説明

車載ナビゲーション装置

【課題】車両が探索経路から逸脱した場合に、その逸脱した地点に関する情報を、ユーザーに負担をかけることなく容易に確認することができるようにする。
【解決手段】車両が探索経路から逸脱した場合、その逸脱地点に関する情報として、例えば、逸脱した日時、当該地点の座標データ、マップコード、住所、交差点名、又は、当該地点の地図画像をメモリに記憶する(ステップS14)。その後、ユーザーによって出力スイッチの操作があったときは、記憶した逸脱地点に関する情報を表示装置10に表示する(ステップS21)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両を所定の目的地に誘導案内する車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載ナビゲーションは、基本的に、車両が走行中は表示画面に現在地周辺の地図を表示する。ここで、所定の地点に関する情報を、その画面に表示されている地図に対応付けて出力する技術に関して、以下の2つの技術がある。
【0003】
一つ目の技術(特許文献1)は、車載ナビゲーション装置にデジタルカメラを接続し、そのデジタルカメラで施設等を撮影した場合、この画像データをそれが撮影された場所に対応付けて記憶する。そして、この撮影場所を含む地図を画面に表示するときは、あわせてこの場所に対応する画像データも表示するというものである。
【0004】
また、二つ目の技術(特許文献2)は、DVDドライブなどからユーザーの好みの画像を車載ナビゲーション内に取り込み、この取り込んだ画像を画面に表示されている地図のユーザーが所望する位置に重ねて表示できるようにしたものである。このように上記二つの技術はどちらも所定の情報(画像データ)を地図データに対応付けて出力するというものである。
【特許文献1】特開平9−139906号公報
【特許文献2】特開2003−269981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ユーザーは、通常、所定の目的地に行く際には、車載ナビゲーション装置によって最適経路を探索させ、この探索経路に従って車両を運転する。しかしながら、道路が何本も交差している地点やユーザーの不注意等により、その探索経路から誤って逸脱してしまうことが多々ある。この場合、通常、車載ナビゲーション装置が自動で経路を再探索するので、目的地に到達できないという事態は避けることができるものの、結果的には遠回りをしてしまい、そのために不快な思いをしたり、また燃料代等の余分な費用もかかってしまうことが起こり得る。ユーザーは、この不快な思いを解消するために、または再び同じ過ちを起こさないようにするために、事後的に探索経路から逸脱した地点に関する情報を知りたいと思うことが想定される。しかし、従来の車載ナビゲーション装置では、探索経路から逸脱した際には、逸脱した旨は報知されるものの、その地点に関する情報は積極的には報知されず、また事後的にどこで逸脱したかについては、逸脱時にユーザーがその地点名等をメモしておかない限りは知る術がない。
【0006】
上記問題点に関して、特許文献1の技術を用いれば、経路から逸脱した際にその地点の風景等を撮影しておくことにより、どこで逸脱したかを事後的に知ることができる。しかしながら、この方法では、ユーザー自らがカメラのシャッタースイッチを押して撮影しなければいけないので、その操作が煩わしい。また、デジタルカメラを装備しなければいけないので、装置構成も複雑となり、またコストも大きくなる。
【0007】
また、特許文献2の技術を用いれば、DVDドライブなどから画像を取り込み、その画像を地図画面上の逸脱した地点に相当する位置で表示させるようにすることにより、ユーザーは以後どこで逸脱したのかを把握することができる。しかし、これも特許文献1と同様に、ユーザー自らが画像を取りこまなければならないので、ユーザーの操作負担が大きくなる。また、そもそも画像を取りこんで逸脱した地点に対応付ける際に、その逸脱した地点がどこかを認識していなければならない。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、車両が探索経路から逸脱した場合に、その逸脱した地点に関する情報を、ユーザーに負担をかけることなく容易に確認することができる車載ナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1の車載ナビゲーション装置は、車両の現在地を検出する位置検出手段と、地図データを記憶する地図データ記憶手段と、出発地及び目的地を設定する設定手段と、前記地図データ記憶手段が記憶する地図データを用いて、前記設定手段により設定された出発地から目的地に至る最適経路を探索する経路探索手段と、前記経路探索手段が探索した経路に従って前記車両を前記目的地まで案内する案内手段と、前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記車両が前記経路探索手段により探索された経路を走行しているか否かを判定する判定手段と、前記車両が前記経路探索手段により探索された経路から逸脱したことを前記判定手段が判定した場合、当該逸脱した地点に関する情報を記憶する逸脱地点記憶手段と、前記逸脱地点記憶手段が記憶した前記逸脱した地点に関する情報を出力する第1の出力手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
