車両用燃料電池システムおよび燃料電池搭載車両
【課題】車載状態のままで電気コネクタの着脱作業ならびに定期交換部品の点検交換作業を容易にできる車両用燃料電池システムおよび燃料電池搭載車両の提供を図る。
【解決手段】補機の電気コネクタ17c、19c、21cおよび定期交換部品17fを、燃料電池13と補機類15(17、19、21)との接続部17s、19s、21sとは反対側で且つシステムフレーム11の外縁の近傍に集中配置したため、燃料電池システムを車両1に搭載したままの状態で、車両下側から補機の電気コネクタ17c、19c、21cの着脱作業および定期交換部品17fの点検交換作業が可能となる。結果、燃料電池システムを取り外すことなく電気コネクタ17c、19c、21cの着脱作業および定期交換部品17fの点検交換作業が可能になるため、作業時間を大幅に短縮できる。
【解決手段】補機の電気コネクタ17c、19c、21cおよび定期交換部品17fを、燃料電池13と補機類15(17、19、21)との接続部17s、19s、21sとは反対側で且つシステムフレーム11の外縁の近傍に集中配置したため、燃料電池システムを車両1に搭載したままの状態で、車両下側から補機の電気コネクタ17c、19c、21cの着脱作業および定期交換部品17fの点検交換作業が可能となる。結果、燃料電池システムを取り外すことなく電気コネクタ17c、19c、21cの着脱作業および定期交換部品17fの点検交換作業が可能になるため、作業時間を大幅に短縮できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用燃料電池システムおよび燃料電池搭載車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の床下に搭載する床下搭載型の燃料電池システムは、例えば特許文献1のように、走行時に水、泥、ピッチング等から保護するために、システムボックス内に燃料電池や補機類などを収容した状態で車両床下に取り付けられている。システムボックスは、車両前方に空気導入孔が設けられ車両後方に空気排出孔が設けられており、それ以外の部分は密閉されている。
【特許文献1】特開2003-151605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来例では、コネクタ類や定期交換部品も含めて補機類が全てシステムボックス内に密閉されている。そのため、車両前方のエンジンコンパートメントまたは車両後方のリアコンパートメントから床下燃料電池システムへ接続される配管や電線の接続作業や、補機類の定期交換部品の点検交換作業にあたっては、車載状態では作業実施が困難で燃料電池システムボックスを車体から取り外す必要があり、作業性に問題があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術をもとに為されたもので、車載状態のままで補機の電気コネクタの着脱作業ならびに定期交換部品の点検交換作業を容易することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車両用燃料電池システムおよび燃料電池車両は、燃料ガスと酸化ガスを反応させて発電を行う燃料電池と、前記燃料電池の発電時に作動する補機と、前記燃料電池および前記補機を載置し且つ車体の床下に固定されるシステムフレームと、を備え、
前記補機の電気コネクタおよび前記補機の定期交換部品を、前記燃料電池と前記補機との接続部とは反対側で且つ前記システムフレームの外縁の近傍に集中配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、補機の電気コネクタおよび補機の定期交換部品を、燃料電池と補機との接続部とは反対側で且つシステムフレームの外縁の近傍に集中配置したため、燃料電池システムを車両床下に搭載している状態で、電気コネクタの嵌合作業や定期交換部品の点検交換作業などのメンテナンス作業が可能になり、作業時間を大幅に短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0008】
第1実施形態
まず、図1〜図6を参照しつつ本発明の第1実施形態を説明する。図1は第1実施形態の燃料電池搭載車両の平面図、図2は側面図、図3は同燃料電池搭載車両に搭載された燃料電池システムの平面図、図4は側面図、図5は同燃料電池システムの車体取付状態を示す断面図、図6は同燃料電池システムのシステムフレームの平面図である。
【0009】
この実施形態の燃料電池搭載車両1は、図1、図2に示すように、床下に燃料電池システムを搭載し、燃料電池システムで発電した電力により駆動する電気自動車である。
【0010】
「燃料電池システム」
搭載される燃料電池システムは、燃料ガスと酸化ガスとの反応により発電を行う燃料電池13と、この燃料電池13の発電時に作動する補機類15とを有するパワープラント10と、燃料ガスを貯蔵する燃料タンク23と、燃料電池13で発電された電力を略一定にする図示せぬ電力変換調整装置と、該電力変換装置で調整された電力で駆動する図示せぬ前輪駆動モータおよびまたは後輪駆動モータと、車両運転状況や燃料電池13の運転状況を監視して補機類15やその他の機器に制御信号を送る図示せぬシステムコントローラと、必要に応じて電力を蓄える図示せぬ二次電池と、を備える。
【0011】
燃料電池13および補機類15を有するパワープラント10は、システムフレーム11に固定された状態で車両客室の床下に取り付けられている。なお、燃料タンク23はシステムフレーム11より車両後方RRの図示せぬ第2のフレームによって車体に取り付けられている。
【0012】
ここで前記補機15には、酸化ガス供給装置17、燃料ガス供給装置19、温度調整装置21、などが含まれる。
【0013】
酸化ガス供給装置17は、酸化ガス(主に空気)の圧力・温度・湿度などを調整して燃料電池13へ酸化ガスを供給するものである。例えば、酸化ガス供給装置17は、酸化ガスの圧力および流量を調整するマスフローコントローラや、酸化ガスの湿度を調整する加湿器などを備える。この例では、車両前方FRのエンジンコンパートメント9から酸化ガス供給装置17に接続された配管(図1中符号18参照)を通じて、酸化ガスが酸化ガス供給装置17に供給されている。
【0014】
燃料ガス供給装置19は、燃料ガス(主に水素であるがメタノールなどの改質ガスなどのその他の燃料ガスであってもよい)の圧力・温度・湿度などを調節して燃料電池13へ燃料ガスを供給するものである。例えば、燃料ガス供給装置19は、燃料ガスの圧力および流量を調整するマスフローコントローラや、燃料ガスの湿度を調整する加湿器、などを備える。この例では、車両後方RRに配置される燃料タンク23から燃料ガス供給装置19に接続された燃料ガス管25を通じて、燃料ガスが燃料ガス供給装置19に供給されている。
