説明

軟骨化カプセル

【課題】 静水圧を発生する装置のような大がかりな設備を必要とせず、また、静水圧を発生する装置内における培養工程を必要とせず、簡易に自家軟骨と同等の軟骨様組織を再生する。
【解決手段】 細胞外基質または成長因子の少なくとも1つと軟骨細胞とを混合してなる軟骨細胞層2と、該軟骨細胞層2を全周にわたって被覆する生体吸収材料からなる外側層3とを備え、該外側層3が、5MPa〜30MPaの外圧に対する耐圧強度および20MPa〜1500MPaの引っ張り強度を備える軟骨化カプセル1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軟骨組織に形成された欠損部に補填されてこれを修復する軟骨化カプセルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体の軟骨組織に形成された欠損部を修復する方法としては、例えば、特許文献1および特許文献2に示される方法がある。この方法は、欠損部に移植される再生軟骨を、生体外において静水圧を加えて調製するものである。この方法によれば、軟骨細胞に対して、静水圧により変形応力が加えられることで、軟骨細胞が細胞外基質を産生して軟骨様組織を得ることができる。
【特許文献1】特開2001−238663号公報
【特許文献2】特開2003−289851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1,2の方法は、静水圧を発生する装置を必要とし、また、静水圧を発生する装置内において、所定期間にわたって培養する必要がある。このため、大がかりな設備と、手間が必要となるという不都合がある。また、静水圧を発生する装置によって生体内の環境と同様の環境を達成することは困難であり、再生される軟骨様組織が自家軟骨とは異なるものとなってしまう不都合もある。
【0004】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、静水圧を発生する装置のような大がかりな設備を必要とせず、また、静水圧を発生する装置内における培養工程を必要とせず、簡易に自家軟骨と同等の軟骨様組織を再生することができる軟骨化カプセルを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、細胞外基質または成長因子の少なくとも1つと軟骨細胞とを混合してなる軟骨細胞層と、該軟骨細胞層を全周にわたって被覆する生体吸収材料からなる外側層とを備え、該外側層が、5MPa〜30MPaの外圧に対する耐圧強度および20MPa〜1500MPaの引っ張り強度を備える軟骨化カプセルを提供する。
【0006】
本発明によれば、軟骨細胞を含む軟骨細胞層が外側層により被覆されているので、該外側層の外部から加圧力を作用させることにより、軟骨細胞層内の軟骨細胞に所定の圧力をかけた状態に維持することができる。また、軟骨細胞層には細胞外基質または成長因子の少なくとも1つが軟骨化細胞とともに混合されているので、軟骨細胞層内は軟骨細胞が成長して軟骨様組織に置換される生育環境に維持されている。
【0007】
外側層は、5MPa〜30MPaの加圧力または20MPa〜1500MPaの引っ張り力をかけられても破断しないように構成されているので、そのまま生体内の軟骨欠損部に移植された場合に、日常的に軟骨に作用する加圧力を受けても破断することなく内部の軟骨細胞にその加圧力を伝達することができる。したがって、本発明の軟骨化カプセルを生体内の軟骨欠損部に補填して、日常的な加圧力等により加圧状態に維持することで、軟骨細胞層内の軟骨細胞による細胞外基質の産生が活発化し、また、同時に混合されている細胞外基質または成長因子の作用により、軟骨様組織に置換されていくことになる。
【0008】
外側層は、生体吸収材料によって構成されているので、経時的に吸収される。したがって、外側層の生体吸収速度を適当に調節しておくことにより、軟骨細胞層内における軟骨細胞の軟骨様組織への置換が十分に行われた後に、欠損部内の軟骨化カプセルが吸収され、欠損部が修復されることになる。
【0009】
