説明

車体後部構造

【課題】 後突時の後続車両の衝突による電気機器の破損を防止することのできる車体後部構造を提供する。
【解決手段】 車体のプラットホーム15の後部上に設けたクロスメンバ31(F)上に、電池パック23が備えるブラケット25をボルト48・ナット50により締結する。クロスメンバ31(F)に、ボルト48を挿通しかつ前方に延びる長孔形状のボルト挿通孔38を形成する。クロスメンバ31内には、ボルト48・ナット50によりクロスメンバ31に締結される締結部43を備えるパッチ部材40を設ける。パッチ部材40は、締結部43より車両後方に延びる取付部41、及び、締結部43と取付部41との間においてその両部の間が拡がる方向に拡張変形可能に形成された変形部42を備える。パッチ部材40の取付部41を、クロスメンバ31に所定以上の荷重で分離可能に取付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等のように、電池パック、燃料電池等の電気機器を搭載する車両における車体後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電池パック、燃料電池等の電気機器を搭載する車両における車体後部構造としては、車両のリヤシートの後側のプラットホーム上に、電池パックを配置するものがある(特許文献1参照。)。
このように電池パックを搭載する車体後部構造の一般的な従来例について図12を参照して述べる。図12は車体後部構造の概要を示す側面図である。
従来例にかかる車体後部構造は、図12に示すように、車両110における車体114のプラットホーム115の後部上(すなわちリヤシート120の後側のプラットホーム115上)に設けた前後一対のクロスメンバ131上に、電池パック123が備える前後の各ブラケット125,128を、それぞれボルト148・ナット(図示しない。)により締結することによって、強固に取付けられている。なお、プラットホーム115は、左右一対のサイドメンバ116(図12では片側のみを示す。)を有している。また、前後の両クロスメンバ131、前側のブラケット125、及び、後側のブラケット128におけるそれぞれのボルト挿通孔(図示しない。)は、単なる丸孔形状に形成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−243882号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記車体後部構造によると、クロスメンバ131に電池パック123がボルト148・ナット(図示しない。)により強固に取付けられている。このため、車両後方(図12において右方)からの後続車両155の衝突いわゆる後突時において、後続車両155が電池パック123に衝突すると、電池パック123の破損を招く場合が考えられる。詳しくは、後突時に、プラットホーム115のサイドメンバ116で後続車両155を受け止めることができれば、電池パック123に対する後続車両155の衝突を回避することができる。しかし、例えば、プラットホーム115の低い車両110の場合、あるいは、最低地上高の高いトラック等の後続車両155の場合には、プラットホーム115のサイドメンバ116で後続車両155を受け止めることができず、後続車両155が電池パック123に衝突(図12中、二点鎖線155参照。)し、電池パック123の破損を招くことが予想される。なお、電池パック123に衝突するものとして、後続車両155を例示したが、後続車両155の他、後続車両155で押し潰された車体114の構造物が含まれる。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、後突時の後続車両の衝突による電気機器の破損を防止することのできる車体後部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題は、特許請求の範囲の欄に記載された構成を要旨とする車体後部構造により解決することができる。
すなわち、特許請求の範囲の請求項1にかかる車体後部構造によると、車体のプラットホームの後部上に設けたクロスメンバに、パッチ部材の取付部が取付けられている。そして、クロスメンバに、電気機器のブラケットと共にパッチ部材の締結部がボルト・ナットにより締結される。したがって、従来の車体後部構造と比べて、電気機器をプラットホームのクロスメンバ上に取付強度を低下させることなく取付けることができる。
また、後突時の後続車両が電気機器に衝突した時には、電気機器が前方へ移動されていくにともない、ボルトがクロスメンバの長孔形状のボルト挿通孔内を前方へ移動していく。このボルトとともに、パッチ部材の締結部も前方へ移動されていくと、パッチ部材の取付部と締結部との間の変形部が拡張変形されることにより、電気機器に加わる衝突エネルギーが吸収される。さらに、電気機器が前方へ移動されると、クロスメンバに対してパッチ部材の取付部が分離される。また、クロスメンバのボルト挿通孔の口縁部が、パッチ部材により拡開変形されることにより、電気機器に加わる衝突エネルギーが吸収される。そして、最終的には、クロスメンバのボルト挿通孔を通じてパッチ部材が抜け出ることにより、電気機器のブラケットがクロスメンバから離脱される。したがって、電気機器に加わる衝突エネルギーを吸収しながら、電気機器のブラケットをクロスメンバから離脱させるように構成したことにより、電気機器の破損を防止あるいは低減することができる。
