説明

車両用空調装置

【課題】降車時の乗員の帯電を緩和または除電できる車両用空調装置を提供する。
【解決手段】ブロアファン11から送風された空気をエバポレータ13で冷却した後に温度制御して車室内に送風する空調ユニット100と、空調空気の送風経路に配置されたイオン発生器17と、エンジンがオフになり、シートベルトロックが解除されたときに車室内の乗員の降車意思が検出されたものとして、空調ユニット100の吹出口を乗員に対して送風するベント吹出口110〜140に設定して、ブロアファン11による送風を行うとともに、イオン発生器17から空調空気内にイオンを発生させるオートエアコンアンプとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車などの車両に搭載されるとともに、イオンを含む空調空気を車室内に送風することができる空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イオンを発生させるイオン発生装置を備え、車室内の除菌および臭気の分解を行うことができる車両用空調装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−130882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の車両用空調装置では、乗員の降車時に、空調装置の作動がオフになるのに合わせてイオン発生装置もオフになるという構成になっていたため、乗員の降車時に乗員と座席シートとの擦れにより発生して乗員に帯電する静電気をイオンで除去できなかった。そのため、降車後に乗員が車体に接触した際に放電ショックにより不快に感じる恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による車両用空調装置は、ファンから送風された空気をエバポレータで冷却した後に温度制御して空調空気を生成し、生成された空調空気を車室内に送風する空調ユニットと、空調空気の送風経路に配置されたイオン発生装置と、車室内の乗員の降車意思を検出する降車意思検出手段と、降車意思検出手段によって乗員の降車意思が検出されたときに、空調ユニットの吹出口を乗員に対して送風される吹出口に設定して、ファンによる送風を行うとともに、イオン発生装置から空調空気内にイオンを発生させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、乗員が降車のためにドアを開けている間、エバポレータ周りで加湿された空気がイオン発生装置で発生したイオンとともに車室内に導入されることで、降車時の乗員の帯電が緩和または除電される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1〜図4および図6を参照して本発明による車両用空調装置の一実施の形態について説明する。図1は、乗用車等の車両内に備えられた車両用空調装置の空調ユニット100の構成を示している。この空調ユニット100は、ケース10の内部に、外付けのブロアモータ12に駆動されるブロアファン11と、ブロアファン11により送風された空気を冷却するエバポレータ13と、エバポレータ13で冷却された空気を再加熱するヒータコア14と、ヒータコア14への配風比を調節するエアミックスドア15等とを設置して構成されている。ブロアファン11の前面には、外気導入口27または内気導入口28からの空気の流入比を制御するインテークドア26が設置されている。電圧で制御されるブロアモータ12により駆動されるブロアファン11で加圧、送風された送風空気は、エバポレータ13を通過して冷却される。
【0007】
エアミックスドア15は、設定温度などの空調運転条件に応じて開度すなわち配風比が変化する。エアミックスドア15で分配されてヒータコア14を通過した空気と、ヒータコア14を通過しなかった空気とは、ヒータコア14下流で再び合流して車室内に供給される。送風空気は、エアミックスドア15の開度により加熱量が調整される。
【0008】
図1において、空調ユニット100は、ヒータコア14下流で再び合流して温度が制御された空調空気がそれぞれ供給されるベントダクト19、デフダクト22、およびフットダクト25と、ベントダクト19を開閉するベントドア18と、デフダクト22を開閉するデフドア21と、フットダクト25を開閉するフットドア24とを備えている。
【0009】
また、車両のインストルメントパネル200(図3参照)の運転席側には車両の中央側および窓側にセンターベント吹出口130およびサイドベント吹出口140が設けられ、助手席側には車両の中央側および窓側にセンターベント吹出口120およびサイドベント吹出口110が設けられ、前席乗員の足元付近にフット吹出口23が設けられ、フロントウィンドウの下方にデフ吹出口20が設けられている。空調ユニット100のベントダクト19内の空調空気は、分岐したダクト191,192,193および194を介してそれぞれサイドベント吹出口110、センターベント吹出口120、センターベント吹出口130、およびサイドベント吹出口140から車室内に送風される。また、デフダクト22およびフットダクト25内の空調空気は、それぞれデフ吹出口20およびフット吹出口23から車室内に送風される。以下では、乗員に向けて空調空気を吹き出す吹出口であるサイドベント吹出口110、センターベント吹出口120、センターベント吹出口130、およびサイドベント吹出口140をまとめてベント吹出口110〜140とも呼ぶ。
