説明

車両

【課題】 蓄電装置が搭載されるスペースと、乗員が乗車するスペースとが仕切られている場合には、蓄電装置が搭載されるスペースに熱がこもってしまうことがある。そして、蓄電装置を冷却したとしても、蓄電装置が搭載されるスペースに熱が残ったままでは、この熱によって蓄電装置が温められてしまう。
【解決手段】 乗員が乗車する乗車スペースと仕切られ、蓄電装置(10)を収容する収容スペースと、ファンを駆動することにより、収容スペースの空気を排出させる排出機構と、を有する。排出機構として、乗車スペースの空気を蓄電装置内の蓄電素子(21)に供給するための吸気ダクト(30)と、蓄電素子との間で熱交換された空気を排出させるための排気ダクト(31)と、で構成し、吸気ダクトに、乗車スペースの空気を取り込む第1の吸気口(30a)と、収容スペースの空気を取り込む第2の吸気口(30b)と、を設けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄電装置が搭載された車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、充放電によって発熱することがあり、二次電池の温度が上昇しすぎると、二次電池の出力特性が劣化してしまう。そこで、二次電池の温度上昇を抑制するために、二次電池を冷却しているものがある。具体的には、二次電池(組電池)を備えた電池パックが搭載された車両において、乗員が乗車するスペース内に存在する空気を電池パックに供給して、電池パックを冷却しているものがある。
【特許文献1】特開2007−49771号公報(段落0044)
【特許文献2】特開2006−240538号公報(段落0028−0032)
【特許文献3】特開2004−194384号公報
【特許文献4】特開2000−30766号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、電池パックが配置されているスペース、言い換えれば、電池パックの周囲を覆うスペースは、乗員が乗車するスペースと仕切られていることがある。この場合には、電池パックが配置されているスペースと、乗員が乗車するスペースとの間において、空気の移動が阻止される。このため、電池パックが配置されているスペースでは、車両の外部環境等によって、熱がこもってしまうことがある。
【0004】
電池パックが配置されているスペースに熱がこもってしまうと、乗員が乗車するスペース内の空気を用いて電池パックを冷却したとしても、電池パックが配置されているスペースからの熱によって電池パックが温められてしまうことがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、蓄電装置が搭載された車両であって、蓄電装置の温度上昇を効率良く抑制することのできる車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明である車両は、乗員が乗車する乗車スペースと仕切られ、蓄電装置を収容する収容スペースと、ファンを駆動することにより、収容スペースの空気を排出させる排出機構と、を有することを特徴とする。
【0007】
ここで、排出機構を、乗車スペースの空気を蓄電装置内の蓄電素子に供給するための吸気ダクトと、蓄電素子との間で熱交換された空気を排出させるための排気ダクトと、で構成し、吸気ダクトに、乗車スペースの空気を取り込む第1の吸気口と、収容スペースの空気を取り込む第2の吸気口と、を設けることができる。これにより、乗車スペースの空気を用いて蓄電素子の温度を調節することができるとともに、この温度調節機構を用いて、収容スペースの空気を排出させることができる。
【0008】
第2の吸気口を塞ぐとともに、収容スペースの空気の通過を許容する閉塞部材を設けることができる。ここで、閉塞部材に対して、吸気ダクト内のノイズを減衰させる吸音機能を持たせることができる。
【0009】
第1の吸気口を介した空気の取り込みと、第2の吸気口を介した空気の取り込みとを切り替える切替機構を設けることができる。これにより、第1の吸気口から取り込んだ乗車スペースの空気を用いて、蓄電素子の温度を調節するモードと、第2の吸気口から取り込んだ収容スペースの空気を排出させるモードとを切り替えることができる。
【0010】
ここで、切替機構として、第1の吸気口からの空気の流路を塞ぐ状態と、第2の吸気口からの空気の流路を塞ぐ状態との間で動作する切替弁を用いることができる。また、第1の吸気口からの空気の流路を開閉させる切替弁を用いることができる。
【0011】
吸気ダクトに、取り込んだ空気を蓄電装置に導く第1の分岐ダクトと、取り込んだ空気を、蓄電装置とは異なる位置に配置された電子機器に導く第2の分岐ダクトと、を設けることができる。そして、吸気ダクトに取り込まれた収容スペースの空気を、第2の分岐ダクトに向かわせるガイドユニットを設けることができる。これにより、収容スペースの空気を蓄電装置に導くことなく、排出させることができる。
【0012】
ガイドユニットとしては、閉じ状態及び開き状態の間で変化して、第1の分岐ダクトにおける空気の移動を禁止したり許容したりする弁を用いることができる。また、第2の分岐ダクト内にファンを設けておき、このファンを駆動することにより、第2の分岐ダクトに空気を接触的に導くこともできる。
【0013】
上述した排出機構の駆動は、コントローラによって制御することができ、車両の駆動を停止させた後に、排出機構を動作させることができる。また、乗員の降車に関する情報を取得する情報取得ユニットを設けておき、情報取得ユニットの取得情報に基づいて、乗員が降車したと判断したときに、排出機構を動作させることができる。
【0014】
