説明

車載潤滑油供給装置

【課題】オイルレベルが過度に高いときにオイルレベルの上昇を抑制することのできる車載潤滑油供給装置を提供する。
【解決手段】この車載潤滑油供給装置は、内燃機関1の対象部位に潤滑油を供給する供給油路21内の圧力を制御するための制御圧力PCを変更する油圧制御機構30と、潤滑油を貯留するオイルパン12のオイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いことを検出するアッパレベルセンサ55とを含む。そして、アッパレベルセンサ55に異常が生じているとき、すなわちオイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いか否かを把握することが困難なとき、制御圧力PCを第1制御圧力PC1よりも大きい第2制御圧力PC2に維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑型車載装置の対象部位に潤滑油を供給する供給油路内の圧力を制御するための制御圧力を変更する圧力制御手段と、潤滑油を貯留する貯留部のオイルレベルが所定の上限レベルよりも高いことを検出するためのオイルレベル検出手段とを含む車載潤滑油供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オイルレベル検出手段を含む車載潤滑油供給装置として、例えば特許文献1に記載の装置が知られている。この潤滑油供給装置では、オイルレベルが所定の上限レベルよりも高いか否かをアッパレベルセンサにより監視し、上限レベルよりも高い旨検出したときには警告灯を点灯する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−121468号公報
【特許文献2】特開2009−115075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オイルパンのオイルレベルが過度に高いとき、クランクシャフトがオイルの液面に接触することに起因してクランクシャフトの回転抵抗が大きくなる等の問題が生じるため、オイルレベルが過度に高いときにはオイルレベルの上昇を抑制することが望ましい。
【0005】
上記従来の潤滑油供給装置を備える内燃機関によれば、オイルレベルが上限レベルよりも高い旨が警告灯を通じて運転者に報知されるため、運転者が警告灯の表示をもとに車両のメンテナンスを実施した場合には、オイルレベルが適正なレベルに戻される。しかし、警告灯が点灯してからメンテナンスが実施されるまでの内燃機関の運転中においては、オイルレベルについて格別の対策はとられていないため、例えばオイルレベルのさらなる上昇に起因してクランクシャフトの回転抵抗が著しく増大する等の問題をまねくことも考えられる。
【0006】
また、アッパレベルセンサに異常が生じているときには、オイルレベルが上限レベルよりも高いことが検出されないため、オイルレベルが上限レベルよりも高いときに、このことが警告灯を通じて運転者に報知されることはない。このため、オイルレベルが上限レベルを超えた状態が長期にわたり継続されるおそれがある。
【0007】
ちなみに、圧縮着火内燃機関においては、例えばポスト噴射の実行にともない燃料希釈が進行することに起因してオイルレベルが過度に高くなる状況が生じる。また、火花点火内燃機関においては、例えば機関暖機完了前に内燃機機関の運転が停止されるいわゆるショートトリップが繰り返されることに起因してオイルレベルが過度に高くなる状況が生じる。
【0008】
なお、対象部位に潤滑油を供給する供給油路内の圧力を制御するための制御圧力を変更する圧力制御手段を含む車載潤滑油供給装置として、特許文献2に記載の装置が知られている。この潤滑油供給装置では、機関運転状態に基づいて制御圧力を低圧側の制御圧力と高圧側の制御圧力とで切り替えているものの、オイルレベルが過度に高いときの制御については特に考慮されていない。このため、同潤滑油供給装置を備える内燃機関においても上述した問題と同様の問題が生じる。
【0009】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、オイルレベルが過度に高い状態のときにオイルレベルの上昇を抑制することのできる車載潤滑油供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、潤滑型車載装置の対象部位に潤滑油を供給する供給油路内の圧力を制御するための制御圧力を変更する圧力制御手段と、潤滑油を貯留する貯留部のオイルレベルが所定の上限レベルよりも高いことを検出するためのオイルレベル検出手段とを含む車載潤滑油供給装置において、前記オイルレベル検出手段の出力に基づいて前記制御圧力を変更することを要旨としている。
【0011】
貯留部に滞留する潤滑油量は制御圧力の大きさに応じて変化する。当該発明では、オイルレベル検出手段の出力に基づいて制御圧力を変更するため、貯留部に滞留する潤滑油量をオイルレベル検出手段の出力に応じて調整することができる。従って、オイルレベルが過度に高い状態のときにオイルレベルの上昇を抑制することができる。
【0012】
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車載潤滑油供給装置において、前記圧力制御手段は、前記制御圧力として低圧制御圧力および高圧制御圧力を有するものであり、前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすとき、前記制御圧力を前記高圧制御圧力に維持することを要旨としている。
【0013】
制御圧力が相対的に大きい制御圧力X1に維持されている場合には、制御圧力が相対的に小さい制御圧力X2に維持されている場合と比較して、潤滑型車載装置から貯留部にリリーフされる潤滑油量が少なくなる。このため、制御圧力X1が選択されているときのオイルレベルの上昇度合いは、制御圧力X2が選択されているときのオイルレベルの上昇度合いよりも小さくなる。
【0014】
この発明では、オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすとき、すなわちオイルレベルが過度に高い状態が継続されるおそれのあるとき、制御圧力を低圧制御圧力よりも大きい高圧制御圧力に維持している。これにより、制御圧力が低圧制御圧力以下の圧力に維持されるときよりもオイルレベルの上昇度合いが小さくなるため、オイルレベルが過度に高い状態のときにオイルレベルの上昇を抑制することができる。
【0015】
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車載潤滑油供給装置において、前記圧力制御手段は、前記制御圧力として低圧制御圧力および高圧制御圧力を有するものであり、前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすとき、前記制御圧力を前記低圧制御圧力にすることを禁止することを要旨としている。
【0016】
この発明では、オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすとき、すなわちオイルレベルが過度に高い状態が継続されるおそれのあるとき、制御圧力を低圧制御圧力にすることを禁止している。これにより、制御圧力が低圧制御圧力以下の圧力に維持されるときよりもオイルレベルの上昇度合いが小さくなるため、オイルレベルが過度に高い状態のときにオイルレベルの上昇を抑制することができる。
【0017】
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の車載潤滑油供給装置において、前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすとき、前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たさないときよりも前記制御圧力を大きくすることを要旨としている。
【0018】
