車輌用防眩装置
【課題】自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みが不要な車輌用防眩装置を提供する。
【解決手段】車輌の前方に設けられ、第1の特性を有する第1照射光と第2の特性を有する第2照射光とを切替可能に照射する前照灯410と、前照灯の第1照射光と第2照射光との切替制御を行う前照灯制御部400と、フロントガラス面上に設けられ、第1照射光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と第2照射光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シート510と、調光シートの第1光吸収特性と第2光吸収特性との切替制御を行う調光シート制御部500と、車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部300とを有し、ナビゲーション部によって取得された情報に応じて前照灯制御部と調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする。
【解決手段】車輌の前方に設けられ、第1の特性を有する第1照射光と第2の特性を有する第2照射光とを切替可能に照射する前照灯410と、前照灯の第1照射光と第2照射光との切替制御を行う前照灯制御部400と、フロントガラス面上に設けられ、第1照射光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と第2照射光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シート510と、調光シートの第1光吸収特性と第2光吸収特性との切替制御を行う調光シート制御部500と、車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部300とを有し、ナビゲーション部によって取得された情報に応じて前照灯制御部と調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を、フロントガラス面に設けた調光シートによって遮光し車輌のドライバーが眩惑されるのを防止するため車輌用防眩装置に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間やトンネル走行時には、走行する自動車などの車輌はヘッドライトなどの前照灯を点灯して暗い道路面を照らし出して走行する必要がある。このような車輌の前照灯は、時速数10キロメートル程度の速さで走行する車輌の前方を照らし出すのであるから、かなり遠くまで光が届き、それもかなり明るいものであることが要求される。
【0003】
このように、前照灯は光源としてかなりの明るさが要求されるものであって、それによって生じるのが対向車の運転手の眼に照明の光が入ったときの眩しさである。道路を行き交う車輌同士が互いに前照灯によって前方を照らしているため、すれ違う対向車の前照灯の光が運転者の眼に入ることがある。明度の高いその光が一瞬眼に入っただけで、その眩しさによって一時的に瞳孔が開き、周囲の暗がりを認識できぬようになり、瞳孔が再び狭まるまで盲目に近い状態で運転を余儀なくされるという事態が生じるのである。
【0004】
そこで、対向車の前照灯の眩しさを軽減するために、車輌ヘッドライトやフロントガラスに防眩手段を設けることが種々提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1(特開昭61−219133号公報)には、自車の照明光を人間の目には連続光に感ずる程度の高速であるいは照度変化させながら照射する投光手段と、運転者の目前あるいは撮像装置前面に配置され、前記照明光の照射タイミングに同期して照明光が照射されている期間だけ光透過度を上げる光シャッタと、対向車の照明光を検出する対向車検出手段と、前記検出される対向車光に基づいて、自車の照射タイミングが対向車光の照射タイミングに一致しないように自車光照射タイミングを制御する第1の照射タイミング制御手段と、 先行車の照射光の照射タイミングに自車の照射タイミングを一致させるように自車の照射タイミングを制御する第2の照射タイミング制御手段とを備えてなることを特徴とする視界向上装置が開示されている。
【特許文献1】特開昭60−219133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のものは、対向車の照射タイミングと自車側の照射タイミングをずらすために撮像装置などの複雑な構成を要するものとなっている。すなわち、特許文献1の装置では、自車と対向車が選択する眩惑防止装置の方式を調停する仕組みが必要であり、そもそも複数の車輌が行き交う実際の交通環境下ではそのような調停の仕組みは実効性が薄い、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、車輌の前方に設けられ、第1の特性を有する第1照射光と第2の特性を有する第2照射光とを切替可能に照射する前照灯と、該前照灯の第1照射光と第2照射光との切替制御を行う前照灯制御部と、該フロントガラス面上に設けられ、該第1照射光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と該第2照射光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シートと、該調光シートの該第1光吸収特性と第2光吸収特性との切替制御を行う調光シート制御部と、車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、車輌の前方に設けられ、第1タイミングで発光する光と、該第1タイミングとは異なる第2タイミングで発光する光を切替可能に照射する前照灯と、該前照灯の発光タイミングの切替制御を行う前照灯制御部と、該フロントガラス面上に設けられ、該第1タイミングと同期して遮光状態とするか、該第2タイミングと同期して遮光状態とするかを切り替えることができる調光シートと、該調光シートの該第1タイミングと該第2タイミングの切替制御を行う調光シート制御部と、車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、車輌の前方に設けられ、第1波長特性の光と、該第1波長特性の光とは異なる波長特性を有する第2波長特性の光を切替可能に照射する前照灯と、該前照灯の波長特性の切替制御を行う前照灯制御部と、該フロントガラス面上に設けられ、該第1波長特性の光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と該第2波長特性の光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シートと、該調光シートの光吸収特性の切替制御を行う調光シート制御部と、車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、車輌の前方に設けられ、第1偏光特性の光と、該第1偏光特性の光とは異なる偏光特性を有する第2偏光特性の光を切替可能に照射する前照灯と、該前照灯の偏光特性の切替制御を行う前照灯制御部と、該フロントガラス面上に設けられ、該第1偏光特性の光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と該第2偏光特性の光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シートと、該調光シートの光吸収特性の切替制御を行う調光シート制御部と、車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る車輌用防眩装置によれば、車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて、前照灯の点灯状態と、それを遮る調光シートの状態を、第1照射光と第2照射光の2つ照射光で切り替えるようにするので、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがないし、またこのような前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【0012】
また、本発明の請求項2に係る車輌用防眩装置によれば、車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて、前照灯の点灯状態と、それを遮る調光シートの状態を、第1タイミングと第2タイミングの2つタイミングで切り替えるようにするので、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがないし、またこのような前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【0013】
