車載機器遠隔制御装置
【課題】遠隔で解錠操作してから乗車するまでの間に他人が車両に侵入してしまうことがないように、利便性を損なうことなくセキュリティ性を向上させた車載機器遠隔制御装置を得る。
【解決手段】車載機10は、携帯機から解錠の遠隔操作信号を受信したとき、携帯機に質問信号の送信を開始し、携帯機から質問信号に応答した応答信号を受信することにより、ドアロック部36の解錠を制御するようにし、携帯機から遠隔でドアアンロック操作してから、乗車するまでの間に他人が車両に侵入してしまうことを防ぐことができる。
【解決手段】車載機10は、携帯機から解錠の遠隔操作信号を受信したとき、携帯機に質問信号の送信を開始し、携帯機から質問信号に応答した応答信号を受信することにより、ドアロック部36の解錠を制御するようにし、携帯機から遠隔でドアアンロック操作してから、乗車するまでの間に他人が車両に侵入してしまうことを防ぐことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯機との通信によるコード照合を行って照合結果に基づき車載機器の制御を行う車載機器遠隔制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯機の操作部を操作して車両のドアの施錠/解錠を行う遠隔操作機能に加えて、前記操作部を操作することなく、車両側からの送信要求信号に対して返送コード信号を返送し、コードを照合することにより、ドアの施錠/解錠を行うスマートエントリシステムがある。例えば特許文献1には、第1の受信手段で呼出信号が受信されると、応答信号を送信する第1の送信手段を備えた携帯無線装置と、第2の送信手段から所定の時間間隔で送信された呼出信号を受信して送信された応答信号が第2の受信手段で受信されると、車両のドアを解錠するための信号を出力し、応答信号が受信されなければ、所定時間経過後に車両のドアを施錠するための信号を出力する制御手段とを備えた車両無線装置とから構成されたシステムが記載されている。
【0003】
また、従来より、車両側からの送信要求信号に対して、返送コード信号を返送し、コードを照合することにより、ステアリングロック機構の解錠とエンジン始動禁止装置の解除を行い、機械的キーを使用しないエンジン始動操作を可能にしたスマートスタートシステムがある。例えば特許文献2には、携帯無線機に呼出信号を送信して、携帯無線機からの暗証コード信号を受信し、内部コードと照合し一致したときには、ステアリングロック機構の解錠動作、イグニッションスイッチのスイッチング動作およびアクセサリスイッチのスイッチング動作を各々許可する手段から構成されたシステムが記載されている。
【特許文献1】特開平5−106376号公報
【特許文献2】特開昭63−1765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の二つのシステムを合わせたシステムの名称として以下、スマートエントリ/スタートシステムと称す。
スマートエントリ/スタートシステムでは、利便性とセキュリティ性の両立が課題である。とくに、遠隔操作は、通常数メートルの距離で操作可能なため、ドアアンロック操作してから乗車するまでの間に他人が車両に侵入してしまう危険がある。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、遠隔で解錠操作してから乗車するまでの間に他人が車両に侵入してしまうことがないように、利便性を損なうことなくセキュリティ性を向上させた車載機器遠隔制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる車載機器遠隔制御装置においては、施錠及び解錠を行う車載機器を遠隔操作する遠隔操作信号を送信する携帯機、この携帯機から解錠の遠隔操作信号を受信したとき、携帯機に質問信号の送信を開始し、携帯機から質問信号に応答した応答信号を受信することにより、車載機器の解錠を制御する車載機を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、以下に示すような効果を奏する。
施錠及び解錠を行う車載機器を遠隔操作する遠隔操作信号を送信する携帯機、この携帯機から解錠の遠隔操作信号を受信したとき、携帯機に質問信号の送信を開始し、携帯機から質問信号に応答した応答信号を受信することにより、車載機器の解錠を制御する車載機を備えたので、遠隔で解錠操作してから乗車するまでの間に他人が車両に侵入してしまうことを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載機を示すブロック図である。
図1において、10は車載機である。以下、この車載機10の構成について述べる。
11は車載用の車内送信アンテナで、11aは第1車内送信アンテナ、11bは第2車内送信アンテナである。12は車外用の車外送信アンテナで、12a〜12dは第1〜第4車外送信アンテナである。送信アンテナは、上記のように6つ設けられている。後述する図3に示されるように、車内送信アンテナ11aは、車室内のセンターコンソールに、車内送信アンテナ11bは、後部座席下付近に設置される。一方、車外送信アンテナ12a〜12dは、それぞれ車両(4輪車)の例えばドアの取っ手に設けられている。17は各アンテナが接続された送信部、18は受信アンテナ、19は受信アンテナ18が接続された受信部である。
20は送信部17と受信部19が接続されたECU(電子制御装置)であり、車載機10を制御する。
【0009】
ECU20は、送信部17に送信コードと、車内送信アンテナ11及び車外送信アンテナ12のうちの一つを指定する信号を供給し、この送信コードが変調された周波数例えば134kHzの質問信号が、指定された送信アンテナから携帯機に対して送信される。また、車両には受信アンテナ18が設けられており、この受信アンテナ18で受信された携帯機よりの周波数例えば300MHzの信号は、受信部19で復調されてECU20に供給される。
21はECU20に内蔵されたメモリで、電源が遮断されてもその記憶内容は保持されるEEPROM等の不揮発性メモリによって構成され、メモリ21にはドアロック用の第1質問コードと第3質問コード、エンジン始動用の第2質問コード、トランスポンダ用のIDコード等に対応した互いに異なる複数の暗号キーが格納されている。22はユーザによる各種スイッチ操作を検出する操作検出部で、例えば各アウタドアハンドルに設置された起動スイッチ(質問信号の送信を開始するための信号源である通信開始スイッチ)や、エンジンスタート操作を検出するためのスタートスイッチや、イグニッションスイッチの(始動、イグニッションオン、アクセサリオン、オフそしてロックなどの)位置を検出し、その操作検出信号をECU20に供給する。23は全てのドアの個別の開閉および全てのドアの個別の施錠/解錠状態を検出し、その検出信号をECU20に供給するドア開閉検出部である。24は車速やエンジン運転状態を検出する各種センサからなるセンサ群で、これらの各種センサの検出信号はECU20に供給される。
【0010】
25はドアロック/アンロックをした場合のいわゆるアンサーバックとしての車両のライト点灯やホーン吹鳴を行うアンサーバック装置や、各種警報のためのブザーを発音する警報装置や、状態表示のための表示装置を含む報知部である。
30はECU20に接続されたエンジン制御部で、セルモータを利用してエンジンの始動を制御すると共に、エンジンの駆動停止も制御する。32はステアリングの操作を機械的に禁止する機構を有するステアリングロック部である。34はエンジンへの燃料供給及びイグニッション動作を禁止する機構を有するイモビライザ部、36は全てのドアのロック/アンロックを行う機構を有するドアロック部、38は変速機ギアシフト機構によりパーキングレンジからその他のレンジへの移行を禁止するロック装置によって構成されたシフトロック部で、ECU20からロック解除の許可/不許可の信号が出される。ステアリングロック部32、イモビライザ部34、ドアロック部36、シフトロック部38及び報知部25は、ECU20に接続されている。40はエンジンである。
【0011】
図2は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機を示すブロック図である。
図2において、50は携帯機であり、以下にその構成を説明する。
