説明

車体振動の制振装置

【課題】 アイドリング状態のように低周波数の車体振動が発生する場合であっても、大きな制振力を発生することができる車体振動の制振装置を提供する。
【解決手段】 ラジエータ4を車体6に弾性支持する弾性部材8と、質量コントロールタンク10と、質量コントロールタンク10と連通するリザーバタンク12と、質量コントロールタンク10とリザーバタンク12との間で液体移動を行う液体移動手段14と、車体6の振動周波数を検出する車体振動検出手段16と、液体移動手段14の駆動制御を行うコントローラ18とを備える。ラジエータ4の質量Mと、質量コントロールタンク10内の液体の質量mと、弾性部材8の剛性kとで、固有振動数f=(1/(2×π))×√(k/(M+m))となる振動系を構成し、コントローラ18は、固有振動数fが車体振動検出手段16で検出した車体6の振動周波数と一致するように液体移動手段14の駆動制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンを冷却するラジエータをダイナミックダンパの質量として利用する車体振動の制振装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車体振動の制振装置として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。
この従来の装置は、ラジエータを車体に対して支持する弾性部材と、ラジエータに対して上下方向に加振力を付与する電動式の加振アクチュエータと、ラジエータの振動状態を検出するラジエータ振動状態検出手段と、車体の振動状態を検出する車体振動状態検出手段と、車体振動状態検出手段により車体振動が検出されたときに、ラジエータ振動状態を監視しながら車体振動とは逆位相のラジエータ反力振動が得られる制御力を決定して、その制御力が得られる制御指令を加振アクチュエータに出力するアクティブコントローラを備えたラジエータ支持装置であり、加振アクチュエータが発生する制御力によりラジエータを共振時のように強制的に振らすことで、車体振動が励起される広い振動数領域で車体振動を低減することができる。
【特許文献1】特開平05−169969号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した従来の車体振動の制振装置は、加振アクチュエータをレイアウトの制約が多いラジエータの下端部に設置しており、加振アクチュエータのサイズを大きくすることができない。したがって、加振アクチュエータの出力向上には限界があり、ラジエータの質量も一定なので、例えば大きな制振力が必要な低周波数の車体振動に対して、制振力が不足してしまうという問題がある。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、アイドリング状態のように低周波数の車体振動が発生する場合であっても、大きな制振力を発生することができる車体振動の制振装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するため、本発明に係る車体振動の制振装置は、ラジエータを車体に弾性支持する弾性部材と、前記ラジエータとで一体で振動可能で、内部に溜めた液体が出入り可能な質量コントロールタンクと、この質量コントロールタンクに溜めた前記液体の質量が変化するように前記液体の移動を行う液体移動手段と、前記車体の振動周波数を検出する車体振動検出手段と、この車体振動検出手段の検出結果に基づいて前記液体移動手段の駆動制御を行うコントローラとを備えた車体振動の制振装置であって、前記ラジエータの質量と、前記ラジエータと一体で振動可能な部品の質量と、前記弾性部材の剛性とで振動系を構成し、前記コントローラは、前記振動系の固有振動数が前記車体振動検出手段で検出した前記車体の振動周波数と一致するように、前記質量コントロールタンク内の液体の質量を前記液体移動手段で制御する。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る車体振動の制振装置によると、ラジエータの質量Mと、質量コントロールタンク内に溜まっている液体の質量mと、インシュレータの剛性kとで固有振動数f=(1/(2×π))×√(k/(M+m))となる振動系を構成し、固有振動数fと車体振動検出手段で検出した車体の振動周波数とが一致するように、液体移動手段の駆動により質量コントロールタンク内の液体の質量を調整することで、車体の振動周波数と一致する固有振動数fを持ったラジエータが共振して最適な制振力が発生するので、ダイナミックダンパ効果により車体振動を低減することができる。特に、アイドル振動のように低周波数域の車体振動ではより大きな制振力が必要になるが、本実施形態の装置は、低周波数域になるほど質量コントロールタンク内の液体を増大させることで制振力を大きくしてダイナミックダンパ作用を発揮しているので、加振アクチュエータの出力向上に限界があり、ラジエータの質量も一定であるため制振力が不足しがちな従来装置と比較して、アイドル振動等の低周波数域の車体振動を有効に低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明に係る車体振動の制振装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態の車体振動の制振装置の概略を示す図、図2は、第1実施形態の車体振動の制振装置のエンジンルーム内における配置位置を示す平面視である。