このように、請求項1の車載ナビゲーション装置は、車両が探索経路から逸脱した場合には、その逸脱した地点に関する情報を記憶する。この逸脱した地点に関する情報としては、例えば、逸脱した日時、当該地点の座標データ、マップコード(登録商標、以下は省略する)、住所、交差点名、又は、当該地点の地図画像などがある。そして、これらの情報は、自由に出力して確認することができる。これにより、車両が探索経路から逸脱してしまった場合であっても、事後的にどこで逸脱したのかを確認することができるので、ユーザーの不快な思いを解消できるとともに、以後同じ地点を通ったときに同じ過ちを防ぐことができる。また、これら情報は、ユーザーが特別な操作を行うことなく記憶されるので、ユーザーの操作負担を軽減できる。
【0011】
上記逸脱した地点に関する情報を出力する方法に関して、請求項2の車載ナビゲーション装置は、前記第1の出力手段は、画面を備える表示装置と、第1の操作スイッチとを備え、前記第1の操作スイッチの操作があった場合には、前記画面に前記逸脱した地点に関する情報を表示することを特徴とする。
【0012】
すなわち、これら情報は、スイッチ操作によって、車載ナビゲーション装置に備えられた画面に出力する。例えば、画面上に逸脱した地点の地図を表示して、あわせてその地点の詳細情報(逸脱した日時、座標情報、Mapcode、住所、交差点名等)も表示する。これにより、的確に逸脱した地点を認識することができる。また、逸脱した地点に関する情報が複数ある場合は、例えば、逸脱した日時や住所を一覧表示し、その中からユーザーが選択したものについて拡大地図やその他の詳細情報を表示してもよい。
【0013】
また、請求項3の車載ナビゲーション装置は、前記第1の出力手段は、情報を受信する受信手段と、当該受信手段により受信した情報を出力する第2の出力手段とを備える所定の外部機器に情報を送信する送信手段と、第2の操作スイッチとを備え、前記第2の操作スイッチの操作があった場合には、前記所定の外部機器にて前記逸脱した地点に関する情報を出力させるために、前記送信手段によって、前記逸脱した地点に関する情報を前記外部機器に送信することを特徴とする。
【0014】
外部から情報を受信する機能を有する外部機器としては、例えば、携帯電話や、パソコンなどが考えられる。この外部機器に逸脱した地点に関する情報を送信する方法としては、例えば、通常の電子メールと同様に、送信先である外部機器を、アドレスを入力することによって特定し、外部のサーバーを介してこの外部機器に送信する方法などが考えられる。また、逸脱地点に関する情報が複数ある場合は、必要に応じてどの情報を送信するのかを選択できるようにしてもよい。
【0015】
これにより、ユーザーは、本車載ナビゲーション装置が装備されている車両以外の場所でも逸脱地点に関する情報が確認できる。したがって、車載ナビゲーション装置が装備されていない車両を運転するとき、又は、車載ナビゲーション装置は装備されているが逸脱地点に関する情報は記憶されていない場合においても、再び同じ地点で逸脱してしまうという事態を防ぐことができる。
【0016】
請求項4の車載ナビゲーション装置は、前記第1の出力手段は、前記経路探索手段が探索した経路上に、前記逸脱地点記憶手段により情報が記憶された逸脱地点がある場合には、当該逸脱地点に関する情報を報知することを特徴とする。
【0017】
これにより、以前逸脱した地点を再度走行するときには、この地点情報が報知されるので、ユーザーは、再度同じ地点で探索経路から逸脱してしまうという事態を防ぐことができる。この報知タイミングとしては、誘導案内を開始する際に報知したり、または、車両が以前逸脱した地点に近づいたときに報知する方法などが考えられる。また、この報知方法については、上述と同様に画面に情報を表示したり、また、スピーカーから例えば「この先、以前、探索経路から逸脱した地点があります。気をつけてください。」等を報知して注意を喚起してもよい。
【0018】
請求項5の車載ナビゲーション装置は、前記逸脱地点記憶手段に記憶された前記逸脱した地点に関する情報を消去する消去手段を備えることを特徴とする。
【0019】
