説明

車輪支持用軸受ユニット

【課題】エンコーダを保護しながら、左右輪で共通化して生産や管理コストを低減することができる車輪支持用軸受ユニットを提供する。
【解決手段】車輪支持用軸受ユニット10では、外輪12のインボード側端部に固定されるカバー部材40に、エンコーダ34の回転を検出するセンサ35を挿入可能な複数の窓部44a,44bが形成され、センサ35が挿入されない窓部44bは栓部材50によって塞がれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪支持用軸受ユニットに関し、特に、自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持するための車輪支持用軸受ユニットにおいて、車輪の回転速度を検出するセンサを備えた車輪支持用軸受ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の安全性を向上する技術として、制動時に車輪がロックしないように制御するアンチロックブレーキシステム(ABS)や発進時に車輪がスリップしないように制御するトラクションコントロールシステムが採用されている。これらのシステムでは、車輪のロックあるいはスリップを制御するために、車輪の回転速度を正確に計測する回転センサが設けられている。このため、車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する車輪支持用軸受ユニットに、回転センサを内蔵したものが種々考案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
回転センサがエンコーダから信頼性の高い回転信号を得るためには、センサとエンコーダとのエアギャップを安定させる必要がある。しかしながら、車輪支持用軸受ユニットにおいては、走行条件により常に異なるモーメント荷重が負荷されるため、外内輪の相対傾き及び相対変位は常に変化する。この結果、内輪に固定されるエンコーダの傾きも常に変化し、外輪やナックルに固定されたセンサとのエアギャップは常に変化してしまう。
【0004】
このため、特許文献1に記載の車輪支持用軸受ユニットは、外内輪の相対傾き及び相対変位が少ない、軸線よりも少し上方となる位置に回転センサを配置している。
【特許文献1】特開平11−183492号公報(第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車の左右アクスル構造は、前後方向を軸線とする対称設計が行なわれる場合が多い。そのため、左右輪に対して特許文献1に記載のように回転センサをそれぞれ配置する場合、左右輪の各センサはそれぞれの軸受側から見て互いに異なる位置となる。このような場合、軸受メーカーにとって、右輪用軸受ユニットと左輪用軸受ユニットを別々に生産し、管理し、納入することは、生産コストや管理コストの上昇をまねき、自動車メーカーにとっても、別管理が発生し、補修部品が2種類となって管理コストの上昇をまねき、好ましくない。
【0006】
このため、軸受ユニットのカバー部材に回転センサを挿入する窓部を設けるような場合には、右輪用軸受ユニットと左輪用軸受ユニットの各回転センサが配置される各位置に窓部をそれぞれ形成し、カバー部材を右輪用軸受ユニットと左輪用軸受ユニットの両方で共通して使用することが考えられる。しかしながら、センサが挿入されない窓部は開口したままの状態となり、この開口部分からゴミが入りやすい。特に、エンコーダが多極に着磁された着磁ゴムで成形されるような場合には、磁性のゴミがエンコーダに貼り付いたり、センサとエンコーダとの間の空間に硬質のゴミが挟まったりして、エンコーダを摩耗させ、回転速度信号が著しく劣化する可能性がある。
【0007】
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、その目的は、エンコーダを保護しながら、左右輪で共通化して生産や管理コストを低減することができる車輪支持用軸受ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記構成によって達成される。
(1) 周面に静止側軌道面を有し、懸架装置と結合可能な静止輪と、
前記静止側軌道面と対向する周面に回転側軌道面を有すると共に、外周面に車輪を支持する為の車輪取付フランジを有する回転輪と、
前記静止側軌道輪と前記回転側軌道輪との間に設けられる複数の転動体と、
前記回転輪のインボード側端部に前記回転輪と同心に固定されるエンコーダと、
前記静止輪のインボード側端部に固定され、前記エンコーダの回転を検出するセンサを挿入可能な複数の窓部が形成されるカバー部材と、
