説明

車両用非接触受電装置

【課題】ワイヤレスでの受電状態の良好さの程度を精度良く検出することが可能な車両用非接触受電装置を提供する。
【解決手段】車両用非接触受電装置は、一方端と他方端を有する導電材が巻回されて形成される自己共振コイル112と、自己共振コイル112を収容する収容部600と、収容部600の内壁に設けられ、自己共振コイル112の共鳴状態を検出するための電極115とを備える。電極115は、内壁のうち、自己共振コイル112の導電材に沿ういずれかの位置であって、導電材の一方端、他方端、および一方端と他方端の中点を避けた位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用非接触受電装置に関し、特に、自己共振コイルを含む車両用非接触受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環境問題への対策として、電気自動車やハイブリッド自動車が注目されている。これらの自動車に搭載されたバッテリに車両外部の電源からワイヤレスで充電電力を受電するために、共鳴法が検討されている。
【0003】
特開2009−106136号公報(特許文献1)は、共鳴法によって車両外部の電源からワイヤレスで充電電力を受電し、車載の蓄電装置を充電可能な電動車両を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−106136号公報
【特許文献2】特許第3033746号公報
【特許文献3】特許第4266787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワイヤレスでの受電では、送電装置と受電装置の位置関係が正しくないと効率良く受電が行なわれない。したがって、本格的な送電に際し、事前に受電が正しく行なえるか確認することが望ましい。そして、この確認は、受電状態の良好さの程度を精度良く検出して行なうことが望ましい。
【0006】
特開2009−106136号公報では、受電状態を精度良く検出するための技術については特に言及されていない。
【0007】
この発明の目的は、ワイヤレスでの受電状態の良好さの程度を精度良く検出することが可能な車両用非接触受電装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、要約すると、共鳴法によって電力を受電する車両用非接触受電装置であって、一方端と他方端を有する導電材が巻回されて形成される自己共振コイルと、自己共振コイルを収容する収容部と、収容部の内壁に設けられ、自己共振コイルの共鳴状態を検出するための電極とを備える。電極は、内壁のうち、自己共振コイルの導電材に沿ういずれかの位置であって、導電材の一方端、他方端、および一方端と他方端の中点を避けた位置に配置される。
【0009】
好ましくは、自己共振コイルは、巻回面を側方から見た場合に一方端および他方端が同一の端部側に配置される。電極は、巻回面を側方から見た場合に端部と中点との中間部分に設けられる。
【0010】
好ましくは、車両用非接触受電装置は、収容部の内壁のうち自己共振コイルと車室との間に配置される部分に施されたシールドをさらに備える。電極は、シールドとは絶縁されている。
【0011】
好ましくは、車両用非接触受電装置は、収容部にさらに収容される電磁誘導コイルをさらに備える。電極は、内壁のうち自己共振コイルと電極との間に電磁誘導コイルが介在しない位置に設けられる。
【0012】
好ましくは、収容部の内壁は、電磁波を受け入れる第1面と、第1面に対向する第2面と、第1面と第2面とをつなぐ側面とを含む。電極は第1面に設けられる。
【0013】
好ましくは、収容部の内壁は、電磁波を受け入れる第1面と、第1面に対向する第2面と、第1面と第2面とをつなぐ側面とを含む。電極は第2面に設けられる。
【0014】
好ましくは、収容部の内壁は、電磁波を受け入れる第1面と、第1面に対向する第2面と、第1面と第2面とをつなぐ側面とを含む。電極は側面に設けられる。
【0015】
この発明は、他の局面に従うと、共鳴法によって電力を受電する車両用非接触受電装置であって、自己共振コイルと、自己共振コイルを収容する収容部と、収容部の内壁に設けられ、自己共振コイルの共鳴状態を検出するための電極と、収容部の内壁のうち自己共振コイルと車室との間に配置される部分に施されたシールドとを備える。電極は、シールドと同一面上に設けられ、スリットによって絶縁されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ワイヤレスでの受電状態の良好さの程度を精度良く検出することが可能となり、車両を受電が良好となる位置に位置合わせすることが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の実施の形態による電動車両が適用される充電システムの全体構成図である。
【図2】充電時の車両の位置合わせについて説明するための図である。
【図3】共鳴法による送電の原理を説明するための図である。
【図4】電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
【図5】図1、図2に示した車両100の詳細を示す構成図である。
【図6】車両側の受電ユニット110と給電装置側の送電ユニット220についてより詳細に説明するための回路図である。
【図7】図5に示した制御装置180の機能ブロック図である。
【図8】受電ユニット110の内部の配置を説明するための図である。
【図9】検波回路116の一般的な構成の一例を示したブロック図である。
【図10】自己共振コイル112と電極115の好適な配置関係を説明するための図である。
【図11】図10の自己共振コイルに生じる交流波形を説明するための図である。
【図12】自己共振コイルの位置による電位の変化を示した図である。
【図13】自己共振コイルの位置による交流波形の電圧振幅を示した図である。
【図14】受電ユニット110の断面図の第1例である。
【図15】図14のXV−XVにおける断面図である。
【図16】受電ユニット110の断面図の第2例である。
【図17】受電ユニット110の断面図の第3例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
図1は、この発明の実施の形態による電動車両が適用される充電システムの全体構成図である。図1において検波回路116を設ける点がこの充電システムの特徴である。