【0015】
温度調節装置21は、燃料電池13を適正運転温度に調整するものである。例えば、温度調整装置21は、燃料電池13の発熱を熱交換媒体(例えば水)を介して排熱する熱交換サイクルや、低温時などに電気的発熱や燃焼熱などにより燃料電池13を温めるヒータ、などを備える。
【0016】
「車両運転時の燃料電池システムの動作」
車両運転時には、アクセル開度などに基づいて、燃料電池13に対し燃料ガス供給装置19および酸化ガス供給装置17から反応ガス(燃料ガスおよび酸化ガス)が供給される。燃料電池13は一枚当たり数ボルトの発電能力を有するセルが数百枚積層されたスタック構造であり、燃料電池13では、燃料ガスおよび酸化ガスの化学反応により数百ボルトの電力が発電される。発電された電力は、図示しない電力変換調整装置にて概ね一定の電力に調整された後、図示せぬ駆動モータに供給される。この駆動モータのトルクが車軸に伝えられて車両1の推進力となる。
【0017】
図示せぬシステムコントローラは、車両運転状況や燃料電池13の運転状況を監視して補機類15やその他の機器に制御信号を送り、適正な運転状態に各機器を制御する。
【0018】
「補機の電気コネクタおよび定期交換部品」
このためコントロールユニットから制御信号(弱電信号)を伝送する弱電電線などを接続するため、図3に示すように各補機17、19、21には電気コネクタ17c、19c、21cが設けられている。
【0019】
また、補機類15には、燃料電池13や補機15の適正な運転状態を維持するために定期交換部品が設けられている。その一例としては、図3および4に示す酸化ガス供給装置17の集塵装置17fがある。この集塵装置17fは、酸化ガスとしての外気を燃料電池13に供給する際に外気に含まれる埃塵やNOXなど捕獲して燃料電池13の劣化を防ぐもので、埃塵の堆積に従って定期交換する必要がある。
【0020】
「パワープラントのレイアウト」
パワープラント10の取り付け位置は、つまりシステムフレーム11の取付位置は、図5に示すように、フロントフロア2(床)の下側で且つ左右のサイドシル3、3の車幅方向内側において、サイドエクステンションメンバ4(フロア骨格部材)の下面に締結されている。このシステムフレーム11は、図5および図6に示すように枠状に複数のフレーム部材11s、11f、11r、11cを組合せ、下面にアンダーカバーCを取り付けたものである。このアンダーカバーCによって、車両1の床下に配置した燃料電池13および補機類15(17、19、21)をピッチング等から保護することができる。
【0021】
システムフレーム11に固定される燃料電池13および補機類15(17、19、21)の配置関係は、燃料電池13が車両後方RRに配置され、補機類15(17、19、21)が車両前方FRに配置されている。補機類15(17、19、21)の燃料電池側(車両後方RR)には、燃料電池13と補機類15(17、19、21)との間で流体(例えば燃料ガスや酸化ガスや水分や熱交換媒体など)をやり取りする接続部17s、19s、21sが設けられている。そして、燃料電池13と補機類15(17、19、21)との接続部17s、19s、21sの反対側(この例では車両前方FR)で且つシステムフレーム11の外縁の近傍に、補機の電気コネクタ17c、19c、21cおよび補機の定期交換部品17fが、集中配置されている。
【0022】
また、この実施形態では、燃料電池13で発電した高電圧の電流を伝送するため高電圧電線31(例えば燃料電池13から図示せぬ電力変換調整装置へ電力を伝送するための高電圧電線や、図示せぬ電力変換調整装置から駆動モータへ向けて電力を伝送するための高電圧電線など)がシステムフレーム11を横断するように配置されている。そして、この高電圧電線31の電気コネクタ33は、システムフレーム11の外縁近傍において前記補機類の電気コネクタ17c、19c、21cおよび定期交換部品17fとともに集中配置されている。
【0023】
また、この実施形態では、電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fが、システムフレーム11の外縁より外側に飛び出している。これにより、補機の電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fの下側には、システムフレーム11の構成部材11s、11f、11r、11c、Cが無い配置関係となっている。
【0024】
このようにシステムフレーム11外縁から飛び出した電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fを確実に守るため、これらの周囲を囲むように排気装置27が配索されている。この排気装置27が、電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fのガードの役割を担う。なお、本発明において排気装置27とは、燃料電池13で使用された酸化ガスを排気するための排気管を少なくとも含む。また、排気装置27は、例えば図示せぬ燃料ガス循環装置内で不純度濃度が高くなった燃料ガスを前記排気管に排出する際に残留燃料ガスを燃焼させて環境基準を満たす濃度にする燃焼器や、この燃焼器で発生した熱を回収する熱交換器や、排気管に取り付けられたマフラ、などが含まれてもよい。
【0025】
また、このようにシステムフレーム11から飛び出した電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fは、近接するサスペンションメンバ(この例ではフロントサスペンションメンバ5)の最下面5dよりも高い位置に設定されている。
【0026】
効果
以下、第1実施形態の作用効果をまとめる。
【0027】
第1に、この第1実施形態では、燃料電池と補機類との接続部17s、19s、21sの反対側(この例では車両前方FR)で且つシステムフレーム11の外縁の近傍に、補機の電気コネクタ17c、19c、21cおよび定期交換部品17fが、集中配置されている。
そのため、燃料電池システムを車両1に搭載したままの状態で、車両1下側から補機の電気コネクタ17c、19c、21cの着脱が可能になるとともに補機の定期交換部品17fの点検交換作業が可能になり、アンダーカバーCを取り外したりまたは燃料電池システム全体を取り外す必要がないので、作業時間が大幅に短縮できる。なお、この実施形態では、必要に応じて着脱自在なアンダーカバーCを備える構造であるが、システムフレーム11が着脱自在なアンダーカバーを備えない箱型形状(システムボックス)であっても、勿論同様の効果が得られる。
【0028】