前記センサが挿入されない前記窓部を塞ぐ閉塞部材と、
を備えることを特徴とする車輪支持用軸受ユニット。
(2) 前記固定されたカバー部材の下方には、水抜き窓が形成され、
前記複数の窓部は、前記静止輪及び前記回転輪の中心軸を通過する鉛直線に対して対称に配置される一対の窓部であり、且つ、
前記閉塞部材は、前記カバー部材の内側で、その円周方向に沿ってスライド可能な内扉であり、
前記車輪が右輪であるときに、該一対の窓部の一方には前記センサが挿入されるとともに、前記一対の窓部の他方は前記内扉によって塞がれ、
前記車輪が左輪であるときに、該一対の窓部の一方は前記内扉によって塞がれ、前記一対の窓部の他方には前記センサが挿入されることを特徴とする請求項1に記載の車輪支持用軸受ユニット。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車輪支持用軸受ユニットによれば、静止輪のインボード側端部に固定されるカバー部材には、エンコーダの回転を検出するセンサを挿入可能な複数の窓部が形成され、センサが挿入されない窓部は閉塞部材によって塞ぐようにしたので、カバー部材の内部に配置されたエンコーダを保護しながら、カバー部材を含む軸受ユニットを左右輪で共通化して生産や管理コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態に係るセンサ付き車輪支持用軸受ユニットについて図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態のセンサ付き車輪支持用軸受ユニット10は駆動輪用とされており、図1に示すように、回転輪であるハブ11及び静止輪である外輪12と、複数の転動体である玉13とを備えている。ハブ11は、中空状のハブ輪15を備えており、ハブ輪15は、その外周面の軸方向一端寄り部分であるアウトボード側端部(自動車への組み付け状態で車幅方向外側の端部:図1の左端部)に径方向外方に延びる車輪取り付けフランジ16を有している。車輪取り付けフランジ16には、そのアウトボード側側面に車輪を構成する図示しないホイール及びブレーキロータ等を取り付けるためのスタッド17が周方向に略等間隔で複数植設されている。さらに、ハブ輪15の内周面には、図示しない等速ジョイントのスプライン軸が係合するスプライン溝18が形成されている。
【0012】
ハブ輪15のインボード側の軸方向端部には小径段部19が形成されており、該小径段部19には内輪20が外嵌されている。そして、小径段部19の内輪20の内端面から突出した部分を直径方向外方に加締め広げる事で、内輪20をハブ輪15に結合固定している。なお、内輪20は、等速ジョイントをハブ輪15に固定すると同時に、ハブ輪15に固定されてもよい。また、ハブ輪15の軸方向の中間部外周面には回転側軌道面である第1内輪軌道面21が形成され、内輪20の外周面には回転側軌道面である第2内輪軌道面22が形成されている。
【0013】
外輪12の内周面には、ハブ輪15の第1内輪軌道面21に対応する静止側軌道面である第1外輪軌道面23及び内輪20の第2内輪軌道面22に対応する静止側軌道面である第2外輪軌道面24が形成されている。また、車輪取り付けフランジ16から離間する側の外輪12の外周部には、径方向外方に延びる懸架装置取り付けフランジ25が設けられており、このフランジ25を介して懸架装置26に固定されている。
【0014】
そして、複列の第1及び第2内輪軌道面21,22と複列の第1及び第2外輪軌道面23,24との間にそれぞれ複数の玉13が保持器14を介して周方向に転動可能に配設されている。尚、図示の例では、転動体として玉13を使用しているが、重量の嵩む車輪支持用軸受ユニットの場合には、転動体としてテーパころを使用する場合もある。
【0015】
また、外輪12の両端部内周面とこの内周面と対向するハブ輪15及び内輪20との外周面との間には、複数の玉13が配置される、外輪12とハブ輪15及び内輪20との間の環状空間を密封するシール装置27,28が配置されており、内部に充填されたグリースの漏洩と外部からの水や異物の浸入を防止する。
【0016】
インボード側のシール装置27は、外輪12に内嵌される芯金29に固定されたシール部材30を、内輪20に外嵌されるスリンガ31に摺接させることで構成され、また、アウトボード側のシール装置28は、外輪12に内嵌される芯金32に固定されたシール部材33をハブ輪15の外周面に摺接させることで構成されている。
【0017】
上述の様な車輪支持用軸受ユニット10を自動車に組み付けるには、外輪12の懸架装置取り付けフランジ25を懸架装置26に固定し、回転輪側のハブ輪15の車輪取り付けフランジ16にスタッド17やナット(図示せず)等を介してブレーキロータ及びホイールを固定する。これにより、車輪を懸架装置26に対して回転自在に支持することができる。