52は携帯機50のECU、53はECU52に内蔵されたメモリで、このメモリ53には、正規であれば車載機10のメモリ21に格納されているのと同じ、ドアロック用、エンジン始動用の互いに異なる複数の暗号キーが格納されている。54は送信アンテナ、55は送信アンテナ54が接続された送信部、56は受信アンテナ、57は受信アンテナ56が接続された受信部である。送信部55と受信部57はECU52に接続されている。58はECU52に接続された報知部、59はユーザによるスイッチ操作を検出して、ECU52に通知する操作検出部である。
【0012】
受信アンテナ56で受信された車載機10よりの周波数例えば134kHzの質問信号は、受信部57で復調されてECU52に供給される。ECU52は、質問信号に対応した暗号キーをメモリ53から読み出し、質問信号中の質問コードを暗号化して、応答信号を作成し、送信部55に供給し、送信部55で変調された周波数例えば300MHzの信号として送信アンテナ54から車載機10に対して送信される。また、携帯機50は、キーレスエントリ機能としての、ドアのロック/アンロックの遠隔操作をするLOCKキー/UNLOCKキーなどを有し、これらの信号は操作検出部59よりECU52に入力される。
【0013】
図3は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載アンテナと携帯機の通信を示す模式図であり、図3(a)は、携帯機50が車外にある場合、図3(b)は、携帯機50が車内にある場合のものである。
図3において、11a、11b、12a〜12d、18は図1におけるものと、50は図2におけるものと、それぞれ同一のものである。
【0014】
次に、図3を用いて、車載機10の各アンテナと携帯機50との通信について説明する。
携帯機が正規登録機かどうかを確認する方式(相手認証方式)として、例としていわゆるチャレンジ・レスポンス方式(秘密鍵暗号ベース相手認証方式)を説明する。車載機10の各送信アンテナ11、12からは、周波数134kHzの質問信号が送信され、携帯機50はこの質問信号を受信すると、受信した質問信号に応じた暗号キーと質問コード(平文)から作成した応答コード(暗号文)を変調した周波数300MHzの応答信号を返送する。車載機10の受信アンテナ18で受信された周波数300MHzの信号は、受信部19で復調されてECU20に供給され、ECU20は応答信号を受信する。車載機10は、送信した質問コード(平文)に対応した暗号キーで作成した暗号文と、受信した応答コードを照合して、携帯機50が正規登録機であるかどうかを確認する。
車載の各送信アンテナ11、12から携帯機50への通信に、低周波(以下LFと略す)を使用しているのは、携帯機50の位置を確認しやすいように電磁波の内で、その強度が距離の3乗に逆比例する磁界成分を利用するためで、通常通信距離は1m前後である。一方、携帯機50から車載の受信アンテナ18への通信は、UHF帯が使用されていて、これは通常5〜20mの通信距離である。
【0015】
図4は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の通信の信号を示す図である。
図5は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図であり、実施の形態1の基本的動作を示している。
図6は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機のECUが行う制御を示すフローチャートであり、実施の形態1の基本的動作を示している。
【0016】
次に、図5を用いて、車載機のECUが実行する制御について説明する。
ECU20の制御状態は、携帯機50の位置の判断結果によって、状態100(LF通信圏外)、状態160(車外LF通信圏内)、状態180(車内LF通信圏内)、および状態160と状態180の和としての状態140(LF通信圏内)がある。経路(矢印の線)や分岐点(図5の170の白丸印)は制御の状態間の移行途中であって、そこに留まることはない。状態および分岐点間の移行は、経路上に表記されている/の左上の条件(入力)が成立したときにその経路で移行が実行され(以下、その経路で移行が実行されることを「経路が実行され」と表記する)、その経路を移行中に/の右下の項目(出力)が実行される(入力又は出力がない場合は記述なし)。
【0017】
ECU20に内蔵されているマイクロコンピュータ(以下マイコンと略す)のプログラムスタート状態は、状態100より開始する。状態100において、操作検出部22で検出される起動スイッチがオフからオンに変化したら、経路101が実行され、車外アンテナから第1質問信号が送信される。この場合、各アウタドアハンドル付近に取り付けられた、起動スイッチと車外送信アンテナ12a〜12dは対応していて、オフからオンした起動スイッチと同じドアに取り付けられている車外送信アンテナ12から送信される。LF通信圏内に携帯機が位置してその応答コードが正しかった場合、経路102が実行されて、ドアのアンロック出力がされ、状態160に移行する(このとき状態140でもある)。
次に、乗車のためにドアが開閉されると、ドア開閉検出部23により、ドアの開→閉が検出され、経路141が実行され、第2質問信号が第1車内アンテナ11aより送信される。携帯機50からの第2応答信号が正しかった場合、経路161が実行されて、状態180に移行する。
【0018】
状態180では、状態180に入ったときに、ECU20はステアリングロック部32に対してステアリングロック解除信号を出力し、またイモビライザ部34を制御してエンジン40への燃料供給の禁止を解除すると共に、この状態ではイグニッションスイッチも有効になり、イグニッションスイッチを回してエンジン40を始動することもできる。ただし、セキュリティ性確保のためイモビライザ部34がエンジン40への燃料供給の禁止を解除している期間は、状態180入ってから所定時間(例えば5分間)で、その後は失効する。再び有効にするための手段として、例えばイグニッションスイッチを押し込んで回動する機構にして、押し込んだときに信号を出すようにしたスタートスイッチを設けている。スタートスイッチがオンしたら経路141が実行され,第2質問信号が車内送信アンテナ12より送信され、対応する正しい第2応答信号が受信されれば、経路161または経路182が実行され、状態180に入り、ECU20はイモビライザ部34を制御してエンジン40への燃料供給の禁止を解除する。
【0019】
状態180の状態で、ドアが開閉されると、ドア開閉検出部23によりドアの開→閉が検出され、経路141が実行され、第2質問信号が第1車内アンテナ11より送信される。ドア開閉が携帯機所持者の動作の場合のように、携帯機50から正しい第2応答信号を受信した場合は、経路182が実行され、状態は変化しない。一方、携帯機所持者が降車した場合のように、携帯機から正しい第2応答信号を受信できない場合は、経路181が実行され、開閉されたドアに装着された車外送信アンテナから第3質問信号が送信され、状態は状態160に移行する。この経路181移行の実行時に、図5には表記していないが、イグニッションスイッチがロック位置に戻されている場合、ECU20はイモビライザ部34を制御してエンジン40への燃料供給の禁止する。なお、イグニッションスイッチがロック位置になるとステアリングロック機構により機械的にステアリングロックが作動する。
【0020】
状態160では、携帯機から正しい第3応答信号を受信した場合は、経路162が実行され、状態は160で変化しない。一方、携帯機50から正しい第3応答信号を受信しない場合は、経路142が実行され、報知部25によりドアロック忘れの警報を実施し、状態100に移行する。状態160において、携帯機所持者は降車後のドアロックのために、起動スイッチを操作し、操作検出部22で検出される起動スイッチがオフからオンに変化したら、経路143が実行され、起動スイッチに対応する車外アンテナから第1質問信号が送信される。携帯機50から正しい第1応答信号を受信した場合は、経路163が実行され、分岐点170に達し、分岐点170では、全ドアが閉状態でかつイグニッションスイッチがロック位置にあるなら経路171が実行され、ドアロック部36にロック出力すると共に、正しくドアロックされたことを携帯機所持者に知らせるアンサーバック信号を報知部25から出力させる、一方、分岐点170で全ドアが閉状態でないかイグニッションスイッチがロック位置でないなら経路172が実行され、報知部25によりドアが開状態でロックできないという警報を出力させる。いずれの場合も状態100に移行する。
一方、従来のキーレスエントリ機能である、携帯機50からの遠隔操作信号(LOCK信号/UNLOCK信号)を受信した場合は、図5に記載してないが、上記状態とは無関係にドアのロック/アンロックが実施される。
