説明

転写印刷された高密度繊維板を有する床材及びその製造方法

【課題】高密度繊維板(HDF)に転写印刷技術を適用した床材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】コア(core)層である高密度繊維板の上部に水性プライマー層を形成し、このプライマー層上に転写印刷を施すことにより、高密度繊維板の下地繊維木目を隠したのみならず、コア層と印刷層の接着力を強化させ、表面に木のナチュラル感をたっぷりと具現した低価格の床材を提供する。また、本発明の床材は高密度繊維板上にダイレクト転写印刷を施すことにより床材の耐衝撃性が遥かに改善され、また表面塗装層にガラスチョップ、セラミック、粘土、シリカなどの無機物を選んで添加することにより耐突刺し性、耐スクラッチ性など表面物性が遥かに改善されたし、裏面に防水層を形成して湿度の変化による変形問題を解決したし、木材に比べて熱伝達効果に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高密度繊維板に転写印刷を施した床材及びその製造方法に係り、さらに詳しくは高密度繊維板コア層の上部に水性プライマー層を形成し、このプライマー層上に転写印刷を施すことにより、高密度繊維板の下地繊維木目を隠蔽させるのみならず、コア層と印刷層の接着力を強化させ、表面に木のナチュラル感たっぷりの低価格であり耐久性に優れた床材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の耐水合板上に天然模様木を積層し表面塗装処理して製造されたオンドル床材は原木の天然質感を極大化し、耐水合板層を使用することにより熱及び湿気に対して寸法安定性に優れた長所があるものの、模様木自体の密度が低いのみならず、耐水合板自体の密度(0.6ないし0.8g/cm)が低いため、表面にUV塗装を施しても表面の低い耐スクラッチ性(ダイアモンドチップ試験時0.5ないし3.0N)及び低い耐衝撃性(225g鉄球自由落下試験時10ないし20cm)を示すが、これは一般にユーザが床材を使用する時不注意によって生活用品を落したり、重たい物を運ぶ時に床材の表面が損傷する場合があり、熱伝導性も低くてエネルギ損失を引き起す。
【0003】
一方、基材層である高密度繊維板(HDF)層の上部に印刷層及びメラミン含浸オーバレイシートを積層し、下部にはバランス層を積層して製造された強化床材は耐水合板オンドル床材に比べて表面は強いが、熱硬化性メラミン樹脂を表面材で使用するため湿気に敏感であり、表面が極めてブリットル(Brittle)になる特性を持っていて、ユーザに冷たさを感じさせ、一定荷重以上の鋭い物体や重たい物体が落される時衝撃部位が割れたり突き刺されるなど部分破損が発生する短所があるのみならず、人為的な印刷形成で表現される表面は耐水合板オンドル床材に比べて原木の天然質感がかなり低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は前述した従来の床材の問題点を解決するために案出されたもので、その目的は上部層に水性プライマー層を形成し、このプライマー層上に転写印刷を施すことにより、高密度繊維板の下地繊維木目を隠蔽させるのみならず、コア層と印刷層の接着力を強化させることができ、表面に木のナチュラル感を味わえ、基材層としては高密度繊維板を使用して表面の耐衝撃性が遥かに改善された床材を提供するところにある。
【0005】
本発明の他の目的は、基材層である高密度繊維板の下部に裏面防水層を形成することにより、湿度の変化による変形問題を完璧に解決し、表面塗装層にガラスチョップ、セラミック、ナノ無機物、シリカなどを添加して耐スクラッチ性、耐突刺し性など表面物性を遥かに改善することにより、重たいか鋭い物体による突刺し、割れ、スクラッチなどの表面破損を防止することができる床材を提供するところにある。
【0006】
本発明のさらに他の目的は、一定条件下でプライマー層、転写印刷層、表面塗装層及び裏面防水層を形成する方法を含む作業性と生産性が向上された床材の製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述した目的を達成するため、下から裏面防水層、高密度繊維板層、プライマー層、転写印刷層及び高強度表面塗装層を含む床材を提供する。
【0008】
本発明の床材は原木床及び一般強化床対比低価格であり耐湿性に優れるのみならず、高密度繊維板に直接転写印刷を施すことにより、耐水合板オンドル床より耐衝撃性が遥かに改善され、熱伝導性に優れて省エネルギにおいても長所がある。