例えば、探索経路にしたがって走行している場合であっても、どこかに立ちよる用事ができて、ユーザー自らの意思で探索経路から逸脱することも起こり得る。この場合、ユーザーはこの逸脱した地点を認識しているにもかかわらず、この地点に関する情報を記憶してしまうと、無駄に記憶領域を費やしてしまう。また、不本意に逸脱してしまった場合であっても、一度確認した情報や時間の経過が大きい情報など事後的に不必要になる場合も起こり得る。このようなことを鑑みて、請求項5の車載ナビゲーション装置は、記憶した逸脱地点に関する情報を消去することができる。この消去方法については、ユーザー自らが消去する情報を選択できるようにしたり、また、時間の経過が大きい情報については自動的に消去するようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態における車載ナビゲーション装置100の全体構成を示すブロック図である。同図に示すように車載ナビゲーション装置100は、位置検出器1、地図データ入力器6、操作スイッチ群7、外部メモリ9、表示装置10、音声出力装置11、リモコンセンサ12、リモコン13、及びこれらと接続する制御回路8から構成される。以下各構成部品について説明する。
【0022】
制御回路8は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。ROMには、制御回路8が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が各種演算処理を実行する。なお、このプログラムは、外部メモリ9を介して外部から取得することもできる。特に車両を目的地まで誘導を行う際には、この制御回路8は、後述する地図データ入力器6から読み出した地図データを用いて、目的地に至る最短経路を探索し、この探索経路にしたがって車両を誘導案内する処理を行っている。また、本発明の特徴である、車両が探索経路から逸脱したときにその逸脱地点に関する情報を記憶する処理もこの制御回路8が行う。詳細については、フローチャートを用いて後述する。
【0023】
位置検出器1は、いずれも周知の地磁気センサ2、ジャイロスコープ3、距離センサ4、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機5を有している。これらは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、各センサの精度によっては位置検出器1を上述した一部で構成してもよく、更に、図示しないステアリングの回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。この位置検出器1により、車両の現在地が検出され、制御回路8は、車両が経路探索された経路のどの位置を走行しているのかを認識でき、また車両がその経路に沿って走行しているか否かを判定することができる。
【0024】
地図データ入力器6は、道路データ、背景データ、目印データ等を含む各種データを入力するための装置である。各種データを記憶する記憶媒体としては、CD−ROMやDVD−ROM等の再生専用の記憶媒体の他、メモリカードやハードディスク等の書き込み可能な記憶媒体を用いることもできる。
【0025】
道路データは、リンクデータとノードデータによって構成される。このリンクとは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する点等の複数のノードにて分割し、それぞれのノード間をリンクとして規定したものであり、各リンクを接続することにより道路が構成される。リンクデータは、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端及び終端ノード座標(緯度・経度)、道路名称、道路種別、道路幅員、車線数、右折・左折専用車線の有無とその専用車線の数、及び制限速度等の各データから構成される。
【0026】
一方、ノードデータは、地図上の各道路が交差、合流、分岐するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標、ノード名称、ノードに接続するリンクのリンクIDが記述される接続リンクID、交差点種類等の各データから構成される。
【0027】
出発地から目的地に至る経路を探索する際には、これら各リンク及びノードごとに通過しやすさを示す通過コストが算出される。この通過コストは、各リンクの特性(リンク長、道路種、道路幅等)及び各ノードにおける直進、右左折の種別に応じて算出される。そして、出発地から目的地までの任意の経路に対して、各経路を構成する各リンク及び各ノードの通過コストの加算値が最小となる経路がダイクストラ法などの経路探索手法などを用いて探索される。
【0028】
また、この地図データは、所定の範囲ごとに分割されており、分割された各領域それぞれにはマップコードという位置を数値化したものが割り当てられている。このマップコードを利用することにより、例えばユーザーが所望する場所を容易にかつ正確に検索することができる。
【0029】
