説明

車両用表示装置

【課題】 車両が地下を走行する場合でもユーザに混乱を与えることなく写真地図表示を行う。
【解決手段】 制御回路16は、搭載車両が地下を走行するか否かを判定し、搭載車両が地下を走行すると判定した場合、写真地図20と自車の位置を示す自車カーソル22の間にくり抜き画像(地下走行を示す図形)21を重ねて表示画面に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、表示画面に写真地図と自車両の位置を示す自車カーソルを重ねて表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用表示装置は、予め記憶媒体に記憶されている地図データと検出装置によって検出した車両の現在位置情報を用いて、表示装置に現在位置付近の地図(図形)を表示するようになっている。また、このような表示装置には、移動中の道路種別や移動速度に応じて、表示装置に表示する地図の縮尺や詳細情報等の表示形態を自動的に変更するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−74488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような車両用表示装置として、航空写真や衛星写真といった写真地図上に自車カーソル(自車両の現在位置を示すマーク)や目的地までの案内経路を重ねて表示する表示機能を備えたカーナビゲーション装置がある。このような写真地図を用いることによって、自車両が実際の町並みの何処に位置するのかを分かりやすく表示することができる。
【0004】
しかし、このようなカーナビゲーション装置は、車両がトンネルや地下道のような地下を走行する場合でも、写真地図上に自車マークを重ねて表示するようになっているため、トンネルを走行しているのに山の上を走行しているように見えてしまったり、地下道を走行しているのに地上を走行しているように見えてしまう。このため、見栄えが悪いだけでなく、ユーザに混乱を与えてしまうといった問題がある。
【0005】
そこで、車両がトンネルや地下道のような地下を走行していることを検出した場合に、表示画面全体を写真地図表示から図形による地図表示に切り替えて車両が地下を走行する様子を図形表示するといった手法をとれば車両の地下走行を表現することも可能であるが、この手法では自車両が実際の町並みの何処に位置するのかを分かりやすく表示するといった写真地図表示のメリットが損なわれてしまう。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みたもので、車両が地下を走行する場合でもユーザに混乱を与えることなく写真地図表示を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車両に搭載され、表示画面に写真地図と当該搭載車両の位置を示す自車カーソルを重ねて表示する車両用表示装置であって、搭載車両が地下を走行するか否かを判定する判定手段と、判定手段によって搭載車両が地下を走行すると判定された場合、自車カーソルの周囲に地下走行を示す画像を表示する表示制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
このように、表示制御手段は、判定手段によって搭載車両が地下を走行すると判定された場合、自車カーソルの周囲に地下走行を示す画像を表示するので、車両が地下を走行する場合でもユーザに混乱を与えることなく写真地図表示を行うことができる。
【0009】
また、請求項2に記載の発明では、搭載車両の位置および標高を取得する車両位置取得手段と、車両位置取得手段によって取得された搭載車両の位置に基づいて、地形データが記憶された記憶媒体から搭載車両周辺の複数地点の標高を取得する周辺標高取得手段と、を備え、判定手段は、車両位置取得手段が取得した搭載車両の標高と周辺標高取得手段が取得した車両位置周辺の複数地点の標高に基づいて、搭載車両が地下を走行中であるか否かを判定することを特徴としている。
【0010】
このように、判定手段は、車両位置取得手段が取得した搭載車両の標高と周辺標高取得手段が取得した車両位置周辺の複数地点の標高に基づいて、搭載車両が地下を走行中であるか否かを判定するので、搭載車両の周辺の地形に合ったタイミングでくり抜き表示の表示制御が可能である。
【0011】
また、請求項3に記載の発明では、搭載車両が位置する標高と同標高の地形イメージを算出する地形イメージ算出手段と、地下走行を示す画像のイメージを算出する画像イメージ算出手段と、を備え、表示制御手段は、地形イメージ算出手段によって算出された地形イメージと画像イメージ算出手段によって算出された地下走行を示す画像のイメージを重ね合わせ、各イメージの重なる部分の画像を所定の色で表示することを特徴としている。
【0012】