第2に、この第1実施形態によれば、高電圧電線31がシステムフレームを横切って配索される構造で、高電圧電線31のシステムフレーム内の部分と、高電圧電線31のシステムフレーム外の部分と、を接続する電気コネクタ33を前記補機類の電気コネクタ17c、19c、21cとともに集中配置されているため、高電圧電線31の電気コネクタ17の着脱作業も車載状態のまま行うことができる。
【0029】
第3に、この第1実施形態によれば、電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fがシステムフレーム11の外縁から外側に突出しているため、これら電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fの下方にシステムフレーム11の構成部材が一切なく、車両1下側からの作業性がより一層向上する。
【0030】
第4に、この第1実施形態によれば、集中配置空間29は、システムフレームを取付可能な床下スペース8に対してシステムフレーム11(この例ではシステムフレームの前側)を短尺にして確保したものであるため、床下に作業スペース29が生まれる。なお、本発明において、「システムフレームを取付可能な床下スペース」とは、前後方向でフロントサスペンションメンバ5とリアサスペンションメンバ7との間で且つ車幅方向で左右のサイドシル3、3の間のスペースをいう。この例のように燃料タンク23が両サスペンションメンバ5、7よりも前後方向内側に配置される場合には、燃料タンク23と他方のサスペンションメンバ5との間のスペースとなる。
【0031】
このようにシステムフレーム11の前方を短縮してできる作業スペース29により、フロントコンパート側からパワープラント10に向けて配索される電線および配管類の、取り付け・取り外し作業性が向上する。燃料電池システムの組立時(車両組立時)の作業性も向上する。なおこの第1実施形態で、エンジンコンパートメント9側からパワープラント10に接続される配管とは、例えばエンジンコンパートメント9側から酸化ガス供給装置17に接続する酸化ガス管18や、エンジンコンパートメント9に配置されたラジエタからの温度調整装置21に接続する冷却水または冷媒の配管20などがある。また、エンジンコンパートメント9側からパワープラント10に接続される電線は、例えば駆動モータがフロントコンパートメント9に有る場合には燃料電池13から駆動モータへ向かう高電圧電線31や、システムコントローラがフロントコンパートメント9に配置される場合にはシステムコントローラと補機15(17、19、21)とを接続する弱電電線などがある。
【0032】
第5に、システムフレーム11の前方を短縮してできたスペース29を以下ように利用することもできる。
【0033】
例えば、温度調整装置21の冷却配管に設置するドレイン配管先端を当該スペース29に配置することで、燃料電池システムを車両1に搭載した状態でドレイン排水作業が実施できる。また例えば、燃料電池システム内の水素濃度を検知する水素濃度センサの作動確認のために必要な配管を当該スペース29に配置することで、燃料電池システムを車両1に搭載した状態で、確認作業ができる。また例えば、温度調整装置21の冷却水の配管20内の空気抜き配管を当該スペース29に設置した場合には、空気抜き作業を行うスペースとしても活用できる。
【0034】
第6に、この第1実施形態によれば、システムフレーム11の外縁から外側に突出した状態で集中配置した電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fの、周囲を取り囲むように排気装置27を配索しているので、衝突などの大きな衝撃が起きた場合においても強い剛性をもつ排気装置27が保護部材として作用し、前記部品17c、19c、21c、33、17fの破損を防ぐことができる。
【0035】
第7に、システムフレーム11の外縁から外側に突出した電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fが、図4に示すようにフロントサスペンションメンバ5の最下面5dよりも上方にあるため、縁石乗り上げ時などに電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fが第一干渉点になることを防ぎ、外部からのダメージを低減できる。
【0036】
以下、他の実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一または類似の構成には同一符号を付してその構成および作用効果の説明は省略する。
【0037】
第2実施形態
第2実施形態は、図7に示すように、車両前方FRに燃料電池13を配置し車両後方RRに補機類15(17、19、21)を配置し、電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fを、燃料電池と補機類との流体接続部17s、19s、21sとは反対側であるシステムフレーム11の後方側に集中配置している点で、システムフレーム11の前方側に集中配置した第1実施形態と異なる。
【0038】
この第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、第2実施形態の場合は、リアコンパートメント6からパワープラント10に配索される電線や配管の取り付け・取り外し作業性が向上する。
【0039】
第3実施形態
第3実施形態は、図8および図9に示すように燃料電池13を車両右側に配置し補機15(17、19、21)を車両左側に配置し、電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fを、燃料電池と補機類との流体接続部17s、19s、21sとは反対側であるシステムフレーム11の左側に集中配置している点で、第1および第2実施形態と異なる。
【0040】
この第3実施形態によれば、第1および第2実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、第3実施形態の場合は、フロントコンパートメント9およびリアコンパートメント6から車両左側を通ってパワープラント10に配索される電線や配管の取り付け・取り外し作業性がともに向上する。なお、車両左側に燃料電池13を配置して右側に補機15(17、19、21)を配置していても構わない。その場合は電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fをシステムフレーム11の右側に集中配置することで同様の作用効果が得られる。
【0041】
第4実施形態
第4実施形態は、図10および図11に示すように、前後方向中央に燃料電池13を配置し且つ燃料電池13の前方に酸化ガス供給装置17および温度調整装置21を配置し且つ燃料電池13の後方に燃焼ガス供給装置を配置し、燃料電池13と補機類15(17、19、21)の流体接続部17s、19s、21sと反対側であるシステムフレーム11の前側および後側のそれぞれに、電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fを集中配置している。
