説明

車両計量方法及び車両計量システム

【課題】 安定した計量動作が可能な車両計量方法及び車両計量システムの提供。
【解決手段】 指示計10は、計量対象の車両に搭載されたETC車載器6から、ETC車載器6のWCNを取得するWCN取得手段と、当該WCN取得手段によって取得されたWCNと対応付けられている車両属性情報を、予め記憶している車両情報から取得することによって、計量対象の車両4を特定する車両特定手段とを備え、トラックスケール1は、車両4が載台2に乗り込んだ場合であって、載台2上で停止したときに、載台2に対する荷重に応じた質量信号を、指示計10に対して出力する出力手段を備え、指示計10は更に、トラックスケール1から出力された質量信号と車両属性情報とに基づいて、車両4の質量を計測する車両計量手段と、当該車両計量手段による計測の結果を示す計量結果情報を、ETC車載器6へ送信する計量結果情報送信手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックなどの車両の質量を計測する車両計量方法に関し、特にETC(自動料金収受システム:Electronic Toll Collection system)を利用した車両計量方法、及びその方法を実施するための車両計量システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パンチ孔の位置及び数によって情報を記録することができるパンチカードを利用して、積荷を積載した車両の質量の計測を実行する車両計量システムが従来から普及している。このような車両計量システムの場合、計量に必要な情報をパンチ孔によって記録したパンチカードを各車両に対して用意しておき、そのパンチカードを読み取り機に読み取らせることによって、車両の計量を効率良く行うことができる。
【0003】
しかし、パンチカードを用いる場合、車両の乗務員が読み取り機にパンチカードを挿入するなどの操作が必要となり、また、情報を書き換える必要があるときは新たなパンチカードを用意しなければならないなど、繁雑な処理を要することがある。
【0004】
そこで、パンチカードの代わりにRFIDタグを利用して、車両の質量の計測を自動的に実行することができる車両計量システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このようにRFIDタグを用いる場合、受信機がRFIDタグに記録されている情報を無線通信で受信することになるため、乗務員による特別な操作は不要であり、しかも、情報の書き換えがパンチカードと比べて容易であるなどの利点がある。
【特許文献1】特許第3235240号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したようにRFIDタグを用いる場合は種々の利点があるものの、パンチカードの場合と同様に、車両計量のための専用のRFIDタグを各車両に対して用意しなければならないため、そのコストは相当なものとなり得る。
【0006】
また、RFIDタグの場合、ガラスを介して通信する際に信号が減衰したり、水の付着によって信号が減衰したりするなど、周辺の環境により通信が不安定になるといった問題がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、計量動作を安定して行うことができ、しかも安価に構成することができる車両計量方法、及びその方法を実施するための車両計量システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等は、車両の計量動作を安定して実行することができ、且つ安価に構成することができる車両計量方法及び車両計量システムを実現するために、どのような技術を用いるべきかについて鋭意検討した。その結果、近年、ETCが急速に普及しつつあり、多くの車両にETC車載器が搭載されるようになっている点に着目した。そして、ETC車載器を搭載している車両の識別子であるWCN(Wireless Call Number)を用いることによって、自動的な計量動作が実現可能であると考えた。
【0009】
このような知見に基づいて、本発明者等は、以下に示す発明をした。
【0010】
本発明の車両計量方法は、車両を載置する載台を備え、当該載台に対する荷重に応じた質量信号を出力するトラックスケールと、当該トラックスケールと通信可能に接続され、ETC車載器のWCNと当該ETC車載器を搭載した車両の属性に関する車両属性情報とが対応付けられてなる車両情報を記憶する車両情報記憶部を備える車両計量装置とを用いて、車両の質量を計測する車両計量方法であって、前記車両計量装置が、計量対象の車両に搭載されたETC車載器から、当該ETC車載器のWCNを取得するステップと、取得したWCNと対応付けられている車両属性情報を、前記車両情報記憶部に記憶されている車両情報から取得することによって、前記車両計量装置が、計量対象の車両を特定するステップと、前記特定した車両が前記載台に乗り込んだ場合であって、前記載台上で停止したときに、前記トラックスケールから出力される質量信号と、前記取得した車両属性情報とに基づいて、前記車両計量装置が、前記特定した車両の質量を計測するステップと、前記計測した結果を示す計量結果情報を、前記車両計量装置から前記ETC車載器へ送信するステップとを有する。
【0011】
このようにETC車載器を利用する場合、RFIDタグなどを利用する場合と比べて、安定した通信を実現することができる。また、WCNを用いることによって計量対象の車両を特定することが可能となるため、自動的な計量動作を行うことができる。さらに、計量結果情報をETC車載器へ送信することによって、車両の乗務員は特別な操作をすることなく計量結果を確認することが可能となる。
【0012】
前記発明に係る車両計量方法において、前記載台に対して車両が進入可能であることを示す進入可能情報を、前記車両計量装置から前記ETC車載器へ送信するようにしてもよい。
【0013】
また、前記発明に係る車両計量方法において、前記ETC車載器は、当該ETC車載器を搭載している車両に設けられ、ディスプレイ部を有するナビゲーションシステムと通信可能に接続されており、前記進入可能情報を、前記ETC車載器から前記ナビゲーションシステムへ送信するステップと、前記ナビゲーションシステムが、前記進入可能情報を前記ディスプレイ部にて表示するステップとを更に有するようにしてもよい。
【0014】
また、前記発明に係る車両計量方法において、車両に積載された積荷の種別を含む、車両の計量に必要となる計量用情報を、前記ETC車載器から前記車両計量装置へ送信するステップを更に有し、前記車両の質量を計測するステップでは、前記車両計量装置が、前記質量信号と、前記取得した車両属性情報と、前記計量用情報とに基づいて、前記特定した車両の質量を計測するようにしてもよい。
【0015】
また、前記発明に係る車両計量方法において、前記載台周辺に配されたセンサからの出力信号に基づいて、計量対象の車両が前記載台に乗り込んだことを、前記車両計量装置が検知するステップを更に有し、当該検知するステップの後に、前記車両の質量を計測するステップが実行されるようにしてもよい。
