説明

車両用灯具

【課題】 小型化を図るとともに所望の配光特性を容易に得ることが可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】 半導体発光素子からなる光源部1と、光源部1から出射される光を配光させるための光学部材2とでランプモジュールLMを構成する。光源部1は複数の発光部102を表面に並列配置した面発光レーザ素子101と、面発光レーザ素子の表面に配設されて発光部を露呈させる複数のマスク開口部104を備えるマスク103と、マスク開口部内に充填された蛍光体105とを備える。光源部をモノリシックな構成とすることで複数の発光部の配列ピッチを低減でき、光源を小型化するとともに灯具の小型化が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)等の半導体発光素子を光源とする車両用灯具に関し、特に小型かつ軽量で所要の光度及び配光特性を得ることが可能な車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年自動車の灯具に用いられる光源にLEDやLD等の半導体発光素子が用いられており、一部は前照灯(ヘッドランプ)の光源としても用いられている。例えば、特許文献1では基板の前面に複数個の半導体発光チップをマトリクス状に配置して光源ユニットを構成している。この光源ユニットでは基板の前面に隣接する半導体発光チップ間での光の干渉を防ぐためにマスク部材として各半導体発光チップを露呈させる孔を有する孔開きプレートを配設するとともに、各孔内に半導体発光チップを覆う透明なモールド樹脂を充填している。また、光源ユニットの前方には集光レンズとして機能する透光プレートを配設し、この透光プレートによって所要の配光特性を得ている。
【0003】
また、特許文献2では、多数個のディスクリート型の発光素子をマトリックス配置して光源を構成し、光源から出射した光の一部を絞りで遮光し、絞りを透過した光を光学レンズにより集光して所要の配光特性を得ている。
【特許文献1】特開2004−362840号公報
【特許文献2】特開2001−266620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の光源は複数の半導体発光チップを基板の前面にマトリクス状に実装しているため、光源の光度を高めるべく半導体発光チップの数を多くすると半導体発光チップを実装するための工数が多くなるとともに、隣接する半導体発光チップを基板の所定の位置にしかも所定の光軸方向に向けて実装することが困難である。特に、半導体発光チップを実装するためには隣接する半導体発光チップとの間に所要の間隔(ピッチ)を確保しなければならず、そのためピッチ寸法を小さくすることは難しく、光源、すなわち灯具の小型化が難しい。また、隣接する半導体発光チップ間にマスク部材が存在して光が出射されない領域が生じるので、配光特性における光度のむらが生じる原因になる。さらに、特許文献1は半導体発光チップで発光した光をモールド樹脂を透過させて前方に出射させる構成であるので、モールド樹脂での光吸収によって出射される光量が低下することがある。
【0005】
特許文献2の光源も同様であり、発光素子の数を多くすると光源を形成するための工数が多くなる。また、特許文献2では、発光素子を密に配置することができ、しかもマスクを用いていないので配光特性における光度のむらを抑制する上では有利であるが、ディスクリート構成の発光素子はチップ型の発光素子に比較してサイズが大きいため光源が大型化してしまう。また、隣接する発光素子の間にマスク部材が存在しないため、発光素子の一部のみを発光させた場合には、発光した発光素子から出射した光が発光しない発光素子側にまで洩れ込むことがある。そのため、発光素子の発光を個々に制御して所望の配光特性を得ようとした場合でも、各発光素子による照明領域を高精度に制御することは難しく、目的とする配光特性を得ることが難しいことがある。
【0006】
本発明の目的は、小型化を図るとともに所望の配光特性を容易に得ることが可能な車両用灯具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、半導体発光素子を備える光源部と、光源部から出射される光を配光させるための光学部材とを備えており、光源部は平面配列された複数の発光部を表面に有する面状集積光源と、面状集積光源の表面に配設され、発光部を露呈させる複数の開口部を備えるマスクと、マスクの開口部内に充填された蛍光体とを備えることを特徴とする。ここで、本発明における面状集積光源は、半導体基板に複数の発光部がモノリシックに形成されたものを言う。ここで、本発明は、マスクの開口部は前面側に向かって開口径が増大するように内壁が傾斜されていることが好ましい。