【0021】
前記の第1〜3質問信号と、対応する第1〜3応答信号の構成例を図4に示す。図4(a)は、質問信号の構成で、プリアンブル(例えば16ビット分)、固定長のID情報からなる固定IDコード(例えば20ビット)、質問番号等の情報を含む付加コード、毎回ランダムに生成される平文(例えば32ビット)である質問コード、そして固定IDコードと付加コード(例えば8ビット)と質問コードから生成されるパリティコードから構成される。図4(b)は、応答信号の構成で、プリアンブル、固定長のID情報からなる固定IDコード、質問番号等の情報を含む付加コード、質問番号に対応した暗号キーで受信した質問コードを暗号化した暗号文である応答コード、そして固定IDコードと付加コードと応答コードから生成されるパリティコードから構成される。
【0022】
なお、携帯機50に設けてあるボタンを押すことにより、車両のドアのロック/アンロックを制御するキーレスエントリーを行う場合の遠隔制御信号は、図4(c)に示すように応答コードの代わりにローリングコードを設定する。ローリングコードは、携帯機50が電波を送信する毎にカウントアップされる値であり、車載機10側では前回において携帯機50から受信した所定のコードに含まれるローリングコードを記憶しておき、今回受信した所定のコードに含まれるローリングコードが前回のローリングコードの値から所定の範囲内であるとき、今回のローリングコードは正しいと判別し、受信した所定のコードが特定コードに一致すると判別する。この付加コードには応答信号と遠隔制御信号の識別情報が含まれている。
【0023】
次に、図6のフローチャートに基づき、携帯機50の動作を説明する。
電池交換などでECU52がリセット状態から始まる場合は、START(ステップ500)より始まり、ステップ501でECU52の初期設定を行い、ステップ502の待機になる。
ステップ503で、LOCKキー入力があれば、WAKE UP(ステップ504)して遠隔操作信号であるLOCK信号を送信する(ステップ505)。送信終了後、ステップ502に戻る。ステップ503で、LOCKキー入力がなければ、ステップ506に行く。
ステップ506で、UNLOCKキー入力があれば、WAKE UP(ステップ507)して、遠隔操作信号であるUNLOCK信号を送信する(ステップ508)。送信終了後、ステップ502に戻る。ステップ506でUNLOCKキー入力がなければステップ509に行く。
ステップ509で、車載機からの受信(LF受信)があれば、WAKE UP(ステップ510)して応答信号を送信する(ステップ511)。送信終了後、ステップ502に戻る。ステップ509で質問信号の受信がなければステップ502に行く。
【0024】
このように、起動スイッチ動作またはドアの開→閉のときのみ、それぞれの信号の先頭に固定のIDコードを配置し、車載機が質問コードを含む質問信号の変調信号を送信し、携帯機がこの質問信号が受信されたとき、この応答信号に対応した応答コードを含む応答信号の変調信号を送信し、携帯機が、この応答信号を受信し、そのなかの応答コードと、自身が発信した質問コードとそれに対応する暗号キーから作成した暗号コードとを照合し、正規の携帯機であることを確認する構成としたので、セキュリティ性を保つと共に車載機および携帯機の両方の省電力化を図ることができる。質問、応答の各信号の先頭にある固定IDが自身のIDと一致しないときは、携帯機および車載機とも、低電力消費モードから通常電力消費モードに移行しないようにすれば、より好適なシステムとなる。
上記が、実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の基本動作である。
【0025】
ところで、車両駐車場所と携帯機の置かれた場所が比較的近い場合、携帯機を所持してない他人が起動スイッチを操作することで、ドア・アンロックが作動するという問題がある。これを解決しようとするのが、以下に説明する試験信号(確認信号)によるスマートエントリ機能禁止処理である。
図7は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図であり、スマートエントリ機能禁止処理についてのものである。
図8は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機のECUが行う制御を示すフローチャートであり、スマートエントリ機能禁止処理についてのものである。
【0026】
図7において、車載機の状態は降車してドアロック操作を終了して状態100にある。携帯機所持者が、携帯機50が車載機10とLF通信可能な領域にいるかどうかを確かめたい場合、携帯機50の操作手段例えばドアロックの遠隔制御を指示するための押しボタンスイッチ(操作スイッチ)を操作することで、送信アンテナ54より試験要求信号が送信される。その他は、前述した図5の説明と同じのため省略する。
前記試験要求信号の構成は、例えば図4(c)のような通常の遠隔制御信号であるLOCK信号である。車載機がこの試験要求信号(LOCK信号)を受信すると、経路103が実行され、携帯機の受信状態を確認するための試験信号(確認信号)を車外アンテナ12a〜12dより順次発信する。この試験信号の構成は、例えば図4(a)に示される構成で、付加コードに試験信号であること識別する情報が含まれている構成である。
【0027】
図8において、携帯機のECU52は、ステップ509で、LF受信しWAKE UP(ステップ510)して、ステップ601で禁止フラグがクリアなら、ステップ602で受信信号が質問信号か試験信号かを判断して、試験信号ならステップ603に移行して受信できる状態であることを報知部58で報知する。ステップ601で禁止フラグがセットされている場合は、スマートエントリ機能停止状態ということで、待機モード(ステップ502)に戻る。ステップ603で受信状態を確認した携帯機所持者は、スマートエントリ機能を一時停止させるために、LOCKキーとUNLOCKキーを同時に所定時間以上(この例では5秒以上)オンする。この場合、図8のフローチャートでは、ステップ605でLOCKキーとUNLOCKキーを同時オンを確認しステップ606に移行する。ステップ606で、この両キーが連続して5秒以上押された場合は、ステップ607で禁止フラグをセットする。禁止フラグのクリアは、この例ではUNLOCKキーのみを押した場合実現される、これがステップ604の処理である。図8のその他のステップ(500番代のステップ)は図6と同じであるので省略する。
【0028】
図9は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機のECUが行う別の制御を示すフローチャートであり、スマートエントリ機能禁止処理についてのものである。
図8では、スイッチの特別な操作(ロックとアンロックキーの同時オン)で、禁止フラグをセットしたが、これを自動的に行うようにしたものが図9である。
図9ではステップ602で受信した信号が試験信号の場合、ステップ603で禁止フラグをセットするようにしている。
図8および図9において、この禁止フラグは、アンロックキー操作があった場合で、ステップ604でクリアしているが、フラグセットから所定時間(例えば1時間)経過後クリアしてもよい。また図7において、経路103実行の条件は、単に遠隔信号としているが、特別な組み合わせの遠隔信号としてもよく、例えば、所定時間内(例えば5秒間)に複数のLOCK信号を受信した場合とすると、通常操作と区分できるので好適である。
【0029】
実施の形態1によれば、携帯機からの遠隔操作信号に対して携帯機の受信状態確認のための試験信号を送信する手段と、試験信号を受信できる場合コード照合による作動状態の制御を禁止する手段を設けたので、携帯機の通信領域を確認することができ、必要に応じコード照合による作動状態の制御を禁止することができ、セキュリティ性を向上させることができる。
また、試験要求信号を通常のドアロック信号としたので、試験要求信号送信のための特別な操作キーを増設することなく、かつコードの種類を増やすことなく実行できることと、ドアロック操作とLF受信状態の確認が一つの操作でできるという利便性を向上できる。
【0030】
また、試験信号の受信状態を報知する報知手段を設け、試験信号を受信できる場合に所持者に報知することができるので、所持者の判断でコード照合による作動状態の制御を禁止でき、所持者は、この禁止手段を実施するか、禁止しないで受信できない位置に移動するかの選択ができて、利便性を向上させることができる。
【0031】
実施の形態2.