【0007】
また、特許請求の範囲の請求項2にかかる車体後部構造によると、パッチ部材の取付部をクロスメンバに取付ける手段が溶接であるので、クロスメンバに対してパッチ部材の取付部を剥離するようにして溶接部が破断される。したがって、溶接部を剥離により分離するものであるから、その分離に必要な荷重を、例えば溶接部の剪断をもって分離する場合に要する荷重の約半分程度に低減することができる。このため、電気機器に加わる衝突エネルギーを効果的に吸収することができる。
【0008】
また、特許請求の範囲の請求項3にかかる車体後部構造によると、後突時の後続車両の衝突による電池パックの破損を防止することができる。このことは、電池パックを電気機器として搭載するハイブリッド自動車や電気自動車の車体後部構造として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車体後部構造によれば、後突時の後続車両の衝突による電気機器の破損を防止あるいは低減することができる。また、従来の車体後部構造と比べて、電気機器をプラットホームのクロスメンバ上に取付強度を低下させることなく取付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための最良の形態について実施例を参照して説明する。
【実施例】
【0011】
本発明の一実施例を説明する。図1は車体後部構造の概要を示す側面図である。なお、説明の都合上、車両の前後方向は車両の前後方向に準じ、その左右方向は車両の幅方向に準じるものとする。
図1に示すように、車両10は、車室11と、その車室11の後側の荷室(いわゆるトランクルーム)12とを有するセダンタイプのハイブリッド自動車である。車両10の車体14は、プラットホーム15を備えている。プラットホーム15は、車両前後方向に延びる左右一対のサイドメンバ16(図1では片側のみを示す。)と、両サイドメンバ16の間に架設されたクロスメンバ(図示しない。)と、サイドメンバ16及びクロスメンバ上に設けられフロアパネル18等により構成されている。車室11側のプラットホーム15上すなわちフロアパネル18の上面すなわちフロア面上には、車室11内の後部に位置するリヤシート20が配置されている。また、荷室12側のプラットホーム15のフロア面は、車室11側のプラットホーム15のフロア面よりも少し高くなっており、一般的な車両に比べると低床化が図られている。なお、一般的な荷室12側のプラットホーム15のフロア面は、リヤシート20のシートクッション部21の座面21aの高さ程度に設定されることが多い。
【0012】
前記荷室12側のプラットホーム15のフロア面上には、荷室12内の前部すなわちリヤシート20の後側に位置するほぼボックス形状の電池パック23が配置されている。電池パック23のケース24内には、例えば、複数のバッテリモジュールを直列に接続した組電池(図示しない。)が収容されている。また、図示しないが、バッテリモジュールは、複数のセルを積層している。なお、電池パック23は、本明細書でいう「電気機器」に相当する。
【0013】
次に、前記プラットホーム15に対する前記電池パック23の搭載構造にかかる車体後部構造について詳しく説明する。なお、図2は前側の電池パック取付構造におけるクロスメンバを下方から見た斜視図、図3は前側の電池パック取付構造を示す側断面図、図4は図3のIV−IV線矢視断面図、図5は前側の電池パック取付構造を示す分解斜視図、図6は後側の電池パック取付構造を示す側断面図、図7は同じく分解斜視図である。
図5及び図7に示すように、前記電池パック23のケース24の下面側には、鋼板製の前後の両ブラケット25,28が前後対称状にかつ左右方向に所定間隔を隔てて複数個ずつ設けられている。各ブラケット25,28の基端部は、電池パック23のケース24に溶接により取付けられている。
図5に示すように、前側のブラケット25の先端部(前端部)は、電池パック23のケース24の前面より突出している。前側のブラケット25の先端部には、丸孔形状のボルト挿通孔26が形成されている。
また、図6に示すように、後側のブラケット28の先端部(後端部)は、電池パック23のケース24の後面より突出している。また、後側のブラケット28の先端部には、後方に開口されたU字溝状のボルト挿通孔29が形成されている。
【0014】