このように、表示制御手段は、地形イメージ算出手段によって算出された地形イメージと画像イメージ算出手段によって算出された地下走行を示す画像のイメージを重ね合わせ、各イメージの重なる部分の画像を所定の色で表示することができる。
【0013】
また、請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、自車両が走行する地下の種別を検出する地下種別判別手段を備え、表示制御手段は、地下種別検出手段によって判別された地下の種別に応じて、地形イメージと画像イメージの重なる部分の画像の色を変化させることを特徴としている。
【0014】
このように、表示制御手段は、地下種別検出手段によって判別された地下の種別に応じて、地形イメージと画像イメージの重なる部分の画像の色を変化させるので、ユーザは色で地下の種別を判断することができる。
【0015】
また、請求項5に記載の発明のように、表示制御手段は、地図縮尺に応じて地下走行を示す画像の大きさを変化させることができる。
【0016】
また、請求項6に記載の発明のように、表示制御手段は、地下走行を示す画像として、写真地図と自車カーソルとの間に、円状のくり抜き画像を重ねて表示するので、自車カーソルの周囲の写真地図をくり抜いたように表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態に係る車両用表示装置の構成を図1に示す。車両用表示装置は、車両に搭載され、位置検出器3、地図データ入力器7、外部メモリ10、外部情報入力装置11、リモコンセンサ12、操作スイッチ群14、表示装置15およびこれらと接続された制御回路16を備えたカーナビゲーション装置1として構成されている。
【0018】
位置検出器3は、搭載車両の位置(緯度、経度、高度)を検出するためのもので、GPS衛星から送信される測位情報に基づいて搭載車両の位置(緯度、経度、高度)を検出するGPS受信機4、車輪の回転に応じた車速パルス信号を出力する車速センサ5および搭載車両のロール角速度、ピッチ角速度、ヨー角速度等を検出するジャイロセンサ6を備えている。これらのセンサ4〜6は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサを各々補間しながら使用するように構成されている。
【0019】
地図データ入力器7は、位置検出精度を向上するためのいわゆるマップマッチングデータ、地図データ等を含む各種データを入力するための装置で、HDD(ハードディスクドライブ)8およびDVDプレイヤー9により構成されている。
【0020】
本実施形態における地図データには、図形による地図表示を行うための図形地図データ、航空写真や衛星写真等によって構成される写真地図データ、道路データ、地形データ(標高データ)等が含まれる。
【0021】
道路データには、リンク情報、ノード情報等がある。リンク情報には、リンクの固有の番号である「リンクID」、リンクの長さを示す「リンク長」、リンクの「始端座標」および「終端座標」などの情報の他に、地下駐車場、地下道、地中トンネル、海底トンネル等を示す「地下種別」が含まれる。一方、ノード情報には、ノード固有の番号である「ノードID」、ノードの座標を示す「ノード座標」や交差点での信号機有無などの情報が含まれる。
【0022】
なお、上記したリンクの「始端座標」、「終端座標」および「ノード座標」には、緯度、経度、標高の情報が付与されている。
【0023】
地形データは、地形を表すためのデータで、具体的には、地図上の所定区画毎の標高が付与されている。なお、この地形データは、従来の地図データには整備されていないものである。
【0024】
外部メモリ10は、制御回路16の内部とは別に設けられる記憶部で、ROMあるいはRAMなどから構成され、各種のデータやプログラムなどが記憶されるようになっている。
【0025】
外部情報入力装置11は、外部から提供される情報を受信し、また、外部へ情報を送信する装置である。外部から受け取った情報は制御回路16によって処理され、外部情報入出力装置11は、必要であれば、制御回路16で処理した情報を外部へ送信する。
【0026】
リモコンセンサ12は、ユーザの操作に基づいて赤外線等による無線信号を送信するリモコン13から受信した信号を制御回路16へ出力する。
【0027】
操作スイッチ群14は、表示回路16の表示画面の周囲に設けられた複数のメカニカルスイッチ、当該表示画面に重ねて設けられたタッチパネル等の入力装置から成り、ユーザによるメカニカルスイッチの押下(例えば押しボタンの押下)、タッチパネルのタッチに基づいた信号を制御回路16に出力する。
【0028】
表示装置15は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有し、制御回路16からの映像信号の入力に応じて液晶ディスプレイ等の表示画面に当該映像を表示する。
【0029】
