説明

転動装置用シール装置及び転動装置

【課題】シール性能とともに、低トルクをより長期にわたり維持できるシール装置を提供する。
【解決手段】グリース潤滑される転動装置に組み込まれる接触式のシール装置であって、弾性部材が、ゴム成分100質量部に対してフラーレンを1〜50質量部配合してなるゴム組成物で形成されたことを特徴とする転動装置用シール装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリース潤滑される転動装置、並びに前記転動装置に組み込まれるシール装置に関する。
【0002】
例えば、自動車用ハブユニット軸受、オルタネータ等の自動車電装部品用軸受、ウォータポンプ用軸受、鉄道車両用軸受、リニアガイド装置、ボールねじ装置等の各種転動装置では、シール装置により潤滑用のグリースの漏洩を防止するとともに、外部からの塵埃、水、泥水等の異物の浸入を防止している。このシール装置は、ゴム組成物で構成されるリップ部が内外輪や芯金の壁面に摺接することによりグリース漏洩や異物浸入を防止するため、回転時の抵抗となる。
【0003】
一方で、近年では低トルク化の要求が高く、そのためにはシール装置の摩擦低減も求められている。例えば特許文献1では、シールリップの相手材との摺接部位を回転初期に摩耗させて低トルク化を図ることを提案している。しかし、回転初期以降のシール性については考慮されておらず、摩耗が更に進行した場合にグリース漏洩や異物浸入が起こることが懸念される。また、特許文献2では、シール装置に潤滑剤を混入している。しかし、潤滑剤が枯渇すると摩擦低減効果が急減し、また潤滑剤とグリースの基油との組み合わせによっては潤滑性に悪影響が及ぶおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−163479号公報
【特許文献2】特開2008−32061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、シール性能とともに、低トルクをより長期にわたり維持できるシール装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために本発明は、下記を提供する。
(1)グリース潤滑される転動装置に組み込まれる接触式のシール装置であって、弾性部材がゴム成分100質量部に対してフラーレンを1〜50質量部配合してなるゴム組成物で形成されたことを特徴とする転動装置用シール装置。
(2)ゴム組成物におけるフラーレン以外の充填剤が、合計で、該フラーレンに対して質量比で100倍未満であることを特徴とする上記(1)記載の転動装置用シール装置。
(3)ゴム成分がニトリルゴムまたはシリコンゴムであるあることを特徴とする上記(1)または(2)記載の転動装置用シール装置。
(4)上記(1)〜(3)の何れか1項に記載のシール装置を備え、グリース潤滑されることを特徴とする転動装置。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシール装置は、フラーレンを特定量配合したゴム組成物で弾性部材を形成したことにより、摩耗及び摩擦がこれまでよりも抑えられ、シール性能及び低トルクがより長期にわたり維持される。更には、弾性部材から剥落したフラーレンがグリースのラジカル捕獲剤として作用するため、グリースの劣化も抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一例であるシール装置を備える玉軸受を示す断面図である。
【図2】本発明の他の例であるウォータポンプ用軸受を示す断面図である。
【図3】図2のA部分の拡大断面図である。
【図4】本発明の更に他の例であるハブユニット軸受を示す断面図である。
【図5】図4の一方のシール装置を示す拡大断面図である。
【図6】図4の他方のシール装置を示す拡大断面図である。
【図7】本発明の更に他の例であるシール装置を備えるボールねじ装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の一例であるシール装置を備える玉軸受を示す断面図である。図示される玉軸受は、内輪1と外輪2との間に、保持器3により複数の転動体(玉)4を周方向に略等間隔で配置し、更に内輪1と外輪2との間の隙間をシール装置5で密封して構成されている。シール装置5は、金属製の芯金6と、弾性部材7とを一体に加硫成形したものである。弾性部材7は、芯金6の外側の主部6aと、外輪2の内周面に形成された止め溝8に係止される加締部7aと、内輪1の外周面に形成された受け溝9に当接するシールリップ7bとから構成されている。本発明では、シール装置5の弾性部材7を、ゴム成分にフラーレンを配合したゴム組成物で形成する。
【0011】