また、本発明の請求項3に係る車輌用防眩装置によれば、車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて、前照灯の点灯状態と、それを遮る調光シートの状態を、第1波長特性と第2波長特性の2つ波長特性で切り替えるようにするので、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがないし、またこのような前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【0014】
また、本発明の請求項4に係る車輌用防眩装置によれば、車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて、前照灯の点灯状態と、それを遮る調光シートの状態を、第1偏光特性と第2偏光特性の2つ偏光特性で切り替えるようにするので、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがないし、またこのような前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置が搭載された車輌の様子を示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置のブロック構成を示す図である。本実施形態では車輌100の運転席は車輌100の右側に配置されているものについて説明するが、本発明はこのような運転席のレイアウトに限定されるものではない。
【0016】
図1及び図2において、100は車輌、200はECU(制御処理部)、210は前照灯点灯スイッチ、300はナビゲーション部、310は記憶部、400は前照灯制御部、410は前照灯、500は調光シート制御部、510は調光シート510をそれぞれ示している。
【0017】
ECU(制御処理部)200は、エレクトロニックコントロールユニットであり、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。ECU(制御処理部)200は、前照灯点灯スイッチ210からのオンオフ信号を受信したり、或いはナビゲーション部300からの情報を受信したりして、所定のプログラムに基づき、前照灯制御部400や調光シート制御部500の制御を行うようになっている。
【0018】
前照灯点灯スイッチ210は、車輌100の運転席に設けられドライバーが操作することによって、車輌100前方に設けられる前照灯410をオンオフすることを可能とするものである。なお、前照灯点灯スイッチ210による前照灯410のオンオフは、人間の感覚としては連続的と感じるほどの前照灯410のオンオフ動作のことを言っている。
【0019】
この前照灯点灯スイッチ210のオンオフ信号はECU(制御処理部)200に入力され、ECU(制御処理部)200が前照灯制御部400に制御信号を発し、これによって人間の感覚としては連続的と感じるように前照灯410をオンオフする。
【0020】
この前照灯410は、前照灯点灯スイッチ210によってオンとされると、例えば、前照灯制御部400は人間には知覚できない程度の間隔でオンオフを繰り返すように構成される。或いは、この前照灯410は、異なる2つの波長特性を有する光を発するようにすることもできる。また、前照灯410は、異なる2つの偏光特性を有する光を発するようにすることもできる。
【0021】
このような異なる2つの波長特性を有する光や異なる2つの偏光特性を有する光を発するようにするためには、例えば前照灯410に複数の光学フィルタなどを設けておくことによって実現することができる。
【0022】
ナビゲーション部300は、ナビゲーションシステムやこのナビゲーションシステムが参照する地図情報などのナビゲーションシステム用データベースとからなっている。ナビゲーションシステムは、GPS衛星からのGPS信号を受信して自らの位置を計算するGPS測位部を用いることによって、車両の位置情報を取得することができる。ナビゲーションシステムは、車輌100の走行位置や走行方向に係る情報を取得することができる。
【0023】
記憶部301は、例えばハードディスクなどの比較的大容量の記憶装置からなり、ナビゲーションシステムが利用する地図情報などのナビゲーションシステム用のデータベースは、この記憶部310に記憶されるようになっている。
【0024】
調光シート510は、車輌100のフロントガラス面上一面に設けられる調光シート510から構成されるものである。この調光シート510は、例えば、印加される電圧に応じて光透過率を変化するフイルム状のパネルであり、車輌100のフロントガラス内側全面に設けられている。このような調光シート510は、概略、2枚の透明電極と、この2枚の透明電極間に液晶材料やエレクトロクロミック材料を封入することで実現可能である。
【0025】
また、後述するが調光シート510には、印加される電圧に応じて光透過率を変化するもののほかに、印加される電圧に応じて吸収する光の波長が変化するもの、或いは印加される電圧に応じて吸収する光の偏光特性が変化するものなどを用いることができる。このような印加される電圧に応じて吸収する光の波長が変化したり、偏光特性が変化したりするものは、例えば透明電極間に液晶材料やエレクトロクロミック材料を封入するシートを複数枚重ねたりすることに形成することができる。
【0026】
ここでは、調光シート510として、印加される電圧に応じて光透過率を変化するもののについて説明する。調光シート510は、常時には透明状態(光透過率: 高)を維持しており、調光シート制御部500によって電圧が印加されることによって不透明状態(光透過率: 低)を成す。すなわち、調光シート510が透明状態(非遮光状態)から不透明状態へ変化することで、対向車の前照灯からの入射光を遮断する遮光状態を形成することができるものである。
【0027】
次に、本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における考え方について説明する。図3は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置の原理的な概念を示す図である。また、図4は記憶部310に記憶される地図情報などのナビゲーションシステム用のデータベースのデータ構造例を示す図である。
【0028】
本発明では、図3に示すように所定の道路の一方に進行する車輌と、当該所定の道路の他方に進行する車輌とでは、前照灯410で照射する光(発光タイミング、波長特性、偏光特性)と、調光シート510で吸収する光(吸収タイミング、吸収波長特性、吸収偏光特性)とを異ならせるようにする。これによって、自車と対向車が選択する眩惑防止装置の方式を調停する仕組みを不要とするものである。
【0029】
ここで、前照灯410で照射する光には、2つの異なる第1照射光と第2照射光とがあるものとし、調光シート510で吸収する光も第1照射光と第2照射光とがあるものとする。また、調光シート510で第1照射光を吸収する際には、「アンチ第1照射光」なとど簡略的に表現することもある。
【0030】
図4に示すようにナビゲーションシステム用のデータベースにおいては、全国の交差点や道路に共通の交差点番号、道路番号がふられている。図4(A)は交差点番号のデータ構造例を示すものであり、図4(B)は道路番号のデータ構造例を示すものである。
【0031】
本発明では、このような共通にふられている交差点番号、道路番号などを基準として、所定の道路において、走行中の車輌が、車輌が第1の方向に進行しているのか、または車輌が第2の方向に進行しているのかを決定する。このような決定においては、ナビゲーション部300において取得される車輌の走行位置と走行方向に係る情報、及び、図4に記憶される交差点番号或いは道路番号を参照することによってなすことができる。
【0032】
図3においては、例えば交差点番号と、車輌の走行位置と走行方向に係る情報によって、車輌が第1の方向に進行しているのか、または車輌が第2の方向に進行しているのかを決定する例が記載されている。
【0033】
例えば、図3では、(交差点番号n)>(交差点番号m)のとき、mからnへ向かう方向を第1方向、nからmへ向かう方向を第2方向と定義している。そして、第1方向を走行する車輌の前照灯制御部400は前照灯410を第1照射光で点灯し、調光シート制御部500は調光シート510をアンチ第2照射光の状態に切り替える。
【0034】
また、これとは逆に、第2方向を走行する車輌の前照灯制御部400は前照灯410を第2照射光で点灯し、調光シート制御部500は調光シート510をアンチ第1照射光の状態に切り替える。
【0035】
このように、所定の道路における対向状況に応じて、前照灯の点灯状態と、それを遮る調光シートの状態を切り替えるようにするので、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがないし、またこのような前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【0036】
