車両用電子キーシステム
【課題】電子キーを落とした場合にユーザに対して適切な報知ができる車両用電子キーシステムを提供することを課題とする。
【解決手段】車両20で使用される電子キー10をユーザが落とした場合にユーザに報知する車両用電子キーシステム1であって、電子キーが落下したか否かを判定する判定手段と、電子キー10が落下したと判定した場合には電子キー10と車両20との間の距離Xを算出する距離算出手段と、距離Xに応じてユーザへの報知方法を選択する選択手段とを備え、判定手段で電子キーが落下したと判定した場合に選択手段で選択した報知方法によってユーザへ報知することを特徴とし、特に、距離算出手段で電子キー10と携帯電話40との間の距離Y及び車両20と携帯電話40との間の距離Zも算出し、選択手段で3点間距離X,Y,Zに応じてユーザへの報知方法を選択すると好適である。
【解決手段】車両20で使用される電子キー10をユーザが落とした場合にユーザに報知する車両用電子キーシステム1であって、電子キーが落下したか否かを判定する判定手段と、電子キー10が落下したと判定した場合には電子キー10と車両20との間の距離Xを算出する距離算出手段と、距離Xに応じてユーザへの報知方法を選択する選択手段とを備え、判定手段で電子キーが落下したと判定した場合に選択手段で選択した報知方法によってユーザへ報知することを特徴とし、特に、距離算出手段で電子キー10と携帯電話40との間の距離Y及び車両20と携帯電話40との間の距離Zも算出し、選択手段で3点間距離X,Y,Zに応じてユーザへの報知方法を選択すると好適である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両で使用される電子キーをユーザが落とした場合にユーザに報知する車両用電子キーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電波等で車両のドアの開鍵/施錠やエンジンの始動/停止等ができる電子キーが普及している。車両のユーザが電子キーを落として、そのユーザが気づかない状態が続いた場合、その電子キーを第三者に拾われて不正使用され、車両を盗難される虞がある。そこで、そのような車両盗難を未然に防止するために、電子キーに対するセキュリティ技術が提案されている。例えば、特許文献1には、スマートキーのケース内に振動センサが内蔵されており、振動センサによる検出値に基づく振動値が閾値を超えた場合(すなわち、スマートキーが地面等に落ちたと判断できる場合)、スマートキーの機能を制限するとともにユーザの携帯電話にその旨を報知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−171666号公報
【特許文献2】特開2006−226025号公報
【特許文献3】特開2006−232076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように電子キーを落としたことをユーザの携帯電話に報知するだけでは、ユーザが携帯電話を保有していない、携帯電話の電源OFF、ユーザが携帯電話を手元に保持していない、携帯電話を車両内に置きっぱなし、電子キーと共に携帯電話も落とした等の場合、ユーザに電子キーを落としたことを知らせることができない。
【0005】
そこで、本発明は、電子キーを落とした場合にユーザに対して適切な報知ができる車両用電子キーシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用電子キーシステムは、車両で使用される電子キーをユーザが落とした場合にユーザに報知する車両用電子キーシステムであって、電子キーに装備される振動センサで検知した振動に基づいて電子キーが落下したか否かを判定する判定手段と、電子キーの位置情報を取得する電子キー位置取得手段と、車両の位置情報を取得する車両位置取得手段と、判定手段で電子キーが落下したと判定した場合、電子キー位置取得手段で取得した電子キーの位置情報と車両位置取得手段で取得した車両の位置情報に基づいて電子キーと車両との間の距離を算出する距離算出手段と、距離算出手段で算出した距離に応じてユーザへの報知方法を選択する選択手段とを備え、判定手段で電子キーが落下したと判定した場合に選択手段で選択した報知方法によってユーザへ報知することを特徴とする。
【0007】
この車両用電子キーシステムでは、電子キーに振動センサが装備されており、判定手段によって振動センサで検知した振動に基づいて電子キーが落下したか否かを判定する。また、車両用電子キーシステムでは、電子キー位置取得手段によって電子キーの位置情報を取得するとともに、車両位置取得手段によって車両の位置情報を取得する。そして、車両用電子キーシステムでは、距離算出手段によって、判定手段で電子キーが落下したと判定した場合に電子キーの位置情報と車両の位置情報から電子キーと車両との間の距離を算出する。さらに、車両用電子キーシステムでは、選択手段によって車両と電子キーとの間の距離に応じてユーザへの報知方法を選択する。例えば、車両と落下後の電子キーとの間の距離が小さい場合、ユーザが車両の近くにいる可能性が高いので、車両を利用した報知が可能である。この場合、携帯電話等を利用せずに、ユーザへの報知が可能である。一方、車両と落下後の電子キーとの間の距離が大きい場合、ユーザが車両の近くにいる可能性が低いので、車両以外の携帯電話等を利用した報知が適している。そして、車両用電子キーシステムでは、判定手段によって電子キーが落下したと判定した場合に、選択手段で選択した報知方法によってユーザへ報知する。このように、この車両用電子キーシステムは、ユーザが電子キーを落とした場合に電子キーと車両との間の距離に応じて報知方法を選択することにより、ユーザに対して適切な報知ができる。
【0008】
本発明の上記車両用電子キーシステムでは、電子キーが落下した場合に電子キーが拾われたことを検知する拾得検知手段を備え、拾得検知手段で電子キーが拾われたことを閾値時間以上検知しなかった場合に選択手段で選択した報知方法によってユーザへ報知すると好適である。
【0009】
この車両用電子キーシステムでは、拾得検知手段によって電子キーが落下した場合に電子キーが拾われたことを検知する。落とした電子キーがユーザによって拾われた場合、ユーザに対して報知する必要がない。また、ユーザが電子キーを落としたことに気づいて、電子キーを拾うまでの時間は短時間と考えられる。そこで、車両用電子キーシステムでは、拾得検知手段で電子キーが拾われたことを閾値時間(ユーザが落としたことに気づいて拾い上げるのに十分な時間)以上検知しなかった場合に選択手段で選択した方法で報知を行う。ユーザが電子キーを落としたが、ユーザが落としたことに気づいて拾った場合でも報知を行うと、その報知はユーザにとって不要な報知となる。そこで、ユーザが電子キーを落としてから閾値時間待ってから報知を行っている。このように、この車両用電子キーシステムは、ユーザが落とした電子キーを拾わなかったと判断できる場合にのみ報知を行うので、ユーザに対する不要な報知を防止できる。
【0010】
本発明の上記車両用電子キーシステムでは、ユーザの携帯端末の位置情報を取得する携帯端末位置取得手段を備え、距離算出手段は、判定手段で電子キーが落下したと判定した場合、電子キー位置取得手段で取得した電子キーの位置情報と携帯端末位置取得手段で取得した携帯端末の位置情報に基づいて電子キーと携帯端末との間の距離を算出するとともに、車両位置取得手段で取得した車両の位置情報と携帯端末位置取得手段で取得した携帯端末の位置情報に基づいて車両と携帯端末との間の距離を算出し、選択手段は、距離算出手段で算出した電子キーと車両と携帯端末との間の各距離に応じてユーザへの報知方法を選択すると好適である。
【0011】
この車両用電子キーシステムでは、携帯端末位置取得手段によってユーザの携帯端末の位置情報を取得する。このユーザの携帯端末(例えば、携帯電話)は、報知手段の1つとして利用できる。そして、車両用電子キーシステムでは、距離算出手段によって、判定手段で電子キーが落下したと判定した場合に電子キーと車両との間の距離に加えて、電子キーの位置情報と携帯端末の位置情報から電子キーと携帯端末との間の距離を算出するとともに車両の位置情報と携帯端末の位置情報から車両と携帯端末との間の距離を算出する。そして、車両用電子キーシステムでは、選択手段によって車両と電子キーとの間の距離、電子キーと携帯端末との間の距離及び車両と携帯端末との間の距離に応じてユーザへの報知方法を選択する。落下後の電子キーと車両と携帯端末の各距離からユーザが携帯端末を手元に携帯しているか否かを推定できるので、携帯端末を利用した報知が可能であるか否かを判断できる。このように、この車両用電子キーシステムは、ユーザが電子キーを落とした場合に電子キーと車両と携帯端末との間の各距離に応じて報知方法を選択することにより、携帯端末も利用してユーザに対してより適切な報知ができる。
【0012】
本発明の上記車両用電子キーシステムでは、選択手段は、距離算出手段で算出した電子キーと車両との間の距離が閾値距離以下の場合、車両の警報音と警報灯の少なくとも一方による報知方法を選択すると好適である。
【0013】
この車両用電子キーシステムでは、選択手段によって電子キーと車両との間の距離が閾値距離(車両を利用した報知によってユーザが認識可能な距離)以下の場合には車両の警報音と警報灯の少なくとも一方による報知方法を選択する。このように、車両用電子キーシステムでは、電子キーと車両との間の距離が閾値距離以下の場合に車両の警報音や警報灯を利用して報知することにより、携帯電話等を利用しなくても、車両を利用してユーザに確実に報知できる。
【0014】
本発明の上記車両用電子キーシステムでは、車両に搭載されるナビゲーション装置に登録される目的地情報を取得する目的地取得手段と、目的地取得手段で取得した目的地情報を車両を管理するセンタに通知する通知手段と備え、選択手段は、目的地取得手段で目的地情報を取得できた場合、該目的地情報を通知手段でセンタに通知する報知方法を選択する構成としてもよい。
【0015】
この車両用電子キーシステムでは、目的地取得手段によって車両に搭載のナビゲーション装置に登録される目的地情報を取得する(但し、ナビゲーション装置にユーザが目的地を設定している場合のみ取得できる)。ユーザの目的地が判る場合、その目的地においてユーザに対する報知が可能である。そのような目的地の施設でのアナウンス等は、車両を管理するセンタを介在させることによって可能となる。そこで、車両用電子キーシステムでは、目的地取得手段で目的地情報を取得できた場合(すなわち、ナビゲーション装置にユーザが目的地を設定している場合)、選択手段によって目的地情報を車両の管理センタに通知する報知方法を選択し、通知手段によって目的地情報を管理センタに通知する。このように、車両用電子キーシステムでは、ユーザの目的地が判る場合にはその目的地情報をセンタに通知して、その目的地においてユーザに対する報知を行うようにすることにより、ユーザに対してより適切な報知ができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザが電子キーを落とした場合に電子キーと車両との間の距離に応じて報知方法を選択することにより、ユーザに対して適切な報知ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムの構成図である。
【図2】本実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける電子キーの構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける車両側ECUの構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施の形態に係る電子キー、車両、携帯電話間の各距離に応じたユーザ報知手段とユースケースを示す一覧表である。
【図6】第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける電子キーでの動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける車両側ECUでの動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける携帯電話での動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステム全体の動作の流れを示すタイムチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステムの構成図である。
【図11】第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける車両側ECUの構成を示すブロック図である。
【図12】第2の実施の形態に係る電子キー、車両、携帯電話間の各距離に応じたユーザ報知手段とユースケースを示す一覧表である。
【図13】第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける車両側ECUでの動作の流れを示すフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける管理センタでの動作の流れを示すフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステム全体の動作の流れを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用電子キーシステムの実施の形態を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
本実施の形態には、2つの形態があり、第1の実施の形態が電子キー、車両、ユーザが保有する携帯電話からなる車両用電子キーシステムであり、第2の実施の形態が電子キー、車両、ユーザが保有する携帯電話、車両を管理するセンタからなる車両用電子キーシステムである。本実施の形態に係る車両用電子キーシステムでは、ユーザが電子キーを落としたと判断した場合、ユーザが落としたことに気づかなかったことを推定できる時間を経過後に、ユーザに落としたことを知らせるために電子キー、車両、携帯電話、センタの少なくとも1つを利用した報知方法によってユーザに対して報知を行う。
【0020】