【0020】
図1を参照して、この充電システムは、電動車両100と、給電装置200とを備える。電動車両100は、二次自己共振コイル112と、二次コイル114と、整流器140と、蓄電装置150とを含む。また、電動車両100は、パワーコントロールユニット(以下「PCU(Power Control Unit)」とも称する。)166と、モータ174とをさらに含む。なお、自己共振コイルは、共鳴コイルとも称される。
【0021】
二次自己共振コイル112は、車体下部に配設される。この二次自己共振コイル112は、両端がオープン(非接続)のLC共振コイルであり、給電装置200の一次自己共振コイル234と磁場の共鳴により磁気的に結合され、一次自己共振コイル234から電力を受電可能に構成される。具体的には、二次自己共振コイル112は、蓄電装置150の電圧や、一次自己共振コイル234と二次自己共振コイル112との間の距離、一次自己共振コイル234と二次自己共振コイル112との共鳴周波数等に基づいて、一次自己共振コイル234と二次自己共振コイル112との共鳴強度を示すQ値およびその結合度を示すκ等が大きくなるようにその巻数が適宜設定される。
【0022】
二次コイル114は、電磁誘導によって二次自己共振コイル112から受電可能に構成され、好ましくは二次自己共振コイル112と同軸上に配設される。そして、二次コイル114は、二次自己共振コイル112から受電した電力を整流器140へ出力する。整流器140は、二次コイル114から受ける高周波の交流電力を整流して蓄電装置150へ出力する。なお、整流器140に代えて、二次コイル114から受ける高周波の交流電力を蓄電装置150の電圧レベルに変換するAC/DCコンバータを用いてもよい。
【0023】
蓄電装置150は、充放電可能な直流電源であり、たとえばリチウムイオンやニッケル水素などの二次電池を含む。蓄電装置150の電圧は、たとえば200V程度である。蓄電装置150は、整流器140から供給される電力を蓄えるほか、後述のようにモータ174によって発電された電力も蓄える。そして、蓄電装置150は、その蓄えた電力をPCU166へ供給する。
【0024】
なお、蓄電装置150として、大容量のキャパシタも採用可能であり、整流器140やモータ174からの電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力をPCU166へ供給可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。
【0025】
PCU166は、蓄電装置150から供給される電力を交流電圧に変換してモータ174へ出力し、モータ174を駆動する。また、PCU166は、モータ174により発電された電力を整流して蓄電装置150へ出力し、蓄電装置150を充電する。
【0026】
モータ174は、PCU166を介して蓄電装置150から供給される電力を受けて車両駆動力を発生し、その発生した駆動力を車輪へ出力する。また、モータ174は、車輪や図示されないエンジンから受ける運動エネルギーを受けて発電し、その発電した電力をPCU166へ出力する。
【0027】
一方、給電装置200は、高周波電源装置210と、一次コイル232と、一次自己共振コイル234とを含む。
【0028】
高周波電源装置210は、車両外部の系統電源から受ける電力を、磁場共鳴により一次自己共振コイル234から車両側の二次自己共振コイル112へ送電可能な高周波の電力に変換し、その変換した高周波電力を一次コイル232へ供給する。
【0029】
一次コイル232は、電磁誘導によって一次自己共振コイル234へ送電可能に構成され、好ましくは一次自己共振コイル234と同軸上に配設される。そして、一次コイル232は、高周波電源装置210から受電した電力を一次自己共振コイル234へ出力する。
【0030】
一次自己共振コイル234は、地面近傍に配設される。この一次自己共振コイル234は、両端がオープンのLC共振コイルであり、電動車両100の二次自己共振コイル112と磁場の共鳴により磁気的に結合され、二次自己共振コイル112へ電力を送電可能に構成される。具体的には、一次自己共振コイル234は、一次自己共振コイル234から送電される電力によって充電される蓄電装置150の電圧や、一次自己共振コイル234と二次自己共振コイル112との間の距離、一次自己共振コイル234と二次自己共振コイル112との共鳴周波数等に基づいて、Q値および結合度κ等が大きくなるようにその巻数が適宜設定される。
【0031】
電動車両100は、さらに、二次自己共振コイル112と容量結合される位置に配置された電極115と、電極115に生じる交流信号を検波する検波回路116とをさらに含む。給電装置200から送電が可能な位置に車両が停止しているかを確認するために、検波回路116で検波された結果が用いられる。この結果に基づき充電時の車両の位置合わせをする精度を向上させることができる。
【0032】
図2は、充電時の車両の位置合わせについて説明するための図である。
図2を参照して、車両用給電システム10は、車両100と、給電装置200とを備える。車両100は、受電ユニット110と、カメラ120と、通信ユニット130とを含む。
【0033】
受電ユニット110は、車体底面に設置され、給電装置200の送電ユニット220から送出される電力を非接触で受電するように構成される。詳しくは、受電ユニット110は、自己共振コイルを含み、送電ユニット220に含まれる自己共振コイルと電磁場を介して共鳴することにより送電ユニット220から非接触で受電する。カメラ120は、受電ユニット110と送電ユニット220との位置関係を検知するために設けられ、たとえば車両後方を撮影可能に車体に取付けられる。通信ユニット130は、車両100と給電装置200との間で通信を行なうための通信インターフェースである。
【0034】
給電装置200は、高周波電源装置210と、送電ユニット220と、発光部230と、通信ユニット240とを含む。高周波電源装置210は、たとえば系統電源から供給される商用交流電力を高周波の電力に変換して送電ユニット220へ出力する。なお、高周波電源装置210が生成する高周波電力の周波数は、たとえば1MHz〜数十MHzである。
【0035】