実施の形態1では、車載機は携帯機からの遠隔操作信号のUNLOCK信号を受信すると、直ちにすべてのドアのアンロック動作を行う。このことは、携帯機所持者が、目的のドアに到達する前に、他人が車内に侵入するという問題がある。これを解決しようとするのが、以下に説明するキーレスエントリとスマートエントリの連携作動である。
【0032】
図10は、この発明の実施の形態2による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図であり、ECU20が実行する連携作動についてのものである。
図10において、状態100にあって、携帯機50より遠隔操作信号のアンロック信号を受信すると、経路194が実施され、以後所定時間(例えば5分間)または状態100でなくなるまで、一定周期で(例えば0.3秒毎に)車外送信アンテナ12より質問信号が送信される。携帯機所持者が、ドアに接近し質問信号を受信できる距離に接近し、応答信号が返信され、照合が成功した場合、直前に送信した車外送信アンテナが設置されているドアのみ、またはそのドアを含む同じ側(右側又は左側)の2つのドア、または全ドアがアンロックされる。その他は、前述した図5の説明と同じのため省略する。
【0033】
実施の形態2によれば、ドアをアンロックする前記遠隔操作信号を受信したとき、質問信号の送信を開始する構成にしたので、携帯機所持者がドアに接近するまでドアがロックされ、セキュリティ性を向上できるとともに、予め遠隔操作信号のアンロック信号を送信しておくことで起動スイッチを操作することなく、ドアのアンロックが実施されて利便性が向上する。しかも、起動スイッチを使用しないで、常時、車載機より質問信号を発信しているシステムに比べて、必要なときのみ周期的に質問信号を送信するので、省電力であるという利点がある。
【0034】
実施の形態3.
実施の形態2では、エンジンをかけたまま車外に出ようとする場合、例えば車室内の子供の不用意な操作による車両の移動を禁止できないのが問題である。これを解決しようとするのが、以下に説明する変速ギアのP(パーキング)位置から他の位置にシフトさせないようにロックしているロック機構の解除不許可設定処理(以下、簡単にシフトロック解除不許可設定処理と表記する)である。
【0035】
図11は、この発明の実施の形態3による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図であり、ECU20が実行する解除不許可設定処理についてのものである。
携帯機所持者が運転席よりエンジンをかけたまま車外に出て、シフトロック解除不許可設定処理を行うために起動スイッチを操作する場合について説明する。
図11において、状態180からスタートし、ドアの開→閉で経路141が実施され、第2質問信号が車内送信アンテナ11より送信されるが、携帯機所持者は車外のため、第2応答信号は受信されない(位置判断手段により携帯機の位置が判断される)ので、経路181が実施され、車外送信アンテナ12より第3質問信号が送信され、状態160に移行する。状態160では、第3応答信号が受信されるので、経路162が実施され、この状態に留まる。
【0036】
やがて、起動スイッチが操作されるので、経路143が実施され、第1質問信号が車外送信アンテナ12より送信され、正しい第1応答信号が受信されると、経路163が実施され、分岐点170に到る。分岐点170において、イグニッションスイッチがロック位置でかつ全ドアが閉扉状態なら経路171が実行され、ドアロックが行われ、状態100に移行する。一方、イグニッションスイッチ位置がロック以外の場合は、エンジンがかかっていると判断(エンジン作動判断手段により、エンジンが作動中と判断される)し、経路172が実行され、変速ギアのシフトロック解除不許可にする(シフトロック解除許可手段によりシフトロック解除不許可にする)と共に警報を発して状態100に移行する。またイグニッションスイッチがロック位置で、かつ全ドアが閉扉状態でないなら、経路173が実行され、警報を出して状態100に移行する。その他は前述した図5の説明と同じのため省略する。
【0037】
実施の形態3によれば、携帯機位置が車室外と判断した場合で、エンジンが作動中と判断した場合、かつ前記起動スイッチが操作された場合、変速機ギアシフトロック解除を不許可とするようにしたので、エンジンをかけたままでも、車両の移動を防止でき、利便性とセキュリティ性を向上することができる。
【0038】
実施の形態4.
実施の形態3では、起動スイッチを操作した場合にシフトロックの解除不許可設定処理を行うようにしているが、起動スイッチを操作しない場合も想定される。起動スイッチを操作しない場合でも、シフトロックの解除不許可設定処理をするようにしたのが実施の形態4である。
【0039】
図12は、この発明の実施の形態4による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図であり、ECU20が実行する解除不許可設定処理についてのものである。
携帯機所持者が運転席よりエンジンをかけたまま車外に出たと判断された場合のシフトロック解除不許可設定処理の説明を行う。
図12において、状態180から始まり、ドアの開→閉で、経路141が実施され、第2質問信号が車内送信アンテナ11より送信されるが、携帯機所持者は車外のため、第2応答信号は受信されない(位置判断手段により携帯機の位置が判断される)ので、経路181が実施されて、車外送信アンテナ12より第3質問信号が送信され、分岐点190に到る。分岐点190でイグニッションスイッチ位置がロック以外の場合は、エンジンがかかっていると判断(エンジン作動判断手段によりエンジン作動中と判断)し、経路191が実施され、変速ギアシフトロック解除不許可処理(シフトロック解除許可手段によりシフトロック解除を不許可にする)を行い、状態160に到る。また、イグニッションスイッチ位置がロックの場合は、何もしない経路192が実施され、状態160に到る。その後は、前述した図5の説明と同じのため省略する。
【0040】
実施の形態4によれば、携帯機位置が車室外と判断した場合で、エンジンが作動中と判断した場合、変速機ギアシフトロック解除を不許可とするようにしたので、エンジンをかけたままでも、車両の移動を防止でき、利便性とセキュリティ性を向上することができる。
【0041】
実施の形態5.
実施の形態4では、携帯機を車内に置いたまま車外に出てしまう場合に、車室内置き忘れ警報ができていないのが問題である。これを解決しようとするのが、以下に説明する実施の形態5の車室内置き忘れ警報処理である。
【0042】
図13は、この発明の実施の形態5による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図であり、ECU20が実行する車室内置き忘れ警報処理についてのものである。
携帯機所持者が、運転席より携帯機を車室内においたまま車外に出た場合に、車室内置き忘れ警報を行う処理の説明をする。
図13において、状態180から始まり、ドアの開→閉(ロック検出手段により検出)で、経路141が実施され、第2質問信号が車内送信アンテナ11より送信されるが、携帯機は車室内のため、第2応答信号は受信され(位置判断手段により携帯機の位置が判断される)、経路186が実施されて、分岐点185に到る。分岐点185では、ドアが開→閉されてから所定時間内(例えば10秒以内)に対応するドアの起動スイッチがオンされたかどうかを検出し、オンされた場合は、携帯機の車室内置き忘れと判断して警報を出し状態180に戻る。また分岐点185で対応するドアの起動スイッチがオンされない場合は、経路187が実施され、なにも出力しないで、状態180に戻る。その他は、前述した図5の説明と同じのため省略する。
【0043】
実施の形態5によれば、携帯機位置が車室内であることを判断し、かつ起動スイッチの操作を検出した場合、携帯機の車室内置き忘れ警報を行うので、セキュリティ性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載機を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載アンテナと携帯機の通信を示す模式図である。
【図4】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の通信の信号を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図である。
【図6】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機のECUが行う制御を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図である。
【図8】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機のECUが行う制御を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機のECUが行う別の制御を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態2による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図である。