【0018】
さらに、車輪支持用軸受ユニット10には、ハブ11の回転速度を検出すべく、シール装置27のスリンガ31の軸方向側面にエンコーダ34が固定されている。また、懸架装置26には、エンコーダ34の近傍に検知部を有するセンサ35がセンサ穴36を介して取り付けられており、検知部によって検出された回転速度信号がハーネス37を介して外部に送られる。
【0019】
エンコーダ34は、検知部と所定のエアギャップを介して軸方向に対向配置され、磁気特性を円周方向に関して交互に且つ等間隔で変化させている。エンコーダ34としては、強磁性材をゴム或は合成樹脂中に混入して形成され、円周方向に交互に多極着磁されたゴム磁石或はプラスチック磁石や、スリットを形成して磁気特性を変化させる軟鋼板等の磁性金属板によって構成される。
【0020】
検知部は、ホール素子や磁気抵抗素子(MR素子)等、磁束の流れ方向に応じて特性を変化させる磁気検出素子並びにこの磁気検出素子の出力波形を整える為の波形整形回路を組み込んだICとからなる。また、永久磁石を有するエンコーダ34を使用する場合には、検知部は永久磁石を組み込む必要はないが、単なる磁性材製のエンコーダ34を使用する場合には、センサ側に、磁束の発生源となる永久磁石を組み込む必要がある。
【0021】
外輪12のインボード側端部の外周面には、カバー部材40が嵌合固定されている。カバー部材40は、外輪12のインボード側端部の外周面と嵌合する第1円筒部41と、第1円筒部41より小径の第2円筒部42と、第2円筒部42から径方向内方に延出する内向きフランジ部43と、を備える。内向きフランジ部の先端周面は、図示しない等速ジョイントと摺接、或はラビリンスシールを構成しており、カバー部材40は、エンコーダ34が設置される空間と外部空間とを仕切って、この空間に異物が侵入することを防止している。
【0022】
図2に示すように、カバー部材40の下方には、第2円筒部42と内向きフランジ部43に跨って開口した水抜き窓45が形成されており、エンドキャップ34が配置される空間内に浸入した水を排出する。
【0023】
また、カバー部材40には、エンコーダ34とセンサ35とのエアギャップの変化が小さくなる、ハブ11及び外輪12の中心軸を通過する水平線hに対して斜め上方の位置で、且つ、中心軸を通過する鉛直線vに対して対称となる位置に一対の窓部44a,44bが形成されている。一対の窓部44a,44bは、第2円筒部42と内向きフランジ部43に跨って開口している。
【0024】
そして、図2に示すように、車輪が右輪である場合には、懸架装置26に取り付けられたセンサ35が一方の窓部44aに挿入され、センサが挿入されない他方の窓部44bは、閉塞部材である栓部材50によって塞がれる。また、図示しないが、車輪が左輪である場合には、懸架装置26に取り付けられたセンサ35が他方の窓部44bに挿入され、センサが挿入されない一方の窓部44aは、栓部材50によって塞がれる。このため、右輪に適用される軸受ユニット10と左輪に適用される軸受ユニット10とは、懸架装置26に取り付けられた状態において、センサ35が車体一側から見て同位相に配置される。
【0025】
図3に示すように、栓部材50は、略L字状の樹脂部品であり、窓部44bを画成する第2円筒部42の縁部と内向きフランジ部43の縁部をそれぞれ挟む第1及び第2係合部51,52とを有する。第1及び第2係合部51,52はそれぞれ、カバー部材40の内部への脱落を防止するため、外側部分51a,52aを内側部分51b,52bよりも長く形成している。栓部材50は、内側部分51b,52bを変形させ、第1及び第2係合部51,52を第2円筒部42の縁部及び内向きフランジ部43の縁部と係脱することで、容易にカバー部材40から着脱される。
【0026】
また、各外側部分51a,52aには、爪部53が設けられており、カバー部材40の表面に形成された穴46と係合させることで、栓部材50はカバー部材40により強固に固定される。なお、カバー部材40には、穴46の代わりに、窪みが形成されてもよい。さらに。栓部材50の外面には、脱着を容易にするための取っ手54が形成されている。
【0027】