本実施形態のラジエータ支持装置は、エンジン2を冷却するラジエータ4を車体6に弾性支持しているインシュレータ8と、ラジエータ4に一体化され、内部に溜めた液体が出入り可能な質量コントロールタンク10と、この質量コントロールタンク10と連通しているリザーバタンク12と、質量コントロールタンク10に溜めた液体の質量が変化するようにリザーバタンク12との間で液体移動を行う液体ポンプ14と、車体振動を検出する振動検出センサ16と、振動検出センサ16の検出結果に応じて液体ポンプ14の駆動制御を行うコントローラ18とを備えている。
【0007】
質量コントロールタンク10は、エンジン2に対面しているラジエータ4の車両後方を向く側面に一体に固定されている。すなわち、ラジエータ4の側面にはラジエータファン20が取り付けられており、質量コントロールタンク10は、このラジエータファン20のエンジン2に向けて膨出しているファンシュラウド20aに当接しながらラジエータファン20の外周側に環状に延在しているタンクである。
【0008】
この質量コントロールタンク10とリザーバタンク12は、連通管22を介して連通しており、この連通管22の途中に液体ポンプ14が接続されている。
液体ポンプ14は、電気駆動式の液体ポンプであり、コントローラ18から出力された駆動信号により、質量コントロールタンク10に溜めている液体をリザーバタンク12に向けて移動する制御、或いはリザーバタンク12に溜めている液体を質量コントロールタンク10に移動する制御を行う。また、この液体ポンプ14は、コントローラ18から制御電源部15に対して通電信号S3が出力したときのみ通電される。
【0009】
振動検出センサ16は、車体6に取り付けられて車体振動を検出してコントローラ18に検出信号S1を出力している。
コントローラ18は、マイクロコンピュータ、必要なインタフェース回路、A/D変換器、及びD/A変換器等を含んで構成されており、質量算出部18a、ポンプ制御部18b及び通電制御部18cを備えている。質量算出部18aは、振動検出センサ16の検出信号S1に基づいて液体ポンプ14の制御量を算出し、ポンプ制御部18bは、算出した制御量に基づいて液体ポンプ14に駆動信号S2を出力する。また、通電制御部18cは、液体ポンプ14が駆動するときのみ液体ポンプ14の通電を開始する。
【0010】
以下に、コントローラ18の具体的な制御について説明する。本実施形態の装置は、ラジエータ4の質量をMとし、質量コントロールタンク10内に溜まっている液体の質量をmとし、インシュレータ8の剛性をkとすると、
固有振動数f=(1/(2×π))×√(k/(M+m) ………(1)
となる振動系が構成される。
【0011】
そこで、コントローラ18の質量算出部18aは、上記(1)式の振動系の固有振動数fと、振動検出センサ16で検出した車体6の振動周波数とが一致するように、液体の質量m(制御量)を算出する。そして、ポンプ制御部18bは、液体の質量mに応じた駆動信号S2を液体ポンプ14に出力し、質量コントロールタンク10の液体の質量がmとなるように液体ポンプ14を駆動制御する。また、通電制御部18cは、液体ポンプ14が駆動するときのみ制御電源部15に通電信号S3を出力して液体ポンプ14を通電状態とする。
【0012】
ここで、質量算出部18aは、振動検出センサ16が車体6の最も低い振動周波数を検知したときに、予め記憶している質量コントロールタンク10の液体の質量を最大値mmaxを設定し、この最大値mmaxが入力したポンプ制御部18bは、質量コントロールタンク10内が最大容量となるように液体ポンプ14を駆動制御する。
【0013】
次に、本実施形態の装置の作用について、図3及び図4を参照しながら説明する。
フロントエンジン・フロントドライブ車(FF車)では、アイドリング状態で停車している時に、シリンダー内の爆発力がインシュレータ8を介して車体6の弾性共振を励起させるので、運転席等のフロアで振動が発生する。