図1に示すように、前記荷室12側のプラットホーム15上(フロア面上)には、車両左右方向に延びる前後一対をなす鋼板製のクロスメンバ31が平行状に設けられている。なお、説明の都合上、前側のクロスメンバ31には符号、(F)を付記し、後側のクロスメンバ31には符号、(R)を付記する。また、両クロスメンバ31(F),31(R)の同一もしくは実質的に同一構成と考えられる部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0015】
前記両クロスメンバ31(F),31(R)は、前記電池パック23におけるケース24の前後の両ブラケット25,28に対応して配置されている(図1参照。)。
また、図5及び図7に示すように、両クロスメンバ31(F),31(R)は、前後一対の縦板部32、及び、両縦板部32の上端部間に架かる横板部34とを有している。両縦板部32の下端部には、相反方向に向けて折り曲げられた取付板部35が形成されている。この両取付板部35は、前記荷室12側のプラットホーム15上すなわちフロアパネル18(図1参照。)上に溶接により取付けられている。
【0016】
次に、前記電池パック23の前側のブラケット25を前記前側のクロスメンバ31(F)に取付ける前側の電池パック取付構造について説明する。
図5に示すように、前記前側のクロスメンバ31(F)の横板部34には、前記電池パック23の前側のブラケット25のボルト挿通孔26に整合するボルト挿通孔38が形成されている。ボルト挿通孔38は、前方(図5において左方)に直線状に延びる長孔形状に形成されている。なお、前側のクロスメンバ31(F)の横板部34は、ボルト挿通孔38の前部を含む前半部を、ボルト挿通孔38の後部を含む後半部に比べて少し低くする段付板状に形成されている(図3参照。)。
【0017】
図3に示すように、前記前側のクロスメンバ31(F)内には、鋼板製のアングル状のパッチ部材40が設けられている。パッチ部材40は、縦片状の取付部41と、その取付部41の上端部から湾曲状あるいは逆L字状に折り曲げられた変形部42を介して前方へ水平状に突出する横片状の締結部43とを有している(図5参照。)。なお、パッチ部材40の板厚は、前側のクロスメンバ31(F)の板厚よりも大きく設定されている。
取付部41は、前側のクロスメンバ31(F)における後側の縦板部32の内側面(前側面)に、溶接(溶接部に符号、45を付す。)により所定以上の荷重で分離可能に取付けられている。また、変形部42は、取付部41と締結部43との間においてその両部41,43の間が拡がる方向すなわち両部41、43のなす内角側の角度を拡げる方向に拡張変形可能に形成されている。また、締結部43は、前側のクロスメンバ31(F)における横板部34の内側面(下面)に宛がわれている。締結部43には、円孔形状のボルト挿通孔46が形成されている(図5参照。)。ボルト挿通孔46は、前記電池パック23の前側のブラケット25のボルト挿通孔26、及び、前側のクロスメンバ31(F)のボルト挿通孔38(詳しくは、長孔形状の後部)と整合可能に形成されている(図3及び図4参照。)。さらに、締結部43の下面には、ウエルドナット50が溶接により取付けられている。ウエルドナット50のめねじ孔51(図5参照。)は、締結部43のボルト挿通孔46と整合している(図3及び図4参照。)。なお、ウエルドナット50は、本明細書でいう「ナット」に相当する。
【0018】
次に、前記電池パック23の後側のブラケット28を前記後側のクロスメンバ31(R)に取付ける後側の電池パック取付構造について説明する。
図7に示すように、前記後側のクロスメンバ31(R)の横板部34には、前記電池パック23の後側のブラケット28のボルト挿通孔29(詳しくは、U字溝状の底部(前部))に整合する丸孔形状のボルト挿通孔53が形成されている。さらに、後側のクロスメンバ31(R)の横板部34の下面には、ウエルドナット50(前記ウエルドナット50と同一部品であるため同一符号を付す。)が溶接により取付けられている。そのウエルドナット50のめねじ孔51(図7参照。)は、ボルト挿通孔53と整合している(図6参照。)。
【0019】
次に、前記前後のクロスメンバ31(F),31(R)上に前記電池パック23を取付ける手順について説明する。
まず、図3及び図4に示すように、前側の電池パック取付構造において、前側のクロスメンバ31(F)の横板部34上に電池パック23の前側のブラケット25を配置するとともに、後側のクロスメンバ31(R)の横板部34上に電池パック23の後側のブラケット28を配置する。そして、頭付きボルトからなるボルト48のねじ軸部48a(図5参照。)を、電池パック23の前側のブラケット25の上方からそのブラケット25のボルト挿通孔26、前側のクロスメンバ31(F)のボルト挿通孔38(詳しくは、長孔形状の後部)、パッチ部材40のボルト挿通孔46の順に挿通した後、ウエルドナット50(詳しくは、めねじ孔51(図5参照。))に締付ける。これにより、前側のクロスメンバ31(F)の横板部34に、電池パック23の前側のブラケット25と共にパッチ部材40の締結部43がボルト48・ナット50により締結される(図2〜図4参照。)。
【0020】