図1〜図5を参照して、第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステム1について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムの構成図である。図2は、本実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける電子キーの構成を示すブロック図である。図3は、第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける車両側ECUの構成を示すブロック図である。図4は、本実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける携帯電話の構成を示すブロック図である。図5は、第1の実施の形態に係る電子キー、車両、携帯電話間の各距離に応じたユーザ報知手段とユースケースを示す一覧表である。
【0021】
車両用電子キーシステム1は、電子キーを落としたと判断してから所定時間経過後に電子キー10と車両20(特に、車両側ECU[Electronic Control Unit]30)と携帯電話40間でのネットワークを構築して通信を行い、電子キー10と車両20と携帯電話40との間の3点間距離を分析し、その分析結果に基づいてユーザに対する報知手段を選択する。ネットワークを常時構築し続けると消費電力が大きくなるので、電子キーを落としてから所定時間経過後にのみネットワークを構築している。特に、車両用電子キーシステム1では、報知手段の1つとして、車両20に装備されている警報音やハザードを利用する。なお、本実施の形態では、電子キー10と車両20間の距離をXとし、電子キー10と携帯電話40間の距離をYとし、車両20と携帯電話40間の距離をZとする。
【0022】
図2を参照して、電子キー10の構成について説明する。電子キー10は、電子キーとしての通常機能(ドア等のロック/アンロック、車両20との通信)を有している。さらに、電子キー10は、電子キーのセキュリティに関する機能(落下判定、落下判定後経過時間判定、現在位置取得、現在位置送信、電子キーの通常機能制限)を有している。そのために、電子キー10は、マイコン11、振動センサ12、ロックボタン13、アンロックボタン14、ブザー15、送信回路16(送信アンテナ16a)、受信回路17(受信アンテナ17a)、GPS受信回路18(GPS受信アンテナ18a)を備えている。なお、電子キーはドア等のロック/アンロックだけでなく、エンジンの始動/停止等の他の機能も有するものでもよい。なお、本実施の形態ではマイコン11での処理が特許請求の範囲に記載する判定手段に相当し、GPS受信回路18(GPS受信アンテナ18a)及びマイコン11での処理が特許請求の範囲に記載する電子キー位置取得手段に相当する。
【0023】
マイコン11は、ROM[Read Only Memory]11a、EEPROM[Electrically Erasable Programmable Read Only Memory]11bを有している。ROM11aには、電子キー10全体を制御するためのプログラム(ドア等のロック/アンロック処理等)、電子キー10のセキュリティに関するプログラム(振動センサ12の検出値に基づいて落としたことを判断する処理、落下判定後の経過時間判定処理、GPS信号に基づいて現在位置を算出する処理、電子キーの通常の機能を制限する処理等)が記憶されている。EEPROM11bには、電子キーのユーザ情報等が記憶されている。マイコン11では、ROM11aに記憶されている各プログラムを実行し、各プログラムの処理を行う。
【0024】
振動センサ12は、電子キーに作用する振動を検出するセンサである。振動センサ12としては、例えば、電子キーにかかる加速度を計測する加速度センサがある。マイコン11では、振動センサ12で検出した振動値(例えば、加速度センサによる下向きの加速度)が閾値より大きい場合に、電子キー10が落下したと判断する。
【0025】
ロックボタン13は、車両20のドア等をロックするための信号をマイコン11に送信するためのトリガとなるボタンである。アンロックボタン14は、車両20のドア等をアンロックするための信号をマイコン11に送信するためのトリガとなるボタンである。ブザー15は、ブザー音を出力する装置であり、ユーザに報知するためにブザー音を吹鳴する。
【0026】
送信回路16は、各種信号を車両20に送信するための送信回路である。送信回路16は、送信アンテナ16aと接続している。送信アンテナ16aは、各種信号を車両20に送信するための送信アンテナである。送信する信号としては、ロック/アンロック信号、電子キー落下信号、電子キーの現在位置情報信号がある。受信回路17は、車両20から各種信号を受信するための受信回路である。受信回路17は、受信アンテナ17aと接続している。受信アンテナ17aは、車両20から各種信号を受信するための受信アンテナである。受信する信号としては、ブザー音の出力要求信号がある。GPS受信回路18は、GPS衛星からGPS信号を受信するための受信回路である。GPS受信回路18は、GPS受信アンテナ18aと接続している。GPS受信アンテナ18aは、GPS衛星からGPS受信を受信するための受信アンテナである。
【0027】
図3を参照して、車両側ECU30の構成について説明する。車両側ECU30は、少なくとも電子キー10のセキュリティに関する機能(電子キー10との通信、携帯電話40との通信、現在位置取得、3点間距離計測、ユーザ報知処理等)を有している。そのために、車両側ECU30は、マイコン31、警報音32、ハザード33、ドアロック34、ステアリングロック35、送信回路36(送信アンテナ36a)、受信回路37(受信アンテナ37a)、GPS受信回路38(GPS受信アンテナ38a)を備えている。なお、第1の実施の形態では、GPS受信回路38(GPS受信アンテナ38a)及びマイコン31での処理が特許請求の範囲に記載する車両位置取得手段に相当し、マイコン31での各処理が特許請求の範囲に記載する距離算出手段及び選択手段に相当する。
【0028】
マイコン31は、ROM31a、EEPROM31bを有している。ROM31aには、電子キー10のセキュリティに関するプログラム(電子キー10と車両20と携帯電話40との間の3点間距離算出処理、3点間距離に応じたユーザ報知処理等)が記憶されている。EEPROM31bには、電子キーのユーザ情報、ユーザが保有している携帯電話情報等が記憶されている。マイコン31では、ROM31aに記憶されている各プログラムを実行し、各プログラムの処理を行う。
【0029】
警報音32は、警報音を出力する装置であり、ユーザに報知するために警報音を吹鳴する。ハザード33は、車両20の4隅で点滅するランプであり、ユーザに報知するためにハザードを点滅させる。ドアロック34は、ドアをロック/アンロックするための装置である。ステアリングロック35は、ステアリングをロック/アンロックするための装置である。
【0030】
送信回路36は、各種信号を電子キー10、携帯電話40に送信するための送信回路である。送信回路36は、送信アンテナ36aと接続している。送信アンテナ36aは、各種信号を電子キー10、携帯電話40に送信するための送信アンテナである。電子キー10に送信する信号としては、ブザー音の出力要求信号がある。携帯電話40に送信する信号としては、電子キー10を落としたことを知らせるメールがある。受信回路37は、電子キー10、携帯電話40から各種信号を受信するための受信回路である。受信回路37は、受信アンテナ37aと接続している。受信アンテナ37aは、電子キー10、携帯電話40から各種信号を受信するための受信アンテナである。電子キー10から受信する信号としては、ロック/アンロック信号、電子キー落下信号、電子キーの現在位置情報信号がある。携帯電話40から受信する信号としては、携帯電話の現在位置情報信号がある。GPS受信回路38は、GPS衛星からGPS信号を受信するための受信回路である。GPS受信回路38は、GPS受信アンテナ38aと接続している。GPS受信アンテナ38aは、GPS衛星からGPS受信を受信するための受信アンテナである。
【0031】
図4を参照して、携帯電話40の構成について説明する。携帯電話40は、携帯電話としての通常機能(通話、メール等)を有している。さらに、携帯電話40は、電子キーのセキュリティに関する機能(現在位置取得、現在位置送信)を有している。そのために、携帯電話40は、マイコン41、送信回路42(送信アンテナ42a)、受信回路43(受信アンテナ43a)、GPS受信回路44(GPS受信アンテナ44a)を備えている。なお、携帯電話40は、GPS機能を有する通常の携帯電話である。なお、本実施の形態では、GPS受信回路44(GPS受信アンテナ44a)及びマイコン41での処理が特許請求の範囲に記載する携帯端末位置取得手段に相当する。
【0032】
マイコン41は、ROM41a、EEPROM41bを有している。ROM41aには、携帯電話40全体を制御するためのプログラム(通話処理、メール処理等)、電子キー10のセキュリティに関するプログラム(GPS信号に基づいて現在位置を算出する処理等)が記憶されている。この現在位置算出処理も、GPS機能を有する携帯電話では通常の処理に含まれる。EEPROM41bには、携帯電話のユーザ情報等が記憶されている。マイコン41では、ROM41aに記憶されている各プログラムを実行し、各プログラムの処理を行う。
【0033】
送信回路42は、各種信号を車両20等に送信するための送信回路である。送信回路42は、送信アンテナ42aと接続している。送信アンテナ42aは、各種信号を車両20等に送信するための送信アンテナである。送信する信号としては、携帯電話の現在位置情報信号がある。受信回路43は、車両20等から各種信号を受信するための受信回路である。受信回路43は、受信アンテナ43aと接続している。受信アンテナ43aは、車両20等から各種信号を受信するための受信アンテナである。受信する信号としては、車両20からのユーザ報知のメールがある。GPS受信回路44は、GPS衛星からGPS信号を受信するための受信回路である。GPS受信回路44は、GPS受信アンテナ44aと接続している。GPS受信アンテナ44aは、GPS衛星からGPS受信を受信するための受信アンテナである。なお、この送信回路、受信回路、GPS受信回路及び各アンテナは、通常の携帯電話に装備されているものである。
【0034】
なお、ユーザは電子キー10を車両20のロック/アンロックで使用するので、ユーザが電子キー10を落とすのは車両20の近くが多い。したがって、駐車している車両20の近くでユーザが電子キー10を落とした場合に、落としたことをユーザに対して確実に知らせることが重要となる。しかし、駐車している車両20の近くで電子キー10を落とした場合にユーザの携帯電話40へのメール通知等するだけでは問題が発生する4つのケースがある。
【0035】
ケース1は、ユーザは携帯電話40を保有していないあるいは携帯電話40の電源が入っていない場合である。携帯電話40を保有していないユーザにはそもそもメール等の通知手段がない。また、携帯電話40の電源が入っていない場合には携帯電話40から現在位置情報が得られないし、報知メールを受信できない。このケース1の場合、車両20にユーザの携帯電話情報が登録されていないあるいは車両20に登録されている携帯電話40に現在位置情報を要求しても取得できない。したがって、電子キー10と車両20間距離Xは小、電子キー10と携帯電話40間距離Yは不定、車両20と携帯電話40間距離Zは不定となる。
【0036】
ケース2は、携帯電話40を自宅やある場所に置き忘れた場合である。携帯電話40を置き忘れた場合、携帯電話40を持っていないことを気づく必要もあるし、メール通知等してもユーザが置き忘れた場所に行くまでそのメールに気づかない。このケース2の場合、車両20に登録されている携帯電話40に現在位置情報を要求すると、現在位置情報を取得できる。また、車両20と電子キー10とは離れていないが、携帯電話40と車両20及び電子キー10とは一定以上離れている。したがって、電子キー10と車両20間距離Xは小、電子キー10と携帯電話40間距離Yは大、車両20と携帯電話40間距離Zは大となる。
【0037】
ケース3は、携帯電話40を車両20内に置きっぱなしの場合である。車両20内に携帯電話40を置きっぱなしの場合、携帯電話40を持っていないことを気づく必要もあるし、メール通知等してもユーザが車両20に乗車するまでそのメールに気づかない。このケース3の場合、車両20に登録されている携帯電話40に現在位置情報を要求すると、現在位置情報を取得できる。また、携帯電話40は車両20内であり、車両20と電子キー10も離れていない。したがって、電子キー10と車両20間距離Xは小、電子キー10と携帯電話40間距離Yは小、車両20と携帯電話40間距離Zは小となる。
【0038】
ケース4は、電子キー10と携帯電話40を同時に落とした場合(電子キー10と携帯電話40の入ったかばん等を落とした場合)である。電子キー10と携帯電話40を同時に落とした場合、そのかばん等を第三者に拾われると、携帯電話40に報知メールの通知がきたことに第三者が気づき、また、携帯電話40で電子キー10のセキュリティを解除できる場合には第三者にセキュリティを解除される虞がある。このケース4の場合、ケース3と同様に、電子キー10と車両20間距離Xは小、電子キー10と携帯電話40間距離Yは小、車両20と携帯電話40間距離Zは小となる。
【0039】
このケース1〜4の場合、携帯電話40へのメール通知では、ユーザに電子キーを落としたことを直ぐに気づかせることができない。しかし、電子キー10と車両20間距離Xが小さいので、電子キー10を落としてから所定時間以内であれば、車両20の近くにユーザが存在する可能性が高いので、車両20を利用した報知が可能である。
【0040】
図5を参照して、電子キー10と車両20間距離X、電子キー10と携帯電話40間距離Y、車両20と携帯電話40間距離Zに応じたユーザへの報知手段について説明する。ここでは、距離を大と小あるいは不定で表す。例えば、距離が小は車両20で警報音を吹鳴したり、ハザードを点滅した場合にユーザが十分に認識できる程度の距離であり、距離が大はそれらをユーザが認識できない距離である。
【0041】
距離Xが大(又は不定)、距離Yが大(又は不定)、距離Zが大(又は不定)の場合は、携帯電話40が自宅等にあり又はユーザが携帯電話を保有していない(あるいは携帯電話40の電源が入っていない)状態で電子キー10をある場所(車両20から一定以上離れた場所)に落とすケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴する。
【0042】
距離Xが大(又は不定)、距離Yが大(又は不定)、距離Zが小の場合は、携帯電話40が車両20内に置き忘れた状態で電子キー10をある場所(車両20から一定以上離れた場所)に落とすケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴する。
【0043】
距離Xが大(又は不定)、距離Yが小、距離Zが大(又は不定)の場合は、電子キー10と携帯電話40を同時にある場所(車両20から一定以上離れた場所)に落とすケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴する。