【図11】この発明の実施の形態3による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図である。
【図12】この発明の実施の形態4による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図である。
【図13】この発明の実施の形態5による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図である。
【符号の説明】
【0045】
10 車載機、11 車内送信アンテナ、12 車外送信アンテナ、
18 受信アンテナ、19 受信部、20 ECU、21 メモリ、
22 操作検出部、23 ドア開閉検出部、24 センサ群、25 報知部、
30 エンジン制御部、32 ステアリングロック部、
34 イモビライザ部、36 ドアロック部、38 シフトロック部、
40 エンジン、50 携帯機、52 ECU、53 メモリ、
54 送信アンテナ、55 送信部、56 受信アンテナ、57 受信部、
58 報知部、59 操作検出部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯機との通信によるコード照合を行って照合結果に基づき車載機器の制御を行う車載機器遠隔制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯機の操作部を操作して車両のドアの施錠/解錠を行う遠隔操作機能に加えて、前記操作部を操作することなく、車両側からの送信要求信号に対して返送コード信号を返送し、コードを照合することにより、ドアの施錠/解錠を行うスマートエントリシステムがある。例えば特許文献1には、第1の受信手段で呼出信号が受信されると、応答信号を送信する第1の送信手段を備えた携帯無線装置と、第2の送信手段から所定の時間間隔で送信された呼出信号を受信して送信された応答信号が第2の受信手段で受信されると、車両のドアを解錠するための信号を出力し、応答信号が受信されなければ、所定時間経過後に車両のドアを施錠するための信号を出力する制御手段とを備えた車両無線装置とから構成されたシステムが記載されている。
【0003】
また、従来より、車両側からの送信要求信号に対して、返送コード信号を返送し、コードを照合することにより、ステアリングロック機構の解錠とエンジン始動禁止装置の解除を行い、機械的キーを使用しないエンジン始動操作を可能にしたスマートスタートシステムがある。例えば特許文献2には、携帯無線機に呼出信号を送信して、携帯無線機からの暗証コード信号を受信し、内部コードと照合し一致したときには、ステアリングロック機構の解錠動作、イグニッションスイッチのスイッチング動作およびアクセサリスイッチのスイッチング動作を各々許可する手段から構成されたシステムが記載されている。
【特許文献1】特開平5−106376号公報
【特許文献2】特開昭63−1765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の二つのシステムを合わせたシステムの名称として以下、スマートエントリ/スタートシステムと称す。
スマートエントリ/スタートシステムでは、利便性とセキュリティ性の両立が課題である。とくに、遠隔操作は、通常数メートルの距離で操作可能なため、ドアアンロック操作してから乗車するまでの間に他人が車両に侵入してしまう危険がある。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、遠隔で解錠操作してから乗車するまでの間に他人が車両に侵入してしまうことがないように、利便性を損なうことなくセキュリティ性を向上させた車載機器遠隔制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係わる車載機器遠隔制御装置においては、施錠及び解錠を行う車載機器を遠隔操作する遠隔操作信号を送信する携帯機、この携帯機から解錠の遠隔操作信号を受信したとき、携帯機に質問信号の送信を開始し、携帯機から質問信号に応答した応答信号を受信することにより、車載機器の解錠を制御する車載機を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、以下に示すような効果を奏する。
施錠及び解錠を行う車載機器を遠隔操作する遠隔操作信号を送信する携帯機、この携帯機から解錠の遠隔操作信号を受信したとき、携帯機に質問信号の送信を開始し、携帯機から質問信号に応答した応答信号を受信することにより、車載機器の解錠を制御する車載機を備えたので、遠隔で解錠操作してから乗車するまでの間に他人が車両に侵入してしまうことを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載機を示すブロック図である。
図1において、10は車載機である。以下、この車載機10の構成について述べる。
11は車載用の車内送信アンテナで、11aは第1車内送信アンテナ、11bは第2車内送信アンテナである。12は車外用の車外送信アンテナで、12a〜12dは第1〜第4車外送信アンテナである。送信アンテナは、上記のように6つ設けられている。後述する図3に示されるように、車内送信アンテナ11aは、車室内のセンターコンソールに、車内送信アンテナ11bは、後部座席下付近に設置される。一方、車外送信アンテナ12a〜12dは、それぞれ車両(4輪車)の例えばドアの取っ手に設けられている。17は各アンテナが接続された送信部、18は受信アンテナ、19は受信アンテナ18が接続された受信部である。
20は送信部17と受信部19が接続されたECU(電子制御装置)であり、車載機10を制御する。
【0009】
ECU20は、送信部17に送信コードと、車内送信アンテナ11及び車外送信アンテナ12のうちの一つを指定する信号を供給し、この送信コードが変調された周波数例えば134kHzの質問信号が、指定された送信アンテナから携帯機に対して送信される。また、車両には受信アンテナ18が設けられており、この受信アンテナ18で受信された携帯機よりの周波数例えば300MHzの信号は、受信部19で復調されてECU20に供給される。
21はECU20に内蔵されたメモリで、電源が遮断されてもその記憶内容は保持されるEEPROM等の不揮発性メモリによって構成され、メモリ21にはドアロック用の第1質問コードと第3質問コード、エンジン始動用の第2質問コード、トランスポンダ用のIDコード等に対応した互いに異なる複数の暗号キーが格納されている。22はユーザによる各種スイッチ操作を検出する操作検出部で、例えば各アウタドアハンドルに設置された起動スイッチ(質問信号の送信を開始するための信号源である通信開始スイッチ)や、エンジンスタート操作を検出するためのスタートスイッチや、イグニッションスイッチの(始動、イグニッションオン、アクセサリオン、オフそしてロックなどの)位置を検出し、その操作検出信号をECU20に供給する。23は全てのドアの個別の開閉および全てのドアの個別の施錠/解錠状態を検出し、その検出信号をECU20に供給するドア開閉検出部である。24は車速やエンジン運転状態を検出する各種センサからなるセンサ群で、これらの各種センサの検出信号はECU20に供給される。
【0010】
25はドアロック/アンロックをした場合のいわゆるアンサーバックとしての車両のライト点灯やホーン吹鳴を行うアンサーバック装置や、各種警報のためのブザーを発音する警報装置や、状態表示のための表示装置を含む報知部である。
30はECU20に接続されたエンジン制御部で、セルモータを利用してエンジンの始動を制御すると共に、エンジンの駆動停止も制御する。32はステアリングの操作を機械的に禁止する機構を有するステアリングロック部である。34はエンジンへの燃料供給及びイグニッション動作を禁止する機構を有するイモビライザ部、36は全てのドアのロック/アンロックを行う機構を有するドアロック部、38は変速機ギアシフト機構によりパーキングレンジからその他のレンジへの移行を禁止するロック装置によって構成されたシフトロック部で、ECU20からロック解除の許可/不許可の信号が出される。ステアリングロック部32、イモビライザ部34、ドアロック部36、シフトロック部38及び報知部25は、ECU20に接続されている。40はエンジンである。
【0011】
図2は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機を示すブロック図である。
図2において、50は携帯機であり、以下にその構成を説明する。
52は携帯機50のECU、53はECU52に内蔵されたメモリで、このメモリ53には、正規であれば車載機10のメモリ21に格納されているのと同じ、ドアロック用、エンジン始動用の互いに異なる複数の暗号キーが格納されている。54は送信アンテナ、55は送信アンテナ54が接続された送信部、56は受信アンテナ、57は受信アンテナ56が接続された受信部である。送信部55と受信部57はECU52に接続されている。58はECU52に接続された報知部、59はユーザによるスイッチ操作を検出して、ECU52に通知する操作検出部である。
【0012】