なお、上記図3の例では、交差点番号を基準に定義を行ったが、同様に道路番号を基準として第1方向、第2方向を決定する定義を行ってもよいことはいうまでもない。
【0037】
次に、前照灯410における第1照射光、第2照射光、調光シート510におけるアンチ第1照射光、アンチ第2照射光などの具体例について説明する。図5は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における照射方式、防眩方式の一例を示す図であり、図5の例では前照灯及び調光シートを2種類のタイミングで制御する場合を示している。
【0038】
図5(A)の前照灯の点灯タイミング、図5(A’)の調光シートの遮光タイミングは第1方向を走行する車輌に適用されるものであり、これを第1タイミングと称することとする。図5(B)の前照灯の点灯タイミング、図5(B’)の調光シートの遮光タイミングは第2方向を走行する車輌に適用されるものであり、これを第2タイミングと称することとする。図5に示すように一方の側を走行している車輌の点灯タイミングにおいては、対向する側を走行している車輌の遮光タイミングとなっている。
【0039】
すなわち、前照灯410を2種類のタイミングで制御する場合には、前照灯制御部400は前照灯410を、ナビゲーション部300によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて第1タイミングと第2タイミングの2つのタイミングを切り替えるようにしている。
【0040】
また、調光シート510を2種類のタイミングで制御する場合には、調光シート制御部500は調光シート510を、ナビゲーション部300によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて第1タイミングと第2タイミングの2つのタイミングを切り替えるようにしている。
【0041】
このような各制御部によるタイミングの切替によって、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがない。
【0042】
次に、前照灯410における第1照射光、第2照射光、調光シート510におけるアンチ第1照射光、アンチ第2照射光などの別の具体例について説明する。図6は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における照射方式、防眩方式の一例を示す図であり、図6の例では前照灯及び調光シートを2種類の波長特性で制御する場合を示している。
【0043】
図6(A)の前照灯の光の波長特性、図6(A’)の調光シートの光のフィルタ特性(吸収特性)は第1方向を走行する車輌に適用されるものであり、これを第1波長特性や第1光吸収特性などと称することとする。図6(B)の前照灯の光の波長特性、図6(B’)の調光シートの光のフィルタ特性(吸収特性)は第2方向を走行する車輌に適用されるものであり、これを第2波長特性や第2光吸収特性などと称することとする。図6に示すように一方の側を走行している車輌が点灯する波長特性の光は、対向する側を走行している車輌の遮光シートのフィルタ特性(吸収特性)となっている。
【0044】
すなわち、前照灯410を2種類の波長特性で制御する場合には、前照灯制御部400は前照灯410を、ナビゲーション部300によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて第1波長特性と第2波長特性の2つの波長特性を切り替えるようにしている。
【0045】
また、調光シート510を2種類のフィルタ特性(吸収波長の特性)で制御する場合には、調光シート制御部500は調光シート510を、ナビゲーション部300によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて第1光吸収特性と第2光吸収特性の2つの光の吸収特性を切り替えるようにしている。
【0046】
このような各制御部による波長特性、吸収特性の切替によって、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがない。
【0047】
次に、前照灯410における第1照射光、第2照射光、調光シート510におけるアンチ第1照射光、アンチ第2照射光などの別の具体例について説明する。図7は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における照射方式、防眩方式の一例を示す図であり、図7の例では前照灯及び調光シートを2種類の偏光特性で制御する場合を示している。
【0048】
図7(A)の前照灯の光の偏光特性、図7(A’)の調光シートの吸収光の偏光特性は第1方向を走行する車輌に適用されるものであり、これを第1偏光特性や第1光吸収特性などと称することとする。図7(B)の前照灯の光の偏光特性、図7(B’)の調光シートの吸収光の偏光特性は第2方向を走行する車輌に適用されるものであり、これを第2偏光特性や第2光吸収特性などと称することとする。図7に示すように一方の側を走行している車輌が点灯する偏光特性の光は、対向する側を走行している車輌の遮光シートが吸収する光の偏光特性となっている。
【0049】
すなわち、前照灯410を2種類の偏光特性で制御する場合には、前照灯制御部400は前照灯410を、ナビゲーション部300によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて第1偏光特性と第2偏光特性の2つの偏光特性を切り替えるようにしている。
【0050】
また、調光シート510を2種類のフィルタ特性(光の吸収特性)で制御する場合には、調光シート制御部500は調光シート510を、ナビゲーション部300によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて第1光吸収特性と第2光吸収特性の2つの光の吸収特性を切り替えるようにしている。
【0051】
このような各制御部による偏光特性、光の吸収特性の切替によって、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがない。
【0052】
以上のように、車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて、前照灯の点灯状態と、それを遮る調光シートの状態を切り替えるようにするので、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがないし、またこのような前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【0053】
次に、以上のように構成される車輌用防眩装置の駆動制御について説明する。図8は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置の制御処理のフローチャートを示す図である。なお、このような制御処理のフローは、十分に短い間隔で実行されるものである。
【0054】
図8において、ステップS100で、車輌用防眩装置の制御処理が開始されると、次にステップS101に進み、前照灯点灯スイッチ210はオンがオンであるか否かが判定される。ステップS101における判定の結果がYESであればステップS102に進み、ステップS101の判定がNOであればステップS108に進み処理を終了する。
【0055】
ステップS102では、ナビゲーション部300から現在走行中の位置情報、進行方向情報、道路番号を取得する。そして、ステップS103では、進行方向は第1方向であるか否かが判定される。
【0056】
ステップS103の判定結果がYESであればステップS104に進み、前照灯410を第1照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で点灯する。そして、ステップS105では、調光シートをアンチ第2照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で作動する。ステップS108にて処理を終了する。
【0057】
ステップS103の判定結果がNOであればステップS106に進み、前照灯410を第2照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で点灯する。そして、ステップS107では、調光シートをアンチ第1照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で作動する。ステップS108にて処理を終了する。
【0058】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図9は本発明の他の実施の形態に係る車輌用防眩装置が搭載された車輌の様子を示す図であり、図10は本発明の他の実施の形態に係る車輌用防眩装置のブロック構成を示す図である。