制御回路16は、通常のコンピュータとして構成されており、内部にはCPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、VRAM、I/Oおよびこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。制御回路16は、ROM、外部記憶媒体16から読み出したナビゲーション装置1の動作のためのプログラムを実行し、その実行の際にはROM、RAM、フラッシュメモリから情報を読み出し、RAM、フラッシュメモリに対して情報の書き込みを行い、I/Oを介して位置検出器3、地図データ入力器7、外部メモリ10、外部情報入力装置11、リモコンセンサ12、操作スイッチ群14、表示装置15と信号の授受を行う。
【0030】
この制御回路16のCPUは、ナビゲーション装置1が起動するとき、ROMからブートプログラム、オペレーティングシステム(以下OSと記す)等を読み出して実行し、このOSに基づいたハードウェア制御およびプロセス管理を行う。OS上で動作するプロセスとしては、例えばメニュープログラム、目的地設定プログラム、経路検索プログラム、地図表示プログラム等がある。
【0031】
また、制御回路16のCPUは、これらプログラムの実行において、車速センサ5とジャイロセンサ6から得られる信号に基づいて演算される結果から推定される搭載車両の相対位置(緯度、経度、標高)を、GPS受信機4から得られる絶対位置にて演算誤差を修正して自車位置(緯度、経度、標高)を推定する。このようにして、制御回路16のCPUは、定期的に自車位置を求める。
【0032】
メニュープログラムは、OS上で動作する各種プログラムを、そのプログラムの機能や目的別に階層的にメニュー表示し、そのメニュー表示されたものの中からユーザが選択したプログラムの実行を開始させる。なお、メニュー表示は表示装置15の表示画面に当該メニューの画像データを出力することで行い、また、ユーザの選択は、リモコンセンサ12を介したリモコン13または操作スイッチ群14に対する選択操作(カーソル移動、確定ボタン押下等)によって制御回路16に入力された信号に基づいて検出する。
【0033】
目的地設定プログラムは、目的地を設定するためのプログラムであり、ユーザに目的地入力を促す表示を表示装置15に行わせ、その結果ユーザによる操作スイッチ群14を用いた目的地の入力に基づいて、当該目的地を制御回路16のRAMに記憶させることによって上記設定を実現する。
【0034】
経路探索プログラムは、操作スイッチ群14またはリモコン13により目的地が設定されると、現在地からその目的地までの最適な経路を自動的に選択して案内経路を形成し、表示装置15に表示させる。自動的に最適な経路を設定する手段としては、ダイクストラ法等が知られている。
【0035】
地図表示プログラムは、自車位置に基づく自車カーソルと、地図データ入力器7から読み出した地図データと、経路検索プログラムによって形成した誘導経路等の付加データとを重ねて表示装置15の表示画面に表示させる。また、操作スイッチ群14またはリモコン13からの信号に応じて表示装置15に表示させる地図表示の切り替え(図形地図表示と写真地図表示)を行う。
【0036】
本実施形態におけるカーナビゲーション装置1は、表示装置15に写真地図を表示している場合、定期的に搭載車両が地下を走行するか否かを判定し、地下を走行すると判定すると、地下走行を示す表示として、自車カーソルの周囲に写真地図をくり抜いたようなくり抜き表示画像を重ねて表示する。このくり抜き表示画像は、図2に示すように、写真地図20をベースとして、この写真地図20の上に円状のくり抜き画像21と自車カーソル22を重ねて表示するようになっている。
【0037】
このくり抜き画像21によって、写真地図20の自車カーソル22の周囲がくり抜かれたような表示となるため、ユーザに搭載車両が地下を走行しているように見せることができる。
【0038】
次に、搭載車両が地下を走行するか否かの判定について説明する。搭載車両が地下を走行するか否かを判定する場合、搭載車両が走行する道路のリンク情報に基づいて搭載車両が地下を走行するか否かを判定すれば、搭載車両が地下を走行するか否かを容易に判定できるが、このような判定ではリンク情報に基づいたタイミングでしかくり抜き表示の表示制御を行うことができないため見栄えが良くない。
【0039】
そこで、本実施形態では、以下に示すように、搭載車両の自車位置の標高と搭載車両の所定範囲内に位置する複数地点の標高を比較して搭載車両が地下を走行するか否かを判定するようになっている。
【0040】
まず、制御回路16のCPUは、前述したように搭載車両の自車位置を求め、図3に示すような自車位置P0および自車位置P0を中心とした所定範囲(図3では、自車位置P0を中心とした半径rの円上)の地点P1〜P8の合計9ポイントの標高を地形データから取得する。
【0041】
次に、自車位置の標高と地形データから取得した9ポイントの地点の標高を比較し、9ポイントの地点P0〜P8の中に自車位置よりも所定距離以上標高の高い地点が1ポイントでも存在するか否かを判定する。