操作スイッチ群7は、例えば、後述する表示装置10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、経路探索の際の出発地及び目的地の設定等各種入力に使用される。本実施形態では、車両が探索経路から逸脱したときのその逸脱地点に関する情報を記憶することになるが、この記憶した情報を後述する表示装置10に出力するように指示するスイッチが、この操作スイッチ群7に含まれている。
【0030】
表示装置10は、例えば液晶ディスプレイによって構成され、表示装置10の画面には位置検出器1により検出された車両の現在位置に対応する自車位置マークと、地図データ入力器6より入力された道路データ、背景データ、目印データ等によって生成される車両周辺の道路地図を表示することができる。また、操作スイッチ群7や後述するリモコン13等の操作により、道路地図を所定の縮尺に変更して表示したり、道路地図をスクロールして表示したりすることも可能である。さらに本実施形態では、操作スイッチ群7やリモコン13等から出発地、目的地を入力すると、上述の地図データを用いて、出発地から目的地に至る任意の経路に対して、コストの合計が最小の経路を自動的に探索して案内経路を計算して表示装置10へ表示する。また、本発明の特徴である、車両が探索経路から逸脱した場合におけるこの逸脱地点に関する情報は、この表示装置10に出力される。
【0031】
音声出力装置11は、例えばスピーカーで構成され、経路案内時に行う音声案内等の各種情報を音声で報知する装置である。
【0032】
リモコン13は、例えば各種機能を備えた多機能リモコンであり、リモコンセンサ12を介して、車載ナビゲーション装置100に各種ナビゲーション動作の開始や終了を指示する。なお、この指示に関しては、操作スイッチ群7によって行ってもよい。
【0033】
以下、制御回路8が行う、車両が探索経路から逸脱した場合に、その逸脱地点に関する情報を記憶する処理について図2のフローチャートを用いて説明する。
【0034】
先ず、前提として、出発地、及び目的地がユーザーによって入力されたとする。なお、目的地のみが設定された場合には、出発地は、位置検出器1によって検出された車両の現在地としてもよい。また、これら目的地等の設定については、上述した操作スイッチ群7又はリモコン13によって設定する。
【0035】
そして、ステップS10において、設定された出発地から目的地に至る最適な経路を探索する処理を行う。具体的には、上述したように、制御回路8は、地図データ入力器6から地図データを読み出し、その地図データを構成するリンクデータ及びノードデータのそれぞれに通過しやすさを示すコストを算出する。そして、目的地までの経路を構成するリンク及びノードに付されたコストの合計が最小となるような経路をダイクストラ法などの探索アルゴリズムを用いて探索する。
【0036】
ステップS11において、車両がステップS10にて探索した経路にしたがって走行するように経路案内を行う。具体的には、例えば、表示装置10に探索経路及び位置検出器1に基づいて算出した車両の現在地を表示したり、また音声出力装置11から「この先の交差点を右折してください。」等の音声を出力させて車両を誘導する。
【0037】
ステップS12において、車両が目的地に到着したか否かを判定する。これは、位置検出器1に基づいて算出した車両の現在地が、設定した目的地上にあるか否かによって判定する。ここで、車両が目的地に到着したと判定したときは(肯定判定)、経路案内処理を終了する。一方、未だ目的地に到着してないと判定したときは(否定判定)、ステップS13に処理を進める。
【0038】
ステップS13において、位置検出器1からの検出結果に基づいて、車両が探索経路から逸脱していないかを確認する。ここで、車両が探索経路から逸脱していないと判定したときは(否定判定)、ステップS11に戻り経路案内をそのまま継続する。一方、車両が探索経路から逸脱したと判定したときは(肯定判定)、ステップS14において、逸脱した地点に関する情報を制御回路8内のメモリに記憶する。ここで記憶する情報には、例えば、逸脱した日時、当該地点の座標データ、マップコード、住所、交差点名、又は、当該地点の地図画像などがある。
【0039】
また、当初の探索経路から車両は逸脱しているので、ステップS15において、目的地に至る経路を再度探索する。この際、音声出力装置11により「経路を再探索します。」等の音声を出力させてもよい。これにより、ユーザーは、車両が探索経路から逸脱したことを把握することができ、必要であるならばその逸脱地点の詳細情報を確認することができる。この確認方法につていは、フローチャートを用いて後述する。その後、再びステップS11へ戻って目的地に到達するまで上述の処理を繰り返す。
【0040】
次に、ステップS14において記憶した逸脱地点に関する情報を出力する処理について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0041】