送電ユニット220は、駐車場の床面に固定され、高周波電源装置210から供給される高周波電力を車両100の受電ユニット110へ非接触で送出するように構成される。詳しくは、送電ユニット220は、自己共振コイルを含み、受電ユニット110に含まれる自己共振コイルと電磁場を介して共鳴することにより受電ユニット110へ非接触で送電する。発光部230は、送電ユニット220上に複数設けられ、送電ユニット220の位置を示すために設けられる。発光部230は、たとえば発光ダイオードなどを含む。通信ユニット240は、給電装置200と車両100との間で通信を行なうための通信インターフェースである。
【0036】
この車両用給電システム10においては、給電装置200の送電ユニット220から高周波の電力が送出され、車両100の受電ユニット110に含まれる自己共振コイルと送電ユニット220に含まれる自己共振コイルとが電磁場を介して共鳴することにより、給電装置200から車両100へ給電される。
【0037】
ここで、給電装置200から車両100への給電に際し、車両100を給電装置200へ誘導して車両100の受電ユニット110と給電装置200の送電ユニット220との位置合わせを行なう必要がある。
【0038】
位置合わせは、まず、第1段階においては、カメラ120によって撮影される画像に基づいて車両100の受電ユニット110と給電装置200の送電ユニット220との位置関係が検知され、その検知結果に基づいて送電ユニット220へ車両を誘導するように車両が制御される。より詳しくは、送電ユニット220上に設けられた複数の発光部230がカメラ120によって撮影され、複数の発光部230の位置および向きが画像認識される。そして、その画像認識の結果に基づいて送電ユニット220と車両との位置および向きが認識され、その認識結果に基づいて送電ユニット220へ車両が誘導される。
【0039】
ここで、受電ユニット110および送電ユニット220の対向面積は、車体底面の面積よりも小さいので、送電ユニット220が車体下部に入り込むことによってカメラ120により送電ユニット220を撮影できなくなる。すると、位置合わせ制御は第1段階から第2段階に切替わる。この第2段階においては、送電ユニット220から受電ユニット110への給電が行なわれ、その給電状況に基づいて送電ユニット220と受電ユニット110との距離が検知される。そして、その距離情報に基づいて、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせを行なうように車両が制御される。
【0040】
なお、上記の第2段階時に送電ユニット220からテスト信号として送出される電力の大きさは、送電ユニット220と受電ユニット110との位置合わせの完了後に送電ユニット220から受電ユニット110へ供給される充電のための電力よりも小さく設定される。上記第2段階時に送電ユニット220から電力を送出するのは、送電ユニット220と受電ユニット110との間の距離を検知するためであり、本格的な給電を行なう際の大電力は不要だからである。
【0041】
なお、第1段階のカメラによる自動誘導に代えて、直接の目視またはカメラで撮影されたバックモニタを運転者が見て手動で大まかな位置合わせを行なうようにしても良い。
【0042】
次に、この実施の形態による車両用給電システム10に用いられる非接触給電方法について説明する。この実施の形態による車両用給電システム10では、共鳴法を用いて給電装置200から車両100への給電が行なわれる。
【0043】
図3は、共鳴法による送電の原理を説明するための図である。
図3を参照して、この共鳴法では、2つの音叉が共鳴するのと同様に、同じ固有振動数を有する2つのLC共振コイルが電磁場(近接場)において共鳴することによって、一方のコイルから他方のコイルへ電磁場を介して電力が伝送される。
【0044】
具体的には、高周波電源310に一次コイル320を接続し、電磁誘導により一次コイル320と磁気的に結合される一次自己共振コイル330へ1M〜数十MHzの高周波電力を給電する。一次自己共振コイル330は、コイル自身のインダクタンスと浮遊容量とによるLC共振器であり、一次自己共振コイル330と同じ共振周波数を有する二次自己共振コイル340と電磁場(近接場)を介して共鳴する。そうすると、一次自己共振コイル330から二次自己共振コイル340へ電磁場を介してエネルギー(電力)が移動する。二次自己共振コイル340へ移動したエネルギー(電力)は、電磁誘導により二次自己共振コイル340と磁気的に結合される二次コイル350によって取出され、負荷360へ供給される。なお、共鳴法による送電は、一次自己共振コイル330と二次自己共振コイル340との共鳴強度を示すQ値がたとえば100よりも大きいときに実現される。
【0045】
なお、図2との対応関係については、二次自己共振コイル340および二次コイル350が図2の受電ユニット110に対応し、一次コイル320および一次自己共振コイル330が図2の送電ユニット220に対応する。
【0046】
図4は、電流源(磁流源)からの距離と電磁界の強度との関係を示した図である。
図4を参照して、電磁界は3つの成分を含む。曲線k1は、波源からの距離に反比例した成分であり、「輻射電磁界」と称される。曲線k2は、波源からの距離の2乗に反比例した成分であり、「誘導電磁界」と称される。また、曲線k3は、波源からの距離の3乗に反比例した成分であり、「静電磁界」と称される。
【0047】
この中でも波源からの距離とともに急激に電磁波の強度が減少する領域があるが、共鳴法では、この近接場(エバネッセント場)を利用してエネルギー(電力)の伝送が行なわれる。すなわち、近接場を利用して、同じ固有振動数を有する一対の共鳴器(たとえば一
対のLC共振コイル)を共鳴させることにより、一方の共鳴器(一次自己共振コイル)から他方の共鳴器(二次自己共振コイル)へエネルギー(電力)を伝送する。この近接場は遠方にエネルギー(電力)を伝播しないので、遠方までエネルギーを伝播する「輻射電磁界」によりエネルギー(電力)を伝送する電磁波に比べて、共鳴法は、より少ないエネルギー損失で送電することができる。
【0048】
図5は、図1、図2に示した車両100の詳細を示す構成図である。本実施の形態は、電気自動車、ハイブリッド自動車のいずれにも適用可能である。図1では、電気自動車と共通する要素のみが示されているが、図5では、エンジンをモータと併用するハイブリッド自動車の構成がより詳細に示されている。
【0049】
図5を参照して、車両100は、蓄電装置150と、システムメインリレーSMR1と、昇圧コンバータ162と、インバータ164,166と、モータジェネレータ172,174と、エンジン176と、動力分割装置177と、駆動輪178とを含む。