ゴム成分には制限がなく、シール装置に使用される種々のゴムを使用でき、例えばニトリルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴム等を使用できる。中でも、ニトリルゴム及びシリコンゴムが好ましい。尚、ニトリルゴムは、アクリロニトリル含有量により、低ニトリルNBR、中ニトリルNBR、中高ニトリルNBR、高ニトリルNBR、極高ニトリルNBR等があるが、摺接性、耐摩耗性、耐熱性、耐寒性等から特に中高ニトリルNBRが好ましい。また、イソプレンを共重合させたアクリロニトリルブタジエンイソプレンゴム、水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシル化水素添加アクリロニトリルブタジエンゴム等の変性アクリロニトリルブタジエンゴムも好ましい。また、これらは、それぞれ単独でも、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0012】
また、ゴム成分を架橋するために、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、高分散性硫黄等の各種硫黄、モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、N,N−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、チウラムポリスルフィド等の硫黄を生成可能な硫黄化合物、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、パラメチルベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン等の有機過酸化物等を用いる。
【0013】
フラーレンは炭素原子からなる球状のクラスターであるが、炭素数の限定はなく、C60、C70、その他の高次フラーレンを使用することができる。また、これらのフラーレンは、それぞれ単独でも、2種以上を混合して使用してもよく、ゴム成分100質量部に対し1〜50質量部、好ましくは5〜30質量部配合される。フラーレンの配合量が1質量部未満では目的とする摩耗及び摩擦の低減効果が十分に得られず、50質量部超ではフラーレンの分散が悪化して弾性部材7に強度ムラが生じたり、摩耗の増大が起こり好ましくない。フラーレンは、ゴム成分と物理的、化学的に吸着し難く、後述される他の充填剤等の他の配合物よりも選択的に摩耗粉として摺接面に存在するようになり、回転トルクの低減と低摩耗を実現する。また、剥落してグリースに混入しても、ラジカル捕獲剤として作用するため、グリースの劣化を防ぐ効果もある。
【0014】
ゴム組成物には、フラーレンの他にも必要に応じて公知の添加剤を配合することができる。中でもフラーレン以外の他の充填剤は、弾性部材7の機械的強度を高める上で好ましく、例えばカーボンブラック、シリカ、石英微粉末、珪藻土、けい酸カルシウム、ガラス繊維等を、それぞれ単独で、または2種以上混合してゴム成分100質量部に対して10〜300質量部で、かつ、フラーレンに対して質量比で100倍未満の量を配合することができる。他の充填剤の配合量がゴム成分に対して10質量部未満の場合は、弾性部材7の機械的強度の増強効果が十分とはいえず、300質量部を超える場合は、弾性部材7に成形する際に、型流れ性や吐出性等の加工性が極端に低下するようになる。また、フラーレン量に対して100倍以上になると、フラーレンによる低摩耗効果及び低摩擦効果よりも他の充填剤による効果の方が優勢になり、好ましくない。
【0015】
更には、弾性部材7の各種特性改善のために、重合度100以下の低分子量シロキサン、シラノール基含有シラン、アルコキシ基含シラン等の分散剤、酸化鉄、酸化セシウム、オクチル酸鉄、酸化チタン、着色剤、白金化合物、パラジウム化合物等を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
【0016】
ゴム組成物を得る方法にも制限はなく、例えば、上記のゴム成分、架橋剤、フラーレン、他の充填剤等を所定量にてゴム混練ロール、加圧ニーダ、バンバリーミキサー等のゴム混練り装置に投入し、均一に混練りすればよい。混練り条件には制限はないが、架橋しない温度範囲、例えば30〜80℃で、5〜60分間混練りすることにより、均質なゴム組成物が得られる。
【0017】
そして、ゴム組成物を、圧縮成形やトランスファー成形、射出成形等のゴム成形方法に従い所定形状の弾性部材7に成形することができるが、その際の加熱により架橋が進行する。例えば、120〜200℃で30秒〜30分間加圧加硫する。また、必要に応じて120〜200℃で10分〜10時間、2次加硫してもよい。
【0018】
このようにして得られる弾性部材7は、
(1)硬度(JIS K6301で規定されるスプリング硬さAスケール)が60〜80、好ましくは65〜75
(2)JIS K6251で規定される引張強度が10〜25MPa、好ましくは15〜25MPa
(3)JIS K6251で規定される伸びが200〜400%、好ましくは250〜400%
(4)摩擦係数(リングオンディスク方式、相手材がSUJ2における摩擦摩耗試験)が1.0未満
(5)摩耗深さ(荷重100gにおける摩擦摩耗試験)が40mm以下
を全て満足する。
【0019】
上記の玉軸受は、潤滑のために、内輪1と外輪2との間の隙間にグリース(図示せず)が充填されるが、軸受の回転によりフラーレンが剥離してグリースに混入しても、フラーレンがラジカル捕獲剤として作用してグリースの劣化を抑える。そのため、玉軸受は、低トルクでグリース漏洩が無いことに加えて、グリースの劣化も抑えられて耐久性に優れるようになる。