さらに、内壁の表面が反射処理されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光源は複数の発光部を平面配置した面状集積光源、すなわちモノリシックな半導体発光素子で構成されているので複数の発光部の配列ピッチを低減でき、光源を小型化するとともに灯具の小型化が可能になる。また、面状集積光源の前面に配置されたマスクによって各発光部から出射される光が隣接領域にまで洩れ込むことがなく、発光部を選択的に発光するように制御した場合でも所望の配光特性を得ることが可能になる。さらに、発光部が配置されるマスクの開口部に蛍光体が充填されており、発光部から出射された光で蛍光体が発光するため光量を増大するとともに、蛍光体で発光する光を隣接する発光部との間に出射させて発光部間に光が出射されない領域が生じることを解消し、光度のむらが生じることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の車両用灯具の第1の好ましい形態は、光学部材は光源部と一体的に構成され、複数の発光部を選択的に発光可能な制御回路を備える。所要の配光特性を得るための遮光部材が不要であり、灯具の構造の簡略化と小型化が可能になる。
【0010】
本発明の車両用灯具の第2の好ましい形態は、マスクは隣接する開口部の境界部となる内壁の前縁部が鋭利な断面形状に形成される。隣接する開口部からの発光領域に切れ目のない連続した発光領域となり、また隣接する発光領域と発光しない領域との境界が明確になり、任意の配光パターンを得る上で有利になる。
【実施例1】
【0011】
次に、本発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は本発明を自動車の前部の左右に配設するヘッドランプHLに適用した実施例の概略構成を示す一部を分解した斜視図、図2は光軸に沿った縦断面図である。所要の正面形状をした浅皿状のランプボディ11と、このランプボディ11の前面開口に取着された透明カバー12とで灯室13を構成し、この灯室13内に光源部1と光学部材2が配設されている。この実施例では光源部1と光学部材2はランプモジュールLMとして構成されている。前記ランプモジュールLMには図には表れない点灯制御回路が一体的に設けられており、自動車に搭載されている図には表れないECU(電子制御ユニット)からの信号に基づいてランプモジュールLMの点灯を制御するようになっている。
【0012】
図3は前記ランプモジュールLMの光軸方向に沿った拡大断面図である。前記光源部1は所要の平面形状をして複数の発光部102が平面XY方向にマトリクス状に表面配置された状態で形成されたモノリシック構成の面状集積光源101を備えており、ここでは面状集積光源101は面発光レーザ素子として構成されている。この面発光レーザ素子101の素子構造については既に知られている構造であるので詳細な説明は省略するが、例えば、サファイア基板やGaN基板111上に下部ミラー層112を形成し、この上に発光部102としてスペーサ層113、活性層114、スペーサ層115、電流狭窄層116、上部ミラー層117、コンタクト層118を形成している。そして、前記GaAs基板111の下面に下部コンタクト電極121を、上層の前記コンタクト層118の上に上部コンタクト電極122を形成し、上部コンタクト電極122に開口窓122aを形成している。この面発光レーザ素子は、上下のコンタクト電極121,122間に電流を印加すると、上部コンタクト電極122から注入された電流は電流狭窄層116を通過して活性層114に注入され、活性層114で青色光〜紫外光が発生される。発生された光は上下のミラー層112,117からなる光共振器により共振され、上部コンタクト電極122の開口窓122aから素子の表面に垂直な方向に出射される。前記下部コンタクト電極121は前記複数の発光部102について共通電極として構成されているが、各発光部102の上部コンタクト電極122はそれぞれ独立に電流が印加できるようなパターンに形成されており、それぞれ独立に点灯制御回路に電気接続されている。
【0013】
前記光源1、すなわち面発光レーザ素子101の表面上には所要の膜厚をしたマスク103が一体的に形成される。このマスク103は光を透過しない材料で形成されており、例えば薄い絶縁膜103aと厚い金属膜、ここではアルミニウム膜103bとを順次蒸着する。その上で、フォトリソグラフィ技術によりアルミニウム膜103bを選択エッチングして前記発光部102を含む領域を円形にエッチング除去し、さらに下層の絶縁膜103aをエッチング除去してマスク開口部104を開設する。このとき、アルミニウム膜103bにウェットエッチング(等方性エッチング)を施すことにより、開設するマスク開口部104は表面方向に向けて径寸法が拡大するように内壁104aが傾斜したテーパ状に形成される。また、同時にマスク開口部104の内壁104aはアルミニウムの素材面が露呈されるため光反射面として形成される。このように構成されるマスク103は面発光レーザ素子101の発光部102以外の領域を覆い隠すとともに、発光部102から出射した光が隣接する発光部102に洩れ込んで配光特性に影響を与えることがないように設けられるものである。
