説明

車両配置決定装置

【課題】運転者や乗員等の要望を反映させて車群内の車両の配置を決定することができる車両配置決定装置を提供する。
【解決手段】
車群内の車両の配置を決定する車両配置決定装置1であって、複数の条件に対して車両ごとに設定された要望度を取得する要望度取得部11と、車群内の配置位置ごとに複数の条件の達成度を設定する達成度設定部12と、要望度及び達成度に基づいて各車両の配置を決定する配置決定部13とを備えることで、複数の条件に対する各車両の要望度を取得し、車群内の配置位置ごとに複数の条件の達成度を設定し、取得した要望度及び設定した達成度に基づいて各車両の配置を決定することができるので、各車両の要望の違いと、配置により得られる達成度の違いとを考慮して配置を決定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車群内の車両の配置を決定する車両配置決定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車群内の車両の配置を決定する装置として、例えば制動距離や目的地等の所定の条件に基づいて車群内の車両順位を決定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の装置は、例えば、制動距離が長い車両を先行車両とするように車群内の順位を決定するものである。
【特許文献1】特開平10−293899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の車両配置決定装置にあっては、車両情報等の一律な条件に基づいて配置を決定しているため、例えば運転者が見晴らしの良い位置で走行したいと考えていてもそのような位置に配置されない場合がある。
【0004】
そこで、本発明はこのような技術課題を解決するためになされたものであって、運転者や乗員等の要望を反映させて車群内の車両の配置を決定することができる車両配置決定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち本発明に係る車両配置決定装置は、車群内の車両の配置を決定する車両配置決定装置であって、複数の条件に対して車両ごとに設定された要望度を取得する要望度取得手段と、車群内の配置位置ごとに複数の条件の達成度を設定する達成度設定手段と、要望度及び達成度に基づいて各車両の配置を決定する配置決定手段とを備えて構成される。
【0006】
この発明よれば、複数の条件に対する各車両の要望度を取得し、車群内の配置位置ごとに複数の条件の達成度を設定し、取得した要望度及び設定した達成度に基づいて各車両の配置を決定することができるので、各車両の要望の違いと、配置により得られる達成度の違いとを考慮して配置を決定することができる。これにより、運転者や乗員等の要望を各車両の配置の決定に反映することができる。
【0007】
ここで、達成度設定手段は、走行場所又は走行場面ごとに前記達成度を設定することが好適である。このように構成することで、走行場所又は走行場面により変化する配置位置の達成度を適切に設定あるいは取得して各車両の配置の決定することができるので、運転者や乗員等の要望を各車両の配置の決定に適切に反映することができる。
【0008】
さらに、配置決定手段は、車両の要望度、及び配置位置に設定された達成度に基づいて、車両が当該配置位置に配置された場合の車両の満足度を算出し、各車両の満足度の合計が最も大きくなるように各車両の配置位置を決定することが好適である。このように構成することで、各車両の運転者や乗員等の要望を最大限に実現できる配置を決定することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、運転者や乗員等の要望を反映させて車群内の車両の配置を決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
本実施形態に係る車両配置決定装置は、複数の車両により車群や隊列を形成して走行する場合において各車両の配置位置を決定する装置であって、例えば、自律型の自動運転を行う運転支援システム等を搭載した車両に好適に採用されるものである。
【0012】
最初に、本実施形態に係る車両配置決定装置(車両配置決定部)の構成を説明する。図1は本発明の実施形態に係る車両配置決定部1を備えた車両2の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示す車両2は、通信装置20、ナビゲーションシステム21、タッチパネル22及びECU(Electronic Control Unit)10を備えている。ここで、ECUとは、電子制御する自動車デバイスのコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random AccessMemory)、および入出力インターフェイスなどを備えて構成されている。
【0014】