なお、蓄電装置は、複数の蓄電素子と、複数の蓄電素子を収容するケースとで構成することができる。また、蓄電素子としては、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池や、電気二重層キャパシタを用いることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、排出機構を用いて、収容スペースの空気を排出させているため、収容スペースに熱がこもってしまっても、この熱を排出させることができる。これにより、蓄電装置が、収容スペース内の熱によって温められてしまうのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1である温度調節機構について、図1を用いて説明する。ここで、図1は、本実施例の温度調節機構を示す概略図である。
【0018】
本実施例の温度調節機構は、電池パック(蓄電装置)10の温度を調節するために用いられ、車両に搭載されている。この車両としては、ハイブリッド自動車や電気自動車がある。ハイブリッド自動車とは、電池パック10の他に、車両の走行に用いられるエネルギを出力する、内燃機関や燃料電池といった他の動力源を備えた車である。また、電気自動車は、電池パック10の出力だけを用いて走行する車である。本実施例の電池パック10は、放電によって車両の走行に用いられるエネルギを出力したり、車両の制動時に発生する運動エネルギを回生電力として充電したりする。なお、車両の外部からの電力供給を受けて充電を行うこともできる。
【0019】
電池パック10は、電池モジュール20と、電池モジュール20を収容するケース11とを有している。電池モジュール20は、複数の単電池(蓄電素子)21を有している。単電池21は、正極端子及び負極端子を有している。また、単電池21の内部には、正極板、負極板及びセパレータで構成された発電要素が収容されており、充放電を行うことができるようになっている。ここで、正極端子は、発電要素の正極板と電気的に接続され、負極端子は、発電要素の負極板と電気的に接続されている。
【0020】
各単電池21の正極端子は、隣り合って配置された他の単電池21の負極端子とバスバーを介して電気的及び機械的に接続されている。複数の単電池21が電気的に直列に接続されることにより、電池モジュール20は、所望の出力を得ることができる。
【0021】
単電池21としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池といった二次電池を用いることができる。また、二次電池の代わりに、電気二重層キャパシタを用いることもできる。
【0022】
隣り合って配置された2つの単電池21の間には、スペーサ(不図示)が配置されている。スペーサは、隣り合って配置された2つの単電池21の間に、空気の流路を形成するために用いられている。また、複数の単電池21の両端には、複数の単電池21に対して拘束力を与えるためのエンドプレート(不図示)が配置されている。
【0023】
なお、本実施例では、いわゆる角形の単電池21を用いているが、これに限るものではない。具体的には、いわゆる円筒形の単電池21を用いることもできる。円筒形の単電池21を用いた場合には、例えば、一対の支持プレートによって各単電池21の両端部を支持することができる。
【0024】
ケース11の一側面11aには、吸気ダクト30及び排気ダクト31がそれぞれ接続されている。吸気ダクト30は、第1の吸気口30a及び第2の吸気口30bを有している。第1の吸気口30aは、乗員室に面しており、乗員室内の空気を取り込むことができるようになっている。ここで、乗員室とは、乗員が乗車するスペース(乗車スペース)である。
【0025】
また、本実施例では、乗員室と、電池パック10が配置されるスペース(収容スペース、以下、電池収容室という)とが仕切られており、乗員室及び電池収容室の間における空気の移動が阻止されている。また、電池収容室では、電池パック10の周囲に所定のスペースが形成されている。電池収容室としては、例えば、乗車スペースと仕切られたラゲージルームや、乗車スペース及びラゲージルームと仕切られ、電池パック10を収容させておくための専用のスペースが挙げられる。
【0026】
第2の吸気口30bは、電池収容室に面しており、電池収容室内の空気を取り込むことができるようになっている。また、第2の吸気口30bの近傍には、切替弁50が配置されており、切替弁50は、回転軸50aを中心として回転可能となっている。具体的には、切替弁50は、第1の吸気口30aからの空気の流路を塞ぐ位置(図1の点線で示す位置)と、第2の吸気口30bからの空気の流路を塞ぐ位置(図1の実線で示す位置)との間で回転可能となっている。
【0027】
ここで、切替弁50が第1の吸気口30aからの空気の流路を塞いでいる場合には、第2の吸気口30bを介して電池収容室の空気だけが吸気ダクト30に取り込まれる。また、切替弁50が第2の吸気口30bからの空気の流路を塞いでいる場合には、第1の吸気口30aを介して乗員室の空気だけが吸気ダクト30に取り込まれる。
【0028】
吸気ダクト30には、ファン40が設けられている。ファン40は、第2の吸気口30bの位置よりも、空気の移動方向における下流側の位置に配置されている。このため、ファン40を駆動すれば、第1の吸気口30aを介して乗員室の空気を取り込んだり、第2の吸気口30bを介して電池収容室の空気を取り込んだりすることができる。
【0029】
なお、本実施例では、ファン40を吸気ダクト30に設けているが、これに限るものではない。具体的には、排気ダクト31にファン40を設けることができる。この場合であっても、ファン40を駆動することにより、第1の吸気口30aや第2の吸気口30bから空気を取り込むことができる。