受信アンテナ56で受信された車載機10よりの周波数例えば134kHzの質問信号は、受信部57で復調されてECU52に供給される。ECU52は、質問信号に対応した暗号キーをメモリ53から読み出し、質問信号中の質問コードを暗号化して、応答信号を作成し、送信部55に供給し、送信部55で変調された周波数例えば300MHzの信号として送信アンテナ54から車載機10に対して送信される。また、携帯機50は、キーレスエントリ機能としての、ドアのロック/アンロックの遠隔操作をするLOCKキー/UNLOCKキーなどを有し、これらの信号は操作検出部59よりECU52に入力される。
【0013】
図3は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載アンテナと携帯機の通信を示す模式図であり、図3(a)は、携帯機50が車外にある場合、図3(b)は、携帯機50が車内にある場合のものである。
図3において、11a、11b、12a〜12d、18は図1におけるものと、50は図2におけるものと、それぞれ同一のものである。
【0014】
次に、図3を用いて、車載機10の各アンテナと携帯機50との通信について説明する。
携帯機が正規登録機かどうかを確認する方式(相手認証方式)として、例としていわゆるチャレンジ・レスポンス方式(秘密鍵暗号ベース相手認証方式)を説明する。車載機10の各送信アンテナ11、12からは、周波数134kHzの質問信号が送信され、携帯機50はこの質問信号を受信すると、受信した質問信号に応じた暗号キーと質問コード(平文)から作成した応答コード(暗号文)を変調した周波数300MHzの応答信号を返送する。車載機10の受信アンテナ18で受信された周波数300MHzの信号は、受信部19で復調されてECU20に供給され、ECU20は応答信号を受信する。車載機10は、送信した質問コード(平文)に対応した暗号キーで作成した暗号文と、受信した応答コードを照合して、携帯機50が正規登録機であるかどうかを確認する。
車載の各送信アンテナ11、12から携帯機50への通信に、低周波(以下LFと略す)を使用しているのは、携帯機50の位置を確認しやすいように電磁波の内で、その強度が距離の3乗に逆比例する磁界成分を利用するためで、通常通信距離は1m前後である。一方、携帯機50から車載の受信アンテナ18への通信は、UHF帯が使用されていて、これは通常5〜20mの通信距離である。
【0015】
図4は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の通信の信号を示す図である。
図5は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図であり、実施の形態1の基本的動作を示している。
図6は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機のECUが行う制御を示すフローチャートであり、実施の形態1の基本的動作を示している。
【0016】
次に、図5を用いて、車載機のECUが実行する制御について説明する。
ECU20の制御状態は、携帯機50の位置の判断結果によって、状態100(LF通信圏外)、状態160(車外LF通信圏内)、状態180(車内LF通信圏内)、および状態160と状態180の和としての状態140(LF通信圏内)がある。経路(矢印の線)や分岐点(図5の170の白丸印)は制御の状態間の移行途中であって、そこに留まることはない。状態および分岐点間の移行は、経路上に表記されている/の左上の条件(入力)が成立したときにその経路で移行が実行され(以下、その経路で移行が実行されることを「経路が実行され」と表記する)、その経路を移行中に/の右下の項目(出力)が実行される(入力又は出力がない場合は記述なし)。
【0017】
ECU20に内蔵されているマイクロコンピュータ(以下マイコンと略す)のプログラムスタート状態は、状態100より開始する。状態100において、操作検出部22で検出される起動スイッチがオフからオンに変化したら、経路101が実行され、車外アンテナから第1質問信号が送信される。この場合、各アウタドアハンドル付近に取り付けられた、起動スイッチと車外送信アンテナ12a〜12dは対応していて、オフからオンした起動スイッチと同じドアに取り付けられている車外送信アンテナ12から送信される。LF通信圏内に携帯機が位置してその応答コードが正しかった場合、経路102が実行されて、ドアのアンロック出力がされ、状態160に移行する(このとき状態140でもある)。
次に、乗車のためにドアが開閉されると、ドア開閉検出部23により、ドアの開→閉が検出され、経路141が実行され、第2質問信号が第1車内アンテナ11aより送信される。携帯機50からの第2応答信号が正しかった場合、経路161が実行されて、状態180に移行する。
【0018】
状態180では、状態180に入ったときに、ECU20はステアリングロック部32に対してステアリングロック解除信号を出力し、またイモビライザ部34を制御してエンジン40への燃料供給の禁止を解除すると共に、この状態ではイグニッションスイッチも有効になり、イグニッションスイッチを回してエンジン40を始動することもできる。ただし、セキュリティ性確保のためイモビライザ部34がエンジン40への燃料供給の禁止を解除している期間は、状態180入ってから所定時間(例えば5分間)で、その後は失効する。再び有効にするための手段として、例えばイグニッションスイッチを押し込んで回動する機構にして、押し込んだときに信号を出すようにしたスタートスイッチを設けている。スタートスイッチがオンしたら経路141が実行され,第2質問信号が車内送信アンテナ12より送信され、対応する正しい第2応答信号が受信されれば、経路161または経路182が実行され、状態180に入り、ECU20はイモビライザ部34を制御してエンジン40への燃料供給の禁止を解除する。
【0019】
状態180の状態で、ドアが開閉されると、ドア開閉検出部23によりドアの開→閉が検出され、経路141が実行され、第2質問信号が第1車内アンテナ11より送信される。ドア開閉が携帯機所持者の動作の場合のように、携帯機50から正しい第2応答信号を受信した場合は、経路182が実行され、状態は変化しない。一方、携帯機所持者が降車した場合のように、携帯機から正しい第2応答信号を受信できない場合は、経路181が実行され、開閉されたドアに装着された車外送信アンテナから第3質問信号が送信され、状態は状態160に移行する。この経路181移行の実行時に、図5には表記していないが、イグニッションスイッチがロック位置に戻されている場合、ECU20はイモビライザ部34を制御してエンジン40への燃料供給の禁止する。なお、イグニッションスイッチがロック位置になるとステアリングロック機構により機械的にステアリングロックが作動する。
【0020】
状態160では、携帯機から正しい第3応答信号を受信した場合は、経路162が実行され、状態は160で変化しない。一方、携帯機50から正しい第3応答信号を受信しない場合は、経路142が実行され、報知部25によりドアロック忘れの警報を実施し、状態100に移行する。状態160において、携帯機所持者は降車後のドアロックのために、起動スイッチを操作し、操作検出部22で検出される起動スイッチがオフからオンに変化したら、経路143が実行され、起動スイッチに対応する車外アンテナから第1質問信号が送信される。携帯機50から正しい第1応答信号を受信した場合は、経路163が実行され、分岐点170に達し、分岐点170では、全ドアが閉状態でかつイグニッションスイッチがロック位置にあるなら経路171が実行され、ドアロック部36にロック出力すると共に、正しくドアロックされたことを携帯機所持者に知らせるアンサーバック信号を報知部25から出力させる、一方、分岐点170で全ドアが閉状態でないかイグニッションスイッチがロック位置でないなら経路172が実行され、報知部25によりドアが開状態でロックできないという警報を出力させる。いずれの場合も状態100に移行する。
一方、従来のキーレスエントリ機能である、携帯機50からの遠隔操作信号(LOCK信号/UNLOCK信号)を受信した場合は、図5に記載してないが、上記状態とは無関係にドアのロック/アンロックが実施される。
【0021】
前記の第1〜3質問信号と、対応する第1〜3応答信号の構成例を図4に示す。図4(a)は、質問信号の構成で、プリアンブル(例えば16ビット分)、固定長のID情報からなる固定IDコード(例えば20ビット)、質問番号等の情報を含む付加コード、毎回ランダムに生成される平文(例えば32ビット)である質問コード、そして固定IDコードと付加コード(例えば8ビット)と質問コードから生成されるパリティコードから構成される。図4(b)は、応答信号の構成で、プリアンブル、固定長のID情報からなる固定IDコード、質問番号等の情報を含む付加コード、質問番号に対応した暗号キーで受信した質問コードを暗号化した暗号文である応答コード、そして固定IDコードと付加コードと応答コードから生成されるパリティコードから構成される。
【0022】