【0016】
また、前記発明に係る車両計量方法において、前記車両属性情報には、車両の車軸数が含まれており、前記載台に乗り込んだ車両の車軸数を検出するステップと、 検出した車軸数と、前記車両属性情報に含まれる車軸数とに基づいて、計量対象の車両が前記載台に乗り込んだことを、前記車両計量装置が検知するステップとを更に有し、当該検知するステップの後に、前記車両の質量を計測するステップが実行されるようにしてもよい。
【0017】
また、前記発明に係る車両計量方法において、前記ETC車載器は、当該ETC車載器を搭載している車両に設けられ、ディスプレイ部を有するナビゲーションシステムと通信可能に接続されており、前記計量結果情報を、前記ETC車載器から前記ナビゲーションシステムへ送信するステップと、前記ナビゲーションシステムが、前記計量結果情報を前記ディスプレイ部にて表示するステップとを更に有するようにしてもよい。
【0018】
また、前記発明に係る車両計量方法において、前記計測するステップの実行後に、前記載台から車両が退出可能であることを示す退出可能情報を、前記車両計量装置から前記ETC車載器へ送信するステップを更に有するようにしてもよい。
【0019】
さらに、前記発明に係る車両計量方法において、前記ETC車載器は、当該ETC車載器を搭載している車両に設けられ、ディスプレイ部を有するナビゲーションシステムと通信可能に接続されており、前記退出可能情報を、前記ETC車載器から前記ナビゲーションシステムへ送信するステップと、前記ナビゲーションシステムが、前記退出可能情報を前記ディスプレイ部にて表示するステップとを更に有するようにしてもよい。
【0020】
本発明の車両計量システムは、車両を載置する載台を備え、当該載台に対する荷重に応じた質量信号を出力するトラックスケールと、当該トラックスケールと通信可能に接続され、ETC車載器のWCNと当該ETC車載器を搭載した車両の属性に関する車両属性情報とが対応付けられてなる車両情報を記憶する車両情報記憶部を備える車両計量装置とを具備する、車両の質量を計測する車両計量システムであって、前記車両計量装置は、計量対象の車両に搭載されたETC車載器から、当該ETC車載器のWCNを取得するWCN取得手段と、当該WCN取得手段によって取得されたWCNと対応付けられている車両属性情報を、前記車両情報記憶部に記憶されている車両情報から取得することによって、計量対象の車両を特定する車両特定手段とを備え、前記トラックスケールは、当該車両特定手段によって特定された車両が前記載台に乗り込んだ場合であって、前記載台上で停止したときに、当該載台に対する荷重に応じた質量信号を、前記車両計量装置に対して出力する出力手段を備え、前記車両計量装置は更に、前記トラックスケールから出力された質量信号と、前記取得した車両属性情報とに基づいて、前記特定された車両の質量を計測する車両計量手段と、当該車両計量手段による計測の結果を示す計量結果情報を、前記ETC車載器へ送信する計量結果情報送信手段とを備える。
【0021】
前記発明に係る車両計量システムにおいて、前記ETC車載器と無線で通信可能に接続され、しかも前記車両計量装置と通信可能に接続されるDSRC無線機を更に具備し、前記車両計量装置と前記ETC車載器との間の通信は、前記DSRC無線機を介してなされるようにしてもよい。
【0022】
また、前記発明に係る車両計量システムにおいて、前記車両計量装置は、前記載台に対して車両が進入可能であることを示す進入可能情報を、前記ETC車載器へ送信する進入可能情報送信手段を更に備えるようにしてもよい。
【0023】
また、前記発明に係る車両計量システムにおいて、前記計量手段は、前記質量信号と、前記取得した車両属性情報と、前記ETC車載器から受け取った、車両に積載された積荷の種別を含む、車両の計量に必要となる計量用情報とに基づいて、前記特定された車両の質量を計測するように構成されていてもよい。
【0024】
また、前記発明に係る車両計量システムにおいて、前記載台周辺にはセンサが配されており、前記車両計量装置は、前記センサからの出力信号に基づいて、計量対象の車両が前記載台に乗り込んだことを検知する乗り込み検知手段を更に備えるようにしてもよい。
【0025】
また、前記発明に係る車両計量システムにおいて、前記車両属性情報には、車両の車軸数が含まれており、前記車両計量装置は、前記載台に乗り込んだ車両の車軸数を検出する車軸数検出手段と、当該車軸数検出手段によって検出された車軸数と、前記車両属性情報に含まれる車軸数とに基づいて、計量対象の車両が前記載台に乗り込んだことを検知する乗り込み検知手段を更に備えるようにしてもよい。
【0026】
さらに、前記発明に係る車両計量システムにおいて、前記車両計量装置は、前記計量手段による計測の終了後に、前記載台にから車両が退出可能であることを示す退出可能情報を、前記ETC車載器へ送信する退出可能情報送信手段を更に備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の車両計量方法及び車両計量システムによれば、ETCを利用することによって、停止中の車両に対する計量動作を安定して実行することができるとともに、安価に構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
(車両計量システムの構成例)
図1は、本発明の一実施形態に係る車両計量システムの構成を示す概念図であり、図2は、同じく車両計量システムの構成を示すブロック図である。また、図3は、本発明の一実施形態に係る車両計量システムが備えるトラックスケールの構成を示す平面図であり、図4は、同じくトラックスケール及び指示計の構成を示すブロック図である。
【0030】
図1及び図2に示されるように、本発明の車両計量システムは、トラックスケール1と、そのトラックスケール1と通信可能に接続され、車両計量装置として機能する指示計10と、通信インターフェースであるインターフェースボックス11を介して、指示計10と通信可能に接続されたDSRC(専用狭域通信:Dedicated Short Range Communication)無線機7とを備えている。
【0031】
トラックスケール1は、図1及び図3に示されるように、車両4が有する各車軸S1,S2の両端の車輪4a,4b;4c,4dを同時に載せることができる大きさの載台2と、載台2の下方の四隅に設けられた4個のロードセル3a,3b,3c,3dとを備えている。
【0032】
なお、本実施の形態では、車両4として2軸の車両を例示しているが、車両4が3軸以上の車両であってもよいことは勿論である。その場合、載台2は、3以上の各車軸の両端の車輪のすべてを同時に載せることができる大きさである必要がある。
【0033】
また、本実施の形態では、トラックスケール1が4個のロードセル3a,3b,3c,3dを備えているが、ロードセルの個数は任意であって、例えば、6個又は8個のロードセルを備えるようにしてもよい。さらに、本実施の形態におけるトラックスケール1が備えるロードセルはアナログロードセルであるが、デジタルロードセルを用いるようにしてもよい。デジタルロードセルを用いる場合では、そのロードセルにA/D変換器が内蔵されているため、トラックスケール1と指示計10とはデジタルで通信することになる。