【0030】
次に、上述した温度調節機構における電池パック10の冷却動作について説明する。本実施例の温度調節機構では、乗員室内の空気を用いて電池パック10の冷却を行うものである。ここで、電池パック10の冷却を行うときには、切替弁50が第2の吸気口30bからの空気の流路を塞いでおり、第1の吸気口30aを介して乗員室内の空気だけが吸気ダクト30に取り込まれるようになっている。なお、図1の点線で示す矢印は、空気の移動方向を示している。
【0031】
ファン40を駆動すると、乗員室内の空気が第1の吸気口30aを介して吸気ダクト30に取り込まれる。取り込まれた空気は、吸気ダクト30内を移動して、ケース11内に進入する。ケース11内に進入した空気は、単電池21と接触することにより、単電池21との間で熱交換を行う。具体的には、ケース11内に導かれた空気は、上述したスペーサによって形成された流路に進入して、単電池21の表面と接触する。
【0032】
ここで、単電池21は、充放電により発熱したり、外部環境からの熱を受けたりしてしまう。そして、単電池21の温度が上昇しすぎると、単電池21の出力特性が劣化してしまう。そこで、単電池21の温度が上昇する場合には、単電池21を冷却する必要がある。
【0033】
乗員室内の空気は、車両に搭載された空調装置等によって、単電池21の温度よりも低いことが多い。このため、乗員室内の空気を単電池21に供給すれば、空気が単電池21の熱を奪って、単電池21の温度上昇を抑制することができる。そこで、本実施例では、乗員室内の空気を電池モジュール20に供給するようにしている。単電池21との間で熱交換が行われた空気は、排気ダクト31に向かう。排気ダクト31の先端に形成された排気口は、車両の外部に面しており、排気ダクト31に進入した空気を車両の外部に排出させる。
【0034】
なお、本実施例では、ケース11の一側面11aに対して吸気ダクト30及び排気ダクト31を接続しているが、これに限るものではない。すなわち、ケース11内に空気を供給するとともに、単電池21との間で熱交換された空気をケース11の外部に排出させることができれば、いかなる構成であってもよい。例えば、ケース11のうち、互いに向かい合う側面に対して、吸気ダクト30及び排気ダクト31をそれぞれ接続することができる。
【0035】
また、本実施例では、乗員室内の空気を電池パック10に供給して、電池モジュール20を冷却するようにしているが、これに限るものではない。具体的には、乗員室内の空気を用いて電池モジュール20を温めることもできる。例えば、冬においては、単電池21が過度に冷却されることがある。ここで、乗員室内の温度は、車両の空調装置等によって、単電池21の温度よりも高くなっていることが多い。そこで、乗員室内の空気を電池パック10に供給すれば、単電池21を温めることができ、温度低下に伴って単電池21の出力特性が劣化してしまうのを抑制することができる。
【0036】
次に、本実施例の温度調節機構を動作させるための回路構成について、図2を用いて説明する。ここで、図2は、電池パック10の温度調節に用いられる回路構成を示すブロック図である。
【0037】
切替機構51は、切替弁50と、切替弁50を駆動する機構とで構成されている。切替弁50を駆動する機構としては、例えば、コントローラ100からの制御信号を受けて駆動するモータと、このモータの駆動力を切替弁50に伝達させる動力伝達機構とで構成することができる。
【0038】
補機バッテリ60は、ファン40を駆動するための電力(12[V])を出力する。ここで、コントローラ100は、補機バッテリ60及びファン40の間に配置されたスイッチ61のオン/オフ状態を切り替えることにより、ファン40への電力供給を制御することができる。補機バッテリ60としては、例えば、充放電が可能な二次電池を用いることができる。なお、補機バッテリ60は、車両に搭載された電子機器を動作させるための電力を出力するために用いることができる。
【0039】
本実施例では、補機バッテリ60の出力を用いてファン40を駆動しているが、電池モジュール20の出力を用いてファン40を駆動することもできる。ここで、電池モジュール20の出力を用いる場合には、DC/DCコンバータによって、電池モジュール20の電圧値を低い値に変換してからファン40に入力させることになる。また、DC/DCコンバータによって降圧された電池モジュール20の出力を用いて、補機バッテリ60を充電することもできる。
【0040】
第1の温度センサ70は、電池モジュール20の温度を検出するために用いられる。すなわち、コントローラ100は、第1の温度センサ70からの出力に基づいて、電池モジュール20の温度を検出する。ここで、電池モジュール20の温度を検出する方法としては、単電池21の内部又は外表面に第1の温度センサ70を設けておくことができる。なお、単電池21の電圧値等に基づいて、単電池21の温度を予測することもできる。
【0041】
第2の温度センサ71は、乗員室内の温度を検出するために用いられる。すなわち、コントローラ100は、第2の温度センサ71の出力に基づいて、乗員室内の温度を検出する。ここで、第2の温度センサ71の出力は、車両の空調装置の制御にも用いることができる。
【0042】
着座センサ(情報取得ユニット)80は、車両に搭載されたシートに乗員が座っているか否かを検出するために用いられる。すなわち、コントローラ100は、着座センサ80の出力に基づいて、乗員がシートに座っているか否かを判別する。また、コントローラ100は、電池モジュール20の充放電を制御する。具体的には、コントローラ100は、単電池21の電圧値等に基づいて単電池21の蓄電量としてのSOC(State Of Charge)を検出し、検出されたSOCが予め設定された基準値に近づくように電池モジュール20の充放電を制御する。