【0042】
第4実施形態によれば、第1〜第3実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、第4実施形態の場合は、システムフレーム11の前側および後側をそれぞれ短縮しているので、フロントコンパートメント9からパワープラント10に配索される電線や配管の取り付け・取り外し作業性がともに向上するとともに、リアコンパートメント6からパワープラント10に配索される電線や配管の取り付け・取り外し作業性が向上する。
【0043】
以上、第1〜第4実施形態で説明したように本発明によれば、補機の電気コネクタおよび定期交換部品を、前記燃料電池と補機類との接続部とは反対側で且つシステムフレームの外縁の近傍に集中配置したため、燃料電池システムを車両に搭載したままの状態で、車両下側から補機類のコネクタの着脱作業および定期交換部品の点検交換作業が可能となる。結果、燃料電池システムを取り外すことなく、コネクタの着脱作業および定期交換部品の点検交換作業が可能になるため、作業時間を大幅に短縮できる。
【0044】
特に、電気コネクタおよび定期交換部品をシステムフレームの外縁から外側に突出させた場合、サブフレームの構成部材がないので、車両前後からパワープラントに配索される流体配管(燃焼ガス・酸化ガス・冷却水・冷媒などの配管)や、弱電電線や、高電圧電線、などの接続作業スペースが拡大し、燃料電池システムの組立作業時間(車両組立時間)も短縮される。
【0045】
また、システムフレームを横断するように高電圧電線を配索した構造では、高電圧電線のシステムフレーム内の部分と、高電圧電線のシステムフレーム外の部分と、を接続する電気コネクタを前記補機類の電気コネクタとともに集中配置すると更に好ましい。
【0046】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0047】
例えば、上述の実施形態においては、燃料電池と補機類の相対的な位置関係について述べているが、補機類内の酸化ガス供給装置、燃焼ガス供給装置、温度調節装置の配置については、特に規定していない。
【0048】
また、上述の実施形態では、燃料電池搭載車両1は、車体が既存のモノコックボディ(=フレームレスボディ)の車両1の床下に燃料電池システムを搭載したものであったが、本発明では、フレームボディの車両の床下に燃料電池システムを搭載するものにも適用できる。
【0049】
また、上述の実施形態では、定期交換部品として酸化ガス供給装置の異物混入を防止する集塵装置を示しているが、定期交換部品としては、例えば温度調節装置内にある図示しない循環ポンプへの異物混入を防止する集塵装置や、例えば燃焼ガス供給装置内への異物混入を防止する集塵装置など、などでも良いし、またその他の定期交換部品であってもよい。また、定期交換部品は複数配置されていてもよい。
また上述の実施形態では、燃料電池が駆動モータの唯一の駆動源であったが、燃料電池を搭載した車両であれば、エンジン駆動による車両でもハイブリット車両でも本発明は適用できる。また、前輪駆動車両であっても後輪駆動車両であっても四輪駆動車両であってもよい。
【0050】
また、上述の実施形態では、システムフレームのフレーム部材は中実構造であったが、中空構造や、L字状断面構造や、T字状断面構造や、など強度を維持しやすい断面構造を適宜選択してもよい。また、システムフレームは着脱自在なアンダーカバーを備えないボックス形状のシステムフレーム(システムボックス)であっても、本発明は適用できる。
【0051】
また、本発明では、燃料タンクは客室床下などその他の位置に配置してもよく、燃料タンクの配置位置は限定されない。
【0052】
また、本発明では、図示せぬ電力変換調整装置、図示せぬ前輪駆動モータおよびまたは後輪駆動モータ、システムコントローラ、図示せぬ二次電池、図示せぬ電力変換調整装置は、システムフレームに配置されていても、エンジンコンパートメントやトランクルームに配置されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態の燃料電池搭載車両の平面図。
【図2】同燃料電池搭載車両を示す側面概略図。
【図3】同燃料電池搭載車両の燃料電池搭載システムの平面図。
【図4】同燃料電池システムの側面図。
【図5】同燃料電池システムの車体取付状態示す断面図。
【図6】同燃料電池システムのシステムフレームの下面図。
【図7】本発明の第2実施形態を示す床下燃料電池システムを示す平面図。
【図8】本発明の第3実施形態の燃料電池システムを示す平面図。
【図9】同燃料電池システムの側面図。
【図10】本発明の第4実施形態の燃料電池システムの平面図。
【図11】同燃料電池システムの側面図。
【符号の説明】
【0054】
1…燃料電池搭載車両
2…フロントフロア(床)
5d…最下面
11…システムフレーム
13…燃料電池
15…補機類
17…酸化ガス供給装置(補機)
19…燃料ガス供給装置(補機)
21…温度調整装置(補機)
17c、19、21c…補機の電気コネクタ
17f…集塵装置(補機の定期交換部品)
17s、19s、21s…接続部
27…排気装置
29…スペース
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用燃料電池システムおよび燃料電池搭載車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の床下に搭載する床下搭載型の燃料電池システムは、例えば特許文献1のように、走行時に水、泥、ピッチング等から保護するために、システムボックス内に燃料電池や補機類などを収容した状態で車両床下に取り付けられている。システムボックスは、車両前方に空気導入孔が設けられ車両後方に空気排出孔が設けられており、それ以外の部分は密閉されている。
【特許文献1】特開2003-151605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記従来例では、コネクタ類や定期交換部品も含めて補機類が全てシステムボックス内に密閉されている。そのため、車両前方のエンジンコンパートメントまたは車両後方のリアコンパートメントから床下燃料電池システムへ接続される配管や電線の接続作業や、補機類の定期交換部品の点検交換作業にあたっては、車載状態では作業実施が困難で燃料電池システムボックスを車体から取り外す必要があり、作業性に問題があった。
【0004】