ステップS20において、操作スイッチ群7の中の逸脱地点に関する情報を出力するスイッチがユーザーによって操作されたか否かを判定する。ここで、このスイッチが操作されていなと判定したときは(否定判定)、以下の処理を行わない。一方、出力スイッチが押されたと判定したときは(肯定判定)、ステップS21において、制御回路8内のメモリに記憶されている逸脱地点に関する情報を表示装置10に表示する。この表示方法については、どのように表示してもよいが、例えば、地図上に逸脱地点を目立つように表示する。そして、ユーザーが画面の逸脱地点に相当する位置をタッチした場合には、その逸脱地点周辺の地図を拡大表示するとともに、その逸脱地点の詳細情報(例えば、逸脱した日時、当該地点の座標データ、マップコード、住所、交差点名)を文字表示する。これにより、ユーザーは、どこで逸脱したかを認識することができるので、逸脱したことによる不快感を解消することができるとともに、再び同じ経路を走行するときに、同じ過ちを防ぐことができる。また、ユーザーにとっては、特別な操作をすることなくこれらの情報を得ることができるので、特段負担となることはない。
【0042】
以上、本実施形態における車載ナビゲーション装置100では、車両が探索経路から逸脱した場合には、その逸脱地点に関する情報を自動で記憶する。そして、この情報は、出力スイッチの操作によって自由にいつでも画面に表示させて確認することができる。これにより、逸脱したことによる不快感を解消することができる。また、再び同じ経路を走行するときに、この逸脱地点に関する情報を確認することで、同じ過ちを防ぐことができる。
【0043】
(変形例1)
上述した実施形態においては、車両が探索経路から逸脱した場合には、一律にその逸脱地点に関する情報を記憶している。しかし、例えば、当初の計画とずれて、どこかに立ち寄る用事が生じる場合などのように、ユーザー自らの意思で探索経路から逸脱することあり得る。この場合、ユーザーはこの逸脱した地点を認識しているにもかかわらず、この地点に関する情報を記憶してしまうと、無駄に記憶領域を費やしてしまう。また、一度確認した情報や時間の経過が大きい情報など、ユーザー自らの意思によらない逸脱であったとしても事後的に不必要になる場合もあり得る。このようなことを鑑みて、記憶した逸脱地点に関する情報を消去できるようにしてもよい。この消去方法については、例えば、消去スイッチを設け、ユーザーからそのスイッチ操作があった場合には、表示装置10に記憶されている逸脱地点に関する情報の一覧(例えば、地点の住所の一覧)を表示する。そして、これらの一覧の中から、一つ又は複数を選択できるようにし、そこで選択された地点情報を消去するようにする。また、時間の経過が大きい情報については自動的に消去するようにしてもよい。これにより、記憶領域を無駄に費やすことを防ぐことができる。
【0044】
(変形例2)
上述の実施形態においては、記憶した逸脱地点に関する情報は、ユーザーからのスイッチ操作によって、表示装置10に表示している(ステップS20、S21)。これにより、再び同じ経路を走行するときには、ユーザーはスイッチ操作をして、以前に逸脱した地点を確認することによって、同じ地点で逸脱するのを防ぐことができる。しかし、今回走行しようとする経路中に以前に逸脱した地点があることが明らかな場合はよいが、明らかでない場合にこのような確認操作をすることは、煩わしいと考える人もいると予想される。このような観点から、探索経路中に、以前に逸脱した地点がある場合は、自動で報知するようにしてもよい。このときの制御回路8が行う処理を図4のフローチャートを用いて説明する。
【0045】
先ず、ユーザーから目的地が設定されたときには、ステップS30において、上述のステップS10と同様に、この目的地に至る最適経路を探索する。そして、ステップS31において、制御回路8内の逸脱地点に関する情報が記憶されているメモリを参照し、探索経路中に以前に逸脱した地点があるか否かを確認する。ここで、探索経路中に以前に逸脱した地点がないと判定したときは(否定判定)、このフローを抜け、通常の経路案内を開始する。一方、探索経路中に以前に逸脱した地点があると判定したときは(肯定判定)、ステップS32において、その逸脱した地点に関する情報を報知する。この報知方法については、どのように報知をしてもよいが、例えば、音声出力装置11や表示装置10に「以前、探索経路から逸脱した地点があります」等を出力させる。そして、表示装置10に表示されている地図上に、以前に逸脱した地点を目立つように表示する。その後、ユーザーが画面の逸脱地点に相当する位置をタッチした場合には、その逸脱地点周辺の地図を拡大表示するとともに、その逸脱地点の詳細情報(例えば、逸脱した日時、当該地点の座標データ、マップコード、住所、交差点名)を文字表示する。また、車両が以前逸脱した地点に近づいたときに自動でこれらの情報を報知するようにしてもよい。
【0046】
(第2実施例)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0047】