なお、携帯機50に設けてあるボタンを押すことにより、車両のドアのロック/アンロックを制御するキーレスエントリーを行う場合の遠隔制御信号は、図4(c)に示すように応答コードの代わりにローリングコードを設定する。ローリングコードは、携帯機50が電波を送信する毎にカウントアップされる値であり、車載機10側では前回において携帯機50から受信した所定のコードに含まれるローリングコードを記憶しておき、今回受信した所定のコードに含まれるローリングコードが前回のローリングコードの値から所定の範囲内であるとき、今回のローリングコードは正しいと判別し、受信した所定のコードが特定コードに一致すると判別する。この付加コードには応答信号と遠隔制御信号の識別情報が含まれている。
【0023】
次に、図6のフローチャートに基づき、携帯機50の動作を説明する。
電池交換などでECU52がリセット状態から始まる場合は、START(ステップ500)より始まり、ステップ501でECU52の初期設定を行い、ステップ502の待機になる。
ステップ503で、LOCKキー入力があれば、WAKE UP(ステップ504)して遠隔操作信号であるLOCK信号を送信する(ステップ505)。送信終了後、ステップ502に戻る。ステップ503で、LOCKキー入力がなければ、ステップ506に行く。
ステップ506で、UNLOCKキー入力があれば、WAKE UP(ステップ507)して、遠隔操作信号であるUNLOCK信号を送信する(ステップ508)。送信終了後、ステップ502に戻る。ステップ506でUNLOCKキー入力がなければステップ509に行く。
ステップ509で、車載機からの受信(LF受信)があれば、WAKE UP(ステップ510)して応答信号を送信する(ステップ511)。送信終了後、ステップ502に戻る。ステップ509で質問信号の受信がなければステップ502に行く。
【0024】
このように、起動スイッチ動作またはドアの開→閉のときのみ、それぞれの信号の先頭に固定のIDコードを配置し、車載機が質問コードを含む質問信号の変調信号を送信し、携帯機がこの質問信号が受信されたとき、この応答信号に対応した応答コードを含む応答信号の変調信号を送信し、携帯機が、この応答信号を受信し、そのなかの応答コードと、自身が発信した質問コードとそれに対応する暗号キーから作成した暗号コードとを照合し、正規の携帯機であることを確認する構成としたので、セキュリティ性を保つと共に車載機および携帯機の両方の省電力化を図ることができる。質問、応答の各信号の先頭にある固定IDが自身のIDと一致しないときは、携帯機および車載機とも、低電力消費モードから通常電力消費モードに移行しないようにすれば、より好適なシステムとなる。
上記が、実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の基本動作である。
【0025】
ところで、車両駐車場所と携帯機の置かれた場所が比較的近い場合、携帯機を所持してない他人が起動スイッチを操作することで、ドア・アンロックが作動するという問題がある。これを解決しようとするのが、以下に説明する試験信号(確認信号)によるスマートエントリ機能禁止処理である。
図7は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図であり、スマートエントリ機能禁止処理についてのものである。
図8は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機のECUが行う制御を示すフローチャートであり、スマートエントリ機能禁止処理についてのものである。
【0026】
図7において、車載機の状態は降車してドアロック操作を終了して状態100にある。携帯機所持者が、携帯機50が車載機10とLF通信可能な領域にいるかどうかを確かめたい場合、携帯機50の操作手段例えばドアロックの遠隔制御を指示するための押しボタンスイッチ(操作スイッチ)を操作することで、送信アンテナ54より試験要求信号が送信される。その他は、前述した図5の説明と同じのため省略する。
前記試験要求信号の構成は、例えば図4(c)のような通常の遠隔制御信号であるLOCK信号である。車載機がこの試験要求信号(LOCK信号)を受信すると、経路103が実行され、携帯機の受信状態を確認するための試験信号(確認信号)を車外アンテナ12a〜12dより順次発信する。この試験信号の構成は、例えば図4(a)に示される構成で、付加コードに試験信号であること識別する情報が含まれている構成である。
【0027】
図8において、携帯機のECU52は、ステップ509で、LF受信しWAKE UP(ステップ510)して、ステップ601で禁止フラグがクリアなら、ステップ602で受信信号が質問信号か試験信号かを判断して、試験信号ならステップ603に移行して受信できる状態であることを報知部58で報知する。ステップ601で禁止フラグがセットされている場合は、スマートエントリ機能停止状態ということで、待機モード(ステップ502)に戻る。ステップ603で受信状態を確認した携帯機所持者は、スマートエントリ機能を一時停止させるために、LOCKキーとUNLOCKキーを同時に所定時間以上(この例では5秒以上)オンする。この場合、図8のフローチャートでは、ステップ605でLOCKキーとUNLOCKキーを同時オンを確認しステップ606に移行する。ステップ606で、この両キーが連続して5秒以上押された場合は、ステップ607で禁止フラグをセットする。禁止フラグのクリアは、この例ではUNLOCKキーのみを押した場合実現される、これがステップ604の処理である。図8のその他のステップ(500番代のステップ)は図6と同じであるので省略する。
【0028】
図9は、この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機のECUが行う別の制御を示すフローチャートであり、スマートエントリ機能禁止処理についてのものである。
図8では、スイッチの特別な操作(ロックとアンロックキーの同時オン)で、禁止フラグをセットしたが、これを自動的に行うようにしたものが図9である。
図9ではステップ602で受信した信号が試験信号の場合、ステップ603で禁止フラグをセットするようにしている。
図8および図9において、この禁止フラグは、アンロックキー操作があった場合で、ステップ604でクリアしているが、フラグセットから所定時間(例えば1時間)経過後クリアしてもよい。また図7において、経路103実行の条件は、単に遠隔信号としているが、特別な組み合わせの遠隔信号としてもよく、例えば、所定時間内(例えば5秒間)に複数のLOCK信号を受信した場合とすると、通常操作と区分できるので好適である。
【0029】
実施の形態1によれば、携帯機からの遠隔操作信号に対して携帯機の受信状態確認のための試験信号を送信する手段と、試験信号を受信できる場合コード照合による作動状態の制御を禁止する手段を設けたので、携帯機の通信領域を確認することができ、必要に応じコード照合による作動状態の制御を禁止することができ、セキュリティ性を向上させることができる。
また、試験要求信号を通常のドアロック信号としたので、試験要求信号送信のための特別な操作キーを増設することなく、かつコードの種類を増やすことなく実行できることと、ドアロック操作とLF受信状態の確認が一つの操作でできるという利便性を向上できる。
【0030】
また、試験信号の受信状態を報知する報知手段を設け、試験信号を受信できる場合に所持者に報知することができるので、所持者の判断でコード照合による作動状態の制御を禁止でき、所持者は、この禁止手段を実施するか、禁止しないで受信できない位置に移動するかの選択ができて、利便性を向上させることができる。
【0031】
実施の形態2.
実施の形態1では、車載機は携帯機からの遠隔操作信号のUNLOCK信号を受信すると、直ちにすべてのドアのアンロック動作を行う。このことは、携帯機所持者が、目的のドアに到達する前に、他人が車内に侵入するという問題がある。これを解決しようとするのが、以下に説明するキーレスエントリとスマートエントリの連携作動である。
【0032】
図10は、この発明の実施の形態2による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図であり、ECU20が実行する連携作動についてのものである。
図10において、状態100にあって、携帯機50より遠隔操作信号のアンロック信号を受信すると、経路194が実施され、以後所定時間(例えば5分間)または状態100でなくなるまで、一定周期で(例えば0.3秒毎に)車外送信アンテナ12より質問信号が送信される。携帯機所持者が、ドアに接近し質問信号を受信できる距離に接近し、応答信号が返信され、照合が成功した場合、直前に送信した車外送信アンテナが設置されているドアのみ、またはそのドアを含む同じ側(右側又は左側)の2つのドア、または全ドアがアンロックされる。その他は、前述した図5の説明と同じのため省略する。
【0033】
実施の形態2によれば、ドアをアンロックする前記遠隔操作信号を受信したとき、質問信号の送信を開始する構成にしたので、携帯機所持者がドアに接近するまでドアがロックされ、セキュリティ性を向上できるとともに、予め遠隔操作信号のアンロック信号を送信しておくことで起動スイッチを操作することなく、ドアのアンロックが実施されて利便性が向上する。しかも、起動スイッチを使用しないで、常時、車載機より質問信号を発信しているシステムに比べて、必要なときのみ周期的に質問信号を送信するので、省電力であるという利点がある。
【0034】
実施の形態3.