【0042】
例えば、搭載車両がトンネルの入口に近づき、自車位置よりも地点P1の標高が所定距離以上高くなると、制御回路16のCPUは、自車位置よりも所定距離以上標高の高い地点が1ポイントでも存在すると判定し、搭載車両が地下を走行するものと判定する。
【0043】
また、搭載車両がトンネルから出て、地点P0〜P8の中に自車位置よりも所定距離以上標高の高い地点が1ポイントも存在しなくなると、制御回路16のCPUは、自車位置よりも所定距離以上標高の高い地点が1ポイントも存在しないと判定し、搭載車両が地下を走行しないと判定する。
【0044】
このように、制御回路16のCPUは、搭載車両の自車位置よりも標高の高い地点が1ポイントでも存在するか否かを判定することによって、詳細については後述するが、搭載車両の周辺の地形に合ったタイミングでくり抜き画像の表示制御が可能となる。
【0045】
次に、図4を参照して、制御回路16のCPUによるくり抜き表示処理について説明する。制御回路16のCPUは、上記した地図表示プログラムにおいて、操作スイッチ群14またはリモコン13から図形地図表示から写真地図表示への切り替えを指示する信号が入力されると、表示装置15への表示を図形地図表示から写真地図表示へ切り替え、図4に示すくり抜き表示処理を開始する。なお、ここでは、誘導経路等の付加データの表示は省略するものとする。
【0046】
まず、マップマッチング技術を用いて、自車がマップマッチングしているか否かを判定する。具体的には、前述したように位置検出器3から入力される信号に基づいて推定した自車位置から走行軌跡を求め、この走行軌跡と地図データ入力器7から読み出した地図データに含まれる道路データのリンクとを照合し、走行軌跡と一致するリンクが存在するか否かを判定することによって、搭載車両がマップマッチングしているか否かを判定する。(S100)。
【0047】
ここで、走行軌跡と一致するリンクが存在する場合、搭載車両がマップマッチングしていると判定し(S100でYESと判定)、位置検出器3から入力される信号に基づいて推定した自車位置の標高をマッチングする道路上の地点の標高に補正する。具体的には、マッチングする道路のリンク情報に含まれる「始端座標」、「終端座標」、または、ノード情報に含まれる「ノード座標」に基づく標高を自車位置の標高としてRAMに記憶する(S102)。なお、自車位置がリンクの中間に位置する場合、リンク情報の「始端座標」と「終端座標」に基づいてリンクの中間の標高を推定することができる。このように、自車位置の標高をマッチングする道路上の地点の標高に補正することによって、車速センサ5、ジャイロセンサ6およびGPS受信機4を用いて測位した自車位置の標高のばらつきを吸収するようになっている。
【0048】
また、S100において、走行軌跡と一致するリンクが存在しない場合、自車がマップマッチングしていないと判定し(S100でNOと判定)、位置検出器3から入力される信号に基づいて推定した自車位置の標高をそのまま自車位置の標高としてRAMに記憶する(S104)。
【0049】
次に、搭載車両が地下を走行するか否かを判定するため、前述したように、自車位置P0および自車位置P0を中心とした所定範囲の地点P1〜P8の合計9ポイントの標高を地形データから取得する(S106)。
【0050】
そして、自車位置の標高と地形データから取得した9ポイントの地点の標高を比較し、9ポイントの地点の中に自車位置よりも所定距離以上標高の高い地点が1ポイントでも存在するか否かを判定する(S108)。
【0051】
ここで、自車位置よりも所定距離以上標高の高い地点が1ポイントも存在しないと判定した場合、S100の判定へ戻る。
【0052】
また、S108において、自車位置よりも所定距離以上標高の高い地点が1ポイントでも存在すると判定した場合(S108でYESと判定)、自車位置と同じ標高の地形イメージをVRAMの所定領域に展開する(S110)。
【0053】
図5に、この自車位置の標高と同標高の地形イメージとくり抜き画像のイメージの対応を示す。地形イメージ30は、自車位置と同じ標高の地形イメージを示したもので、自車位置と同じ標高の等高線で囲まれた図形となっている。
【0054】
次に、図3に示した搭載車両の自車位置を中心とした所定範囲(自車位置P0を中心とした半径rの円上)をくり抜き画像21のイメージとしてVRAMの地形イメージ30と異なる領域に展開する(S112)。
【0055】
次に、S110においてVRAMに展開した地形イメージ30とS112においてVRAMに展開したくり抜き画像21のイメージの論理積を取り、地形イメージ30とくり抜き画像21のイメージの重なる部分(斜線で示す)の画像21aを作成する(S114)。
【0056】