【0050】
車両100は、さらに、二次自己共振コイル112と、二次コイル114と、整流器140と、DC/DCコンバータ142と、システムメインリレーSMR2と、電圧センサ190とを含む。
【0051】
車両100は、さらに、制御装置180と、カメラ120と、通信ユニット130と、給電ボタン122とを含む。
【0052】
この車両100は、エンジン176およびモータジェネレータ174を動力源として搭載する。エンジン176およびモータジェネレータ172,174は、動力分割装置177に連結される。そして、車両100は、エンジン176およびモータジェネレータ174の少なくとも一方が発生する駆動力によって走行する。エンジン176が発生する動力は、動力分割装置177によって2経路に分割される。すなわち、一方は駆動輪178へ伝達される経路であり、もう一方はモータジェネレータ172へ伝達される経路である。
【0053】
モータジェネレータ172は、交流回転電機であり、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機を含む。モータジェネレータ172は、動力分割装置177によって分割されたエンジン176の運動エネルギーを用いて発電する。たとえば、蓄電装置150の充電状態(「SOC(State Of Charge)」とも称される。)が予め定められた値よりも低くなると、エンジン176が始動してモータジェネレータ172により発電が行なわれ、蓄電装置150が充電される。
【0054】
モータジェネレータ174も、交流回転電機であり、モータジェネレータ172と同様に、たとえばロータに永久磁石が埋設された三相交流同期電動機を含む。モータジェネレータ174は、蓄電装置150に蓄えられた電力およびモータジェネレータ172により発電された電力の少なくとも一方を用いて駆動力を発生する。そして、モータジェネレータ174の駆動力は、駆動輪178に伝達される。
【0055】
また、車両の制動時や下り斜面での加速度低減時には、運動エネルギーや位置エネルギーとして車両に蓄えられた力学的エネルギーが駆動輪178を介してモータジェネレータ174の回転駆動に用いられ、モータジェネレータ174が発電機として作動する。これにより、モータジェネレータ174は、走行エネルギーを電力に変換して制動力を発生する回生ブレーキとして作動する。そして、モータジェネレータ174により発電された電力は、蓄電装置150に蓄えられる。
【0056】
動力分割装置177は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含む遊星歯車を使用することができる。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤを自転可能に支持するとともに、エンジン176のクランクシャフトに連結される。サンギヤは、モータジェネレータ172の回転軸に連結される。リングギヤはモータジェネレータ174の回転軸および駆動輪178に連結される。
【0057】
蓄電装置150は、再充電可能な直流電源であり、たとえばリチウムイオンやニッケル水素などの二次電池を含む。蓄電装置150は、DC/DCコンバータ142から供給される電力を蓄えるほか、モータジェネレータ172,174によって発電される回生電力も蓄える。そして、蓄電装置150は、その蓄えた電力を昇圧コンバータ162へ供給する。なお、蓄電装置150として大容量のキャパシタも採用可能であり、給電装置200(図1、図2)から供給される電力やモータジェネレータ172,174からの回生電力を一時的に蓄え、その蓄えた電力を昇圧コンバータ162へ供給可能な電力バッファであれば如何なるものでもよい。
【0058】
システムメインリレーSMR1は、蓄電装置150と昇圧コンバータ162との間に配設される。システムメインリレーSMR1は、制御装置180からの信号SE1が活性化されると、蓄電装置150を昇圧コンバータ162と電気的に接続し、信号SE1が非活性化されると、蓄電装置150と昇圧コンバータ162との間の電路を遮断する。昇圧コンバータ162は、制御装置180からの信号PWCに基づいて、正極線PL2の電圧を蓄電装置150から出力される電圧以上の電圧に昇圧する。なお、この昇圧コンバータ162は、たとえば直流チョッパ回路を含む。
【0059】
インバータ164,166は、それぞれモータジェネレータ172,174に対応して設けられる。インバータ164は、制御装置180からの信号PWI1に基づいてモータジェネレータ172を駆動し、インバータ166は、制御装置180からの信号PWI2に基づいてモータジェネレータ174を駆動する。なお、インバータ164,166は、たとえば三相ブリッジ回路を含む。
【0060】
二次自己共振コイル112は、両端がスイッチ(リレー113)を介してコンデンサ111に接続されており、スイッチ(リレー113)が導通状態となったときに給電装置200の一次共振コイルと電磁場を介して共鳴する。この共鳴により給電装置200から受電が行なわれる。なお、図6ではコンデンサ111を設けた例を示したが、コンデンサに代えてコイルの浮遊容量によって共振するように、一次自己共振コイルとの調整をしてもよい。
【0061】
なお、二次自己共振コイル112については、給電装置200の一次自己共振コイルとの距離や、一次自己共振コイルと二次自己共振コイル112との共鳴強度を示すQ値(たとえばQ>100)およびその結合度を示すκなどが大きくなるようにその巻数が適宜設定される。
【0062】
二次コイル114は、二次自己共振コイル112と同軸上に配設され、電磁誘導により二次自己共振コイル112と磁気的に結合可能である。この二次コイル114は、二次自己共振コイル112により受電された電力を電磁誘導により取出して整流器140へ出力する。なお、二次自己共振コイル112および二次コイル114は、図1に示した受電ユニット110を形成する。
【0063】
整流器140は、二次コイル114によって取出された交流電力を整流する。DC/DCコンバータ142は、制御装置180からの信号PWDに基づいて、整流器140によって整流された電力を蓄電装置150の電圧レベルに変換して蓄電装置150へ出力する。
【0064】