【0014】
さらに、前記マスク開口部104内には蛍光体105として蛍光物質を混入させた透明樹脂を充填する。この蛍光物質は面発光レーザ素子の各発光部102で発光する青色光〜紫外光を受けてこれらの光と補色の関係にある黄色光を発光する物質を用いている。この蛍光体105はマスク開口部104内に充填した後、マスク103の表面と同一面となるように蛍光体105の表面を平坦に研磨することにより形成する。
【0015】
前記光源部1、すなわち面発光レーザ素子101は回路基板106に搭載され、下部コンタクト電極121は回路基板106の表面に形成した導電パターンに直接接続され、各発光部102の上部コンタクト電極122はそれぞれ図には表れないリード線によって回路基板106に電気接続される。なお、実施例1では発光部102は平面XY方向にマトリクス配置されているので、例えばX方向に並ぶ発光部102の各上部コンタクト電極122はX方向に延長した構成とされ、各延長端において回路基板106に電気接続する構成としてもよい。この回路基板106は一部に図には表れない点灯制御回路を構成している。
【0016】
さらに、前記回路基板106の表面には面発光レーザ素子101を覆うように前記光学部材2が装着されている。この光学部材2は透明樹脂を成形した板状のレンズ体201を有しており、このレンズ体201の両端部に設けたフック片203を回路基板106に設けた係合孔106aに嵌入することにより取着されている。前記レンズ体201は前記光源部1の各発光部102に対峙する前面には複数個のマイクロレンズ202が一体に形成されている。これらのマイクロレンズ202はそれぞれ光源部1の各発光部102の光軸、換言すればマスク開口部104の中心とレンズ光軸とが一致するようにレンズ体201の前面にマトリクス状に配設されている。また、実施例ではマイクロレンズ202の焦点が各発光部102のレーザ光出射点にほぼ一致するように光源部1に対するレンズ体201の距離が設定されている。
【0017】
以上のランプモジュールLMは図1,2に示したようにランプボディ11の灯室13内に内装支持される。例えば、ネジ等によってラプボディ11の背壁の内面に固定される。回路基板106には電気コード3が接続され、ランプボディ11に設けられたコネクタ4に接続される。このコネクタ4には自動車に搭載されているECUに接続されたコードが接続可能である。そして、ECUからの電気信号に基づいて回路基板106に設けた点灯制御回路が光源部1の複数の発光部102を選択的、あるいは合一的に発光制御する。発光部102での発光では、図3に示したように、活性層114で発光したレーザ光が開口窓122aから発光部102の光軸方向、すなわち面発光レーザ素子の表面に対してほぼ垂直な方向に向けた円形の光束形状で出射される。出射されたレーザ光はマスク開口部104に充填された蛍光体105を透過し、この蛍光体105の表面から光軸に沿ってほぼ真直に、あるいは若干屈折されて出射される。これと同時に発光部102から出射された青色光〜紫外光の一部は蛍光体105の蛍光物質に当射され、蛍光物質で黄色の蛍光が発生する。発生した蛍光は一部は蛍光体105を透過して直接その表面から出射されるが、他の一部はマスク開口部104の内壁104aに当射され、ここで反射された上で蛍光体105の表面から出射される。
【0018】
このように光源部1の各発光部102で発光されてマスク開口部104を通して出射された青色光〜紫外光のレーザ光と、当該レーザ光を受けて蛍光体105において発生する黄色の蛍光はそれぞれ加算混合されて白色光となり、レンズ体201の各マイクロレンズ202によって集光され、ほぼ光軸に沿って出射される。そして、ヘッドランプHLの透明カバー12を通して自動車の前方に照射され、ヘッドランプHLとしての照明を行う。このヘッドランプHLでは、光源部1で発生されて出射されたレーザ光はヘッドランプHLの光軸に沿って若干の角度で広がりながら出射され、蛍光体105で発生した蛍光はそれよりも大きな角度で広がりながら出射され、それぞれ自動車の前方を照明する。このように、蛍光体105で発生した蛍光がレーザ光よりも広い領域に出射されるので、光源部1において隣接する発光部102との間にレーザ光が出射されない領域が存在しても、この領域を蛍光によって補間することができ、光度のむらのない均一な光度での照明が可能になる。また、レーザ光と蛍光とが重合することで照明領域の全体の光度を高めることも可能になる。
【0019】