この発明では、オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすとき、すなわちオイルレベルが過度に高い状態が継続されるおそれのあるとき、制御圧力を所定の高圧条件を満たさないときよりも大きい制御圧力に維持している。これにより、制御圧力が所定の高圧条件を満たさないときよりもオイルレベルの上昇度合いが小さくなるため、オイルレベルが過度に高い状態のときにオイルレベルの上昇を抑制することができる。
【0019】
(5)請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の車載潤滑油供給装置において、前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすとき、前記制御圧力の低圧側への変更を禁止することを要旨としている。
【0020】
この発明では、オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすとき、すなわちオイルレベルが過度に高い状態が継続されるおそれのあるとき、制御圧力の低圧側への変更を禁止している。これにより、制御圧力が所定圧力以下の圧力に維持されるときよりもオイルレベルの上昇度合いが小さくなるため、オイルレベルが過度に高い状態のときにオイルレベルの上昇を抑制することができる。
【0021】
(6)請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の車載潤滑油供給装置において、前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすときの状態を状態Aとし、前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たさない状態であるとともにこの点を除いては前記状態Aと同じ条件の状態を状態Bとして、前記状態Aのときには前記制御圧力を低圧側に変更することを禁止し、前記状態Bのときには前記制御圧力を低圧側に変更することを許可することを要旨としている。
【0022】
この発明では、オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たす状態Aのとき、すなわちオイルレベルが過度に高い状態が継続されるおそれのあるとき、制御圧力の低圧側への変更を禁止している。これにより、制御圧力が所定圧力以下の圧力に維持されるときよりもオイルレベルの上昇度合いが小さくなるため、オイルレベルが過度に高い状態のときにオイルレベルの上昇を抑制することができる。
【0023】
(7)請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の車載潤滑油供給装置において、前記潤滑型車載装置の駆動状態について、潤滑油の圧力を相対的に低い圧力に維持することが許容される駆動状態を低圧駆動状態とし、潤滑油の圧力を相対的に高い圧力に維持することが要求される駆動状態を高圧駆動状態とし、前記制御圧力について、相対的に低い制御圧力を低圧制御圧力とし、相対的に高い制御圧力を高圧制御圧力として、前記圧力制御手段は、前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たさないとき、かつ前記潤滑型車載装置の駆動状態が前記低圧駆動状態にあるときには前記制御圧力を前記低圧制御圧力に設定し、前記オイルレベル検出手段の出力が前記所定の高圧条件を満たすとき、かつ前記潤滑型車載装置の駆動状態が前記低圧駆動状態にあるときには前記制御圧力を前記高圧制御圧力に設定し、前記潤滑型車載装置の駆動状態が前記高圧駆動状態にあるときには前記制御圧力を前記高圧制御圧力に設定することを要旨としている。
【0024】
この発明では、オイルレベル検出手段の出力が前記所定の高圧条件を満たすとき、かつ潤滑型車載装置の駆動状態が低圧駆動状態にあるとき、すなわちオイルレベルが過度に高い状態が継続されるおそれのあるとき、制御圧力を高圧制御圧力に設定している。これにより、制御圧力が第1制御圧力に維持されるときよりもオイルレベルの上昇度合いが小さくなるため、オイルレベルが過度に高い状態のときにオイルレベルの上昇を抑制することができる。
【0025】
(8)請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の車載潤滑油供給装置において、前記オイルレベルが所定の上限レベルよりも高いことを前記所定の高圧条件とすることを要旨としている。
【0026】
この発明では、オイルレベルが所定の上限レベルよりも高いときに高圧条件が満たされる。このため、オイルレベルが過度に高い状態のときにオイルレベルの上昇を抑制することができる。
【0027】
(9)請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の車載潤滑油供給装置において、前記オイルレベル検出手段に異常が生じていることを前記所定の高圧条件とすることを要旨としている。
【0028】
この発明では、オイルレベル検出手段に異常が生じているとき、すなわちオイルレベルが上限レベルよりも高いか否かを把握することが困難なとき、高圧条件が満たされる。このため、実際のオイルレベルが上限レベルよりも高いことがオイルレベル検出手段の異常に起因して把握できない状況において、オイルレベルの上昇を抑制することができる。
【0029】
(10)請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の車載潤滑油供給装置において、前記オイルレベル検出手段の異常を検出する異常検出手段を備え、この異常検出手段により異常が検出されることを前記所定の高圧条件とすることを要旨としている。
【0030】
この発明では、異常検出手段により異常が検出されることを所定の高圧条件としているため、オイルレベル検出手段の異常に起因してオイルレベルが上限レベルよりも高いか否かを把握することが困難な状況か否かを適切に判定することができる。
【0031】
(11)請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれか一項に記載の車載潤滑油供給装置において、前記潤滑型車載装置としての内燃機関について、前記供給油路内の潤滑油の圧力を制御することを要旨としている。
【0032】
この発明では、内燃機関のオイルレベル検出手段の出力に基づいて、異常時制御を行う。このため、内燃機関のオイルレベルが過度に高い状態のときにオイルレベルの上昇を抑制することができる。
【0033】
(12)請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の車載潤滑油供給装置において、前記潤滑型車載装置としての変速機について、前記供給油路内の潤滑油の圧力を制御することを要旨としている。
【0034】
この発明では、変速機のオイルレベル検出手段の出力に基づいて、異常時制御を行う。このため、変速機のオイルレベルが過度に高い状態のときにオイルレベルの上昇を抑制することができる。
【0035】
(13)請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の車載潤滑油供給装置において、前記圧力制御手段は、前記供給油路内の圧力が前記制御圧力よりも大きいときに前記供給油路内の潤滑油をリリーフすることにより、前記供給油路内の圧力を変更するものであることを要旨としている。
【0036】
この発明によれば、供給油路内の圧力が制御圧力よりも大きいときに同油路内の潤滑油をリリーフする圧力制御手段を備える車載潤滑油供給装置において、オイルレベルが過度に高い状態のときにオイルレベルの上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の車載潤滑油供給装置の第1実施形態について、同装置を含めた内燃機関の全体構成を模式的に示す模式図。
【図2】同実施形態の油圧制御において用いられる機関回転速度および燃料噴射量と制御圧力との関係を規定したマップ。
【図3】同実施形態の油圧制御の実行態様の一例を示すタイミングチャート。
【図4】同実施形態の電子制御装置により実行される「センサ異常時処理」について、その手順を示すフローチャート。
【図5】同実施形態の「センサ異常時処理」について、その実行態様の一例を示すタイミングチャート。