例えば、FF4気筒車のアイドル振動周波数はエンジン回転数の2次成分周波数が主となるので、図3に示すように、エンジン回転数を600rpm〜900rpmとすると、車体に伝達される振動加速度レベルは20Hz〜30Hzである。そして、アイドリング状態でのエンジン回転数は、エンジン始動直後でエンジン温度が低いとき、エンジン始動後しばらくしてエンジン温度が高いとき、或いはエアコン(A/C)のON、OFF等のようにエンジンへの負荷変更によっても変化するので、エンジン回転数の2次成分周波数が変化すると、車体に伝達される振動加速度レベルも変化する。
【0014】
本実施形態では、振動検出センサ16がアイドル振動周波数を検知すると、コントローラ18の質量算出部18aが、上記(1)式の振動系の固有振動数fと、アイドル振動周波数とが一致するように、液体の質量mを算出する。そして、コントローラ18のポンプ制御部18bは、質量コントロールタンク10の液体の質量がmとなるように駆動信号S2を液体ポンプ14に出力し、液体ポンプ14を駆動制御する。
【0015】
図3の実線は、本実施形態の装置による振動加速度レベルの低減効果を示したものであり、エアコンONとOFF等によりアイドル振動の振動周波数が変化しても、ラジエータ4の固有振動数がアイドル振動周波数と一致するように調整されてラジエータ4が共振して最適な制振力が発生するので、アイドル振動を有効に低減するというダイナミックダンパ作用を発揮する。これに対して図3の破線は、従来の車体振動の制振装置(特許文献1)の振動加速度レベルの低減効果を示したものであるが、加振アクチュエータの出力向上には限界があり、ラジエータの質量も一定なので、アイドル振動の際に制振力が不足してしまい、良好なダイナミックダンパ作用を発揮することができない。なお、図3の一点鎖線は、ダイナミックダンパを用いずにラジエータを車体に固定した場合の振動加速度レベルを示したものである。
【0016】
また、図4は、従来の車体振動の制振装置(特許文献1)と本実施形態の装置の消費電力を比較したものである。図4(a)で示す従来の装置は、車体振動が発生している間ラジエータの質量を加振し続けなければならないので、常に加振アクチュエータに駆動電圧を供給し続ける必要がある。これに対して、本実施形態の装置は、液体ポンプ14の駆動制御により質量コントロールタンク10の質量を調整して上記(1)式の振動系の固有振動数fと車体6の振動周波数とを一致させた後、制御電源部15により液体ポンプ14への通電を停止した状態でダイナミックダンパ作用を維持することができるので、従来の車体振動の制振装置と比較して消費電力が小さくなる。
【0017】
以上説明したように本実施形態の車体振動の制振装置は、ラジエータ4の質量Mと、質量コントロールタンク10内に溜まっている液体の質量mと、インシュレータ8の剛性kとで固有振動数f=(1/(2×π))×√(k/(M+m))となる振動系を構成し、固有振動数fと振動検出センサ16で検出した車体6の振動周波数とが一致するように、液体ポンプ14の駆動制御により質量コントロールタンク10内の液体の質量を調整することで、車体6の振動周波数と一致する固有振動数fを持ったラジエータ4が共振して最適な制振力が発生するので、ダイナミックダンパ効果により車体振動を低減することができる。
【0018】
特に、アイドル振動のように低周波数域の車体振動ではより大きな制振力が必要になるが、本実施形態の装置は、質量コントロールタンク10内の液体を増大させることで制振力を大きくしてダイナミックダンパ作用を発揮しているので、加振アクチュエータの出力向上に限界があり、ラジエータの質量を一定として制振力が不足しがちな従来装置(特許文献1)と比較して、アイドル振動を有効に低減することができる。
【0019】
また、本実施形態の装置は、上記(1)式の振動系の固有振動数fと車体6の振動周波数とが一致するように液体ポンプ14の駆動制御により質量コントロールタンク10の質量を調整した後は、液体ポンプ14への通電を停止してダイナミックダンパ作用を維持するようにしているので、常に加振アクチュエータに駆動電圧を供給し続けなければならない従来装置(特許文献1)と比較して消費電力を小さくすることができる。
【0020】
また、質量コントロールタンク10は、ラジエータ4の側面に取り付けたラジエータファン20のファンシュラウド20aに当接した状態で、ラジエータファン20の外周側に環状に配置した構造としているので、ラジエータ4近傍の限られたスペースであっても容易にラジエータ4に固定することができるとともに、ラジエータファン20の駆動によるラジエータ4への空気導入を妨げることがない。
【0021】
次に、図5に示すものは、本発明に係る第2実施形態の車体振動の制振装置の概略を示す図である。なお、図1及び図2に示した構成と同一構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
本実施形態は、質量コントロールタンク10に連通するタンクを、ラジエータ液を溜めたラジエータタンク24としている。このため、質量コントロールタンク10とラジエータタンク24とは、ラジエータ液が移動するようになっている。