本発明は、このような従来技術をもとに為されたもので、車載状態のままで補機の電気コネクタの着脱作業ならびに定期交換部品の点検交換作業を容易することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の車両用燃料電池システムおよび燃料電池車両は、燃料ガスと酸化ガスを反応させて発電を行う燃料電池と、前記燃料電池の発電時に作動する補機と、前記燃料電池および前記補機を載置し且つ車体の床下に固定されるシステムフレームと、を備え、
前記補機の電気コネクタおよび前記補機の定期交換部品を、前記燃料電池と前記補機との接続部とは反対側で且つ前記システムフレームの外縁の近傍に集中配置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、補機の電気コネクタおよび補機の定期交換部品を、燃料電池と補機との接続部とは反対側で且つシステムフレームの外縁の近傍に集中配置したため、燃料電池システムを車両床下に搭載している状態で、電気コネクタの嵌合作業や定期交換部品の点検交換作業などのメンテナンス作業が可能になり、作業時間を大幅に短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0008】
第1実施形態
まず、図1〜図6を参照しつつ本発明の第1実施形態を説明する。図1は第1実施形態の燃料電池搭載車両の平面図、図2は側面図、図3は同燃料電池搭載車両に搭載された燃料電池システムの平面図、図4は側面図、図5は同燃料電池システムの車体取付状態を示す断面図、図6は同燃料電池システムのシステムフレームの平面図である。
【0009】
この実施形態の燃料電池搭載車両1は、図1、図2に示すように、床下に燃料電池システムを搭載し、燃料電池システムで発電した電力により駆動する電気自動車である。
【0010】
「燃料電池システム」
搭載される燃料電池システムは、燃料ガスと酸化ガスとの反応により発電を行う燃料電池13と、この燃料電池13の発電時に作動する補機類15とを有するパワープラント10と、燃料ガスを貯蔵する燃料タンク23と、燃料電池13で発電された電力を略一定にする図示せぬ電力変換調整装置と、該電力変換装置で調整された電力で駆動する図示せぬ前輪駆動モータおよびまたは後輪駆動モータと、車両運転状況や燃料電池13の運転状況を監視して補機類15やその他の機器に制御信号を送る図示せぬシステムコントローラと、必要に応じて電力を蓄える図示せぬ二次電池と、を備える。
【0011】
燃料電池13および補機類15を有するパワープラント10は、システムフレーム11に固定された状態で車両客室の床下に取り付けられている。なお、燃料タンク23はシステムフレーム11より車両後方RRの図示せぬ第2のフレームによって車体に取り付けられている。
【0012】
ここで前記補機15には、酸化ガス供給装置17、燃料ガス供給装置19、温度調整装置21、などが含まれる。
【0013】
酸化ガス供給装置17は、酸化ガス(主に空気)の圧力・温度・湿度などを調整して燃料電池13へ酸化ガスを供給するものである。例えば、酸化ガス供給装置17は、酸化ガスの圧力および流量を調整するマスフローコントローラや、酸化ガスの湿度を調整する加湿器などを備える。この例では、車両前方FRのエンジンコンパートメント9から酸化ガス供給装置17に接続された配管(図1中符号18参照)を通じて、酸化ガスが酸化ガス供給装置17に供給されている。
【0014】
燃料ガス供給装置19は、燃料ガス(主に水素であるがメタノールなどの改質ガスなどのその他の燃料ガスであってもよい)の圧力・温度・湿度などを調節して燃料電池13へ燃料ガスを供給するものである。例えば、燃料ガス供給装置19は、燃料ガスの圧力および流量を調整するマスフローコントローラや、燃料ガスの湿度を調整する加湿器、などを備える。この例では、車両後方RRに配置される燃料タンク23から燃料ガス供給装置19に接続された燃料ガス管25を通じて、燃料ガスが燃料ガス供給装置19に供給されている。
【0015】
温度調節装置21は、燃料電池13を適正運転温度に調整するものである。例えば、温度調整装置21は、燃料電池13の発熱を熱交換媒体(例えば水)を介して排熱する熱交換サイクルや、低温時などに電気的発熱や燃焼熱などにより燃料電池13を温めるヒータ、などを備える。
【0016】
「車両運転時の燃料電池システムの動作」
車両運転時には、アクセル開度などに基づいて、燃料電池13に対し燃料ガス供給装置19および酸化ガス供給装置17から反応ガス(燃料ガスおよび酸化ガス)が供給される。燃料電池13は一枚当たり数ボルトの発電能力を有するセルが数百枚積層されたスタック構造であり、燃料電池13では、燃料ガスおよび酸化ガスの化学反応により数百ボルトの電力が発電される。発電された電力は、図示しない電力変換調整装置にて概ね一定の電力に調整された後、図示せぬ駆動モータに供給される。この駆動モータのトルクが車軸に伝えられて車両1の推進力となる。
【0017】
図示せぬシステムコントローラは、車両運転状況や燃料電池13の運転状況を監視して補機類15やその他の機器に制御信号を送り、適正な運転状態に各機器を制御する。
【0018】
「補機の電気コネクタおよび定期交換部品」
このためコントロールユニットから制御信号(弱電信号)を伝送する弱電電線などを接続するため、図3に示すように各補機17、19、21には電気コネクタ17c、19c、21cが設けられている。
【0019】
また、補機類15には、燃料電池13や補機15の適正な運転状態を維持するために定期交換部品が設けられている。その一例としては、図3および4に示す酸化ガス供給装置17の集塵装置17fがある。この集塵装置17fは、酸化ガスとしての外気を燃料電池13に供給する際に外気に含まれる埃塵やNOXなど捕獲して燃料電池13の劣化を防ぐもので、埃塵の堆積に従って定期交換する必要がある。
【0020】
「パワープラントのレイアウト」
パワープラント10の取り付け位置は、つまりシステムフレーム11の取付位置は、図5に示すように、フロントフロア2(床)の下側で且つ左右のサイドシル3、3の車幅方向内側において、サイドエクステンションメンバ4(フロア骨格部材)の下面に締結されている。このシステムフレーム11は、図5および図6に示すように枠状に複数のフレーム部材11s、11f、11r、11cを組合せ、下面にアンダーカバーCを取り付けたものである。このアンダーカバーCによって、車両1の床下に配置した燃料電池13および補機類15(17、19、21)をピッチング等から保護することができる。
【0021】