【図6】同実施形態の「センサ異常時処理」について、その実行態様の一例を示すタイミングチャート。
【図7】本発明の車載潤滑油供給装置の第2実施形態について、電子制御装置により実行される「オイルレベル異常時処理」の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(第1実施形態)
図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。なお、本実施形態では、潤滑型車載装置としての圧縮着火内燃機関の対象部位に潤滑油を供給する車載潤滑油供給装置として本発明を具体化した一例を示している。
【0039】
図1に示すように圧縮着火内燃機関(以下、「内燃機関1」)は、空気および燃料からなる混合気を燃焼する機関本体10と、潤滑油を内燃機関1の各潤滑部位に供給する潤滑油供給装置2と、これら装置を統括的に制御する制御装置50とを含む。
【0040】
機関本体10は、混合気を燃焼させるための燃焼室13を有するシリンダブロック11と、潤滑油を貯留するオイルパン12と、燃焼室13に燃料を噴射するインジェクタ16とを含む。シリンダブロック11には、混合気の燃焼により往復運動するピストン14と、ピストン14の往復運動を回転運動に変換するクランクシャフト15とが設けられている。
【0041】
潤滑油供給装置2は、機関本体10の各対象部位に潤滑油を供給する機関潤滑機構20と、各対象部位に供給される潤滑油の圧力(以下、「供給圧力PS」)を制御する油圧制御機構30とを含む。
【0042】
機関潤滑機構20は、オイルパン12と機関本体10とを接続する供給油路21と、この供給油路21に設けられてクランクシャフト15により駆動されるオイルポンプ22と、ピストン14に向けて潤滑油を噴射するピストンジェット25とを含む。
【0043】
供給油路21のうちオイルポンプ22よりも上流側にある上流供給油路21Aには、オイルパン12内の潤滑油に含まれる異物のうち比較的大きなものを濾過するオイルストレーナ23が設けられている。供給油路21のうちオイルポンプ22よりも下流側にある下流供給油路21Bには、潤滑油に含まれる微小な異物を濾過するオイルフィルタ24が設けられている。
【0044】
油圧制御機構30は、オイルポンプ22を迂回して下流供給油路21Bと上流供給油路21Aとを互いに接続するリリーフ油路32と、供給圧力PSである下流供給油路21Bの潤滑油の圧力が所定の圧力(以下、「制御圧力PC」)を上回るときに開弁するリリーフ弁31と、リリーフ弁31の制御圧力PCの大きさを変更する制御圧切替機構40とにより構成されている。
【0045】
リリーフ油路32は、リリーフ弁31の入口側に設けられた吐出側油路33と、リリーフ弁31の出口側に設けられた吸込側油路34と、リリーフ弁31内に設けられた弁内部油路35とにより構成されている。
【0046】
リリーフ弁31が開弁状態にあるとき、リリーフ油路32が開放されることにより、下流供給油路21Bの潤滑油がリリーフ油路32を介して上流供給油路21Aにリリーフされる。
【0047】
リリーフ弁31には、供給圧力PSに基づいて弁内部油路35を開放または閉鎖する弁体としてのピストン31Aと、リリーフ弁31の出口を含みピストン31Aに対して移動可能なスリーブ31Bと、ピストン31Aに対するスリーブ31Bの位置を切り替えるための切替室31Cとが設けられている。切替室31Cは、弁内部油路35とは独立して制御圧切替機構40により潤滑油の供給および排出が行われる。
【0048】
制御圧切替機構40は、電子制御装置51からの指令により切替室31Cの潤滑油の供給状態を切り替える切替弁44と、切替弁44に接続される3つの油路、すなわち第1切替油路41および第2切替油路42および第3切替油路43とを含む。
【0049】
第1切替油路41は、吐出側油路33と切替弁44とを互いに接続する。第2切替油路42は、切替弁44と切替室31Cとを互いに接続する。第3切替油路43は、切替弁44と吸込側油路34とを互いに接続する。
【0050】
切替弁44は、各切替油路41〜43に対応して設けられたポート間の連通状態を変更することにより、切替室31Cに潤滑油が供給される状態と、切替室31Cから潤滑油が排出される状態とを切り替える。
【0051】
各ポートの連通状態が第1連通状態にあるとき、第1切替油路41と第2切替油路42とが互いに連通され、かつ第1切替油路41と第3切替油路43とが互いに遮断される。これにより、下流供給油路21Bの潤滑油が吐出側油路33および第1切替油路41および第2切替油路42を介して切替室31Cに供給される。
【0052】
各ポートの連通状態が第2連通状態にあるとき、第1切替油路41と第2切替油路42および第3切替油路43とが互いに遮断され、かつ第2切替油路42と第3切替油路43とが互いに連通される。これにより、切替室31Cの潤滑油が第2切替油路42および第3切替油路43および吸込側油路34を介して上流供給油路21Aにリリーフされる。
【0053】
リリーフ弁31は、切替室31Cの油圧に応じて次のように動作する。
切替室31Cに潤滑油が供給されているとき、ピストン31Aに対するスリーブ31Bの位置が第1切替位置に維持される。これにより、制御圧力PCが低圧側の第1制御圧力PC1に設定される。
【0054】
切替室31Cから潤滑油がリリーフされているとき、ピストン31Aに対するスリーブ31Bの位置が第2切替位置に維持される。これにより、制御圧力PCが高圧側の第2制御圧力PC2に設定される。
【0055】
制御圧力PCが第1制御圧力PC1に設定され、かつ供給圧力PSが第1制御圧力PC1未満のとき、リリーフ弁31は閉弁状態に維持される。一方、制御圧力PCが第1制御圧力PC1に設定され、かつ供給圧力PSが第1制御圧力PC1以上のとき、リリーフ弁31は開弁状態に維持される。
【0056】
制御圧力PCが第2制御圧力PC2に設定され、かつ供給圧力PSが第2制御圧力PC2未満のとき、リリーフ弁31は閉弁状態に維持される。一方、制御圧力PCが第2制御圧力PC2に設定され、かつ供給圧力PSが第2制御圧力PC2以上のとき、リリーフ弁31は開弁状態に維持される。
【0057】
供給圧力PSが第1制御圧力PC1またはその付近に維持されているとき、ピストンジェット25に潤滑油を供給する油路上の弁が閉弁される。これにより、ピストンジェット25からピストン14には潤滑油が噴射されない。
【0058】
供給圧力PSが第2制御圧力PC2またはその付近に維持されているとき、ピストンジェット25に潤滑油を供給する油路上の弁が開弁される。これにより、ピストンジェット25からピストン14に向けて潤滑油が噴射される。
【0059】
制御装置50には、機関運転状態等をモニタする各種センサ、すなわちクランクポジションセンサ52、油圧センサ53、冷却水温センサ54およびアッパレベルセンサ55を含む各種センサと、これらセンサの出力に基づいて各装置の動作を制御する電子制御装置51と、アッパレベルセンサ55に異常が生じているときに点灯する警告灯61とが設けられている。
【0060】
クランクポジションセンサ52は、クランクシャフト15の回転角度(以下、「クランク角度CA」)に応じた信号を電子制御装置51に出力する。油圧センサ53は、供給油路21のオイルポンプ22の吐出口付近に設けられて、供給圧力PSに応じた信号を出力する。冷却水温センサ54は、シリンダを冷却する冷却水の温度(以下、「冷却水温度TW」)に応じた信号を電子制御装置51に出力する。アッパレベルセンサ55は、オイルパン12に滞留している潤滑油の液面の高さ(以下、「オイルレベルLV」)に応じた信号を電子制御装置51に出力する。なお、上限レベルLVXとしては、潤滑油の液面がクランクシャフト15に接触しない上限の液面高さ、または同液面高さよりも低くかつその付近の液面高さに相当するオイルレベル予め設定されている。なお、上限レベルLVXとしては、潤滑油の液面がクランクシャフト15に接触しない上限またはその付近の位置が設定される。
【0061】
アッパレベルセンサ55の具体的な出力態様を以下の(A)〜(C)に示す。