【0044】
距離Xが大(又は不定)、距離Yが小、距離Zが小の場合は、状況を特定できないケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴する。
【0045】
距離Xが小、距離Yが大(又は不定)、距離Zが大(又は不定)の場合は、上記で説明したケース1又はケース2の場合であり、携帯電話40が自宅等にあり又はユーザが携帯電話を保有していない(あるいは携帯電話40の電源が入っていない)状態で電子キー10を車両20の近くで落とすケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、ユーザが車両20の近くにいる可能性が高いので、車両20の警報音を吹鳴かつハザードを点滅する。この場合、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴してもよい。
【0046】
距離Xが小、距離Yが大(又は不定)、距離Zが小の場合は、状況を特定できないケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴する。この場合、ユーザが車両20の近くにいる可能性が高いので、車両20の警報音を吹鳴かつハザードを点滅してもよい。
【0047】
距離Xが小、距離Yが小、距離Zが大(又は不定)の場合は、状況を特定できないケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴する。この場合、ユーザが車両20の近くにいる可能性が高いので、車両20の警報音を吹鳴かつハザードを点滅してもよい。
【0048】
距離Xが小、距離Yが小、距離Zが小の場合は、上記で説明したケース3又はケース4の場合であり、携帯電話40を車両20内に置き忘れた状態で電子キー10を車両20の近くで落とす又は電子キー10と携帯電話40を同時に車両20の近くで落とすケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、ユーザが車両20の近くにいる可能性が高いので、車両20の警報音を吹鳴かつハザードを点滅する。この場合、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴してもよい。
【0049】
図1〜図5を参照して、車両用電子キーシステム1での動作について説明する。特に、電子キー10での動作については図6のフローチャートに沿って説明し、車両20(車両側ECU30)での動作については図7のフローチャートに沿って説明し、携帯電話40での動作については図8のフローチャートに沿って説明し、車両用電子キーシステム1全体の動作の流れについて図9のタイムチャートに沿って説明する。なお、図9のタイムチャートにおける「A」は図6のフローチャートAの動作が行われ、「B」は図7のフローチャートBの動作が行われ、「C」は図8のフローチャートCの動作が行われる。
【0050】
一定時間毎に、電子キー10では、振動センサ12によって振動値(例えば、加速度センサによる加速度値)を取得する(S10,T10)。電子キー10のマイコン11では、この振動値が閾値より大きいか否かを判定する(S11)。S11にて振動値が閾値より大きいと判定された場合(すなわち、ユーザが電子キー10を落としたと判断できる場合)、マイコン11では、衝撃検出信号を「あり」と設定する(S12)。一方、S11にて振動値が閾値以下と判定された場合、マイコン11では、衝撃検出信号を「なし」と設定する(S13)。この閾値は、電子キー10が落下したことを十分に判断できる振動値であり、実験等によって予め設定される。
【0051】
マイコン11では、衝撃検出信号が「あり」か否かを判定する(S14)。S14にて「あり」と判定された場合、マイコン11では、落下継続タイマをスタートする(S15)。一方、S14にて「なし」と判定された場合、マイコン11では、処理を行わずに次に進む。
【0052】
マイコン11では、落下継続タイマがスタートしているか否かを判定する(S16)。S16にてスタートしていると判定された場合、マイコン11では、落下継続タイマをインクリメントする(S17)。一方、S16にてスタートしていないと判定された場合、マイコン11では、処理を行わずに次に進む。
【0053】
マイコン11では、落下継続タイマが所定時間経過したか否かを判定する(S18)。S18にて落下継続タイマが所定時間経過したと判定された場合(すなわち、ユーザが電子キー10を落としたことを気づいていないと推定できる場合)、マイコン11では、電子キー落下信号が「あり」と設定する(S19)。一方、S18にて落下継続タイマが所定時間経過していないと判定された場合、マイコン11では、電子キー落下信号が「なし」と設定する(S20)。この所定時間は、ユーザが電子キー10を落としたことに気づかなかったと推定できる時間であり、実験等によって予め設定される。また、この所定時間は、電子キー10を車両20の近くで落とした場合には車両20の警報音やハザード点滅でユーザが十分に気づける距離(範囲)分だけしか移動できない時間である。この所定時間を短くすることによって、早めにユーザに対する報知ができ、第三者に電子キー10が拾われることを極力防止できる。
【0054】
なお、電子キー10を落としたと判定後、電子キー10を拾ったことを検知(判定)するようにするとよい。その検知方法としては、例えば、加速度センサによる上方向の加速度が閾値以上か否かで検知する方法、電子キー10での人の体温を検知する方法、電子キー10への入力操作を検知する方法がある。この検知方法による検知手段が、特許請求の範囲に記載する拾得検知手段に相当する。落下継続タイマがスタートしてから所定時間(この所定時間は、S18での判定での所定時間と同じ時間でもよいし、あるいは、異なる時間でもよい)経過する前に、このような検知方法で電子キー10が拾われたことを検知した場合には落下継続タイマをリセットするとともに衝撃検出信号も「なし」に設定するようにする。
【0055】
マイコン11では、電子キー落下信号が「あり」か否かを判定する(S21)。S21にて電子キー落下信号が「あり」と判定された場合、GPS受信回路18ではGPS受信アンテナ18aによってGPS信号を受信し、マイコン11ではそのGPS信号に基づいて電子キー10の現在位置を計算(取得)する(S22,T11)。そして、マイコン11では現在位置情報と落下キー信号を車両20に送信するための指令を出し、送信回路16では送信アンテナ16aから現在位置情報と落下キー信号を車両20に送信する(S23,T12)。この際、マイコン11では電子キー10の通常の機能を制限し、第三者によって不正使用されないようにする。一方、S21にて電子キー落下信号が「なし」と判定された場合、処理を行わない。
【0056】
車両20において、車両側ECU30の受信回路37では、電子キー10から現在位置情報等が送信された場合には受信アンテナ37aによって電子キー10からの現在位置情報と電子キー落下信号を受信する(S30)。車両側ECU30のマイコン31では、電子キー10からの電子キー落下信号が「あり」か否かを判定する(S31)。S31にて電子キー落下信号が「なし」と判定された場合、処理を行わずに、今回の動作を終了する。
【0057】
S31にて電子キー落下信号が「あり」と判定された場合、GPS受信回路38ではGPS受信アンテナ38aによってGPS信号を受信し、マイコン31ではそのGPS信号に基づいて車両20の現在位置を計算(取得)する(S32,T13)。そして、マイコン31では携帯電話40に対して現在位置情報を要求するための指令を出し、送信回路36では送信アンテナ36aから現在位置情報取得要求を携帯電話40に送信する(T14)。
【0058】
携帯電話40において、受信回路43では、車両20から現在位置情報取得要求が送信された場合には受信アンテナ43aによって車両20からの現在位置情報取得要求を受信する。携帯電話40のマイコン41では、車両20からの現在位置情報取得要求が「あり」か否かを判定する(S40)。S40にて現在位置情報取得要求が「なし」と判定された場合、処理を行わずに、今回の動作を終了する。
【0059】
S40にて現在位置情報取得要求が「あり」と判定された場合、GPS受信回路44ではGPS受信アンテナ44aによってGPS信号を受信し、マイコン41ではそのGPS信号に基づいて携帯電話40の現在位置を計算(取得)する(S41,T15)。そして、マイコン41では車両20に対して現在位置情報を送信するための指令を出し、送信回路42では送信アンテナ42aから現在位置情報を車両20に送信する(S42)。
【0060】
車両20において、車両側ECU30の受信回路37では、携帯電話40から現在位置情報が送信された場合には受信アンテナ37aによって携帯電話40からの現在位置情報を受信(取得)する(S33,T16)。
【0061】
そして、車両側ECU30のマイコン31では、電子キー10、車両20、携帯電話40間の3点間距離として、車両20の現在位置情報と電子キー10の現在位置情報を用いて車両20と電子キー10との間の距離X=|(車両20の現在位置)−(電子キー10の現在位置)|を計算し、電子キー10の現在位置情報と携帯電話40の現在位置情報を用いて電子キー10と携帯電話40との間の距離Y=|(電子キー10の現在位置)−(携帯電話40の現在位置)|を計算し、携帯電話40の現在位置情報と車両20の現在位置情報を用いて携帯電話40と車両20との間の距離Z=|(携帯電話40の現在位置)−(車両20の現在位置)|を計算する(S34)。そして、マイコン31では、その3点間距離X,Y,Zを比較判定する(S35)。
【0062】
S35の判定にて距離Xが小かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが大(又は不定)と判定された場合、マイコン31ではユーザへの報知として警報音吹鳴かつハザード点灯と決定し、警報音32では警報音を吹鳴し、ハザード33ではランプを点滅させる(S36,T17)。また、S35の判定にて距離Xが小かつ距離Yが小かつ距離Zが小と判定された場合、マイコン31ではユーザへの報知として警報音吹鳴かつハザード点灯と決定し、警報音32では警報音を吹鳴し、ハザード33ではランプを点滅させる(S37,T17)。この場合、ユーザは車両20の近くにいるので、その警報音やハザードによって、ユーザは電子キー10を落としたことに気づく。
【0063】
S35の判定にて距離X、距離Y、距離Zの関係が上記以外と判定された場合、マイコン31ではユーザへの報知として電子キー10のブザー吹鳴又は携帯電話40へのメール送信と決定し、送信回路36では送信アンテナ36aからブザー吹鳴要求を電子キー10に送信するか(S38,T18)、あるいは、送信回路36では送信アンテナ36aから電子キー10を落としたことを知らせるメールを携帯電話40に送信する(S38,T19)。車両20からブザー吹鳴要求が送信された場合、電子キー10において、受信回路17では受信アンテナ17aによって車両20からのブザー吹鳴要求を受信し、ブザー15ではブザー音を吹鳴する。あるいは、車両20からメールが送信された場合、携帯電話40において、受信回路43では受信アンテナ43aによって車両20からのメールを受信する。この場合、ユーザは、電子キー10のブザーあるいは携帯電話40で受信したメールによって、電子キー10を落としたことに気づく。
【0064】
この車両用電子キーシステム1によれば、ユーザが電子キー10を落とした場合に電子キー10と車両20と携帯電話40の間の3点距離X,Y,Zの関係に応じて報知手段を選択することにより、ユーザに対して適切な報知ができる。特に、3点距離X,Y,Zからユーザが車両20の近くにいると判断できる場合には、車両20の警報音やハザードによる報知手段を選択することにより、ユーザが携帯電話を保有していない場合あるいは携帯電話40の電源が入っていない場合、携帯電話40を自宅等に置き忘れた場合、携帯電話40を車両20内に置きっぱなしの場合、携帯電話40を電子キー10と同時に落とした場合でも、ユーザに対して電子キー10を落としたことを気づかせることができる。
【0065】
また、車両用電子キーシステム1によれば、電子キー10を落としたことを検知してから所定時間経過してから電子キー10の落下を確定して報知を行うことにより、ユーザが落としたことに気づいていない場合にのみ報知ができ、ユーザに対する不要な報知を防止できる。ちなみに、電子キー10を落としたことを検知してから直ぐに報知を行った場合、ユーザが電子キー10を落としたことに気づいて拾い上げても報知が行われるので、ユーザにとっては煩わしい。
【0066】
図10〜図12及び図2、図4を参照して、第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステム2について説明する。図10は、第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステムの構成図である。図11は、第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける車両側ECUの構成を示すブロック図である。図12は、第2の実施の形態に係る電子キー、車両、携帯電話間の各距離に応じたユーザ報知手段とユースケースを示す一覧表である。
【0067】
車両用電子キーシステム2は、ユーザが電子キーを落としたと判断してから所定時間経過後に電子キー50と車両60(特に、車両側ECU70)と携帯電話80と管理センタ90間でのネットワークを構築して通信を行い、電子キー50と車両60と携帯電話80との間の3点間距離を分析し、その分析結果に基づいてユーザに対する報知手段を選択する。特に、車両用電子キーシステム2は、報知手段の1つとして、車両60に装備されているカーナビゲーションシステム(以下、「カーナビ」と記載)からユーザの目的地を割り出し、管理センタ90にその目的地を連絡して、管理センタ90から目的地に通報する。
【0068】
なお、電子キー50は、第1の実施の形態に係る電子キー10と同様の機能を有しており、同様の構成である。携帯電話80は、第1の実施の形態に係る携帯電話40と同様の機能を有しており、同様の構成である。したがって、電子キー50及び携帯電話80の説明は、省略する。
【0069】