【0010】
また、図1において、空調ユニット100のヒータコア14の下流とベントダクト19との間の空調空気の送風経路に、その空調空気にイオンを供給するイオン発生器17が設置されている。イオン発生器17は、主に乗員をリラックスさせるモード(リフレッシュモード)と、主に車室内を除菌、消臭するモード(消臭モード)とに切り換えが可能であり、各モードに適したイオンを発生する。イオン発生器17は、例えばフレッシュモード時にはマイナスイオンを発生し、消臭モード時にはマイナスイオンとプラスイオンとを同時に発生する。このような構成は家庭用空気清浄器の分野で知られており、その詳細な説明は省略する。
【0011】
また、家庭用空気清浄器の分野では、イオンを空気中に供給することによって、静電気の帯電を除去できる効果があることが知られている。
【0012】
図6は、イオン(ここではマイナスイオンおよびプラスイオン)による帯電除去効果の実験結果の一例を示す。その実験条件は、1m3 の密閉容器内に約3kVに帯電させた金属板を置き、(1)雰囲気中にイオンを供給しない場合、(2)雰囲気中にイオンを供給した場合、および(3)雰囲気を加湿し、かつイオンを供給した場合について、所定時間経過後の金属板の静電気量を測定したものである。図6より、雰囲気中にイオンを供給することによって、イオンを供給しない場合に比べて静電気量はほぼ1/4に低下し、さらに雰囲気を加湿してイオンを供給することによって、イオンを供給しない場合に比べて静電気量はほぼ1/15に低下することが分かる。
【0013】
このため、本実施の形態では、エバポレータ13に付着している凝縮水を利用して、エバポレータ13の周囲を通過して加湿された空気にイオン発生器17からイオンを供給することによって、乗員の降車時における静電気の帯電の緩和または除電を行う(詳細後述)。この帯電の緩和または除電を行う際のイオン発生器17のモードは、リフレッシュモードまたは消臭モードのいずれでもよく、さらに帯電の緩和または除電を行うためのモードを設けてもよい。
【0014】
図2は、上述の空調ユニット100の制御を行う空調制御部のシステムブロック図である。図2において、この空調制御部は、乗員が図1の空調ユニット100の運転モードの設定、イオン発生器17のモード、目標温度設定、空調風の吹出口の選択等の指示、および空調の開始/終了の指示等を行うための入力部31を備えている。また、空調制御部は、車室外の温度を測定する外気温センサ、車室内の温度を測定する内気温センサ、日射量を測定する日射センサ、およびエンジン出口の水温センサ等を含む各種センサ32と、入力部31および各種センサ32からの情報が供給されるCPUおよびメモリ等を含むオートエアコンアンプ30とを備えている。
【0015】
さらに、その空調制御部は、イグニッションスイッチ33と、シートベルトスイッチ34と、ドアスイッチ35とを備えている。イグニッションスイッチ33は、エンジンがオンかオフかを示すエンジンON/OFF信号SEを発生する。シートベルトスイッチ34は、乗員用のシートベルトがロック状態か解除されているかを示すシートベルトロック信号SSを発生する。ドアスイッチ35は、乗員の乗降用のドアの開閉を示すドア開閉信号SDを発生する。エンジンON/OFF信号SE、シートベルトロック信号SS、およびドア開閉信号SDはオートエアコンアンプ30に供給されている。なお、一例として、シートベルトスイッチ34およびドアスイッチ35は、前席の運転席側乗員のシートベルトおよびドアの状態を示すものとする。同様に他の乗員用のシートベルトおよびドアの状態を示す信号(不図示)もオートエアコンアンプ30に供給されている。
【0016】
オートエアコンアンプ30では、車室内が乗員の設定した設定温度になるよう、上述の各種センサ32からの情報を基に空調運転条件(図1のブロアモータ12の回転数Rfおよびエアミックスドア15の開度Xm等)の演算を行なう。オートエアコンアンプ30には、ブロアモータ12と、エアミックスドア15の開度を制御するエアミックスドアアクチュエータ36と、各ドア18,21,24をそれぞれ開閉する吹出口ドアアクチュエータ37と、インテークドア26の吸い込み口の切り換え動作を制御するインテークドアアクチュエータ38と、イオン発生器17とが接続されている。
【0017】
図2の空調制御部によって図1の空調ユニット100のブロアモータ12の回転数とエアミックスドア15の開度とを制御して、車室内が設定温度になるよう風量、温度が調節された空調空気を車室内に送風することができる。
【0018】
図3は、本実施の形態の車両用空調装置が搭載されている右ハンドル車を車両斜め上方から見た斜視図であり、図3において、インストルメントパネル200の中央部の内部に図1のエバポレータ13、ヒータコア14、およびエアミックスドア15を含むクーラ・ヒータユニット101が設置され、クーラ・ヒータユニット101の前方に図1のブロアファン11およびブロアモータ12を含むブロアユニット102が設置されている。運転席側乗員(不図示)が乗車している状態で、ドア41が閉じた状態(走行中または停止中)には、通常はベント吹出口110〜140および/またはフット吹出口23から空調空気が車室内に送風されている。