システムメインリレーSMR2は、DC/DCコンバータ142と蓄電装置150との間に配設される。システムメインリレーSMR2は、制御装置180からの信号SE2が活性化されると、蓄電装置150をDC/DCコンバータ142と電気的に接続し、信号SE2が非活性化されると、蓄電装置150とDC/DCコンバータ142との間の電路を遮断する。電圧センサ190は、整流器140とDC/DCコンバータ142との間の電圧VRを検出し、その検出値を制御装置180へ出力する。
【0065】
制御装置180は、アクセル開度や車両速度、その他種々のセンサからの信号に基づいて、昇圧コンバータ162およびモータジェネレータ172,174をそれぞれ駆動するための信号PWC,PWI1,PWI2を生成する。制御装置180は、生成した信号PWC,PWI1,PWI2をそれぞれ昇圧コンバータ162およびインバータ164,166へ出力する。そして、車両の走行時、制御装置180は、信号SE1を活性化してシステムメインリレーSMR1をオンさせるとともに、信号SE2を非活性化してシステムメインリレーSMR2をオフさせる。
【0066】
また、給電装置200(図2)から車両100への給電が行なわれるとき、カメラ120によって撮影された画像がカメラ120から制御装置180に送信される。また、給電装置200から送出される交流信号を電極115および検波回路116で検出した検波結果が制御装置180に与えられる。制御装置180は、画像や検波結果に基づいて、給電装置200の送電ユニット220(図1)へ当該車両を誘導するように車両の駐車制御を実行する。
【0067】
二次自己共振コイル112と容量結合される位置に配置された電極115と、電極115に接続された検波回路116は、二次自己共振コイル112に生じた交流信号を本来の受電経路とは別経路で直接検波することができる。
【0068】
車両の位置合わせが完了していない状態では給電装置200から大きな電力を送ることは好ましくない。したがって、位置合わせが完了するまでは微弱電力で送信を行なって受電状態を確認する。
【0069】
受電状態を検出する場合、本来の送電経路に電圧VRが生じるか否かを検出しても良い。しかしこの方法では、微弱な電力では、整流器140で整流された後の電圧VRを検出することは困難である。整流器140では、ダイオード整流が行なわれており、ダイオードの順方向電圧以下の微弱信号は整流器140によって遮断されてしまうからである。ダイオード素子のなかでも大電力用高耐圧品は、特に順方向電圧の影響が大きい。
【0070】
したがって、図5、図6に示すように、本来の受電経路とは別に電極115および検波回路116を設け、二次自己共振コイル112に生じる交流信号を交流信号のまま検出するほうが精度がよい。この方法では、信号の直流オフセット分を削除して信号成分のみを増幅することが可能である。また共鳴周波数のみを通過するフィルタリングが容易で、検出信号のSN比を良くできる。さらにアンプを二次自己共振コイル112に直結すると検波回路116の耐圧が問題になるが、電極115で二次自己共振コイル112とキャパシタ結合が形成されるので検波回路116にもさほど耐圧が要求されずに済む。
【0071】
駐車制御が完了すると、制御装置180は、通信ユニット130を介して給電装置200へ給電指令を送信するとともに、信号SE2を活性化してシステムメインリレーSMR2をオンさせる。そして、制御装置180は、DC/DCコンバータ142を駆動するための信号PWDを生成し、その生成した信号PWDをDC/DCコンバータ142へ出力する。
【0072】
図6は、車両側の受電ユニット110と給電装置側の送電ユニット220についてより詳細に説明するための回路図である。
【0073】
図6を参照して、高周波電源装置210は、高周波交流電源213と、電源のインピーダンスを示す抵抗211とで表わされる。
【0074】
送電ユニット220は、高周波電源装置210に接続される一次コイル232と、電磁誘導により一次コイル232と磁気的に結合される一次自己共振コイル234と、一次自己共振コイル234の両端に接続されたコンデンサ242とを含む。
【0075】
受電ユニット110は、一次自己共振コイル234と、電磁場を介して共鳴する二次自己共振コイル112と、二次自己共振コイル112の両端に直列に接続されるコンデンサ111とを含む。なお、図5に示したようにリレー113で、受電する場合にコンデンサを二次自己共振コイル112に接続するようにしても良い。
【0076】
受電ユニット110は、二次自己共振コイル112と磁気的に結合される二次コイル114をさらに含む。二次コイル114で受電された交流電力は整流器140で整流される。整流器140の出力にはコンデンサC1が接続されている。整流器140の出力側にはさらに充電器(DC/DCコンバータ142)が接続され適切な充電電圧に電圧が変換され、変換後の充電電圧はバッテリ(蓄電装置150)に与えられる。
【0077】
受電ユニット110は、さらに、二次自己共振コイル112と容量結合される位置に配置された電極115と、電極115に生じる交流信号を検波する検波回路116とをさらに含む。給電装置200から送電が可能な位置に車両が停止しているかを確認するために、検波回路116で検波された結果が用いられる。この結果に基づき充電時の車両の位置合わせをする精度を向上させることができる。
【0078】
図7は、図5に示した制御装置180の機能ブロック図である。
図7を参照して、制御装置180は、IPA(Intelligent Parking Assist)−ECU(Electronic Control Unit)410と、EPS(Electric Power Steering)420と、MG(Motor-Generator)−ECU430と、ECB(Electronically Controlled Brake)440と、EPB(Electric Parking Brake)450と、共鳴ECU460と、HV(Hybrid Vehicle)−ECU470とを含む。
【0079】
IPA−ECU410は、車両の動作モードが充電モードのとき、カメラ120から受ける画像情報に基づいて、給電装置200の送電ユニット220(図2)へ車両を誘導する誘導制御を実行する。
【0080】
具体的には、IPA−ECU410は、カメラ120から受ける画像情報に基づいて送電ユニット220を認識する。ここで、送電ユニット220には、送電ユニット220の位置および向きを示す複数の発光部230が設けられており、IPA−ECU410は、カメラ120に映し出された複数の発光部230の映像に基づいて送電ユニット220との位置関係(おおよその距離および向き)を認識する。そして、IPA−ECU410は、その認識結果に基づいて、送電ユニット220へ適切な向きで車両が誘導されるようにEPS420へ指令を出力する。