(A)オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いとき、その旨を示すハイレベル信号を電子制御装置51に出力する。
(B)オイルレベルLVが上限レベルLVXと同じまたは上限レベルよりも低いとき、その旨を示す基準レベル信号を電子制御装置51に出力する。
(C)アッパレベルセンサ55の回路に断線が生じているときは出力が「0」となる。
【0062】
電子制御装置51は、各種の制御に用いるためのパラメータとして次のものを算出する。すなわち、クランクポジションセンサ52からの出力信号に基づいてクランク角度CAに相当する演算値を算出する。また、クランク角度CAの演算値に基づいてクランクシャフト15の回転速度(以下、「機関回転速度NE」)に相当する演算値を算出する。また、冷却水温センサ54からの出力信号に基づいて冷却水温度TWに相当する演算値を算出する。また、インジェクタ16から噴射される燃料量(以下、「燃料噴射量Q」)の指令値を算出する。
【0063】
電子制御装置51により行われる制御としては、燃料噴射態様を制御する燃料噴射制御、機関の各潤滑部位に供給する油圧を制御するための油圧制御、オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いときに警告灯61を点灯するための警告制御、およびアッパレベルセンサ55の異常に対応するためのセンサ異常時制御が挙げられる。
【0064】
燃料噴射制御では、燃料を燃焼室13で燃焼させてピストン14を押し下げるための膨張力を得るためのメイン噴射、および噴射した燃料を排気ガスとともに排気通路に送り出すためのポスト噴射が行われるようにインジェクタ16を制御する。
【0065】
図2を参照して、油圧制御の内容について説明する。
油圧制御機構30において、制御圧力PCが第1制御圧力PC1に設定されている状態を「低圧制御状態」とし、制御圧力PCが第2制御圧力PC2に設定されている状態を「高圧制御状態」としたとき、これら制御状態において燃料消費率および機関潤滑性能は次のような関係にある。
【0066】
すなわち、低圧制御状態においては高圧制御状態よりもオイルポンプ22の負荷が小さいため、制御圧力PCの大きさのみが異なることを前提としたとき、低圧制御状態の燃料消費率は高圧制御状態の燃料消費率よりも小さくなる。一方、高圧制御状態においては低圧制御状態よりも供給圧力PSが大きくなるため、制御圧力PCの大きさのみが異なることを前提としたとき、高圧制御状態の機関潤滑性能は低圧制御状態の機関潤滑性能よりも高くなる。
【0067】
このため、燃料消費率の低減および内燃機関1の適切な潤滑という2つの要求を満たすためには、基本的には油圧制御機構30を高圧制御状態に維持し、内燃機関1に必要とされる潤滑油量が少ないときに限り油圧制御機構30を低圧制御状態に維持することが望ましいといえる。
【0068】
内燃機関1に必要とされる潤滑油量は主に以下のときに多くなる。
すなわち、機関回転速度NEが大きいときにはピストン14の運動速度が大きいため、内燃機関1においてピストン14等の潤滑のために必要となる潤滑量が多くなる。また、燃料噴射量Qが大きいときには燃焼により生じるトルクが大きいため、内燃機関1においてクランクシャフト15等の潤滑のために必要となる潤滑油量が多くなる。また、内燃機関1の温度が高いとき、すなわち冷却水温度TWが高いとき、ピストン14の温度が過度に高くなりやすいため、ピストンジェット25によるピストン14の冷却のために必要となる潤滑油量が多くなる。
【0069】
そこで油圧制御においては、機関運転状態の指標としての冷却水温度TWおよび機関回転速度NEおよび燃料噴射量Qに基づいて機関本体10に必要とされる潤滑油量を把握し、この潤滑油量に応じた制御圧力PCを設定する。具体的には、冷却水温度TWおよび機関回転速度NEおよび燃料噴射量Qにより規定される機関運転状態が図2の制御圧切替マップ上のいずれの領域に属するかを把握し、機関運転状態が属する領域に応じて制御圧力PCを設定する。
【0070】
図2に示されるように、制御圧切替マップにおいては機関回転速度NEおよび燃料噴射量Qをパラメータとする運転領域Rが境界ラインLにより2つの領域、すなわち低圧領域R1および高圧領域R2に区画されている。低圧領域R1は、境界ラインLよりも低回転速度側かつ低噴射量側の運転領域Rを示す。高圧領域R2は、境界ラインLよりも高回転速度側かつ高噴射量側の運転領域Rを示す。
【0071】
境界ラインLとしては、冷却水温度TWに応じて3種類のものが用意されている。
すなわち、冷却水温度TWが下限温度TWX以上かつ第1境界温度TW1(>TWX)未満のときに用いられる境界ラインL1と、冷却水温度TWが境界温度TW1以上かつ第2境界温度TW2(>TW1)未満のときに用いられる境界ラインL2と、冷却水温度TWが境界温度TW2以上かつ上限温度TWY(>TW2)未満のときに用いられる境界ラインL3とが用意されている。
【0072】
運転領域Rが境界ラインL1により区画されるときの低圧領域R1は、運転領域Rが境界ラインL2により区画されるときの低圧領域R1よりも大きい。運転領域Rが境界ラインL2により区画されるときの低圧領域R1は、運転領域Rが境界ラインL3により区画されるときの低圧領域R1よりも大きい。
【0073】
電子制御装置51は、上記マップに基づいて次のように制御圧力PCを設定する。
そのときどきの機関回転速度NEおよび燃料噴射量Qが低圧領域R1に属するときには、制御圧力PCを第1制御圧力PC1に設定する。一方、高圧領域R2に属するときには、制御圧力PCを第2制御圧力PC2に設定する。
【0074】
冷却水温度TWが下限温度TWX以上かつ第1境界温度TW1未満のときには、境界ラインL1を基準として機関回転速度NEおよび燃料噴射量Qが低圧領域R1および高圧領域R2のいずれに属するかを判定する。
【0075】
冷却水温度TWが第1境界温度TW1以上かつ第2境界温度TW2未満のときには、境界ラインL2を基準として機関回転速度NEおよび燃料噴射量Qが低圧領域R1および高圧領域R2のいずれに属するかを判定する。
【0076】
冷却水温度TWが第2境界温度TW2以上かつ上限温度TWY未満のときには、境界ラインL3を基準として機関回転速度NEおよび燃料噴射量Qが低圧領域R1および高圧領域R2のいずれに属するかを判定する。
【0077】
冷却水温度TWが下限温度TWX未満のときには、冷却水温度TWが所定の冷却水温度TWX以上のときと比較して潤滑油の粘度が高い。すなわち、対象部位への潤滑油の供給量が不足するおそれが高い。このため、冷却水温度TWが下限温度TWX未満のときには、制御圧力PCを第2制御圧力PC2に設定する。
【0078】
冷却水温度TWが上限温度TWY以上のときには、内燃機関1に対して高い冷却性能が要求される。このため、冷却水温度TWが上限温度TWY以上のときには、制御圧力PCを第2制御圧力PC2に設定する。
【0079】
電子制御装置51は、制御圧切替マップに基づいて第1制御圧力PC1または第2制御圧力PC2を選択したとき、選択した制御圧力PCを維持するため、または選択した制御圧力PCに変更するための信号処理を行う。すなわち、制御圧切替マップに基づいて第1制御圧力PC1を選択したとき、切替弁44を第1連通状態に維持するための指令信号Sをオンに設定し、この指令信号Sを制御圧切替機構40に送信する。一方、制御圧切替マップに基づいて第2制御圧力PC2を選択したとき、切替弁44を第2連通状態に維持するために指令信号Sをオフに設定し、同指令信号Sの制御圧切替機構40への送信を停止する。
【0080】
図3を参照して、制御圧力PCの切替態様の一例について説明する。
時刻t11すなわち、機関回転速度NEおよび燃料噴射量Qの属する運転領域Rが低圧領域R1から高圧領域R2に移行したとき、制御圧切替機構40に対する指令信号Sがオンからオフに変更される。そして、制御圧切替機構40が指令信号Sのオフに基づいて動作したとき、実際の制御圧力PCが第1制御圧力PC1から第2制御圧力PC2に切り替えられる。これにより、供給圧力PSが第2制御圧力PC2に向けて次第に上昇する。
【0081】