【0020】
本発明は、玉軸受以外にも、図2及び図3に示すようなウォータポンプ用軸受にも適用できる。図示されるウォータポンプ用軸受20は、ハウジング22に固定された外輪23と、一端部にプーリ24が設けられ、他端部にインペラ25が設けられた回転軸26と、外輪23及び回転軸26間に、軸方向(図の左右方向)に沿って複数列に設けられた転動体(図示しない)とを備えている。尚、符合28はメカニカルシールであり、外部からの水の浸入を防止する。
【0021】
図3は図2のA部分を拡大して示す図であり、シール装置30を示す断面図であるが、シール装置30は、外輪23と回転軸26との間を、外輪23側に設けられたシール部材31と、回転軸26側に設けられたスリンガ40によってシールするように構成されている。シール部材31は、上記ゴム組成物からなる弾性体32と芯金33とを一体成形したものである。弾性体32は、基端部32a、主リップ部32b、副リップ部32c、第3リップ部32d及び第4リップ部32eを備える。グリース(図示せず)は、このシール装置30により封止される。
【0022】
また、図4に示すようなハブユニット軸受にも適用できる。図示されるハブユニット50は、固定輪である外輪相当部材(外側軌道輪)51と、回転輪である内輪相当部材(内側軌道輪)53と、複数の転動体60とを備えている。外輪相当部材51は、その軸方向中間部の外周面に形成した取付部52により、懸架装置(図示せず)に支持固定される。また、内輪相当部材53はハブ54と内輪55とを有する。ハブ54の外周面のアウトボード側端部(自動車への組み付け時に幅方向外側の端部)には取付フランジ57が設けられ、取付フランジ57には車輪を取り付けるためのスタッド57aが周方向に略等間隔で複数植設されている。ハブ54の内周面にはスプライン溝56が形成されており、車両への組み付け時、スプライン溝56には等速ジョイントを介して回転駆動される駆動軸が挿入される。内輪55は、ハブ54のインボード側端部(自動車への組み付け時に幅方向内側の端部)の小径段部に嵌め込まれる。外輪相当部材51の内周面には複列の外輪軌道面58,58が、ハブ54の軸方向の中間部外周面と内輪55の外周面には内輪軌道面59,59が、それぞれ形成されている。そして、複列の外輪軌道面58,58と複列の内輪軌道面59,59との間には、それぞれ複数の転動体60,60が保持器61を介して周方向に転動可能に配設されている。さらに、外輪相当部材51のインボード側端部と内輪55との間、及び外輪相当部材51のアウトボード側端部とハブ54との間には、シール装置62a,62bが設けられ、ハブユニット50の軸受空間63の軸方向の両端部開口をシールするようにしている。
【0023】
一方のシール装置62aは、図5に拡大して示されるように、芯金70、スリンガ80及びシール部材85を備えている。芯金70は、外輪相当部材51のインボード側端部の内周面に内嵌固定自在な外径側円筒部71と、この外径側円筒部71の軸方向内端緑から直径方向内方に折れ曲がった内側円環部72とを有して断面略L字形状に形成されている。スリンガ80は、内輪55の外周面に外嵌固定自在な内径側円筒部81と、この内径側円筒部81の軸方向外端縁から直径方向外方に折れ曲がった外側円環部82とを有して断面L字形状に形成されている。また、シール部材85は上記のゴム組成物からなり、芯金70と一体に加硫成形されており、外側、中間、内側の3本のシールリップ86、87、88を備えている。そして、最も外側に位置する外側シールリップ86の先端縁をスリンガ80の外側内環部82の内側面に摺接させ、残り2本のシールリップである中間シールリップ87及び内側シールリップ88の先端縁を、スリンガ80の内径側円筒部81の外周面に摺接させることにより、封入グリースの漏洩を防止するとともに、外部からの塵埃や水等の侵入を防止する。
【0024】
また、他方のシール装置62bは、図6に拡大して示されるように、それぞれが円環状に形成された芯金90とシール部材100とを備えている。芯金90は、外輪相当部材51のアウトボード側端部の内周面に内嵌固定自在な外径側円筒部91と、この外径側円筒部91の外端縁から直径方向内方に折れ曲がった支持板部92とを備えている。外径側円筒部91の内端寄りには大径部93が設けられており、この大径部93の自由状態における外径は外輪相当部材51のアウトボード側端部の内径よりも若干大きく設定されており、この大径部93は、外輪相当部材51のアウトボード側端部の内周面に締まり嵌めで内嵌固定自在とされている。また、支持板部92は略S字形の断面形状を有し、直径方向内方に向かうにつれて転動体60に近づく方向に傾斜している。シール部材100は、上記のゴム組成物からなり、芯金90と一体に加硫成形されている。また、シール部材100は、外径側、内径側、2本のサイドシールリップ101,102と、1本のラジアルシールリップ103とを備えている。そして、2本のサイドシールリップ101,102を、先端縁に向かう程直径方向外方に傾斜させることにより、軸受内に外部からの塵埃や水等の浸入を防止している。また、ラジアルシールリップ103を、先端縁に向かうほど軸受空間側に傾斜させることにより、グリースの漏洩防止機能を確保している。
【0025】