点灯制御回路において光源部の発光部を選択して発光させることで、任意の配光パターンに設定できる。例えば、図4(a)のように、全ての発光部102を発光したときにはヘッドランプHLの光軸を含む所要の領域を照明するハイビーム配光パターンに設定できる。一方、図4(b)のように、一部の発光部102でのみ発光を行い、他の発光部での発光を停止させることにより、ヘッドランプHLの光軸よりも下側領域を照明するロービーム配光パターンに設定することができる。なお、図4(a),(b)はランプモジュールLMを正面方向から見たときの概略図であり、図においてH線は水平基準線、V線は垂直基準線であり、これらの基準線の交点が光軸である。また、各発光部は白い領域が発光した領域であり、黒く塗りつぶした領域が非発光の領域である。したがって、運転者の操作によるビーム切替信号を受けて点灯制御回路が光源部1の各発光部102の発光を制御することによってハイビーム配光パターンとロービーム配光パターンへの設定が可能になる。もちろん、その他の任意の配光パターンへの設定が可能であることは言うまでもない。
【0020】
このように実施例1のヘッドランプは、光源部1と光学部材2とでランプモジュールLMを構成しており、光源部1はモノリシックな面発光レーザ素子101を主体に構成され、しかも発光部102から出射される光の方向を制御するためのマスク103も面発光レーザ素子101に一体に形成されているので、面発光レーザ素子101を半導体製造技術により製造すれば複数の発光部102を同時に形成できる。そのため複数の発光部102の配列ピッチを低減することは容易であり、光源部1を小型化することができるとともに、複数の発光部102を組み立てる工程が不要になり、製造が容易になって低コスト化が可能になる。また、光学部材2を光源部1に対して一体的に組み立てるだけでランプモジュールLMを構成できるので、ランプモジュールLMを小型化、薄型化することができ、このランプモジュールLMを内蔵したヘッドランプHLの小型化、薄型化が実現できる。さらに、配光パターンを切り替えるためにヘッドランプHL内にシェード等の配光制御手段を配設する必要もなく、ヘッドランプHLの構成を簡略化し、さらなる小型化を進める上で有利である。
【実施例2】
【0021】
図5は実施例2のヘッドランプHLの概略構成を示す一部を破断した分解斜視図である。実施例2はプロジェクタ型のランプとして構成した例であり、ランプボディ11Aは円筒容器状に形成され、その底面に光源部1Aが配設される。また、ランプボディ11Aの前面開口部に光学部材2Aとして集光性のある投影レンズ12Aが配設されている。前記光源部1Aの構成は実施例1の光源部1と同じ構成であるので説明は省略する。また、実施例1のようにマイクロレンズを備えるレンズ体201を光源部1Aに対して一体的に設けてはおらずランプモジュールは構成していない。そして、実施例2では前記投影レンズ12Aが本発明にかかる光学部材として構成される。
【0022】
前記光源部1Aの発光部102を覆うマスク103は、図6(a)に正面図、図6(b)にそのA−A線断面図をそれぞれ示すように、マスク開口部104の内壁104aの傾き角度を大きくして隣接するマスク開口部104の各内壁104aの前縁部104bが三角稜のような鋭利な形状とし、マスク103の前面において隣接するマスク開口部104が互いに接するように構成する。このようにすることでマスク開口部104aの間にマスク103の平坦な表面領域、すなわち光が出射しない領域が存在しなくなり、隣接する発光領域の間に非発光領域が存在しなくなり、連続した発光領域を構成することができる。その一方で、隣接する発光領域の一方が発光しないときには発光領域と非発光領域の境界を明確なものにすることができる。また、これと同時にマスク開口部104の容積が大きくなってマスク開口部104に充填する蛍光体105の体積が増加し、蛍光による発光量を増やすことも可能になる。
【0023】
実施例2のヘッドランプHLでは、発光部102から出射された光は投影レンズ12Aにより屈折され、ヘッドランプHLの前方領域を照明する。ハイビーム配光パターンにおいては、図7(a)に示すように、全ての発光部102を発光させることにより、光源部1Aの各発光部102から出射された殆ど全ての光はそのまま投影レンズ12Aに入射され、投影レンズ12Aで集光されて所要のハイビーム配光パターンでの照明が行われる。ロービーム配光パターンにおいては、図7(b)に示すように、光源部1Aの光軸Axよりも上側のほぼ1/2の領域の発光部102を発光させることにより、投影レンズ12Aで集光された光はヘッドランプHLの光軸Axよりも下方の領域を照明し、所要のロービーム配光パターンでの照明が行われる。
【0024】