上述した第1実施形態においては、記憶した逸脱地点に関する情報を、表示装置10又は音声出力装置11によって出力している。本実施形態では、記憶した逸脱地点に関する情報を、さらに所定の外部機器に送信できるようにしたものである。これは、この外部機器にて逸脱地点に関する情報を確認することにより、車載ナビゲーション装置が装備されていない車両を運転するとき、又は、車載ナビゲーション装置は装備されているが逸脱地点に関する情報は記憶されていない場合においても、再び同じ地点で逸脱してしまうという事態を防ぐことができるようにしたものである。
【0048】
図5は、本実施形態における車載ナビゲーション装置200の全体構成を示すブロック図及び逸脱地点に関する情報の送信先である外部機器30及び、車載ナビゲーション装置200から送信された逸脱地点に関する情報を受信し、これを外部機器30に送信するサーバー20を示すブロック図である。なお、第1実施形態における車載ナビゲーション装置100と同じ構成部は同じ符号を付している。
【0049】
図5に示すように、本実施形態の車載ナビゲーション200は、制御回路8に通信装置14が接続されており、他の構成は第1実施形態と同じである。以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0050】
本実施形態においては、記憶した逸脱地点に関する情報を外部機器30に送信することを指示する、外部出力スイッチが操作スイッチ群7に設けられている。ユーザーからこの外部出力スイッチの操作があったときは、制御回路8は、記憶されている逸脱地点に関する情報を外部機器30に送信する処理を行う。詳細は、フローチャートを用いて後述する。
【0051】
通信装置14は、制御回路8から送られてきた逸脱地点に関する情報を、所定の周波数の電波に変換し、外部に送信する装置である。なお、車載ナビゲーション装置200のその他の構成部の役割については、第1実施形態と同じなので説明は省略する。
【0052】
サーバー20は、通信装置14から発信された電波を受信し、それを外部機器30に送信するものである。
【0053】
外部機器30は、サーバー20から送信される電波を受信してそれを元の情報(逸脱地点に関する情報)に復調する通信部を備えている。また、外部機器30は、表示画面を備えており、復調した逸脱地点に関する情報を、この表示画面に出力できるようになっている。この外部機器30としては、例えば、携帯電話や通信機能を備えたパソコンなどが挙げられる。
【0054】
以下、制御回路8が行う、記憶されている逸脱地点に関する情報を所定の外部機器30に送信する処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0055】
先ず、前提として、逸脱地点に関する情報が上述の図2に示す処理を経て制御回路8内のメモリに記憶されているとする。ステップS40において、操作スイッチ群7の中の逸脱地点に関する情報を外部に送信する外部出力スイッチがユーザーによって操作されたか否かを判定する。ここで、このスイッチが操作されていなと判定したときは(否定判定)、以下の処理を行わない。一方、外部出力スイッチがユーザーによって操作されたと判定したときは(肯定判定)、ステップS41において、どの情報を送信するかを決定する処理を行う。具体的には、例えば、表示装置10に、記憶されている逸脱地点に関する情報の一覧(逸脱した日時、逸脱した地点の住所の一覧など)を表示し、あわせて、「外部に送信する情報を選択してください。」等を表示装置10や音声出力装置11にて報知する。そして、ユーザーによる表示装置10へのタッチ操作、又は、リモコン13操作に基づいて、送信すべき情報を決定する。
【0056】
次に、ステップS42において、送信先を決定する処理を行う。具体的には、例えば、「送信先アドレスを入力してください。」等を表示装置10や音声出力装置11にて報知する。そして、ユーザーによる表示装置10へのタッチ操作、又はリモコン13操作に基づいて、送信先を決定する。
【0057】
ステップS43において、ステップS41にて決定した逸脱地点に関する情報を、ステップS42にて決定した送信先に送信する処理を行う。具体的には、逸脱地点に関する情報が記憶されているメモリから送信する情報を読み出す。そして、この情報に送信先アドレスを加えて、通信装置14に送る。通信装置14は、制御回路8から送られてきた情報を所定の電波に変換して外部に発信する。
【0058】
その後、サーバー20は、通信装置14から発信された情報を受信し、この情報を送信先アドレスに対応する外部機器30に送信する。そして、最終的に外部機器30は、サーバー20から送信された情報を受信する。この外部機器30のユーザーは必要に応じて逸脱地点に関する情報を画面に表示して確認することができる。
【0059】