【0043】
次に、上述したコントローラ100の制御について、図3を用いて説明する。ここでの制御は、本実施例の温度調節機構の動作を制御するものである。
【0044】
ステップS1において、コントローラ100は、イグニッションスイッチがオフ状態であるか否かを判別する。ここで、イグニッションスイッチがオフ状態である場合には、ステップS2に進む。ステップS2において、コントローラ100は、着座センサ80の出力に基づいて、乗員がシートに座っているか否かを判別する。ここで、着座センサ80の出力がオフ状態である場合には、乗員がシートに座っていないと判断して、ステップS3に進む。
【0045】
本実施例では、車両の駆動が停止され、乗員が車両から離れたことを検出するために、上述したステップS1及びステップS2の処理を行っている。ここで、本実施例では、着座センサ80を用いているが、乗員が車両から離れたことを検出できればよいため、着座センサ80を用いた検出方法とは異なる検出方法であってもよい。例えば、車両の乗車及び降車に用いられるドアの開閉状態を検出したり、車両のドアがロックされたことを検出したりすることができる。そして、この検出結果に基づいて、乗員が車両から離れているか否かを判別することができる。
【0046】
ステップS3において、コントローラ100は、ファン40の駆動を開始させる。具体的には、ファン40を駆動するモータに補機バッテリ60の電力を供給することにより、ファン40が動作し始める。ここで、ファン40の駆動量、言い換えれば、ファン40の駆動に伴う空気の取込量は、一定としている。ファン40を駆動することにより、乗員室の空気が、吸気ダクト30を介して電池モジュール20に供給される。このとき、切替弁50は、第2の吸気口30bからの空気の流路を塞いでいる。
【0047】
ステップS4において、コントローラ100は、第1の温度センサ70の出力に基づいて、電池モジュール20の温度を検出するとともに、第2の温度センサ71の出力に基づいて、乗員室内の温度、言い換えれば、電池モジュール20に供給される空気の温度を検出する。ここで、乗員室内の温度は、車両の駆動を停止させる前に予め検出しておいてもよい。
【0048】
ステップS5において、コントローラ100は、ステップS4で検出された電池モジュール20の温度及び乗員室内の温度に基づいて、これらの温度の差を求め、この温度差が所定値αよりも小さいか否かを判別する。言い換えれば、電池モジュール20の温度が乗員室内の温度に近づいたか否かを判別する。ここで、所定値αの値は、適宜設定することができる。例えば、乗員室内の空気による電池モジュール20の冷却能力を考慮して、所定値αを設定することができる。また、所定値αは、乗員室内の空気を用いて電池モジュール20を冷却できたと判断できる基準に基づいて予め設定することができる。
【0049】
ステップS5において、電池モジュール20の温度及び乗員室内の温度の差が所定値αよりも小さい場合には、ステップS6に進み、そうでない場合には、ファン40を駆動し続けた状態で、ステップS4及びステップS5の処理を再度行う。ステップS3からステップS5の処理においては、乗員室内の空気を用いて電池モジュール20を冷却するようにしている。
【0050】
このように電池モジュール20を冷却しておくことにより、車両の駆動を停止させた後に、電池モジュール20が高温状態で放置される時間を短縮することができる。ここで、電池モジュール20は、車両の駆動を停止させたタイミングにおいて、熱を持ったままとなっていることがある。そこで、車両を停止させた後も、乗員室内の空気を用いて、電池モジュール20を冷却し続けることにより、電池モジュール20が高温状態で放置されるのを抑制することができる。そして、単電池21が高温状態のままで放置されるのを抑制することで、単電池21の劣化が進行してしまうのを抑制することができる。
【0051】
一方、乗員室内の空気を用いて、電池モジュール20を温めれば、車両の駆動を停止させた後において、電池モジュール20の温度低下を抑制することができる。すなわち、乗員室内に残った熱を利用して、電池モジュール20を温めることができ、乗員室内の熱エネルギを効率良く利用することができる。
【0052】
ステップS6において、コントローラ100は、切替機構51を駆動することにより、吸気ダクト30における吸気口を切り替える。具体的には、切替弁50を、第2の吸気口30bからの空気の流路を塞ぐ位置から、第1の吸気口30aからの空気の流路を塞ぐ位置に移動させる。これにより、乗員室内の空気が第1の吸気口30aを介して電池モジュール20に供給されるのを禁止するとともに、電池収容室内の空気が第2の吸気口30bを介して電池モジュール20に供給されるのを許容する。
【0053】
これにより、電池収容室内の空気が、吸気ダクト30及び排気ダクト31を介して車両の外部に排出されることになる。ここで、電池収容室は、乗員室と仕切られているため、車両の外部環境等によっては、電池収容室内に熱が残ったままとなってしまうことがある。そして、電池収容室に熱が残ったままでは、上述したステップS3からステップS5の処理によって電池モジュール20を冷却したとしても、電池モジュール20が電池収容室からの熱を受けて温められてしまう。
【0054】
そこで、本実施例では、電池収容室内の空気を吸気ダクト30及び排気ダクト31を介して車両の外部に排出させている。これにより、電池収容室内の熱を車両の外部に排出させることができ、電池収容室内の熱によって電池モジュール20が温められてしまうのを抑制することができる。