通信装置20は、車車間あるいは路車間通信により、車群を構成する各車両の情報を取得する機能を有している。通信装置20は、各車両の情報として、例えば各車両の要望度を取得する機能を有している。この要望度は、各車両の運転者や乗員等が例えば車両に備わるタッチパネル22を操作することにより、車両ごとに設定されるものである。例えば、各車両の運転者や乗員等が燃費や快適性等からなる複数の条件に対して持ち点を自由に割り振ることにより設定される。快適性の条件の例として、乗り心地が良好であること(乗り心地条件)、景観が良好であること(景観条件)、他車両の排気ガスを多量に受けないこと(排気ガス条件)、他車両の騒音が小さいこと(騒音条件)等が挙げられる。設定された要望度は、運転者や乗員等が重視する走行条件の度合いを示すものとなる。また、通信装置20は取得した各車両の要望度をECU10へ出力する機能を有している。
【0015】
ナビゲーションシステム21は、地図情報、走行経路、車両2の現在位置、交通情報、気象情報等を取得する機能を有している。地図情報には、例えば景観情報が含まれている。景観情報は、例えば進行方向に対してサイドビュー、フロントビュー等の景観の良し悪しの度合いを示すものであり、例えばポイントとして点数に換算して示される。また、ナビゲーションシステム21は、取得した情報をECU10へ出力する機能を有している。
【0016】
ECU10は、車両配置決定部1及び車両制御部14を有しており、車両配置決定部1は、要望度取得部(要望度取得手段)11、達成度設定部(達成度設定手段)12及び配置決定部(配置決定手段)13を備えている。
【0017】
要望度取得部11は、通信装置20が出力した各車両の要望度を集約する機能を有している。また、要望度取得部11は集約した各車両の要望度を配置決定部13へ出力する機能を有している。
【0018】
達成度設定部12は、車群内の配置位置ごとに複数の条件の達成度を設定する機能を有している。例えば、達成度設定部12は、燃費や快適性等からなる複数の条件ごとに、各配置位置に対応して達成度を設定する機能を有している。設定された達成度は、配置位置において複数の条件を達成することができる度合いを示すものとなる。達成度は、例えばポイントとして点数に換算して表され、ポイントが大きい配置位置ほど好条件で達成することができることを示している。
【0019】
例えば、達成度設定部12は、車群内の先頭位置以外の配置位置に対して、燃費の達成度を示すポイントを先頭位置よりも高く設定する機能を有している。車群の先頭車両以外の車両は先頭車両に比べて走行中の空気抵抗が小さく燃費が良いためである。また、達成度設定部12は、例えば、車群内の後方位置ほど乗り心地の達成度を示すポイントを低く設定する機能を有している。車群内で後方車両になるにつれて先行する車両の加減速の影響が大きくなり乗り心地が悪化するためである。また、達成度設定部12は、例えば、車群内の先頭位置に対して、騒音の達成度を示すポイントを高く設定する機能を有している。車群内の先頭車両には追従すべき車両が存在せず先行車両の騒音の影響が小さいためである。また、達成度設定部12は、例えば、車群内の後方位置ほど排気ガスの達成度を示すポイントを低く設定する機能を有している。車群内で後方車両になるほど先行する車両からの排気ガスを多く受けるためである。また、達成度設定部12は、例えば、ナビゲーションシステム21が出力した地図情報の景観情報に基づいて、景観の達成度を設定する機能を有している。具体的には、サイドビューの景観が良い場合には、車群内の配置位置に関わらず車群内の景観良好の達成度を示すポイントを同一と設定し、フロントビューの景観が良い場合には、車群内の先頭位置は良好な景観の達成度を示すポイントを高く設定する機能を有している。さらに、達成度設定部12は、上述したポイントを、例えば、ナビゲーションシステム21が出力した地図情報に基づく走行場所、走行場面、交通情報や気象情報等により適宜修正する機能を有している。また、達成度設定部12は設定した達成度を配置決定部13へ出力する機能を有している。
【0020】
配置決定部13は、要望度取得部11が出力した車群内の各車両の要望度と、達成度設定部12が設定した達成度とに基づいて配置位置を決定する機能を有している。配置決定部13は、例えば、以下の表1に示すように、所定の車両Xと所定の配置nについてそれぞれの条件ごとの要望及び達成度を入力する機能を有している。
【表1】

【0021】
そして、配置決定部13は、例えば、対象車両の要望度と、配置位置に設定された達成度とを積算して、車両が当該配置位置に配置された場合の車両の満足度を算出する機能を有している。また、配置決定部13は、上記演算を各車両について実行し、各車両の満足度の合計が最も大きくなるように各車両の配置位置を決定する機能を有している。また、配置決定部13は、決定した配置位置を車両制御部14へ出力する機能を有している。
【0022】