また、図6に示すように、後側の電池パック取付構造において、ボルト48(前記ボルト48と同一部品であるため同一符号を付す。)を、電池パック23の後側のブラケット28の上方からそのブラケット28のボルト挿通孔29(詳しくは、U字溝状の底部(前部))、後側のクロスメンバ31(R)のボルト挿通孔53に順に挿通した後、ウエルドナット50(詳しくは、めねじ孔51(図7参照。))に締付ける。これにより、後側のクロスメンバ31(R)の横板部34に、電池パック23の後側のブラケット28がボルト48・ナット50により締結される(図6参照。)。
上記した手順をもって、前後のクロスメンバ31(F).31(R)上に対する電池パック23の取付けが完了する(図1参照。)。なお、図1では、ウエルドナット50が省略されている。
【0021】
上記した車体後部構造によると、図2〜図4に示すように、電池パック23の前側の取付構造において、車体14のプラットホーム15の後部上に設けた前側のクロスメンバ31(F)に、パッチ部材40の取付部41が取付けられている。そして、前側のクロスメンバ31(F)に、電池パック23の前側のブラケット25と共にパッチ部材40の締結部43がボルト48・ナット50により締結される。したがって、従来の車体後部構造と比べて、パッチ部材40を設けているにもかかわらず、電池パック23をプラットホーム15の前側のクロスメンバ31(F)上に取付強度を低下させることなく取付けることができる。
また、図6に示すように、電池パック23の後側の取付構造においては、プラットホーム15の後側のクロスメンバ31(R)上に電池パック23の後側のブラケット28をボルト48・ナット50により締結される。したがって、電池パック23をプラットホーム15の後側のクロスメンバ31(R)上に取付強度を低下させることなく取付けることができる。
【0022】
また、車両後方からの後続車両55の衝突いわゆる後突時において、後続車両55が電池パック23に衝突する場合がある(図11参照。)。なお、電池パック23に衝突するものとして、後続車両55を例示するが、後続車両55の他、後続車両55で押し潰された車体14の構造物が含まれる。
このような場合には、電池パック23が後続車両55により前方へ移動されていく。これにともない、電池パック23の後側の取付構造においては、電池パック23の後側のブラケット28のボルト挿通孔29が後方に開口されているため、後側のブラケット28が前方へ移動されるにともない、ボルト48がボルト挿通孔29から相対的に抜け外れることにより、後側のブラケット28が後側のクロスメンバ31(R)から離脱する(図6中、二点鎖線28参照。)。このとき、後側のブラケット28は、後側のクロスメンバ31(R)の横板部34及びボルト48の頭部48bに対して面接触状態で摺動する。
【0023】
一方、電池パック23の前側の取付構造においては、前側のクロスメンバ31(F)のボルト挿通孔38が長孔形状に形成されているため、前側のブラケット25が前方へ移動されるにともない、ボルト48がクロスメンバ31(F)のボルト挿通孔38内を前方へ移動していく(図8参照。)。このボルト48とともに、パッチ部材40の締結部43も前方へ移動されていくと、パッチ部材40の取付部41と締結部43との間の変形部42が拡張変形されることにより、電池パック23に加わる衝突エネルギーが吸収される。このとき、前側のクロスメンバ31(F)の横板部34に対して、電池パック23の前側のブラケット25及びパッチ部材40の締結部43が面接触状態で摺動する。
【0024】
さらに、電池パック23が前方へ移動されると、前側のクロスメンバ31(F)に対してパッチ部材40の取付部41が分離される(図8参照。)。詳しくは、前側のクロスメンバ31(F)に対してパッチ部材40の取付部41を剥離するようにして溶接部45が破断される。
これとともに、前側のクロスメンバ31(F)のボルト挿通孔38の左右の両口縁部が、パッチ部材40により上方へ押し拡げられるようにして拡開変形されることにより、電池パック23に加わる衝突エネルギーが吸収される。
そして、最終的には、前側のクロスメンバ31(F)のボルト挿通孔38を通じてパッチ部材40が抜け出ることにより、前側のブラケット25が前側のクロスメンバ31(F)から離脱する(図10参照。)。
【0025】
上記のようにして、後側のブラケット28が後側のクロスメンバ31(R)から離脱するとともに、前側のブラケット25が前側のクロスメンバ31(F)から離脱することにより、電池パック23全体が両クロスメンバ31(R),31(F)から離脱する(図11参照。)。
【0026】
したがって、電池パック23に加わる衝突エネルギーを吸収しながら、電池パック23を前側のクロスメンバ31(F)から離脱させるように構成したことにより、電池パック23の破損を防止あるいは低減することができる。このことは、プラットホーム15が低い車両に有効である。
【0027】