【0055】
ステップS7において、コントローラ100は、補機バッテリ60の充電状態(残容量)を検出し、検出された残容量が所定値βよりも低いか否かを判別する。所定値βは、適宜設定することができる。ステップS7において、補機バッテリ60の残容量が所定値βよりも低い場合には、ステップS8に進み、そうでない場合には、ファン40の駆動によって電池収容室内の空気を排出し続ける。ステップS8において、コントローラ100は、ファン40の駆動を停止させる。すなわち、コントローラ100は、補機バッテリ60からファン40への電力供給を禁止する。
【0056】
なお、本実施例では、補機バッテリ60の残容量が所定値βよりも低くなるまで、ファン40を駆動し続けているが、これに限るものではない。すなわち、電池収容室内の熱が電池モジュール20に悪影響を与えない範囲内において、電池収容室内の空気を排出させることができればよい。
【0057】
具体的には、ステップS6の処理で吸気口を切り替えたタイミングから所定時間が経過するまで、ファン40を駆動し続けることができる。この所定時間は、例えば、電池収容室内に存在するすべての空気が概ね排出されるまでの時間とすることができる。そして、所定時間は、電池収容室の体積(電池パック10の占める体積を除く)と、ファン40を駆動したときの空気の排出量とに基づいて、予め特定しておくことができる。
【0058】
また、電池収容室内の温度を検出するための温度センサを設けておき、この温度センサによって検出された温度が、冷却後の電池モジュール20の温度に近づくまでファン40を駆動し続けることができる。すなわち、冷却後の電池モジュール20の温度と、電池収容室内の温度との差が所定値以下となるまで、ファン40を駆動し続けることができる。この所定値は、適宜設定することができる。
【0059】
ここで、次回、車両を駆動する場合には、イグニッションスイッチがオン状態になったタイミングで、吸気口を切り替えることができる。具体的には、コントローラ100は、イグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り替わったときに、切替機構51を駆動する。そして、切替弁50を、第1の吸気口30aからの空気の流路を塞ぐ位置から、第2の吸気口30bからの空気の流路を塞ぐ位置に移動させる。
【0060】
これにより、車両を走行させている状態において、乗員室内の空気を、吸気ダクト30を介して電池モジュール20に供給することができ、乗員室内の空気を用いて、電池モジュール20の温度を調節することができる。
【0061】
本実施例において、ステップS3の処理では、ファン40の駆動量を一定としているが、ファン40の駆動量を変化させることもできる。ここで、車両の駆動を停止させたときの電池収容室内の温度が、冷却後の電池モジュール20の温度よりも高すぎることがある。例えば、車両が直射日光を受けている場合には、電池収容室の温度が上昇しやすくなっている。この場合には、電池収容室内の熱をできるだけ早く車両の外部に排出させることが好ましい。電池収容室の温度が高すぎる場合には、電池収容室の熱によって電池モジュール20がすぐに温められてしまうおそれがあるからである。
【0062】
そこで、電池収容室内の温度を検出するための温度センサを設けておき、この温度センサによって検出された温度が閾値よりも高い場合には、ファン40の駆動量を増加させることができる。ここでいう閾値は、上述した観点から適宜設定することができる。そして、例えば、ステップS6の処理を行うタイミングにおいて、ファン40の駆動量を変化させることができる。
【0063】
一方、車両を直射日光のもとで停止させた場合には、乗員室内の温度が直射日光の影響を受けて上昇しやすくなっている。そこで、乗員室内の空気が温められてしまう前に、電池モジュール20の冷却に適した空気を電池モジュール20にできるだけ多く供給することが好ましい。
【0064】
このため、外気温が高くなるにしたがって、ステップS3の処理で行われるファン40の駆動量を増加方向に変化させることができる。ここで、外気温及びファン40の駆動量の対応関係を示すデータ(テーブルデータ)をメモリに格納しておけば、外気温とメモリ内のデータを用いてファン40の駆動量を決定することができる。外気温に関する情報は、外気温を検出するための温度センサを用いて取得することができる。また、外気温及びファン40の駆動量の関係式を求めておき、外気温からファン40の駆動量を演算によって求めることもできる。
【0065】
なお、本実施例では、電池パック10の温度調節に用いられる吸気ダクト30及び排気ダクト31を用いて、電池収容室内の空気を排出させているが、これに限るものではない。すなわち、吸気ダクト30及び排気ダクト31とは別に、電池収容室内の空気を排出させるための排出機構を設けることができる。この排出機構としては、例えば、電池収容室の空気を車両の外部に排出させるための排気ダクトと、排気ダクトに設けられたファンとで構成することができる。この場合には、吸気ダクト30及び排気ダクト31を用いて電池パック10を冷却した後に、上述した排出機構を用いて電池収容室内の空気を排出させればよい。
【0066】
また、本実施例では、乗員室内の空気を用いて電池パック10を冷却した後に、電池収容室内の空気を排出させているが、これに限るものではない。具体的には、電池収容室内の空気を排出させた後に、乗員室内の空気を用いて電池パック10を冷却することもできる。
【実施例2】
【0067】