時刻t12すなわち、供給圧力PSが第2制御圧力PC2を上回るところまで上昇したとき、リリーフ弁31が開弁される。これにより、下流供給油路21Bの潤滑油がリリーフ油路32を介して上流供給油路21Aにリリーフされるため、供給圧力PSが第2制御圧力PC2またはその付近に維持される。なお、機関回転速度NEが高いときにはオイルポンプ22の吐出量が多くなるため、供給圧力PSが第2制御圧力PC2を上回ることもある。
【0082】
時刻t13すなわち、機関回転速度NEおよび燃料噴射量Qの属する運転領域Rが高圧領域R2から低圧領域R1に移行したとき、制御圧切替機構40に対する指令信号Sがオフからオンに変更される。そして制御圧切替機構40が指令信号Sに基づいて動作したとき、実際の制御圧力PCが第2制御圧力PC2から第1制御圧力PC1に切り替えられる。これにより、供給圧力PSが第1制御圧力PC1に向けて次第に低下する。
【0083】
時刻t14すなわち、供給圧力PSが第1制御圧力PC1を下回るところまで低下したとき、リリーフ弁31が閉弁される。このため、下流供給油路21Bの潤滑油がリリーフされなくなる。その後、供給圧力PSが第1制御圧力PC1を上回るところまで上昇したとき、リリーフ弁31が開弁される。これにより、供給圧力PSが第1制御圧力PC1またはその付近に維持される。
【0084】
オイルレベルLVが上限レベルLVXを超える場合の一例について説明する。
インジェクタ16によりポスト噴射が行われたとき、噴射された燃料の一部がシリンダボアに付着して潤滑油とともにオイルパン12に流れ込む。これにより、潤滑油の燃料希釈が進行するとともにオイルレベルLVが次第に上昇する。そして、ポスト噴射が継続して行われたときには、オイルレベルLVが上限レベルLVXを超える。
【0085】
オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いとき、クランクシャフト15が潤滑油の液面に接触することに起因してクランクシャフト15の回転抵抗が大きくなる等の問題が生じる。
【0086】
そこで電子制御装置51は、オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いか否かをアッパレベルセンサ55の出力に基づいて監視し、上限レベルLVXよりも高い旨を検出したときには警告灯61を点灯する警告制御を行う。この警告制御により、オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高い旨が警告灯61を通じて運転者に報知されるため、運転者が警告灯61の表示をもとに車両のメンテナンスを実施した場合には、オイルレベルが適正なレベルに戻される。
【0087】
しかし、アッパレベルセンサ55に異常が生じているときには、オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いこと検出することができないため、オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いことに基づいて警告灯61を点灯することができない。すなわち、オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いことを運転者に報知することができない。このため、オイルレベルLVが上限レベルLVXを超えた状態が長期にわたり継続されるおそれがある。
【0088】
電子制御装置51は、このような問題が生じる頻度を少なくするため、アッパレベルセンサ55の出力に基づいて制御圧切替機構40を制御するセンサ異常時制御を行う。このセンサ異常時制御では、アッパレベルセンサ55の出力に基づいて同センサ55の異常の有無を監視し、センサ異常が生じていることを検出したとき、制御圧力PCを第2制御圧力PC2に設定する。
【0089】
制御圧力PCが第2制御圧力PC2に維持されている場合には、制御圧力PCが第1制御圧力PC1に維持されている場合と比較して、オイルパン12にリリーフされる潤滑油量が少なくなる。このため、第2制御圧力PC2が選択されているときのオイルレベルLVの上昇度合いは、第1制御圧力PC1が選択されているときのオイルレベルLVの上昇度合いよりも小さくなる。また、制御圧力PCが第1制御圧力PC1から第2制御圧力PC2に変更されたとき、通常の場合にはオイルパン12へのリリーフ量が減少することにともないオイルレベルLVが低下する。
【0090】
従って、アッパレベルセンサ55の異常が生じているとき、すなわちオイルレベルLVが過度に高い状態が継続されるおそれのあるとき、上記のとおり制御圧力PCを第2制御圧力PC2に維持することにより、実際のオイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いことを検出できない状況において、オイルレベルLVの上昇を抑制することができる。
【0091】
図4を参照して、センサ異常時制御の具体的な手順を定めた「センサ異常時処理」について説明する。なお、この処理は、内燃機関1の運転中において電子制御装置51により所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0092】
ステップS11では、アッパレベルセンサ55に異常が生じているか否かを判定する。ここでは、アッパレベルセンサ55の出力が「0」であることに基づいて、アッパレベルセンサ55に異常が生じている旨判定する。
【0093】
ステップS11においてアッパレベルセンサ55に異常が生じている旨判定したとき、次のステップS12において制御圧力PCを第2制御圧力PC2に設定する。すなわち、制御圧切替機構40に対する指令信号Sをオフにする。
【0094】
ステップS11においてアッパレベルセンサ55に異常が生じていない旨判定したとき、そのときに選択している制御圧力PCを継続して選択する。すなわち、指令信号Sをオンに設定しているときにはこれを継続し、指令信号Sをオフに設定しているときにはこれを継続する。
【0095】
図5および図6を参照して、「センサ異常時処理」の実行態様について説明する。
図5に、第2制御圧力PC2の選択中に上記のセンサ異常が生じたときの例を示す。
時刻t21すなわち、アッパレベルセンサ55に異常が生じていないとき、かつ機関運転状態の属する運転領域Rが低圧領域R1から高圧領域R2に移行したとき、制御圧切替機構40に対する指令信号Sがオンからオフに変更される。これにより、制御圧力PCが第1制御圧力PC1から第2制御圧力PC2に切り替えられる。
【0096】
時刻t22すなわち、アッパレベルセンサ55に異常が生じたとき、かつ機関運転状態の属する運転領域Rが高圧領域R2のとき、制御圧切替機構40に対する指令信号Sがオフに維持される。これにより、制御圧力PCが第2制御圧力PC2に維持される。
【0097】
時刻t23すなわち、アッパレベルセンサ55に異常が生じているとき、かつ機関運転状態の属する運転領域Rが高圧領域R2から低圧領域R1に移行したとき、制御圧切替機構40に対する指令信号Sがオフに維持される。これにより、制御圧力PCが第1制御圧力PC1に切り替えられることなく第2制御圧力PC2に維持される。
【0098】
時刻t24すなわち、アッパレベルセンサ55に異常が生じているとき、かつ機関運転状態の属する運転領域Rが低圧領域R1から高圧領域R2に移行したとき、制御圧切替機構40に対する指令信号Sがオフに維持される。これにより、制御圧力PCが第2制御圧力PC2に維持される。すなわち、アッパレベルセンサ55に異常が生じた時刻t22以降は、機関運転状態の属する運転領域Rにかかわらず制御圧力PCが第2制御圧力PC2に維持される。
【0099】
図6に、第1制御圧力PC1の選択中に上記のセンサ異常が生じたときの例を示す。
時刻t31すなわち、アッパレベルセンサ55に異常が生じていないとき、かつ機関運転状態の属する運転領域Rが高圧領域R2から低圧領域R1に移行したとき、制御圧切替機構40に対する指令信号Sがオフからオンに変更される。これにより、制御圧力PCが第2制御圧力PC2から第1制御圧力PC1に切り替えられる。
【0100】
時刻t32すなわち、アッパレベルセンサ55に異常が生じたとき、かつ機関運転状態の属する運転領域Rが低圧領域R1のとき、制御圧切替機構40に対する指令信号Sがオンからオフに変更される。これにより、制御圧力PCが第1制御圧力PC1から第2制御圧力PC2に切り替えられる。