【0034】
図4に示されるように、ロードセル3a,3b,3c,3dの質量信号は、後述するように指示計10に備えられたA/D変換器へ出力される。
【0035】
トラックスケール1の載台2に車両4が乗り込む直前の位置には、車両4の通過を検出するためのセンサとして機能するループコイル5が埋設されている。このループコイル5は、図2に示されるように、指示計10と通信可能に接続されている。ループコイル5の情報を車両4が通過した場合、そのループコイル5のインダクタンスの変化を指示計10が検出することができ、その検出結果に応じて、指示計10は、車両4がループコイル5の上方を通過したか否かを判断することができる。
【0036】
なお、車両4の通過を検出するためのセンサとしては、ループコイルの他にも、例えば、光電管、超音波センサ、及びパークセンテナ(登録商標)などを用いることが可能である。
【0037】
DSRC無線機7は、ゲート8の適宜の位置に配設され、トラックなどの車両4に搭載されたETC車載器6との間で、DSRC規格にしたがって無線通信を行うように構成されている。また、本実施の形態では、DSRC無線機7は、上述したように、インターフェースボックス11を介して指示計10とも通信可能に接続されているが、インターフェースボックス11を介さずにDSRC無線機7と指示計10とが直接通信するようにしてもよい。なお、DSRC無線機7と指示計10との間の通信は、有線でなされても無線でなされてもよい。
【0038】
なお、ETC車載器6は、WCNが予め記憶されている記憶装置を備えている。さらに、ETC車載器6は、後述するように、ブザー音を出力する出力装置及び所定の情報を入力するためのキーなどから構成される入力装置を備えている。
【0039】
車両4には、ETC車載器6の他にも、このETC車載器6と通信可能に接続されたナビゲーションシステム21及びプリンタ22が搭載されている。ここで、ナビゲーションシステム21は、GPS(全地球測位システム:Global Positioning System)などを用いて、車両4の位置及び進行方向などの情報を運転者に対して提示する電子機器である。このナビゲーションシステム21は、ディスプレイ21aを備えており、このディスプレイ21aに各種の情報を表示する。また、プリンタ22は、ETC車載器6から出力される情報を、所定の方式にしたがって紙媒体に印刷するように構成されている。
【0040】
指示計10は、図4に示されるように、演算装置及び制御装置として機能するCPU(中央処理装置:Central Processing Unit)41と、主記憶装置であるメモリ42と、補助記憶装置であるハードディスク44と、A/D変換器45と、通信インターフェース(I/F)46とがバスで接続されて構成されている。
【0041】
A/D変換器45には、上述したように、トラックスケール1のロードセル3a,3b,3c,3dからアナログの質量信号が出力される。この場合、A/D変換器45は、アナログの質量信号をデジタルの質量信号へ変換し、そのデジタルの質量信号をCPU41に対して出力する。この場合、CPU41は、入力された質量信号に基づいて、トラックスケール1の載台2上の車両4の質量値を算出する。
【0042】
なお、トラックスケール1のロードセル3a,3b,3c,3dからは、所定の時間間隔で質量信号が出力され、それらの質量信号は、A/D変換器45へ繰り返し出力される。そして、A/D変換器45にて、デジタルの質量信号への変換が順次行われ、それらのデジタルの質量信号がCPU41へ順次出力される。その結果、CPU41では、所定の時間間隔で車両4の質量値を算出することになる。
【0043】
通信I/F46は、外部の装置と通信するために用いられるインターフェースである。ここでの外部の装置には、上述したインターフェースボックス11及び図2に示す電子メール受信端末23などが含まれる。
【0044】
ハードディスク44には、ETC車載器を搭載した車両の識別子であるWCNとそのETC車載器を搭載した車両の属性に関する車両属性情報とが対応付けられてなる車両情報を記憶する車両情報データベース(DB)44が設けられている。
【0045】
図5は、車両情報データベースに記憶される車両情報のレイアウトの一例を示す概念図である。図5に示されるように、車両情報は、WCNフィールド44a、車両番号(車番)フィールド44b、車軸数フィールド44c、総量フィールド44d、風袋量フィールド44e、及び正味量フィールド44fの各フィールドを有している。
【0046】
WCNフィールド44aには、車両に搭載されているETC車載器に記憶されているWCNが、車番フィールド44bには、そのETC車載器を搭載している車両の車両番号が、車軸数フィールド44cには、その車両の車軸数がそれぞれ格納される。また、総量フィールド44dには、その車両の総量の計測結果が、風袋量フィールド44eには、その車両の風袋量が、正味量フィールド44fには、車両の総量から風袋量を減ずることによって得られる、積荷の正味量の計測結果がそれぞれ格納される。本実施の形態において、車両情報のうち、WCNを除く、車両番号、車軸数、車両の総量、車両の風袋量、及び積荷の正味量は、車両属性情報として位置付けられる。この車両属性情報を参照すれば、その車両の属性を知ることができるため、複数の車両群から一の車両を識別すること、すなわち、車両を特定することが可能となる。
【0047】
なお、WCN、車両番号、車軸数及び車両の風袋量は、予め車両情報DB44に登録されており、他方、車両の総量及び積荷の正味量の計測結果は、計量動作の終了後に車両情報DB44に登録される。
【0048】
本実施の形態において、車両の風袋量は、上述したように予め車両情報DB44に登録されている。しかし、このように予め登録されているのではなく、後述する計量動作を行う前に、積荷を積んでいない状態で車両4の計量を行い、その計量の結果を車両4の風袋量として車両情報DB44に登録するようにしてもよい。
【0049】
(車両計量システムの動作例)
次に、以上のように構成された本実施の形態の車両計量システムの動作例について、フローチャートなどを参照しながら説明する。
【0050】
[車両計量システムの動作の概略フロー]
まず、本実施の形態の車両計量システムの動作の概略について説明する。
【0051】
図6は、本発明の一実施形態に係る車両計量システムの動作の概略フローを示すフローチャートである。図6のフローチャートに示されるように、本実施の形態の車両計量システムでは、まず計量対象の車両4をトラックスケール1の載台2に対して進入する際に、進入可能であることを車両4の乗務員に伝えるための車両進入処理を実行する(S1001)。車両進入後又は車両の進入前に、乗務員は、車両4内において車両の計量に必要となる計量用情報を入力する操作を行う(S1002)。
【0052】