【0059】
他の実施形態について説明においては、先の実施形態にさらに、車輌100の前方の様子を検出する前方監視カメラ220が設けられており、この前方監視カメラ220で検出された信号がECU(制御処理部)200に入力される構成となっている。そして、前方監視カメラ220で認識された対向車両に係る情報が加味されて制御されるようになっている。前方監視カメラ220は、車輌100の前方の画像を撮影しつつ、ドライバーの眩惑の原因となる対向車輌の存否を検出するものである。
【0060】
他の実施形態では、前照灯点灯スイッチ210がオンであれば対向車両の前照灯も点灯されているものと判断していたが、本実施形態では実際に対向車両が前照灯を点灯しているか否かに応じて、制御処理を行うものである。
【0061】
次に、以上のように構成される他の実施形態の車輌用防眩装置の駆動制御について説明する。図9は本発明の他の実施の形態に係る車輌用防眩装置の制御処理のフローチャートを示す図である。なお、このような制御処理のフローは、十分に短い間隔で実行されるものである。
【0062】
図9において、ステップS200で御処理のフローが開始されると、次にステップS201に進み、前照灯点灯スイッチ210はオンがオンであるか否かが判定される。ステップS201における判定の結果がYESであればステップS202に進み、ステップS201の判定がNOであればステップS210に進み処理を終了する。
【0063】
ステップS202では、ナビゲーション部300から現在走行中の位置情報、進行方向情報、道路番号を取得する。そして、ステップS203では、進行方向は第1方向であるか否かが判定される。
【0064】
ステップS203の判定結果がYESであればステップS204に進み、前照灯410を第1照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で点灯する。次に、ステップ205では前方監視カメラ220によって対向車輌が検出されたか否かが判定される。
【0065】
ステップS205における判定の結果がNOであればステップS210に進み処理を終了する。ステップS205における判定の結果がYESであれば、次にステップS206に進み、調光シートをアンチ第2照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で作動する。ステップS210に進み処理を終了する。
【0066】
ステップS203の判定結果がNOであればステップS207に進み、前照灯410を第2照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で点灯する。次に、ステップ208では前方監視カメラ220によって対向車輌が検出されたか否かが判定される。
【0067】
ステップS208における判定の結果がNOであればステップS210に進み処理を終了する。ステップS208における判定の結果がYESであれば、次にステップS209に進み、調光シートをアンチ第1照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で作動する。ステップS210に進み処理を終了する。
【0068】
以上のような実施形態によれば、対向車両に存否に応じて調光シート制御部500が調光シート510の制御を行うので、対向車両が存在しない場合の不必要な制御がなくなり、ドライバーの視認性が向上すると共に、対向車両が存在する場合については、調光シート510が動作しドライバーの眩惑を防止することが可能となる。また、前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置が搭載された車輌の様子を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置のブロック構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置の原理的な概念を示す図である。
【図4】記憶部に記憶される地図情報などのナビゲーションシステム用のデータベースのデータ構造例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における照射方式、防眩方式の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における照射方式、防眩方式の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における照射方式、防眩方式の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置の制御処理のフローチャートを示す図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係る車輌用防眩装置が搭載された車輌の様子を示す図である。
【図10】本発明の他の実施の形態に係る車輌用防眩装置のブロック構成を示す図である。
【図11】本発明の他の実施の形態に係る車輌用防眩装置の制御処理のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0070】
100・・・車輌、200・・・ECU(制御処理部)、210・・・前照灯点灯スイッチ、220・・・前方監視カメラ、300・・・ナビゲーション部、310・・・記憶部、400・・・前照灯制御部、410・・・前照灯、500・・・調光シート制御部、510・・・調光シート510
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を、フロントガラス面に設けた調光シートによって遮光し車輌のドライバーが眩惑されるのを防止するため車輌用防眩装置に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間やトンネル走行時には、走行する自動車などの車輌はヘッドライトなどの前照灯を点灯して暗い道路面を照らし出して走行する必要がある。このような車輌の前照灯は、時速数10キロメートル程度の速さで走行する車輌の前方を照らし出すのであるから、かなり遠くまで光が届き、それもかなり明るいものであることが要求される。
【0003】
このように、前照灯は光源としてかなりの明るさが要求されるものであって、それによって生じるのが対向車の運転手の眼に照明の光が入ったときの眩しさである。道路を行き交う車輌同士が互いに前照灯によって前方を照らしているため、すれ違う対向車の前照灯の光が運転者の眼に入ることがある。明度の高いその光が一瞬眼に入っただけで、その眩しさによって一時的に瞳孔が開き、周囲の暗がりを認識できぬようになり、瞳孔が再び狭まるまで盲目に近い状態で運転を余儀なくされるという事態が生じるのである。
【0004】
そこで、対向車の前照灯の眩しさを軽減するために、車輌ヘッドライトやフロントガラスに防眩手段を設けることが種々提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1(特開昭61−219133号公報)には、自車の照明光を人間の目には連続光に感ずる程度の高速であるいは照度変化させながら照射する投光手段と、運転者の目前あるいは撮像装置前面に配置され、前記照明光の照射タイミングに同期して照明光が照射されている期間だけ光透過度を上げる光シャッタと、対向車の照明光を検出する対向車検出手段と、前記検出される対向車光に基づいて、自車の照射タイミングが対向車光の照射タイミングに一致しないように自車光照射タイミングを制御する第1の照射タイミング制御手段と、 先行車の照射光の照射タイミングに自車の照射タイミングを一致させるように自車の照射タイミングを制御する第2の照射タイミング制御手段とを備えてなることを特徴とする視界向上装置が開示されている。