【0101】
時刻t33すなわち、アッパレベルセンサ55に異常が生じているとき、かつ機関運転状態の属する運転領域Rが低圧領域R1から高圧領域R2に移行したとき、制御圧切替機構40に対する指令信号Sがオフに維持される。これにより、制御圧力PCが第2制御圧力PC2に維持される。
【0102】
時刻t34すなわち、アッパレベルセンサ55に異常が生じているとき、かつ機関運転状態の属する運転領域Rが高圧領域R2から低圧領域R1に移行したとき、制御圧切替機構40に対する指令信号Sがオフに維持される。これにより、制御圧力PCが第1制御圧力PC1に切り替えられることなく第2制御圧力PC2に維持される。すなわち、アッパレベルセンサ55の出力値に異常が生じた時刻t32以降は、運転領域Rにかかわらず制御圧力PCが第2制御圧力PC2に維持される。
【0103】
本実施形態によれば以下に示す効果が得られる。
(1)本実施形態では、アッパレベルセンサ55に異常が生じているとき、すなわちオイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いか否かを把握することが困難なとき、制御圧力PCを第1制御圧力PC1よりも大きい第2制御圧力PC2に維持している。これにより、実際のオイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いことがアッパレベルセンサ55の異常に起因して把握できなくとも、オイルレベルLVが過度に高い状態(オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高い状態)においてオイルレベルLVの上昇を抑制することができる。
【0104】
(2)本実施形態では、アッパレベルセンサ55に異常が生じていないとき、かつ機関運転状態の属する運転領域Rが低圧領域R1のとき、制御圧力PCを第1制御圧力PC1に維持し、それ以外のときには制御圧力PCを第2制御圧力PC2に維持している。これにより、燃料消費率の低減および内燃機関1の適切な潤滑という2つの要求を満たすことができる。
【0105】
(第2実施形態)
図7を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。以下では、第1実施形態の構成からの変更点を中心に説明し、第1実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0106】
当該潤滑油供給装置2では、オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いことをアッパレベルセンサ55の出力に基づいて把握したとき、警告灯61を通じて運転者にその旨を報知している。このため、運転者が警告灯61の表示をもとに車両のメンテナンスを実施した場合には、オイルレベルLVが適正なレベルに維持される。
【0107】
しかし、警告灯61が点灯してからメンテナンスが実施されるまでの内燃機関1の運転中において、オイルレベルLVについて格別の対策をとらない場合には、例えばオイルレベルLVのさらなる上昇に起因してクランクシャフト15の回転抵抗が著しく増大する等の問題をまねくことも考えられる。
【0108】
そこで本実施形態の電子制御装置51では、このような問題が生じる頻度を少なくするため、アッパレベルセンサ55の出力に基づいて制御圧切替機構40を制御するオイルレベル異常時制御を行う。このオイルレベル異常時制御では、アッパレベルセンサ55の出力に基づくオイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いとき、制御圧力PCを第2制御圧力PC2に設定する。なお、本実施形態においては第1実施形態のセンサ異常時制御に代えて上記オイルレベル異常時制御が行われる。本実施形態の内燃機関1の構成は、この点を除いては第1実施形態と共通している。
【0109】
図7を参照して、オイルレベル異常時制御の具体的な手順を定めた「オイルレベル異常時処理」について説明する。なお、この処理は、内燃機関1の運転中において電子制御装置51により所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0110】
ステップS21では、アッパレベルセンサ55の出力に基づくオイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いか否かを判定する。ここでは、アッパレベルセンサ55の出力信号がハイレベル信号であることに基づいて、オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高い旨判定する。
【0111】
ステップS21においてオイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高い旨判定したとき、次のステップS22において制御圧力PCを第2制御圧力PC2に設定する。すなわち、制御圧切替機構40に対する指令信号Sをオフにする。
【0112】
ステップS21においてオイルレベルLVが上限レベルLVXと同じまたは上限レベルLVXよりも低い旨判定したとき、そのときに選択している制御圧力PCを継続して選択する。すなわち、指令信号Sをオンに設定しているときにはこれを継続し、指令信号Sをオフに設定しているときにはこれを継続する。
【0113】
本実施形態によれば以下に示す効果と、第1実施形態の(2)の効果、すなわち燃料消費率の低減および内燃機関1の適切な潤滑という2つの要求を満たすことができる旨の効果が得られる。
【0114】
(3)本実施形態では、アッパレベルセンサ55の出力に基づくオイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いとき、制御圧力PCを第1制御圧力PC1(所定圧力)よりも大きい第2制御圧力PC2に維持している。これにより、オイルレベルLVが過度に高い状態(オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高い状態)においてオイルレベルLVの上昇を抑制することができる。
【0115】
(その他の実施形態)
なお、本発明の実施態様は上記実施形態に限られるものではなく、例えば同実施形態を以下のように変形して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0116】
・上記第1実施形態ではアッパレベルセンサ55の出力が「0」であることをアッパレベルセンサ55の異常としたが、アッパレベルセンサ55の異常としてはこの他に次のものが挙げられる。すなわち、アッパレベルセンサ55の出力が「0」と「0」以外とを繰り返す異常が生じることもある。また、オイルレベルLVが下限レベルLVYよりも低いことを検出するためのロウレベルセンサを備える内燃機関においては次のような異常が生じえる。すなわち、ロウレベルセンサの出力がオイルレベルLVが下限レベルLVYよりも小さいことを示し、かつアッパレベルセンサ55の出力がオイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いことを示す異常が生じることもある。そこで、アッパレベルセンサ55の異常を判定するための条件を例えば以下の(A)〜(C)のいずれかに変更することもできる。
【0117】
(A)アッパレベルセンサ55の出力が「0」であること(診断条件1)に、さらに以下の診断条件2および診断条件3を加え、これら3つの条件の少なくとも1つが成立していることに基づいてアッパレベルセンサ55に異常が生じている旨判定する。
・診断条件2:アッパレベルセンサ55の出力が「0」と「0」以外とを繰り返す。
・診断条件3:ロウレベルセンサの出力に基づくオイルレベルLVが下限レベルLVYよりも低く、かつアッパレベルセンサ55の出力に基づくオイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高い。
【0118】
(B)診断条件1に代えて、診断条件2および診断条件3のいずれか一方が成立していることに基づいて、アッパレベルセンサ55に異常が生じている旨判定する。