次に、計量対象の車両4が、載台2上に乗り込んだか否かを確認する車両乗り込み確認処理を実行する(S1003)。その後、WCNに基づいて、計量対象の車両4を特定する車両特定処理を実行する(S1004)。その後、車両4の計量処理を実行し(S1005)、その計量処理の結果を乗務員に対して出力する計量結果出力処理を実行する(S1006)。
【0053】
そして、質量(車両の総量又は積荷の質量など)に応じて定められる料金の収受を行う料金収受処理を実行し(S1007)、最後に、載台2からの退出が可能であることを車両4の乗務員に伝えるための車両退出処理を実行する(S1008)。
【0054】
なお、上記の各処理は、必要に応じて省略可能である。例えば、料金の収受が不要な場合であれば、ステップS1008の料金収受処理は省略される。また、後述するように、予め計量用情報が指示計10に記憶されているような場合であれば、ステップS1002の車両内操作は省略される。
【0055】
また、必要に応じて、上記の各処理の順序を変更したり、同時に実行したりすることも可能である。例えば、ステップS1003の車両乗り込み確認処理とステップS1004の車両特定処理との順序を入れ替えて、先に車両の特定を行い、その後車両の乗り込みの確認を行うようにしてもよく、これらの車両特定処理及び車両乗り込み確認処理を同時に行うようにしてもよい。また、ステップS1006の計量結果出力処理及びステップS1007の料金収受処理を同時に実行することにして、計量結果を出力するとともに料金収受を行うようにしてもよい。
【0056】
[車両計量システムの動作の詳細フロー]
次に、上述した本実施の形態の車両計量システムの動作の詳細について説明する。
【0057】
<車両進入処理>
図7は、車両進入処理に伴う、本実施の形態の車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器の動作の流れの一例を示すフローチャートである。なお、この車両進入処理が実行される際は、車両4が載台2の直前で停止しているものとする。
【0058】
まず、指示計10は、トラックスケール1の載台2上に他の車両が乗り込んだままでないかなどを確認し、車両4の載台2への進入が可能であると判断した場合、進入が可能であることを示す進入可能情報を、DSRC無線機7へ送信する(S11)。
【0059】
DSRC無線機7は、指示計10から送信された進入可能情報を受信した場合(S21)、その受信した進入可能情報をETC車載器6へ無線通信にて送信する(S22)。
【0060】
ETC車載器6は、DSRC無線機7から送信された進入可能情報を受信した場合(S23)、所定のブザー音を出力装置にて出力する(S24)。このブザー音によって、車両4の乗務員は、車両4の載台2への進入が可能であることを知ることができる。
【0061】
なお、このようにETC車載器6から出力されるブザー音によって、車両4の載台2への進入が可能であることを車両4の乗務員に対して伝えるのではなく、ETC車載器6から出力される音声によってその旨を伝えるようにしてもよい。また、それ以外にも、ETC車載器6と接続されたナビゲーションシステム21を用いて伝えるようにしてもよい。以下、ナビゲーションシステム21を用いる場合の動作例について説明する。
【0062】
図8は、車両進入処理に伴う、本実施の形態の車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器及びナビゲーションシステムの動作の流れの一例を示すフローチャートである。なお、指示計10におけるステップS11、DSRC無線機7におけるステップS21及びS22、並びにETC車載器6におけるステップS23については、上述した場合と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
ETC車載器6は、ステップS23にてDSRC無線機7から送信された進入可能情報を受信した場合、その受信した進入可能情報をナビゲーションシステム21に対して送信する(S25)。
【0064】
ナビゲーションシステム21は、ETC車載器6から送信された進入可能情報を受信した場合(S31)、その受信した進入可能情報をディスプレイ21aにて表示する(S32)。その結果、車両4の乗務員は、車両4の載台2への進入が可能であることを知ることができる。
【0065】
従来の車両計量システムの場合、指示計によって制御される信号灯を用いて、車両の載台への進入が可能であることを伝えていた。これに対し、本実施の形態では、ETC車載器6から出力されるブザー音又はナビゲーションシステム21のディスプレイ21aでの表示によって、車両4の載台2への進入が可能であることを、車両4の乗務員へ伝えることができる。これにより、信号灯などの特別の装置が不要となる。
【0066】
<車両内操作>
車両進入処理が実行された結果、車両4の載台2への進入が可能であることを知った車両4の乗務員は、ETC車載器6の入力装置を用いて、車両の計量に必要となる計量用情報を入力する。ここで、計量用情報には、車両に積載された積荷の種別、車両を管理する事業者の事業者名、及び車検証に記載されている最大積載量などが含まれる。
【0067】
乗務員は、車両内操作の終了後に、車両4を載台2へ進入させる。なお、乗務員が、車両内操作を行う前に車両4を載台2へ進入させ、停止させた後に、車両内操作をするようにしてもよい。
【0068】
上述したように、本実施の形態では、車両の乗務員が計量用情報をETC車載器に対して入力するように構成されているが、本発明はこのような態様に限定されるわけではなく、例えば、計量用情報が、WCN、車両番号及び車軸数とともに、予め車両情報DB44に登録されていてもよい。その場合、車両内操作は不要となる。
【0069】
<車両乗り込み確認処理>
図9は、車両乗り込み確認処理に伴う、本実施の形態の車両計量システムが備える指示計の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0070】
まず、指示計10は、ループコイル5からの出力信号を受信することによって、ループコイル5のインダクタンスの変化量を検出する(S71)。そして、指示計10は、その変化量に基づいて、ループコイル5の上方を車両4が通過したか否かを判定する(S72)。ここで、車両4が通過していないと判定した場合(S72でNO)、指示計10は、ステップS71へ戻る。他方、車両4が通過したと判定した場合(S72でYES)、指示計10は、車両4がトラックスケール1の載台2上に進入し、載台2への乗り込みが完了したと認識する(S73)。
【0071】
このようにして、車両4の載台2への乗り込みを確認した指示計10は、後述するようにして計量処理を実行することになる。
【0072】
なお、上述したように、車両乗り込みの確認を、ループコイルなどのセンサを用いて行うのではなく、車軸数を検出することによって行うようにしてもよい。以下は、その実施例である。
【0073】
図10は、車両乗り込み確認処理に伴う、本実施の形態の車両計量システムが備える指示計の動作の流れの他の例を示すフローチャートである。
