説明

車両用表示装置

【課題】 液晶表示パネルを用いた断続的に変化する画面表示において見栄え等を良くすることが可能な車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 液晶表示パネル3と、この液晶表示パネル3を透過照明する光源1と、液晶表示パネル3と光源1とを制御する制御回路4と、を備えた車両用表示装置であって、制御回路4は、例えば、イグニションスイッチの状態信号のような所定の入力信号に基づいて、液晶表示パネル3に動画表示させるとともに、光源1の輝度を変化させてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルと、この液晶表示パネルを透過照明する光源と、前記液晶表示パネルと前記光源とを制御する制御回路と、を備えた車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶表示パネルなどを用いた車両用表示装置において、車両のイグニッションスイッチの信号に基づいて、車両起動時(表示の開始時)にオープニング画面を表示させるものがあり、例えば、特許文献1に開示される。また、車両の停止時(表示の停止時)においても専用の画面を用意し一定時間表示させることで利用者による車両操作を演出するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−231020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら車両用表示装置の画面変化は、液晶表示パネルの表示応答性を考慮した表示更新周期にて行われるため、断続的に変化する画面表示に見えて違和感を与えるなど演出効果や見栄えに影響が生じるおそれがあった。
【0005】
そこで本発明の目的とするところは、上述した課題に着目してなされたものであって、液晶表示パネルを用いた断続的に変化する画面表示において見栄え等を良くすることが可能な車両用表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用表示装置は、液晶表示パネルと、この液晶表示パネルを透過照明する光源と、前記液晶表示パネルと前記光源とを制御する制御回路と、を備えた車両用表示装置であって、前記制御回路は、所定の入力信号に基づいて、前記液晶表示パネルに動画表示させるとともに、前記光源の輝度を変化させてなることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の車両用表示装置は、前記制御回路が、所定の入力信号として、車両の起動、または停止に基づいて前記液晶表示パネル及び前記光源を制御して、オープニング表示、またはエンディング表示を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の車両用表示装置は、前記制御回路が、前記液晶表示パネルの表示更新周期よりも短い周期で前記光源の輝度を変化させてなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の車両用表示装置は、前記液晶表示パネルが、フルカラー表示を行うものであり、前記制御回路は、前記所定の入力信号に基づいて、色調が段階的に変化する動画表示を出力するように前記液晶表示パネルを制御してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、液晶表示パネルと、この液晶表示パネルを透過照明する光源と、前記液晶表示パネルと前記光源とを制御する制御回路と、を備えた車両用表示装置であって、液晶表示パネルを用いた断続的に変化する画面表示において見栄え等を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示すブロック図。
【図2】上述実施の形態の各信号のタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態として車両用計器に適用したものを例に挙げて添付図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、車両用計器の電気的な構成を示す図であり、図示しない回路基板上の配線に接続される光源1と、駆動回路2と、液晶表示パネル3と、制御回路4とから主に構成される。
【0014】
光源1は、赤色、緑色、青色の3原色の成分を含む照明光を発する発光ダイオードを適用でき、制御回路4からの制御信号に基づいて点灯/消灯制御される。また、光源1は、液晶表示パネル3のバックライトとして用いられ、液晶表示パネル3を透過照明するように配置され、例えば、複数の白色発光ダイオードが所定間隔おいて前記回路基板に実装されてなる。なお、光源1は、低温時(例えば、摂氏マイナス30度)における液晶表示パネル3の表示応答性よりも速い周期にて点灯/消灯の切り換えが可能なものが適用できる。
【0015】
駆動回路2は、制御回路4に接続される液晶駆動用のドライバICを適用でき、制御回路4からの制御信号に基づいて、選択的に画素部分が透過されることで所望の表示像が形成されるように促す駆動信号を液晶表示パネル3に出力するように構成される。
【0016】
液晶表示パネル3は、駆動回路2や図示しないフレキシブル配線板等の接続部材を介して前記回路基板上の配線に接続され、駆動回路2からの駆動信号によって所望の表示像を形成するものである。この場合、液晶表示パネルは、非表示時において遮光し、フルカラーを表示することができるカラーフィルタを備えたTFT型液晶表示素子を適用してなり、制御回路4からの制御信号に基づいた表示像を形成するとともに、光源1からの照明光を透過させ表示出力する。なお、駆動回路2は、前記回路基板上、液晶表示パネル上3、または前記接続部材上、の何れかに実装することができ、制御回路4と液晶表示パネル3との間に介在してそれぞれに接続している。
【0017】
制御回路4は、前記回路基板上に実装されるマイクロコンピュータを適用でき、例えば、イグニッションスイッチの状態を入力するとともに、車両に搭載された各種センサからの情報を通信ケーブルを介して入力し、これら車両側からの各種情報に基づいて、液晶表示パネル3や光源1を制御するための制御信号を生成し出力できるように、前記通信ケーブル、光源1、駆動回路2などと接続される。
【0018】
また、制御回路4は、グラフィックコントローラを備えてなり、前記各種情報に応じたタイミングにて液晶表示パネル3に表示させるための画像を描画処理し、制御信号として駆動回路2に出力する。また、制御回路4は、パルス幅変調された制御信号によって、所望の輝度にて発光出力されるように光源1を制御することができる。
【0019】
次に表示の開始/停止時における制御回路4による光源1及び液晶表示パネル3の制御について図2を用いて説明する。
【0020】