従って、本実施形態の車輪支持用軸受ユニット10によれば、外輪12のインボード側端部に固定されるカバー部材40に、センサ35を挿入可能な一対の窓部44a,44bがハブ11及び外輪12の中心軸を通過する鉛直線Vに対して対称に形成される。これにより、左右輪に応じて、エアギャップの変化が小さくなる位置に形成された一対の窓部44a,44bにセンサ35をそれぞれ挿入し、カバー部材40を含む軸受ユニット10を左右輪で共通化して軸受メーカーや自動車メーカーの生産や管理コストを低減することができる。また、センサが挿入されない一対の窓部44a,44bの他方は、栓部材50によって塞がれるので、窓部44a,44bからエンコーダ34が配置される空間内にゴミ等が入ることが防止され、エンコーダ34を保護することができる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るセンサ付き車輪支持用軸受ユニットについて図4を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、閉塞部材の構造において第1実施形態と異なるもので、第1実施形態と同等部分については同一符号を付して説明を省略或は簡略化する。
【0029】
第2実施形態では、閉塞部材として、カバー部材40の第2円筒部42の内側に、円周方向にスライド可能な三日月形状の内扉60が設けられる。内扉60は、その全長が第2円筒部42の円弧長さの1/2以上からなる、金属製又は樹脂製の弾性部材である。また、内扉60は、カバー部材40に嵌合される前の自由状態において、外周面の曲率半径を第2円筒部42の内周面の曲率半径以上としており、自身の弾性によって第2円筒部42の内周面に倣うように配置される。
【0030】
内扉60には、第2円筒部42の窓部44a,44b間の短い円弧距離よりも窓部44a,44bの円周方向幅分だけ略短い円弧距離離れた位置に、2つの内窓61a,61bが形成されている。これにより、車輪が右輪である場合には、一方の窓部44aと内窓61aとを連通させて、これらにセンサ35が挿入可能になるとともに、他方の窓部44bと内窓61bとが円周方向にずれた位置となり、他方の窓部44bが内扉60によって塞がれる。また、車輪が左輪である場合には、他方の窓部44bと内窓61bとを連通させて、これらにセンサ35が挿入可能になるとともに、一方の窓部44aは内扉60によって塞がれる。また、内窓61a,61bの開口寸法とセンサ35の径を略等しくすることで、内扉60はセンサ35によって固定され、振動等の影響で内扉60が動いてしまうのを防止することができる。
【0031】
さらに、内扉60のこれら内窓61a,61bの円周方向一端部には、取っ手62が取り付けられている。取っ手62は、カバー部材40の窓部44a,44bから突出しており、内扉60は、取っ手62によって規制されて、内窓61a,61bの円周方向幅分スライドする。そして、内扉60をスライドして、内窓61a,61bと連通した窓部44a,44bにセンサ35が挿入されると、取っ手62がセンサ35によって窓部44a,44b内で位置決めされ、これにより、内扉60もカバー部材40に対して位置決めされる。なお、内扉60を金属材のプレス加工で形成する場合には、取っ手62は、内窓61a,61b部分の板を外側に折り曲げることで形成してもよい。
【0032】
また、本実施形態のカバー部材40の窓部44a,44bは、図4に示すように、第2円筒部42のみに形成されているが、内扉60の形状を変更することで、第1実施形態と同様に、第2円筒部42と内向きフランジ部43に跨って形成されてもよい。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0033】
従って、本実施形態の車輪支持用軸受ユニット10によれば、第1実施形態と同様に、カバー部材40を含む軸受ユニット10を左右輪で共通化して軸受メーカーや自動車メーカーの生産や管理コストを低減することができると共に、センサが挿入されない他方の窓部44a,44bは、内扉60をスライドさせることによって塞がれるので、窓部44bからエンコーダ34が配置される空間内にゴミ等が入ることが防止され、エンコーダ34を保護することができる。
【0034】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るセンサ付き車輪支持用軸受ユニットについて図5を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、閉塞部材の内扉の構造において第2実施形態と異なるもので、第2実施形態と同等部分については同一符号を付して説明を省略或は簡略化する。
【0035】
第3実施形態の内扉60aは、第2円筒部42の内径と等しい外径を有する環状に形成されており、第2実施形態と同様に、内窓61a,61b及び取っ手62を有すると共に、カバー部材40の水抜き窓45と対応する位置にも水抜き用内窓63を有する。この水抜き用内窓63は、内扉60aがスライドした際に水抜き窓45が塞がれないように、水抜き窓45の円周方向幅よりスライド距離分大きな円周方向幅を有する。