次に、本発明の実施例2である温度調節機構について、図4を用いて説明する。ここで、図4は、本実施例の温度調節機構の構成を示す概略図である。なお、実施例1で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いている。以下、実施例1と異なる点について、主に説明する。
【0068】
本実施例では、吸気ダクト30内に切替弁52を配置している。切替弁52は、回転軸52aを中心に回転可能となっている。また、切替弁52は、第2の吸気口30bよりも第1の吸気口30aの側に配置されている。
【0069】
切替弁52が図4に示す状態にあるときには、ファン40を駆動することにより、乗員室内の空気が第1の吸気口30aを介して吸気ダクト30に取り込まれることになる。一方、切替弁52が、図4に示す状態から90度回転すると、第1の吸気口30aからの空気の流路を塞ぐことになる。すなわち、切替弁52が吸気ダクト30を塞いだ状態では、ファン40を駆動しても、乗員室内の空気が第1の吸気口30aから取り込まれなくなる。
【0070】
一方、第2の吸気口30bには、吸音部材(閉塞部材)53が設けられており、吸音部材53は、第2の吸気口30bを塞いでいる。吸音部材53としては、例えば、ポリエステル繊維で形成することができる。吸気ダクト30に吸音部材53を配置することにより、ファン40の駆動音(ノイズ)を減衰させることができる。これにより、ファン40の駆動音が第1の吸気口30aを介して乗員室内に到達するのを抑制でき、乗員室内の乗員に不快感を与えるのを抑制することができる。
【0071】
また、吸音部材53は、複数の孔を有しているため、ファン40を駆動した際に、電池収容室内の空気を吸気ダクト30内に移動させることができる。すなわち、電池収容室内の空気を、第2の吸気口30bを介して吸気ダクト30内に取り込むことができる。
【0072】
切替弁52の駆動は、実施例1(図2)で説明したコントローラ100によって制御することができる。そして、本実施例におけるコントローラ100は、実施例1(図3)で説明した処理と同様の処理を行うようになっている。ここで、本実施例では、図3のステップS6の処理が実施例1と異なっている。
【0073】
すなわち、乗員室内の空気を用いて電池モジュール20を冷却する場合には、切替弁52を図4に示す状態としている。一方、電池モジュール20の冷却が完了した場合、言い換えれば、図3のステップS5において、温度差がαよりも小さくなった場合には、切替弁52を駆動することにより、第1の吸気口30aからの空気の供給路を塞ぐ。これにより、電池収容室内の空気だけが、第2の吸気口30bを介して吸気ダクト30内に取り込まれ、排気ダクト31を介して車両の外部に排出される。
【0074】
本実施例においても、車両の駆動を停止させた後において、乗員室内の空気を電池モジュール20に供給することにより、電池モジュール20を冷却させている。これにより、電池モジュール20が熱を持ったままの状態で放置されるのを抑制することができる。また、吸音部材53が設けられた位置から、電池収容室内の空気を取り込んで車両の外部に排出させているため、電池収容室内に残った熱により電池モジュール20が温められてしまうのを抑制することができる。
【0075】
なお、本実施例において、切替弁52の代わりに、実施例1で説明した切替弁50を用いることもできる。
【実施例3】
【0076】
次に、本発明の実施例3である温度調節機構について、図5を用いて説明する。ここで、図5は、本実施例の温度調節機構の構成を示す概略図である。なお、実施例1で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いている。以下、実施例1と異なる点について、主に説明する。
【0077】
実施例1では、吸気ダクト30を電池パック10にのみ接続しているが、本実施例では、吸気ダクト30の一部を分岐させて、電池モジュール20及びDC/DCコンバータ(電子機器)12に空気を供給するようにしている。すなわち、吸気ダクト30は、電池パック10に接続される第1の分岐ダクト30cと、DC/DCコンバータ12を収容するケースに接続される第2の分岐ダクト30dとを有している。
【0078】
DC/DCコンバータ12は、電池モジュール20に電気的に接続されており、電池モジュール20の出力(電圧値)を昇圧させたり、降圧させたりするために用いられる。DC/DCコンバータ12は、電池パック10と隣り合って配置されている。また、DC/DCコンバータ12は、通電によって発熱するため、乗員室内の空気を用いて冷却するようにしている。
【0079】
なお、本実施例では、DC/DCコンバータ12を冷却するようにしているが、これに限るものではない。すなわち、電池パック10と隣り合って配置される電子機器であって、通電によって発熱するものであれば、乗員室内の空気を用いて冷却することができる。この電子機器としては、例えば、単電池21の電圧値、電流値及び温度のうち少なくとも1つを監視するための電子機器がある。
【0080】
第1の分岐ダクト30cには、第1の分岐ダクト30cを閉じたり開いたりするための切替弁(ガイドユニット)54が配置されている。切替弁54は、回転軸54aを中心として回転可能となっている。ここで、切替弁54が閉じ状態にあるときには、ファン40からの空気が電池パック10に向かうのを阻止している。また、切替弁54が開き状態にあるときには、ファン40からの空気が電池パック10に向かうのを許容している。切替弁54の駆動は、実施例1(図2)で説明したコントローラ100によって制御することができる。
【0081】
DC/DCコンバータ12を収容するケースには、排気ダクト31の一部が接続されている。これにより、DC/DCコンバータ12との間で熱交換された空気が排気ダクト31内に移動するようになっている。