ここで、図示しないが、S100においてマップマッチングしていると判定された場合、マッチングする道路のリンク情報に含まれる「地下種別」に基づいて、地下の種別を判定し、例えば、「地中トンネル」の場合は土の色を表す茶色、「海底トンネル」の場合は水の色を表す水色、「地下道」の場合はコンクリートの色を表す灰色といった具合に、地下の種別に応じた色で画像21aを塗りつぶす。なお、S100においてマップマッチングしていないと判定された場合、予め定められた色で画像21aを塗りつぶす。また、地形イメージとくり抜き画像21のイメージの重ならない部分21bは塗りつぶさない。
【0057】
したがって、図5に示すように、円状のくり抜き画像21のうち、地下に相当する地形イメージ30と重なる部分(斜線で示す)の画像21aは所定の色で塗りつぶされ、地上に相当する地形イメージ30と重ならない部分21bは写真地図がそのまま表示される。
【0058】
次に、航空写真または衛星写真をベースとして、この写真地図の上にS114で作成したくり抜き画像21と自車カーソル22を合成し、合成した画像を表示装置15の表示画面に表示させる。また、この合成した画像の大きさは、操作スイッチ群14またはリモコン13から入力される地図縮尺を示す信号に応じて変化する。このように、合成した画像を表示装置15の表示画面に表示させた後、S100の判定へ戻り、図4に示す処理を繰り返す。
【0059】
このように、制御回路16のCPUは、円状のくり抜き画像21のうち、地下に相当する画像21aは所定の色で塗りつぶし、地上に相当する部分21bは塗りつぶさないような処理を繰り返すため、例えば、搭載車両がトンネルに入る場合、円状のくり抜き画像21が徐々に塗りつぶされていくような表示となり見栄えが良い。このように、制御回路16のCPUは、搭載車両の周辺の地形に合ったタイミングでくり抜き画像21の表示を行うことができる。
【0060】
上記したように、制御回路16は、搭載車両が地下を走行するか否かを判定し(S108)、搭載車両が地下を走行すると判定した場合、自車カーソルの周囲に地下走行を示す画像を表示する(S116)ので、搭載車両が地下を走行する場合でもユーザに混乱を与えることなく写真地図表示を行うことができる。
【0061】
また、制御回路16は、搭載車両の位置および標高を取得し(S102、S104)、取得した自車両の位置に基づいて、地形データが記憶された記憶媒体から車両位置周辺の複数地点の標高を取得し(S106)、S102、S104において取得した搭載車両の標高とS106において取得した車両位置周辺の複数地点の標高に基づいて、搭載車両が地下を走行中であるか否かを判定するので、搭載車両の周辺の地形に合ったタイミングでくり抜き表示の表示制御が可能である。
【0062】
また、制御回路16は、搭載車両が位置する標高と同標高の地形イメージをVRAMに展開し、地下走行を示すくり抜き画像のイメージをVRAMに展開し、VRAMに展開した地形イメージとくり抜き画像のイメージの重なる部分の画像を所定の色で表示するので、くり抜き画像のうち、地下に相当する部分と地上に相当する部分を分けて表示することができる。また、このような処理を繰り返すことによって、例えば、搭載車両がトンネルに入る場合、円状のくり抜き画像21が徐々に塗りつぶされていくような表示が可能である。
【0063】
また、制御回路16は、搭載車両が走行する地下の種別に応じて、地形イメージ30とくり抜き画像21のイメージの重なる部分の画像21aの色を塗り分けるので、ユーザは地下の種別を色で判断することができる。
【0064】
また、制御回路16は、地図縮尺に応じてくり抜き画像21の大きさを変化させることができる。
【0065】
また、制御回路16は、地下走行を示す画像として、写真地図と自車カーソルとの間に、円状のくり抜き表示画像を重ねて表示するので、自車カーソルの周囲の写真地図をくり抜いたように表示することができる。
【0066】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、図4のS108が判定手段に相当し、制御回路16が表示制御手段に相当し、図4のS102およびS104が車両位置取得手段に相当し、図4のS106が周辺標高取得手段に相当し、図4のS110が地形イメージ算出手段に相当し、図4のS112が画像イメージ算出手段に相当し、制御回路16がマッチングする道路のリンク情報に含まれる「地下種別」に基づいて地下の種別を判定する処理が地下種別判別手段に相当する。
【0067】
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0068】