図11を参照して、車両側ECU70の構成について説明する。車両側ECU70は、少なくとも電子キー50のセキュリティに関する機能(電子キー50と通信、携帯電話80との通信、管理センタ90との通信、現在位置取得、3点間距離計測、ユーザ報知処理等)を有している。そのために、車両側ECU70は、マイコン71、カーナビ72、ドアロック74、ステアリングロック75、送信回路76(送信アンテナ76a)、受信回路77(受信アンテナ77a)、GPS受信回路78(GPS受信アンテナ78a)を備えている。なお、第2の実施の形態では、GPS受信回路78(GPS受信アンテナ78a)及びマイコン71での処理が特許請求の範囲に記載する車両位置取得手段に相当し、マイコン71での各処理が特許請求の範囲に記載する距離算出手段、選択手段及び目的地取得手段に相当し、カーナビ72が特許請求の範囲に記載するナビゲーション装置に相当し、送信回路76(送信アンテナ76a)が特許請求の範囲に記載する通知手段に相当する。
【0070】
マイコン71は、ROM71a、EEPROM71bを有している。ROM71aには、電子キー50のセキュリティに関するプログラム(電子キー10と車両20と携帯電話40との間の3点間距離算出処理、3点間距離に応じたユーザ報知処理等)が記憶されている。なお、この3点間距離に応じたユーザ報知処理は、第1の実施の形態に係る車両側ECU30のマイコン31の3点間距離に応じたユーザ報知処理とは異なる処理である。EEPROM71bには、電子キーのユーザ情報、ユーザが保有している携帯電話情報、管理センタ情報等が記憶されている。マイコン71では、ROM71aに記憶されている各プログラムを実行し、各プログラムの処理を行う。
【0071】
カーナビ72は、車両60の現在位置を検知するとともに、ユーザが設定した目的地までの経路を探索し、その経路に沿って走行するように経路案内を行う。したがって、カーナビ72には、ユーザが目的地を設定している場合には、その目的地情報が登録されている。なお、車両60の現在位置情報取得については、カーナビ72で検知したものを用いてもよい。
【0072】
ドアロック74、ステアリングロック75は、第1の実施の形態に係るドアロック34、ステアリングロック35と同様のものである。
【0073】
送信回路76は、各種信号を電子キー50、携帯電話80、管理センタ90に送信するための送信回路である。送信回路76は、送信アンテナ76aと接続している。送信アンテナ76aは、各種信号を電子キー50、携帯電話80、管理センタ90に送信するための送信アンテナである。電子キー50に送信する信号としては、ブザー音の出力要求信号がある。携帯電話80に送信する信号としては、電子キー50を落としたことを知らせるメールがある。管理センタ90に送信する信号としては、電子キー落下信号と目的地情報がある。受信回路77及び受信アンテナ77aは、第1の実施の形態に係る受信回路37及び受信アンテナ37aと同様のものであり、同様の信号を受信する。GPS受信回路78及びGPS受信アンテナ78aは、第1の実施の形態に係るGPS受信回路38及びGPS受信アンテナ38aと同様のものであり、同様の信号を受信する。
【0074】
管理センタ90は、サービス対象の車両を管理するセンタであり、例えば、自動車会社が運営するセンタである。管理センタ90は、各車両60や任意の施設との通信機能を有している。管理センタ90で行うサービスの1つとして、車両60からの要求に応じて、ユーザが電子キー50を落としたことをユーザの目的地に通知するサービスがある。このサービスについては、オペレータが行う。なお、このサービスについては、コンピュータによって自動で行ってもよい。
【0075】
図12を参照して、電子キー50と車両60間距離X、電子キー50と携帯電話80間距離Y、車両60と携帯電話80間距離Zに応じたユーザへの報知手段について説明する。ここでは、距離を大と小あるいは不定で表す。ここでの説明は、第1の実施の形態で説明した8つのケースと同じケースである。
【0076】
距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが大(又は不定)の場合、距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが小の場合かつ距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが小かつ距離Zが大(又は不定)の場合、距離Xが小かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが大(又は不定)の場合、距離Xが小かつ距離Yが小かつ距離Zが小の場合の各ケースは、ユースケースが特定できる。この場合、ユーザ報知手段としては、カーナビに登録されている目的地情報を管理センタに通報し、管理センタから目的地に連絡する。なお、この場合、携帯電話80にメール送信又は電子キー50のブザーを吹鳴してもよい。特に、カーナビに目的地情報が登録されていない場合にはこのような報知手段で対処する。
【0077】
距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが小かつ距離Zが小の場合、距離Xが小かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが小の場合、距離Xが小かつ距離Yが小かつ距離Zが大(又は不定)の場合、ユースケースを特定できない。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話80にメール送信又は電子キー50のブザーを吹鳴する。なお、この場合、カーナビに登録されている目的地情報を管理センタに通報してもよい。
【0078】
図10〜図12及び図2、図4を参照して、車両用電子キーシステム2での動作について説明する。特に、電子キー50での動作については図6のフローチャートに沿って説明し、車両60(車両側ECU70)での動作については図13のフローチャートに沿って説明し、携帯電話80での動作については図9のフローチャートに沿って説明し、管理センタ90での動作については図14のフローチャートに沿って説明し、車両用電子キーシステム2全体の動作の流れについて図15のタイムチャートに沿って説明する。なお、図15のタイムチャートにおける「A」は図6のフローチャートAの動作が行われ、「D」は図13のフローチャートDの動作が行われ、「C」は図8のフローチャートCの動作が行われ、「E」は図14のフローチャートEの動作が行われる。
【0079】
一定時間毎に、電子キー50では、第1の実施の形態に係る電子キー10の図6のフローチャートAに沿った動作と同様に動作する。また、車両60では、図13のフローチャートDにおけるS50〜S55までの動作については、第1の実施の形態に係る車両20の図7のフローチャートBのS30〜S35までの動作と同様に動作する。また、携帯電話80では、第1の実施の形態に係る携帯電話40の図8のフローチャートCに沿った動作と同様に動作する。
【0080】
車両側ECU70では、S55の判定にて距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが大(又は不定)の場合、又は、距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが小の場合、又は、距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが小かつ距離Zが大(又は不定)の場合、又は、距離Xが小かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが大(又は不定)、又は、距離Xが小かつ距離Yが小かつ距離Zが小の場合と判定された場合、マイコン71ではユーザへの報知として目的地情報を管理センタ90に通報と決定し、カーナビ72に登録されている目的地情報を取得し(S56,T20)、送信回路76では送信アンテナ76aから電子キー落下信号と目的地情報を管理センタ90に送信する(S56,T21)。
【0081】
管理センタ90では、車両60から電子キー落下信号と目的地情報が送信された場合にはその電子キー落下信号と目的地情報を受信する(S60)。管理センタ90では、電子キー落下信号が「あり」か否かを判定する(S61)。S61にて電子キー落下信号が「なし」と判定された場合、処理を行わずに、今回の動作を終了する。S61にて電子キー落下信号が「あり」と判定された場合、管理センタ90では、オペレータが目的地情報に基づいてそのユーザの目的地の施設に連絡し、その施設のオペレータに対して施設内にいる人(例えば、ユーザ情報の氏名、車両情報等を示す)が電子キー50を落としたことをアナウンス等してもらうことを依頼する(S62)。例えば、図10に示すように、ユーザの目的地の施設100の店内スピーカから、ユーザUに対するアナウンスを行う。この場合、ユーザは、そのアナウンス等によって、電子キー50を落としたことに気づく。
【0082】
S55の判定にて距離X、距離Y、距離Zの関係が上記以外と判定された場合、マイコン71ではユーザへの報知として電子キー50のブザー吹鳴又は携帯電話80へのメール送信と決定し、送信回路76では送信アンテナ76aからブザー吹鳴要求を電子キー50に送信するか(S57,T22)、あるいは、送信回路76では送信アンテナ76aから電子キー50を落としたことを知らせるメールを携帯電話80に送信する(S57,T23)。車両60からブザー吹鳴要求が送信された場合、電子キー50において、受信回路17が受信アンテナ17aによって車両60からのブザー吹鳴要求を受信し、ブザー音を吹鳴する。あるいは、車両60からメールが送信された場合、携帯電話80において、受信回路43が受信アンテナ43aによって車両60からのメールを受信する。この場合、ユーザは、電子キー50のブザーあるいは携帯電話80で受信したメールによって、電子キー50を落としたことに気づく。
【0083】
この車両用電子キーシステム2によれば、第1に実施の形態に係る車両用電子キーシステム1と同様の効果を有する。特に、車両用電子キーシステム2では、ユーザの目的地が判る場合にはその目的地情報を管理センタ90に通知して、管理センタ90を介してその目的地においてユーザに対する報知を行うようにすることにより、ユーザに対してより適切な報知ができる。
【0084】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0085】
例えば、本実施の形態では電子キー、車両、携帯電話を少なくとも含む車両用電子キーシステムであり、電子キーと車両と携帯電話との間の3つの距離に応じて報知方法を選択する構成としたが、電子キー、車両を少なくとも含む車両用電子キーシステムであり、電子キーと車両との間の距離に応じて報知方法を選択する構成としてもよい。
【0086】
また、本実施の形態では3点間距離計算及び3点間距離に応じた報知方法の選択と報知要求を車両で行う構成としたが、このような各処理を電子キー、携帯電話、センタ等の車両以外で行ってもよい。
【0087】
また、本実施の形態では報知手段の1つとしてユーザが保有する携帯電話を利用する構成としたが、ユーザが保有する他の携帯端末(車両と通信可能なもの)でもよい。
【0088】
また、本実施の形態では車両での報知方法を警報音とハザード点滅としたが、車両での報知方法としては他の方法としてもよい。
【0089】
また、本実施の形態ではユーザ報知手段として車両の警報音及びハザード点滅による報知手段とユーザの目的地を管理センタに通報する報知手段とを異なる形態としたが、ユーザ報知手段として両方の報知手段を有する形態とし、それらのユーザ報知手段の中から適切な報知手段を選択するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1,2…車両用電子キーシステム、10,50…電子キー、11…マイコン、11a…ROM,11b…EEPROM、12…振動センサ、13…ロックボタン、14…アンロックボタン、15…ブザー、16…送信回路、16a…送信アンテナ、17…受信回路、17a…受信アンテナ、18…GPS受信回路、18a…GPS受信アンテナ、20,60…車両、30,70…車両側ECU、31,71…マイコン、31a,71a…ROM,31b,71b…EEPROM、32…警報音、72…カーナビ、33…ハザード、34,74…ドアロック、35,75…ステアリングロック、36,76…送信回路、36a,76a…送信アンテナ、37,77…受信回路、37a,77a…受信アンテナ、38,78…GPS受信回路、38a,78a…GPS受信アンテナ、40,80…携帯電話、41…マイコン、41a…ROM、41b…EEPROM、42…送信回路、42a…送信アンテナ、43…受信回路、43a…受信アンテナ、44…GPS受信回路、44a…GPS受信アンテナ、90…管理センタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両で使用される電子キーをユーザが落とした場合にユーザに報知する車両用電子キーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電波等で車両のドアの開鍵/施錠やエンジンの始動/停止等ができる電子キーが普及している。車両のユーザが電子キーを落として、そのユーザが気づかない状態が続いた場合、その電子キーを第三者に拾われて不正使用され、車両を盗難される虞がある。そこで、そのような車両盗難を未然に防止するために、電子キーに対するセキュリティ技術が提案されている。例えば、特許文献1には、スマートキーのケース内に振動センサが内蔵されており、振動センサによる検出値に基づく振動値が閾値を超えた場合(すなわち、スマートキーが地面等に落ちたと判断できる場合)、スマートキーの機能を制限するとともにユーザの携帯電話にその旨を報知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−171666号公報
【特許文献2】特開2006−226025号公報
【特許文献3】特開2006−232076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように電子キーを落としたことをユーザの携帯電話に報知するだけでは、ユーザが携帯電話を保有していない、携帯電話の電源OFF、ユーザが携帯電話を手元に保持していない、携帯電話を車両内に置きっぱなし、電子キーと共に携帯電話も落とした等の場合、ユーザに電子キーを落としたことを知らせることができない。
【0005】
そこで、本発明は、電子キーを落とした場合にユーザに対して適切な報知ができる車両用電子キーシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用電子キーシステムは、車両で使用される電子キーをユーザが落とした場合にユーザに報知する車両用電子キーシステムであって、電子キーに装備される振動センサで検知した振動に基づいて電子キーが落下したか否かを判定する判定手段と、電子キーの位置情報を取得する電子キー位置取得手段と、車両の位置情報を取得する車両位置取得手段と、判定手段で電子キーが落下したと判定した場合、電子キー位置取得手段で取得した電子キーの位置情報と車両位置取得手段で取得した車両の位置情報に基づいて電子キーと車両との間の距離を算出する距離算出手段と、距離算出手段で算出した距離に応じてユーザへの報知方法を選択する選択手段とを備え、判定手段で電子キーが落下したと判定した場合に選択手段で選択した報知方法によってユーザへ報知することを特徴とする。