システムフレーム11に固定される燃料電池13および補機類15(17、19、21)の配置関係は、燃料電池13が車両後方RRに配置され、補機類15(17、19、21)が車両前方FRに配置されている。補機類15(17、19、21)の燃料電池側(車両後方RR)には、燃料電池13と補機類15(17、19、21)との間で流体(例えば燃料ガスや酸化ガスや水分や熱交換媒体など)をやり取りする接続部17s、19s、21sが設けられている。そして、燃料電池13と補機類15(17、19、21)との接続部17s、19s、21sの反対側(この例では車両前方FR)で且つシステムフレーム11の外縁の近傍に、補機の電気コネクタ17c、19c、21cおよび補機の定期交換部品17fが、集中配置されている。
【0022】
また、この実施形態では、燃料電池13で発電した高電圧の電流を伝送するため高電圧電線31(例えば燃料電池13から図示せぬ電力変換調整装置へ電力を伝送するための高電圧電線や、図示せぬ電力変換調整装置から駆動モータへ向けて電力を伝送するための高電圧電線など)がシステムフレーム11を横断するように配置されている。そして、この高電圧電線31の電気コネクタ33は、システムフレーム11の外縁近傍において前記補機類の電気コネクタ17c、19c、21cおよび定期交換部品17fとともに集中配置されている。
【0023】
また、この実施形態では、電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fが、システムフレーム11の外縁より外側に飛び出している。これにより、補機の電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fの下側には、システムフレーム11の構成部材11s、11f、11r、11c、Cが無い配置関係となっている。
【0024】
このようにシステムフレーム11外縁から飛び出した電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fを確実に守るため、これらの周囲を囲むように排気装置27が配索されている。この排気装置27が、電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fのガードの役割を担う。なお、本発明において排気装置27とは、燃料電池13で使用された酸化ガスを排気するための排気管を少なくとも含む。また、排気装置27は、例えば図示せぬ燃料ガス循環装置内で不純度濃度が高くなった燃料ガスを前記排気管に排出する際に残留燃料ガスを燃焼させて環境基準を満たす濃度にする燃焼器や、この燃焼器で発生した熱を回収する熱交換器や、排気管に取り付けられたマフラ、などが含まれてもよい。
【0025】
また、このようにシステムフレーム11から飛び出した電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fは、近接するサスペンションメンバ(この例ではフロントサスペンションメンバ5)の最下面5dよりも高い位置に設定されている。
【0026】
効果
以下、第1実施形態の作用効果をまとめる。
【0027】
第1に、この第1実施形態では、燃料電池と補機類との接続部17s、19s、21sの反対側(この例では車両前方FR)で且つシステムフレーム11の外縁の近傍に、補機の電気コネクタ17c、19c、21cおよび定期交換部品17fが、集中配置されている。
そのため、燃料電池システムを車両1に搭載したままの状態で、車両1下側から補機の電気コネクタ17c、19c、21cの着脱が可能になるとともに補機の定期交換部品17fの点検交換作業が可能になり、アンダーカバーCを取り外したりまたは燃料電池システム全体を取り外す必要がないので、作業時間が大幅に短縮できる。なお、この実施形態では、必要に応じて着脱自在なアンダーカバーCを備える構造であるが、システムフレーム11が着脱自在なアンダーカバーを備えない箱型形状(システムボックス)であっても、勿論同様の効果が得られる。
【0028】
第2に、この第1実施形態によれば、高電圧電線31がシステムフレームを横切って配索される構造で、高電圧電線31のシステムフレーム内の部分と、高電圧電線31のシステムフレーム外の部分と、を接続する電気コネクタ33を前記補機類の電気コネクタ17c、19c、21cとともに集中配置されているため、高電圧電線31の電気コネクタ17の着脱作業も車載状態のまま行うことができる。
【0029】
第3に、この第1実施形態によれば、電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fがシステムフレーム11の外縁から外側に突出しているため、これら電気コネクタ17c、19c、21c、33および定期交換部品17fの下方にシステムフレーム11の構成部材が一切なく、車両1下側からの作業性がより一層向上する。
【0030】
第4に、この第1実施形態によれば、集中配置空間29は、システムフレームを取付可能な床下スペース8に対してシステムフレーム11(この例ではシステムフレームの前側)を短尺にして確保したものであるため、床下に作業スペース29が生まれる。なお、本発明において、「システムフレームを取付可能な床下スペース」とは、前後方向でフロントサスペンションメンバ5とリアサスペンションメンバ7との間で且つ車幅方向で左右のサイドシル3、3の間のスペースをいう。この例のように燃料タンク23が両サスペンションメンバ5、7よりも前後方向内側に配置される場合には、燃料タンク23と他方のサスペンションメンバ5との間のスペースとなる。
【0031】
このようにシステムフレーム11の前方を短縮してできる作業スペース29により、フロントコンパート側からパワープラント10に向けて配索される電線および配管類の、取り付け・取り外し作業性が向上する。燃料電池システムの組立時(車両組立時)の作業性も向上する。なおこの第1実施形態で、エンジンコンパートメント9側からパワープラント10に接続される配管とは、例えばエンジンコンパートメント9側から酸化ガス供給装置17に接続する酸化ガス管18や、エンジンコンパートメント9に配置されたラジエタからの温度調整装置21に接続する冷却水または冷媒の配管20などがある。また、エンジンコンパートメント9側からパワープラント10に接続される電線は、例えば駆動モータがフロントコンパートメント9に有る場合には燃料電池13から駆動モータへ向かう高電圧電線31や、システムコントローラがフロントコンパートメント9に配置される場合にはシステムコントローラと補機15(17、19、21)とを接続する弱電電線などがある。
【0032】
第5に、システムフレーム11の前方を短縮してできたスペース29を以下ように利用することもできる。
【0033】
例えば、温度調整装置21の冷却配管に設置するドレイン配管先端を当該スペース29に配置することで、燃料電池システムを車両1に搭載した状態でドレイン排水作業が実施できる。また例えば、燃料電池システム内の水素濃度を検知する水素濃度センサの作動確認のために必要な配管を当該スペース29に配置することで、燃料電池システムを車両1に搭載した状態で、確認作業ができる。また例えば、温度調整装置21の冷却水の配管20内の空気抜き配管を当該スペース29に設置した場合には、空気抜き作業を行うスペースとしても活用できる。