また、本実施形態では、第1実施形態の振動検出センサ16の替わりに、既設のエンジン回転センサ26を使用している。
【0022】
第1実施形態で説明したように、アイドル振動周波数はエンジン回転数のn次成分周波数が主となる。すなわち、アイドル振動周波数は、エンジン回転数(rpm)÷60×次数成分により一意に決まる。次数成分は、エンジン気筒数により決まり、2サイクルエンジンの場合、1気筒0.5次成分、上述した4気筒エンジンの場合2次成分、6気筒エンジンの場合3次成分、8気筒エンジンの場合4次成分、12気筒エンジンの場合6次成分となる。
【0023】
したがって、コントローラ18の質量算出部18aは、エンジン回転センサ26が検出したエンジン回転数に基づいてアイドル振動周波数を算出し、さらに、上記(1)式の振動系の固有振動数fと、アイドル振動周波数とが一致するように液体の質量mを算出する。そして、コントローラ18のポンプ制御部18bが、質量コントロールタンク10の液体の質量がmとなるように駆動信号S2を液体ポンプ14に出力し、液体ポンプ14を駆動制御する。
【0024】
これにより、第1実施形態と同様に、車体6の振動周波数と一致する固有振動数fを持ったラジエータ4が共振して最適な制振力が発生するので、ダイナミックダンパ効果により車体振動を低減することができる。
そして、本実施形態では、既設のエンジン回転センサ26を使用しており、車体振動の制振装置専用のセンサが不要となるので、装置構造の簡便化及びコスト低減化を図ることができる。
【0025】
また、本実施形態では、ラジエータ液を溜めているラジエータタンク24を質量コントロールタンク10と連通することで、車体振動の制振装置のリザーバタンクとして併用することができるので、さらに装置構造の簡便化及びコスト低減化を図ることができる。
さらに、図6に示すものは、本発明に係る第3実施形態の車体振動の制振装置の概略を示す図である。
【0026】
本実施形態は、第1実施形態のラジエータ4の車両後方を向く面に、質量コントロールタンク10とともに、所定重さの錘28を固定している。そして、錘28の質量と、ラジエータ4の質量Mと、質量コントロールタンク10内に溜まっている液体の質量mと、インシュレータ8の剛性kとで構成する振動系の固有振動数が、車体6の振動周波数と一致するように、液体ポンプ14の駆動制御により質量コントロールタンク10内の液体の質量を調整する。
【0027】
本実施形態によると、質量コントロールタンク10に最大容量まで液体を溜めると、錘28の重さが加わった分だけ大きな制振力が得られる。したがって、本実施形態のようにラジエータ4に錘28を固定し、液体ポンプ14の駆動制御で質量コントロールタンク10内の液体の質量を調整することで大きな範囲の制振力を発生することができ、さらにダイナミックダンパ効果を高めることができる。
ここで、第3実施形態では、第1実施形態のラジエータ4に錘28を固定した構造について説明したが、第2実施形態のラジエータ4に錘28を固定しても同様の効果を奏することができる。また。ラジエータ4への錘28の固定は図6の構造に限るものではなく、例えば、ラジエータ4の側面外周側に環状の錘を固定してもよい。
【0028】
以上、第1〜第3実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成は実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加等があっても本発明に含まれる。例えば、質量コントロールタンク10に溜めた液体の質量が変化するようにリザーバタンク12(或いは、ラジエータタンク24)との間で液体移動を行う装置として液体ポンプ14を使用したが、これに換えて、リザーバタンク12(或いは、ラジエータタンク24)内にシリンダ機構を設置し、シリンダのストローク量で液体を移動するようにしてもよい。
【0029】
また、各実施形態では、車体振動としてアイドル振動の例を示したが、こもり音振動等の他の車体振動に対しても適用できる。
また、上記実施形態では、ラジエータ4の固有振動数を算出するときに、ラジエータ4と一体で振動可能な部品の質量を、(1)式で示すように、ラジエータ4の質量Mと、質量コントロールタンク10内に溜まっている液体の質量mの合計としたが、その他に、質量コントロールタンク10自体の質量や、ファンシュラウド20aの質量等、ラジエータ4と一体で振動する部品の全ての質量を加えるとより良い。
【0030】
また、ラジエータ4を支持する剛性をインシュレータ8の剛性としたが、その他にラジエータ4に接続している弾性体、例えば連通管22等がある場合には、その剛性もラジエータを支持する剛性に加える。
