車体の生産方法及び溶接設備
【課題】本発明は、複数の種類の製品を溶接可能にする車体の生産方法及び溶接設備において、溶接設備を有効に且つ柔軟に活用することができる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】溶接設備10には、パネル部材を溶接するサブ溶接ライン12と、このサブ溶接ライン12が合流する主溶接ライン13とが設けられている。サブ溶接ライン12が主溶接ライン13と合流する合流部75で、骨格部材にパネル部材が合体され溶接される。主溶接ライン13は、溶接ロボット35L、35Rを備える複数個の溶接ステージ51、55〜59、61で構成され、サブ溶接ライン12の出口には、パネル部材を任意の溶接ステージに移載する移載機構70が設けられており、溶接作業の工程数に対応して合流部75が変更できるように構成されている。
【解決手段】溶接設備10には、パネル部材を溶接するサブ溶接ライン12と、このサブ溶接ライン12が合流する主溶接ライン13とが設けられている。サブ溶接ライン12が主溶接ライン13と合流する合流部75で、骨格部材にパネル部材が合体され溶接される。主溶接ライン13は、溶接ロボット35L、35Rを備える複数個の溶接ステージ51、55〜59、61で構成され、サブ溶接ライン12の出口には、パネル部材を任意の溶接ステージに移載する移載機構70が設けられており、溶接作業の工程数に対応して合流部75が変更できるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブ溶接ラインと、このサブ溶接ラインが合流する主溶接ラインとが備えられている車体の生産方法及び溶接設備に関する。
【背景技術】
【0002】
サブ溶接ラインと、このサブ溶接ラインが合流する主溶接ラインとが備えられ、複数の種類の製品の組立を可能にした溶接設備が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−47328公報(図1)
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図23は従来の技術の基本構成を説明する図であり、溶接設備200は、メイン溶接ライン201と、このメイン溶接ライン201に合流するサブ溶接ライン202とからなる。サブ溶接ライン202は、フロントフロア組立ライン203と、リヤフロア組立ライン204と、エンジンコンパートメント組立ライン205とからなり、これらの各組立ライン203〜205で組み立てられたワークは、メイン溶接ライン201に供給され、溶接されて車体が組み立てられる。
【0004】
サブ溶接ライン202を構成するフロントフロア組立ライン203には、第1及び第2の生産設備206a、206bが設けられている。同様に、リヤフロア組立ライン204には、第1及び第2の生産設備207a、207bが設けられ、エンジンコンパートメント組立ライン205には、第1及び第2の生産設備208a、208bが設けられており、複数の種類の製品を組み立てることができる。
【0005】
ところで、特許文献1の技術では、複数の種類の製品を溶接して組み立てる場合には、各サブ溶接ラインにその製品の種類数に応じた複数の設備が必要となり、必要な設備面積が大きくなるという課題がある。加えて、製品の種類別に専用の設備となるために、共用可能な設備が少なく、設備を有効に且つ柔軟に活用することが難しいという課題がある。
複数の種類の製品を溶接可能にした溶接設備において、溶接設備を有効に且つ柔軟に活用することができるとともに、必要な設備面積を小さくすることができる技術が望まれる。また、お互いに車体構造が全く異なる複数種類の車体を、最小限の設備で多品種混流生産を可能にする技術が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数の種類の製品を溶接可能にする車体の生産方法及び溶接設備において、溶接設備を有効に且つ柔軟に活用することができるとともに、必要な設備面積を小さくすることができ、併せて、お互いに車体構造が全く異なる複数種類の車体を、効率良く多品種混流生産を可能にする技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、複数の溶接ステージから構成される溶接ラインにより、自動車の車体部品を溶接する車体の生産方法において、最初の溶接ステージで車体の骨格部材を溶接して、車体骨格を完成させる工程と、完成された車体骨格に対して、パネル部材を溶接する溶接ステージを、生産する車体の車種に応じて異なる溶接ステージで溶接する工程と、からなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、パネル部材を溶接する溶接ステージの変更工程は、少なくとも2箇所設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、パネル部材を溶接するサブ溶接ラインが、主溶接ラインに合流され、この合流部で、骨格部材にパネル部材を合体して溶接する車体の生産方法であって、主溶接ラインで、複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程と、サブ溶接ラインで、複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程と、骨格溶接工程が終了した位置で、主溶接ライン上の骨格部材に、パネル部材を合体する骨格−パネル合体工程と、骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程とからなることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、パネル部材を溶接するサブ溶接ラインが、主溶接ラインに合流され、この合流部で、骨格部材にパネル部材を合体して溶接する溶接設備であって、主溶接ラインは、溶接ロボットを備える複数個の溶接ステージで構成され、サブ溶接ラインの出口には、パネル部材を任意の溶接ステージに移載する移載機構が設けられており、溶接する製品の種類に対応して合流部が変更できることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明では、移載機構は、主溶接ラインに並行に敷設されたレールと、このレールに沿って移動する台車と、この台車に設けられている運搬ロボットとからなることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明では、パネル部材は、車体のフロアパネルであることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明では、パネル部材は、車体のホイールハウス部材であることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明では、溶接設備には、主溶接ラインに合流し任意の溶接ステージに移載する移載機構が付設されたサブ溶接ラインが少なくとも2本以上設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、パネル部材を溶接する溶接ステージを、生産する車体の車種に応じて異なる溶接ステージで溶接する工程が設けられているので、生産する車体の種類に応じて異なる溶接ステージを利用して生産することが可能になる。
このため、車体の種類が複数の場合に、共用可能な設備を増やすことができる。共用可能な設備が増えることによって、高価な溶接設備を設備を有効に且つ柔軟に活用することが可能になる。
【0016】
請求項2に係る発明では、パネル部材を溶接する溶接ステージの変更工程が、少なくとも2箇所設けられているので、例えば、異なる車体の種類で同種の部品を取り付ける工程を変更することができる。従って、溶接設備の汎用性を一層高めることができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、主溶接ラインに複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程と、サブ溶接ラインに複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程と、主溶接ラインに骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程とが設けられている。
【0018】
骨格部材とパネル部材とを別々のラインで溶接し、その後合体させて車体を生産するようにした。この方法であれば、例えば、同じ工程内に複数のステージを設けることによって、同じ工程内の隣接するステージにて第1次溶接と第2次溶接を行うことができる。
【0019】
同じ工程内で第1次溶接と第2次溶接を行うことが可能になれば、構造の全く異なる車体であっても、1つの主溶接ラインでこれらの車体を混在させて生産する、いわゆる、混流生産を成立させることが可能になる。1つの溶接ラインで複数の車型の混流生産が可能になるので、設備面積を小さくできるとともに、設備費用を大幅に低減することができる。
【0020】
また、各々の工程内において、第1次溶接と第2次溶接とをまとめて行うことを可能にすることによって、車体構造が異なり、溶接打点数が異なる場合であっても、異なる溶接ステージに溶接打点を振り分けることにより、柔軟な対応が可能となる。
【0021】
例えば、第1次溶接と第2次溶接を、パネル溶接工程内の異なる溶接ステージに振り分け、骨格−パネル合体工程内の異なる溶接ステージに振り分けるようにすれば、製品種類(車体の種類)の変更に対して、サブ溶接ラインの生産性が損なわれる心配はない。
従って、お互いに車体構造が全く異なる複数種類の車体を、効率良く多品種混流生産を行うことができる。
【0022】
請求項4に係る発明では、サブ溶接ラインの出口には、パネル部材を任意の溶接ステージに移載する移載機構が設けられており、溶接する製品の種類に対応して主溶接ラインにサブ溶接ラインが合流する合流部が変更できるように構成した。
【0023】
複数種類の製品を1つの主溶接ラインで混在させて生産する場合に、製品の種類によって溶接作業の工程数が異なるため、合流部が異なる場合がある。
この点、本発明によれば、合流部を変更可能にする移載機構が設けられているので、製品の種類ごとに個別の移載機構を設ける必要がなくなる。つまり、移載機構の共通化が図れる。
移載機構の共通化によって、必要な設備面積を小さくすることができ、併せて、設備費用を低減することができる。
【0024】
また、移載機構を設けることによって、溶接する車体の種類が変更になったときに、発生する工程間の負荷のアンバランス(工程偏差)を調整することができ、ラインバランシングの平準化を図ることができる。
【0025】
移載機構を共通化することに加えて、各溶接ラインに配置されている設備、治具に、複数の種類の製品が溶接できるような構造をもたせることによって、必要な設備面積をさらに小さくできる。
【0026】
請求項5に係る発明では、運搬ロボットは、レールと台車とにより、主溶接ラインに並行に移動可能に設けられているので、製品種類(車体の種類)の変更によって合流部の位置を変更したい場合や、製品種類の増加等によって合流部の位置が増加する場合などにおいて、レール長さを変更する等の小改造のみで対応することができる。このため、多品種混流生産をする場合においても、設備費用を低く抑えることができる。