【0034】
第6に、この第1実施形態によれば、システムフレーム11の外縁から外側に突出した状態で集中配置した電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fの、周囲を取り囲むように排気装置27を配索しているので、衝突などの大きな衝撃が起きた場合においても強い剛性をもつ排気装置27が保護部材として作用し、前記部品17c、19c、21c、33、17fの破損を防ぐことができる。
【0035】
第7に、システムフレーム11の外縁から外側に突出した電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fが、図4に示すようにフロントサスペンションメンバ5の最下面5dよりも上方にあるため、縁石乗り上げ時などに電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fが第一干渉点になることを防ぎ、外部からのダメージを低減できる。
【0036】
以下、他の実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一または類似の構成には同一符号を付してその構成および作用効果の説明は省略する。
【0037】
第2実施形態
第2実施形態は、図7に示すように、車両前方FRに燃料電池13を配置し車両後方RRに補機類15(17、19、21)を配置し、電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fを、燃料電池と補機類との流体接続部17s、19s、21sとは反対側であるシステムフレーム11の後方側に集中配置している点で、システムフレーム11の前方側に集中配置した第1実施形態と異なる。
【0038】
この第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、第2実施形態の場合は、リアコンパートメント6からパワープラント10に配索される電線や配管の取り付け・取り外し作業性が向上する。
【0039】
第3実施形態
第3実施形態は、図8および図9に示すように燃料電池13を車両右側に配置し補機15(17、19、21)を車両左側に配置し、電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fを、燃料電池と補機類との流体接続部17s、19s、21sとは反対側であるシステムフレーム11の左側に集中配置している点で、第1および第2実施形態と異なる。
【0040】
この第3実施形態によれば、第1および第2実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、第3実施形態の場合は、フロントコンパートメント9およびリアコンパートメント6から車両左側を通ってパワープラント10に配索される電線や配管の取り付け・取り外し作業性がともに向上する。なお、車両左側に燃料電池13を配置して右側に補機15(17、19、21)を配置していても構わない。その場合は電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fをシステムフレーム11の右側に集中配置することで同様の作用効果が得られる。
【0041】
第4実施形態
第4実施形態は、図10および図11に示すように、前後方向中央に燃料電池13を配置し且つ燃料電池13の前方に酸化ガス供給装置17および温度調整装置21を配置し且つ燃料電池13の後方に燃焼ガス供給装置を配置し、燃料電池13と補機類15(17、19、21)の流体接続部17s、19s、21sと反対側であるシステムフレーム11の前側および後側のそれぞれに、電気コネクタ17c、19c、21c、33や定期交換部品17fを集中配置している。
【0042】
第4実施形態によれば、第1〜第3実施形態と同様の作用効果が得られる。なお、第4実施形態の場合は、システムフレーム11の前側および後側をそれぞれ短縮しているので、フロントコンパートメント9からパワープラント10に配索される電線や配管の取り付け・取り外し作業性がともに向上するとともに、リアコンパートメント6からパワープラント10に配索される電線や配管の取り付け・取り外し作業性が向上する。
【0043】
以上、第1〜第4実施形態で説明したように本発明によれば、補機の電気コネクタおよび定期交換部品を、前記燃料電池と補機類との接続部とは反対側で且つシステムフレームの外縁の近傍に集中配置したため、燃料電池システムを車両に搭載したままの状態で、車両下側から補機類のコネクタの着脱作業および定期交換部品の点検交換作業が可能となる。結果、燃料電池システムを取り外すことなく、コネクタの着脱作業および定期交換部品の点検交換作業が可能になるため、作業時間を大幅に短縮できる。
【0044】
特に、電気コネクタおよび定期交換部品をシステムフレームの外縁から外側に突出させた場合、サブフレームの構成部材がないので、車両前後からパワープラントに配索される流体配管(燃焼ガス・酸化ガス・冷却水・冷媒などの配管)や、弱電電線や、高電圧電線、などの接続作業スペースが拡大し、燃料電池システムの組立作業時間(車両組立時間)も短縮される。
【0045】
また、システムフレームを横断するように高電圧電線を配索した構造では、高電圧電線のシステムフレーム内の部分と、高電圧電線のシステムフレーム外の部分と、を接続する電気コネクタを前記補機類の電気コネクタとともに集中配置すると更に好ましい。
【0046】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0047】
例えば、上述の実施形態においては、燃料電池と補機類の相対的な位置関係について述べているが、補機類内の酸化ガス供給装置、燃焼ガス供給装置、温度調節装置の配置については、特に規定していない。
【0048】
また、上述の実施形態では、燃料電池搭載車両1は、車体が既存のモノコックボディ(=フレームレスボディ)の車両1の床下に燃料電池システムを搭載したものであったが、本発明では、フレームボディの車両の床下に燃料電池システムを搭載するものにも適用できる。
【0049】
また、上述の実施形態では、定期交換部品として酸化ガス供給装置の異物混入を防止する集塵装置を示しているが、定期交換部品としては、例えば温度調節装置内にある図示しない循環ポンプへの異物混入を防止する集塵装置や、例えば燃焼ガス供給装置内への異物混入を防止する集塵装置など、などでも良いし、またその他の定期交換部品であってもよい。また、定期交換部品は複数配置されていてもよい。