【0019】
本実施の形態において、乗員の降車時に乗員と座席シート42との擦れにより発生した静電気が乗員に帯電すると、降車後に乗員が車体に接触した際に放電ショックによる不快を感じる恐れがある。そこで、一例として前席の運転席側乗員が降車する際の乗員の帯電を緩和または除電するために、本実施の形態の空調装置は、図4のフローチャートに示す静電気除去動作を実行する。この動作は図2のオートエアコンアンプ30によって制御される。この動作の開始時には、その空調装置は、例えばオートモードで車室内の温度が設定温度になるように、設定された吹出口から車室内に空調空気を吹き出しており、ブロアファン11は中速または高速で回転しているものとする。
【0020】
先ず、図4のステップS1において、図2のイグニッションスイッチ33からのエンジンON/OFF信号SEによって車両のエンジンがオンからオフに切り替わったことが検出された場合、続いて例えば所定時間以内にステップS2において、シートベルトスイッチ34からのシートベルトロック信号SSによって乗員のシートベルトのロックが解除されたことが検出された場合に、オートエアコンアンプ30は乗員の降車意思有りと判定する。なお、ステップS1,S2が続けて肯定されない場合には、ステップS10に移行して空調装置はそれまでのモードで空調を行う。
【0021】
また、ステップS2で乗員の降車意思有りと判定された場合には、ステップS3に移行して、オートエアコンアンプ30は、インテークドアアクチュエータ38を介して図1の空調ユニット100のインテークドア26を外気導入口27から外気を導入するように切り替える。なお、この際にブロアファン11は既に作動している。次のステップS4において、オートエアコンアンプ30は、イオン発生器17を作動させて、送風空気中へのイオンの供給を開始した後、ステップS5において、空調ユニット100の送風空気の吹出口を乗員に対して送風する図3のベント吹出口110〜140に切り替える。
【0022】
この結果、図1の空調ユニット100を通して外気の導入が行われる。導入された外気は、エバポレータ13を通過する際にエバポレータ13周りの凝縮水により加湿される。すなわち、エンジンの停止によりコンプレッサも停止して冷媒は圧送されていないが、エバポレータ13に凝縮水が付着しているため、エバポレータ13を通過する際に外気は冷却されずに加湿される。加湿された空気は下流に設置されて作動中のイオン発生器17の表面(イオン供給部)を通過することでイオンが導入され、ベント吹出口110〜140に導かれる。ベント吹出口110〜140からの加湿されてイオンが導入された空気は乗員に吹き付けられて、乗員の帯電の除電が行なわれる。
【0023】
その後、ステップS6において、図2のドアスイッチ35からのドア開閉信号SDによって、乗員が図3の乗降用のドア41を開けたことが検知されたとき、すなわち乗員が降車作業を開始したとき、オートエアコンアンプ30の動作はステップS7に移行して、図1のブロアファン11をそれまでの設定よりも低速回転にして送風を行う。
【0024】
この場合、図3に示すように、開いたドア41周りに負圧領域43が発生する。外気導入口27から矢印44で示すように空調ユニット100内のブロアユニット102に導入された外気は、矢印45で示すようにクーラ・ヒータユニット101内を流れる。その後、主に、センターベント吹出口130およびサイドベント吹出口140から吹き出された空気は、負圧領域43の負圧によって、矢印46および47で示すように、乗員(不図示)の周囲および座席シートの着座面付近を通って負圧領域43(ドア開口部)側に流れる。従って、乗員の帯電の除電がさらに効率的に行われる。
【0025】
また、空気は負圧領域43の負圧によって吸引されるため、ブロアファン11を低速回転で駆動していても、空調ユニット100から出る空気は開いているドア41の方向に円滑に流れる。なお、負圧領域43の負圧によって十分な風量が得られる場合には、ブロアファン11をさらに低速で作動させてもよい。
【0026】
その後、ステップS8において、ドア開閉信号SDによって乗員が乗降用のドア41を閉じたことが検知されたとき、すなわち乗員が降車作業を終了したとき、オートエアコンアンプ30の動作はステップS9に移行して、図1のブロアファン11およびイオン発生器17の作動をオフにして、インテークドア26をステップS3で切り替える前の状態に設定する。これによって、本実施の形態の乗員の帯電の除電動作が完了する。
【0027】
また、前席の運転席側の乗員の他の乗員が降車する場合にも、その乗員に対して加湿されてイオンを含む空気が供給されて、帯電が除電される。さらに、その乗員が乗降用のドアを開いたときに発生する負圧によって、その空気はその乗員及び座席シートの着座面付近を通って円滑にドア側に流れるため、乗員の帯電の除電が促進される。
本実施の形態の車両用空調装置によれば、以下の作用効果を奏する。
【0028】