【0027】
請求項6に係る発明では、パネル部材は、車体のフロアパネルであるので、多品種混流生産ラインにおいて、お互いに車体構造が全く異なる複数種類の車体を、効率良く多品種混流生産を行うことができる。
【0028】
請求項7に係る発明では、車体のホイールハウス部材であるので、多品種混流生産ラインにおいて、お互いに車体構造が全く異なる複数種類の車体を、効率良く多品種混流生産を行うことができる。
【0029】
請求項8に係る発明では、溶接設備には、主溶接ラインに合流し任意の溶接ステージに移載する移載機構が付設されたサブ溶接ラインが少なくとも2本以上設けられているので、必要な設備面積を小さくすることができ、併せて、設備費用を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る溶接設備に備えられている溶接ラインの平面図であり、四輪車のリヤフロア部を組み立てる溶接ライン11のレイアウトを示すものである。
【0031】
溶接設備10に備えられている溶接ライン11には、リヤフロアを構成するパネル部材同士を溶接するサブ溶接ライン12と、リヤフロア部を溶接して完成させる主溶接ライン13と、サブ溶接ライン12を主溶接ライン13に合流させ、パネル部材を骨格部材に供給するパネル供給部14とが備えられている。本実施例において、パネル供給部14は、第1パネル供給部15と第2パネル供給部16からなる。
【0032】
サブ溶接ライン12は、第1サブ溶接ライン17と第2サブ溶接ライン18とから構成されている。第1サブ溶接ライン17は、主溶接ライン13に第1パネル供給部15を介して連結され、第2サブ溶接ライン18は、主溶接ライン13に第2パネル供給部16を介して連結されている。
【0033】
第1サブ溶接ライン17には、パネル部材を収納するパーツ収納パレット21a〜21eと、これらパーツ収納パレット21a〜21eから必要なパーツを取り出す第1取出ロボット22L、22Rと、取り出したパーツに必要に応じてナットなどの溶接を行う溶接ロボット23L、23Rと、第1取出ロボット22L、22Rからパーツを受け取り第1仮置部24に受け渡す第1受渡ロボット25L、25Rと、この第1仮置部24から次ステージにパーツを移載する第1移載ロボット28を含む第1パーツ移載機構29と、この第1パーツ移載機構29に隣接して移載したパーツに、第1次溶接(以下、「仮止溶接」とも云う。)を行う第1溶接ステージ31と、この第1溶接ステージ31の後方に設ける第2移載ロボット32と、この第2移載ロボット32の後方に、第2次溶接(以下、「増打溶接」とも云う。)を行う第2溶接ステージ33と、この第2溶接ステージ33から第1パネル供給部15に向けて組み立てたパネル部材アッシーを移載する第3移載ロボット34と、第1及び第2溶接ステージ31、33の左右に配置する溶接ロボット35L・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)、35R・・・とが備えられている。
【0034】
第2サブ溶接ライン18には、パーツを収納するパーツ収納パレット36a〜36cと、これらパーツ収納パレット36a〜36cから必要なパーツを第2取出ステージ37に取り出す第2取出ロボット38と、第2取出ステージ37の側方に設け取り出したパーツに必要に応じてナットなどの溶接を行う溶接ロボット39F、39Rとが備えられている。
【0035】
主溶接ライン13は、骨格部材を収納する収納パレット41a〜41dと、これら収納パレット41a〜41dのうちの一部の収納パレット41a、41bから必要な骨格部材を取り出す第3取出ロボット42と、取り出したパーツに必要に応じてナットなどの溶接を行う溶接ロボット43L、43Rと、第3取出ロボット42からパーツを受け取るとともに、収納パレット41c、41dからパーツを取り出し第2仮置部44に受け渡す第2受渡ロボット45L、45Rと、この第2仮置部44及びから次ステージにパーツを移載する第3移載ロボット48を含む第3パーツ移載機構49と、この第3パーツ移載機構49に隣接して移載した骨格部材に第1次溶接を行う第3溶接ステージ51と、この第3溶接ステージ51の後方に設ける第4移載ロボット53を含む第4パーツ移載機構54と、この第4パーツ移載機構54の後方に設ける第4溶接ステージ55と、この第4溶接ステージ55の後方にこの順に設ける第5〜第9溶接ステージ55、57〜61と、第4〜第9溶接ステージ55〜61の間に各々設ける第5〜第10移載ロボット62〜67と、第3〜第9溶接ステージ51、55〜61の左右側方に設ける溶接ロボット69L・・・、69R・・・とが備えられている。
【0036】
つまり、主溶接ライン13は、溶接ロボット69L・・・、69R・・・を備える複数個の溶接ステージで構成されている。なお、第9溶接ステージ61の後方には、第10移載ロボット67を介して完成したリヤフロアが到達するエンドステージ68が設けられている。
【0037】
第1パネル供給部15は、第1サブ溶接ライン17でパネル部材同士を組み立てたパネル部材アッシーを取り出すパネルアッシー取出ステージ71と、主溶接ライン13の側方に配置する第1の前後の受取ステージ72、73と、パネル部材アッシーを第1の前受取ステージ72又は第1の後受取ステージ73に移載する第1主溶接ライン移載機構74とからなる。
【0038】
第1の前受取ステージ72に移載されたパネル部品アッシーは、第4移載ロボット53を用いて、主溶接ラインの第4溶接ステージ55に移載可能となっている。
また、第1の後受取ステージ73に移載されたパネル部品アッシーは、第5移載ロボット62を用いて、主溶接ラインの第5溶接ステージ56に移載可能となっている。
【0039】
すなわち、サブ溶接ライン12の出口には、パネル部材アッシーを任意の溶接ステージに移載する移載機構70としての第1主溶接ライン移載機構74が設けられている。第1主溶接ライン移載機構74の詳細は後述する。
【0040】
図2は図1の2部拡大図、図3は図2の3−3矢視図である。以下、図3と図4とを参照して説明を行う。但し、第1溶接ステージ31の側方に配置した溶接ロボットは省略されている。
【0041】
治具運搬コンベア77は、治具保管エリアEから第1溶接ステージ31まで平面視で略L字状に敷設され、この治具運搬コンベア77を跨ぐ高架フレーム78が設けられ、この高架フレーム78には、第1パーツ移載機構29が設けられている。第1パーツ移載機構29には、上レール79が敷設され、この上レール79に第1移載ロボット28が移動可能に設けられている。
【0042】
第1パーツ移載機構29は、高架フレーム78に上レール79及び上台車81を介して移動自在に取り付けられている第1移載ロボット28を備える。
高架フレーム78は、鉛直方向上向きに延ばした4本の柱部44・・・とこれら柱部44・・・の上端部に取り付けた床部83からなる。
【0043】
第1治具台車84と第2治具台車85のうちの第1治具台車84を用いる場合の作用を説明する。第1治具台車84及び第2治具台車85は、治具保管エリアEと第1溶接ステージ31の間を移動可能に設けられている。図において、第1治具台車84は、治具運搬コンベア77上を図矢印a方向に第1溶接ステージ31まで移動する。
【0044】
このとき、第1移載ロボット28は、高架フレーム78上に設けられているので、第1仮置部(図1の符号24)からパーツを把持し、上レール79上を移動して第1治具台車84に備えられている第1治具の所定位置にパーツを移載することができる。つまり、第1治具台車84の動作と第1移載ロボット28の動作は、同時に並行して行わせることが可能となり、設備の生産性を大幅に高めることができる。
なお、第3パーツ移載機構49、第4パーツ移載機構54は、第1パーツ移載機構29と同様な基本構成をもつものであり、説明を省略する。
【0045】
図4は図1の4−4矢視図であり、図1を併せて参照して説明する。
第1パネル供給部15に備えられている第1主溶接ライン移載機構74は、パネルアッシー取出ステージ71でパネル部材アッシーを受取り、主溶接ライン13の側方に配置されている第1の前受取ステージ72又は後受取ステージ73に移載するというものである。
【0046】
詳細には、第1主溶接ライン移載機構74は、主溶接ライン13に並行に敷設されたレール86と、このレール86に沿って移動する台車87と、この台車87に設けられている運搬ロボット88とからなる。
【0047】
運搬ロボット88は、レール86と台車87とにより、主溶接ライン13に並行に移動可能に設けられているので、製品の種類の変更によってパネル供給部14の位置を変更したい場合や、製品種類の増加等によってパネル供給部14の位置が増加する場合などにおいて、レール86の長さを変更する等の小改造のみで対応することができる。このため、製品モデルチェンジの際に発生する設備費用を低く抑えることができる。
【0048】
なお、第2主溶接ライン移載機構89については、第1主溶接ライン移載機構74と移載する部品が異なるのみで、基本的な構成は同様な構成であるため説明を省略する。
【0049】
以下、図5〜図9で、第1車型のリヤフロア部の溶接工程について説明する。
図5は本発明の溶接ラインにおいて第1車型に係るワークの流れを説明する図であり、図1を併せて参照して説明する。
ワークとしての第1車型に係るパネル部材は、サブ溶接ライン12に配置した第1溶接ステージ31及び第2溶接ステージ33を通過し、第1主溶接ライン移載機構74により第1の前受取ステージ72に到達する。
【0050】
第3溶接ステージ51にて骨格部材が組み立てられ、第1主溶接ライン移載機構74を介して移載される第1車型に係るパネル部材同士を組み立てたパネル部材アッシーを、第4パーツ移載機構54によって第4溶接ステージ55にて骨格部材に合体させる。つまり、第1車型の場合には、第4溶接ステージ55が合流部75となる。
第4溶接ステージ55から第5溶接ステージ56に移載された車体は、第5溶接ステージ56にて増打溶接される。以下、各工程の詳細を順に説明する。
【0051】
図6はサブ溶接ラインで第1車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程の説明図であり、図5を併せて参照し説明を行う。
サブ溶接ライン12には、複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程が設けられている。以下、具体的に説明を行う。
【0052】
(a)において、第1溶接ステージ31にて、第1リヤフロアフロント91の後方に第1リヤフロアリヤ92をセットし、第1リヤフロアフロント91の上面に左右の第1サブレール93L、93Rをセットし、この左右の第1サブレール93L、93Rに掛け渡すように第1クロスサブレール94をセットし、上記の各部品同士を相互に仮止溶接を行い一体化させる。以下、第1リヤフロアフロント91と第1リヤフロアリヤ92と左右の第1サブレール93L、93Rと第1クロスサブレール94とを一体化させた部材を第1パネル部材アッシー95と云う。
【0053】
(b)において、第1溶接ステージ31から第2溶接ステージ33に第1パネル部材アッシー95を移載し、この第2溶接ステージ33にて第1パネル部材アッシー95に増打溶接を行う。
【0054】