(C)上記(A)において診断条件1〜3のうち、1つまたは2つについての判定を省略する。
【0119】
・上記第1実施形態においては、アッパレベルセンサ55に異常が生じているとき、上記第2実施形態においては、オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いとき、すなわち所定の高圧条件が満たされているとき、制御圧切替機構40に対する指令信号Sをオフに設定することにより制御圧力PCを第2制御圧力PC2に維持したが、制御圧力PCの操作態様を例えば以下の(A)〜(C)のいずれかに変更することもできる。
【0120】
(A)所定の高圧条件が満たされたとき、制御圧力PCを第1制御圧力PC1に設定することを禁止する旨の信号を制御圧切替機構40に送信する。反対に、所定の高圧条件が満たされていないときには、この信号を制御圧切替機構40に送信しない。
【0121】
(B)所定の高圧条件が満たされている状態を状態Aとし、所定の高圧条件が満たされていない状態であるとともにこの点を除いては状態Aと同じ条件の状態を状態Bとして、状態Aのときには制御圧力PCを第1制御圧力PC1に変更することを禁止し、状態Bのときには制御圧力PCを第1制御圧力PC1に変更することを許可する。
【0122】
(C)内燃機関1の駆動状態について、潤滑油の圧力を相対的に低い第1制御圧力PC1に維持することが許容される駆動状態を低圧駆動状態(機関運転状態の属する運転領域Rが低圧領域R1にある状態)とし、潤滑油の圧力を相対的に高い第2制御圧力PC2に維持することが要求される駆動状態を高圧駆動状態(機関運転状態の属する運転領域Rが高圧領域R2にある状態)とする。そして、アッパレベルセンサ55の出力および内燃機関1の駆動状態に基づいて以下の制御を行う。
【0123】
すなわち、所定の高圧条件が満たされていないとき、かつ内燃機関1の駆動状態が低圧駆動状態のとき、制御圧力PCを第1制御圧力PC1に設定する。また、所定の高圧条件が満たされているとき、かつ内燃機関1の駆動状態が低圧駆動状態にあるとき、制御圧力PCを第2制御圧力PC2に設定する。また、内燃機関1の駆動状態が高圧駆動状態にあるとき、制御圧力PCを第2制御圧力PC2に設定する。
【0124】
・上記第1実施形態のセンサ異常時制御と上記第2実施形態のオイルレベル異常時制御とを併せて行うこともできる。すなわち、センサ異常時処理において、アッパレベルセンサ55の異常が生じているか否かの判定と、アッパレベルセンサ55の出力に基づくオイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いか否かの判定とを行う。そして、これらの判定処理の結果に応じて以下の(A)〜(C)のいずれかの制御を行う。
(A)アッパレベルセンサ55の異常が生じている旨判定したとき、制御圧力PCを第2制御圧力PC2に維持する。
(B)アッパレベルセンサ55の異常が生じていない旨判定し、かつアッパレベルセンサ55の出力に基づくオイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高い旨判定したとき、制御圧力PCを第2制御圧力PC2に維持する。
(C)アッパレベルセンサ55の異常が生じていない旨判定し、かつアッパレベルセンサ55の出力に基づくオイルレベルLVが上限レベルLVXと同じまたは上限レベルLVXよりも低い旨判定したとき、制御圧力PCを第1制御圧力PC1に維持する。
【0125】
・上記各実施形態では、図2の制御圧切替マップに例示した冷却水温度TWおよび機関回転速度NEおよび燃料噴射量Qに基づいて制御圧力PCを設定したが、制御圧切替マップの内容は同実施形態に例示した内容に限られない。また、冷却水温度TWおよび機関回転速度NEおよび燃料噴射量Qのうちの冷却水温度TWおよび燃料噴射量Qの少なくとも一方を省略して制御圧力切替マップを構成することもできる。また、冷却水温度TWおよび機関回転速度NEおよび燃料噴射量Qにさらに別のパラメータを加えて制御圧切替マップを構成することもできる。別のパラメータとしては、例えば変速比および車速の少なくとも一方を採用することができる。
【0126】
・上記各実施形態では、オイルレベルLVが上限レベルLVXよりも高いか否かに応じて信号の出力態様が変化するアッパレベルセンサ55を採用したが、他の出力態様のアッパレベルセンサ55を採用することもできる。例えば、オイルレベルLVに応じて出力信号が連続的に変化するオイルレベルセンサを採用することもできる。この場合には、オイルレベルLVが上限レベルLVXと上限レベルLVXよりも低い判定レベルとの間にあることかつオイルレベルLVの上昇速度が所定速度より大きいことを所定の高圧条件として、この所定の高圧条件が満たされるとき、制御圧力PCを第2制御圧力PC2に設定することもできる。
【0127】
・上記各実施形態では、切替弁44を第1連通状態に維持するときの指令信号Sをオンにするとともに、切替弁44を第2連通状態に維持するときの指令信号Sをオフにしたが、切替弁44の第1連通状態および第2連通状態と指令信号Sのオンおよびオフとの関係を上記とは反対の関係に変更することもできる。
【0128】
・上記各実施形態では、制御圧力PCを第1制御圧力PC1および第2制御圧力PC2の2段階で切り替えることのできる油圧制御機構30を採用したが、制御圧力PCを3段階以上で切り替えることのできる油圧制御機構を採用することもできる。このような油圧制御機構の例としては、例えば以下の(A)および(B)が挙げられる。
【0129】
(A)上記実施形態の油圧制御機構30に代えて、第1制御圧力PC1および第2制御圧力PC2、ならびにこれら制御圧力の間にある第3制御圧力PC3の3段階で制御圧力PCを切り替えることのできる油圧制御機構を採用することもできる。この場合には、所定の高圧条件が成立したとき、制御圧力PCを低圧制御圧力としての第1制御圧力PC1または第3制御圧力PC3よりも大きい制御圧力に維持する。すなわち、低圧制御圧力が第1制御圧力PC1のときには第2制御圧力PC2または第3制御圧力PC3に、また低圧制御圧力が第3制御圧力PC3のときには第2制御圧力PC2に維持する。
【0130】
(B)上記実施形態の油圧制御機構30に代えて、制御圧力PCを所定の範囲内において無段階に設定することのできる油圧制御機構を採用することもできる。この場合には、所定の高圧条件が成立したとき、制御圧力PCを予め設定された低圧制御圧力PCXよりも大きな圧力に維持する。または、所定の高圧条件が成立している状態を状態Aとし、所定の高圧条件が成立していない状態であるとともにこの点を除いては状態Aと同じ条件の状態を状態Bとして、状態Aのときには状態Bのときよりも制御圧力PCを大きくすることもできる。または、所定の高圧条件が成立したときの制御圧力PCを制御圧力PCYとしたとき、所定の高圧条件が成立していないときは制御圧力PCYよりも大きな制御圧力PCに変更することもできる。
【0131】
・上記各実施形態では、ピストン31Aに対するスリーブ31Bの位置を切替室31Cの油圧により第1切替位置および第2切替位置に変更したが、スリーブ31Bの位置をソレノイド等の油圧以外の手段により変更することもできる。
【0132】
・上記各実施形態では、下流供給油路21B内の潤滑油をリリーフすることにより供給圧力PSを制御圧力PCまたはその付近に維持する油圧制御機構30を採用したが、これとは別のしくみにより供給圧力PSを制御する油圧制御機構を採用することもできる。その一例としては以下の(A)および(B)が挙げられる。
【0133】
(A)上記各実施形態の油圧制御機構30に代えて、第1制御圧力PC1に相当する開弁圧力を有する低圧チェック弁、第2制御圧力PC2に相当する開弁圧力を有する高圧チェック弁、低圧チェック弁の有効および無効を切り替える電子制御弁を含む回路を供給油路21に接続する。そして、供給圧力PSを第1制御圧力PC1またはその付近に維持する要求があるときには、電子制御弁の制御により低圧チェック弁を有効にする。また、供給圧力PSを第2制御圧力PC2またはその付近に維持する要求があるときには、電子制御弁の制御により低圧チェック弁を無効にする。
【0134】