【0009】
また、本発明の床材は高密度繊維板の基材層の上部に印刷層及びメラミン含浸オーバレイシートを積層して製造された強化床対比、精巧な転写印刷が具現された表面で木のナチュラル感をたっぷりと具現できるということが最大の長所として挙げられ、耐衝撃性に優れ消費者に暖かさを感じさせ、安価である。
【0010】
本発明においてプライマー層は環境汚染を考慮して生産性及び作業性を改善するように水性樹脂で構成することが望ましい。水性樹脂としてはアクリルウレタン系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリイソシアネート系、ポリエステル系、アクリレート系、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド系、メラミン系、合成ゴム系、ポリビニルアルコール系樹脂などが使用可能であり、特に水性アクリルウレタン樹脂が望ましい。
【0011】
本発明においてプライマー層は水性アクリルウレタン(30ないし70重量%)を含む2液型樹脂よりなることが望ましく、高密度繊維板の下地模様木目の隠蔽のために1ないし5重量%の無機質顔料を添加することが望ましい。
【0012】
前述したような組成のプライマー層は高密度繊維板層と転写印刷層との接着力を増大させ、床材の大切な特性中の一つである完製品の耐水性を強化させる効果を有する。
【0013】
本発明において転写印刷層は汎用のポリエチレンテレフタレート(PET)転写紙を使用して転写印刷した層である。
【0014】
本発明において裏面防水層は紫外線硬化型表面処理剤、熱硬化型表面処理剤、合成樹脂類、ワックス類、シリコン系撥水剤、シリコン系防水剤などをコーティングして形成されたものである。高密度繊維板層の裏面に防水層を形成することにより湿度の変化による変形問題を解決することができる。
【0015】
本発明において表面塗装層は表面プライマー層、下塗層、中塗層及び上塗層で構成され、プライマー層に分子量100、000ないし200、000の水性アクリルを使用し、下塗層及び上塗層にはセラミック、ガラスチョップ(glass chop)、粘土、シリカなどの無機物を添加して、耐スクラッチ性などの表面物性を遥かに改善させることにより、重たいか鋭い物体による突刺し、割り、スクラッチなどの表面破損を防止することができる。
【0016】
本発明の床材は相互結合され得るように最終的にT&G(Tongue and Groove)、クリック(Click) システム、またはコネクタによる連結構造を有する。
【0017】
また、本発明は転写印刷紙と高密度繊維板層を用意する段階と、高密度繊維板層の下部に裏面防水層を形成する段階と、高密度繊維板層の上部にプライマー層を形成する段階と、熱圧によってプライマー層の上部に転写印刷を施して転写印刷層を形成する段階と、転写印刷層の上部に表面プライマー層、下塗層、中塗層及び上塗層よりなる表面塗装層を形成する段階と、裁断及び形状加工する段階を含む床材の製造方法を提供する。
【0018】
本発明により高密度繊維板の上部にプライマー層を形成する段階で水性樹脂を一定した厚さでコーティングした後80ないし160℃のオーブンで30秒ないし5分間通過させて乾燥及び硬化させることが望ましい。
【0019】
本発明において転写印刷は製品の変形防止及び生産性向上を考慮して、温度80ないし120℃、圧力0.4ないし1.0MPa、時間5秒ないし2分の条件で行うことが望ましい。
【発明の効果】
【0020】
以上述べたように、本発明はコア層である高密度繊維板の上部に水性アクリルウレタンなどを用いたプライマー層を形成し、このプライマー層上に転写印刷を施すことにより高密度繊維板の下地繊維木目を隠蔽するのみならず、コア層と印刷層との接着力を強化させた。
【0021】
また、本発明の床材は高密度繊維板上にダイレクト(direct)転写印刷を施すことにより床材の耐衝撃性が遥かに改善されたし、また表面塗装層にガラスチョップ(glass chop)、セラミック、粘土、 シリカ(silica)などの無機物を選択して添加することにより耐突刺し性、耐スクラッチ(scratch)性など表面物性が遥かに改善されたし、裏面に防水層を形成して湿度の変化による変形問題を解決したし、木材に比べて熱伝達効果が優秀である。
【0022】