図7は主溶接ラインで第1車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程の説明図であり、図5を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程が設けられている。以下、具体的に説明を行う。
【0055】
(a)において、第3溶接ステージ51にて、所定の治具の上に第1左及び右レール90L、90Rをセットし、これら第1左及び右レール90L、90Rの前端部の間に第1リヤクロス部材96をセットするとともに、第1左及び右レール90L、90Rの中間部の間に第1サブクロス部材97をセットし、上記の各部品同士を相互に仮止溶接を行い一体化させる。以下、第1左及び右レール90L、90Rと第1リヤクロス部材96と第1サブクロス部材97とを一体化させた部材を第1骨格部材アッシー98と云う。
(b)には、仮止溶接された第1骨格部材アッシー98が示されている。
【0056】
図8は第1車型に係るパネル部材を合体する骨格−パネル合体工程の説明図であり、図5を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、骨格部材としての第1骨格部材アッシー98に、パネル部材としての第1パネル部材アッシー95を合体する骨格−パネル合体工程が設けられている。
【0057】
具体的には、最初に、第3溶接ステージ51から第4溶接ステージ55に第1骨格部材アッシー98を移載し、次いで、第2溶接ステージ33から、第1パネル供給部15を介して第4溶接ステージ55に第1パネル部材アッシー95を移載し、この第4溶接ステージ55にて、骨格部材としての第1骨格部材アッシー98にパネル部材としての第1パネル部材アッシー95を合体して仮止溶接する。以下、合体させた部材を第1骨格パネルアッシー99と云う。
【0058】
図9は第1車型に係る骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程の説明図であり、図5を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、第1骨格部材アッシー98に第1パネル部材アッシー95を溶接する骨格−パネル溶接工程が設けられている。
【0059】
第5溶接ステージ56にて、合体させた第1骨格パネルアッシー99に増打溶接を行い、第1車型に係るリヤフロア部の組立を完了させる。なお、組立が完了した第1骨格パネルアッシー99は、第6溶接ステージ56〜第9溶接ステージ61を順次パスしてエンドステージ68に到達する。
【0060】
すなわち、第1車型に係る車体の生産方法は、主溶接ライン13で、第1車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程と、サブ溶接ライン12で、第1車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程と、骨格溶接工程が終了した位置で、主溶接ライン13上の骨格部材に、パネル部材を合体する骨格−パネル合体工程と、骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程とからなる。
【0061】
以下、図10〜図16で、第2車型のリヤフロア部の溶接工程について説明する。
図10は本発明の溶接ラインにおいて第2車型の生産に係るワークの流れを説明する図であり、図1を併せて参照して説明を行う。
【0062】
ワークとしての第2車型に係るパネル部材アッシーは、サブ溶接ライン12に配置した第1溶接ステージ31及び第2溶接ステージ33を通過し、第1主溶接ライン移載機構74により第1の前受取ステージ72に到達する。
【0063】
第3溶接ステージ51にて骨格部材が組み立てられ、第4溶接ステージ55にて、第1主溶接ライン移載機構74を介して移載される第1車型に係るパネル部材アッシーを第4パーツ移載機構54によって骨格部材に合体させる。つまり、第2車型の場合には、第4溶接ステージ55が合流部75となる。
【0064】
第4溶接ステージ55から第5溶接ステージ56に移載した車体は、第5溶接ステージ56にて増打溶接され、第6〜第8溶接ステージ57〜59にて、別の部材が取り付けられる。以下、各工程の詳細を順に説明する。
【0065】
図11はサブ溶接ラインで第2車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程の説明図であり、図10を併せて参照し説明を行う。
(a)において、所定の治具台車を第1溶接ステージ31に移動させ、この第1溶接ステージ31にて、左右の補強部材100L、100Rをセットし、第2リヤフロアリヤ102をセットし、左右の補強部材100L、100Rの上方で第2リヤフロアリヤ102の前端部に第2リヤフロアフロント101をセットし、この第2リヤフロアフロント101の上面に第2クロスサブレール104をセットし、上記の各部品同士を相互に仮止溶接を行い一体化させる。以下、左右の補強部材100L、100Rと第2リヤフロアフロント101と第2リヤフロアリヤ102と第2クロスサブレール104とを一体化させた部材を第2パネル部材アッシー105と云う。
【0066】
(b)において、第1溶接ステージ31から第2溶接ステージ33に第2パネル部材アッシー105を移載し、この第2溶接ステージ33にて第2パネル部材アッシー105に増打溶接を行う。
【0067】
図12は主溶接ラインで第2車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程の説明図であり、図10を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程が設けられている。以下、具体的に説明する。
【0068】
(a)において、第3溶接ステージ51に、所定の治具を移動させ、この治具の上に第2の左及び右レール110L、110Rをセットし、これら第2の左及び右レール110L、110Rの間に第2リヤクロス部材106をセットするとともに、第2サブクロス部材107をセットし、上記の各部品同士を相互に仮止溶接を行い一体化させる。以下、第2リヤクロス部材106と第2サブクロス部材107と第2の左及び右レール110L、110Rとを一体化させた部材を第1骨格部材アッシー108と云う。
(b)には、仮止溶接された第2骨格部材アッシー108が示されている。
【0069】
図13は第2車型に係るパネル部材を合体する骨格−パネル合体工程の説明図であり、図10を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、骨格部材としての第2骨格部材アッシー108に、パネル部材としての第2パネル部材アッシー105を合体する骨格−パネル合体工程が設けられている。
【0070】
具体的には、第3溶接ステージ51から第4溶接ステージ55に第2骨格部材アッシー108を移載し、第2溶接ステージ33から、第1パネル供給部15を介して第4溶接ステージ55に第2パネル部材アッシー105を移載し、この第4溶接ステージ55にて、骨格部材としての第2骨格部材アッシー108にパネル部材としての第2パネル部材アッシー105を合体し溶接する。以下、合体させた部材を第2骨格パネルアッシー109と云う。
【0071】
図14は第2車型に係る骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程の説明図であり、図10を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、第2骨格部材アッシー108に第2パネル部材アッシー105を溶接する骨格−パネル溶接工程が設けられている。
第5溶接ステージ56にて、第2骨格部材アッシー108と第2パネル部材アッシー105とを合体させ、仮止溶接した第2骨格パネルアッシー109に増打溶接を行う。
【0072】
図15は第2車型に係る第2骨格パネルアッシーに左右の第2ホイールハウス部材を取り付ける工程の説明図であり、図10を併せて参照し説明を行う。
(a)において、第6溶接ステージ57にて、第2骨格パネルアッシー109の左右端部の所定位置に左右の第2ホイールハウス部材111L、111Rをセットし仮止溶接を行う。
(b)には、第2ホイールハウス部材111L、111Rが第2骨格パネルアッシー109に取り付けられていることを示す。
【0073】
図16は左右のホイールハウス部材の間に第2クロスビーム部材を取り付ける工程の説明図であり、図10を併せて参照し説明を行う。
(a)において、第7溶接ステージ58にて、第2の左右のホイールハウス部材111L、111Rの間に第2クロスビーム部材112を仮止溶接する。
【0074】
(b)において、第8溶接ステージ59にて、第2クロスビーム部材112について増打溶接を行い、第2車型に係るリヤフロア部の組立を完了させる。
組立が完了した第2骨格パネルアッシー109は、第9溶接ステージ61をパスし、最終的に、エンドステージ68に到達する。
【0075】
なお、第5及び第6溶接ステージ56、57において、左右の第2ホイールハウス部材111L、111R及び第2クロスビーム部材112は第2主溶接ライン移載機構89によって供給されるが、その構造及び作用は、前述した第1主溶接ライン移載機構74と大きく変わるところはなく、説明を省略する。
【0076】
以下、図17〜図21で、第3車型のリヤフロア部の溶接工程について説明する。
図17は本発明の溶接ラインにおいて第3車型の生産に係るワークの流れを説明する図であり、図1を併せて参照して説明を行う。
【0077】
ワークとしての第3車型に係るパネル部材アッシーは、サブ溶接ライン12に配置した第1溶接ステージ31及び第2溶接ステージ33を通過し、第1主溶接ライン移載機構74により第1の後受取ステージ73に到達する。
【0078】
第3溶接ステージ51及び第4溶接ステージ55にて骨格部材が組み立てられ、第5移載ロボット62によって第5溶接ステージ56に移載され、同じく、第5移載ロボット62によって、第1の後受取ステージ73から第5溶接ステージ56に移載され第3車型に係るパネル部材アッシーを骨格部材アッシーに合体される。つまり、第3車型の場合には、第5溶接ステージ56が合流部75となる。
【0079】
第5溶接ステージ56から第6溶接ステージ57に移載された車体は、第6溶接ステージ57にて増打溶接され、第7〜第8溶接ステージ58〜59にて、別の部材が取り付けられる。以下、各工程の詳細を順に説明する。
【0080】
図18はサブ溶接ラインで第3車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程の説明図であり、図17を併せて参照し説明を行う。
所定の治具台車を第1溶接ステージ31に移動させ、この第1溶接ステージ31にて、第3リヤフロア121に図示せぬ補強部材をセットし溶接を行う。
第1溶接ステージ31の次ステージの第2溶接ステージ33では、第3リヤフロア111への溶接は行わない。できあがったものを第3パネル部材アッシー126と云う。
【0081】
図19は主溶接ラインで第3車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程の説明図であり、図17を併せて参照し説明を行う。