【0081】
また、IPA−ECU410は、送電ユニット220に車両が近づくことによって送電ユニット220が車体下部に入り込み、カメラ120によって送電ユニット220を撮影できなくなると、カメラ120からの画像情報に基づく誘導制御(第1の誘導制御)の終了をHV−ECU470へ通知する。EPS420は、第1の誘導制御時、IPA−ECU410からの指令に基づいてステアリングの自動制御を行なう。
【0082】
MG−ECU430は、HV−ECU470からの指令に基づいて、モータジェネレータ172,174および昇圧コンバータ162を制御する。詳しくは、MG−ECU430は、モータジェネレータ172,174および昇圧コンバータ162を駆動するための信号を生成してそれぞれインバータ164,166および昇圧コンバータ162へ出力する。
【0083】
ECB440は、HV−ECU470からの指令に基づいて、車両の制動を制御する。詳しくは、ECB440は、HV−ECU470からの指令に基づいて、油圧ブレーキの制御を行なうとともに、油圧ブレーキとモータジェネレータ174による回生ブレーキとの協調制御を行なう。EPB450は、HV−ECU470からの指令に基づいて、電動パーキングブレーキの制御を行なう。
【0084】
共鳴ECU460は、給電装置200(図1)から送出される電力の情報を給電装置200から通信ユニット130を介して受ける。また、共鳴ECU460は、車両における受電状態を示す検波回路116の出力を受ける。そして、共鳴ECU460は、たとえば検波回路116の出力の変化を観察することによって、給電装置200の送電ユニット220と車両の受電ユニット110との距離の変化を検知する。そして、共鳴ECU460は、検出した距離の変化に基づいて車両100を誘導するための第2の車両誘導処理を行なう。
【0085】
HV−ECU470は、第1および第2の車両誘導処理のいずれかの結果に基づいて車両を駆動するMG−ECU430を制御して車両100を移動させる。HV−ECU470は、IPA−ECU410が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってからMG−ECU430に所定距離を超えて車両を移動させても受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が所定の受電可能条件を満たさない場合には、車両100の移動を停止させるための処理を行なう。この処理は、自動でブレーキをかける処理であっても良いし、運転者にブレーキを踏むように指示する処理でも良い。
【0086】
HV−ECU470は、IPA−ECU410が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってからMG−ECU430に所定距離を超えて車両を移動させても受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が所定の受電可能条件を満たさない場合には、受電ユニット110による電力の受電を停止させ共鳴ECU460による誘導を中断する。
【0087】
HV−ECU470は、IPA−ECU410が画像では送電ユニット220の位置を検出できなくなってから所定距離だけ車両が移動する間に受電ユニット110が送電ユニット220から受電する電力が所定の受電可能条件を満たした場合には、共鳴ECU460による誘導を終了し、送電ユニット220から車載の蓄電装置150への充電を行なう準備を開始する。
【0088】
図8は、受電ユニット110の内部の配置を説明するための図である。
図8を参照して、受電ユニット110は、収容部600(シールドケース)と、自己共振コイル112と、コンデンサ111と、電磁誘導二次コイル114と、電極115とを含む。
【0089】
自己共振コイル112と、コンデンサ111と、電磁誘導二次コイル114と、電極115とは収容部600の内部に収容されている。
【0090】
コンデンサ111は、自己共振コイル112の一方端と他方端との間に接続されている。電磁誘導二次コイル114は、整流回路140に接続されている。整流回路140からは、電磁誘導二次コイル114で受電された交流電力が変換された直流電力が出力される。
【0091】
電極115は、二次自己共振コイル112と容量結合される位置に配置されている。電極115に生じる交流信号は、検波回路116によって検波される。
【0092】
図8に示される構成で特徴的なのは以下の点である。
(1)自己共振コイル112より電力を取出し、負荷に供給する整流回路140があり、整流回路140の経路とは別に設けた交流信号を検出するための検波回路116を含む点。
(2)自己共振コイル112とエアギャップを介して近傍に配置された電極115とを含む点。
(3)電極115とシールドケース600のシールドとの間を絶縁する絶縁体(絶縁シートをシールドの上に貼付してもよいし、シールドにスリットを抜いてスリットの内側を電極115とするのでも良い)を含む点。
(4)自己共振コイル112とエアギャップと電極115で形成されたキャパシタを介して、自己共振コイル112の交流信号が検波回路116に入力される点。
【0093】
図9は、検波回路116の一般的な構成の一例を示したブロック図である。
図9を参照して、交流信号が現れる自己共振コイル112と電極115とは結合キャパシタCCを形成する。検波回路116は、電極115が接続される入力ノードと接地ノードとの間に接続された抵抗502と、入力ノードに入力された信号を増幅する低雑音増幅器504と、低雑音増幅器504の出力を受けるPLL回路506と、PLL回路506の出力と低雑音増幅器504の出力とを受けるミキサー508と、ミキサー508の出力を受けるローパスフィルタ510とを含む。ローパスフィルタ510からは検波出力が出力される。この検波出力は制御装置180に入力される。
【0094】
PLL回路506は、低雑音増幅器504の出力を第1入力に受ける位相比較器512と、位相比較器512の出力を受けるループフィルタ514と、ループフィルタ514の出力に応じて発振周波数が変化するVCO(Voltage Controlled Oscillator)516とを含む。