【0036】
また、カバー部材40の窓部44a、44bは、図5(a)に示すように、内扉60をカバー部材40に挿入固定する際、内扉60の取っ手62がカバー部材40と干渉しないように、取っ手62の外径Aより大きな内径Bの切欠き部分47を有している。従って、環状の内扉60aは、第2実施形態のものに比べて剛性を向上することができ、飛び石等運動量の多いゴミの進入をより確実に防止できる。なお、切欠き部分47の幅は、取っ手62が通過するように、取っ手62の板厚以上であればよい。
その他の構成及び作用については、第1実施形態のものと同様である。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
上記実施形態では、センサの検知部とエンコーダとは所定のエアギャップを介して軸方向に対向配置されているが、径方向に対向配置されてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、センサが径方向外方から挿入される構成であるが、軸方向側方から挿入される構成であってもよい。また、センサは、上記実施形態のように、懸架装置にボルト固定される構成であってもよいし、カバー部材自体に固定される構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車輪支持用軸受ユニットを説明するための断面図である。
【図2】図1の右側面図である。
【図3】(a)は、第1実施形態のカバー部材に取り付けられた閉塞部材の斜視図であり、(b)は、閉塞部材の斜視図であり、(c)は、カバー部材に取り付けられた閉塞部材の断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る車輪支持用軸受ユニットの閉塞部材を示し、(a)はセンサ近傍の断面図であり、(b)は(a)のIV−IV線に沿った断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る車輪支持用軸受ユニットの閉塞部材を示し、(a)はセンサ近傍の断面図であり、(b)は(a)のV−V線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0040】
10 車輪支持用軸受ユニット
11 ハブ(回転輪)
12 外輪(静止輪)
13 玉(転動体)
15 ハブ輪
19 小径段部
20 内輪
21 第1内輪軌道面(回転側軌道輪)
22 第2内輪軌道面(回転側軌道輪)
23 第1外輪軌道面(静止側軌道輪)
24 第2外輪軌道面(静止側軌道輪)
27,28 シール装置
34 エンコーダ
40 カバー部材
44a,44b 窓部
50 栓部材(閉塞部材)
60,60a 内扉(閉塞部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周面に静止側軌道面を有し、懸架装置と結合可能な静止輪と、
前記静止側軌道面と対向する周面に回転側軌道面を有すると共に、外周面に車輪を支持する為の車輪取付フランジを有する回転輪と、
前記静止側軌道輪と前記回転側軌道輪との間に設けられる複数の転動体と、
前記回転輪のインボード側端部に前記回転輪と同心に固定されるエンコーダと、
前記静止輪のインボード側端部に固定され、前記エンコーダの回転を検出するセンサを挿入可能な複数の窓部が形成されるカバー部材と、
前記センサが挿入されない前記窓部を塞ぐ閉塞部材と、
を備えることを特徴とする車輪支持用軸受ユニット。
【請求項2】
前記固定されたカバー部材の下方には、水抜き窓が形成され、
前記複数の窓部は、前記静止輪及び前記回転輪の中心軸を通過する鉛直線に対して対称に配置される一対の窓部であり、且つ、
前記閉塞部材は、前記カバー部材の内側で、その円周方向に沿ってスライド可能な内扉であり、
前記車輪が右輪であるときに、該一対の窓部の一方には前記センサが挿入されるとともに、前記一対の窓部の他方は前記内扉によって塞がれ、
前記車輪が左輪であるときに、該一対の窓部の一方は前記内扉によって塞がれ、前記一対の窓部の他方には前記センサが挿入されることを特徴とする請求項1に記載の車輪支持用軸受ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−267557(P2008−267557A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114103(P2007−114103)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】