(a)において、第3溶接ステージ51に、所定の治具を移動させ、この治具の上に第3の左レール122L及び右レール122Rをセットし、これら第1の左右のレール112L、112Rの間に複数の第3リヤクロス部材123a〜123eをセットするとともに、第2サブクロス部材124をセットし、上記の各部品同士を相互に仮止溶接を行い一体化させる。以下、左レール122L、右レール122Rと第3リヤクロス部材123a〜123eと第2サブクロス部材124とを一体化させた部材を第3骨格部材アッシー125と云う。
(b)において、第4溶接ステージ55にて第3骨格部材アッシー125に増打溶接を行う。
【0082】
図20は第3車型に係るパネル部材を合体する骨格−パネル合体工程の説明図であり、図17を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、骨格部材としての第3骨格部材アッシー125に、パネル部材としての第1パネル部材アッシー126を合体する骨格−パネル合体工程が設けられている。
【0083】
具体的には、第3溶接ステージ51から第4溶接ステージ55に第3骨格部材アッシー125を移載し、第2溶接ステージ33から、第1パネル供給部15を介して第5溶接ステージ56に第3パネル部材アッシー126を移載し、この第5溶接ステージ56にて、骨格部材としての第3骨格部材アッシー125にパネル部材としての第3パネル部材アッシー126を合体させ仮止溶接する。以下、第3骨格部材アッシー125と第3パネル部材アッシー126とを合体させた部材を第3骨格パネルアッシー127と云う。
【0084】
図21は第3車型に係る骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程の説明図であり、図17を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、第3骨格部材アッシー125に第3パネル部材アッシー126を溶接する骨格−パネル溶接工程が設けられている。
具体的には、第6溶接ステージ57にて、第3骨格パネルアッシー127に増打溶接を行う。
【0085】
図22は第3車型に係る第3骨格パネルアッシーに左右の第3ホイールハウス部材128L、128Rを取り付ける工程の説明図であり、図17を併せて参照し説明を行う。
(a)において、第7溶接ステージ58にて、第3骨格パネルアッシー127の左右端部に左右の第3ホイールハウス部材128L、128Rを仮止溶接する。
【0086】
(b)において、第8溶接ステージ59にて、第3骨格パネルアッシー127の左右側方に仮止溶接した左右の第3ホイールハウス部材128L、128Rに増打溶接を行うことで第3車型のリヤフレームとしての第3骨格パネルアッシー129が完成する。
【0087】
なお、第5及び第6溶接ステージ56、57において、左右の第3ホイールハウス部材128L、128Rは第2主溶接ライン移載機構89によって供給されるが、その構造及び作用は、前述した第1主溶接ライン移載機構74と大きく変わるところはなく、説明を省略する。
【0088】
表1は第1車型、第2車型及び第3車型について、各溶接ステージで用いる部材、1次溶接又は2次溶接の区別、合流部の表示及び参照図を一覧表にしたものである。
表中、WHはホイールハウス部材を、CBはクロスビーム部材を意味する。
【0089】
【表1】
【0090】
以上に述べた溶接設備及び溶接設備を利用した車体の生産方法の作用を次に述べる。
図1、図4、図5、図10及び図17を参照して、複数種類のパネル部材をサブ溶接ライン12で溶接し、複数種類の骨格部材を主溶接ライン13で溶接し、主溶接ライン13で骨格部材にパネル部材を合体するとともに溶接することで車体を生産するようにした。
サブ溶接ライン12の出口には、パネル部材を任意の溶接ステージに移載する移載機構70が設けられており、溶接作業の工程数に対応して合流部75が変更できるように構成した。
【0091】
複数種類の製品を1つの主溶接ラインで混在させて生産する場合に、製品の種類によって溶接作業の工程数が異なるため、合流部75が異なる場合がある。
この点、本発明によれば、合流部75を変更可能にする移載機構70が設けられているので、製品ごとに個別の移載機構を設ける必要がなくなる。つまり、移載機構70の共通化が図れる。移載機構70の共通化が図れるので、必要な設備面積を小さくすることができ、併せて、設備費用を低減することができる。
【0092】
また、本発明に係る溶接ラインには、骨格部材を溶接する骨格溶接工程と、パネル部材同士を溶接するパネル溶接工程と、骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程とが設けられている。
【0093】
骨格部材とパネル部材とを別々のラインで溶接し、その後合体させて車体を生産するようにした。この方法であれば、例えば、同じ工程内に複数のステージを設けることによって、同じ工程の隣接するステージにて第1次溶接と第2次溶接を行うことができる。
【0094】
隣接するステージにて第1次溶接と第2次溶接を行うことが可能になれば、構造の全く異なる車体であっても、1つの主溶接ラインでこれらの車体を混在させて生産する、いわゆる、混流生産を実現することが可能になる。1つの溶接ラインで複数の車型の混流生産が可能になるので、設備面積を小さくできるとともに、設備費用を大幅に低減することができる。
【0095】
また、各々の工程内において、第1次溶接と第2次溶接とをまとめて行うことを可能にすることによって、車体構造が異なり、溶接打点数が異なる場合であっても、異なる溶接ステージに溶接打点を振り分けることにより、柔軟な対応が可能となる。
【0096】
例えば、第1次溶接と第2次溶接を、パネル溶接工程内の異なる溶接ステージに振り分け、骨格−パネル合体工程内の異なる溶接ステージに振り分けるようにすれば、製品種類の変更に対して、サブ溶接ラインの生産性が損なわれる心配はない。
【0097】
尚、本発明は、実施の形態では四輪車に適用したが、三輪車にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、四輪車の溶接設備に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係る溶接設備に備えられている溶接ラインの平面図である。
【図2】図1の2部拡大図である。
【図3】図2の3−3矢視図である。
【図4】図1の4−4矢視図である。
【図5】本発明の溶接ラインにおいて第1車型に係るワークの流れを説明する図である。
【図6】サブ溶接ラインで第1車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程の説明図である。
【図7】主溶接ラインで第1車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程の説明図である。
【図8】第1車型に係るパネル部材を合体する骨格−パネル合体工程の説明図である。
【図9】第1車型に係る骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程の説明図である。
【図10】本発明の溶接ラインにおいて第2車型の生産に係るワークの流れを説明する図である。
【図11】サブ溶接ラインで第2車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程の説明図である。
【図12】主溶接ラインで第2車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程の説明図である。
【図13】第2車型に係るパネル部材を合体する骨格−パネル合体工程の説明図である。
【図14】第2車型に係る骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程の説明図である。
【図15】第2車型に係る第2骨格パネルアッシーに左右の第2ホイールハウス部材を取り付ける工程の説明図である。
【図16】左右の第2ホイールハウス部材の間に第2クロスビーム部材を取り付ける工程の説明図である。
【図17】本発明の溶接ラインにおいて第3車型の生産に係るワークの流れを説明する図である。
【図18】サブ溶接ラインで第3車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程の説明図である。
【図19】主溶接ラインで第3車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程の説明図である。
【図20】第3車型に係るパネル部材を合体する骨格−パネル合体工程の説明図である。
【図21】第3車型に係る骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程の説明図である。
【図22】第3車型に係る第2骨格パネルアッシーに左右の第3ホイールハウス部材を取り付ける工程の説明図である。
【図23】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0100】
10…溶接設備、12…サブ溶接ライン、13…主溶接ライン、70…移載機構、75…合流部、86…レール、87…台車、88…運搬ロボット、118…骨格部材、119…パネル部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブ溶接ラインと、このサブ溶接ラインが合流する主溶接ラインとが備えられている車体の生産方法及び溶接設備に関する。
【背景技術】
【0002】
サブ溶接ラインと、このサブ溶接ラインが合流する主溶接ラインとが備えられ、複数の種類の製品の組立を可能にした溶接設備が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−47328公報(図1)
【0003】
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図23は従来の技術の基本構成を説明する図であり、溶接設備200は、メイン溶接ライン201と、このメイン溶接ライン201に合流するサブ溶接ライン202とからなる。サブ溶接ライン202は、フロントフロア組立ライン203と、リヤフロア組立ライン204と、エンジンコンパートメント組立ライン205とからなり、これらの各組立ライン203〜205で組み立てられたワークは、メイン溶接ライン201に供給され、溶接されて車体が組み立てられる。
【0004】
サブ溶接ライン202を構成するフロントフロア組立ライン203には、第1及び第2の生産設備206a、206bが設けられている。同様に、リヤフロア組立ライン204には、第1及び第2の生産設備207a、207bが設けられ、エンジンコンパートメント組立ライン205には、第1及び第2の生産設備208a、208bが設けられており、複数の種類の製品を組み立てることができる。
【0005】
ところで、特許文献1の技術では、複数の種類の製品を溶接して組み立てる場合には、各サブ溶接ラインにその製品の種類数に応じた複数の設備が必要となり、必要な設備面積が大きくなるという課題がある。加えて、製品の種類別に専用の設備となるために、共用可能な設備が少なく、設備を有効に且つ柔軟に活用することが難しいという課題がある。