【0095】
図10は、自己共振コイル112と電極115の好適な配置関係を説明するための図である。
【0096】
図10を参照して、斜視図で示す自己共振コイル112Aと上面図で示す自己共振コイル112Bと位置関係を示すために並んで表示されている。この自己共振コイル112A、112Bは1ターンの例である。自己共振コイル112A、112Bは、一方端PAと他方端PFとが略同じ位置に置かれ、それらの間にコンデンサ111が接続されている。
【0097】
電極は、シールドケースの内壁のうち、自己共振コイル112の導電材に沿ういずれかの位置であって、導電材の一方端PA、他方端PF、および一方端PAと他方端PFの中点PCを避けた位置に配置される。
【0098】
図11は、図10の自己共振コイルに生じる交流波形を説明するための図である。
図10、図11を参照して、コイルの一方端PAに生じる波形W(PA)では、振幅が最大値VA(MAX)になり、コイルの中点PCに生じる波形W(PC)では振幅が最小値VA(MIN)となる。
【0099】
つまり、コイルの端部では、振幅が大となり大電力を送電する際にエアギャップに放電が生じる恐れがある。一方、コイルの中点では、振幅が小なので位置あわせ時の微弱信号を検出する場合に感度が悪い。
【0100】
図12は、自己共振コイルの位置による電位の変化を示した図である。
図13は、自己共振コイルの位置による交流波形の電圧振幅を示した図である。
【0101】
図12では、直流成分によってオフセットされた交流波形の最大値が上側に最小値が下側に記載されている。そして最大値と最小値の差が振幅VAとなる。図12、図13に示すように、自己共振コイルの電圧振幅VAは、コイル端PA,PFでは最大値VA(MAX)となり、中点PCでは最小値VA(MIN)となる。
【0102】
図10で説明したように、コイル端コイル端PA,PFでは放電の恐れがあり、中点PCでは感度が悪いので、電極115を設ける位置は、位置PB,PD付近が好ましい。この位置はPB,PDに限定されるものではないが、自己共振コイル112の電圧振幅分布に応じて電極115の位置を設定し、適切な振幅の信号を取出すことが好ましい。
【0103】
図14は、受電ユニット110の断面図の第1例である。
図15は、図14のXV−XVにおける断面図である。
【0104】
図14、図15を参照して、シールドケース600の内部には自己共振コイル112と図示しない電磁誘導コイルとが収容されている。シールドケースの外側は樹脂層601であり、シールドケースの内側には銅箔などの導電層のシールド602が貼り付けられている。導電層のシールド602にはスリット603が設けられ、スリット603の内側は電極115となる。シールドケース600の上側(車体側)には検波回路116が配置されている。なお検波回路116の配置は他の場所であってもかまわない。
【0105】
電極115の位置は、自己共振コイル112が投影された線上にくる。電極115の寸法(幅、長さ)を調整することで、容量値を調整することができる。自己共振コイル112とエアギャップと電極115によって形成される結合キャパシタCCの容量は、電極115の極板サイズで変更可能である。この容量値を調整することで検波回路116に適したレベルの信号を受信することができる。
【0106】
また、プリント配線板のようにシールドを絶縁性の絶縁板の表面に形成した金属箔で構成し、同じ絶縁板表面に検出用の電極のインピーダンス調整用の抵抗器とコネクタ(または検波回路)を構成してもよい。これにより、低コストで特性の安定した検出装置を提供することができる。
【0107】
図16は、受電ユニット110の断面図の第2例である。
図16に示す構成は、図14に示した構成と電極115の配置が異なっている。すなわち、シールドケース600Aの内部には自己共振コイル112と図示しない電磁誘導コイルとが収容されている。シールドケースの外側は樹脂層601であり、シールドケースの内側には銅箔などの導電層のシールド602が貼り付けられている。導電層のシールド602にはスリットが設けられ、スリットの内側は電極115となる。
【0108】
電極115は、電磁波の入射面(図16では開放されているが通常は非導電性の蓋がされている)と車体側のシールド面とをつなぐ面である側面に形成される。側面であれば、どの部分でも概ね自己共振コイル112に沿う位置ということができる。あとは、図10で説明したように、自己共振コイルの端部と中点とを避けるように電極115を配置すればよい。
【0109】
図17は、受電ユニット110の断面図の第3例である。
図17に示す構成も、図14に示した構成と電極115の配置が異なっている。図14、図16では図示省略されていたが、シールドケース600Bは、電磁波入射面にシールド602が施されていない非導電性の蓋604を含む。したがって、蓋604の一部に電極115を貼り付けても良い。電極115と自己共振コイル112の位置関係は、図15に示したように蓋に投影した自己共振コイル112に沿うように電極115が設けられるようにする。
【0110】
最後に、再び図面を参照して本実施の形態について総括する。図8を参照して、本実施の形態の共鳴法によって電力を受電する車両用非接触受電装置は、一方端と他方端を有する導電材が巻回されて形成される自己共振コイル112と、自己共振コイル112を収容する収容部(シールドケース)600と、収容部600の内壁に設けられ、自己共振コイル112の共鳴状態を検出するための電極115とを備える。図10、図15で説明したように、電極115は、内壁のうち、自己共振コイル112の導電材に沿ういずれかの位置であって、導電材の一方端PA、他方端PF、および一方端PAと他方端PFの中点PCを避けた位置に配置される。
【0111】
好ましくは、図10に示すように、自己共振コイル112は、巻回面を側方から見た場合に一方端PAおよび他方端PFが同一の端部側に配置される。電極115は、巻回面を側方から見た場合に端部PA,PFと中点PCとの中間部分PB,PD付近に設けられる。
【0112】
好ましくは、車両用非接触受電装置は、収容部の内壁のうち自己共振コイル112と車室との間に配置される部分に施されたシールド602をさらに備える。電極115は、シールド602とは絶縁されている。なお、電極115とシールド602との間にインピーダンス調整用の抵抗素子を接続しても良い。
【0113】