この場合において、本発明によれば、生体外において軟骨細胞から軟骨様組織を再生するのではなく、実際に生体内の軟骨欠損部に補填した状態で、軟骨細胞を加圧状態にして細胞外基質の産生を活発化させることができるので、自家軟骨に近い軟骨様組織を得ることが可能となる。
【0010】
上記発明においては、前記外側層が、アルギン酸、キチン、キトサン、コラーゲン、プロテオグリカン、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、ポリペプチド、ポリアミノ酸、羊膜または骨膜の少なくとも1以上の材料により構成されていることが好ましい。
これらの材料によれば、生体吸収性があり、かつ、上記耐圧強度を有する外側層を簡易に構成することができる。特に、羊膜または骨膜は、生物由来の材料であるため、外部の軟骨組織との適合性が良好であり、軟骨欠損部に補填した場合に、周囲の軟骨組織に容易に適合させ、再生された軟骨様組織と周囲の軟骨組織とを一体化させることができる。
また、これらの材料の混合比率を調節して、生体への吸収速度を調節することにしてもよい。
【0011】
上記発明においては、前記外側層が外部環境と関節液等の生体成分を交換可能な透過性を有することが好ましい。
このようにすることで、外部環境から軟骨化カプセル内の軟骨細胞に栄養や成長因子が供給され、軟骨細胞の成長が促進されることになる。
【0012】
また、上記発明においては、前記軟骨細胞層が、コラーゲン、プロテオグリカン、自家由来の増殖因子、多血小板血漿またはその他の成長因子の少なくとも1以上の材料を含んでいることが好ましい。
これらの材料は生体吸収性があるとともに、同時に混合される軟骨細胞の生育環境を生体内の環境と同等に維持して細胞外基質の産生を促進し、早期に軟骨様組織を再生することができる。
【0013】
また、上記発明においては、前記外側層が、多層構造を備えることとしてもよい。
多層構造とすることにより、所望の耐圧強度を達成するように外側層を構成することができる。また、多層構造とすることにより、内側に配される部分は軟骨細胞の生育環境を維持するのに適した材料を用い、外側に配される部分は外部の軟骨組織との良好な適合性を有する材料を用いることができる。さらに、耐圧強度を受け持つ部分を外側に配し、生体への吸収速度を外側に向かって遅くしていくことにより、軟骨細胞が軟骨様組織に十分に置換されるまで軟骨細胞層を外側層によって被覆状態に維持しつつ、徐々に吸収させていくことができる。
【0014】
上記のように構成された軟骨化カプセルは、当該軟骨化カプセルよりも小さな容積を有する軟骨欠損部に圧入することが好ましい。
このようにすることで、軟骨欠損部が形成されている関節等に負荷をかけない状態においても、軟骨細胞層内の軟骨細胞に予圧をかけた状態に維持することができ、細胞外基質の産生を活発化させて、軟骨様組織を迅速に製造することができる。
また、関節等に負荷をかけることにより、軟骨細胞層内の軟骨細胞に付与する圧力変動を現実の軟骨と同等に設定することができ、自家軟骨化を促進することができる。
【0015】
また、軟骨欠損部に圧入した軟骨化カプセルを軟骨組織に縫合して固定することにしてもよい。軟骨化カプセルを軟骨組織に縫合することにより、より確実に、軟骨細胞への予圧状態を維持することができる。
さらに、軟骨欠損部に圧入した軟骨化カプセルを骨膜で封入、縫合して固定することにしてもよい。骨膜で封入することにより、骨膜中に存在する細胞の影響で自家軟骨化を促進することができる。
また、軟骨化カプセルの移植部位としては、軟骨部位であり、各関節、椎間板または顔面の部位であることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、現実に軟骨様組織の再生が必要とされる軟骨欠損部に圧入した状態で軟骨様組織を再生可能とすることにより、静水圧を発生する装置のような大がかりな設備を必要とせず、また、静水圧を発生する装置内における培養工程を必要とせず、簡易に自家軟骨と同等の軟骨様組織を再生することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る軟骨化カプセルおよび該軟骨化カプセルを用いた軟骨様組織の製造方法について、図1から図4を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る軟骨化カプセル1は、図1に示されるように、中心に配される軟骨細胞層2と、その周囲を被覆する外側層3とを備え、補填されるべき軟骨組織の欠損部の内容積よりも大きな体積を有するように構成されている。外側層3は2層に構成され、内側に配される内膜層4と外側に配される外膜層5とを備えている。