(1)乗員の降車意思が検出されたときに、オートエアコンアンプ30は、空調空気の吹出口を乗員に対して送風するベント吹出口110〜140に設定して、ブロアファン11による送風を行うとともに、イオン発生器17から空調空気内にイオンを供給している。
【0029】
この結果、空調ユニット100内のエバポレータ13によって加湿されてイオンが導入された空気は、ベント吹出口110〜140から乗員に向けて供給される。従って、それに続いて乗員がドア41を開けて降車作業をしているときに、乗員の衣服と座席シート42とが擦れることで発生する乗員の静電気の帯電を緩和または除去することができる。そのため、降車後に乗員が車体に接触した際に放電ショックによる不快を感じることがない。
【0030】
(2)また、エンジンON/OFF信号SEを発生するイグニッションスイッチ33およびシートベルトロック信号SSを発生するシートベルトスイッチ34によって乗員の降車意思の有無を検出しているため、乗員の降車意思の有無を検出するための特別なセンサまたは操作スイッチ等を設ける必要がなく、空調装置の構成が簡略である。
【0031】
(3)また、乗員の降車意思が検出されたときに、インテークドア26を介して空調ユニット100に外気を導入している。従って、乗員降車時にドア開閉動作によってドア周りに発生する負圧によって、外気を空調ユニット100に導いて送風を行うことで、より効率的に除電が行われるとともに、ブロアファン11の作動量を低減できるため、空調装置の消費電力を低減できる。
【0032】
(4)また、ドア開閉信号SDを発生するドアスイッチ35を備え、乗員の降車意思が検出された後で、乗降用のドアが開いたことが検出されたときに、ブロアファン11を低速作動させている。この場合、ドア周りに発生する負圧によっても送風が行われるため、送風量を低下させることなく、消費電力を低減できる。
(5)また、その後、そのドアが閉じたことが検出されたときに、ブロアファン11およびイオン発生器17の作動を停止させているため、消費電力が低減されて、車両に備えられたバッテリーの消費電力を低減できる。
【0033】
なお、上記の実施の形態では、図4のステップS5において、空調ユニット100の送風空気の吹出口を乗員に対して送風するベント吹出口110〜140に切り替えている。その他に、図5に示すように、車室内の後席乗員に向けて空調空気を吹き出すための後席用ベント吹出口150,160が備えられている場合には、ステップS5において、後席用ベント吹出口150,160からその加湿されてイオンを含む空気を送風してもよい。この場合、図5において、降車作業中の前席の乗員49に対してドア41の反対側にある吹出口である後席用ベント吹出口150,160から加湿されてイオンを含む空気が送風される。
【0034】
この結果、ドア開け操作時に発生する負圧領域43に流れ込もうとする加湿されてイオンを含む気流48が、乗員の周囲および座席シート42の着座面付近を通過する。これにより、乗員の除電が促進される。
【0035】
なお、上記の実施の形態では、イグニッションスイッチ33からのエンジンON/OFF信号SEおよびシートベルトスイッチ34からのシートベルトロック信号SSを用いて乗員の降車意思の判断を行っているが、それは一例であり別の方法を用いても良い。例えば、乗員の位置を判定するための赤外線センサを有する空調装置であれば、その赤外線センサを利用して、乗員の動きから降車意思の有無を判断(検出)してもよい。さらに、乗員が降車時に静電気の除電を行うための専用のボタン(入力部)を設けておき、乗員がそのボタンを押圧したときに、降車意思有りと判断して除電動作を開始してもよい。
【0036】
また、加湿されてイオンを含む空気の吹出口は乗員に送風できるところであればどの吹出口でもよい。例えばシャットバルブなどで任意に乗員がベント吹出口からの送風を遮断できる機能を持つ場合には、図3のデフ吹出口20から加湿されてイオンを含む空気を送風してもよい。
【0037】
また、図3に示すように、例えばセンターベント吹出口120および130に風向変更用のアクチュエータで駆動されるルーバ121,131等があるときには、降車する乗員の周囲に加湿されてイオンを含む空気が流れるように、ルーバ121,131の方向を制御してもよい。
【0038】
また、上記の実施の形態では、イオン発生器17は空調ユニット100内のヒータコア14とベントダクト19との間の送風空気の経路に設置されているが、イオン発生器17の設置位置は別の位置に設置してもよい。例えば、イオン発生器17は、ベントダクト19の内部、またはベント吹出口110〜140の近傍等に設置することもできる。
さらに、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態に何ら限定されない。また、上述した実施の形態および変形例は組み合わせてもよい。
【0039】
なお、特許請求の範囲の構成要素と上述の実施の形態およびその変形例の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、ファンはブロアファン11に、エバポレータはエバポレータ13に、空調ユニットは空調ユニット100に、イオン発生装置はイオン発生器17に、降車意思検出手段はイグニッションスイッチ33およびシートベルトスイッチ34に、制御手段はオートエアコンアンプ30にそれぞれ対応する。また、エンジンオフ検出手段はイグニッションスイッチ33に、ロック解除検出手段はシートベルトスイッチ34に、前席乗員用吹出口はベント吹出口110〜140に、後席乗員用吹出口は後席用ベント吹出口150,160に、内外気切換機構はインテークドア26に、ドア開閉検出手段はドアスイッチ35にそれぞれ対応する。