【0074】
まず、指示計10は、上述したようにして取得している車両情報から、計量対象の車両の車軸数を取得する(S81)。以下、このようにして取得された車軸数を「登録車軸数」という。
【0075】
次に、指示計10は、トラックスケール1の載台2へ進入する車両4の車軸数を検出する車軸数検出処理を実行する。この車軸数検出処理において、指示計10は、CPU41において順次算出される車両4の質量値の変化に基づいて、車両4の車軸が載台2に進入したか否かを判定する。より具体的には、例えば次のようにして車軸数検出処理が実行される。
【0076】
まず、計量対象になり得る車両の車軸の質量に相当する値(以下、「登録車軸質量値」という)を、指示計10のCPU41内のレジスタに予め登録しておく。また、CPU41内の他のレジスタには、トラックスケール1にて計量可能な質量の下限を示す下限値が予め登録されている。そして、CPU41は、質量値が算出される都度、その算出された質量値w及び下限値の差と、登録車軸質量値とを比較する。この比較処理は、質量値w及び下限値の差が登録車軸質量値よりも大きくなるまで繰り返し実行される。ここで、質量値w及び下限値の差が登録車軸質量値よりも大きくなった場合に、CPU41は、車両4の車軸が載台2上に進入したと判断する。
【0077】
指示計10は、検出された車軸数(以下、「検出車軸数」という)とステップS81にて取得した登録車軸数とが一致するか否かを判定する(S83)。ここで、一致しないと判定した場合(S83でNO)、指示計10は、ステップS82に戻って車軸数検出処理を実行する。
【0078】
ここでの車軸数検出処理では、CPU41が、予め定められた車軸検出判定用の閾値を新たな下限値に設定した上で、上述したようにして、質量値w及び下限値の差と登録車軸質量値との比較を行うことによって、新たな載台2への車軸の進入を判断することになる。そして、車軸の進入が確認できた場合、その都度、検出車軸数を1つずつインクリメントする。
【0079】
指示計10は、検出車軸数と登録車軸数とが一致するまで、ステップS82及びS83を繰り返す。そして、検出車軸数と登録車軸数とが一致したと判定した場合(S83でYES)、指示計10は、車両4の載台2上への乗り込みが完了したと認識する(S84)。
【0080】
このように処理することによって、車両の車軸数に基づいて、車両乗り込みの確認を行うことができる。
【0081】
なお、車両4の乗務員は、車両4の載台2への乗り込みが完了した場合、車両4を載台2上で停止させる。
【0082】
<車両特定処理>
図11は、車両特定処理に伴う、本実施の形態の車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0083】
まず、ETC車載器6は、記憶装置に記憶されているWCNと、車両4の乗務員によって入力された計量用情報とを、DSRC無線機7へ無線通信にて送信する(S41)。
【0084】
DSRC無線機7は、ETC車載器6から送信されたWCN及び計量用情報を受信した場合(S51)、その受信したWCN及び計量用情報を指示計10へ送信する(S52)。
【0085】
指示計10は、DSRC無線機7から送信されたWCN及び計量用情報を受信した場合(S61)、その受信したWCNをキーとして車両情報DB44を検索する(S62)。その検索の結果、指示計10は、当該WCNを含む車両情報を取得することができる。
【0086】
次に、指示計10は、取得した車両情報において、WCNと対応付けられている車両属性情報のうちの車両番号及び車軸数を用いて、計量対象の車両を特定する(S63)。そして、指示計10は、特定した車両に係る車両属性情報と、ステップS61にて受信した計量用情報とを含む計量対象情報を生成し(S64)、その生成した計量対象情報をメモリ42に記憶する(S65)。
【0087】
なお、上述したように、計量用情報が車両情報DB44に予め登録されている場合であれば、指示計10が、ステップS64において、前記取得した車両情報に含まれる計量用情報と車両属性情報とを含む計量対象情報を生成するようにすればよい。
【0088】
<計量処理>
図12は、計量処理に伴う、本実施の形態の車両計量システムが備える指示計の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0089】
上述した車両乗り込み確認処理の結果、トラックスケール1の載台2上への車両4の乗り込みが完了したと認識した指示計10は、車両乗り込み確認処理後に順次算出される質量値に基づいて、停止中の車両4の総量を取得する(S91)。より具体的には、例えば車両乗り込み確認終了から所定の時点までに算出された複数の質量値の平均値を算出し、その算出された平均値を車両4の総量とする。または、車両乗り込み確認終了後の特定の時点における質量値を車両4の総量としてもよい。
【0090】
次に、指示計10は、上述したようにして取得している車両情報から車両4の風袋量を読み出し、ステップS91にて取得した車両4の総量から、その読み出した車両4の風袋量を減ずることによって、車両4に積載されている積荷の正味量を取得する(S92)。
【0091】
そして、指示計10は、車両情報における総量フィールド及び正味量フィールドに、ステップS91にて取得した車両4の総量及びステップS92にて取得した積荷の正味量をそれぞれ格納することによって、車両情報を更新する(S93)。
【0092】
<計量結果出力処理>
図13は、計量結果出力処理に伴う、本実施の形態の車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器及びナビゲーションシステムの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0093】
指示計10は、上述した計量処理の終了後、計量処理の結果得られた車両4の総量及び積荷の正味量と、前述したようにして取得している計量用情報における積荷の種別及び事業者名と、同じく車両情報における車両番号および車両の風袋量とを含む計量結果情報を生成し、その計量結果情報をDSRC無線機7へ送信する(S101)。
【0094】
DSRC無線機7は、指示計10から送信された計量結果情報を受信した場合(S111)、その受信した計量結果情報をETC車載器6に対して無線通信にて送信する(S112)。
【0095】
ETC車載器6は、DSRC無線機7から送信された計量結果情報を受信した場合(S121)、その受信した計量結果情報をナビゲーションシステム21へ送信する(S122)。
【0096】
ナビゲーションシステム21は、ETC車載器6から送信された計量結果情報を受信した場合(S131)、ディスプレイ21aにて、その受信した計量結果情報を表示する(S132)。
【0097】
図14は、上述したようにしてナビゲーションシステム21のディスプレイ21aにて表示される計量結果情報の表示例を示す概念図である。
【0098】
