離れないと想定される時間)が経過することで、開扉予約の設定が有効とされる。
よって、車両内に放置された予備の電子キー2により、車両ドア5が自動開扉をする場合には、車両ドア5が開扉することにユーザーが気付くことができ(予備の電子キー2が車両内に放置されていることも気付くことができ)、ユーザーの不在時に車両ドア5が開扉することを防止できる。
【0053】
次に、本発明の車両用制御装置1の実施例2を説明する。実施例1と同様の構成は、実施例1と同様の符号を付して、実施例1の説明を流用して説明を省略する。図6は、実施例2の処理手順を示すフローチャートであり、図6を用いて実施例2を説明する。
図2に示す実施例1のフローチャートでは、S4にて第一施錠操作があると判定した場合に、第一及び第二施錠操作に用いられた電子キー2の識別情報を記憶するものである。
しかし、実施例2では、S4にて第一施錠操作があると判定した場合に、照合確認処理をした後、通知処理を行い、通知処理後に電子キー2の識別情報を記憶するものである。
【0054】
次に、実施例2における、開扉予約に応じて車両ドア5を自動で開扉する処理手順を図6のフローチャートから説明する。図6は、図2の実施例1のフローチャートにおけるS4とS5´との間にS400及びS401を追加したフローチャートである。そのため、S400及びS401以外の処理は、図2におけるフローチャートの処理と同様である。
【0055】
図6におけるS4において、制御ECU6は、電子キー2のロックボタン16を押圧する操作(第一施錠操作)が行われたか否かを判定する。ロックボタン16により車両ドア5の施錠動作が行われた場合(S4:YES)は、第二施錠操作及び第一施錠操作が行われたことにより開扉予約が設定され、S400に進み、ロックボタン16を押圧する操作(第一施錠操作)が行われていない場合(S4:NO)は、S5に進む。
【0056】
S400に進むと、車室外無線ポーリングにより電子キー2が車室外検知エリアに存在するか判定する。S4でロックボタン16を押圧する操作(第一施錠操作)が行われたと判断された後に、S400で電子キー2が車室外検知エリアに存在するか判定するため、S400では、通常は、電子キー2が車室外検知エリアに存在すると判断され、S401に進む。
【0057】
S401に進むと、開扉予約が設定されたことをユーザーに通知するための処理がなされる。具体的には、通知手段17(報知手段)がブザーの場合には、ブザーの吹鳴により開扉予約が設定されたことをユーザーに通知する。そのため、ユーザーは、第一及び第二施錠操作とは異なる報知手段により、開扉予約の設定が通知され、開扉予約の設定を客観的に確認できる。
また、車両ドアの施錠時にブザーが1回吹鳴し、車両ドアの開錠時にブザーが2回吹鳴する車両4においては、開扉予約の設定時にブザーを3回吹鳴させることで、開扉予約の設定をユーザーに通知することができる。
更に、施錠時及び開錠時にブザーが吹鳴する車両4では、開扉予約の設定をハザード又はヘッドライトの点滅によりユーザーに通知することで、通知信号の混同を防止できる。
なお、通知手段17であるブザー、ハザード又はヘッドライトは適宜組み合わせて使用することができ、施錠及び開錠の通知信号を発信する機器とは異なる機器で開扉予約の設定の通知信号を発信させることで、通知信号の混同を防止できる。
【0058】
S401で開扉予約が設定されたことを通知する通知処理がなされると、S5´に進む。
以上より、開扉予約が設定されたことを車両近傍にいるユーザーに対して、通知手段17が、開扉予約の設定がされたことを通知できる制御を実行できる。
なお、以上の説明において、実施例1、2及び各変形例は適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 車両用制御装置 2 電子キー
3 車両側無線機 4 車両
5 車両ドア 6 制御ECU
7 照合手段 8 予約設定手段
9 予約確定手段 10 電子キー記憶手段
11 第一施錠手段 12 第二施錠手段
13 開扉手段 14 ドアハンドル
14a ロックスイッチ 15 ロック機構
16 ロックボタン 17 通知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子キーと車両側無線機との間で無線通信をして車両と前記電子キーとの間で情報の照合を行う照合手段と、
前記照合手段の照合が前記車両の外で正当な場合に、前記電子キーから施錠信号を発信する第一施錠操作に基づいて車両ドアを施錠する第一施錠手段と、
前記照合手段の照合が前記車両の外で正当な場合に、前記電子キーの前記第一施錠操作と異なる第二施錠操作に基づいて前記車両ドアを施錠する第二施錠手段と、
を有する車両用制御装置であって、
前記車両ドアを自動開扉する開扉手段と、
前記開扉手段による前記車両ドアの開扉予約をする予約設定手段と、
を備え、
前記予約設定手段は前記第一施錠操作と前記第二施錠操作とを組み合わせる施錠操作によって前記開扉予約を設定し、
前記開扉予約の設定を条件とし、前記車両側無線機が前記照合手段で正当と判断される前記電子キーの接近を検出した場合に、前記開扉手段が前記車両ドアを自動開扉することを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記第一施錠操作及び前記第二施錠操作に用いられた前記電子キーの識別情報を記憶する電子キー記憶手段を備え、
前記開扉予約の設定を条件とし、前記車両側無線機が前記照合手段で正当と判断される前記電子キーの接近を検出した場合には、検出した前記電子キーの識別情報が前記電子キー記憶手段に記憶された識別情報と同一か否かを判定し、
識別情報が同一である場合には、前記開扉手段が前記車両ドアを自動開扉する請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記開扉予約の設定は、前記電子キーを所持するユーザーが前記車両から離れることにより有効になることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記開扉予約は、施錠時に前記第一施錠操作と前記第二施錠操作が行われることにより設定されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記開扉予約の設定から有効になる間で、前記電子キーが前記車両の外にあって前記照合手段が正当と判断した場合に、前記開扉予約が設定されたことを前記ユーザーに通知するための通知手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の車両用制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−172436(P2012−172436A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36540(P2011−36540)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】