【0040】
なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する際、上記の実施の形態の記載事項と特許請求の範囲の記載事項との対応関係になんら限定も拘束もされない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態の一例の車両用空調装置の空調ユニット100の構成を示す図である。
【図2】図1の空調ユニット100の制御を行う空調制御部のシステムブロック図である。
【図3】実施の形態の一例の車両用空調装置が搭載されている右ハンドル車を車両斜め上方から見た斜視図である。
【図4】その実施の形態において、乗員の帯電の除電を行うための動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態の他の例において、後席用ベント吹出口から加湿されてイオンを含む空気を吹き出す場合を示す要部の平面図である。
【図6】イオンによる帯電除去効果の実験結果の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
11 ブロアファン 12 ブロアモータ
13 エバポレータ 15 エアミックスドア
17 イオン発生器 20 デフ吹出口
26 インテークドア 30 オートエアコンアンプ
33 イグニッションスイッチ 34 シートベルトスイッチ
35 ドアスイッチ 110,140 サイドベント吹出口
120,130 センターベント吹出口 150,160 後席用ベント吹出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンから送風された空気をエバポレータで冷却した後に温度制御して空調空気を生成し、該生成された空調空気を車室内に送風する空調ユニットと、
前記空調空気の送風経路に配置されたイオン発生装置と、
車室内の乗員の降車意思を検出する降車意思検出手段と、
前記降車意思検出手段によって乗員の降車意思が検出されたときに、前記空調ユニットの吹出口を乗員に対して送風する吹出口に設定して、前記ファンによる送風を行うとともに、前記イオン発生装置から前記空調空気内にイオンを発生させる制御手段とを備えることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用空調装置において、
前記降車意思検出手段は、エンジンオフを検出するエンジンオフ検出手段と、車室内の乗員のシートベルトのロック解除を検出するロック解除検出手段とを有し、
前記制御手段は、前記エンジンオフ検出手段および前記ロック解除検出手段によってエンジンオフおよびシートベルトのロック解除が続けて検出されたときに、乗員の降車意思が検出されたとみなすことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置において、
前記空調ユニットは、前記空調空気を車室内に送風するために前席乗員用吹出口と後席乗員用吹出口とを備え、
前記制御手段は、前記降車意思検出手段によって前席乗員の降車意思が検出されたときに、前記空調ユニットの吹出口を前記後席乗員用吹出口に設定することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用空調装置において、
前記空調ユニットの前記ファンに内気または外気を導入する内外気切換機構をさらに備え、
前記制御手段は、前記降車意思検出手段によって乗員の降車意思が検出されたときに、前記内外気切換機構を介して前記空調ユニットに外気を導入することを特徴とする車両用空調装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用空調装置において、
車両内の乗員が乗降するための乗降用ドアの開閉状態を検出するドア開閉検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記降車意思検出手段によって乗員の降車意思が検出された後で、前記ドア開閉検出手段によって前記乗降用ドアが開いたことが検出されたときに、前記ファンの回転速度を低下させることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用空調装置において、
前記制御手段は、前記ドア開閉検出手段によってさらに前記乗降用ドアが閉じたことが検出されたときに、前記ファンおよびイオン発生装置の作動を停止させることを特徴とする車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−254549(P2008−254549A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−98114(P2007−98114)
【出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】