図14に示されるように、ナビゲーションシステム21のディスプレイ21aには、日時の他、計量結果情報に含まれる事業者名、車両4の車両番号、車両4に積載されている積荷の種別(品種)、車両4の総量、車両4の風袋量、及び積荷の正味量が対応付けられて表示される。その結果、車両4の乗務員は、計量結果を容易に確認することができる。
【0099】
このように、ナビゲーションシステム21のディスプレイ21aに計量結果情報を表示するとともに又は表示する代わりに、プリンタ22にて計量結果情報を紙媒体に出力するようにしてもよい。以下、その場合の動作例について説明する。
【0100】
図15は、計量結果出力処理に伴う、本実施の形態の車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器及びプリンタの動作の流れの一例を示すフローチャートである。なお、指示計10におけるステップS101、DSRC無線機7におけるステップS111及びS112、並びにETC車載器6におけるステップS121については、上述した場合と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0101】
ETC車載器6は、ステップS121にてDSRC無線機7から送信された計量結果情報を受信した場合、その受信した計量結果情報をプリンタ22に対して送信する(S123)。
【0102】
プリンタ22は、ETC車載器6から送信された計量結果情報を受信した場合(S141)、その受信した計量結果情報を印字する(S142)。
【0103】
図16は、上述したようにしてプリンタ22にて印字される計量結果情報の印字例を示す概念図である。
【0104】
図16に示されるように、ナビゲーションシステム21のディスプレイ21aに表示される場合と同様に、日時の他、計量結果情報に含まれる事業者名、車両4の車両番号、車両4に積載されている積荷の種別(品種)、車両4の総量、車両4の風袋量、及び積荷の正味量が対応付けられて所定の用紙に印字される。このようにして計量結果情報が印字された用紙によって、車両4の乗務員が計量結果を容易に確認することができるとともに、計量結果情報の整理及び管理などを容易に行うことができる。
【0105】
なお、本実施の形態では、ナビゲーションシステム21とプリンタ22とが別の装置となっているが、例えばナビゲーションシステム21が、ディスプレイ21aに加えて、プリンタ22を備えるような構成であってもよい。
【0106】
上記のように、ナビゲーションシステム21及び/又はプリンタ22にて計量結果情報を出力する以外にも、本実施の形態では電子メールを用いて計量結果情報の出力を行う。その場合、指示計10は、計量結果情報を含む電子メールを作成し、その電子メールを予め登録された電子メールアドレスを宛先として送信する。ここで、電子メールアドレスは、例えば車両情報DB44に予め登録しておき、指示計10が、車両4に係る車両情報を読み出したときに、その車両情報に含まれる電子メールアドレスを取得するようにすればよい。
【0107】
上述したようにして送信された電子メールは、電子メール受信端末23にて受信される。車両4を管理する事業者が電子メール受信端末23を所有している場合であれば、その事業者が計量結果を容易に確認することができる。また、乗務員が携帯する携帯型電話機などが電子メール受信端末23となる場合であれば、ナビゲーションシステム21及びプリンタ22などが車両4に搭載されていないときでも、乗務員が計量結果を確認することができる。
【0108】
なお、本実施の形態では、指示計10が電子メールを送信するように構成されているが、指示計10に接続された電子メール送信機能を有する装置が、計量結果情報及び電子メールアドレスを指示計10から受け、その計量結果情報含む電子メールを当該電子メールアドレス宛に送信するようにしてもよい。
【0109】
<料金収受処理>
図17は、料金収受処理に伴う、本実施の形態の車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器及びナビゲーションシステムの動作の流れの一例を示すフローチャートである。なお、本実施の形態の車両計量システムは、質量に応じて料金が定められるように構成されている。以下では、指示計10のハードディスク43に、車両の総量と料金との対応関係を示す料金表が記憶されているものとする。また、ETC車載器6には、車両4を管理する事業者のクレジットカードが挿入されているものとする。
【0110】
まず、指示計10は、上述したようにして更新されている車両情報を読み出す(S151)。次に、指示計10は、その車両情報に含まれる車両4の総量と対応付けられている料金を、ハードディスク43に記憶されている料金表から読み出すことによって、料金の算出を行う(S152)。そして、指示計10は、そのようにして得られた料金を含む料金情報を生成し(S153)、その生成した料金情報をDSRC無線機7へ送信する(S154)。
【0111】
DSRC無線機7は、指示計10から送信された料金情報を受信した場合(S161)、ETC車載器6との間で無線通信することによって、ETC車載器6に挿入されているクレジットカードに関するクレジットカード情報の読み取りを実行する(S162)。そして、読み取ったクレジットカード情報及び受信した料金情報に基づき、公知の手法にしたがって、課金処理を実行する(S163)。そして、DSRC無線機7は、収受した料金を含み、課金処理が実行されたことを示す課金情報を、ETC車載器6に対して無線通信にて送信する(S164)。
【0112】
ETC車載器6は、DSRC無線機7から送信された課金情報を受信した場合(S171)、その受信した課金情報をナビゲーションシステム21へ送信する(S172)。
【0113】
ナビゲーションシステム21は、ETC車載器6から送信された課金情報を受信した場合(S181)、その受信した課金情報をディスプレイ21aにて表示する(S182)。これにより、車両4の乗務員は、課金処理が行われたこと及び収受された料金を確認することができる。
【0114】
なお、計量結果出力処理の場合と同様、ナビゲーションシステム21のディスプレイ21aに課金情報を表示するとともに又は表示する代わりに、プリンタ22にて課金情報を紙媒体に出力するようにしてもよく、また、電子メールによって課金情報を送信するようにしてもよい。
【0115】
<車両退出処理>
図18は、車両退出処理に伴う、本実施の形態の車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0116】
料金収受処理の終了後、指示計10は、車両4の載台2からの退出が可能であることを示す退出可能情報を、DSRC無線機7へ送信する(S191)。
【0117】
DSRC無線機7は、指示計10から送信された退出可能情報を受信した場合(S201)、その受信した退出可能情報をETC車載器6へ無線通信にて送信する(S202)。
【0118】
ETC車載器6は、DSRC無線機7から送信された退出可能情報を受信した場合(S211)、所定のブザー音を出力装置にて出力する(S212)。このブザー音によって、車両4の乗務員は、車両4の載台2からの退出が可能であることを知ることができる。