【0018】
前記軟骨細胞層は、軟骨細胞と、細胞外基質または成長因子の少なくとも1つとを混合して構成されている。
軟骨細胞は、患者から採取した軟骨細胞自体、または、軟骨細胞に分化可能な細胞を培養して得たものである。軟骨細胞に分化可能な細胞としては、骨髄由来の幹細胞、脂肪由来の幹細胞、臍帯血由来の幹細胞、胎盤由来の幹細胞、滑膜由来の幹細胞、または胚性幹細胞が挙げられる。
また、細胞外基質または成長因子としては、例えば、コラーゲン(I、II、IXおよびXI型)、プロテオグリカン(アグリカン)、ヒアルロン酸、自家由来の増殖因子、多血小板血漿またはその他の増殖因子が挙げられる。
【0019】
また、外側層3としては、アルギン酸、キチン、キトサン、コラーゲン、プロテオグリカン、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、ポリペプチド、ポリアミノ酸、羊膜または骨膜の少なくとも1つの材料から構成されたものを挙げることができる。外側層3としては、これらの材料を2以上組み合わせることで、生体への吸収速度を調節することができる。本実施形態においては、修復すべき欠損部の容積等を考慮して、生体への吸収により外側層3が破断するまでの期間を確保できるような吸収速度を達成するように材料が選択され、あるいは材料の混合比率が設定されている。
【0020】
本実施形態に係る軟骨化カプセル1を製造するには、例えば、上記のようにして得られた軟骨細胞を、所定の培地、体液(例えば、関節液)、生理食塩水、リンゲル液または擬似関節液および3〜25質量%の血清と混合して細胞懸濁液を調製する。次に、このようにして調製された細胞懸濁液と上記細胞外基質または成長因子の少なくとも1つとを1:0.2〜5.0の混合比率で混合する。
【0021】
そして、混合された材料を、外側層3を構成する材料と混合する。外側層3を構成する材料が、例えば、アルギン酸の場合には、混合された材料を塩化カルシウム溶液(硬化液)中に滴下することにより、アルギン酸と塩化カルシウムとでイオン交換が行われアルギン酸が硬化させられることになり、軟骨細胞層2の周囲がアルギン酸からなる内膜層4により被覆された中間体が形成される。
さらに、形成された中間体を、例えば、コラーゲン溶液と混合したものを培地中に投下することにより、内膜層4の周囲に外膜層5が形成された3重構造の軟骨化カプセル1が構成されることになる。
なお、同様の方法によりポリビニルアルコール等からなる外側層3を有する軟骨化カプセル1を製造することができる。
【0022】
本実施形態においては、内膜層4および外膜層5からなる外側層3の厚さを調節することにより、5MPa〜30MPaの外部からの加圧力または20MPa〜1500MPaの引っ張り力によっても外側層3が破断することなく維持され、かつ、その加圧力の一部または全部を内側の軟骨細胞層2に伝達することができるように構成されている。
【0023】
このように構成された本実施形態に係る軟骨化カプセル1によれば、軟骨細胞層2内に軟骨細胞とともに細胞外基質および成長因子が混合されているので、軟骨細胞層2内は、軟骨細胞にとって適正な生育環境に維持され、軟骨細胞が比較的長期間にわたって健全な状態に維持される。
【0024】
次に、このように構成された本実施形態に係る軟骨化カプセル1を用いて軟骨組織Aに形成された欠損部Bを修復する場合について説明する。対象となる患部は、椎間板、顔面、歯科関節などが挙げられる。
【0025】
本実施形態に係る軟骨化カプセル1は、図2に示されるように、欠損部Bの内容積より大きな体積を有するように製造されており、軟骨化カプセル1は欠損部B内に圧入されることになる。このとき、軟骨化カプセル1に外部から5MPa〜30MPaの範囲内の圧力が加わるように軟骨化カプセル1の体積が設定されていることが好ましい。この圧力範囲は、通常に生活する際に軟骨にかかる圧力の範囲だからである。