複数の種類の製品を溶接可能にした溶接設備において、溶接設備を有効に且つ柔軟に活用することができるとともに、必要な設備面積を小さくすることができる技術が望まれる。また、お互いに車体構造が全く異なる複数種類の車体を、最小限の設備で多品種混流生産を可能にする技術が望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数の種類の製品を溶接可能にする車体の生産方法及び溶接設備において、溶接設備を有効に且つ柔軟に活用することができるとともに、必要な設備面積を小さくすることができ、併せて、お互いに車体構造が全く異なる複数種類の車体を、効率良く多品種混流生産を可能にする技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、複数の溶接ステージから構成される溶接ラインにより、自動車の車体部品を溶接する車体の生産方法において、最初の溶接ステージで車体の骨格部材を溶接して、車体骨格を完成させる工程と、完成された車体骨格に対して、パネル部材を溶接する溶接ステージを、生産する車体の車種に応じて異なる溶接ステージで溶接する工程と、からなることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、パネル部材を溶接する溶接ステージの変更工程は、少なくとも2箇所設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、パネル部材を溶接するサブ溶接ラインが、主溶接ラインに合流され、この合流部で、骨格部材にパネル部材を合体して溶接する車体の生産方法であって、主溶接ラインで、複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程と、サブ溶接ラインで、複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程と、骨格溶接工程が終了した位置で、主溶接ライン上の骨格部材に、パネル部材を合体する骨格−パネル合体工程と、骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程とからなることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、パネル部材を溶接するサブ溶接ラインが、主溶接ラインに合流され、この合流部で、骨格部材にパネル部材を合体して溶接する溶接設備であって、主溶接ラインは、溶接ロボットを備える複数個の溶接ステージで構成され、サブ溶接ラインの出口には、パネル部材を任意の溶接ステージに移載する移載機構が設けられており、溶接する製品の種類に対応して合流部が変更できることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明では、移載機構は、主溶接ラインに並行に敷設されたレールと、このレールに沿って移動する台車と、この台車に設けられている運搬ロボットとからなることを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明では、パネル部材は、車体のフロアパネルであることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明では、パネル部材は、車体のホイールハウス部材であることを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明では、溶接設備には、主溶接ラインに合流し任意の溶接ステージに移載する移載機構が付設されたサブ溶接ラインが少なくとも2本以上設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、パネル部材を溶接する溶接ステージを、生産する車体の車種に応じて異なる溶接ステージで溶接する工程が設けられているので、生産する車体の種類に応じて異なる溶接ステージを利用して生産することが可能になる。
このため、車体の種類が複数の場合に、共用可能な設備を増やすことができる。共用可能な設備が増えることによって、高価な溶接設備を設備を有効に且つ柔軟に活用することが可能になる。
【0016】
請求項2に係る発明では、パネル部材を溶接する溶接ステージの変更工程が、少なくとも2箇所設けられているので、例えば、異なる車体の種類で同種の部品を取り付ける工程を変更することができる。従って、溶接設備の汎用性を一層高めることができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、主溶接ラインに複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程と、サブ溶接ラインに複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程と、主溶接ラインに骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程とが設けられている。
【0018】
骨格部材とパネル部材とを別々のラインで溶接し、その後合体させて車体を生産するようにした。この方法であれば、例えば、同じ工程内に複数のステージを設けることによって、同じ工程内の隣接するステージにて第1次溶接と第2次溶接を行うことができる。
【0019】
同じ工程内で第1次溶接と第2次溶接を行うことが可能になれば、構造の全く異なる車体であっても、1つの主溶接ラインでこれらの車体を混在させて生産する、いわゆる、混流生産を成立させることが可能になる。1つの溶接ラインで複数の車型の混流生産が可能になるので、設備面積を小さくできるとともに、設備費用を大幅に低減することができる。
【0020】
また、各々の工程内において、第1次溶接と第2次溶接とをまとめて行うことを可能にすることによって、車体構造が異なり、溶接打点数が異なる場合であっても、異なる溶接ステージに溶接打点を振り分けることにより、柔軟な対応が可能となる。
【0021】
例えば、第1次溶接と第2次溶接を、パネル溶接工程内の異なる溶接ステージに振り分け、骨格−パネル合体工程内の異なる溶接ステージに振り分けるようにすれば、製品種類(車体の種類)の変更に対して、サブ溶接ラインの生産性が損なわれる心配はない。
従って、お互いに車体構造が全く異なる複数種類の車体を、効率良く多品種混流生産を行うことができる。
【0022】
請求項4に係る発明では、サブ溶接ラインの出口には、パネル部材を任意の溶接ステージに移載する移載機構が設けられており、溶接する製品の種類に対応して主溶接ラインにサブ溶接ラインが合流する合流部が変更できるように構成した。
【0023】
複数種類の製品を1つの主溶接ラインで混在させて生産する場合に、製品の種類によって溶接作業の工程数が異なるため、合流部が異なる場合がある。
この点、本発明によれば、合流部を変更可能にする移載機構が設けられているので、製品の種類ごとに個別の移載機構を設ける必要がなくなる。つまり、移載機構の共通化が図れる。
移載機構の共通化によって、必要な設備面積を小さくすることができ、併せて、設備費用を低減することができる。
【0024】
また、移載機構を設けることによって、溶接する車体の種類が変更になったときに、発生する工程間の負荷のアンバランス(工程偏差)を調整することができ、ラインバランシングの平準化を図ることができる。
【0025】
移載機構を共通化することに加えて、各溶接ラインに配置されている設備、治具に、複数の種類の製品が溶接できるような構造をもたせることによって、必要な設備面積をさらに小さくできる。
【0026】
請求項5に係る発明では、運搬ロボットは、レールと台車とにより、主溶接ラインに並行に移動可能に設けられているので、製品種類(車体の種類)の変更によって合流部の位置を変更したい場合や、製品種類の増加等によって合流部の位置が増加する場合などにおいて、レール長さを変更する等の小改造のみで対応することができる。このため、多品種混流生産をする場合においても、設備費用を低く抑えることができる。
【0027】
請求項6に係る発明では、パネル部材は、車体のフロアパネルであるので、多品種混流生産ラインにおいて、お互いに車体構造が全く異なる複数種類の車体を、効率良く多品種混流生産を行うことができる。
【0028】
請求項7に係る発明では、車体のホイールハウス部材であるので、多品種混流生産ラインにおいて、お互いに車体構造が全く異なる複数種類の車体を、効率良く多品種混流生産を行うことができる。
【0029】
請求項8に係る発明では、溶接設備には、主溶接ラインに合流し任意の溶接ステージに移載する移載機構が付設されたサブ溶接ラインが少なくとも2本以上設けられているので、必要な設備面積を小さくすることができ、併せて、設備費用を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る溶接設備に備えられている溶接ラインの平面図であり、四輪車のリヤフロア部を組み立てる溶接ライン11のレイアウトを示すものである。
【0031】
溶接設備10に備えられている溶接ライン11には、リヤフロアを構成するパネル部材同士を溶接するサブ溶接ライン12と、リヤフロア部を溶接して完成させる主溶接ライン13と、サブ溶接ライン12を主溶接ライン13に合流させ、パネル部材を骨格部材に供給するパネル供給部14とが備えられている。本実施例において、パネル供給部14は、第1パネル供給部15と第2パネル供給部16からなる。
【0032】
サブ溶接ライン12は、第1サブ溶接ライン17と第2サブ溶接ライン18とから構成されている。第1サブ溶接ライン17は、主溶接ライン13に第1パネル供給部15を介して連結され、第2サブ溶接ライン18は、主溶接ライン13に第2パネル供給部16を介して連結されている。
【0033】
第1サブ溶接ライン17には、パネル部材を収納するパーツ収納パレット21a〜21eと、これらパーツ収納パレット21a〜21eから必要なパーツを取り出す第1取出ロボット22L、22Rと、取り出したパーツに必要に応じてナットなどの溶接を行う溶接ロボット23L、23Rと、第1取出ロボット22L、22Rからパーツを受け取り第1仮置部24に受け渡す第1受渡ロボット25L、25Rと、この第1仮置部24から次ステージにパーツを移載する第1移載ロボット28を含む第1パーツ移載機構29と、この第1パーツ移載機構29に隣接して移載したパーツに、第1次溶接(以下、「仮止溶接」とも云う。)を行う第1溶接ステージ31と、この第1溶接ステージ31の後方に設ける第2移載ロボット32と、この第2移載ロボット32の後方に、第2次溶接(以下、「増打溶接」とも云う。)を行う第2溶接ステージ33と、この第2溶接ステージ33から第1パネル供給部15に向けて組み立てたパネル部材アッシーを移載する第3移載ロボット34と、第1及び第2溶接ステージ31、33の左右に配置する溶接ロボット35L・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)、35R・・・とが備えられている。
【0034】
第2サブ溶接ライン18には、パーツを収納するパーツ収納パレット36a〜36cと、これらパーツ収納パレット36a〜36cから必要なパーツを第2取出ステージ37に取り出す第2取出ロボット38と、第2取出ステージ37の側方に設け取り出したパーツに必要に応じてナットなどの溶接を行う溶接ロボット39F、39Rとが備えられている。
【0035】