以上、本実施形態の車載ナビゲーション装置200は、記憶した逸脱地点に関する情報を所定の外部機器30に送信することができる。この外部機器30にて逸脱地点に関する情報を確認することにより、車載ナビゲーション装置が装備されていない車両を運転するとき、又は、車載ナビゲーション装置は装備されているが逸脱地点に関する情報は記憶されていない場合においても、再び同じ地点で逸脱してしまうという事態を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1実施形態に係る、車載ナビゲーション装置100の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る、制御回路8が行う、車両が探索経路から逸脱した場合に、その逸脱地点に関する情報を記憶する処理を示すフローチャートである。
【図3】第1実施形態に係る、制御回路8が行う、記憶した逸脱地点に関する情報を出力する処理を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態の変形例2に係る、制御回路8が行う、記憶した逸脱地点に関する情報を、再度この逸脱地点を走行する際に報知する処理を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態に係る、車載ナビゲーション装置200の全体構成を示すブロック図である。
【図6】第2実施形態に係る、制御回路8が行う、記憶されている逸脱地点に関する情報を所定の外部機器30に送信する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0061】
100、200 車載ナビゲーション装置
1 位置検出器
2 地磁気センサ
3 ジャイロスコープ
4 距離センサ
5 GPS受信機
6 地図データ入力器
7 操作スイッチ群
8 制御回路
9 外部メモリ
10 表示装置
11 音声出力装置
12 リモコンセンサ
13 リモコン
14 通信装置
20 サーバー
30 外部機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在地を検出する位置検出手段と、
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
出発地及び目的地を設定する設定手段と、
前記地図データ記憶手段が記憶する地図データを用いて、前記設定手段により設定された出発地から目的地に至る最適経路を探索する経路探索手段と、
前記経路探索手段が探索した経路に従って前記車両を前記目的地まで案内する案内手段と、
前記位置検出手段の検出結果に基づいて、前記車両が前記経路探索手段により探索された経路を走行しているか否かを判定する判定手段と、
前記車両が前記経路探索手段により探索された経路から逸脱したことを前記判定手段が判定した場合、当該逸脱した地点に関する情報を記憶する逸脱地点記憶手段と、
前記逸脱地点記憶手段が記憶した前記逸脱した地点に関する情報を出力する第1の出力手段とを備えることを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記第1の出力手段は、
画面を備える表示装置と、
第1の操作スイッチとを備え、
前記第1の操作スイッチの操作があった場合には、前記画面に前記逸脱した地点に関する情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記第1の出力手段は、
情報を受信する受信手段と、当該受信手段により受信した情報を出力する第2の出力手段とを備える所定の外部機器に情報を送信する送信手段と、
第2の操作スイッチとを備え、
前記第2の操作スイッチの操作があった場合には、前記所定の外部機器にて前記逸脱した地点に関する情報を出力させるために、前記送信手段によって、前記逸脱した地点に関する情報を前記外部機器に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記第1の出力手段は、前記経路探索手段が探索した経路上に、前記逸脱地点記憶手段により情報が記憶された逸脱地点がある場合には、当該逸脱地点に関する情報を報知することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記逸脱地点記憶手段に記憶された前記逸脱した地点に関する情報を消去する消去手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車載ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−170906(P2006−170906A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366488(P2004−366488)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】