また、図7に示すようなボールねじ装置にも適用できる。図示されるボールねじ装置は、螺旋状のねじ溝110aを有するねじ軸110に、ねじ軸110のねじ溝110aに対向する螺旋状のねじ溝を内面に有してねじ軸110に螺合される円筒状のボールねじナット120と、ねじ軸110のねじ溝110aとボールねじナット120のねじ溝とで形成される断面略円形の螺旋状のボールねじ空間に転動自在に装填される多数のボール(図示せず)とを備えている。また、ボールねじナット120の軸方向両端部の内側には、潤滑剤含有ポリマからなる円筒状の潤滑剤供給部材121,121がガータスプリング122により押圧された状態で嵌挿されており、内部に保持された潤滑剤が徐々に滲み出て潤滑を行う。潤滑剤供給部材121は、グリースを保持した状態で固化した樹脂部材であり、徐々にグリースが滲み出るように構成されている。また、潤滑剤供給部材121の軸方向外側には、上記のゴム組成物からなるシール装置130,130が装着されており、グリースの漏洩及び外部からの塵埃や水の浸入を防いでいる。
【0026】
その他にも、図示は省略するが、鉄道車両用軸受やリニアガイド装置等のシール装置にも適用することができる。
【実施例】
【0027】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
【0028】
(実施例1〜6、比較例1〜5)
表1に示す配合(配合量は質量部)にて各材料をゴム混練ロールに投入して混練りし、表記の条件にて架橋し、下記に示す(1)硬さ測定、(2)一軸引張試験、(3)摩擦摩耗試験に用いるための試験片を作製した。
【0029】
【表1】

【0030】
*1:日本ゼオン社製「Nipol DN3350」(アクリロニトリル含有量33%の中高ニトリルゴム)
*2:東レ・ダウ社製「SH75UN」(シリコンゴム成分約60質量%、シリカ約40質量部含有)
*3:フロンティアカーボン社製「nanom purple ST」(フラーレンC60)
*4:フロンティアカーボン社製「nanom mix ST」(混合フラーレン)
*5:東海カーボン社製「シーストSP」
*6:白石カルシウム社製「ST−309」
*7:東レ・ダウ社製「RC4−50」(2,5−ジメチル−2.5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンを約50%含有)
*8:川口化学社製「アクターR」(モルホリンジスルフィド)
*9:花王社製「LUNAC S−35」(ステアリン酸)
*10:堺化学社製の酸化亜鉛
【0031】
(1)硬さ測定
JIS K6301に従い、2mm厚のシート状試験片を重ねて6mm以上とし、デュロメータAで硬さを測定した。結果を表2に示す。
(2)一軸引張試験
JIS K6251に従い、JISダンベル状3号試験片を用いて、引張速度500mm/minの条件で試験を行い、破断強度及び破断伸びを測定した。結果を表2に示す。
(3)摩擦摩耗試験
シート状試験片を30×30×2mmの板状に加工し、板状試験片とした。相手材にはSUJ2(軸受鋼)製で内径20mm、外径26mmのリング状試験治具を用い、1000mm/min、荷重100gの条件にて、摩擦係数の算出、及び摩耗深さの測定を行った。結果を表2に示す。
【0032】
【表2】

【0033】
表2に示されるように、本発明に従いフラーレンを1〜50質量部含有するゴム組成物からなる実施例の試験片は、低トルクで、かつ、低摩耗になることがわかる。比較例1、2、4、5はフラーレン含有量が1重量部未満であることからフラーレンによる摩擦軽減効果が不十分である。また、比較例3はフラーレンを規定量含むものの、他の充填材(カーボンブラック及びクレー)の含有量がフラーレン量の100倍を超えていることから、フラーレンによる摩擦低減効果が発揮されていない。
【符号の説明】
【0034】
1 内輪
2 外輪
3 保持器
4 転動体
5 シール装置
6 芯金
7 弾性部材







【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリース潤滑される転動装置に組み込まれる接触式のシール装置であって、弾性部材がゴム成分100質量部に対してフラーレンを1〜50質量部配合してなるゴム組成物で形成されたことを特徴とする転動装置用シール装置。
【請求項2】
ゴム組成物におけるフラーレン以外の充填剤が、合計で、該フラーレンに対して質量比で100倍未満であることを特徴とする請求項1記載の転動装置用シール装置。
【請求項3】
ゴム成分がニトリルゴムまたはシリコンゴムであるあることを特徴とする請求項1または2記載の転動装置用シール装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のシール装置を備え、グリース潤滑されることを特徴とする転動装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−172778(P2012−172778A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36134(P2011−36134)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】