例えば、上記実施形態では、くり抜き画像21の形状を円状として説明したが、円状に限定されるものではなく、例えば、正方形や楕円形状としてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、搭載車両の自車位置の標高と搭載車両の所定範囲内に位置する複数地点の標高を比較して搭載車両が地下を走行するか否かを判定する例を示したが、上述したように搭載車両が走行する道路のリンク情報に基づいて搭載車両が地下を走行するか否かを判定してもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、車両用表示装置としてカーナビゲーション装置を例に示したが、カーナビゲーション装置に限定されるものではなく、例えば、ポータブルタイプのナビゲーション装置に適用してもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、搭載車両の自車位置の標高と地形データから取得した9ポイントの地点の標高を比較し、9ポイントの地点の中に自車位置よりも所定距離以上標高の高い地点が1ポイントでも存在するか否かを判定する例を示したが、9ポイントの地点に限定されるものではなく、任意に設定することができる。
【0072】
なお、図4に示すフローチャートの各ステップの処理は、それぞれの機能を実現する手段として把握されるものであり、制御部16としては、上記した実施形態に示すようなソフトウェアによって構成されるものに限らず、ハードウェアにより構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用表示装置の構成を示す図である。
【図2】くり抜き表示を説明するための図である。
【図3】搭載車両の所定範囲内に位置する複数地点の標高を地形データから取得する場合の説明図である。
【図4】制御回路のCPUによるくり抜き表示処理についての説明図である。
【図5】自車位置の標高と同標高の地形イメージとくり抜き画像のイメージの対応を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1…カーナビゲーション装置、3…位置検出器、4…GPS受信機、5…車速センサ、
6…ジャイロセンサ、7…地図データ入力器、8…HDD、9…DVDプレイヤー、
10…外部メモリ、11…外部情報入力装置、12…リモコンセンサ、
13…リモコン、14…操作スイッチ群、15…表示回路16…制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、表示画面に写真地図と当該搭載車両の位置を示す自車カーソルを重ねて表示する車両用表示装置であって、
前記搭載車両が地下を走行するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記搭載車両が地下を走行すると判定された場合、前記自車カーソルの周囲に地下走行を示す画像を表示する表示制御手段と、を備えたことを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記搭載車両の位置および標高を取得する車両位置取得手段と、
前記車両位置取得手段によって取得された前記搭載車両の位置に基づいて、地形データが記憶された記憶媒体から前記搭載車両周辺の複数地点の標高を取得する周辺標高取得手段と、を備え、
前記判定手段は、前記車両位置取得手段が取得した前記搭載車両の標高と前記周辺標高取得手段が取得した前記車両位置周辺の複数地点の標高に基づいて、前記搭載車両が地下を走行中であるか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記搭載車両が位置する標高と同標高の地形イメージを算出する地形イメージ算出手段と、
前記地下走行を示す画像のイメージを算出する画像イメージ算出手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記地形イメージ算出手段によって算出された前記地形イメージと前記画像イメージ算出手段によって算出された前記地下走行を示す画像のイメージを重ね合わせ、各イメージの重なる部分の画像を所定の色で表示することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記自車両が走行する地下の種別を検出する地下種別判別手段を備え、
前記表示制御手段は、前記地下種別検出手段によって判別された前記地下の種別に応じて、前記地形イメージと前記画像イメージの重なる部分の画像の色を変化させることを特徴とする請求項3に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、地図縮尺に応じて前記地下走行を示す画像の大きさを変化させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記地下走行を示す画像として、前記写真地図と前記自車カーソルとの間に、円状のくり抜き画像を重ねて表示することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−126278(P2006−126278A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311028(P2004−311028)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】