【特許文献1】特開昭60−219133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のものは、対向車の照射タイミングと自車側の照射タイミングをずらすために撮像装置などの複雑な構成を要するものとなっている。すなわち、特許文献1の装置では、自車と対向車が選択する眩惑防止装置の方式を調停する仕組みが必要であり、そもそも複数の車輌が行き交う実際の交通環境下ではそのような調停の仕組みは実効性が薄い、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような問題点を解決するために、請求項1に係る発明は、車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、車輌の前方に設けられ、第1の特性を有する第1照射光と第2の特性を有する第2照射光とを切替可能に照射する前照灯と、該前照灯の第1照射光と第2照射光との切替制御を行う前照灯制御部と、該フロントガラス面上に設けられ、該第1照射光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と該第2照射光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シートと、該調光シートの該第1光吸収特性と第2光吸収特性との切替制御を行う調光シート制御部と、車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、車輌の前方に設けられ、第1タイミングで発光する光と、該第1タイミングとは異なる第2タイミングで発光する光を切替可能に照射する前照灯と、該前照灯の発光タイミングの切替制御を行う前照灯制御部と、該フロントガラス面上に設けられ、該第1タイミングと同期して遮光状態とするか、該第2タイミングと同期して遮光状態とするかを切り替えることができる調光シートと、該調光シートの該第1タイミングと該第2タイミングの切替制御を行う調光シート制御部と、車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、車輌の前方に設けられ、第1波長特性の光と、該第1波長特性の光とは異なる波長特性を有する第2波長特性の光を切替可能に照射する前照灯と、該前照灯の波長特性の切替制御を行う前照灯制御部と、該フロントガラス面上に設けられ、該第1波長特性の光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と該第2波長特性の光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シートと、該調光シートの光吸収特性の切替制御を行う調光シート制御部と、車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、車輌の前方に設けられ、第1偏光特性の光と、該第1偏光特性の光とは異なる偏光特性を有する第2偏光特性の光を切替可能に照射する前照灯と、該前照灯の偏光特性の切替制御を行う前照灯制御部と、該フロントガラス面上に設けられ、該第1偏光特性の光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と該第2偏光特性の光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シートと、該調光シートの光吸収特性の切替制御を行う調光シート制御部と、車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る車輌用防眩装置によれば、車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて、前照灯の点灯状態と、それを遮る調光シートの状態を、第1照射光と第2照射光の2つ照射光で切り替えるようにするので、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがないし、またこのような前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【0012】
また、本発明の請求項2に係る車輌用防眩装置によれば、車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて、前照灯の点灯状態と、それを遮る調光シートの状態を、第1タイミングと第2タイミングの2つタイミングで切り替えるようにするので、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがないし、またこのような前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【0013】
また、本発明の請求項3に係る車輌用防眩装置によれば、車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて、前照灯の点灯状態と、それを遮る調光シートの状態を、第1波長特性と第2波長特性の2つ波長特性で切り替えるようにするので、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがないし、またこのような前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【0014】
また、本発明の請求項4に係る車輌用防眩装置によれば、車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて、前照灯の点灯状態と、それを遮る調光シートの状態を、第1偏光特性と第2偏光特性の2つ偏光特性で切り替えるようにするので、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがないし、またこのような前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置が搭載された車輌の様子を示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置のブロック構成を示す図である。本実施形態では車輌100の運転席は車輌100の右側に配置されているものについて説明するが、本発明はこのような運転席のレイアウトに限定されるものではない。
【0016】
図1及び図2において、100は車輌、200はECU(制御処理部)、210は前照灯点灯スイッチ、300はナビゲーション部、310は記憶部、400は前照灯制御部、410は前照灯、500は調光シート制御部、510は調光シート510をそれぞれ示している。
【0017】
ECU(制御処理部)200は、エレクトロニックコントロールユニットであり、CPUとCPU上で動作するプログラムを保持するROMとCPUのワークエリアであるRAMなどからなる汎用の情報処理機構である。ECU(制御処理部)200は、前照灯点灯スイッチ210からのオンオフ信号を受信したり、或いはナビゲーション部300からの情報を受信したりして、所定のプログラムに基づき、前照灯制御部400や調光シート制御部500の制御を行うようになっている。
【0018】
前照灯点灯スイッチ210は、車輌100の運転席に設けられドライバーが操作することによって、車輌100前方に設けられる前照灯410をオンオフすることを可能とするものである。なお、前照灯点灯スイッチ210による前照灯410のオンオフは、人間の感覚としては連続的と感じるほどの前照灯410のオンオフ動作のことを言っている。
【0019】
この前照灯点灯スイッチ210のオンオフ信号はECU(制御処理部)200に入力され、ECU(制御処理部)200が前照灯制御部400に制御信号を発し、これによって人間の感覚としては連続的と感じるように前照灯410をオンオフする。
【0020】
この前照灯410は、前照灯点灯スイッチ210によってオンとされると、例えば、前照灯制御部400は人間には知覚できない程度の間隔でオンオフを繰り返すように構成される。或いは、この前照灯410は、異なる2つの波長特性を有する光を発するようにすることもできる。また、前照灯410は、異なる2つの偏光特性を有する光を発するようにすることもできる。
【0021】
このような異なる2つの波長特性を有する光や異なる2つの偏光特性を有する光を発するようにするためには、例えば前照灯410に複数の光学フィルタなどを設けておくことによって実現することができる。
【0022】
ナビゲーション部300は、ナビゲーションシステムやこのナビゲーションシステムが参照する地図情報などのナビゲーションシステム用データベースとからなっている。ナビゲーションシステムは、GPS衛星からのGPS信号を受信して自らの位置を計算するGPS測位部を用いることによって、車両の位置情報を取得することができる。ナビゲーションシステムは、車輌100の走行位置や走行方向に係る情報を取得することができる。
【0023】
記憶部301は、例えばハードディスクなどの比較的大容量の記憶装置からなり、ナビゲーションシステムが利用する地図情報などのナビゲーションシステム用のデータベースは、この記憶部310に記憶されるようになっている。
【0024】
調光シート510は、車輌100のフロントガラス面上一面に設けられる調光シート510から構成されるものである。この調光シート510は、例えば、印加される電圧に応じて光透過率を変化するフイルム状のパネルであり、車輌100のフロントガラス内側全面に設けられている。このような調光シート510は、概略、2枚の透明電極と、この2枚の透明電極間に液晶材料やエレクトロクロミック材料を封入することで実現可能である。
【0025】
また、後述するが調光シート510には、印加される電圧に応じて光透過率を変化するもののほかに、印加される電圧に応じて吸収する光の波長が変化するもの、或いは印加される電圧に応じて吸収する光の偏光特性が変化するものなどを用いることができる。このような印加される電圧に応じて吸収する光の波長が変化したり、偏光特性が変化したりするものは、例えば透明電極間に液晶材料やエレクトロクロミック材料を封入するシートを複数枚重ねたりすることに形成することができる。