実施例2のヘッドランプHLは、光源部1Aは単純にモノリシックな面発光レーザ素子101とその表面に形成されるマスク103とマスク開口部104に充填された蛍光体105とで構成されているのみであり、実施例1のような光学部材を一体に設けていないので、光源部1Aを実施例1の光源部1よりも小型、薄型に構成できるとともに、半導体集積装置を製造する製造プロセスのみでの製造が可能であるので低コスト化が可能になる。また、マスク開口部104の前縁部104bを鋭利な形状とし、隣接する発光領域との間に非発光領域を生じさせず、また隣接する非発光領域との境界を明確なものにできるので、投影レンズ12Aによる集光のみによっても所要の配光パターンを容易に得ることができる。
【0025】
実施例2では、ヘッドランプHLの光源として光源部1Aのみで構成した例を示しているが、実施例1のランプモジュールLMをそのまま実施例2の光源として用いてもよい。この場合には、本発明にかかる光学部材はランプモジュールLMを構成する光学部材としてのレンズ体と、ランプボディ11Aの前面開口に取着された投影レンズ12Aとで二重構成の光学部材として構成されることは言うまでもない。
【0026】
また、マスク103を構成する材料は実施例のアルミニウムに限られるものではなく、樹脂やその他の材料で形成することも可能である。例えば、カーボンブラックを含有した樹脂で形成することも可能である。この場合にはマスク開口部104の内壁104aの内面を反射面として構成するために、当該内面にアルミニウム等を蒸着する等して反射処理するようにしてもよい。
【0027】
また、実施例1,2では面状集積光源の発光部を構成する発光素子として面発光レーザ素子の例を示したが、モノリシックに構成できる発光素子であればよく、例えば面発光ダイオード素子で構成されてもよい。また、本発明の光源部は複数の面状集積光源で構成されてもよく、各面状集積光源をそれぞれ独立して、あるいは一体化して光源部を構成し、ランプボディ内に内装するようにしてもよい。
【0028】
本発明は実施例のヘッドランプに限られるものではなく、車両の補助灯や標識灯にも適用できる。また、複数のランプを一体化したコンビネーションランプにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施例1のヘッドランプの一部を破断した概略斜視図である。
【図2】実施例1ヘッドランプの縦断面図である。
【図3】光源モジュールの一部の拡大断面図である。
【図4】実施例1における配光パターンを説明する光源部の正面図である。
【図5】実施例2のヘッドランプの一部を破断した一部分解斜視図である。
【図6】実施例2の光源部の平面図とそのA−A線断面図である。
【図7】実施例2における配光パターンを説明する模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0030】
HL ヘッドランプ
LM ランプモジュール
1,1A 光源部
2,2A 光学部材
3 コード
4 コネクタ
11,11A ランプボディ
12 透明カバー
12A 投影レンズ
101 面状集積光源(面発光レーザ素子)
102 発光部
103 マスク
104 マスク開口部
105 蛍光体
106 回路基板
201 レンズ体
202 マイクロレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子を備える光源部と、前記光源部から出射される光を配光させるための光学部材とを備え、前記光源部は平面配列された複数の発光部を表面に有する面状集積光源と、前記面状集積光源の表面に配設され、前記発光部を露呈させる複数の開口部を備えるマスクと、前記マスクの開口部内に充填された蛍光体とを備えることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記マスクの開口部は前面側に向かって開口径が増大するように内壁が傾斜されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記マスクは隣接する開口部との境界部となる前記内壁の前縁部が鋭利な断面形状であることを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記内壁の表面が反射面として処理されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記光学部材は前記光源部と一体的に構成され、前記複数の発光部を選択的に発光可能な制御回路を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用灯具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−10228(P2008−10228A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177612(P2006−177612)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(000001133)株式会社小糸製作所 (1,575)
【Fターム(参考)】