制御回路4は、入力される各種情報からイグニションスイッチの状態信号(所定の入力信号)がオフからオンに変化したか否かを判定し、オフからオンに変化した場合には、車両が起動されたと判別して、所定の動画(オープニング表示)が表示されるように促す制御信号を駆動回路2に出力し、液晶表示パネル3にオープニング演出となる表示を開始させる。この場合、制御回路4は、所定の表示更新周期(例えば、200m秒)で表示画像を切り換え、表示されるメッセージやロゴなどの意匠の色調が暗色(例えば、遮光状態と同じ黒色)から明色(例えば、白色)へ段階的(断続的)に変化するように制御信号を生成し出力している。この制御によって、車両用計器は、車両の起動にともなってオープニング表示がフェードインされるように演出できる。
【0021】
また、制御回路4は、前述したイグニションスイッチの状態信号がオフからオンに変化したか否かを判定し、車両が起動されたと判別した場合には、液晶表示パネル3のバックライトとなる光源1による照明が徐々に明るくなるように促す制御信号を生成し出力する。制御回路4は、液晶表示パネル3を制御する際の所定の表示更新周期よりも短い周期(例えば、20m秒)毎に発光輝度が高まるようなデューティ比の制御信号が光源1へ出力される。車両用計器は、液晶表示パネル3の段階的な表示変化よりも分解能が高い照明輝度変化を行うことによって、より滑らかに表示が変化して見えるため、違和感なく見栄えの良い演出を行うことができる。
【0022】
また、制御回路4は、これらオープニング演出として所定の動画を一定時間(例えば、3秒間)表示した後、入力される各種情報に基づいて、車両の積算走行距離や外気温度などの計測値を演算して、表示するように促す制御信号を駆動回路2へ出力する。この際、制御回路4は、予め利用者が設定した調整輝度にて照明するように光源1を制御している。
【0023】
また、制御回路4は、入力される各種情報からイグニションスイッチの状態信号がオンからオフに変化したか否かを判定し、オンからオフに変化した場合には、車両の稼働状態が停止されたと判別して、表示を終了させる前にエンディング演出として、一定の時間(例えば、2秒間)だけ色調が明色から暗色へ変化する動画(エンディング表示)を液晶表示パネル3に表示させるとともに、液晶表示パネル3の表示更新周期よりも短い周期にて発光輝度が徐々に低くなるように光源1を制御する。この制御により、車両用計器は、エンディング表示において段階的な液晶表示パネル3の表示変化よりも滑らかにフェードアウトされて表示が停止する演出を行うことができる。
【0024】
斯かる車両用計器は、液晶表示パネル3と、この液晶表示パネル3を透過照明する光源1と、液晶表示パネル3と光源1とを制御する制御回路4と、を備えた車両用表示装置であって、制御回路4は、所定の入力信号に基づいて、液晶表示パネル3に動画表示させるとともに、光源1の輝度を変化させてなる。また、制御回路4は、所定の入力信号として、車両の起動、または停止に基づいて液晶表示パネル3及び光源1を制御して、オープニング表示、またはエンディング表示を行う。
【0025】
従って、液晶表示パネル3を用いた断続的に変化する画面表示において、より滑らかな表示変化に見せることができ、演出効果を高めるとともに見栄えを良くすることが可能な車両用表示装置となる。
【0026】
また、液晶表示パネル3は、フルカラー表示を行うものであり、制御回路4は、前記所定の入力信号に基づいて、色調が段階的に変化する動画表示を出力するように液晶表示パネル3を制御してなることによって、光源1の輝度変化と液晶表示パネル3の色調の変化との両方で多様に変化して見栄えの良い動画を表現できる。特に液晶表示パネル3の色調の明暗と光源1の輝度変化とを両方行うことによって滑らかな表示変化を行うことができる。
【0027】
なお、本発明の車両用表示装置を上述した実施の形態の構成にて例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能なことは勿論である。例えば、制御回路4が入力する所定の入力信号としてイグニションスイッチの状態信号を例に挙げて説明したが、ドアセンサなどの信号に基づいて車両利用者の乗車/降車を検出して、上述のオープニングやエンディング演出の動画を行うものであっても良い。
【0028】
また、各種情報に基づいて得られる警報状態を所定の入力信号として、警報表示する際に利用者に注意を喚起するために上述のように液晶表示パネル3の表示変化と光源1の輝度変化を組み合わせて、見栄え良く報知することが可能となる。
【0029】
また、上述した実施の形態において、制御回路4は、液晶表示パネル3を制御する際の所定の表示更新周期よりも短い周期で発光輝度が高まるようなデューティ比の制御信号が光源1へ出力され、液晶表示パネル3の段階的な表示変化よりも分解能が高い照明輝度変化を行うことで、より滑らかに表示が変化して見えるように制御するものを示したが、例えば、液晶表示パネル3を制御する際の所定の表示更新周期と同じ周期にて光源1の輝度変化を制御した場合であっても、液晶表示パネル3の表示更新と光源1の輝度変化とが異なるタイミングにて更新されるようにすることで、液晶表示パネル3による表示更新よりも多く表示変化させることができ、滑らかな表示変化を演出できる。
【符号の説明】
【0030】
1 光源
3 液晶表示パネル
4 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルと、
この液晶表示パネルを透過照明する光源と、
前記液晶表示パネルと前記光源とを制御する制御回路と、
を備えた車両用表示装置であって、
前記制御回路は、所定の入力信号に基づいて、前記液晶表示パネルに動画表示させるとともに、前記光源の輝度を変化させてなることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記制御回路は、所定の入力信号として、車両の起動、または停止に基づいて前記液晶表示パネル及び前記光源を制御して、オープニング表示、またはエンディング表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記液晶表示パネルの表示更新周期よりも短い周期で前記光源の輝度を変化させてなることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記液晶表示パネルは、フルカラー表示を行うものであり、
前記制御回路は、前記所定の入力信号に基づいて、色調が段階的に変化する動画表示を出力するように前記液晶表示パネルを制御してなることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−158995(P2010−158995A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−3040(P2009−3040)
【出願日】平成21年1月9日(2009.1.9)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】