車両制御部14は、配置決定部13が出力した配置位置に基づいて車両2の走行制御を行う機能を有している。例えば、車群内の配置位置が変更された場合には、操舵制御、ブレーキ、アクセル制御等を行い、変更した配置となるように車両2の走行を制御する機能を有している。
【0023】
次に、本実施形態に係る車両配置決定部1の動作について説明する。図2は、本実施形態に係る車両配置決定部1の動作を示すフローチャートである。図2に示す制御処理は、例えばイグニッションオンされてから、あるいは車両2に備わる実行ボタンがONされてから所定のタイミング(例えばt秒間隔)で繰り返し実行される。
【0024】
図2に示す制御処理が開始されると、車両配置決定部1は要望取得処理から開始する(S10)。S10の処理は、要望度取得部11が実行し、通信装置20が出力した各車両の要望度を集約する処理である。
【0025】
ここで、図4を用いて各車両の要望度について詳細を説明する。図4は、各車両の要望度を説明するための概要図であり、車群が3台の車両A、B、Cにより構成され、3つの条件について要望を割り振る例を示している。
【0026】
運転者等は、燃費、乗り心地、景観についてどの条件をどの程度優先させるかを設定することができる。運転者等には、例えば持ち点が100ポイント与えられており、運転者等はタッチパネル22を操作して優先したい条件に大きな持ち点を配分する。例えば、車両Aでは燃費1Aに70ポイント、乗り心地に20ポイント、景観に10ポイント割り振られている。このポイントの大きさを要望度とする。これらの要望度の大きさや振り分けのバランスにより、運転者等がどのような走行を要望するのかが示されている。
【0027】
例えば、車両Aの各条件に割り振られたポイントの大きさは、車両Aの運転者等が燃費、乗り心地、景観の順に優先する走行を希望しており、その中でも低燃費で走行することを重視していることを示している。同様に、車両Bにおいては、運転者等により、燃費1B(30ポイント)、乗り心地2B(60ポイント)、景観3B(10ポイント)と割り振られている。車両Bの各条件に割り振られたポイントの大きさは、車両Bの運転者等が乗り心地、燃費、景観の順に優先する走行を希望しており、乗り心地を重視した走行をしつつ燃費も多少考慮した走行を希望していることを示している。また、車両Cにおいては、運転者等により、燃費1C(10ポイント)、乗り心地2C(80ポイント)、景観3C(10ポイント)と割り振られている。車両Bの各条件に割り振られたポイントの大きさは、車両Cの運転者等が乗り心地を最も優先し、燃費及び景観については優先順位なく同等の走行を希望しており、乗り心地の良い走行を優先させる要望が大きく燃費及び景観はどちらも大きな要望でないことを示している。要望度取得部11は、各車両A、B、Cに設定されたポイントの大きさをそれぞれ取得する。図2のS10の処理が終了すると、判定処理へ移行する(S12)。
【0028】
S12の処理は、達成度設定部12が実行し、ナビゲーションシステム21から情報を取得することができるか否かを判定する処理である。この処理は、達成度を設定するために必要な情報を取得することができるか否かを判定するものである。例えば、ナビゲーションシステム21から地図情報を入力する際に、景観に関する情報が設定されていない地点を走行しているため、景観に関する情報を取得することができない場合もある。S12の処理において、情報取得可能であると判定した場合のみ、達成度設定処理へ移行する(S14)。
【0029】
S14の処理は、達成度設定部12が実行し、走行場所、走行場面に合った達成度を算出する処理である。達成度設定部12は、車群内の配置位置に基づいて、燃費、乗り心地、排気ガス、騒音等の複数の条件に対して達成度を設定する。
【0030】
ここで、達成度の設定について、図5を用いて詳細を説明する。図5は、各配置位置における条件の達成度を示す概要図であり、ここでは車群が3台の車両により形成されている場合を示している。また、図5では、各条件を行、配置位置を列として示している。
【0031】
達成度設定部12は、n(整数)を先頭からの順番とすると、配置位置nごとに、例えば燃費αn、乗り心地βn、景観γn、排気ガスδnという条件に対してポイントにより達成度を設定する。例えば、燃費αnの条件では、先頭の配置1が最も空気抵抗を受けるためポイントα1を10と低く設定し、2番目以降の配置2、3では、ポイントα2、α3をそれぞれ60、40と配置1に比べて高く設定する。また、例えば乗り心地βnの条件では、車群の後方に位置するほど追従のための加減速度が大きくなり乗り心地が良くない傾向となるので、配置1、2、3の順にポイントが徐々に低くなるように設定する。また、例えば景観γnの条件では、ナビゲーションシステム21が出力した地図情報に基づいて、走行地点ではフロントビューの景色が良いのか、サイドビューの景色が良いのかを判定し、各配置位置にポイントを設定する。例えば、フロントビューの景色が良い場合には、先頭の配置1のポイントγ1を60と高く設定し、配置2、3のポイントγ2、γ3をそれぞれ20と配置1に比べて低く設定する。また、例えば排気ガスδnの条件では、後方位置ほど先頭位置の車両の排気ガスが流れてくるため、配置1、2、3の順にポイントが徐々に低くなるように設定する。また、達成度設定部12は、ナビゲーションシステム21により得られた地形情報、交通情報、天気情報等に基づいて、坂道、渋滞や雨天による補正係数を各ポイントに付与して達成度を補正する。達成度の設定が完了すると、図2のS14の処理は終了し、配置決定処理へ移行する(S18)。