主溶接ライン13は、骨格部材を収納する収納パレット41a〜41dと、これら収納パレット41a〜41dのうちの一部の収納パレット41a、41bから必要な骨格部材を取り出す第3取出ロボット42と、取り出したパーツに必要に応じてナットなどの溶接を行う溶接ロボット43L、43Rと、第3取出ロボット42からパーツを受け取るとともに、収納パレット41c、41dからパーツを取り出し第2仮置部44に受け渡す第2受渡ロボット45L、45Rと、この第2仮置部44及びから次ステージにパーツを移載する第3移載ロボット48を含む第3パーツ移載機構49と、この第3パーツ移載機構49に隣接して移載した骨格部材に第1次溶接を行う第3溶接ステージ51と、この第3溶接ステージ51の後方に設ける第4移載ロボット53を含む第4パーツ移載機構54と、この第4パーツ移載機構54の後方に設ける第4溶接ステージ55と、この第4溶接ステージ55の後方にこの順に設ける第5〜第9溶接ステージ55、57〜61と、第4〜第9溶接ステージ55〜61の間に各々設ける第5〜第10移載ロボット62〜67と、第3〜第9溶接ステージ51、55〜61の左右側方に設ける溶接ロボット69L・・・、69R・・・とが備えられている。
【0036】
つまり、主溶接ライン13は、溶接ロボット69L・・・、69R・・・を備える複数個の溶接ステージで構成されている。なお、第9溶接ステージ61の後方には、第10移載ロボット67を介して完成したリヤフロアが到達するエンドステージ68が設けられている。
【0037】
第1パネル供給部15は、第1サブ溶接ライン17でパネル部材同士を組み立てたパネル部材アッシーを取り出すパネルアッシー取出ステージ71と、主溶接ライン13の側方に配置する第1の前後の受取ステージ72、73と、パネル部材アッシーを第1の前受取ステージ72又は第1の後受取ステージ73に移載する第1主溶接ライン移載機構74とからなる。
【0038】
第1の前受取ステージ72に移載されたパネル部品アッシーは、第4移載ロボット53を用いて、主溶接ラインの第4溶接ステージ55に移載可能となっている。
また、第1の後受取ステージ73に移載されたパネル部品アッシーは、第5移載ロボット62を用いて、主溶接ラインの第5溶接ステージ56に移載可能となっている。
【0039】
すなわち、サブ溶接ライン12の出口には、パネル部材アッシーを任意の溶接ステージに移載する移載機構70としての第1主溶接ライン移載機構74が設けられている。第1主溶接ライン移載機構74の詳細は後述する。
【0040】
図2は図1の2部拡大図、図3は図2の3−3矢視図である。以下、図3と図4とを参照して説明を行う。但し、第1溶接ステージ31の側方に配置した溶接ロボットは省略されている。
【0041】
治具運搬コンベア77は、治具保管エリアEから第1溶接ステージ31まで平面視で略L字状に敷設され、この治具運搬コンベア77を跨ぐ高架フレーム78が設けられ、この高架フレーム78には、第1パーツ移載機構29が設けられている。第1パーツ移載機構29には、上レール79が敷設され、この上レール79に第1移載ロボット28が移動可能に設けられている。
【0042】
第1パーツ移載機構29は、高架フレーム78に上レール79及び上台車81を介して移動自在に取り付けられている第1移載ロボット28を備える。
高架フレーム78は、鉛直方向上向きに延ばした4本の柱部44・・・とこれら柱部44・・・の上端部に取り付けた床部83からなる。
【0043】
第1治具台車84と第2治具台車85のうちの第1治具台車84を用いる場合の作用を説明する。第1治具台車84及び第2治具台車85は、治具保管エリアEと第1溶接ステージ31の間を移動可能に設けられている。図において、第1治具台車84は、治具運搬コンベア77上を図矢印a方向に第1溶接ステージ31まで移動する。
【0044】
このとき、第1移載ロボット28は、高架フレーム78上に設けられているので、第1仮置部(図1の符号24)からパーツを把持し、上レール79上を移動して第1治具台車84に備えられている第1治具の所定位置にパーツを移載することができる。つまり、第1治具台車84の動作と第1移載ロボット28の動作は、同時に並行して行わせることが可能となり、設備の生産性を大幅に高めることができる。
なお、第3パーツ移載機構49、第4パーツ移載機構54は、第1パーツ移載機構29と同様な基本構成をもつものであり、説明を省略する。
【0045】
図4は図1の4−4矢視図であり、図1を併せて参照して説明する。
第1パネル供給部15に備えられている第1主溶接ライン移載機構74は、パネルアッシー取出ステージ71でパネル部材アッシーを受取り、主溶接ライン13の側方に配置されている第1の前受取ステージ72又は後受取ステージ73に移載するというものである。
【0046】
詳細には、第1主溶接ライン移載機構74は、主溶接ライン13に並行に敷設されたレール86と、このレール86に沿って移動する台車87と、この台車87に設けられている運搬ロボット88とからなる。
【0047】
運搬ロボット88は、レール86と台車87とにより、主溶接ライン13に並行に移動可能に設けられているので、製品の種類の変更によってパネル供給部14の位置を変更したい場合や、製品種類の増加等によってパネル供給部14の位置が増加する場合などにおいて、レール86の長さを変更する等の小改造のみで対応することができる。このため、製品モデルチェンジの際に発生する設備費用を低く抑えることができる。
【0048】
なお、第2主溶接ライン移載機構89については、第1主溶接ライン移載機構74と移載する部品が異なるのみで、基本的な構成は同様な構成であるため説明を省略する。
【0049】
以下、図5〜図9で、第1車型のリヤフロア部の溶接工程について説明する。
図5は本発明の溶接ラインにおいて第1車型に係るワークの流れを説明する図であり、図1を併せて参照して説明する。
ワークとしての第1車型に係るパネル部材は、サブ溶接ライン12に配置した第1溶接ステージ31及び第2溶接ステージ33を通過し、第1主溶接ライン移載機構74により第1の前受取ステージ72に到達する。
【0050】
第3溶接ステージ51にて骨格部材が組み立てられ、第1主溶接ライン移載機構74を介して移載される第1車型に係るパネル部材同士を組み立てたパネル部材アッシーを、第4パーツ移載機構54によって第4溶接ステージ55にて骨格部材に合体させる。つまり、第1車型の場合には、第4溶接ステージ55が合流部75となる。
第4溶接ステージ55から第5溶接ステージ56に移載された車体は、第5溶接ステージ56にて増打溶接される。以下、各工程の詳細を順に説明する。
【0051】
図6はサブ溶接ラインで第1車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程の説明図であり、図5を併せて参照し説明を行う。
サブ溶接ライン12には、複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程が設けられている。以下、具体的に説明を行う。
【0052】
(a)において、第1溶接ステージ31にて、第1リヤフロアフロント91の後方に第1リヤフロアリヤ92をセットし、第1リヤフロアフロント91の上面に左右の第1サブレール93L、93Rをセットし、この左右の第1サブレール93L、93Rに掛け渡すように第1クロスサブレール94をセットし、上記の各部品同士を相互に仮止溶接を行い一体化させる。以下、第1リヤフロアフロント91と第1リヤフロアリヤ92と左右の第1サブレール93L、93Rと第1クロスサブレール94とを一体化させた部材を第1パネル部材アッシー95と云う。
【0053】
(b)において、第1溶接ステージ31から第2溶接ステージ33に第1パネル部材アッシー95を移載し、この第2溶接ステージ33にて第1パネル部材アッシー95に増打溶接を行う。
【0054】
図7は主溶接ラインで第1車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程の説明図であり、図5を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程が設けられている。以下、具体的に説明を行う。
【0055】
(a)において、第3溶接ステージ51にて、所定の治具の上に第1左及び右レール90L、90Rをセットし、これら第1左及び右レール90L、90Rの前端部の間に第1リヤクロス部材96をセットするとともに、第1左及び右レール90L、90Rの中間部の間に第1サブクロス部材97をセットし、上記の各部品同士を相互に仮止溶接を行い一体化させる。以下、第1左及び右レール90L、90Rと第1リヤクロス部材96と第1サブクロス部材97とを一体化させた部材を第1骨格部材アッシー98と云う。
(b)には、仮止溶接された第1骨格部材アッシー98が示されている。
【0056】
図8は第1車型に係るパネル部材を合体する骨格−パネル合体工程の説明図であり、図5を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、骨格部材としての第1骨格部材アッシー98に、パネル部材としての第1パネル部材アッシー95を合体する骨格−パネル合体工程が設けられている。
【0057】
具体的には、最初に、第3溶接ステージ51から第4溶接ステージ55に第1骨格部材アッシー98を移載し、次いで、第2溶接ステージ33から、第1パネル供給部15を介して第4溶接ステージ55に第1パネル部材アッシー95を移載し、この第4溶接ステージ55にて、骨格部材としての第1骨格部材アッシー98にパネル部材としての第1パネル部材アッシー95を合体して仮止溶接する。以下、合体させた部材を第1骨格パネルアッシー99と云う。
【0058】
図9は第1車型に係る骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程の説明図であり、図5を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、第1骨格部材アッシー98に第1パネル部材アッシー95を溶接する骨格−パネル溶接工程が設けられている。
【0059】
第5溶接ステージ56にて、合体させた第1骨格パネルアッシー99に増打溶接を行い、第1車型に係るリヤフロア部の組立を完了させる。なお、組立が完了した第1骨格パネルアッシー99は、第6溶接ステージ56〜第9溶接ステージ61を順次パスしてエンドステージ68に到達する。
【0060】
すなわち、第1車型に係る車体の生産方法は、主溶接ライン13で、第1車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程と、サブ溶接ライン12で、第1車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程と、骨格溶接工程が終了した位置で、主溶接ライン13上の骨格部材に、パネル部材を合体する骨格−パネル合体工程と、骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程とからなる。
【0061】
以下、図10〜図16で、第2車型のリヤフロア部の溶接工程について説明する。
図10は本発明の溶接ラインにおいて第2車型の生産に係るワークの流れを説明する図であり、図1を併せて参照して説明を行う。
【0062】