実施の形態2では、エンジンをかけたまま車外に出ようとする場合、例えば車室内の子供の不用意な操作による車両の移動を禁止できないのが問題である。これを解決しようとするのが、以下に説明する変速ギアのP(パーキング)位置から他の位置にシフトさせないようにロックしているロック機構の解除不許可設定処理(以下、簡単にシフトロック解除不許可設定処理と表記する)である。
【0035】
図11は、この発明の実施の形態3による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図であり、ECU20が実行する解除不許可設定処理についてのものである。
携帯機所持者が運転席よりエンジンをかけたまま車外に出て、シフトロック解除不許可設定処理を行うために起動スイッチを操作する場合について説明する。
図11において、状態180からスタートし、ドアの開→閉で経路141が実施され、第2質問信号が車内送信アンテナ11より送信されるが、携帯機所持者は車外のため、第2応答信号は受信されない(位置判断手段により携帯機の位置が判断される)ので、経路181が実施され、車外送信アンテナ12より第3質問信号が送信され、状態160に移行する。状態160では、第3応答信号が受信されるので、経路162が実施され、この状態に留まる。
【0036】
やがて、起動スイッチが操作されるので、経路143が実施され、第1質問信号が車外送信アンテナ12より送信され、正しい第1応答信号が受信されると、経路163が実施され、分岐点170に到る。分岐点170において、イグニッションスイッチがロック位置でかつ全ドアが閉扉状態なら経路171が実行され、ドアロックが行われ、状態100に移行する。一方、イグニッションスイッチ位置がロック以外の場合は、エンジンがかかっていると判断(エンジン作動判断手段により、エンジンが作動中と判断される)し、経路172が実行され、変速ギアのシフトロック解除不許可にする(シフトロック解除許可手段によりシフトロック解除不許可にする)と共に警報を発して状態100に移行する。またイグニッションスイッチがロック位置で、かつ全ドアが閉扉状態でないなら、経路173が実行され、警報を出して状態100に移行する。その他は前述した図5の説明と同じのため省略する。
【0037】
実施の形態3によれば、携帯機位置が車室外と判断した場合で、エンジンが作動中と判断した場合、かつ前記起動スイッチが操作された場合、変速機ギアシフトロック解除を不許可とするようにしたので、エンジンをかけたままでも、車両の移動を防止でき、利便性とセキュリティ性を向上することができる。
【0038】
実施の形態4.
実施の形態3では、起動スイッチを操作した場合にシフトロックの解除不許可設定処理を行うようにしているが、起動スイッチを操作しない場合も想定される。起動スイッチを操作しない場合でも、シフトロックの解除不許可設定処理をするようにしたのが実施の形態4である。
【0039】
図12は、この発明の実施の形態4による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図であり、ECU20が実行する解除不許可設定処理についてのものである。
携帯機所持者が運転席よりエンジンをかけたまま車外に出たと判断された場合のシフトロック解除不許可設定処理の説明を行う。
図12において、状態180から始まり、ドアの開→閉で、経路141が実施され、第2質問信号が車内送信アンテナ11より送信されるが、携帯機所持者は車外のため、第2応答信号は受信されない(位置判断手段により携帯機の位置が判断される)ので、経路181が実施されて、車外送信アンテナ12より第3質問信号が送信され、分岐点190に到る。分岐点190でイグニッションスイッチ位置がロック以外の場合は、エンジンがかかっていると判断(エンジン作動判断手段によりエンジン作動中と判断)し、経路191が実施され、変速ギアシフトロック解除不許可処理(シフトロック解除許可手段によりシフトロック解除を不許可にする)を行い、状態160に到る。また、イグニッションスイッチ位置がロックの場合は、何もしない経路192が実施され、状態160に到る。その後は、前述した図5の説明と同じのため省略する。
【0040】
実施の形態4によれば、携帯機位置が車室外と判断した場合で、エンジンが作動中と判断した場合、変速機ギアシフトロック解除を不許可とするようにしたので、エンジンをかけたままでも、車両の移動を防止でき、利便性とセキュリティ性を向上することができる。
【0041】
実施の形態5.
実施の形態4では、携帯機を車内に置いたまま車外に出てしまう場合に、車室内置き忘れ警報ができていないのが問題である。これを解決しようとするのが、以下に説明する実施の形態5の車室内置き忘れ警報処理である。
【0042】
図13は、この発明の実施の形態5による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図であり、ECU20が実行する車室内置き忘れ警報処理についてのものである。
携帯機所持者が、運転席より携帯機を車室内においたまま車外に出た場合に、車室内置き忘れ警報を行う処理の説明をする。
図13において、状態180から始まり、ドアの開→閉(ロック検出手段により検出)で、経路141が実施され、第2質問信号が車内送信アンテナ11より送信されるが、携帯機は車室内のため、第2応答信号は受信され(位置判断手段により携帯機の位置が判断される)、経路186が実施されて、分岐点185に到る。分岐点185では、ドアが開→閉されてから所定時間内(例えば10秒以内)に対応するドアの起動スイッチがオンされたかどうかを検出し、オンされた場合は、携帯機の車室内置き忘れと判断して警報を出し状態180に戻る。また分岐点185で対応するドアの起動スイッチがオンされない場合は、経路187が実施され、なにも出力しないで、状態180に戻る。その他は、前述した図5の説明と同じのため省略する。
【0043】
実施の形態5によれば、携帯機位置が車室内であることを判断し、かつ起動スイッチの操作を検出した場合、携帯機の車室内置き忘れ警報を行うので、セキュリティ性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載機を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載アンテナと携帯機の通信を示す模式図である。
【図4】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の通信の信号を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図である。
【図6】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機のECUが行う制御を示すフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図である。
【図8】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機のECUが行う制御を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態1による車載機器遠隔制御装置の携帯機のECUが行う別の制御を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態2による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図である。
【図11】この発明の実施の形態3による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図である。
【図12】この発明の実施の形態4による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図である。
【図13】この発明の実施の形態5による車載機器遠隔制御装置の車載機のECUが行う制御を示す状態遷図である。
【符号の説明】
【0045】
10 車載機、11 車内送信アンテナ、12 車外送信アンテナ、
18 受信アンテナ、19 受信部、20 ECU、21 メモリ、
22 操作検出部、23 ドア開閉検出部、24 センサ群、25 報知部、
30 エンジン制御部、32 ステアリングロック部、
34 イモビライザ部、36 ドアロック部、38 シフトロック部、
40 エンジン、50 携帯機、52 ECU、53 メモリ、
54 送信アンテナ、55 送信部、56 受信アンテナ、57 受信部、
58 報知部、59 操作検出部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施錠及び解錠を行う車載機器を遠隔操作する遠隔操作信号を送信する携帯機、この携帯機から解錠の遠隔操作信号を受信したとき、上記携帯機に質問信号の送信を開始し、上記携帯機から上記質問信号に応答した応答信号を受信することにより、車載機器の解錠を制御する車載機を備えたことを特徴とする車載機器遠隔制御装置。
【請求項1】
施錠及び解錠を行う車載機器を遠隔操作する遠隔操作信号を送信する携帯機、この携帯機から解錠の遠隔操作信号を受信したとき、上記携帯機に質問信号の送信を開始し、上記携帯機から上記質問信号に応答した応答信号を受信することにより、車載機器の解錠を制御する車載機を備えたことを特徴とする車載機器遠隔制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−307638(P2006−307638A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−140440(P2006−140440)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【分割の表示】特願2000−368031(P2000−368031)の分割
【原出願日】平成12年12月4日(2000.12.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【分割の表示】特願2000−368031(P2000−368031)の分割
【原出願日】平成12年12月4日(2000.12.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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