【0032】
S18の処理は、配置決定部13が実行し、車両A、B、Cを配置1、2、3にどのように配置するか決定する処理である。配置決定処理について、図6を用いて詳細に説明する。図6は、車両A、B、Cの配置の組み合わせと満足度を示す表であり、車両の配置の組み合わせを行、各車両の満足度を列として表示している。まず、配置決定部13は、車両の台数に基づいて配置の組み合わせを演算する。図4、5に示すように、車両が3台の場合には、順列により6通り()存在する。このため、図6に示すように、全ての組み合わせについて行を生成する。その後、すべての組み合わせに対応した車両A、B、Cの満足度MA1〜MA6、MB1〜MB6、MC1〜MC6を算出する。例えば、MA1は以下式(1)で表される。
【0033】
MA1=1A・α1+2A・β1+3A・γ1 …(1)
【0034】
式(1)の第1項は、車両Aの燃費の要求1Aと、車両Aが配置1に配置された場合の燃費の達成度α1とを積算したものであり、燃費の満足度を示している。同様に、式1の第2項は乗り心地の満足度、式1の第3項は景観の満足度を示している。条件がさらに増える場合には、項の数を増やすことで要望に対する満足度を算出することができる。配置決定部13は、例えば式1を用いて全ての組み合わせにおける満足度を算出する。そして、車両A、B、Cの満足度を加算して合計満足度を組み合わせごとに算出する。そして、合計満足度が最大となる配置位置を決定する。例えば、MA5+MB5+MC5が合計満足度の中で最大となる場合には、配置1、2、3に対して車両C、A、Bを配置すると決定する。図2のS18の処理が終了すると、図2に示す制御処理を終了する。
【0035】
一方、S12の処理において、情報取得が不可能であると判定した場合には、達成度設定処理(標準値)へ移行する(S16)。S16の処理は、達成度設定部12が実行し、予め割り振った配置に対する達成度を設定する処理である。達成度設定部12は、例えば、景観の条件において各配置に均等にポイントを割り振る。S16の処理が終了すると、配置決定処理へ移行し(S18)、配置決定後、図2に示す制御処理を終了する。
【0036】
以上、図2に示す制御処理を実行することで、各運転者の要求を車群全体で最も満たすように配置を決定することができる。
【0037】
次に、図3を用いて車両2の動作を説明する。図3は、本実施形態に係る配置位置決定装置1を有する車両2の動作を示すフローチャートである。図3に示すフローチャートは、例えばイグニッションオンされてから、あるいは車両2に備わる実行ボタンがONされてから実行される。
【0038】
最初にECU10は配置位置比較処理から処理を開始する(S20)。S20の処理は、ECU10が実行し、図2に示す制御処理により得られた目標の配置と現時点の配置(前回の配置)を比較する処理である。ECU10は、目標の配置と現時点の配置とを比較し、変更がある場合には例えばフラグ(初期値:0)を1に設定する。S20の処理が終了すると、変更確認処理へ移行する(S22)。
【0039】
S22の処理は、ECU10が実行し、S20の処理で実行した比較処理において、変更が生じているか否かを判定する処理である。ECU10は、例えばS20の処理で設定したフラグを確認し、0である場合には変更がないと判定し、1である場合には変更があると判定する。S22の処理において、配置変更があると判定した場合には、経過時間確認処理へ移行する(S24)。
【0040】
S24の処理は、ECU10が実行し、前回の変更実行から所定時間T(秒)経過したか否かを判定する処理である。S24の処理において、所定時間T経過していると判定した場合には、配置変更処理へ移行する(S26)。
【0041】
S26の処理は、車両制御部14が実行し、図2に示す制御処理により決定した配置となるように、車両2を制御する処理である。S26の処理を終了すると、図3に示す制御処理を終了する。
【0042】
一方、S22の処理において、配置変更がないと判定した場合には、図3に示す制御処理を終了する。また、S24の処理において、所定時間T経過していないと判定した場合には、図3に示す制御処理を終了する。
【0043】
以上、図3の制御処理を実行することにより、車両2は、設定した配置変更を行うことができるため、運転者の要望を最大限反映した車群形成を行うことができる。また、所定時間Tを経過していない場合には配置変更を行なわないことにより、配置変更が頻発することを回避して実用性を向上させることができる。
【0044】