【0026】
ここでは、調光シート510として、印加される電圧に応じて光透過率を変化するもののについて説明する。調光シート510は、常時には透明状態(光透過率: 高)を維持しており、調光シート制御部500によって電圧が印加されることによって不透明状態(光透過率: 低)を成す。すなわち、調光シート510が透明状態(非遮光状態)から不透明状態へ変化することで、対向車の前照灯からの入射光を遮断する遮光状態を形成することができるものである。
【0027】
次に、本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における考え方について説明する。図3は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置の原理的な概念を示す図である。また、図4は記憶部310に記憶される地図情報などのナビゲーションシステム用のデータベースのデータ構造例を示す図である。
【0028】
本発明では、図3に示すように所定の道路の一方に進行する車輌と、当該所定の道路の他方に進行する車輌とでは、前照灯410で照射する光(発光タイミング、波長特性、偏光特性)と、調光シート510で吸収する光(吸収タイミング、吸収波長特性、吸収偏光特性)とを異ならせるようにする。これによって、自車と対向車が選択する眩惑防止装置の方式を調停する仕組みを不要とするものである。
【0029】
ここで、前照灯410で照射する光には、2つの異なる第1照射光と第2照射光とがあるものとし、調光シート510で吸収する光も第1照射光と第2照射光とがあるものとする。また、調光シート510で第1照射光を吸収する際には、「アンチ第1照射光」なとど簡略的に表現することもある。
【0030】
図4に示すようにナビゲーションシステム用のデータベースにおいては、全国の交差点や道路に共通の交差点番号、道路番号がふられている。図4(A)は交差点番号のデータ構造例を示すものであり、図4(B)は道路番号のデータ構造例を示すものである。
【0031】
本発明では、このような共通にふられている交差点番号、道路番号などを基準として、所定の道路において、走行中の車輌が、車輌が第1の方向に進行しているのか、または車輌が第2の方向に進行しているのかを決定する。このような決定においては、ナビゲーション部300において取得される車輌の走行位置と走行方向に係る情報、及び、図4に記憶される交差点番号或いは道路番号を参照することによってなすことができる。
【0032】
図3においては、例えば交差点番号と、車輌の走行位置と走行方向に係る情報によって、車輌が第1の方向に進行しているのか、または車輌が第2の方向に進行しているのかを決定する例が記載されている。
【0033】
例えば、図3では、(交差点番号n)>(交差点番号m)のとき、mからnへ向かう方向を第1方向、nからmへ向かう方向を第2方向と定義している。そして、第1方向を走行する車輌の前照灯制御部400は前照灯410を第1照射光で点灯し、調光シート制御部500は調光シート510をアンチ第2照射光の状態に切り替える。
【0034】
また、これとは逆に、第2方向を走行する車輌の前照灯制御部400は前照灯410を第2照射光で点灯し、調光シート制御部500は調光シート510をアンチ第1照射光の状態に切り替える。
【0035】
このように、所定の道路における対向状況に応じて、前照灯の点灯状態と、それを遮る調光シートの状態を切り替えるようにするので、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがないし、またこのような前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【0036】
なお、上記図3の例では、交差点番号を基準に定義を行ったが、同様に道路番号を基準として第1方向、第2方向を決定する定義を行ってもよいことはいうまでもない。
【0037】
次に、前照灯410における第1照射光、第2照射光、調光シート510におけるアンチ第1照射光、アンチ第2照射光などの具体例について説明する。図5は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における照射方式、防眩方式の一例を示す図であり、図5の例では前照灯及び調光シートを2種類のタイミングで制御する場合を示している。
【0038】
図5(A)の前照灯の点灯タイミング、図5(A’)の調光シートの遮光タイミングは第1方向を走行する車輌に適用されるものであり、これを第1タイミングと称することとする。図5(B)の前照灯の点灯タイミング、図5(B’)の調光シートの遮光タイミングは第2方向を走行する車輌に適用されるものであり、これを第2タイミングと称することとする。図5に示すように一方の側を走行している車輌の点灯タイミングにおいては、対向する側を走行している車輌の遮光タイミングとなっている。
【0039】
すなわち、前照灯410を2種類のタイミングで制御する場合には、前照灯制御部400は前照灯410を、ナビゲーション部300によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて第1タイミングと第2タイミングの2つのタイミングを切り替えるようにしている。
【0040】
また、調光シート510を2種類のタイミングで制御する場合には、調光シート制御部500は調光シート510を、ナビゲーション部300によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて第1タイミングと第2タイミングの2つのタイミングを切り替えるようにしている。
【0041】
このような各制御部によるタイミングの切替によって、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがない。
【0042】
次に、前照灯410における第1照射光、第2照射光、調光シート510におけるアンチ第1照射光、アンチ第2照射光などの別の具体例について説明する。図6は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における照射方式、防眩方式の一例を示す図であり、図6の例では前照灯及び調光シートを2種類の波長特性で制御する場合を示している。
【0043】
図6(A)の前照灯の光の波長特性、図6(A’)の調光シートの光のフィルタ特性(吸収特性)は第1方向を走行する車輌に適用されるものであり、これを第1波長特性や第1光吸収特性などと称することとする。図6(B)の前照灯の光の波長特性、図6(B’)の調光シートの光のフィルタ特性(吸収特性)は第2方向を走行する車輌に適用されるものであり、これを第2波長特性や第2光吸収特性などと称することとする。図6に示すように一方の側を走行している車輌が点灯する波長特性の光は、対向する側を走行している車輌の遮光シートのフィルタ特性(吸収特性)となっている。
【0044】
すなわち、前照灯410を2種類の波長特性で制御する場合には、前照灯制御部400は前照灯410を、ナビゲーション部300によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて第1波長特性と第2波長特性の2つの波長特性を切り替えるようにしている。
【0045】
また、調光シート510を2種類のフィルタ特性(吸収波長の特性)で制御する場合には、調光シート制御部500は調光シート510を、ナビゲーション部300によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて第1光吸収特性と第2光吸収特性の2つの光の吸収特性を切り替えるようにしている。
【0046】
このような各制御部による波長特性、吸収特性の切替によって、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがない。
【0047】
次に、前照灯410における第1照射光、第2照射光、調光シート510におけるアンチ第1照射光、アンチ第2照射光などの別の具体例について説明する。図7は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における照射方式、防眩方式の一例を示す図であり、図7の例では前照灯及び調光シートを2種類の偏光特性で制御する場合を示している。
【0048】
図7(A)の前照灯の光の偏光特性、図7(A’)の調光シートの吸収光の偏光特性は第1方向を走行する車輌に適用されるものであり、これを第1偏光特性や第1光吸収特性などと称することとする。図7(B)の前照灯の光の偏光特性、図7(B’)の調光シートの吸収光の偏光特性は第2方向を走行する車輌に適用されるものであり、これを第2偏光特性や第2光吸収特性などと称することとする。図7に示すように一方の側を走行している車輌が点灯する偏光特性の光は、対向する側を走行している車輌の遮光シートが吸収する光の偏光特性となっている。
【0049】