また上述の実施形態では、燃料電池が駆動モータの唯一の駆動源であったが、燃料電池を搭載した車両であれば、エンジン駆動による車両でもハイブリット車両でも本発明は適用できる。また、前輪駆動車両であっても後輪駆動車両であっても四輪駆動車両であってもよい。
【0050】
また、上述の実施形態では、システムフレームのフレーム部材は中実構造であったが、中空構造や、L字状断面構造や、T字状断面構造や、など強度を維持しやすい断面構造を適宜選択してもよい。また、システムフレームは着脱自在なアンダーカバーを備えないボックス形状のシステムフレーム(システムボックス)であっても、本発明は適用できる。
【0051】
また、本発明では、燃料タンクは客室床下などその他の位置に配置してもよく、燃料タンクの配置位置は限定されない。
【0052】
また、本発明では、図示せぬ電力変換調整装置、図示せぬ前輪駆動モータおよびまたは後輪駆動モータ、システムコントローラ、図示せぬ二次電池、図示せぬ電力変換調整装置は、システムフレームに配置されていても、エンジンコンパートメントやトランクルームに配置されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1実施形態の燃料電池搭載車両の平面図。
【図2】同燃料電池搭載車両を示す側面概略図。
【図3】同燃料電池搭載車両の燃料電池搭載システムの平面図。
【図4】同燃料電池システムの側面図。
【図5】同燃料電池システムの車体取付状態示す断面図。
【図6】同燃料電池システムのシステムフレームの下面図。
【図7】本発明の第2実施形態を示す床下燃料電池システムを示す平面図。
【図8】本発明の第3実施形態の燃料電池システムを示す平面図。
【図9】同燃料電池システムの側面図。
【図10】本発明の第4実施形態の燃料電池システムの平面図。
【図11】同燃料電池システムの側面図。
【符号の説明】
【0054】
1…燃料電池搭載車両
2…フロントフロア(床)
5d…最下面
11…システムフレーム
13…燃料電池
15…補機類
17…酸化ガス供給装置(補機)
19…燃料ガス供給装置(補機)
21…温度調整装置(補機)
17c、19、21c…補機の電気コネクタ
17f…集塵装置(補機の定期交換部品)
17s、19s、21s…接続部
27…排気装置
29…スペース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと酸化ガスを反応させて発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池の発電時に作動する補機と、
前記燃料電池および前記補機を載置し且つ車体の床下に固定されるシステムフレームと、
を備え、
前記補機の電気コネクタおよび前記補機の定期交換部品を、前記燃料電池と前記補機との接続部とは反対側で且つ前記システムフレームの外縁の近傍に集中配置したことを特徴とする車両用燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用燃料電池システムであって、
前記補機の電気コネクタおよび前記補機の定期交換部品を、前記システムフレームの外縁よりも外側に突出させて設けたことを特徴とする車両用燃料電池システム。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用燃料電池システムであって、
前記システムフレームの外縁より外側に突出する部位の外側を囲むように前記燃料電池の排気装置を配置したことを特徴とする車両用燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用燃料電池システムであって、
前記補機の電気コネクタおよび前記補機の定期交換部品を、近接するサスペンションメンバの最下面よりも上方に配置したことを特徴とする車両用燃料電池システム。
【請求項5】
燃料ガスと酸化ガスを反応させて発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池の発電時に作動する補機と、
前記燃料電池および前記補機を載置し且つ車体の床下に固定されるシステムフレームと、
を備え、
前記補機の電気コネクタおよび前記補機の定期交換部品を、前記燃料電池と前記補機との接続部とは反対側で且つ前記システムフレームの外縁の近傍に集中配置したことを特徴とする燃料電池搭載車両。
【請求項1】
燃料ガスと酸化ガスを反応させて発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池の発電時に作動する補機と、
前記燃料電池および前記補機を載置し且つ車体の床下に固定されるシステムフレームと、
を備え、
前記補機の電気コネクタおよび前記補機の定期交換部品を、前記燃料電池と前記補機との接続部とは反対側で且つ前記システムフレームの外縁の近傍に集中配置したことを特徴とする車両用燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用燃料電池システムであって、
前記補機の電気コネクタおよび前記補機の定期交換部品を、前記システムフレームの外縁よりも外側に突出させて設けたことを特徴とする車両用燃料電池システム。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用燃料電池システムであって、
前記システムフレームの外縁より外側に突出する部位の外側を囲むように前記燃料電池の排気装置を配置したことを特徴とする車両用燃料電池システム。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用燃料電池システムであって、
前記補機の電気コネクタおよび前記補機の定期交換部品を、近接するサスペンションメンバの最下面よりも上方に配置したことを特徴とする車両用燃料電池システム。
【請求項5】
燃料ガスと酸化ガスを反応させて発電を行う燃料電池と、
前記燃料電池の発電時に作動する補機と、
前記燃料電池および前記補機を載置し且つ車体の床下に固定されるシステムフレームと、
を備え、
前記補機の電気コネクタおよび前記補機の定期交換部品を、前記燃料電池と前記補機との接続部とは反対側で且つ前記システムフレームの外縁の近傍に集中配置したことを特徴とする燃料電池搭載車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−168604(P2006−168604A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−365562(P2004−365562)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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