上述の通り、本実施形態に係る車両配置決定部1によれば、複数の条件に対する各車両の要望度を取得し、車群内の配置位置ごとに複数の条件の達成度を設定し、取得した要望度及び設定した達成度に基づいて各車両の配置を決定することができるので、各車両の要望の違いと、配置により得られる達成度の違いとを考慮して配置を決定することができる。これにより、運転者や乗員等の要望を各車両の配置の決定に反映することができる。
【0045】
また、本実施形態に係る車両配置決定部1によれば、ナビゲーションシステム21が出力した景観情報に基づいて走行場所又は走行場面により変化する配置位置の達成度を適切に設定あるいは取得して各車両の配置の決定することができるので、運転者や乗員等の要望を各車両の配置の決定に適切に反映することができる。
【0046】
さらに、本実施形態に係る車両配置決定部1によれば、車両の要望度、及び配置位置に設定された達成度に基づいて、車両が当該配置位置に配置された場合の車両の満足度を算出し、各車両の満足度の合計が最も大きくなるように各車両の配置位置を決定するため、運転者や乗員等の要望を、車群全体として最大限に実現できる配置を決定することができる。
【0047】
なお、上述した実施形態は本発明に係る車両配置決定装置の一例を示すものである。本発明に係る車両配置決定装置は、実施形態に係る車両配置決定装置に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係る車両配置決定装置を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0048】
例えば、上述した実施形態では、自動運転である車両を例に説明したが、手動運転であってもよい。この場合、ディスプレイやスピーカ等の報知手段を備えることにより、運転者や乗員等の要望を最大限に実現できる配置を報知することができる。なお、手動運転の場合には、図1に示す車両制御部14は備えなくてよい。
【0049】
また、上述した実施形態では、自律的に各車両が各自で配置位置を決定する例を説明したが、例えば、車群内の所定の車両、あるいは路側支援装置が各車両の要望度を全て集約して各車両の配置位置を決定し、決定した配置位置を各車両に報知する場合であってもよい。
【0050】
さらに、上述した実施形態では、車群が3台の車両によって構成されている例を説明したが、複数台であれば本発明の効果を奏することができる。また、上述した実施形態では、運転者が要求する項目として、燃費、乗り心地、景観、排気ガス、騒音を例にして説明したが、これらの項目に限られない。また、これらの項目又はその一部の組み合わせのみならず、他の項目と組み合わせたものを運転者が要求する項目としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態に係る車両配置決定部を備える車両の構成概要を示すブロック図である。
【図2】図1の車両配置決定部の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1の車両の動作を説明する概要図である。
【図4】図1の車両配置決定部の動作を説明する概要図である。
【図5】図1の車両配置決定部の動作を説明する概要図である。
【図6】図1の車両配置決定部の動作を説明する概要図である。
【符号の説明】
【0052】
1…車両配置決定部(車両配置決定装置)、2…車両、10…ECU、11…要望度取得部(要望取得手段)、12…達成度設定部(達成度設定手段)、13…配置決定部(配置決定手段)、14…車両制御部、20…通信装置、21…ナビゲーションシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車群内の車両の配置を決定する車両配置決定装置であって、
複数の条件に対して前記車両ごとに設定された要望度を取得する要望度取得手段と、
車群内の配置位置ごとに前記複数の条件の達成度を設定する達成度設定手段と、
前記要望度及び前記達成度に基づいて各車両の配置を決定する配置決定手段と、
を備えることを特徴とする車両配置決定装置。
【請求項2】
前記達成度設定手段は、走行場所又は走行場面ごとに前記達成度を設定する請求項1に記載の車両配置決定装置。
【請求項3】
前記配置決定手段は、前記車両の要望度、及び配置位置に設定された前記達成度に基づいて、前記車両が当該配置位置に配置された場合の前記車両の満足度を算出し、各車両の満足度の合計が最も大きくなるように各車両の配置位置を決定する請求項1又は2に記載の車両配置決定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−3247(P2010−3247A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163585(P2008−163585)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】