また、本発明の床材は転写印刷層を形成して木のナチュラル感をたっぷりと具現し、特に高密度繊維板層に直接転写印刷技術を確保することにより、既存の床材の表面層の素材の使用によるコストアップを最小化させた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付した図面に基づき本発明を詳述する。
【0024】
図1は本発明の一実施例による床材の断面図であって、この床材は上から表面塗装層10、転写印刷層20、プライマー層30、高密度繊維板層40、裏面防水層50で構成されており、この構造で耐水性を増大するため転写印刷層20の上に表面塗装処理を施すことは勿論、高密度繊維板層40の裏面にウレタンアクリレートを主成分にする紫外線硬化型または熱硬化型表面処理層をコーティングしたり、ポリオレフィン、ポリエステルなどの合成樹脂類、ワックス類、シリコン系撥水剤、シリコン系防水剤の中から選ばれる1種以上をコーティングすることにより、湿気が高密度繊維板層40に浸透され床材が腐るか変形することを防止することができる。
【0025】
前記転写印刷層20は木の天然効果を創出するために転写印刷技術が適用され、消費者のニーズに応じてオーク(Oak)、バーチ(Birch)、チェーリ(Cherry)、メープル(Maple)、ウォルナット(Walnut)など模様木として使われる全樹種の模様を自由に具現でき、転写紙としては汎用のPET転写紙を使用することができる。
【0026】
前記高密度繊維板層40を構成する高密度繊維板(HDF)は比重が0.85ないし1.1g/mのものを使用することが望ましい。高密度繊維板は中密度繊維板(MDF)やパーチクルボード(PB)より相当に硬質であり耐水性と寸法安定性に優れ、機械的強度が高いため、床材の基材層として使用する時寸法安定性、衝撃強度及び耐湿性を大幅に改善されられる。
【0027】
このような高密度繊維板は耐水合板に比べて低価格であり耐磨耗性及び耐衝撃性に優れ、節などのような欠陥が除去され、繊維が各方向によって均一に配列され物性が均一である。また、HDFは容易に加工することができ、加工処理後極めて平滑で柔らかい表面が得られて、これを用いて製造された床材も表面が平滑であり柔らかさを感じさせる。そして、床材を垂直または水平方向に結合する形態である一体化した機械式固定システム、例えばクリック(click)施工構造、コネクタによる連結構造を実現でき、弾性的に膨張力及び収縮力を収めることにより床材間の結合が解除されたり損傷されることを避けられる。
【0028】
前記プライマー層30は高密度繊維板の下地模様木目を隠し、高密度繊維板層40と転写印刷層20との間の接着力を強化させるためのもので、この際使用可能な樹脂としては、水性樹脂としてアクリルウレタン系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリイソシアネート系、ポリエステル系、アクリレート系、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド系、熱硬化型メラミン系、合成ゴム系、 ポリビニルアルコール系樹脂などであり、特に水性アクリルウレタン樹脂が望ましい。
【0029】
一般に多用される有機溶剤型樹脂は最近揮発性有機化合物(VOC)に対する厳しい規制とシックハウス症候群の原因になるため使用できず、水性樹脂を使用することによりフォルムアルデヒドの放散量をゼロ化し、揮発性有機溶媒の発生を予防することができる。
【0030】
前記表面塗装層10は転写印刷層20上に紫外線表面塗装処理を施して仕上げたもので、表面塗装層は一般的に下から表面プライマー、下塗、中塗及び上塗層よりなる。
【0031】
前記表面プライマー層は表面の耐衝撃性及び耐突刺し性の増大のため、分子量が比較的低い単量体及びオリゴマを紫外線硬化させ形成されることにより、塗料がさらに容易にコーティングでき、この際10秒ないし4分間経過して硬化させることが望ましい。
【0032】
前記下塗層には表面物性の増大のため、ガラスチョップなど無機物が添加でき、添加量は0.1ないし10重量%であることが望ましい。
【0033】
前記上塗層には表面の耐スクラッチ性及び耐磨耗性の増大のため、ナノ無機物、シリカなどを添加でき、添加量は0.1ないし10重量%であることが望ましい。
【0034】