ワークとしての第2車型に係るパネル部材アッシーは、サブ溶接ライン12に配置した第1溶接ステージ31及び第2溶接ステージ33を通過し、第1主溶接ライン移載機構74により第1の前受取ステージ72に到達する。
【0063】
第3溶接ステージ51にて骨格部材が組み立てられ、第4溶接ステージ55にて、第1主溶接ライン移載機構74を介して移載される第1車型に係るパネル部材アッシーを第4パーツ移載機構54によって骨格部材に合体させる。つまり、第2車型の場合には、第4溶接ステージ55が合流部75となる。
【0064】
第4溶接ステージ55から第5溶接ステージ56に移載した車体は、第5溶接ステージ56にて増打溶接され、第6〜第8溶接ステージ57〜59にて、別の部材が取り付けられる。以下、各工程の詳細を順に説明する。
【0065】
図11はサブ溶接ラインで第2車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程の説明図であり、図10を併せて参照し説明を行う。
(a)において、所定の治具台車を第1溶接ステージ31に移動させ、この第1溶接ステージ31にて、左右の補強部材100L、100Rをセットし、第2リヤフロアリヤ102をセットし、左右の補強部材100L、100Rの上方で第2リヤフロアリヤ102の前端部に第2リヤフロアフロント101をセットし、この第2リヤフロアフロント101の上面に第2クロスサブレール104をセットし、上記の各部品同士を相互に仮止溶接を行い一体化させる。以下、左右の補強部材100L、100Rと第2リヤフロアフロント101と第2リヤフロアリヤ102と第2クロスサブレール104とを一体化させた部材を第2パネル部材アッシー105と云う。
【0066】
(b)において、第1溶接ステージ31から第2溶接ステージ33に第2パネル部材アッシー105を移載し、この第2溶接ステージ33にて第2パネル部材アッシー105に増打溶接を行う。
【0067】
図12は主溶接ラインで第2車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程の説明図であり、図10を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程が設けられている。以下、具体的に説明する。
【0068】
(a)において、第3溶接ステージ51に、所定の治具を移動させ、この治具の上に第2の左及び右レール110L、110Rをセットし、これら第2の左及び右レール110L、110Rの間に第2リヤクロス部材106をセットするとともに、第2サブクロス部材107をセットし、上記の各部品同士を相互に仮止溶接を行い一体化させる。以下、第2リヤクロス部材106と第2サブクロス部材107と第2の左及び右レール110L、110Rとを一体化させた部材を第1骨格部材アッシー108と云う。
(b)には、仮止溶接された第2骨格部材アッシー108が示されている。
【0069】
図13は第2車型に係るパネル部材を合体する骨格−パネル合体工程の説明図であり、図10を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、骨格部材としての第2骨格部材アッシー108に、パネル部材としての第2パネル部材アッシー105を合体する骨格−パネル合体工程が設けられている。
【0070】
具体的には、第3溶接ステージ51から第4溶接ステージ55に第2骨格部材アッシー108を移載し、第2溶接ステージ33から、第1パネル供給部15を介して第4溶接ステージ55に第2パネル部材アッシー105を移載し、この第4溶接ステージ55にて、骨格部材としての第2骨格部材アッシー108にパネル部材としての第2パネル部材アッシー105を合体し溶接する。以下、合体させた部材を第2骨格パネルアッシー109と云う。
【0071】
図14は第2車型に係る骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程の説明図であり、図10を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、第2骨格部材アッシー108に第2パネル部材アッシー105を溶接する骨格−パネル溶接工程が設けられている。
第5溶接ステージ56にて、第2骨格部材アッシー108と第2パネル部材アッシー105とを合体させ、仮止溶接した第2骨格パネルアッシー109に増打溶接を行う。
【0072】
図15は第2車型に係る第2骨格パネルアッシーに左右の第2ホイールハウス部材を取り付ける工程の説明図であり、図10を併せて参照し説明を行う。
(a)において、第6溶接ステージ57にて、第2骨格パネルアッシー109の左右端部の所定位置に左右の第2ホイールハウス部材111L、111Rをセットし仮止溶接を行う。
(b)には、第2ホイールハウス部材111L、111Rが第2骨格パネルアッシー109に取り付けられていることを示す。
【0073】
図16は左右のホイールハウス部材の間に第2クロスビーム部材を取り付ける工程の説明図であり、図10を併せて参照し説明を行う。
(a)において、第7溶接ステージ58にて、第2の左右のホイールハウス部材111L、111Rの間に第2クロスビーム部材112を仮止溶接する。
【0074】
(b)において、第8溶接ステージ59にて、第2クロスビーム部材112について増打溶接を行い、第2車型に係るリヤフロア部の組立を完了させる。
組立が完了した第2骨格パネルアッシー109は、第9溶接ステージ61をパスし、最終的に、エンドステージ68に到達する。
【0075】
なお、第5及び第6溶接ステージ56、57において、左右の第2ホイールハウス部材111L、111R及び第2クロスビーム部材112は第2主溶接ライン移載機構89によって供給されるが、その構造及び作用は、前述した第1主溶接ライン移載機構74と大きく変わるところはなく、説明を省略する。
【0076】
以下、図17〜図21で、第3車型のリヤフロア部の溶接工程について説明する。
図17は本発明の溶接ラインにおいて第3車型の生産に係るワークの流れを説明する図であり、図1を併せて参照して説明を行う。
【0077】
ワークとしての第3車型に係るパネル部材アッシーは、サブ溶接ライン12に配置した第1溶接ステージ31及び第2溶接ステージ33を通過し、第1主溶接ライン移載機構74により第1の後受取ステージ73に到達する。
【0078】
第3溶接ステージ51及び第4溶接ステージ55にて骨格部材が組み立てられ、第5移載ロボット62によって第5溶接ステージ56に移載され、同じく、第5移載ロボット62によって、第1の後受取ステージ73から第5溶接ステージ56に移載され第3車型に係るパネル部材アッシーを骨格部材アッシーに合体される。つまり、第3車型の場合には、第5溶接ステージ56が合流部75となる。
【0079】
第5溶接ステージ56から第6溶接ステージ57に移載された車体は、第6溶接ステージ57にて増打溶接され、第7〜第8溶接ステージ58〜59にて、別の部材が取り付けられる。以下、各工程の詳細を順に説明する。
【0080】
図18はサブ溶接ラインで第3車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程の説明図であり、図17を併せて参照し説明を行う。
所定の治具台車を第1溶接ステージ31に移動させ、この第1溶接ステージ31にて、第3リヤフロア121に図示せぬ補強部材をセットし溶接を行う。
第1溶接ステージ31の次ステージの第2溶接ステージ33では、第3リヤフロア111への溶接は行わない。できあがったものを第3パネル部材アッシー126と云う。
【0081】
図19は主溶接ラインで第3車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程の説明図であり、図17を併せて参照し説明を行う。
(a)において、第3溶接ステージ51に、所定の治具を移動させ、この治具の上に第3の左レール122L及び右レール122Rをセットし、これら第1の左右のレール112L、112Rの間に複数の第3リヤクロス部材123a〜123eをセットするとともに、第2サブクロス部材124をセットし、上記の各部品同士を相互に仮止溶接を行い一体化させる。以下、左レール122L、右レール122Rと第3リヤクロス部材123a〜123eと第2サブクロス部材124とを一体化させた部材を第3骨格部材アッシー125と云う。
(b)において、第4溶接ステージ55にて第3骨格部材アッシー125に増打溶接を行う。
【0082】
図20は第3車型に係るパネル部材を合体する骨格−パネル合体工程の説明図であり、図17を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、骨格部材としての第3骨格部材アッシー125に、パネル部材としての第1パネル部材アッシー126を合体する骨格−パネル合体工程が設けられている。
【0083】
具体的には、第3溶接ステージ51から第4溶接ステージ55に第3骨格部材アッシー125を移載し、第2溶接ステージ33から、第1パネル供給部15を介して第5溶接ステージ56に第3パネル部材アッシー126を移載し、この第5溶接ステージ56にて、骨格部材としての第3骨格部材アッシー125にパネル部材としての第3パネル部材アッシー126を合体させ仮止溶接する。以下、第3骨格部材アッシー125と第3パネル部材アッシー126とを合体させた部材を第3骨格パネルアッシー127と云う。
【0084】
図21は第3車型に係る骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程の説明図であり、図17を併せて参照し説明を行う。
主溶接ライン13には、第3骨格部材アッシー125に第3パネル部材アッシー126を溶接する骨格−パネル溶接工程が設けられている。
具体的には、第6溶接ステージ57にて、第3骨格パネルアッシー127に増打溶接を行う。
【0085】
図22は第3車型に係る第3骨格パネルアッシーに左右の第3ホイールハウス部材128L、128Rを取り付ける工程の説明図であり、図17を併せて参照し説明を行う。
(a)において、第7溶接ステージ58にて、第3骨格パネルアッシー127の左右端部に左右の第3ホイールハウス部材128L、128Rを仮止溶接する。
【0086】
(b)において、第8溶接ステージ59にて、第3骨格パネルアッシー127の左右側方に仮止溶接した左右の第3ホイールハウス部材128L、128Rに増打溶接を行うことで第3車型のリヤフレームとしての第3骨格パネルアッシー129が完成する。
【0087】
なお、第5及び第6溶接ステージ56、57において、左右の第3ホイールハウス部材128L、128Rは第2主溶接ライン移載機構89によって供給されるが、その構造及び作用は、前述した第1主溶接ライン移載機構74と大きく変わるところはなく、説明を省略する。
【0088】
表1は第1車型、第2車型及び第3車型について、各溶接ステージで用いる部材、1次溶接又は2次溶接の区別、合流部の表示及び参照図を一覧表にしたものである。
表中、WHはホイールハウス部材を、CBはクロスビーム部材を意味する。
【0089】
【表1】
【0090】
以上に述べた溶接設備及び溶接設備を利用した車体の生産方法の作用を次に述べる。
図1、図4、図5、図10及び図17を参照して、複数種類のパネル部材をサブ溶接ライン12で溶接し、複数種類の骨格部材を主溶接ライン13で溶接し、主溶接ライン13で骨格部材にパネル部材を合体するとともに溶接することで車体を生産するようにした。