【0082】
本実施例においても、実施例1(図3)と同様の処理を行うことができる。ここで、本実施例では、ステップS6の処理が実施例1と異なっている。
【0083】
まず、乗員室内の空気を用いて電池モジュール20を冷却する場合には、切替弁50が第2の吸気口30bからの空気の供給路を塞ぐとともに、切替弁54が開き状態となっている。これにより、ファン40を駆動すると、乗員室内の空気が第1の吸気口30aを介して吸気ダクト30内に取り込まれる。
【0084】
そして、取り込まれた空気は、第1の分岐ダクト30cを介して電池モジュール20に供給されるとともに、第2の分岐ダクト30dを介してDC/DCコンバータ12に供給される。電池モジュール20及びDC/DCコンバータ12との間で熱交換された空気は、排気ダクト31を介して車両の外部に排出される。これにより、乗員室内の空気を用いて、電池モジュール20及びDC/DCコンバータ12を冷却することができる。
【0085】
一方、本実施例におけるステップS6の処理では、切替弁50が第1の吸気口30aからの空気の供給路を塞ぐとともに、切替弁54が閉じ状態となる。ここで、ファン40を駆動すると、電池収容室内の空気が第2の吸気口30bを介して吸気ダクト30内に取り込まれる。取り込まれた空気は、第2の分岐ダクト30dを介してDC/DCコンバータ12にのみ供給される。すなわち、電池収容室内の空気が、電池モジュール20に供給されるのを禁止している。第2の分岐ダクト30dに導かれた空気は、DC/DCコンバータ12を通過して、排気ダクト31に導かれる。
【0086】
本実施例においても、車両の駆動を停止させた後において、乗員室内の空気を電池モジュール20及びDC/DCコンバータ12に供給することにより、電池モジュール20及びDC/DCコンバータ12を冷却させている。これにより、電池モジュール20及びDC/DCコンバータ12が熱を持ったままの状態で放置されるのを抑制することができる。
【0087】
また、電池収容室内の空気を吸気ダクト30及び排気ダクト31を介して車両の外部に排出させているため、電池収容室内に残った熱により、電池モジュール20が温められてしまうのを抑制することができる。特に、本実施例では、切替弁54を用いて、電池収容室内の空気を第2の分岐ダクト30dを介してDC/DCコンバータ12にのみ導いており、電池モジュール20に導かないようにしている。これにより、電池収容室内の空気が、電池パック10内を通過する際に、電池モジュール20に熱が伝達してしまうのを防止することができる。すなわち、電池モジュール20を、乗員室内の空気を用いて冷却したままの状態とすることができる。
【実施例4】
【0088】
次に、本発明の実施例4である温度調節機構について、図6を用いて説明する。ここで、図6は、本実施例の温度調節機構の構成を示す概略図である。なお、実施例1,3で説明した部材と同一の機能を有する部材については、同一符号を用いている。以下、実施例1,3と異なる点について、主に説明する。
【0089】
実施例3では、切替弁54を閉じ状態及び開き状態の間で切り替えることにより、ファン40からの空気を、電池モジュール20及びDC/DCコンバータ12に導いたり、DC/DCコンバータ12にのみ導いたりしている。本実施例では、実施例3で説明した切替弁54を省略し、第2の分岐ダクト30d内にファン(ガイドユニット)41を配置している。ここで、ファン41は、第1及び第2の分岐ダクト30c,30dにおける分岐点よりも、DC/DCコンバータ12の側に配置されている。また、ファン41の駆動は、実施例1(図2)で説明したコントローラ100によって制御することができる。
【0090】
本実施例において、ファン40だけを駆動すると、ファン40から送り出された空気が、第1の分岐ダクト30cを介して電池モジュール20に供給されるとともに、第2の分岐ダクト30dを介してDC/DCコンバータ12に供給される。また、ファン41だけを駆動すると、ファン41から送り出された空気がDC/DCコンバータ12にのみ供給される。すなわち、ファン41だけを駆動した場合には、吸気ダクト30内に空気が取り込まれるが、この空気は、電池モジュール20に到達しないようになっている。
【0091】
本実施例においても、実施例1(図3)と同様の処理を行うことができる。ここで、本実施例では、ステップS6の処理が実施例1と異なっている。
【0092】
まず、乗員室内の空気を用いて電池モジュール20を冷却する場合には、切替弁50が第2の吸気口30bからの空気の供給路を塞ぐとともに、ファン40だけを駆動する。これにより、乗員室内の空気が第1の吸気口30aを介して吸気ダクト30内に取り込まれる。取り込まれた空気は、第1の分岐ダクト30cを介して電池モジュール20に導かれるとともに、第2の分岐ダクト30dを介してDC/DCコンバータ12に導かれる。
【0093】
電池モジュール20及びDC/DCコンバータ12で熱交換された空気は、排気ダクト31を介して車両の外部に排出される。これにより、乗員室内の空気を用いて、電池モジュール20及びDC/DCコンバータ12を冷却することができる。
【0094】
一方、本実施例におけるステップS6の処理では、切替弁50が第1の吸気口30aからの空気の供給路を塞ぐとともに、ファン41だけを駆動する。これにより、電池収容室内の空気が第2の吸気口30bを介して吸気ダクト30内に取り込まれる。取り込まれた空気は、第2の分岐ダクト30dを介してDC/DCコンバータ12に導かれる。すなわち、ファン41だけを駆動することによって、電池収容室内の空気を、第2の分岐ダクト30dを介してDC/DCコンバータ12に積極的に導くようにしている。第2の分岐ダクト30dに導かれた空気は、DC/DCコンバータ12を通過して、排気ダクト31に導かれる。