【0026】
欠損部Bに圧入された軟骨化カプセル1は、相手側の軟骨Cによる常時押圧が期待できない場合等には、図3に示されるように、P部において骨膜に縫合されることにより欠損部Bに固定した状態に保持される。また、該欠損部Bが形成されている軟骨組織Aに圧接される相手側の軟骨Cによって常時押圧されることになる場合には、図4に示されるように、圧入されただけの状態で相手側の軟骨Cによって押さえられて欠損部B内に保持される。
【0027】
このようにして軟骨組織Aの欠損部B内に圧入状態に配された軟骨化カプセル1の軟骨細胞層2には、上記圧力範囲の圧力が図中の矢印で示されるように加え続けられる。したがって、軟骨細胞が物理的に刺激されて細胞外基質を活発に産生するようになる。その結果、軟骨細胞層2内においては、早期にかつ迅速に軟骨様組織が形成され、自家軟骨化が促進されることになる。
【0028】
また、本実施形態に係る軟骨化カプセル1は、上記のような材料からなる外側層3を備えているので、外側層3自体に十分な弾性が備えられている。したがって、欠損部Bに圧入されて相手側の軟骨Cにより押圧されると、その弾性力によって相手側の軟骨Cを支持することができる。したがって、軟骨化カプセル1内の軟骨細胞により軟骨様組織が構成される前の状態においても、患者が関節に軽い負荷をかけるような運動を行うことができる。
【0029】
そして、このような運動を行うことによっても、軟骨細胞層2内の軟骨細胞に圧力をかけることができ、細胞外基質の産生をさらに活発化させることができ、軟骨細胞層2が自家軟骨化されていくことになる。
この場合において、本実施形態に係る軟骨化カプセル1によれば、実際に補填される軟骨欠損部Bに補填された状態で軟骨様組織が形成されるので、軟骨細胞層2内の軟骨細胞の生育環境および条件は周囲の自家軟骨組織と同様であり、自家軟骨組織に近い軟骨様組織を再生することができる。
【0030】
一方、本実施形態の軟骨化カプセル1の外側層3は、生体吸収性の材料により構成されているので、軟骨組織Aの欠損部B内に移植されると吸収または分解が開始される。この場合に、本実施形態に係る軟骨化カプセル1によれば、外側層3の厚さや材質を調節することによって、軟骨細胞層2内における軟骨様組織の形成がある程度進行するまで外側層3が破断しないように、その吸収速度が設定されているので、軟骨様組織が外部からの荷重を支持できる程度に十分に形成された後に外側層3が破断し、形成された軟骨様組織が外部の自家軟骨組織Aと接触するようになる。その後は、経時的に外側層3が吸収または分解されて消失し、再生された軟骨様組織と周囲の自家軟骨組織Aとが癒着して一体化し、軟骨欠損部Bが完全に修復されることになる。
【0031】
このように、本実施形態に係る軟骨化カプセル1およびこれを用いた軟骨様組織の製造方法によれば、修復すべき軟骨欠損部Bに直接圧入して軟骨様組織を製造するので、従来の生体外における静水圧による軟骨細胞の再生方法とは異なり、設備や手間を削減することができるという利点がある。加えて、補填すべき軟骨欠損部Bにおいて軟骨様組織を再生するので、再生される軟骨様組織を、周囲の自家軟骨組織Aに近い形態で再生することができる。
【0032】
また、本実施形態に係る軟骨化カプセル1においては、外側層3が外部環境と関節液等の生体成分を交換可能な透過性を有することが好ましい。すなわち、上記材料からなる外側層により、水透過性のある半透膜を構成することで、外部環境から軟骨化カプセル1内の軟骨細胞に栄養や成長因子が供給され、軟骨細胞の成長が促進されることになる。
【0033】
なお、本実施形態においては、アルギン酸を外側層3とする場合について説明したが、コラーゲンを外側層3とする場合には、以下のとおりに製造することができる。
まず、氷中で冷却しながら滅菌したフラスコに8容量のコラーゲン溶液、1容量の10倍濃度培地(市販の粉末培地を10倍の濃度に溶かして濾過滅菌し、抗生物質を10倍量加えたもの)を加え、静かに攪拌する。
【0034】
そして、1容量程度の血清あるいは他の添加物を加えて混合し、コラーゲン混合液を調製する。