【0007】
この車両用電子キーシステムでは、電子キーに振動センサが装備されており、判定手段によって振動センサで検知した振動に基づいて電子キーが落下したか否かを判定する。また、車両用電子キーシステムでは、電子キー位置取得手段によって電子キーの位置情報を取得するとともに、車両位置取得手段によって車両の位置情報を取得する。そして、車両用電子キーシステムでは、距離算出手段によって、判定手段で電子キーが落下したと判定した場合に電子キーの位置情報と車両の位置情報から電子キーと車両との間の距離を算出する。さらに、車両用電子キーシステムでは、選択手段によって車両と電子キーとの間の距離に応じてユーザへの報知方法を選択する。例えば、車両と落下後の電子キーとの間の距離が小さい場合、ユーザが車両の近くにいる可能性が高いので、車両を利用した報知が可能である。この場合、携帯電話等を利用せずに、ユーザへの報知が可能である。一方、車両と落下後の電子キーとの間の距離が大きい場合、ユーザが車両の近くにいる可能性が低いので、車両以外の携帯電話等を利用した報知が適している。そして、車両用電子キーシステムでは、判定手段によって電子キーが落下したと判定した場合に、選択手段で選択した報知方法によってユーザへ報知する。このように、この車両用電子キーシステムは、ユーザが電子キーを落とした場合に電子キーと車両との間の距離に応じて報知方法を選択することにより、ユーザに対して適切な報知ができる。
【0008】
本発明の上記車両用電子キーシステムでは、電子キーが落下した場合に電子キーが拾われたことを検知する拾得検知手段を備え、拾得検知手段で電子キーが拾われたことを閾値時間以上検知しなかった場合に選択手段で選択した報知方法によってユーザへ報知すると好適である。
【0009】
この車両用電子キーシステムでは、拾得検知手段によって電子キーが落下した場合に電子キーが拾われたことを検知する。落とした電子キーがユーザによって拾われた場合、ユーザに対して報知する必要がない。また、ユーザが電子キーを落としたことに気づいて、電子キーを拾うまでの時間は短時間と考えられる。そこで、車両用電子キーシステムでは、拾得検知手段で電子キーが拾われたことを閾値時間(ユーザが落としたことに気づいて拾い上げるのに十分な時間)以上検知しなかった場合に選択手段で選択した方法で報知を行う。ユーザが電子キーを落としたが、ユーザが落としたことに気づいて拾った場合でも報知を行うと、その報知はユーザにとって不要な報知となる。そこで、ユーザが電子キーを落としてから閾値時間待ってから報知を行っている。このように、この車両用電子キーシステムは、ユーザが落とした電子キーを拾わなかったと判断できる場合にのみ報知を行うので、ユーザに対する不要な報知を防止できる。
【0010】
本発明の上記車両用電子キーシステムでは、ユーザの携帯端末の位置情報を取得する携帯端末位置取得手段を備え、距離算出手段は、判定手段で電子キーが落下したと判定した場合、電子キー位置取得手段で取得した電子キーの位置情報と携帯端末位置取得手段で取得した携帯端末の位置情報に基づいて電子キーと携帯端末との間の距離を算出するとともに、車両位置取得手段で取得した車両の位置情報と携帯端末位置取得手段で取得した携帯端末の位置情報に基づいて車両と携帯端末との間の距離を算出し、選択手段は、距離算出手段で算出した電子キーと車両と携帯端末との間の各距離に応じてユーザへの報知方法を選択すると好適である。
【0011】
この車両用電子キーシステムでは、携帯端末位置取得手段によってユーザの携帯端末の位置情報を取得する。このユーザの携帯端末(例えば、携帯電話)は、報知手段の1つとして利用できる。そして、車両用電子キーシステムでは、距離算出手段によって、判定手段で電子キーが落下したと判定した場合に電子キーと車両との間の距離に加えて、電子キーの位置情報と携帯端末の位置情報から電子キーと携帯端末との間の距離を算出するとともに車両の位置情報と携帯端末の位置情報から車両と携帯端末との間の距離を算出する。そして、車両用電子キーシステムでは、選択手段によって車両と電子キーとの間の距離、電子キーと携帯端末との間の距離及び車両と携帯端末との間の距離に応じてユーザへの報知方法を選択する。落下後の電子キーと車両と携帯端末の各距離からユーザが携帯端末を手元に携帯しているか否かを推定できるので、携帯端末を利用した報知が可能であるか否かを判断できる。このように、この車両用電子キーシステムは、ユーザが電子キーを落とした場合に電子キーと車両と携帯端末との間の各距離に応じて報知方法を選択することにより、携帯端末も利用してユーザに対してより適切な報知ができる。
【0012】
本発明の上記車両用電子キーシステムでは、選択手段は、距離算出手段で算出した電子キーと車両との間の距離が閾値距離以下の場合、車両の警報音と警報灯の少なくとも一方による報知方法を選択すると好適である。
【0013】
この車両用電子キーシステムでは、選択手段によって電子キーと車両との間の距離が閾値距離(車両を利用した報知によってユーザが認識可能な距離)以下の場合には車両の警報音と警報灯の少なくとも一方による報知方法を選択する。このように、車両用電子キーシステムでは、電子キーと車両との間の距離が閾値距離以下の場合に車両の警報音や警報灯を利用して報知することにより、携帯電話等を利用しなくても、車両を利用してユーザに確実に報知できる。
【0014】
本発明の上記車両用電子キーシステムでは、車両に搭載されるナビゲーション装置に登録される目的地情報を取得する目的地取得手段と、目的地取得手段で取得した目的地情報を車両を管理するセンタに通知する通知手段と備え、選択手段は、目的地取得手段で目的地情報を取得できた場合、該目的地情報を通知手段でセンタに通知する報知方法を選択する構成としてもよい。
【0015】
この車両用電子キーシステムでは、目的地取得手段によって車両に搭載のナビゲーション装置に登録される目的地情報を取得する(但し、ナビゲーション装置にユーザが目的地を設定している場合のみ取得できる)。ユーザの目的地が判る場合、その目的地においてユーザに対する報知が可能である。そのような目的地の施設でのアナウンス等は、車両を管理するセンタを介在させることによって可能となる。そこで、車両用電子キーシステムでは、目的地取得手段で目的地情報を取得できた場合(すなわち、ナビゲーション装置にユーザが目的地を設定している場合)、選択手段によって目的地情報を車両の管理センタに通知する報知方法を選択し、通知手段によって目的地情報を管理センタに通知する。このように、車両用電子キーシステムでは、ユーザの目的地が判る場合にはその目的地情報をセンタに通知して、その目的地においてユーザに対する報知を行うようにすることにより、ユーザに対してより適切な報知ができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザが電子キーを落とした場合に電子キーと車両との間の距離に応じて報知方法を選択することにより、ユーザに対して適切な報知ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムの構成図である。
【図2】本実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける電子キーの構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける車両側ECUの構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施の形態に係る電子キー、車両、携帯電話間の各距離に応じたユーザ報知手段とユースケースを示す一覧表である。
【図6】第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける電子キーでの動作の流れを示すフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける車両側ECUでの動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける携帯電話での動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステム全体の動作の流れを示すタイムチャートである。
【図10】第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステムの構成図である。
【図11】第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける車両側ECUの構成を示すブロック図である。
【図12】第2の実施の形態に係る電子キー、車両、携帯電話間の各距離に応じたユーザ報知手段とユースケースを示す一覧表である。
【図13】第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける車両側ECUでの動作の流れを示すフローチャートである。
【図14】第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける管理センタでの動作の流れを示すフローチャートである。
【図15】第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステム全体の動作の流れを示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用電子キーシステムの実施の形態を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
本実施の形態には、2つの形態があり、第1の実施の形態が電子キー、車両、ユーザが保有する携帯電話からなる車両用電子キーシステムであり、第2の実施の形態が電子キー、車両、ユーザが保有する携帯電話、車両を管理するセンタからなる車両用電子キーシステムである。本実施の形態に係る車両用電子キーシステムでは、ユーザが電子キーを落としたと判断した場合、ユーザが落としたことに気づかなかったことを推定できる時間を経過後に、ユーザに落としたことを知らせるために電子キー、車両、携帯電話、センタの少なくとも1つを利用した報知方法によってユーザに対して報知を行う。
【0020】
図1〜図5を参照して、第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステム1について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムの構成図である。図2は、本実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける電子キーの構成を示すブロック図である。図3は、第1の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける車両側ECUの構成を示すブロック図である。図4は、本実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける携帯電話の構成を示すブロック図である。図5は、第1の実施の形態に係る電子キー、車両、携帯電話間の各距離に応じたユーザ報知手段とユースケースを示す一覧表である。
【0021】
車両用電子キーシステム1は、電子キーを落としたと判断してから所定時間経過後に電子キー10と車両20(特に、車両側ECU[Electronic Control Unit]30)と携帯電話40間でのネットワークを構築して通信を行い、電子キー10と車両20と携帯電話40との間の3点間距離を分析し、その分析結果に基づいてユーザに対する報知手段を選択する。ネットワークを常時構築し続けると消費電力が大きくなるので、電子キーを落としてから所定時間経過後にのみネットワークを構築している。特に、車両用電子キーシステム1では、報知手段の1つとして、車両20に装備されている警報音やハザードを利用する。なお、本実施の形態では、電子キー10と車両20間の距離をXとし、電子キー10と携帯電話40間の距離をYとし、車両20と携帯電話40間の距離をZとする。
【0022】
図2を参照して、電子キー10の構成について説明する。電子キー10は、電子キーとしての通常機能(ドア等のロック/アンロック、車両20との通信)を有している。さらに、電子キー10は、電子キーのセキュリティに関する機能(落下判定、落下判定後経過時間判定、現在位置取得、現在位置送信、電子キーの通常機能制限)を有している。そのために、電子キー10は、マイコン11、振動センサ12、ロックボタン13、アンロックボタン14、ブザー15、送信回路16(送信アンテナ16a)、受信回路17(受信アンテナ17a)、GPS受信回路18(GPS受信アンテナ18a)を備えている。なお、電子キーはドア等のロック/アンロックだけでなく、エンジンの始動/停止等の他の機能も有するものでもよい。なお、本実施の形態ではマイコン11での処理が特許請求の範囲に記載する判定手段に相当し、GPS受信回路18(GPS受信アンテナ18a)及びマイコン11での処理が特許請求の範囲に記載する電子キー位置取得手段に相当する。
【0023】
マイコン11は、ROM[Read Only Memory]11a、EEPROM[Electrically Erasable Programmable Read Only Memory]11bを有している。ROM11aには、電子キー10全体を制御するためのプログラム(ドア等のロック/アンロック処理等)、電子キー10のセキュリティに関するプログラム(振動センサ12の検出値に基づいて落としたことを判断する処理、落下判定後の経過時間判定処理、GPS信号に基づいて現在位置を算出する処理、電子キーの通常の機能を制限する処理等)が記憶されている。EEPROM11bには、電子キーのユーザ情報等が記憶されている。マイコン11では、ROM11aに記憶されている各プログラムを実行し、各プログラムの処理を行う。
【0024】
振動センサ12は、電子キーに作用する振動を検出するセンサである。振動センサ12としては、例えば、電子キーにかかる加速度を計測する加速度センサがある。マイコン11では、振動センサ12で検出した振動値(例えば、加速度センサによる下向きの加速度)が閾値より大きい場合に、電子キー10が落下したと判断する。
【0025】
ロックボタン13は、車両20のドア等をロックするための信号をマイコン11に送信するためのトリガとなるボタンである。アンロックボタン14は、車両20のドア等をアンロックするための信号をマイコン11に送信するためのトリガとなるボタンである。ブザー15は、ブザー音を出力する装置であり、ユーザに報知するためにブザー音を吹鳴する。