【0119】
なお、このようにETC車載器6から出力されるブザー音によって、車両4の載台2への退出が可能であることを車両4の乗務員に対して伝えるのではなく、車両進入処理の場合と同様に、ETC車載器6から出力される音声によって、又はETC車載器6と接続されたナビゲーションシステム21を用いて伝えるようにしてもよい。以下、ナビゲーションシステム21を用いる場合の動作例について説明する。
【0120】
図19は、車両退出処理に伴う、本実施の形態の車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器及びナビゲーションシステムの動作の流れの一例を示すフローチャートである。なお、指示計10におけるステップS191、DSRC無線機7におけるステップS201及びS202、並びにETC車載器6におけるステップS211については、上述した場合と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0121】
ETC車載器6は、ステップS211にてDSRC無線機7から送信された退出可能情報を受信した場合、その受信した退出可能情報をナビゲーションシステム21に対して送信する(S213)。
【0122】
ナビゲーションシステム21は、ETC車載器6から送信された退出可能情報を受信した場合(S221)、その受信した退出可能情報をディスプレイ21aにて表示する(S222)。その結果、車両4の乗務員は、車両4の載台2からの退出が可能であることを知ることができる。
【0123】
車両を進入させる場合と同様に、従来の車両計量システムの場合、指示計によって制御される信号灯を用いて、車両の載台からの退出が可能であることを伝えていた。これに対し、本実施の形態では、ETC車載器6から出力されるブザー音又はナビゲーションシステム21のディスプレイ21aでの表示によって、車両4の載台2からの退出が可能であることを、車両4の乗務員へ伝えることができる。これにより、信号灯などの特別の装置が不要となる。
【0124】
なお、本実施の形態においては、車両計量装置として機能する指示計とDSRC無線機とが別装置として構成されているが、本発明はこのような形態に限られるわけではなく、例えば指示計がDSRC無線機を兼ねるような構成となっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明の車両計量方法及び車両計量システムは、安定して計量動作を行うことができ、しかも安価に構成することができるため、例えばゴミの収集車、貨物運搬車などの質量を計測する車両計量方法及び車両計量システムなどとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両計量システムの構成を示す概念図
【図2】本発明の一実施形態に係る車両計量システムの構成を示すブロック図
【図3】本発明の一実施形態に係る車両計量システムが備えるトラックスケールの構成を示す平面図
【図4】本発明の一実施形態に係る車両計量システムが備えるトラックスケール及び指示計の構成を示すブロック図
【図5】本発明の一実施形態に係る車両計量システムが備える指示計に設けられた車両情報データベースに記憶される車両情報のレイアウトの一例を示す概念図
【図6】本発明の一実施形態に係る車両計量システムの動作の概略フローを示すフローチャート
【図7】車両進入処理に伴う、本発明の一実施形態に係る車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器の動作の流れの一例を示すフローチャート
【図8】車両進入処理に伴う、本実施の形態の車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器及びナビゲーションシステムの動作の流れの一例を示すフローチャート
【図9】車両乗り込み確認処理に伴う、本発明の一実施形態に係る車両計量システムが備える指示計の動作の流れの一例を示すフローチャート
【図10】車両乗り込み確認処理に伴う、本発明の一実施形態に係る車両計量システムが備える指示計の動作の流れの他の例を示すフローチャート
【図11】車両特定処理に伴う、本発明の一実施形態に係る車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器の動作の流れの一例を示すフローチャート
【図12】計量処理に伴う、本発明の一実施形態に係る車両計量システムが備える指示計の動作の流れの一例を示すフローチャート
【図13】計量結果出力処理に伴う、本発明の一実施形態に係る車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器及びナビゲーションシステムの動作の流れの一例を示すフローチャート
【図14】ナビゲーションシステムのディスプレイにて表示される計量結果情報の表示例を示す概念図
【図15】計量結果出力処理に伴う、本発明の一実施形態に係る車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器及びプリンタの動作の流れの一例を示すフローチャート
【図16】プリンタにて印字される計量結果情報の印字例を示す概念図
【図17】料金収受処理に伴う、本発明の一実施形態に係る車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器及びナビゲーションシステムの動作の流れの一例を示すフローチャート
【図18】車両退出処理に伴う、本発明の一実施形態に係る車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器の動作の流れの一例を示すフローチャート
【図19】車両退出処理に伴う、本実施の形態の車両計量システムが備える指示計及びDSRC無線機、並びにETC車載器及びナビゲーションシステムの動作の流れの一例を示すフローチャート
【符号の説明】
【0127】
1 トラックスケール
2 載台
3a,3b,3c,3d ロードセル
4 車両
4a,4b,4c,4d 車輪
5 ループコイル
6 ETC車載器
7 DSRC無線機
8 ゲート
10 指示計(車両計量装置)
21 ナビゲーションシステム
21a ディスプレイ
22 プリンタ
23 電子メール端末
41 CPU
42 メモリ
43 ハードディスク
44 車両情報データベース
45 A/D変換器
46 通信インターフェース
S1,S2 車軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を載置する載台を備え、当該載台に対する荷重に応じた質量信号を出力するトラックスケールと、当該トラックスケールと通信可能に接続され、ETC車載器のWCNと当該ETC車載器を搭載した車両の属性に関する車両属性情報とが対応付けられてなる車両情報を記憶する車両情報記憶部を備える車両計量装置とを用いて、車両の質量を計測する車両計量方法であって、
前記車両計量装置が、計量対象の車両に搭載されたETC車載器から、当該ETC車載器のWCNを取得するステップと、