このようにして調製したコラーゲン混合液中に軟骨細胞を浮遊させた細胞懸濁液を調製し、37℃に保温した液深の高い培地(pH7.2〜7.4)中にピペットで滴下するか、表面が撥水性の容器内に滴下してCOインキュベータ内に入れることにより、コラーゲンを外側層3とする軟骨化カプセル1を製造することができる。
なお、同様の方法によりキトサン、ポリペプチド、ポリアミノ酸等からなる外側層3を有する軟骨化カプセル1を製造することができる。
【0035】
また、上記実施形態においては、内膜層4と外膜層5とからなる外側層3を有する同心球体状の軟骨化カプセル1を例に挙げて説明したが、これに代えて、図5に示されるように、内膜層4と軟骨細胞層2とをあわせてシート状に形成し、これを折り畳んだものを外膜層5によって包む構造を採用してもよい。また、図6に示されるように、内膜層4と軟骨細胞層2とを合わせて小さいカプセルを形成し、複数個の小カプセルを外膜層5によって包む構造を採用してもよい。
【0036】
また、軟骨欠損部Bの内容積が比較的大きな場合には、それよりも小さい体積を有する複数の軟骨化カプセル1を軟骨欠損部B内に圧入してもよい。この場合に、これらの軟骨化カプセル1を一体的に扱うように、例えば、コラーゲンネット(図示略)によって包んだものを軟骨欠損部B内に圧入することにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る軟骨化カプセルを示す縦断面図である。
【図2】図1の軟骨化カプセルと、該軟骨化カプセルを圧入する軟骨欠損部との大小関係を概略的に示す図である。
【図3】図1の軟骨化カプセルを軟骨欠損部に圧入した状態を示す縦断面図である。
【図4】図1の軟骨化カプセルを軟骨欠損部に圧入し、相手側の軟骨により押さえた状態を示す縦断面図である。
【図5】図1の軟骨化カプセルの変形例を示す縦断面図である。
【図6】図1の軟骨化カプセルの他の変形例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0038】
B 軟骨欠損部
1 軟骨化カプセル
2 軟骨細胞層
3 外側層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞外基質または成長因子の少なくとも1つと軟骨細胞とを混合してなる軟骨細胞層と、該軟骨細胞層を全周にわたって被覆する生体吸収材料からなる外側層とを備え、
該外側層が、5MPa〜30MPaの外圧に対する耐圧強度および20MPa〜1500MPaの引っ張り強度を備える軟骨化カプセル。
【請求項2】
前記軟骨細胞が、軟骨細胞自体または、軟骨細胞に分化可能な細胞からなり、
軟骨細胞に分化可能な細胞が、骨髄由来の幹細胞、脂肪由来の幹細胞、臍帯血由来の幹細胞、胎盤由来の幹細胞、滑膜由来の幹細胞または胚性幹細胞のいずれかからなる請求項1に記載の軟骨化カプセル。
【請求項3】
前記外側層が、アルギン酸、キチン、キトサン、コラーゲン、プロテオグリカン、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、ポリペプチド、ポリアミノ酸、羊膜または骨膜の少なくとも1以上の材料により構成されている請求項1または請求項2に記載の軟骨化カプセル。
【請求項4】
前記外側層が、外部環境と生体成分を交換可能な透過性を有する請求項1から請求項3のいずれかに記載の軟骨化カプセル。
【請求項5】
前記軟骨細胞層が、コラーゲン、プロテオグリカン、自家由来の増殖因子、多血小板血漿またはその他の成長因子の少なくとも1以上の材料を含んでいる請求項1から請求項4のいずれかに記載の軟骨化カプセル。
【請求項6】
前記外側層が、多層構造を備える請求項1から請求項5のいずれかに記載の軟骨化カプセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−51157(P2006−51157A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−234467(P2004−234467)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】