サブ溶接ライン12の出口には、パネル部材を任意の溶接ステージに移載する移載機構70が設けられており、溶接作業の工程数に対応して合流部75が変更できるように構成した。
【0091】
複数種類の製品を1つの主溶接ラインで混在させて生産する場合に、製品の種類によって溶接作業の工程数が異なるため、合流部75が異なる場合がある。
この点、本発明によれば、合流部75を変更可能にする移載機構70が設けられているので、製品ごとに個別の移載機構を設ける必要がなくなる。つまり、移載機構70の共通化が図れる。移載機構70の共通化が図れるので、必要な設備面積を小さくすることができ、併せて、設備費用を低減することができる。
【0092】
また、本発明に係る溶接ラインには、骨格部材を溶接する骨格溶接工程と、パネル部材同士を溶接するパネル溶接工程と、骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程とが設けられている。
【0093】
骨格部材とパネル部材とを別々のラインで溶接し、その後合体させて車体を生産するようにした。この方法であれば、例えば、同じ工程内に複数のステージを設けることによって、同じ工程の隣接するステージにて第1次溶接と第2次溶接を行うことができる。
【0094】
隣接するステージにて第1次溶接と第2次溶接を行うことが可能になれば、構造の全く異なる車体であっても、1つの主溶接ラインでこれらの車体を混在させて生産する、いわゆる、混流生産を実現することが可能になる。1つの溶接ラインで複数の車型の混流生産が可能になるので、設備面積を小さくできるとともに、設備費用を大幅に低減することができる。
【0095】
また、各々の工程内において、第1次溶接と第2次溶接とをまとめて行うことを可能にすることによって、車体構造が異なり、溶接打点数が異なる場合であっても、異なる溶接ステージに溶接打点を振り分けることにより、柔軟な対応が可能となる。
【0096】
例えば、第1次溶接と第2次溶接を、パネル溶接工程内の異なる溶接ステージに振り分け、骨格−パネル合体工程内の異なる溶接ステージに振り分けるようにすれば、製品種類の変更に対して、サブ溶接ラインの生産性が損なわれる心配はない。
【0097】
尚、本発明は、実施の形態では四輪車に適用したが、三輪車にも適用可能であり、一般の車両に適用することは差し支えない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、四輪車の溶接設備に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係る溶接設備に備えられている溶接ラインの平面図である。
【図2】図1の2部拡大図である。
【図3】図2の3−3矢視図である。
【図4】図1の4−4矢視図である。
【図5】本発明の溶接ラインにおいて第1車型に係るワークの流れを説明する図である。
【図6】サブ溶接ラインで第1車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程の説明図である。
【図7】主溶接ラインで第1車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程の説明図である。
【図8】第1車型に係るパネル部材を合体する骨格−パネル合体工程の説明図である。
【図9】第1車型に係る骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程の説明図である。
【図10】本発明の溶接ラインにおいて第2車型の生産に係るワークの流れを説明する図である。
【図11】サブ溶接ラインで第2車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程の説明図である。
【図12】主溶接ラインで第2車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程の説明図である。
【図13】第2車型に係るパネル部材を合体する骨格−パネル合体工程の説明図である。
【図14】第2車型に係る骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程の説明図である。
【図15】第2車型に係る第2骨格パネルアッシーに左右の第2ホイールハウス部材を取り付ける工程の説明図である。
【図16】左右の第2ホイールハウス部材の間に第2クロスビーム部材を取り付ける工程の説明図である。
【図17】本発明の溶接ラインにおいて第3車型の生産に係るワークの流れを説明する図である。
【図18】サブ溶接ラインで第3車型に係る複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程の説明図である。
【図19】主溶接ラインで第3車型に係る複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程の説明図である。
【図20】第3車型に係るパネル部材を合体する骨格−パネル合体工程の説明図である。
【図21】第3車型に係る骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程の説明図である。
【図22】第3車型に係る第2骨格パネルアッシーに左右の第3ホイールハウス部材を取り付ける工程の説明図である。
【図23】従来の技術の基本構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0100】
10…溶接設備、12…サブ溶接ライン、13…主溶接ライン、70…移載機構、75…合流部、86…レール、87…台車、88…運搬ロボット、118…骨格部材、119…パネル部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の溶接ステージから構成される溶接ラインにより、自動車の車体部品を溶接する車体の生産方法において、
最初の溶接ステージで車体の骨格部材を溶接して、車体骨格を完成させる工程と、
完成された車体骨格に対して、パネル部材を溶接する溶接ステージを、生産する車体の車種に応じて異なる溶接ステージで溶接する工程と、
からなることを特徴とする車体の生産方法。
【請求項2】
前記パネル部材を溶接する溶接ステージの変更工程は、少なくとも2箇所設けられていることを特徴とする車体の生産方法。
【請求項3】
パネル部材を溶接するサブ溶接ラインが、主溶接ラインに合流され、この合流部で、骨格部材に前記パネル部材を合体して溶接する車体の生産方法であって、
前記主溶接ラインで、複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程と、
前記サブ溶接ラインで、複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程と、
前記骨格溶接工程が終了した位置で、主溶接ライン上の骨格部材に、前記パネル部材を合体する骨格−パネル合体工程と、
骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程とからなることを特徴とする車体の生産方法。
【請求項4】
パネル部材を溶接するサブ溶接ラインが、主溶接ラインに合流され、この合流部で、骨格部材に前記パネル部材を合体して溶接する溶接設備であって、
前記主溶接ラインは、溶接ロボットを備える複数個の溶接ステージで構成され、前記サブ溶接ラインの出口には、前記パネル部材を任意の溶接ステージに移載する移載機構が設けられており、溶接する製品の種類に対応して前記合流部が変更できることを特徴とする溶接設備。
【請求項5】
前記移載機構は、前記主溶接ラインに並行に敷設されたレールと、このレールに沿って移動する台車と、この台車に設けられている運搬ロボットとからなることを特徴とする請求項4記載の溶接設備。
【請求項6】
前記パネル部材は、車体のフロアパネルであることを特徴とする請求項1又は請求項3記載の車体の生産方法。
【請求項7】
前記パネル部材は、車体のホイールハウス部材であることを特徴とする請求項1又は請求項3記載の車体の生産方法。
【請求項8】
前記溶接設備には、主溶接ラインに合流し任意の溶接ステージに移載する移載機構が付設されたサブ溶接ラインが少なくとも2本以上設けられていることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の溶接設備。
【請求項1】
複数の溶接ステージから構成される溶接ラインにより、自動車の車体部品を溶接する車体の生産方法において、
最初の溶接ステージで車体の骨格部材を溶接して、車体骨格を完成させる工程と、
完成された車体骨格に対して、パネル部材を溶接する溶接ステージを、生産する車体の車種に応じて異なる溶接ステージで溶接する工程と、
からなることを特徴とする車体の生産方法。
【請求項2】
前記パネル部材を溶接する溶接ステージの変更工程は、少なくとも2箇所設けられていることを特徴とする車体の生産方法。
【請求項3】
パネル部材を溶接するサブ溶接ラインが、主溶接ラインに合流され、この合流部で、骨格部材に前記パネル部材を合体して溶接する車体の生産方法であって、
前記主溶接ラインで、複数種類の骨格部材を溶接する骨格溶接工程と、
前記サブ溶接ラインで、複数種類のパネル部材を溶接するパネル溶接工程と、
前記骨格溶接工程が終了した位置で、主溶接ライン上の骨格部材に、前記パネル部材を合体する骨格−パネル合体工程と、
骨格部材にパネル部材を溶接する骨格−パネル溶接工程とからなることを特徴とする車体の生産方法。
【請求項4】
パネル部材を溶接するサブ溶接ラインが、主溶接ラインに合流され、この合流部で、骨格部材に前記パネル部材を合体して溶接する溶接設備であって、
前記主溶接ラインは、溶接ロボットを備える複数個の溶接ステージで構成され、前記サブ溶接ラインの出口には、前記パネル部材を任意の溶接ステージに移載する移載機構が設けられており、溶接する製品の種類に対応して前記合流部が変更できることを特徴とする溶接設備。
【請求項5】
前記移載機構は、前記主溶接ラインに並行に敷設されたレールと、このレールに沿って移動する台車と、この台車に設けられている運搬ロボットとからなることを特徴とする請求項4記載の溶接設備。
【請求項6】
前記パネル部材は、車体のフロアパネルであることを特徴とする請求項1又は請求項3記載の車体の生産方法。
【請求項7】
前記パネル部材は、車体のホイールハウス部材であることを特徴とする請求項1又は請求項3記載の車体の生産方法。
【請求項8】
前記溶接設備には、主溶接ラインに合流し任意の溶接ステージに移載する移載機構が付設されたサブ溶接ラインが少なくとも2本以上設けられていることを特徴とする請求項4又は請求項5記載の溶接設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2009−78331(P2009−78331A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250096(P2007−250096)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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