取得したWCNと対応付けられている車両属性情報を、前記車両情報記憶部に記憶されている車両情報から取得することによって、前記車両計量装置が、計量対象の車両を特定するステップと、
前記特定した車両が前記載台に乗り込んだ場合であって、前記載台上で停止したときに、前記トラックスケールから出力される質量信号と、前記取得した車両属性情報とに基づいて、前記車両計量装置が、前記特定した車両の質量を計測するステップと、
前記計測した結果を示す計量結果情報を、前記車両計量装置から前記ETC車載器へ送信するステップと
を有することを特徴とする、車両計量方法。
【請求項2】
前記載台に対して車両が進入可能であることを示す進入可能情報を、前記車両計量装置から前記ETC車載器へ送信するステップを更に有する、請求項1に記載の車両計量方法。
【請求項3】
前記ETC車載器は、当該ETC車載器を搭載している車両に設けられ、ディスプレイ部を有するナビゲーションシステムと通信可能に接続されており、
前記進入可能情報を、前記ETC車載器から前記ナビゲーションシステムへ送信するステップと、
前記ナビゲーションシステムが、前記進入可能情報を前記ディスプレイ部にて表示するステップとを更に有する、請求項2に記載の車両計量方法。
【請求項4】
車両に積載された積荷の種別を含む、車両の計量に必要となる計量用情報を、前記ETC車載器から前記車両計量装置へ送信するステップを更に有し、
前記車両の質量を計測するステップでは、前記車両計量装置が、前記質量信号と、前記取得した車両属性情報と、前記計量用情報とに基づいて、前記特定した車両の質量を計測する、請求項1に記載の車両計量方法。
【請求項5】
前記載台周辺に配されたセンサからの出力信号に基づいて、計量対象の車両が前記載台に乗り込んだことを、前記車両計量装置が検知するステップを更に有し、
当該検知するステップの後に、前記車両の質量を計測するステップが実行される、請求項1に記載の車両計量方法。
【請求項6】
前記車両属性情報には、車両の車軸数が含まれており、
前記載台に乗り込んだ車両の車軸数を検出するステップと、
検出した車軸数と、前記車両属性情報に含まれる車軸数とに基づいて、計量対象の車両が前記載台に乗り込んだことを、前記車両計量装置が検知するステップとを更に有し、
当該検知するステップの後に、前記車両の質量を計測するステップが実行される、請求項1に記載の車両計量方法。
【請求項7】
前記ETC車載器は、当該ETC車載器を搭載している車両に設けられ、ディスプレイ部を有するナビゲーションシステムと通信可能に接続されており、
前記計量結果情報を、前記ETC車載器から前記ナビゲーションシステムへ送信するステップと、
前記ナビゲーションシステムが、前記計量結果情報を前記ディスプレイ部にて表示するステップとを更に有する、請求項1に記載の車両計量方法。
【請求項8】
前記計測するステップの実行後に、前記載台から車両が退出可能であることを示す退出可能情報を、前記車両計量装置から前記ETC車載器へ送信するステップを更に有する、請求項1に記載の車両計量方法。
【請求項9】
前記ETC車載器は、当該ETC車載器を搭載している車両に設けられ、ディスプレイ部を有するナビゲーションシステムと通信可能に接続されており、
前記退出可能情報を、前記ETC車載器から前記ナビゲーションシステムへ送信するステップと、
前記ナビゲーションシステムが、前記退出可能情報を前記ディスプレイ部にて表示するステップとを更に有する、請求項8に記載の車両計量方法。
【請求項10】
車両を載置する載台を備え、当該載台に対する荷重に応じた質量信号を出力するトラックスケールと、当該トラックスケールと通信可能に接続され、ETC車載器のWCNと当該ETC車載器を搭載した車両の属性に関する車両属性情報とが対応付けられてなる車両情報を記憶する車両情報記憶部を備える車両計量装置とを具備する、車両の質量を計測する車両計量システムであって、
前記車両計量装置は、
計量対象の車両に搭載されたETC車載器から、当該ETC車載器のWCNを取得するWCN取得手段と、
当該WCN取得手段によって取得されたWCNと対応付けられている車両属性情報を、前記車両情報記憶部に記憶されている車両情報から取得することによって、計量対象の車両を特定する車両特定手段とを備え、
前記トラックスケールは、
当該車両特定手段によって特定された車両が前記載台に乗り込んだ場合であって、前記載台上で停止したときに、当該載台に対する荷重に応じた質量信号を、前記車両計量装置に対して出力する出力手段を備え、
前記車両計量装置は更に、
前記トラックスケールから出力された質量信号と、前記取得した車両属性情報とに基づいて、前記特定された車両の質量を計測する車両計量手段と、
当該車両計量手段による計測の結果を示す計量結果情報を、前記ETC車載器へ送信する計量結果情報送信手段と
を備える、車両計量システム。
【請求項11】
前記ETC車載器と無線で通信可能に接続され、しかも前記車両計量装置と通信可能に接続されるDSRC無線機を更に具備し、
前記車両計量装置と前記ETC車載器との間の通信は、前記DSRC無線機を介してなされる、請求項10に記載の車両計量システム。
【請求項12】
前記車両計量装置は、
前記載台に対して車両が進入可能であることを示す進入可能情報を、前記ETC車載器へ送信する進入可能情報送信手段を更に備える、請求項10に記載の車両計量システム。
【請求項13】
前記計量手段は、前記質量信号と、前記取得した車両属性情報と、前記ETC車載器から受け取った、車両に積載された積荷の種別を含む、車両の計量に必要となる計量用情報とに基づいて、前記特定された車両の質量を計測するように構成されている、請求項10に記載の車両計量システム。
【請求項14】
前記載台周辺にはセンサが配されており、
前記車両計量装置は、
前記センサからの出力信号に基づいて、計量対象の車両が前記載台に乗り込んだことを検知する乗り込み検知手段を更に備える、請求項10に記載の車両計量システム。
【請求項15】
前記車両属性情報には、車両の車軸数が含まれており、
前記車両計量装置は、
前記載台に乗り込んだ車両の車軸数を検出する車軸数検出手段と、
当該車軸数検出手段によって検出された車軸数と、前記車両属性情報に含まれる車軸数とに基づいて、計量対象の車両が前記載台に乗り込んだことを検知する乗り込み検知手段を更に備える、請求項10に記載の車両計量システム。
【請求項16】
前記車両計量装置は、
前記計量手段による計測の終了後に、前記載台にから車両が退出可能であることを示す退出可能情報を、前記ETC車載器へ送信する退出可能情報送信手段を更に備える、請求項10に記載の車両計量システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−175606(P2008−175606A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7797(P2007−7797)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)
【Fターム(参考)】