すなわち、前照灯410を2種類の偏光特性で制御する場合には、前照灯制御部400は前照灯410を、ナビゲーション部300によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて第1偏光特性と第2偏光特性の2つの偏光特性を切り替えるようにしている。
【0050】
また、調光シート510を2種類のフィルタ特性(光の吸収特性)で制御する場合には、調光シート制御部500は調光シート510を、ナビゲーション部300によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて第1光吸収特性と第2光吸収特性の2つの光の吸収特性を切り替えるようにしている。
【0051】
このような各制御部による偏光特性、光の吸収特性の切替によって、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがない。
【0052】
以上のように、車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて、前照灯の点灯状態と、それを遮る調光シートの状態を切り替えるようにするので、ドライバーにとって対向車の前照灯が眩しく感じることがないし、またこのような前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【0053】
次に、以上のように構成される車輌用防眩装置の駆動制御について説明する。図8は本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置の制御処理のフローチャートを示す図である。なお、このような制御処理のフローは、十分に短い間隔で実行されるものである。
【0054】
図8において、ステップS100で、車輌用防眩装置の制御処理が開始されると、次にステップS101に進み、前照灯点灯スイッチ210はオンがオンであるか否かが判定される。ステップS101における判定の結果がYESであればステップS102に進み、ステップS101の判定がNOであればステップS108に進み処理を終了する。
【0055】
ステップS102では、ナビゲーション部300から現在走行中の位置情報、進行方向情報、道路番号を取得する。そして、ステップS103では、進行方向は第1方向であるか否かが判定される。
【0056】
ステップS103の判定結果がYESであればステップS104に進み、前照灯410を第1照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で点灯する。そして、ステップS105では、調光シートをアンチ第2照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で作動する。ステップS108にて処理を終了する。
【0057】
ステップS103の判定結果がNOであればステップS106に進み、前照灯410を第2照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で点灯する。そして、ステップS107では、調光シートをアンチ第1照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で作動する。ステップS108にて処理を終了する。
【0058】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。図9は本発明の他の実施の形態に係る車輌用防眩装置が搭載された車輌の様子を示す図であり、図10は本発明の他の実施の形態に係る車輌用防眩装置のブロック構成を示す図である。
【0059】
他の実施形態について説明においては、先の実施形態にさらに、車輌100の前方の様子を検出する前方監視カメラ220が設けられており、この前方監視カメラ220で検出された信号がECU(制御処理部)200に入力される構成となっている。そして、前方監視カメラ220で認識された対向車両に係る情報が加味されて制御されるようになっている。前方監視カメラ220は、車輌100の前方の画像を撮影しつつ、ドライバーの眩惑の原因となる対向車輌の存否を検出するものである。
【0060】
他の実施形態では、前照灯点灯スイッチ210がオンであれば対向車両の前照灯も点灯されているものと判断していたが、本実施形態では実際に対向車両が前照灯を点灯しているか否かに応じて、制御処理を行うものである。
【0061】
次に、以上のように構成される他の実施形態の車輌用防眩装置の駆動制御について説明する。図9は本発明の他の実施の形態に係る車輌用防眩装置の制御処理のフローチャートを示す図である。なお、このような制御処理のフローは、十分に短い間隔で実行されるものである。
【0062】
図9において、ステップS200で御処理のフローが開始されると、次にステップS201に進み、前照灯点灯スイッチ210はオンがオンであるか否かが判定される。ステップS201における判定の結果がYESであればステップS202に進み、ステップS201の判定がNOであればステップS210に進み処理を終了する。
【0063】
ステップS202では、ナビゲーション部300から現在走行中の位置情報、進行方向情報、道路番号を取得する。そして、ステップS203では、進行方向は第1方向であるか否かが判定される。
【0064】
ステップS203の判定結果がYESであればステップS204に進み、前照灯410を第1照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で点灯する。次に、ステップ205では前方監視カメラ220によって対向車輌が検出されたか否かが判定される。
【0065】
ステップS205における判定の結果がNOであればステップS210に進み処理を終了する。ステップS205における判定の結果がYESであれば、次にステップS206に進み、調光シートをアンチ第2照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で作動する。ステップS210に進み処理を終了する。
【0066】
ステップS203の判定結果がNOであればステップS207に進み、前照灯410を第2照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で点灯する。次に、ステップ208では前方監視カメラ220によって対向車輌が検出されたか否かが判定される。
【0067】
ステップS208における判定の結果がNOであればステップS210に進み処理を終了する。ステップS208における判定の結果がYESであれば、次にステップS209に進み、調光シートをアンチ第1照射光(タイミング、波長特性、偏光特性)で作動する。ステップS210に進み処理を終了する。
【0068】
以上のような実施形態によれば、対向車両に存否に応じて調光シート制御部500が調光シート510の制御を行うので、対向車両が存在しない場合の不必要な制御がなくなり、ドライバーの視認性が向上すると共に、対向車両が存在する場合については、調光シート510が動作しドライバーの眩惑を防止することが可能となる。また、前照灯の点灯状態、調光シートの状態を切り替えるための基準は、走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号などの情報を利用するようにしているので、自車と対向車が選択する眩惑防止方式を互いに調停する仕組みは不要となり、簡単に眩惑防止装置のシステムを構築することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置が搭載された車輌の様子を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置のブロック構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置の原理的な概念を示す図である。
【図4】記憶部に記憶される地図情報などのナビゲーションシステム用のデータベースのデータ構造例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における照射方式、防眩方式の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における照射方式、防眩方式の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置における照射方式、防眩方式の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る車輌用防眩装置の制御処理のフローチャートを示す図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係る車輌用防眩装置が搭載された車輌の様子を示す図である。
【図10】本発明の他の実施の形態に係る車輌用防眩装置のブロック構成を示す図である。