また、パッチ部材40の取付部41を前側のクロスメンバ31(F)に取付ける手段が溶接(溶接部45参照。)であるので、クロスメンバ31に対してパッチ部材40の取付部41を剥離するようにして溶接部45が破断される。したがって、溶接部45を剥離により分離するものであるから、その分離に必要な荷重を、例えば溶接部45の剪断をもって分離する場合に要する荷重の約半分程度に低減することができる。このため、電池パック23に加わる衝突エネルギーを効果的に吸収することができる。
【0028】
また、後突時の後続車両55(図11参照。)の衝突による電池パック23の破損を防止することができるから、電池パック23を電気機器として搭載するハイブリッド自動車や電気自動車の車体後部構造として有効である。
【0029】
本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本発明の車体後部構造は、セダンタイプの自動車に限らず、バンタイプ、ワゴンタイプ等の自動車(車両)にも適用することができる。また、本発明の車体後部構造は、ハイブリッド自動車に限らず、電気自動車、燃料電池自動車にも適用することができる。また、電池パック23は、分極性電極を用いた複数の蓄電セルを積層したキャパシタ、あるいは、燃料電池等の電気機器に代えることができる。また、電池パック23を構成する電池の種類は特に限定されず、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などであってよい。また、電池パック23のケース24に取付けた各ブラケット25,28は、電池パック23のケース24を構成する構成材に一体形成することができる。また、パッチ部材40及び/又は後側のクロスメンバ31(R)のウエルドナット50は、パッチ部材40及び/又は後側のクロスメンバ31(R)と別体のナットに代えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例にかかる車体後部構造の概要を示す側面図である。
【図2】前側の電池パック取付構造におけるクロスメンバを下方から見た斜視図である。
【図3】前側の電池パック取付構造を示す側断面図である。
【図4】図3のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】前側の電池パック取付構造を示す分解斜視図である。
【図6】後側の電池パック取付構造を示す側断面図である。
【図7】後側の電池パック取付構造を示す分解斜視図である。
【図8】前側の電池パック取付構造における電池パックの移動過程1を示す側断面図である。
【図9】前側の電池パック取付構造における電池パックの移動過程2を示す側断面図である。
【図10】前側の電池パック取付構造における電池パックの移動過程3を示す側断面図である。
【図11】電池パックの脱落状態を示す側面図である。
【図12】従来例にかかる車体後部構造の概要を示す側面図である。
【符号の説明】
【0031】
14 車体
15 プラットホーム
31 クロスメンバ
23 電池パック(電気機器)
25 ブラケット
28 ブラケット
48 ボルト
50 ウエルドナット(ナット)
53 ボルト挿通孔
46 ボルト挿通孔
38 ボルト挿通孔
29 ボルト挿通孔
26 ボルト挿通孔
43 締結部
40 パッチ部材
10 車両
41 取付部
42 変形部
45 溶接部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のプラットホームの後部上に設けたクロスメンバ上に、電気機器が備えるブラケットをボルト・ナットにより締結する車体後部構造であって、
前記クロスメンバに、前記ボルトを挿通しかつ前方に延びる長孔形状のボルト挿通孔を形成し、
前記クロスメンバ内には、前記ボルト・ナットにより該クロスメンバに締結される締結部を備えるパッチ部材を設け、
前記パッチ部材は、前記締結部より車両後方に延びる取付部、及び、前記締結部と前記取付部との間においてその両部の間が拡がる方向に拡張変形可能に形成された変形部を備え、
前記パッチ部材の取付部を、前記クロスメンバに所定以上の荷重で分離可能に取付けてある
ことを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車体後部構造であって、
前記パッチ部材の取付部を前記クロスメンバに取付ける手段が溶接であることを特徴とする車体後部構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車体後部構造であって、
前記電気機器が電池パックであることを特徴とする車体後部構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−203912(P2007−203912A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25850(P2006−25850)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】