【0026】
送信回路16は、各種信号を車両20に送信するための送信回路である。送信回路16は、送信アンテナ16aと接続している。送信アンテナ16aは、各種信号を車両20に送信するための送信アンテナである。送信する信号としては、ロック/アンロック信号、電子キー落下信号、電子キーの現在位置情報信号がある。受信回路17は、車両20から各種信号を受信するための受信回路である。受信回路17は、受信アンテナ17aと接続している。受信アンテナ17aは、車両20から各種信号を受信するための受信アンテナである。受信する信号としては、ブザー音の出力要求信号がある。GPS受信回路18は、GPS衛星からGPS信号を受信するための受信回路である。GPS受信回路18は、GPS受信アンテナ18aと接続している。GPS受信アンテナ18aは、GPS衛星からGPS受信を受信するための受信アンテナである。
【0027】
図3を参照して、車両側ECU30の構成について説明する。車両側ECU30は、少なくとも電子キー10のセキュリティに関する機能(電子キー10との通信、携帯電話40との通信、現在位置取得、3点間距離計測、ユーザ報知処理等)を有している。そのために、車両側ECU30は、マイコン31、警報音32、ハザード33、ドアロック34、ステアリングロック35、送信回路36(送信アンテナ36a)、受信回路37(受信アンテナ37a)、GPS受信回路38(GPS受信アンテナ38a)を備えている。なお、第1の実施の形態では、GPS受信回路38(GPS受信アンテナ38a)及びマイコン31での処理が特許請求の範囲に記載する車両位置取得手段に相当し、マイコン31での各処理が特許請求の範囲に記載する距離算出手段及び選択手段に相当する。
【0028】
マイコン31は、ROM31a、EEPROM31bを有している。ROM31aには、電子キー10のセキュリティに関するプログラム(電子キー10と車両20と携帯電話40との間の3点間距離算出処理、3点間距離に応じたユーザ報知処理等)が記憶されている。EEPROM31bには、電子キーのユーザ情報、ユーザが保有している携帯電話情報等が記憶されている。マイコン31では、ROM31aに記憶されている各プログラムを実行し、各プログラムの処理を行う。
【0029】
警報音32は、警報音を出力する装置であり、ユーザに報知するために警報音を吹鳴する。ハザード33は、車両20の4隅で点滅するランプであり、ユーザに報知するためにハザードを点滅させる。ドアロック34は、ドアをロック/アンロックするための装置である。ステアリングロック35は、ステアリングをロック/アンロックするための装置である。
【0030】
送信回路36は、各種信号を電子キー10、携帯電話40に送信するための送信回路である。送信回路36は、送信アンテナ36aと接続している。送信アンテナ36aは、各種信号を電子キー10、携帯電話40に送信するための送信アンテナである。電子キー10に送信する信号としては、ブザー音の出力要求信号がある。携帯電話40に送信する信号としては、電子キー10を落としたことを知らせるメールがある。受信回路37は、電子キー10、携帯電話40から各種信号を受信するための受信回路である。受信回路37は、受信アンテナ37aと接続している。受信アンテナ37aは、電子キー10、携帯電話40から各種信号を受信するための受信アンテナである。電子キー10から受信する信号としては、ロック/アンロック信号、電子キー落下信号、電子キーの現在位置情報信号がある。携帯電話40から受信する信号としては、携帯電話の現在位置情報信号がある。GPS受信回路38は、GPS衛星からGPS信号を受信するための受信回路である。GPS受信回路38は、GPS受信アンテナ38aと接続している。GPS受信アンテナ38aは、GPS衛星からGPS受信を受信するための受信アンテナである。
【0031】
図4を参照して、携帯電話40の構成について説明する。携帯電話40は、携帯電話としての通常機能(通話、メール等)を有している。さらに、携帯電話40は、電子キーのセキュリティに関する機能(現在位置取得、現在位置送信)を有している。そのために、携帯電話40は、マイコン41、送信回路42(送信アンテナ42a)、受信回路43(受信アンテナ43a)、GPS受信回路44(GPS受信アンテナ44a)を備えている。なお、携帯電話40は、GPS機能を有する通常の携帯電話である。なお、本実施の形態では、GPS受信回路44(GPS受信アンテナ44a)及びマイコン41での処理が特許請求の範囲に記載する携帯端末位置取得手段に相当する。
【0032】
マイコン41は、ROM41a、EEPROM41bを有している。ROM41aには、携帯電話40全体を制御するためのプログラム(通話処理、メール処理等)、電子キー10のセキュリティに関するプログラム(GPS信号に基づいて現在位置を算出する処理等)が記憶されている。この現在位置算出処理も、GPS機能を有する携帯電話では通常の処理に含まれる。EEPROM41bには、携帯電話のユーザ情報等が記憶されている。マイコン41では、ROM41aに記憶されている各プログラムを実行し、各プログラムの処理を行う。
【0033】
送信回路42は、各種信号を車両20等に送信するための送信回路である。送信回路42は、送信アンテナ42aと接続している。送信アンテナ42aは、各種信号を車両20等に送信するための送信アンテナである。送信する信号としては、携帯電話の現在位置情報信号がある。受信回路43は、車両20等から各種信号を受信するための受信回路である。受信回路43は、受信アンテナ43aと接続している。受信アンテナ43aは、車両20等から各種信号を受信するための受信アンテナである。受信する信号としては、車両20からのユーザ報知のメールがある。GPS受信回路44は、GPS衛星からGPS信号を受信するための受信回路である。GPS受信回路44は、GPS受信アンテナ44aと接続している。GPS受信アンテナ44aは、GPS衛星からGPS受信を受信するための受信アンテナである。なお、この送信回路、受信回路、GPS受信回路及び各アンテナは、通常の携帯電話に装備されているものである。
【0034】
なお、ユーザは電子キー10を車両20のロック/アンロックで使用するので、ユーザが電子キー10を落とすのは車両20の近くが多い。したがって、駐車している車両20の近くでユーザが電子キー10を落とした場合に、落としたことをユーザに対して確実に知らせることが重要となる。しかし、駐車している車両20の近くで電子キー10を落とした場合にユーザの携帯電話40へのメール通知等するだけでは問題が発生する4つのケースがある。
【0035】
ケース1は、ユーザは携帯電話40を保有していないあるいは携帯電話40の電源が入っていない場合である。携帯電話40を保有していないユーザにはそもそもメール等の通知手段がない。また、携帯電話40の電源が入っていない場合には携帯電話40から現在位置情報が得られないし、報知メールを受信できない。このケース1の場合、車両20にユーザの携帯電話情報が登録されていないあるいは車両20に登録されている携帯電話40に現在位置情報を要求しても取得できない。したがって、電子キー10と車両20間距離Xは小、電子キー10と携帯電話40間距離Yは不定、車両20と携帯電話40間距離Zは不定となる。
【0036】
ケース2は、携帯電話40を自宅やある場所に置き忘れた場合である。携帯電話40を置き忘れた場合、携帯電話40を持っていないことを気づく必要もあるし、メール通知等してもユーザが置き忘れた場所に行くまでそのメールに気づかない。このケース2の場合、車両20に登録されている携帯電話40に現在位置情報を要求すると、現在位置情報を取得できる。また、車両20と電子キー10とは離れていないが、携帯電話40と車両20及び電子キー10とは一定以上離れている。したがって、電子キー10と車両20間距離Xは小、電子キー10と携帯電話40間距離Yは大、車両20と携帯電話40間距離Zは大となる。
【0037】
ケース3は、携帯電話40を車両20内に置きっぱなしの場合である。車両20内に携帯電話40を置きっぱなしの場合、携帯電話40を持っていないことを気づく必要もあるし、メール通知等してもユーザが車両20に乗車するまでそのメールに気づかない。このケース3の場合、車両20に登録されている携帯電話40に現在位置情報を要求すると、現在位置情報を取得できる。また、携帯電話40は車両20内であり、車両20と電子キー10も離れていない。したがって、電子キー10と車両20間距離Xは小、電子キー10と携帯電話40間距離Yは小、車両20と携帯電話40間距離Zは小となる。
【0038】
ケース4は、電子キー10と携帯電話40を同時に落とした場合(電子キー10と携帯電話40の入ったかばん等を落とした場合)である。電子キー10と携帯電話40を同時に落とした場合、そのかばん等を第三者に拾われると、携帯電話40に報知メールの通知がきたことに第三者が気づき、また、携帯電話40で電子キー10のセキュリティを解除できる場合には第三者にセキュリティを解除される虞がある。このケース4の場合、ケース3と同様に、電子キー10と車両20間距離Xは小、電子キー10と携帯電話40間距離Yは小、車両20と携帯電話40間距離Zは小となる。
【0039】
このケース1〜4の場合、携帯電話40へのメール通知では、ユーザに電子キーを落としたことを直ぐに気づかせることができない。しかし、電子キー10と車両20間距離Xが小さいので、電子キー10を落としてから所定時間以内であれば、車両20の近くにユーザが存在する可能性が高いので、車両20を利用した報知が可能である。
【0040】
図5を参照して、電子キー10と車両20間距離X、電子キー10と携帯電話40間距離Y、車両20と携帯電話40間距離Zに応じたユーザへの報知手段について説明する。ここでは、距離を大と小あるいは不定で表す。例えば、距離が小は車両20で警報音を吹鳴したり、ハザードを点滅した場合にユーザが十分に認識できる程度の距離であり、距離が大はそれらをユーザが認識できない距離である。
【0041】
距離Xが大(又は不定)、距離Yが大(又は不定)、距離Zが大(又は不定)の場合は、携帯電話40が自宅等にあり又はユーザが携帯電話を保有していない(あるいは携帯電話40の電源が入っていない)状態で電子キー10をある場所(車両20から一定以上離れた場所)に落とすケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴する。
【0042】
距離Xが大(又は不定)、距離Yが大(又は不定)、距離Zが小の場合は、携帯電話40が車両20内に置き忘れた状態で電子キー10をある場所(車両20から一定以上離れた場所)に落とすケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴する。
【0043】
距離Xが大(又は不定)、距離Yが小、距離Zが大(又は不定)の場合は、電子キー10と携帯電話40を同時にある場所(車両20から一定以上離れた場所)に落とすケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴する。
【0044】
距離Xが大(又は不定)、距離Yが小、距離Zが小の場合は、状況を特定できないケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴する。
【0045】
距離Xが小、距離Yが大(又は不定)、距離Zが大(又は不定)の場合は、上記で説明したケース1又はケース2の場合であり、携帯電話40が自宅等にあり又はユーザが携帯電話を保有していない(あるいは携帯電話40の電源が入っていない)状態で電子キー10を車両20の近くで落とすケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、ユーザが車両20の近くにいる可能性が高いので、車両20の警報音を吹鳴かつハザードを点滅する。この場合、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴してもよい。
【0046】
距離Xが小、距離Yが大(又は不定)、距離Zが小の場合は、状況を特定できないケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴する。この場合、ユーザが車両20の近くにいる可能性が高いので、車両20の警報音を吹鳴かつハザードを点滅してもよい。
【0047】
距離Xが小、距離Yが小、距離Zが大(又は不定)の場合は、状況を特定できないケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴する。この場合、ユーザが車両20の近くにいる可能性が高いので、車両20の警報音を吹鳴かつハザードを点滅してもよい。
【0048】
距離Xが小、距離Yが小、距離Zが小の場合は、上記で説明したケース3又はケース4の場合であり、携帯電話40を車両20内に置き忘れた状態で電子キー10を車両20の近くで落とす又は電子キー10と携帯電話40を同時に車両20の近くで落とすケースである。この場合、ユーザ報知手段としては、ユーザが車両20の近くにいる可能性が高いので、車両20の警報音を吹鳴かつハザードを点滅する。この場合、携帯電話40にメール送信又は電子キー10のブザーを吹鳴してもよい。
【0049】
図1〜図5を参照して、車両用電子キーシステム1での動作について説明する。特に、電子キー10での動作については図6のフローチャートに沿って説明し、車両20(車両側ECU30)での動作については図7のフローチャートに沿って説明し、携帯電話40での動作については図8のフローチャートに沿って説明し、車両用電子キーシステム1全体の動作の流れについて図9のタイムチャートに沿って説明する。なお、図9のタイムチャートにおける「A」は図6のフローチャートAの動作が行われ、「B」は図7のフローチャートBの動作が行われ、「C」は図8のフローチャートCの動作が行われる。
【0050】
一定時間毎に、電子キー10では、振動センサ12によって振動値(例えば、加速度センサによる加速度値)を取得する(S10,T10)。電子キー10のマイコン11では、この振動値が閾値より大きいか否かを判定する(S11)。S11にて振動値が閾値より大きいと判定された場合(すなわち、ユーザが電子キー10を落としたと判断できる場合)、マイコン11では、衝撃検出信号を「あり」と設定する(S12)。一方、S11にて振動値が閾値以下と判定された場合、マイコン11では、衝撃検出信号を「なし」と設定する(S13)。この閾値は、電子キー10が落下したことを十分に判断できる振動値であり、実験等によって予め設定される。
【0051】
マイコン11では、衝撃検出信号が「あり」か否かを判定する(S14)。S14にて「あり」と判定された場合、マイコン11では、落下継続タイマをスタートする(S15)。一方、S14にて「なし」と判定された場合、マイコン11では、処理を行わずに次に進む。