前記裏面防水層50は耐水性を増大させるため高密度繊維板層40の下に積層され、ウレタンアクリレートを主成分にする紫外線硬化型または熱硬化型表面処理層をコーティングしたり、ポリオレフィン、ポリエステルなどの合成樹脂類、ワックス類、シリコン系撥水剤、シリコン系防水剤の中から選ばれる1種以上をコーティングすることにより、湿気が高密度繊維板層40に浸透され床材が腐るか変形することを防止することができる。
【0035】
本発明の床材は組立ての容易性を考慮して完製品が一般的なT&G形態で加工されることが望ましいが、垂直または水平方向に結合する形態である一体化した機械的固定システム、例えばクリック施工構造、コネクタによる連結構造を有しうる。
【0036】
図2は本発明の一実施例による床材の製造工程図であって、高密度繊維板層40の下部に裏面防水層を形成する第1工程と、高密度繊維板層40の上部にプライマー層30を形成する第2工程と、プライマー層30の上部に転写印刷層を形成する第3工程と、転写印刷層20の上部に表面塗装処理する第4工程と、裁断及び形状加工する第5工程など全部で5種類の工程に区分される。
【0037】
前記第2工程においてプライマー層30の乾燥温度は80ないし160℃であることが望ましい。乾燥温度が高すぎると高密度繊維板の変形が激しく起り、乾燥温度が低すぎるとプライマー層30の不完全乾燥による転写印刷層20と高密度繊維板層40との接着不良を引き起こす場合があり、接着されても表面レべリング(leveling)が不良な結果をもたらす。
【0038】
前記第3工程で転写印刷の圧力は0.4ないし1.0MPaであることが望ましい。圧力が高すぎると転写印刷層が破壊され、圧力が低すぎると印刷不良を引き起こす場合がある。または、転写印刷時間は5秒ないし2分であることが望ましい。転写印刷時間が短すぎると印刷インクの不完全転写による印刷不良が発生する場合があり、転写印刷時間が長すぎると転写印刷層が破壊されうる。
【0039】
本発明の他の実施例によれば、図2に示された工程のように高密度繊維板層40の下に裏面防水層50を形成した後プライマー層30、転写印刷層20及び表面塗装層10を形成する方法の他、プライマー層30、転写印刷層20及び表面塗装層10を形成した後裏面防水層50を形成する方法、またはプライマー層30を形成した後裏面防水層50、転写印刷層20及び表面塗装層を形成する方法で製造できる。
【0040】
前記第4工程において前記方法により製造された半製品の転写印刷層20上に表面塗装層10を形成する。表面塗装処理は通常の一般の床材工程の紫外線硬化方法で進まれるが、転写印刷層20の上に表面プライマー、下塗、中塗及び上塗層の順でコーティングして硬化させる。
【0041】
表面塗装層10はウレタンアクリレートを主成分にする紫外線硬化型または熱硬化型形態の合成樹脂であって、突刺しや衝撃に強い表面物性を有するため、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ウレア樹脂、アクリレート系樹脂よりなる群から選ばれる1種以上の樹脂を使用することが望ましく、特にエポキシ樹脂が望ましい。
【0042】
また、表面の耐衝撃性及び耐突刺し性の増大のため、油性または水性のモノマー及び低い分子量のオリゴマを80ないし150℃で硬化させ表面プライマー層を形成することにより、塗料がさらに容易に印刷層にコーティングでき、この際10秒ないし4分経過して硬化させることが望ましい。
【0043】
下塗層にはセラミック、ガラスチョップなど無機物が添加され、添加量は0.1ないし10重量%であることが望ましい。そして、床材表面の耐スクラッチ性を向上させるため、上塗層には粘土鉱物、セラミック、シリカなど無機物またはナノ無機物の中から1種以上を選んで添加でき、透明性に影響を与えないようにウレタンアクリレート樹脂100重量部に0.1ないし10重量部範囲で十分に分散させて添加することが望ましい。
【0044】
図3は本発明に係る床材のT&G形態を有する完製品の平面図であって、加工工程において長手方向と幅方向の4面を図3で示したように、舌(Tongue)80二つの部位、溝(グルーブ)90の二つの部位に加工して床材の外観を有するように作製することが望ましく、クリックシステムやコネクタを用いたシステムなど垂直または水平方向に結合する形態である一体化された機械的固定システムでも加工することができる。
【0045】
以下、本発明の望ましい実施例を述べる。しかし、下記の実施例は本発明を例示するためのものにすぎず、本発明の下記実施例に限られない。
【実施例1】
【0046】