【0095】
本実施例においても、車両の駆動を停止させた後において、乗員室内の空気を電池モジュール20及びDC/DCコンバータ12に供給することにより、電池モジュール20及びDC/DCコンバータ12を冷却させている。これにより、電池モジュール20及びDC/DCコンバータ12が熱を持ったままの状態で放置されるのを抑制することができる。
【0096】
また、電池収容室内の空気を吸気ダクト30及び排気ダクト31を介して車両の外部に排出させているため、電池収容室内に残った熱により電池モジュール20が温められてしまうのを抑制することができる。特に、本実施例では、ファン41を駆動することにより、電池収容室内の空気を第2の分岐ダクト30dに積極的に導いており、電池モジュール20に向かわないようにしている。これにより、電池収容室内の空気が、電池パック10内を通過する際に、電池モジュール20に熱が伝達してしまうのを防止することができる。すなわち、電池モジュール20を、乗員室内の空気を用いて冷却したままの状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施例1である温度調節機構の構成を示す概略図である。
【図2】実施例1において、温度調節の制御に用いられる回路構成を示すブロック図である。
【図3】実施例1における温度調節の制御を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2である温度調節機構の構成を示す概略図である。
【図5】本発明の実施例3である温度調節機構の構成を示す概略図である。
【図6】本発明の実施例4である温度調節機構の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
【0098】
10:電池パック(蓄電装置) 11:ケース
12:DC/DCコンバータ(電子機器) 20:電池モジュール
21:単電池 30:吸気ダクト
30a,30b:吸気口 30c,30d:分岐ダクト
31:排気ダクト 40,41:ファン
50,52,54:切替弁 51:切替機構
53:吸音部材(閉塞部材) 60:補機バッテリ
70,71:温度センサ 80:着座センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員が乗車する乗車スペースと仕切られ、蓄電装置を収容する収容スペースと、
ファンを駆動することにより、前記収容スペースの空気を排出させる排出機構と、を有することを特徴とする車両。
【請求項2】
前記排出機構は、前記乗車スペースの空気を前記蓄電装置内の蓄電素子に供給するための吸気ダクトと、前記蓄電素子との間で熱交換された空気を排出させるための排気ダクトと、を有しており、
前記吸気ダクトは、前記乗車スペースの空気を取り込む第1の吸気口と、前記収容スペースの空気を取り込む第2の吸気口と、を有することを特徴とする請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記第2の吸気口を塞ぐとともに、前記収容スペースの空気の通過を許容する閉塞部材を有することを特徴とする請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記閉塞部材は、前記吸気ダクト内のノイズを減衰させる吸音機能を有することを特徴とする請求項3に記載の車両。
【請求項5】
前記第1の吸気口を介した空気の取り込みと、前記第2の吸気口を介した空気の取り込みとを切り替える切替機構を有することを特徴とする請求項2から4のいずれか1つに記載の車両。
【請求項6】
前記切替機構は、前記第1の吸気口からの空気の流路を塞ぐ状態と、前記第2の吸気口からの空気の流路を塞ぐ状態との間で動作する切替弁を有することを特徴とする請求項5に記載の車両。
【請求項7】
前記切替機構は、前記第1の吸気口からの空気の流路を開閉させる切替弁を有することを特徴とする請求項5に記載の車両。
【請求項8】
前記吸気ダクトは、取り込んだ空気を前記蓄電装置に導く第1の分岐ダクトと、取り込んだ空気を、前記蓄電装置とは異なる位置に配置された電子機器に導く第2の分岐ダクトと、を有しており、
前記吸気ダクトに取り込まれた前記収容スペースの空気を、前記第2の分岐ダクトに向かわせるガイドユニットを有することを特徴とする請求項2から7のいずれか1つに記載の車両。
【請求項9】
前記排出機構の駆動を制御するコントローラを有しており、
前記コントローラは、前記車両の駆動を停止させた後に、前記排出機構を動作させることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の車両。
【請求項10】
乗員の降車に関する情報を取得する情報取得ユニットを有しており、
前記コントローラは、前記情報取得ユニットの取得情報に基づいて、乗員が降車したと判断したときに、前記排出機構を動作させることを特徴とする請求項9に記載の車両。
【請求項11】
前記乗車スペースの空気は、前記蓄電装置の温度を調節するために用いられることを特徴とする請求項1から10のいずれか1つに記載の車両。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−18156(P2010−18156A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−180407(P2008−180407)
【出願日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】