【0052】
マイコン11では、落下継続タイマがスタートしているか否かを判定する(S16)。S16にてスタートしていると判定された場合、マイコン11では、落下継続タイマをインクリメントする(S17)。一方、S16にてスタートしていないと判定された場合、マイコン11では、処理を行わずに次に進む。
【0053】
マイコン11では、落下継続タイマが所定時間経過したか否かを判定する(S18)。S18にて落下継続タイマが所定時間経過したと判定された場合(すなわち、ユーザが電子キー10を落としたことを気づいていないと推定できる場合)、マイコン11では、電子キー落下信号が「あり」と設定する(S19)。一方、S18にて落下継続タイマが所定時間経過していないと判定された場合、マイコン11では、電子キー落下信号が「なし」と設定する(S20)。この所定時間は、ユーザが電子キー10を落としたことに気づかなかったと推定できる時間であり、実験等によって予め設定される。また、この所定時間は、電子キー10を車両20の近くで落とした場合には車両20の警報音やハザード点滅でユーザが十分に気づける距離(範囲)分だけしか移動できない時間である。この所定時間を短くすることによって、早めにユーザに対する報知ができ、第三者に電子キー10が拾われることを極力防止できる。
【0054】
なお、電子キー10を落としたと判定後、電子キー10を拾ったことを検知(判定)するようにするとよい。その検知方法としては、例えば、加速度センサによる上方向の加速度が閾値以上か否かで検知する方法、電子キー10での人の体温を検知する方法、電子キー10への入力操作を検知する方法がある。この検知方法による検知手段が、特許請求の範囲に記載する拾得検知手段に相当する。落下継続タイマがスタートしてから所定時間(この所定時間は、S18での判定での所定時間と同じ時間でもよいし、あるいは、異なる時間でもよい)経過する前に、このような検知方法で電子キー10が拾われたことを検知した場合には落下継続タイマをリセットするとともに衝撃検出信号も「なし」に設定するようにする。
【0055】
マイコン11では、電子キー落下信号が「あり」か否かを判定する(S21)。S21にて電子キー落下信号が「あり」と判定された場合、GPS受信回路18ではGPS受信アンテナ18aによってGPS信号を受信し、マイコン11ではそのGPS信号に基づいて電子キー10の現在位置を計算(取得)する(S22,T11)。そして、マイコン11では現在位置情報と落下キー信号を車両20に送信するための指令を出し、送信回路16では送信アンテナ16aから現在位置情報と落下キー信号を車両20に送信する(S23,T12)。この際、マイコン11では電子キー10の通常の機能を制限し、第三者によって不正使用されないようにする。一方、S21にて電子キー落下信号が「なし」と判定された場合、処理を行わない。
【0056】
車両20において、車両側ECU30の受信回路37では、電子キー10から現在位置情報等が送信された場合には受信アンテナ37aによって電子キー10からの現在位置情報と電子キー落下信号を受信する(S30)。車両側ECU30のマイコン31では、電子キー10からの電子キー落下信号が「あり」か否かを判定する(S31)。S31にて電子キー落下信号が「なし」と判定された場合、処理を行わずに、今回の動作を終了する。
【0057】
S31にて電子キー落下信号が「あり」と判定された場合、GPS受信回路38ではGPS受信アンテナ38aによってGPS信号を受信し、マイコン31ではそのGPS信号に基づいて車両20の現在位置を計算(取得)する(S32,T13)。そして、マイコン31では携帯電話40に対して現在位置情報を要求するための指令を出し、送信回路36では送信アンテナ36aから現在位置情報取得要求を携帯電話40に送信する(T14)。
【0058】
携帯電話40において、受信回路43では、車両20から現在位置情報取得要求が送信された場合には受信アンテナ43aによって車両20からの現在位置情報取得要求を受信する。携帯電話40のマイコン41では、車両20からの現在位置情報取得要求が「あり」か否かを判定する(S40)。S40にて現在位置情報取得要求が「なし」と判定された場合、処理を行わずに、今回の動作を終了する。
【0059】
S40にて現在位置情報取得要求が「あり」と判定された場合、GPS受信回路44ではGPS受信アンテナ44aによってGPS信号を受信し、マイコン41ではそのGPS信号に基づいて携帯電話40の現在位置を計算(取得)する(S41,T15)。そして、マイコン41では車両20に対して現在位置情報を送信するための指令を出し、送信回路42では送信アンテナ42aから現在位置情報を車両20に送信する(S42)。
【0060】
車両20において、車両側ECU30の受信回路37では、携帯電話40から現在位置情報が送信された場合には受信アンテナ37aによって携帯電話40からの現在位置情報を受信(取得)する(S33,T16)。
【0061】
そして、車両側ECU30のマイコン31では、電子キー10、車両20、携帯電話40間の3点間距離として、車両20の現在位置情報と電子キー10の現在位置情報を用いて車両20と電子キー10との間の距離X=|(車両20の現在位置)−(電子キー10の現在位置)|を計算し、電子キー10の現在位置情報と携帯電話40の現在位置情報を用いて電子キー10と携帯電話40との間の距離Y=|(電子キー10の現在位置)−(携帯電話40の現在位置)|を計算し、携帯電話40の現在位置情報と車両20の現在位置情報を用いて携帯電話40と車両20との間の距離Z=|(携帯電話40の現在位置)−(車両20の現在位置)|を計算する(S34)。そして、マイコン31では、その3点間距離X,Y,Zを比較判定する(S35)。
【0062】
S35の判定にて距離Xが小かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが大(又は不定)と判定された場合、マイコン31ではユーザへの報知として警報音吹鳴かつハザード点灯と決定し、警報音32では警報音を吹鳴し、ハザード33ではランプを点滅させる(S36,T17)。また、S35の判定にて距離Xが小かつ距離Yが小かつ距離Zが小と判定された場合、マイコン31ではユーザへの報知として警報音吹鳴かつハザード点灯と決定し、警報音32では警報音を吹鳴し、ハザード33ではランプを点滅させる(S37,T17)。この場合、ユーザは車両20の近くにいるので、その警報音やハザードによって、ユーザは電子キー10を落としたことに気づく。
【0063】
S35の判定にて距離X、距離Y、距離Zの関係が上記以外と判定された場合、マイコン31ではユーザへの報知として電子キー10のブザー吹鳴又は携帯電話40へのメール送信と決定し、送信回路36では送信アンテナ36aからブザー吹鳴要求を電子キー10に送信するか(S38,T18)、あるいは、送信回路36では送信アンテナ36aから電子キー10を落としたことを知らせるメールを携帯電話40に送信する(S38,T19)。車両20からブザー吹鳴要求が送信された場合、電子キー10において、受信回路17では受信アンテナ17aによって車両20からのブザー吹鳴要求を受信し、ブザー15ではブザー音を吹鳴する。あるいは、車両20からメールが送信された場合、携帯電話40において、受信回路43では受信アンテナ43aによって車両20からのメールを受信する。この場合、ユーザは、電子キー10のブザーあるいは携帯電話40で受信したメールによって、電子キー10を落としたことに気づく。
【0064】
この車両用電子キーシステム1によれば、ユーザが電子キー10を落とした場合に電子キー10と車両20と携帯電話40の間の3点距離X,Y,Zの関係に応じて報知手段を選択することにより、ユーザに対して適切な報知ができる。特に、3点距離X,Y,Zからユーザが車両20の近くにいると判断できる場合には、車両20の警報音やハザードによる報知手段を選択することにより、ユーザが携帯電話を保有していない場合あるいは携帯電話40の電源が入っていない場合、携帯電話40を自宅等に置き忘れた場合、携帯電話40を車両20内に置きっぱなしの場合、携帯電話40を電子キー10と同時に落とした場合でも、ユーザに対して電子キー10を落としたことを気づかせることができる。
【0065】
また、車両用電子キーシステム1によれば、電子キー10を落としたことを検知してから所定時間経過してから電子キー10の落下を確定して報知を行うことにより、ユーザが落としたことに気づいていない場合にのみ報知ができ、ユーザに対する不要な報知を防止できる。ちなみに、電子キー10を落としたことを検知してから直ぐに報知を行った場合、ユーザが電子キー10を落としたことに気づいて拾い上げても報知が行われるので、ユーザにとっては煩わしい。
【0066】
図10〜図12及び図2、図4を参照して、第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステム2について説明する。図10は、第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステムの構成図である。図11は、第2の実施の形態に係る車両用電子キーシステムにおける車両側ECUの構成を示すブロック図である。図12は、第2の実施の形態に係る電子キー、車両、携帯電話間の各距離に応じたユーザ報知手段とユースケースを示す一覧表である。
【0067】
車両用電子キーシステム2は、ユーザが電子キーを落としたと判断してから所定時間経過後に電子キー50と車両60(特に、車両側ECU70)と携帯電話80と管理センタ90間でのネットワークを構築して通信を行い、電子キー50と車両60と携帯電話80との間の3点間距離を分析し、その分析結果に基づいてユーザに対する報知手段を選択する。特に、車両用電子キーシステム2は、報知手段の1つとして、車両60に装備されているカーナビゲーションシステム(以下、「カーナビ」と記載)からユーザの目的地を割り出し、管理センタ90にその目的地を連絡して、管理センタ90から目的地に通報する。
【0068】
なお、電子キー50は、第1の実施の形態に係る電子キー10と同様の機能を有しており、同様の構成である。携帯電話80は、第1の実施の形態に係る携帯電話40と同様の機能を有しており、同様の構成である。したがって、電子キー50及び携帯電話80の説明は、省略する。
【0069】
図11を参照して、車両側ECU70の構成について説明する。車両側ECU70は、少なくとも電子キー50のセキュリティに関する機能(電子キー50と通信、携帯電話80との通信、管理センタ90との通信、現在位置取得、3点間距離計測、ユーザ報知処理等)を有している。そのために、車両側ECU70は、マイコン71、カーナビ72、ドアロック74、ステアリングロック75、送信回路76(送信アンテナ76a)、受信回路77(受信アンテナ77a)、GPS受信回路78(GPS受信アンテナ78a)を備えている。なお、第2の実施の形態では、GPS受信回路78(GPS受信アンテナ78a)及びマイコン71での処理が特許請求の範囲に記載する車両位置取得手段に相当し、マイコン71での各処理が特許請求の範囲に記載する距離算出手段、選択手段及び目的地取得手段に相当し、カーナビ72が特許請求の範囲に記載するナビゲーション装置に相当し、送信回路76(送信アンテナ76a)が特許請求の範囲に記載する通知手段に相当する。
【0070】
マイコン71は、ROM71a、EEPROM71bを有している。ROM71aには、電子キー50のセキュリティに関するプログラム(電子キー10と車両20と携帯電話40との間の3点間距離算出処理、3点間距離に応じたユーザ報知処理等)が記憶されている。なお、この3点間距離に応じたユーザ報知処理は、第1の実施の形態に係る車両側ECU30のマイコン31の3点間距離に応じたユーザ報知処理とは異なる処理である。EEPROM71bには、電子キーのユーザ情報、ユーザが保有している携帯電話情報、管理センタ情報等が記憶されている。マイコン71では、ROM71aに記憶されている各プログラムを実行し、各プログラムの処理を行う。
【0071】
カーナビ72は、車両60の現在位置を検知するとともに、ユーザが設定した目的地までの経路を探索し、その経路に沿って走行するように経路案内を行う。したがって、カーナビ72には、ユーザが目的地を設定している場合には、その目的地情報が登録されている。なお、車両60の現在位置情報取得については、カーナビ72で検知したものを用いてもよい。
【0072】
ドアロック74、ステアリングロック75は、第1の実施の形態に係るドアロック34、ステアリングロック35と同様のものである。
【0073】
送信回路76は、各種信号を電子キー50、携帯電話80、管理センタ90に送信するための送信回路である。送信回路76は、送信アンテナ76aと接続している。送信アンテナ76aは、各種信号を電子キー50、携帯電話80、管理センタ90に送信するための送信アンテナである。電子キー50に送信する信号としては、ブザー音の出力要求信号がある。携帯電話80に送信する信号としては、電子キー50を落としたことを知らせるメールがある。管理センタ90に送信する信号としては、電子キー落下信号と目的地情報がある。受信回路77及び受信アンテナ77aは、第1の実施の形態に係る受信回路37及び受信アンテナ37aと同様のものであり、同様の信号を受信する。GPS受信回路78及びGPS受信アンテナ78aは、第1の実施の形態に係るGPS受信回路38及びGPS受信アンテナ38aと同様のものであり、同様の信号を受信する。
【0074】
管理センタ90は、サービス対象の車両を管理するセンタであり、例えば、自動車会社が運営するセンタである。管理センタ90は、各車両60や任意の施設との通信機能を有している。管理センタ90で行うサービスの1つとして、車両60からの要求に応じて、ユーザが電子キー50を落としたことをユーザの目的地に通知するサービスがある。このサービスについては、オペレータが行う。なお、このサービスについては、コンピュータによって自動で行ってもよい。
【0075】
図12を参照して、電子キー50と車両60間距離X、電子キー50と携帯電話80間距離Y、車両60と携帯電話80間距離Zに応じたユーザへの報知手段について説明する。ここでは、距離を大と小あるいは不定で表す。ここでの説明は、第1の実施の形態で説明した8つのケースと同じケースである。
【0076】