基材層である高密度繊維板層40の下部に紫外線硬化型塗装層をコーティングして裏面防水層50を形成した。高密度繊維板層40の上部にプライマー層30を形成した後、熱圧によって転写印刷層20を形成した。前記転写印刷層20上に表面塗装層10を形成した後、T&G80、90形態で裁断及び形状加工して、図1のような転写印刷層と高密度繊維板を有する床材を製造した。
【0047】
この際、プライマー層30は水性アクリルウレタン重量50%の2液型樹脂を使用したし、120℃のオーブンに2分間通過させて乾燥させた。転写印刷紙としては汎用のPET紙を使用したし、100℃の温度で0.7MPaの圧力で1分間熱圧して転写印刷を施した。基材層40としては密度が900kg/m以上、含水率が4.0ないし7.0%、厚さが7.5ないし8.0mmのHDFを使用した。
前記転写印刷層20上に表面プライマー、下塗及び中塗の順で塗装したし、セラミック5重量%を添加した下塗層を塗装した後、幅85ないし95mm、長さ850ないし950mmになるようにテノーナ(tenoner)を用いて裁断し側面にT&G加工を施した後、最後にナノ無機物5重量%を添加した上塗層を塗装して完製品を製造した。
【実施例2】
【0048】
実施例1においてプライマー層30に対して水性アクリル酸エステル重量62%の1液型樹脂を使用したし、120℃のオーブンに1分間通過させて乾燥させ、残り工程は同様に完製品を製造した。
【比較例1】
【0049】
耐水合板を基材にして、その上部に天然模様木を積層しUV硬化表面塗装処理した合板床。
【比較例2】
【0050】
高密度繊維板(HDF)を基材にし、メラミン樹脂を表面層に積層した強化床。
【試験例】
【0051】
前記実施例1と2及び比較例1と2の床材に対して物性を比較したし、その結果は表1の通りである。
【表1】

【0052】
表1のテスト項目のうち表面突刺し性は、重さ110gの一字型ドライバを測定対象である床材の表面(水平面と45°をなす)に自由落下させる時表面に損傷が生ずる落下高さを測定したものである。表1の測定結果によれば、従来の強化床(比較例2)及び合板オンドル床(比較例1)の場合一字型ドライバを10cm高さから自由落下時表面に突刺し跡が発生した一方、本発明の床材(実施例1、実施例2)は20cmの高さで突刺し跡が発生した。
【0053】
表1のテスト項目のうち表面突刺し性は、直径3cm、重さ228gの鉄球を測定対象である床材の表面に垂直で自由落下させる時表面が割れる落下高さを測定したものである。表1の測定結果によれば、従来の強化床(比較例2)及び合板オンドル床(比較例1)の場合鉄球を自由落下時それぞれ35cm及び20cm高さから表面が割れる現象が発生した一方、本発明の床材(実施例1、実施例2)は50cm高さから鉄球を落下する時から表面の割れ現象が発生した。
【0054】
表1のテスト項目のうち寸法安定性は、測定対象である床材を80℃加熱オーブンと常温水槽に24時間放置した後それぞれ長さ(L)及び幅(W)の寸法変化率を測定したものである。表1の測定結果によれば、本発明の床材の寸法安定性は合板オンドル床よりは多少劣るが、既存の強化床よりは遥かに優秀であった。
【0055】
表1のテスト項目のうちスクラッチ性は、クレメンス型引掻硬度試験機を使用して荷重当たり(N)表面が掻かれる程度をKS M3332の3.15項方法により測定したものである。表1の測定結果によれば、本発明の床材の耐スクラッチ性(5.0N)は合板オンドル床(3.0N)及び強化床(4.0N)より優れた。
【0056】
表1のテスト項目のうち吸収厚さ膨張率は、常温水で24時間(U字形、KS F3200の6.9項)、70℃温水で2時間(M字形)浸漬してその厚さ変化率を測定したものである。表1の測定結果によれば、本発明の床材のU字形吸収厚さ膨張率(2.5%)は既存の強化床(2.5%)と同等レベルであるが、M字形吸収厚さ膨張率(実施例1:30%、実施例2:35%)は既存の強化床(50%)より遥かに優れた。
【0057】
前記実施例1と2及び比較例1と2の床材に対してWarp(撓み)安定性を比較したし、その結果は表2の通りである。
【表2】

【0058】
表2のWarp安定性はサンプルを80±2℃オーブンに24時間放置した後カール(curl)及びドーム(dome)寸法を測定したものである。測定結果本発明の床材の幅方向のwarp安定性に最も優れ、本発明の床材の長手方向warp安定性(実施例1:1.21mm、実施例2:1.30mm)は既存の強化床(比較例2:0.96mm)よりは多少劣るが、合板オンドル床(比較例1:5.77mm)よりは遥かに優れた。