(B)上記各実施形態の油圧制御機構30に代えて、吐出圧を変更することのできる電動のオイルポンプを採用する。そして、供給圧力PSを第1制御圧力PC1またはその付近に維持する要求があるときには、供給圧力PSおよび第1制御圧力PC1に基づいてオイルポンプの吐出圧を制御する。また、供給圧力PSを第2制御圧力PC2またはその付近に維持する要求があるときには、供給圧力PSおよび第2制御圧力PC2に基づいてオイルポンプの吐出圧を制御する。
【0135】
・上記各実施形態では、機関駆動式のオイルポンプ22を備える潤滑油供給装置2を採用したが、同オイルポンプ22に代えて電動式のオイルポンプを備える潤滑油供給装置を採用することもできる。
【0136】
・上記各実施形態では、圧縮着火内燃機関に潤滑油を供給する潤滑油供給装置に本発明を適用したが、火花点火内燃機関に潤滑油を供給する潤滑油供給装置に本発明を適用することもできる。
【0137】
・上記各実施形態では、内燃機関1に潤滑油を供給する潤滑油供給装置に本発明を適用したが、変速機に潤滑油を供給する潤滑油供給装置に本発明を適用することもできる。
【符号の説明】
【0138】
1…内燃機関(潤滑型車載装置)、2…潤滑油供給装置、10…機関本体、11…シリンダブロック、12…オイルパン(貯留部)、13…燃焼室、14…ピストン、15…クランクシャフト、16…インジェクタ、20…機関潤滑機構、21…供給油路、21A…上流供給油路、21B…下流供給油路、22…オイルポンプ、23…オイルストレーナ、24…オイルフィルタ、25…ピストンジェット、30…油圧制御機構(圧力制御手段)、31…リリーフ弁、31A…ピストン、31B…スリーブ、31C…切替室、32…リリーフ油路、33…吐出側油路、34…吸込側油路、35…弁内部油路、40…制御圧切替機構、41…第1切替油路、42…第2切替油路、43…第3切替油路、44…切替弁、50…制御装置、51…電子制御装置(異常検出手段)、52…クランクポジションセンサ、53…油圧センサ、54…冷却水温センサ、55…アッパレベルセンサ(オイルレベル検出手段)、61…警告灯。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑型車載装置の対象部位に潤滑油を供給する供給油路内の圧力を制御するための制御圧力を変更する圧力制御手段と、潤滑油を貯留する貯留部のオイルレベルが所定の上限レベルよりも高いことを検出するためのオイルレベル検出手段とを含む車載潤滑油供給装置において、
前記オイルレベル検出手段の出力に基づいて前記制御圧力を変更する
ことを特徴とする車載潤滑油供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車載潤滑油供給装置において、
前記圧力制御手段は、前記制御圧力として低圧制御圧力および高圧制御圧力を有するものであり、
前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすとき、前記制御圧力を前記高圧制御圧力に維持する
ことを特徴とする車載潤滑油供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車載潤滑油供給装置において、
前記圧力制御手段は、前記制御圧力として低圧制御圧力および高圧制御圧力を有するものであり、
前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすとき、前記制御圧力を前記低圧制御圧力にすることを禁止する
ことを特徴とする車載潤滑油供給装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車載潤滑油供給装置において、
前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすとき、前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たさないときよりも前記制御圧力を大きくする
ことを特徴とする車載潤滑油供給装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車載潤滑油供給装置において、
前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすとき、前記制御圧力の低圧側への変更を禁止する
ことを特徴とする車載潤滑油供給装置。
【請求項6】
請求項1に記載の車載潤滑油供給装置において、
前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たすときの状態を状態Aとし、前記オイルレベル検出手段の出力が前記所定の高圧条件を満たさない状態であるとともにこの点を除いては前記状態Aと同じ条件の状態を状態Bとして、
前記状態Aのときには前記制御圧力を低圧側に変更することを禁止し、前記状態Bのときには前記制御圧力を低圧側に変更することを許可する
ことを特徴とする車載潤滑油供給装置。
【請求項7】
請求項1に記載の車載潤滑油供給装置において、
前記潤滑型車載装置の駆動状態について、潤滑油の圧力を相対的に低い圧力に維持することが許容される駆動状態を低圧駆動状態とし、潤滑油の圧力を相対的に高い圧力に維持することが要求される駆動状態を高圧駆動状態とし、前記制御圧力について、相対的に低い制御圧力を低圧制御圧力とし、相対的に高い制御圧力を高圧制御圧力として、
前記圧力制御手段は、前記オイルレベル検出手段の出力が所定の高圧条件を満たさないとき、かつ前記潤滑型車載装置の駆動状態が前記低圧駆動状態にあるときには前記制御圧力を前記低圧制御圧力に設定し、前記オイルレベル検出手段の出力が前記所定の高圧条件を満たすとき、かつ前記潤滑型車載装置の駆動状態が前記低圧駆動状態にあるときには前記制御圧力を前記高圧制御圧力に設定し、前記潤滑型車載装置の駆動状態が前記高圧駆動状態にあるときには前記制御圧力を前記高圧制御圧力に設定する
ことを特徴とする車載潤滑油供給装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の車載潤滑油供給装置において、
前記オイルレベルが所定の上限レベルよりも高いことを前記所定の高圧条件とする
ことを特徴とする車載潤滑油供給装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の車載潤滑油供給装置において、
前記オイルレベル検出手段に異常が生じていることを前記所定の高圧条件とする
ことを特徴とする車載潤滑油供給装置。
【請求項10】
請求項9に記載の車載潤滑油供給装置において、
前記オイルレベル検出手段の異常を検出する異常検出手段を備え、この異常検出手段により異常が検出されることを前記所定の高圧条件とする
ことを特徴とする車載潤滑油供給装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の車載潤滑油供給装置において、
前記潤滑型車載装置としての内燃機関について、前記供給油路内の潤滑油の圧力を制御する
ことを特徴とする車載潤滑油供給装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の車載潤滑油供給装置において、
前記潤滑型車載装置としての変速機について、前記供給油路内の潤滑油の圧力を制御する
ことを特徴とする車載潤滑油供給装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の車載潤滑油供給装置において、
前記圧力制御手段は、前記供給油路内の圧力が前記制御圧力よりも大きいときに前記供給油路内の潤滑油をリリーフすることにより、前記供給油路内の圧力を変更するものである
ことを特徴とする車載潤滑油供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−247169(P2011−247169A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120992(P2010−120992)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】