また、前記ラジエータタンク24は、独立したタンクをラジエータ4に固定してもよいし、ファンシュラウド20aと一体で成形したタンクとして、ファンシュラウド20aをラジエータ4に固定してもよい。また、ラジエータ4と一体成形したタンクであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る第1実施形態の車体振動の制振装置を示す概略図である。
【図2】第1実施形態の車体振動の制振装置を構成する質量コントロールタンクのエンジンルーム内における配置位置を示す平面視である。
【図3】本発明と従来の装置においてエンジン回転数の変化と車体に伝達される振動加速度レベルの変化について示したものである。
【図4】本発明と従来の装置との消費電力の比較を示したものである。
【図5】本発明に係る第2実施形態の車体振動の制振装置を示す概略図である。
【図6】本発明に係る第3実施形態の車体振動の制振装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0032】
2 エンジン
4 ラジエータ
6 車体
8 インシュレータ(弾性部材)
10 質量コントロールタンク
12 リザーバタンク
14 液体ポンプ(液体移動手段)
15 制御電源部
16 振動検出センサ(車体振動検出手段)
18 コントローラ
18a 質量算出部
18b ポンプ制御部
18c 通電制御部
20 ラジエータファン
20a ファンシュラウド
22 連通管
24 ラジエータタンク(リザーバタンク)
26 エンジン回転センサ(車体振動検出手段)
28 錘
f 振動系の固有振動数
k 弾性体の剛性
M ラジエータの質量
m 質量コントロールタンク内の液体の質量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジエータを車体に弾性支持する弾性部材と、前記ラジエータとで一体で振動可能で、内部に溜めた液体が出入り可能な質量コントロールタンクと、この質量コントロールタンクに溜めた前記液体の質量が変化するように前記液体の移動を行う液体移動手段と、前記車体の振動周波数を検出する車体振動検出手段と、この車体振動検出手段の検出結果に基づいて前記液体移動手段の駆動制御を行うコントローラとを備えた車体振動の制振装置であって、
前記ラジエータの質量と、前記ラジエータと一体で振動可能な部品の質量と、前記弾性部材の剛性とで振動系を構成し、
前記コントローラは、前記振動系の固有振動数が前記車体振動検出手段で検出した前記車体の振動周波数と一致するように、前記質量コントロールタンク内の液体の質量を前記液体移動手段で制御することを特徴とする車体振動の制振装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記車体振動検出手段が低周波振動を検知したときに、前記質量コントロールタンク内の液体が最大容量となるように前記液体移動手段の駆動制御を行うことを特徴とする請求項1記載の車体振動の制振装置。
【請求項3】
前記液体移動手段は電気駆動式液体移動手段であり、前記コントローラは、電気駆動式液体移動手段が前記液体の移動を行うときのみ、該電気駆動式液体移動手段への通電を開始することを特徴とする請求項1又は2記載の車体振動の制振装置。
【請求項4】
前記車体振動検出手段は、エンジン回転センサであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車体振動の制振装置。
【請求項5】
前記ラジエータと一体に振動せず、前記ラジエータとは異なる位置に設置されて前記質量コントロールタンクに連通しているリザーバタンクを備え、
前記液体移動手段は、前記質量コントロールタンクと前記リザーバタンクとの間で、前記液体の移動を行うことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の車体振動の制振装置。
【請求項6】
前記液体は、ラジエータ液であることを特徴とする請求項5に記載の車体振動の制振装置。
【請求項7】
前記質量コントロールタンクは、ラジエータファンの外周に位置するように環状に形成して前記ラジエータに一体化したことを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の車体振動の制振装置。
【請求項8】
前記ラジエータに、前記質量コントロールタンクとともに錘を固定したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の車体振動の制振装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−2843(P2006−2843A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179793(P2004−179793)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】