【図11】本発明の他の実施の形態に係る車輌用防眩装置の制御処理のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0070】
100・・・車輌、200・・・ECU(制御処理部)、210・・・前照灯点灯スイッチ、220・・・前方監視カメラ、300・・・ナビゲーション部、310・・・記憶部、400・・・前照灯制御部、410・・・前照灯、500・・・調光シート制御部、510・・・調光シート510
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、
車輌の前方に設けられ、第1の特性を有する第1照射光と第2の特性を有する第2照射光とを切替可能に照射する前照灯と、
該前照灯の第1照射光と第2照射光との切替制御を行う前照灯制御部と、
該フロントガラス面上に設けられ、該第1照射光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と該第2照射光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シートと、
該調光シートの該第1光吸収特性と該第2光吸収特性との切替制御を行う調光シート制御部と、
車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、
該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする車輌用防眩装置。
【請求項2】
車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、
車輌の前方に設けられ、第1タイミングで発光する光と、該第1タイミングとは異なる第2タイミングで発光する光を切替可能に照射する前照灯と、
該前照灯の発光タイミングの切替制御を行う前照灯制御部と、
該フロントガラス面上に設けられ、該第1タイミングと同期して遮光状態とするか、該第2タイミングと同期して遮光状態とするかを切り替えることができる調光シートと、
該調光シートの該第1タイミングと該第2タイミングの切替制御を行う調光シート制御部と、
車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、
該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする車輌用防眩装置。
【請求項3】
車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、
車輌の前方に設けられ、第1波長特性の光と、該第1波長特性の光とは異なる波長特性を有する第2波長特性の光を切替可能に照射する前照灯と、
該前照灯の波長特性の切替制御を行う前照灯制御部と、
該フロントガラス面上に設けられ、該第1波長特性の光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と該第2波長特性の光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シートと、
該調光シートの光吸収特性の切替制御を行う調光シート制御部と、
車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、
該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする車輌用防眩装置。
【請求項4】
車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、
車輌の前方に設けられ、第1偏光特性の光と、該第1偏光特性の光とは異なる偏光特性を有する第2偏光特性の光を切替可能に照射する前照灯と、
該前照灯の偏光特性の切替制御を行う前照灯制御部と、
該フロントガラス面上に設けられ、該第1偏光特性の光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と該第2偏光特性の光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シートと、
該調光シートの光吸収特性の切替制御を行う調光シート制御部と、
車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、
該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする車輌用防眩装置。
【請求項1】
車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、
車輌の前方に設けられ、第1の特性を有する第1照射光と第2の特性を有する第2照射光とを切替可能に照射する前照灯と、
該前照灯の第1照射光と第2照射光との切替制御を行う前照灯制御部と、
該フロントガラス面上に設けられ、該第1照射光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と該第2照射光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シートと、
該調光シートの該第1光吸収特性と該第2光吸収特性との切替制御を行う調光シート制御部と、
車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、
該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする車輌用防眩装置。
【請求項2】
車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、
車輌の前方に設けられ、第1タイミングで発光する光と、該第1タイミングとは異なる第2タイミングで発光する光を切替可能に照射する前照灯と、
該前照灯の発光タイミングの切替制御を行う前照灯制御部と、
該フロントガラス面上に設けられ、該第1タイミングと同期して遮光状態とするか、該第2タイミングと同期して遮光状態とするかを切り替えることができる調光シートと、
該調光シートの該第1タイミングと該第2タイミングの切替制御を行う調光シート制御部と、
車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、
該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする車輌用防眩装置。
【請求項3】
車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、
車輌の前方に設けられ、第1波長特性の光と、該第1波長特性の光とは異なる波長特性を有する第2波長特性の光を切替可能に照射する前照灯と、
該前照灯の波長特性の切替制御を行う前照灯制御部と、
該フロントガラス面上に設けられ、該第1波長特性の光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と該第2波長特性の光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シートと、
該調光シートの光吸収特性の切替制御を行う調光シート制御部と、
車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、
該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする車輌用防眩装置。
【請求項4】
車輌のフロントガラスから入射する対向車の前照灯からの直射光を遮光する車輌用防眩装置であって、
車輌の前方に設けられ、第1偏光特性の光と、該第1偏光特性の光とは異なる偏光特性を有する第2偏光特性の光を切替可能に照射する前照灯と、
該前照灯の偏光特性の切替制御を行う前照灯制御部と、
該フロントガラス面上に設けられ、該第1偏光特性の光を吸収する第1光吸収特性を有する状態と該第2偏光特性の光を吸収する第2光吸収特性を有する状態を切り替えることができる調光シートと、
該調光シートの光吸収特性の切替制御を行う調光シート制御部と、
車輌の走行位置及び走行方向に係る情報、車輌が走行中の交差点番号又は道路番号を取得するナビゲーション部と、を有し、
該ナビゲーション部によって取得された車輌の走行位置、走行方向、交差点番号又は道路番号に応じて該前照灯制御部と該調光シート制御部における切替制御を行うことを特徴とする車輌用防眩装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−78652(P2009−78652A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−248601(P2007−248601)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】
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