距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが大(又は不定)の場合、距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが小の場合かつ距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが小かつ距離Zが大(又は不定)の場合、距離Xが小かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが大(又は不定)の場合、距離Xが小かつ距離Yが小かつ距離Zが小の場合の各ケースは、ユースケースが特定できる。この場合、ユーザ報知手段としては、カーナビに登録されている目的地情報を管理センタに通報し、管理センタから目的地に連絡する。なお、この場合、携帯電話80にメール送信又は電子キー50のブザーを吹鳴してもよい。特に、カーナビに目的地情報が登録されていない場合にはこのような報知手段で対処する。
【0077】
距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが小かつ距離Zが小の場合、距離Xが小かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが小の場合、距離Xが小かつ距離Yが小かつ距離Zが大(又は不定)の場合、ユースケースを特定できない。この場合、ユーザ報知手段としては、携帯電話80にメール送信又は電子キー50のブザーを吹鳴する。なお、この場合、カーナビに登録されている目的地情報を管理センタに通報してもよい。
【0078】
図10〜図12及び図2、図4を参照して、車両用電子キーシステム2での動作について説明する。特に、電子キー50での動作については図6のフローチャートに沿って説明し、車両60(車両側ECU70)での動作については図13のフローチャートに沿って説明し、携帯電話80での動作については図9のフローチャートに沿って説明し、管理センタ90での動作については図14のフローチャートに沿って説明し、車両用電子キーシステム2全体の動作の流れについて図15のタイムチャートに沿って説明する。なお、図15のタイムチャートにおける「A」は図6のフローチャートAの動作が行われ、「D」は図13のフローチャートDの動作が行われ、「C」は図8のフローチャートCの動作が行われ、「E」は図14のフローチャートEの動作が行われる。
【0079】
一定時間毎に、電子キー50では、第1の実施の形態に係る電子キー10の図6のフローチャートAに沿った動作と同様に動作する。また、車両60では、図13のフローチャートDにおけるS50〜S55までの動作については、第1の実施の形態に係る車両20の図7のフローチャートBのS30〜S35までの動作と同様に動作する。また、携帯電話80では、第1の実施の形態に係る携帯電話40の図8のフローチャートCに沿った動作と同様に動作する。
【0080】
車両側ECU70では、S55の判定にて距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが大(又は不定)の場合、又は、距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが小の場合、又は、距離Xが大(又は不定)かつ距離Yが小かつ距離Zが大(又は不定)の場合、又は、距離Xが小かつ距離Yが大(又は不定)かつ距離Zが大(又は不定)、又は、距離Xが小かつ距離Yが小かつ距離Zが小の場合と判定された場合、マイコン71ではユーザへの報知として目的地情報を管理センタ90に通報と決定し、カーナビ72に登録されている目的地情報を取得し(S56,T20)、送信回路76では送信アンテナ76aから電子キー落下信号と目的地情報を管理センタ90に送信する(S56,T21)。
【0081】
管理センタ90では、車両60から電子キー落下信号と目的地情報が送信された場合にはその電子キー落下信号と目的地情報を受信する(S60)。管理センタ90では、電子キー落下信号が「あり」か否かを判定する(S61)。S61にて電子キー落下信号が「なし」と判定された場合、処理を行わずに、今回の動作を終了する。S61にて電子キー落下信号が「あり」と判定された場合、管理センタ90では、オペレータが目的地情報に基づいてそのユーザの目的地の施設に連絡し、その施設のオペレータに対して施設内にいる人(例えば、ユーザ情報の氏名、車両情報等を示す)が電子キー50を落としたことをアナウンス等してもらうことを依頼する(S62)。例えば、図10に示すように、ユーザの目的地の施設100の店内スピーカから、ユーザUに対するアナウンスを行う。この場合、ユーザは、そのアナウンス等によって、電子キー50を落としたことに気づく。
【0082】
S55の判定にて距離X、距離Y、距離Zの関係が上記以外と判定された場合、マイコン71ではユーザへの報知として電子キー50のブザー吹鳴又は携帯電話80へのメール送信と決定し、送信回路76では送信アンテナ76aからブザー吹鳴要求を電子キー50に送信するか(S57,T22)、あるいは、送信回路76では送信アンテナ76aから電子キー50を落としたことを知らせるメールを携帯電話80に送信する(S57,T23)。車両60からブザー吹鳴要求が送信された場合、電子キー50において、受信回路17が受信アンテナ17aによって車両60からのブザー吹鳴要求を受信し、ブザー音を吹鳴する。あるいは、車両60からメールが送信された場合、携帯電話80において、受信回路43が受信アンテナ43aによって車両60からのメールを受信する。この場合、ユーザは、電子キー50のブザーあるいは携帯電話80で受信したメールによって、電子キー50を落としたことに気づく。
【0083】
この車両用電子キーシステム2によれば、第1に実施の形態に係る車両用電子キーシステム1と同様の効果を有する。特に、車両用電子キーシステム2では、ユーザの目的地が判る場合にはその目的地情報を管理センタ90に通知して、管理センタ90を介してその目的地においてユーザに対する報知を行うようにすることにより、ユーザに対してより適切な報知ができる。
【0084】
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0085】
例えば、本実施の形態では電子キー、車両、携帯電話を少なくとも含む車両用電子キーシステムであり、電子キーと車両と携帯電話との間の3つの距離に応じて報知方法を選択する構成としたが、電子キー、車両を少なくとも含む車両用電子キーシステムであり、電子キーと車両との間の距離に応じて報知方法を選択する構成としてもよい。
【0086】
また、本実施の形態では3点間距離計算及び3点間距離に応じた報知方法の選択と報知要求を車両で行う構成としたが、このような各処理を電子キー、携帯電話、センタ等の車両以外で行ってもよい。
【0087】
また、本実施の形態では報知手段の1つとしてユーザが保有する携帯電話を利用する構成としたが、ユーザが保有する他の携帯端末(車両と通信可能なもの)でもよい。
【0088】
また、本実施の形態では車両での報知方法を警報音とハザード点滅としたが、車両での報知方法としては他の方法としてもよい。
【0089】
また、本実施の形態ではユーザ報知手段として車両の警報音及びハザード点滅による報知手段とユーザの目的地を管理センタに通報する報知手段とを異なる形態としたが、ユーザ報知手段として両方の報知手段を有する形態とし、それらのユーザ報知手段の中から適切な報知手段を選択するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1,2…車両用電子キーシステム、10,50…電子キー、11…マイコン、11a…ROM,11b…EEPROM、12…振動センサ、13…ロックボタン、14…アンロックボタン、15…ブザー、16…送信回路、16a…送信アンテナ、17…受信回路、17a…受信アンテナ、18…GPS受信回路、18a…GPS受信アンテナ、20,60…車両、30,70…車両側ECU、31,71…マイコン、31a,71a…ROM,31b,71b…EEPROM、32…警報音、72…カーナビ、33…ハザード、34,74…ドアロック、35,75…ステアリングロック、36,76…送信回路、36a,76a…送信アンテナ、37,77…受信回路、37a,77a…受信アンテナ、38,78…GPS受信回路、38a,78a…GPS受信アンテナ、40,80…携帯電話、41…マイコン、41a…ROM、41b…EEPROM、42…送信回路、42a…送信アンテナ、43…受信回路、43a…受信アンテナ、44…GPS受信回路、44a…GPS受信アンテナ、90…管理センタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両で使用される電子キーをユーザが落とした場合にユーザに報知する車両用電子キーシステムであって、
前記電子キーに装備される振動センサで検知した振動に基づいて前記電子キーが落下したか否かを判定する判定手段と、
前記電子キーの位置情報を取得する電子キー位置取得手段と、
前記車両の位置情報を取得する車両位置取得手段と、
前記判定手段で前記電子キーが落下したと判定した場合、前記電子キー位置取得手段で取得した前記電子キーの位置情報と前記車両位置取得手段で取得した前記車両の位置情報に基づいて前記電子キーと前記車両との間の距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段で算出した距離に応じてユーザへの報知方法を選択する選択手段と、
を備え、
前記判定手段で前記電子キーが落下したと判定した場合に前記選択手段で選択した報知方法によってユーザへ報知することを特徴とする車両用電子キーシステム。
【請求項2】
前記電子キーが落下した場合に前記電子キーが拾われたことを検知する拾得検知手段を備え、
前記拾得検知手段で前記電子キーが拾われたことを閾値時間以上検知しなかった場合に前記選択手段で選択した報知方法によってユーザへ報知することを特徴とする請求項1に記載の車両用電子キーシステム。
【請求項3】
ユーザの携帯端末の位置情報を取得する携帯端末位置取得手段を備え、
前記距離算出手段は、前記判定手段で前記電子キーが落下したと判定した場合、前記電子キー位置取得手段で取得した前記電子キーの位置情報と前記携帯端末位置取得手段で取得した前記携帯端末の位置情報に基づいて前記電子キーと前記携帯端末との間の距離を算出するとともに、前記車両位置取得手段で取得した前記車両の位置情報と前記携帯端末位置取得手段で取得した前記携帯端末の位置情報に基づいて前記車両と前記携帯端末との間の距離を算出し、
前記選択手段は、前記距離算出手段で算出した前記電子キーと前記車両と前記携帯端末との間の各距離に応じてユーザへの報知方法を選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用電子キーシステム。
【請求項4】
前記選択手段は、前記距離算出手段で算出した前記電子キーと前記車両との間の距離が閾値距離以下の場合、前記車両の警報音と警報灯の少なくとも一方による報知方法を選択することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用電子キーシステム。
【請求項5】
前記車両に搭載されるナビゲーション装置に登録される目的地情報を取得する目的地取得手段と、
前記目的地取得手段で取得した目的地情報を前記車両を管理するセンタに通知する通知手段と、
を備え、
前記選択手段は、前記目的地取得手段で目的地情報を取得できた場合、該目的地情報を前記通知手段で前記センタに通知する報知方法を選択することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用電子キーシステム。
【請求項1】
車両で使用される電子キーをユーザが落とした場合にユーザに報知する車両用電子キーシステムであって、
前記電子キーに装備される振動センサで検知した振動に基づいて前記電子キーが落下したか否かを判定する判定手段と、
前記電子キーの位置情報を取得する電子キー位置取得手段と、
前記車両の位置情報を取得する車両位置取得手段と、
前記判定手段で前記電子キーが落下したと判定した場合、前記電子キー位置取得手段で取得した前記電子キーの位置情報と前記車両位置取得手段で取得した前記車両の位置情報に基づいて前記電子キーと前記車両との間の距離を算出する距離算出手段と、
前記距離算出手段で算出した距離に応じてユーザへの報知方法を選択する選択手段と、
を備え、
前記判定手段で前記電子キーが落下したと判定した場合に前記選択手段で選択した報知方法によってユーザへ報知することを特徴とする車両用電子キーシステム。
【請求項2】
前記電子キーが落下した場合に前記電子キーが拾われたことを検知する拾得検知手段を備え、
前記拾得検知手段で前記電子キーが拾われたことを閾値時間以上検知しなかった場合に前記選択手段で選択した報知方法によってユーザへ報知することを特徴とする請求項1に記載の車両用電子キーシステム。
【請求項3】
ユーザの携帯端末の位置情報を取得する携帯端末位置取得手段を備え、
前記距離算出手段は、前記判定手段で前記電子キーが落下したと判定した場合、前記電子キー位置取得手段で取得した前記電子キーの位置情報と前記携帯端末位置取得手段で取得した前記携帯端末の位置情報に基づいて前記電子キーと前記携帯端末との間の距離を算出するとともに、前記車両位置取得手段で取得した前記車両の位置情報と前記携帯端末位置取得手段で取得した前記携帯端末の位置情報に基づいて前記車両と前記携帯端末との間の距離を算出し、
前記選択手段は、前記距離算出手段で算出した前記電子キーと前記車両と前記携帯端末との間の各距離に応じてユーザへの報知方法を選択することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用電子キーシステム。
【請求項4】
前記選択手段は、前記距離算出手段で算出した前記電子キーと前記車両との間の距離が閾値距離以下の場合、前記車両の警報音と警報灯の少なくとも一方による報知方法を選択することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の車両用電子キーシステム。
【請求項5】
前記車両に搭載されるナビゲーション装置に登録される目的地情報を取得する目的地取得手段と、
前記目的地取得手段で取得した目的地情報を前記車両を管理するセンタに通知する通知手段と、
を備え、
前記選択手段は、前記目的地取得手段で目的地情報を取得できた場合、該目的地情報を前記通知手段で前記センタに通知する報知方法を選択することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の車両用電子キーシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−102529(P2012−102529A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251798(P2010−251798)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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