【0059】
前記実験結果から類推すれば、本発明に係る床材は重たい物体や鋭い物体による表面の突刺しや損傷に対して従来の合板オンドル床及び強化床対比優れた表面物性を有してのみならず、対称に設計された構造はバランスが取れて安定であることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施例による床材の断面図である。
【図2】本発明の一実施例による床材の製造工程図である。
【図3】本発明に係る床材のT&G(Tongue and Groove)形態を有する完製品の平面図である。
【符号の説明】
【0061】
10 表面塗装層
20 転写印刷層
30 プライマー層
40 高密度繊維板(HDF)層
50 裏面防水層
80 舌(Tongue)
90 溝(Groove)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下から高密度繊維板層、プライマー層及び印刷層を含む床材。
【請求項2】
プライマー層が水性樹脂よりなることを特徴とする請求項1に記載の床材。
【請求項3】
水性樹脂がアクリルウレタン系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリイソシアネート系、ポリエステル系、アクリレート系、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド系、メラミン系、合成ゴム系、ポリビニルアルコール系樹脂の中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項2に記載の床材。
【請求項4】
プライマー層が水性アクリルウレタンを含む2液型樹脂よりなることを特徴とする請求項3に記載の床材。
【請求項5】
プライマー層が1ないし5重量%の顔料を含むことを特徴とする請求項1に記載の床材。
【請求項6】
印刷層が汎用のポリエチレンテレフタレート転写紙を使用する転写印刷層であることを特徴とする請求項1に記載の床材。
【請求項7】
下から裏面防水層、高密度繊維板層、プライマー層、転写印刷層及び表面塗装層を含む請求項1に記載の床材。
【請求項8】
裏面防水層が紫外線硬化型表面処理剤、熱硬化型表面処理剤、合成樹脂類、ワックス類、シリコン系撥水剤、シリコン系防水剤の中から選ばれる1種以上をコーティングして形成された層であることを特徴とする請求項7に記載の床材。
【請求項9】
表面塗装層が下から下塗層、中塗層及び上塗層を含むことを特徴とする請求項7に記載の床材。
【請求項10】
下塗層及び上塗層が無機物を含むことを特徴とする請求項9に記載の床材。
【請求項11】
無機物がセラミック、ガラスチョップ、粘土、シリカの中から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項10に記載の床材。
【請求項12】
床材がT&G、クリックシステム、またはコネクタによる連結構造を有することを特徴とする請求項1に記載の床材。
【請求項13】
高密度繊維板層の下部に裏面防水層を形成する段階と、
高密度繊維板層の上部にプライマー層を形成する段階と、
プライマー層の上部に転写印刷を実施して転写印刷層を形成する段階と、
転写印刷層の上部に表面塗装層を形成する段階と、
裁断及び形状加工する段階とを含む床材の製造方法。
【請求項14】
プライマー層は水性樹脂をコーティングした後80ないし160℃のオーブンで30秒ないし5分間乾燥させ形成することを特徴とする請求項13に記載の床材の製造方法。
【請求項15】
転写印刷は80ないし120℃の温度で0.4ないし1.0MPaの圧力で5秒ないし2分の条件下で行うことを特徴とする請求項13に記載の床材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−533345(P2008−533345A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512227(P2008−512227)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004273
【国際公開番号】WO2007/123298
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(502202007)エルジー・ケム・リミテッド (224)
【Fターム(参考)】