好ましくは、車両用非接触受電装置は、収容部600にさらに収容される電磁誘導二次コイル114をさらに備える。図16に示すように、電極115は、内壁のうち自己共振コイルと電極との間に電磁誘導コイルが介在しない位置(たとえば側面)に設けられる。なお、側面でなくても、自己共振コイルと電極との間に電磁誘導コイルが介在しない位置として、図14、図17のいずれかの場所のいずれか一方を電磁誘導コイルの配置に応じて選択することが可能である。
【0114】
好ましくは、収容部600Bの内壁は、電磁波を受け入れる第1面(樹脂蓋604)と、第1面に対向する第2面と、第1面と第2面とをつなぐ側面とを含む。図17に示す例では、電極は第1面に設けられる。
【0115】
好ましくは、600収容部の内壁は、電磁波を受け入れる第1面と、第1面に対向する第2面と、第1面と第2面とをつなぐ側面とを含む。図15に示す例では、電極は第2面に設けられる。
【0116】
好ましくは、収容部の内壁は、電磁波を受け入れる第1面と、第1面に対向する第2面と、第1面と第2面とをつなぐ側面とを含む。図16に示す例では、電極は側面に設けられる。
【0117】
また、他の局面に従うと、図8に示すように、車両用非接触受電装置は、自己共振コイル112と、自己共振コイル112を収容する収容部600と、収容部600の内壁に設けられ、自己共振コイル112の共鳴状態を検出するための電極115と、収容部600の内壁のうち自己共振コイル112と車室との間に配置される部分に施されたシールド602とを備える。図15に示すように、電極115は、シールド602と同一面上に設けられ、スリット603によって絶縁されている。
【0118】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0119】
10 車両用給電システム、100 車両、110 受電ユニット、111,242,C1 コンデンサ、112,112A,112B 自己共振コイル、113 リレー、114 電磁誘導二次コイル、115 電極、116 検波回路、120 カメラ、122 給電ボタン、130,240 通信ユニット、140 整流器、142 コンバータ、150 蓄電装置、162 昇圧コンバータ、164,166 インバータ、172,174 モータジェネレータ、176 エンジン、177 動力分割装置、178 駆動輪、180 制御装置、190 電圧センサ、200 給電装置、210 高周波電源装置、211,502 抵抗、213 高周波交流電源、220 送電ユニット、230 発光部、232,320 一次コイル、234,330 一次自己共振コイル、310 高周波電源、340 二次自己共振コイル、350 二次コイル、360 負荷、504 低雑音増幅器、506 PLL回路、508 ミキサー、510 ローパスフィルタ、512 位相比較器、514 ループフィルタ、600,600A,600B シールドケース、601 樹脂層、602 シールド、603 スリット、604 蓋、CC 結合キャパシタ、460 共鳴ECU、SMR1,SMR2 システムメインリレー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共鳴法によって電力を受電する車両用非接触受電装置であって、
一方端と他方端を有する導電材が巻回されて形成される自己共振コイルと、
前記自己共振コイルを収容する収容部と、
前記収容部の内壁に設けられ、前記自己共振コイルの共鳴状態を検出するための電極とを備え、
前記電極は、前記内壁のうち、前記自己共振コイルの導電材に沿ういずれかの位置であって、前記導電材の前記一方端、前記他方端、および前記一方端と前記他方端の中点を避けた位置に配置される、車両用非接触受電装置。
【請求項2】
前記自己共振コイルは、巻回面を側方から見た場合に前記一方端および前記他方端が同一の端部側に配置され、
前記電極は、前記巻回面を側方から見た場合に前記端部と前記中点との中間部分に設けられる、請求項1に記載の車両用非接触受電装置。
【請求項3】
前記収容部の内壁のうち前記自己共振コイルと車室との間に配置される部分に施されたシールドをさらに備え、
前記電極は、前記シールドとは絶縁されている、請求項1または2に記載の車両用非接触受電装置。
【請求項4】
前記収容部にさらに収容される電磁誘導コイルをさらに備え、
前記電極は、前記内壁のうち前記自己共振コイルと前記電極との間に前記電磁誘導コイルが介在しない位置に設けられる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用非接触受電装置。
【請求項5】
前記収容部の内壁は、
電磁波を受け入れる第1面と、
前記第1面に対向する第2面と、
前記第1面と前記第2面とをつなぐ側面とを含み、
前記電極は前記第1面に設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用非接触受電装置。
【請求項6】
前記収容部の内壁は、
電磁波を受け入れる第1面と、
前記第1面に対向する第2面と、
前記第1面と前記第2面とをつなぐ側面とを含み、
前記電極は前記第2面に設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用非接触受電装置。
【請求項7】
前記収容部の内壁は、
電磁波を受け入れる第1面と、
前記第1面に対向する第2面と、
前記第1面と前記第2面とをつなぐ側面とを含み、
前記電極は前記側面に設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用非接触受電装置。
【請求項8】
共鳴法によって電力を受電する車両用非接触受電装置であって、
自己共振コイルと、
前記自己共振コイルを収容する収容部と、
前記収容部の内壁に設けられ、前記自己共振コイルの共鳴状態を検出するための電極と、
前記収容部の内壁のうち前記自己共振コイルと車室との間に配置される部分に施されたシールドとを備え、
前記電極は、前記シールドと同一面上に設けられ、スリットによって絶縁されている、車両用非接触受電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−244641(P2011−244641A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116218(P2010−116218)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】